JP2019150773A - 炭素繊維用分散剤組成物、炭素繊維用分散剤キット、炭素繊維分散組成物、及び炭素繊維シートの製造方法 - Google Patents

炭素繊維用分散剤組成物、炭素繊維用分散剤キット、炭素繊維分散組成物、及び炭素繊維シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】比較的長い炭素繊維を媒体中に均一に分散させることができる炭素繊維用分散剤組成物の提供。【解決手段】下記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイド(A)とポリエチレンオキサイド(B)とを含む炭素繊維用分散剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、炭素繊維用分散剤組成物、炭素繊維用分散剤キット、炭素繊維分散組成物、及び炭素繊維シートの製造方法に関する。
炭素繊維は、高い機械特性、耐薬品性、導電性、及び熱伝導性等の優れた特性を有している。このため、炭素繊維は、機械強度向上を目的として航空機、自動車、及びレジャー用品等の分野において、また、導電性及び/又は熱伝導性の付与を目的として電子機器部品等の分野において、広く利用されている。
炭素繊維を使用して、上記のような優れた特性を有する複合材料を製造するためには、炭素繊維を溶液、樹脂溶液、及び樹脂に均一に分散させることが求められる。しかしながら、炭素繊維は、一般的に凝集力が強いため、均一に分散し難い。このため、炭素繊維を均一に分散し、炭素繊維シートを得るために、無機繊維(炭素繊維等)をポリエチレンオキシド系分散剤とポリアクリルアミド系分散剤とを併用して分散させ、抄紙する方法が提案されている(特許文献1)。
また、炭素繊維シートを得るために、分散剤として、エマノーン3199V(ポリエチレングリコールモノステアレート)を使用して炭素繊維スラリーを調製し、このスラリーにアニオン性高分子ポリアクリルアミド系増粘剤を添加して抄紙する方法が提案されている(特許文献2)。
一般的に、上記技術では繊維長が比較的長い(例えば、繊維長が12.5mm以上)炭素繊維を媒体中に均一に分散させることは困難である。
特開平6−116893号公報 特開2017−114107号公報
そこで、本発明は、比較的長い炭素繊維を媒体中に均一に分散させることができる、炭素繊維用分散剤組成物、炭素繊維用分散剤キット、炭素繊維分散組成物、及び炭素繊維シートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイド(A)と、ポリエチレンオキサイド(B)とを含む、
炭素繊維用分散剤組成物が、比較的長い炭素繊維を媒体中に均一に分散させることができることを見出した。
Figure 2019150773
本発明は、このような知見に基づき完成されたものである。
すなわち、本発明は、下記炭素繊維用分散剤組成物、炭素繊維用分散剤キット、炭素繊維分散組成物、及び炭素繊維シートの製造方法に関する。
項1.
下記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイド(A)と、
ポリエチレンオキサイド(B)とを含む、炭素繊維用分散剤組成物。
Figure 2019150773
前記一般式(1)中、
は、その水素原子の少なくとも1つがZ−Arで置換されている直鎖アルキレン基を表し、Z−Ar以外の他の置換基を有しても良いし、又は、有しなくても良く、
は、直鎖アルキレン基を表し、その水素原子の少なくとも1つが置換基で置換されていても良いし、又は、置換されていなくても良く、
Z−Arは、1つ又は複数でも良く、Z−Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、
Zは、LとArとを結合する連結基であり、前記連結基は、アルキレン鎖、エーテル結合、エステル結合、及びイミド結合を、それぞれ含んでも良いし、又は、含まなくても良く、
Arは、下記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)で表され、1つのZに対して、1つ又は複数でも良く、Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、下記一般式(1b)におけるナフチル基は、1−ナフチル基又は2−ナフチル基でも良く、
Figure 2019150773
前記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)中、
、R、及びRは、置換基であり、それぞれ、1つ若しくは複数でも良く、又は、存在しなくても良く、R、R、及びRが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、
n及びmは、それぞれ、1以上の整数であり、
及びLの配列順序は、特に限定はなく、交互、ランダム、又はブロックのいずれでも良く、
及びLは、それぞれ、1種類又は複数種類でも良く、
oは、0〜5の整数であり、
pは、0〜7の整数であり、
qは、0〜4の整数であり、かつ
*は、結合部位を表す。
項2.
前記ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、前記ポリエチレンオキサイド(B)を5〜550質量部で含む、項1に記載の炭素繊維用分散剤組成物。
項3.
さらに、下記一般式(2)で表される化合物(C)
−O−(AO)−R (2)
[式中、Rが、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜10のアルキル基により置換されていても良いフェニル基又はベンジル基であり、Rが、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、Aが、炭素数1〜4のアルキレン基であり、lが、オキシアルキレン基であるAOの繰り返し数であり、1〜8の整数を示す。]
を含む、項1又は2に記載の炭素繊維用分散剤組成物。
項4.
前記ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、前記ポリエチレンオキサイド(B)を5〜550質量部、前記化合物(C)を5〜550質量部で含む、項3に記載の炭素繊維用分散剤組成物。
項5.
下記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイド(A)含む第1炭素繊維用分散剤と、
ポリエチレンオキサイド(B)を含む第2炭素繊維用分散剤とを含む、炭素繊維用分散剤キット。
Figure 2019150773
前記一般式(1)中、
は、その水素原子の少なくとも1つがZ−Arで置換されている直鎖アルキレン基を表し、Z−Ar以外の他の置換基を有しても良いし、又は、有しなくても良く、
は、直鎖アルキレン基を表し、その水素原子の少なくとも1つが置換基で置換されていても良いし、又は、置換されていなくても良く、
Z−Arは、1つ又は複数でも良く、Z−Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、
Zは、LとArとを結合する連結基であり、前記連結基は、アルキレン鎖、エーテル結合、エステル結合、及びイミド結合を、それぞれ含んでも良いし、又は、含まなくても良く、
Arは、下記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)で表され、1つのZに対して、1つ又は複数でも良く、Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、下記一般式(1b)におけるナフチル基は、1−ナフチル基又は2−ナフチル基でも良く、
Figure 2019150773
前記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)中、
、R、及びRは、置換基であり、それぞれ、1つ若しくは複数でも良く、又は、存在しなくても良く、R、R、及びRが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、
n及びmは、それぞれ、1以上の整数であり、
及びLの配列順序は、特に限定はなく、交互、ランダム、又はブロックのいずれでも良く、
及びLは、それぞれ、1種類又は複数種類でも良く、
oは、0〜5の整数であり、
pは、0〜7の整数であり、
qは、0〜4の整数であり、かつ
*は、結合部位を表す。
項6.
前記第1炭素繊維用分散剤と前記第2炭素繊維用分散剤とが混合される際に、前記ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、前記ポリエチレンオキサイド(B)が、5〜550質量部で混合される、項5に記載の炭素繊維用分散剤キット。
項7.
さらに、下記一般式(2)で表される化合物(C)
−O−(AO)−R (2)
[式中、Rが、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜10のアルキル基により置換されていても良いフェニル基又はベンジル基であり、Rが、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、Aが、炭素数1〜4のアルキレン基であり、lが、オキシアルキレン基であるAOの繰り返し数であり、1〜8の整数を示す。]
を含む第3炭素繊維用分散剤を含む、項5又は6に記載の炭素繊維用分散剤キット。
項8.
前記第1炭素繊維用分散剤と前記第2炭素繊維用分散剤と前記第3炭素繊維用分散剤とが混合される際に、前記ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、前記ポリエチレンオキサイド(B)が、5〜550質量部で混合され、前記化合物(C)が、5〜550質量部で混合される、項7に記載の炭素繊維用分散剤キット。
項9.
項1〜4のいずれか一項に記載の炭素繊維用分散剤組成物、又は、項5〜8のいずれか一項に記載の炭素繊維用分散剤キットの第1炭素繊維用分散剤、第2炭素繊維用分散剤、及び第3炭素繊維用分散剤と、
炭素繊維と、
分散媒体とを含む、炭素繊維分散組成物。
項10.
前記炭素繊維100質量部に対して、前記ポリアルキレンオキサイド(A)及び前記ポリエチレンオキサイド(B)を、合計0.1〜300質量部で含む、項9に記載の炭素繊維分散組成物。
項11.
前記炭素繊維100質量部に対して、前記ポリアルキレンオキサイド(A)、前記ポリエチレンオキサイド(B)、及び前記化合物(C)を、合計0.1〜300質量部で含む、項9又は10に記載の炭素繊維分散組成物。
項12.
下記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイド(A)と、ポリエチレンオキサイド(B)と、炭素繊維と、分散媒体とを含む炭素繊維分散組成物を抄紙する工程、及び
前記抄紙された炭素繊維分散組成物を乾燥させる工程を含む、炭素繊維シートの製造方法。
Figure 2019150773
前記一般式(1)中、
は、その水素原子の少なくとも1つがZ−Arで置換されている直鎖アルキレン基を表し、Z−Ar以外の他の置換基を有しても良いし、又は、有しなくても良く、
は、直鎖アルキレン基を表し、その水素原子の少なくとも1つが置換基で置換されていても良いし、又は、置換されていなくても良く、
Z−Arは、1つ又は複数でも良く、Z−Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、
Zは、LとArとを結合する連結基であり、前記連結基は、アルキレン鎖、エーテル結合、エステル結合、及びイミド結合を、それぞれ含んでも良いし、又は、含まなくても良く、
Arは、下記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)で表され、1つのZに対して、1つ又は複数でも良く、Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、下記一般式(1b)におけるナフチル基は、1−ナフチル基又は2−ナフチル基でも良く、
Figure 2019150773
前記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)中、
、R、及びRは、置換基であり、それぞれ、1つ若しくは複数でも良く、又は、存在しなくても良く、R、R、及びRが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、
n及びmは、それぞれ、1以上の整数であり、
及びLの配列順序は、特に限定はなく、交互、ランダム、又はブロックのいずれでも良く、
及びLは、それぞれ、1種類又は複数種類でも良い。
oは、0〜5の整数であり、
pは、0〜7の整数であり、
qは、0〜4の整数であり、かつ
*は、結合部位を表す。
項13.
前記炭素繊維分散組成物が、さらに、下記一般式(2)で表される化合物(C)
−O−(AO)−R (2)
[式中、Rが、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜10のアルキル基により置換されていても良いフェニル基又はベンジル基であり、Rが、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、Aが、炭素数1〜4のアルキレン基であり、lが、オキシアルキレン基であるAOの繰り返し数であり、1〜8の整数を示す。]
を含む、項12に記載の炭素繊維シートの製造方法。
項14.
前記抄紙工程前に、前記ポリアルキレンオキサイド(A)と、前記ポリエチレンオキサイド(B)と、前記化合物(C)と、炭素繊維と、分散媒体とを混合して、炭素繊維分散組成物を提供する工程を、さらに含む、項12又は13に記載の炭素繊維シートの製造方法。
項15.
