JP7017439B2 - 厚鋼板冷却方法 - Google Patents

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Description

本発明は、厚鋼板冷却方法に関する。
鋼板の製造において、焼き入れ効果等を得るために熱間圧延された厚鋼板を冷却水によって急速に冷却することがある。この際、冷却水は搬送状態の厚鋼板に1又は複数の冷却ヘッダーから散水される。
焼き入れ等により厚鋼板に所望の物性を均質的に付与するためには、厚鋼板を所望の温度まで過不足なく均一に冷却することが望まれる。しかし、厚鋼板表面に散水した冷却水は厚鋼板中央側から外側に向かって厚鋼板の表面を流れるため、厚鋼板の中央と端部とでは冷却水の流速が異なる。そこで、厚鋼板の幅方向に沿って表面の温度分布を予測し、制御装置が、水切りヘッダーの使用の有無や、厚鋼板の搬送方向に対して複数ある水切りヘッダーの位置(以下、単に「搬送方向位置」ともいう)の違い、いわゆる水切りパターンを選択する方法が提案されている(特開2016-159353号公報参照)。
上記従来の厚鋼板冷却方法では、冷却ヘッダーの上流側で厚鋼板の幅方向の温度分布を測定し、冷却開始から終了までの厚鋼板の幅方向表面の温度分布を予測する。この予測結果に基づき制御装置が温度偏差を小さくするよう水切りパターンを選択する。
上記従来の厚鋼板冷却方法では、厚鋼板の幅方向の温度偏差を小さくすることができる。一方、厚鋼板は搬送方向においても冷却時に温度偏差が生じ、特に端部での冷却が早い傾向にあるが、上記従来の厚鋼板冷却方法では、搬送方向の温度偏差は考慮されない。
特開2016-159353号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、厚鋼板の搬送方向の温度偏差を抑制できる厚鋼板冷却方法の提供を目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、熱間圧延後の厚鋼板の搬送方向に列設され、搬送方向と垂直な幅方向に分布を有する水量密度で散水できる複数の冷却ヘッダーと、これらの複数の冷却ヘッダー間、最初の冷却ヘッダーの上流側及び最後の冷却ヘッダーの下流側に配設され、厚鋼板の表面に幅方向に傾斜して噴水できる複数の水切りヘッダーとを備える冷却装置を用い、熱間圧延後の厚鋼板を冷却する方法であって、上記厚鋼板の物性及び上記冷却ヘッダーから散水される冷却水の温度に基づき、上記水切りヘッダーの使用本数及び各水切りヘッダーの上記搬送方向位置の違いにより規定される水切りパターンの変更並びに上記冷却装置に投入される厚鋼板の温度変化に対する冷却終了時の厚鋼板の温度感度を予測する工程と、上記冷却装置に投入される厚鋼板の冷却開始時の温度を厚鋼板の搬送方向に沿って測定する工程と、上記冷却開始温度測定工程で得られる冷却開始時の温度に基づいて冷却終了時の温度を予測する工程と、上記温度感度予測工程で得られる温度感度を用いて、上記冷却終了温度予測工程で得られる温度の搬送方向の偏差が小さくなるよう水切りパターンを選択する工程とを備える。
当該厚鋼板冷却方法では、水切りパターンの変更及び冷却装置に投入される厚鋼板の温度変化に対する冷却終了時の厚鋼板の温度感度を予め予測する。当該厚鋼板冷却方法では、この温度感度予測により冷却開始時の温度に基づいて厚鋼板の冷却終了時の温度を予測し、搬送方向の温度の偏差が小さくなるよう水切りパターンを選択するので、厚鋼板の搬送方向の温度偏差を抑制できる。
上記温度感度予測工程で得られる温度感度が、厚鋼板の温度変化及び水切りヘッダーの水切りパターンの変更に対するルックアップテーブル形式で格納されているとよい。例えば水切りヘッダーの使用本数は離散値であり、水切りパターンの組合せは有限である。また、制御すべき厚鋼板の温度変化の範囲も経験的に既知であることが多い。このような場合においては、水切りパターン選択工程で演算量が少なく、制御値が容易に決定できるルックアップテーブル形式を用いることで、制御効率を高めることができる。
