JP6891715B2 - 試料作製方法および試料分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、試料作製方法および試料分析方法に関する。
銅、ニッケル等の非鉄金属、金等の貴金属は、工業的に極めて重要な材料である。自然界において、これら金属は、当該金属元素を含む酸化物、硫化物等の化合物(以下、「鉱物」ともいう)として存在している。これら鉱物を鉱石として採掘し、破砕、選鉱、精錬等の各処理工程を経て、段階的に金属元素の品位を高めることで、例えば99.99%以上の純度を有する金属を得ることができる。
採掘される鉱石は破砕されると、複数の鉱石粒子からなり、ある程度の粒度を有する粉状鉱石となる。鉱石粒子は、1つの鉱物から構成される鉱石粒子(単体鉱)と、複数の鉱物から構成される鉱石粒子(結合鉱)と、に分けることができる。通常、鉱石中に所望の金属が含まれる割合(品位)は非常に小さく、たとえば、数%以下である。そのため、鉱石の選鉱処理では、所定の処理条件において、鉱石粒子(単体鉱および結合鉱)から、所望の金属が含まれる鉱物(有用鉱物)と、所望の金属が含まれない鉱物(不用鉱物)と、を分離選別して、有用鉱物をできる限り多く回収することにより、品位が数%以下の鉱石を、品位が数十%程度の精鉱とする必要がある。
選鉱工程では、所望の金属を含む鉱物が単体鉱として存在していれば分離・回収が容易であるため、単体鉱の割合が多いことが好ましい。そのため、選鉱工程における処理条件の決定、検証を行うためには、たとえば、鉱物ごとに単体鉱と結合鉱との合計重量に対する単体鉱の重量割合(単体分離度)を把握することが重要である。そこで、選鉱処理前後の鉱石から、試料としてサンプリングした鉱石を分析して、各鉱物の単体分離度を評価し、この情報を選鉱工程にフィードバックすることにより、選鉱工程における処理案件の決定検証が行われている。
鉱物の単体分離度を評価する方法として、従来は、光学顕微鏡を用いて目視観察により鉱物の光学的情報等を取得して分析する方法が用いられてきた。しかしながら、上記の方法による鉱物の単体分離度の評価は、時間が掛かることに加え、観察者の経験及び技量に左右されるため、熟練の観察者でなければ正確な評価は困難であるという問題があった。
そこで、光学顕微鏡を用いる分析方法において、画像解析装置を用いて、単体鉱であるか結合鉱であるかを識別して、単体分離度を評価する方法が知られている。また、近年、MLA(Mineral Liberation Analyzer)のような鉱物分析に特化した分析装置を用いて、鉱物の存在状態を定量的に分析する方法が行われている(例えば、特許文献1を参照)。このような装置は、試料の測定及び解析を自動で行い、単体分離度のような鉱物に関する情報を出力することができる自動分析装置である。
このような分析においては、試料である粉状鉱石を樹脂で包埋して樹脂包埋試料として作製し、これを研磨することにより、鉱石粒子が露出した平滑な断面(研磨面)を形成し、この研磨面に対して分析を行っている。
特開2016−050918号公報
ところで、代表的な浮選処理として、鉱物の濡れ性を利用して分離・回収を行う浮遊選鉱が知られている。この浮遊選鉱では、鉱石を粉砕した粉状鉱石を水に投入してスラリー化し、このスラリーに補収剤、気泡剤等の試薬を添加する。そして、スラリー中に発生した気泡に吸着する鉱石粒子(疎水性の鉱石)は精鉱として、分離・回収される。得られた精鉱は次工程(例えば製錬)に送られる。
浮遊選鉱後の精鉱は、次工程に送られる前に水分を除去するために乾燥させる。ところが、乾燥時に、複数の鉱石粒子が集まって凝集してしまう。そのため、乾燥後の精鉱中には、複数の鉱石粒子が凝集した凝集体が存在する場合があった。そして、本発明者は、乾燥後の精鉱からサンプリングした試料を自動分析装置により分析すると、当該装置が、本来、1つの鉱石粒子として識別されるべき各鉱石粒子が凝集した凝集体を1つの粒子として誤識別してしまうという問題を見い出した。そもそも自動分析装置及び解析ソフトは、粉砕された粉状鉱石の自動分析を目的として開発され使用されているものであり、上記のように浮選選鉱により発生した凝集体まで測定対象を広げようとすると、現行の装置及びソフトウェアでは追随できないのが現状である。
このような誤識別が生じると、凝集体を構成する鉱石粒子に含まれる鉱物の種類が複数である場合には、該当凝集体は、複数の鉱物を含む粒子(結合鉱)と識別されてしまい、選鉱工程に多大な影響を与えてしまう。すなわち、1つの粒子と識別されるべき鉱石粒子が単体鉱である場合、該当鉱石粒子が凝集体の一部とされ該当凝集体が1つの鉱石粒子(結合鉱)として識別されると、試料における鉱石粒子の粒度分布が変化するとともに、単体鉱である鉱石粒子が、結合鉱を構成する鉱物として識別されてしまう。そうすると、分析結果として得られる試料の粒度分布が粗大粒側にずれ、試料における単体分離度は実際の選鉱工程における単体分離度よりも低く算出されてしまう。すなわち、自動分析装置による分析結果は、実際の選鉱工程における鉱物の存在(特に、粒度、単体分離度等)を正しく反映していないことになる。そうすると、該当分析結果は、選鉱処理条件を決定するための情報、あるいは選鉱処理条件の検証を行うための情報としての価値が低くなってしまい、ひいては、選鉱処理条件の最適化ができず、選鉱の回収率等に多大な影響を与えてしまう。
