<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、第1の実施形態の内視鏡装置が、工業用の内視鏡装置である場合について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における内視鏡装置の構成の一例を示したブロック図である。図1に示した内視鏡装置1は、本体部10と、細長い挿入部20とを備えている。また、図1に示した内視鏡装置1では、本体部10に、表示装置30と記録媒体40とが接続されている。
内視鏡装置1では、所定の中心軸に沿って長手方向に延びた形状の軟性の挿入部20の先端側(以下、「先端部」という)を被検物内に挿入する。そして、内視鏡装置1では、先端部に配置された撮像素子が撮影して得た被検物内の被写体像を表す画素信号を、挿入部20の基端側に接続された本体部10に伝送する。なお、内視鏡装置1では、挿入部20を被検物内に挿入するときの先端部の動きや方向、さらには、先端部に配置された撮像素子による被写体の撮影動作などが、本体部10によって制御される。
内視鏡装置1では、挿入部20から伝送された画素信号を本体部10内で処理し、被検物内の被写体の画像(映像)を生成する。内視鏡装置1は、生成した被写体の画像(映像)を、接続された表示装置30に表示させる。表示装置30は、内視鏡装置1によって撮影した被検物内の被写体の画像を表示する。表示装置30は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などの表示装置である。なお、図1において表示装置30は、本体部10に接続される外部の構成要素、つまり、本体部10に脱着可能な外部の表示装置として示しているが、表示装置30は、本体部10に搭載される構成要素であってもよい。
また、内視鏡装置1では、本体部10が生成した被写体の画像(映像)を、接続された記録媒体40に記録する。記録媒体40は、内視鏡装置1によって撮影した被検物内の被写体の画像のデータを記録する。記録媒体40は、例えば、SDメモリカード(SD Memory Card)やUSB(Universal Serial Bus(登録商標))メモリなど、本体部10に着脱可能な構成の記録媒体である。なお、図1において記録媒体40は、本体部10に脱着可能な外部の記録媒体として示しているが、記録媒体40は、例えば、ハードディスクなどの記憶装置など、本体部10に内蔵される構成要素であってもよい。
なお、内視鏡装置1において被検物内の撮影を行わない場合、先端部に配置された撮像素子を被検物内に導く挿入部20における軟性のコード部を、例えば、本体部10に取り付けられた不図示のドラム部に巻いて収納する構成であってもよい。
本体部10は、内視鏡処理部110と、湾曲制御部120と、2つの湾曲モータ121aおよび湾曲モータ121bと、光源駆動回路130と、制御信号ドライブ回路140と、リミッティングアンプ回路150と、光路切り替え駆動回路160と、ユーザインターフェース部170と、ワイヤー接続機構101と、着脱コネクタ102とを含んで構成される。また、内視鏡処理部110は、システム制御部111と、パラメータ記憶部112と、画像処理部113とを含んで構成される。さらに、システム制御部111は、計測部1111と、画像記録処理部1112と、表示制御部1113とを含んで構成される。また、画像処理部113は、画像処理制御部1131と、画像処理パラメータ記憶部1132と、画像生成処理部1133と、電子ズーム処理部1134とを含んで構成される。
挿入部20は、軟性のコード部を含むスコープ部21と、スコープ部21の先端側に着脱可能な光学アダプタ22とを含んで構成される。スコープ部21は、ワイヤー固定部211と、イメージセンサ212と、水晶発振器213と、レンズ214と、スコープ検知部215と、ワイヤー接続機構201と、着脱コネクタ202とを含んで構成される。また、光学アダプタ22は、光源221と、WIDE光学レンズ222Wと、TELE光学レンズ222Tと、光路切り替え部223と、遮光部材224とを含んで構成される。なお、スコープ部21において、ワイヤー固定部211、イメージセンサ212、水晶発振器213、およびレンズ214は、光学アダプタ22が装着される先端側に配置されている。以下の説明においては、イメージセンサ212などが配置されているスコープ部21の先端側と、このスコープ部21の先端側に装着された光学アダプタ22とを含めて、挿入部20の「先端部」という。
ここで、内視鏡装置1に備えたそれぞれの構成要素について詳細に説明する。まず、スコープ部21の先端側に装着されて挿入部20の先端部を構成する光学アダプタ22に備えたそれぞれの構成要素について詳細に説明する。
光学アダプタ22は、スコープ部21の先端側に配置されたイメージセンサ212に被検物内の被写体像の光を入射させる光学系のアダプタである。なお、光学アダプタ22は、内視鏡装置1によって被検物内の測定対象の被写体を広角(WIDE)または望遠(TELE)で撮影する広角望遠切り替えアダプタである。
光源221は、被検物内の被写体に照射する光を発光する光源である。光源221は、本体部10から出力され、スコープ部21内の信号線によって伝送された駆動信号に応じた光量およびタイミングで、光を発光する。光源221は、例えば、白色LED(Light Emitting Diode)光源などである。
WIDE光学レンズ222WおよびTELE光学レンズ222Tのそれぞれは、入射した光、すなわち、光源221が発光した光が照射された被写体からの反射光をイメージセンサ212側に出射し、被写体像をイメージセンサ212に結像させる光学レンズ(対物レンズ)である。なお、WIDE光学レンズ222WおよびTELE光学レンズ222Tのそれぞれは、被写体からの反射光を、同じ(共通の)結像領域に結像させる光学レンズである。例えば、WIDE光学レンズ222WおよびTELE光学レンズ222Tのそれぞれは、被写体からの反射光を、イメージセンサ212の撮像領域の全体に結像させる。ただし、WIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとは、光学倍率が異なる。より具体的には、WIDE光学レンズ222Wは、内視鏡装置1において被写体を広角で撮影して測定するための広角用の光学レンズであり、TELE光学レンズ222Tは、内視鏡装置1において被写体を拡大して撮影して測定するための望遠用の光学レンズである。例えば、WIDE光学レンズ222Wの光学倍率は1倍であり、TELE光学レンズ222Tの光学倍率は2倍や3倍である。なお、以下の説明においては、WIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとのそれぞれを区別しない場合には、単に「光学レンズ222」という。
遮光部材224は、WIDE光学レンズ222WおよびTELE光学レンズ222Tのそれぞれがスコープ部21側に出射する被写体からの反射光を遮蔽(遮光)する遮光板である。遮光部材224は、光路切り替え部223によって、WIDE光学レンズ222Wが光を出射する光路またはTELE光学レンズ222Tが光を出射する光路のいずれか一方の光路に移動(摺動)される。これにより、WIDE光学レンズ222WまたはTELE光学レンズ222Tのいずれか一方が出射した被写体からの反射光が、イメージセンサ212の撮像領域の全体に出射される。
光路切り替え部223は、遮光部材224を移動(摺動)させることによって、イメージセンサ212に入射する光を切り替える機械的な機構(例えば、アクチュエータなど)である。光路切り替え部223は、WIDE光学レンズ222Wが出射する光をイメージセンサ212に入射させる場合には、TELE光学レンズ222Tが光を出射する光路に遮光部材224を移動(摺動)させる。また、光路切り替え部223は、TELE光学レンズ222Tが出射する光をイメージセンサ212に入射させる場合には、WIDE光学レンズ222Wが光を出射する光路に遮光部材224を移動(摺動)させる。つまり、光路切り替え部223は、WIDE光学レンズ222Wが光を出射する光路またはTELE光学レンズ222Tが光を出射する光路のいずれか一方の光路に遮光部材224を移動(摺動)させることによって、イメージセンサ212に入射する光を切り替える。光路切り替え部223は、本体部10から出力され、スコープ部21内の信号線によって伝送された駆動信号に応じて遮光部材224を移動(摺動)させ、イメージセンサ212に光を出射する光路(言い換えれば、遮光部材224によって光を遮光させる光路)を切り替える。これにより、イメージセンサ212は、広角または望遠で被写体像を撮像する。
なお、光路切り替え部223の構成は、例えば、遮光部材224を移動(摺動)させる方向に回転する回転軸に永久磁石が固定され、永久磁石の周囲にコイルを配置した構成である。この構成の光路切り替え部223では、回転軸に遮光部材224を固定し、回転軸を回転させる方向に対応した極性の電流を駆動信号としてコイルに流す。これにより、コイルが、流れた電流の極性に応じた磁場(力場)を発生させ、発生した力場によって回転軸が、コイルに流れた電流の極性に応じた方向に回転し、回転軸に固定された遮光部材224が移動(摺動)する。なお、光路切り替え部223の構成は、上述した構成に限定されるものではなく、遮光部材224をWIDE光学レンズ222Wが光を出射する光路またはTELE光学レンズ222Tが光を出射する光路のいずれか一方の光路に移動(摺動)させる構成であれば、いかなる構成であってもよい。
続いて、挿入部20を構成するスコープ部21に備えたそれぞれの構成要素について詳細に説明する。
スコープ部21は、光学アダプタ22が先端側に装着された状態で、先端部から被検物内に挿入され、光学アダプタ22から入射された被検物内の被写体からの反射光を結像した被写体像を表す画素信号を、本体部10に伝送する。
ワイヤー固定部211は、本体部10によってスコープ部21の先端側、つまり、挿入部20の先端部の動きや方向を変更するための湾曲用ワイヤーの一端を先端側に固定するための機構である。
レンズ214は、光学アダプタ22から入射された被検物内の被写体からの反射光をイメージセンサ212側に出射する、いわゆる、リレーレンズである。レンズ214は、平行平板のレンズなどによって構成される。レンズ214は、光学アダプタ22に備えた光路切り替え部223によって切り替えられた、WIDE光学レンズ222WまたはTELE光学レンズ222Tがイメージセンサ212に光を出射する光路の光が、イメージセンサ212の撮像領域の全体に出射されるようにする。
水晶発振器213は、イメージセンサ212が動作する際に必要な予め定めた周波数のクロック信号を発振し、発振したクロック信号をイメージセンサ212に供給する。
イメージセンサ212は、水晶発振器213から供給されたクロック信号に基づいて動作するCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサである。イメージセンサ212は、本体部10から出力された制御信号に応じて、被検物内の被写体像を撮像する。そして、イメージセンサ212は、撮像した被検物内の被写体像を表す画素信号(例えば、RAW信号)を、コード部内の信号線によって本体部10に伝送する。イメージセンサ212は、例えば、SLVS-EC(Scalable Low Voltage Signaling with Embedded Clock)シリアル通信などの伝送方式によって、撮像した被写体像の画素信号を本体部10に伝送する。
ワイヤー接続機構201は、本体部10に挿入部20(より具体的には、スコープ部21)を着脱可能にし、ワイヤー固定部211によってスコープ部21の先端側に固定された湾曲用ワイヤーを、本体部10において挿入部20の先端部の動きや方向を変更するためのワイヤーと接続するための機構である。なお、以下の説明においては、説明を容易にするため、ワイヤー接続機構201によって接続される湾曲用ワイヤーと本体部10側のワイヤーとは1本のワイヤーであるものとし、接続されたワイヤーの全体を湾曲用ワイヤーという。
着脱コネクタ202は、本体部10に挿入部20(より具体的には、スコープ部21)を着脱可能にし、スコープ部21や光学アダプタ22に備えたそれぞれの構成要素と本体部10に備えた対応する構成要素との間の信号線を接続するための機構である。なお、以下の説明においては、説明を容易にするため、スコープ部21や光学アダプタ22に備えたそれぞれの構成要素と本体部10に備えた対応する構成要素との間の信号線は、1本の信号線であるものとして説明する。
スコープ検知部215は、挿入部20(より具体的には、スコープ部21)が本体部10に装着されたことを表す検知信号を、本体部10に出力する。スコープ検知部215は、ワイヤー接続機構201および着脱コネクタ202によって、スコープ部21の先端側とは反対側のコード部の一端が本体部10に正しく接続された際に、このことを表す検知信号を本体部10に出力する。
続いて、本体部10に備えたそれぞれの構成要素について詳細に説明する。
本体部10は、内視鏡装置1の使用者による操作に応じて、内視鏡装置1における被検物内の被写体の撮影や測定を制御する。
ワイヤー接続機構101は、スコープ部21に備えたワイヤー接続機構201と嵌合することによって挿入部20(より具体的には、スコープ部21)を本体部10に着脱可能にし、スコープ部21の先端側にワイヤー固定部211によって固定された湾曲用ワイヤーを1本のワイヤーとして接続するための本体部10側の機構である。
着脱コネクタ102は、スコープ部21に備えた着脱コネクタ202と嵌合することによって挿入部20(より具体的には、スコープ部21)を本体部10に着脱可能にし、スコープ部21や光学アダプタ22に備えたそれぞれの構成要素と本体部10に備えた対応する構成要素との間の信号線を1本の信号線として接続するための本体部10側の機構である。
リミッティングアンプ回路150は、挿入部20の先端部に備えたイメージセンサ212から対応する信号線によって伝送された被写体像の画素信号を増幅する増幅回路(アンプ)である。なお、本体部10にリミッティングアンプ回路150を備えているのは、内視鏡装置1において挿入部20(より具体的には、スコープ部21)の長さは非常に長い(例えば、十メートルというような長さである)ため、イメージセンサ212が出力した画素信号が対応する信号線によって本体部10に伝送されてくるまでの間に減衰してしまうことがあるからである。リミッティングアンプ回路150は、イメージセンサ212から出力された画素信号の信号レベルを、内視鏡処理部110に備えた画像処理部113が画像処理を行う際に必要な信号レベルまで増幅する。そして、リミッティングアンプ回路150は、信号レベルを増幅した画素信号を、内視鏡処理部110内の画像処理部113に出力する。
制御信号ドライブ回路140は、内視鏡処理部110に備えた画像処理部113から出力されたイメージセンサ212への制御信号を増幅して出力する駆動回路(ドライブ回路)である。制御信号ドライブ回路140は、画像処理部113が出力した制御信号が、スコープ部21の先端側に配置されたイメージセンサ212に正しく入力されるように、必要な信号レベルまで増幅して出力する。より具体的には、制御信号ドライブ回路140は、画像処理部113が出力した制御信号を電流増幅してイメージセンサ212に出力する。これにより、イメージセンサ212は、画像処理部113から出力された制御信号を正しく受け取り、受け取った制御信号に応じた動作モードや設定で、撮影の動作を行う。
ユーザインターフェース部170は、内視鏡装置1の使用者による操作を受け付けるインターフェース部である。ユーザインターフェース部170は、受け付けた内視鏡装置1の使用者の操作を表す情報を、内視鏡処理部110に備えたシステム制御部111に出力する。ユーザインターフェース部170は、例えば、使用者が操作するボタンやスイッチ、ジョイスティックなどを備えたリモコン端末などの専用の操作装置などによって構成される。内視鏡装置1の使用者は、ユーザインターフェース部170を操作することによって、挿入部20の先端部を被検物内に挿入するときの先端部の動きや方向を指示する。また、内視鏡装置1の使用者は、内視鏡装置1において被写体を撮影する際のズーム、つまり、ズームの倍率を指示する。また、内視鏡装置1の使用者は、内視鏡装置1における被写体の計測などを指示する。
湾曲制御部120は、内視鏡処理部110に備えたシステム制御部111から出力された、挿入部20の先端部(より具体的には、スコープ部21の先端側)の動きや方向を制御するための制御信号(以下、「湾曲制御信号」という)に基づいて、挿入部20の先端部の動きや方向を実際に制御するための駆動信号を生成する。より具体的には、湾曲制御部120は、内視鏡処理部110内のシステム制御部111から出力された湾曲制御信号に基づいて、挿入部20の先端部を上下方向に動かすための駆動信号と、挿入部20の先端部を左右方向に動かすための駆動信号とのそれぞれの駆動信号を生成する。そして、湾曲制御部120は、生成したそれぞれの駆動信号を、湾曲モータ121aと湾曲モータ121bとのそれぞれに出力する。例えば、湾曲制御部120は、挿入部20の先端部を上下方向に動かすための駆動信号(以下、「上下駆動信号」という)を湾曲モータ121aに出力し、挿入部20の先端部を左右方向に動かすための駆動信号(以下、「左右駆動信号」という)を湾曲モータ121bに出力する。なお、湾曲制御部120は、湾曲モータ121aと湾曲モータ121bとのそれぞれを対応する駆動信号で駆動する際に、湾曲モータ121aと湾曲モータ121bとのそれぞれが実際に動いた量に基づいてフィードバック制御を行う。つまり、湾曲制御部120は、湾曲用ワイヤーが実際に動いた量を検出して、挿入部20の先端部の動きや方向をフィードバック制御する。
湾曲モータ121aおよび湾曲モータ121bのそれぞれは、湾曲制御部120から出力された対応する駆動信号に応じて対応する湾曲用ワイヤーを牽引することによって、挿入部20の先端部を実際に動かすモータである。より具体的には、湾曲モータ121aおよび湾曲モータ121bのそれぞれは、対応する方向の2本の湾曲用ワイヤーの内、いずれか一方の湾曲用ワイヤーを引っ張り、同時に他方の湾曲用ワイヤーを緩める(積極的に押し出してはいない)ことによって、挿入部20の先端部を、内視鏡装置1の使用者がユーザインターフェース部170を操作して指示した方向に向ける。例えば、湾曲モータ121aが挿入部20の先端部を上下方向に動かすためのモータである場合、湾曲制御部120から出力された上下駆動信号に基づいて、上下方向に対応する2本の湾曲用ワイヤーを上述したように牽引して、挿入部20の先端部を実際に上下方向に動かす。また、例えば、湾曲モータ121bが挿入部20の先端部を左右方向に動かすためのモータである場合、湾曲制御部120から出力された左右駆動信号に基づいて、左右方向に対応する2本の湾曲用ワイヤーを上述したように牽引して、挿入部20の先端部を実際に左右方向に動かす。なお、湾曲モータ121aと湾曲モータ121bとのそれぞれには、例えば、ポテンショメータ(不図示)が設置されている。不図示のポテンショメータは、湾曲モータ121aと湾曲モータ121bとのそれぞれが対応する駆動信号に応じて湾曲用ワイヤーを牽引するために回転した実際の回転量を検出する。ポテンショメータが検出した湾曲モータ121aと湾曲モータ121bとのそれぞれの回転量の情報は、湾曲制御部120に出力され、湾曲制御部120によるフィードバック制御に用いられる。