項12〜14のいずれか一項に記載の炭素繊維シートの製造方法により製造された、炭素繊維シート。
本発明によれば、比較的長い炭素繊維を媒体中に均一に分散させることができる、炭素繊維用分散剤組成物、炭素繊維用分散剤キット、炭素繊維分散組成物、及び炭素繊維シートの製造方法を提供することができる。
図1は、本実施例で作製された炭素繊維シートの写真を示す。
<炭素繊維用分散剤>
本発明の炭素繊維用分散剤は、
下記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイド(A)と、ポリエチレンオキサイド(B)とを組み合わせて使用する。
Figure 2019150773
前記一般式(1)中、
は、その水素原子の少なくとも1つがZ−Arで置換されている直鎖アルキレン基を表し、Z−Ar以外の他の置換基を有しても良いし、又は、有しなくても良く、
は、直鎖アルキレン基を表し、その水素原子の少なくとも1つが置換基で置換されていても良いし、又は、置換されていなくても良く、
Z−Arは、1つ又は複数でも良く、Z−Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、
Zは、LとArとを結合する連結基であり、前記連結基は、アルキレン鎖、エーテル結合、エステル結合、及びイミド結合を、それぞれ含んでも良いし、又は、含まなくても良く、
Arは、下記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)で表され、1つのZに対して、1つ又は複数でも良く、Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、下記一般式(1b)におけるナフチル基は、1−ナフチル基又は2−ナフチル基でも良く、
Figure 2019150773
前記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)中、
、R、及びRは、置換基であり、それぞれ、1つ若しくは複数でも良く、又は、存在しなくても良く、R、R、及びRが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、
n及びmは、それぞれ、1以上の整数であり、
及びLの配列順序は、特に限定はなく、交互、ランダム、又はブロックのいずれでも良く、
及びLは、それぞれ、1種類又は複数種類でも良く、
oは、0〜5の整数であり、
pは、0〜7の整数であり、
qは、0〜4の整数であり、かつ
*は、結合部位を表す。
本発明において、「組み合わせて使用する」とは、ポリアルキレンオキサイド(A)とポリエチレンオキサイド(B)とを混合して使用すること(すなわち、組成物の形態)、又は、ポリアルキレンオキサイド(A)とポリエチレンオキサイド(B)とを任意の順で使用すること(すなわち、キットの形態)のいずれでも良い。以下、前記組成物の形態を、炭素繊維用分散剤組成物とし、前記キットの形態を、炭素繊維用分散剤キットとする。
本発明の炭素繊維用分散剤組成物は、前記ポリアルキレンオキサイド(A)と、前記ポリエチレンオキサイド(B)とを含む。また、本発明の炭素繊維用分散剤キットは、前記ポリエチレンオキサイド(A)を含む第1炭素繊維用分散剤と、前記ポリエチレンオキサイド(B)を含む第2炭素繊維用分散剤とを含む。
以下、前記ポリアルキレンオキサイド(A)及び前記ポリエチレンオキサイド(B)を、具体的に説明する。
1.ポリアルキレンオキサイド(A)
本発明の分散剤は、前述のとおり、下記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイド(A)を含む。下記一般式(1)中のL、L、Ar、Z、n、及びmについては、前述のとおりである。
Figure 2019150773
上記ポリアルキレンオキサイド(A)は、特許第5789335号公報に記載の化合物であり、側鎖にアリール基を有するポリアルキレンオキサイド共重合体が、分散剤として、特に炭素繊維用の分散剤として有用であることが見出された。そして、本発明者は、さらに検討した結果、前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイド(A)と、ポリエチレンオキサイド(B)とを組み合わせて使用することが特に有効であることを見出し、本発明に到達した。
以下、前記一般式(1)の構造単位における各部の構造について、例を挙げて説明する。
<−L−O−及びZ−Arからなる構造単位>
まず、前記一般式(1)中の−L−O−及びZ−Arからなる構造単位(以下「副構造単位a」ということがある。)について説明する。
は、前述のとおり、その水素原子の少なくとも一つがZ−Arで置換されている直鎖アルキレン基を表す。Lにおいて、前記直鎖アルキレンとしては、特に限定はなく、例えば、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、n−プロピレン基[−(CH−]、n−ブチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]、ヘキサメチレン基[−(CH−]、ヘプタメチレン基[−(CH−]、オクタメチレン基[−(CH−]、ノナメチレン基[−(CH−]、デカメチレン基[−(CH10−]等が挙げられる。
前記一般式(1)で表されるポリアルキレンオキサイドの原料であるモノマーの反応性(前記一般式(1)で表されるポリアルキレンオキサイドの合成のしやすさ)、又は、前記モノマーの入手しやすさの観点から、Lにおける前記直鎖アルキレン基は、炭素数1〜4の直鎖アルキレンが好ましく、炭素数2〜3の直鎖アルキレンがより好ましく、炭素数2の直鎖アルキレンがさらに好ましい。
前記一般式(1)中、Zは、前述のとおり、LとArとを結合する連結基である。あるいは、Zは存在しなくても良く、この場合には、LとArとが直接結合されていても良い。Zにおいて、前記連結基は、アルキレン鎖、エーテル結合、エステル結合、及びイミド結合を、それぞれ含んでも良いし、又は、含まなくても良い。前記連結基の主鎖原子数は、特に限定はなく、例えば、1〜24個、又は、主鎖がポリエーテルである場合には、例えば、5〜50個である。前記連結基としては、具体的には、例えば、下記一般式(Z1)〜(Z10)が挙げられる。下記一般式(Z1)〜(Z10)中、Arは、前記一般式(1)中のArであり、Lは、前記一般式(1)中のLである。
Figure 2019150773
前記一般式(1)中、Arは、前述のとおり、下記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)で表され、1つのZに対して、1つ又は複数でも良い。また、下記一般式(1b)におけるナフチル基は、1−ナフチル基又は2−ナフチル基でも良い。また、前記一般式(1)中、Arが、下記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)以外の任意の芳香族基でも、ポリアルキレンオキサイド(A)が同様に分散剤として効果を発揮することが可能であるが、下記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)であることが好ましい。さらに、後述するように、前記一般式(1)中のLにおいて、前記Z−Ar以外の他の置換基が、例えば、任意の芳香族基を含む置換基でも良い。
Figure 2019150773
前記一般式(1a)〜(1c)中のR、R、及びRは、前述のとおり、置換基であり、それぞれ、1つ若しくは複数でも良く、又は、存在しなくても良く、R、R、及びRが複数である場合には、同一でも又は異なっても良い。R、R、及びRは、特に限定はなく、それぞれ、例えば、アルキル基、不飽和脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン、アシル基、及びハロアルキル基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基であることが好ましい。
なお、本発明において、「置換基(前記置換基R、前記置換基R、前記置換基R、L上の置換基Z−Ar、L上の前記他の置換基、L上の前記置換基等、全ての置換基)」の炭素原子数は、特に限定はなく、例えば、0〜24個である。本発明において、「不飽和脂肪族炭化水素基」は、二重結合及び三重結合の少なくとも一方を1つ又は複数含み、例えば、アルケニル基及びアルキニル基が挙げられる。以下において同様である。また、本発明において、アルキル基、不飽和脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロアルキル基、及びアシル基は、それぞれ、直鎖状又は分岐状でも良い。以下において同様である。また、本発明において、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、及びアシル基は、それぞれ、炭素数1〜24であることが好ましく、前記不飽和脂肪族炭化水素基は、炭素数2〜24であることが好ましい。以下において同様である。また、本発明において、特に断らない限り、アシル基の炭素数には、カルボニル炭素も含む。すなわち、炭素数1のアシル基とは、ホルミル基をいう。また、本発明において、「アリール基」という場合には、特に限定はなく、例えば、炭素数6〜24のアリール基であり、より具体的には、例えば、後述の例示のとおりである。また、本発明において、「アリール基」という場合には、置換基(例えば、ハロゲン、アルキル基等)を有するアリール基も含む。アリール基から誘導される基(例えば、アラルキル基等)においても同様である。また、アリール基の炭素数には、前記置換基の炭素数は含まれない。また、本発明において、「ヘテロアリール基」という場合には、特に限定はなく、例えば、前記「アリール基」の環の炭素原子の1つ以上がヘテロ原子(炭素及び水素以外の原子、例えば、窒素、酸素、又は硫黄)で置換されている基でも良い。本発明において、「芳香族基」(又は「芳香環」など)という場合には、特に限定はなく、例えば、前記「アリール基」又は前記「ヘテロアリール基」でも良い。本発明において、芳香族基としては、特に限定はなく、例えば、フェニル基(C6)、1−ナフチル基(C10)、2−ナフチル基(C10)、フェナレニル基(C13)、アントリル基(C14)、フェナントリル基(C14)、ピレニル基(C16)、ナフタセニル基(C18)、クリセニル基(C18)、トリフェニレニル基(C18)、ペリレニル基(C20)、ピセニル基(C22)、ペンタセニル基(C22)、コロネニル基(C24)、インデニル基(C9)、アズレニル基(C10)、フルオレニル基(C13)、テトラフェニレニル基(C24)、ビフェニル基(C12)、ターフェニル基(C18)、クオーターフェニル基(C24)、ビナフタレニル基(C20)、ペンタレニル基(C8)、ヘプタレニル基(C12)、ビフェニレニル基(C12)、インダセニル基(C12)、アセナフチレニル基(C12)、アセアントリレニル基(C16)、フルオランテニル基(C16)、o−、m−、及びp−トリル基(C7)、キシリル基(C8)、メシチル基(C9)、o−、m−、及びp−クメニル基(C9)、アントラキノリル基(C14)、イミダゾール基(C3)、ピラゾール基(C3)、オキサゾール基(C3)、チアゾール基(C3)、ピラジン基(C4)、チアジン基(C4)、インドール基(C8)、イソインドール基(C8)、フタルイミド基(C8)、ベンゾイミダゾール基(C7)、プリン基(C5)、キノリン基(C9)、イソキノリン基(C9)、キノキサリン基(C8)、シンノリン基(C8)、プテリジン基(C6)、クロメン基(C9)、イソクロメン基(C9)、アクリジン基(C13)、キサンテン基(C13)、カルバゾール基(C12)、ベンゾシンノリン基(C12)等が挙げられる。各例示における括弧内の「C」の直後の数値は、芳香環の炭素原子数を表す。さらに、本発明において、「置換基」に異性体が存在する場合には、特に断らない限り、どの異性体でも良い。例えば、単に「プロピル基」という場合には、1−プロピル基又は2−プロピル基でも良い。
前記一般式(1)中のZ−Arは、前述のとおり、1つ又は複数でも良く、Z−Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良い。例えば、Lにおける前記直鎖アルキレン基がエチレン基であれば、前記エチレン基における水素原子のうち任意の1〜4個が、Z−Arで置換されていても良い。Z−Arが複数である場合には、Z−Arは、同一でも又は異なっても良い。
前記Lは、前述のとおり、さらに、Z−Ar以外の他の置換基を有しても良いし、又は、有しなくても良い。前記Z−Ar以外の他の置換基は、それが存在する場合には、1つのLに対して、1つ又は複数でも良く、前記他の置換基が複数である場合には、同一でも又は異なっても良い。前記Z−Ar以外の他の置換基としては、特に限定はなく、例えば、後述するL上の置換基と同様でも良い。また、前記Z−Ar以外の他の置換基は、例えば、任意の芳香族基(アリール基、ヘテロアリール基等)を含んでも良い。
前記副構造単位aの具体的な構造例を、下記一般式(1−1)〜(1−15)、及び(2)に示す。前記副構造単位aは、分散性の観点から、下記一般式(1−1)〜(1−11)、及び(2)の少なくとも1つであることが好ましく、下記一般式(1−1)、(1−3)、(1−4)、(1−6)、(1−7)、(1−8)、及び(2)の少なくとも1つであることがより好ましく、下記一般式(1−6)及び(2)の少なくとも一方であることが特に好ましい。なお、下記一般式(1−6)及び(2)は、後述する実施例に対応する構造である。下記一般式(1−1)〜(1−5)、(1−7)、及び(1−12)〜(1−14)は、芳香環がヘテロ原子を含まず、側鎖がエーテル結合以外のヘテロ原子を含まない点で、下記一般式(1−6)と類似する構造である。下記一般式(1−8)〜(1−12)は、芳香環が、又は、主鎖と芳香環との結合鎖が、アミド結合、イミド結合、又はエステル結合を含む点で、下記一般式(2)と類似する構造である。
Figure 2019150773
Figure 2019150773
<−L−O−からなる構造単位>
次に、前記一般式(1)中の−L−O−からなる構造単位(以下「副構造単位b」ということがある。)について説明する。
は、前述のとおり、直鎖アルキレン基を表す。前記直鎖アルキレンとしては、特に制限はなく、例えば、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、n−プロピレン基[−(CH−]、n−ブチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]、ヘキサメチレン基[−(CH−]、ヘプタメチレン基[−(CH−]、オクタメチレン基[−(CH−]、ノナメチレン基[−(CH−]、デカメチレン基[−(CH10−]等が挙げられる。
前記副構造単位bの親水性の高さの観点から、又は、前記一般式(1)で表されるポリアルキレンオキサイドの原料であるモノマーの反応性(前記一般式(1)で表されるポリアルキレンオキサイドの合成のしやすさ)、若しくは前記モノマーの入手しやすさの観点から、Lは、炭素数1〜4の直鎖アルキレンが好ましく、炭素数2〜3の直鎖アルキレンがより好ましく、炭素数2の直鎖アルキレンがさらに好ましい。
