JP2014228851A - 内視鏡装置、画像取得方法および画像取得プログラム - Google Patents

内視鏡装置、画像取得方法および画像取得プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】焦点距離が異なる光学系が形成された複眼タイプの光学アダプタを用いて取得した合焦位置の異なる画像を合成して一枚の画像を生成した場合に自然な画像を得ることができる内視鏡装置、画像取得方法および画像取得プログラムを提供すること。
【解決手段】複数の光学系のうちの第1の光学系を通過した光に基づく撮像信号を取得した後、第1の光学系と第2の光学系との位置関係に基づいて挿入部に設けられた湾曲部を湾曲させてから第2の光学系を通過した光に基づく撮像信号を取得し、第1および第2の光学系を用いてそれぞれ取得した撮像信号に基づく各画像を合成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、先端に撮像素子を搭載した挿入部を備え、撮像素子が撮像した撮像信号を処理し画像信号を生成する内視鏡装置、画像取得方法および画像取得プログラムに関する。
従来、医療分野および工業分野において、各種検査のために内視鏡装置が広く用いられている。たとえば、工業分野では、航空機のジェットエンジンの内部検査、工業用プラントの内部検査および屋外の建造物の検査など、様々な環境下で検査を行うために内視鏡装置が使用される。内視鏡装置は、先端にCCD等の撮像素子が設けられた細長形状のスコープと、撮像素子によって撮像された撮像信号を処理する本体装置とによって構成される。ユーザによって検査対象の内部にスコープが挿入されると、スコープ先端の撮像素子によって撮像された撮像信号に応じた画像が本体装置のモニタに表示されるとともに、この画像に応じた画像データが記録媒体に記録される。
工業分野において、上述した内視鏡装置を用いて検査対象の内部を検査する際、スコープの先端には、被写体の像を撮像素子に結像する光学系を有する光学アダプタが取り付けられる。光学アダプタには、設計された焦点距離の光学系が形成されている。検査によっては、例えば管などの内部を観察して検査する際、管の奥側(遠点側)および手前側(近点側)に焦点をそれぞれ合わせて画像を取得することがある。この場合、スコープの先端から観察対象までの距離に応じて、所定の焦点距離に設計された光学系を有する光学アダプタをスコープの先端に取り付けることによって、光学系を介して、所定の焦点距離において合焦した像をCCDに結像することが可能となる。
ところで、異なる焦点距離の画像を得るためには、適宜、所望の焦点距離の光学系を有する光学アダプタに付け替える必要がある。この場合、スコープを検査対象から一度取り出して光学アダプタを付け替えた後、付け替え前の観察位置まで再度スコープを挿入しなければならず、付け替えに時間を要したり、観察位置が異なったりする場合があった。
これに対し、同じ観察位置において焦点距離の異なる画像を簡易に取得するための技術として、焦点距離の異なる複数の光学系を有する光学アダプタを用いることが挙げられる。この技術は、例えば、複数の光学系を有する複眼タイプの光学アダプタ(例えば、特許文献1を参照)を用いて、各光学系の焦点距離を異ならせることによって実現することができる。
特開平8−201706号公報
しかしながら、焦点距離が異なる光学系が形成された複眼タイプの光学アダプタを用いた場合、光学アダプタにおける各光学系の配置により、視差ずれが生じる。この視差ずれによって、遠点側で合焦した画像と近点側で合焦した画像とにおいて同じ被写体であっても角度(向き)が異なる。このため、遠点側で合焦した画像と近点側で合焦した画像とを合成して一枚の画像を生成した場合に、不自然な画像が生成されるという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、焦点距離が異なる光学系が形成された複眼タイプの光学アダプタを用いて取得した合焦位置の異なる画像を合成して一枚の画像を生成した場合に自然な画像を得ることができる内視鏡装置、画像取得方法および画像取得プログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる内視鏡装置は、検査対象空間に挿入される挿入部を有し、検査対象の画像を取得する内視鏡装置において、前記挿入部は、光を受光して光電変換を行うことにより撮像信号を生成する撮像部を有する先端部と、一端が前記先端部の基端側に接続され、湾曲自在な湾曲部と、を有し、互いに焦点距離が異なり、被写体像を前記撮像部の受光面にそれぞれ結像する複数の光学系、および照明光を出射する照明部を有し、前記先端部に着脱可能に接続する光学アダプタと、前記複数の光学系の互いの位置関係をもとに撮像対象の光学系に応じて前記湾曲部の湾曲動作を制御するとともに、前記撮像部による前記撮像対象の光学系が結像した像の撮像動作を制御する制御手段と、前記複数の光学系により結像された像に基づく複数の画像を合成する合成部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかる内視鏡装置は、上記の発明において、前記複数の光学系により撮像された各撮像信号における輝度情報をもとに演算処理を行う演算部をさらに備え、前記制御手段は、前記演算部の演算結果に基づいて前記照明部が出射する照明光の強度を制御して、撮像対象の光学系を用いて前記撮像部に撮像動作を行わせる機能を有することを特徴とする。
また、本発明にかかる内視鏡装置は、上記の発明において、前記照明部は、出射する照明光の強度を変更可能な光源を有することを特徴とする。
また、本発明にかかる内視鏡装置は、上記の発明において、前記照明部は、一定の強度の照明光を出射する光源と、前記光源から出射される照明光の光量を調整する絞り部材と、を有することを特徴とする。
また、本発明にかかる内視鏡装置は、上記の発明において、前記合成部が生成した画像を表示出力する表示部を備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかる内視鏡装置は、上記の発明において、前記撮像信号を画像データとして記録するとともに、前記湾曲部の湾曲に関する情報を記憶する記憶部を備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかる画像取得方法は、撮像部を先端に有する挿入部の先端に取り付けられ、互いに焦点距離が異なる複数の光学系を用いて得られた複数の画像を合成して画像を取得する画像取得方法であって、前記複数の光学系のうちの第1の光学系を通過した光に基づく撮像信号を取得する第1撮像信号取得ステップと、前記第1の光学系と第2の光学系との位置関係に基づいて前記挿入部に設けられた湾曲部を湾曲させる湾曲ステップと、前記第2の光学系を通過した光に基づく撮像信号を取得する第2撮像信号取得ステップと、前記第1および第2撮像信号取得ステップでそれぞれ取得した前記撮像信号に基づく各画像