JP7015285B2 - 光検出装置 - Google Patents

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本発明は、距離が可変とされた第1ミラー及び第2ミラーを有するファブリペロー干渉フィルタを備える光検出装置に関する。
特許文献1には、距離が可変とされた第一反射膜及び第二反射膜を有する干渉フィルタと、干渉フィルタを支持する基板と、干渉フィルタと基板との間に介在させられた接着層と、を備える光モジュールが記載されている。特許文献1記載の光モジュールにおいては、干渉フィルタと基板との間における熱膨張係数の差に起因して干渉フィルタに生じる応力を緩和するために、接着層にゲル状樹脂が用いられている。
特開2012-173347号公報
しかしながら、距離が可変とされた第1ミラー及び第2ミラーを有するファブリペロー干渉フィルタと支持部材とを固定する場合、第1ミラーと第2ミラーとの距離を極めて精度良く制御する必要があることから、ファブリペロー干渉フィルタと支持部材との間に、ゲル状樹脂からなる接着層を介在させただけでは、使用環境温度の変化等に起因してファブリペロー干渉フィルタに生じる応力の変動を十分に抑制することができず、その結果、ファブリペロー干渉フィルタにおける透過波長の温度特性(ファブリペロー干渉フィルタによって透過させられる光の波長についての温度特性)を十分に改善することができないおそれがある。また、ファブリペロー干渉フィルタと支持部材との固定に、ゲル状樹脂からなる接着層を用いると、支持部材上におけるファブリペロー干渉フィルタの保持状態が不安定になるおそれがある。
そこで、本発明は、ファブリペロー干渉フィルタにおける透過波長の温度特性を十分に改善することができると共に、支持部材上におけるファブリペロー干渉フィルタの保持状態を安定させることができる光検出装置を提供することを目的とする。
本発明の光検出装置は、距離が可変とされた第1ミラー及び第2ミラーを有し、第1ミラーと第2ミラーとの距離に応じた光を透過させる光透過領域を有するファブリペロー干渉フィルタと、光透過領域を透過した光を検出する光検出器と、ファブリペロー干渉フィルタの底面のうち光透過領域の外側の部分が載置された載置面を有する支持部材と、ファブリペロー干渉フィルタと支持部材とを接着する接着部材と、を備え、接着部材の弾性率は、支持部材の弾性率よりも小さく、ファブリペロー干渉フィルタの側面の少なくとも一部は、載置面の一部が側面の外側に配置されるように、載置面上に位置しており、接着部材は、側面、及び載置面の一部によって形成された隅部に配置され、側面、及び載置面の一部のそれぞれに接触している。
この光検出装置では、支持部材の弾性率よりも小さい弾性率を有する接着部材が、ファブリペロー干渉フィルタの側面、及び支持部材の載置面の一部によって形成された隅部に配置されており、ファブリペロー干渉フィルタの側面、及び支持部材の載置面の一部のそれぞれに接触している。これにより、例えば、ファブリペロー干渉フィルタの底面と支持部材の載置面との間に接着部材が介在させられているだけの場合に比べ、ファブリペロー干渉フィルタと支持部材との間における熱膨張係数の差に起因してファブリペロー干渉フィルタに生じる応力を十分に接着部材に吸収させることができる。また、例えば、ファブリペロー干渉フィルタの底面と支持部材の載置面との間に接着部材が介在させられているだけの場合に比べ、ファブリペロー干渉フィルタを安定した状態でより強固に支持部材上に保持することができる。よって、この光検出装置によれば、ファブリペロー干渉フィルタにおける透過波長の温度特性を十分に改善することができると共に、支持部材上におけるファブリペロー干渉フィルタの保持状態を安定させることができる。
本発明の光検出装置では、接着部材は、隅部に配置された第1部分と、載置面と底面との間に配置された第2部分と、を含み、載置面に垂直な方向における第1部分の高さから、載置面に垂直な方向における第2部分の厚さを減じた値は、第2部分の厚さよりも大きくてもよい。これにより、ファブリペロー干渉フィルタと支持部材との間における熱膨張係数の差に起因してファブリペロー干渉フィルタに生じる応力をより十分に接着部材に吸収させることができる。
本発明の光検出装置では、ファブリペロー干渉フィルタは、第1ミラー及び第2ミラーを支持する基板を更に有し、隅部に配置された接着部材は、側面において基板に接触していてもよい。これにより、ファブリペロー干渉フィルタと支持部材との間における熱膨張係数の差に起因してファブリペロー干渉フィルタに生じる応力をより十分に接着部材に吸収させることができる。また、第1ミラー及び第2ミラーを支持する基板が接着部材によって外側から保持されるため、ファブリペロー干渉フィルタの保持状態をより安定させることができる。
本発明の光検出装置では、側面は、第1側面を含み、接着部材は、第1側面によって形成された隅部の全体に渡って連続するように、第1側面によって形成された隅部に配置され、第1側面に接触していてもよい。これにより、例えば、第1側面によって形成された隅部に複数の接着部材が断続的に配置されている場合に比べ、ファブリペロー干渉フィルタと支持部材との間における熱膨張係数の差に起因してファブリペロー干渉フィルタに生じる応力を均一に接着部材に吸収させることができる。
本発明の光検出装置では、側面は、光透過領域を挟んで互いに対向する第2側面及び第3側面を含み、接着部材は、第2側面によって形成された隅部、及び第3側面によって形成された隅部のそれぞれに配置され、第2側面及び第3側面のそれぞれに接触していてもよい。これにより、ファブリペロー干渉フィルタをより安定した状態で支持部材上に保持することができる。
本発明の光検出装置では、側面は、角部を形成する第4側面及び第5側面を含み、接着部材は、第4側面によって形成された隅部、及び第5側面によって形成された隅部のそれぞれに配置され、第4側面及び第5側面のそれぞれに接触していてもよい。これにより、ファブリペロー干渉フィルタと支持部材との間における熱膨張係数の差に起因してファブリペロー干渉フィルタに生じる応力が集中し易い角部において、当該応力を十分に接着部材に吸収させることができる。
本発明の光検出装置では、第4側面によって形成された隅部に配置された接着部材と、第5側面によって形成された隅部に配置された接着部材とは、互いに連続していてもよい。これにより、ファブリペロー干渉フィルタと支持部材との間における熱膨張係数の差に起因してファブリペロー干渉フィルタに生じる応力が集中し易い角部において、当該応力をより十分に接着部材に吸収させることができる。
本発明によれば、ファブリペロー干渉フィルタにおける透過波長の温度特性を十分に改善することができると共に、支持部材上におけるファブリペロー干渉フィルタの保持状態を安定させることができる光検出装置を提供することが可能となる。
第1実施形態の光検出装置の断面図である。 図1の光検出装置のファブリペロー干渉フィルタの断面図である。 図1の光検出装置のうち、ファブリペロー干渉フィルタ、スペーサ及び接着部材を含む部分の平面図である。 図1の光検出装置のうち、ファブリペロー干渉フィルタ、スペーサ及び接着部材を含む部分の断面図である。 第2実施形態の光検出装置の断面図である。 図5の光検出装置のうち、ファブリペロー干渉フィルタ、第3層基板及び接着部材を含む部分の平面図である。 第2実施形態の光検出装置の変形例の断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する部分を省略する。
[第1実施形態]
[光検出装置の構成]
図1に示されるように、光検出装置1Aは、配線基板2と、光検出器3と、複数のスペーサ4と、複数の接着部材5と、ファブリペロー干渉フィルタ10と、を備えている。ファブリペロー干渉フィルタ10は、距離が可変とされた第1ミラー31及び第2ミラー41を有している。光検出装置1Aは、分光スペクトルを得ることができる分光センサである。つまり、光検出装置1Aにおいては、外部からファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域11に光が入射すると、光透過領域11における第1ミラー31と第2ミラー41との距離に応じて、所定の波長を有する光が選択的に透過させられ、ファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域11を透過した光が光検出器3によって検出される。
