JP3642853B2 - 赤外線光源 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば赤外線ガス分析計などに用いられる赤外線光源に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、赤外線ガス分析計に用いられる赤外線光源としては、発光のふらつきが小さく、経時的に劣化が小さく、かつ、安定発光までの時間が短いことが求められている。この赤外線光源では、波長2〜10μmの赤外線領域での赤外線放射を得るため、フィラメント温度が600〜800℃程度となるよう電圧が印加されている。
【0003】
従来、この種の赤外線光源として、発光部のフィラメントがタングステン(W)や白金(Pt)線などの金属線をコイル状に巻いたものや、コイル表面をアルミナなどのセラミックで被覆することにより、赤外線領域での発光効率を高めたものなどがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の赤外線光源は、発光部のフィラメント部分の経時的な劣化や、温度上昇による各部の機械的歪みの発生などを考慮する必要があり、小型化、マイクロ化する上で障害となっていた。また、金属コイルの場合、抵抗の温度係数が負特性を示すため、温度分布が生じやすいという欠点があった。
【0005】
これに対して、半導体ウエハプロセスを用いて、絶縁基板上に金属薄膜やシリコン(Si)のフィラメントを形成することが試みられているが、前記したような高温領域での耐久性や安定性に欠けるとともに、昇・降温における応答性が赤外線光源としては不十分である。
【0006】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、耐久性や昇・降温における応答性に優れたコンパクトな赤外線光源を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の赤外線光源は、電極が形成されたダイヤモンド膜を構成要素とする赤外線光源において、前記ダイヤモンド膜がp型半導体膜であるとともに、前記ダイヤモンド膜の発光部に対応する部分には絶縁基板が形成されないよう構成されていることを特徴とする。この発明では、半導体ダイヤモンドまたは非ダイヤモンド材料の抵抗体を蒸着したダイヤモンドを用いている。
また、この発明は、電極が形成されたダイヤモンド膜を構成要素とする赤外線光源において、前記ダイヤモンド膜がp型半導体層とアンドープ層とが積層された構造を有するとともに、前記ダイヤモンド膜の発光部に対応する部分には絶縁基板が形成されないよう構成されていることを特徴としている。
さらに、この発明は、発光源がダイヤモンド膜と導電性薄膜とが密着した構造である赤外線光源であって、前記導電性薄膜は前記ダイヤモンド膜上に形成されているとともに、前記導電性薄膜を電極兼発光部とし、さらに、少なくとも前記発光部直下のダイヤモンド部分に対応する部分には絶縁基板が形成されないよう構成されていることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明の赤外線光源は、ダイヤモンド膜を構成要素としている。
【0009】
この場合、発光源を気相合成されているダイヤモンド膜で形成してもよい。
【0010】
ダイヤモンド膜と導電性薄膜とが密着した構造にしてもよく、この場合、ダイヤモンド膜が電気絶縁性のアンドープ膜であってもよい。
【0011】
【0012】
また、ダイヤモンド膜の全部または一部がボロン(B)ドープされたp型半導体であってもよい。Bドープすることにより、ダイヤモンドの抵抗率が低下する。
【0013】
さらに、ダイヤモンド膜がp型半導体層とアンドープ層とが積層された構造を有していてもよい。このようにした場合、p型半導体層がホモエピタキシャル成長し、膜特性が均一になる。そして、p型半導体層の上面にアンドープ層をさらに積層することにより、アンドープ層がp型半導体層のパッシベーションの働きをし、表面が大気中の酸素で多少エッチングされても、p型半導体層に影響が及ぼされることがない。
