JP7016527B2 - 炭素繊維用分散剤組成物、炭素繊維用分散剤キット、炭素繊維分散組成物、及び炭素繊維シートの製造方法 - Google Patents
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Description
炭素繊維用分散剤組成物が、比較的長い炭素繊維を媒体中に均一に分散させることができることを見出した。
すなわち、本発明は、下記炭素繊維用分散剤組成物、炭素繊維用分散剤キット、炭素繊維分散組成物、及び炭素繊維シートの製造方法に関する。
項1.
下記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイド(A)と、
ポリエチレンオキサイド(B)とを含む、炭素繊維用分散剤組成物。
L1は、その水素原子の少なくとも1つがZ-Arで置換されている直鎖アルキレン基を表し、Z-Ar以外の他の置換基を有しても良いし、又は、有しなくても良く、
L2は、直鎖アルキレン基を表し、その水素原子の少なくとも1つが置換基で置換されていても良いし、又は、置換されていなくても良く、
Z-Arは、1つ又は複数でも良く、Z-Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、
Zは、L1とArとを結合する連結基であり、前記連結基は、アルキレン鎖、エーテル結合、エステル結合、及びイミド結合を、それぞれ含んでも良いし、又は、含まなくても良く、
Arは、下記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)で表され、1つのZに対して、1つ又は複数でも良く、Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、下記一般式(1b)におけるナフチル基は、1-ナフチル基又は2-ナフチル基でも良く、
R1、R2、及びR3は、置換基であり、それぞれ、1つ若しくは複数でも良く、又は、存在しなくても良く、R1、R2、及びR3が複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、
n及びmは、それぞれ、1以上の整数であり、
L1及びL2の配列順序は、特に限定はなく、交互、ランダム、又はブロックのいずれでも良く、
L1及びL2は、それぞれ、1種類又は複数種類でも良く、
oは、0~5の整数であり、
pは、0~7の整数であり、
qは、0~4の整数であり、かつ
*は、結合部位を表す。
項2.
前記ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、前記ポリエチレンオキサイド(B)を5~550質量部で含む、項1に記載の炭素繊維用分散剤組成物。
項3.
さらに、下記一般式(2)で表される化合物(C)
R4-O-(AO)l-R5 (2)
[式中、R4が、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~10のアルキル基により置換されていても良いフェニル基又はベンジル基であり、R5が、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基であり、Aが、炭素数1~4のアルキレン基であり、lが、オキシアルキレン基であるAOの繰り返し数であり、1~8の整数を示す。]
を含む、項1又は2に記載の炭素繊維用分散剤組成物。
項4.
前記ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、前記ポリエチレンオキサイド(B)を5~550質量部、前記化合物(C)を5~550質量部で含む、項3に記載の炭素繊維用分散剤組成物。
項5.
下記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイド(A)含む第1炭素繊維用分散剤と、
ポリエチレンオキサイド(B)を含む第2炭素繊維用分散剤とを含む、炭素繊維用分散剤キット。
L1は、その水素原子の少なくとも1つがZ-Arで置換されている直鎖アルキレン基を表し、Z-Ar以外の他の置換基を有しても良いし、又は、有しなくても良く、
L2は、直鎖アルキレン基を表し、その水素原子の少なくとも1つが置換基で置換されていても良いし、又は、置換されていなくても良く、
Z-Arは、1つ又は複数でも良く、Z-Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、
Zは、L1とArとを結合する連結基であり、前記連結基は、アルキレン鎖、エーテル結合、エステル結合、及びイミド結合を、それぞれ含んでも良いし、又は、含まなくても良く、
Arは、下記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)で表され、1つのZに対して、1つ又は複数でも良く、Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、下記一般式(1b)におけるナフチル基は、1-ナフチル基又は2-ナフチル基でも良く、
R1、R2、及びR3は、置換基であり、それぞれ、1つ若しくは複数でも良く、又は、存在しなくても良く、R1、R2、及びR3が複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、
n及びmは、それぞれ、1以上の整数であり、
L1及びL2の配列順序は、特に限定はなく、交互、ランダム、又はブロックのいずれでも良く、
L1及びL2は、それぞれ、1種類又は複数種類でも良く、
oは、0~5の整数であり、
pは、0~7の整数であり、
qは、0~4の整数であり、かつ
*は、結合部位を表す。
項6.
前記第1炭素繊維用分散剤と前記第2炭素繊維用分散剤とが混合される際に、前記ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、前記ポリエチレンオキサイド(B)が、5~550質量部で混合される、項5に記載の炭素繊維用分散剤キット。
項7.
さらに、下記一般式(2)で表される化合物(C)
R4-O-(AO)l-R5 (2)
[式中、R4が、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~10のアルキル基により置換されていても良いフェニル基又はベンジル基であり、R5が、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基であり、Aが、炭素数1~4のアルキレン基であり、lが、オキシアルキレン基であるAOの繰り返し数であり、1~8の整数を示す。]
を含む第3炭素繊維用分散剤を含む、項5又は6に記載の炭素繊維用分散剤キット。
項8.