は、前述のとおり、置換基を有しても良いし、又は、有しなくても良い。前記置換基は、それが存在する場合には、1つのLに対して、1つ又は複数でも良いが、1つであることが好ましく、前記置換基が複数である場合には、同一でも又は異なっても良い。Lにおける前記置換基としては、特に限定はなく、例えば、アルキル基、不飽和脂肪族炭化水素基、ハロアルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アルコキシアルキル基、アルケニルオキシアルキル基、アルキニルオキシアルキル基、ハロアルコキシアルキル基、アルコキシ−ポリ(アルキルオキシ)アルキル基、アシルオキシアルキル基、ハロゲン、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基、及び(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアルキル基からなる群から選択される少なくとも1つが好ましい。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及びメタアクリル酸の少なくとも一方を表す。(メタ)アクリル酸から誘導される構造(例えば(メタ)アクリロイル基等)においても同様である。
前記アルキル基としては、特に限定はなく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状アルキル基が挙げられる。
前記不飽和脂肪族炭化水素基としては、特に限定はなく、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブチリル基、ペンチリル基、ヘキシリル基、ヘプチリル基、オクチリル基、ノニリル基、デシリル基等の炭素数2〜10のアルケニル基、エチニル基、プロパルギル基等の炭素数2〜10の直鎖状又は分岐状アルキニル基が挙げられる。
前記ハロアルキル基は、ハロゲン置換数が1でも良いし、又は、複数でも良い。前記ハロアルキル基としては、特に限定はなく、例えば、クロロメチル基、クロロエチル基、クロロブチル基、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、フルオロメチル基、トリフルオロエチル基等の炭素数2〜21の直鎖又は分岐状ハロアルキル基が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、特に限定はなく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状アルコキシ基等が挙げられる。
前記アシル基としては、特に限定はなく、例えば、ホルミル基、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基等の炭素数2〜21の直鎖又は分岐状アシル基が挙げられる。
前記アシルオキシ基としては、特に限定はなく、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基等が挙げられる。
前記アルコキシカルボニル基としては、特に限定はなく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
前記アルケニルオキシカルボニル基としては、特に限定はなく、例えば、ビニルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基等が挙げられる。
前記アルコキシアルキル基としては、特に限定はなく、例えば、アルコキシメチル基が挙げられ、より具体的には、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ペンチルオキシメチル基、ヘキシルオキシメチル基、ヘプチルオキシメチル基、オクチルオキシメチル基、デシルオキシメチル基、ドデシルオキシメチル基(ラウリルオキシメチル基)、ヘキサデシルオキシメチル基(セチルオキシメチル基)、オクタデシルオキシメチル基(ステアリルオキシメチル基)、イコシルオキシメチル基、ヘキサデシルオキシメチル基等の炭素数2〜21の直鎖状又は分岐状アルコキシメチル基が挙げられる。
前記アルケニルオキシアルキル基としては、特に限定はなく、例えば、アルケニルオキシメチル基が挙げられ、より具体的には、例えば、ビニルオキシメチル基、アリルオキシメチル基(allyloxymethyl group)、イソプロペニルオキシメチル基、オレイルオキシメチル基等の炭素数2〜21の直鎖状又は分岐状アルケニルオキシアルキル基が挙げられる。
前記アルキニルオキシアルキル基としては、特に限定はなく、例えば、アルキニルオキシメチル基等の炭素数2〜21の直鎖状又は分岐状アルキニルオキシアルキル基が挙げられる。
前記ハロアルコキシアルキル基としては、特に限定はなく、例えば、ハロアルコキシメチル基が挙げられ、より具体的には、例えば、クロロメトキシメチル基、クロロエトキシメチル基、クロロブトキシメチル基、ジクロロメトキシメチル基、トリフルオロメトキシメチル基、ブロモメトキシメチル基、フルオロメトキシメチル基、トリフルオロエトキシメチル基、テトラフルオロプロポキシメチル基、オクタフルオロベンチロキシメチル基、ドデカフルオロヘプチロキシメチル基等の炭素数2〜21の直鎖又は分岐状ハロアルコキシメチル基が挙げられる。
前記アルコキシ−ポリ(アルキルオキシ)アルキル基としては、特に限定はなく、例えば、アルコキシ−ポリ(アルキルオキシ)メチル基が挙げられ、より具体的には、例えば、ドデシルオキシ−(CHCHO)15−メチル基が挙げられる。
前記ハロゲンとしては、特に限定はなく、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
前記(メタ)アクリロイルオキシアルキル基としては、特に限定はなく、例えば、(メタ)アクリロイルオキシメチル基が挙げられ、より具体的には、例えば、アクリロイルオキシメチル基、メタクリロイルオキシメチル基等の炭素数2〜21の直鎖又は分岐状(メタ)アクリロイルオキシアルキル基が挙げられる。
前記(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアルキル基としては、特に限定はなく、例えば、(メタ)アクリロイルオキシアルコキシメチル基が挙げられ、より具体的には、例えば、アクリロイルオキシブトキシメチル基等の炭素数2〜21の直鎖又は分岐状(メタ)アクリロイルオキシアルコキシアルキル基が挙げられる。
上における前記置換基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アルコキシメチル基、アルケニルオキシメチル基、ハロアルコキシメチル基、アルコキシ−ポリ(アルキルオキシ)メチル基、アシルオキシメチル基、ハロゲン、(メタ)アクリロイルオキシメチル基、及び(メタ)アクリロイルオキシアルコキシメチル基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基であることがより好ましい。また、前記一般式(1)中、Lは、その水素原子の1つが置換基で置換されていても良いし、又は、置換されていなくても良く(すなわち、置換数が1又は0であり)、前記置換基が、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブチリル基、ペンチリル基、ヘキシリル基、ヘプチリル基、オクチリル基、ノニリル基、デシリル基、エチニル基、プロパルギル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、クロロメチル基、パーフルオロブチルメチル基、パーフルオロヘキシルメチル基、クロロエチル基、クロロブチル基、ジクロロメチル基、トリフルオロメチル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、フルオロメチル基、トリフルオロエチル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ペンチルオキシメチル基、ヘキシルオキシメチル基、ヘプチルオキシメチル基、オクチルオキシメチル基、イコシルオキシメチル基、デシルオキシメチル基、ドデシルオキシメチル基、ヘキサデシルオキシメチル基、オクタデシルオキシメチル基、アリルオキシメチル基、ビニルオキシメチル基、イソプロペニルオキシメチル基、オレイルオキシメチル基、ドデシルオキシ−(CHCHO)15−メチル基、アクリロイルオキシブトキシメチル基、テトラフルオロプロポキシメチル基、オクタフルオロペンチロキシメチル基、ドデカフルオロヘプチロキシメチル基、アクリロイルオキシメチル基、メタクリロイルオキシメチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ホルミル基、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基であることがさらに好ましい。
前記副構造単位bの具体的な構造例を、下記一般式(3−1)又は(3−2)に示す。
Figure 2019150773
ここで、前記一般式(3−1)及び(3−2)中、m、m’、及びlは、それぞれ、1以上の整数である。
なお、前記一般式(1)で表されるポリアルキレンオキサイドに互変異性体又は立体異性体(例:幾何異性体、配座異性体、及び光学異性体)等の異性体が存在する場合には、いずれの異性体も本発明に使用することができる。
以上、前記一般式(1)の構造単位を有するポリオキシアルキレンオキサイドの前記副構造単位a及び前記副構造単位bを、それぞれ説明した。本発明における前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドは、例えば、前記副構造単位a及び前記副構造単位bについて具体的に例示した前記一般式を任意に組み合わせても良い。前記一般式(1)の構造単位において、前記副構造単位a及び前記副構造単位bの組み合わせの具体例(構造単位1〜32)を、下記表1に示す。
Figure 2019150773
また、前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドにおける前記構造単位は、例えば、下記構造単位(A1)〜(A27)のいずれかでも良い。ただし、下記構造単位(A1)〜(A27)における各モノマー構造単位の配列順序は、特に限定はなく、例えば、交互、ランダム又はブロックのいずれでも良い。なお、下記において、アルキル炭素数1〜18のアルキル基としては、特に限定はなく、例えば、ドデシル基等が挙げられる。
(A1)エチレンオキサイド及びスチレンオキサイドの共重合体
(A2)プロピレンオキサイド及びスチレンオキサイドの共重合体
(A3)エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、及びスチレンオキサイドの共重合体
(A4)エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、及びスチレンオキサイドの共重合体
(A5)エチレンオキサイド、アルキル炭素数1〜18のアルキルグリシジルエーテル、及びスチレンオキサイドの共重合体
(A6)エチレンオキサイド、アリルグリシジルエーテル、及びスチレンオキサイドの共重合体
(A7)エチレンオキサイド及びフェニルグリシジルエーテルの共重合体
(A8)プロピレンオキサイド及びフェニルグリシジルエーテルの共重合体
(A9)エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、及びフェニルグリシジルエーテルの共重合体
(A10)エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、及びフェニルグリシジルエーテルの共重合体
(A11)エチレンオキサイド、アルキル炭素数1〜18のアルキルグリシジルエーテル、及びフェニルグリシジルエーテルの共重合体
(A12)エチレンオキサイド、アリルグリシジルエーテル、及びフェニルグリシジルエーテルの共重合体
(A13)エチレンオキサイド及びナフチルグリシジルエーテルの共重合体
(A14)プロピレンオキサイド及びナフチルグリシジルエーテルの共重合体
(A15)エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、及びナフチルグリシジルエーテルの共重合体
(A16)エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、及びナフチルグリシジルエーテルの共重合体
(A17)エチレンオキサイド、アルキル炭素数1〜18のアルキルグリシジルエーテル、及びナフチルグリシジルエーテルの共重合体
(A18)エチレンオキサイド、アリルグリシジルエーテル、及びナフチルグリシジルエーテルの共重合体
(A19)エチレンオキサイド及びN−グリシジルフタルイミドの共重合体
(A20)プロピレンオキサイド及びN−グリシジルフタルイミドの共重合体
(A21)エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、及びN−グリシジルフタルイミドの共重合体
(A22)エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、及びN−グリシジルフタルイミドの共重合体
(A23)エチレンオキサイド、アルキル炭素数1〜18のアルキルグリシジルエーテル、及びN−グリシジルフタルイミドの共重合体
(A24)エチレンオキサイド、アリルグリシジルエーテル、及びN−グリシジルフタルイミドの共重合体
(A25)エチレンオキサイド、スチレンオキサイド、及びN−グリシジルフタルイミドの共重合体
(A26)エチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテル、及びN−グリシジルフタルイミドの共重合体
(A27)エチレンオキサイド、ナフチルグリシジルエーテル、及びN−グリシジルフタルイミドの共重合体
本発明の分散剤において、前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドにおける前記構造単位は、分散性の観点から、前記表1の構造単位1〜32又は前記構造単位(A1)〜(A27)であることが好ましく、前記表1の構造単位6、16、22、又は32であることがより好ましく、前記構造単位が前記表1の構造単位22(前記構造単位(A7)又は下記一般式(4)とそれぞれ同一)又は16(前記構造単位(A19)又は下記一般式(5)とそれぞれ同一)であることが特に好ましい。
Figure 2019150773
Figure 2019150773
前記一般式(4)中、n、m、及びlは、1以上の整数であり、前記一般式(5)中、n及びmは、1以上の整数である。
前記一般式(1)中、nは、前記副構造単位aの数であり、1以上の整数である。前記一般式(1)中、mは、前記副構造単位bの数であり、1以上の整数である。前記副構造単位a及びbの配列順序は、特に制限はない。例えば、前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドは、交互共重合体でも良いし、ランダム共重合体でも良いし、又は、ブロック共重合体でも良い。前記ポリアルキレンオキサイドは、分散性の観点から、ランダム共重合体であることが好ましい。また、前記副構造単位a及びbは、それぞれ1種類でも良いし、又は、複数種類でも良い。
(共重合比)