【0014】
電極材料としては、白金(Pt)、金(Au)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、チタン(Ti)から選ばれた少なくとも1つ以上の元素を含むものであればよいが、単体ではPtを用いるのが最も好ましい。
【0015】
ダイヤモンド膜におけるBドーピング濃度は、1016/cm3 〜1022/cm3 といった濃度が好ましい。これは、前記濃度が1016/cm3 より低いと高抵抗となり、1022/cm3 を超えた場合、ダイヤモンド膜の結晶性が悪くなるからである。
【0016】
また、電極直下のダイヤモンド膜におけるBドーピング濃度は、1020/cm3 〜1023/cm3 といった高濃度が好ましい。これは、電極直下を高濃度にドープ(ヘビードープ)することにより接触抵抗が低下するからである。この場合、ヘビードープ層の厚さは1μm以下でよいので、結晶性が低下しても構わない。
【0017】
【0018】
電気抵抗を測定することにより、発光部の温度を測定または推定し、発光部の制御を行うようにしてもよい。
【0019】
一つの絶縁基板上に複数の発光部を形成してあってもよい。
【0020】
ダイヤモンド膜が(100)または(111)に配向された高配向性膜としてもよい。
【0021】
ダイヤモンドは、耐熱性に優れ、その単結晶は非酸化雰囲気中では1200℃までの高温でも劣化せず、気相合成法により形成された多結晶膜でも、大気中で約700〜800℃に耐えることができる。また、室温付近での熱伝導率は、物質中最大であるといった特徴を有する。
【0022】
ダイヤモンドは、バンドギャップが大きく(5.5eV)、通常は絶縁体であるが、不純物ドーピングにより半導体化できる。また、絶縁破壊電圧や飽和ドリフト速度が大きく、誘電率が小さいという優れた電気的特性を有する。このような特徴により、ダイヤモンドは、高温・高周波・高電界用の電子デバイス・センサ材料として期待されている。
【0023】
また、バンドギャップが大きいことを利用した紫外線などの短波長領域に対応する光センサは発光素子への応用、熱伝導率が大きく、比熱が小さいことを利用した放熱基板材料、物質中で最も硬いという特性を生かした表面弾性波素子への応用、高い光透過性・屈折率を利用したX線窓や光学材料への応用などが進められている。さらに、ダイヤモンドは、工具の耐磨耗部にも使用されている。
【0024】
ダイヤモンドの耐熱性および半導体特性の応用に温度センサがある。また、半導体ダイヤモンド薄膜でフィラメント構造を形成し、通電加熱によりヒータとして利用することも考えられている(例えば、特開平7−161455号公報参照)。
【0025】
ダイヤモンドの気相合成法としては、マイクロ波化学気相蒸着(CVD)法(例えば、特公昭59−27754号公報、特公昭61−3320号公報参照)。高周波プラズマCVD法、熱フィラメントCVD法、直流プラズマCVD法、プラズマジェット法、燃焼法、熱CVD法などが知られている。これらの気相合成法では、膜状のダイヤモンドが低コスト・大面積で得られるという特徴がある。
【0026】
Siなどの非ダイヤモンド基板に気相合成されたダイヤモンド膜は、一般に、ダイヤモンド粒子がランダムに凝集した多結晶である。しかし、ダイヤモンド結晶粒子がほぼ一定方向に揃った高配向性の合成も報告されており、多結晶膜を用いた場合よりも耐熱性に優れていることが報告されている。さらに、最近では、白金単結晶面に粒界の見られないダイヤモンド膜が気相合成により成長することも報告されており、このような膜の耐熱性は、バルクダイヤモンドに近いと考えられる。
【0027】
【実施例】
実施例について、図面を参照しながら説明する。
