JP6275525B2 - 厚鋼板の冷却方法及び厚鋼板の製造方法並びに厚鋼板冷却装置 - Google Patents

厚鋼板の冷却方法及び厚鋼板の製造方法並びに厚鋼板冷却装置 Download PDF

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本発明は、厚鋼板の冷却方法及び厚鋼板の製造方法並びに厚鋼板冷却装置に関する。
厚鋼板の製造において、焼き入れ効果等を得るために熱間圧延された厚鋼板を冷却水によって急速に冷却することがある。このような処理を行うための装置として、搬送状態の厚鋼板に1又は複数の冷却ヘッダーから冷却水を散水するよう構成された厚鋼板冷却装置が知られている。
焼き入れ等により厚鋼板に所望の物性を均質的に付与するためには、厚鋼板を所望の温度まで過不足なく均一に冷却することが望まれる。しかし、厚鋼板表面に散水した冷却水は厚鋼板中央側から外側に向かって厚鋼板の表面を流れるため、厚鋼板の中央と端部とでは冷却水の流速が異なる。そこで、厚鋼板の搬送方向に対する横断方向の位置毎に冷却ヘッダーが散水する冷却水の水量密度を調整することが提案されている(特開2011−167754号公報参照)。
具体的には、冷却ヘッダーの上流側において厚鋼板の横断方向の温度分布を測定し、冷却水の水量密度をパラメータとして冷却後の厚鋼板の温度分布を予測し、予測温度分布における偏差が小さくなるよう冷却ヘッダーの水量密度分布を調整する。
上記公報に記載の方法では、厚鋼板表面の冷却水の流速を横断方向の位置の2次関数としてモデル化して計算する。しかしながら、実際には、厚鋼板表面に供給された冷却水は、厚鋼板表面に滞留し、その位置により異なる高さを有する水膜を形成する。上記公報に記載の方法では、厚鋼板表面での冷却水の滞留の影響を考慮していないため、冷却水散水後の厚鋼板の温度分布の予測に誤差が生じ、冷却水散水後の厚鋼板の温度偏差が大きくなる場合がある。
特開2011−167754号公報
上記不都合に鑑みて、本発明は、冷却水散水後の厚鋼板の温度偏差を抑制できる厚鋼板の冷却方法及び厚鋼板の製造方法並びに厚鋼板冷却装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、熱間圧延後の厚鋼板を搬送しつつ、上記厚鋼板の搬送方向に対する横断方向に分布を有する水量密度で1又は複数の冷却ヘッダーから上記厚鋼板の表面に冷却水を散水する厚鋼板の冷却方法であって、上記冷却ヘッダーの上流側で厚鋼板の横断方向の温度分布を測定する工程と、測定した温度分布及び冷却ヘッダーの水量密度分布に基づいて冷却水散水後の厚鋼板の温度分布を予測する工程と、予測した冷却水散水後の厚鋼板の温度偏差を小さくするよう上記横断方向の水量密度分布を調整する工程とを備え、上記冷却水散水後の温度分布を予測する工程が、上記水量密度分布及び厚鋼板の横断方向の長さを考慮して厚鋼板の表面に形成される水膜高さの横断方向の分布を算出する工程と、この水膜高さの分布を用いて熱伝達係数の分布を算出する工程と、上記温度分布の測定値及び熱伝達係数の分布に基づいて厚鋼板の冷却水散水後の予測温度分布を導出する工程とを有することを特徴とする。
当該厚鋼板の冷却方法では、厚鋼板の表面に形成される水膜高さの横断方向の分布を算出し、この水膜高さの分布を用いて熱伝達係数の分布を算出するので、横断方向に散水された後に厚鋼板表面での冷却水の滞留を考慮して冷却水散水後の厚鋼板の温度分布を予測できる。これにより、当該厚鋼板の冷却方法は、冷却水散水後の厚鋼板の温度分布の予測精度を高め、冷却水散水後の厚鋼板の温度偏差を効果的に抑制できる。
