JP7027714B2 - ウエハキャップ、遠赤外線センサ、遠赤外線検出装置、キャップ - Google Patents
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Description
しかし、ゲルマニウムは非常に希少な材料であり、ゲルマニウム製のレンズは、非常に高価である。また、そのようなレンズを複数枚組み合わせてレンズ群を形成するため、遠赤外線センサが非常に高価になり、普及の妨げになるという問題があった。
特許文献1では、レンズ材料として、有機材料に微粒化した無機材料を混入させた材料を用いる等、ゲルマニウム以外の材料を選択することにより改善を図っているが、レンズの加熱等が必要であり、より簡単な構成であって、安価な遠赤外線検出装置の実現が望まれている。
第1の発明は、センサウエハ(170)に一体に接合可能なウエハキャップであって、シリコンにより形成され、複数の同形状のキャップ部(11)が配列されて形成されており、前記キャップ部は、本体層(12)と、前記本体層の少なくとも一方の面に形成され、凸フレネルレンズ形状又は凹フレネルレンズ形状であるレンズ形状部(14)と、を備えるウエハキャップ(110)である。
第2の発明は、第1の発明のウエハキャップにおいて、少なくともセンサウエハとの接合時に外側となる面には、反射抑制層(15)が形成されていること、を特徴とするウエハキャップ(110)である。
第3の発明は、遠赤外線の波長域の光を検知する検出素子(18)を備えるセンサ基板部(17)と、前記センサ基板部の少なくとも前記検出素子を被覆し、前記センサ基板部に接合されるキャップ部(11)と、を備える遠赤外線センサであって、前記キャップ部は、シリコンにより形成され、本体層(12)と、前記本体層の少なくとも一方の面に形成されたレンズ形状部(14)と、を備え、前記レンズ形状部は、凸フレネルレンズ形状又は凹フレネルレンズ形状であり、前記検出素子に対応する位置に設けられること、を特徴とする遠赤外線センサ(10)である。
第4の発明は、第3の発明の遠赤外線センサにおいて、前記キャップ部の少なくとも遠赤外線の入射側となる面には、反射抑制層(15)が形成されていること、を特徴とする遠赤外線センサ(10)である。
第5の発明は、第3の発明又は第4の発明の遠赤外線センサ(10)と、前記遠赤外線センサの前記キャップ部(11)よりも遠赤外線の入射側に配置され、少なくとも1つのレンズ(21)を備える光学系(20)と、前記遠赤外線センサの駆動を制御する制御部(31)と、を備える遠赤外線検出装置(1)である。
第6の発明は、本体層(12)と、凸フレネルレンズ形状又は凹フレネルレンズ形状であって、前記本体層の少なくとも一方の面に形成されるレンズ形状部(14)と、を備え、遠線赤外線の波長域の光を検知する検出素子(18)を備えるセンサ基板(17)に接合され、前記検出素子を被覆するキャップ(11)である。
本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
図1は、実施形態の遠赤外線検出装置1を説明する図である。
本実施形態の遠赤外線検出装置1は、レンズ部20、シャッター部25、制御部31、処理部32、遠赤外線センサ部10等を備えている。図1では、理解を容易にするために、光軸O方向に平行なZ軸を示している。このZ軸において、対象物側が+Z側、遠赤外線センサ部10側が-Z側とする。
レンズ部20は、少なくとも1枚のレンズ21を備え、遠赤外線を集光する機能を有する光学系であり、遠赤外線センサ部10よりも遠赤外線の入射側(+Z側)に設けられている。図1では、一例として2枚のレンズ21を備えるレンズ部20を示している。各レンズ21の形状やその組み合わせは、所望するレンズ部20としての光学性能に応じて適宜選択してよい。また、レンズ21は、フレネルレンズ形状のものを用いてもよい。
レンズ部20に用いられるレンズ21は、ゲルマニウムやカルコゲナイドガラス、シリコン、セレン化亜鉛、硫化亜鉛等の遠赤外線(特に、波長域が8~12μmの遠赤外線)を透過する材料によって形成されている。
また、遠赤外線検出装置1は、レンズ部20とシャッター部25との間に、所望する光学性能等に応じて、絞り等を備えていてもよい。