図1および図2は、第1実施例の赤外線光源Lを示す。これらの図において、1は絶縁基板、2はこの絶縁基板1の上面に気相合成されたダイヤモンド膜で、この実施例においてはp型半導体ダイヤモンド膜(以下、p型半導体ダイヤモンド膜を符号2Pで表す)である。3はこのp型半導体ダイヤモンド膜2Pの上面に適宜の間隔をおいて形成される電極である。そして、p型半導体ダイヤモンド膜2pの二つの電極3の間の部分2aは、p型半導体ダイヤモンド膜2Pの他の部分2bと異なり、図2に示すように、平面形状が細長く、かつ蛇行した状態に形成され、赤外線の発光部となるものである。1aは絶縁基板1の発光部2aに対応する部分をエッチングによって削除されたエッチング部である。
【0028】
前記絶縁基板1としては、例えば表面に窒化膜(Si3 N4 など)を形成したSi基板を用いることができ、この窒化膜の上面にp型半導体ダイヤモンド膜2Pが形成される。そして、電極3の材料としては、Pt、Au、Mo、Ni、W、Tiから選ばれた少なくとも1つ以上の元素を含むものを用いることができるが、単体ではPtを用いるのが最も好ましい。また、電極3をTi(10〜500Å)にPtを積層して形成したり、あるいは、PtにTi(0.1〜5%)を混ぜ合わせた合金材料で形成してもよい。
【0029】
図11は、絶縁基板1の窒化膜表面にp型半導体ダイヤモンド膜2Pを気相合成するためのマイクロ波CVD装置4の一例を示し、この図において、5は石英からなる反応管、6は反応管5と直交するように設けられる導波管である。反応管5の一端側には原料ガスの導入口7が形成され、他端側には図示してない真空ポンプなどを備えた流路に連なる排気口8が形成されている。9は位置調節手段10によってその位置が調節される基板ホルダである。導波管6の一端側にはマイクロ波電源11が設けられ、他端側にはプランジャ12を備えた反射板13が設けられている。14はアイソレータ、15はチューナである。
【0030】
上記マイクロ波CVD装置4を用いて、絶縁基板1上にp型半導体ダイヤモンド膜2Pを気相合成するには、まず、基板ホルダ9に絶縁基板1を保持する。そして、水素ガスで0.2〜5%に希釈した水素・メタン混合ガス100sccmにジボラン(B2 H6 )を0.01〜100ppm添加したものを、反応管5内に原料ガスとして流し、反応管5内を30〜60Torrに保持するとともに、絶縁基板1の温度を750〜890℃に保持し、その状態で300〜500Wのマイクロ波パワーを与える。前記原料ガスがマイクロ波によって励起された電子によりプラズマ16となり、これが絶縁基板1上で気相反応してダイヤモンド構造が形成される。このようにして、気相合成を20時間続けると、厚さ10μmのp型半導体ダイヤモンド膜2Pが絶縁基板1上に形成される。
【0031】
前記p型半導体ダイヤモンド膜2Pにおけるボロン(B)ドーピング濃度は、1016/cm3 〜1022/cm3 といった濃度が好ましい。これは、Bドーピングの濃度が1016/cm3 より低いと高抵抗となり、1022/cm3 を超えた場合、p型半導体ダイヤモンド膜2Pの結晶性が悪くなるからである。
【0032】
前記p型半導体ダイヤモンド膜2Pが形成された絶縁基板1をマイクロ波CVD装置4から取り出し、フォトリソグラフィ技術によりp型半導体ダイヤモンド膜2Pの中央部2aを、所定長さにわたって細長い帯状の蛇行した形状にする。この中央部2aは発光部となる。
【0033】
次いで、前記発光部2aを形成した絶縁基板1を真空蒸着装置にセットし、前記発光部2aの両側のp型半導体ダイヤモンド膜2Pの上面にPtを蒸着して電極3を形成する。さらに、絶縁基板1の発光部2aに対応する部分をエッチングして除去することにより、図1および図2に示す赤外線光源Lが得られる。
【0034】
このように構成した赤外線光源Lは、前記電極3に電圧を印加することにより、発光部2aが発熱・発光し、所望の赤外線が発せられる。
【0035】
そして、前記赤外線光源Lにおいては、ダイヤモンド膜2の安定性のために耐久性に優れるとともに、熱容量が小さいことにより、高速で昇・降温することができる。また、全体の構成がコンパクトである。