光源駆動回路130は、内視鏡処理部110に備えたシステム制御部111から出力された、挿入部20の先端部(より具体的には、スコープ部21の先端側に装着された光学アダプタ22)に備えた光源221が発光する光の光量やタイミングを制御するための駆動信号(以下、「発光駆動信号」という)を増幅して出力する駆動回路(ドライブ回路)である。光源駆動回路130は、内視鏡処理部110内のシステム制御部111が出力した発光駆動信号が、スコープ部21の先端側に装着された光学アダプタ22内の光源221に正しく入力されるように、必要な信号レベルまで増幅して駆動する。なお、光源駆動回路130も、制御信号ドライブ回路140と同様に、システム制御部111が出力した発光駆動信号を電流増幅して光源221に出力する。これにより、光源221は、発光駆動信号に応じた光量の光を発光する。
光路切り替え駆動回路160は、内視鏡処理部110に備えた画像処理部113から出力された、挿入部20の先端部(より具体的には、スコープ部21の先端側に装着された光学アダプタ22)に備えた光路切り替え部223が遮光部材224の移動(摺動)を制御するための駆動信号(以下、「光路切り替え駆動信号」という)を増幅して出力する駆動回路(ドライブ回路)である。光路切り替え駆動回路160は、内視鏡処理部110内の画像処理部113が出力した光路切り替え駆動信号が、スコープ部21の先端側に装着された光学アダプタ22内の光路切り替え部223に正しく入力されるように、必要な信号レベルまで増幅して駆動する。なお、光路切り替え駆動回路160も、制御信号ドライブ回路140や光源駆動回路130と同様に、画像処理部113が出力した光路切り替え駆動信号を電流増幅して光路切り替え部223出力する。これにより、光路切り替え部223は、イメージセンサ212の撮像領域の全体に出射される被写体からの反射光が、光路切り替え駆動信号が表すWIDE光学レンズ222WまたはTELE光学レンズ222Tのいずれか一方の光路に出射された被写体からの反射光に切り替えられる。
内視鏡処理部110は、内視鏡装置1における全体の制御や処理を行う処理部である。内視鏡処理部110は、CPU(Central Processing Unit)などの処理装置を含んで構成される。なお、内視鏡処理部110は、全部の機能または一部の機能をプロセッサ化して実現する構成であってもよい。このとき、内視鏡処理部110は、全部の機能を1つのプロセッサによって実現する構成であってもよいし、それぞれの機能に対応した個別のプロセッサ、つまり、複数のプロセッサによって実現する構成であってもよい。また、内視鏡処理部110は、全部の機能または一部の機能を、CPUと組み合わせた専用のLSI(Large Scale Integration)、いわゆる、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などで実現する構成であってもよい。例えば、内視鏡処理部110は、システム制御部111の機能を1つのプロセッサによって実現し、画像処理部113の機能を1つのASICによって実現する構成であってもよい。
内視鏡処理部110では、システム制御部111が、内視鏡装置1における全体の動作に関する制御を行い、画像処理部113が、内視鏡装置1における被写体の撮影動作に関する制御、および撮影した被写体の画像(映像)の生成に関する処理を行う。
パラメータ記憶部112は、システム制御部111の機能を実現するためのプログラムや設定値のデータが格納されたメモリである。パラメータ記憶部112は、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの種々のメモリを含んで構成される。
システム制御部111は、CPUなどの処理装置を含んで構成され、起動する際に、パラメータ記憶部112に格納されたプログラムや設定値のデータを読み込み、読み込んだプログラムや設定値(初期値)のデータに応じた機能の動作を行う。
システム制御部111は、内視鏡装置1の使用者がユーザインターフェース部170を操作することによって入力した先端部の動きや方向の指示に応じて、挿入部20の先端部の動きや方向を制御する。このとき、システム制御部111は、挿入部20(より具体的には、スコープ部21)に備えたスコープ検知部215から出力された検知信号に基づいて、本体部10への挿入部20の着脱を判定する。そして、システム制御部111は、本体部10に挿入部20が正しく接続されている場合に、挿入部20の先端部(より具体的には、スコープ部21の先端側)の動きや方向を制御するための湾曲制御信号を、湾曲制御部120に出力する。これにより、湾曲制御部120は、湾曲モータ121aおよび湾曲モータ121bのそれぞれに対応する駆動信号(上下駆動信号や左右駆動信号)を生成し、挿入部20の先端部の動きや方向が実際に制御される。
また、システム制御部111は、内視鏡装置1の使用者がユーザインターフェース部170を操作することによって入力した撮影の指示に応じて、内視鏡装置1における被検物内の被写体の撮影を制御する。例えば、システム制御部111は、内視鏡装置1の使用者がユーザインターフェース部170を操作して入力したズームの指示に応じたズーム倍率での被写体の撮影を制御する。このとき、システム制御部111は、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver-Transmitter)などの予め定めた通信方式によって、挿入部20の先端部(より具体的には、スコープ部21の先端側)に備えたイメージセンサ212の起動や撮影の動作に関する様々な設定を、画像処理部113に対して行う。システム制御部111が画像処理部113に出力する撮影の動作に関する設定には、内視鏡装置1の使用者によるズームの指示に応じたズーム倍率の情報などが含まれている。また、システム制御部111は、挿入部20の先端部(より具体的には、スコープ部21の先端側に装着された光学アダプタ22)に備えた光源221が発光する光の光量やタイミングを制御するための発光駆動信号を、光源221に出力する。このとき、システム制御部111は、画像処理部113がイメージセンサ212に出力した制御信号の情報を、UARTによって画像処理部113から取得する。特に、システム制御部111は、イメージセンサ212の動作タイミングに関する情報を、画像処理部113から取得する。そして、システム制御部111は、取得した制御信号の情報に基づいて、イメージセンサ212の動作タイミングに合ったタイミング、つまり、イメージセンサ212における被写体像の撮像タイミングに同期して光源221を発光させるように制御する発光駆動信号を、光源221に出力する。より具体的には、システム制御部111は、イメージセンサ212が被写体像を撮像する露光期間の間、光源221を発光させるように制御する発光駆動信号を、光源221に出力する。なお、上述したように、内視鏡装置1においては、挿入部20(より具体的には、スコープ部21)の長さが非常に長く、システム制御部111が光源221を駆動するための発光駆動信号を光源221に直接出力したとしても、出力した発光駆動信号が対応する信号線によって光学アダプタ22に備えた光源221に到達するまでに減衰してしまうことが考えられる。このため、システム制御部111は、光源221に出力する発光駆動信号を、光源駆動回路130に出力する。これにより、光源駆動回路130は、システム制御部111から出力された発光駆動信号を増幅して光源221に出力し、光源221は、イメージセンサ212に同期したタイミングで、発光駆動信号に応じた光量の光を発光する。
なお、スコープ部21の先端側に装着された光学アダプタ22内の光源221を発光させる構成は、上述した構成に限定されるものではない。例えば、システム制御部111が、光源221の発光を制御するための制御信号(以下、「発光制御信号」という)を光源駆動回路130に出力し、光源駆動回路130が、システム制御部111から出力された発光制御信号が表す光の光量およびタイミングで光源221が発光するための発光駆動信号を生成して出力する構成であってもよい。
また、システム制御部111は、内視鏡装置1の使用者がユーザインターフェース部170を操作することによって入力した表示や記録の指示に応じて、画像処理部113が生成した被写体の画像(映像)の表示装置30への表示や、記録媒体40への記録を制御する。より具体的には、システム制御部111に備えた表示制御部1113が、画像処理部113が生成した被写体の画像(映像)を表示装置30に表示させる。また、システム制御部111に備えた画像記録処理部1112が、画像処理部113が生成した被写体の画像(映像)を記録媒体40に記録させる。
表示制御部1113は、画像処理部113が生成した被写体の画像(映像)を表示装置30に表示させるための制御を行う。より具体的には、表示制御部1113は、画像処理部113が生成した被写体の画像(映像)を表示装置30に表示させるための表示画像の形式や画像サイズに変換し、表示装置30に出力して表示させる。また、表示制御部1113は、例えば、内視鏡装置1の操作メニューや被写体の計測結果など、様々な情報を表示画像内に示すためのオンスクリーンディスプレイ(On Screen Display:OSD)画像を表示画像に重畳して表示装置30に表示させる制御も行う。
画像記録処理部1112は、画像処理部113が生成した被写体の画像(映像)を記録媒体40に記録させるための制御を行う。より具体的には、画像記録処理部1112は、画像処理部113が生成した被写体の画像(映像)を記録媒体40に記録させるための記録画像の形式に変換し、記録媒体40に出力して記録させる。なお、画像記録処理部1112が変換する記録画像の形式としては、JPEGなどの静止画像圧縮形式や、MPEGなどの動画像圧縮形式などがある。
なお、内視鏡装置1では、撮影した被検物内の被写体の画像を用いて、内視鏡装置1の使用者がユーザインターフェース部170を操作することによって入力した項目の計測を行う。システム制御部111では、計測部1111が、画像処理部113が生成した被写体の画像(映像)に基づいて計測を行う。
計測部1111は、画像処理部113が生成した被写体の画像(映像)に基づいて計測を行う処理部である。例えば、内視鏡装置1において被写体の大きさ(長さ)を計測する場合、内視鏡装置1の使用者は、ユーザインターフェース部170を操作することによって長さを計測する2点を指定する。計測部1111は、画像処理部113が生成した被写体の画像(映像)とズーム倍率とに基づいて、指定された2点間の距離を計測する。なお、計測部1111が計測を行う際の計測方法などは、既存の計測方法と同様であるため、詳細な説明は省略する。そして、計測部1111は、撮影した被写体の画像を用いて計測した結果の情報を、表示制御部1113に出力する。これにより、表示制御部1113は、計測部1111が計測した結果の情報を示すためのオンスクリーンディスプレイ画像を表示画像に重畳して、表示装置30に表示させる。また、計測部1111は、撮影した被写体の画像を用いて計測した結果の情報を、画像記録処理部1112に出力する。これにより、画像記録処理部1112は、計測部1111が計測した結果の情報を記録画像に紐付けて、記録媒体40に記録させる。
また、上述したように、内視鏡処理部110では、画像処理部113が、内視鏡装置1における被写体の撮影動作に関する制御、および撮影した被写体の画像(映像)の生成に関する処理を行う。
画像処理部113は、システム制御部111から設定されたイメージセンサ212の起動や撮影の動作に関する様々な設定に基づいて、イメージセンサ212を制御するための制御信号を、イメージセンサ212に出力する。画像処理部113がイメージセンサ212に出力する制御信号には、イメージセンサ212における動作モードなどを設定するレジスタの設定値などが含まれている。画像処理部113は、例えば、I2C(Inter-Integrated Circuit)や、SPI(Serial Peripheral Interface)などの予め定めた種々のシリアル通信方式で、制御信号をイメージセンサ212に出力する。なお、上述したように、内視鏡装置1においては、挿入部20(より具体的には、スコープ部21)の長さが非常に長く、画像処理部113がイメージセンサ212を制御するための制御信号をイメージセンサ212に直接出力したとしても、出力した制御信号が対応する信号線によってスコープ部21の先端側に配置されたイメージセンサ212に到達するまでに減衰してしまうことが考えられる。このため、画像処理部113は、イメージセンサ212に出力する制御信号を、制御信号ドライブ回路140に出力する。これにより、制御信号ドライブ回路140は、画像処理部113から出力された制御信号を増幅してイメージセンサ212に出力し、イメージセンサ212は、画像処理部113から出力された制御信号に応じた被写体の撮影動作を行う。また、画像処理部113は、出力した制御信号に従ってイメージセンサ212が撮影して出力した被写体像の画素信号(例えば、RAW信号)に基づいて、被検物内の被写体の画像(映像)を生成する。
画像処理パラメータ記憶部1132は、画像処理部113における画像処理の機能を実現するための設定値のデータが格納された記憶装置である。画像処理パラメータ記憶部1132は、レジスタで構成される。なお、画像処理パラメータ記憶部1132は、例えば、ROM、EPROM、RAM、フラッシュメモリなどの種々のメモリを含んで構成されてもよい。なお、画像処理パラメータ記憶部1132は、画像処理部113の機能を実現するためのプログラムを格納していてもよい。なお、画像処理制御部1131がCPUなどの処理装置を含んで構成されている場合、画像処理制御部1131は、起動する際に、画像処理パラメータ記憶部1132に格納されたプログラムや設定値のデータを読み込み、読み込んだプログラムや設定値(初期値)のデータに応じた動作を行う。
画像処理制御部1131は、システム制御部111からUARTによって設定された撮影の動作に関する設定に従って、イメージセンサ212による撮影の動作や、画像生成処理部1133による被写体の画像(映像)の生成の動作を制御する。
画像生成処理部1133は、リミッティングアンプ回路150から出力された、先端部内のイメージセンサ212が出力した被写体像の画素信号(例えば、RAW信号)に対して予め定められた種々の画像処理を施し、撮像した被検物内の被写体の画像(映像)を生成するデジタル信号処理部である。ここで、画像生成処理部1133が行う画像処理は、イメージセンサ212が出力した被写体像の画素信号を、例えば、YUV422などの一般的な画像フォーマットの画像信号(画像データ)に変換する、いわゆる、現像処理である。例えば、イメージセンサ212の撮像領域に配置されたそれぞれの画素に貼付されたカラーフィルタの色配列がベイヤー配列である場合、現像処理において画像生成処理部1133は、イメージセンサ212が出力した画素信号に含まれるそれぞれの画素の情報に基づいて、被写体の画像(映像)を表す輝度信号や色信号に変換する三板化処理(デモザイキング処理)などを行う。さらに、画像生成処理部1133は、デモザイキング処理した画像信号(画像データ)に対して行うガンマ補正処理や、輪郭補正処理、色補正処理などの信号処理を行う。画像生成処理部1133は、現像処理によってイメージセンサ212が出力した画素信号から生成した被写体の画像(映像)を、電子ズーム処理部1134に出力する。なお、画像生成処理部1133におけるデモザイキング処理(三板化処理)の処理方法は、既存のデモザイキング処理(三板化処理)の処理方法と同様であるため、詳細な説明は省略する。また、画像生成処理部1133におけるガンマ補正処理、輪郭補正処理、および色補正処理のそれぞれの処理方法は、既存のガンマ補正処理、輪郭補正処理、および色補正処理のそれぞれの処理方法と同様であるため、詳細な説明は省略する。
また、画像処理制御部1131は、システム制御部111からUARTによって設定された撮影の動作に関する設定に含まれるズーム倍率の情報に応じて、電子ズーム処理部1134による電子ズームの動作を制御する。
電子ズーム処理部1134は、画像生成処理部1133から出力された被写体の画像(映像)に対して電子ズームの処理を施して拡大した被写体の画像(映像)を生成するデジタル信号処理部である。電子ズーム処理部1134は、画像処理制御部1131から出力されたズーム倍率に拡大した最終的な被写体の画像(映像)を生成する。例えば、電子ズーム処理部1134は、画像生成処理部1133が生成した被写体の画像(映像)内のズーム倍率に応じた領域を切り出し、切り出した領域が被写体の画像(映像)の全体の領域になるように拡大して、新たな(最終的な)被写体の画像(映像)を生成する。電子ズーム処理部1134は、電子ズームの処理を施して生成した最終的な被写体の画像(映像)をシステム制御部111に出力する。なお、電子ズーム処理部1134における電子ズームの処理方法は、既存の電子ズームの処理方法と同様であるため、詳細な説明は省略する。