なお、光学顕微鏡を用いた観察者の目視による鉱物分析であれば、この問題は生じない。浮遊選鉱後の精鉱中に鉱石粒子の凝集体が存在している場合であっても、観察者が、目視により凝集体を1つの鉱石粒子ではなく、複数の鉱石粒子が集まって形成されたものであると判断することができるからである。
一方で、自動解析装置による定量分析は、光学顕微鏡を用いる定量分析よりも精度が高く、熟練の観察技術を必要とせず、しかも短時間で分析結果が得られる。そこで、自動分析装置による分析であっても、上述したような鉱石粒子の誤識別が発生しないように対策を講じることが望まれている。
本発明は、上記の状況を鑑みてなされ、選鉱処理後の鉱石粒子に凝集が生じた場合であっても、鉱石粒子の識別を正しく行うことができ、その結果、実際の選鉱工程における単体分離度が反映された試料を作製する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、解析ソフトウェアの画像処理能力に依存して凝集体を個々の鉱石粒子に分割するのではなく、物理的に凝集体の凝集を解砕して、通常の画像処理によっても、個々の鉱石粒子に分割可能とすることを目指し、凝集の原因を調査した。その結果、浮遊選鉱の際に、スラリーに添加される試薬が鉱石粒子の周囲に付着しており、乾燥時に、該当試料がバインダーとして機能し、粒子と粒子とを互いに付着させながら精鉱が乾燥されることにより、乾燥後の鉱石粒子に凝集が生じることを見出した。
鉱石粒子の凝集を解(ほぐ)すには、鉱石粒子に物理的な力を加えて凝集を解砕することが考えられるが、鉱石粒子に過剰な力が加わると、鉱石粒子が砕かれ、鉱石粒子の粒度分布・結合状態が崩れてしまい、単体分離度を正しく評価することができなくなる。よって、凝集体の解砕工程では、以下の2つの要件を満たす必要がある。すなわち、1つは、凝集体を解砕し互いに付着する鉱石粒子を分散させることであり、もう1つは、解砕の際に鉱石粒子を粉砕させず、鉱石粒子の粒度や結合状態を変化させないことである。
解砕工程においてこれらの要件を両立させるには、適度な力加減が必要とされる。そこで、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、それらの要件を満たす試料を解砕する方法を見い出し、本発明を完成させるに至った。上記課題を解決するための本発明は以下の通りである。
すなわち、本発明の第1の態様は、
分析対象である粉状鉱石を有する鉱物分析用試料を作製する方法であって、
浮遊選鉱により得られた複数の鉱石粒子を含む粉状鉱石を乾燥させる乾燥工程と、
乾燥により前記鉱石粒子が凝集した凝集体を含む乾燥後の前記粉状鉱石に樹脂粒状物を混合し、その混合物をミルで撹拌することにより、前記凝集体を解砕する解砕工程と、
前記凝集体の解砕により前記鉱石粒子が分散する前記粉状鉱石を熱硬化性樹脂で包埋する樹脂包埋工程と、を有する試料作製方法が提供される。
本発明の第2の態様は、第1の態様の試料作製方法において、
前記樹脂粒状物は少なくとも樹脂ビーズを含む。
本発明の第3の態様は、第2の態様の試料作製方法において、
前記解砕工程では、前記樹脂ビーズとともに前記熱硬化性樹脂の粉末を添加して撹拌する。
本発明の第4の態様は、第2又は第3の態様の試料作製方法において、
前記樹脂ビーズの比重が0.5g/cm以上2.2g/cm以下である。
本発明の第5の態様は、第2〜第4の態様のいずれかの試料作製方法において、
前記樹脂ビーズの平均粒径が2mm以上8mm以下である。
本発明の第6の態様は、第2〜第5の態様のいずれかの試料作製方法において、
前記樹脂ビーズが、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂およびポリアミド樹脂の少なくとも1つの樹脂から形成される。
本発明の第7の態様は、第2〜第6の態様のいずれかの試料作製方法において、
前記解砕工程では、前記粉状鉱石1cmに対して前記樹脂ビーズを、0.01g以上0.4g以下の範囲で添加する。
本発明の第8の態様は、第1〜第7の態様のいずれかの試料作製方法において、
前記ミルはロッキングミルである。
本発明の第9の態様は、第8の態様の試料作製方法において、
前記解砕工程では、前記ロッキングミルの振動数を30Hz以上60Hz以下、撹拌時間を2分以上30分以下として撹拌する。
本発明の第10の態様は、第1〜第9の態様のいずれかの試料作製方法において、
前記解砕工程では、前記混合物を樹脂製容器に収容して撹拌する。
本発明の第11の態様は、
上述の第1〜第10の態様のいずれかの試料作製方法で得られた試料を自動分析装置により分析する分析工程を有する、試料分析方法が提供される。
本発明の第12の態様は、
凝集体が含まれる金属粉末に対して非金属粒状物を加えたものをミルで撹拌して該凝集体を解砕する解砕工程を有する、試料の作製方法が提供される。
