JP7019184B2 - 処理液切換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、処理液の流れ方向を切り換える処理液切換装置に関する発明である。
従来から、研磨装置で使用された研磨液を排出口から排出する排出管と、排出口の周壁の外周側に一端が旋回可能に嵌合された樋管と、樋管の下方に設置されると共に上方に開放し内部が複数の液受領域に分割された液受体と、を有する研磨液切換装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この研磨液切換装置では、液受体の上方で排出口を中心に樋管を旋回させることで、この樋管の先端に形成された吐出口から排出された研磨液が流れ込む液受領域を切り換える。
特開昭57-66860号公報
ところで、従来の研磨液切換装置では、研磨液を排出する排出口の周壁の外周側に樋管の一端が旋回可能に嵌合され、排出管と樋管とが接触している。そのため、排出口から流れ出た研磨液が排出管の周壁と樋管との間に浸入すると、浸入した研磨液が乾燥することで排出管に対して樋管が固着してしまい、樋管の旋回動作が阻害されるという問題が生じる。
また、樋管の吐出口が液受体の上方を移動するので、吐出口から流れ出た研磨液が飛散し、研磨液切換装置周辺の汚染や機器類の故障が生じるおそれがある。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、樋管の回転動作が阻害されることを防止すると共に、研磨液等の処理液による装置周辺の汚染を防ぐことができる処理液切換装置を提供することを課題としている。
上記目的を達成するため、本発明の処理液切換装置は、先端に形成された排出口から処理液を排出する排出管と、一端に排出管の先端が周方向の第1隙間を介して差し込まれ、他端に処理液を排出する吐出口が形成されると共に、排出管の軸方向を回転中心として回転可能に保持された樋管と、樋管の他端が周方向の第2隙間を介して差し込まれると共に排出管に対して同軸状態に保持される受け口を一端に有し、他端に複数の分離口を有する液受管と、を備えている。
そして、吐出口は、開口中心が樋管の回転中心に対してオフセットした位置に設定され、樋管を回転可能に保持する保持機構は、樋管の外周側に配置されている。
この結果、樋管の回転動作が阻害されることを防止すると共に、処理液による装置周辺の汚染を防ぐことができる。
実施例1の処理液切換装置を備えた研磨装置を示す説明図である。 実施例1の処理液切換装置を示す縦断面図である。 実施例1の処理液切換装置の断面図であり、(a)は図2におけるA-A断面を示し、(b)は図2におけるB-B断面を示し、(c)は図2におけるC-C断面を示す。 実施例1の処理液切換装置による処理液切換動作を示す説明図である。
以下、本発明の処理液切換装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
(実施例1)
以下、実施例1の処理液切換装置1の構成を「処理液切換装置を備えた研磨装置の構成」、「処理液切換装置の詳細構成」に分けて説明する。
[処理液切換装置を備えた研磨装置の構成]
実施例1の処理液切換装置1は、研磨装置101において薄板状のウエハWを研磨する際に使用された研磨剤K(処理液)を循環用及び排出用に分離する際に用いられる。なお、この処理液切換装置1は、実施例1で示した研磨剤Kを分離する目的以外にも、例えば研磨剤Kを種類に応じて分離する場合等にも用いられる。
ここで、研磨装置101は、図1に示すように、研磨パッド102aが表面に張り付けられた定盤102と、ウエハWを保持するキャリア103と、を備えている。そして、この研磨装置101では、キャリア103によって研磨パッド102aにウエハWを押し付けた状態で定盤102及びキャリア103を回転させ、ウエハWを研磨する。
そして、この研磨装置101においてウエハWを研磨する際、研磨剤供給装置104から研磨パッド102a上に研磨剤Kを供給することで、ウエハWの研磨精度と研磨レートの向上を図っている。