なお、内視鏡装置1では、上述した挿入部20の構成、つまり、スコープ部21の先端部に装着した光学アダプタ22の構成によって、被検物内の被写体を、2段階の光学倍率で撮影することができる。このため、画像処理制御部1131は、内視鏡装置1の使用者がユーザインターフェース部170を操作することによって入力したズームの指示に応じた倍率で被写体を撮影する際に、電子ズーム処理部1134による電子ズームの動作と、光学アダプタ22に備えた光学レンズ222の切り替えの動作とのそれぞれを制御する。より具体的には、画像処理制御部1131は、内視鏡装置1の使用者によって指示されたズーム倍率が、予め定めたズーム倍率の範囲内である場合には、電子ズームの処理を電子ズーム処理部1134に行わせる。一方、画像処理制御部1131は、内視鏡装置1の使用者によって指示されたズームが、予め定めたズーム倍率を超える場合には、光学アダプタ22に備えた光学レンズ222の光路を切り替えた後に、引き続き電子ズームの処理を電子ズーム処理部1134に行わせる。つまり、画像処理制御部1131は、広角用のWIDE光学レンズ222Wで撮影した被写体の画像(映像)に対して電子ズーム処理部1134が電子ズームの処理を行う際のズーム倍率を、望遠用のTELE光学レンズ222Tの光学倍率までに制限する。そして、画像処理制御部1131は、内視鏡装置1の使用者によって指示されたズーム倍率がTELE光学レンズ222Tの光学倍率を超える倍率である場合には、TELE光学レンズ222Tによる被写体の撮影に切り替えてから、続きの電子ズームの処理を電子ズーム処理部1134に行わせる。言い換えれば、画像処理制御部1131は、WIDE光学レンズ222Wで撮影した被写体の画像(映像)に対して電子ズーム処理部1134が電子ズームの処理を行うことによる画質の劣化が予め定めた範囲を超えてしまうような場合には、TELE光学レンズ222Tによる被写体の撮影に切り替える。これにより、内視鏡装置1の使用者の指示に応じて電子ズーム処理部1134が同じズーム倍率の被写体の画像(映像)を生成する場合でも、電子ズームの処理で拡大するズーム倍率を低くすることができ、電子ズームによる画質の劣化の影響を少なくすることができる。例えば、WIDE光学レンズ222Wの光学倍率が1倍であり、TELE光学レンズ222Tの光学倍率が2倍であるときに、6倍のズーム倍率の最終的な被写体の画像(映像)を生成する場合を考える。この場合、電子ズーム処理部1134が電子ズームの処理のみによって6倍のズーム倍率に拡大した最終的な被写体の画像(映像)よりも、TELE光学レンズ222Tによって光学で2倍に拡大された被写体の画像(映像)に対して電子ズーム処理部1134が電子ズームの処理によって3倍のズーム倍率に拡大した最終的な被写体の画像(映像)の方が、画質の劣化は少ない。これにより、内視鏡装置1では、同じズーム倍率に拡大する場合でも、撮影した最終的な被写体の画像(映像)の画質の劣化を低減させることができる。
光学アダプタ22に備えた光学レンズ222の切り替えを行う場合、画像処理制御部1131は、光学アダプタ22に備えた光路切り替え部223によって、WIDE光学レンズ222WまたはTELE光学レンズ222Tのいずれか一方が出射した被写体からの反射光がイメージセンサ212の撮像領域の全体に出射されるように、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替える。このとき、画像処理制御部1131は、光路切り替え部223が遮光部材224の移動(摺動)を制御するための光路切り替え駆動信号を、光路切り替え部223に出力する。なお、上述したように、内視鏡装置1においては、挿入部20(より具体的には、スコープ部21)の長さが非常に長く、画像処理制御部1131がイメージセンサ212に入射される被写体からの反射光の光路を切り替える光路切り替え駆動信号を光路切り替え部223に直接出力したとしても、出力した光路切り替え駆動信号が対応する信号線によって光学アダプタ22に備えた光路切り替え部223に到達するまでに減衰してしまうことが考えられる。このため、画像処理制御部1131は、光路切り替え部223に出力する光路切り替え駆動信号を、光路切り替え駆動回路160に出力する。これにより、光路切り替え駆動回路160は、画像処理制御部1131から出力された光路切り替え駆動信号を増幅して光路切り替え部223に出力し、光路切り替え部223は、画像処理制御部1131から出力された光路切り替え駆動信号に応じて、WIDE光学レンズ222Wが光を出射する光路またはTELE光学レンズ222Tが光を出射する光路のいずれか一方の光路に遮光部材224を移動(摺動)させる。これにより、イメージセンサ212に入射される被写体からの反射光の光路が、WIDE光学レンズ222WまたはTELE光学レンズ222Tのいずれか一方の光路に切り替えられる。
なお、スコープ部21の先端側に装着された光学アダプタ22内の光路切り替え部223によってイメージセンサ212に入射される被写体からの反射光の光路を切り替えさせる構成は、上述した構成に限定されるものではない。例えば、画像処理制御部1131が、イメージセンサ212に入射される被写体からの反射光の光路の切り替えを制御するための制御信号(以下、「光路切り替え制御信号」という)を光路切り替え駆動回路160に出力し、光路切り替え駆動回路160が、画像処理制御部1131から出力された光路切り替え制御信号が表す光学レンズ222の光路に切り替えるための光路切り替え駆動信号を生成して光路切り替え部223に出力する構成であってもよい。
なお、画像処理制御部1131は、光路切り替え駆動信号を光路切り替え部223に出力したことを、例えば、UARTによってシステム制御部111に通知する。より具体的には、画像処理制御部1131は、イメージセンサ212に被写体からの反射光を入射させる光路を、WIDE光学レンズ222Wの光路またはTELE光学レンズ222Tの光路のいずれの光路に切り替えたことを表す情報を、システム制御部111に出力する。これにより、システム制御部111は、画像処理部113(より具体的には、電子ズーム処理部1134)が指示されたズーム倍率で生成した最終的な被写体の画像(映像)を表示装置30に表示させる際に、切り替えられた光学レンズ222を表す情報を、オンスクリーンディスプレイ画像として重畳するように表示制御部1113を制御することができる。
次に、第1の実施形態の内視鏡装置1において、ズームを行う際の制御方法について説明する。図2は、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1におけるズーム制御の処理手順の一例を示したフローチャートである。図2には、本体部10において内視鏡処理部110内の画像処理部113に備えた画像処理制御部1131が被写体を撮影する際のズームを制御する方法を示している。
光学アダプタ22がスコープ部21の先端側に装着された状態で電源がオンされると、本体部10が起動する(ステップS101)。これにより、本体部10内の内視鏡処理部110に備えたシステム制御部111は、パラメータ記憶部112に格納されたプログラムや設定値のデータを読み込み、読み込んだプログラムや設定値(初期値)のデータに応じた機能の動作を開始する。そして、システム制御部111は、画像処理部113にイメージセンサ212の起動や撮影の動作に関する設定を行う。
続いて、本体部10内の内視鏡処理部110に備えた画像処理部113は、画像処理パラメータ記憶部1132に格納された設定値のデータを読み込み、読み込んだ設定値(初期値)のデータに応じて、挿入部20および画像処理部113内の構成要素の初期設定を行う(ステップS102)。より具体的には、画像処理部113は、挿入部20の先端部内のイメージセンサ212の初期設定の制御信号を、制御信号ドライブ回路140および対応する信号線を介してイメージセンサ212に出力する。また、画像処理部113に備えた画像処理制御部1131は、画像生成処理部1133のパラメータを設定する。また、画像処理制御部1131は、電子ズーム処理部1134が電子ズームの処理を行う際のズーム倍率を1倍にする。なお、画像処理パラメータ記憶部1132には、例えば、内視鏡装置1によって被検物内の測定対象の被写体の測定を開始する際に、最初に用いる光学レンズ222の情報などが、内視鏡装置1の使用者によって予め格納されている。このため、画像処理部113に備えた画像処理制御部1131は、ステップS102の初期設定の処理において、最初にイメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222の光路に切り替えるための光路切り替え駆動信号を、光路切り替え駆動回路160および対応する信号線を介して光路切り替え部223に出力する。これにより、光路切り替え部223は、画像処理制御部1131から出力された光路切り替え駆動信号に応じて、WIDE光学レンズ222Wが光を出射する光路またはTELE光学レンズ222Tが光を出射する光路のいずれか一方の光路に遮光部材224を移動(摺動)させる。これにより、イメージセンサ212に入射される被写体からの反射光の光路が、内視鏡装置1の使用者が予め設定して画像処理パラメータ記憶部1132に格納した最初に用いる光学レンズ222の情報が表す、WIDE光学レンズ222WまたはTELE光学レンズ222Tのいずれか一方の光路に切り替えられる。これにより、イメージセンサ212は、撮像した被検物内の被写体像を表す画素信号を、本体部10に伝送する。これにより、画像生成処理部1133がリミッティングアンプ回路150によって増幅された画素信号に応じた被写体の画像(映像)を生成し、電子ズーム処理部1134が電子ズームの処理(ズーム倍率=1倍)を施して生成した最終的な被写体の画像(映像)をシステム制御部111に出力する。そして、システム制御部111(より具体的には、表示制御部1113)が、電子ズーム処理部1134が生成した最終的な被写体の画像(映像)を表示装置30に表示させる。
その後、画像処理制御部1131は、ステップS102の初期設定の処理において、イメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222として、WIDE光学レンズ222Wが設定されているか否かを判定する(ステップS103)。
ステップS103の判定の結果、WIDE光学レンズ222Wが設定されていないと判定した場合(ステップS103の“NO”)、画像処理制御部1131は、処理をステップS301に進める。
一方、ステップS103の判定の結果、WIDE光学レンズ222Wが設定されていると判定した場合(ステップS103の“YES”)、画像処理制御部1131は、イメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222の光路をWIDE光学レンズ222Wの光路に切り替えるための光路切り替え駆動信号を、光路切り替え駆動回路160および対応する信号線を介して光路切り替え部223に出力する。また、画像処理制御部1131は、イメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222の光路をWIDE光学レンズ222Wの光路に切り替えたことを、システム制御部111に通知する(ステップS201)。これにより、システム制御部111(より具体的には、表示制御部1113)は、例えば、図3の(a)に示したように、電子ズーム処理部1134が生成した最終的な被写体の画像(映像)に、現在イメージセンサ212に光を出射している光学レンズ222を表す情報をオンスクリーンディスプレイ画像として重畳して表示装置30に表示させる。図3の(a)には、WIDE光学レンズ222Wの光路に出射された被写体からの反射光をイメージセンサ212が撮像した被写体像の画素信号に基づいて、最終的に電子ズーム処理部1134が生成した被写体の画像(映像)に、現在WIDE光学レンズ222Wの光路を選択していることを表す情報をオンスクリーンディスプレイ画像として重畳して表示装置30に表示させている一例を示している。より具体的には、WIDE光学レンズ222Wの光路を選択していることを表す「WIDE」の文字を明るい色などでハイライトさせ、TELE光学レンズ222Tの光路を選択していることを表す「TELE」の文字を、例えば、灰色にグレーアウトさせることによって、現在WIDE光学レンズ222Wの光路を選択していることを、内視鏡装置1の使用者に通知して確認することができるようにしている一例を示している。なお、現在イメージセンサ212に光を出射している光学レンズ222の情報を内視鏡装置1の使用者に通知する方法は、図3の(a)に示したオンスクリーンディスプレイ画像を重畳する方法に限定されるものではない。例えば、現在イメージセンサ212に光を出射している光学レンズ222の情報(ここでは、現在選択されているWIDE光学レンズ222Wの光路を表す「WIDE」の文字)のみを、オンスクリーンディスプレイ画像として被写体の画像(映像)に重畳して表示装置30に表示させるようにしてもよい。
なお、ステップS102の初期設定の処理において、WIDE光学レンズ222Wがイメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222として設定されている場合、光路切り替え部223は、遮光部材224をWIDE光学レンズ222Wの光路を選択している状態にすでに移動(摺動)させている。このため、ステップS201の処理において画像処理制御部1131が光路切り替え駆動信号を光路切り替え部223に出力しても、実際に遮光部材224が光路切り替え部223によって移動(摺動)されることはない。このため、ステップS102の初期設定の処理の後の最初のステップS201の処理において画像処理制御部1131は、念のために光路切り替え駆動信号を再度出力するという意味となる。従って、ステップS102の初期設定の処理の後の最初のステップS201の処理に限れば、画像処理制御部1131における光路切り替え駆動信号の出力を省略してもよい。
続いて、画像処理制御部1131は、内視鏡装置1の使用者からズームの指示があるか否かを判定する(ステップS202)。このステップS202の処理において画像処理制御部1131は、システム制御部111からUARTによって設定された撮影の動作に関する設定にズーム倍率の情報が含まれているか否かを判定することによって、内視鏡装置1の使用者からズームの指示があるか否かを判定する。
ステップS202の判定の結果、内視鏡装置1の使用者からズームの指示がないと判定した場合(ステップS202の“NO”)、画像処理制御部1131は、ステップS202における判定を繰り返す。
一方、ステップS202の判定の結果、内視鏡装置1の使用者からズームの指示があると判定した場合(ステップS202の“YES”)、画像処理制御部1131は、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率が、TELE光学レンズ222Tの光学倍率以上の倍率であるか否かを判定する(ステップS203)。例えば、TELE光学レンズ222Tの光学倍率が2倍である場合、内視鏡装置1の使用者からズームの指示によって指示されたズーム倍率が2倍以上であるか否かを判定する。このステップS203の処理によって、画像処理制御部1131は、電子ズーム処理部1134が電子ズームの処理を施す元の被写体の画像(映像)を光学アダプタ22に備えた光学レンズ222を切り替えて撮影することによって、指示されたズーム倍率に拡大した最終的な被写体の画像(映像)の画質の劣化を低減させる(抑える)ことができるか否かを判定している。
ステップS203の判定の結果、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率がTELE光学レンズ222Tの光学倍率以上ではないと判定した場合(ステップS203の“NO”)、画像処理制御部1131は、広角用のWIDE光学レンズ222Wで撮影した被写体の画像(映像)に対して電子ズーム処理部1134が施す電子ズームの処理による画質の劣化が予め定めた範囲を超えないと判断する。つまり、画像処理制御部1131は、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率がTELE光学レンズ222Tの光学倍率を超えない(下回る)倍率である場合、広角用のWIDE光学レンズ222Wで撮影した被写体の画像(映像)に対して電子ズーム処理部1134が施す電子ズームの処理による画質の劣化が予め定めた範囲を超えないと判断する。このため、画像処理制御部1131は、システム制御部111から設定されたズーム倍率を電子ズームのズーム倍率(以下、「電子ズーム倍率」という)として電子ズーム処理部1134に出力する。そして、画像処理制御部1131は、出力したズーム倍率での電子ズームの処理を、電子ズーム処理部1134に実行させる(ステップS204)。これにより、電子ズーム処理部1134は、画像生成処理部1133から出力された、WIDE光学レンズ222Wが出射した被写体からの反射光を撮像した被写体の画像(映像)に対して、画像処理制御部1131から出力されたズーム倍率に応じた電子ズームの処理を施して最終的な被写体の画像(映像)を生成し、生成した最終的な被写体の画像(映像)をシステム制御部111に出力する。そして、システム制御部111(より具体的には、表示制御部1113)が、電子ズーム処理部1134が生成した最終的な被写体の画像(映像)を表示装置30に表示させる。その後、画像処理制御部1131は、処理をステップS202に戻して、ステップS202~ステップS204の処理を繰り返す。
一方、ステップS203の判定の結果、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率がTELE光学レンズ222Tの光学倍率以上であると判定した場合(ステップS203の“YES”)、画像処理制御部1131は、広角用のWIDE光学レンズ222Wで撮影した被写体の画像(映像)に対して電子ズーム処理部1134が施す電子ズームの処理による画質の劣化が予め定めた範囲を超えてしまうと判断する。つまり、画像処理制御部1131は、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率がTELE光学レンズ222Tの光学倍率と同じ、またはTELE光学レンズ222Tの光学倍率を超える倍率である場合、広角用のWIDE光学レンズ222Wで撮影した被写体の画像(映像)に対して電子ズーム処理部1134が施す電子ズームの処理による画質の劣化が予め定めた範囲を超えてしまうと判断する。このため、画像処理制御部1131は、電子ズーム処理部1134に出力する電子ズーム倍率を、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率に基づいた電子ズーム倍率にする(ステップS205)。そして、画像処理制御部1131は、処理をステップS301に進める。
なお、ステップS205の処理において画像処理制御部1131が電子ズーム処理部1134に出力する電子ズーム倍率は、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率、つまり、システム制御部111から設定されたズーム倍率に対してTELE光学レンズ222Tの光学倍率を考慮して決定されたズーム倍率である。より具体的には、システム制御部111から設定されたズーム倍率をTELE光学レンズ222Tの光学倍率で除算することによって求めたズーム倍率である。例えば、TELE光学レンズ222Tの光学倍率が2倍であるとき、システム制御部111から設定されたズーム倍率が3倍である場合には、画像処理制御部1131は、3倍/2倍=1倍を、電子ズーム倍率として電子ズーム処理部1134に出力する。また、例えば、TELE光学レンズ222Tの光学倍率が2倍であるとき、システム制御部111から設定されたズーム倍率が3倍である場合には、画像処理制御部1131は、3倍/2倍=1.5倍を、電子ズーム倍率として電子ズーム処理部1134に出力する。また、例えば、TELE光学レンズ222Tの光学倍率が2倍であるとき、システム制御部111から設定されたズーム倍率が4倍である場合には、画像処理制御部1131は、4倍/2倍=2倍を、電子ズーム倍率として電子ズーム処理部1134に出力する。また、例えば、TELE光学レンズ222Tの光学倍率が3倍であるとき、システム制御部111から設定されたズーム倍率が3倍である場合には、画像処理制御部1131は、3倍/3倍=1倍を、電子ズーム倍率として電子ズーム処理部1134に出力する。また、例えば、TELE光学レンズ222Tの光学倍率が3倍であるとき、システム制御部111から設定されたズーム倍率が4倍である場合には、画像処理制御部1131は、4倍/3倍=1.33倍を、電子ズーム倍率として電子ズーム処理部1134に出力する。
