JP7014063B2 - モルタル・コンクリート用混和材、これを含むセメント組成物、モルタル組成物及びコンクリート組成物、並びに、モルタル硬化物及びコンクリート硬化物の製造方法 - Google Patents
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10≦0.00083×A+0.24212×B+0.87668×C+1.4978×D+0.03276×A×B+5.65…(1)
3≦B<16…(2)
0<C<2…(3)
0<D<2…(4)
本実施形態に係るモルタル・コンクリート用混和材は、実施例の欄において詳細に説明する評価試験に基づくものである。本実施形態に係るモルタル・コンクリート用混和材は、以下の(A)~(D)の材料を含み、これらの四つの材料の合計質量20kgを基準として、早強ポルトランドセメントの含有量をAkg/20kg、上記石膏の含有量をBkg/20kg、珪酸ナトリウムの含有量をCkg/20kg、硫酸アルミニウムの含有量をDkg/20kgとしたとき、(1)~(4)の不等式で表される全ての条件を満たす。
(A)早強ポルトランドセメント
(B)半水石膏及び無水石膏の少なくとも一方の石膏
(C)珪酸ナトリウム
(D)硫酸アルミニウム
10≦0.00083×A+0.24212×B+0.87668×C+1.4978×D+0.03276×A×B+5.65…(1)
3≦B<16…(2)
0<C<2…(3)
0<D<2…(4)
早強ポルトランドセメントは、普通ポルトランドセメントと比較して、初期強度の発現性に優れるC3Sの含有率が比較的高く、ブレーン比表面積が大きいセメントである。早強ポルトランドセメントを混和材の一成分とすることで、少量使用であっても脱型強度向上への優れた効果が期待できるため、他の成分の使用量を低減できるとともに、モルタル又はセメントの流動性の経時的な変化への影響を十分に抑制できる。
石膏は、半水石膏及び無水石膏のいずれであってもよく、これらを併用してもよい。これらの石膏を混和材の成分とすることで、脱型強度を向上することができる。石膏(半水石膏及び無水石膏の合計量)の含有率は、混和材の全質量を基準で、好ましくは15質量%以上80質量%未満(3≦B<16)であり、より好ましくは20質量%以上65質量%未満(4≦B<13)であり、更に好ましくは30質量%以上55質量%未満(6≦B<11)である。石膏の含有率がこの範囲であることで、残存石膏による遅れ膨脹破壊のリスクを回避して脱型強度の向上を図ることができる。
珪酸ナトリウム(「ケイ酸ソーダ」とも称される。)は、モルタル組成物等に急結作用を付与するため、その水溶液(水ガラス)が使用されることはあるが、モルタル又はコンクリート用の混和材としては通常使用されない。すなわち、モルタル又はコンクリートに珪酸ナトリウムを多量に配合すると、モルタル又はコンクリート中のアルカリ総量が著しく増加することから、アルカリシリカ反応発生の懸念が高まる。このため、モルタル・コンクリート用混和材の一成分として使用することは通常想定されていない。しかし、本発明者らの後述の評価試験によれば、添加量が少量であれば、脱型強度の改善に非常に効果的である。
硫酸アルミニウムは、凝結促進効果があり、多量の使用によって練混ぜ後の流動性の保持が困難となる場合がある。流動性が著しく低下した状態で型枠への打込みを行った場合には、未充填部が生じる等によって、強度の低下や製品の美観性が損なわれる等の問題につながる場合がある。よって、硫酸アルミニウムは早期強度の付与に効果が得られる範囲内で添加量はなるべく少量とすることが好ましい。
実施形態に係るセメント組成物は、普通ポルトランドセメントと、上記混和材とを含み、普通ポルトランドセメント100質量部に対して上記混和材の含有量が4~8質量部である。このセメント組成物等によれば、普通ポルトランドセメント100質量部に対して4~8質量部の上記混和材を添加することで、蒸気養生において一般に適用される温度の養生条件で早期に離型強度を得ることができる。この混和材の添加量は、従来の混和材の添加量と同等レベルであり、実機プラントでの作業に適した量である。
評価試験に供するモルタル又はコンクリートを作製するため、表1及び表2に示す材料を準備した。
表3に示したモルタル配合によって、表2に示した各候補材料を使用した場合の流動性と養生後の圧縮強度について評価を行った。目標とする0打フローと15打フローは、図1に示す関係を予め把握し、表4に示す目標スランプ(15.0cm)が得られる範囲として設定した。
A:流動性を満足し、脱型強度が無添加の1.3倍以上
B:流動性が小さいが、脱型強度が無添加の1.3倍以上
C:流動性が小さく、脱型強度が無添加の1.3倍未満
