<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、第1の実施形態の内視鏡装置が、工業用の内視鏡装置である場合について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態における内視鏡装置の構成の一例を示したブロック図である。図1に示した内視鏡装置1は、本体部10と、細長い挿入部20とを備えている。また、図1に示した内視鏡装置1では、本体部10に、表示装置30と記録媒体40とが接続されている。
内視鏡装置1では、所定の中心軸に沿って長手方向に延びた形状の軟性の挿入部20の先端側(以下、「先端部」という)を被検物内に挿入する。そして、内視鏡装置1では、先端部に配置された撮像素子が撮影して得た被検物内の被写体像を表す画素信号を、挿入部20の基端側に接続された本体部10に伝送する。なお、内視鏡装置1では、挿入部20を被検物内に挿入するときの先端部の動きや方向、さらには、先端部に配置された撮像素子による被写体の撮影動作などが、本体部10によって制御される。
内視鏡装置1では、挿入部20から伝送された画素信号を本体部10内で処理し、被検物内の被写体の画像(映像)を生成する。内視鏡装置1は、生成した被写体の画像(映像)を、接続された表示装置30に表示させる。表示装置30は、内視鏡装置1によって撮影した被検物内の被写体の画像を表示する。表示装置30は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)などの表示装置である。なお、図1において表示装置30は、本体部10に接続される外部の構成要素、つまり、本体部10に脱着可能な外部の表示装置として示しているが、表示装置30は、本体部10に搭載される構成要素であってもよい。
また、内視鏡装置1では、本体部10が生成した被写体の画像(映像)を、接続された記録媒体40に記録する。記録媒体40は、内視鏡装置1によって撮影した被検物内の被写体の画像のデータを記録する。記録媒体40は、例えば、SDメモリカード(SD Memory Card)やUSB(Universal Serial Bus(登録商標))メモリなど、本体部10に着脱可能な構成の記録媒体である。なお、図1において記録媒体40は、本体部10に脱着可能な外部の記録媒体として示しているが、記録媒体40は、例えば、ハードディスクなどの記憶装置など、本体部10に内蔵される構成要素であってもよい。
なお、内視鏡装置1において被検物内の撮影を行わない場合、先端部に配置された撮像素子を被検物内に導く挿入部20における軟性のコード部を、例えば、本体部10に取り付けられた不図示のドラム部に巻いて収納する構成であってもよい。
本体部10は、システム制御部110と、パラメータ記憶部120と、画像処理部130と、湾曲制御部140と、2つの湾曲モータ141aおよび湾曲モータ141bと、光源駆動回路150と、制御信号ドライブ回路160と、リミッティングアンプ回路170と、光路切り替え駆動回路180と、ユーザインターフェース部190と、ワイヤー接続機構101と、着脱コネクタ102とを含んで構成される。また、システム制御部110は、計測部111と、画像記録処理部112と、表示制御部113と、光路切り替え制御部114とを含んで構成される。
挿入部20は、軟性のコード部を含むスコープ部21と、スコープ部21の先端側に着脱可能な光学アダプタ22とを含んで構成される。スコープ部21は、ワイヤー固定部211と、イメージセンサ212と、水晶発振器213と、レンズ214と、温度センサ215と、スコープ検知部216と、ワイヤー接続機構201と、着脱コネクタ202とを含んで構成される。また、光学アダプタ22は、光源221と、2つの対物レンズ222aおよび対物レンズ222bと、光路切り替え部223と、遮光部材224とを含んで構成される。なお、スコープ部21において、ワイヤー固定部211、イメージセンサ212、水晶発振器213、レンズ214、および温度センサ215は、光学アダプタ22が装着される先端側に配置されている。以下の説明においては、イメージセンサ212などが配置されているスコープ部21の先端側と、このスコープ部21の先端側に装着された光学アダプタ22とを含めて、挿入部20の「先端部」という。
ここで、内視鏡装置1に備えたそれぞれの構成要素について詳細に説明する。まず、スコープ部21の先端側に装着されて挿入部20の先端部を構成する光学アダプタ22に備えたそれぞれの構成要素について詳細に説明する。
光学アダプタ22は、スコープ部21の先端側に配置されたイメージセンサ212に被検物内の被写体像の光を入射させる光学系のアダプタである。なお、光学アダプタ22は、内視鏡装置1によって被検物内の被写体をステレオ計測するためのステレオ撮影に用いるステレオ計測アダプタである。