前記第1炭素繊維用分散剤と前記第2炭素繊維用分散剤と前記第3炭素繊維用分散剤とが混合される際に、前記ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、前記ポリエチレンオキサイド(B)が、5~550質量部で混合され、前記化合物(C)が、5~550質量部で混合される、項7に記載の炭素繊維用分散剤キット。
項9.
項1~4のいずれか一項に記載の炭素繊維用分散剤組成物、又は、項5~8のいずれか一項に記載の炭素繊維用分散剤キットの第1炭素繊維用分散剤、第2炭素繊維用分散剤、及び第3炭素繊維用分散剤と、
炭素繊維と、
分散媒体とを含む、炭素繊維分散組成物。
項10.
前記炭素繊維100質量部に対して、前記ポリアルキレンオキサイド(A)及び前記ポリエチレンオキサイド(B)を、合計0.1~300質量部で含む、項9に記載の炭素繊維分散組成物。
項11.
前記炭素繊維100質量部に対して、前記ポリアルキレンオキサイド(A)、前記ポリエチレンオキサイド(B)、及び前記化合物(C)を、合計0.1~300質量部で含む、項9又は10に記載の炭素繊維分散組成物。
項12.
下記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイド(A)と、ポリエチレンオキサイド(B)と、炭素繊維と、分散媒体とを含む炭素繊維分散組成物を抄紙する工程、及び
前記抄紙された炭素繊維分散組成物を乾燥させる工程を含む、炭素繊維シートの製造方法。
L1は、その水素原子の少なくとも1つがZ-Arで置換されている直鎖アルキレン基を表し、Z-Ar以外の他の置換基を有しても良いし、又は、有しなくても良く、
L2は、直鎖アルキレン基を表し、その水素原子の少なくとも1つが置換基で置換されていても良いし、又は、置換されていなくても良く、
Z-Arは、1つ又は複数でも良く、Z-Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、
Zは、L1とArとを結合する連結基であり、前記連結基は、アルキレン鎖、エーテル結合、エステル結合、及びイミド結合を、それぞれ含んでも良いし、又は、含まなくても良く、
Arは、下記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)で表され、1つのZに対して、1つ又は複数でも良く、Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、下記一般式(1b)におけるナフチル基は、1-ナフチル基又は2-ナフチル基でも良く、
R1、R2、及びR3は、置換基であり、それぞれ、1つ若しくは複数でも良く、又は、存在しなくても良く、R1、R2、及びR3が複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、
n及びmは、それぞれ、1以上の整数であり、
L1及びL2の配列順序は、特に限定はなく、交互、ランダム、又はブロックのいずれでも良く、
L1及びL2は、それぞれ、1種類又は複数種類でも良い。
oは、0~5の整数であり、
pは、0~7の整数であり、
qは、0~4の整数であり、かつ
*は、結合部位を表す。
項13.
前記炭素繊維分散組成物が、さらに、下記一般式(2)で表される化合物(C)
R4-O-(AO)l-R5 (2)
[式中、R4が、水素原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~10のアルキル基により置換されていても良いフェニル基又はベンジル基であり、R5が、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基であり、Aが、炭素数1~4のアルキレン基であり、lが、オキシアルキレン基であるAOの繰り返し数であり、1~8の整数を示す。]
を含む、項12に記載の炭素繊維シートの製造方法。
項14.
前記抄紙工程前に、前記ポリアルキレンオキサイド(A)と、前記ポリエチレンオキサイド(B)と、前記化合物(C)と、炭素繊維と、分散媒体とを混合して、炭素繊維分散組成物を提供する工程を、さらに含む、項12又は13に記載の炭素繊維シートの製造方法。
項15.