を合成する合成ステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる画像取得プログラムは、撮像部を先端に有する挿入部の先端に取り付けられ、互いに焦点距離が異なる複数の光学系を用いて得られた複数の画像を合成して画像を取得する画像取得処理をコンピュータに実行させるための画像取得プログラムであって、前記複数の光学系のうちの第1の光学系を通過した光に基づく撮像信号を前記撮像部に取得させる第1撮像信号取得手順と、前記第1の光学系と第2の光学系との位置関係に基づいて前記挿入部に設けられた湾曲部を湾曲させる湾曲手順と、前記第2の光学系を通過した光に基づく撮像信号を前記撮像部に取得させる第2撮像信号取得手順と、前記第1および第2撮像信号取得手順でそれぞれ取得した前記撮像信号に基づく各画像を合成させる合成手順と、を前記コンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明によれば、複数の光学系のうちの第1の光学系を通過した光に基づく撮像信号を取得した後、第1の光学系と第2の光学系との位置関係に基づいて挿入部に設けられた湾曲部を湾曲させてから第2の光学系を通過した光に基づく撮像信号を取得し、第1および第2の光学系を用いてそれぞれ取得した撮像信号に基づく各画像を合成するようにしたので、焦点距離が異なる光学系が形成された複眼タイプの光学アダプタを用いて取得した合焦位置の異なる画像を合成して一枚の画像を生成した場合に自然な画像を得ることができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡装置の概略構成を示すブロック図である。 図2は、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡装置の光学アダプタの構成を示す平面図である。 図3は、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡装置の光学アダプタの視野を説明する図である。 図4は、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡装置のスコープについて説明する図である。 図5は、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡装置が行う画像信号生成処理を示すフローチャートである。 図6は、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡装置が行う画像信号生成処理におけるアングル変更後の視野を説明する図である。 図7は、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡装置の画像信号生成処理により取得される画像の一例を示す図である。 図8は、従来の画像信号生成処理により取得される画像の一例を示す図である。 図9は、本発明の実施の形態2にかかる内視鏡装置の概略構成を示すブロック図である。 図10は、本発明の実施の形態2にかかる内視鏡装置が行う画像信号生成処理を示すフローチャートである。 図11は、本発明の実施の形態2にかかる内視鏡装置の画像信号生成処理により取得される画像の一例を示す図である。 図12は、図11のA−A’線上にある画素の輝度を示すグラフである。 図13は、本発明の実施の形態3にかかる内視鏡装置の概略構成を示すブロック図である。 図14は、本発明の実施の形態3にかかる内視鏡装置が行う画像信号生成処理を示すフローチャートである。 図15は、本発明の実施の形態4にかかる内視鏡装置の概略構成を示すブロック図である。 図16は、本発明の実施の形態4にかかる内視鏡装置の光学アダプタの構成を示す平面図である。 図17は、本発明の実施の形態4にかかる内視鏡装置のスコープについて説明する図である。 図18は、本発明の実施の形態4にかかる内視鏡装置が行う画像信号生成処理を示すフローチャートである。 図19は、本発明の実施の形態4の変形例にかかる内視鏡装置が行う画像信号生成処理を示すフローチャートである。
以下に、本発明にかかる実施の形態の一例として、スコープ先端の撮像素子によって検査対象を撮像する工業用の内視鏡装置について説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる内視鏡装置の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態1にかかる内視鏡装置1は、検査対象に挿入されるとともに検査対象の画像を撮像するスコープ2と、スコープ2の先端に着脱自在に取り付けられる光学アダプタ3と、スコープ2が接続されるとともに、スコープ2が撮像した撮像信号を処理する本体装置4と、スコープ2が撮像した撮像信号を画像データとして記録する記録媒体5とを備える。
スコープ2は、可撓性を有する細長形状をなし、特許請求の範囲における挿入部として機能する。スコープ2は、光を受光して光電変換を行うことにより信号を生成する画素がマトリックス状に配列され、各画素からの信号をもとに撮像信号を生成する撮像素子21a(撮像部)を内蔵した先端部21と、一端が先端部21の基端側に接続され、本体装置4の制御により湾曲自在な湾曲部22と、一端が湾曲部22の基端側に接続されるとともに、他端が本体装置4に接続され、可撓性を有する長尺状の可撓管部23と、を有する。撮像素子21aは、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサによって構成される。
光学アダプタ3は、各種観察深度に応じて複数設けられており、観察対象に応じて選択されスコープ2の先端に取り付けられる。光学アダプタ3は、被写体からの光が入射することによって被写体の像を撮像素子21aに結像する第1光学レンズ部31と、第1光学レンズ部31と異なる焦点距離を有し、被写体からの光が入射することによって被写体の像を撮像素子21aに結像する第2光学レンズ部32と、外部に向かって照明光を出射する照明部33と、光学アダプタ3の識別情報を有するアダプタ識別子34とを有する。
第1光学レンズ部31は、一または複数のレンズによって形成され、所定の観察深度において遠点側に合焦するように焦点距離が設定された光学系である。また、第2光学レンズ部32は、一または複数のレンズからなり、所定の観察深度において近点側に合焦するように焦点距離が設定された光学系である。なお、本実施の形態1において、観察深度とは、各光学系の光軸方向において、光学系が光を取り込んで結像しているとみなすことができる範囲のことをいう。換言すれば、観察深度は、光学系の焦点位置の前後において合焦しているとみなすことのできる距離の範囲である。
照明部33は、自身が出射する照明光の強度が変更可能な光源や、自身が出射する照明光の強度が一定である光源により構成される光源331を有する。光源331は、例えば、LEDや放電灯などによって構成される。
