JP7014246B2 - 液体吐出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体吐出装置に関する。
従来から、インクなどの液体を搬送される媒体に吐出する液体吐出装置が使用されている。このような液体吐出装置においては、搬送される媒体と液体吐出部とが接触すると、媒体及び液体吐出部の少なくとも一方が損傷する場合があった。そこで、媒体と液体吐出部との接触を抑制するため、様々な技術が開示されている。
例えば、特許文献1には、光学検知手段により媒体(記録媒体)の搬送異常を検出することで媒体と液体吐出部との接触を抑制する液体吐出装置(インクジェット記録装置)が開示されている。
特開平5-301413号公報
しかしながら、特許文献1で開示されるような光学検知手段や、機械式の従来の検出手段などでは、媒体と液体吐出部とが接触していない場合に媒体と液体吐出部とが接触したと誤判断する場合や、逆に、媒体と液体吐出部とが接触した場合に媒体と液体吐出部とが接触していないと誤判断する場合などがあった。このように、従来の媒体と液体吐出部との接触を検出する検出手段は、検出精度が低かった。
そこで、本発明の目的は、媒体と液体吐出部とが接触して媒体及び液体吐出部の少なくとも一方が損傷することを抑制することである。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の液体吐出装置は、液体を媒体に吐出する液体吐出部と、前記媒体を搬送する搬送部と、を備え、前記液体吐出部には、圧電フィルムセンサーが設けられていることを特徴とする。
本態様によれば、液体吐出部に圧電フィルムセンサーが設けられている。圧電フィルムセンサーは、僅かな歪みを検出することができる。このため、液体吐出部に圧電フィルムセンサーが設けられていることで液体吐出部の僅かな歪みを検出することができる。すなわち、この僅かな歪みを検出することにより、高い精度で媒体と液体吐出部との接触を検出でき、媒体と液体吐出部とが接触して媒体及び液体吐出部の少なくとも一方が損傷することを抑制することができる。
本発明の第2の態様の液体吐出装置は、前記第1の態様において、前記液体吐出部は、前記媒体の搬送方向と交差する交差方向に往復移動しながら前記液体を吐出可能であり、前記圧電フィルムセンサーの変位の検出は、前記液体吐出部の前記往復移動における定速移動時において有効にされることを特徴とする。
液体吐出部の往復移動においては、停止状態から定速状態の速度まで加速する加速移動時と、定速移動時と、定速状態から停止状態まで減速する減速移動時と、がある。ここで、加速移動時と減速移動時においては、液体吐出部に重力が加わるため、液体吐出部が変形する(歪む)場合がある。このため、加速移動時と減速移動時においては、加速又は減速に伴う液体吐出部の変形を、媒体と液体吐出部との接触に伴う液体吐出部の変形と誤判断する虞がある。しかしながら、本態様によれば、液体吐出部は媒体の搬送方向と交差する交差方向に往復移動しながら液体を吐出可能であり、圧電フィルムセンサーの変位の検出は液体吐出部の往復移動における定速移動時において有効にされる。このため、前記誤判断を抑制することができる。
なお、「圧電フィルムセンサーの変位の検出は、前記液体吐出部の前記往復移動における定速移動時において有効にされる」とは、液体吐出部の加速移動時及び減速移動時において検出を停止する構成のほか、液体吐出部の加速移動時及び減速移動時において定速移動時とは異なる基準(例えば加速移動時及び減速移動時における閾値を高くする)で検出を行うことも含む意味である。
本発明の第3の態様の液体吐出装置は、前記第1又は第2の態様において、前記液体吐出部における前記圧電フィルムセンサーの取付部は、該取付部の周辺部よりも剛性が低く構成されていることを特徴とする。
本態様によれば、液体吐出部における圧電フィルムセンサーの取付部は、該取付部の周辺部よりも剛性が低く構成されている。すなわち、圧電フィルムセンサーの取付部を歪みやすくすることで検出精度を高くしつつ、周辺部を高い剛性で構成することで頑丈にすることができる。このため、壊れにくく、高い検出精度で液体吐出部を形成でき、媒体と液体吐出部とが接触して媒体及び液体吐出部の少なくとも一方が損傷することを効果的に抑制することができる。