続いて、画像処理制御部1131は、ステップS301の処理を実行する。なお、ステップS301の処理は、ステップS103の判定の結果、ステップS102の初期設定の処理においてイメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222としてWIDE光学レンズ222Wが設定されていないと判定した場合(ステップS103の“NO”)と、ステップS204の判定の結果、電子ズーム倍率がTELE光学レンズ222Tの光学倍率以上であると判定した場合(ステップS203の“YES”)とに実行される。
ステップS301の処理において、画像処理制御部1131は、イメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222の光路をTELE光学レンズ222Tの光路に切り替えるための光路切り替え駆動信号を、光路切り替え駆動回路160および対応する信号線を介して光路切り替え部223に出力する。また、画像処理制御部1131は、イメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222の光路をTELE光学レンズ222Tの光路に切り替えたことを、システム制御部111に通知する。これにより、システム制御部111(より具体的には、表示制御部1113)は、例えば、図3の(b)に示したように、電子ズーム処理部1134が生成した最終的な被写体の画像(映像)に、現在イメージセンサ212に光を出射している光学レンズ222を表す情報をオンスクリーンディスプレイ画像として重畳して表示装置30に表示させる。図3の(b)には、TELE光学レンズ222Tの光路に出射された被写体からの反射光をイメージセンサ212が撮像した被写体像の画素信号に基づいて、最終的に電子ズーム処理部1134が生成した被写体の画像(映像)に、現在TELE光学レンズ222Tの光路を選択していることを表す情報をオンスクリーンディスプレイ画像として重畳して表示装置30に表示させている一例を示している。より具体的には、WIDE光学レンズ222Wの光路を選択していることを表す「WIDE」の文字を、例えば、灰色にグレーアウトさせ、TELE光学レンズ222Tの光路を選択していることを表す「TELE」の文字を明るい色などでハイライトさせることによって、現在TELE光学レンズ222Tの光路を選択していることを、内視鏡装置1の使用者に通知して確認することができるようにしている一例を示している。なお、現在イメージセンサ212に光を出射している光学レンズ222の情報を内視鏡装置1の使用者に通知する方法は、図3の(b)に示したオンスクリーンディスプレイ画像を重畳する方法に限定されるものではない。例えば、現在イメージセンサ212に光を出射している光学レンズ222の情報(ここでは、現在選択されているTELE光学レンズ222Tの光路を表す「TELE」の文字)のみを、オンスクリーンディスプレイ画像として被写体の画像(映像)に重畳して表示装置30に表示させるようにしてもよい。
なお、ステップS102の初期設定の処理において、TELE光学レンズ222Tがイメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222として設定されている場合、光路切り替え部223は、遮光部材224をTELE光学レンズ222Tの光路を選択している状態にすでに移動(摺動)させている。このため、ステップS301の処理において画像処理制御部1131が光路切り替え駆動信号を光路切り替え部223に出力しても、実際に遮光部材224が光路切り替え部223によって移動(摺動)されることはない。このため、ステップS102の初期設定の処理の後の最初のステップS301の処理においても画像処理制御部1131は、念のために光路切り替え駆動信号を再度出力するという意味となる。従って、ステップS102の初期設定の処理の後の最初のステップS301の処理に限れば、ステップS201の処理と同様に、画像処理制御部1131における光路切り替え駆動信号の出力を省略してもよい。
続いて、画像処理制御部1131は、内視鏡装置1の使用者からズームの指示があるか否かを判定する(ステップS302)。このステップS302の処理において画像処理制御部1131は、ステップS202の処理と同様に、システム制御部111からUARTによって設定された撮影の動作に関する設定にズーム倍率の情報が含まれているか否かを判定することによって、内視鏡装置1の使用者からズームの指示があるか否かを判定する。
ステップS302の判定の結果、内視鏡装置1の使用者からズームの指示がないと判定した場合(ステップS302の“NO”)、画像処理制御部1131は、ステップS302における判定を繰り返す。
一方、ステップS302の判定の結果、内視鏡装置1の使用者からズームの指示があると判定した場合(ステップS302の“YES”)、画像処理制御部1131は、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率が、TELE光学レンズ222Tの光学倍率を下回る倍率であるか否かを判定する(ステップS303)。例えば、TELE光学レンズ222Tの光学倍率が2倍である場合、内視鏡装置1の使用者からズームの指示によって指示されたズーム倍率が2倍を下回る倍率であるか否かを判定する。このステップS303の処理によって、画像処理制御部1131は、電子ズーム処理部1134が電子ズームの処理を施す元の被写体の画像(映像)を光学アダプタ22に備えた光学レンズ222を切り替えて(元に戻して)撮影するか否かを判定している。つまり、画像処理制御部1131は、WIDE光学レンズ222Wで撮影した被写体の画像(映像)を指示されたズーム倍率に拡大して最終的な被写体の画像(映像)とするか否かを判定している。
ステップS303の判定の結果、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率がTELE光学レンズ222Tの光学倍率を下回る倍率ではないと判定した場合(ステップS303の“NO”)、画像処理制御部1131は、望遠用のTELE光学レンズ222Tで撮影した被写体の画像(映像)に対して、電子ズーム処理部1134に電子ズームの処理を施させると判断する。つまり、画像処理制御部1131は、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率がTELE光学レンズ222Tの光学倍率を下回らない倍率である場合、望遠用のTELE光学レンズ222Tで撮影した被写体の画像(映像)に対して、電子ズーム処理部1134に電子ズームの処理を施させると判断する。このため、画像処理制御部1131は、システム制御部111から設定されたズーム倍率に基づいた電子ズーム倍率を電子ズーム処理部1134に出力する。そして、画像処理制御部1131は、出力したズーム倍率での電子ズームの処理を、電子ズーム処理部1134に実行させる(ステップS304)。これにより、電子ズーム処理部1134は、画像生成処理部1133から出力された、TELE光学レンズ222Tが出射した被写体からの反射光を撮像した被写体の画像(映像)に対して、画像処理制御部1131から出力されたズーム倍率に応じた電子ズームの処理を施して最終的な被写体の画像(映像)を生成し、生成した最終的な被写体の画像(映像)をシステム制御部111に出力する。そして、システム制御部111(より具体的には、表示制御部1113)が、電子ズーム処理部1134が生成した最終的な被写体の画像(映像)を表示装置30に表示させる。その後、画像処理制御部1131は、処理をステップS302に戻して、ステップS302~ステップS304の処理を繰り返す。
なお、ステップS304の処理において画像処理制御部1131が電子ズーム処理部1134に出力する電子ズーム倍率は、ステップS205の処理において画像処理制御部1131が電子ズーム処理部1134に出力する電子ズーム倍率と同様の考え方に基づいて決定されたズーム倍率である。つまり、システム制御部111から設定されたズーム倍率(内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率)をTELE光学レンズ222Tの光学倍率で除算することによって求めたズーム倍率である。例えば、TELE光学レンズ222Tの光学倍率が2倍であるとき、システム制御部111から設定されたズーム倍率が3倍である場合には、画像処理制御部1131は、3倍/2倍=1.5倍を、電子ズーム倍率として電子ズーム処理部1134に出力する。また、例えば、TELE光学レンズ222Tの光学倍率が2倍であるとき、システム制御部111から設定されたズーム倍率が4倍である場合には、画像処理制御部1131は、4倍/2倍=2倍を、電子ズーム倍率として電子ズーム処理部1134に出力する。また、例えば、TELE光学レンズ222Tの光学倍率が2倍であるとき、システム制御部111から設定されたズーム倍率が5倍である場合には、画像処理制御部1131は、5倍/2倍=2.5倍を、電子ズーム倍率として電子ズーム処理部1134に出力する。また、例えば、TELE光学レンズ222Tの光学倍率が3倍であるとき、システム制御部111から設定されたズーム倍率が4倍である場合には、画像処理制御部1131は、4倍/3倍=1.33倍を、電子ズーム倍率として電子ズーム処理部1134に出力する。また、例えば、TELE光学レンズ222Tの光学倍率が3倍であるとき、システム制御部111から設定されたズーム倍率が5倍である場合には、画像処理制御部1131は、5倍/3倍=1.67倍を、電子ズーム倍率として電子ズーム処理部1134に出力する。これにより、電子ズーム処理部1134は、画像生成処理部1133から出力された被写体の画像(映像)に対して、連続的(シームレス)なズーム倍率で電子ズームの処理を施した最終的な被写体の画像(映像)を生成することができる。そして、表示装置30に表示される被写体の画像(映像)は、違和感なく連続的にズーム(拡大または縮小)される。
一方、ステップS303の判定の結果、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率がTELE光学レンズ222Tの光学倍率を下回る倍率であると判定した場合(ステップS303の“YES”)、画像処理制御部1131は、広角用のWIDE光学レンズ222Wで撮影した被写体の画像(映像)に対して、電子ズーム処理部1134に電子ズームの処理を施させると判断する。つまり、画像処理制御部1131は、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率がTELE光学レンズ222Tの光学倍率を下回る倍率である場合、広角用のWIDE光学レンズ222Wで撮影した被写体の画像(映像)に対して、電子ズーム処理部1134に電子ズームの処理を施させると判断する。このため、画像処理制御部1131は、電子ズーム処理部1134に出力する電子ズーム倍率を、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率(システム制御部111から設定されたズーム倍率)にする(ステップS305)。そして、画像処理制御部1131は、処理をステップS201に進める。これにより、画像処理制御部1131の処理は、WIDE光学レンズ222Wで撮影した被写体の画像(映像)に対して電子ズームの処理を施す、ステップS201~ステップS205の処理となる。
このように、画像処理制御部1131は、電子ズーム処理部1134に電子ズームの処理を施させる際に、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率に応じて、光学アダプタ22に備えた光学レンズ222を自動的に切り替える。これにより、内視鏡装置1では、指示されたズーム倍率に従って電子ズーム処理部1134が電子ズームの処理を施して生成する、拡大した最終的な被写体の画像(映像)の画質の劣化を低減させた(抑えた)状態で、表示装置30に表示させることができる。
なお、上述した説明では、画像処理制御部1131が光路切り替え部223にイメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えさせるタイミングについて説明をしていない。つまり、内視鏡装置1では、画像処理制御部1131が光路切り替え駆動信号を出力するタイミングについて、特に規定していない。ここで、画像処理制御部1131が光路切り替え駆動信号を出力するタイミングは、イメージセンサ212における被写体像の撮像タイミングに同期したタイミングであってもよい。より具体的には、画像処理制御部1131は、イメージセンサ212が被写体像を撮像した画素信号を出力する期間、つまり、イメージセンサ212において露光期間が終了してから次の露光期間が始まるまでの期間内に、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるようにする光路切り替え駆動信号を、光路切り替え部223に出力してもよい。この場合、光路切り替え部223は、イメージセンサ212に同期したタイミングで、画像処理制御部1131から出力された光路切り替え駆動信号に応じたWIDE光学レンズ222Wが光を出射する光路またはTELE光学レンズ222Tが光を出射する光路のいずれか一方の光路に遮光部材224を移動(摺動)させる。これにより、イメージセンサ212には、露光期間が終了してから次の露光期間が始まるまでの期間内に、撮像領域の全体に出射される被写体からの反射光が、WIDE光学レンズ222WまたはTELE光学レンズ222Tのいずれか一方の光路に出射された被写体からの反射光に切り替えられる。一方、画像処理制御部1131が光路切り替え駆動信号を出力するタイミングは、イメージセンサ212における被写体像の撮像タイミングに同期していない、つまり、非同期のタイミングであってもよい。この場合、内視鏡装置1において表示装置30に表示している被写体の画像(映像)が、光学レンズ222の光路を切り替える際に乱れることになる。しかし、例えば、システム制御部111が、光路切り替え駆動信号を光路切り替え部223に出力したことが画像処理制御部1131から通知された際に、表示装置30に表示させる被写体の画像(映像)を一定期間(例えば、1秒間)更新しないように表示制御部1113を制御することによって、光学レンズ222の光路を切り替える際の被写体の画像(映像)の乱れを、表示装置30に表示させないようにすることもできる。言い換えれば、光学レンズ222の光路を切り替える際に、表示装置30に表示させる被写体の画像(映像)を一旦固定させる、つまり、フリーズさせることによって、被写体の画像(映像)の乱れを表示装置30に表示させないようにすることもできる。しかも、この場合には、被写体の画像(映像)を一定期間更新しない(同じ画像(映像)を続けて表示させる)ことによって、表示装置30における被写体の画像(映像)の表示に違和感が生じるため、光学レンズ222の光路の切り替えが実行されたことを、内視鏡装置1の使用者に気づかせることができる。
第1の実施形態によれば、所定の中心軸に沿って長手方向に延びるように形成され、先端部を有する挿入部(挿入部20)と、挿入部20の内部に配置され、先端部に配置された第1の対物光学系(WIDE光学レンズ222W)から出射された光(被写体からの反射光)が形成する被写体の第1の被写体像(被写体像)、および先端部に配置されたWIDE光学レンズ222Wよりも光学倍率が高い第2の対物光学系(TELE光学レンズ222T)から出射された光(同じ被写体からの反射光)が形成する被写体の第2の被写体像(被写体像)が共通に結像される結像領域(撮像領域)に、第1の被写体像および第2の被写体像のうちのいずれか一方の被写体像のみが結像されるように光路を切り替える光路切り替え部(光路切り替え部223および遮光部材224)と、撮像領域に結像された第1の被写体像および第2の被写体像を撮像した画像(被写体像を表す画素信号(例えば、RAW信号))を生成する撮像素子(イメージセンサ212)と、入力された(使用者によって指示された)ズーム倍率に基づいて光路の切り替えを制御し、画像に対して画像処理を施す内視鏡処理部(内視鏡処理部110)と、を備える、内視鏡装置(内視鏡装置1)が構成される。