アダプタ識別子34は、スコープ2と電気的に接続可能であって、たとえば光学アダプタ3の種別ごとに識別情報としての抵抗値が決められた抵抗である。
図2は、本実施の形態1にかかる内視鏡装置の光学アダプタの構成を示す平面図である。光学アダプタ3には、スコープ2の取り付け側と異なる側の端面(先端面)において、第1光学レンズ部31および第2光学レンズ部32がそれぞれ光を取り込むための開口である窓351,352と、照明部33が出射する照明光を外部に出射するための開口である窓353と、が形成されている。第1光学レンズ部31および第2光学レンズ部32の各光学系(レンズ)は、窓351,352に応じてそれぞれ配設されている。
図3は、本実施の形態1にかかる内視鏡装置の光学アダプタの視野を説明する図である。第1光学レンズ部31および第2光学レンズ部32は、互いに焦点距離が異なっており、画角の広さも異なっている。したがって、焦点位置における第1光学レンズ部31の視野V1は、焦点位置における第2光学レンズ部32の視野V2よりも大きい。以下、第1光学レンズ部31により結像された像に応じて生成された画像をFF画像、第2光学レンズ部32により結像された像に応じて生成された画像をNF画像という。
また、第1光学レンズ部31および第2光学レンズ部32は、各光学系の光軸が互いに略平行になるように並べて配置されている。このため、第1光学レンズ部31および第2光学レンズ部32は、互いの視野中心の位置が異なっている。これにより、第1光学レンズ部31により結像される像と、第2光学レンズ部32により結像される像とは、各光学系から同一の観察点までの角度(向き)が異なり、視差が生じている。
図4は、本実施の形態1にかかる内視鏡装置のスコープについて説明する図である。図4に示すように、撮像素子21aの受光面211において、第1光学レンズ部31(第2光学レンズ部32)により結像された視野V1(V2)の各像は、領域E1(E2)に投影される。このとき、撮像素子21aでは、受光面211の領域E1,E2に応じて、受光した光の取り込み領域が分割されている。
本体装置4は、スコープ2の撮像素子21aが撮像した撮像信号を処理し、少なくとも画像表示用の画像信号を生成する。本体装置4は、内視鏡装置1全体の動作を制御する制御部40と、内視鏡装置1の動作を指示する指示信号の入力を受け付ける入力部41と、制御部40の制御のもと、駆動信号を出力して撮像素子21aを駆動させる撮像駆動部42と、制御部40の制御のもと、照明部33の点灯および消灯の切替制御を行う照明駆動部43と、スコープ2に取り付けられた光学アダプタ3からアダプタ種別にかかる情報を取得して、取り付けられた光学アダプタ3を識別する光学アダプタ識別部44と、撮像素子21aが撮像した撮像信号(第1光学レンズ部31および第2光学レンズ部32の各光学系を通過した光に基づく撮像信号)を処理する撮像信号処理部45と、撮像信号処理部45が生成した撮像信号に画像処理を施して画像信号を生成する画像処理部46と、画像処理部46が生成した画像信号に応じた画像を表示出力する表示部47と、スコープ2の先端側の湾曲動作を行わせる湾曲駆動部48と、内視鏡装置1を動作させるための各種プログラム、および内視鏡装置1の動作に必要な各種パラメータ等を含むデータを記憶する記憶部49と、を備える。
制御部40は、スコープ2を含む各構成部の駆動制御、および各構成部に対する情報の入出力制御などを行う機能を有する。制御部40は、CPU(Central Processing Unit)などを用いて構成される。
入力部41は、キーボード、各種ボタン、各種スイッチ等の入力デバイスや、マウスやタッチパネル等のポインティングデバイスを含み、これらのデバイスに対するユーザの操作に応じた指示信号を制御部40に入力する。
光学アダプタ識別部44は、光学アダプタ3の装着の有無、および、アダプタ識別子34の識別情報をもとにスコープ2の先端に装着されている光学アダプタ3の種別を識別する。光学アダプタ識別部44は、スコープ2を介してアダプタ識別子34の抵抗値を検出し、検出した抵抗値に対応する種別の光学アダプタ3がスコープ2に接続していると判断する。
撮像信号処理部45は、スコープ2の撮像素子21aが撮像した撮像信号を処理する。具体的には、撮像信号処理部45は、撮像素子21aが出力した撮像信号に対してノイズ除去やアナログ信号として信号が入力されればA/D変換などを行う。
画像処理部46は、撮像信号処理部45から入力された撮像信号に対して画像処理を施して、少なくとも表示部47が表示する画像信号(画像データ)を生成する。画像処理部46は、画像信号に対して、所定の画像処理を実行して画像信号を生成する。画像処理部46は、計測結果などを示す文字やメニュー等の画像を画像データに重畳して表示部47が表示する表示用の画像信号を生成する。ここで、画像処理としては、オプティカルブラック低減処理、ホワイトバランス調整処理、カラーマトリクス演算処理、ガンマ補正処理、色再現処理、エッジ強調処理等が挙げられる。
また、画像処理部46は、検査対象の画像に対応する有効データ部分を切り出す切出し部461と、切出し部461が切り出した複数の画像のうち、各画像の有効データ部分同士を合成する合成部462とを有する。
切出し部461は、例えば、図4に示す領域E1に応じた画像において、領域E1に内接する矩形領域C1を切り出す。これにより、図3に示す視野V1において、矩形領域C10の画像を得ることとなる。また、図4に示す領域E2においても同様に、領域E2に応じた画像において、領域E2に内接する矩形領域C2を切り出す。これにより、図3に示す視野V2において、矩形領域C20の画像を得ることとなる。
合成部462は、切出し部461により切り出し処理が施されたFF画像およびNF画像を合成する。これにより、観察深度における遠点側で合焦し、かつ近点側で合焦した合成画像を得ることができる。ここで、合成部462は、FF画像において、NF画像との対応領域を切出し部461によりカットして、このカットした領域にNF画像を貼り合わせることによって合成するものであってもよいし、FF画像における対応位置にNF画像を重ねることによって合成するものであってもよい。
表示部47は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)を用いて構成される。
湾曲駆動部48は、制御部40の制御のもと、駆動信号を出力することにより、湾曲部22を所定の軸線方向に湾曲させる操作ワイヤ(図示せず)を駆動する第1モータM1と、湾曲部22を所定の軸線方向に湾曲させる操作ワイヤ(図示せず)を駆動する第2モータM2とを所定の方向にそれぞれ回転させる。各操作ワイヤは、両端がスコープ2の湾曲部22にそれぞれ接続されている。
