JP7018806B2 - 分析用試料埋込樹脂の作製方法 - Google Patents
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それゆえに従来は、試料埋込樹脂を作製する場合、はじめに、粒状試料に対して篩別を行って篩上と篩下に分けた後にさらにそれらを混合し、その混合試料を液体状樹脂材料とともに容器に投入し、容器内を手動作業でかき混ぜるとともに、真空デシケーターを用いた液体状樹脂材料の脱泡、超音波撹拌機による容器内の攪拌を行った後、液体状樹脂材料を大気中で硬化させることとしていた。またここでは、試料埋込樹脂中の粒状試料の分散性を高めるため、容器に、液体状樹脂材料を投入するに先立って、グラファイトを投入し、これを粒状試料と混合させることもある。さらに断面を作製して測定する場合もある。
特にこの場合は、液体状樹脂材料を硬化させる際に、前記混合物の周囲に全方向から同時に紫外線を照射することがより一層好ましい。
また、この発明の分析用試料埋込樹脂の作製方法では、前記混合物への紫外線の照射時間を、1分~10分とすることが好ましい。
この発明の一の実施形態に係る分析用試料埋込樹脂の作製方法では、粒径が不均一な粒子からなり複数種類の単体及び/又は化合物を含む分析対象の粒状試料を、樹脂材料に埋め込んで、該樹脂材料中に前記粒状試料を固定した試料埋込樹脂を作製するに当り、前記粒状試料を、紫外線硬化樹脂を含む液体状樹脂材料と混合させるとともに、容器内に、粒状試料と液体状樹脂材料との混合物を投入し、次いで、混合物入りの前記容器を、自転公転撹拌機で自転させつつ該自転とは逆の回転方向に、又は該自転と同じ回転方向に公転させることにより、容器内の粒状試料および液体状樹脂材料を攪拌し、その後、前記混合物に紫外線を照射して該混合物中の液体状樹脂材料を硬化させる。
分析の対象とする粒状試料は、鉱石、スラグ、汚泥、粉塵もしくは、電気電子機器を含むそのリサイクル原料等に対して所定の処理を施すこと等によって、比較的小さい粒子となったものとすることができる。このような粒状試料は通常、組成および粒径の意図的な均一化が行われていないので、組成が異なるとともに粒径も異なる不均一な多種類の粒子からなる。
電気電子機器からなる粒状試料の場合、基板に含まれる樹脂部や回路を構成する金属部、難燃剤部等の様々な組成を持つ粒子が存在する。
汚泥、粉塵に至っては単一の組成となっている場合はまず無い。
この発明の実施形態では、上述した粒状試料2を埋め込んで固定するための樹脂材料3は、後述するように粒状試料2と混合させる際および攪拌の際に液体状に維持できるものであって、紫外線の照射により硬化する紫外線硬化樹脂を含むものとする。このような紫外線硬化樹脂を含む樹脂材料3を用いることにより、液体の状態のものに紫外線を照射すると比較的瞬時に硬化することから、液体状樹脂材料3を硬化させる際に、粒状試料2の沈降が生じやすい加熱処理を施すことが不要になる。それにより、粒状試料2の各粒子の沈降差に起因する試料埋込樹脂における粒状試料2の不均一な分布を抑制することができる。
このような紫外線硬化樹脂は市販されており、当該市販品を用いることが可能である。
上記の粒状試料および樹脂材料にて分析用の試料埋込樹脂を作製するには、はじめに、図1及び2に示すように所定の透明な容器1に、粒状試料2を、紫外線硬化樹脂を含む液体状樹脂材料3とともに投入して、粒状試料2を液体状樹脂材料3と混合させ、粒状試料2と液体状樹脂材料3との混合物4を得る。
なお、上述した公転速度および自転速度は、自転公転撹拌機で設定可能である。
ここで攪拌の初期段階は、自転公転撹拌機による攪拌の開始時点から、30秒~60秒が経過したときまでとすることができる。その後に真空雰囲気とする時間は、60秒~30分とすることができる。
なお、液体状樹脂材料3の硬化が完了したかどうかは、つまようじ等で押して、凹まないことにより確認する。
そして、このような試料埋込樹脂は、様々な分析装置を用いた粒状試料2の元素含有量、粒度分布、単体分離度などの分析に供することができる。特にここで、粒状試料2を構成する粒子を鉱石粒子とした場合、その試料埋込樹脂は、鉱物解析システム(Mineral Liberation Analyzer、MLA)による分析に有効に用いることができる。