ここで、研磨装置101にて使用された使用済みの研磨剤Kには、循環できる場合と、循環できない場合がある。そのため、図1に示すように、研磨装置101に設けられた廃液受101aに実施例1の処理液切換装置1を設けている。そして、この処理液切換装置1によって研磨装置101から排出された研磨剤Kが流れる方向を切り換えることで研磨剤Kを循環用及び排出用に分離する。
[処理液切換装置の詳細構成]
実施例1の処理液切換装置1は、図2に示すように、排出管2と、樋管10と、液受管5と、回転制御部6と、を備えている。
排出管2は、一端21が廃液受101aに連通し(図1参照)、先端22に研磨剤Kを排出する排出口23が形成された管である。この排出管2は、排出口23が研磨装置101の下方に向けられ、排出管2の先端部分の軸方向Oは鉛直方向に沿っている。なお、以下「排出管2の軸方向」とは、排出管2の先端部分の軸方向Oを意味し、排出口23の開放方向である。
樋管10は、図2に示すように、回転管3及びこの回転管3に接続された誘導管4から形成されている。
回転管3は、両端が開放した直管である。一方、誘導管4は、一端41が開放し、他端42が遮蔽板45によって閉鎖された直管である。そして、回転管3の先端32が誘導管4の一端41に挿入された状態で、回転管3の先端32と誘導管4の一端41とが接続され、回転管3及び誘導管4で樋管10を形成する。ここで、誘導管4の回転管3への接続は、例えばボルトや溶接等を用いて行ってもよいし、回転管3の外周面33と誘導管4の内周面44にそれぞれねじ溝を形成し、互いに螺合することで接続してもよい。
この樋管10は、回転管3の一端31に排出管2の先端22が差し込まれている。なお、実施例1では、回転管3に差し込まれた排出管2の先端22が回転管3を貫通し、排出口23は誘導管4の内部に挿入されている。
そして、排出管2の外周面24と回転管3の内周面34との間、及び、排出管2の外周面24と誘導管4の内周面44との間には、それぞれ周方向の第1隙間S1が設けられている。つまり、排出管2の先端22は、この第1隙間S1を介して樋管10に差し込まれている。
また第1隙間S1の幅は、回転管3及び誘導管4の全周にわたって均等に設定されている。なお、「第1隙間S1の幅」とは、排出管2の外周面24から回転管3の内周面34までの距離、及び、排出管2の外周面24から誘導管4の内周面44までの距離である。
さらに、樋管10を形成する回転管3の一端31の外周面33には、ベアリング110が嵌合されている。そして、このベアリング110は、ブラケット111を介して研磨装置101に支持されている。
これにより、樋管10は、排出管2の軸方向Oに対し、自身の軸方向が一致した同軸状態で、軸方向Oを回転中心として回転可能に保持されている。なお、この樋管10を回転可能に保持する保持機構30は、ベアリング110及びブラケット111によって構成され、この保持機構30は、樋管10の外周側であって、液受管5の外部に配置されている。
誘導管4の他端42を閉鎖する遮蔽板45には、排出管2から流れ込んだ研磨剤Kを排出する吐出口46が形成されている。この吐出口46は、開口中心O1が樋管10の回転中心である軸方向Oに対して水平方向にオフセットした位置に設定されており、誘導管4の縁部に沿った平面視弓形を呈している(図3(c)参照)。また、この吐出口46は、樋管10の軸方向Oに対して平行な方向、すなわち鉛直方向の下方に向けて開放している。
一方、遮蔽板45は、法線方向が樋管10の軸方向Oに対して傾斜している。ここで、遮蔽板45の傾斜は、吐出口46に向かう下り勾配に形成されている。すなわち、樋管10は、他端42が傾斜したいわゆる斜切円柱形状を呈し、吐出口46が管先端に形成されている。また、この実施例1では、吐出口46の周縁に、樋管10の軸方向Oに沿って起立した周囲壁46aが形成されている。
さらに、誘導管4の外周面43には、樋管10の回転方向の位置を示す指示部7が設けられている。この指示部7は、指示棒71と、第1センサ72と、第2センサ73と、を有している。
