JP7014685B2 - 全固体リチウムイオン電池用固体電解質層及び全固体リチウムイオン電池 - Google Patents
全固体リチウムイオン電池用固体電解質層及び全固体リチウムイオン電池 Download PDFInfo
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本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用固体電解質層は、正極側に接する電解質層A、負極側に接する電解質層B、及び、電解質層Aと電解質層Bとの間に設けられた中間電解質層Cを有している。電解質層Aは、組成式:Li(4-x)Ge(1-x)PxS4(式中、xは、0.6<x<0.8)[以下、LGPSとも称する]で表される固体電解質からなる。電解質層Bは、組成式:(70~80)Li2S-(30~20)P2S5[以下、LPSとも称する]で表される固体電解質からなる。中間電解質層Cは、Li(4-x)Ge(1-x)PxS4(式中、xは、0.6<x<0.8)で表される固体電解質と組成式:(70~80)Li2S-(30~20)P2S5で表される固体電解質とが混合してなる。
本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用固体電解質層と、正極層及び負極層とを用いて全固体リチウムイオン電池を作製することができる。
次に、本発明の実施形態に係る全固体リチウムイオン電池用固体電解質層の製造方法について詳細に説明する。
(1)電解質層A材料:LGPSの製造工程
出発原料として、硫化リチウム(Li2S)と、五硫化二リン(P2S5)と、硫化ゲルマニウム(GeS2)とを用いる。これらの粉末をアルゴン雰囲気下のグローブボックス内で、Li(4-x)Ge(1-x)PxS4(式中、xは、0.6<x<0.8)の組成となるように秤量、混合し、原料組成物を得る。次に、原料組成物を、ジルコニアボールとともに、ジルコニア製のポットに入れ、ポットを完全に密閉する。このポットを遊星型ボールミル機に取り付け、メカニカルミリングを行う。これにより非晶質化したイオン伝導性材料を得る。
次に、得られたイオン伝導性材料をペレット状に成型し、得られたペレットを、カーボンコートした石英管に入れ真空封入する。次に、石英管を焼成炉に設置し、6時間かけて室温から550℃まで昇温し、550℃を8時間維持し、その後室温まで徐冷する。これにより、Li(4-x)Ge(1-x)PxS4(式中、xは、0.6<x<0.8)の組成を有する結晶質の硫化物固体電解質材料を得る。
アルゴン雰囲気下のグローブボックス内で、Li2SとP2S5とを(70~80)Li2S-(30~20)P2S5の組成比となるよう秤量し、乳鉢で混合、粉砕する。この後、ZrO2ボールとともにZrO2ポットに入れ、遊星型ボールミルで10~20時間メカニカルミリング処理することでガラス状の固体電解質を得る。
中間電解質層C材料を形成するために、LGPS中のGeとPとの総物質量とLPS中のPの物質量の比率、および、LGPS中のGeとPとの総物質量とLPS中のPの物質量の比率を所定値となるようにLGPS、LPSをそれぞれ秤量、混合し、2種類のLGPS中のGeとPとの総物質量とLPS中のPの物質量の比率を有する中間電解質層C材料1、2を作製する。
次に、電解質層A材料、中間電解質層C材料1、2をこの順に金型に入れてプレスし、電解質層A/中間電解質層C材料1/中間電解質層C材料2の構成の電解質層ペレットを作製する。
次に、電解質層B材料のターゲットを準備し、例えば、気相法の一つであるパルスレーザー堆積法を用いて、真空チャンバ内で電解質層ペレットの中間電解質層C材料2側に電解質層Bの厚みが50nm以上となるように、製膜処理を行う。これにより、全固体リチウムイオン電池用固体電解質層が得られる。
(実施例1)
中間電解質層Cを形成するために、LGPS(Li3.25Ge0.25P0.75S4)中のGeとPとの総物質量とLPS(75Li2S-25P2S5)中のPの物質量の比率が3:1、および、LGPS(Li3.25Ge0.25P0.75S4)中のGeとPとの総物質量とLPS(75Li2S-25P2S5)中のPの物質量の比率が1:3となるようにLGPS、LPSをそれぞれ秤量、混合し、それぞれ中間電解質層C(3:1)材料、中間電解質層C(1:3)材料とした。