上記厚鋼板表面における中心軸を基準とする横断方向の位置x[mm]での水膜高さh(x)[mm]が、限界水膜高さhcr[mm]と、上記水量密度分布及び厚鋼板の横断方向の長さに応じて定められる係数f、f及びfとを用い、下記式(1)により算出されるとよい。このように、水量密度分布及び厚鋼板の横断方向の長さに応じてあらかじめ算出される係数f、f及びfを用いて水膜高さh(x)を位置xの比較的簡素な関数として導出することにより、演算負荷を過大とせずに、厚鋼板1枚毎の温度分布に応じて厚鋼板を均等に冷却できるよう冷却水の水量密度分布を最適化できる。
h(x)=hcr+f・(1−f・x)0.5−f・(1−f・x) ・・・(1)
上記厚鋼板表面における中心軸を基準とする横断方向の位置x[mm]での熱伝達係数α(x)[W/(m・K)]が、位置xでの水膜高さh(x)[mm]と、横断方向中心での水膜高さh[mm]及び横断方向中心での熱伝達係数α[W/(m・K)]と、横断方向中心での水量密度に応じて定められる補正係数εとを用い、下記式(2)により算出されるとよい。このように、横断方向中心での熱伝達係数αを基準として各位置xでの熱伝達係数α(x)を算出することで、演算負荷が過大とならず、厚鋼板1枚毎の温度分布に応じて厚鋼板を均等に冷却できるよう冷却水の水量密度分布を最適化することができる。
α(x)={h(x)/hε・α ・・・(2)
上記冷却ヘッダーが、上記横断方向に長い直方体状であり、底面に開口する複数の吐出口と、内部空間を横断方向に3つに区分する2枚の隔壁とを備え、上記2枚の隔壁が横断方向に対称、かつ横断方向に対して傾斜して配設されるとよい。このように、冷却ヘッダーが搬送方向から見て部分的に重なり合う3つの内部空間を有することにより、中央の内部空間への冷却水の供給量によって横断方向中央における水量密度を決定し、両端の内部空間への冷却水の供給量によって横断方向中央における水量密度を決定し、これらの間で連続的に水量密度が変化する水量密度分布を形成できる。従って、このような冷却ヘッダーを使用することで、水量密度分布を容易に調整できる。
また、上記課題を解決するためになされた別の発明は、厚鋼板を熱間圧延する工程と、圧延した厚鋼板を上記厚鋼板の冷却方法により冷却する工程とを備える厚鋼板の製造方法である。
当該厚鋼板の製造方法によれば、厚鋼板の表面に形成される冷却水の水膜高さ分布を用いて熱伝達係数の分布を算出することによって冷却水散水後の厚鋼板の温度分布を精度よく予測できる。その結果、当該厚鋼板の製造方法は、冷却水散水後の厚鋼板の温度偏差を効果的に抑制でき、均質で所望の物性を有する厚鋼板を容易かつ確実に製造できる。
さらに、上記課題を解決するためになされた別の発明は、厚鋼板を搬送する搬送装置と、この搬送装置の搬送方向に対する横断方向に分布を有する水量密度で上記厚鋼板の表面に冷却水を散水する1又は複数の冷却ヘッダーとを備える厚鋼板冷却装置であって、上記冷却ヘッダーの上流側で厚鋼板の横断方向の温度分布を測定する温度測定装置と、上記温度測定装置の測定結果に基づいて上記冷却ヘッダーの水量密度分布を決定する制御装置とをさらに備え、上記制御装置が、上記水量密度分布及び厚鋼板の横断方向の長さを考慮して厚鋼板の表面に形成される水膜高さの分布を算出する制御要素と、この水膜高さの分布を用いて熱伝達係数の分布を算出する制御要素と、上記温度分布の測定値及び熱伝達係数分布に基づいて厚鋼板の冷却水散水後の予測温度分布を導出する制御要素と、予測した冷却水散水後の厚鋼板の温度偏差を小さくするよう上記横断方向の水量密度分布を調整する制御要素とを有することを特徴とする。
当該厚鋼板冷却装置では、厚鋼板表面に形成される冷却水の水膜高さ分布を用いて熱伝達係数の分布を算出するので、冷却水散水後の厚鋼板の温度分布を精度よく予測でき、冷却水散水後の厚鋼板の温度偏差を効果的に抑制できる。