本発明の第4の態様の液体吐出装置は、前記第1から第3のいずれか1つの態様において、前記液体吐出部には、前記圧電フィルムセンサーが複数設けられ、各圧電フィルムセンサーの取付部は、各々の剛性及び位置、並びに、各圧電フィルムセンサーの取り付け方向、の少なくともいずれか1つが異なっていることを特徴とする。
本態様によれば、液体吐出部には、圧電フィルムセンサーが複数設けられ、各圧電フィルムセンサーの取付部は、各々の剛性及び位置、並びに、各圧電フィルムセンサーの取り付け方向、の少なくともいずれか1つが異なっている。すなわち、剛性の異なる部分に圧電フィルムセンサーが設けられているか、圧電フィルムセンサーの取り付け位置が異なるか、圧電フィルムセンサーの取り付け方向が異なるか、の少なくとも1つにより、各圧電フィルムセンサーの変位の検出基準が等しい場合でも、圧電フィルムセンサーが設けられている位置の変形程度は異なるため、複数の基準で媒体と液体吐出部との接触程度を判断できる。このため、媒体と液体吐出部との接触程度に応じて、異なる方法で液体吐出動作を停止することができる。
本発明の第5の態様の液体吐出装置は、前記第1から第4のいずれか1つの態様において、前記圧電フィルムセンサーの変位を複数の基準で判断し、該変位の大きさに応じて、前記液体吐出部による前記液体の吐出及び前記搬送部による前記媒体の搬送の少なくとも一方の停止のさせ方を変更することを特徴とする。
本態様によれば、圧電フィルムセンサーの変位を複数の基準で判断し、該変位の大きさに応じて、液体吐出部による液体の吐出及び搬送部による媒体の搬送の少なくとも一方の停止のさせ方を変更する。すなわち、媒体と液体吐出部との接触程度に応じて、異なる方法で液体吐出動作を停止することができる。このため、例えば、媒体と液体吐出部との接触程度が軽い場合は切りのいいタイミングになるのを待って液体吐出動作を停止し、媒体と液体吐出部との接触程度が重い場合はすぐに液体吐出動作を停止するというができる。
本発明の第6の態様の液体吐出装置は、前記第2の態様において、前記圧電フィルムセンサーは、前記液体吐出部の前記液体の吐出位置に対して前記往復移動の方向における両側に設けられていることを特徴とする。
本態様によれば、圧電フィルムセンサーは、液体吐出部の液体の吐出位置に対して往復移動の方向における両側に設けられている。このため、液体吐出部の往復移動における両方向の移動の際において、高い精度で、媒体と液体吐出部とが接触したことを検出できる。
本発明の第7の態様の液体吐出装置は、前記第1から第6のいずれか1つの態様において、前記圧電フィルムセンサーは、曲面に貼り付けられていることを特徴とする。
圧電フィルムセンサーは、フィルム状なので曲面に貼り付けることが可能である。また、液体吐出部が曲面を有することによって、例えば、媒体と液体吐出部とが接触した場合の両者の損傷を小さくすることなどが可能になる。ここで、本態様によれば、圧電フィルムセンサーは、曲面に貼り付けられている。このため、液体吐出部が曲面を有する構成である場合に、該曲面に圧電フィルムセンサーを配置することができ、液体吐出部の構成の自由度を広げることができる。
本発明の第8の態様の液体吐出装置は、前記第1から第7のいずれか1つの態様において、前記圧電フィルムセンサーの変位を検出した場合に、前記液体吐出部による前記液体の吐出及び前記搬送部による前記媒体の搬送の少なくとも一方を停止することを特徴とする。
本態様によれば、圧電フィルムセンサーの変位を検出した場合に、液体吐出部による液体の吐出及び搬送部による媒体の搬送の少なくとも一方を停止する。すなわち、高い精度で媒体と液体吐出部との接触を検出し、媒体と液体吐出部との接触を検出した場合に、媒体及び液体吐出部の少なくとも一方が損傷することを抑制するために、液体吐出部による液体の吐出及び搬送部による媒体の搬送の少なくとも一方を停止する。このため、媒体と液体吐出部とが接触して媒体及び液体吐出部の少なくとも一方が損傷することを抑制することができる。