指示棒71は、誘導管4の外周面43から径方向に延在された棒部材であり、軸方向Oと吐出口46の開口中心O1との水平方向に結んだ直線X上であって、吐出口46の上方位置に設けられている(図3(a)参照)。この指示棒71は、第1センサ72又は第2センサ73から照射されたセンサ光を反射する。
第1センサ72は、ブラケット111の指示棒71に対向する面に取り付けられ、液受管5の第1分離口56aの上方位置に保持されている。そして、この第1センサ72は、下方に向けてセンサ光を出射する。そして、この第1センサ72は、指示棒71が下方に位置したことでセンサ光が反射され、この反射光を検出したときには、反射光を検出したことを回転制御部6の制御演算部61に入力する。
第2センサ73は、ブラケット111の指示棒71に対向する面に取り付けられ、液受管5の第2分離口56bの上方位置に保持されている。そして、この第2センサ73は、下方に向けてセンサ光を出射する。そして、この第2センサ73は、指示棒71が下方に位置したことでセンサ光が反射され、この反射光を検出したときには、反射光を検出したことを回転制御部6の制御演算部61に入力する。
液受管5は、一端51に受け口55が形成され、他端52に一対の分離口(第1分離口56a,第2分離口56b)が形成された直管であり、図示しない支持構造を介して研磨装置101や床面等に支持されている。ここで、受け口55は、液受管5の軸方向Oに沿って開放し、樋管10を形成する誘導管4の他端42が周方向の第2隙間S2を介して差し込まれている。また、第2隙間S2の幅は、誘導管4の全周にわたって均等に設定されている。なお、「第2隙間S2の幅」とは、誘導管4の外周面43から液受管5の内周面5aまでの距離である。
これにより、液受管5は、樋管10の軸方向Oに対し、自身の軸方向Oが一致した同軸状態で保持される。さらに、この実施例1では、液受管5の受け口55に環状の蓋部材58が設けられている。蓋部材58は、内周縁が誘導管4の外周面43に接触し、外周縁が受け口55よりも外方に突出することで、第2隙間S2を覆っている。
第1分離口56a及び第2分離口56bは、それぞれ液受管5の周面に形成されて径方向に開放し、ここでは、軸方向Oを挟んで互いに対向する位置に形成されている。さらに、第1分離口56aには、第1流出管57aが接続されている。第2分離口56bには、第2流出管57bが接続されている。
そして、液受管5の内部には、液受管5の他端52を閉鎖する底面53から軸方向Oに沿って起立し、液受管5の内部空間Hを第1分離口56a及び第2分離口56bのそれぞれに対して区画する区画壁54が形成されている。ここで、区画壁54は、軸方向Oを通り、第1分離口56a及び第2分離口56bからの距離が均等になる位置に形成されている。なお、第1分離口56a及び第2分離口56bは、それぞれ区画壁54に対向している。また、この区画壁54の底面53からの高さ寸法は、液受管5に差し込まれた誘導管4の他端42に接触しない寸法であって最大の高さに設定されている。さらに、この実施例1では、底面53は、区画壁54が形成された位置から各分離口56a,56bへと向かう下り勾配になるように傾斜している。
回転制御部6は、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等を備えた制御演算部61と、樋管10を回転させる回転駆動部62と、を有している。
制御演算部61は、メモリに記憶されたプログラム及び入力された必要情報に基づいて、樋管10の向きと回転の要否を判断する。そして、樋管10を回転させる必要があると判断すると、回転駆動部62に制御指令を出力し、回転駆動部62の動作を制御する。なお、この制御演算部61に入力される必要情報とは、例えば第1センサ72や第2センサ73からの反射光の検出情報や、研磨剤KのpH状態や砥粒濃度状態、異物混入状態を検出するセンサからの検出情報等である。
回転駆動部62は、研磨装置101に取り付けられ、回転管3に対して図示しないベルトや歯車等によって機械的に接続されている。そして、制御演算部61から制御指令が入力されることで駆動し、樋管10を形成する回転管3を回転させる。