次に、LGPS(Li3.25Ge0.25P0.75S4)、中間電解質層C(3:1)材料、中間電解質層C(1:3)材料を内径10mmの金型を用いてプレスをして、電解質層A/中間電解質層C(3:1)/中間電解質層C(1:3)の構成の電解質層ペレットを作製した。
次に、LPS(75Li2S-25P2S5)のターゲットを準備し、気相法の一つであるパルスレーザー堆積法を用いて、真空チャンバ内で前記電解質層ペレットの中間電解質層C(1:3)側にLPSの厚みが1000nmとなるように、製膜処理を行った。
以上のようにして、正極側に接する電解質層の固体電解質をLGPS(Li3.25Ge0.25P0.75S4)、負極側に接する電解質層の電解質を75Li2S-25P2S5、中間層をLGPSと75Li2S-25P2S5の混合品とし、正極側に接する電解質層と中間電解質層と接する界面での中間電解質層側のLGPS中のGeとPとの総物質量と75Li2S-25P2S5中のPの物質量の比率を3:1、負極側に接する電解質層と中間電解質層と接する界面での中間電解質層側のLGPS中のGeとPとの総物質量と75Li2S-25P2S5中のPの物質量の比率を1:3、負極側に接する電解質LPSの厚みを1000nmとして全固体リチウムイオン電池用固体電解質層を作製した。
中間電解質層Cを形成するために、LGPS(Li3.25Ge0.25P0.75S4)中のGeとPとの総物質量とLPS(75Li2S-25P2S5)中のPの物質量の比率が1:1となるようにLGPS、LPSをそれぞれ秤量、混合し、中間電解質層C(1:1)材料とした。次に、LGPS、中間電解質層C(1:1)材料を内径10mmの金型を用いてプレスをして、電解質層A/中間電解質層C(1:1)の構成の電解質層ペレットを作製した。
次に、LPS(75Li2S-25P2S5)のターゲットを準備し、気相法の一つであるパルスレーザー堆積法を用いて、真空チャンバ内で前記電解質層ペレットの中間電解質層C(1:1)側にLPSの厚みが1000nmとなるように、製膜処理を行った。
以上のようにして、正極側に接する電解質層と中間電解質層と接する界面での中間電解質層側のLGPS(Li3.25Ge0.25P0.75S4)中のGeとPとの総物質量と75Li2S-25P2S5中のPの物質量の比率を1:1、負極側に接する電解質層と中間電解質層と接する界面での中間電解質層側のLGPS中のGeとPとの総物質量と75Li2S-25P2S5中のPの物質量の比率を1:1として全固体リチウムイオン電池用固体電解質層を作製した。
実施例1において、負極側に接する電解質LPS(75Li2S-25P2S5)の厚みを50nmとして全固体リチウムイオン電池用固体電解質層を作製した。
中間電解質層Cを形成するために、LGPS(Li3.25Ge0.25P0.75S4)中のGeとPとの総物質量とLPS(75Li2S-25P2S5)中のPの物質量の比率が3:1、および、LGPS中のGeとPとの総物質量とLPS中のPの物質量の比率が1:3となるようにLGPS、LPSをそれぞれ秤量、混合し、それぞれ中間電解質層C(3:1)材料、中間電解質層C(1:3)材料とした。
次に、LGPS(Li3.25Ge0.25P0.75S4)、中間電解質層C(3:1)材料、中間電解質層C(1:3)材料、LPS(75Li2S-25P2S5)を内径10mmの金型を用いてプレスをして、電解質層A/中間電解質層C(3:1)/中間電解質層C(1:3)/電解質層Bの構成の電解質層ペレットを作製した。
以上のようにして、負極側に接する電解質LPS(75Li2S-25P2S5)の厚みを10000nmとして全固体リチウムイオン電池用固体電解質層を作製した。
実施例1において、電解質の中間層を設けず、全固体リチウムイオン電池用固体電解質層を作製した。
実施例1において、パルスレーザー堆積法でのLPS製膜を実施せず、負極側に接する電解質LPSの厚みを0として、全固体リチウムイオン電池用固体電解質層を作製した。