処理部32は、遠赤外線センサ部10に電気的に接合されており、遠赤外線センサ部10からの出力信号を用いて画像化等の処理する処理回路である。この処理部32は、不図示の出力部を有しており、遠赤外線検出装置1の外へ画像処理を施した信号等を出力可能である。
なお、上記に限らず、遠赤外線検出装置1は、不図示の記憶部や表示部等をさらに備える形態としてもよい。
遠赤外線センサ部10は、平面視が矩形状の板状の部材である。遠赤外線センサ部10は、センサ基板17と、センサ基板17よりも+Z側(遠赤外線の入射側、対象物側)に位置するキャップ部11とを備えている。
この遠赤外線センサ部10は、センサ基板17とキャップ部11とをウエハ状態で接合した後、個片化するウエハレベルパッケージ(WLP)により形成されたいわゆるパッケージである。
検出素子18は、遠赤外領域の光(遠赤外線)を受光し、電気信号に変換する素子である。本実施形態の検出素子18は、遠赤外線の波長域(特に、約8~12μmの波長域)の光に対して受光感度を有している。このような検出素子18としては、例えば、マイクロボロメーターやサーモパイル、焦電素子等が用いられる。
この検出素子18は、センサ基板17の+Z側(入射側)に配置され、センサ基板17に設けられた不図示の配線と電気的に接続されている。
なお、検出素子18が出力した信号に対して、信号処理を行って処理部32へ出力する不図示のIC回路等が、センサ基板17上に設けられ、センサ基板17上の配線を介して検出素子18と電気的に接続されている形態としてもよい。
キャップ部11は、シリコンにより形成され、本体層12、この本体層12の少なくとも一方の面に形成されたレンズ形状部14、本体層12からセンサ基板17側(-Z側)へ突出した突出部13等を有している。
図2では、一例として、レンズ形状部14が凸フレネルレンズ形状であり、本体層12の+Z側(入射側)の面に形成されている例を示している。しかし、このレンズ形状部14は、レンズ部20の光学性能に応じて、凹フレネルレンズ形状としてもよい。
突出部13のセンサ基板17側の端部には、接合層16が設けられており、この接合層16によりセンサ基板17とキャップ部11とが一体に接合されている。この接合層16は、金(Au)等の金属により形成されている。
突出部13の高さ(本体層12からの突出高さ)は、レンズ形状部14の焦点距離に応じて設定可能である。また、この突出部13を設けることにより、検出素子18とキャップ部11との間に空間19が形成されている。この空間19は、本実施形態では真空であるが、適宜、空気等の気体が封入されている形態としてもよい。
この反射抑制層15は、反射抑制機能を有する材料、例えば、ダイヤモンドライクカーボン(DLC:Diamond-Like Carbon)等を所定の膜厚でコーティングする等により形成される。
このような反射抑制層15を設けることにより、ゲルマニウム等に比べて遠赤外線の透過率が低いシリコン製のレンズ形状部14であっても、遠赤外線の透過率を向上させることができる。
遠赤外線検出装置1のレンズ部20としては、ゲルマニウム等の希少材料を用いたレンズ21が用いられるが、そのようなレンズ21を減らして、より安価なシリコン製のレンズを従来使用されているキャップ部11に形成することにより、遠赤外線検出装置1の小型化や軽量化、生産コストの低減を図ることができる。
また、一般的な遠赤外線検出装置等において、レンズ部20のレンズ21は、遠赤外線(特に波長8~12μm)の透過率が高いゲルマニウムにより形成されている。一般的にシリコンは、ゲルマニウムに比して、遠赤外線の透過率が低い傾向にある。しかし、上述のように、レンズ形状部14のレンズ形状をフレネルレンズ形状とすることにより、レンズ形状部14の厚みを薄くでき、透過率を十分確保することができる。
図3は、本実施形態のキャップ部11の別の形態を説明する図である。
図3(a)に示すように、キャップ部11の領域S1において、本体層12の-Z側(センサ基板17側)の面にレンズ形状部14を設けてもよい。
また、図3(b)に示すように、キャップ部11の領域S1において、本体層12の両面(+Z側及び-Z側の面)にレンズ形状部14を設けてもよい。
図4は、本実施形態の遠赤外線センサ部10の製造方法を説明する図である。なお、図4(b)~(e)は、シリコンウエハ110、センサウエハ170の一部(1つのパッケージに相当する領域)を拡大して示している。