前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドの副構造単位a及びbの共重合比(副構造単位a:副構造単位b)は、特に限定はなく、分散性の観点から、例えば、副構造単位a:副構造単位b=0.01:99.99〜50:50、好ましくは0.1:99.9〜30:70、より好ましくは0.5:99.5〜20:90、さらに好ましくは1:99〜10:90である。ただし、これらの数値は例示であり、用途等に応じて適宜変化させても良い。例えば、分散媒体が水である場合、水以外の分散媒体である場合、又は、水と他の分散媒体との混合物である場合等において、前記分散媒体の極性に応じて、前記共重合比(副構造単位a:副構造単位b)を変化させても良い。より具体的には、例えば、前記分散媒体の極性が低い(疎水性が高い)場合には、前記共重合比(副構造単位a:副構造単位b)において、副構造単位aの比率を大きくしても良い。
(重量平均分子量)
本発明の分散剤において、前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドの重量平均分子量は、特に限定はなく、分散性の観点から大きいほうが好ましく、例えば、1,000以上、好ましくは4,000以上、より好ましくは5,000以上、さらに好ましくは10,000以上、さらに好ましくは20,000以上、さらに好ましくは30,000以上である。また、前記重量平均分子量は、粘度を小さくして取り扱い性を容易にする観点から、小さいほうが好ましく、例えば、10,000,000以下、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは500,000以下、さらに好ましくは200,000以下である。前記重量平均分子量の測定方法としては、特に限定はなく、例えば、後述の実施例において記載された測定方法等が挙げられる。
<末端構造>
前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドとは、主たる構造が前記一般式(1)で表されるポリアルキレンオキサイドである。すなわち、前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドは、例えば、前記一般式(1)の構造単位以外の構造、例えば、前記一般式(1)に示されていない末端の構造を有しても良い。前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドにおいて、前記一般式(1)に示されていない末端の構造は、例えば、前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドの合成に使用される重合開始剤、重合停止剤、触媒等によって構成される末端構造であり、特に限定はない。
前記末端構造は、前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドの合成方法等によっても異なるが、一般的に、重合開始剤、重合停止剤、触媒由来の構造が付加された構造である。
前記重合開始剤として、例えば、分子構造中に活性水素を有する化合物、酸、有機塩、金属塩、オニウム塩、過酸化物、ジスルフィド化合物等が使用される。前記重合開始剤由来の末端構造は、例えば、これらの化合物の活性水素若しくはカチオン構造が置換された構造、又は、ラジカル生成部が付加された構造である。
前記重合開始剤が有する活性水素、酸基等の数は、特に限定はなく、好ましくは4以下、さらに好ましくは2以下、さらに好ましくは1である。前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドの末端構造としては、特に限定ななく、例えば、水素原子、アルキル基、アリール基、水酸基、又は、アミノ基、アミド基、イミド基、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、鉱酸残基、活性炭素残基等を連結基とする置換又は無置換の末端構造等が挙げられる。
また、前記一般式(1)の構造単位において、もう一方の片末端は、特に限定はなく、一般的には、例えば、重合停止剤又は触媒由来の構造が付加された構造である。前記もう一方の片末端は、より具体的には、例えば、アルキレンオキサイド構造が重合反応により開環した際に生成される酸素原子末端に、重合停止剤又は触媒の全部又は一部の構造が結合している末端構造である。
前記重合停止剤又は触媒由来の末端構造としては、特に限定はなく、例えば、水酸基又は、アミノ基、アミド基、イミド基、エーテル基、チオエーテル基、エステル基等を連結基とした置換又は無置換の構造、置換されているカルボキシル基、鉱酸エステル基、鉱酸残基、活性炭素残基の他、アルカリ金属塩、置換されているアミノ基等のヘテロ原子のオニウム塩、アルキル金属塩等の構造が挙げられる。
前記一般式(1)の構造単位において、前記末端構造は、両末端が同一でも又は異なっても良い。前記末端構造の前記置換基は、好ましくは、炭素数20以下のアルキル基又はアリール基等であり、より好ましくは、炭素数6以下のアルキル基又はアリール基である。前記鉱酸残基は、好ましくは、ハロゲン原子、硫酸エステル基、リン酸エステル基等であり、さらに好ましくは、塩素原子、臭素原子等である。
また、前記主たる構造が前記一般式(1)で表されるポリアルキレンオキサイドとは、例えば、その分子量のうち、前記一般式(1)で表される構造が90%以上であるポリアルキレンオキサイドであり、好ましくは、前記一般式(1)で表される構造が95%以上、より好ましくは、前記一般式(1)で表される構造が98%以上、さらに好ましくは、前記一般式(1)で表される構造が99.5%以上であるポリアルキレンオキサイドである。
<ポリアルキレンオキサイドの製造方法>
本発明の分散剤の(A)成分である前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドの製造方法は、特に限定はない。前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドは、例えば、前記副構造単位aのモノマー及び前記副構造単位bのモノマーを、公知の方法又はそれに準じた方法で共重合させることにより製造できる。前記副構造単位aのモノマー及び前記副構造単位bのモノマーは、それぞれ、一種類でも良いし、又は、複数種類でも良い。前記各モノマーは、例えば、L及びLのアルキレン基の炭素数に対応した環状エーテルでも良い。下記スキーム1に、その化学反応式の一例を示す。なお、下記スキーム1は、L及びLが、それぞれエチレン基(炭素数2のアルキレン基)の場合の例である。下記スキーム1中、n及びmは、それぞれ1以上の整数である。
Figure 2019150773
また、下記スキーム2に、前記副構造単位bのモノマーが複数種類(エチレンオキシド及びプロピレンオキシド)である場合の例を示す。下記スキーム2中、n、m’、及びlは、それぞれ、1以上の整数である。
Figure 2019150773
前記スキーム1中、前記副構造単位aのモノマー成分及びbのモノマー成分の重合比(n:m)は、特に限定はなく、例えば、分散性の観点から、水用分散剤(水を分散媒体とする用途における分散剤)の場合には、例えば、n:m=0.01:99.99〜50:50、好ましくは0.1:99.9〜30:70、より好ましくは0.5:99.5〜20:90、さらに好ましくは1:99〜10:90である。ただし、これらの数値は例示であり、前述のとおり、用途(例えば、分散媒体の種類)等に応じて適宜変更しても良い。
前記スキーム2中、前記副構造単位aのモノマー成分及び前記副構造単位bのモノマー成分の重合比(n:m’:l)は、特に限定はなく、n+m’+l=100%として、例えば、分散性の観点から、水用分散剤(水を分散媒体とする用途における分散剤)の場合には、例えば、m’=10〜99.99%であり、好ましくは、m’=20〜99.9%であり、より好ましくは、m’=50〜99%であり、さらに好ましくは、m’=70〜95%である。一方、溶媒用分散剤(疎水性の溶剤を分散媒体とする用途における分散剤)の場合には、前記重合比は、例えば、l=10〜99.99%であり、好ましくは、l=20〜99.9%であり、より好ましくは、l=50〜99%であり、さらに好ましくは、l=70〜95%である。ただし、これらの数値も、前記と同様に、用途(例えば、分散媒体の種類)等に応じて適宜変更しても良い。
前記副構造単位a及びbのモノマーの構造は、例えば、前記副構造単位a及びbの構造に対応させて、適宜選択すれば良い。例えば、LがZ−Ar以外の置換基を有する場合には、対応する置換基を有する環状エーテルを、前記副構造単位aのモノマーとして使用しても良い。同様に、例えば、Lが置換基を有する場合には、対応する置換基を有する環状エーテルを、前記副構造単位bのモノマーとして使用しても良い。また、例えば、前記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドが、前記一般式(4)又は(5)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドである場合には、後述する実施例に記載のモノマーを前記副構造単位a及びbのモノマーとして使用することができる。また、例えば、前記副構造単位aが前記一般式(1−1)〜(1−15)又は(2)で表される場合には、前記副構造単位aのモノマーとしては、下記(6−1)〜(6−15)又は(2a)が挙げられる。
Figure 2019150773
Figure 2019150773
前記スキーム1又は2に示される共重合反応等の前記式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイドを合成するための共重合反応の反応条件は、特に限定はなく、前述のとおり、公知の方法又はそれに準じた方法の反応条件でも良い。具体的には、例えば、窒素等の不活性ガスの雰囲気下で、0〜50℃の低温条件下又は100〜250℃の高温条件下において、所定の反応時間で、各モノマー成分を開環重合させれば良い。また、必要に応じて、例えば、オートクレーブ等を使用する加圧条件下で、各モノマー成分を反応させても良い。反応溶媒としては、特に限定はなく、例えば、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、シクロペンタン、工業用ヘキサン、n−ヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン等の低極性溶媒が挙げられる。また、必要に応じて、重合触媒を使用することが好ましい。前記共重合反応の反応条件は、例えば、特開2006−077039号公報に記載の反応条件と同様又はそれに準じた反応条件でも良い。同公報に記載の方法では、成分A:有機アルミニウム化合物と、成分B:アルカリ金属のアルコキシド又はアルカリ金属水酸化物のいずれか一方、とを含む重合触媒を使用した共重合により、ポリアルキレンオキサイドを、収率良く合成することができる。
また、前記共重合反応により得られたポリアルキレンオキサイドの純度を、必要に応じて、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)、カラムクロマトグラフィー等の公知の手法で精製することにより向上させても良い。
2.ポリエチレンオキサイド(B)
本発明の分散剤は、前述のとおり、ポリエチレンオキサイド(B)を含む。以下、前記ポリエチレンオキサイド(B)を、具体的に説明する。前記ポリエチレンオキサイド(B)は、分散剤の成分として使用されるが、例えば、後述するように、粘剤としても使用することができる。
前記ポリエチレンオキサイド(B)は、例えば、特公昭45−7751号公報、特公昭53−27319号公報に記載の方法等により重合されたポリエチレンオキサイドである。
前記ポリエチレンオキサイド(B)としては、特に限定はなく、例えば、150万〜1000万の粘度平均分子量を有するポリエチレンオキサイドが挙げられる。前記ポリエチレンオキサイド(B)の粘度平均分子量は、好ましくは、200万〜1000万であり、より好ましくは、200万〜900万である。前記ポリエチレンオキサイド(B)の粘度平均分子量(Mw)は、オストワルド粘度計を使用する極限粘度[η]の値(測定温度:35℃、溶媒:水)から、下記粘度式を使用して算出される。
極限粘度式:[η]=6.4×10−5×(Mw)0.82
前記ポリエチレンオキサイド(B)としては、具体的には、例えば、明成化学工業社株式会社製アルコックス(登録商標)SW(粘度平均分子量:850万)、アルコックス(登録商標)SP(粘度平均分子量:400万)、アルコックス(登録商標)SPN(粘度平均分子量:400万)、アルコックス(登録商標)SR(粘度平均分子量:300〜350万)、アルコックス(登録商標)KP(粘度平均分子量:200〜250万)、アルコックス(登録商標)SV(粘度平均分子量:700万)、アルコックス(登録商標)SK(粘度平均分子量:600万)等が挙げられる。なお、前記ポリエチレンオキサイド(B)は、例えば、上記のポリエチレンオキシドを、単独で使用しても良いし、又は、複数種類を併用しても良い。
3.化合物(C)
前述のように、本発明の分散剤は、下記一般式(2)で表される化合物(C)を含むことが好ましい。下記一般式(2)中のR、R、A、及びlについては、前述のとおりである。
−O−(AO)−R (2)
前記化合物(C)は、特定のグリコール類及び/又はグリコールエーテル類である。このように、本発明では、前記ポリアルキレンオキサイド(A)及び前記ポリエチレンオキサイド(B)と、さらに前記化合物(C)とを組み合わせることにより、比較的長い炭素繊維の分散性をより向上させることができる。また、前記化合物(C)は、比較的低分子量であるため、例えば、炭素繊維に対する濡れ性を格段に向上させることができる。その結果、例えば、炭素繊維を、水系スラリー中に均一に分散させることができるものと考えられる。ただし、本発明は、上記考察により制限されない。「比較的長い炭素繊維」という用語は、例えば、繊維長が比較的長く、結束の強い炭素繊維を意味する。「繊維長が比較的長い炭素繊維」という用語は、繊維長が、例えば、12.5mm以上、特に、12.5mm〜100.0mm、さらには12.5mm〜50.0mmである炭素繊維を意味する。