項12~14のいずれか一項に記載の炭素繊維シートの製造方法により製造された、炭素繊維シート。
本発明の炭素繊維用分散剤は、
下記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイド(A)と、ポリエチレンオキサイド(B)とを組み合わせて使用する。
L1は、その水素原子の少なくとも1つがZ-Arで置換されている直鎖アルキレン基を表し、Z-Ar以外の他の置換基を有しても良いし、又は、有しなくても良く、
L2は、直鎖アルキレン基を表し、その水素原子の少なくとも1つが置換基で置換されていても良いし、又は、置換されていなくても良く、
Z-Arは、1つ又は複数でも良く、Z-Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、
Zは、L1とArとを結合する連結基であり、前記連結基は、アルキレン鎖、エーテル結合、エステル結合、及びイミド結合を、それぞれ含んでも良いし、又は、含まなくても良く、
Arは、下記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)で表され、1つのZに対して、1つ又は複数でも良く、Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、下記一般式(1b)におけるナフチル基は、1-ナフチル基又は2-ナフチル基でも良く、
R1、R2、及びR3は、置換基であり、それぞれ、1つ若しくは複数でも良く、又は、存在しなくても良く、R1、R2、及びR3が複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、
n及びmは、それぞれ、1以上の整数であり、
L1及びL2の配列順序は、特に限定はなく、交互、ランダム、又はブロックのいずれでも良く、
L1及びL2は、それぞれ、1種類又は複数種類でも良く、
oは、0~5の整数であり、
pは、0~7の整数であり、
qは、0~4の整数であり、かつ
*は、結合部位を表す。
本発明の分散剤は、前述のとおり、下記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイド(A)を含む。下記一般式(1)中のL1、L2、Ar、Z、n、及びmについては、前述のとおりである。
まず、前記一般式(1)中の-L1-O-及びZ-Arからなる構造単位(以下「副構造単位a」ということがある。)について説明する。
次に、前記一般式(1)中の-L2-O-からなる構造単位(以下「副構造単位b」ということがある。)について説明する。
(A2)プロピレンオキサイド及びスチレンオキサイドの共重合体
(A3)エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、及びスチレンオキサイドの共重合体
(A4)エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、及びスチレンオキサイドの共重合体
(A5)エチレンオキサイド、アルキル炭素数1~18のアルキルグリシジルエーテル、及びスチレンオキサイドの共重合体
(A6)エチレンオキサイド、アリルグリシジルエーテル、及びスチレンオキサイドの共重合体
(A7)エチレンオキサイド及びフェニルグリシジルエーテルの共重合体
(A8)プロピレンオキサイド及びフェニルグリシジルエーテルの共重合体
(A9)エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、及びフェニルグリシジルエーテルの共重合体
(A10)エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、及びフェニルグリシジルエーテルの共重合体
(A11)エチレンオキサイド、アルキル炭素数1~18のアルキルグリシジルエーテル、及びフェニルグリシジルエーテルの共重合体
(A12)エチレンオキサイド、アリルグリシジルエーテル、及びフェニルグリシジルエーテルの共重合体
(A13)エチレンオキサイド及びナフチルグリシジルエーテルの共重合体
(A14)プロピレンオキサイド及びナフチルグリシジルエーテルの共重合体
(A15)エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、及びナフチルグリシジルエーテルの共重合体
(A16)エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、及びナフチルグリシジルエーテルの共重合体
(A17)エチレンオキサイド、アルキル炭素数1~18のアルキルグリシジルエーテル、及びナフチルグリシジルエーテルの共重合体
(A18)エチレンオキサイド、アリルグリシジルエーテル、及びナフチルグリシジルエーテルの共重合体
(A19)エチレンオキサイド及びN-グリシジルフタルイミドの共重合体
(A20)プロピレンオキサイド及びN-グリシジルフタルイミドの共重合体
(A21)エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、及びN-グリシジルフタルイミドの共重合体
(A22)エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、及びN-グリシジルフタルイミドの共重合体
(A23)エチレンオキサイド、アルキル炭素数1~18のアルキルグリシジルエーテル、及びN-グリシジルフタルイミドの共重合体
(A24)エチレンオキサイド、アリルグリシジルエーテル、及びN-グリシジルフタルイミドの共重合体
(A25)エチレンオキサイド、スチレンオキサイド、及びN-グリシジルフタルイミドの共重合体
(A26)エチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテル、及びN-グリシジルフタルイミドの共重合体
(A27)エチレンオキサイド、ナフチルグリシジルエーテル、及びN-グリシジルフタルイミドの共重合体
