JP7016775B2 - 発光素子及び光源装置 - Google Patents

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Description

本発明は、発光素子及び光源装置に関する。
グラファイト薄膜(例えば単層又は多層のグラフェン)を用いた発光素子が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。このような発光素子では、グラファイト薄膜に電圧が印加されることによって、グラファイト薄膜から赤外光が発せられる。
特開2014-67544号公報 米国特許出願公開第2017/0294629号明細書
特許文献1に記載の構造では、フィラメントとしてグラファイト薄膜が用いられ、外部に対して密閉することで内部を真空状態にした収容部材にグラファイト薄膜が収容されている。このような構造において、グラファイト薄膜に含まれるガスが放出されると、収容部材内の真空度が保たれずに発光効率が低下してしまうおそれがある。特許文献2に記載の構造では、予め溝が形成された基板上にグラファイト薄膜が位置合わせされ、グラファイト薄膜の各縁部が、基板上の金電極に接着されている。このような構造において、グラファイト薄膜のうち溝を架橋している架橋部分が発光部として用いられる場合があり、架橋部分を効率よく加熱することが望まれる。
そこで、本発明の一側面は、グラファイト薄膜からの放出ガスによる影響を低減すると共にグラファイト薄膜の架橋部分を効率よく加熱することができる発光素子及び光源装置を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る発光素子は、第1方向に延びる溝が形成され、第1方向と交差する第2方向において溝を互いに挟むように配置される第1表面及び第2表面を有する基板と、第1表面に設けられる第1電極と、第2表面に設けられる第2電極と、第1電極上及び第2電極上に設けられると共に、第2方向に沿って溝を跨ぐように第1電極から第2電極まで延びるグラファイト薄膜と、第1電極と電気的に接続されると共に、グラファイト薄膜を介して第1電極と対向するようにグラファイト薄膜上に設けられる第3電極と、第2電極と電気的に接続されると共に、グラファイト薄膜を介して第2電極と対向するようにグラファイト薄膜上に設けられる第4電極と、を備える。
本発明の一側面に係る発光素子では、グラファイト薄膜が、基板に形成された溝を跨ぐように、溝を互いに挟む第1表面及び第2表面に第1電極及び第2電極を介して設けられる。また、グラファイト薄膜のうち第1電極及び第2電極と対向する部分が、第3電極及び第4電極によって覆われている。この構成によれば、グラファイト薄膜には、主に第1電極及び第3電極の溝側の一端から第2電極及び第4電極の溝側の一端に向けて電流が流れるので、グラファイト薄膜のうち架橋部分と架橋部分の近傍とに主に電流が流れる。また、グラファイト薄膜を覆う第3電極及び第4電極により、グラファイト薄膜の表面において、グラファイト薄膜に含まれるガスの放出が抑制される。その結果、グラファイト薄膜からの放出ガスによる影響を低減すると共にグラファイト薄膜の発光部分を効率よく加熱することができる。
グラファイト薄膜は、層数が50~2000である多層のグラフェンであってもよい。発光強度を向上させるためには、グラファイト薄膜の層数は多い方がよい。一方、熱応答速度を改善する観点からは、グラファイト薄膜の熱容量を低くするために、グラファイト薄膜の層数は少ない方がよい。グラファイト薄膜の層数を50~2000とすることにより、上記観点において好適な発光素子が得られる。
第1電極の溝側の一端は、第3電極の溝側の一端よりも溝側に位置してもよく、第2電極の溝側の一端は、第4電極の溝側の一端よりも溝側に位置してもよい。この構成によれば、グラファイト薄膜を介した第1電極と第2電極との間の距離が、グラファイト薄膜を介した第3電極と第4電極との間の距離よりも短くなる。これにより、グラファイト薄膜を介して第1電極及び第2電極の間に流れる電流値と、グラファイト薄膜を介して第3電極及び第4電極の間に流れる電流値との大小関係を調整することができる。
第1電極は、少なくとも第1表面と溝との境界線上まで延びてもよく、第2電極は、少なくとも第2表面と溝との境界線上まで延びてもよい。この構成によれば、グラファイト薄膜の架橋部分に主に電流が流れる。その結果、グラファイト薄膜の架橋部分をさらに効率よく加熱することができる。
基板は、シリコンによって構成される基材と、酸化物を含む材料によって構成される酸化物層とを有してもよく、酸化物層は、少なくとも基材と第1電極との間及び基材と第2電極との間に配置されてもよい。この構成によれば、酸化物を含む材料で構成される酸化物層により、基材を介した第1電極と第2電極との間の絶縁を確保することができる。
第3電極及び第4電極のそれぞれは、最表面層と、最表面層及びグラファイト薄膜の間に配置される中間層と、を有してもよく、最表面層の抵抗値は、中間層、第1電極、及び第2電極の抵抗値よりも小さくてもよい。この構成によれば、外部から電流を供給するための接続線を最も接続しやすい第3電極及び第4電極の最表面層に主に電流を流すことができる。
最表面層は、金によって構成されてもよく、中間層は、チタンによって構成される第1層と、白金によって構成される第2層とを含んでもよく、第1層は、グラファイト薄膜上に設けられてもよく、第2層は、第1層及び最表面層の間に配置されてもよい。この構成によれば、第1層がチタンで構成されることでグラファイト薄膜との接触抵抗を小さくすることができる。また、白金によって構成される第2層を介することで、第1層に対する最表面層の接合性を向上させることができる。