湾曲駆動部48により第1モータM1および第2モータM2がそれぞれ回転すると、各操作ワイヤの両端の先端位置が相対的に変化し、この変化による先端位置の移動に応じて湾曲部22が所定の方向に引っ張られて湾曲する。ここで、湾曲部22は、湾曲部22が真っすぐとなっている状態において、湾曲部22の中心軸と平行な平面であって、互いに直交する二つの平面上で湾曲する。このとき、一方の平面は、第1光学レンズ部31および第2光学レンズ部32の配列方向と平行であることが好ましい。すなわち、湾曲部22の湾曲動作による先端部21の移動方向は、例えば、モータM1に接続された操作ワイヤにより図2に示す軸線Y1方向であって、モータM2に接続された操作ワイヤにより軸線Y2方向である。
記憶部49は、内視鏡装置1にかかる各種プログラム、例えば画像取得プログラムや、各種パラメータのほか、光学アダプタ3における第1光学レンズ部31および第2光学レンズ部32の視差に関する情報である視差情報491を記憶する。ここで、視差に関する情報には、第1光学レンズ部31および第2光学レンズ部32の相対距離、角度差などの位置関係や、視差を解消するための湾曲部22の移動量などが含まれる。視差情報491には、取り付けられる光学アダプタ3のそれぞれの視差に関する情報が含まれている。また、記憶部49は、光学アダプタ3の種別ごとに決められている抵抗値を識別情報として記憶している。記憶部49は、フラッシュメモリやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリや、情報を一時的に記録する揮発性のメモリ(RAMなど)を用いて実現される。
記録媒体5は、本体装置4に着脱自在に装着され、制御部40の制御のもと、圧縮処理などが施された画像データや、制御部40から出力される種々の情報が順次書き込まれる。記録媒体5は、コンパクトフラッシュ(登録商標)、SDメモリカード(登録商標)、またはメモリスティック(登録商標)などにより実現される。
つぎに、図5を参照して、内視鏡装置1が行う画像信号生成処理について説明する。図5は、本実施の形態1にかかる内視鏡装置が行う画像信号生成処理を示すフローチャートである。まず、制御部40は、光学アダプタ識別部44の判断結果をもとに、スコープ2に取り付けられた光学アダプタ3の識別処理を行う(ステップS101)。
その後、制御部40は、撮像駆動部42により撮像素子21aを駆動させるとともに、第1光学レンズ部31からの像にかかる画像信号をFF画像として取得する(ステップS102)。このとき、撮像駆動部42は、撮像素子21aに対し、受光面211の領域E1を含む領域の画素の読み出し処理を行わせる。
FF画像取得後、先端部21のアングルを変更する(ステップS103)。具体的には、制御部40が、記憶部49の視差情報491を参照して、湾曲部22の湾曲量(第2モータM2の回転量)を取得し、湾曲駆動部48に出力する。湾曲駆動部48は、入力された視差情報491をもとに、駆動信号を出力して第2モータM2を回転させ、湾曲部22を湾曲させる。これにより、先端部21におけるアングルが変更される。ここで、本実施の形態1におけるアングル変更とは、第1光学レンズ部31および第2光学レンズ部32の光学系の中心軸の向き(角度)を変更することをいう。
図6は、本実施の形態1にかかる内視鏡装置1が行う画像信号生成処理におけるアングル変更後の視野を説明する図である。ステップS103におけるアングル変更では、第1光学レンズ部31と第2光学レンズ部32との視差を解消するように湾曲部22を湾曲させて先端部21の向きを変更する。
具体的には、湾曲部22を湾曲させることによって、図6に示すように、第2光学レンズ部32の視野V2の中心P2が、第1光学レンズ部31の視野V1の中心P1と一致する。すなわち、湾曲部22を湾曲させることによって、ステップS102の画像取得処理時における第1光学レンズ部31の光軸と、第2光学レンズ部32の光軸とを一致させる。これにより、撮像処理によって取得された画像における視差を解消することができる。
先端部21のアングルが変更されると、制御部40は、撮像駆動部42により撮像素子21aを駆動させるとともに、第2光学レンズ部32からの像にかかる画像信号をNF画像として取得する(ステップS104)。このとき、撮像駆動部42は、撮像素子21aに対し、受光面211の領域E2を含む領域の画素の読み出し処理を行わせる。
NF画像取得後、制御部40は、取得したFF画像およびNF画像について、切出し部461に画像における有効領域(矩形領域)の切り出し処理を行わせた後、合成部462に切り出し処理が施されたFF画像およびNF画像の合成処理を行わせる(ステップS105)。これにより、観察深度において遠点側で合焦し、かつ近点側でも合焦した一枚の合成画像を取得することができる。
図7は、本実施の形態1にかかる内視鏡装置1の画像信号生成処理により取得される画像の一例を示す図である。図7に示す合成画像W1では、ステップS103のアングル変更により、FF画像およびNF画像の視差ずれが解消されているため、二つの画像の中心および角度(向き)が一致した画像となっている。すなわち、FF画像W11の中央部の画像がNF画像W12に置き換えられ、近点側においてよりコントラストが明確になった(合焦した)画像となる。
図8は、従来の画像信号生成処理により取得される画像の一例を示す図である。従来のように、視差ずれが解消していない合成画像W100では、二つの画像の中心および角度(向き)が一致しておらず、不自然な画像となっている。FF画像W101の中央部の画像がNF画像W102に置き換えられることによって、近点側においてよりコントラストが明確になる一方、位置や見え方が異なる画像となる。
上述した実施の形態1によれば、観察深度の遠点側で合焦する第1光学系と近点側で合焦する第2光学系とを有する光学アダプタ3を用いて、遠点側で合焦したFF画像を取得後、湾曲部22を湾曲させてアングル変更を行って近点側で合焦したNF画像を取得するようにしたので、遠点側で合焦した画像および近点側で合焦した画像を合成して一枚の画像を生成した場合に自然な画像を得ることができる。
なお、上述した実施の形態1において、取得したFF画像およびNF画像を別々に表示部47に表示させてもよい。また、表示画面において、選択した画像、例えばFF画像を選択することにより、FF画像をNF画像よりも大きく表示させてもよい。また、FF画像、NF画像および合成画像を同一の画面に表示させてもよいし、これらの画像のうち、選択された画像を表示させてもよいし、大きさを異ならせて表示させてもよい。
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2にかかる内視鏡装置の概略構成を示すブロック図である。以下、上述した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付してある。実施の形態2は、実施の形態1にかかる画像信号生成処理に加え、FF画像およびNF画像の輝度差を抑制する処理を含む。
本実施の形態2にかかる内視鏡装置1aは、上述したスコープ2、光学アダプタ3および記録媒体5と、本体装置4aとを備える。本体装置4aは、上述した制御部40に代えて、各画素の輝度をもとに演算処理を行う演算部401を有する制御部40aを備える。なお、本実施の形態2では、照明部33の光源331が、LEDなどの自身が出射する照明光の強度が変更可能な光源からなるものとして説明する。