配線基板2には、光検出器3、及びサーミスタ等の温度補償用素子(図示省略)が実装されている。配線基板2の基板材料としては、例えば、シリコン、セラミック、石英、ガラス、プラスチック等を用いることができる。光検出器3は、ファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域11を透過した光を受光する受光部3aを有している。光透過領域11と受光部3aとは、光透過領域11を光が透過する方向Aにおいて互いに対向している。光検出器3としては、例えば、赤外線検出器を用いることができる。その赤外線検出器としては、例えば、InGaAs等が用いられた量子型センサ、サーモパイル又はボロメータ等が用いられた熱型センサ等を用いることができる。なお、紫外、可視、近赤外の各波長域の光を検出する場合には、光検出器3として、例えば、シリコンフォトダイオード等を用いることができる。また、光検出器3には、1つの受光部3aが設けられていてもよいし、或いは、複数の受光部3aがアレイ状に設けられていてもよい。更に、複数の光検出器3が配線基板2に実装されていてもよい。
複数のスペーサ4は、配線基板2上に接着部材(図示省略)によって固定されている。ファブリペロー干渉フィルタ10は、複数のスペーサ4上に接着部材5によって固定されている。複数のスペーサ4は、配線基板2上においてファブリペロー干渉フィルタ10を支持する支持部材として機能している。光検出器3は、複数のスペーサ4によって配線基板2とファブリペロー干渉フィルタ10との間に形成された空間に配置されている。各スペーサ4の材料としては、例えば、シリコン、セラミック、石英、ガラス、プラスチック等を用いることができる。特に、ファブリペロー干渉フィルタ10と各スペーサ4との間における熱膨張係数の差を緩和するために、各スペーサ4の材料は、ファブリペロー干渉フィルタ10の材料と比較して、熱膨張係数が同等であることが好ましい。なお、配線基板2及びスペーサ4は、一体として形成されていてもよい。また、ファブリペロー干渉フィルタ10は、複数のスペーサ4によってではなく、1つのスペーサ4によって支持されていてもよい。
ファブリペロー干渉フィルタ10と各スペーサ4とを接着する接着部材5の材料としては、可撓性を有する樹脂材料(例えば、シリコーン系、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系、ハイブリッド等の樹脂材料であって、導電性であっても或いは非導電性であってもよい)を用いることができる。その樹脂材料としては、ヤング率が1000MPa未満の材料から選択されることが好ましく、ヤング率が10MPa未満の材料から選択されることがより好ましい。また、その樹脂材料としては、ガラス転移温度が光検出装置1Aの使用環境温度から外れた材料から選択されることが好ましい。例えば、接着部材5の材料として、シリコーン系の樹脂材料を含む接着剤を用いれば、硬化後のヤング率は、10MPa未満となり、ガラス転移温度は、使用環境温度(例えば、5~40℃程度)よりも低い-50~-40℃程度となる。
ここで、ファブリペロー干渉フィルタ10と各スペーサ4とを接着する接着部材5の弾性率は、スペーサ4の弾性率よりも小さい。また、ファブリペロー干渉フィルタ10と各スペーサ4とを接着する接着部材5の弾性率は、配線基板2と各スペーサ4とを接着する接着部材(図示省略)の弾性率よりも小さい。例えば、配線基板2と各スペーサ4とを接着する接着部材の材料として、エポキシ系の樹脂材料を含む接着剤を用いれば、硬化後のヤング率は、100MPa以上となる。また、スペーサ4のヤング率は、シリコンからなる場合には100GPa以上、セラミックからなる場合には100GPa以上、ガラスからなる場合には10GPa以上(一般的には70~80GPa)、プラスチックからなる場合には0.1GPa以上となる。なお、弾性率とは、ヤング率(縦弾性係数:引張・圧縮応力に対する歪みの関係)、横弾性係数(せん断応力に対する歪みの関係)、及び体積弾性率(一様圧縮下における圧力と体積歪みとの関係)を総称したものである。つまり、ヤング率は、弾性率の一具体例である。
光検出装置1Aは、CANパッケージ6を更に備えている。CANパッケージ6は、上述した配線基板2、光検出器3、温度補償用素子(図示省略)、複数のスペーサ4、複数の接着部材5、及びファブリペロー干渉フィルタ10を収容している。CANパッケージ6は、ステム61及びキャップ62を有している。キャップ62には、開口62aが設けられており、開口62aには、内側から板状の光透過部材63が固定されている。光透過領域11と開口62aとは、方向Aにおいて互いに対向している。光透過部材63の材料としては、光検出装置1Aの測定波長範囲に対応した材料(例えば、ガラス、シリコン、ゲルマニウム等)を用いることができる。また、光透過部材63の表面及び裏面の少なくとも一方に、光反射防止層が形成されていてもよい。また、光透過部材63として、測定波長範囲の光のみを透過させるバンドパスフィルタが用いられていてもよい。
ステム61には、配線基板2が固定されている。配線基板2に設けられた電極パッド、光検出器3の端子、温度補償用素子の端子、及びファブリペロー干渉フィルタ10の端子12,13のそれぞれは、ステム61を貫通する複数のリードピン9のそれぞれとワイヤ8によって電気的に接続されている。これにより、光検出器3、温度補償用素子、及びファブリペロー干渉フィルタ10のそれぞれに対する電気信号の入出力等が可能である。光検出装置1Aでは、ファブリペロー干渉フィルタ10の端子12,13の直下にスペーサ4が配置されているため、ワイヤボンディングを確実に実施することができる。
以上のように構成された光検出装置1Aにおいては、外部から開口62a及び光透過部材63を介してファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域11に光が入射すると、光透過領域11における第1ミラー31と第2ミラー41との距離に応じて、所定の波長を有する光が選択的に透過させられる。第1ミラー31及び第2ミラー41を透過した光は、光検出器3の受光部3aに入射して、光検出器3によって検出される。光検出装置1Aでは、ファブリペロー干渉フィルタ10に印加する電圧を変化させながら(すなわち、第1ミラー31と第2ミラー41との距離を変化させながら)、第1ミラー31及び第2ミラー41を透過した光を光検出器3で検出することで、分光スペクトルを得ることができる。
[ファブリペロー干渉フィルタの構成]
図2に示されるように、ファブリペロー干渉フィルタ10は、基板14を備えている。基板14の光入射側の表面14aには、反射防止層15、第1積層体30、犠牲層16及び第2積層体40がこの順序で積層されている。第1積層体30と第2積層体40との間には、枠状の犠牲層16によって空隙(エアギャップ)Sが形成されている。ファブリペロー干渉フィルタ10においては、第2積層体40に対して基板14の反対側から光が入射する。そして、所定の波長を有する光は、ファブリペロー干渉フィルタ10の中央部に画定された光透過領域11を透過する。
なお、基板14は、例えばシリコン、石英、ガラス等からなる。基板14がシリコンからなる場合には、反射防止層15及び犠牲層16は、例えば、酸化シリコンからなる。犠牲層16の厚さは、中心透過波長(すなわち、ファブリペロー干渉フィルタ10が透過させ得る波長範囲の中心波長)の1/2の整数倍であることが好ましい。
第1積層体30のうち光透過領域11に対応する部分は、第1ミラー31として機能する。第1積層体30は、複数のポリシリコン層と複数の窒化シリコン層とが一層ずつ交互に積層されることで構成されている。第1ミラー31を構成するポリシリコン層及び窒化シリコン層のそれぞれの光学厚さは、中心透過波長の1/4の整数倍であることが好ましい。なお、窒化シリコン層の代わりに酸化シリコン層が用いられてもよい。
第2積層体40のうち光透過領域11に対応する部分は、空隙Sを介して第1ミラー31と対向する第2ミラー41として機能する。第2積層体40は、第1積層体30と同様に、複数のポリシリコン層と複数の窒化シリコン層とが一層ずつ交互に積層されることで構成されている。第2ミラー41を構成するポリシリコン層及び窒化シリコン層のそれぞれの光学厚さは、中心透過波長の1/4の整数倍であることが好ましい。なお、窒化シリコン層の代わりに酸化シリコン層が用いられてもよい。
第2積層体40において空隙Sに対応する部分には、第2積層体40の表面40aから空隙Sに至る複数の貫通孔40bが、均一に分布するように設けられている。複数の貫通孔40bは、第2ミラー41の機能に実質的に影響を与えない程度に形成されている。各貫通孔40bの内径は、100nm~5μmである。また、複数の貫通孔40bの開口面積は、第2ミラー41の面積の0.01~10%を占めている。
ファブリペロー干渉フィルタ10においては、第1ミラー31及び第2ミラー41は、基板14に支持されている。そして、第1ミラー31は、基板14の光入射側に配置されている。第2ミラー41は、空隙Sを介して第1ミラー31の光入射側に配置されている。