また、第1の実施形態によれば、内視鏡処理部110は、ズーム倍率がTELE光学レンズ222Tの光学倍率以上の倍率である場合に、光路を第2の被写体像が結像される光路(TELE光学レンズ222Tによる被写体の撮影を行う光路)に切り替えさせ、ズーム倍率がTELE光学レンズ222Tの光学倍率を下回る倍率である場合に、光路を第1の被写体像が結像される光路(WIDE光学レンズ222Wによる被写体の撮影を行う光路)に切り替えさせる、内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、内視鏡処理部110は、切り替えている光路に応じて、画像処理のパラメータを変更する、内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、内視鏡処理部110は、画像を拡大する電子ズームの画像処理(電子ズーム処理部1134による電子ズームの処理)を施す、内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、電子ズームの画像処理は、ズーム倍率に基づいた電子ズーム倍率で、画像を拡大する、内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、内視鏡処理部110は、切り替えている光路に応じて、電子ズーム倍率を変更する、内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、内視鏡処理部110は、光路を第2の被写体像が結像される光路に切り替えている場合、ズーム倍率をTELE光学レンズ222Tの光学倍率で除算した倍率を、電子ズーム倍率とし、光路を第1の被写体像が結像される光路に切り替えている場合、ズーム倍率を、電子ズーム倍率とする、内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、内視鏡処理部110は、第2の被写体像を撮像した画像の中心位置(光学中心)を、電子ズームの画像処理において拡大する画像の中心位置(ズーム中心)とする、内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、内視鏡処理部110は、光路を切り替えさせる際に、光路切り替え駆動信号を光路切り替え部(光路切り替え部223)に出力し、光路切り替え部223は、光路切り替え駆動信号における電流の極性に応じて発生した磁場によって、いずれか一方の光路を遮蔽する遮光部材(遮光部材224)を摺動させて、光路を切り替える、内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、挿入部20は、軟性のコード部を含むスコープ部(スコープ部21)と、スコープ部21の先端側に着脱可能な光学アダプタ(光学アダプタ22)と、によって構成され、WIDE光学レンズ222W、TELE光学レンズ222T、光路切り替え部(光路切り替え部223および遮光部材224)は、光学アダプタ22内に配置され、イメージセンサ212は、スコープ部21の先端側に配置される、内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、内視鏡処理部110は、切り替えている光路を通知する、内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、所定の中心軸に沿って長手方向に延びるように形成され、先端部を有する挿入部(挿入部20)と、挿入部20の内部に配置され、先端部に配置された第1の対物光学系(WIDE光学レンズ222W)から出射された光(被写体からの反射光)が形成する被写体の第1の被写体像(被写体像)、および先端部に配置されたWIDE光学レンズ222Wよりも光学倍率が高い第2の対物光学系(TELE光学レンズ222T)から出射された光(同じ被写体からの反射光)が形成する被写体の第2の被写体像(被写体像)が共通に結像される結像領域(撮像領域)に、第1の被写体像および第2の被写体像のうちのいずれか一方の被写体像のみが結像されるように光路を切り替える光路切り替え部(光路切り替え部223および遮光部材224)と、撮像領域に結像された第1の被写体像および第2の被写体像を撮像した画像(被写体像を表す画素信号(例えば、RAW信号))を生成する撮像素子(イメージセンサ212)と、入力された(使用者によって指示された)ズーム倍率に基づいて光路の切り替えを制御し、画像に対して画像処理を施す内視鏡処理部(内視鏡処理部110)と、を備える内視鏡装置(内視鏡装置1)の制御方法であって、内視鏡処理部110が、ズーム倍率がTELE光学レンズ222Tの光学倍率以上の倍率である場合に、光路を第2の被写体像が結像される光路(TELE光学レンズ222Tによる被写体の撮影を行う光路)に切り替えさせるステップと、ズーム倍率がTELE光学レンズ222Tの光学倍率を下回る倍率である場合に、光路を第1の被写体像が結像される光路(WIDE光学レンズ222Wによる被写体の撮影を行う光路)に切り替えさせるステップと、を含む内視鏡装置1の制御方法が構成される。
また、第1の実施形態によれば、所定の中心軸に沿って長手方向に延びるように形成され、先端部を有する挿入部(挿入部20)と、挿入部20の内部に配置され、先端部に配置された第1の対物光学系(WIDE光学レンズ222W)から出射された光(被写体からの反射光)が形成する被写体の第1の被写体像(被写体像)、および先端部に配置されたWIDE光学レンズ222Wよりも光学倍率が高い第2の対物光学系(TELE光学レンズ222T)から出射された光(同じ被写体からの反射光)が形成する被写体の第2の被写体像(被写体像)が共通に結像される結像領域(撮像領域)に、第1の被写体像および第2の被写体像のうちのいずれか一方の被写体像のみが結像されるように光路を切り替える光路切り替え部(光路切り替え部223および遮光部材224)と、撮像領域に結像された第1の被写体像および第2の被写体像を撮像した画像(被写体像を表す画素信号(例えば、RAW信号))を生成する撮像素子(イメージセンサ212)と、入力された(使用者によって指示された)ズーム倍率に基づいて光路の切り替えを制御し、画像に対して画像処理を施す内視鏡処理部(内視鏡処理部110)と、を備える内視鏡装置(内視鏡装置1)における内視鏡処理部110のコンピュータに、ズーム倍率がTELE光学レンズ222Tの光学倍率以上の倍率である場合に、光路を第2の被写体像が結像される光路(TELE光学レンズ222Tによる被写体の撮影を行う光路)に切り替えさせる処理と、ズーム倍率がTELE光学レンズ222Tの光学倍率を下回る倍率である場合に、光路を第1の被写体像が結像される光路(WIDE光学レンズ222Wによる被写体の撮影を行う光路)に切り替えさせる処理と、を実行させる内視鏡装置1の制御プログラムが構成される。
また、第1の実施形態によれば、所定の中心軸に沿って長手方向に延びるように形成され、先端部を有する挿入部(挿入部20)と、挿入部20の内部に配置され、先端部に配置された第1の対物光学系(WIDE光学レンズ222W)から出射された光(被写体からの反射光)が形成する被写体の第1の被写体像(被写体像)、および先端部に配置されたWIDE光学レンズ222Wよりも光学倍率が高い第2の対物光学系(TELE光学レンズ222T)から出射された光(同じ被写体からの反射光)が形成する被写体の第2の被写体像(被写体像)が共通に結像される結像領域(撮像領域)に、第1の被写体像および第2の被写体像のうちのいずれか一方の被写体像のみが結像されるように光路を切り替える光路切り替え部(光路切り替え部223および遮光部材224)と、撮像領域に結像された第1の被写体像および第2の被写体像を撮像した画像(被写体像を表す画素信号(例えば、RAW信号))を生成する撮像素子(イメージセンサ212)と、入力された(使用者によって指示された)ズーム倍率に基づいて光路の切り替えを制御し、画像に対して画像処理を施す内視鏡処理部(内視鏡処理部110)と、を備える内視鏡装置(内視鏡装置1)における内視鏡処理部110のコンピュータに、ズーム倍率がTELE光学レンズ222Tの光学倍率以上の倍率である場合に、光路を第2の被写体像が結像される光路(TELE光学レンズ222Tによる被写体の撮影を行う光路)に切り替えさせる処理と、ズーム倍率がTELE光学レンズ222Tの光学倍率を下回る倍率である場合に、光路を第1の被写体像が結像される光路(WIDE光学レンズ222Wによる被写体の撮影を行う光路)に切り替えさせる処理と、を実行させる内視鏡装置1の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が構成される。
上記に述べたように、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、挿入部20の先端部、つまり、スコープ部21の先端側に装着する光学アダプタ22に、光学倍率が異なる複数(第1の実施形態の内視鏡装置1では、広角用のWIDE光学レンズ222Wと望遠用のTELE光学レンズ222Tとの2つ)の光学レンズ222(対物レンズ)を備える。そして、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、本体部10に備えた内視鏡処理部110(より具体的には、電子ズーム処理部1134)が、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率に応じて、現在選択されているWIDE光学レンズ222Wの光路に出射された被検物内の被写体像を撮像した被写体の画像(映像)に電子ズームの処理を施して、表示装置30に表示させるための最終的な被写体の画像(映像)を生成する。このとき、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、本体部10に備えた内視鏡処理部110(より具体的には、画像処理制御部1131)が、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率を判定する。そして、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、画像処理制御部1131が、指示されたズーム倍率がTELE光学レンズ222Tの光学倍率以上の倍率であると判定した場合に、現在イメージセンサ212に光を出射する光路として選択しているWIDE光学レンズ222Wの光路を、TELE光学レンズ222Tの光路に自動的に切り替える。その後、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、本体部10に備えた内視鏡処理部110(より具体的には、電子ズーム処理部1134)が、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率に応じて、現在選択されているTELE光学レンズ222Tの光路に出射された被検物内の被写体像を撮像した被写体の画像(映像)に電子ズームの処理を施して、表示装置30に表示させるための最終的な被写体の画像(映像)を生成する。これにより、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、光学で拡大された被写体像を撮像した被写体の画像(映像)に低いズーム倍率の電子ズームの処理を行って、必要なズーム倍率に拡大することができる。このことにより、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、光学で拡大されていない被写体像を撮像した被写体の画像(映像)に高いズーム倍率の電子ズームの処理を行って必要なズーム倍率に拡大する場合よりも、拡大して表示させる、または拡大して計測に用いる被写体の画像(映像)の画質の劣化を低減させる(抑える)ことができる。
一方、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、現在選択されているTELE光学レンズ222Tの光路に出射された被検物内の被写体像を撮像した被写体の画像(映像)に電子ズームの処理を施して、表示装置30に表示させるための最終的な被写体の画像(映像)を生成している場合にも、本体部10に備えた内視鏡処理部110(より具体的には、画像処理制御部1131)が、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率を判定する。そして、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、画像処理制御部1131が、指示されたズーム倍率がTELE光学レンズ222Tの光学倍率以下の倍率であると判定した場合に、現在イメージセンサ212に光を出射する光路として選択しているTELE光学レンズ222Tの光路を、WIDE光学レンズ222Wの光路に自動的に切り替える。その後、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、本体部10に備えた内視鏡処理部110(より具体的には、電子ズーム処理部1134)が、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率に応じて、現在選択されているWIDE光学レンズ222Wの光路に出射された被検物内の被写体像を撮像した被写体の画像(映像)に電子ズームの処理を施して、表示装置30に表示させるための最終的な被写体の画像(映像)を生成する。これは、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、WIDE光学レンズ222Wの光路で被写体像を撮像した被写体の画像(映像)に対する電子ズーム倍率を、TELE光学レンズ222Tの光学倍率までに制限することによって、WIDE光学レンズ222Wの光路で撮像した被写体の画像(映像)においても、画質の劣化を低減させている(抑えている)ことに相当する。これらのことにより、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、内視鏡装置1を用いた被写体の検査精度を向上させることができる。
しかも、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率を判定して、現在イメージセンサ212に光を出射する光路として選択する光学レンズ222(対物レンズ)の光路を自動的に切り替える。これにより、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、内視鏡装置1の使用者が光学レンズ222(対物レンズ)の光路を切り替えるために内視鏡装置1(より具体的には、ユーザインターフェース部170)を操作する必要がなく、つまり、内視鏡装置1の操作性を向上させ、内視鏡装置1を用いた検査の繁雑さを軽減することができる。さらに、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、内視鏡装置1の使用者が電子ズーム倍率のみを高くしてしまったなどの要因による、内視鏡装置1を用いた被写体の検査精度の低下を抑えることができる。
また、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率を判定してイメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えた際に、光学レンズ222の光路を切り替えたことを、被写体の画像(映像)に重畳するオンスクリーンディスプレイ画像によって通知する。これにより、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、内視鏡装置1の使用者が、現在イメージセンサ212に光を出射する光路として選択されている光学レンズ222(対物レンズ)の光路を容易に確認することができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置について説明する。なお、第2の実施形態の内視鏡装置も、工業用の内視鏡装置である場合について説明する。図4は、本発明の第2の実施形態における内視鏡装置の構成の一例を示したブロック図である。図4に示した内視鏡装置2は、本体部12と、細長い挿入部20とを備えている。また、内視鏡装置2でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、本体部12に、表示装置30と記録媒体40とが接続されている。
本体部12は、内視鏡処理部110と、湾曲制御部120と、2つの湾曲モータ121aおよび湾曲モータ121bと、光源駆動回路130と、制御信号ドライブ回路140と、リミッティングアンプ回路150と、光路切り替え駆動回路160と、ユーザインターフェース部170と、ワイヤー接続機構101と、着脱コネクタ102とを含んで構成される。また、内視鏡処理部110は、システム制御部111と、パラメータ記憶部112と、画像処理部123とを含んで構成される。さらに、システム制御部111は、計測部1111と、画像記録処理部1112と、表示制御部1113とを含んで構成される。また、画像処理部123は、画像処理制御部1231と、画像処理パラメータ記憶部1132と、画像生成処理部1233と、電子ズーム処理部1234とを含んで構成される。さらに、画像生成処理部1233は、シェーディング補正部1233aと、デモザイキング部1233bと、明るさ補正部1233cと、画像補正部1233dとを含んで構成される。
挿入部20は、軟性のコード部を含むスコープ部21と、スコープ部21の先端側に着脱可能な光学アダプタ22とを含んで構成される。スコープ部21は、ワイヤー固定部211と、イメージセンサ212と、水晶発振器213と、レンズ214と、スコープ検知部215と、ワイヤー接続機構201と、着脱コネクタ202とを含んで構成される。また、光学アダプタ22は、光源221と、WIDE光学レンズ222Wと、TELE光学レンズ222Tと、光路切り替え部223と、遮光部材224とを含んで構成される。なお、スコープ部21において、ワイヤー固定部211、イメージセンサ212、水晶発振器213、およびレンズ214は、光学アダプタ22が装着される先端側に配置されている。以下の説明においても、イメージセンサ212などが配置されているスコープ部21の先端側と、このスコープ部21の先端側に装着された光学アダプタ22とを含めて、挿入部20の「先端部」という。
内視鏡装置2では、第1の実施形態の内視鏡装置1の本体部10が、本体部12に代わっている。そして、内視鏡装置2では、第1の実施形態の内視鏡装置1において本体部10内の内視鏡処理部110に備えた画像処理部113が、画像処理部123に代わっている。さらに、内視鏡装置2では、第1の実施形態の内視鏡装置1において画像処理部113に備えた画像生成処理部1133が画像生成処理部1233に、電子ズーム処理部1134が電子ズーム処理部1234にそれぞれ代わっている。そして、内視鏡装置2では、画像生成処理部1233に備えた構成要素を示している。
なお、内視鏡装置2に備えたその他の構成要素は、第1の実施形態の内視鏡装置1に備えた構成要素と同じ構成要素である。従って、以下の説明においては、内視鏡装置2の構成要素において、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様の構成要素には、同一の符号を付与し、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略する。そして、以下の説明においては、内視鏡装置2の構成要素において、第1の実施形態の内視鏡装置1と異なる構成要素についてのみを説明する。
内視鏡装置2でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、所定の中心軸に沿って長手方向に延びた形状の軟性の挿入部20の先端部を被検物内に挿入し、先端部に配置された撮像素子が撮影して得た被検物内の被写体像を表す画素信号を、挿入部20の基端側に接続された本体部12に伝送して、撮影した被写体の画像(映像)の表示装置30への表示や、被写体の画像のデータの記録媒体40への記録を行う。なお、内視鏡装置2でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、挿入部20を被検物内に挿入するときの先端部の動きや方向、さらには、先端部に配置された撮像素子による被写体の撮影動作などが、本体部12によって制御される。