以下、「研磨剤分離時の課題」を説明し、続いて、実施例1の処理液切換装置1における作用を「研磨剤切換作用」、「管差し込み部分への隙間介在作用」、「複数管の差し込み配置作用」、「複数管の同軸配置作用」、「その他の特徴的作用」に分けて説明する。
[研磨剤分離時の課題]
研磨装置101の研磨時に使用した研磨剤Kを回収し、循環や排出等のために分離させる処理液切換装置において、研磨剤Kを排出する排出口の周壁の外周側に樋管の一端が旋回可能に嵌合されている場合を考える。この場合では、排出管と樋管とが接触しているので、排出口から流れ出た研磨剤Kが排出管の周壁と樋管との間に浸入すると、研磨剤Kが乾燥したときに排出管に対して樋管が固着される。その結果、樋管の旋回動作が阻害される。
なお、排出管の周壁と樋管との間に浸入した研磨剤Kによって排出管に対して樋管が固着しても、旋回駆動部の駆動力を高めることで、固着状態を解消して樋管を旋回させることが可能である。しかし、その場合には、固着状態の解消を想定して旋回駆動部の駆動力を必要以上に高くする必要がある。つまり、旋回駆動部を必要以上に大型化しなければならない。そのため、処理液切換装置が大型化し、コストの増大を招くことが考えられる。
また、排出管の周壁と樋管との間に浸入した研磨剤Kが乾燥した状態で樋管が旋回すると、乾燥した研磨剤Kが排出管と樋管との間で破砕されて摩耗粉塵となる。この摩耗粉塵が循環される研磨剤Kに混入した場合、ウエハWの傷やクラッシュの発生原因になる。
さらに、樋管の下方に内部が複数の液受領域に分割された液受体を設置し、樋管を液受体の上方で旋回させる場合では、樋管の先端に形成された吐出口から流れ出た研磨剤Kが処理液切換装置の外部に露出した状態で落下する。そのため、研磨剤Kが飛散しやすいという問題がある。特に、吐出口が空中移動する際に研磨剤Kが流出すると、飛沫が広範囲に飛び散ってしまい、研磨装置の周辺を汚染したり、機器類の故障が生じたりするおそれがある。
また、樋管をスライド移動させることで吐出口の位置を変更する場合では、樋管及び樋管を移動させる駆動装置が可動できる範囲をそれぞれ確保する必要がある。そのため、処理液切換装置が大型化するため、研磨装置の占有面積が大きくなり、所定敷地内での研磨装置の設置台数が制限される要因になる。
[研磨剤切換作用]
研磨装置101によってウエハWの研磨が行われて使用済みの研磨剤Kが排出されると、この研磨剤Kは、廃液受101aから実施例1の処理液切換装置1の排出管2に流れ込む。そして、研磨剤Kは、排出管2の先端22に形成された排出口23から流れ出る。ここで、排出管2の先端22は回転管3の一端31に差し込まれ、排出口23が誘導管4の内部に挿入されている。つまり、排出口23から流れ出た研磨剤Kは、樋管10に流れ込む。
ここで、誘導管4の他端42は、吐出口46が形成された遮蔽板45によって閉鎖されている。そのため、樋管10に流れ込んだ研磨剤Kは吐出口46から流れ出て、樋管10を形成する誘導管4が差し込まれた液受管5へとさらに流れていく。
このとき、吐出口46の開口中心O1は、樋管10の回転中心である軸方向Oに対して水平方向にオフセットした位置に設定されている。一方、液受管5は、樋管10の軸方向Oに対し、自身の軸方向Oが一致した同軸状態で保持されている。そのため、研磨剤Kは、液受管5の軸方向Oに対して、水平方向にオフセットした位置に流れ出ることになる。
これに対し、液受管5の他端52の周面には、径方向に開放し、互いに対向する位置に形成された一対の分離口(第1分離口56a,第2分離口56b)が形成されている。そのため、図2に示すように、吐出口46が第1分離口56aに対向しているときには、吐出口46から流れ出た研磨剤Kは、第1分離口56aから循環用として第1流出管57aへと流れ込む。また、図4に示すように、吐出口46が第2分離口56bに対向しているときには、吐出口46から流れ出た研磨剤Kは、第2分離口56bから排出用として第2流出管57bへと流れ込む。