つづいて、図10を参照して、内視鏡装置1aが行う画像信号生成処理について説明する。図10は、本実施の形態2にかかる内視鏡装置が行う画像信号生成処理を示すフローチャートである。まず、制御部40aは、光学アダプタ識別部44の判断結果をもとに、スコープ2に取り付けられた光学アダプタ3の識別処理を行う(ステップS201)。
その後、制御部40aは、撮像駆動部42により撮像素子21aを駆動させるとともに、第1光学レンズ部31からの像にかかる画像信号をFF画像として取得する(ステップS202)。このとき、撮像駆動部42は、撮像素子21aに対し、受光面211の領域E1を含む領域の画素の読み出し処理を行わせる。
FF画像取得後、先端部21のアングルを変更する(ステップS203)。具体的には、制御部40aが、記憶部49の視差情報491を参照して、湾曲部22の湾曲量(第2モータM2の回転量や操作ワイヤ482の両端の相対位置など)を取得し、湾曲駆動部48に出力する。湾曲駆動部48は、入力された視差情報をもとに、駆動信号を出力して第2モータM2を回転させ、湾曲部22を湾曲させる。これにより、先端部21におけるアングルが変更される。
先端部21のアングルが変更されると、制御部40aは、撮像駆動部42により撮像素子21aを駆動させるとともに、第2光学レンズ部32からの像にかかる画像信号をNF画像として取得する(ステップS204)。このとき、撮像駆動部42は、撮像素子21aに対し、受光面211の領域E2を含む領域の画素の読み出し処理を行わせる。
NF画像取得後、制御部40aは、画像取得時の光源331の光源電圧および電流値を取得する(ステップS205)。その後、制御部40aは、演算部401によりFF画像についての平均輝度を演算させてFF画像の平均輝度を取得する(ステップS206)。また、制御部40aは、演算部401によりNF画像についての平均輝度を演算させてNF画像の平均輝度を取得する(ステップS207)。
平均輝度を演算後、制御部40aは、演算部401によりNF画像の輝度値(平均輝度)−FF画像の輝度値(平均輝度)を演算させて、演算結果を取得する(ステップS208)。ここで、演算結果が0でない場合(ステップS208:No)、制御部40aは、光源331の光源電圧および電流値を低減する信号を照明駆動部43に出力する(ステップS209)。照明駆動部43は、信号の入力があると、光源331の光源電圧および電流値を低減する駆動信号を照明部33に出力する。これにより、光源331からの照明光の強度が低減される。
照明光の強度が低減されると、制御部40aは、撮像駆動部42に再びNF画像を取得させる(ステップS210)。撮像駆動部42は、撮像素子21aを駆動させるとともに、第2光学レンズ部32からの像にかかる画像信号をNF画像として取得する。制御部40aは、照明光の強度が低減された状態で再度NF画像を取得すると、ステップS207に戻る。
一方、ステップS208において演算結果が0である場合(ステップS208:Yes)、制御部40aは、取得したFF画像およびNF画像について、切出し部461に画像における有効領域(矩形領域)の切り出し処理を行わせた後、合成部462に切り出し処理が施されたFF画像およびNF画像の合成処理を行わせる(ステップS211)。これにより、観察深度において遠点側で合焦し、かつ近点側でも合焦した一枚の合成画像を取得することができる。
図11は、本実施の形態2にかかる内視鏡装置の画像信号生成処理により取得される画像の一例を示す図である。図12は、図11のA−A’線上にある画素の輝度を示すグラフである。ステップS208の演算において、演算結果が0であるということは、FF画像の平均輝度とNF画像の平均輝度とが等しいことを意味する。すなわち、FF画像とNF画像とを貼り合せた際に、図11に示す合成画像W2において、FF画像C1とNF画像C2との境界における輝度値が略等しくなっている。
例えば、図12では、グラフの実線はFF画像の平均輝度値−NF画像の平均輝度値が0である場合のFF画像およびNF画像における画素の輝度を示し、グラフの破線はFF画像の平均輝度値−NF画像の平均輝度値が0でない(>0)場合のNF画像における画素の輝度を示している。FF画像の平均輝度値−NF画像の平均輝度値が0でない(>0)場合、FF画像とNF画像との境界において、FF画像の輝度は、NF画像の輝度(破線)と比して小さい。この輝度の差の要因としては、焦点距離の差異による光の取り込み量の差などが挙げられる。
ここで、上述したステップS209〜S210のように、照明光の強度を低減してNF画像を取得すると、NF画像全体の輝度が低下し、平均輝度も低減する(図12の実線)。これにより、FF画像とNF画像との境界における輝度の差を小さくすることができる。
上述した本実施の形態2によれば、観察深度の遠点側で合焦する第1光学系と近点側で合焦する第2光学系とを有する光学アダプタを用いて、遠点側で合焦したFF画像を取得後、湾曲部22を湾曲させてアングル変更を行って近点側で合焦したNF画像を取得するようにしたので、遠点側で合焦した画像および近点側で合焦した画像を合成して一枚の画像を生成した場合に自然な画像を得ることができる。
また、上述した本実施の形態2によれば、FF画像の平均輝度およびNF画像の平均輝度をもとに光源331の強度を制御して、NF画像の輝度を調整するようにしたので、FF画像とNF画像との境界における輝度の差が小さく、観察に適した画像を生成することができる。
なお、上述した実施の形態2では、照明部33による照明光の強度を低減してNF画像を取得するものとして説明したが、照明部33による照明光の強度を増大してFF画像を取得するものであってもよい。また、照明光の強度は、NF画像の輝度(平均輝度)−FF画像の輝度(平均輝度)に応じて、演算結果が0より大きい場合と演算結果が0より小さい場合とで低減または増大を切り替えるものであってもよい。
(実施の形態3)
図13は、本発明の実施の形態3にかかる内視鏡装置の概略構成を示すブロック図である。以下、上述した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付してある。実施の形態3は、上述した実施の形態2に対し、光源331を、自身が出射する照明光の強度が一定である光源としたものである。
本実施の形態3にかかる内視鏡装置1bは、上述したスコープ2、本体装置4aおよび記録媒体5と、光学アダプタ3aとを備える。光学アダプタ3aは、上述した第1光学レンズ部31、第2光学レンズ部32およびアダプタ識別子34と、自身が出射する照明光の強度が一定である光源331、および光源331から出射される照明光を絞るメカ絞り332を有する照明部33aと、を備える。光源331は、例えば放電灯によって構成される。メカ絞り332は、照明駆動部43の駆動信号により駆動し、絞りの開放面積が制御される。