本発明の実施例1に係る記録装置を表す概略側面図。 本発明の実施例1に係る記録装置の要部を表す概略平面図。 本発明の実施例1に係る記録装置の要部を表す概略正面断面図。 本発明の実施例1に係る記録装置のブロック図。 本発明の実施例2に係る記録装置の要部を表す概略正面断面図。 本発明の実施例3に係る記録装置の要部を表す概略正面断面図。
以下に、本発明の液体吐出装置としての一実施例に係る記録装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。
[実施例1](図1~図4)
図1は、本発明の実施例1に係る記録装置1を表す概略側面図である。
図1で表されるように、本実施例の記録装置1は、被記録媒体Pのセット部14から、被記録媒体(媒体)Pの支持部であるプラテン2、プラテン3及びプラテン4を介して、被記録媒体Pの巻取部15まで、被記録媒体Pを搬送方向Aに搬送する。すなわち、セット部14から巻取部15までが記録装置1における被記録媒体Pの搬送経路であり、プラテン2、プラテン3及びプラテン4は該搬送経路に設けられた被記録媒体Pの支持部である。なお、セット部14は回転方向Cに回転して被記録媒体Pを送出し、巻取部15は回転方向Cに回転して被記録媒体Pを巻き取る。
なお、本実施例の記録装置1は、ロール状の被記録媒体Pに記録を行うことが可能な構成であるが、このような構成に限定されず、単票状の被記録媒体Pに記録を行うことが可能な構成であってもよい。単票状の被記録媒体Pに記録を行うことが可能な構成である場合、被記録媒体Pのセット部14として、例えば、所謂、給紙(給送)トレイ及び給紙(給送)カセットなどと呼ばれるものを使用してもよい。また、被記録媒体Pの回収部として、巻取部15以外の回収部として、例えば、所謂、排出用受部、排紙(排出)トレイ及び排紙(排出)カセットなどと呼ばれるものを使用してもよい。
なお、本実施例では記録面16が外側になるように巻かれているロール式の被記録媒体Pを使用しているので、被記録媒体Pをセット部14から送出する際、セット部14の回転軸は回転方向Cに回転する。一方、記録面16が内側になるように巻かれているロール式の被記録媒体Pを使用する場合は、セット部14の回転軸は回転方向Cとは逆回転して送出することが可能である。
そして、同様に、本実施例の巻取部15は被記録媒体Pの記録面16が外側になるように巻き取るので、巻取部15の回転軸は回転方向Cに回転する。一方、記録面16が内側になるように巻き取る場合は、巻取部15の回転軸は回転方向Cとは逆回転して巻き取ることが可能である。
本実施例の記録装置1のプラテン2にはヒーター6が設けられている。ヒーター6は、記録部としての記録ヘッド12により記録を実行する前に被記録媒体Pを加熱(所謂プレヒート)するために設けられている。
なお、本実施例の記録装置1は、ヒーター6を用いて、被記録媒体Pの記録面16とは反対側の面17側から被記録媒体Pをプレヒートする構成となっている。しかしながら、例えば、被記録媒体Pの記録面16側から赤外線を照射して被記録媒体Pを加熱可能なヒーターを用いて、記録面16側から被記録媒体Pをプレヒートする構成としてもよい。
また、本実施例の記録装置1は、プラテン2とプラテン3の間に、搬送方向Aと交差する交差方向Bの回転軸を有し、被記録媒体Pの面17に送り力を付与する駆動ローラー5が設けられている。
そして、駆動ローラー5と対向する位置には、交差方向Bの回転軸を有する従動ローラー7が設けられている。ローラー対を構成する駆動ローラー5と従動ローラー7とで被記録媒体Pを挟持することができる。このような構成により、駆動ローラー5と従動ローラー7とで搬送部9を構成している。ここで、従動ローラーとは、被記録媒体Pの搬送に伴って回転するローラーを意味する。
また、被記録媒体Pを搬送方向Aに搬送する際は、駆動ローラー5は回転方向Cに回転し、従動ローラー7は回転方向Cとは逆方向に回転する。
また、本実施例の記録装置1は、キャリッジ11のプラテン3と対向する側に記録ヘッド12が備えられている。記録装置1は、キャリッジ11を介して交差方向Bに記録ヘッド12を往復移動させながら、記録ヘッド12のノズル形成面Fから被記録媒体Pに液体の一例であるインクを方向D(ノズル形成面Fから被記録媒体Pに向かう方向であって本実施例では鉛直下方向)に吐出させて所望の画像を形成する。このような構成により、記録ヘッド12は、被記録媒体Pに液体としてのインクを吐出することができる。すなわち、本実施例のキャリッジ11は、液体吐出部としての役割をしている。