上記温度感度予測工程で温度感度の基準となる水切りパターンを、上記水切りヘッダーを全数使用した場合とすることが好ましい。厚鋼板の冷却では、通常水切りヘッダーを全数使用し、冷却開始時の温度が低下した際に水切りヘッダーの使用本数を低減し、各水切りヘッダーの搬送方向位置を決定する制御が行われる。このため、通常状態である水切りヘッダーを全数使用した場合を基準とすることで、精度の高い制御を行うことができる。
以上説明したように、本発明の厚鋼板冷却方法を用いることで、厚鋼板の搬送方向の温度偏差を抑制できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る厚鋼板冷却方法を示すフロー図である。 図2は、図1の厚鋼板冷却方法で用いる厚鋼板加工設備の構成を示す模式図である。 図3は、図2の厚鋼板冷却装置の構成を示す模式図である。 図4は、図3の厚鋼板冷却装置の冷却ヘッダーの構成を下方から見た状態を示す模式的断面図である。 図5は、図1の温度感度予測工程の詳細な手順を示すフロー図である。 図6は、比較例における厚鋼板の搬送方向の温度偏差を示すグラフである。 図7は、実施例における厚鋼板の搬送方向の温度偏差を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について適宜図面を参照しつつ詳説する。
当該厚鋼板冷却方法は、図1に示すように温度感度予測工程S1と、冷却開始温度測定工程S2と、冷却終了温度予測工程S3と、水切りパターン選択工程S4とを備える。
[厚鋼板冷却装置]
まず、当該厚鋼板冷却方法で用いる厚鋼板加工設備及び厚鋼板冷却装置について、適宜図面を参照しつつ説明する。
<厚鋼板加工設備>
図2の厚鋼板加工設備は、原料厚鋼板(スラブ)Pを加熱する加熱炉1と、加熱された原料厚鋼板Pを熱間圧延する粗圧延機2と、粗圧延機2で圧延された厚鋼板Pをさらに熱間圧延する仕上圧延機3と、仕上圧延機3で熱間圧延された厚鋼板Pを冷却する厚鋼板冷却装置4と、冷却された厚鋼板Pの歪みを矯正し平坦化するレベラー5とを備える。
加熱炉1、粗圧延機2、仕上圧延機3及びレベラー5については、それぞれ公知の構成とすることができるので、詳細な説明は省略する。
<厚鋼板冷却装置>
厚鋼板冷却装置4は、熱間圧延後の厚鋼板Pを搬送しつつ厚鋼板Pの表面(上面)及び裏面(下面)に冷却水を散水することにより厚鋼板Pを冷却するものであって、加速冷却装置とも呼ばれる。この厚鋼板冷却装置4において、厚鋼板Pの冷却は、予め設定される冷却終了温度まで急速に冷却される。冷却終了温度としては、目的とする製品(厚鋼板Pの用途)に応じて定められるが、例えば200℃以上650℃以下とされる。
厚鋼板冷却装置4は、図3に示すように、搬送装置10、温度測定装置20、複数の表面冷却ヘッダー30、複数の水切りヘッダー40、複数の裏面冷却ヘッダー50及び制御装置60を備える。
(搬送装置)
搬送装置10は、厚鋼板Pを搬送する。この搬送装置10は、例えば図3に例示するように、複数のローラー11によって構成されるローラーコンベアーとすることができる。
(温度測定装置)
温度測定装置20は、搬送装置10により搬送される厚鋼板Pの温度を測定する。この温度測定装置20は、表面冷却ヘッダー30の上流側で厚鋼板Pの温度を測定できるものであればよく、例えば放射温度計を用いることができる。
温度測定装置20が測定する厚鋼板P表面の測定位置としては、特に限定されないが、厚鋼板Pの幅方向の中央部が好ましく、例えば厚鋼板Pの中心軸から幅方向の距離が厚鋼板Pの全幅の10%以内の位置とすることが好ましい。
(表面冷却ヘッダー)
表面冷却ヘッダー30は、熱間圧延後の厚鋼板Pの搬送方向に列設され、それぞれ搬送方向と垂直な幅方向に分布を有する水量密度で厚鋼板Pの表面に冷却水を散水できるよう構成される。