つづいて、図14を参照して、内視鏡装置1bが行う画像信号生成処理について説明する。図14は、本実施の形態3にかかる内視鏡装置が行う画像信号生成処理を示すフローチャートである。まず、制御部40aは、上述したステップS201〜S204と同様に、スコープ2に取り付けられた光学アダプタ3aの識別処理、FF画像の取得、アングル変更およびNF画像の取得を行う(ステップS301〜S304)。
NF画像取得後、制御部40aは、画像取得時のメカ絞り332の位置(開放量)を取得する(ステップS305)。その後、演算部401がFF画像についての平均輝度を演算し、制御部40aがFF画像の平均輝度を取得する(ステップS306)。また、演算部401がNF画像についての平均輝度を演算し、制御部40aがNF画像の平均輝度を取得する(ステップS307)。
平均輝度を演算後、制御部40aは、演算部401によりNF画像の輝度値(平均輝度)−FF画像の輝度値(平均輝度)を演算させて、演算結果を取得する(ステップS308)。ここで、演算結果が0でない場合(ステップS308:No)、制御部40aは、メカ絞り332の位置を絞る(開放量を低減させる)信号を照明駆動部43に出力する(ステップS309)。照明駆動部43は、信号の入力があると、メカ絞り332の位置を絞る駆動信号を照明部33aに出力する。これにより、照明部33aからの照明光の強度が低減される。
照明光の強度が低減されると、制御部40aは、撮像駆動部42に再びNF画像を取得させる(ステップS310)。撮像駆動部42は、撮像素子21aを駆動させるとともに、第2光学レンズ部32からの像にかかる画像信号をNF画像として取得する。制御部40aは、照明光の強度が低減された状態で再度NF画像を取得すると、ステップS307に戻る。
一方、演算結果が0である場合(ステップS308:Yes)、制御部40aは、取得したFF画像およびNF画像について、切出し部461に画像における有効領域(矩形領域)の切り出し処理を行わせた後、合成部462に切り出し処理が施されたFF画像およびNF画像の合成処理を行わせる(ステップS311)。これにより、観察深度において遠点側で合焦し、かつ近点側でも合焦した一枚の合成画像を取得することができる。
上述した本実施の形態3によれば、観察深度の遠点側で合焦する第1光学系と近点側で合焦する第2光学系とを有する光学アダプタ3aを用いて、遠点側で合焦したFF画像を取得後、湾曲部22を湾曲させてアングル変更を行って近点側で合焦したNF画像を取得するようにしたので、遠点側で合焦した画像および近点側で合焦した画像を合成して一枚の画像を生成した場合に自然な画像を得ることができる。
また、上述した本実施の形態3によれば、FF画像の平均輝度およびNF画像の平均輝度をもとにメカ絞り332の絞り位置を制御して、NF画像の輝度値を調整するようにしたので、FF画像とNF画像との境界における輝度値の差が小さく、観察に適した画像を生成することができる。
(実施の形態4)
図15は、本発明の実施の形態4にかかる内視鏡装置の概略構成を示すブロック図である。以下、上述した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付してある。本実施の形態4にかかる内視鏡装置1cは、上述したスコープ2、本体装置4aおよび記録媒体5と、光学アダプタ3bとを備える。上述した本実施の形態1〜3では光学アダプタが二つの光学系を有するものとして説明したが、光学アダプタが三つ以上の複数の光学系を有するものであってもよい。本実施の形態4では、光学アダプタが三つの光学系を有するものとして説明する。なお、本実施の形態4では、照明部33の光源331が、LEDからなるものとして説明する。
光学アダプタ3bは、実施の形態1にかかる光学アダプタ3の構成に加え、第1光学レンズ部31と第2光学レンズ部32の各焦点距離の間に位置する焦点距離を有する光学系である第3光学レンズ部35をさらに有する。また、スコープ2の先端部21は、第1光学レンズ部31、第2光学レンズ部32および第3光学レンズ部35からの光を受光して光電変換を行うことにより信号を生成する画素が2次元状に配列された撮像素子21bを有する。以下、第3光学レンズ部35により結像された像に応じて生成された画像をMF画像という。
図16は、本実施の形態4にかかる内視鏡装置の光学アダプタの構成を示す平面図である。光学アダプタ3bには、スコープ2の取り付け側と異なる側の端面(先端面)において、上述した窓351,352,353と、第3光学レンズ部35が光を取り込むための開口である窓354と、が形成されている。第1光学レンズ部31、第2光学レンズ部32および第3光学レンズ部35の各光学系(レンズ)は、窓351,352,354に応じてそれぞれ配設されている。
図17は、本実施の形態4にかかる内視鏡装置のスコープについて説明する図である。図17に示すように、撮像素子21bの受光面211bにおいて、第1光学レンズ部31、第2光学レンズ部32および第3光学レンズ部35により結像された視野(例えば上述した視野V1,V2など)の各像は、領域E1,E2,E3に投影される。このとき、撮像素子21bでは、受光面211bの領域E1,E2,E3に応じて、受光した光の取り込み領域が分割されている。
また、切出し部461は、例えば、図17に示す領域E3に応じた画像において、領域E3に内接する矩形領域C3を切り出す。合成部462は、切出部461により切り出し処理が施されたFF画像、MF画像およびNF画像を合成する。これにより、観察深度における遠点側で合焦し、かつ近点側、および遠点側と近点側との中間点で合焦した合成画像を得ることができる。ここで、合成部462は、FF画像においてMF画像との対応領域をカットし、MF画像においてNF画像との対応領域をカットして、このカットした領域にMF画像およびNF画像をそれぞれ貼り合せることによって合成するものであってもよいし、FF画像の対応位置にMF画像、MF画像の対応位置にNF画像をそれぞれ重ねることによって合成するものであってもよい。
つづいて、図18を参照して、内視鏡装置1cが行う画像信号生成処理について説明する。図18は、本実施の形態4にかかる内視鏡装置が行う画像信号生成処理を示すフローチャートである。まず、制御部40aは、上述したステップS201〜S203と同様に、スコープ2に取り付けられた光学アダプタ3aの識別処理、FF画像の取得およびアングル変更を行う(ステップS401〜S403)。
先端部21のアングルが変更されると、制御部40aは、撮像駆動部42により撮像素子21bを駆動させるとともに、第2光学レンズ部32からの像にかかる画像信号をNF画像として取得する(ステップS404)。このとき、撮像駆動部42は、撮像素子21bに対し、受光面211bの領域E2を含む領域の画素の読み出し処理を行わせる。
NF画像取得後、制御部40aは、画像取得時の光源331の光源電圧および電流値を取得する(ステップS405)。その後、演算部401がFF画像についての平均輝度を演算し、制御部40aがFF画像の平均輝度を取得する(ステップS406)。また、演算部401がNF画像についての平均輝度を演算し、制御部40aがNF画像の平均輝度を取得する(ステップS407)。