このように、実施例1の処理液切換装置1では、吐出口46が向いている方向、つまり樋管10の向きを制御することによって研磨剤Kが流れていく方向を切り換え、第1流出管57aへと流れる研磨剤Kと、第2流出管57bへと流れる研磨剤Kとを目的や用途に応じて分離することができる。
また、樋管10の向きは、回転制御部6の制御演算部61によって制御する。すなわち、この制御演算部61には、研磨装置101にて使用された研磨剤KのpH状態や砥粒濃度状態、異物混入状態を検出するセンサからの検出情報や、第1センサ72及び第2センサ73からの反射光の検出情報が入力される。
そして、制御演算部61では、各センサから入力された必要情報に基づいて、樋管10の実際の向きと、樋管10が向くべき方向を判断する。そして、制御演算部61は、樋管10の実際の向きが、樋管10が向くべき方向に一致しているときには、樋管10を回転させる必要がないため、現状を維持する。
一方、樋管10の実際の向きが、樋管10が向くべき方向に一致していないときには、制御演算部61は、回転駆動部62に制御指令を入力して回転駆動部62を動作させ、軸方向Oを中心に樋管10を180°回転させる。
ここで、吐出口46の開口中心O1は、樋管10の回転中心である軸方向Oに対して水平方向にオフセットした位置に設定されている。これにより、樋管10が回転すると、吐出口46が軸方向Oを中心に旋回することになり、この吐出口46を第1分離口56a又は第2分離口56bのいずれか所望の分離口に対向させることができる。そして、所望の方向へと研磨剤Kを排出することができる。
[管差し込み部分への隙間介在作用]
実施例1の処理液切換装置1では、研磨剤Kが流れ出る排出口23が形成された排出管2の先端22は、樋管10に対して周方向の第1隙間S1を介して差し込まれている。つまり、排出管2の外周面24と回転管3の内周面34及び誘導管4の内周面44との間にはそれぞれ空間(第1隙間S1)が生じており、排出管2と樋管10とが接触することがない。そのため、排出口23から流れ出た研磨剤Kが排出管2の外周面24と樋管10の内周面(回転管3の内周面34及び誘導管4の内周面44)との間に入り込んでも、樋管10が排出管2に対して固着されることはない。
さらに、樋管10を形成する誘導管4の他端42は、液受管5に対して周方向の第2隙間S2を介して差し込まれている。そのため、誘導管4の外周面43と液受管5の内周面5aとの間には空間(第2隙間S2)が生じており、樋管10と液受管5とが接触することがない。これにより、吐出口46から流れ出た研磨剤Kが樋管10の外周面(誘導管4の外周面43)と液受管5の内周面5aとの間に入り込んでも、樋管10が液受管5に対して固着されることはない。
しかも、この処理液切換装置1では、研磨装置101に取り付けられたブラケット111と、このブラケット111に支持されたベアリング110からなる保持機構30が、回転管3の一端31の外周面33を回転可能に保持している。すなわち、この保持機構30は、樋管10の外周側に配置され、液受管5の外部に設けられている。
そのため、この保持機構30のベアリング110は、研磨剤Kが浸入しにくい位置に配置されることになり、このベアリング110に研磨剤Kが接触して固着することを防止できる。この結果、樋管10の回転が研磨剤Kによって阻害されることがなく、樋管10の回転動作が阻害されることを防止できる。
なお、樋管10の回転動作が阻害されることがないので、回転制御部6の回転駆動部62の駆動力を必要以上に高める必要がなくなり、処理液切換装置の大型化を抑え、安価な装置にすることができる。また、ベアリング110に研磨剤Kが接触しないため、乾燥した研磨剤Kが破砕されて生じる摩耗粉塵が発生しない。そのため、摩耗粉塵を原因とするウエハWの傷やクラッシュの発生を防止することができる。
[複数管の差し込み配置作用]