表面冷却ヘッダー30は、図4に示すように、厚鋼板Pの幅方向(図中左右方向)に長い直方体状であり、底面に開口する複数の吐出口31と、内部空間を幅方向に3つに区分する2枚の隔壁32とを備える。これにより、表面冷却ヘッダー30の内部空間は、2枚の隔壁32の内側の中央領域33と2枚の隔壁32の外側の2つの端部領域34とに区分される。また、2枚の隔壁32は内部空間の中心軸に対して対称、かつ幅方向に対して傾斜し、中央領域33が搬送方向上流側に向けて広がるように配設されている。この表面冷却ヘッダー30に対して、厚鋼板Pは、図中の矢印D方向に搬送される。
また、表面冷却ヘッダー30は、中央領域33に冷却水を供給する中央給水流路35及び2つの端部領域34に冷却水をそれぞれ給水する一対の端部給水流路36を有する。中央給水流路35には、主調整弁37を介して冷却水が供給される。一方、端部給水流路36には、中央給水流路35から分岐する分岐流路38に設けた分岐調整弁39を介して、中央給水流路35から冷却水が供給されるようになっている。
(水切りヘッダー)
水切りヘッダー40は、複数の表面冷却ヘッダー30の間、最初の表面冷却ヘッダー30の上流側及び最後の表面冷却ヘッダー30の下流側にそれぞれ配設され、厚鋼板Pの表面に幅方向に傾斜して噴水することにより、厚鋼板Pの表面に滞留する冷却水を幅方向に押し流して除去する。
水切りヘッダー40の具体的な構成としては、厚鋼板Pの幅方向略中央の上方に配設され、幅方向一方側に傾斜して厚鋼板Pの表面に冷却水を噴射する第1のノズルと、この第1のノズルの搬送方向後方に並んで配設され、幅方向他方側に傾斜して厚鋼板Pの表面に冷却水を噴射する第2のノズルとを備える構成とすることができる。
(裏面冷却ヘッダー)
裏面冷却ヘッダー50は、図3に示すように厚鋼板Pを挟んで表面冷却ヘッダー30に対向するよう配設され、厚鋼板Pの裏面に均等な水量密度で冷却水を散水する。
裏面冷却ヘッダー50は、厚鋼板Pの裏面に一様に冷却水を散水する多数のノズルにより構成される。この裏面冷却ヘッダー50による散水量は、位置にかかわらず一定とされる。
(制御装置)
制御装置60は、厚鋼板冷却装置4の動作を制御する。具体的には、制御装置60は、温度測定装置20により測定される厚鋼板Pの冷却開始時の温度(以下、単に「冷却開始温度」ともいう)に基づいて冷却終了時の温度(以下、単に「冷却終了温度」ともいう)を予測し、搬送方向の温度分布の偏差が小さくなるよう水切りパターンを選択する。
制御装置60は、例えばマイクロコンピューターを有するパーソナルコンピューター、プログラマブルロジックコントローラー等からなり、例えばプログラムモジュール又はパートプログラムを含む制御プログラムに従って、温度予測処理及び水切りパターン選択処理を実行する。
[厚鋼板冷却方法]
以下、厚鋼板冷却方法の各工程について説明する。
<温度感度予測工程>
温度感度予測工程S1では、厚鋼板Pの物性及び表面冷却ヘッダー30と裏面冷却ヘッダー50とから散水される冷却水の温度に基づき、水切りパターンの変更並びに厚鋼板冷却装置4に投入される厚鋼板Pの温度変化に対する冷却終了時の厚鋼板Pの温度感度を予測する。温度感度予測工程S1は、例えば図5に示すように初期条件設定工程S11、初期温度予測工程S12と、温度感度算出工程S13とを備える。
この温度感度予測工程S1は、厚鋼板冷却装置4の制御装置60を用いて行ってもよいが、制御装置60とは別のマイクロコンピューター等により行ってもよい。以下、厚鋼板冷却装置4の制御装置60を用いて行う場合を例に説明する。
(初期条件設定工程)
初期条件設定工程S11では、厚鋼板Pの想定される冷却開始温度、目標とする冷却終了温度、目標とする冷却速度、冷却水の水温、厚鋼板Pの板厚、幅方向の長さ、比熱、熱伝導率、変態発熱量等の物性、搬送装置10の搬送速度などの初期条件が設定される。