第1電極及び第2電極のそれぞれは、チタンによって構成される第3層と、白金によって構成される第4層とを有してもよく、第3層は、基板上に設けられてもよく、第4層は、第3層及びグラファイト薄膜の間に配置されてもよい。例えば、第1電極及び第2電極が形成された状態の基板にグラファイト薄膜を転写することで第1電極上及び第2電極上にグラファイト薄膜が形成される。この構成によれば、チタンで構成される第1層が白金で構成される第2層によって覆われているので、グラファイト薄膜を基板に転写する際に第1電極及び第2電極が酸化することを抑制できる。
本発明の他の側面に係る光源装置は、上述の発光素子と、光透過窓を有し、真空状態に保持された内部空間を形成するパッケージと、を備え、発光素子は、パッケージの内部空間に配置される。
本発明の他の側面に係る光源装置では、上述の発光素子が、真空状態に保持されたパッケージの内部空間に配置される。上述の発光素子の構成によって、グラファイト薄膜から放出されるガスが抑制されるので、放出ガスによって内部空間の真空度が落ちる可能性が低減される。これにより、内部空間の真空度が保たれ、発光効率の低下を抑制することができる。
本発明の一側面によれば、グラファイト薄膜からの放出ガスによる影響を低減すると共にグラファイト薄膜の架橋部分を効率よく加熱することができる。
図1は、一実施形態に係る発光素子を含む光源装置を示す平面図である。 図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。 図3は、図1に示される発光素子の一部を拡大した拡大図である。 図4は、図1に示される発光素子に電流を流したときの温度特性の計測結果を示す図である。 図5の(a)は、図1に示される発光素子の応答特性の計測結果を示す図である。図5の(b)は、比較例の応答特性の計測結果を示す図である。 図6は、図1に示される発光素子の輝度分布の計測結果を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、各図に示される各部材(又は部位)の寸法又は寸法の比率は、説明をわかり易くするために、実際の寸法又は寸法の比率とは異なることがある。図面には必要に応じてXYZ直交座標系が示される。
図1及び図2を参照して、一実施形態に係る光源装置1の構成について説明する。図1は、一実施形態に係る発光素子4を含む光源装置1を示す平面図である。図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。図1においては、後述する光透過窓23の図示を省略している。図1及び図2に示されるように、光源装置1は、真空状態に保持された内部空間Sを形成するパッケージ2と、パッケージ2内に配置されたステム3と、ステム3上に配置された発光素子4と、ベース板5と、ステムピン6と、ボンディングワイヤ7と、スペーサ8と、ハトメ9と、を備えている。発光素子4は、基板41と、グラファイト薄膜42と、電極43(ソース電極43a及びドレイン電極43b)と、を備えている。以降の説明では、光源装置1(発光素子4)で生成された光が鉛直方向の上方に向けて発光するように光源装置1を配置した場合を基準として、「上(上部)」及び「下(下部)」の用語を用いる。従って、光源装置1(発光素子4)の使用状態によっては、「上」の用語で示す部材が、「下」の用語で示す部材に対して鉛直方向における上方に位置するとは限らない。
パッケージ2は、例えば金属からなる円板状のベース部材21と、例えば金属からなる円筒状のキャップ22と、光透過窓23と、を有している。ベース部材21とキャップ22とは、ベース部材21の縁部とキャップ22のベース部材21側において外側に延びるリング状のフランジ部22aとが接触した状態で、気密に接合されている。キャップ22の上端部(フランジ部22aとは反対側の端部)には、内側に延びるリング状のフランジ部22bが形成されている。
光透過窓23は、円板状に形成されている。光透過窓23は、例えばCaF2(フッ化カルシウム)等の赤外光透過率の高い材料によって形成されている。光透過窓23は、キャップ22に固定されている。具体的には、光透過窓23は、キャップ22のフランジ部22bによって形成された開口を塞ぐように、キャップ22のフランジ部22bの上面(外側表面)に気密に接合されている。以上のようにベース部材21、キャップ22、及び光透過窓23が気密に接合されることにより、パッケージ2の内側に、真空状態に保持された内部空間Sが形成されている。ベース部材21の内側表面(内部空間S側の表面)には、ベース部材21よりも一回り小さい円板状の金属からなるベース板5が接合されている。
ステム3は、ベース板5よりも一回り小さい円板状の部材である。ステム3は、例えばセラミックからなる。ステム3、ベース板5、及びベース部材21には、ステムピン6aを挿通させるための貫通孔3a、貫通孔5a、及び貫通孔21aと、ステムピン6bを挿通させるための貫通孔3b、貫通孔5b、及び貫通孔21bとが形成されている。貫通孔3a、貫通孔5a、及び貫通孔21aは、ステム3の厚さ方向(Z軸方向)から見て互いに重なる位置に形成されている。貫通孔3b、貫通孔5b、及び貫通孔21bは、ステム3のZ軸方向から見て互いに重なる位置に形成されている。ステムピン6aを挿通させるための貫通孔(貫通孔3a、貫通孔5a、及び貫通孔21a)とステムピン6bを挿通させるための貫通孔(貫通孔3b、貫通孔5b、及び貫通孔21b)とは、ソース電極43aとドレイン電極43bとが対向する方向(X軸方向)に、互いに対向している。具体的には、Z軸方向から見て、貫通孔3a、貫通孔5a、及び貫通孔21aは、ソース電極43aよりも外側に位置しており、貫通孔3b、貫通孔5b、及び貫通孔21bは、ドレイン電極43bよりも外側に位置している。すなわち、Z軸方向から見て、ステムピン6aは、ソース電極43aの外側に位置しており、ステムピン6bは、ドレイン電極43bの外側に位置している。