平均輝度を演算後、制御部40aは、演算部401によりNF画像の輝度値(平均輝度)−FF画像の輝度値(平均輝度)を演算させて、演算結果を取得する(ステップS408)。ここで、演算結果が0でない場合(ステップS408:No)、制御部40aは、光源331の光源電圧および電流値を低減する信号を照明駆動部43に出力する(ステップS409)。照明駆動部43は、信号の入力があると、光源331の光源電圧および電流値を低減する駆動信号を照明部33に出力する。これにより、光源331からの照明光の強度が低減される。
照明光の強度が低減されると、制御部40aは、撮像駆動部42に再びNF画像を取得させる(ステップS410)。撮像駆動部42は、撮像素子21bを駆動させるとともに、第2光学レンズ部32からの像にかかる画像信号をNF画像として取得する。制御部40aは、照明光の強度が低減された状態で再度NF画像を取得すると、ステップS407に戻る。
一方、ステップS414において演算結果が0である場合(ステップS408:Yes)、制御部40aは、ステップS411に移行する。ステップS411では、湾曲部22の湾曲による先端部21のアングル変更を行う。制御部40aは、記憶部49の視差情報491を参照して、第3光学レンズ部35にかかる湾曲部22の湾曲量(第2モータM2の回転量や操作ワイヤ482の両端の相対位置など)を取得し、湾曲駆動部48に出力する。湾曲駆動部48は、入力された視差情報をもとに、駆動信号を出力して第2モータM2を回転させ、湾曲部22を湾曲させる。これにより、先端部21におけるアングルが変更される。
ステップS411により先端部21のアングルが変更されると、制御部40aは、撮像駆動部42により撮像素子21bを駆動させるとともに、第3光学レンズ部35からの像にかかる画像信号をMF画像として取得する(ステップS412)。このとき、撮像駆動部42は、撮像素子21bに対し、受光面211bの領域E3を含む領域の画素の読み出し処理を行わせる。
MF画像取得後、演算部401がMF画像についての平均輝度を演算し、制御部40aがMF画像の平均輝度を取得する(ステップS413)。
平均輝度を演算後、制御部40aは、演算部401によりNF画像の輝度値(平均輝度)−MF画像の輝度値(平均輝度)を演算させて、演算結果を取得する(ステップS414)。ここで、演算結果が0でない場合(ステップS414:No)、制御部40aは、光源331の光源電圧および電流値を増大する信号を照明駆動部43に出力する(ステップS415)。照明駆動部43は、信号の入力があると、光源331の光源電圧および電流値を増大する駆動信号を照明部33に出力する。これにより、光源331からの照明光の強度が低減される。照明光の強度を増大した後、制御部40aは、ステップS412に戻る。
一方、ステップS414において演算結果が0である場合(ステップS414:Yes)、制御部40aは、取得したFF画像、MF画像およびNF画像について、切出し部461に画像における有効領域(矩形領域)の切り出し処理を行わせた後、合成部462に切り出し処理が施されたFF画像、MF画像およびNF画像の合成処理を行わせる(ステップS416)。これにより、観察深度において遠点側で合焦し、かつ近点側、および遠点側と近点側との中間点で合焦した一枚の合成画像を取得することができる。
上述した本実施の形態4によれば、観察深度の遠点側で合焦する第1光学系と、近点側で合焦する第2光学系と、遠点側と近点側との中間点で合焦する第3光学系とを有する光学アダプタ3bを用いて、遠点側で合焦したFF画像を取得後、湾曲部22を湾曲させてアングル変更を行って近点側で合焦したNF画像を取得し、さらに遠点側と近点側との中間点で合焦したMF画像を取得するようにしたので、遠点側で合焦した画像、近点側で合焦した画像および遠点側と近点側との中間点で合焦した画像を合成して一枚の画像を生成した場合に自然な画像を得ることができる。
また、上述した本実施の形態4によれば、FF画像の平均輝度、MF画像の平均輝度およびNF画像の平均輝度をもとに光源331の強度を制御して、MF画像およびNF画像の輝度値をそれぞれ調整するようにしたので、FF画像とMF画像との境界、MF画像とNF画像との境界における輝度値の差が小さく、観察に適した画像を生成することができる。
ここで、本実施の形態4では、照明部33の光源331がLEDからなるものとして説明したが、光源331を放電灯とし、メカ絞り332を用いて照明光の強度を調整するものであってもよい。
図19は、本実施の形態4の変形例にかかる内視鏡装置が行う画像信号生成処理を示すフローチャートである。本実施の形態4の変形例にかかる内視鏡装置では、上述した内視鏡装置1cに対し、照明部33に代えて照明部33aが設けられているものとして説明する。まず、制御部40aは、上述したステップS401〜S404と同様に、スコープ2に取り付けられた光学アダプタ3aの識別処理、FF画像の取得、アングル変更およびNF画像の取得を行う(ステップS501〜S504)。
NF画像取得後、制御部40aは、画像取得時のメカ絞り332の位置(開放量)を取得する(ステップS505)。その後、演算部401がFF画像についての平均輝度を演算し、制御部40aがFF画像の平均輝度を取得する(ステップS506)。また、演算部401がNF画像についての平均輝度を演算し、制御部40aがNF画像の平均輝度を取得する(ステップS507)。
平均輝度を演算後、制御部40aは、演算部401によりNF画像の輝度値(平均輝度)−FF画像の輝度値(平均輝度)を演算させて、演算結果を取得する(ステップS508)。ここで、演算結果が0でない場合(ステップS508:No)、制御部40aは、メカ絞り332の位置を絞る(開放量を低減させる)信号を照明駆動部43に出力する(ステップS509)。照明駆動部43は、信号の入力があると、メカ絞り332の位置を絞る旨の駆動信号を照明部33aに出力する。これにより、メカ絞り332が絞られて開放量を低減し、照明光の強度も低減される。
照明光の強度が低減されると、制御部40aは、撮像駆動部42に再びNF画像を取得させる。撮像駆動部42は、撮像素子21aを駆動させるとともに、第2光学レンズ部32からの像にかかる画像信号をNF画像として取得する(ステップS510)。制御部40aは、照明光の強度が低減された状態で再度NF画像を取得すると、ステップS507に戻る。
一方、ステップS508において演算結果が0である場合(ステップS508:Yes)、制御部40aは、ステップS511に移行する。ステップS511では、湾曲部22の湾曲による先端部21のアングル変更を行う。制御部40aは、記憶部49の視差情報491を参照して、第3光学レンズ部35にかかる湾曲部22の湾曲量(第2モータM2の回転量や操作ワイヤ482の両端の相対位置など)を取得し、湾曲駆動部48に出力する。湾曲駆動部48は、入力された視差情報をもとに、駆動信号を出力して第2モータM2を回転させ、湾曲部22を湾曲させる。これにより、先端部21におけるアングルが変更される。