光源221は、被検物内の被写体に照射する光を発光する光源である。光源221は、本体部10から出力され、スコープ部21内の信号線によって伝送された駆動信号に応じた光量およびタイミングで、光を発光する。光源221は、例えば、白色LED(Light Emitting Diode)光源などである。
対物レンズ222aおよび対物レンズ222bのそれぞれは、入射した光、すなわち、光源221が発光した光が照射された被写体からの反射光をイメージセンサ212側に出射し、被写体像をイメージセンサ212に結像させる光学レンズである。なお、対物レンズ222aおよび対物レンズ222bのそれぞれは、被写体からの反射光を、同じ(共通の)結像領域に結像させる光学レンズである。例えば、対物レンズ222aおよび対物レンズ222bのそれぞれは、被写体からの反射光を、イメージセンサ212の撮像領域の全体に結像させる。対物レンズ222aおよび対物レンズ222bは、いずれか一方が右目に相当する光学レンズであり、他方が左目に相当する光学レンズである。このため、対物レンズ222aおよび対物レンズ222bのそれぞれがイメージセンサ212に結像させる被写体像には、視差が表れる。これにより、内視鏡装置1は、被写体の3次元画像を生成して、ステレオ計測を行うことができる。
遮光部材224は、対物レンズ222aおよび対物レンズ222bのそれぞれがスコープ部21側に出射する被写体からの反射光を遮蔽(遮光)する遮光板である。遮光部材224は、光路切り替え部223によって、対物レンズ222aが光を出射する光路または対物レンズ222bが光を出射する光路のいずれか一方の光路に移動(摺動)される。これにより、対物レンズ222aまたは対物レンズ222bのいずれか一方が出射した被写体からの反射光が、イメージセンサ212の撮像領域の全体に出射される。
光路切り替え部223は、遮光部材224を移動(摺動)させることによって、イメージセンサ212に入射する光を切り替える機械的な機構(例えば、アクチュエータなど)である。光路切り替え部223は、対物レンズ222aが出射する光をイメージセンサ212に入射させる場合には、対物レンズ222bが光を出射する光路に遮光部材224を移動(摺動)させる。また、光路切り替え部223は、対物レンズ222bが出射する光をイメージセンサ212に入射させる場合には、対物レンズ222aが光を出射する光路に遮光部材224を移動(摺動)させる。つまり、光路切り替え部223は、対物レンズ222aが光を出射する光路または対物レンズ222bが光を出射する光路のいずれか一方の光路に遮光部材224を移動(摺動)させることによって、イメージセンサ212に入射する光を切り替える。光路切り替え部223は、本体部10から出力され、スコープ部21内の信号線によって伝送された駆動信号に応じた速度およびタイミングで遮光部材224を移動(摺動)させ、イメージセンサ212に光を出射する光路(言い換えれば、遮光部材224によって光を遮光させる光路)を切り替える。これにより、イメージセンサ212は、右目に相当する被写体像と左目に相当する被写体像とのそれぞれを撮像する。
なお、光路切り替え部223の構成は、例えば、遮光部材224を移動(摺動)させる方向に回転する回転軸に永久磁石が固定され、永久磁石の周囲にコイルを配置した構成である。この構成の光路切り替え部223では、回転軸に遮光部材224を固定し、回転軸を回転させる方向に対応した極性の電流を駆動信号としてコイルに流す。これにより、コイルが、流れた電流の極性に応じた磁場(力場)を発生させ、発生した力場によって回転軸が、コイルに流れた電流の極性に応じた方向に回転し、回転軸に固定された遮光部材224が移動(摺動)する。なお、光路切り替え部223の構成は、上述した構成に限定されるものではなく、遮光部材224を対物レンズ222aが光を出射する光路または対物レンズ222bが光を出射する光路のいずれか一方の光路に移動(摺動)させる構成であれば、いかなる構成であってもよい。
続いて、挿入部20を構成するスコープ部21に備えたそれぞれの構成要素について詳細に説明する。
スコープ部21は、光学アダプタ22が先端側に装着された状態で、先端部から被検物内に挿入され、光学アダプタ22から入射された被検物内の被写体からの反射光を結像した被写体像を表す画素信号を、本体部10に伝送する。
ワイヤー固定部211は、本体部10によってスコープ部21の先端側、つまり、挿入部20の先端部の動きや方向を変更するための湾曲用ワイヤーの一端を先端側に固定するための機構である。