ただし、内視鏡装置2では、スコープ部21の先端側に装着された光学アダプタ22に備えたWIDE光学レンズ222WおよびTELE光学レンズ222Tの配置や特性に応じて表れる、イメージセンサ212が撮像する被検物内の被写体像の画角や明るさの差を低減するための構成要素や処理が追加されている。より具体的には、光学アダプタ22においてWIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとは、例えば、横並びに配置されている。そして、WIDE光学レンズ222Wは広角用の光学レンズであり、TELE光学レンズ222Tは望遠用の光学レンズである。このため、光学アダプタ22では、それぞれの光学レンズ222が配置された位置と、光学アダプタ22に備えた光源221が配置された位置との関係に差によって、それぞれの光学レンズ222に入射する被写体からの反射光の入射角度が異なる。また、光学アダプタ22では、それぞれの光学レンズ222が被写体からの反射光を集光する範囲、いわゆる、画角の差によって、それぞれの光学レンズ222がイメージセンサ212側に出射する被写体からの反射光の光量、つまり、明るさが異なる。また、一般的な光学レンズにおける光学特性ではあるものの、光学アダプタ22では、それぞれの光学レンズ222がイメージセンサ212側に出射する被写体からの反射光の光量が光学レンズの中心部分と周辺部分とで異なる、いわゆる、シェーディング特性も異なる。このような場合、単純にイメージセンサ212の撮像領域の中心位置を基準として電子ズームの処理を行うと、イメージセンサ212に光を出射する光路を、WIDE光学レンズ222Wの光路からTELE光学レンズ222Tの光路に切り替えたとき、またはその逆に切り替えたときに、表示装置30に表示される被写体の画像(映像)の中心位置や明るさにずれが生じてしまうことになる。
このため、内視鏡装置2では、このようなイメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えたときに表れる被写体の画像(映像)の変化を少なくする、つまり、光学アダプタ22に備えたWIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとの特性の差を吸収するための構成要素を備えている。より具体的には、内視鏡装置2では、本体部12に備えた画像処理部123が、第1の実施形態の内視鏡装置1において本体部10に備えた画像処理部113と同様に、内視鏡装置2における被写体の撮影動作に関する制御、および撮影した被写体の画像(映像)の生成に関する処理を行うと共に、光学アダプタ22に備えたWIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとの特性の差を吸収するための処理を行う。
画像処理部123は、第1の実施形態の内視鏡装置1の画像処理部113と同様に、システム制御部111から設定されたイメージセンサ212の起動や撮影の動作に関する様々な設定に基づいて、イメージセンサ212を制御するための制御信号を、イメージセンサ212に出力する。また、画像処理部123は、第1の実施形態の内視鏡装置1の画像処理部113と同様に、出力した制御信号に従ってイメージセンサ212が撮影して出力した被写体像の画素信号(例えば、RAW信号)に基づいて、被検物内の被写体の画像(映像)を生成する。
画像処理制御部1231は、第1の実施形態の内視鏡装置1の画像処理部113に備えた画像処理制御部1131と同様に、システム制御部111からUARTによって設定された撮影の動作に関する設定に従って、イメージセンサ212による撮影の動作や、画像生成処理部1233による被写体の画像(映像)の生成の動作を制御する。また、画像処理制御部1231は、第1の実施形態の内視鏡装置1の画像処理部113に備えた画像処理制御部1131と同様に、システム制御部111からUARTによって設定された撮影の動作に関する設定に含まれるズーム倍率の情報に応じて、電子ズーム処理部1234による電子ズームの動作を制御する。
画像生成処理部1233は、第1の実施形態の内視鏡装置1の画像処理部113に備えた画像生成処理部1133と同様に、リミッティングアンプ回路150から出力された、先端部内のイメージセンサ212が出力した被写体像の画素信号(例えば、RAW信号)に対して予め定められた種々の画像処理を施し、撮像した被検物内の被写体の画像(映像)を生成するデジタル信号処理部である。画像生成処理部1233は、第1の実施形態の内視鏡装置1の画像処理部113に備えた画像生成処理部1133と同様に、生成した被写体の画像(映像)を、電子ズーム処理部1234に出力する。
シェーディング補正部1233aは、WIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとのそれぞれの光学特性によって異なるシェーディングを補正するためのシェーディング補正の処理を行うデジタル信号処理部である。シェーディング補正部1233aは、画像処理制御部1231からの制御に応じて、光学レンズ222のそれぞれが出射した被写体からの反射光を撮像した被写体の画像(映像)に表れるシェーディングが少なくなるように、それぞれの光学レンズ222に対応したシェーディング補正の処理を行う。より具体的には、シェーディング補正部1233aは、光学レンズ222の被写体の画像(映像)に表れるシェーディングが同じになるように光学レンズ222ごとに予め定めたゲイン値を、イメージセンサ212が出力した被写体像の画素信号(例えば、RAW信号)に含まれるそれぞれの画素の値(デジタル値)に乗じて、それぞれの画素のデジタル値が表す明るさ(輝度)のレベルを調整する。
画像処理制御部1231は、シェーディング補正部1233aがそれぞれの画素の値(デジタル値)に乗じる光学レンズ222ごとに予め定めたゲイン値を切り替える。より具体的には、画像処理制御部1231は、内視鏡装置2の使用者によって指示されたズーム倍率に応じてイメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222の光路に切り替えるときに、シェーディング補正部1233aがシェーディング補正の処理を行う際に用いるゲイン値を切り替える。これにより、シェーディング補正部1233aは、切り替えられたゲイン値を用いて明るさ(輝度)のレベルを調整した被写体像の画素信号を、イメージセンサ212が撮影して出力した被写体像の画素信号としてデモザイキング部1233bに出力する。なお、シェーディング補正部1233aが明るさ(輝度)のレベルを調整した被写体像の画素信号も、イメージセンサ212が撮影して出力した被写体像の画素信号と同じ形式の信号(例えば、RAW信号)である。
ここで、シェーディング補正部1233aがシェーディング補正の処理を行う際に用いるゲイン値の一例について説明する。なお、以下の説明においては、光学アダプタ22が、WIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとが横並び(水平方向)に配置されている構成であるものとして説明する。また、以下の説明においては、イメージセンサ212の撮像領域に配置されたそれぞれの画素の特性が均一である、つまり、同じ明るさの被写体を撮影した場合に、イメージセンサ212が出力する被写体像の画素信号(例えば、RAW信号)に含まれるそれぞれの画素の値(デジタル値)が同じデジタル値であるものとして説明する。なお、シェーディング補正部1233aは、上述したように、イメージセンサ212が出力した被写体像の画素信号(例えば、RAW信号)に対してシェーディング補正の処理を行う。しかし、以下の説明においては、説明を容易にするため、生成する被写体の画像(映像)に表れるシェーディングを補正するものとして説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2(より具体的には、シェーディング補正部1233a)におけるシェーディング補正の処理の一例を説明する図である。図5の(a)には、生成する被写体の画像(映像)において異なるシェーディングが表れる方向(X方向(水平方向)およびY方向(垂直方向))の一例を示している。
まず、図5の(b)を用いて、シェーディング補正部1233aがY方向(垂直方向)のシェーディング補正の処理を行う際に用いるゲイン値について説明する。図5の(b)には、図5の(a)においてY方向として示した被写体の画像(映像)の中央の1列に対応するそれぞれの画素の位置(Y座標)と、それぞれの画素に対応する画像(映像)の輝度との関係の一例を示している。内視鏡装置2においてWIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとのそれぞれの光路で撮像した場合、生成する被写体の画像(映像)には、図5の(b)に示したように、中央部分が最も明るく(輝度が高く)、周辺(図5の(b)においては左右)になる従って暗くなる(輝度が低くなる)垂直方向のシェーディングが表れる。この垂直方向のシェーディングは、光学アダプタ22におけるそれぞれの光学レンズ222の配置と、それぞれの光学レンズ222における垂直方向のシェーディング特性によるものである。より具体的には、図5の(b)に示したY方向(垂直方向)のシェーディングの一例では、TELE光学レンズ222Tの光路で撮影した被写体の画像(映像)と、WIDE光学レンズ222Wの光路で撮影した被写体の画像(映像)との両方とも、中央部分が最も明るく(輝度が高く)なっている。これは、光学アダプタ22においてそれぞれの光学レンズ222は横並び(水平方向)に配置されているため、それぞれの光学レンズ222は垂直方向に同一の位置に配置されているのと同様であり、それぞれの光学レンズ222に入射する被写体からの反射光の垂直方向の入射角度は同じ角度となるからである。また、図5の(b)に示したY方向(垂直方向)のシェーディングの一例では、TELE光学レンズ222Tの光路で撮影した被写体の画像(映像)よりも、WIDE光学レンズ222Wの光路で撮影した被写体の画像(映像)の方が、周辺になる従ってより顕著に暗く(輝度が低く)なっている。これは、WIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとのそれぞれにおける垂直方向のシェーディング特性の差によるものである。
内視鏡装置2では、図5の(b)に示したようなWIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとのそれぞれの光路で撮影した被写体の画像(映像)に表れるシェーディングを補正するために、シェーディング補正部1233aがY方向(垂直方向)のシェーディング補正の処理を行う際に用いるゲイン値を、それぞれの光学レンズ222ごとに予め定める。より具体的には、内視鏡装置2では、それぞれの光学レンズ222の光学特性に基づいて、シェーディング補正を行った後の被写体の画像(映像)に表れるシェーディングが、図5の(b)に示した補正目標値のシェーディングとなるように、シェーディング補正部1233aがそれぞれの画素のデジタル値に乗じる値を、Y方向(垂直方向)のシェーディング補正の処理に用いるゲイン値として予め定める。つまり、内視鏡装置2では、WIDE光学レンズ222Wの光路で撮像した被写体の画像(映像)に含まれるそれぞれの画素の輝度と、TELE光学レンズ222Tの光路で撮像した被写体の画像(映像)に含まれるそれぞれの画素の輝度とを、図5の(b)に示した補正目標値の輝度にするために乗じる値を、Y方向(垂直方向)のシェーディング補正の処理に用いるゲイン値として予め定める。ここで、Y方向(垂直方向)のシェーディング補正の処理を行うために予め定めるゲイン値は、同じ画素のデジタル値に乗じるゲイン値であっても、WIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとでは、異なる値である。このため、画像処理制御部1231は、イメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222の光路に切り替えるのと同時に、シェーディング補正部1233aがシェーディング補正の処理を行う際に用いるゲイン値を、切り替えた光学レンズ222の光路に対応するゲイン値に切り替える。これにより、シェーディング補正部1233aは、切り替えられたゲイン値を用いて、それぞれの光学レンズ222に対応したゲイン値をそれぞれの画素のデジタル値に乗じるシェーディング補正の処理を行う。なお、図5の(b)に示した補正目標値のシェーディングは、予めわかっているWIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとのそれぞれの垂直方向のシェーディング特性に基づいて、常に補正をすることができる共通の明るさ(輝度)やシェーディング特性を、シェーディング補正部1233aが補正を行うことができる範囲内で定めたものである。
続いて、図5の(c)を用いて、シェーディング補正部1233aがX方向(水平方向)のシェーディング補正の処理を行う際に用いるゲイン値について説明する。図5の(c)には、図5の(a)においてX方向として示した被写体の画像(映像)の中央の1行に対応するそれぞれの画素の位置(X座標)と、それぞれの画素に対応する画像(映像)の輝度との関係の一例を示している。内視鏡装置2においてWIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとのそれぞれの光路で撮像した場合、生成する被写体の画像(映像)には、図5の(c)に示したように、中央部分が最も明るく(輝度が高く)、周辺(図5の(c)においては左右)になる従って暗くなる(輝度が低くなる)水平方向のシェーディングが表れる。この水平方向のシェーディングは、光学アダプタ22におけるそれぞれの光学レンズ222の配置と、それぞれの光学レンズ222における水平方向のシェーディング特性によるものである。より具体的には、図5の(c)に示したX方向(水平方向)のシェーディングの一例では、TELE光学レンズ222Tの光路で撮影した被写体の画像(映像)と、WIDE光学レンズ222Wの光路で撮影した被写体の画像(映像)とにおいて、最も明るくなる(輝度が高くなる)X座標の位置が異なる。これは、光学アダプタ22においてそれぞれの光学レンズ222は横並び(水平方向)に配置されているため、それぞれの光学レンズ222は、上述したように垂直方向に同一の位置に配置されているものの、水平方向には異なる位置に配置されていることにより、それぞれの光学レンズ222に入射する被写体からの反射光の水平方向の入射角度が異なる角度となるからである。また、図5の(c)に示したX方向(水平方向)のシェーディングの一例でも、図5の(b)に示したY方向(垂直方向)のシェーディングの一例と同様に、TELE光学レンズ222Tの光路で撮影した被写体の画像(映像)よりも、WIDE光学レンズ222Wの光路で撮影した被写体の画像(映像)の方が、周辺になる従ってより顕著に暗く(輝度が低く)なっている。これは、WIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとのそれぞれにおける水平方向のシェーディング特性の差によるものである。
内視鏡装置2では、図5の(c)に示したようなWIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとのそれぞれの光路で撮影した被写体の画像(映像)に表れるシェーディングを補正するために、シェーディング補正部1233aがX方向(水平方向)のシェーディング補正の処理を行う際に用いるゲイン値を、それぞれの光学レンズ222ごとに予め定める。より具体的には、内視鏡装置2では、それぞれの光学レンズ222の光学特性に基づいて、シェーディング補正を行った後の被写体の画像(映像)に表れるシェーディングが、図5の(c)に示した補正目標値のシェーディングとなるように、シェーディング補正部1233aがそれぞれの画素のデジタル値に乗じる値を、X方向(水平方向)のシェーディング補正の処理に用いるゲイン値として予め定める。つまり、内視鏡装置2では、WIDE光学レンズ222Wの光路で撮像した被写体の画像(映像)に含まれるそれぞれの画素の輝度と、TELE光学レンズ222Tの光路で撮像した被写体の画像(映像)に含まれるそれぞれの画素の輝度とを、図5の(c)に示した補正目標値の輝度にするために乗じる値を、X方向(水平方向)のシェーディング補正の処理に用いるゲイン値として予め定める。ここで、X方向(水平方向)のシェーディング補正の処理を行うために予め定めるゲイン値も、Y方向(垂直方向)のシェーディング補正の処理を行うために予め定めるゲイン値と同様に、同じ画素のデジタル値に乗じるゲイン値であっても、WIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとでは、異なる値である。このため、画像処理制御部1231は、Y方向(垂直方向)のシェーディング補正の処理に用いるゲイン値を切り替えるのと同時、つまり、イメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222の光路に切り替えるのと同時に、シェーディング補正部1233aがシェーディング補正の処理を行う際に用いるゲイン値を、切り替えた光学レンズ222の光路に対応するゲイン値に切り替える。これにより、シェーディング補正部1233aは、Y方向(垂直方向)のシェーディング補正の処理と同様に、切り替えられたゲイン値を用いて、それぞれの光学レンズ222に対応したゲイン値をそれぞれの画素のデジタル値に乗じるシェーディング補正の処理を行う。なお、図5の(c)に示した補正目標値のシェーディングも、図5の(b)に示した補正目標値のシェーディングと同様に、予めわかっているWIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとのそれぞれの垂直方向のシェーディング特性に基づいて、常に補正をすることができる共通の明るさ(輝度)やシェーディング特性を、シェーディング補正部1233aが補正を行うことができる範囲内で定めたものである。
なお、内視鏡装置2では、シェーディング補正部1233aによって、WIDE光学レンズ222Wの光路で撮像した被写体の画像(映像)に表れるシェーディングが、TELE光学レンズ222Tの光路で撮像した被写体の画像(映像)に表れるシェーディングとなるようなシェーディング補正の処理は行っていない。つまり、内視鏡装置2では、シェーディング補正部1233aによって、WIDE光学レンズ222Wのシェーディング特性をTELE光学レンズ222Tのシェーディング特性に合わせるようなシェーディング補正の処理を行っていない。これは、内視鏡装置2が被写体を撮影する際の明るさなどの条件は様々であるため、シェーディング補正部1233aがシェーディング補正の処理を行ったとしても、必ずしもWIDE光学レンズ222Wのシェーディング特性がTELE光学レンズ222Tのシェーディング特性と同じになるように補正することができるとは限らないためである。そして、内視鏡装置2では、一方の光学レンズ222のシェーディング特性を他方の光学レンズ222のシェーディング特性に合わせるようなシェーディング補正の処理を行うよりも、両方の光学レンズ222のシェーディング特性を同じ目標の特性(共通の特性)に補正する方が、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えたときに、表示装置30に表示される被写体の画像(映像)に表れるシェーディングのずれが少ないと考えられるからである。