【0036】
また、前記赤外線光源Lにおいては、発光部2aがBドープされたp型半導体ダイヤモンド膜2Pよりなるので、その抵抗値が負の温度係数を有し、サーミスタとして光源自体の温度を測定できる。そして、前記抵抗値が一定になるように電流を制御することにより、温度を一定に保つことができる。
【0037】
図3および図4は、第2実施例の赤外線光源Lを示す。この実施例における赤外線光源Lは、絶縁基板1の上面に形成されるダイヤモンド膜2がp型半導体ダイヤモンド膜2Pとアンドープのダイヤモンド膜2Uとからなり、絶縁基板1にアンドープダイヤモンド膜2Uを形成し、このアンドープダイヤモンド膜2Uの上面にp型半導体ダイヤモンド膜2Pを積層している。他の構成は、上記第1実施例のそれと同じである。
【0038】
前記アンドープダイヤモンド膜2Uは、図11に示したマイクロ波CVD装置4を用いて形成することができる。すなわち、基板ホルダ9に絶縁基板1を保持する。そして、水素ガスで0.2〜5%に希釈した水素・メタン混合ガス100sccmを、反応管5内に原料ガスとして流し、反応管5内を30〜60Torrに保持するとともに、絶縁基板1の温度を750〜890℃に保持し、その状態で300〜500Wのマイクロ波パワーを与える。前記原料ガスがマイクロ波によって励起された電子によりプラズマ16となり、これが絶縁基板1上で気相反応してダイヤモンド構造が形成される。このようにして、気相合成を20時間続けると、厚さ10μmのアンドープダイヤモンド膜2Uが絶縁基板1上に形成される。
【0039】
その後、アンドープダイヤモンド膜2Uの上面に、上記第1実施例と同様の手順によってp型半導体ダイヤモンド膜2Pおよび電極3を形成した後、同様に処理することにより、図3および図4に示すような赤外線光源Lを得ることができる。
【0040】
この第2実施例の赤外線光源Lの動作は、上記第1実施例のものと同じである。そして、この第2実施例の赤外線光源Lは、上記第1実施例のものに加えて、次のような効果を奏する。すなわち、ダイヤモンド膜2がアンドープ層2U上にp型半導体層2Pを積層したものであるので、ホモエピタキシャル成長が可能となり、膜特性が均一になる。
【0041】
なお、この第2実施例において、図示してないが、p型半導体層2Pの上面にアンドープ層をさらに積層することにより、p型半導体層2Pの上面のアンドープ層がp型半導体層2Pのパッシベーションの働きをし、表面が大気中の酸素で多少エッチングされても、p型半導体層2Pに影響が及ぼされることがない。
【0042】
図5は、第3実施例の赤外線光源Lを示す。この実施例における赤外線光源Lは、電極3直下のp型半導体ダイヤモンド膜2PにおけるBドーピング濃度を1020/cm3 〜1023/cm3 といった高濃度にしたもので、図中の符号17は、高濃度Bドーピング部を示している。このように、構成した赤外線光源Lの動作および効果は、前記第2実施例と同様であり、さらに、電極3直下を高濃度にドープ(ヘビードープ)することにより接触抵抗を低下させることができるといった効果を奏する。
【0043】
なお、上記図5に示すように、電極3直下のp型半導体ダイヤモンド膜2PにおけるBドーピング濃度を高濃度にすることは、前記第1実施例や第2実施例にも適用してもよいことはいうまでもない。
【0044】
【0045】
そして、上述の各実施例では、ダイヤモンド膜2それ自体を赤外線発光体としていたが、この発明はこれに限られるものではなく、以下のようにすることもできる。
【0046】
図6および図7は、第4実施例の赤外線光源Lを示す。この実施例における赤外線光源Lは、ダイヤモンド膜2の上面に導電性薄膜18を形成し、この導電性薄膜18を電極兼発光部としている。すなわち、絶縁基板1の上面に例えばアンドープダイヤモンド膜2Uを形成し、このアンドープダイヤモンド膜2Uの上面に例えばPtなどの金属を蒸着して導電性薄膜18を形成したものである。そして、導電性薄膜18の中央部18aをフォトリソグラフィ技術により、所定長さにわたって細長い帯状の蛇行した形状にして赤外線発光部とし、その両端部18bを電極としたものである。