本発明によれば、選鉱処理後の鉱石粒子に凝集が生じた場合であっても、鉱石粒子の識別を正しく行うことができ、その結果、実際の選鉱工程における単体分離度が反映された試料を作製する方法を提供することができる。
また、本発明によれば、選鉱処理後の鉱石粒子以外の金属粉末に起因する凝集体を解砕することも可能となる。
図1は、本発明の一実施形態に係る試料作製方法を説明するための工程図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る方法により作製される試料の模式的な斜視図である。 図3は、実施例1にかかる樹脂包埋試料の研磨面についての反射電子像を示す画像である。 図4は、粉状鉱石の解砕前後でのD80の値を示す図である。 図5は、比較例1にかかる樹脂包埋試料の研磨面についての反射電子像を示す画像である。 図6は、実施例2における試料を光学顕微鏡で観察した様子を示す写真である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき、以下の順序で詳細に説明する。
1.試料作製方法
1−1 準備工程
1−2 乾燥工程
1−3 解砕工程
1−4 樹脂包埋工程
1−5 研磨工程
2.試料分析方法
3.本実施形態の効果
4.変形例
<1.試料作製方法>
以下、本発明の一実施形態に係る試料作製方法について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る試料作製方法を説明するための工程図である。図2は、本発明の一実施形態に係る方法により作製される試料の模式的な斜視図である。本実施形態の試料作製方法は、分析対象である粉状鉱石を樹脂で包埋してなる樹脂包埋試料(以下、単に試料ともいう)を作製する方法であって、準備工程S10と、乾燥工程S20と、解砕工程S30と、樹脂包埋工程S40と、研磨工程S50と、を有する。以下、各工程について詳述する。
(1−1 準備工程S10)
まず、準備工程S10では、鉱物分析の対象として、浮遊選鉱により回収された精鉱からサンプリングした粉状鉱石(以下、浮遊選鉱後の粉状鉱石ともいう)を準備する。粉状鉱石は、単体鉱あるいは結合鉱からなる複数の鉱石粒子を含む集合体である。鉱石粒子は様々の鉱物を包含しており、たとえば、銅精鉱は、黄銅鉱(Chalcopyrite:CuFeS)、輝銅鉱(Chalcocite:CuS)、斑銅鉱(Bornite:CuFeS)、黄鉄鉱(Pyrite:FeS)、脈石(Gangue:珪酸塩鉱物、酸化鉱物等)等の鉱物を含んでいる。
(1−2 乾燥工程S20)
浮遊選鉱後の粉状鉱石には浮遊選鉱の際に使用した水などが付着しているためこれらを乾燥させる必要がある。そこで、乾燥工程S20では、浮遊選鉱後の粉状鉱石を乾燥させ、鉱石粒子に付着する水分を取り除く。上述したように、浮遊選鉱後の粉状鉱石を乾燥させると、乾燥時に複数の鉱石粒子が集まって凝集してしまう。そのため、乾燥させた粉状鉱石(以下、乾燥後の粉状鉱石ともいう)には、複数の鉱石粒子が凝集した凝集体が存在することになる。なお、本明細書において「凝集している」とは、複数の鉱石粒子が互いに互着して集合体となっている状態を示す。
粉状鉱石に含まれる鉱石粒子の平均粒径は破砕の程度や鉱物の種類などによって変化するが、例えば10μmから200μm程度の粒度分布を有する。
なお、乾燥方法としては、公知の方法により行うことができ、例えば加熱乾燥や減圧乾燥が挙げられる。
(1−3 解砕工程S30)
乾燥後の粉状鉱石は、凝集体を含むので、自動分析装置により鉱物分析すると、凝集体を1個の鉱石粒子と誤識別して分析し、分析結果は、実際の鉱物の存在(粒度や単体分離度など)を正しく反映しないおそれがある。そこで、本実施形態では、解砕工程S30として、凝集体を含む乾燥後の粉状鉱石に、樹脂からなり、鉱石粒子よりも比較的比重の小さな樹脂粒状物(例えば樹脂ビーズや樹脂粉末、以降、樹脂ビーズを例示。)を混合し、その混合物をロッキングミルで撹拌する。
ロッキングミルは、一般に、ミル容器を回転しつつ三次元に振動させることでミル容器内の物質を撹拌し粉砕する粉砕機である。しかし、本発明者らの検討によると、粉砕機であるロッキングミルであっても、ミル容器内に粉状鉱石とともに樹脂ビーズを添加して撹拌することで、鉱石粒子を粉砕させることなく、凝集体を解砕できることが見出された。樹脂ビーズは、撹拌時に凝集体に衝突することで結合力の弱い凝集体を解砕し鉱石粒子を分散させることができる。しかも、樹脂ビーズは、例えばジルコニア等からなる粒子と比べて比重が小さいので、ジルコニア粒子等では鉱石粒子と衝突させるときに鉱石粒子を粉砕してしまうのに対して、樹脂ビーズでは衝突エネルギーを低減して鉱石粒子の粉砕を抑制することができる。このように、ロッキングミルにおいて、所定の樹脂ビーズの存在下で乾燥後の粉状鉱石を撹拌することにより、樹脂ビーズの衝突エネルギーを適度なものとし、凝集体を解砕し鉱石粒子を分散させながらも、鉱石粒子の粉砕を抑制することができる。つまり、粉状鉱石の粒度を大きく変化させることなく鉱石粒子を分散させることができる。