このような初期条件は、例えばハードディスクドライブやメモリー等の記憶装置から読み込むことや、外部の制御装置との通信によって制御装置60に設定することができる。
(初期温度予測工程)
初期温度予測工程S12では、初期条件設定工程S11で設定した初期条件に基づき、厚鋼板Pの温度感度の基準とする水切りパターンに対して、冷却開始から終了までの厚鋼板Pの温度予測計算を行う。
上記温度感度の基準としては、水切りヘッダー40を全数使用した場合とすることが好ましい。厚鋼板Pの冷却では、通常は水切りヘッダー40を全数使用し、冷却開始温度が低下した際に水切りヘッダー40の使用本数を低減し、各水切りヘッダー40の搬送方向位置を決定する制御が行われる。このため、通常状態である水切りヘッダー40を全数使用した場合を基準とすることで、精度の高い制御を行うことができる。
温度予測は、初期条件設定工程S11で設定された初期条件から決まる熱伝達係数を用いて公知の一次元熱伝導方程式を解くことで行える。なお、温度予測を行う厚鋼板Pの幅方向の位置は、温度測定装置20により温度測定を行う位置とされる。この温度予測は、制御装置60に予め組み込まれたプログラムを実行することにより実行できる。
(温度感度算出工程)
温度感度算出工程S13では、初期温度予測工程S12における冷却開始温度及び水切りパターンを変えて厚鋼板Pの冷却終了温度を算出し、この冷却終了温度の、初期温度予測工程S12で予測した冷却開始温度及び水切りパターンに対する冷却終了温度に対する差(温度感度)を算出する。
冷却開始温度を変化させる際の温度設定としては、初期温度予測工程S12の冷却開始温度に加えて、これより高い温度と低い温度とで各1点ずつ合計3点とすることが好ましい。高温側と低温側との温度設定を設けることで、水切りパターン選択工程S3で精度よく水切りパターンを選択することができるようになる。上記温度設定を高い温度側と低い温度側とでそれぞれ2点以上とすることもできるが、精度向上効果に対して計算量が増大し過ぎるおそれがある。
また、初期温度予測工程S12の冷却開始温度と温度感度算出工程S13で設定する温度との最大差としては、30℃以上100℃以下が好ましい。上記最大差が上記下限未満であると、算出される感度の計算誤差が大きくなり過ぎるおそれがある。逆に、上記最大差が上記上限を超えると、算出した感度に、初期温度予測工程S12の冷却開始温度近傍の感度が反映されず、水切りパターン選択工程S3で適切な水切りパターンを選択できないおそれがある。
水切りパターンは、水切りヘッダー40の使用本数及び各水切りヘッダー40の搬送方向位置の違いにより規定される。なお、「各水切りヘッダー40の搬送方向位置の違い」とは、例えば図3の厚鋼板冷却装置4(水切りヘッダー40の総数は5本)で、4本の水切りヘッダー40を使用する場合、使用しない水切りヘッダー40の位置により5つの異なる水切りパターンが存在するが、この使用しないあるいは使用する水切りヘッダー40の位置の違いを指す。従って、水切りヘッダー40の使用本数が全数である場合は、各水切りヘッダー40の搬送方向位置の違いは生じない。同様に水切りヘッダー40の使用本数が0である場合も、各水切りヘッダー40の搬送方向位置の違いは生じないが、通常水切りヘッダー40が全く使用されないことはない。
水切りパターンを変更する際の水切りパターンの選択は、厚鋼板Pが厚鋼板冷却装置4に装入された時に適用される水切りパターンを含む限り特に限定されないが、少なくとも水切りヘッダー40の使用本数を変更することが好ましい。また、水切りヘッダー40の使用本数は、2本以上全数以下とすることが好ましい。使用本数が2本未満であると、厚鋼板Pを安定して冷却できないおそれがある。
また、水切りパターンの選択には、初期温度予測工程S12で基準とした水切りパターンを含めることが好ましい。このように水切りパターンの選択に基準の水切りパターンを含めることで、温度のみを変化させた場合の感度が算出される。これにより水切りパターン選択工程S3で適切な水切りパターンを選択し易くすることができる。