前記化合物(C)において、Rは、前述のとおり、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルにより置換されていても良いフェニル基又はベンジル基である。「炭素数1〜10のアルキルにより置換されていても良いフェニル基又はベンジル基」という用語は、置換されていないフェニル基若しくはベンジル基、又は、炭素数1〜10のアルキルにより置換されているフェニル基若しくはベンジル基(炭素数1〜10のアルキルフェニル基又はベンジル基)を含む。これらの中でも、Rは、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜10のアルキルにより置換されていても良いフェニル基又はベンジル基が好ましく、炭素数2〜8のアルキル基、炭素数2〜9のアルキルにより置換されていても良いフェニル基又はベンジル基がより好ましく、炭素数3〜6のアルキル基、炭素数3〜8のアルキルにより置換されていても良いフェニル基又はベンジル基がさらに好ましい。このようなアルキル基としては、特に限定はなく、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、へキシル、イソヘキシル、3−メチルペンチル、2,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、n−ヘプチル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、2,4−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルペンチル、3−エチルペンチル、2,2,3−トリメチルブチル、2−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、4−メチルヘプチル、3−エチルヘキシル、2,2−ジメチルヘキシル、2,3−ジメチルヘキシル、2,4−ジメチルヘキシル、2,5−ジメチルヘキシル、3,3−ジメチルヘキシル、3,4−ジメチルヘキシル、3−エチル−2−メチルペンチル、3−エチル−3−メチルペンチル、2,2,3−トリメチルペンチル、2,2,4−トリメチルペンチル、2,3,3−トリメチルペンチル、2,3,4−トリメチルペンチル、2,2,3,3−テトラメチルブチル等が挙げられる。このようなアルキルにより置換されていても良いフェニル基又はベンジル基としては、特に限定はなく、例えば、フェニル、ベンジル、トリル、o−キシリル、m−キシリル、p−キシリル等が挙げられる。
は、前述のとおり、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基である。これらの中でも、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましい。このようなアルキル基としては、特に限定はなく、例えば、前述のものが挙げられる。
Aは、炭素数1〜4のアルキレン基であり、好ましくは、炭素数2〜3のアルキレン基である。nは、オキシアルキレン基であるAOの繰り返し数であり、1以上の整数である。nは、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4である。このようなアルキレン基としては、特に限定はなく、例えば、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、1,2−ジメチルエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、ヘプチレン、オクチレン等の直鎖状又は分岐状アルキレン基が挙げられる。
前記化合物(C)は、具体的には、例えば、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ2−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル等のグリコールエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等のプロピレングリコールエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のジアルキルグリコールエーテル;等が挙げられる。
これらの中でも、前記化合物(C)は、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテルが好ましく、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルがさらに好ましい。
前記化合物(C)を製造する方法は、特に限定はなく、例えば、従来公知の方法が挙げられる。具体的には、化合物(C)は、例えば、特開2012−149033号公報、特開2016−190830号公報等に記載の方法により製造することができる。
4.ポリアルキレンオキサイド(A)と、ポリエチレンオキサイド(B)と、化合物(C)との配合割合
本発明の炭素繊維用分散剤組成物において、前記ポリアルキレンオキサイド(A)と、前記ポリエチレンオキサイド(B)と、前記化合物(C)との配合割合は、特に限定はない。ただし、本発明の炭素繊維用分散剤組成物は、ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、ポリエチレンオキサイド(B)を、好ましくは5〜550質量部、より好ましくは10〜500質量部、さらに好ましくは40〜350質量部、特に好ましくは70〜250質量部、さらに特に好ましくは80〜200質量部で含む。また、本発明の炭素繊維用分散剤組成物は、ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、前記化合物(C)を、好ましくは5〜550質量部、より好ましくは10〜450質量部、さらに好ましくは20〜350質量部、特に好ましくは70〜250質量部、さらに特に好ましくは80〜200質量部で含む。さらに、本発明の炭素繊維用分散剤組成物は、ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、ポリエチレンオキサイド(B)を、好ましくは5〜550質量部、より好ましくは10〜500質量部、さらに好ましくは40〜350質量部、特に好ましくは70〜250質量部、さらに特に好ましくは80〜200質量部で含み、前記化合物(C)を、好ましくは5〜550質量部、より好ましくは10〜450質量部、さらに好ましくは20〜350質量部、特に好ましくは70〜250質量部、さらに特に好ましくは80〜200質量部で含む。同配合割合が上記範囲にあると、例えば、炭素繊維の分散性向上効果が良好に発揮されやすい。
本発明の炭素繊維用分散剤キットにおいて、前記第1炭素繊維用分散剤と前記第2炭素繊維用分散剤(必要に応じて、第3炭素繊維用分散剤)とが混合される際に、ポリアルキレンオキサイド(A)とポリエチレンオキサイド(B)(必要に応じて、化合物(C))との混合割合は、特に限定はない。ただし、本発明の炭素繊維用分散剤キットにおいて、前記第1炭素繊維用分散剤と前記第2炭素繊維用分散剤(必要に応じて、第3炭素繊維用分散剤)とが混合される際に、ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、ポリエチレンオキサイド(B)は、好ましくは5〜550質量部、より好ましくは10〜500質量部、さらに好ましくは40〜350質量部、特に好ましくは70〜250質量部、さらに特に好ましくは80〜200質量部で混合される。また、本発明の炭素繊維用分散剤キットが前記第3炭素繊維用分散剤を含む場合には、前記第1炭素繊維用分散剤と前記第3炭素繊維用分散剤とが混合される際に、ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、化合物(C)は、好ましくは5〜550質量部、より好ましくは10〜450質量部、さらに好ましくは20〜350質量部、特に好ましくは70〜250質量部、さらに特に好ましくは80〜200質量部で混合される。さらに、本発明の炭素繊維用分散剤キットが前記第3炭素繊維用分散剤を含む場合には、前記第1炭素繊維用分散剤と前記第2炭素繊維用分散剤と第3炭素繊維用分散剤とが混合される際に、ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、ポリエチレンオキサイド(B)は、好ましくは5〜550質量部、より好ましくは10〜500質量部、さらに好ましくは40〜350質量部、特に好ましくは70〜250質量部、さらに特に好ましくは80〜200質量部で混合され、化合物(C)は、好ましくは5〜550質量部、より好ましくは10〜450質量部、さらに好ましくは20〜350質量部、特に好ましくは70〜250質量部、さらに特に好ましくは80〜200質量部で混合される。同混合割合が上記範囲にあると、例えば、炭素繊維の分散性向上効果が良好に発揮されやすい。本発明の炭素繊維用分散剤キットは、例えば、第1炭素繊維用分散剤と第2炭素繊維用分散剤(必要に応じて第3炭素繊維用分散剤)とを、ポリアルキレンオキサイド(A)とポリエチレンオキサイド(B)(必要に応じて、化合物(C))との混合割合が前述の範囲であるように含んでも良く、これらの分散剤が混合されて、前述の混合割合が実現されても良い。また、本発明の炭素繊維用分散剤キットは、例えば、第1炭素繊維用分散剤と第2炭素繊維用分散剤(必要に応じて、第3炭素繊維用分散剤)とを、これらの内の1つが前述の混合割合より高い状態で含んでも良く、これらの分散剤が特定の比率で混合されて、前述の混合割合が実現されても良い。
5.添加剤
本発明の分散剤は、必要に応じて、添加剤と併用しても良い。例えば、分散剤として使用される前記一般式(1)、前記ポリエチレンオキサイド、及び前記化合物(C)以外の物質を、前記添加剤として併用しても良い。併用することができる添加剤は、特に限定はなく、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の公知の界面活性剤等が挙げられる。
本発明の炭素繊維用分散剤組成物は、前記ポリアルキレンオキサイド(A)と、前記ポリエチレンオキサイド(B)と、必要に応じて、前記化合物(C)とが、水性媒体、例えば、水中に溶解された状態の組成物でもよい。各成分を、水性媒体、例えば、水に溶解させる方法としては、特に限定はなく、例えば、従来公知の方法が挙げられる。
<炭素繊維分散組成物>
次に、本発明の炭素繊維分散組成物を説明する。前述のように、本発明の炭素繊維分散組成物は、本発明の炭素繊維用分散剤組成物、又は、本発明の炭素繊維用分散剤キットの第1炭素繊維用分散剤及び第2炭素繊維用分散剤(必要に応じて、第3炭素繊維用分散剤)と、炭素繊維と、分散媒体とを含む。また、本発明の炭素繊維分散組成物は、本発明の炭素繊維用分散剤と、炭素繊維と、分散媒体とを含むと言うことができる。
1.炭素繊維
本発明において、炭素繊維は、繊維長が比較的長い炭素繊維である。炭素繊維の繊維長は、例えば、前述のとおりである。炭素繊維の長さは、通常5〜100mmである。本発明では、例えば、炭素繊維を、前述の繊維長にカットして使用しても良い。
炭素繊維は、特に限定はなく、例えば、既知の炭素繊維を単独又は2種類以上を混合して使用されても良い。具体的な炭素繊維の例としては、例えば、ポリアクリロニトリル系(PAN系)炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。安価なコストと良好な機械的特性との観点から、炭素繊維は、PAN系炭素繊維が好ましい。このような炭素繊維は、市販品として入手可能である。このような市販品としては、例えば、東レ株式会社製の商品名「トレカ(登録商標)T800HB−12000」等が挙げられる。
炭素繊維の直径は、特に限定はなく、好ましくは3〜15μm、より好ましくは5〜10μmである。
また、炭素繊維は、例えば、再生炭素繊維でも良い。再生炭素繊維は、例えば、1種類を単独で使用しても良いし、又は、2種類以上を混合して使用しても良い。再生炭素繊維は、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)又は使用済みの炭素繊維不織布から再生された炭素繊維等が挙げられる。再生炭素繊維は比較的安価であるため、このような再生炭素繊維の使用は、コストの観点から好ましい。炭素繊維の再生方法は、特に限定はない。同再生方法の例としては、例えば、特開2013−64219号公報、特開2013−249386号公報等で開示された技術、CFRPから樹脂部分を燃焼させて除去する方法、溶剤による溶解又は分解により除去する方法等が挙げられる。
炭素繊維には、例えば、炭素繊維の表面状態を改質するための一般的な処理が施されていても良いし、又は、このような処理が施されていなくても良い。このような処理としては、例えば、油剤組成物の付与、酸化処理による親水性官能基の導入、及び高い電圧を印加することによる不規則な表面脆弱層の除去等が挙げられる。
2.分散媒体
分散媒体は、特に限定はなく、例えば、水、水及び/又は親水性有機溶媒を含む水系媒体等が挙げられる。水としては、特に限定はなく、例えば、通常の水道水、蒸留水、精製水等が挙げられる。分散媒体は、例えば、有機溶剤を含んでも良い。このような有機溶剤としては、特に限定はなく、例えば、芳香族炭化水素系溶剤、炭化水素系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、酢酸エステル系溶剤、ジアルキルエーテル系溶剤、アルコール系溶剤、グリコール系溶剤、ニトリル系溶剤、カーボネート系溶剤等が挙げられる。このような有機溶剤は、例えば、1種類を単独で使用しても良いし、又は、2種類以上を混合して使用しても良い。
3.各成分の割合
本発明の炭素繊維分散組成物において、炭素繊維の含有割合は、特に限定はなく、0.01〜10.0質量%であることが好ましく、0.03〜5.0質量%であることがより好ましく、0.05〜1.0質量%であることが特に好ましい。炭素繊維の含有割合が上記範囲内にあると、例えば、効率良く炭素繊維を分散させやすい。
本発明の炭素繊維分散組成物において、炭素繊維に対するポリアルキレンオキサイド(A)、ポリエチレンオキサイド(B)、及び化合物(C)(炭素繊維用分散剤)の配合割合は、特に限定はない。ただし、本発明の炭素繊維分散組成物は、炭素繊維用分散剤を、炭素繊維100質量部に対して、例えば、0.1〜300質量部、好ましくは1〜300質量部、より好ましくは2〜200質量部、特に好ましくは2.5〜100質量部で含む。より具体的には、本発明の炭素繊維分散組成物は、前記炭素繊維100質量部に対して、ポリアルキレンオキサイド(A)及びポリエチレンオキサイド(B)を、例えば、合計0.1〜300質量部、好ましくは合計1〜300質量部、より好ましくは合計2〜200質量部、特に好ましくは合計2.5〜100質量部で含む。また、本発明の炭素繊維分散組成物は、前記炭素繊維100質量部に対して、ポリアルキレンオキサイド(A)、ポリエチレンオキサイド(B)、及び化合物(C)を、例えば、合計0.1〜300質量部、好ましくは合計1〜300質量部、より好ましくは合計2〜200質量部、特に好ましくは合計2.5〜100質量部で含む。炭素繊維に対する炭素繊維用分散剤の量が上記範囲内にあると、例えば、抄紙時の水中分散が良好に発揮されやすい。
4.炭素繊維分散組成物の製造方法
本発明の炭素繊維分散組成物は、例えば、炭素繊維用分散剤、炭素繊維、及び分散媒体(好ましくは、水)を、一般的なミキサー等に投入し、撹拌(離解)することにより製造することができる。炭素繊維用分散剤、炭素繊維、及び分散媒体を投入する順序に、特に限定はない。例えば、ポリアルキレンオキサイド(A)とポリエチレンオキサイド(B)とを混合物(すなわち、本発明の炭素繊維用分散剤組成物)として投入しても良いし、又は、ポリアルキレンオキサイド(A)及びポリエチレンオキサイド(B)を任意の順で別個に(すなわち、本発明の炭素繊維用分散剤キット)投入しても良い。また、必要に応じて、化合物(C)を混合しても良い。ミキサー等の例としては、特に限定はなく、例えば、各種の離解機(パルパー)、ナイアガラビーター等の各種のビーター、シングルディスクリファイナー、ダブルディスクリファイナー等の各種のリファイナー、及び各種のミキサー等が挙げられる。前述のミキサーは、例えば、市販品を利用することができる。
5.添加剤