当該厚鋼板の冷却方法は、水膜高さ分布を用いた熱伝達係数の分布に基づいて冷却水の水量密度分布をより適切なものとすることができ、冷却水散水後の厚鋼板の温度偏差を効果的に抑制できる。
本発明の一実施形態の厚鋼板製造方法に係る製造設備の構成を示す模式図である。 図1の製造設備に係る厚鋼板冷却装置の構成を示す模式図である。 (a)は図2の厚鋼板冷却装置の冷却ヘッダーの構成を示す模式図であり、(b)は冷却ヘッダーの水量密度分布を示す図である。 図3の厚鋼板冷却装置の水量密度分布決定処理の手順を示す流れ図である。 冷却前の厚鋼板の温度分布を例示するグラフである。 図4の温度分布予測工程の詳細な手順を示す流れ図である。 水膜高さ分布を例示する図である。 水膜高さと熱伝達係数との関係の水量密度による変化を示すグラフである。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
[厚鋼板製造設備]
図1の厚鋼板製造設備は、原料厚鋼板(スラブ)Pを加熱する加熱炉1と、加熱された原料厚鋼板Pを熱間圧延する粗圧延機2と、粗圧延機2で圧延された厚鋼板Pをさらに熱間圧延する仕上圧延機3と、仕上圧延機3で熱間圧延された厚鋼板Pを冷却する厚鋼板冷却装置4と、冷却された厚鋼板Pを矯正するレベラー5とを備える。
<厚鋼板冷却装置>
厚鋼板冷却装置4は、熱間圧延後の厚鋼板Pを搬送しつつ厚鋼板Pの表面及び裏面に冷却水を散水することにより厚鋼板Pを冷却するものであって、加速冷却装置とも呼ばれる。この厚鋼板冷却装置4において、厚鋼板Pは、目的とする製品に応じて定められるが、
例えば200℃以上650℃以下の冷却停止温度まで急速に冷却される。
当該厚鋼板冷却装置4は、図2に示すように、厚鋼板Pを搬送する搬送装置10と、この搬送装置10により搬送される厚鋼板Pの搬送方向に対する横断方向の温度分布を測定する温度測定装置20と、横断方向に分布を有する水量密度で厚鋼板Pの表面に冷却水を散水する3つの表面冷却ヘッダー30と、厚鋼板Pの裏面に一定の水量密度で冷却水を散水する3つの裏面冷却ヘッダー40と、温度測定装置20の測定結果に基づいて表面冷却ヘッダー30の水量密度分布を制御する制御装置50とを備える。
(搬送装置)
搬送装置10は、例えば図2に例示するように、複数のローラー11によって構成されるローラーコンベアーとすることができる。
(温度測定装置)
温度測定装置20としては、表面冷却ヘッダー30の上流側で厚鋼板Pの横断方向の温度分布を測定できるものであればよく、例えば放射温度計を用いることができる。
(表面冷却ヘッダー)
表面冷却ヘッダー30は、図3(a)に示すように、厚鋼板Pの横断方向(図中左右方向)に長い直方体状であり、底面に開口する複数の吐出口31と、内部空間を横断方向に3つに区分する2枚の隔壁32とを備え、2枚の隔壁32が横断方向に対称、かつ横断方向に対して傾斜して配設されている。これにより、表面冷却ヘッダー30の内部空間は、2枚の隔壁32の内側の中央領域33と2枚の隔壁32の外側の2つの端部領域34とに区分される。この表面冷却ヘッダー30に対して、厚鋼板Pは、図中の矢印D方向に搬送される。
また、表面冷却ヘッダー30は、中央領域33に冷却水を供給する中央給水流路35及び2つの端部領域34に冷却水をそれぞれ給水する一対の端部給水流路36を有する。中央給水流路35には、主調整弁37を介して冷却水が供給される。一方、端部給水流路36には、中央給水流路35から分岐する分岐流路38に設けた分岐調整弁39を介して、中央給水流路35から冷却水が供給されるようになっている。
このように構成された表面冷却ヘッダー30は、厚鋼板Pの中心軸を基準とする横断方向の位置x[mm]における水量密度W(x)[L/min/m]が、図3(b)に示すような分布を示す。なお、表面冷却ヘッダー30の隔壁32は横断方向位置x[mm]からx[mm]にかけて配設され、表面冷却ヘッダー30の両端の位置がxとされている。