水切りヘッダー40の使用本数が全数ではない場合、同じ水切りヘッダー40の使用本数に対して各水切りヘッダー40の搬送方向位置が違う水切りパターンが存在する。この場合、考えられる全ての組合せを選択してもよいが、その一部の組合せを選択してもよく、水切りヘッダー40の使用本数に応じて1パターンのみを選択してもよい。水切りヘッダー40の使用本数が2以上であり、かつ一部の組合せを選択する場合、厚鋼板Pの冷却安定性から、少なくとも最初の表面冷却ヘッダー30の上流側及び最後の表面冷却ヘッダー30の下流側に配設される水切りヘッダー40は使用されることが好ましい。また、使用しない水切りヘッダー40としては、下流側に位置するものが選択されることが好ましい。当該厚鋼板冷却方法では、冷却開始時の温度に基づいて冷却終了時の温度を予測して水切りパターンの制御を行うため、温度測定から実際に制御が行われるまでに、一定の遅延が生じる。このため、温度測定された厚鋼板Pの測定部分が到達するまでに一定の時間を要する下流側の水切りヘッダー40の使用、不使用を切り換えることで、この制御遅延を吸収でき、より最適な温度制御を行うことができる。
図3の厚鋼板冷却装置4を用い、水切りヘッダー40を全数使用した場合を基準とする際の具体的な水切りパターンの選択例を表1に示す。表1で、No.1~5は、水切りヘッダー40の位置を示し、数字が小さいほど上流側に位置することを意味する。また、表中の「黒丸」は、該当する水切りヘッダー40を使用することを意味し、「白丸」は、該当する水切りヘッダー40を使用しないことを意味する。この例では、使用本数を2~5本とし、各使用本数に対して各水切りヘッダー40の搬送方向位置を1つ選択している。また、基準である水切りパターンを含めている。
Figure 0007017439000001
初期温度予測工程S12の冷却開始温度及び水切りパターンを変えた場合の冷却終了温度は、初期温度予測工程S12と同様にして算出することができる。
感度の算出数は、最大で冷却開始温度の温度設定の数と、水切りパターンのパターン設定の数との積となり得るが、必要に応じて算出を省略してもよい。例えば、温度設定として初期温度予測工程S12の冷却開始温度、水切りパターンとして基準の水切りパターンを含む場合、この組合せは初期温度予測工程S12と同条件であるので、算出を省略できる。
一例として、温度設定を-50℃、0℃、+50℃の3通りとし、水切りパターンを表1の4通りとして感度を算出した例を表2に示す。表2で、温度設定が0℃、水切りパターンが基準である欄の「-」は、初期温度予測工程S12と同条件であり0となることが分かっているので、算出を省略したことを意味する。
Figure 0007017439000002
上述の温度感度予測工程S1では、このように温度感度が、厚鋼板Pの温度変化及び水切りヘッダー40の水切りパターンの変更に対するルックアップテーブル形式で得ることができる。制御装置60は、このルックアップテーブル形式のままで温度感度のデータを格納するとよい。このようにルックアップテーブル形式で格納することで、水切りパターン選択工程S3での演算量が少なく、制御値が容易に決定できるルックアップテーブル形式を用いることで、制御効率を高めることができる。
<冷却開始温度測定工程>
冷却開始温度測定工程S2では、厚鋼板冷却装置4に投入される厚鋼板Pの冷却開始時の温度を厚鋼板Pの搬送方向に沿って測定する。
具体的には、厚鋼板冷却装置4の温度測定装置20により厚鋼板Pの表面温度を測定する。温度測定装置20は、表面冷却ヘッダー30の上流側で厚鋼板Pの温度を測定するので、厚鋼板Pの冷却開始時の温度が測定される。また、厚鋼板Pは、搬送装置10により搬送されていくので、表面冷却ヘッダー30の上流側で温度測定装置20により例えば一定の時間間隔で定点測定することで、厚鋼板Pの搬送方向に沿って温度が測定される。