第1ミラー31には、光透過領域11を囲むように第1電極17が形成されている。また、第1ミラー31には、光透過領域11を含むように第2電極18が形成されている。第1電極17及び第2電極18は、ポリシリコン層に不純物をドープして低抵抗化することで形成されている。第2電極18の大きさは、光透過領域11の全体を含む大きさであることが好ましいが、光透過領域11の大きさと略同一であってもよい。
第2ミラー41には、第3電極19が形成されている。第3電極19は、方向Aにおいて、空隙Sを介して第1電極17及び第2電極18と対向している。第3電極19は、ポリシリコン層に不純物をドープして低抵抗化することで形成されている。
ファブリペロー干渉フィルタ10においては、第2電極18は、方向Aにおいて、第1電極17に対して第3電極19の反対側に位置している。すなわち、第1電極17と第2電極18とは、第1ミラー31において同一平面上に配置されていない。第2電極18は、第1電極17よりも第3電極19から離れている。
端子12は、ファブリペロー干渉フィルタ10に電圧を印加するためのものである。端子12は、光透過領域11を挟んで対向するように一対設けられている。各端子12は、第2積層体40の表面40aから第1積層体30に至る貫通孔内に配置されている。各端子12は、配線21を介して、第1電極17と電気的に接続されている。
端子13は、ファブリペロー干渉フィルタ10に電圧を印加するためのものである。端子13は、光透過領域11を挟んで対向するように一対設けられている。なお、一対の端子12が対向する方向と、一対の端子13が対向する方向とは、直交している。各端子13は、配線22を介して、第3電極19と電気的に接続されている。また、第3電極19は、配線23を介して、第2電極18とも電気的に接続されている。
第1積層体30の表面30aには、トレンチ26,27が設けられている。トレンチ26は、端子13から方向Aに沿って延びる配線23を囲むように環状に延在している。トレンチ26は、第1電極17と配線23とを電気的に絶縁している。トレンチ27は、第1電極17の内縁に沿って環状に延在している。トレンチ27は、第1電極17と第1電極17の内側の領域とを電気的に絶縁している。各トレンチ26,27内の領域は、絶縁材料であっても、空隙であってもよい。
第2積層体40の表面40aには、トレンチ28が設けられている。トレンチ28は、端子12を囲むように環状に延在している。トレンチ28の底面は、犠牲層16に達している。トレンチ28は、端子12と第3電極19とを電気的に絶縁している。トレンチ28内の領域は、絶縁材料であっても、空隙であってもよい。
基板14の光出射側の表面14bには、反射防止層51、第3積層体52、中間層53及び第4積層体54がこの順序で積層されている。反射防止層51及び中間層53は、それぞれ、反射防止層15及び犠牲層16と同様の構成を有している。第3積層体52及び第4積層体54は、それぞれ、基板14を基準として第1積層体30及び第2積層体40と対称の積層構造を有している。これらの反射防止層51、第3積層体52、中間層53及び第4積層体54によって、積層体50が構成されている。積層体50は、基板14の光出射側に配置されており、基板14の反りを抑制する機能を有している。
積層体50には、光透過領域11を含むように、例えば円柱状の開口50aが形成されている。開口50aは、光出射側に開口しており、開口50aの底面は、反射防止層51に至っている。積層体50の光出射側の表面50bには、遮光層29aが形成されている。遮光層29aは、アルミニウム等からなる。遮光層29aの表面及び開口50aの内面には、保護層29bが形成されている。保護層29bは、例えば酸化アルミニウムからなる。なお、保護層29bの厚さを1~100nm(好ましくは、30nm程度)にすることで、保護層29bによる光学的な影響を無視することができる。
以上のように構成されたファブリペロー干渉フィルタ10においては、端子12,13を介して第1電極17と第3電極19との間に電圧が印加されると、当該電圧に応じた静電気力が第1電極17と第3電極19との間に発生する。当該静電気力によって、第2ミラー41は、基板14に固定された第1ミラー31側に引き付けられるように駆動される。この駆動によって、第1ミラー31と第2ミラー41との距離が調整される。ファブリペロー干渉フィルタ10を透過する光の波長は、光透過領域11における第1ミラー31と第2ミラー41との距離に依存する。したがって、第1電極17と第3電極19との間に印加する電圧を調整することで、透過する光の波長を適宜選択することができる。このとき、第2電極18は、電気的に接続された第3電極19と同電位となる。したがって、第2電極18は、光透過領域11において第1ミラー31及び第2ミラー41を平坦に保つための補償電極として機能する。
[ファブリペロー干渉フィルタとスペーサとを接着する接着部材の構成]
図3及び図4を参照して、接着部材5の構成について、より詳細に説明する。なお、図3においては、ワイヤ8、ステム61等が省略されており、図4においては、配線基板2、ワイヤ8、ステム61等が省略されている。
図3に示されるように、ファブリペロー干渉フィルタ10は、一対のスペーサ4A,4Bによって支持されている。一方のスペーサ4Aの載置面4aには、ファブリペロー干渉フィルタ10の底面101のうち、光透過領域11の外側の部分であって且つファブリペロー干渉フィルタ10の側面102aに沿った部分が載置されている。他方のスペーサ4Bの載置面4aには、ファブリペロー干渉フィルタ10の底面101のうち、光透過領域11の外側の部分であって且つファブリペロー干渉フィルタ10の側面102bに沿った部分が載置されている。ファブリペロー干渉フィルタ10は、方向Aから見た場合に矩形状の側面102を有している。側面102のうち、側面(第1側面、第2側面)102aと側面(第1側面、第3側面)102bとは、光透過領域11を挟んで互いに対向している。
側面102aは、スペーサ4Aの載置面4aの一部が側面102aの外側(方向Aから見た場合に側面102の外側)に配置されるように、スペーサ4Aの載置面4a上に位置している。これにより、側面102aと、スペーサ4Aの載置面4aのうち側面102aの外側の部分(ファブリペロー干渉フィルタ10が載置されずに、露出している部分)とで、隅部C1が形成されている。側面102のうち側面(第4側面)102aと共に角部103aを形成する側面(第5側面)102cの角部103a側の一端部は、スペーサ4Aの載置面4aの一部が側面102cの外側に配置されるように、スペーサ4Aの載置面4a上に位置している。これにより、側面102cの一端部と、スペーサ4Aの載置面4aのうち側面102cの一端部の外側の部分(ファブリペロー干渉フィルタ10が載置されずに、露出している部分)とで、隅部C2が形成されている。側面102のうち側面(第4側面)102aと共に角部103bを形成する側面(第5側面)102dの角部103b側の一端部は、スペーサ4Aの載置面4aの一部が側面102dの外側に配置されるように、スペーサ4Aの載置面4a上に位置している。これにより、側面102dの一端部と、スペーサ4Aの載置面4aのうち側面102dの一端部の外側の部分(ファブリペロー干渉フィルタ10が載置されずに、露出している部分)とで、隅部C3が形成されている。なお、上述した側面102a、側面102cの一端部、及び側面102dの一端部は、方向Aから見た場合におけるファブリペロー干渉フィルタ10の外縁の一部に相当する。
側面102bは、スペーサ4Bの載置面4aの一部が側面102bの外側に配置されるように、スペーサ4Bの載置面4a上に位置している。これにより、側面102bと、スペーサ4Bの載置面4aのうち側面102bの外側の部分(ファブリペロー干渉フィルタ10が載置されずに、露出している部分)とで、隅部C4が形成されている。側面102のうち側面(第4側面)102bと共に角部103cを形成する側面(第5側面)102cの角部103c側の他端部は、スペーサ4Bの載置面4aの一部が側面102cの外側に配置されるように、スペーサ4Bの載置面4a上に位置している。これにより、側面102cの他端部と、スペーサ4Bの載置面4aのうち側面102cの他端部の外側の部分(ファブリペロー干渉フィルタ10が載置されずに、露出している部分)とで、隅部C5が形成されている。側面102のうち側面(第4側面)102bと共に角部103dを形成する側面(第5側面)102dの角部103d側の他端部は、スペーサ4Bの載置面4aの一部が側面102dの外側に配置されるように、スペーサ4Bの載置面4a上に位置している。これにより、側面102dの他端部と、スペーサ4Bの載置面4aのうち側面102dの他端部の外側の部分(ファブリペロー干渉フィルタ10が載置されずに、露出している部分)とで、隅部C6が形成されている。なお、上述した側面102b、側面102cの他端部、及び側面102dの他端部は、方向Aから見た場合におけるファブリペロー干渉フィルタ10の外縁の一部に相当する。