混合材配合材料候補を単独使用した場合の効果確認試験の結果を参考として、無水石膏、珪酸ナトリウム及び硫酸アルミニウムの三種類を選定し、これらを組合せた水準について検討を行った。なお、複数の混和材配合材料の総量は、モルタル・コンクリートに添加する際、実機プラント等での作業性を考慮し、紙袋1袋に収まるように20~25kgが好ましい。本検討では総量が20kgとなるように調整して検討した。
10≦0.00083×A+0.24212×B+0.87668×C+1.4978×D+0.03276×A×B+5.65…(1)
3≦B<16…(2)
0<C<2…(3)
0<D<2…(4)
No.36の水準によって、石膏を無水と半水とした場合の比較を行った結果を表8に示す。減水剤の添加率は、練混ぜ後の0打フロー、15打フローが一定となるように調整し、脱型強度の比較を行った。無水石膏については、特に銘柄の影響が認められず、流動性と脱型強度はほぼ同等であった。また、半水石膏はブレーン比表面積が9000cm2/gを超えるが、本検討の使用範囲では流動性に大きな影響は認められなかった。石膏種類の比較の結果によれば、その影響は大きくないと判断される。なお、石膏のブレーン比表面積は、小さすぎると未水和粒子が残存して遅れ膨脹が生じる可能性があるため、3000cm2/g以上が好ましいと判断される。
珪酸ナトリウムについても、No.36の水準によって、銘柄が異なった場合の比較を行った。減水剤の添加率は、練混ぜ後の0打フロー、15打フローが一定となるように調整し、脱型強度の比較を行った。評価結果を表9に示す。珪酸ナトリウムI号及びII号については、特に銘柄の影響は認められなかった。ただし、珪酸ナトリウムIV号を使用した場合には、脱型強度がやや低くなる傾向が認められた。これは、珪酸ナトリウムのSiO2/Na2Oが影響していると考えられる。10N/mm2程度の強度を得るためには、SiO2/Na2Oが2.0~2.5の珪酸ナトリウム(珪酸ナトリウムI号及びII号)を使用することが好ましいと判断される。
混和材配合材料を混合添加した場合のモルタル試験によって高性能AE減水剤の使用量が過度に大きくならず、脱型強度が10N/mm2以上となる水準が得られた。ただし、モルタル試験では、流動性の経時的な変化に問題がない組合せを判断できないため、コンクリート試験による評価を行った。評価には表4に示すコンクリート配合を用いた。
Claims (9)
- モルタル・コンクリート用混和材であって、
(A)早強ポルトランドセメントと、
(B)半水石膏及び無水石膏の少なくとも一方の石膏と、
(C)珪酸ナトリウムと、
(D)硫酸アルミニウムと、
を含み、
当該混和材における上記(A)~(D)の四つの材料の合計質量20kgを基準として、
早強ポルトランドセメントの含有量をAkg/20kg、
前記石膏の含有量をBkg/20kg、
珪酸ナトリウムの含有量をCkg/20kg、
硫酸アルミニウムの含有量をDkg/20kgとしたとき、
以下の(1)~(4)の不等式で表される全ての条件を満たす、混和材。
10≦0.00083×A+0.24212×B+0.87668×C+1.4978×D+0.03276×A×B+5.65…(1)
3≦B<16…(2)
0<C<2…(3)
0<D<2…(4) - 珪酸ナトリウムが粉末状であるとともに、SiO2/Na2Oが1~3である、請求項1に記載の混和材。
- 硫酸アルミニウムが粉末状であるとともに、平均粒径が30μm以下であり且つ比表面積が3~6m2/gである、請求項1又は2に記載の混和材。
- 前記石膏のブレーン比表面積が3000cm2/g以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の混和材。
- 普通ポルトランドセメントと、
請求項1~4のいずれか一項に記載の混和材と、
を含み、
普通ポルトランドセメント100質量部に対し、前記混和材の含有量が4~8質量部であるセメント組成物。 - 普通ポルトランドセメントと、
請求項1~4のいずれか一項に記載の混和材と、
細骨材と、
水と、
を含み、
普通ポルトランドセメント100質量部に対し、前記混和材の含有量が4~8質量部であり、細骨材の含有量が150~300質量部であり、
水セメント比が40~65質量%である、モルタル組成物。 - 普通ポルトランドセメントと、
請求項1~4のいずれか一項に記載の混和材と、
細骨材と、
粗骨材と、
水と、
を含み、
普通ポルトランドセメント100質量部に対し、前記混和材の含有量が4~8質量部であり、細骨材の含有量が150~300質量部であり、粗骨材の含有量が200~400質量部であり、
水セメント比が40~65質量%である、コンクリート組成物。 - 温度50~70℃、養生時間3~4時間の条件で請求項6に記載のモルタル組成物を蒸気養生する工程を含む、モルタル硬化物の製造方法。
- 温度50~70℃、養生時間3~4時間の条件で請求項7に記載のコンクリート組成物を蒸気養生する工程を含む、コンクリート硬化物の製造方法。
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