なお、本実施例の記録装置1は、往復移動しながら記録する記録ヘッド12を備えているが、インクを吐出するノズルを搬送方向Aと交差する交差方向Bに複数設けた所謂ラインヘッドを備える記録装置でもよい。ラインヘッドを備える記録装置である場合、該ラインヘッドは液体吐出部に相当する。
ここで、「ラインヘッド」とは、被記録媒体Pの搬送方向Aと交差する交差方向Bに形成されたノズルの領域が、被記録媒体Pの交差方向B全体をカバー可能なように設けられ、記録ヘッド又は被記録媒体Pを相対的に移動させて画像を形成する記録装置に用いられる記録ヘッドである。なお、ラインヘッドの交差方向Bのノズルの領域は、記録装置が対応している全ての被記録媒体Pの交差方向B全体をカバー可能でなくてもよい。
また、キャリッジ11の交差方向Bの両側端部には、圧電フィルムセンサー32(図2及び図3参照)が設けられたスカート10が形成されている。スカート10は、被記録媒体Pと記録ヘッド12とが接触することを抑制するための部材である。圧電フィルムセンサー32及びスカート10の具体的な構成については後述する。
また、搬送方向Aにおいて記録ヘッド12の下流側には、記録ヘッド12によって記録される領域に向けて赤外線を照射可能な加熱部としてのヒーター8が設けられている。
なお、本実施例のヒーター8はプラテン3と対向する位置に設けられ、被記録媒体Pの記録面16側を加熱可能な赤外線ヒーターであるが、このようなヒーターに限定されず、プラテン3側(面17側)から被記録媒体Pを加熱可能なヒーターを用いてもよい。
また、ヒーター8の被記録媒体Pの搬送方向Aにおける下流側には、赤外線を照射可能なヒーター13を備えている。なお、本実施例のヒーター13はプラテン4と対向する位置に設けられ、被記録媒体Pの記録面16側を加熱可能な赤外線ヒーターであるが、このようなヒーターに限定されず、プラテン4側(面17側)から被記録媒体Pを加熱可能なヒーターを用いてもよい。また、例えば、赤外線ヒーター等の加熱装置の代わりに、ファン等の送風装置等を使用することもできる。
次に、本実施例の記録装置1の要部である圧電フィルムセンサー32及びスカート10の構成について説明する。
図2は本実施例のキャリッジ11を表す概略平面図であり、図3はキャリッジ11を表す概略正面断面図である。
本実施例のキャリッジ11は、図2及び図3で表されるように、該キャリッジ11の交差方向Bにおける両側端部に圧電フィルムセンサー32が設けられたスカート10が形成されている。なお、スカート10は、図3で表されるように、被記録媒体Pと記録ヘッド12(ノズル形成面F)との間隔よりも被記録媒体Pとスカート10の下面との間隔の方が狭くなるよう構成されている。
上記のように、本実施例の記録装置1は、インクを被記録媒体Pに吐出する記録ヘッド12を備えたキャリッジ11と被記録媒体Pを搬送する搬送部9とを備えている。そして、図2及び図3で表されるように、キャリッジ11には圧電フィルムセンサー32が設けられている。このため、本実施例の記録装置1は、液体吐出部としてのキャリッジ11に圧電フィルムセンサー32が設けられていることでキャリッジ11の僅かな歪みを検出することができる構成になっている。すなわち、本実施例の記録装置1は、この僅かな歪みを検出することにより、高い精度で被記録媒体Pとキャリッジ11との接触を検出でき、被記録媒体Pとキャリッジ11とが接触して被記録媒体P及びキャリッジ11(特に記録ヘッド12)の少なくとも一方が損傷することを抑制することができる。
なお、本実施例の圧電フィルムセンサー32は、スカート10に設けられているが、このような位置への配置に限定されない。上記のように、圧電フィルムセンサー32は僅かな歪みを検出することが可能な検出精度の高いセンサーである。そして、キャリッジ11と被記録媒体Pとが接触するとキャリッジ11は全体的に変形する傾向がある。このため、キャリッジ11の側面部分など、スカート10以外の場所に圧電フィルムセンサー32が設けられていても、キャリッジ11と被記録媒体Pとの接触を検出可能だからである。