スペーサ4Aの載置面4aにおいては、各隅部C1,C2,C3に接着部材5が配置されており、各隅部C1,C2,C3に配置された接着部材5は、互いに連続している。つまり、スペーサ4Aの載置面4aに配置された接着部材5は、隅部C1の全体に渡って連続しており、各角部103a,103bを外側から覆っている。
スペーサ4Bの載置面4aにおいては、各隅部C4,C5,C6に接着部材5が配置されており、各隅部C4,C5,C6に配置された接着部材5は、互いに連続している。つまり、スペーサ4Bの載置面4aに配置された接着部材5は、隅部C4の全体に渡って連続しており、各角部103c,103dを外側から覆っている。
図4に示されるように、スペーサ4Aの載置面4aに配置された接着部材5は、第1部分5a及び第2部分5bを含んでいる。第1部分5aは、各隅部C1,C2,C3に沿って配置された部分であり、各角部103a,103bを介して連続している。第2部分5bは、スペーサ4Aの載置面4aとファブリペロー干渉フィルタ10の底面101との間に配置された部分である。隅部C1において、第1部分5aは、側面102a及びスペーサ4Aの載置面4aのそれぞれに接触している。隅部C2において、第1部分5aは、側面102cの一端部及びスペーサ4Aの載置面4aのそれぞれに接触している。隅部C3において、第1部分5aは、側面102dの一端部及びスペーサ4Aの載置面4aのそれぞれに接触している。つまり、スペーサ4Aの載置面4aに配置された接着部材5は、側面102及びスペーサ4Aの載置面4aのそれぞれに接触している。
同様に、スペーサ4Bの載置面4aに配置された接着部材5は、第1部分5a及び第2部分5bを含んでいる。第1部分5aは、各隅部C4,C5,C6に沿って配置された部分であり、各角部103c,103dを介して連続している。第2部分5bは、スペーサ4Bの載置面4aとファブリペロー干渉フィルタ10の底面101との間に配置された部分である。隅部C4において、第1部分5aは、側面102b及びスペーサ4Bの載置面4aのそれぞれに接触している。隅部C5において、第1部分5aは、側面102cの他端部及びスペーサ4Bの載置面4aのそれぞれに接触している。隅部C6において、第1部分5aは、側面102dの他端部及びスペーサ4Bの載置面4aのそれぞれに接触している。つまり、スペーサ4Bの載置面4aに配置された接着部材5は、側面102及びスペーサ4Bの載置面4aのそれぞれに接触している。
各隅部C1,C2,C3において、第1部分5aのうち最も高い縁部5cは、ファブリペロー干渉フィルタ10の基板14の側面に至っている。つまり、スペーサ4Aの載置面4aに配置された接着部材5は、側面102において基板14に接触している。同様に、各隅部C4,C5,C6において、第1部分5aのうち最も高い縁部5cは、ファブリペロー干渉フィルタ10の基板14の側面に至っている。つまり、スペーサ4Bの載置面4aに配置された接着部材5は、側面102において基板14に接触している。
一例として、各スペーサ4A,4Bの載置面4aに垂直な方向における第1部分5aの高さH、及びファブリペロー干渉フィルタ10の側面102に垂直な方向における第1部分5aの幅Wは、それぞれ、10~1000μmである。なお、ファブリペロー干渉フィルタ10の厚さは、100~1000μmである。載置面4aのうち側面102の外側に張り出した部分の幅(側面102に垂直な方向における幅)は、10~1000μmである。ここで、第1部分5aの高さHは、ファブリペロー干渉フィルタ10の厚さの1/10以上であり且つファブリペロー干渉フィルタ10の厚さ未満であることが好ましい。また、ファブリペロー干渉フィルタ10において、底面101と基板14の光出射側の表面14bとの距離は、0.1~10μmであるから、第1部分5aの高さHを10μm以上とすれば第1部分5aのうち最も高い縁部5cをファブリペロー干渉フィルタ10の基板14の側面に至らせることができる。また、接着部材5において、載置面4aに垂直な方向における第1部分5aの高さHから、載置面4aに垂直な方向における第2部分5bの厚さを減じた値(ファブリペロー干渉フィルタ10の底面101からの縁部5cの高さに相当する)は、載置面4aに垂直な方向における第2部分5bの厚さよりも大きい。
[作用及び効果]
光検出装置1Aでは、各スペーサ4A,4Bの弾性率よりも小さい弾性率を有する接着部材5が、隅部C1,C2,C3,C4,C5,C6に配置されており、ファブリペロー干渉フィルタの側面102、及び各スペーサ4A,4Bの載置面4aの一部のそれぞれに接触している。これにより、例えば、ファブリペロー干渉フィルタ10の底面101と各スペーサ4A,4Bの載置面4aとの間に接着部材5が介在させられているだけの場合に比べ、ファブリペロー干渉フィルタ10と光検出装置1Aを構成する他の部材(各スペーサ4A,4Bだけでなく、配線基板2、ステム61、キャップ62等)との間における熱膨張係数の差に起因してファブリペロー干渉フィルタ10に生じる応力を十分に接着部材5に吸収させることができる。また、例えば、ファブリペロー干渉フィルタ10の底面101と各スペーサ4A,4Bの載置面4aとの間に接着部材5が介在させられているだけの場合に比べ、ファブリペロー干渉フィルタ10を安定した状態でより強固にスペーサ4A,4B上に保持することができる。よって、光検出装置1Aによれば、ファブリペロー干渉フィルタ10における透過波長の温度特性を十分に改善することができると共に、スペーサ4A,4B上におけるファブリペロー干渉フィルタ10の保持状態を安定させることができる。なお、接着部材5は、光検出装置1Aを構成する他の部材(各スペーサ4A,4Bだけでなく、ファブリペロー干渉フィルタ10、配線基板2、ステム61、キャップ62等)の弾性率よりも小さい弾性率を有していることが好ましい。
ここで、接着部材5の弾性率が小さくなるほど、また、接着部材5の量(体積)が大きくなるほど、ファブリペロー干渉フィルタ10における透過波長の温度特性が改善される理由について説明する。まず、各スペーサ4A,4Bの載置面4aとファブリペロー干渉フィルタ10の底面101との間に第2部分5bが介在させられていることで、ファブリペロー干渉フィルタ10と光検出装置1Aを構成する他の部材との間における熱膨張係数の差に起因してファブリペロー干渉フィルタ10に生じる応力が吸収され、結果として、ファブリペロー干渉フィルタ10での応力の発生が抑制される。次に、隅部C1,C2,C3,C4,C5,C6に配置された第1部分5aの量が大きくなるほど、CANパッケージ6内で発生する熱応力(様々なエリア、方向から発生する応力)を十分に回収し得るようになるため(接着部材5による熱応力の吸収量>CANパッケージ6内での熱応力の発生量)、ファブリペロー干渉フィルタ10における透過波長の温度特性が改善される。
また、隅部C1,C2,C3,C4,C5,C6に配置された第1部分5aが、ファブリペロー干渉フィルタ10の側面102を這い上がるようにフィレット状に形成されているため、各スペーサ4A,4Bの載置面4aとファブリペロー干渉フィルタ10の底面101との間だけでなく、側面102の外側からもファブリペロー干渉フィルタ10が保持される。そのため、スペーサ4A,4B上におけるファブリペロー干渉フィルタ10の保持状態が安定する。このように、光検出装置1Aにおける接着部材5の構成は、ファブリペロー干渉フィルタ10における透過波長の温度特性の改善と、スペーサ4A,4B上におけるファブリペロー干渉フィルタ10の保持状態の安定化と、の両立を実現し得るものである。
また、接着部材5において、載置面4aに垂直な方向における第1部分5aの高さHから、載置面4aに垂直な方向における第2部分5bの厚さを減じた値が、載置面4aに垂直な方向における第2部分5bの厚さよりも大きい。これにより、ファブリペロー干渉フィルタ10と光検出装置1Aを構成する他の部材との間における熱膨張係数の差に起因してファブリペロー干渉フィルタ10に生じる応力をより十分に接着部材5に吸収させることができる。
なお、ファブリペロー干渉フィルタ10の側面102に垂直な方向における第1部分5aの幅Wを、各スペーサ4A,4Bの載置面4aに垂直な方向における第1部分5aの高さHよりも大きくすると、ファブリペロー干渉フィルタ10における透過波長の温度特性の改善と、スペーサ4A,4B上におけるファブリペロー干渉フィルタ10の保持状態の安定化と、の両立をより確実に実現することができる。したがって、載置面4aのうち側面102の外側に張り出した部分の幅全体に渡って、接着部材5が接触していることが好ましい。