デモザイキング部1233bは、シェーディング補正部1233aから出力された、明るさ(輝度)のレベルを調整した被写体像の画素信号(例えば、RAW信号)に基づいて、第1の実施形態の内視鏡装置1の画像処理部113に備えた画像生成処理部1133と同様に、例えば、YUV422などの一般的な画像フォーマットの画像信号(画像データ)に変換するデモザイキング処理を行うデジタル信号処理部である。なお、上述したように、シェーディング補正部1233aから出力された、明るさ(輝度)のレベルを調整した被写体像の画素信号は、シェーディング補正の処理によって、画素信号に含まれるそれぞれの画素の値(デジタル値)が表す明るさ(輝度)のレベルが異なっている以外は、イメージセンサ212が出力した被写体像の画素信号と同じ形式の信号(例えば、RAW信号)である。従って、例えば、イメージセンサ212の撮像領域に配置されたそれぞれの画素に貼付されたカラーフィルタの色配列がベイヤー配列である場合、デモザイキング部1233bは、第1の実施形態の内視鏡装置1の画像処理部113に備えた画像生成処理部1133と同様に、シェーディング補正部1233aから出力された画素信号に含まれるそれぞれの画素の情報に基づいて、被写体の画像(映像)を表す輝度信号や色信号に変換するデモザイキング処理(三板化処理)を行う。そして、デモザイキング部1233bは、デモザイキング処理をした画像信号(画像データ)を、明るさ補正部1233cに出力する。なお、デモザイキング部1233bにおけるデモザイキング処理(三板化処理)の処理方法は、既存のデモザイキング処理(三板化処理)の処理方法と同様であるため、詳細な説明は省略する。
明るさ補正部1233cは、WIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとのそれぞれの光学特性によって異なる被写体の画像(映像)の全体の明るさを補正する処理を行うデジタル信号処理部である。明るさ補正部1233cは、画像処理制御部1231からの制御に応じて、主として観察や計測を行う被写体が撮像されている被写体の画像(映像)の領域が、光学レンズ222やズーム倍率の違いによらずに、観察や計測に最適な一定の明るさとなるように明るさ補正の処理を行う。つまり、明るさ補正部1233cは、イメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222の光路が切り替えられた場合、さらには、ズーム倍率を変更した場合でも、それぞれの光学レンズ222の光路で撮像した被写体の画像(映像)における少なくとも中央部分の領域の明るさが最適な明るさとなるように明るさ補正の処理を行う。より具体的には、明るさ補正部1233cは、被写体の画像(映像)の明るさが最適な明るさになるように光学レンズ222ごとおよびズーム倍率ごとに予め定めたゲイン値を、デモザイキング部1233bが出力した被写体の画像信号(画像データ)に含まれるそれぞれの画素の値(デジタル値)に乗じて、それぞれの画素のデジタル値が表す明るさ(輝度)のレベルを調整する。
画像処理制御部1231は、明るさ補正部1233cがそれぞれの画素の値(デジタル値)に乗じる光学レンズ222ごとおよびズーム倍率ごとに予め定めたゲイン値を切り替える。より具体的には、画像処理制御部1231は、内視鏡装置2の使用者によって指示されたズーム倍率に応じてイメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222の光路に切り替えるときや電子ズーム倍率を変更するときに、明るさ補正部1233cが明るさ補正の処理を行う際に用いるゲイン値を切り替える。これにより、明るさ補正部1233cは、切り替えられたゲイン値を用いて被写体の画像(映像)の全体に対して明るさ(輝度)のレベルを調整した被写体の画像信号を、デモザイキング部1233bがデモザイキング処理(三板化処理)して出力した被写体の画像信号として画像補正部1233dに出力する。なお、明るさ補正部1233cが明るさ(輝度)のレベルを調整した被写体の画像信号も、デモザイキング部1233bがデモザイキング処理(三板化処理)をして出力した被写体の画像信号と同じ形式の画像データである。
ここで、明るさ補正部1233cが明るさ補正の処理を行う際に用いるゲイン値の一例について説明する。図6は、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2(より具体的には、明るさ補正部1233c)における明るさ補正の処理の一例を説明する図である。図6の(a)には、WIDE光学レンズ222Wの光路で撮像した被写体の画像信号(画像データ)に対して明るさ補正の処理を行う場合の一例を示し、図6の(b)には、TELE光学レンズ222Tの光路で撮像した被写体の画像信号(画像データ)に対して明るさ補正の処理を行う場合の一例を示している。
内視鏡装置2では、それぞれの光学レンズ222ごとおよびズーム倍率ごとに、明るさ(輝度)のレベルを調整する際の重み付けが異なる領域を設定する。より具体的には、それぞれ撮像した被写体の画像(映像)における中央部分を、高い重み付けで明るさ(輝度)のレベルを調整する領域に設定し、その他の周辺部分を、低い重み付けで明るさ(輝度)のレベルを調整する領域に設定する。図6の(a)には、WIDE光学レンズ222Wの光路で撮像した、あるズーム倍率の被写体の画像(映像)の中央部分を、高い重み付けのゲイン値を乗じる高重み付け領域AWHとして設定し、その他の周辺部分を、低い重み付けのゲイン値を乗じる低重み付け領域AWLとして設定している一例を示している。また、図6の(b)には、TELE光学レンズ222Tの光路で撮像した、あるズーム倍率の被写体の画像(映像)の中央部分を、高い重み付けのゲイン値を乗じる高重み付け領域AWHとして設定し、その他の周辺部分を、低い重み付けのゲイン値を乗じる低重み付け領域AWLとして設定している一例を示している。図6の(a)および図6の(b)に示したように、TELE光学レンズ222Tの光路で撮像した被写体の画像(映像)に設定した高重み付け領域AWHは、WIDE光学レンズ222Wの光路で撮像した被写体の画像(映像)に設定した高重み付け領域AWHよりも広い領域となっている。これは、WIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとでは画角が異なり、TELE光学レンズ222Tの光路で撮像した被写体の画像(映像)の方が、主として計測を行う対象の被写体が撮像されている領域が広くなるからである。
そして、内視鏡装置2では、明るさ補正部1233cが明るさ補正の処理を行う際に用いるそれぞれの領域に対応するゲイン値を、それぞれの光学レンズ222ごとおよびズーム倍率ごとに予め定める。つまり、内視鏡装置2では、被写体の画像(映像)に設定した高重み付け領域AWH内に含まれるそれぞれの画素の画像信号(画像データ)に乗じる高い重み付けのゲイン値と、被写体の画像(映像)に設定した低重み付け領域AWL内に含まれるそれぞれの画素の画像信号(画像データ)に乗じる低い重み付けのゲイン値とを、それぞれの光学レンズ222における光学特性の比率(明るさの比率など)やズーム倍率に基づいて予め定める。ここで、明るさ補正の処理を行うために予め定めるゲイン値は、それぞれの光学レンズ222ごとおよびズーム倍率ごとに異なる値である。このため、画像処理制御部1231は、イメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222の光路に切り替えるのと同時に、明るさ補正部1233cが明るさ補正の処理を行う際に用いるそれぞれのゲイン値を、切り替えた光学レンズ222の光路に対応するそれぞれのゲイン値に切り替える。また、画像処理制御部1231は、それぞれの光学レンズ222の光路で撮像した被写体の画像(映像)における電子ズーム倍率を変更するのと同時に、明るさ補正部1233cが明るさ補正の処理を行う際に用いるそれぞれのゲイン値を、それぞれの光学レンズ222における電子ズーム倍率に対応するそれぞれのゲイン値に切り替える。これにより、明るさ補正部1233cは、切り替えられたそれぞれの領域に対応する重み付けのゲイン値を、被写体の画像信号(画像データ)においてそれぞれの領域に含まれるそれぞれの画素の画像信号(画像データ)に乗じる明るさ補正の処理を行い、被写体の画像(映像)の全体に対する明るさ補正の処理を行う。そして、明るさ補正部1233cは、被写体の画像(映像)における少なくとも中央部分の領域の明るさが、観察や計測に最適な一定の明るさとなるように明るさ補正の処理が行われた被写体の画像信号を、画像補正部1233dに出力する。
なお、撮像した被写体の画像(映像)に設定する高重み付け領域AWHは、例えば、一般的な撮像装置に備えている自動露出(Auto Exposure:AE)機能における測光エリアに相当する。しかしながら、一般的な自動露出機能によって被写体の画像(映像)の全体に対する明るさ補正を行ったのでは、複数フレーム分の被写体の撮像を行って段階的に明るさが収束していくことになるため、被写体の画像(映像)の明るさが観察や計測に最適な一定の明るさとなるまでには、ある程度の時間を要してしまう。特に、イメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222の光路を切り替えたときには、対物レンズを異なる光学特性をもつ他の対物レンズに変更していることから、被写体の画像(映像)の明るさが一定の明るさとなるまでに多くの時間を要してしまう。つまり、表示装置30に表示されている被写体の画像(映像)において明るさの変動が多くなってしまう。すると、表示装置30に表示されている被写体の画像(映像)を確認している内視鏡装置2の使用者に違和感を与えてしまうことになる。このため、内視鏡装置2では、上述したように、予めわかっている光学レンズ222の光学特性とズーム倍率との組み合わせに基づいて一意に定めることができる、それぞれの領域に対応するゲイン値を、光学レンズ222を切り替えるときや電子ズーム倍率を変更するときに同時に切り替えることによって、被写体の画像(映像)の明るさが一定の明るさとなるまでに要する時間を短縮している。これにより、内視鏡装置2では、表示装置30に表示されている被写体の画像(映像)における明るさの変動を少なくしている。
なお、上述した説明では、被写体の画像(映像)における明るさ補正の処理方法として、それぞれの光学レンズ222ごとおよびズーム倍率ごとに設定したそれぞれの領域に含まれるそれぞれの画素の画像信号(画像データ)に、予め定めたゲイン値を乗じることによって、被写体の画像(映像)の明るさを補正する方法を説明した。しかしながら、上述したように、撮像した被写体の画像(映像)に設定する高重み付け領域AWHは、例えば、一般的な撮像装置に備えている自動露出機能における測光エリアに相当している。このため、被写体の画像(映像)の明るさを補正する方法は、設定したそれぞれの領域に含まれるそれぞれの画素の画像信号(画像データ)に予め定めたゲイン値を乗じる方法に限定されるものではない。例えば、画像処理制御部1231が、測光エリアに相当する領域の自動露出の評価値(AE評価値)が一定になるように光学レンズ222ごとおよびズーム倍率ごとに予め定めた、イメージセンサ212が被写体像を撮像する際の露光時間、いわゆる、シャッター速度を変更するための制御信号のイメージセンサ212への出力を、上述したゲイン値の切り替えと併せて行う方法であってもよい。
画像補正部1233dは、明るさ補正部1233cから出力された、全体の明るさ(輝度)のレベルを調整した被写体の画像信号(画像データ)に対して、第1の実施形態の内視鏡装置1の画像処理部113に備えた画像生成処理部1133と同様に、ガンマ補正処理や、輪郭補正処理、色補正処理などの信号処理を行うデジタル信号処理部である。ガンマ補正処理は、被写体の画像信号(画像データ)から生成する被写体の画像(映像)を表示装置30に表示させる際に、出力する画像(映像)の色味と、実際に表示装置30に表示される画像(映像)の色味との非線形性を補正する処理である。輪郭補正処理は、被写体の画像信号(画像データ)から生成する被写体の画像(映像)に含まれる被写体の輪郭や、画像(映像)内で輝度や色の変化が大きいエッジの位置を強調するエッジ強調処理である。色補正処理は、被写体の画像信号(画像データ)から生成する被写体の画像(映像)に含まれる被写体の色のずれ(倍率色収差)などの光学系(特に、光学レンズ222)による歪を補正する処理である。なお、上述したように、明るさ補正部1233cから出力された、全体の明るさ(輝度)のレベルを調整した被写体の画像信号は、明るさ補正の処理によって画像信号に含まれるそれぞれの画素の値(デジタル値)が表す明るさ(輝度)のレベルが異なっている以外は、デモザイキング部1233bがデモザイキング処理(三板化処理)をして出力した被写体の画像信号と同じ形式の信号(画像データ)である。従って、画像補正部1233dは、第1の実施形態の内視鏡装置1の画像処理部113に備えた画像生成処理部1133と同様に、ガンマ補正処理や、輪郭補正処理、色補正処理などの信号処理を行う。そして、画像補正部1233dは、信号処理によって明るさ補正部1233cが出力した被写体の画像信号から生成した被写体の画像(映像)を、電子ズーム処理部1234に出力する。また、画像補正部1233dにおけるガンマ補正処理、輪郭補正処理、および色補正処理のそれぞれの処理方法は、既存のガンマ補正処理、輪郭補正処理、および色補正処理のそれぞれの処理方法と同様であるため、詳細な説明は省略する。
電子ズーム処理部1234は、第1の実施形態の内視鏡装置1の画像処理部113に備えた電子ズーム処理部1134と同様に、画像生成処理部1233から出力された被写体の画像(映像)に対して電子ズームの処理を施して拡大した被写体の画像(映像)を生成するデジタル信号処理部である。電子ズーム処理部1234は、画像処理制御部1231から出力されたズーム倍率に拡大した最終的な被写体の画像(映像)を生成する。電子ズーム処理部1234は、電子ズームの処理を施して生成した最終的な被写体の画像(映像)をシステム制御部111に出力する。なお、電子ズーム処理部1234における電子ズームの処理方法は、既存の電子ズームの処理方法と同様であるため、詳細な説明は省略する。
ただし、電子ズーム処理部1234は、画像生成処理部1233から出力された被写体の画像(映像)を拡大する際に、被写体の画像(映像)の中心位置にずれが生じないように、予め定めた被写体の画像(映像)の中心位置を基準として、電子ズームの処理を行う。より具体的には、電子ズーム処理部1234は、TELE光学レンズ222Tの光路で撮像した被写体の画像(映像)における中心位置を、電子ズームの処理を行う際の基準とする中心の位置(以下、「ズーム中心」という)として、電子ズームの処理を行う。例えば、内視鏡装置2では、図5の(c)に示したX方向(水平方向)のシェーディング補正におけるそれぞれの画素の位置(X座標)と、それぞれの画素に対応する画像(映像)の輝度との関係の一例のように、TELE光学レンズ222Tの光路で撮影した被写体の画像(映像)と、WIDE光学レンズ222Wの光路で撮影した被写体の画像(映像)とにおいて最も明るくなる(輝度が高くなる)X座標の位置が異なっている。ここで、被写体の画像(映像)において最も明るくなる(輝度が高くなる)X座標の位置は、それぞれの光学レンズ222の光路で撮影した被写体の画像(映像)における中心位置のX座標の位置を表している。つまり、それぞれの光学レンズ222の光路における光学的な中心の位置(以下、「光学中心」という)を表している。この場合、電子ズーム処理部1234が、それぞれの光学レンズ222の光路で撮影した被写体の画像(映像)における中心位置を基準(ズーム中心)として電子ズームの処理を行うと、画像処理制御部1231がイメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222の光路の切り替えを行った場合に、中心位置(光学中心)が異なることから、表示装置30に表示される被写体の画像(映像)の中心位置にずれが生じてしまう。このため、電子ズーム処理部1234では、TELE光学レンズ222Tの光学特性に基づいて定めることができる、撮影した被写体の画像(映像)の中心位置(光学中心)を基準(ズーム中心)として、それぞれの光学レンズ222の光路で撮影した被写体の画像(映像)に対する電子ズームの処理を行う。つまり、電子ズーム処理部1234は、WIDE光学レンズ222Wの光路で撮影した被写体の画像(映像)に対して電子ズームの処理を行う際に基準とする中心位置(ズーム中心)を、TELE光学レンズ222Tの光路で撮影した被写体の画像(映像)の中心位置(光学中心)に対応する位置とする。これにより、内視鏡装置2では、WIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとのいずれの光学レンズ222の光路で撮影した被写体の画像(映像)においても、同じ位置を基準として電子ズームの処理を行うことができる。このことにより、内視鏡装置2では、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、同じズーム倍率に拡大する場合でも、撮影した最終的な被写体の画像(映像)の画質の劣化を低減させることができると共に、イメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222の光路の切り替えを行った場合でも、表示装置30に表示される被写体の画像(映像)の中心位置(以下、「表示中心」という)にずれが生じてしまうことがなくなる。
このような構成によって、内視鏡装置2でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、電子ズーム処理部1134に電子ズームの処理を施させる際に、画像処理制御部1231が、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率に応じて、光学アダプタ22に備えた光学レンズ222を自動的に切り替える。これにより、内視鏡装置2でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、指示されたズーム倍率に従って電子ズーム処理部1134が電子ズームの処理を施して生成する、拡大した最終的な被写体の画像(映像)の画質の劣化を低減させた(抑えた)状態で、表示装置30に表示させることができる。