本発明の炭素繊維分散組成物は、例えば、本発明の炭素繊維分散組成物を使用する湿式抄紙法により炭素繊維シートを得るために、任意成分として、さらに、添加剤を含んでも良い。具体的には、本発明の炭素繊維分散組成物は、例えば、公知の浸透剤、湿潤剤、消泡剤、粘剤、粘度調整剤、pH調整剤等を、炭素繊維の分散性を損なわない範囲で、添加剤として含んでも良い。これらの中でも、本発明の炭素繊維分散組成物を湿式抄紙法により繊維シート化する際に、本発明の炭素繊維分散組成物は、粘剤を含むことが好ましい。特に、炭素繊維の分散性をより高めるために、例えば、本発明の炭素繊維分散組成物は、前述のポリエチレンオキサイド(B)をさらに含む。粘剤として添加されるポリエチレンオキサイド(B)は、本発明の炭素繊維用分散剤組成物に含まれるポリエチレンオキサイド(B)と、例えば、同一でも又は異なっても良い。このポリエチレンオキサイド(B)は、例えば、200万〜1,000万の粘度平均分子量を有する。ポリエチレンオキサイド(B)は、抄紙に使用する水の量に対して、例えば、1〜1000ppm、好ましくは5〜1000ppmで配合される。ポリエチレンオキサイド(B)(粘剤)の配合割合が5ppm以上であると、例えば、本発明の炭素繊維分散組成物を湿式抄紙法によりシート化した際に、十分均一な地合いの炭素繊維シートを得ることができる。また、ポリエチレンオキサイド(B)(粘剤)の配合割合が1000ppm以下であると、例えば、本発明の炭素繊維分散組成物の粘度が高くなり過ぎず、湿式抄紙の速度を低速にすることなく、炭素繊維シートを得ることができる。ポリエチレンオキサイド(B)を配合する場合、本発明の炭素繊維用分散剤と粘剤とを併用して炭素繊維を初期分散し、その後、ポリエチレンオキサイド系粘剤を、本発明の炭素繊維分散組成物に添加して、分散安定化を行うことが好ましい。これにより、湿式抄紙する際に、例えば、従来困難とされていた結束の強い炭素繊維の均一分散を良好且つ速やかに行うことができるため、極めて均一に分散した炭素繊維分散液等の抄紙液(スラリー)を容易に得ることができる。このため、前述のような初期分散及び分散安定化によれば、例えば、地合いに優れた炭素繊維シート等を効率良く製造することが可能となり、このような炭素繊維シートを各種樹脂と複合化することにより繊維強化プラスチック成形体等とすることができる。
また、本発明の炭素繊維分散組成物は、例えば、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基、又はそれらの塩等のイオン性添加剤を、添加剤として含んでも良い。
<炭素繊維シートの製造方法>
次に、本発明の炭素繊維シートの製造方法を説明する。前述のように、本発明の炭素繊維シートの製造方法は、少なくとも前述のポリアルキレンオキサイド(A)と、ポリエチレンオキサイド(B)と、炭素繊維と、分散媒体とを含む炭素繊維分散組成物を抄紙する工程、及び、前記抄紙された炭素繊維分散組成物を乾燥させる工程を含む。
本発明の炭素繊維シートの製造方法において使用される炭素繊維分散組成物は、例えば、本発明の炭素繊維分散組成物でも良い。また、本発明の炭素繊維シートの製造方法において使用される炭素繊維分散組成物は、個々に準備された、前記ポリアルキレンオキサイド(A)と、前記ポリエチレンオキサイド(B)と、必要に応じて化合物(C)と、炭素繊維と、分散媒体とを混合して、抄紙工程前に調製されても良い。本明細書において、このような調製を、提供工程と言うことがある。さらに、炭素繊維分散組成物に、例えば、ポリエチレンオキサイド系粘剤を添加することができる。ポリエチレンオキサイド系粘剤の種類、配合割合、添加のタイミング等は、例えば、前述のとおりである。
抄紙工程は、例えば、炭素繊維分散組成物から分散媒体を除去してシート化する、いわゆる湿式抄紙法により行われる。湿式抄紙法に用いられる抄紙機としては、特に限定はなく、例えば、傾斜ワイヤー型抄紙機、円網抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機等の既知の抄紙機が挙げられる。抄紙工程において、炭素繊維分散組成物は、例えば、坪量10g/m〜1000g/m、好ましくは坪量20g/m〜700g/mとなるように抄紙される。同坪量が上記範囲内にあると、例えば、炭素繊維シートの断紙等による抄紙機での操業性の低下を回避しやすく、適切な時間内に炭素繊維シートを乾燥させることができ、生産性の低下を回避しやすい。
抄紙工程において、炭素繊維シートの抄紙速度は、特に限定はない。ただし、同抄紙速度は、10m/分以上であることが好ましい。引取速度の上限は、通常100m/分以下である。
このような湿式抄紙法で炭素繊維シートを製造する場合、例えば、炭素繊維間の物理的な絡み合いだけではハンドリング可能なシートとしての(湿紙)強度が不足する場合がある。このような場合には、炭素繊維分散組成物に、例えば、バインダーを添加して炭素繊維間を結着させても良い。
バインダーを添加する場合、例えば、湿式抄紙法による抄紙工程において、バインダーを含む溶液若しくはバインダーを含むエマルジョンを内添しても良いし、又は、炭素繊維シート形成後、この炭素繊維シートにバインダーを塗布若しくは含浸させて、加熱乾燥させる工程をさらに行っても良い。このようなバインダーとしては、特に限定はなく、例えば、不織布の製造に一般的に使用されるもの等が挙げられる。このようなバインダーの例としては、特に限定はなく、例えば、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド(ナイロン)樹脂、ポリエステル樹脂、変性ポリエステル樹脂(芯鞘構造)、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニルアルコール等の熱水溶融性樹脂等が挙げられる。
また、抄紙工程において、炭素繊維以外の他の繊維を混抄しても良い。他の繊維としては、特に限定はなく、例えば、金属繊維、セラミック繊維、バサルト繊維、ガラス繊維、ポリエーテルイミド(PEI)繊維、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)繊維、ポリアミドイミド(PAI)繊維、ポリフェニレンスルフィド(PPS)繊維、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)繊維等が挙げられる。このような場合には、例えば、他の繊維を、炭素繊維分散組成物に含ませても良い。また、抄紙工程の前に、必要に応じて、炭素繊維分散組成物を、分散媒体により希釈しても良い。
抄紙工程において抄紙された炭素繊維分散組成物(炭素繊維シート)を、乾燥工程において、例えば、乾燥機を用いて乾燥させる。乾燥機としては、特に限定はなく、例えば、シリンダードライヤー、エアードライヤー等が挙げられる。乾燥温度は、特に限定はなく、例えば、100〜200℃、好ましくは100〜150℃である。ついで、例えば、熱カレンダーロール処理等の熱圧加工を行うことにより、炭素繊維シートを、適当な厚さに調整することができる。
<炭素繊維シート>
本発明の炭素繊維シートは、本発明の炭素繊維シートの製造方法により製造された炭素繊維シートである。本発明の炭素繊維シートは、極めて均一な地合いを有し、かつ、ポリエステル織物に対する耐ブロッキング性に優れている。以下、「炭素繊維シートのポリエステル繊維に対する耐ブロッキング性」を、単に、「耐ブロッキング性」と言うことがある。抄紙機において、ドライヤーカンバス(ポリエステル織物製等を使用)は、プレスパートから運ばれてきた湿紙を受け取り、PD(ペーパードライヤー(金属製のシリンダードライヤー))を円滑に運搬する。ドライヤーカンバスは、この機能により、断紙等の発生を防止する。ここで、湿紙(炭素繊維シート)中の炭素繊維が、ドライヤーカンバスに貼り付くと、炭素繊維シートが断紙してしまうおそれがある。このため、耐ブロッキング性は、炭素繊維シートの重要な評価項目である。これらの効果は、本発明の炭素繊維用分散剤により、炭素繊維が分散媒体(好ましくは、水系媒体)中で極めて均一に分散されたことを表している。なお、本願出願時において、炭素繊維シートをその構造又は特性により直接特定することが、不可能又はおよそ実際的ではない程度に困難であるため、プロダクトバイプロセスクレームによって炭素繊維シートを記載している。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例及び比較例により制限されない。
<測定方法及び評価方法>
実施例及び比較例における各種測定方法及び評価方法は、次のとおりである。
<共重合比>
共重合比を、核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)を使用して、下記測定条件で測定した。
(測定条件)
機器:製品名「JNM−AL400」(日本電子株式会社製)
観測核:
観測範囲:7992.01Hz
データポイント数:32768
パルス幅:5.80μsec
待ち時間:50.00μsec
積算回数:512
測定温度:25℃
測定溶媒:重水素化クロホルム
試料濃度:0.01g/mL
<重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、及び分子量分布Mw/Mn>
重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、及び分子量分布Mw/Mnを、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用して、下記測定条件で測定した。
(測定条件)
装置:製品名「LC−10AD」(株式会社島津製作所製)
検出器:示差屈折率検出器(RID)
カラム:製品名「SHODEX KF−804」(昭和電工株式会社製)
測定温度:30℃
溶離液:THF
流速:1.0mL/min
サンプル濃度:0.2質量%(THF)
サンプル注入量:100μL
換算標準:ポリエチレンオキサイド
<粘度平均分子量>
粘度平均分子量(Mv)を、オストワルド粘度計を使用する極限粘度[η]の値(測定温度:35℃、溶媒:水)から、下記粘度式を使用して算出した。
極限粘度式:[η]=6.4×10−5×(Mv)0.82
<炭素繊維シートの地合いの評価>
炭素繊維シートの地合いを、9〜1の整数の評価基準で9段階評価した。炭素繊維シートの地合いが極めて均一で、全くムラ(繊維の結束)がないものを9(良好)とした。一方、炭素繊維シートの地合いが極めて不均一で、シート全体にムラ(繊維の結束)が存在するものを1(不良)とした。8〜2の評価については、9(良好)から段階的に、1(不良)に向かう。すなわち、<地合いが極めて均一である>9、8、7、6、5、4、3、2、1<地合いが極めて不均一である>である。図1に、本実施例で作製された炭素繊維シートの写真を示す。図1(A)は、地合い評価:2の炭素繊維シートの写真である。図1(B)は、地合い評価:5の炭素繊維シートの写真である。図1(C)は、地合い評価:8の炭素繊維シートの写真である。
<炭素繊維シートのポリエステル織物に対する耐ブロッキング性の評価>
炭素繊維シートのポリエステル織物に対する耐ブロッキング性を評価した。抄紙して得られた炭素繊維シートに、ポリエステル織物(日本特殊織物株式会社製、品番「TG1000」)を重ね、5cm角のシートに断裁した。このシートを5枚重ね、その上に7kgの鉄製錘を乗せ、室温で24時間放置した。24時間の放置後、ポリエステル織物を、炭素繊維シートから剥がした。剥がした際のポリエステル織物への炭素繊維の貼り付きを、下記基準で評価した。
A:炭素繊維がポリエステル織物にほとんど貼り付かない
B:炭素繊維がポリエステル織物に若干貼り付くが、実用上問題ないレベルである
C:炭素繊維がポリエステル織物に貼り付き、実用上問題となるレベルである
<実施例1>
まず、1000mlのビーカー(目安目盛付)(柴田科学株式会社製)中において、粉末のポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)SK」、粘度平均分子量600万)を、水に溶解させて、0.1質量%のポリエチレンオキサイド水溶液を調製した。
次に、炭素繊維(東レ株式会社製:商品名「トレカ(登録商標)T800HB−12000」)を、繊維長12.5mmにカットして、チョップドファイバを得た。
上記炭素繊維(チョップドファイバ)1.0g、分散剤として、ポリアルキレンオキサイド(A)(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)CP−B1」、共重合比EO:PO:PGE=98:1:1、重量平均分子量約100,000g/mol、分子量分布約2.0)0.02g、ポリエチレンオキサイド(B)(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)SK」、粘度平均分子量600万)0.10g、及びエチレングリコールモノフェニルエーテル(C)(ナカライテスク株式会社製)0.08g、並びに、蒸留水500mLを、ミキサー(株式会社東芝製:商品名「東芝ミキサーMX−C20G」)に、室温で添加した。スライダック(山菱電機株式会社製、商品名:ポータブルタイプの電圧調整器「MVS−520」)を使用して電圧を40Vに制御しながら、混合物を、ミキサー内で5分間撹拌して、スラリー状の炭素繊維分散組成物を得た。
得られた炭素繊維分散組成物を、水で希釈した(総水量5000mL)。さらに、この炭素繊維分散組成物に、粘剤として、上記0.1質量%のポリエチレンオキサイド水溶液を、総水量5000mLに対して20ppmとなるように添加した。得られた混合物を、ミキサー(ヤマト科学株式会社製:商品名「ラボスターラーLT400」)中において、200rpmで5分間撹拌した。このようにして得られた炭素繊維分散組成物を、TAPPI式角形シートマシン(株式会社安田精機製作所製)を使用して、坪量20g/mとなるように抄紙した。抄紙後の炭素繊維分散組成物を乾燥させ(装置:KRK回転型乾燥機(標準型)(熊谷理機工業株式会社製)、乾燥温度:110℃、乾燥時間:1分)、炭素繊維シートを製造した。得られた炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
<実施例2>
ポリアルキレンオキサイド(A)の添加量を0.05gとし、エチレングリコールモノフェニルエーテル(C)の添加量を0.05gとしたこと以外は、実施例1と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
<実施例3>
ポリアルキレンオキサイド(A)の添加量を0.08gとし、エチレングリコールモノフェニルエーテル(C)の添加量を0.02gとしたこと以外は、実施例1と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
<実施例4>
特許第5941747号に記載の炭化物が部分的に表面に付着した再生炭素繊維を、繊維長25mmにカットして、チョップドファイバを得た。
上記炭素繊維(チョップドファイバ)1.0g、分散剤として、ポリアルキレンオキサイド(A)(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)CP−B2」、共重合比EO:PO:PGE=97:1:2、重量平均分子量約100,000g/mol、分子量分布約2.0)0.06g、ポリエチレンオキサイド(B)(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)SW」、粘度平均分子量850万)0.10g、及びエチレングリコールモノフェニルエーテル(C)(メルク社製)0.06g、並びに、蒸留水500mLを、ミキサー(株式会社東芝製:商品名「東芝ミキサーMX−C20G」)に、室温で添加した。スライダック(山菱電機株式会社製、商品名:ポータブルタイプの電圧調整器「MVS−520」)を使用して電圧を50Vに制御しながら、混合物を、ミキサー内で30分間撹拌して、スラリー状の炭素繊維分散組成物を得た。