各ステムピン6は、導電性を有する部材であり、例えばコバール金属にニッケルめっき(1~10μm)と金めっき(0.1~2μm)等を施した金属からなり、Z軸方向に延在している。各ステムピン6とベース部材21の貫通孔21a,21bとは、例えば低融点ガラスからなるシール部材Gにより、気密に接合されている。各ステムピン6においてステム3から突出している一部分とステム3とは、ハトメ9を介して互いに固定されている。これにより、各ステムピン6は、ステム3に対して固定されている。ステムピン6aにおいてパッケージ2の外側に延びる部分は、図示しない外部電源等に接続される。一方、ステムピン6aにおいてステム3から突出している部分(本実施形態ではステムピン6aの先端)は、ボンディングワイヤ7を介して、ソース電極43aと電気的に接続されている。これにより、ソース電極43aと外部電源との間の導通が確保されている。同様に、ステムピン6bにおいてパッケージ2の外側に延びる部分は、図示しない外部電源等に接続される。一方、ステムピン6bにおいてステム3から突出している部分(本実施形態ではステムピン6bの先端)は、ボンディングワイヤ7を介して、ドレイン電極43bと電気的に接続されている。これにより、ドレイン電極43bと外部電源との間の導通が確保されている。
ステム3とベース板5との間には、各ステムピン6の周囲を覆うように、円筒状のスペーサ8が配置されている。スペーサ8は、例えばセラミックからなる。スペーサ8により、ステム3は、ベース板5から離間した位置に配置されている。
発光素子4は、基板41におけるグラファイト薄膜42が設けられる側とは反対側の面がダイボンディング等によってステム3の上面に固定されることにより、ステム3上に固定されている。電極43によって発光素子4のグラファイト薄膜42に電圧が印加されることによりグラファイト薄膜42から発光された光は、光透過窓23を介してパッケージ2の外部に出射される。発光素子4(光源装置1)は、赤外光を発する赤外発光素子(赤外光源装置)である。
なお、光源装置1の構成は上記構成に限られない。例えば、光源装置1では、ステム3は、Y軸方向に対向する2つのステムピン6a,6bによって固定されているが、ステム3をより安定的に固定するために、3つ以上のステムピンがステム3、ベース板5、及びベース部材21に挿通されてもよい。
次に、図3を参照して、本実施形態に係る発光素子4の詳細構成について説明する。図3は、図1に示される発光素子4の一部を拡大した拡大図である。図3に示されるように、発光素子4は、基板41と、電極43の一部を介して基板41上に配置されたグラファイト薄膜42と、グラファイト薄膜42の一部を覆う電極43(ソース電極43a及びドレイン電極43b)と、を有している。
基板41は、矩形板状に形成されている。基板41は、Z軸方向から見て、例えば一辺が5mm程度の正方形状を有する。基板41は、ステム3の上面に固定される側とは反対側において表面41a(第1表面)と表面41b(第2表面)とを有している。基板41には、ステム3の上面に固定される側とは反対側において、Y軸方向(第1方向)に延びる溝41cが形成されている(図1参照)。溝41cのY軸方向と交差する断面形状は、例えば矩形状である。Y軸方向から見た溝41cの幅は、例えば100μm~300μm程度であり、溝41cの深さは、例えば400μm程度である。基板41に溝41cが形成されることにより、例えばグラファイト薄膜42が発光する際に、グラファイト薄膜42から基板41への熱伝導を抑制することができる。このように、基板41では、表面41a及び表面41bは、X軸方向(第2方向)において溝41cを互いに挟むように配置される。つまり、表面41a及び表面41bは、溝41cが形成された矩形板状の基板41における表面のうち溝41cを除いた部分である。表面41a及び表面41bのZ軸方向における位置は、互いに略同一である。表面41aは、ステムピン6a側に位置しており、表面41bは、ステムピン6b側に位置している。
本実施形態では、基板41は、矩形板状の基材41dと、基材41dの表面上に設けられる絶縁物層41e(酸化物層)と、を有している。基材41dは、Si(シリコン)によって構成されるシリコン基板である。基材41dの厚さは、例えば1000μm(1mm)程度である。ただし、基材41dは、グラファイト薄膜42と比べて電気抵抗が十分大きく、ソース電極43aとドレイン電極43bとの間で電気的に短絡しないような材料であればよく、例えばSiN、SiC、Al2O3、MgO等であってもよい。絶縁物層41eは、例えばSiO2(二酸化ケイ素)等の酸化物を含む材料によって構成されている。絶縁物層41eは、基板41の表面にコーティングされている。絶縁物層41eの厚さは、例えば0.2μm程度である。本実施形態では、絶縁物層41eの一部の表面が表面41a及び表面41bを構成している。