実施例1の処理液切換装置1では、排出管2の先端22が回転管3に差し込まれ、研磨剤Kが流れ出る排出口23は、回転管3に接続された誘導管4の内部で研磨剤Kを排出する。さらに、誘導管4の他端42は液受管5に差し込まれ、誘導管4に流れ込んだ研磨剤Kが流れ出る吐出口46は、液受管5の内部で研磨剤Kを排出する。つまり、排出管2と樋管10と液受管5とが、いわゆる入れ子の状態になっている。
そのため、研磨剤Kは、処理液切換装置1の外部に露出することなく、排出管2から第1流出管57a又は第2流出管57bへと流れていくことができる。これにより、研磨剤Kを処理液切換装置1の周囲へと飛散させることがないので、研磨剤Kの飛散による研磨装置101や処理液切換装置1の周辺の汚染を防止することができる。
なお、研磨装置101や処理液切換装置1の周辺の汚染が防止できるので、ユーザによる研磨装置101や処理液切換装置1の周囲の清掃時間の短縮を図ることができる。また、飛散した研磨剤Kが研磨装置101の内部へ入り込むことも防止できるので、研磨装置101の内部の清浄化を図ると共に、乾燥した研磨剤Kによる故障リスクの低減を図ることができる。しかも、研磨剤Kを飛散させないため、飛散に伴う研磨剤Kの損失を解消することができる。
[複数管の同軸配置作用]
実施例1の処理液切換装置1では、排出管2の軸方向Oに対し、樋管10及び液受管5がいずれも同軸状態になっている。また、樋管10は、軸方向Oを回転中心として回転して吐出口46を所望の分離口に対向させる。
そのため、樋管をスライド移動させることで吐出口の位置を変更する装置と比べて、処理液切換装置1の占有面積を縮小させることができ、処理液切換装置1の大型化を抑制できる。そして、処理液切換装置1が大型化しないことで、所定敷地内での研磨装置の設置台数を向上させ、生産性の向上に貢献することが可能となる。
さらに、誘導管4をスライド移動させる装置のように、樋管や樋管を移動させる駆動装置の可動範囲を確保する必要がないので、ユーザの作業エリアを拡大することができ、研磨装置101に対するウエハWの脱着作業性を改善することができる。
[その他の特徴的作用]
実施例1の処理液切換装置1では、液受管5の他端52を閉鎖する底面53に軸方向Oに沿って起立した区画壁54が形成され、この区画壁54によって、液受管5の内部空間Hが第1分離口56a及び第2分離口56bのそれぞれに対して区画されている。そのため、液受管5内に流れ込んだ研磨剤Kが、吐出口46が対向している分離口とは逆の分離口(例えば、吐出口46が第1分離口56aに対向しているときでは、第2分離口56b)に向かって流れてしまうことを防止でき、所望の分離口に向けて研磨剤Kを誘導することができる。
しかも、実施例1では、液受管5の底面53が、区画壁54が形成された位置から各分離口56a,56bへと向かう下り勾配になるように傾斜している。そのため、研磨剤Kが区画壁54を乗り越えることが防止され、研磨剤Kは、所望の分離口に向かってさらに強く誘導される。
また、実施例1の処理液切換装置1では、誘導管4の外周面43に樋管10の回転位置を示す指示部7が設けられている。そのため、樋管10の向きを容易に把握することができ、樋管10の回転位置を適切に制御して、所望の分離口に向けて研磨剤Kを適切に誘導することができる。
なお、実施例1では、指示部7が、誘導管4に設けられた指示棒71と、この指示棒71に対してセンサ光を出射する第1,第2センサ72,73と、を有している。そのため、樋管10の回転位置を自動的に検出することができ、樋管10の向きをさらに容易に把握することができる。
そして、実施例1では、吐出口46が樋管10の軸方向Oに対して平行な方向に向けて開放し、鉛直方向の下方に向かっている。そのため、吐出口46から流れ出た研磨剤Kは、吐出口46から鉛直方向下方へと流れていくため、この研磨剤Kが誘導管4の外周面43側に回り込みにくくできる。これにより、誘導管4の外周面43と液受管5の内周面5aとの間に研磨剤Kが入り込むことを抑制することができる。
なお、吐出口46の周縁には、樋管10の軸方向Oに沿って起立した周囲壁46aが形成されている。そのため、周囲壁46aによって研磨剤Kの流れ方向が規制され、吐出口46から流れ出た研磨剤Kの回り込みをさらに抑制することができる。