ステップS511により先端部21のアングルが変更されると、制御部40aは、撮像駆動部42により撮像素子21aを駆動させるとともに、第3光学レンズ部35からの像にかかる画像信号をMF画像として取得する(ステップS512)。このとき、撮像駆動部42は、撮像素子21bに対し、受光面211bの領域E3を含む領域の画素の読み出し処理を行わせる。
MF画像取得後、演算部401がMF画像についての平均輝度を演算し、制御部40aがMF画像の平均輝度を取得する(ステップS513)。
平均輝度を演算後、制御部40aは、演算部401によりNF画像の輝度値(平均輝度)−MF画像の輝度値(平均輝度)を演算させて、演算結果を取得する(ステップS514)。ここで、演算結果が0でない場合(ステップS514:No)、制御部40aは、メカ絞り332の位置を開放する(開放量を増大させる)信号を照明駆動部43に出力する(ステップS515)。照明駆動部43は、信号の入力があると、メカ絞り332の位置を開放する駆動信号を照明部33aに出力する。これにより、照明部33aからの照明光の強度が増大する。照明光の強度を増大した後、制御部40aは、ステップS512に戻る。
一方、ステップS514において演算結果が0である場合(ステップS514:Yes)、制御部40aは、取得したFF画像、MF画像およびNF画像について、切出し部461に画像における有効領域(矩形領域)の切り出し処理を行わせた後、合成部462に切り出し処理が施されたFF画像、MF画像およびNF画像の合成処理を行わせる(ステップS516)。これにより、観察深度において遠点側で合焦し、かつ近点側、および遠点側と近点側との中間点で合焦した一枚の合成画像を取得することができる。
上述した実施の形態1〜4では、光学アダプタ3,3a,3bに光源331を有する照明部33,33aを設けて、該照明部33,33aから照明光を出射するものとして説明したが、本体装置4,4aに光源を設け、光ファイバなどからなるライトガイドによって先端部21(光学アダプタ)に照明光を伝送するものであってもよい。
以上のように、本発明にかかる内視鏡装置、画像取得方法および画像取得プログラムは、焦点距離が異なる光学系が形成された複眼タイプの光学アダプタを用いて取得した合焦位置の異なる画像を合成して一枚の画像を生成した場合に自然な画像を得るのに有用である。
1 内視鏡装置
2 スコープ
3,3a,3b 光学アダプタ
4,4a 本体装置
5 記録媒体
21 先端部
21a,21b 撮像素子
22 湾曲部
23 可撓管部
31 第1光学レンズ部
32 第2光学レンズ部
33,33a 照明部
34 アダプタ識別子
35 第3光学レンズ部
40 制御部
41 入力部
42 撮像駆動部
43 照明駆動部
44 光学アダプタ識別部
45 撮像信号処理部
46 画像処理部
47 表示部
48 湾曲駆動部
49 記憶部
331 光源
332 メカ絞り
401 演算部
461 切出し部
462 合成部
491 視差情報

Claims (8)

  1. 検査対象空間に挿入される挿入部を有し、検査対象の画像を取得する内視鏡装置において、
    前記挿入部は、
    光を受光して光電変換を行うことにより撮像信号を生成する撮像部を有する先端部と、
    一端が前記先端部の基端側に接続され、湾曲自在な湾曲部と、
    を有し、
    互いに焦点距離が異なり、被写体像を前記撮像部の受光面にそれぞれ結像する複数の光学系、および照明光を出射する照明部を有し、前記先端部に着脱可能に接続する光学アダプタと、
    前記複数の光学系の互いの位置関係をもとに撮像対象の光学系に応じて前記湾曲部の湾曲動作を制御するとともに、前記撮像部による前記撮像対象の光学系が結像した像の撮像動作を制御する制御手段と、
    前記複数の光学系により結像された像に基づく複数の画像を合成する合成部と、
    を備えたことを特徴とする内視鏡装置。
  2. 前記複数の光学系により撮像された各撮像信号における輝度情報をもとに演算処理を行う演算部をさらに備え、
    前記制御手段は、前記演算部の演算結果に基づいて前記照明部が出射する照明光の強度を制御して、撮像対象の光学系を用いて前記撮像部に撮像動作を行わせる機能を有することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
  3. 前記照明部は、出射する照明光の強度を変更可能な光源を有することを特徴とする請求項1または2に記載の内視鏡装置。
  4. 前記照明部は、
    一定の強度の照明光を出射する光源と、
    前記光源から出射される照明光の光量を調整する絞り部材と、
    を有することを特徴とする請求項1または2に記載の内視鏡装置。
  5. 前記合成部が生成した画像を表示出力する表示部を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の内視鏡装置。
  6. 前記撮像信号を画像データとして記録するとともに、前記湾曲部の湾曲に関する情報を記憶する記憶部を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の内視鏡装置。
  7. 撮像部を先端に有する挿入部の先端に取り付けられ、互いに焦点距離が異なる複数の光学系を用いて得られた複数の画像を合成して画像を取得する画像取得方法であって、
    前記複数の光学系のうちの第1の光学系を通過した光に基づく撮像信号を取得する第1撮像信号取得ステップと、
    前記第1の光学系と第2の光学系との位置関係に基づいて前記挿入部に設けられた湾曲部を湾曲させる湾曲ステップと、
    前記第2の光学系を通過した光に基づく撮像信号を取得する第2撮像信号取得ステップと、
    前記第1および第2撮像信号取得ステップでそれぞれ取得した前記撮像信号に基づく各画像を合成する合成ステップと、
    を含むことを特徴とする画像取得方法。
  8. 撮像部を先端に有する挿入部の先端に取り付けられ、互いに焦点距離が異なる複数の光学系を用いて得られた複数の画像を合成して画像を取得する画像取得処理をコンピュータに実行させるための画像取得プログラムであって、
    前記複数の光学系のうちの第1の光学系を通過した光に基づく撮像信号を前記撮像部に取得させる第1撮像信号取得手順と、
    前記第1の光学系と第2の光学系との位置関係に基づいて前記挿入部に設けられた湾曲部を湾曲させる湾曲手順と、
    前記第2の光学系を通過した光に基づく撮像信号を前記撮像部に取得させる第2撮像信号取得手順と、
    前記第1および第2撮像信号取得手順でそれぞれ取得した前記撮像信号に基づく各画像を合成させる合成手順と、
    を前記コンピュータに実行させることを特徴とする画像取得プログラム。
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