グラファイト薄膜42は、Z軸方向から見て、基板41よりも十分に小さい矩形状に形成されており、基板41のY軸方向における略中央に配置されている。グラファイト薄膜42のY軸方向における幅は、例えば100μmである。グラファイト薄膜42は、X軸方向に沿って延びており、溝41cを跨ぐように表面41aから表面41bまで延びている。グラファイト薄膜42は、例えば層数が1~2000である単層又は多層のグラフェン(又はグラファイト)である。グラフェン1層分の膜厚は、約3.3Å(0.33nm)である。グラファイト薄膜42(グラフェン)は、炭素(カーボン)によって構成される。グラファイト薄膜42の材料となる単層又は多層のグラフェンは、例えば、粘着テープ等によるグラファイトからの転写、化学気相成長法、SiC加熱法等により作製され得る。
グラファイト薄膜42は、電極43によって電圧が印加されて発熱することにより赤外光を発光する発光部として機能する。ここで、発光強度を向上させるためには、グラファイト薄膜42の層数は多い方がよい。一方、熱応答速度を改善する観点からは、グラファイト薄膜42の熱容量を低くするために、グラファイト薄膜42の層数は少ない方がよい。上記観点から、グラファイト薄膜42は、好ましくは、層数が50~2000の多層グラフェンであってもよい。グラファイト薄膜42の層数を50~2000とすることにより、上記観点において好適な発光素子4が得られる。グラファイト薄膜42は、表面41a側の基板41に支持される被支持部42aと、表面41b側の基板41に支持される被支持部42bと、溝41cと対向する(溝41cを架橋する)架橋部42cと、を有している。
ソース電極43aは、表面41aに設けられ、グラファイト薄膜42の被支持部42aを覆う。ドレイン電極43bは、表面41bに設けられ、グラファイト薄膜42の被支持部42bを覆う。ソース電極43a及びドレイン電極43bは、グラファイト薄膜42の架橋部42cを覆っておらず、架橋部42cは発光素子4の外部に露出している。なお、架橋部42cと溝41cの表面との間には空間が形成されている。ソース電極43a及びドレイン電極43bは、互いに同様の構成(対称的な構造)を有している。
ソース電極43aは、下部電極44a(第1電極)と上部電極45a(第3電極)とを有している。下部電極44aと上部電極45aは、Z軸方向においてグラファイト薄膜42を挟むように互いに対向して配置される。言い換えると、基板41上には、下部電極44a、グラファイト薄膜42(被支持部42a)、及び上部電極45aが、基板41側からこの順で設けられる。上部電極45aと下部電極44aとは、互いに電気的に接続され、同電位に維持される。
下部電極44aは、表面41a上に設けられる。下部電極44aは、Z軸方向から見て矩形状に形成されている。下部電極44aの厚さは、例えば0.3μm程度である。下部電極44aのY軸方向における略中央には、グラファイト薄膜42の被支持部42aが設けられている。下部電極44aは、X軸方向に沿って、基板41のステムピン6a側の縁の近傍から表面41aと溝41cとの境界線BLa上まで延びている。境界線BLaは、Y軸方向に延びており、表面41aのX軸方向における一端、及び溝41cのソース電極43a側の側面の上端に相当する。なお、下部電極44aは、境界線BLaよりもドレイン電極43bに向かって突出していてもよい。つまり、本実施形態では、下部電極44aは、X軸方向に沿って少なくとも境界線BLa上まで延びている。
下部電極44aは、基板41(表面41a)上に設けられる下層51a(第3層)と、下層51a及びグラファイト薄膜42の間に配置される上層52a(第4層)と、を有している。下層51a及び上層52aは、基板41側からこの順で設けられる。下層51aの厚さは、例えば0.2μm程度であり、上層52aの厚さは、例えば0.1μm程度である。下層51a及び上層52a(下部電極44a)を構成する材料は、電流が流れる材料であればどのような材料でもよく、例えばPd、Pt、Au、Ni、Co、Cr、Ti、Al等の金属であってもよいし、半導体であってもよい。ただし、グラファイト薄膜42の発光強度に関して高速変調が要求される場合には、下部電極44a(電極43)は、電気抵抗が小さい金属であることが好ましい。本実施形態では、下層51aは、Ti(チタン)によって構成されており、上層52aは、Pt(白金)によって構成されている。上層52aは、グラファイト薄膜42に接合されている。下層51a及び上層52aは、互いに同電位に維持される。
上部電極45aは、グラファイト薄膜42上に設けられる。上部電極45aは、Z軸方向から見て矩形状に形成されている。本実施形態では、Z軸方向から見た上部電極45aの大きさ(面積)は、下部電極44aよりも小さい。上部電極45aの厚さは、例えば0.8μm程度である。上部電極45aのY軸方向における中央部分は、被支持部42b上に設けれ、上部電極45aの中央部分以外は、下部電極44a上に設けられる(図1参照)。つまり、上部電極45aは、Y軸方向における中央部分において、グラファイト薄膜42を介して下部電極44aと対向する。上部電極45aの中央部分以外が下部電極44a上に設けられることにより、上部電極45aは下部電極44aと電気的に接続される。
上部電極45aは、X軸方向に沿って、グラファイト薄膜42のステムピン6a側の一端から溝41cの近傍まで延びている。本実施形態では、下部電極44aのX軸方向における溝41c側の一端44cは、上部電極45aのX軸方向における溝41c側の一端45cよりも溝41c側に位置している。つまり、一端45cは、Z軸方向から見て、溝41cのソース電極43a側の側面から一端44cよりも離間している。また、上部電極45aのステムピン6a側の他端は、下部電極44aのステムピン6a側の他端よりも溝41c側に位置している(図2参照)。なお、上部電極45aの他端と下部電極44aの他端とでは、X軸方向における位置が互いに略同一であってもよい。この場合、上部電極45aの他端部と下部電極44bの他端部が、グラファイト薄膜42のX軸方向における外側において、互いに電気的に接続されてもよい。また、上部電極45aは、X軸方向において境界線BLaの位置まで延びていてもよい。つまり、一端44cと一端45cとでは、X軸方向における位置が互いに略同一であってもよい。