また、本実施形態では、解砕工程S30において、乾燥後の粉状鉱石に樹脂ビーズとともに、後述する樹脂包埋工程にて解砕後の粉状鉱石を包埋するために使用する熱硬化性樹脂の粉末を添加して撹拌することが好ましい。熱硬化性樹脂の粉末は、鉱石粒子と比べて比重が小さいので、粉状鉱石の撹拌時にクッション材として機能し、鉱石粒子の粉砕をさらに抑制することができるからである。つまり、凝集体が含まれる鉱石粉末をロッキングミルおよび樹脂ビーズで解砕する際、鉱石粉末に対して粉末形態の熱硬化性樹脂を適切な量添加することで、熱硬化性樹脂が樹脂ビーズの衝突エネルギーを分散する役割(いわゆるクッションの役割)を果たす。そうすることによって、鉱石粒子は樹脂ビーズの衝突によって破壊されず、凝集体だけが解砕される。
ロッキングミルでの撹拌により、凝集体が解砕され、鉱石粒子、樹脂ビーズ、および熱硬化性樹脂の粉末が分散する混合物が得られる。そして、この混合物から樹脂ビーズを取り除くことにより、凝集のない粉状鉱石(以下、解砕後の粉状鉱石ともいう)と熱硬化性樹脂の粉末との混合物を得る。
樹脂ビーズは、衝突エネルギーを低減して鉱石粒子の粉砕を抑制する観点からは鉱石粒子よりも比重が小さいことが好ましい。具体的には、樹脂ビーズの比重は0.5g/cm〜2.2g/cmであることが好ましい。また、樹脂ビーズの平均粒径は特に限定されないが、2mm〜8mmであることが好ましい。
樹脂ビーズとしては、鉱石粒子よりも比重が小さな樹脂からなる球状の粒子を用いることが好ましく、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂およびポリアミド樹脂の少なくとも1つの樹脂から形成されることがより好ましい。このような樹脂ビーズによれば、撹拌時に適度な衝突エネルギーが得られ、鉱石粒子を粉砕させることなく凝集体を解砕することができる。なお、球状の粒子としては、例えばガラスやジルコニア等からなる粒子も考えられるが、樹脂ビーズの方が比重が小さく鉱石粒子の粉砕を抑制できるため好ましい。
樹脂ビーズの添加量は、凝集体を解砕できるような量であれば特に限定されないが、鉱石粒子の粉砕を抑制しつつ凝集体を解砕する観点からは粉状鉱石1cmに対して0.01g〜0.4gとすることが好ましい。
ロッキングミルの振動数や撹拌時間は、特に限定されないが、例えば、振動数は30Hz〜60Hz、撹拌時間は2分〜30分とすることが好ましい。また、鉱石粒子の粉砕をさらに抑制する観点からは、粉状鉱石を撹拌するミル容器として、鉱石粒子よりも比重の小さな樹脂から形成される樹脂製容器を用いることが好ましい。
(1−4 樹脂包埋工程S40)
解砕後の粉状鉱石は鉱物分析に供されるが、粉状であるので、そのままの状態では、各鉱石粒子の断面を分析することは困難である。そこで、本実施形態では、樹脂包埋工程S40において、解砕後の粉状鉱石を熱硬化性樹脂で包埋し、図2に示すような樹脂包埋試料を形成する。樹脂包埋試料10では、粉状鉱石1を熱硬化性樹脂で固定できるので、後述する研磨工程S50において樹脂包埋試料10を研磨し、その断面(研磨面10a)に粉状粒子1を露出させることが容易となる。
具体的には、まず、解砕工程S30で得られた解砕後の粉状鉱石10と熱硬化性樹脂の粉末との混合物を成形用型に充填し、公知の加圧装置(プレス装置、万力等)を用いて、加圧成形を行い、当該粉状の混合物が固形化されたペレット成形体を得る。
得られたペレット成形体は、実際の選鉱工程中の鉱物の存在状態が固定されているが、後述する研磨工程S50を行うには強度等が不十分である。そのため、ペレット成形体を、例えば熱間埋込装置内に設置して加熱することにより、熱硬化性樹脂を溶融固化させ固化ペレット2に形成する。このとき、ペレット成形体のみを溶融固化させてもよいが、ペレット成形体の周囲に熱硬化性樹脂を含む外層材料を充填し、ペレット成形体とともに外層材料を加圧しながら加熱するとよい。これにより、ペレット成形体および外層材料のそれぞれに含まれる熱硬化性樹脂を溶融固化させ、固化ペレット2と固化ペレット2の周囲に設けられる外層3とを一体的に形成する。その後、冷却することにより、固化ペレット2と、その周囲に外層3が形成された2層構造を有する樹脂包埋試料10が得られる。
樹脂包埋試料10では、粉状鉱石1を熱硬化性樹脂とともにペレット成形体とし、これを溶融固化させることにより、粉状鉱石1に含まれる複数の鉱石粒子1aの比重差に起因する沈降を抑制することができる。また、粉状鉱石1は固化ペレット2のみに含有されているため、粉状鉱石1の使用量を削減することができる。
なお、粉状鉱石1を包埋する熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂などを用いることができる。また、熱間埋込装置としては公知の装置を用いればよい。
(1−5 研磨工程S50)
樹脂包埋工程S40後の樹脂包埋試料10は、研磨工程S50において、その表面を、公知の研磨機により研磨され、分析対象である粉状鉱石1の断面が露出した平滑な面(研磨面10a)が形成される。
(その他)
得られた樹脂包埋試料10を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)等により分析する場合、粉状鉱石1が非導電体であるため、分析中に粉状鉱石1に電子が溜まりチャージアップする可能性がある。チャージアップが生じると、正常なSEM観察ができないため、樹脂包埋試料10の研磨面10aに対して、カーボン等の導電性物質を蒸着すればよい。