図4(a)に示すように、シリコンウエハ110を用意する。
このシリコンウエハ110の片面110bにレジストを塗付し、所定のマスクパターンを設けて露光、現像する。その後、ドライエッチングを行い、図4(b)に示すように、シリコンウエハ110の片面110bに突出部13が形成される。
次に、シリコンウエハ110の突出部13が形成された面110bとは反対側の面110aを研磨し、シリコンウエハ110(本体層12)の厚みを所定の値まで薄くした後、図4(c)に示すように、エッチングによりレンズ形状部14を形成する。
次に、図4(e)に示すように、センサウエハ170を用意し、所定の配線を形成し、さらに検出素子18を配置して配線と電気的に接続する。
そして、突出部13の端部に金(Au)や銅(Cu)、アルミニウム(Al)等をスパッタリングや蒸着等により接合層16を形成し、図4(f)に示すように、シリコンウエハ110とセンサウエハ170との位置を合わせ、接合する。そして、ダイシング(個片化)することにより、図4(g)に示すように、遠赤外線センサ部10(パッケージ)が完成する。
上述のように形成された遠赤外線センサ部10を、遠赤外線検出装置1内の所定の位置に配置し、制御回路等を接続することにより、遠赤外線検出装置1が完成する。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)実施形態において、遠赤外線センサ部10は、遠赤外線検出装置1に使用される例を示したが、これに限らす、例えば、遠赤外線カメラに使用してもよい。
10 遠赤外線センサ部
11 キャップ部
12 本体層
13 突出部
14 レンズ形状部
15 反射抑制層
16 接合層
17 センサ基板
18 検出素子
Claims (5)
- センサウエハに一体に接合可能なウエハキャップであって、
シリコンにより形成され、
複数の同形状のキャップ部が配列されて形成されており、
前記キャップ部は、
本体層と、
前記本体層の少なくともセンサウエハとの接合時に外側となる面に形成され、前記キャップ部の厚み方向に平行な断面において少なくとも一部に、断面三角形状の単位レンズが配列された凸フレネルレンズ形状又は凹フレネルレンズ形状であるレンズ形状部と、
を備え、
前記レンズ形状部の前記単位レンズの表面には、ダイヤモンドライクカーボンからなる反射抑制層が形成されていること、
を特徴とするウエハキャップ。 - 遠赤外線の波長域の光を検知する検出素子を備えるセンサ基板部と、
前記センサ基板部の少なくとも前記検出素子を被覆し、前記センサ基板部に接合されるキャップ部と、
を備える遠赤外線センサであって、
前記キャップ部は、
シリコンにより形成され、
本体層と、
前記本体層の少なくとも遠赤外光の入射側となる面に形成されたレンズ形状部と、
を備え、
前記レンズ形状部は、前記キャップ部の厚み方向に平行な断面において少なくとも一部に、断面三角形状の単位レンズが配列された凸フレネルレンズ形状又は凹フレネルレンズ形状であり、前記検出素子に対応する位置に設けられ、
前記レンズ形状部の前記単位レンズの表面には、ダイヤモンドライクカーボンからなる反射抑制層が形成されていること、
を特徴とする遠赤外線センサ。 - 請求項2に記載の遠赤外線センサと、
前記遠赤外線センサの前記キャップ部よりも遠赤外線の入射側に配置され、少なくとも1つのレンズを備える光学系と、
前記遠赤外線センサの駆動を制御する制御部と、
を備える遠赤外線検出装置。 - 請求項3に記載の遠赤外線検出装置において
前記レンズは、セレン化亜鉛により形成されていること、
を特徴とする遠赤外線検出装置。 - 本体層と、
厚み方向に平行な断面において少なくとも一部に、断面三角形状の単位レンズが配列された凸フレネルレンズ形状又は凹フレネルレンズ形状であって、前記本体層の少なくともセンサ基板との接合時に外側となる面に形成されるレンズ形状部と、
を備え、
遠線赤外線の波長域の光を検知する検出素子を備えるセンサ基板に接合され、前記検出素子を被覆し、
前記レンズ形状部の前単位レンズの表面には、ダイヤモンドライクカーボンからなる反射抑制層が形成されているキャップ。
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