横断方向中心における水量密度(基準水量密度)W[L/min/m]は、中央給水流路35への給水量によって定められる。また、横断方向両端(x)における水量密度W(x)は、端部給水流路36への給水量によって定められ、基準水量密度Wに対する比をクラウン量Cw[無次元数]として、W(x)=Cw・Wで表わされる。このクラウン量Cwは、分岐調整弁39によって調整することができる。そして、横断方向位置xからxの間において、隔壁32により区分される中央領域33と端部領域34との搬送方向の長さ割合が線形に変化するので、水量密度W(x)は、WからCw・Wまで直線的に変化する。
(裏面冷却ヘッダー)
裏面冷却ヘッダー40は、厚鋼板Pの裏面に一様に冷却水を散水する多数のノズルにより構成され、厚鋼板Pを挟んで各表面冷却ヘッダー30に対向するよう配置されている。この裏面冷却ヘッダー40による散水量は、位置にかかわらず一定とされる。
(制御装置)
制御装置50は、温度測定装置20によって測定された厚鋼板Pの横断方向の温度分布Ti(x)[K]に基づいて、表面冷却ヘッダー30の水量密度分布W(x)、つまり基準水量密度W及びクラウン量Cwを調整弁37及び分岐調整弁39によって調節することにより、表面冷却ヘッダー30の水量密度分布W(x)を決定する処理を行う。
この制御装置50は、水量密度分布決定処理の各制御工程をそれぞれ実行する複数の制御要素を有し、厚鋼板冷却装置4の動作を制御する。なお、上記水量密度分布決定処理の各制御工程については、後で詳しく説明する。制御装置50は、例えばマイクロコンピューターを有し、例えば各制御要素を構成するプログラムモジュール又はパートプログラムを含む制御プログラムに従って水量密度分布決定処理を実行する。
<レベラー>
レベラー5は、厚鋼板冷却装置4により冷却された厚鋼板Pの歪みをローラーによって補正して平坦化する。
<厚鋼板の冷却方法>
これより、上記厚鋼板冷却装置4の動作、つまり上記制御装置50によって行われる本発明の一実施形態に係る厚鋼板の冷却方法について説明する。
厚鋼板冷却装置4の制御装置50は、図4に示す手順に従う水量密度分布決定処理を実行する。この水量密度分布決定処理は、水量密度分布W(x)の初期値を含む初期条件を設定する工程(ステップS01)と、温度測定装置20により厚鋼板Pの温度分布Ti(x)を測定する工程(ステップS02)と、測定した温度分布に基づいて冷却水散水後の厚鋼板Pの横断方向の温度分布を予測する工程(ステップS03)と、予測した冷却水散水後の厚鋼板Pの温度偏差の収束を判定する工程(ステップS04)と、予測した冷却水散水後の厚鋼板Pの温度偏差を小さくするよう横断方向の水量密度分布W(x)を調整する工程(ステップS05)とを備える。
〔初期条件設定工程〕
ステップS01の初期条件設定工程において、制御装置50は、水量密度分布W(x)の初期値及びその他の運転条件を設定する。水量密度分布W(x)の初期値としては、基準水量密度W及びクラウン量Cwが、あらかじめ設定されている値に設定される。また、その他の運転条件としては、厚鋼板Pの板厚、横断方向の長さ、比熱、熱伝導率、変態発熱量等の物性、冷却水の水温、冷却停止温度、搬送装置10の搬送速度などが設定される。このような初期条件は、例えばハードディスクドライブやメモリー等の記憶装置から読み込むことや、外部の制御装置との通信によって設定することができる。
〔温度分布測定工程〕