また、光検出装置1Aでは、隅部C1,C2,C3,C4,C5,C6に配置された接着部材5が、ファブリペロー干渉フィルタ10の側面102において基板14に接触している。これにより、ファブリペロー干渉フィルタ10と光検出装置1Aを構成する他の部材との間における熱膨張係数の差に起因してファブリペロー干渉フィルタ10に生じる応力をより十分に接着部材5に吸収させることができる。また、第1ミラー31及び第2ミラー41を支持する基板14が接着部材5によって外側から保持されるため、ファブリペロー干渉フィルタ10の保持状態をより安定させることができる。
また、光検出装置1Aでは、接着部材5が、ファブリペロー干渉フィルタ10の側面102aによって形成された隅部C1の全体に渡って連続するように、隅部C1に配置されており、側面102aに接触している。同様に、接着部材5が、ファブリペロー干渉フィルタ10の側面102bによって形成された隅部C4の全体に渡って連続するように、隅部C4に配置されており、側面102bに接触している。これにより、例えば、各隅部C1,C4に複数の接着部材5が断続的に配置されている場合、又は接着部材5が各隅部C1,C4の一部における1ヶ所のみに配置されている場合に比べ、ファブリペロー干渉フィルタ10と光検出装置1Aを構成する他の部材との間における熱膨張係数の差に起因してファブリペロー干渉フィルタ10に生じる応力を均一に接着部材5に吸収させることができる。
特に、接着部材5において第1部分5aの高さH及び幅Wが均一であると、CANパッケージ6内で発生する熱応力をより均一に接着部材5に吸収させることができる。このような接着部材5は、次のように形成される。すなわち、各スペーサ4A,4Bの載置面4aに、例えばシリコーン系の樹脂材料を含む接着剤を均一な厚さで塗布し、その上に、ファブリペロー干渉フィルタ10を載置し、その状態で、接着剤を例えば熱硬化させる。ファブリペロー干渉フィルタ10を載置した際に、各スペーサ4A,4Bの載置面4aとファブリペロー干渉フィルタ10の底面101との間に存在する接着剤は、ファブリペロー干渉フィルタ10の自重によって均一な厚さとなる。また、隅部C1,C2,C3,C4,C5,C6に存在する接着剤は、ファブリペロー干渉フィルタ10の側面102を這い上がり、均一な高さ及び幅となる。このようにして、高さH及び幅Wが均一な第1部分5aを含む接着部材5が形成される。
なお、各スペーサ4A,4Bの載置面4aに、ファブリペロー干渉フィルタ10を載置し、その後に、例えばシリコーン系の樹脂材料を含む接着剤を隅部C1,C2,C3,C4,C5,C6に沿って均一な厚さで塗布し、その後に、接着剤を例えば熱硬化させてもよい。この場合にも、接着剤を隅部C1,C2,C3,C4,C5,C6に沿って塗布した際に、各スペーサ4A,4Bの載置面4aとファブリペロー干渉フィルタ10の底面101との間に接着剤が入り込み、当該接着剤は、ファブリペロー干渉フィルタ10の自重によって均一な厚さとなる。また、隅部C1,C2,C3,C4,C5,C6に存在する接着剤は、ファブリペロー干渉フィルタ10の側面102を這い上がり、均一な高さ及び幅となる。或いは、各スペーサ4A,4Bの載置面4aのうちファブリペロー干渉フィルタ10の底面101が載置される領域のみに、例えばシリコーン系の樹脂材料を含む接着剤を塗布し、その後に、ファブリペロー干渉フィルタ10を載置し、その後に、接着剤を例えば熱硬化させ、その後に、例えばシリコーン系の樹脂材料を含む接着剤を隅部C1,C2,C3,C4,C5,C6に沿って均一な厚さで塗布し、その後に、接着剤を例えば熱硬化させてもよい。この場合にも、ファブリペロー干渉フィルタ10を載置した際に、各スペーサ4A,4Bの載置面4aとファブリペロー干渉フィルタ10の底面101との間に存在する接着剤は、ファブリペロー干渉フィルタ10の自重によって均一な厚さとなる。また、隅部C1,C2,C3,C4,C5,C6に存在する接着剤は、ファブリペロー干渉フィルタ10の側面102において、均一な高さ及び幅となる。
また、光検出装置1Aでは、接着部材5が、ファブリペロー干渉フィルタ10の側面102aによって形成された隅部C1に配置されており、側面102aに接触していている。更に、接着部材5が、光透過領域11を挟んで側面102aと対向するファブリペロー干渉フィルタ10の側面102bによって形成された隅部C4に配置されており、側面102bに接触していている。これにより、ファブリペロー干渉フィルタ10をより安定した状態でスペーサ4A,4B上に保持することができる。
特に、接着部材5の材料として、極端に小さいヤング率(10MPa未満のヤング率)を有する材料(例えば、シリコーン系の樹脂材料)が用いられている場合には、互いに対向する側面102a,102bのそれぞれによって形成される隅部C1,C4のそれぞれに接着部材5が配置されていても、CANパッケージ6内で発生する熱応力によってファブリペロー干渉フィルタ10に歪みが生じることが抑制され、むしろ、CANパッケージ6内で発生する熱応力が接着部材5によって吸収される。
また、光検出装置1Aでは、各隅部C1,C2,C3に配置された接着部材5が、互いに連続しており、ファブリペロー干渉フィルタ10の各角部103a,103bを外側から覆っている。同様に、各隅部C4,C5,C6に配置された接着部材5が、互いに連続しており、ファブリペロー干渉フィルタ10の各角部103c,103dを外側から覆っている。これにより、ファブリペロー干渉フィルタ10と光検出装置1Aを構成する他の部材との間における熱膨張係数の差に起因してファブリペロー干渉フィルタ10に生じる応力が集中し易い角部103a,103b,103c,103dにおいて、当該応力を十分に接着部材5に吸収させることができる。
また、光検出装置1Aでは、ファブリペロー干渉フィルタ10の底面101全体に接着部材5が設けられていないため(特に、光透過領域11に接着部材5が設けられていないため)、次の効果が奏される。すなわち、ファブリペロー干渉フィルタ10を透過した光が接着部材5を透過しないため、光透過率の高い接着部材5を選択することが不要となり、接着部材5の選択の自由度が向上する。また、ファブリペロー干渉フィルタ10を透過した光が接着部材5を透過しないため、ファブリペロー干渉フィルタ10を透過する光が、周辺温度の変化に伴う接着部材5の光学特性(屈折率、透過率等)の変化による影響を受けない。また、硬化時における接着部材5の収縮、及び、使用時における周辺温度の変化に伴う接着部材5の膨張及び収縮によって発生する応力に起因して、ファブリペロー干渉フィルタ10が歪んだり、傾いたりすることが抑制される。
[第2実施形態]
[光検出装置の構成]
図5に示されるように、光検出装置1Bは、SMD(Surface Mount Device)として構成されている点で、上述した光検出装置1Aと異なっている。光検出装置1Bは、光検出器3、温度補償用素子(図示省略)及びファブリペロー干渉フィルタ10を収容するSMDパッケージ7を備えている。SMDパッケージ7は、第1層基板71、第2層基板72、第3層基板73、第4層基板74、第5層基板75及び第6層基板76を有している。
第1層基板71、第2層基板72、第3層基板73、第4層基板74、第5層基板75及び第6層基板76は、この順で積層されている。第2層基板72、第3層基板73、第4層基板74及び第5層基板75のそれぞれの中央部には、開口が設けられている。方向Aから見た場合に、第3層基板73の開口は、第2層基板72の開口を含んでいる。方向Aから見た場合に、第4層基板74の開口は、第3層基板73の開口を含んでいる。方向Aから見た場合に、第5層基板75の開口は、第4層基板74の開口を含んでいる。これにより、第1層基板71、第2層基板72、第3層基板73及び第4層基板74のそれぞれの表面の一部は、第5層基板75の開口に露出している。
露出した第1層基板71の表面には、光検出器3及び温度補償用素子(図示省略)が実装されている。第1層基板71の裏面には、複数の電極パッド77が設けられている。光検出器3の各端子、及び温度補償用素子の各端子は、第1層基板71に設けられた配線によって、又は、ワイヤ8及び各基板71,72に設けられた配線によって、電極パッド77と電気的に接続されている。
露出した第3層基板73の表面には、ファブリペロー干渉フィルタ10が接着部材5によって固定されている。ファブリペロー干渉フィルタ10の各端子12、13の上面は、第4層基板74の上面と同等の高さにある。第4層基板74の上面には、電極パッド77と電気的に接続されたパッドが設けられており、各端子12、13は、ワイヤ8によって第4層基板74の上面のパッドと接続されている。ファブリペロー干渉フィルタ10の各端子12,13は、ワイヤ8及び各基板71,72,73、74に設けられた配線によって、電極パッド77と電気的に接続されている。第3層基板73は、第1層基板71及び第2層基板72上においてファブリペロー干渉フィルタ10を支持する支持部材として機能している。