ただし、被記録媒体Pとの接触位置に近い方が歪みは大きい傾向にあるので、例えば、本実施例のように、被記録媒体Pと対向する位置に圧電フィルムセンサー32の取付部34を配置するなど、圧電フィルムセンサー32を被記録媒体Pに対して近くに配置することが好ましい。さらには、圧電フィルムセンサー32を被記録媒体Pに対して特に近くに配置するため、本実施例のように、圧電フィルムセンサー32の取付部34を、被記録媒体Pと記録ヘッド12との間隔よりも被記録媒体Pと取付部34の下面との間隔の方が狭くなるよう配置することが好ましい。
また、本実施例の記録装置1は、圧電フィルムセンサー32の変位を検出した場合に、後述の制御部18(図4参照)の制御により、キャリッジ11に設けられる記録ヘッド12によるインクの吐出及び搬送部9による被記録媒体Pの搬送の少なくとも一方を停止することができる。ここで、圧電フィルムセンサー32は、圧電素子がフィルム状に配列されて構成されるセンサーであり、圧電フィルムセンサー32が取り付けられた部分の僅かな歪みを変位として検出可能な精度の高いセンサーである。すなわち、本実施例の記録装置1は、圧電フィルムセンサー32により高い精度で被記録媒体Pとキャリッジ11との接触を検出できる。そして、制御部18の制御により被記録媒体Pとキャリッジ11との接触を検出した場合に、被記録媒体Pとキャリッジ11の少なくとも一方が損傷することを抑制するために、キャリッジ11の記録ヘッド12によるインクの吐出及び搬送部9による被記録媒体Pの搬送の少なくとも一方を停止することができる。このため、本実施例の記録装置1は、被記録媒体Pとキャリッジ11とが接触して被記録媒体P及びキャリッジ11の少なくとも一方が損傷することを抑制することができる。
また、上記のように、本実施例の記録装置1では、キャリッジ11(記録ヘッド12)は、被記録媒体Pの搬送方向Aと交差する交差方向Bに往復移動しながらインクを吐出可能である。そして、制御部18の制御により、圧電フィルムセンサー32の変位の検出は、キャリッジ11の往復移動における定速移動時においてのみ有効にすることができる。

キャリッジ11の往復移動においては、停止状態から定速状態の速度まで加速する加速移動時と、定速移動時と、定速状態から停止状態まで減速する減速移動時と、がある。ここで、加速移動時と減速移動時においては、キャリッジ11に往復移動方向の重力が加わるため、キャリッジ11が変形する(歪む)場合がある。このため、加速移動時と減速移動時においては、加速又は減速に伴うキャリッジ11の変形を、被記録媒体Pとキャリッジ11との接触に伴うキャリッジ11の変形と誤判断する虞がある。しかしながら、本実施例の記録装置1では、キャリッジ11は被記録媒体Pの搬送方向Aと交差する交差方向Bに往復移動しながらインクを吐出可能であり、圧電フィルムセンサー32の変位の検出はキャリッジ11の往復移動における定速移動時においてのみ有効にされる。このため、前記誤判断を抑制することができる構成になっている。
なお、本実施例における「圧電フィルムセンサー32の変位の検出は、キャリッジ11の往復移動における定速移動時においてのみ有効にされる」構成とは、キャリッジ11の加速移動時及び減速移動時において検出を停止する構成であるが、キャリッジ11の加速移動時及び減速移動時において定速移動時とは異なる基準(例えば加速移動時及び減速移動時における閾値を高くする)で検出を行う構成としてもよい。
また、図2及び図3で表されるように、本実施例のキャリッジ11における圧電フィルムセンサーの取付部34は、該取付部34の周辺部35よりも肉薄に構成されており剛性が低く構成されている。具体的には、図3で表されるように、方向Dにおいて均一な厚みのスカート10に、平面状の底面を有する穴部30が構成されており、該穴部30の底面部分に圧電フィルムセンサー32が貼り付けられている。すなわち、本実施例の記録装置1は、圧電フィルムセンサー32の取付部34を歪みやすくすることで検出精度を高くしつつ、周辺部35を高い剛性で構成することでスカート10を頑丈に構成している。このため、壊れにくく、高い検出精度でキャリッジ11を形成でき、被記録媒体Pとキャリッジ11とが接触して被記録媒体P及びキャリッジ11の少なくとも一方が損傷することを効果的に抑制することができる構成になっている。