以上の工程を経ることにより、実際の選鉱工程中の鉱物の存在状態が維持された樹脂包埋試料10を得ることができる。
<2.試料分析方法>
続いて、得られた樹脂包埋試料10を用いて鉱物分析を行う。本実施形態では、鉱石に含まれる鉱物の種類を同定し(定性分析)、さらに、鉱物のサイズ、鉱物中の所望の金属元素の含有量、結合状態等を定量的に分析する。分析装置としてはMLA(Mineral Liberation Analyzer)やQEMSCAN(Quantitative Evaluation of Minerals by Scanning)等の自動分析装置を用いる。短時間で正確な鉱物分析を行うことができるからである。
MLA、QEMSCAN等の自動分析装置は、鉱物分析に特化した分析装置であり、エネルギー分散型X線分光分析(EDS:Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)装置が付属する走査型電子顕微鏡(SEM)に、鉱物分析専用の解析ソフトウェアが組み込まれている。これらの装置によれば、試料の測定および解析を自動で行い、試料に含まれる鉱物に関する情報(種類、含有量、粒度、結合状態、単体分離度等)を分析結果として所定の形式で出力することができる。
具体的には、MLAでは、まず、SEMにより樹脂包埋試料の研磨面の反射電子像を取得し、得られた反射電子像を画像解析することにより複数の鉱石粒子それぞれを識別する。続いて、EDS装置により各鉱石粒子についてEDSスペクトルを取得する。取得した反射電子像およびEDSスペクトルを解析し、MLAが有するデータベースとEDSスペクトルとを比較して鉱物の同定を行い、さらに、鉱物に関する定量的な情報(含有量、粒度、結合状態等)を取得して、これらの情報を表やグラフ、鉱物のマッピング画像等として出力することができる。
鉱石粒子の識別は、具体的には、以下のようにして行われる。まず、取得した反射電子像において、鉱石粒子以外の部分、すなわち、バックグラウンドを画像処理により除去する。バックグラウンドのみを除去する方法としては公知の方法を用いればよく、たとえば、画像を構成するピクセルの輝度の大小によりバックグラウンドか鉱石粒子かを判断すればよい。
バックグラウンドが除去された後の画像が鉱石粒子の集合体として認識される。続いて、鉱石粒子の集合体の画像を画像処理して1つ1つの鉱石粒子を識別する。たとえば、鉱石粒子の集合体において、鉱石粒子と鉱石粒子間の空間(隙間)との輝度やコントラスト等の違いに着目して、これらが所定の判断基準(たとえば、閾値)を満足するか否かにより個々の鉱石粒子に分割可能かどうかを判断する。この判断基準を変化させることにより、分割可能か否かの判断も変えることができる。
しかしながら、鉱石粒子の凝集物を含む樹脂包埋試料を画像処理する場合、上記の判断基準を変化させても、鉱石粒子同士が互着していることに起因して当該判断基準が機能しない。その結果、個々の鉱石粒子単位にうまく分割できず、鉱石粒子の識別が正しくできない場合がある。
一方、観察者が鉱石粒子の識別を行う場合、熟練した観察者であれば、複数の鉱石粒子が凝集した凝集体か、1つの鉱石粒子(結合鉱)であるのかを観察結果に応じて判断することができ、凝集体を1つの粒子として誤識別することはない。
鉱石粒子の識別が正しく行えないと、本来、単体鉱(1つの鉱物から構成される鉱石粒子)と識別されるべき鉱石粒子が、単体鉱を構成する鉱物とは異なる鉱物を有する鉱石粒子と共に、1つの粒子、すなわち、結合鉱(複数の鉱物から構成される鉱石粒子)として誤って識別されてしまう。
このような誤識別は測定される単体分離度に大きく影響してしまう。この単体分離度は、上述したように、工程における分離・選別が容易な単体鉱の割合を示しており、有用鉱物を効率よく回収できるか否かの指標となるべきものであり、有用鉱物の回収率に直接的に影響を与える。したがって、単体分離度は正しく把握する必要があるものの、自動分析装置では、上述したように、画像処理能力が、浮遊選鉱後の鉱石粒子の凝集体を個々の鉱石粒子単位に分割することには対応していないため、凝集体に含まれる鉱石粒子の識別を正しく行えない場合がある。
そこで、解砕工程S30において乾燥工程S20で生じた鉱石粒子の凝集体を解砕することで、鉱石粒子が凝集していない樹脂包埋試料が得られ、この試料を、自動分析装置により鉱物分析に供すれば、通常の画像処理により鉱石粒子の識別が正しく行えるようになる。したがって、浮遊選鉱後に乾燥させた粉状鉱石に鉱石粒子の凝集体がが含まれている場合であっても、選鉱工程における鉱物の単体分離度を正しく把握することができる。
上記の分析により得られた結果は、選鉱工程にフィードバックされ、処理条件の決定、あるいは、選択された処理条件の検証に用いられる。
<3.実施形態の効果>