第1層基板71、第2層基板72、第3層基板73、第4層基板74及び第5層基板75の材料としては、例えば、セラミック、樹脂等を用いることができる。特に、ファブリペロー干渉フィルタ10と第3層基板73との間における熱膨張係数の差を緩和するために、第3層基板73の材料は、ファブリペロー干渉フィルタ10の材料と比較して、熱膨張係数が同等であることが好ましい。
ファブリペロー干渉フィルタ10と第3層基板73とを接着する接着部材5の材料としては、可撓性を有する樹脂材料(例えば、シリコーン系、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系、ハイブリッド等の樹脂材料であって、導電性であっても或いは非導電性であってもよい)を用いることができる。その樹脂材料としては、ヤング率が1000MPa未満の材料から選択されることが好ましく、ヤング率が10MPa未満の材料から選択されることがより好ましい。また、その樹脂材料としては、ガラス転移温度が光検出装置1Bの使用環境温度から外れた材料から選択されることが好ましい。例えば、接着部材5の材料として、シリコーン系の樹脂材料を含む接着剤を用いれば、硬化後のヤング率は、10MPa未満となり、ガラス転移温度は、使用環境温度(例えば、5~40℃程度)よりも低い-50~-40℃程度となる。
ここで、ファブリペロー干渉フィルタ10と第3層基板73とを接着する接着部材5の弾性率は、第3層基板73の弾性率よりも小さい。また、ファブリペロー干渉フィルタ10と第3層基板73とを接着する接着部材5の弾性率は、第1層基板71、第2層基板72、第3層基板73、第4層基板74、第5層基板75及び第6層基板76を互いに接着する接着部材(図示省略)の弾性率よりも小さい。例えば、第1層基板71、第2層基板72、第3層基板73、第4層基板74、第5層基板75及び第6層基板76を互いに接着する接着部材の材料として、エポキシ系の樹脂材料を含む接着剤を用いれば、硬化後のヤング率は、100MPa以上となる。
第6層基板76は、光透過基板76a及び遮光層76bを有している。光透過基板76aは、第5層基板75上に接着部材(図示省略)によって固定されている。光透過基板76aの材料としては、光検出装置1Bの測定波長範囲に対応した材料(例えば、ガラス、シリコン、ゲルマニウム等)を用いることができる。遮光層76bは、光透過基板76aの表面に形成されている。遮光層76bの材料としては、遮光材料又は光吸収材料(例えば、アルミニウム等の金属、酸化クロム等の金属酸化物、黒色樹脂等)を用いることができる。遮光層76bには、開口76cが設けられている。光透過領域11と開口76cとは、方向Aにおいて互いに対向している。なお、遮光層76bは、光透過基板76aの裏面に形成されていてもよい。また、光透過基板76aの表面及び裏面の少なくとも一方に、光反射防止層が形成されていてもよい。また、光透過基板76aとして、測定波長範囲の光のみを透過させるバンドパスフィルタが用いられていてもよい。
以上のように構成された光検出装置1Bにおいては、外部から開口76c及び光透過基板76aを介してファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域11に光が入射すると、光透過領域11における第1ミラー31と第2ミラー41との距離に応じて、所定の波長を有する光が選択的に透過させられる。第1ミラー31及び第2ミラー41を透過した光は、光検出器3の受光部3aに入射して、光検出器3によって検出される。光検出装置1Bでは、ファブリペロー干渉フィルタ10に印加する電圧を変化させながら(すなわち、第1ミラー31と第2ミラー41との距離を変化させながら)、第1ミラー31及び第2ミラー41を透過した光を光検出器3で検出することで、分光スペクトルを得ることができる。
[ファブリペロー干渉フィルタと第3層基板とを接着する接着部材の構成]
図5及び図6を参照して、接着部材5の構成について、より詳細に説明する。なお、図6においては、第6層基板76等が省略されている。
図5及び図6に示されるように、第3層基板73の載置面73aには、ファブリペロー干渉フィルタ10の底面101のうち、光透過領域11の外側の部分であって且つファブリペロー干渉フィルタ10の側面102に沿った部分が載置されている。ファブリペロー干渉フィルタ10は、方向Aから見た場合に矩形状の側面102を有している。側面102のうち、側面(第1側面、第2側面)102aと側面(第1側面、第3側面)102bとは、光透過領域11を挟んで互いに対向している。
側面102aは、載置面73aの一部が側面102aの外側(方向Aから見た場合に側面102の外側)に配置されるように、載置面73a上に位置している。これにより、側面102aと、載置面73aのうち側面102aの外側の部分(ファブリペロー干渉フィルタ10が載置されずに、露出している部分)とで、隅部C1が形成されている。側面102のうち側面(第4側面)102aと共に角部103aを形成する側面(第5側面)102cの角部103a側の一端部は、載置面73aの一部が側面102cの外側に配置されるように、載置面73a上に位置している。これにより、側面102cの一端部と、載置面73aのうち側面102cの一端部の外側の部分(ファブリペロー干渉フィルタ10が載置されずに、露出している部分)とで、隅部C2が形成されている。側面102のうち側面(第4側面)102aと共に角部103bを形成する側面(第5側面)102dの角部103b側の一端部は、載置面73aの一部が側面102dの外側に配置されるように、載置面73a上に位置している。これにより、側面102dの一端部と、載置面73aのうち側面102dの一端部の外側の部分(ファブリペロー干渉フィルタ10が載置されずに、露出している部分)とで、隅部C3が形成されている。なお、上述した側面102a、側面102cの一端部、及び側面102dの一端部は、方向Aから見た場合におけるファブリペロー干渉フィルタ10の外縁の一部に相当する。
側面102bは、載置面73aの一部が側面102bの外側に配置されるように、載置面73a上に位置している。これにより、側面102bと、載置面73aのうち側面102bの外側の部分(ファブリペロー干渉フィルタ10が載置されずに、露出している部分)とで、隅部C4が形成されている。側面102のうち側面(第4側面)102bと共に角部103cを形成する側面(第5側面)102cの角部103c側の他端部は、載置面73aの一部が側面102cの外側に配置されるように、載置面73a上に位置している。これにより、側面102cの他端部と、載置面73aのうち側面102cの他端部の外側の部分(ファブリペロー干渉フィルタ10が載置されずに、露出している部分)とで、隅部C5が形成されている。側面102のうち側面(第4側面)102bと共に角部103dを形成する側面(第5側面)102dの角部103d側の他端部は、載置面73aの一部が側面102dの外側に配置されるように、載置面73a上に位置している。これにより、側面102dの他端部と、載置面73aのうち側面102dの他端部の外側の部分(ファブリペロー干渉フィルタ10が載置されずに、露出している部分)とで、隅部C6が形成されている。なお、上述した側面102b、側面102cの他端部、及び側面102dの他端部は、方向Aから見た場合におけるファブリペロー干渉フィルタ10の外縁の一部に相当する。
接着部材5は、各隅部C1,C2,C3に配置されている。各隅部C1,C2,C3に配置された接着部材5は、互いに連続している。つまり、各隅部C1,C2,C3に配置された接着部材5は、隅部C1の全体に渡って連続しており、各角部103a,103bを外側から覆っている。同様に、接着部材5は、各隅部C4,C5,C6に配置されている。各隅部C4,C5,C6に配置された接着部材5は、互いに連続している。つまり、各隅部C4,C5,C6に配置された接着部材5は、隅部C4の全体に渡って連続しており、各角部103c,103dを外側から覆っている。