実施例1において、正極側に接する電解質層と中間電解質層と接する界面での中間電解質層側のLGPS(Li3.25Ge0.25P0.75S4)中のGeとPとの総物質量と75Li2S-25P2S5中のPの物質量の比率を1:3、負極側に接する電解質層と中間電解質層と接する界面での中間電解質層側のLGPS中のGeとPとの総物質量と75Li2S-25P2S5中のPの物質量の比率を3:1として、全固体リチウムイオン電池用固体電解質層を作製した。
実施例1において、電解質層を全てLPS(75Li2S-25P2S5)として、全固体リチウムイオン電池用固体電解質層を作製した。
こうしてできた各実施例及び比較例のサンプルを用いて下記の条件にて各評価を実施した。
-電池特性の評価(全固体リチウムイオン電池)-
得られた電解質層を使用し、正極活物質としてニオブ酸リチウムで表面処理を行ったLiNi0.82Co0.15Mn0.03O2を使用し、正極活物質:LGPS=7:3を混合し、正極層とし、負極にLi金属を使用して、内径10mmの金型中に正極層、電解質層、Liを充填し、500MPaでプレスした。このプレス後の成形体を、金属製治具を用いて100MPaで拘束することにより、全固体リチウムイオン電池を作製した。
次に、当該電池について、電池内部抵抗として、1kHz交流インピーダンスを測定した。次に、充放電レート0.05Cで得られた初期容量(25℃、充電上限電圧:3.7V、放電下限電圧:2.5V)を測定して放電容量1とした。次に充放電レート1Cで充放電を10回繰り返した(25℃、充電上限電圧:3.7V、放電下限電圧:2.5V)。充放電レート1Cでの1回目の放電で得られた容量を放電容量2とし、(放電容量2)/(放電容量1)の比を百分率として出力特性(%)とした。また、充放電レート1Cでの10回目の放電で得られた容量を放電容量3とし、(放電容量3)/(放電容量2)の比を百分率としてサイクル特性(%)とした。
評価条件及び結果を表1に示す。
Claims (3)
- 正極側に接する電解質層A、負極側に接する電解質層B、及び、前記電解質層Aと前記電解質層Bとの間に設けられた中間電解質層Cを有し、
前記電解質層Aは、組成式:Li(4-x)Ge(1-x)PxS4(式中、xは、0.6<x<0.8)で表される固体電解質からなり、
前記電解質層Bは、組成式:(70~80)Li2S-(30~20)P2S5で表される固体電解質からなり、
前記中間電解質層Cは、Li(4-x)Ge(1-x)PxS4(式中、xは、0.6<x<0.8)で表される固体電解質と組成式:(70~80)Li2S-(30~20)P2S5で表される固体電解質とが混合してなり、
前記電解質層Bの厚みが50nm以上であり、
前記電解質層Aと前記中間電解質層Cとが接する界面での前記中間電解質層C側の前記Li(4-x)Ge(1-x)PxS4中のGeとPとの総物質量は、前記(70~80)Li2S-(30~20)P2S5中のPの物質量よりも多いか同じであり、
前記電解質層Bと前記中間電解質層Cとが接する界面での前記中間電解質層C側の前記Li(4-x)Ge(1-x)PxS4中のGeとPとの総物質量は、前記(70~80)Li2S-(30~20)P2S5中のPの物質量よりも少ないか同じである全固体リチウムイオン電池用固体電解質層。 - 前記電解質層Aと前記中間電解質層Cとが接する界面での前記中間電解質層C側の前記Li(4-x)Ge(1-x)PxS4中のGeとPの総物質量と前記(70~80)Li2S-(30~20)P2S5中のPの物質量の比率が3:1~1:1であり、
前記電解質層Bと前記中間電解質層Cとが接する界面での前記中間電解質層C側の前記Li(4-x)Ge(1-x)PxS4中のGeとPとの総物質量と前記(70~80)Li2S-(30~20)P2S5中のPの物質量の比率が1:1~1:3である請求項1に記載の全固体リチウムイオン電池用固体電解質層。 - 正極層、負極層、及び、請求項1又は2に記載の全固体リチウムイオン電池用固体電解質層を備えた全固体リチウムイオン電池。
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