前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドの副構造単位a及びbの共重合比(副構造単位a:副構造単位b)は、特に限定はなく、分散性の観点から、例えば、副構造単位a:副構造単位b=0.01:99.99~50:50、好ましくは0.1:99.9~30:70、より好ましくは0.5:99.5~20:90、さらに好ましくは1:99~10:90である。ただし、これらの数値は例示であり、用途等に応じて適宜変化させても良い。例えば、分散媒体が水である場合、水以外の分散媒体である場合、又は、水と他の分散媒体との混合物である場合等において、前記分散媒体の極性に応じて、前記共重合比(副構造単位a:副構造単位b)を変化させても良い。より具体的には、例えば、前記分散媒体の極性が低い(疎水性が高い)場合には、前記共重合比(副構造単位a:副構造単位b)において、副構造単位aの比率を大きくしても良い。
本発明の分散剤において、前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドの重量平均分子量は、特に限定はなく、分散性の観点から大きいほうが好ましく、例えば、1,000以上、好ましくは4,000以上、より好ましくは5,000以上、さらに好ましくは10,000以上、さらに好ましくは20,000以上、さらに好ましくは30,000以上である。また、前記重量平均分子量は、粘度を小さくして取り扱い性を容易にする観点から、小さいほうが好ましく、例えば、10,000,000以下、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは500,000以下、さらに好ましくは200,000以下である。前記重量平均分子量の測定方法としては、特に限定はなく、例えば、後述の実施例において記載された測定方法等が挙げられる。
前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドとは、主たる構造が前記一般式(1)で表されるポリアルキレンオキサイドである。すなわち、前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドは、例えば、前記一般式(1)の構造単位以外の構造、例えば、前記一般式(1)に示されていない末端の構造を有しても良い。前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドにおいて、前記一般式(1)に示されていない末端の構造は、例えば、前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドの合成に使用される重合開始剤、重合停止剤、触媒等によって構成される末端構造であり、特に限定はない。
本発明の分散剤の(A)成分である前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドの製造方法は、特に限定はない。前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドは、例えば、前記副構造単位aのモノマー及び前記副構造単位bのモノマーを、公知の方法又はそれに準じた方法で共重合させることにより製造できる。前記副構造単位aのモノマー及び前記副構造単位bのモノマーは、それぞれ、一種類でも良いし、又は、複数種類でも良い。前記各モノマーは、例えば、L1及びL2のアルキレン基の炭素数に対応した環状エーテルでも良い。下記スキーム1に、その化学反応式の一例を示す。なお、下記スキーム1は、L1及びL2が、それぞれエチレン基(炭素数2のアルキレン基)の場合の例である。下記スキーム1中、n及びmは、それぞれ1以上の整数である。
本発明の分散剤は、前述のとおり、ポリエチレンオキサイド(B)を含む。以下、前記ポリエチレンオキサイド(B)を、具体的に説明する。前記ポリエチレンオキサイド(B)は、分散剤の成分として使用されるが、例えば、後述するように、粘剤としても使用することができる。
極限粘度式:[η]=6.4×10-5×(Mw)0.82
前述のように、本発明の分散剤は、下記一般式(2)で表される化合物(C)を含むことが好ましい。下記一般式(2)中のR4、R5、A、及びlについては、前述のとおりである。
R4-O-(AO)l-R5 (2)
本発明の炭素繊維用分散剤組成物において、前記ポリアルキレンオキサイド(A)と、前記ポリエチレンオキサイド(B)と、前記化合物(C)との配合割合は、特に限定はない。ただし、本発明の炭素繊維用分散剤組成物は、ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、ポリエチレンオキサイド(B)を、好ましくは5~550質量部、より好ましくは10~500質量部、さらに好ましくは40~350質量部、特に好ましくは70~250質量部、さらに特に好ましくは80~200質量部で含む。また、本発明の炭素繊維用分散剤組成物は、ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、前記化合物(C)を、好ましくは5~550質量部、より好ましくは10~450質量部、さらに好ましくは20~350質量部、特に好ましくは70~250質量部、さらに特に好ましくは80~200質量部で含む。さらに、本発明の炭素繊維用分散剤組成物は、ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、ポリエチレンオキサイド(B)を、好ましくは5~550質量部、より好ましくは10~500質量部、さらに好ましくは40~350質量部、特に好ましくは70~250質量部、さらに特に好ましくは80~200質量部で含み、前記化合物(C)を、好ましくは5~550質量部、より好ましくは10~450質量部、さらに好ましくは20~350質量部、特に好ましくは70~250質量部、さらに特に好ましくは80~200質量部で含む。同配合割合が上記範囲にあると、例えば、炭素繊維の分散性向上効果が良好に発揮されやすい。