レンズ214は、光学アダプタ22から入射された被検物内の被写体からの反射光をイメージセンサ212側に出射する、いわゆる、リレーレンズである。レンズ214は、平行平板のレンズなどによって構成される。レンズ214は、光学アダプタ22に備えた光路切り替え部223によって切り替えられた、対物レンズ222aまたは対物レンズ222bがイメージセンサ212に光を出射する光路の光が、イメージセンサ212の撮像領域の全体に出射されるようにする。
水晶発振器213は、イメージセンサ212が動作する際に必要な予め定めた周波数のクロック信号を発振し、発振したクロック信号をイメージセンサ212に供給する。
イメージセンサ212は、水晶発振器213から供給されたクロック信号に基づいて動作するCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサである。イメージセンサ212は、本体部10から出力された制御信号に応じて、被検物内の被写体像を撮像する。そして、イメージセンサ212は、撮像した被検物内の被写体像を表す画素信号(例えば、RAW信号)を、コード部内の信号線によって本体部10に伝送する。イメージセンサ212は、例えば、SLVS-EC(Scalable Low Voltage Signaling with Embedded Clock)シリアル通信などの伝送方式によって、撮像した被写体像の画素信号を本体部10に伝送する。
温度センサ215は、遮光部材224を移動(摺動)させる動作に伴って発熱する光路切り替え部223の温度を計測する温度計測手段(センサ)である。温度センサ215は、スコープ部21の先端側、つまり、挿入部20の先端部の温度を計測することによって、光路切り替え部223の温度の変化を計測する。温度センサ215は、計測した先端部の温度を表す温度情報を、コード部内の信号線を介して常に(リアルタイムに)本体部10に出力(提示)する。温度センサ215は、例えば、サーミスタ素子などによって構成される。この場合、温度センサ215は、先端部の温度に応じて変化するサーミスタ素子の抵抗値を表す電圧値の信号(アナログ信号)を、温度情報として本体部10に出力する。なお、温度センサ215の構成は、上述したようなサーミスタ素子を用いてアナログ信号を出力する構成に限定されるものではなく、例えば、温度センサICなど、計測した先端部の温度を表すデータを温度情報として出力する構成であってもよい。なお、温度センサ215は、イメージセンサ212の温度を計測するために挿入部20の先端部に配置された温度センサを用いてもよい。
ワイヤー接続機構201は、本体部10に挿入部20(より具体的には、スコープ部21)を着脱可能にし、ワイヤー固定部211によってスコープ部21の先端側に固定された湾曲用ワイヤーを、本体部10において挿入部20の先端部の動きや方向を変更するためのワイヤーと接続するための機構である。なお、以下の説明においては、説明を容易にするため、ワイヤー接続機構201によって接続される湾曲用ワイヤーと本体部10側のワイヤーとは1本のワイヤーであるものとし、接続されたワイヤーの全体を湾曲用ワイヤーという。
着脱コネクタ202は、本体部10に挿入部20(より具体的には、スコープ部21)を着脱可能にし、スコープ部21や光学アダプタ22に備えたそれぞれの構成要素と本体部10に備えた対応する構成要素との間の信号線を接続するための機構である。なお、以下の説明においては、説明を容易にするため、スコープ部21や光学アダプタ22に備えたそれぞれの構成要素と本体部10に備えた対応する構成要素との間の信号線は、1本の信号線であるものとして説明する。
スコープ検知部216は、挿入部20(より具体的には、スコープ部21)が本体部10に装着されたことを表す検知信号を、本体部10に出力する。スコープ検知部216は、ワイヤー接続機構201および着脱コネクタ202によって、スコープ部21の先端側とは反対側のコード部の一端が本体部10に正しく接続された際に、このことを表す検知信号を本体部10に出力する。
続いて、本体部10に備えたそれぞれの構成要素について詳細に説明する。
本体部10は、内視鏡装置1の使用者による操作に応じて、内視鏡装置1における被検物内の被写体の撮影や測定を制御する。
ワイヤー接続機構101は、スコープ部21に備えたワイヤー接続機構201と嵌合することによって挿入部20(より具体的には、スコープ部21)を本体部10に着脱可能にし、スコープ部21の先端側にワイヤー固定部211によって固定された湾曲用ワイヤーを1本のワイヤーとして接続するための本体部10側の機構である。
着脱コネクタ102は、スコープ部21に備えた着脱コネクタ202と嵌合することによって挿入部20(より具体的には、スコープ部21)を本体部10に着脱可能にし、スコープ部21や光学アダプタ22に備えたそれぞれの構成要素と本体部10に備えた対応する構成要素との間の信号線を1本の信号線として接続するための本体部10側の機構である。