選鉱工程では、鉱石粒子に含まれる鉱物ごとの単体分離度を把握して、選鉱工程における処理条件の決定あるいは検証を行っている。そのため、選鉱工程中の鉱石をサンプリングした粉状鉱石について単体分離度を評価する必要がある。ところが、代表的な選鉱処理である浮遊選鉱後の粉状鉱石は乾燥させると、鉱石粒子が凝集して凝集体が形成されることがある。このような凝集体は1つの粒子ではなく、凝集体を構成する各粒子の集まりとして識別されるべきであるが、自動分析装置を用いた場合には、このような凝集体を画像処理により各鉱石粒子単位に分割しようとしても、画像処理が対応していないため凝集体を1つの粒子として誤識別する場合があった。このような誤識別が生じると、試料を分析して得られる鉱物の単体分離度が変化してしまう。そのため、サンプリング時点での鉱物の存在状態を維持するには、上記のように画像処理を用いて、あるいは、物理的に凝集を解す必要がある。
そこで、本実施形態では、画像処理能力を高めて凝集体を各鉱石粒子単位に分割するのではなく、凝集体を物理的に解して通常の画像処理により個々の鉱石粒子を認識できるようにしている。すなわち、乾燥させた粉状鉱石を、ロッキングミルで樹脂ビーズの存在下で撹拌することで、樹脂ビーズと鉱石粒子とを衝突させ、鉱石粒子の粉砕を極力避けながら凝集を解き、鉱石粒子を分散させている。その結果、分散した鉱石粒子を樹脂包埋して樹脂包埋試料を作製し自動分析装置による鉱物分析に供しても、研磨面において鉱石粒子は凝集が解されて十分に分散した状態であるため、鉱石粒子の識別を正しく行うことができる。したがって、浮遊選鉱後に乾燥させた粉状鉱石を自動分析装置により分析した場合であっても、通常の画像処理により鉱石粒子の識別を正しく行うことができる。その結果、試料をサンプリングした時点での鉱物の単体分離度を正しく把握することができる。
なお、凝集体の解砕方法として超音波を用いる方法も考えられるが、この方法では凝集物が残存するおそれがある。超音波を用いる場合、例えば、凝集体を含む粉状鉱石をエタノールなどの液体に添加し、超音波ホモジナイザーを用いて撹拌することにより凝集体を解砕することができる。ただし、この場合、粉状鉱石に付着する液体を乾燥させる必要があり、乾燥の際に鉱石粒子が再び凝集するおそれがある。つまり、超音波を用いる方法では、解砕後に再び乾燥させるため凝集体が再度形成され、粉状鉱石中に残存するおそれがある。これに対して、本実施形態では、ロッキングミルを用いて樹脂ビーズの存在下で撹拌するのみなので、超音波を用いる方法のように鉱石粒子が再凝集することがなく、凝集体の残存を抑制することができる。
また、本実施形態では、乾燥後の粉状鉱石に所定の樹脂ビーズとともに熱硬化性樹脂の粉末を添加してロッキングミルにより撹拌することが好ましい。熱硬化性樹脂の粉末は、比較的比重が小さく撹拌時にクッション材として機能するものであり、撹拌により粉状鉱石に加わる衝突エネルギーを緩和することで、凝集体を解砕しながらも、鉱石粒子の粉砕をさらに抑制することができる。
また、樹脂ビーズは、比重が0.5g/cm〜2.2g/cm、平均粒径が2mm以上8mm以下であり、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂およびポリアミド樹脂の少なくとも1つの樹脂から形成される樹脂ビーズであることが好ましい。このような樹脂ビーズによれば、鉱石粒子と撹拌したときに、凝集体を解砕しながらも鉱石粒子を極力粉砕させないような適度な衝突エネルギーを得ることができる。
<4.変形例>
上記の実施形態では、MLA、QEMSCAN等の自動分析装置を用いて鉱物分析を行ったが、光学顕微鏡を用いて鉱物分析を行ってもよい。光学顕微鏡を用いる場合には、樹脂包埋試料10の研磨面10aを所定の倍率で観察し、観察される鉱物の光学的な情報(色、光沢等)に基づいて鉱物の同定を目視で行い、鉱物に関する定量的な情報を得る。この場合であっても、観察者が1つの鉱石粒子(結合鉱)であるのか、複数の鉱石粒子が凝集した凝集体であるのかを判断する必要がないため、分析の効率を向上させることができる。
また、上記の実施形態では、固化ペレット2の周囲に外層3が形成されるように樹脂包埋試料10を作製したが、外層3を形成せずに、粉状鉱石1(鉱石粒子1a)と熱硬化性樹脂を含む材料からなる固化ペレット2のみで樹脂包埋試料10を構成してもよい。この場合であっても、実際の選鉱工程中における鉱物の存在状態を反映した樹脂包埋試料10を作製することができる。
また、上記の実施形態ではロッキングミルを使用したがこれに限定されず、一般的にミルすなわち粉砕機と称されるものであって撹拌機能を有するものであれば本発明を適用可能である。本発明の大きな特徴の一つは、粉砕機と称されるものによって、粉砕は抑制しつつも凝集体を解砕することにある。
また、上記の実施形態では鉱石粒子よりも比較的比重の小さな樹脂粒状物として樹脂ビーズを使用した。その一方、樹脂ビーズの代わりまたはそれと共に、上記の実施形態で挙げた熱硬化性樹脂の粉末を用いても構わない。つまり本明細書における「樹脂粒状物」は樹脂ビーズ、樹脂粉末を含む表現である。
更に、熱硬化性樹脂の粉末以外の非金属粉末を使用しても構わない。非金属粉末(特に樹脂粉末)がクッションとなって鉱石粉末の粒子の粉砕を抑制する一方で凝集体が解砕可能となる。そして更なる効果として、先に述べた鉱物に係る測定を後で行う場合、非金属粉末が試料に含有されていたとしても測定結果に対する影響は微々たるものとなる。つまり、非金属粉末を加えた後に撹拌して凝集体を解砕した後に、該非金属粉末を除去する必要がなくなり、作業の効率を著しく向上させられる。