本発明の分散剤は、必要に応じて、添加剤と併用しても良い。例えば、分散剤として使用される前記一般式(1)、前記ポリエチレンオキサイド、及び前記化合物(C)以外の物質を、前記添加剤として併用しても良い。併用することができる添加剤は、特に限定はなく、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の公知の界面活性剤等が挙げられる。
次に、本発明の炭素繊維分散組成物を説明する。前述のように、本発明の炭素繊維分散組成物は、本発明の炭素繊維用分散剤組成物、又は、本発明の炭素繊維用分散剤キットの第1炭素繊維用分散剤及び第2炭素繊維用分散剤(必要に応じて、第3炭素繊維用分散剤)と、炭素繊維と、分散媒体とを含む。また、本発明の炭素繊維分散組成物は、本発明の炭素繊維用分散剤と、炭素繊維と、分散媒体とを含むと言うことができる。
本発明において、炭素繊維は、繊維長が比較的長い炭素繊維である。炭素繊維の繊維長は、例えば、前述のとおりである。炭素繊維の長さは、通常5~100mmである。本発明では、例えば、炭素繊維を、前述の繊維長にカットして使用しても良い。
分散媒体は、特に限定はなく、例えば、水、水及び/又は親水性有機溶媒を含む水系媒体等が挙げられる。水としては、特に限定はなく、例えば、通常の水道水、蒸留水、精製水等が挙げられる。分散媒体は、例えば、有機溶剤を含んでも良い。このような有機溶剤としては、特に限定はなく、例えば、芳香族炭化水素系溶剤、炭化水素系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、酢酸エステル系溶剤、ジアルキルエーテル系溶剤、アルコール系溶剤、グリコール系溶剤、ニトリル系溶剤、カーボネート系溶剤等が挙げられる。このような有機溶剤は、例えば、1種類を単独で使用しても良いし、又は、2種類以上を混合して使用しても良い。
本発明の炭素繊維分散組成物において、炭素繊維の含有割合は、特に限定はなく、0.01~10.0質量%であることが好ましく、0.03~5.0質量%であることがより好ましく、0.05~1.0質量%であることが特に好ましい。炭素繊維の含有割合が上記範囲内にあると、例えば、効率良く炭素繊維を分散させやすい。
本発明の炭素繊維分散組成物は、例えば、炭素繊維用分散剤、炭素繊維、及び分散媒体(好ましくは、水)を、一般的なミキサー等に投入し、撹拌(離解)することにより製造することができる。炭素繊維用分散剤、炭素繊維、及び分散媒体を投入する順序に、特に限定はない。例えば、ポリアルキレンオキサイド(A)とポリエチレンオキサイド(B)とを混合物(すなわち、本発明の炭素繊維用分散剤組成物)として投入しても良いし、又は、ポリアルキレンオキサイド(A)及びポリエチレンオキサイド(B)を任意の順で別個に(すなわち、本発明の炭素繊維用分散剤キット)投入しても良い。また、必要に応じて、化合物(C)を混合しても良い。ミキサー等の例としては、特に限定はなく、例えば、各種の離解機(パルパー)、ナイアガラビーター等の各種のビーター、シングルディスクリファイナー、ダブルディスクリファイナー等の各種のリファイナー、及び各種のミキサー等が挙げられる。前述のミキサーは、例えば、市販品を利用することができる。
本発明の炭素繊維分散組成物は、例えば、本発明の炭素繊維分散組成物を使用する湿式抄紙法により炭素繊維シートを得るために、任意成分として、さらに、添加剤を含んでも良い。具体的には、本発明の炭素繊維分散組成物は、例えば、公知の浸透剤、湿潤剤、消泡剤、粘剤、粘度調整剤、pH調整剤等を、炭素繊維の分散性を損なわない範囲で、添加剤として含んでも良い。これらの中でも、本発明の炭素繊維分散組成物を湿式抄紙法により繊維シート化する際に、本発明の炭素繊維分散組成物は、粘剤を含むことが好ましい。特に、炭素繊維の分散性をより高めるために、例えば、本発明の炭素繊維分散組成物は、前述のポリエチレンオキサイド(B)をさらに含む。粘剤として添加されるポリエチレンオキサイド(B)は、本発明の炭素繊維用分散剤組成物に含まれるポリエチレンオキサイド(B)と、例えば、同一でも又は異なっても良い。このポリエチレンオキサイド(B)は、例えば、200万~1,000万の粘度平均分子量を有する。ポリエチレンオキサイド(B)は、抄紙に使用する水の量に対して、例えば、1~1000ppm、好ましくは5~1000ppmで配合される。ポリエチレンオキサイド(B)(粘剤)の配合割合が5ppm以上であると、例えば、本発明の炭素繊維分散組成物を湿式抄紙法によりシート化した際に、十分均一な地合いの炭素繊維シートを得ることができる。また、ポリエチレンオキサイド(B)(粘剤)の配合割合が1000ppm以下であると、例えば、本発明の炭素繊維分散組成物の粘度が高くなり過ぎず、湿式抄紙の速度を低速にすることなく、炭素繊維シートを得ることができる。ポリエチレンオキサイド(B)を配合する場合、本発明の炭素繊維用分散剤と粘剤とを併用して炭素繊維を初期分散し、その後、ポリエチレンオキサイド系粘剤を、本発明の炭素繊維分散組成物に添加して、分散安定化を行うことが好ましい。これにより、湿式抄紙する際に、例えば、従来困難とされていた結束の強い炭素繊維の均一分散を良好且つ速やかに行うことができるため、極めて均一に分散した炭素繊維分散液等の抄紙液(スラリー)を容易に得ることができる。このため、前述のような初期分散及び分散安定化によれば、例えば、地合いに優れた炭素繊維シート等を効率良く製造することが可能となり、このような炭素繊維シートを各種樹脂と複合化することにより繊維強化プラスチック成形体等とすることができる。
次に、本発明の炭素繊維シートの製造方法を説明する。前述のように、本発明の炭素繊維シートの製造方法は、少なくとも前述のポリアルキレンオキサイド(A)と、ポリエチレンオキサイド(B)と、炭素繊維と、分散媒体とを含む炭素繊維分散組成物を抄紙する工程、及び、前記抄紙された炭素繊維分散組成物を乾燥させる工程を含む。