ステップS02の温度分布測定工程において、制御装置50は、温度測定装置20に厚鋼板Pの横断方向位置xでの表面温度の分布Ti(x)[K]を測定させる。この厚鋼板Pの温度分布Ti(x)は、厚鋼板Pの仕様等に応じて差異があり、同じ仕様の厚鋼板Pであっても、加熱炉1での偏熱、スキッドの影響等により一定ではない。例として、図5に、矩形の厚鋼板を上流側において長辺方向に搬送した場合及び短辺方向に搬送した場合の温度分布Ti(x)の測定例を示す。
〔温度分布予測工程〕
ステップS03の温度分布予測工程は、図6に詳しく示すように、現在設定されている水量密度分布W(x)及び厚鋼板Pの横断方向の長さB[mm]を考慮して厚鋼板Pの表面に形成される水膜高さの横断方向の分布h(x)を算出する工程(ステップS11)と、この水膜高さ分布h(x)を用いて熱伝達係数の分布α(x)[W/(m・K)]を算出する工程(ステップS12)と、上記温度分布Ti(x)の測定値及び熱伝達係数分布α(x)に基づいて厚鋼板Pの冷却水散水後、つまりすべての複数の表面冷却ヘッダー30の下を通過した直後に予測温度分布Te(x)を導出する工程(ステップS13)とを有する。
〈水膜高さ分布算出工程〉
ステップS11の水膜高さ算出工程では、横断方向の位置xでの水膜高さh(x)を、限界水膜高さhcr[mm]と、水量密度分布W(x)及び厚鋼板Pの横断方向の長さB及び厚鋼板冷却装置4固有の特性等に応じて定められる係数f、f及びfとを用い、下記式(1)により算出する。
h(x)=hcr+f・(1−f・x)0.5−f・(1−f・x) ・・・(1)
上記式(1)においては、下記式(11)及び(12)の関係が成り立つ。
cr={(2+C)・qcr /2/g}1/3 ・・・(11)
cr=γ・(B+0.25)0.5/4 ・・・(12)
なお、qcrは限界流量[L/min]、gは重力加速度[m/sec]、γは水量密度、水量クラウン量及びエッジカット量により決定されるノズル群流量[L/min]、Cは定数である。
図7に、厚鋼板Pの横断方向長さB、基準水量密度W及びクラウン量Cwが異なる場合の水膜高さ分布h(x)の算出例を示す。図7には、基準水量密度Wが500L/min/m、厚鋼板Pの横断方向長さBが4000mm、かつクラウン量Cwが100%の場合の水膜高さ分布h(x)を実線で示し、上記条件より水量密度Wのみを1000L/min/mに変更したもの、上記条件より厚鋼板Pの横断方向長さBのみを2000mmに変更したもの、上記条件よりクラウン量Cwのみを80%に変更したものを合わせて示す。
〈熱伝達係数分布算出工程〉
ステップS12の熱伝達係数分布算出工程では、位置xでの熱伝達係数α(x)を、水膜高さh(x)と、横断方向中心での水膜高さ(基準水膜高さ)h[mm]及び横断方向中心での熱伝達係数(基準熱伝達係数)α[W/(m・K)]と基準水量密度Wに応じて定められる補正係数εとを用い、下記式(2)により算出する。
α(x)={h(x)/hε・α ・・・(2)
なお、上記基準熱伝達係数αは、実機又は実機を小型化した模擬試験装置での試験により、次の式(21)によってスケールを補正することにより予め設定される。
α=10^(c+c・logW+c・Ti) ・・・(21)
なお、c、c及びcは定数であり、Tiは、厚鋼板Pの横断方向中心での表面温度[K]である。
模擬試験装置の例としては、冷却ヘッダーとして500個/mの密度で吐出口を有し、この吐出口が厚鋼板の300〜500mm上方に配置され、冷却水の水量を200〜2000L/min/mの間とすることができるものを有する装置を使用することができる。
また、上記補正係数εは、予め上記模擬試験装置での試験により、基準水量密度W毎に設定されるか、基準水量密度Wの関数として設定される。例として、図8に、水膜高さh(x)の基準水膜高hに対する比と、熱伝達係数α(x)の基準熱伝達係数αに対する比との関係を確認した模擬試験の結果を示す。