得られた炭素繊維分散組成物を、水で希釈した(総水量5000mL)。さらに、この炭素繊維分散組成物に、粘剤として、0.1質量%のポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)SW」、粘度平均分子量850万)水溶液を、総水量5000mLに対して20ppmとなるように添加した。得られた混合物を、ミキサー(ヤマト科学株式会社製:商品名「ラボスターラーLT400」)中において、200rpmで5分間撹拌した。このようにして得られた炭素繊維分散組成物を、TAPPI式角形シートマシン(株式会社安田精機製作所製)を使用して、坪量20g/mとなるように抄紙した。抄紙後の炭素繊維分散組成物を乾燥させ(装置:KRK回転型乾燥機(標準型)(熊谷理機工業株式会社製)、乾燥温度:110℃、乾燥時間:1分)、炭素繊維シートを製造した。得られた炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
<実施例5>
ポリアルキレンオキサイド(A)の添加量を0.03gとし、(C)に代えて、エチレングリコールモノベンジルエーテル(C)(東京化成工業株式会社製)を添加し、その添加量を0.03gとしたこと以外は、実施例4と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
<実施例6>
ポリアルキレンオキサイド(A)の添加量を0.02gとし、エチレングリコールモノフェニルエーテル(C)に代えて、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(C)(東京化成工業株式会社製)を添加し、その添加量を0.08gとしたこと以外は、実施例4と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
<実施例7>
炭素繊維として繊維長を25mmにカットしたものを使用したこと以外は、実施例2と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
<実施例8>
炭素繊維として繊維長を35mmにカットしたものを使用し、ポリアルキレンオキサイド(A)の添加量を0.06gとし、エチレングリコールモノベンジルエーテル(C)の添加量を0.06gとしたこと以外は、実施例5と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
<実施例9>
エチレングリコールモノフェニルエーテル(C)に代えて、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル(C)(KHネオケム株式会社製)を使用し、その添加量を0.05gとしたこと以外は、実施例2と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
<実施例10>
炭素繊維(東レ株式会社製:商品名「トレカ(登録商標)T800HB−12000」)を、繊維長12.5mmにカットして、チョップドファイバを得た。
上記炭素繊維(チョップドファイバ)1.0g、分散剤として、ポリアルキレンオキサイド(A)(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)CP−B2」、共重合比EO:PO:PGE=97:1:2、重量平均分子量約100,000g/mol、分子量分布約2.0)0.12g及びポリエチレンオキサイド(B)(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)SV」、粘度平均分子量700万)0.05g、並びに、蒸留水500mLを、ミキサー(東芝社製:商品名「東芝ミキサーMX−C20G」)に、室温で添加した。スライダック(山菱電機株式会社製、商品名:ポータブルタイプの電圧調整器「MVS−520」)を使用して電圧を50Vに制御しながら、混合物を、ミキサー内で5分間撹拌して、スラリー状の炭素繊維分散組成物を得た。
得られた炭素繊維分散組成物を、水で希釈した(総水量5000mL)。さらに、この炭素繊維分散組成物に、粘剤として、0.1質量%のポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)SV」、粘度平均分子量700万)水溶液を、総水量5000mLに対して20ppmとなるように添加した。得られた混合物を、ミキサー(ヤマト科学株式会社製:商品名「ラボスターラーLT400」)中において、200rpmで5分間撹拌した。このようにして得られた炭素繊維分散組成物を、TAPPI式角形シートマシン(株式会社安田精機製作所製)を使用して、坪量20g/mとなるように抄紙した。抄紙後の炭素繊維分散組成物を乾燥させ(装置:KRK回転型乾燥機(標準型)(熊谷理機工業株式会社製)、乾燥温度:110℃、乾燥時間:1分)、炭素繊維シートを製造した。得られた炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
<実施例11>
特許第5941747号に記載の炭化物が部分的に表面に付着した再生炭素繊維を、繊維長25mmにカットして、チョップドファイバを得た。
上記炭素繊維(チョップドファイバ)1.0g、分散剤として、一般式(1)の構造単位を有し、側鎖にフタルイミド基が導入されたポリアルキレンオキサイド(A)(明成化学工業株式会社製、共重合比EO:PO:NGPI=97.4:1.3:1.3、重量平均分子量約60,900g/mol)0.06g、ポリエチレンオキサイド(B)(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)SK」、粘度平均分子量600万)0.10g、及びエチレングリコールモノフェニルエーテル(C)(メルク社製)0.06g、並びに、蒸留水500mLを、ミキサー(株式会社東芝製:商品名「東芝ミキサーMX−C20G」)に、室温で添加した。スライダック(山菱電機株式会社製、商品名:ポータブルタイプの電圧調整器「MVS−520」)を使用して電圧を50Vに制御しながら、混合物を、ミキサー内で30分間撹拌して、スラリー状の炭素繊維分散組成物を得た。
得られた炭素繊維分散組成物を、水で希釈した(総水量5000mL)。さらに、この炭素繊維分散組成物に、粘剤として、0.1質量%のポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)SK」、粘度平均分子量600万)水溶液を、総水量5000mLに対して20ppmとなるように添加した。得られた混合物を、ミキサー(ヤマト科学株式会社製:商品名「ラボスターラーLT400」)中において、200rpmで5分間撹拌した。このようにして得られた炭素繊維分散組成物を、TAPPI式角形シートマシン(株式会社安田精機製作所製)を使用して、坪量20g/mとなるように抄紙した。抄紙後の炭素繊維分散組成物を乾燥させ(装置:KRK回転型乾燥機(標準型)(熊谷理機工業株式会社製)、乾燥温度:110℃、乾燥時間:1分)、炭素繊維シートを製造した。得られた炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
<実施例12>
特許第5941747号に記載の炭化物が部分的に表面に付着した再生炭素繊維を、繊維長12.5mmにカットして、チョップドファイバを得た。
上記炭素繊維(チョップドファイバ)1.0g、分散剤として、ポリアルキレンオキサイド(A)(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)CP−B2」、共重合比EO:PO:PGE=97:1:2、重量平均分子量約100,000g/mol、分子量分布約2.0)0.015g、ポリエチレンオキサイド(B)(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)SK」、粘度平均分子量600万)0.025g、及びエチレングリコールモノフェニルエーテル(C)(メルク社製)0.06g、並びに、蒸留水500mLを、ミキサー(株式会社東芝製:商品名「東芝ミキサーMX−C20G」)に、室温で添加した。スライダック(山菱電機株式会社製、商品名:ポータブルタイプの電圧調整器「MVS−520」)を使用して電圧を50Vに制御しながら、混合物を、ミキサー内で30分間撹拌して、スラリー状の炭素繊維分散組成物を得た。
得られた炭素繊維分散組成物を、水で希釈した(総水量5000mL)。さらに、この炭素繊維分散組成物に、粘剤として、0.1質量%のポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)SK」、粘度平均分子量600万)水溶液を、総水量5000mLに対して100ppmとなるように添加した。得られた混合物を、ミキサー(ヤマト科学株式会社製:商品名「ラボスターラーLT400」)中において、200rpmで5分間撹拌した。このようにして得られた炭素繊維分散組成物を、TAPPI式角形シートマシン(株式会社安田精機製作所製)を使用して、坪量20g/mとなるように抄紙した。抄紙後の炭素繊維分散組成物を乾燥させ(装置:KRK回転型乾燥機(標準型)(熊谷理機工業株式会社製)、乾燥温度:110℃、乾燥時間:1分)、炭素繊維シートを製造した。得られた炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
<実施例13>
粘剤として、0.1質量%のポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)SK」、粘度平均分子量600万)水溶液を、総水量5000mLに対して50ppmとなるように添加したこと以外は、実施例12と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
<実施例14>
粘剤として、0.1質量%のポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)SK」、粘度平均分子量600万)水溶液を、総水量5000mLに対して5ppmとなるように添加したこと以外は、実施例12と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
<実施例15>
特許第5941747号に記載の炭化物が部分的に表面に付着した再生炭素繊維を、繊維長12.5mmにカットして、チョップドファイバを得た。
上記炭素繊維(チョップドファイバ)1.0g、分散剤として、ポリアルキレンオキサイド(A)(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)CP−B2」、共重合比EO:PO:PGE=98:1:2、重量平均分子量約100,000g/mol、分子量分布約2.0)0.05g、ポリエチレンオキサイド(B)(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)SP」、粘度平均分子量380万)0.10g、及びエチレングリコールモノフェニルエーテル(C)(メルク社製)0.05g、並びに、蒸留水500mLを、ミキサー(株式会社東芝製:商品名「東芝ミキサーMX−C20G」)に、室温で添加した。スライダック(山菱電機株式会社製、商品名:ポータブルタイプの電圧調整器「MVS−520」)を使用して電圧を50Vに制御しながら、混合物を、ミキサー内で30分間撹拌して、スラリー状の炭素繊維分散組成物を得た。
得られた炭素繊維分散組成物を、水で希釈した(総水量5000mL)。さらに、この炭素繊維分散組成物に、粘剤として、0.1質量%のポリエチレンオキサイド(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)SP」、粘度平均分子量380万)水溶液を、総水量5000mLに対して20ppmとなるように添加した。得られた混合物を、ミキサー(ヤマト科学株式会社製:商品名「ラボスターラーLT400」)中において、200rpmで5分間撹拌した。このようにして得られた炭素繊維分散組成物を、TAPPI式角形シートマシン(株式会社安田精機製作所製)を使用して、坪量20g/mとなるように抄紙した。抄紙後の炭素繊維分散組成物を乾燥させ(装置:KRK回転型乾燥機(標準型)(熊谷理機工業株式会社製)、乾燥温度:110℃、乾燥時間:1分)、炭素繊維シートを製造した。得られた炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
<実施例16>
ポリエチレンオキサイド(B)を、明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)E−100」(粘度平均分子量250万)に変更したこと以外は、実施例15と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
<実施例17>
ポリエチレンオキサイド(B)を、明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)E−75」(粘度平均分子量200万)に変更したこと以外は、実施例15と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
<比較例1>
分散剤として、ポリアルキレンオキサイド(A)のみを0.1gで使用し、粘剤として、ポリエチレンオキサイド(B)に代えて、アニオン性ポリアクリルアミド(明成化学工業株式会社製:商品名「パムオール」(粘度平均分子量1000万))を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
<比較例2>
分散剤として、エチレングリコールモノフェニルエーテル(C)のみを0.1gで使用し、粘剤として、ポリエチレンオキサイド(B)に代えて、アニオン性ポリアクリルアミド(明成化学工業株式会社製:商品名「パムオール」(粘度平均分子量1000万))を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
<比較例3>
分散剤として、カルボキシメチルセルロースナトリウム(第一工業製薬株式会社製:商品名「セロゲンBSH−12」)を0.1gで使用し、粘剤として、ポリエチレンオキサイド(B)に代えて、アニオン性ポリアクリルアミド(明成化学工業株式会社製:商品名「パムオール」(粘度平均分子量1000万))を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
<比較例4>
分散剤として、アルキルベタイン型界面活性剤(明成化学工業株式会社製:商品名「ラッコールAL」)を0.1gで使用し、粘剤として、ポリエチレンオキサイド(B)に代えて、アニオン性ポリアクリルアミド(明成化学工業株式会社製:商品名「パムオール」(粘度平均分子量1000万))を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
<比較例5>