なお、本実施例のように、圧電フィルムセンサーは、取り付け対象に貼り付けて取り付けることができる。そこで、キャリッジ11に貼り付けることで、他の取り付け方法よりも精度よくキャリッジ11の歪みを検出することができる。
また、図2及び図3で表されるように、本実施例のキャリッジ11には、圧電フィルムセンサー32が、キャリッジ11のインクの吐出位置である記録ヘッド12の位置に対して、往復移動の方向である交差方向Bにおける両側に設けられている。このため、キャリッジ11の往復移動における両方向の移動の際において、高い精度で、被記録媒体Pとキャリッジ11とが接触したことを検出できる構成になっている。
また、本実施例の記録装置1は、制御部18において圧電フィルムセンサー32の変位を複数の基準で判断し、該変位の大きさに応じて、キャリッジ11によるインクの吐出及び搬送部9による被記録媒体Pの搬送の少なくとも一方の停止のさせ方を変更することができる構成になっている。すなわち、被記録媒体Pとキャリッジ11との接触程度に応じて、異なる方法で液体吐出動作を停止することができる構成になっている。具体的には、本実施例の記録装置1は、圧電フィルムセンサー32の変位判断をする閾値を2つ有している。そして、第1の閾値以上第2の閾値未満の変位を検出した場合には、キャリッジ11をホームポジション(記録ヘッド12を不図示のキャップによりキャッピング可能なポジション)まで移動させてからキャリッジ11の往復移動を停止する。また、第2の閾値以上の変位を検出した場合には、即時にキャリッジ11の往復移動を停止する。このように、本実施例の記録装置1は、制御部18の制御により、被記録媒体Pとキャリッジ11との接触程度が軽い場合は切りのいいタイミングになるのを待って液体吐出動作を停止し、被記録媒体Pとキャリッジ11との接触程度が重い場合はすぐに液体吐出動作を停止するというができる構成になっている。
次に、本実施例の記録装置1における電気的な構成について説明する。
図4は、本実施例の記録装置1のブロック図である。
制御部18には、記録装置1の全体の制御を司るCPU19が設けられている。CPU19は、システムバス20を介して、CPU19が実行する各種制御プログラム等を格納したROM21と、データを一時的に格納可能なRAM22と、接続されている。
また、CPU19は、システムバス20を介して、記録ヘッド12を駆動するためのヘッド駆動部23と接続されている。
また、CPU19は、システムバス20を介して、キャリッジ11を移動させるためのキャリッジモーター25、セット部14の駆動源である送出モーター26、駆動ローラー5の駆動源である搬送モーター27、巻取部15の駆動源である巻取モーター28、を駆動させるためのモーター駆動部24と接続されている。
また、CPU19は、システムバス20を介して、ヒーター6、8及び13を駆動するためのヒーター駆動部33と接続されている。
さらに、CPU19は、システムバス20を介して、入出力部31と接続されており、入出力部31は、圧電フィルムセンサー32、並びに、記録データ等を記録装置1に入力する外部装置であるPC29と接続されている。
[実施例2](図5)
次に、実施例2の記録装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図5は本実施例の記録装置1の要部を表す概略正面断面図であり、実施例1の記録装置1の図3に対応する図である。なお、上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
なお、本実施例の記録装置1は、圧電フィルムセンサー32及びスカート10の構成以外は、実施例1の記録装置1と同様の構成である。
実施例1の記録装置1は、図3で表されるように、キャリッジ11の両側端部のスカート10各々に1つの圧電フィルムセンサー32が設けられていた。