〈予測温度分布導出工程〉
ステップS13の温度分布導出工程では、上記温度分布Ti(x)及び熱伝達係数分布α(x)を用いて、冷却水散水後の厚鋼板Pの予測される横断方向の温度分布Te(x)を導出する。この予測温度分布Te(x)の導出は、厚鋼板Pの表面における熱伝達を上記熱伝達係数α(x)を用いて計算し、厚鋼板Pの内部における熱伝導を厚さ方向の一次元熱伝導方程式を用いて計算することによって行われる。
〔収束判定工程〕
図4のステップS04の収束判定工程では、ステップS03で予測した温度分布Te(x)の横断方向中心における温度Te(0)との偏差の平均値を算出し、この平均温度偏差の絶対値が所定の閾値以下であるか否かを確認する。ステップS04において平均温度偏差の絶対値が閾値以下である場合、温度偏差が収束したものと判断して、図4の水量密度分布決定処理を終了、つまり現在の水量密度分布W(x)を維持する。一方、ステップS04において平均温度偏差の絶対値が閾値を超える場合、ステップS05に進んで水量密度分布W(x)の調整を行う。
〔水量密度分布調整工程〕
ステップS05の水量密度分布調整工程では、クラウン量Cwを調整する。具体的には、上記平均温度偏差が正の値である場合にはクラウン量Cwを一定量だけ増加し、上記平均温度偏差が負の値である場合にはクラウン量Cwを一定量だけ減少する。
ステップS05において、クラウン量Cwを調整することにより水量密度分布W(x)を変更したときは、ステップS03に戻って変更された水量密度分布W(x)に基づいて再度冷却水散水後の温度分布Te(x)を予測する。
そして、予測温度分布Te(x)における温度偏差が一定の閾値以下に収束するまで上記手順による水量密度分布W(x)の調整が繰り返される。
このようにして、当該厚鋼板冷却装置4は、厚鋼板P毎に、図4の上記水量密度分布決定処理により表面冷却ヘッダー30の水量密度分布W(x)を決定することで、冷却水散水後の厚鋼板Pの温度偏差を抑制して、均一で望ましい冷却を行うことができる。
<利点>
当該厚鋼板の冷却方法を行う当該厚鋼板冷却装置4は、厚鋼板Pの表面に形成される水膜高さの分布h(x)を算出し、この水膜高さ分布h(x)に基づいてより正確に熱伝達係数の分布を算出するため、冷却水を散水した後の厚鋼板Pの温度分布を精度よく予測できる。これにより、当該厚鋼板冷却装置4は、水量密度分布W(x)を適正化して、厚鋼板P全体を所望の冷却停止温度に近づけられる。
従って、当該厚鋼板の冷却方法により厚鋼板を冷却する当該厚鋼板の製造方法は、高品質の厚鋼板を製造することができる。
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらはすべて本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
当該厚鋼板冷却装置において、表面冷却ヘッダーは、横断方向の水量密度分布を調整できるものであれば、どのような構造であってもよい。また、表面冷却ヘッダーの数は、3つに限らず、1つでもよく、2つ又は4つ以上であってもよい。
また、本発明に係る厚鋼板製造設備は、上述以外の装置を有してもよい。例えば、粗圧延機の上流側にバーティカルエッジャーを設けてもよく、厚鋼板冷却装置の上流側にさらなるレベラーを設けてもよい。
当該厚鋼板の冷却方法は、厚鋼板の製造に好適に適用できる。
1 加熱炉
2 粗圧延機
3 仕上圧延機
4 厚鋼板冷却装置
5 レベラー
10 搬送装置
11 ローラー
20 温度測定装置
30 表面冷却ヘッダー
31 吐出口
32 隔壁
33 中央領域
34 端部領域
35 中央給水流路
36 端部給水流路
37 主調整弁
38 分岐流路
39 分岐調整弁
40 裏面冷却ヘッダー