【0047】
このように構成した場合、ダイヤモンド膜2の熱容量が小さいことによって、昇・降温が速く、また、ダイヤモンド膜2の安定性のため、導電性薄膜18の拡散などの変化が少ない、耐久性の高い赤外線光源Lを得ることができる。
【0048】
そして、この第4実施例において、ダイヤモンド膜2をp型半導体ダイヤモンド膜2Pで構成してもよい。このようにした場合、第1実施例と同様に、温度を一定に保持することができる。
【0049】
図8は、第5実施例の赤外線光源Lを示す。この実施例における赤外線光源Lは、ダイヤモンド膜2をp型半導体ダイヤモンド膜2Pとアンドープのダイヤモンド膜2Uとから構成したもので、絶縁基板1にアンドープダイヤモンド膜2Uを形成し、このアンドープダイヤモンド膜2Uの上面にp型半導体ダイヤモンド膜2Pを積層している。他の構成は、上記第4実施例と同様である。
【0050】
図9は、第6実施例の赤外線光源Lを示す。この実施例における赤外線光源Lは、ダイヤモンド膜2(p型半導体ダイヤモンド膜2Pであってもアンドープダイヤモンド膜2Uであってもよい)を、その中央部を絶縁基板1によって支持されていない部分2jとし、その両側を絶縁基板1によって支持されている部分2hとし、このダイヤモンド膜2上に形成される導電性薄膜18の前記部分2jに対応する部分18aを所定の厚みの発光部とする一方、前記部分2hに対応する部分18bの厚みを、前記発光部18aのそれよりも大きくしている。
【0051】
図10は、第7実施例の赤外線光源Lを示す。この実施例における赤外線光源Lは、絶縁基板1の上面に電気抵抗測定用の電極19を形成し、次いで、電極19の一部を残してp型半導体ダイヤモンド膜2Pを形成し、その上面にアンドープダイヤモンド膜2Uを積層し、このアンドープダイヤモンド膜2Uの上面に、図9に示すものと同様の導電性薄膜18を形成したものである。
【0052】
このように構成した赤外線光源Lにおいては、発光部18aの温度を測定または推定できるので、発光部18aの温度制御をより精度よく行うことができる。
【0053】
この発明は、上述の実施例に限られるものではなく、種々に変形して実施することができる。例えば、一つの絶縁基板1上に複数の発光部が形成してあってもよい。そして、発光部2a,18aの形状は、必ずしも蛇行させる必要はなく、この部分を連続した状態にしてあってもよく、種々のパターン形状にしてあってもよい。また、ダイヤモンド膜2を(100)または(111)に配向された高配向性膜とすることにより、ダイヤモンド膜2の長期劣化を低減することができる。
【0054】
【発明の効果】
この発明は、以上のような形態で実施され、以下のような効果を奏する。
【0055】
請求項1に記載された発明においては、電極が形成されたダイヤモンド膜を構成要素とする赤外線光源において、前記ダイヤモンド膜がp型半導体膜であるとともに、前記ダイヤモンド膜の発光部に対応する部分には絶縁基板が形成されないよう構成されているので、耐熱性に優れるとともに、熱容量が小さくなり、高速で昇・降温することができ、応答性に優れるほか、全体構成がコンパクトになる。そして、発光部がp型半導体ダイヤモンド膜よりなるので、その抵抗値が負の温度係数を有するようになり、光源自体の温度を測定できるとともに、前記抵抗値が一定になるように電流を制御することにより、温度を一定に保つことができる。
【0056】
また、請求項2に記載された発明においては、電極が形成されたダイヤモンド膜を構成要素とする赤外線光源において、前記ダイヤモンド膜がp型半導体層とアンドープ層とが積層された構造を有するとともに、前記ダイヤモンド膜の発光部に対応する部分には絶縁基板が形成されないよう構成されているので、前記請求項1に記載された発明の効果に加えて、p型半導体層がホモエピタキシャル成長することができ、膜特性が均一にできるといった優れた効果が得られる。