測定された温度は、制御装置60へ送信される。
<冷却終了温度予測工程>
冷却終了温度予測工程S3では、冷却開始温度測定工程S2で得られる冷却開始時の温度に基づいて厚鋼板Pの冷却終了時の温度を予測する。
この冷却終了時の温度予測は、温度感度予測工程S1の初期条件設定工程S11で制御装置60に設定された初期条件と、冷却開始温度測定工程S2で制御装置60に送信された測定温度に基づき、温度感度予測工程S1の初期温度予測工程S12と同様にして算出することができる。この冷却終了温度予測工程S3は、冷却開始温度測定工程S2で温度測定が行われるごと(例えば一定時間間隔ごと)に行われる。
なお、温度感度予測工程S1を制御装置60とは別のマイクロコンピューター等により行っている場合は、予め制御装置60に初期条件を設定しておく必要があるが、この初期条件設定は、温度感度予測工程S1の初期条件設定工程S11を制御装置60に対して行えばよい。
<水切りパターン選択工程>
水切りパターン選択工程S4では、温度感度予測工程S1で得られる温度感度を用いて、冷却終了温度予測工程S3で得られる温度の搬送方向の偏差が小さくなるよう水切りパターンを選択する。
例えば、表2の温度感度を用い、温度感度予測工程S1の初期温度予測工程S12で得られる冷却終了温度(目標冷却終了温度)に対する偏差を小さくするためには、表2を用いて、冷却終了温度予測工程S3で得られる目標冷却終了温度に近くなるように、水切りパターンを適宜選択することで、搬送方向の偏差を小さくできる。
この水切りパターンの選択は、冷却開始温度測定工程S2で温度測定装置20により厚鋼板Pの冷却開始時の温度が測定され、冷却終了温度予測工程S3で厚鋼板Pの冷却終了時の温度が予測されるごとに、逐次行われる。
<利点>
当該厚鋼板冷却方法では、水切りパターンの変更及び厚鋼板冷却装置4に投入される厚鋼板Pの温度変化に対する冷却終了時の厚鋼板Pの温度感度を予め予測する。当該厚鋼板冷却方法では、この温度感度予測により冷却開始時の温度に基づいて厚鋼板Pの冷却終了時の温度を予測し、搬送方向の温度の偏差が小さくなるよう水切りパターンを選択するので、厚鋼板Pの搬送方向の温度偏差を抑制できる。
[その他の実施形態]
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、温度感度予測工程S1で一次元熱伝導方程式を解くことで温度感度予測する方法を説明したが、他の方法で温度感度を予測してもよい。例えば、各水切りパターンでの過去の実績に基づいて決定してもよい。あるいは、過去に一次元熱伝導方程式等により温度感度を予測済みである場合、その温度感度を制御装置により読み込み参照してもよい。
また、温度感度の格納形式は、ルックアップテーブル形式に限定されず、例えば水切りパターンごとに厚鋼板の温度変化に対する近似式を格納してもよい。
当該厚鋼板冷却方法を用いることができる厚鋼板加工設備及び厚鋼板冷却装置は、上記実施形態に限定されない。例えば厚鋼板加工設備は、上述以外に他の装置を有してもよい。他の装置としては、粗圧延機の上流側に設けられるバーティカルエッジャー、厚鋼板冷却装置の上流側にさら設けられるレベラー等が挙げられる。例えば、厚鋼板冷却装置の表面冷却ヘッダーは、どのような構造であってもよい。また、表面冷却ヘッダーの数は、4つに限らず、1つでもよく、2つ、3つ又は5つ以上であってもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[比較例]
図3に示す厚鋼板冷却装置を用い、厚鋼板を冷却し、冷却後の搬送方向の温度偏差を測定した。なお、厚鋼板には、板厚20mm、板幅3000mmのものを用い、搬送速度は0.67m/秒とし、冷却開始温度を800℃、冷却終了温度を500℃とした。また、厚鋼板冷却装置としては、表面冷却ヘッダーの搬送方向の間隔が3mであるものを使用した。