本発明の炭素繊維シートは、本発明の炭素繊維シートの製造方法により製造された炭素繊維シートである。本発明の炭素繊維シートは、極めて均一な地合いを有し、かつ、ポリエステル織物に対する耐ブロッキング性に優れている。以下、「炭素繊維シートのポリエステル繊維に対する耐ブロッキング性」を、単に、「耐ブロッキング性」と言うことがある。抄紙機において、ドライヤーカンバス(ポリエステル織物製等を使用)は、プレスパートから運ばれてきた湿紙を受け取り、PD(ペーパードライヤー(金属製のシリンダードライヤー))を円滑に運搬する。ドライヤーカンバスは、この機能により、断紙等の発生を防止する。ここで、湿紙(炭素繊維シート)中の炭素繊維が、ドライヤーカンバスに貼り付くと、炭素繊維シートが断紙してしまうおそれがある。このため、耐ブロッキング性は、炭素繊維シートの重要な評価項目である。これらの効果は、本発明の炭素繊維用分散剤により、炭素繊維が分散媒体(好ましくは、水系媒体)中で極めて均一に分散されたことを表している。なお、本願出願時において、炭素繊維シートをその構造又は特性により直接特定することが、不可能又はおよそ実際的ではない程度に困難であるため、プロダクトバイプロセスクレームによって炭素繊維シートを記載している。
実施例及び比較例における各種測定方法及び評価方法は、次のとおりである。
共重合比を、核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR)を使用して、下記測定条件で測定した。
(測定条件)
機器:製品名「JNM-AL400」(日本電子株式会社製)
観測核:1H
観測範囲:7992.01Hz
データポイント数:32768
パルス幅:5.80μsec
待ち時間:50.00μsec
積算回数:512
測定温度:25℃
測定溶媒:重水素化クロホルム
試料濃度:0.01g/mL
重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、及び分子量分布Mw/Mnを、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用して、下記測定条件で測定した。
(測定条件)
装置:製品名「LC-10AD」(株式会社島津製作所製)
検出器:示差屈折率検出器(RID)
カラム:製品名「SHODEX KF-804」(昭和電工株式会社製)
測定温度:30℃
溶離液:THF
流速:1.0mL/min
サンプル濃度:0.2質量%(THF)
サンプル注入量:100μL
換算標準:ポリエチレンオキサイド
粘度平均分子量(Mv)を、オストワルド粘度計を使用する極限粘度[η]の値(測定温度:35℃、溶媒:水)から、下記粘度式を使用して算出した。
極限粘度式:[η]=6.4×10-5×(Mv)0.82
炭素繊維シートの地合いを、9~1の整数の評価基準で9段階評価した。炭素繊維シートの地合いが極めて均一で、全くムラ(繊維の結束)がないものを9(良好)とした。一方、炭素繊維シートの地合いが極めて不均一で、シート全体にムラ(繊維の結束)が存在するものを1(不良)とした。8~2の評価については、9(良好)から段階的に、1(不良)に向かう。すなわち、<地合いが極めて均一である>9、8、7、6、5、4、3、2、1<地合いが極めて不均一である>である。図1に、本実施例で作製された炭素繊維シートの写真を示す。図1(A)は、地合い評価:2の炭素繊維シートの写真である。図1(B)は、地合い評価:5の炭素繊維シートの写真である。図1(C)は、地合い評価:8の炭素繊維シートの写真である。
炭素繊維シートのポリエステル織物に対する耐ブロッキング性を評価した。抄紙して得られた炭素繊維シートに、ポリエステル織物(日本特殊織物株式会社製、品番「TG1000」)を重ね、5cm角のシートに断裁した。このシートを5枚重ね、その上に7kgの鉄製錘を乗せ、室温で24時間放置した。24時間の放置後、ポリエステル織物を、炭素繊維シートから剥がした。剥がした際のポリエステル織物への炭素繊維の貼り付きを、下記基準で評価した。
A:炭素繊維がポリエステル織物にほとんど貼り付かない
B:炭素繊維がポリエステル織物に若干貼り付くが、実用上問題ないレベルである
C:炭素繊維がポリエステル織物に貼り付き、実用上問題となるレベルである
まず、1000mlのビーカー(目安目盛付)(柴田科学株式会社製)中において、粉末のポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)SK」、粘度平均分子量600万)を、水に溶解させて、0.1質量%のポリエチレンオキサイド水溶液を調製した。
ポリアルキレンオキサイド(A)の添加量を0.05gとし、エチレングリコールモノフェニルエーテル(C)の添加量を0.05gとしたこと以外は、実施例1と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
ポリアルキレンオキサイド(A)の添加量を0.08gとし、エチレングリコールモノフェニルエーテル(C)の添加量を0.02gとしたこと以外は、実施例1と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
特許第5941747号に記載の炭化物が部分的に表面に付着した再生炭素繊維を、繊維長25mmにカットして、チョップドファイバを得た。
ポリアルキレンオキサイド(A)の添加量を0.03gとし、(C)に代えて、エチレングリコールモノベンジルエーテル(C)(東京化成工業株式会社製)を添加し、その添加量を0.03gとしたこと以外は、実施例4と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
ポリアルキレンオキサイド(A)の添加量を0.02gとし、エチレングリコールモノフェニルエーテル(C)に代えて、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(C)(東京化成工業株式会社製)を添加し、その添加量を0.08gとしたこと以外は、実施例4と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
炭素繊維として繊維長を25mmにカットしたものを使用したこと以外は、実施例2と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