この非金属粉末としては、非金属の粉末であれば特に限定は無い。非金属粉末を構成する各粒子の粒径や形状についても特に限定は無いが、本実施形態では例えば平均粒径が50〜1000μm(好ましくは50〜100μm)のものであるのが好ましい。なお該非金属粉末の平均粒径はレーザー回折・散乱法から得られた粒度分布におけるD50であり、先に挙げたミリサイズの樹脂ビーズの平均粒径はスケールで目視測定した値を基にしたものである。
また、上記非金属粉末の組成としては、例えばシリコーン粉末であっても構わないが、“鉱石粉末の粒子の粉砕を抑制”“凝集体の解砕”のバランスを考えると、樹脂粉末であるのが好ましい。さらにこのバランスを向上させられる硬度そして粉末としたときのクッションになりやすさを考慮すると、先に挙げた熱硬化性樹脂粉末を用いるのが更に好ましい。
また、上記の実施形態ではロッキングミルを使用する際に樹脂ビーズを用いたが、それ以外の非金属ビーズを用いても構わない。金属ビーズに比べて非金属ビーズならば、鉱石粉末の粒子の粉砕を抑制しやすくなるためである。但し、該非金属ビーズが樹脂ビーズであるのが、“鉱石粉末の粒子の粉砕を抑制”“凝集体の解砕”のバランス的に好ましい。詳しく言うと、鉱石粉末に含まれる鉱物(更に言うと凝集体を構成する金属)より柔らかいもしくは同等の硬さを持つ樹脂製ビーズを使用するのが好ましい。
上記の実施形態では浮遊選鉱により得られた鉱石粒子を取り扱った。その一方、鉱石粒子ではなく一般の金属粒子であって凝集体を含むものを処理対象としても構わない。その場合、凝集体が含まれる金属粉末に対し、樹脂粒状物よりも広義である非金属粒状物(例えばガラスやシリコーン)を加えたものをミルで撹拌して該凝集体を解砕する解砕工程を行い、解砕体を作製しても構わない。その場合、金属粉末における金属の種類に応じて上記非金属粒状物の種類を選定すればよい。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
以下、本発明をさらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
(実施例1)
本実施例では、分析対象である粉状鉱石として、銅鉱石を選鉱処理して得られた粉状の銅精鉱を準備して乾燥させた。それから、乾燥させた粉状の銅精鉱0.5ccを、粉状のフェノール樹脂10cc、および樹脂ビーズとして直径が2mmで重さが0.01gのポリエチレン樹脂ビーズ8粒とともにプラスチック容器に添加し、ロッキングミルを用いて50Hzの振動数で5分間撹拌した。続いて、ポリエチレン樹脂ビーズを取り出し、得られた混合物を圧縮成形用金具に充填し、万力を用いて直径20mm、高さ3mm程度の円柱状に圧縮成形しペレット成形体を得た。得られたペレット成形体を、熱間埋込装置(丸本ストルアス社製)内に設置し、約2gのフェノール樹脂をペレット成形体の周囲を覆うように充填した後に、180℃、75barの条件で5分間加温加圧し、直径25mm、高さ6mm程度の円柱状の樹脂包埋試料を得た。得られた樹脂包埋試料をバフ研磨機によって断面研磨を施し、鉱石粒子の断面を露出させて研磨面を作製した。その後、この研磨面に、カーボン蒸着を施した。
作製した樹脂包埋試料を、MLA装置(日本FEI株式会社製)内に設置し、鉱物分析を行い、研磨面の反射電子(BSE:Backscattered Electron)像を得た。図3は、実施例1にかかる樹脂包埋試料の研磨面についての反射電子像を示す画像である。図3によれば、粉状の銅精鉱の鉱石粒子が凝集せずに均一に分散していることが確認された。
また、樹脂ビーズを添加してロッキングミルを用いて撹拌したときの解砕による鉱石粒子の粉砕を把握するため、乾燥させた粉状の銅精鉱を解砕させる前後での粒度の違いを評価した。具体的には、乾燥させた粉状の銅精鉱について解砕前後の粒度をMLA装置の粒度分布計で測定し、それぞれのD80の値を比較した。その結果、図4に示すように、解砕前後でD80の値に大きな変化がないことが確認された。つまり、粉状の銅精鉱を解砕したときに鉱石粒子の粉砕が抑えられ、粒度が変化しないことが確認された。
(比較例1)
比較例1では、粉状の銅精鉱を、ロッキングミルで解砕せずに直接、粉状のフェノール樹脂と混合してから樹脂包埋した以外は実施例1と同様に樹脂包埋試料を作製した。この樹脂包埋試料を実施例1と同様にMLA装置で鉱物分析を行った。図5は、比較例1にかかる樹脂包埋試料の研磨面についての反射電子像を示す画像である。図5によれば、鉱石粒子の凝集体が存在していることが確認された。
以上に説明したように、浮遊選鉱後に乾燥させた粉状鉱石を樹脂ビーズとともにロッキングミルで撹拌することにより、鉱石粒子の粉砕を極力抑えながら、凝集体を解砕し鉱石粒子を微細に分散できることが確認された。
(実施例2)
まず、鉱石粉末Aに対し、ベークライト粉末を加えた。その後、混合器(株式会社セイワ技研社製、型式RM−05)を使用し、混合物に対して撹拌を行い、凝集体の解砕を行った。容器は樹脂製とし、ビーズは樹脂ビーズとした。その際の諸条件は以下の表1に示す(後述の各実施例および各比較例についても同様に示す)。