【0057】
さらに、請求項3に記載された発明においては、発光源がダイヤモンド膜と導電性薄膜とが密着した構造である赤外線光源であって、前記導電性薄膜は前記ダイヤモンド膜上に形成されているとともに、前記導電性薄膜を電極兼発光部とし、さらに、少なくとも前記発光部直下のダイヤモンド部分に対応する部分には絶縁基板が形成されないよう構成されているので、ダイヤモンド膜の熱容量が小さいことによって、昇・降温が速く、また、ダイヤモンド膜の安定性のため、導電性薄膜の拡散などの変化が少なく、かつ耐久性の高い赤外線光源を得ることができる。そして、発光部の温度を測定または推定することができるので、発光部の温度制御をより精度よく行うことができるといった効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の赤外線光源を示す縦断面図である。
【図2】 前記赤外線光源の全体形状を示す斜視図である。
【図3】 第2実施例の赤外線光源を示す縦断面図である。
【図4】 前記赤外線光源の全体形状を示す斜視図である。
【図5】 第3実施例の赤外線光源を示す縦断面図である。
【図6】 第4実施例の赤外線光源を示す縦断面図である。
【図7】 前記赤外線光源の全体形状を示す斜視図である。
【図8】 第5実施例の赤外線光源を示す縦断面図である。
【図9】 第6実施例の赤外線光源を示す縦断面図である。
【図10】 第6実施例の赤外線光源を示す縦断面図である。
【図11】 マイクロ波CVD装置の一例を概略的に示す図である。
【符号の説明】
1…絶縁基板、2…ダイヤモンド膜、2P…p型半導体ダイヤモンド膜、2U…アンドープダイヤモンド膜、2a…発光部、3…電極、18…導電性薄膜、18a…発光部。
Claims (11)
- 電極が形成されたダイヤモンド膜を構成要素とする赤外線光源において、前記ダイヤモンド膜がp型半導体膜であるとともに、前記ダイヤモンド膜の発光部に対応する部分には絶縁基板が形成されないよう構成されていることを特徴とする赤外線光源。
- 電極が形成されたダイヤモンド膜を構成要素とする赤外線光源において、前記ダイヤモンド膜がp型半導体層とアンドープ層とが積層された構造を有するとともに、前記ダイヤモンド膜の発光部に対応する部分には絶縁基板が形成されないよう構成されていることを特徴とする赤外線光源。
- 発光源がダイヤモンド膜と導電性薄膜とが密着した構造である赤外線光源であって、前記導電性薄膜は前記ダイヤモンド膜上に形成されているとともに、前記導電性薄膜を電極兼発光部とし、さらに、少なくとも前記発光部直下のダイヤモンド部分に対応する部分には絶縁基板が形成されないよう構成されていることを特徴とする赤外線光源。
- 発光源が気相合成されているダイヤモンド膜である請求項1〜3のいずれかに記載の赤外線光源。
- ダイヤモンド膜が電気絶縁性のアンドープ膜である請求項3に記載の赤外線光源。
- 電極材料が白金、金、モリブデン、ニッケル、タングステン、チタンから選ばれた少なくとも1つ以上の元素を含む請求項1〜5のいずれかに記載の赤外線光源。
- ダイヤモンド膜におけるボロンドーピング濃度が1016/cm3 〜1022/cm3 といった濃度である請求項1〜6のいずれかに記載の赤外線光源。
- 電極直下のダイヤモンド膜におけるボロンドーピング濃度が1020/cm3 〜1023/cm3 といった高濃度である請求項1,2および4、5のいずれかに記載の赤外線光源。
- 電気抵抗を測定することにより、発光部の温度を測定または推定し、発光部の制御を行う請求項1〜8のいずれかに記載の赤外線光源。
- 一つの絶縁基板上に複数の発光部が形成されている請求項1〜9のいずれかに記載の赤外線光源。
- ダイヤモンド膜が(100)または(111)に配向された高配向性膜である請求項1〜10のいずれかに記載の赤外線光源。
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