上部電極45aは、グラファイト薄膜42(下部電極44a)上に設けられる下層53a(第1層)と、下層53a上に設けられる連接層54a(第2層)と、ステムピン6a側のボンディングワイヤ7が接続される最表面層55aと、を有している。下層53a、連接層54a、及び最表面層55aは、基板41側からこの順で設けられる。つまり、連接層54aは、下層53aと最表面層55aとの間に配置されており、最表面層55aは発光素子4の外部に露出している。上部電極45aでは、下層53aと連接層54aとで構成される中間層が、基板41と最表面層55aとの間に配置される。下層53aの厚さは、例えば0.2μm程度であり、連接層54aの厚さは、例えば0.1μm程度である。最表面層55aの厚さは、例えば0.5μm程度である。
下層53a、連接層54a、及び最表面層55a(上部電極45a)を構成する材料は、下部電極44aの下層51a及び上層52aと同様に、電流が流れる材料であればどのような材料でもよく、例えばPd、Pt、Au、Ni、Co、Cr、Ti、Al等の金属であってもよいし、半導体であってもよい。本実施形態では、最表面層55aの抵抗値が、下部電極44aの下層51a及び上層52a、並びに下層53a及び連接層54a(中間層)の抵抗値よりも小さくなるように、各層の材料が選択される。本実施形態では、上述の抵抗値の関係を満たすために、下層53aは、Ti(チタン)によって構成されており、連接層54aは、Pt(白金)によって構成されており、最表面層55aは、Au(金)によって構成されている。
ドレイン電極43bは、下部電極44b(第2電極)と上部電極45b(第4電極)とを有している。下部電極44bは、下部電極44aと同様の構成を有しており、上部電極45bは、上部電極45aと同様の構成を有している。下部電極44bは、表面41b上に設けられる。下部電極44b上には、グラファイト薄膜42の被支持部42bが設けられる。上部電極45bは、グラファイト薄膜42(被支持部42b)上に設けられる。基板41上には、下部電極44b、グラファイト薄膜42(被支持部42b)、及び上部電極45bが、基板41側からこの順で設けられる。言い換えると、上部電極45bは、グラファイト薄膜42を介して下部電極44bと対向する。下部電極44bと上部電極45bとは、互いに電気的に接続される。
下部電極44bは、X軸方向に沿って、基板41のステムピン6b側の縁の近傍から表面41bと溝41cとの境界線BLb上まで延びている。なお、下部電極44bは、境界線BLbよりもソース電極43aに向かって突出していてもよい。つまり、本実施形態では、下部電極44bは、X軸方向に沿って少なくとも境界線BLb上まで延びている。下部電極44bのX軸方向における溝41c側の一端44dは、上部電極45bのX軸方向における溝41c側の一端45dよりも溝41c側に位置している。つまり、一端45dは、Z軸方向から見て、溝41cのドレイン電極43b側の側面から一端44dよりも離間している。
本実施形態では、発光素子4は、X軸方向の中央に位置しY軸方向に延びる仮想的な中心線に対して線対称に構成されている。本実施形態に係る発光素子4では、下部電極44aの一端44cと下部電極44bの一端44dとの間隔は、上部電極45aの一端45cと上部電極45bの一端45dとの間隔よりも小さい。下部電極44aの一端44cと下部電極44bの一端44dとの間隔は、Y軸方向から見た溝41cの幅と略等しく、X軸方向におけるグラファイト薄膜42の架橋部42cの長さと略等しい。
下部電極44bは、基板41(表面41b)上に設けられる下層51b(第3層)と、下層51b及びグラファイト薄膜42の間に配置される上層52b(第4層)と、を有している。下層51bは、下部電極44aの下層51aと同様に構成されており、上層52bは、下部電極44aの上層52aと同様に構成されている。下層51bを構成する材料は、下層51aを構成する材料と同じであり、上層52bを構成する材料は、上層52aを構成する材料と同じである。
上部電極45bは、グラファイト薄膜42(下部電極44b)上に設けられる下層53b(第1層)と、下層53b上に設けられる連接層54b(第2層)と、ステムピン6b側のボンディングワイヤ7が接続される最表面層55bと、を有している。上部電極45bでは、下層53bと連接層54bとによって構成される中間層が、グラファイト薄膜42と最表面層55bとの間に配置される。下層53bは、上部電極45aの下層53aと同様に構成されており、連接層54bは、上部電極45aの連接層54aと同様に構成されている。最表面層55bは、上部電極45aの最表面層55aと同様に構成されている。下層53bを構成する材料は、下層53aを構成する材料と同じであり、連接層54bを構成する材料と同じであり、最表面層55bを構成する材料は、最表面層55aを構成する材料と同じである。