炭素繊維として繊維長を35mmにカットしたものを使用し、ポリアルキレンオキサイド(A)の添加量を0.06gとし、エチレングリコールモノベンジルエーテル(C)の添加量を0.06gとしたこと以外は、実施例5と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
エチレングリコールモノフェニルエーテル(C)に代えて、エチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル(C)(KHネオケム株式会社製)を使用し、その添加量を0.05gとしたこと以外は、実施例2と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
炭素繊維(東レ株式会社製:商品名「トレカ(登録商標)T800HB-12000」)を、繊維長12.5mmにカットして、チョップドファイバを得た。
特許第5941747号に記載の炭化物が部分的に表面に付着した再生炭素繊維を、繊維長25mmにカットして、チョップドファイバを得た。
特許第5941747号に記載の炭化物が部分的に表面に付着した再生炭素繊維を、繊維長12.5mmにカットして、チョップドファイバを得た。
粘剤として、0.1質量%のポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)SK」、粘度平均分子量600万)水溶液を、総水量5000mLに対して50ppmとなるように添加したこと以外は、実施例12と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
粘剤として、0.1質量%のポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)SK」、粘度平均分子量600万)水溶液を、総水量5000mLに対して5ppmとなるように添加したこと以外は、実施例12と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
特許第5941747号に記載の炭化物が部分的に表面に付着した再生炭素繊維を、繊維長12.5mmにカットして、チョップドファイバを得た。
ポリエチレンオキサイド(B)を、明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)E-100」(粘度平均分子量250万)に変更したこと以外は、実施例15と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
ポリエチレンオキサイド(B)を、明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)E-75」(粘度平均分子量200万)に変更したこと以外は、実施例15と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
分散剤として、ポリアルキレンオキサイド(A)のみを0.1gで使用し、粘剤として、ポリエチレンオキサイド(B)に代えて、アニオン性ポリアクリルアミド(明成化学工業株式会社製:商品名「パムオール」(粘度平均分子量1000万))を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
分散剤として、エチレングリコールモノフェニルエーテル(C)のみを0.1gで使用し、粘剤として、ポリエチレンオキサイド(B)に代えて、アニオン性ポリアクリルアミド(明成化学工業株式会社製:商品名「パムオール」(粘度平均分子量1000万))を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
分散剤として、カルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業製薬株式会社製:商品名「セロゲンBSH-12」)を0.1gで使用し、粘剤として、ポリエチレンオキサイド(B)に代えて、アニオン性ポリアクリルアミド(明成化学工業株式会社製:商品名「パムオール」(粘度平均分子量1000万))を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
分散剤として、アルキルベタイン型界面活性剤(明成化学工業株式会社製:商品名「ラッコールAL」)を0.1gで使用し、粘剤として、ポリエチレンオキサイド(B)に代えて、アニオン性ポリアクリルアミド(明成化学工業株式会社製:商品名「パムオール」(粘度平均分子量1000万))を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
分散剤として、ポリアルキレンオキサイド(A)に代えて、ポリエチレングリコールモノステアレート(花王株式会社製:商品名「エマノーン3199V」(平均分子量6800))のみを0.1gで使用し、粘剤として、アニオン性ポリアクリルアミド(明成化学工業株式会社製:商品名「パムオールS-300」(粘度平均分子量1500万))を使用したこと以外は、比較例1と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
実施例4に記載の再生炭素繊維(繊維長25mm)1.0g、分散剤として、ポリアルキレンオキサイド(A)(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)CP-B1」)0.06g及びbポリエチレングリコールモノステアレート(花王株式会社製:商品名「エマノーン3199V」(平均分子量6800))0.06g、並びに、蒸留水500mLを、ミキサー(株式会社東芝製:商品名「東芝ミキサーMX-C20G」)に、室温で添加した。スライダック(山菱電機株式会社製、商品名:ポータブルタイプの電圧調整器「MVS-520」)を使用して電圧を50Vに制御しながら、混合物を、ミキサー内で30分間撹拌して、スラリー状の炭素繊維分散組成物を得た。
Claims (15)
- 下記一般式(1-6)又は(2):