分散剤として、ポリアルキレンオキサイド(A)に代えて、ポリエチレングリコールモノステアレート(花王株式会社製:商品名「エマノーン3199V」(平均分子量6800))のみを0.1gで使用し、粘剤として、アニオン性ポリアクリルアミド(明成化学工業株式会社製:商品名「パムオールS−300」(粘度平均分子量1500万))を使用したこと以外は、比較例1と同様にして、炭素繊維シートを製造し、炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
<比較例6>
実施例4に記載の再生炭素繊維(繊維長25mm)1.0g、分散剤として、ポリアルキレンオキサイド(A)(明成化学工業株式会社製:商品名「アルコックス(登録商標)CP−B1」)0.06g及びbポリエチレングリコールモノステアレート(花王株式会社製:商品名「エマノーン3199V」(平均分子量6800))0.06g、並びに、蒸留水500mLを、ミキサー(株式会社東芝製:商品名「東芝ミキサーMX−C20G」)に、室温で添加した。スライダック(山菱電機株式会社製、商品名:ポータブルタイプの電圧調整器「MVS−520」)を使用して電圧を50Vに制御しながら、混合物を、ミキサー内で30分間撹拌して、スラリー状の炭素繊維分散組成物を得た。
得られた炭素繊維分散組成物を、水で希釈した(総水量5000mL)。さらに、この炭素繊維分散組成物に、粘剤として、0.1質量%のアニオン性ポリアクリルアミド(明成化学工業株式会社製:商品名「パムオール」(粘度平均分子量1500万))水溶液を、総水量5000mLに対して20ppmとなるように添加した。得られた混合物を、ミキサー(ヤマト科学株式会社製:商品名「ラボスターラーLT400」)中において、200rpmで5分間撹拌した。このようにして得られた炭素繊維分散組成物を、TAPPI式角形シートマシン(株式会社安田精機製作所製)を使用して、坪量20g/mとなるように抄紙した。抄紙後の炭素繊維分散組成物を乾燥させ(装置:KRK回転型乾燥機(標準型)(熊谷理機工業株式会社製)、乾燥温度:110℃、乾燥時間:1分)、炭素繊維シートを製造した。得られた炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性を評価した。
実施例1〜17及び比較例1〜6における炭素繊維分散組成物の組成、並びに、得られた炭素繊維シートの地合い及び耐ブロッキング性の評価結果を、以下の表1に示す。表1中、ポリエチレンオキサイド(B)等において、単に「分子量」と表現されている数値は、「粘度平均分子量」を意味する。
Figure 2019150773
表1に示されるように、実施例の炭素繊維分散組成物を使用すると、炭素繊維が12.5mm以上であっても、非常に均一に分散された炭素繊維シートを製造することができた(地合い:5〜8)。また、これらの炭素繊維シートは全て、耐ブロッキング性に優れていた。さらに、実施例4〜6、8、及び11〜17から分かるように、炭化物が部分的に表面に付着した再生炭素繊維を使用しても、非常に均一に分散された炭素繊維シートを製造することができた。これに対し、粘剤としてアニオン性ポリアクリルアミドを含む化合物を使用し、本発明の炭素繊維用分散剤の(A)成分又は(B)成分の一方のみを使用した場合(比較例1及び2)、一般的な市販の繊維用分散剤を使用した場合(比較例3、4、及び5)では、炭素繊維が均一に分散された炭素繊維シートを製造することができなかった(地合い:2又は3)。また、構造単位としてフェニルグリシジルエーテルを有するポリアルキレンオキサイドとポリエチレングリコールモノステアレートとを組み合わせて使用した場合(比較例6)では、炭素繊維の分散性は不十分であり、地合の良好な炭素繊維シートを製造することができなかった(地合い:3)。
以上のように、本発明の炭素繊維用分散剤組成物は、比較的長い炭素繊維を媒体中に均一に分散させることができるものである。したがって、このような本発明の炭素繊維用分散剤組成物は、地合いが良好で、耐ブロッキング性に優れた炭素繊維シートを製造するのに使用することができる。


Claims (15)

  1. 下記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイド(A)と、
    ポリエチレンオキサイド(B)とを含む、炭素繊維用分散剤組成物。
    Figure 2019150773
    前記一般式(1)中、
    は、その水素原子の少なくとも1つがZ−Arで置換されている直鎖アルキレン基を表し、Z−Ar以外の他の置換基を有しても良いし、又は、有しなくても良く、
    は、直鎖アルキレン基を表し、その水素原子の少なくとも1つが置換基で置換されていても良いし、又は、置換されていなくても良く、
    Z−Arは、1つ又は複数でも良く、Z−Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、
    Zは、LとArとを結合する連結基であり、前記連結基は、アルキレン鎖、エーテル結合、エステル結合、及びイミド結合を、それぞれ含んでも良いし、又は、含まなくても良く、
    Arは、下記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)で表され、1つのZに対して、1つ又は複数でも良く、Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、下記一般式(1b)におけるナフチル基は、1−ナフチル基又は2−ナフチル基でも良く、
    Figure 2019150773
    前記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)中、
    、R、及びRは、置換基であり、それぞれ、1つ若しくは複数でも良く、又は、存在しなくても良く、R、R、及びRが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、
    n及びmは、それぞれ、1以上の整数であり、
    及びLの配列順序は、特に限定はなく、交互、ランダム、又はブロックのいずれでも良く、
    及びLは、それぞれ、1種類又は複数種類でも良く、
    oは、0〜5の整数であり、
    pは、0〜7の整数であり、
    qは、0〜4の整数であり、かつ
    *は、結合部位を表す。
  2. 前記ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、前記ポリエチレンオキサイド(B)を5〜550質量部で含む、請求項1に記載の炭素繊維用分散剤組成物。
  3. さらに、下記一般式(2)で表される化合物(C)
    −O−(AO)−R (2)
    [式中、Rが、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜10のアルキル基により置換されていても良いフェニル基又はベンジル基であり、Rが、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、Aが、炭素数1〜4のアルキレン基であり、lが、オキシアルキレン基であるAOの繰り返し数であり、1〜8の整数を示す。]
    を含む、請求項1又は2に記載の炭素繊維用分散剤組成物。
  4. 前記ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、前記ポリエチレンオキサイド(B)を5〜550質量部、前記化合物(C)を5〜550質量部で含む、請求項3に記載の炭素繊維用分散剤組成物。
  5. 下記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイド(A)含む第1炭素繊維用分散剤と、
    ポリエチレンオキサイド(B)を含む第2炭素繊維用分散剤とを含む、炭素繊維用分散剤キット。
    Figure 2019150773
    前記一般式(1)中、
    は、その水素原子の少なくとも1つがZ−Arで置換されている直鎖アルキレン基を表し、Z−Ar以外の他の置換基を有しても良いし、又は、有しなくても良く、
    は、直鎖アルキレン基を表し、その水素原子の少なくとも1つが置換基で置換されていても良いし、又は、置換されていなくても良く、
    Z−Arは、1つ又は複数でも良く、Z−Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、
    Zは、LとArとを結合する連結基であり、前記連結基は、アルキレン鎖、エーテル結合、エステル結合、及びイミド結合を、それぞれ含んでも良いし、又は、含まなくても良く、
    Arは、下記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)で表され、1つのZに対して、1つ又は複数でも良く、Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、下記一般式(1b)におけるナフチル基は、1−ナフチル基又は2−ナフチル基でも良く、
    Figure 2019150773
    前記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)中、
    、R、及びRは、置換基であり、それぞれ、1つ若しくは複数でも良く、又は、存在しなくても良く、R、R、及びRが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、
    n及びmは、それぞれ、1以上の整数であり、
    及びLの配列順序は、特に限定はなく、交互、ランダム、又はブロックのいずれでも良く、
    及びLは、それぞれ、1種類又は複数種類でも良く、
    oは、0〜5の整数であり、
    pは、0〜7の整数であり、
    qは、0〜4の整数であり、かつ
    *は、結合部位を表す。
  6. 前記第1炭素繊維用分散剤と前記第2炭素繊維用分散剤とが混合される際に、前記ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、前記ポリエチレンオキサイド(B)が、5〜550質量部で混合される、請求項5に記載の炭素繊維用分散剤キット。
  7. さらに、下記一般式(2)で表される化合物(C)
    −O−(AO)−R (2)
    [式中、Rが、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜10のアルキル基により置換されていても良いフェニル基又はベンジル基であり、Rが、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、Aが、炭素数1〜4のアルキレン基であり、lが、オキシアルキレン基であるAOの繰り返し数であり、1〜8の整数を示す。]
    を含む第3炭素繊維用分散剤を含む、請求項5又は6に記載の炭素繊維用分散剤キット。
  8. 前記第1炭素繊維用分散剤と前記第2炭素繊維用分散剤と前記第3炭素繊維用分散剤とが混合される際に、前記ポリアルキレンオキサイド(A)100質量部に対して、前記ポリエチレンオキサイド(B)が、5〜550質量部で混合され、前記化合物(C)が、5〜550質量部で混合される、請求項7に記載の炭素繊維用分散剤キット。
  9. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の炭素繊維用分散剤組成物、又は、請求項5〜8のいずれか一項に記載の炭素繊維用分散剤キットの第1炭素繊維用分散剤、第2炭素繊維用分散剤、及び第3炭素繊維用分散剤と、
    炭素繊維と、
    分散媒体とを含む、炭素繊維分散組成物。
  10. 前記炭素繊維100質量部に対して、前記ポリアルキレンオキサイド(A)及び前記ポリエチレンオキサイド(B)を、合計0.1〜300質量部で含む、請求項9に記載の炭素繊維分散組成物。
  11. 前記炭素繊維100質量部に対して、前記ポリアルキレンオキサイド(A)、前記ポリエチレンオキサイド(B)、及び前記化合物(C)を、合計0.1〜300質量部で含む、請求項9又は10に記載の炭素繊維分散組成物。
  12. 下記一般式(1)の構造単位を有するポリアルキレンオキサイド(A)と、ポリエチレンオキサイド(B)と、炭素繊維と、分散媒体とを含む炭素繊維分散組成物を抄紙する工程、及び
    前記抄紙された炭素繊維分散組成物を乾燥させる工程を含む、炭素繊維シートの製造方法。
    Figure 2019150773
    前記一般式(1)中、
    は、その水素原子の少なくとも1つがZ−Arで置換されている直鎖アルキレン基を表し、Z−Ar以外の他の置換基を有しても良いし、又は、有しなくても良く、
    は、直鎖アルキレン基を表し、その水素原子の少なくとも1つが置換基で置換されていても良いし、又は、置換されていなくても良く、
    Z−Arは、1つ又は複数でも良く、Z−Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、
    Zは、LとArとを結合する連結基であり、前記連結基は、アルキレン鎖、エーテル結合、エステル結合、及びイミド結合を、それぞれ含んでも良いし、又は、含まなくても良く、
    Arは、下記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)で表され、1つのZに対して、1つ又は複数でも良く、Arが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、下記一般式(1b)におけるナフチル基は、1−ナフチル基又は2−ナフチル基でも良く、
    Figure 2019150773
    前記一般式(1a)、(1b)、又は(1c)中、
    、R、及びRは、置換基であり、それぞれ、1つ若しくは複数でも良く、又は、存在しなくても良く、R、R、及びRが複数である場合には、同一でも又は異なっても良く、
    n及びmは、それぞれ、1以上の整数であり、
    及びLの配列順序は、特に限定はなく、交互、ランダム、又はブロックのいずれでも良く、
    及びLは、それぞれ、1種類又は複数種類でも良い。
    oは、0〜5の整数であり、
    pは、0〜7の整数であり、
    qは、0〜4の整数であり、かつ
    *は、結合部位を表す。
  13. 前記炭素繊維分散組成物が、さらに、下記一般式(2)で表される化合物(C)
    −O−(AO)−R (2)
    [式中、Rが、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜10のアルキル基により置換されていても良いフェニル基又はベンジル基であり、Rが、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基であり、Aが、炭素数1〜4のアルキレン基であり、lが、オキシアルキレン基であるAOの繰り返し数であり、1〜8の整数を示す。]
    を含む、請求項12に記載の炭素繊維シートの製造方法。
  14. 前記抄紙工程前に、前記ポリアルキレンオキサイド(A)と、前記ポリエチレンオキサイド(B)と、前記化合物(C)と、炭素繊維と、分散媒体とを混合して、炭素繊維分散組成物を提供する工程を、さらに含む、請求項12又は13に記載の炭素繊維シートの製造方法。
  15. 請求項12〜14のいずれか一項に記載の炭素繊維シートの製造方法により製造された、炭素繊維シート。


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