次に、発光素子4の製造方法の一例を説明する。まず、所望の大きさの溝が形成され、絶縁物層がコーティングされたシリコン基板(基板41)を用意する。続いて、溝部分をマスクし、溝が形成された表面(表面41a,41b)上に下地電極(下部電極44a,44b)を蒸着する。そして、例えば水等の溶液中に浮かしたグラファイト薄膜42を、下地電極が蒸着されたシリコン基板ですくい取ることで、シリコン基板にグラファイト薄膜42を転写する。続いて、グラファイト薄膜42が転写されたシリコン基板にさらに、下地電極及びグラファイト薄膜42の一部を覆うように電極(上部電極45a,45b)を蒸着する。以上により発光素子4が製造され、このように製造された発光素子4を、パッケージ2の内部空間S内に配置することによって、光源装置1が形成される。
次に、図4~図6を参照して、本実施形態に係る発光素子4(光源装置1)の特性の計測結果について説明する。図4は、図1に示される発光素子4に電流を流したときの温度特性の計測結果を示す図である。図5の(a)は、図1に示される発光素子4の応答特性の計測結果を示す図である。図5の(b)は、比較例の応答特性の計測結果を示す図である。図6は、図1に示される発光素子4の輝度分布の計測結果を示す図である。
発光素子4の特性の計測では、1辺の長さが5mmであるSiO2/Si基板(SiO2がコーティングされたシリコン基板)に、幅が100μmであるグラファイト薄膜42を設けた発光素子4を用いた。SiO2/Si基板には、幅が100μmであり、深さが400μmである溝を形成した。また、グラファイト薄膜42として、多層(約1000層)のグラフェンを用いた。比較例として、フィラメントがタングステンである豆電球(発光素子)を用いた。
図4には、入力電力Pinを変化させた場合の発光素子における温度Tの計測結果が示されている。図4において、横軸は、発光素子に対して入力した入力電力Pin(ミリワット;mW)であり、縦軸は、発光素子の温度T(℃)である。発光素子の温度Tは、パイロメータ(Pyrometer;放射温度計)を用いて測定した。図4では、発光素子4の温度変化を示す計測結果L1は、比較例の温度変化を示す計測結果L2に比べて、入力電力Pinが小さい範囲において、発光素子4の温度が高温まで上昇したことを示している。従って、比較例に比べて、発光素子4は低消費電力で昇温が可能であることがわかる。なお、この計測結果において測定された温度Tは、発光素子からの輝度に対応する。つまり、発光素子の温度Tが高いほど、発光素子から発せられる光が高輝度であることを示している。
図5の(a)及び図5の(b)には、所定周波数を有する入力電圧を発光素子に入力した場合の発光素子の応答特性が示されている。図5の(a)及び図5の(b)において、横軸は時間であり、縦軸は電圧である。図5の(a)の入力電圧Vin1は、発光素子4に入力された約1kHzの矩形波電圧である。応答結果である電圧Vout1は、InAsSb(インジウムヒ素アンチモン)で構成されるPN接合部が設けられたInAsSbフォトダイオードを備える赤外線検出素子(光起電力素子)を用いて、発光素子4から発せられた光を検出した際の当該赤外線検出素子から出力された電圧である。図5の(b)の入力電圧Vin2は、比較例の豆電流に入力された約50Hzの矩形波電圧である。応答結果である電圧Vout2は、電圧Vout1と同様に、比較例の発光素子から発せられた光を検出した際の赤外線検出素子から出力された電圧である。なお、図5の(a)及び図5の(b)では、赤外線検出素子の出力をオシロスコープによって観察することで得られる電圧Vout1,Vout2の時間変化が示されている。図5の(a)に示されるように、発光素子4では、入力電圧Vin1の変化に対して追随する応答結果が得られた。一方、比較例の豆電球では、図5の(b)に示されるように、発光素子4に入力した入力電圧Vin1よりも低い周波数の入力電圧Vin2を比較例の豆電球に入力したが、入力電圧Vin2の変化に対して追随していない応答結果が得られた。これらの結果から、発光素子4は、比較例の豆電球に対して、より早い速度で入力に対して追従する応答特性を有していることがわかる。
図6には、発光素子4及び比較例の豆電球それぞれの発光部分に対する画像データから得られる輝度分布が示されている。画像データの取得には、可視光から近赤外光までの領域において高い感度を有するCCDカメラを使用した。発光素子4の輝度分布では、画像データのうちグラファイト薄膜42に沿った位置でのデータから輝度値(カウント値)を取得した。比較例の豆電球の輝度分布では、画像データのうち正面視における比較例の豆電球の中心を通る位置でのデータから輝度値を取得した。図6において、横軸は画素(ピクセル)位置であり、縦軸は輝度値である。画素位置によって発光素子のどの部分に位置するかが特定される。輝度値は、上述のCCDカメラにより得られた画像データにおいて発光部分を観測することにより得られた値である。輝度値が大きい画素位置ほど、対応する発光部分の位置から強い光を発していることを示している。発光素子4の計測結果L3から、発光素子4は局所的に強い光を発していることがわかる。これに対して、比較例の豆電球に対する計測結果L4から、比較例の豆電球は比較的広い範囲において発光していることがわかる。これらの結果から、発光素子4は、微小点において高輝度に発光する素子であることがわかる。