で表される副構造単位a、及び、下記一般式(3-1)又は(3-2):
で表される副構造単位bを組み合わせた構造単位を有するポリアルキレンオキサイド(A)と、
ポリエチレンオキサイド(B)とを含む、炭素繊維用分散剤組成物であって、
前記ポリアルキレンオキサイド(A)の副構造単位a及び副構造単位bの共重合比(副構造単位a:副構造単位b)が1:99~10:90であり、
前記ポリアルキレンオキサイド(A)の重量平均分子量が、30,000以上200,000以下であり、
前記ポリエチレンオキサイド(B)が、粘度平均分子量が200万~850万のポリエチレンオキサイドである、炭素繊維用分散剤組成物。 - 前記ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、前記ポリエチレンオキサイド(B)を5~550質量部で含む、請求項1に記載の炭素繊維用分散剤組成物。
- さらに、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、及び、エチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種の化合物(C)を含む、請求項1又は2に記載の炭素繊維用分散剤組成物。
- 前記ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、前記ポリエチレンオキサイド(B)を5~550質量部、前記化合物(C)を5~550質量部で含む、請求項3に記載の炭素繊維用分散剤組成物。
- 下記一般式(1-6)又は(2):
で表される副構造単位a、及び、下記一般式(3-1)又は(3-2):
で表される副構造単位bを組み合わせた構造単位を有するポリアルキレンオキサイド(A)を含む第1炭素繊維用分散剤と、
ポリエチレンオキサイド(B)を含む第2炭素繊維用分散剤とを含む、炭素繊維用分散剤キットであって、
前記ポリアルキレンオキサイド(A)の副構造単位a及び副構造単位bの共重合比(副構造単位a:副構造単位b)が1:99~10:90であり、
前記ポリアルキレンオキサイド(A)の重量平均分子量が、30,000以上200,000以下であり、
前記ポリエチレンオキサイド(B)が、粘度平均分子量が200万~850万のポリエチレンオキサイドである、炭素繊維用分散剤キット。 - 前記第1炭素繊維用分散剤と前記第2炭素繊維用分散剤とが混合される際に、前記ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、前記ポリエチレンオキサイド(B)が、5~550質量部で混合される、請求項5に記載の炭素繊維用分散剤キット。
- さらに、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、及び、エチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種の化合物(C)を含む第3炭素繊維用分散剤を含む、請求項5又は6に記載の炭素繊維用分散剤キット。
- 前記第1炭素繊維用分散剤と前記第2炭素繊維用分散剤と前記第3炭素繊維用分散剤とが混合される際に、前記ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、前記ポリエチレンオキサイド(B)が、5~550質量部で混合され、前記化合物(C)が、5~550質量部で混合される、請求項7に記載の炭素繊維用分散剤キット。
- 請求項1~4のいずれか一項に記載の炭素繊維用分散剤組成物、又は、請求項5~8のいずれか一項に記載の炭素繊維用分散剤キットの第1炭素繊維用分散剤、第2炭素繊維用分散剤、及び第3炭素繊維用分散剤と、
炭素繊維と、
分散媒体とを含む、炭素繊維分散組成物。 - 前記炭素繊維100質量部に対して、前記ポリアルキレンオキサイド(A)及び前記ポリエチレンオキサイド(B)を、合計0.1~300質量部で含む、請求項9に記載の炭素繊維分散組成物。
- 前記炭素繊維100質量部に対して、前記ポリアルキレンオキサイド(A)、前記ポリエチレンオキサイド(B)、及び前記化合物(C)を、合計0.1~300質量部で含む、請求項9又は10に記載の炭素繊維分散組成物。
- 下記一般式(1-6)又は(2):
で表される副構造単位a、及び、下記一般式(3-1)又は(3-2):
で表される副構造単位bを組み合わせた構造単位を有するポリアルキレンオキサイド(A)と、ポリエチレンオキサイド(B)と、炭素繊維と、分散媒体と、粘剤としての粘度平均分子量が200万~850万のポリエチレンオキサイドとを含む炭素繊維分散組成物を抄紙する工程、及び
前記抄紙された炭素繊維分散組成物を乾燥させる工程を含む、炭素繊維シートの製造方法であって、
前記ポリアルキレンオキサイド(A)の副構造単位a及び副構造単位bの共重合比(副構造単位a:副構造単位b)が1:99~10:90であり、
前記ポリアルキレンオキサイド(A)の重量平均分子量が、30,000以上200,000以下であり、
前記ポリエチレンオキサイド(B)が、粘度平均分子量が200万~850万のポリエチレンオキサイドである、炭素繊維シートの製造方法。 - 前記炭素繊維分散組成物が、さらに、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、及び、エチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種の化合物(C)を含む、請求項12に記載の炭素繊維シートの製造方法。
- 前記抄紙工程前に、前記ポリアルキレンオキサイド(A)と、前記ポリエチレンオキサイド(B)と、前記化合物(C)と、炭素繊維と、分散媒体と、粘剤としての粘度平均分子量が200万~850万のポリエチレンオキサイドとを混合して、炭素繊維分散組成物を提供する工程を、さらに含む、請求項13に記載の炭素繊維シートの製造方法。
- 請求項12~14のいずれか一項に記載の炭素繊維シートの製造方法により製造された、炭素繊維シート。
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