50 制御装置
P 厚鋼板

Claims (4)

  1. 熱間圧延後の厚鋼板を搬送しつつ、上記厚鋼板の搬送方向に対する横断方向に分布を有する水量密度で1又は複数の冷却ヘッダーから上記厚鋼板の表面に冷却水を散水する厚鋼板の冷却方法であって、
    上記冷却ヘッダーの上流側で厚鋼板の横断方向の温度分布を測定する工程と、
    測定した温度分布及び冷却ヘッダーの水量密度分布に基づいて冷却水散水後の厚鋼板の温度分布を予測する工程と、
    予測した冷却水散水後の厚鋼板の温度偏差を小さくするよう上記横断方向の水量密度分布を調整する工程と
    を備え、
    上記冷却水散水後の温度分布を予測する工程が、
    上記水量密度分布及び厚鋼板の横断方向の長さを考慮して厚鋼板の表面に形成される水膜高さの横断方向の分布を算出する工程と、
    この水膜高さの分布を用いて熱伝達係数の分布を算出する工程と、
    上記温度分布の測定値及び熱伝達係数の分布に基づいて厚鋼板の冷却水散水後の予測温度分布を導出する工程と
    を有し、
    上記熱伝達係数分布算出工程において、上記厚鋼板表面における中心軸を基準とする横断方向の位置x[mm]での熱伝達係数α(x)[W/(m ・K)]が、位置xでの水膜高さh(x)[mm]と、横断方向中心での水膜高さh0[mm]及び横断方向中心での熱伝達係数α0[W/(m ・K)]と、横断方向中心での水量密度に応じて定められる補正係数εとを用い、下記式(2)により算出されることを特徴とする厚鋼板の冷却方法。
    α(x)={h(x)/h0}ε・α0 ・・・(2)
  2. 上記冷却ヘッダーが、上記横断方向に長い直方体状であり、
    底面に開口する複数の吐出口と、
    内部空間を横断方向に3つに区分する2枚の隔壁とを備え、
    上記2枚の隔壁が横断方向に対称、かつ横断方向に対して傾斜して配設される請求項1に記載の厚鋼板の冷却方法。
  3. 厚鋼板を熱間圧延する工程と、圧延した厚鋼板を請求項1又は請求項2に記載の厚鋼板の冷却方法により冷却する工程とを備える厚鋼板の製造方法。
  4. 厚鋼板を搬送する搬送装置と、この搬送装置の搬送方向に対する横断方向に分布を有する水量密度で上記厚鋼板の表面に冷却水を散水する1又は複数の冷却ヘッダーとを備える厚鋼板冷却装置であって、
    上記冷却ヘッダーの上流側で厚鋼板の横断方向の温度分布を測定する温度測定装置と、
    上記温度測定装置の測定結果に基づいて上記冷却ヘッダーの水量密度分布を決定する制御装置とをさらに備え、
    上記制御装置が、
    上記水量密度分布及び厚鋼板の横断方向の長さを考慮して厚鋼板の表面に形成される水膜高さの分布を算出する制御要素と、
    この水膜高さの分布を用いて熱伝達係数の分布を算出する制御要素と、
    上記温度分布の測定値及び熱伝達係数分布に基づいて厚鋼板の冷却水散水後の予測温度分布を導出する制御要素と、
    予測した冷却水散水後の厚鋼板の温度偏差を小さくするよう上記横断方向の水量密度分布を調整する制御要素とを有し、
    上記熱伝達係数の分布を算出する制御要素が、上記厚鋼板表面における中心軸を基準とする横断方向の位置x[mm]での熱伝達係数α(x)[W/(m ・K)]を、位置xでの水膜高さh(x)[mm]と、横断方向中心での水膜高さh0[mm]及び横断方向中心での熱伝達係数α0[W/(m ・K)]と、横断方向中心での水量密度に応じて定められる補正係数εとを用い、下記式(2)により算出することを特徴とする厚鋼板冷却装置。
    α(x)={h(x)/h0}ε・α0 ・・・(2)
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