以上述べた発光素子4では、グラファイト薄膜42が、基板41に形成された溝41cを跨ぐように、溝41cを互いに挟む表面41a及び表面41bに下部電極44a及び下部電極44bを介して設けられる。また、グラファイト薄膜42のうち被支持部42a及び被支持部42bの少なくとも一部が、上部電極45a及び上部電極45bによって覆われている。この構成によれば、グラファイト薄膜42には、主に下部電極44aの一端44c及び上部電極45aの一端45cから下部電極44bの一端44d及び上部電極45bの一端45dに向けて電流が流れるので、グラファイト薄膜42のうち架橋部42cと架橋部42cの近傍とに主に電流が流れる。また、グラファイト薄膜42にガスが含まれている場合がある。例えば、グラファイト薄膜42が多層のグラフェンで構成されているとき、グラフェン間(炭素膜間)にガスが含まれている場合がある。本実施形態の発光素子4の構成では、上部電極45a,45bがグラファイト薄膜42の上面を覆う。この構成により、グラファイト薄膜42の表面(外部に露出した架橋部42c以外の部分(被支持部42a,42b)の表面)において、グラファイト薄膜42に含まれるガスの放出が抑制される。その結果、グラファイト薄膜42からの放出ガスによる影響を低減すると共にグラファイト薄膜42の発光部分(架橋部42c)を効率よく加熱することができる。
また、下部電極44aは、少なくとも表面41aと溝41cとの境界線BLa上まで延び、下部電極44bは、少なくとも表面41bと溝41cとの境界線BLb上まで延びる。この構成によれば、グラファイト薄膜42の架橋部42cに主に電流が流れる。その結果、グラファイト薄膜42の架橋部42cをさらに効率よく加熱することができる。
下部電極44aの一端44cは、上部電極45aの一端45cよりも溝側に位置し、下部電極44bの一端44dは、上部電極45bの一端45dよりも溝側に位置する。この構成によれば、グラファイト薄膜42を介した下部電極44aと下部電極44bとの間の距離が、グラファイト薄膜42を介した上部電極45aと上部電極45bとの間の距離よりも短くなる。これにより、グラファイト薄膜42を介して下部電極44a及び下部電極44bの間に流れる電流値と、グラファイト薄膜42を介して上部電極45a及び上部電極45bの間に流れる電流値との大小関係が調整される。
電流値の大小関係の調整について詳細に説明すると、外部から発光素子4に電流を供給するためのボンディングワイヤ7との接続(例えば、接触抵抗)が考慮されて、上部電極45a,45bの最表面層55a,55bの抵抗値は、上部電極45a,45bの中間層(下層53a,53b及び連接層54a,54b)、及び下部電極44a,44bの抵抗値よりも小さい。上記の抵抗値の関係から、最表面層55a,55bの間(上部電極45a,45bの間)の方が下部電極44a,44bの間よりも電流が流れ易くなっている。一方、下部電極44a,44bの間の距離が上部電極45a,45bの間の距離よりも短いことにより、グラファイト薄膜42を介した下部電極44a,44bの間の抵抗値が、グラファイト薄膜42を介した上部電極45a,45bの間の抵抗値よりも小さくなる。つまり、この抵抗値の大小関係により、下部電極44a,44bの間の方が、上部電極45a,45bの間よりも電流が流れ易くなる。従って、下部電極44a,44bの間の距離を上部電極45a,45bの間の距離よりも短くすることにより、最表面層55a,55bの間(上部電極45a,45bの間)の電流の流れ易さと下部電極44a,44bの間の電流の流れ易さとをバランスさせることができる。その結果、グラファイト薄膜42における下部電極44a,44b及び上部電極45a,45bの間の部分(すなわち、架橋部42c及びその近傍)に対して、上下から略均一に電流を流すことが可能となる。
基板41は、シリコンによって構成される基材41dと、酸化物を含む材料によって構成される絶縁物層41eとを有する。絶縁物層41eは、下部電極44a,44bと基材41dとの間に配置される。この構成によれば、絶縁物層41eにより、基材41dを介したソース電極43a(下部電極44a)とドレイン電極43b(下部電極44b)との間の絶縁を確保することができる。つまり、下部電極44aと下部電極44bとの間が、基材41dを介して短絡してしまうことを抑制できる。
上部電極45a,45bでは、最表面層55a,55bは金によって構成され、下層53a,53bはチタンによって構成され、連接層54a,54bは白金によって構成される。このように下層53a,53bがチタンで構成されることで、グラファイト薄膜42とソース電極43a及びドレイン電極43b(上部電極45a,45b)との間の接触抵抗を小さくすることができる。また、白金によって構成される連接層54a,54bを介することで、下層53a,53bに対する最表面層55a,55bの接合性を向上させることができる。
下部電極44a,44bでは、下層51a,51bがチタンによって構成されており、上層52bが白金によって構成されている。例えば、チタンのみによって構成された下部電極が蒸着された基板41を用いて、水等の溶液中に浮かしたグラファイト薄膜42を転写すると、下部電極(チタン)が酸化してしまうおそれがある。これに対して、下層51a,51b上には、白金で構成される上層52a,52bが配置されるので、グラファイト薄膜42を基板41に転写する際に、下部電極44a,44bが酸化することを抑制できる。また、下層51a,51bをSiO2との親和性が高いチタンによって構成することにより、基板41の表面41a,41bを構成する絶縁物層41e(SiO2)に対する下部電極44a,44bの接合性を向上させることができる。
光源装置1では、発光素子4が、真空状態に保持されたパッケージ2の内部空間に配置される。上述した発光素子4の構成によって、グラファイト薄膜42から放出されるガスが抑制されるので、放出ガスによって内部空間の真空度が落ちる可能性が低減される。これにより、内部空間の真空度が保たれ、発光効率の低下を抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