リミッティングアンプ回路170は、挿入部20の先端部に備えたイメージセンサ212から対応する信号線によって伝送された被写体像の画素信号を増幅する増幅回路(アンプ)である。なお、本体部10にリミッティングアンプ回路170を備えているのは、内視鏡装置1において挿入部20(より具体的には、スコープ部21)の長さは非常に長い(例えば、十メートルというような長さである)ため、イメージセンサ212が出力した画素信号が対応する信号線によって本体部10に伝送されてくるまでの間に減衰してしまうことがあるからである。リミッティングアンプ回路170は、イメージセンサ212から出力された画素信号の信号レベルを、画像処理部130が画像処理を行う際に必要な信号レベルまで増幅する。そして、リミッティングアンプ回路170は、信号レベルを増幅した画素信号を、画像処理部130に出力する。
画像処理部130は、リミッティングアンプ回路170から出力された、先端部内のイメージセンサ212が出力した被写体像の画素信号(例えば、RAW信号)に対して予め定められた種々の画像処理を施し、撮像した被検物内の被写体の画像(映像)を生成するデジタル信号処理部である。ここで、画像処理部130が行う画像処理は、イメージセンサ212が出力した被写体像の画素信号を、例えば、YUV422などの一般的な画像フォーマットの画像信号に変換する、いわゆる、現像処理である。例えば、イメージセンサ212の撮像領域に配置されたそれぞれの画素に貼付されたカラーフィルタの色配列がベイヤー配列である場合、現像処理において画像処理部130は、イメージセンサ212が出力した画素信号に含まれるそれぞれの画素の情報に基づいて、被写体の画像(映像)を表す輝度信号や色信号に変換する三板化処理などを行う。さらに、画像処理部130は、三板化処理した画像信号に対して行うガンマ補正処理や輪郭補正処理などの信号処理を行ってもよい。画像処理部130は、現像処理によってイメージセンサ212が出力した画素信号から生成した被写体の画像(映像)を、システム制御部110に出力する。
また、画像処理部130は、システム制御部110から設定されたイメージセンサ212の起動や撮影の動作に関する様々な設定に基づいて、イメージセンサ212を制御するための制御信号を、イメージセンサ212に出力する。画像処理部130がイメージセンサ212に出力する制御信号には、イメージセンサ212における動作モードなどを設定するレジスタの設定値などが含まれている。画像処理部130は、例えば、I2C(Inter-Integrated Circuit)や、SPI(Serial Peripheral Interface)などの予め定めた種々のシリアル通信方式で、制御信号をイメージセンサ212に出力する。なお、上述したように、内視鏡装置1においては、挿入部20(より具体的には、スコープ部21)の長さが非常に長く、画像処理部130が出力した制御信号が対応する信号線によってスコープ部21の先端側に配置されたイメージセンサ212に到達するまでに減衰してしまうことが考えられる。このため、画像処理部130は、イメージセンサ212に出力する制御信号を、制御信号ドライブ回路160に出力する。
制御信号ドライブ回路160は、画像処理部130から出力されたイメージセンサ212への制御信号を増幅して出力する駆動回路(ドライブ回路)である。制御信号ドライブ回路160は、画像処理部130が出力した制御信号が、スコープ部21の先端側に配置されたイメージセンサ212に正しく入力されるように、必要な信号レベルまで増幅して出力する。より具体的には、制御信号ドライブ回路160は、画像処理部130が出力した制御信号を電流増幅してイメージセンサ212に出力する。これにより、イメージセンサ212は、画像処理部130から出力された制御信号を正しく受け取り、受け取った制御信号に応じた動作モードや設定で、撮影の動作を行う。
ユーザインターフェース部190は、内視鏡装置1の使用者による操作を受け付けるインターフェース部である。ユーザインターフェース部190は、受け付けた内視鏡装置1の使用者の操作を表す情報を、システム制御部110に出力する。ユーザインターフェース部190は、例えば、使用者が操作するボタンやスイッチ、ジョイスティックなどを備えたリモコン端末などの専用の操作装置などによって構成される。内視鏡装置1の使用者は、ユーザインターフェース部190を操作することによって、挿入部20の先端部を被検物内に挿入するときの先端部の動きや方向を指示する。また、内視鏡装置1の使用者は、内視鏡装置1における被写体の撮影や被写体の計測などを指示する。