Figure 0006891715
次に、撹拌後に得られたもの(解砕物)を圧縮成形用金具に詰め込み、万力を用いて直径20mm、高さ3mm程度の円柱状に圧縮成形し、ペレットを作製した。
そして、このペレットを熱間埋込装置に設置した上でフェノール樹脂約2gをさらに加えて封入し、180℃、75barの条件で5分間加温加圧し、直径25mm高さ6mm程度の円柱状の熱硬化性樹脂硬化物(固結片)を得た。
その後、製作した固結片は粗研磨、中間研磨、仕上げ研磨の工程順に研磨を行い、平滑な研磨面を出し25mmφの研磨片を製作した。
そして、このように製作した研磨片を光学顕微鏡で観察し、凝集体の個数を測定した。図6は、実施例2における試料を光学顕微鏡で観察した様子を示す写真である。本例においては、観察により確認された凝集体の個数を、凝集体の解砕度合を表すものとして評価した。
また、ここでの凝集体解砕後の鉱石粉末の平均粒径の評価方法としては、先に述べたMLAを使用して得た粒度分布のD50を平均粒径として採用した。その結果、鉱石粉末Aの平均粒径は27μmであることが分かった。
上記の凝集体の個数および平均粒径を以下の表2に示す(後述の各実施例および各比較例についても同様に示す)。
Figure 0006891715
(実施例3〜4)
実施例3〜4においては、表1に記載の条件で解砕工程を行った。それ以外は実施例1と同様とした。その結果、表2に示す結果が得られた。結果を見る限り、各実施例においては平均粒径はほとんど相違ない。つまり、各実施例においては鉱石粉末Aを構成する各粒子の粉砕はほとんど生じていないことがわかる。そして、その状態でありながらも凝集体の個数を著しく低い値とすることができていることがわかる。
以上の結果、実施例2〜4においては、鉱石粒子の粉砕を抑制しつつも凝集体を解砕可能とすることがわかった。さらに、凝集体を解砕することによって、該当鉱石粉末の粒度分布や単体分離度などをより正確に把握することができることもわかった。
1 粉状鉱石
1a 鉱石粒子
2 固化ペレット
3 外層
10 樹脂包埋試料
10a 研磨面

Claims (12)

  1. 分析対象である粉状鉱石を有する鉱物分析用試料を作製する方法であって、
    浮遊選鉱により得られた複数の鉱石粒子を含む粉状鉱石を乾燥させる乾燥工程と、
    乾燥により前記鉱石粒子が凝集した凝集体を含む乾燥後の前記粉状鉱石に樹脂粒状物を混合し、その混合物をミルで撹拌することにより、前記凝集体を解砕する解砕工程と、
    前記凝集体の解砕により前記鉱石粒子が分散する前記粉状鉱石を熱硬化性樹脂で包埋する樹脂包埋工程と、を有する試料作製方法。
  2. 前記樹脂粒状物は少なくとも樹脂ビーズを含む、請求項1に記載の試料作製方法。
  3. 前記解砕工程では、前記樹脂ビーズとともに前記熱硬化性樹脂の粉末を添加して撹拌する、請求項2に記載の試料作製方法。
  4. 前記樹脂ビーズの比重が0.5g/cm以上2.2g/cm以下である、請求項2又は3に記載の試料作製方法。
  5. 前記樹脂ビーズの平均粒径が2mm以上8mm以下である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の試料作製方法。
  6. 前記樹脂ビーズが、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂およびポリアミド樹脂の少なくとも1つの樹脂から形成される、請求項2〜5のいずれか1項に記載の試料作製方法。
  7. 前記解砕工程では、前記粉状鉱石1cmに対して前記樹脂ビーズを、0.01g以上0.4g以下の範囲で添加する、請求項2〜6のいずれか1項に記載の試料作製方法。
  8. 前記ミルはロッキングミルである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の試料作製方法。
  9. 前記解砕工程では、前記ロッキングミルの振動数を30Hz以上60Hz以下、撹拌時間を2分以上30分以下として撹拌する、請求項8に記載の試料作製方法。
  10. 前記解砕工程では、前記混合物を樹脂製容器に収容して撹拌する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の試料作製方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の作製方法で得られた試料を自動分析装置により分析する分析工程を有する、試料分析方法。
  12. 分析対象である粉状鉱石を有する鉱物分析用試料を作製する方法であって、
    浮遊選鉱により得られた複数の鉱石粒子を含む粉状鉱石を乾燥させる乾燥工程と、
    乾燥により前記鉱石粒子が凝集した凝集体を含む乾燥後の前記粉状鉱石に対して非金属粒状物を加えたものをミルで撹拌して該凝集体を解解砕工程と、
    を有する、試料作製方法。
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