例えば、下部電極44aは、X軸方向に沿って、境界線BLa上まで延びていなくてもよく、境界線BLaからステムピン6a側に離れた位置まで延びてもよい。下部電極44bは、X軸方向に沿って、境界線BLb上まで延びていなくてもよく、境界線BLbからステムピン6b側に離れた位置まで延びてもよい。
発光素子4は、複数のグラファイト薄膜42を備えてもよい。例えば、複数のグラファイト薄膜42が、Y軸方向(溝41cの延在方向)に沿って並ぶように配置されてもよい。この場合、複数のグラファイト薄膜42の各々の被支持部42a,42bが、ソース電極43a及びドレイン電極43bに覆われる。また、下部電極44a,44bの大きさ(面積)は、上部電極45a,45bの大きさと同じであってもよいし、上部電極45a,45bの大きさよりも小さくてもよい。下部電極44a,44bのX軸方向における長さは、上部電極45a,45bのX軸方向における長さと同じであってもよいし、上部電極45a,45bのX軸方向における長さよりも短くてもよい。
溝41cのY軸方向から見た形状は、矩形状に限られない。溝41cの形状は、楕円形状等のいずれの形状であってもよい。溝41cの表面に、絶縁物層41eが設けられなくもよい。発光素子4は、Y軸方向に沿った仮想線に対して線対称な構造でなくてもよい。ソース電極43aを構成する各層(例えば、下層51a)の材料と、ドレイン電極43bを構成する各層(例えば、下層51b)の材料とは、互いに異なってもよい。
1…光源装置、2…パッケージ、4…発光素子、23…光透過窓、41…基板、41a,41b…表面、41c…溝、41d…基材、41e…絶縁物層、42…グラファイト薄膜、44a,44b…下部電極、44c,44d…一端、45a,45b…上部電極、45c,45d…一端、51a,51b…下層、52a,52b…上層、53a,53b…下層、54a,54b…連接層、55a,55b…最表面層。

Claims (9)

  1. 第1方向に延びる溝が形成され、前記第1方向と交差する第2方向において前記溝を互いに挟むように配置される第1表面及び第2表面を有する基板と、
    前記第1表面に設けられる第1電極と、
    前記第2表面に設けられる第2電極と、
    前記第1電極上及び前記第2電極上に設けられると共に、前記第2方向に沿って前記溝を跨ぐように前記第1電極から前記第2電極まで延びるグラファイト薄膜と、
    前記第1電極と電気的に接続されると共に、前記グラファイト薄膜を介して前記第1電極と対向するように前記グラファイト薄膜上に設けられる第3電極と、
    前記第2電極と電気的に接続されると共に、前記グラファイト薄膜を介して前記第2電極と対向するように前記グラファイト薄膜上に設けられる第4電極と、
    を備える発光素子。
  2. 前記グラファイト薄膜は、層数が50~2000である多層のグラフェンである、
    請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記第1電極の前記溝側の一端は、前記第3電極の前記溝側の一端よりも前記溝側に位置し、
    前記第2電極の前記溝側の一端は、前記第4電極の前記溝側の一端よりも前記溝側に位置する、
    請求項1又は請求項2に記載の発光素子。
  4. 前記第1電極は、少なくとも前記第1表面と前記溝との境界線上まで延び、
    前記第2電極は、少なくとも前記第2表面と前記溝との境界線上まで延びる、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の発光素子。
  5. 前記基板は、シリコンによって構成される基材と、酸化物を含む材料によって構成される酸化物層とを有し、
    前記酸化物層は、少なくとも前記基材と前記第1電極との間及び前記基材と前記第2電極との間に配置される、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の発光素子。
  6. 前記第3電極及び前記第4電極のそれぞれは、最表面層と、前記最表面層及び前記グラファイト薄膜の間に配置される中間層と、を有し、
    前記最表面層の抵抗値は、前記中間層、前記第1電極、及び前記第2電極の抵抗値よりも小さい、
    請求項1~5のいずれか一項に記載の発光素子。
  7. 前記最表面層は、金によって構成され、
    前記中間層は、チタンによって構成される第1層と、白金によって構成される第2層とを含み、
    前記第1層は、前記グラファイト薄膜上に設けられ、
    前記第2層は、前記第1層及び前記最表面層の間に配置される、
    請求項6に記載の発光素子。
  8. 前記第1電極及び前記第2電極のそれぞれは、チタンによって構成される第3層と、白金によって構成される第4層とを有し、
    前記第3層は、前記基板上に設けられ、
    前記第4層は、前記第3層及び前記グラファイト薄膜の間に配置される、
    請求項1~7のいずれか一項に記載の発光素子。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の発光素子と、
    光透過窓を有し、真空状態に保持された内部空間を形成するパッケージと、
    を備え、
    前記発光素子は、前記パッケージの前記内部空間に配置される、
    光源装置。
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