パラメータ記憶部120は、システム制御部110の機能を実現するためのプログラムや設定値のデータが格納されたメモリである。パラメータ記憶部120は、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの種々のメモリを含んで構成される。
システム制御部110は、内視鏡装置1における全体の制御を行う制御部である。システム制御部110は、CPU(Central Processing Unit)などの処理装置を含んで構成される。システム制御部110は、起動する際に、パラメータ記憶部120に格納されたプログラムや設定値のデータを読み込み、読み込んだプログラムや設定値(初期値)のデータに応じた機能の動作を行う。
システム制御部110は、内視鏡装置1の使用者がユーザインターフェース部190を操作することによって入力した先端部の動きや方向の指示に応じて、挿入部20の先端部の動きや方向を制御する。このとき、システム制御部110は、挿入部20の先端部(より具体的には、スコープ部21の先端側)の動きや方向を制御するための制御信号(以下、「湾曲制御信号」という)を、湾曲制御部140に出力する。
湾曲制御部140は、システム制御部110から出力された湾曲制御信号に基づいて、挿入部20の先端部の動きや方向を実際に制御するための駆動信号を生成する。より具体的には、湾曲制御部140は、システム制御部110から出力された湾曲制御信号に基づいて、挿入部20の先端部を上下方向に動かすための駆動信号と、挿入部20の先端部を左右方向に動かすための駆動信号とのそれぞれの駆動信号を生成する。そして、湾曲制御部140は、生成したそれぞれの駆動信号を、湾曲モータ141aと湾曲モータ141bとのそれぞれに出力する。例えば、湾曲制御部140は、挿入部20の先端部を上下方向に動かすための駆動信号(以下、「上下駆動信号」という)を湾曲モータ141aに出力し、挿入部20の先端部を左右方向に動かすための駆動信号(以下、「左右駆動信号」という)を湾曲モータ141bに出力する。なお、湾曲制御部140は、湾曲モータ141aと湾曲モータ141bとのそれぞれを対応する駆動信号で駆動する際に、湾曲モータ141aと湾曲モータ141bとのそれぞれが実際に動いた量に基づいてフィードバック制御を行う。つまり、湾曲制御部140は、湾曲用ワイヤーが実際に動いた量を検出して、挿入部20の先端部の動きや方向をフィードバック制御する。
湾曲モータ141aおよび湾曲モータ141bのそれぞれは、湾曲制御部140から出力された対応する駆動信号に応じて対応する湾曲用ワイヤーを牽引することによって、挿入部20の先端部を実際に動かすモータである。より具体的には、湾曲モータ141aおよび湾曲モータ141bのそれぞれは、対応する方向の2本の湾曲用ワイヤーの内、いずれか一方の湾曲用ワイヤーを引っ張り、同時に他方の湾曲用ワイヤーを緩める(積極的に押し出してはいない)ことによって、挿入部20の先端部を、内視鏡装置1の使用者がユーザインターフェース部190を操作して指示した方向に向ける。例えば、湾曲モータ141aが挿入部20の先端部を上下方向に動かすためのモータである場合、湾曲制御部140から出力された上下駆動信号に基づいて、上下方向に対応する2本の湾曲用ワイヤーを上述したように牽引して、挿入部20の先端部を実際に上下方向に動かす。また、例えば、湾曲モータ141bが挿入部20の先端部を左右方向に動かすためのモータである場合、湾曲制御部140から出力された左右駆動信号に基づいて、左右方向に対応する2本の湾曲用ワイヤーを上述したように牽引して、挿入部20の先端部を実際に左右方向に動かす。なお、湾曲モータ141aと湾曲モータ141bとのそれぞれには、例えば、ポテンショメータ(不図示)が設置されている。不図示のポテンショメータは、湾曲モータ141aと湾曲モータ141bとのそれぞれが対応する駆動信号に応じて湾曲用ワイヤーを牽引するために回転した実際の回転量を検出する。ポテンショメータが検出した湾曲モータ141aと湾曲モータ141bとのそれぞれの回転量の情報は、湾曲制御部140に出力され、湾曲制御部140によるフィードバック制御に用いられる。