さらに、内視鏡装置2では、画像生成処理部1233に備えたそれぞれの構成要素が、光学アダプタ22に備えたWIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとの特性の差を吸収するための処理を行う。また、内視鏡装置2では、内視鏡処理部110に備えた電子ズーム処理部1234が、表示装置30に表示させる最終的な被写体の画像(映像)を生成する際に、TELE光学レンズ222Tの光路で撮像した被写体の画像(映像)の中心位置(光学中心)を基準(ズーム中心)の位置として、電子ズームの処理を行う。これにより、内視鏡装置2では、イメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222の光路の切り替えを行った場合でも、表示装置30に表示される被写体の画像(映像)の中心位置(表示中心)がずれることなく、スムーズなズーム(拡大または縮小)がされる。
なお、第2の実施形態の内視鏡装置2においてズームを行う際の制御方法は、図2に示した第1の実施形態の内視鏡装置1におけるズームを行う際の制御方法と同様である。ただし、内視鏡装置2では、第1の実施形態の内視鏡装置1に加えて、光学アダプタ22に備えたWIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとの特性の差を吸収するための構成要素を備えている。このため、内視鏡装置2では、上述したように、画像処理制御部1231が、イメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222の光路に切り替えるのと同時に、または電子ズーム倍率を変更するのと同時に、WIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとの特性の差を吸収するための設定を切り替える処理を行う。
より具体的には、画像処理制御部1231は、イメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222の光路に切り替えるのと同時に、シェーディング補正部1233aがシェーディング補正の処理を行う際に用いるゲイン値を、切り替えた光学レンズ222の光路に対応するゲイン値に切り替える。この画像処理制御部1231におけるシェーディング補正部1233aがシェーディング補正の処理を行う際に用いるゲイン値を切り替える処理は、図2に示した第1の実施形態の内視鏡装置1におけるズームを行う際の制御方法に含まれるステップS202およびステップS301において行う処理である。
また、画像処理制御部1231は、イメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222の光路に切り替えるのと同時に、明るさ補正部1233cが明るさ補正の処理を行う際に用いるそれぞれのゲイン値を、切り替えた光学レンズ222の光路に対応するそれぞれのゲイン値に切り替える。この画像処理制御部1231における明るさ補正部1233cが明るさ補正の処理を行う際に用いるそれぞれのゲイン値を切り替える処理は、図2に示した第1の実施形態の内視鏡装置1におけるズームを行う際の制御方法に含まれるステップS202およびステップS301において行う処理である。
また、画像処理制御部1231は、それぞれの光学レンズ222の光路で撮像した被写体の画像(映像)における電子ズーム倍率を変更するのと同時に、明るさ補正部1233cが明るさ補正の処理を行う際に用いるそれぞれのゲイン値を、それぞれの光学レンズ222における電子ズーム倍率に対応するそれぞれのゲイン値に切り替える。この画像処理制御部1231における明るさ補正部1233cが明るさ補正の処理を行う際に用いるそれぞれのゲイン値を切り替える処理は、図2に示した第1の実施形態の内視鏡装置1におけるズームを行う際の制御方法に含まれるステップS204およびステップS304において行う処理である。
さらに、電子ズーム処理部1234は、電子ズームの処理において、電子ズームの基準(ズーム中心)の位置をTELE光学レンズ222Tの光路で撮像した被写体の画像(映像)の中心位置(光学中心)とする。このときの電子ズーム処理部1234における電子ズームの処理は、基準の位置が異なるのみで、第1の実施形態の内視鏡装置1の画像処理部113に備えた電子ズーム処理部1134における電子ズームの処理(ステップS204およびステップS304)と同様である。
このように、内視鏡装置2では、光学アダプタ22に備えたWIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとの特性の差を吸収するためのそれぞれの構成要素の追加に伴って、画像処理制御部1231が対応するゲイン値を切り替える処理が追加される。しかしながら、内視鏡装置2において追加される画像処理制御部1231の切り替えの処理のそれぞれは、図2に示した第1の実施形態の内視鏡装置1におけるズームを行う際の制御方法に含まれる対応するいずれかの処理内で同時に行う処理であり、処理のパラメータ(ゲイン値)を切り替えるのみである。このため、第2の実施形態の内視鏡装置2においてズームを行う際の制御方法は、図2に示した第1の実施形態の内視鏡装置1におけるズームを行う際の制御方法と同様に考えることができる。従って、内視鏡装置2においてズームを行う際の制御方法に関する詳細な説明は省略する。
第2の実施形態によれば、内視鏡処理部(内視鏡処理部110)は、画像に表れるシェーディングを補正するシェーディング補正の画像処理(シェーディング補正部1233aによるシェーディング補正の処理)施す、内視鏡装置(内視鏡装置2)が構成される。
また、第2の実施形態によれば、シェーディング補正の画像処理は、第1の被写体像を撮像した画像に表れるシェーディングと、第2の被写体像を撮像した画像に表れるシェーディングとのそれぞれを、共通の補正目標値となるように補正する、内視鏡装置2が構成される。
また、第2の実施形態によれば、内視鏡処理部110は、切り替えている光路に応じて、補正目標値にするためのゲイン値(それぞれの画素のデジタル値に乗じる値)を切り替える、内視鏡装置2が構成される。
また、第2の実施形態によれば、内視鏡処理部110は、画像の全体の明るさを補正する明るさ補正の画像処理(明るさ補正部1233cによる明るさ補正の処理)を施す、内視鏡装置2が構成される。
また、第2の実施形態によれば、明るさ補正の画像処理は、ズーム倍率に応じて、画像の中央部分の第1の領域(高重み付け領域AWH)と、画像の周辺部分の第2の領域(低重み付け領域AWL)とを設定し、高重み付け領域AWHを高い重み付けで明るさを補正し、低重み付け領域AWLを低い重み付けで明るさを補正する、内視鏡装置2が構成される。
また、第2の実施形態によれば、内視鏡処理部110は、切り替えている光路およびズーム倍率に応じて、高重み付け領域AWHと低重み付け領域AWLとに対応するそれぞれの重み付けのゲイン値(それぞれの領域に含まれるそれぞれの画素のデジタル値に乗じる値)を切り替える、内視鏡装置2が構成される。
上記に述べたように、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、挿入部20の先端部、つまり、スコープ部21の先端側に装着する光学アダプタ22に、光学倍率が異なる複数(第2の実施形態の内視鏡装置2では、広角用のWIDE光学レンズ222Wと望遠用のTELE光学レンズ222Tとの2つ)の光学レンズ222(対物レンズ)を備える。そして、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、本体部12に備えた内視鏡処理部110(より具体的には、電子ズーム処理部1234)が、内視鏡装置2の使用者から指示されたズーム倍率に応じて、被検物内の被写体像を撮像した被写体の画像(映像)に電子ズームの処理を施して、表示装置30に表示させるための最終的な被写体の画像(映像)を生成する。このとき、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、本体部12に備えた内視鏡処理部110(より具体的には、画像処理制御部1231)が、内視鏡装置2の使用者から指示されたズーム倍率を判定して、現在イメージセンサ212に光を出射する光路として選択している一方の光学レンズ222(対物レンズ)の光路を、他方の光学レンズ222(対物レンズ)の光路に自動的に切り替える。つまり、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、WIDE光学レンズ222Wの光路で被写体像を撮像した被写体の画像(映像)に対する電子ズーム倍率を、TELE光学レンズ222Tの光学倍率までに制限する。これにより、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、計測に用いる被写体の画像(映像)の画質の劣化を低減させる(抑える)ことができる。このことにより、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、内視鏡装置2を用いた被写体の検査精度を向上させることができる。また、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、内視鏡装置2の使用者から指示されたズーム倍率を判定して光学レンズ222(対物レンズ)の光路を自動的に切り替えるため、内視鏡装置2の操作性を向上させ、内視鏡装置2を用いた検査の繁雑さを軽減することができ、誤った操作による内視鏡装置2を用いた被写体の検査精度の低下を抑えることができる。また、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、内視鏡装置2の使用者から指示されたズーム倍率を判定してイメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えたことを通知することにより、内視鏡装置2の使用者が、現在イメージセンサ212に光を出射する光路として選択されている光学レンズ222(対物レンズ)の光路を容易に確認することができる。
さらに、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2では、光学アダプタ22に備えたWIDE光学レンズ222WとTELE光学レンズ222Tとの特性の差を吸収するための構成要素(より具体的には、画像処理制御部1231と、画像処理部123内のシェーディング補正部1233a、および明るさ補正部1233c)を備える。これにより、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2では、イメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222(対物レンズ)の光路の切り替えを行った場合でも、光学レンズ222の特性の差を起因とした、表示装置30に表示させるための最終的な被写体の画像(映像)の明るさのずれを抑えることができる。このことにより、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2では、表示装置30に表示させるための最終的な被写体の画像(映像)の画質の劣化を低減させる(抑える)ことができる。また、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2では、本体部12に備えた内視鏡処理部110(より具体的には、電子ズーム処理部1234)が、表示装置30に表示させるための最終的な被写体の画像(映像)を生成する際に、TELE光学レンズ222Tの光路で撮像した被写体の画像(映像)の中心位置(光学中心)を基準(ズーム中心)の位置として、電子ズームの処理を行う。これにより、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2では、イメージセンサ212に光を出射する光学レンズ222(対物レンズ)の光路の切り替えを行った場合でも、表示装置30に表示される被写体の画像(映像)の中心位置(表示中心)がずれることなく、スムーズなズーム(拡大または縮小)を行うことができる。
上記に述べたように、本発明を実施するための形態によれば、挿入部を構成するスコープ部の先端側に、撮像素子に被写体像の光を入射させる光路を切り替える構成の光学倍率が異なる2つの対物レンズを備えた光学アダプタを装着した内視鏡装置において、内視鏡装置1の使用者から指示されたズーム倍率に応じて、撮像素子に光を入射させる光路を切り替える内視鏡処理部を備える。そして、本発明を実施するための形態では、内視鏡処理部が、光学倍率が低い方の対物レンズの光学系で撮像した被検物内の被写体の計測や観測を行うための画像(映像)に電子ズームの処理を施して拡大する際のズーム倍率を、光学倍率が高い方の対物レンズの光学倍率までに制限し、それ以上のズーム倍率が指示された場合には、被写体を撮像するための光学系を光学倍率が高い方の対物レンズの光学系に自動的に切り替える。また、本発明を実施するための形態では、内視鏡処理部が、対物レンズの光学系を切り替えたことを通知する。これにより、本発明を実施するための形態では、被写体の計測や観測を行うための画像(映像)に対して施す電子ズームの処理のズーム倍率を低く抑えることができ、被写体の計測や観測を行うための画像(映像)の画質の劣化を低減させる(抑える)ことができる。さらに、本発明を実施するための形態では、内視鏡装置の使用者が撮像素子に光を入射させる光路を切り替える操作をする必要がなく、内視鏡装置の操作性を向上させ、内視鏡装置を用いた検査の繁雑さを軽減することができる。また、本発明を実施するための形態では、撮像素子に光を入射させる光路が切り替えられたことを、内視鏡装置の使用者が容易に確認することができる。
また、本発明を実施するための形態によれば、光学アダプタに備えた光学倍率が異なる2つの対物レンズにおける光学特性の差を吸収するための画像処理部を内視鏡処理部内に備える。これにより、本発明を実施するための形態では、被写体を撮像するための光学系を切り替えた場合でも、対物レンズの光学特性の差に起因する被写体の計測や観測を行うための画像(映像)の画質の劣化を低減させる(抑える)ことができる。また、本発明を実施するための形態では、いずれの光学系を用いて被写体の計測や観測を行う際にも、被写体の画像(映像)に対して電子ズームの処理を施すときの基準を、光学倍率が高い方の対物レンズの中心位置(光学中心)とする。これにより、本発明を実施するための形態では、被写体を撮像するための光学系を切り替えた場合でも、電子ズームの処理を施した画像(映像)の中心位置(ズーム中心)にずれが生じることがなく、被写体の計測や観測を行うための画像(映像)の画質の差異を少なくすることができる。
これらのことにより、本発明を実施するための形態では、被写体の計測や観測を行う際の検査精度を向上させることができる。
なお、各実施形態においては、挿入部が、スコープ部と光学アダプタとによって構成される内視鏡装置の構成について説明した。つまり、各実施形態においては、挿入部を構成する対物光学系が挿入部の先端側から分離することができる構成の内視鏡装置について説明した。しかし、内視鏡装置を構成する挿入部の構成は、各実施形態において示した構成に限定されるものではなく、スコープ部と光学アダプタとが一体になった構成であってもよい。つまり、内視鏡装置を構成する挿入部の構成は、対物光学系が挿入部の先端側に組み込まれた構成であってもよい。
なお、各実施形態においては、挿入部を構成するスコープ部の長さが非常に長い構成の内視鏡装置について説明した。しかし、各実施形態の考え方は、挿入部を構成するスコープ部の長さが長い構成の内視鏡装置への適用に限定されるものではなく、挿入部を構成するスコープ部の長さに関係なく同様に適用することができる。そして、この場合にも、各実施形態の内視鏡装置と同様の効果を得ることができる。なお、挿入部を構成するスコープ部の長さが短い構成の内視鏡装置では、各実施形態の内視鏡装置において長い挿入部に対応するために本体部に備えていたそれぞれの構成要素(より具体的には、光源駆動回路130、制御信号ドライブ回路140、リミッティングアンプ回路150、および光路切り替え駆動回路160)を備えていない構成となることが考えられる。この場合の内視鏡装置における動作や処理、制御方法などは、各実施形態において説明した内容に基づいて容易に考えることができる。従って、本発明の考え方を適用した、挿入部を構成するスコープ部の長さが短い構成の内視鏡装置に関する詳細な説明は省略する。
また、各実施形態においては、本発明の内視鏡装置が、工業用の内視鏡装置である場合について説明した。しかし、各実施形態の構成や考え方は、工業用の内視鏡装置への適用に限定されるものではなく、例えば、医療用の内視鏡装置にも同様に適用することもできる。これにより、医療用の内視鏡装置においても、各実施形態において説明した工業用の内視鏡装置と同様の効果を得ることができる。
なお、例えば、図1に示した本体部10やその一部、本体部10に備えた内視鏡処理部110や、内視鏡処理部110に備えた画像処理部113、画像処理部113に備えた画像処理制御部1131など、内視鏡装置の機能や処理を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本実施形態の内視鏡装置に係る上述した種々の機能や処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器などのハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリなどの書き込み可能な不揮発性メモリ、CD-ROMなどの可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクなどの記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネットなどのネットワークや電話回線などの通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置などに格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネットなどのネットワーク(通信網)や電話回線などの通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態およびその変形例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。