さらに、実施例1の処理液切換装置1は、誘導管4の他端42に設けられた遮蔽板45の法線方向が、樋管10の軸方向Oに対して傾斜し、誘導管4の他端42は、いわゆる斜切円柱形状を呈している。そして、遮蔽板45の傾斜が吐出口46に向かう下り勾配に形成され、吐出口46は、斜切円柱形状の誘導管4の他端42の管先端に形成されている。
これにより、吐出口46から流れ出た研磨剤Kが遮蔽板45の外側に付着しても、誘導管4の外周面43側にまで回り込むことを抑制できる。この結果、研磨剤Kが、誘導管4の外周面43と液受管5の内周面5aとの間に入り込むことをさらに抑制することができる。
そして、実施例1では、液受管5の受け口55に環状の蓋部材58が設けられ、この蓋部材58によって第2隙間S2を覆っている。そのため、吐出口46から流れ出た研磨剤Kが液受管5の内部で飛散し、第2隙間S2に研磨剤Kの飛沫が入り込んでも、受け口55から処理液切換装置1の外部へと研磨剤Kの飛沫が飛び散ることを防止できる。これにより、研磨装置101や処理液切換装置1の周辺の汚染をさらに抑制することができる。
以上、本発明の処理液切換装置を実施例1に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1の研磨装置101は、ウエハWの片面のみを研磨する片面研磨装置であるが、これに限らない。両面研磨装置、端面研磨装置、片面研削装置、両面研削装置、端面研削装置等のウエハWの表面を研磨又は研削する研磨装置又は研削装置であればよい。
また、実施例1では、処理液切換装置1を研磨装置101に適用する例を示したが、これに限らない。例えば、処理液切換装置1をワークのエッチングや洗浄等を行う装置に適用してもよい。
また、実施例1では、処理液切換装置1を研磨装置101に適用して研磨剤Kを分離する例を示したが、これに限らない。分離される処理液は、ワークを処理する液体であればよいので、例えば処理液切換装置1をワークのエッチングや洗浄等を行う装置に適用したときには、これらの装置で使用した処理液を分離してもよい。
また、実施例1の処理液切換装置1では、樋管10が、回転管3及び誘導管4によって形成される例を示したが、これに限らない。回転管3と誘導管4とを一体成型し、一つの管部材によって樋管10を形成してもよい。また、多数(3つ以上)の管部材を連結することで樋管10を形成してもよい。
また、実施例1の処理液切換装置1では、液受管5が一対の分離口(第1分離口56a,第2分離口56b)を有し、第1流出管57aへ流れる研磨剤Kと、第2流出管57bへ流れる研磨剤Kとを分離する例を示した。しかしながら、液受管5に形成される分離口の数は任意に設定することができ、三つ以上であってもよい。
また、実施例1の処理液切換装置1では、吐出口46の形状は、誘導管4の縁部に沿った平面視弓形を呈している例を示したが、これに限らず、丸型や四角型等、処理液を排出できる形状であればよい。
また、実施例1の処理液切換装置1では、吐出口46が軸方向Oに対して平行な方向(鉛直方向下方)に向けて開放する例を示した。しかしながら、これに限らず、吐出口46を、例えば軸方向Oに対して傾斜した方向(例えば、斜め下方)に向けて開放させてもよい。なお、周囲壁46aについても、形成しなくてもよい。
そして、実施例1の処理液切換装置1では、一対の分離口(第1分離口56a,第2分離口56b)がそれぞれ液受管5の周面に形成され、互いに対向している例を示したが、これに限らない。例えば、第1分離口56aを底面53に形成して軸方向Oに開放させ、第2分離口56bを周面に形成して径方向に開放させてもよい。
また、液受管5の内部には、区画壁54を形成しなくてもよい。さらに、液受管5の底面53を平坦な面に形成してもよい。