2 粒状試料
3 液体状樹脂材料(樹脂材料)
4 混合物
Claims (13)
- 粒径が不均一な粒子からなり複数種類の単体及び/又は化合物を含む分析対象の粒状試料を、樹脂材料に埋め込んで、該樹脂材料中に前記粒状試料を固定した試料埋込樹脂を作製する方法であって、
前記粒状試料を、紫外線硬化樹脂を含む液体状樹脂材料と混合させるとともに、容器内に、粒状試料と液体状樹脂材料との混合物を投入し、混合物入りの前記容器を、自転公転撹拌機で自転させつつ該自転とは逆の回転方向に公転させることにより、容器内の混合物を攪拌した後、前記混合物に紫外線を照射して該混合物中の液体状樹脂材料を硬化させ、
前記自転公転撹拌機による撹拌の初期段階を大気雰囲気で行い、その後の少なくとも終期段階を真空雰囲気で行う、分析用試料埋込樹脂の作製方法。 - 粒径が不均一な粒子からなり複数種類の単体及び/又は化合物を含む分析対象の粒状試料を、樹脂材料に埋め込んで、該樹脂材料中に前記粒状試料を固定した試料埋込樹脂を作製する方法であって、
前記粒状試料を、紫外線硬化樹脂を含む液体状樹脂材料と混合させるとともに、容器内に、粒状試料と液体状樹脂材料との混合物を投入し、混合物入りの前記容器を、自転公転撹拌機で自転させつつ該自転と同じ回転方向に公転させることにより、容器内の混合物を攪拌した後、前記混合物に紫外線を照射して該混合物中の液体状樹脂材料を硬化させ、
前記自転公転撹拌機による撹拌の初期段階を大気雰囲気で行い、その後の少なくとも終期段階を真空雰囲気で行う、分析用試料埋込樹脂の作製方法。 - 自転公転撹拌機による攪拌時の公転速度を、400rpm~2000rpmとする、請求項1又は2に記載の分析用試料埋込樹脂の作製方法。
- 自転公転撹拌機による攪拌時間を、1分~30分とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の分析用試料埋込樹脂の作製方法。
- 容器に投入する液体状樹脂材料に対する粒状試料の割合を、100体積%~300体積%とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の分析用試料埋込樹脂の作製方法。
- 前記紫外線硬化樹脂をアクリル樹脂とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の分析用試料埋込樹脂の作製方法。
- 液体状樹脂材料を硬化させる際に、前記混合物の周囲に隈なく紫外線を照射する、請求項1~6のいずれか一項に記載の分析用試料埋込樹脂の作製方法。
- 液体状樹脂材料を硬化させる際に、前記混合物の周囲に全方向から同時に紫外線を照射する、請求項7に記載の分析用試料埋込樹脂の作製方法。
- 前記混合物に照射する紫外線の照度を、20000mW/cm2~36000mW/cm2とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の分析用試料埋込樹脂の作製方法。
- 前記混合物への紫外線の照射時間を、1分~10分とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の分析用試料埋込樹脂の作製方法。
- 前記混合物の攪拌後、液体状樹脂材料の硬化が完了するまでの時間を、1分~10分とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の分析用試料埋込樹脂の作製方法。
- 前記粒状試料を構成する粒子を鉱石粒子とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の分析用試料埋込樹脂の作製方法。
- 自転公転撹拌機で自転させる前記容器として、混合物入りの容器が複数個配置されたものを用いる、請求項1~12のいずれか一項に記載の分析用試料埋込樹脂の作製方法。
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