厚鋼板冷却装置の単位冷却バンクあたりの合計水量は、851m/hとし、水切りパターンには、表1の基準パターンを用いた。つまり、この比較例では水切りパターンの選択は行っていない。厚鋼板の搬送方向の温度偏差を図6に示す。
[実施例]
本発明の厚鋼板冷却方法を用いて水切りパターンの選択を行った以外は、比較例と同様にして厚鋼板の冷却を行った。水切りパターンには、表1に示す水切りパターンを用いた。また、温度感度は表2に示すルックアップテーブル形式のものを用いた。厚鋼板の搬送方向の温度偏差を図7に示す。
[結果]
図6及び図7の結果から、水切りパターンの選択を行っていない比較例では、厚鋼板の搬送方向後方で、冷却終了温度が低下し温度偏差が大きくなっているのに対し、当該厚鋼板冷却方法を用いて水切りパターンの選択を行った実施例では、冷却終了温度の温度偏差が低く保たれていることが分かる。
以上説明したように、本発明の厚鋼板冷却方法を用いることで、厚鋼板の搬送方向の温度偏差を抑制できる。
1 加熱炉
2 粗圧延機
3 仕上圧延機
4 厚鋼板冷却装置
5 レベラー
10 搬送装置
11 ローラー
20 温度測定装置
30 表面冷却ヘッダー
31 吐出口
32 隔壁
33 中央領域
34 端部領域
35 中央給水流路
36 端部給水流路
37 主調整弁
38 分岐流路
39 分岐調整弁
40 水切りヘッダー
50 裏面冷却ヘッダー
60 制御装置
P 厚鋼板

Claims (3)

  1. 熱間圧延後の厚鋼板の搬送方向に列設され、搬送方向と垂直な幅方向に分布を有する水量密度で散水できる複数の冷却ヘッダーと、これらの複数の冷却ヘッダー間、最初の冷却ヘッダーの上流側及び最後の冷却ヘッダーの下流側に配設され、厚鋼板の表面に幅方向に傾斜して噴水できる複数の水切りヘッダーとを備える冷却装置を用い、熱間圧延後の厚鋼板を冷却する方法であって、
    上記厚鋼板の物性及び上記冷却ヘッダーから散水される冷却水の温度に基づき、上記水切りヘッダーの使用本数及び各水切りヘッダーの上記搬送方向位置の違いにより規定される水切りパターンの変更並びに上記冷却装置に投入される厚鋼板の温度変化に対する冷却終了時の厚鋼板の温度感度を予測する工程と、
    上記冷却装置に投入される厚鋼板の冷却開始時の温度を厚鋼板の搬送方向に沿って測定する工程と、
    上記冷却開始温度測定工程で得られる冷却開始時の温度に基づいて冷却終了時の温度を予測する工程と、
    上記温度感度予測工程で得られる温度感度を用いて、上記冷却終了温度予測工程で得られる温度の搬送方向の偏差が小さくなるよう水切りパターンを選択する工程と
    を備え、
    上記温度感度予測工程が、
    上記厚鋼板の想定される冷却開始温度、目標とする冷却終了温度、目標とする冷却速度、上記冷却水の水温、上記厚鋼板の物性、及び上記厚鋼板の搬送速度を含む初期条件を設定する初期条件設定工程と、
    上記初期条件設定工程で設定した初期条件に基づき、上記厚鋼板の温度感度の基準とする水切りパターンに対して、冷却開始から終了までの上記厚鋼板の温度予測計算を行う初期温度予測工程と
    上記初期温度予測工程における冷却開始温度及び水切りパターンを変えて上記厚鋼板の冷却終了温度を算出し、この冷却終了温度の上記初期温度予測工程で予測した冷却開始温度及び水切りパターンに対する冷却終了温度に対する差である温度感度を算出する温度感度算出工程と
    を備える厚鋼板冷却方法。
  2. 上記温度感度予測工程で得られる温度感度が、厚鋼板の温度変化及び水切りヘッダーの水切りパターンの変更に対するルックアップテーブル形式で格納されている請求項1に記載の厚鋼板冷却方法。
  3. 上記温度感度予測工程で温度感度の基準となる水切りパターンを、上記水切りヘッダーを全数使用した場合とする請求項1又は請求項2に記載の厚鋼板冷却方法。
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