各隅部C1,C2,C3に配置された接着部材5は、第1部分5a及び第2部分5bを含んでいる。第1部分5aは、各隅部C1,C2,C3に沿って配置された部分であり、各角部103a,103bを介して連続している。第2部分5bは、第3層基板73の載置面73aとファブリペロー干渉フィルタ10の底面101との間に配置された部分である。隅部C1において、第1部分5aは、側面102a、載置面73a及び第4層基板74の開口の内面74aのそれぞれに接触している。隅部C2において、第1部分5aは、側面102cの一端部、載置面73a及び第4層基板74の開口の内面74aのそれぞれに接触している。隅部C3において、第1部分5aは、側面102dの一端部、載置面73a及び第4層基板74の開口の内面74aのそれぞれに接触している。つまり、各隅部C1,C2,C3に配置された接着部材5は、側面102、載置面73a及び第4層基板74の開口の内面74aのそれぞれに接触している。
同様に、各隅部C4,C5,C6に配置された接着部材5は、第1部分5a及び第2部分5bを含んでいる。第1部分5aは、各隅部C4,C5,C6に沿って配置された部分であり、各角部103c,103dを介して連続している。第2部分5bは、第3層基板73の載置面73aとファブリペロー干渉フィルタ10の底面101との間に配置された部分である。隅部C4において、第1部分5aは、側面102b、載置面73a及び第4層基板74の開口の内面74aのそれぞれに接触している。隅部C5において、第1部分5aは、側面102cの他端部、載置面73a及び第4層基板74の開口の内面74aのそれぞれに接触している。隅部C6において、第1部分5aは、側面102dの他端部、載置面73a及び第4層基板74の開口の内面74aのそれぞれに接触している。つまり、各隅部C4,C5,C6に配置された接着部材5は、側面102、載置面73a及び第4層基板74の開口の内面74aのそれぞれに接触している。
各隅部C1,C2,C3において、第1部分5aのうち最も高い側面102側の縁部5cは、ファブリペロー干渉フィルタ10の基板14の側面に至っている。つまり、各隅部C1,C2,C3に配置された接着部材5は、側面102において基板14に接触している。同様に、各隅部C4,C5,C6において、第1部分5aのうち最も高い側面102側の縁部5cは、ファブリペロー干渉フィルタ10の基板14の側面に至っている。つまり、各隅部C4,C5,C6に配置された接着部材5は、側面102において基板14に接触している。なお、縁部5cの高さは、ファブリペロー干渉フィルタ10及び第4層基板74の高さより低い。また、接着部材5において、載置面73aに垂直な方向における第1部分5aの高さHから、載置面73aに垂直な方向における第2部分5bの厚さを減じた値(ファブリペロー干渉フィルタ10の底面101からの縁部5cの高さに相当する)は、載置面73aに垂直な方向における第2部分5bの厚さよりも大きい。
[作用及び効果]
光検出装置1Bでは、第3層基板73の弾性率よりも小さい弾性率を有する接着部材5が、隅部C1,C2,C3,C4,C5,C6に配置されており、ファブリペロー干渉フィルタの側面102、及び第3層基板73の載置面73aの一部のそれぞれに接触している。これにより、例えば、ファブリペロー干渉フィルタ10の底面101と第3層基板73の載置面73aとの間に接着部材5が介在させられているだけの場合に比べ、ファブリペロー干渉フィルタ10と光検出装置1Bを構成する他の部材(第3層基板73だけでなく、第1層基板71、第2層基板72、第4層基板74、第5層基板75、第6層基板76等)との間における熱膨張係数の差に起因してファブリペロー干渉フィルタ10に生じる応力を十分に接着部材5に吸収させることができる。また、例えば、ファブリペロー干渉フィルタ10の底面101と第3層基板73の載置面73aとの間に接着部材5が介在させられているだけの場合に比べ、ファブリペロー干渉フィルタ10を安定した状態でより強固に第3層基板73上に保持することができる。よって、光検出装置1Bによれば、ファブリペロー干渉フィルタ10における透過波長の温度特性を十分に改善することができると共に、第3層基板73上におけるファブリペロー干渉フィルタ10の保持状態を安定させることができる。なお、接着部材5は、光検出装置1Bを構成する他の部材(第3層基板73だけでなく、ファブリペロー干渉フィルタ10、第1層基板71、第2層基板72、第4層基板74、第5層基板75、第6層基板76等)の弾性率よりも小さい弾性率を有していることが好ましい。
また、接着部材5において、載置面73aに垂直な方向における第1部分5aの高さHから、載置面73aに垂直な方向における第2部分5bの厚さを減じた値が、載置面73aに垂直な方向における第2部分5bの厚さよりも大きい。これにより、ファブリペロー干渉フィルタ10と光検出装置1Bを構成する他の部材との間における熱膨張係数の差に起因してファブリペロー干渉フィルタ10に生じる応力をより十分に接着部材5に吸収させることができる。
なお、ファブリペロー干渉フィルタ10の側面102に垂直な方向における第1部分5aの幅Wを、第3層基板73の載置面73aに垂直な方向における第1部分5aの高さHよりも大きくすると、ファブリペロー干渉フィルタ10における透過波長の温度特性の改善と、第3層基板73上におけるファブリペロー干渉フィルタ10の保持状態の安定化と、の両立をより確実に実現することができる。したがって、載置面73aのうち側面102の外側に張り出した部分の幅全体に渡って、接着部材5が接触していることが好ましい。
また、光検出装置1Bでは、隅部C1,C2,C3,C4,C5,C6に配置された接着部材5が、ファブリペロー干渉フィルタ10の側面102において基板14に接触している。これにより、ファブリペロー干渉フィルタ10と光検出装置1Bを構成する他の部材との間における熱膨張係数の差に起因してファブリペロー干渉フィルタ10に生じる応力をより十分に接着部材5に吸収させることができる。また、第1ミラー31及び第2ミラー41を支持する基板14が接着部材5によって外側から保持されるため、ファブリペロー干渉フィルタ10の保持状態をより安定させることができる。
また、光検出装置1Bでは、接着部材5が、ファブリペロー干渉フィルタ10の側面102aによって形成された隅部C1の全体に渡って連続するように、隅部C1に配置されており、側面102aに接触している。同様に、接着部材5が、ファブリペロー干渉フィルタ10の側面102bによって形成された隅部C4の全体に渡って連続するように、隅部C4に配置されており、側面102bに接触している。これにより、例えば、各隅部C1,C4に複数の接着部材5が断続的に配置されている場合、又は接着部材5が各隅部C1,C4の一部における1ヶ所のみに配置されている場合に比べ、ファブリペロー干渉フィルタ10と光検出装置1Bを構成する他の部材との間における熱膨張係数の差に起因してファブリペロー干渉フィルタ10に生じる応力を均一に接着部材5に吸収させることができる。
また、光検出装置1Bでは、接着部材5が、ファブリペロー干渉フィルタ10の側面102aによって形成された隅部C1に配置されており、側面102aに接触していている。更に、接着部材5が、光透過領域11を挟んで側面102aと対向するファブリペロー干渉フィルタ10の側面102bによって形成された隅部C4に配置されており、側面102bに接触していている。これにより、ファブリペロー干渉フィルタ10をより安定した状態で第3層基板73上に保持することができる。
また、光検出装置1Bでは、各隅部C1,C2,C3に配置された接着部材5が、互いに連続しており、ファブリペロー干渉フィルタ10の各角部103a,103bを外側から覆っている。同様に、各隅部C4,C5,C6に配置された接着部材5が、互いに連続しており、ファブリペロー干渉フィルタ10の各角部103c,103dを外側から覆っている。これにより、ファブリペロー干渉フィルタ10と光検出装置1Bを構成する他の部材との間における熱膨張係数の差に起因してファブリペロー干渉フィルタ10に生じる応力が集中し易い角部103a,103b,103c,103dにおいて、当該応力を十分に接着部材5に吸収させることができる。
また、光検出装置1Bでは、ファブリペロー干渉フィルタ10の底面101全体に接着部材5が設けられていないため(特に、光透過領域11に接着部材5が設けられていないため)、次の効果が奏される。すなわち、ファブリペロー干渉フィルタ10を透過した光が接着部材5を透過しないため、光透過率の高い接着部材5を選択することが不要となり、接着部材5の選択の自由度が向上する。また、ファブリペロー干渉フィルタ10を透過した光が接着部材5を透過しないため、ファブリペロー干渉フィルタ10を透過する光が、周辺温度の変化に伴う接着部材5の光学特性(屈折率、透過率等)の変化による影響を受けない。また、硬化時における接着部材5の収縮、及び、使用時における周辺温度の変化に伴う接着部材5の膨張及び収縮によって発生する応力に起因して、ファブリペロー干渉フィルタ10が歪んだり、傾いたりすることが抑制される。