一方、本実施例の記録装置1は、図5で表されるように、キャリッジ11の両側端部のスカート10各々に2つの圧電フィルムセンサー32a及び32bが設けられている。さらに詳細には、本実施例の各々のスカート10には、圧電フィルムセンサー32が圧電フィルムセンサー32a及び32bと複数設けられ、圧電フィルムセンサー32aは取付部34aに取り付けられており、圧電フィルムセンサー32bは取付部34bに取り付けられている。そして、図5で表されるように、各圧電フィルムセンサー32の取付部34a及び34bは、方向Dにおける厚みが異なっており各々剛性が異なっている。すなわち、剛性の異なる部分に圧電フィルムセンサー32が設けられていることにより、各圧電フィルムセンサー32の変位の検出基準が等しい(各圧電フィルムセンサー32の変位判断をする閾値は1つで値が等しい)場合でも、圧電フィルムセンサー32が設けられている位置の変形程度は異なるため、複数の基準で被記録媒体Pとキャリッジ11との接触程度を判断できる構成になっている。このため、被記録媒体Pとキャリッジ11との接触程度に応じて、異なる方法で液体吐出動作を停止することができる構成になっている。
なお、本実施例のキャリッジ11には、同じスカート10における剛性が異なる部分(取付部34a及び34b)に、圧電フィルムセンサー32a及び32bが設けられている。ただし、このような構成ではなく、複数の圧電フィルムセンサー32の各々の取付部34の位置が異なる構成(例えばスカート10とキャリッジ11の側面とにある構成など)や、各圧電フィルムセンサー32の取り付け方向が異なる構成としてもよい。これらのような構成としても、圧電フィルムセンサー32が設けられている位置の変形程度は、各々で異なるため、簡単に、複数の基準で被記録媒体Pとキャリッジ11との接触程度を判断できるためである。
また、本実施例の記録装置1は、制御部18において各々の圧電フィルムセンサー32の変位を判断し、該変位に応じて、キャリッジ11によるインクの吐出及び搬送部9による被記録媒体Pの搬送の少なくとも一方の停止のさせ方を変更することができる構成になっている。すなわち、被記録媒体Pとキャリッジ11との接触程度に応じて、異なる方法で液体吐出動作を停止することができる構成になっている。具体的には、本実施例の記録装置1は、圧電フィルムセンサー32の変位判断をする閾値を有している。そして、変位を検出し易い圧電フィルムセンサー32aにおいてのみ閾値以上の変位を検出した場合には、キャリッジ11をホームポジション(記録ヘッド12を不図示のキャップによりキャッピング可能なポジション)まで移動させてからキャリッジ11の往復移動を停止する。また、変位を検出し難い圧電フィルムセンサー32bにおいても閾値以上の変位を検出した場合には、即時にキャリッジ11の往復移動を停止する。このように、本実施例の記録装置1は、制御部18の制御により、被記録媒体Pとキャリッジ11との接触程度が軽い場合は切りのいいタイミングになるのを待って液体吐出動作を停止し、被記録媒体Pとキャリッジ11との接触程度が重い場合はすぐに液体吐出動作を停止するというができる構成になっている。
[実施例3](図6)
次に、実施例3の記録装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図6は本実施例の記録装置1の要部を表す概略正面断面図であり、実施例1の記録装置1の図3に対応する図である。なお、上記実施例1及び2と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
なお、本実施例の記録装置1は、圧電フィルムセンサー32及びスカート10の構成以外は、実施例1の記録装置1と同様の構成である。
実施例1の記録装置1は、図3で表されるように、キャリッジ11の両側端部のスカート10各々の平面部分に圧電フィルムセンサー32が設けられていた。
一方、本実施例の記録装置1は、図6で表されるように、キャリッジ11の両側端部のスカート10は曲面形状をしており、圧電フィルムセンサー32は、曲面に貼り付けられている。