そして、実施例1の処理液切換装置1では、回転制御部6を備え、制御演算部61からの制御指令を回転駆動部62に入力して、自動的に回転管3を回転させることで樋管10を回転させる例を示した。しかしながら、回転制御部6の回転駆動部62を誘導管4に機械的に連結され、誘導管4を回転させることで樋管10を回転させてもよい。また、回転駆動部62は例えばモーターやシリンダー等、動力を得られるアクチュエータであればよく、さらに、樋管10の回転は、ユーザによる手動で行ってもよい。なお、手動によって樋管10を回転させる場合では、指示棒71を用いる等して樋管10を回転させてもよい。
また、実施例1の処理液切換装置1では、指示部7は、指示棒71のように樋管10の外周面から突出して、第1センサ72又は第2センサ73から照射されたセンサ光を反射する例を示した。しかしながら、指示部7は、指示棒71のように突出している必要はなく、例えば樋管10の外周面に着色したり、印をつけたりすることで設けてもよい。また、センサは、光センサ以外の磁気センサやリミットスイッチ等、検知ができるセンサであればよい。さらに、センサを設けなくてもよく、カメラや目視等の識別手段で回転方向の位置を判断してもよい。また、駆動源の位置決め制御を利用して回転方向の位置を判断してもよい。いずれにせよ、樋管10の回転方向の位置を外部から把握することができればよい。
1 :処理液切換装置
2 :排出管
3 :回転管
4 :誘導管
5 :液受管
5a :内周面
7 :指示部
10 :樋管
21 :一端
22 :先端
23 :排出口
30 :保持機構
31 :一端
32 :先端
41 :一端
42 :他端
45 :遮蔽板
46 :吐出口
51 :一端
52 :他端
54 :区画壁
55 :受け口
56a :第1分離口
56b :第2分離口
58 :蓋部材
101 :研磨装置
H :内部空間
O :軸方向
O1 :開口中心
S1 :第1隙間
S2 :第2隙間

Claims (6)

  1. 先端に形成された排出口から処理液を排出する排出管と、
    一端に前記排出管の先端が周方向の第1隙間を介して差し込まれ、他端に前記処理液を排出する吐出口が形成されると共に、前記排出管の軸方向を回転中心として回転可能に保持された樋管と、
    前記樋管の他端が周方向の第2隙間を介して差し込まれると共に前記排出管に対して同軸状態に保持された受け口を一端に有し、他端に複数の分離口を有する液受管と、を備え、
    前記吐出口は、開口中心が前記樋管の回転中心に対してオフセットした位置に設定され、
    前記樋管を回転可能に保持する保持機構は、前記樋管の外周側に配置されている
    ことを特徴とする処理液切換装置。
  2. 請求項1に記載された処理液切換装置において、
    前記液受管の内部には、前記液受管の内部空間を前記複数の分離口に対して区画する区画壁が形成されている
    ことを特徴とする処理液切換装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された処理液切換装置において、
    前記樋管には、前記樋管の回転方向の位置を示す指示部が設けられている
    ことを特徴とする処理液切換装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された処理液切換装置において、
    前記吐出口は、前記樋管の軸方向に対して平行な方向に向けて開放している
    ことを特徴とする処理液切換装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載された処理液切換装置において、
    前記樋管の他端には、前記吐出口が形成された遮蔽板が設けられ、
    前記遮蔽板は、法線方向が前記樋管の軸方向に対して傾斜し、
    前記遮蔽板の傾斜は、前記吐出口に向かう下り勾配に形成されている
    ことを特徴とする処理液切換装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された処理液切換装置において、
    前記受け口には、前記第2隙間を覆う環状の蓋部材が設けられている
    ことを特徴とする処理液切換装置。
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