また、光検出装置1Bでは、方向Aにおけるファブリペロー干渉フィルタの両側に横長の空間(方向Aに垂直な方向における幅が、方向Aに平行な方向における幅よりも大きい空間)が設けられる。また、光検出装置1Bでは、方向Aから見た場合に、方向Aにおけるファブリペロー干渉フィルタの両側に設けられた空間の外縁が、SMDパッケージ7の内縁によって画定されている。また、光検出装置1Bでは、ファブリペロー干渉フィルタ10の光入射側に設けられた空間のほうが、ファブリペロー干渉フィルタ10の光出射側に設けられた空間よりも、方向Aに垂直な方向における幅が大きい。その一方で、光検出装置1Bでは、ファブリペロー干渉フィルタ10の光出射側に設けられた空間のほうが、ファブリペロー干渉フィルタ10の光入射側に設けられた空間よりも、方向Aに平行な方向における幅が大きい。また、光検出装置1Bでは、ファブリペロー干渉フィルタ10が、SMDパッケージ7に設けられた配線を介して、SMDパッケージ7の底面に設けられた複数の電極パッド77に電気的に接続されている。
以上により、光検出装置1Bを小型化することができる。また、方向Aにおけるファブリペロー干渉フィルタの両側に横長の空間を設けることで、縦長の空間を設けた場合と比較して、第6層基板76の開口76cとファブリペロー干渉フィルタ10との距離、及び、ファブリペロー干渉フィルタ10と光検出器3との距離を小さく抑えることができる。そのため、開口76cから光が多少斜めに入射したとしても、その入射光にファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域11を透過させて、その透過光を光検出器3の受光部3aに入射させることができる。また、方向Aにおけるファブリペロー干渉フィルタの両側に横長の空間を設けることで、縦長の空間を設けた場合と比較して、SMDパッケージ7を構成する部材の高さを低くして、SMDパッケージ7の体積を小さく抑えることができる。そのため、ファブリペロー干渉フィルタ10とSMDパッケージ7との間における熱膨張係数の違いに起因する応力の発生を抑制することができる。
以上、本発明の第1及び第2実施形態について説明したが、本発明は、上述した第1及び第2実施形態に限定されるものではない。例えば、第1実施形態では、接着部材5が、スペーサ4Aの載置面4aとファブリペロー干渉フィルタ10の底面101との間に配置された第2部分5bを含んでいたが、接着部材5は、第1部分5aを含んでいれば、第2部分5bを含んでいなくてもよい。同様に、第2実施形態では、接着部材5が、第3層基板73の載置面73aとファブリペロー干渉フィルタ10の底面101との間に配置された第2部分5bを含んでいたが、接着部材5は、第1部分5aを含んでいれば、第2部分5bを含んでいなくてもよい。接着部材5が第1部分5aを含んでいれば、ファブリペロー干渉フィルタ10における透過波長の温度特性を十分に改善することができると共に、ファブリペロー干渉フィルタ10の保持状態を安定させることができる。また、各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。
また、第2実施形態では、第1層基板71、第2層基板72、第3層基板73、第4層基板74及び第5層基板75が互いに別体として形成されていたが、図7に示されるように、それらの基板が一体として形成されたものに相当する支持体(支持体)70の載置面70aに、ファブリペロー干渉フィルタ10の底面101が載置されていてもよい。この場合、第1層基板71、第2層基板72、第3層基板73、第4層基板74及び第5層基板75を互いに重ね合せて接着する場合と比較して、形成されたSMDパッケージ7ごとの形状のばらつきが少ない。また、第1層基板71、第2層基板72、第3層基板73、第4層基板74、第5層基板75及び第6層基板76を互いに接着する接着部材が不要であるため、周辺温度の変化に伴う接着部材の膨張及び収縮に起因するSMDパッケージ7の形状の変化が抑制される。また、外気に含まれる水分が接着部材5を介してSMDパッケージ7の内部に侵入することを防ぐことができるため、ファブリペロー干渉フィルタ10とSMDパッケージ7との間の接着部材5が水分の影響で劣化することを抑制することができる。したがって、この場合、より安定した形状のSMDパッケージ7を得ることができる。
また、第1及び第2実施形態では、接着部材5の縁部5cがファブリペロー干渉フィルタ10の基板14の側面に至っていたが、接着部材5の縁部5cは、基板14の側面に至らず、ファブリペロー干渉フィルタ10の積層体50の側面に至っていてもよい。つまり、接着部材5は、基板14の側面に接触せず、積層体50の側面に接触していてもよい。
1A,1B…光検出装置、3…光検出器、4,4A,4B…スペーサ(支持部材)、4a…載置面、5…接着部材、5a…第1部分、5b…第2部分、10…ファブリペロー干渉フィルタ、11…光透過領域、14…基板、31…第1ミラー、41…第2ミラー、70…支持体(支持部材)、70a…載置面、73…第3層基板(支持部材)、73a…載置面、101…底面、102…側面、102a…側面(第1側面、第2側面、第4側面)、102b…側面(第1側面、第3側面、第4側面)、102c,102d…側面(第5側面)、C1,C2,C3,C4,C5,C6…隅部。

Claims (6)

  1. 距離が可変とされた第1ミラー及び第2ミラーを有し、前記第1ミラーと前記第2ミラーとの距離に応じた光を透過させる光透過領域を有するファブリペロー干渉フィルタと、
    前記光透過領域を透過した光を検出する光検出器と、
    前記ファブリペロー干渉フィルタの底面のうち前記光透過領域の外側の部分が載置された第1載置面、及び、前記光検出器の底面が載置された第2載置面を有する支持体と、を備え、
    前記支持体には、前記ファブリペロー干渉フィルタと前記第2載置面との間の空間であって、前記光透過領域を光が透過する方向に垂直な方向における幅が、前記光透過領域を光が透過する前記方向に平行な方向における幅よりも大きい空間が設けられており、
    前記空間において、前記光検出器の端子は、前記支持体における前記空間側の表面に設けられたパッドと、第1ワイヤによって電気的に接続されており、
    前記ファブリペロー干渉フィルタの端子には、配線の一部である第2ワイヤの一端が接続されており、
    前記ファブリペロー干渉フィルタは、前記光透過領域を光が透過する前記方向から見た場合に対向する一対の側面を有し、
    前記光透過領域を光が透過する前記方向から見た場合に、前記一対の側面が対向する方向に平行であり且つ前記ファブリペロー干渉フィルタの中心を通るラインと前記第2ワイヤの他端との距離は、前記ラインと前記第2ワイヤの前記一端との距離よりも小さ
    前記光透過領域を光が透過する前記方向から見た場合に、前記一対の側面のうち前記第2ワイヤの前記他端に近い方の側面と前記第2ワイヤの前記他端との距離は、前記一対の側面の間隔よりも小さい、光検出装置。
  2. 前記光透過領域を光が透過する前記方向から見た場合に、前記パッドの少なくとも一部は、前記ファブリペロー干渉フィルタと重なっている、請求項1に記載の光検出装置。
  3. 前記支持体は、一体として形成されている、請求項1又は2に記載の光検出装置。
  4. 前記支持体は、複数の基板が積層されることで構成されており、
    前記複数の基板は、
    支持基板と、
    前記支持基板上に積層され、第1開口が形成された第1基板と、
    前記第1基板上に積層され、第2開口が形成された第2基板と、を含み、
    前記光透過領域を光が透過する前記方向から見た場合に、前記第2開口は、前記第1開口を含んでおり、
    前記第1載置面は、前記第1基板における前記第2基板側の表面のうち前記第2開口に露出した領域であり、
    前記第2載置面は、前記支持基板における前記第1基板側の表面のうち前記第1開口に露出した領域である、請求項1又は2に記載の光検出装置。
  5. 前記支持体は、前記光透過領域を光が透過する前記方向において、前記第1載置面に対して前記第2載置面とは反対側に位置する面を有し、
    前記ファブリペロー干渉フィルタの前記端子は、前記面に設けられたパッドと、前記第2ワイヤによって電気的に接続されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の光検出装置。
  6. 前記支持体の底面には、電極パッドが設けられており、
    前記ファブリペロー干渉フィルタ及び前記光検出器のそれぞれは、前記支持体に設けられた配線を介して、前記電極パッドと電気的に接続されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の光検出装置。
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