圧電フィルムセンサー32は、フィルム状なので曲面に貼り付けることが可能である。また、キャリッジ11が曲面を有することによって、例えば、被記録媒体Pとキャリッジ11とが接触した場合の両者の損傷を小さくすることなどが可能になる。本実施例のスカート10は搬送方向Aから見て(正面視で)下側に凸状となる曲面を有する構造であり、キャリッジ11を交差方向Bに往復移動させた際の被記録媒体Pとキャリッジ11との激しい接触を抑制できる構成になっている。キャリッジ11を往復移動している際に被記録媒体Pとキャリッジ11とが接触した場合に、該曲面により被記録媒体Pを押し下げる方向に該被記録媒体Pに力を加えることができるためである。
このため、本実施例の記録装置1のキャリッジ11は曲面を有するが、圧電フィルムセンサー32は曲面に貼り付けられている。すなわち、無理に平面部を構成することなくキャリッジ11が曲面を有する構成とすることができており、キャリッジ11の構成の自由度を広げている。
なお、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることは言うまでもない。
1 記録装置(液体吐出装置)、2 プラテン、3 プラテン、4 プラテン、 5 駆動ローラー、6 ヒーター、7 従動ローラー、8 ヒーター、9 搬送部、 10 スカート、11 キャリッジ(液体吐出部)、12 記録ヘッド、 13 ヒーター、14 セット部、15 巻取部、16 記録面、 17 記録面とは反対側の面、18 制御部、19 CPU、20 システムバス、 21 ROM、22 RAM、23 ヘッド駆動部、24 モーター駆動部、 25 キャリッジモーター、26 送出モーター、27 搬送モーター、 28 巻取モーター、29 PC、30 穴部、31 入出力部、 32、32a、32b 圧電フィルムセンサー、33 ヒーター駆動部、 34、34a、34b 圧電フィルムセンサーの取付部、35 取付部34の周辺部、 F ノズル形成面、P 被記録媒体(媒体)

Claims (6)

  1. 液体を媒体に吐出する記録ヘッドを有する液体吐出部と、
    前記媒体を搬送する搬送部と、を備え、
    前記液体吐出部には、圧電フィルムセンサーが設けられたスカートが形成され、
    前記液体吐出部は、前記媒体の搬送方向と交差する交差方向に往復移動しながら前記液体を吐出可能であり、
    前記スカートは、
    前記搬送方向と前記交差方向とに直交する直交方向における寸法が前記交差方向における寸法より小さく、
    前記圧電フィルムセンサーが取り付けられる取付部と、前記交差方向において、前記圧電フィルムセンサーに対して前記記録ヘッドとは反対の周辺部と、を含み、
    前記交差方向からの平面視で、前記周辺部が、前記圧電フィルムセンサーに重なる、ことを特徴とする液体吐出装置。
  2. 請求項1に記載の液体吐出装置において、
    前記圧電フィルムセンサーの変位の検出は、前記液体吐出部の前記往復移動における定速移動時において有効にされることを特徴とする液体吐出装置。
  3. 請求項1又は2に記載の液体吐出装置において、
    前記スカートにおける前記圧電フィルムセンサーの取付部は、該取付部の周辺部よりも剛性が低く構成されていることを特徴とする液体吐出装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、
    前記スカートには、前記圧電フィルムセンサーが複数設けられ、各圧電フィルムセンサーの取付部各々の剛性及び位置、並びに、各圧電フィルムセンサーの取り付け方向、の少なくともいずれか1つが異なっていることを特徴とする液体吐出装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の液体吐出装置において、
    前記圧電フィルムセンサーの変位を複数の基準で判断し、該変位の大きさに応じて、前記液体吐出部による前記液体の吐出及び前記搬送部による前記媒体の搬送の少なくとも一方の停止のさせ方を変更することを特徴とする液体吐出装置。
  6. 請求項2に記載の液体吐出装置において、
    前記圧電フィルムセンサーは、前記記録ヘッドに対して前記交差方向における両側に設けられていることを特徴とする液体吐出装置。
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