また、システム制御部110は、内視鏡装置1の使用者がユーザインターフェース部190を操作することによって入力した撮影の指示に応じて、内視鏡装置1における被検物内の被写体の撮影を制御する。このとき、システム制御部110は、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver-Transmitter)などの予め定めた通信方式によって、挿入部20の先端部(より具体的には、スコープ部21の先端側)に備えたイメージセンサ212の起動や撮影の動作に関する様々な設定を、画像処理部130に対して行う。また、システム制御部110は、挿入部20の先端部(より具体的には、スコープ部21の先端側に装着された光学アダプタ22)に備えた光源221が発光する光の光量やタイミングを制御するための駆動信号(以下、「発光駆動信号」という)を、光源221に出力する。このとき、システム制御部110は、画像処理部130がイメージセンサ212に出力した制御信号の情報、つまり、イメージセンサ212の動作タイミングの情報などを、UARTによって画像処理部130から取得する。そして、システム制御部110は、取得した制御信号の情報に基づいて、イメージセンサ212の動作タイミングに合ったタイミング、つまり、イメージセンサ212における被写体像の撮像タイミングに同期して光源221を発光させるように制御する発光駆動信号を、光源221に出力する。より具体的には、システム制御部110は、イメージセンサ212が被写体像を撮像する露光期間の間、光源221を発光させるように制御する発光駆動信号を、光源221に出力する。なお、上述したように、内視鏡装置1においては、挿入部20(より具体的には、スコープ部21)の長さが非常に長く、システム制御部110が光源221を駆動するための発光駆動信号を光源221に直接出力したとしても、出力した発光駆動信号が対応する信号線によって光学アダプタ22に備えた光源221に到達するまでに減衰してしまうことが考えられる。このため、システム制御部110は、光源221に出力する発光駆動信号を、光源駆動回路150に出力する。
光源駆動回路150は、システム制御部110から出力された光源221への発光駆動信号を増幅して出力する駆動回路(ドライブ回路)である。光源駆動回路150は、システム制御部110が出力した発光駆動信号が、スコープ部21の先端側に装着された光学アダプタ22内の光源221に正しく入力されるように、必要な信号レベルまで増幅して駆動する。なお、光源駆動回路150も、制御信号ドライブ回路160と同様に、システム制御部110が出力した発光駆動信号を電流増幅して光源221に出力する。これにより、光源221は、イメージセンサ212に同期したタイミングで、発光駆動信号に応じた光量の光を発光する。
なお、スコープ部21の先端側に装着された光学アダプタ22内の光源221を発光させる構成は、上述した構成に限定されるものではない。例えば、システム制御部110が、光源221の発光を制御するための制御信号(以下、「発光制御信号」という)を光源駆動回路150に出力し、光源駆動回路150が、システム制御部110から出力された発光制御信号が表す光の光量およびタイミングで光源221が発光するための発光駆動信号を生成して出力する構成であってもよい。
また、システム制御部110は、内視鏡装置1の使用者がユーザインターフェース部190を操作することによって入力した表示や記録の指示に応じて、画像処理部130が生成した被写体の画像(映像)の表示装置30への表示や、記録媒体40への記録を制御する。より具体的には、システム制御部110に備えた表示制御部113が、画像処理部130が生成した被写体の画像(映像)を表示装置30に表示させる。また、システム制御部110に備えた画像記録処理部112が、画像処理部130が生成した被写体の画像(映像)を記録媒体40に記録させる。
表示制御部113は、画像処理部130が生成した被写体の画像(映像)を表示装置30に表示させるための制御を行う。より具体的には、表示制御部113は、画像処理部130が生成した被写体の画像(映像)を表示装置30に表示させるための表示画像の形式や画像サイズに変換し、表示装置30に出力して表示させる。また、表示制御部113は、例えば、内視鏡装置1の操作メニューや被写体の計測結果など、様々な情報を表示画像内に示すためのオンスクリーンディスプレイ(On Screen Display:OSD)画像を表示画像に重畳して表示装置30に表示させる制御も行う。
画像記録処理部112は、画像処理部130が生成した被写体の画像(映像)を記録媒体40に記録させるための制御を行う。より具体的には、画像記録処理部112は、画像処理部130が生成した被写体の画像(映像)を記録媒体40に記録させるための記録画像の形式に変換し、記録媒体40に出力して記録させる。なお、画像記録処理部112が変換する記録画像の形式としては、JPEGなどの静止画像圧縮形式や、MPEGなどの動画像圧縮形式などがある。
なお、内視鏡装置1では、上述した挿入部20の構成、つまり、スコープ部21の先端部に装着した光学アダプタ22の構成によって、被検物内の被写体のステレオ計測を行う。このため、システム制御部110は、内視鏡装置1の使用者がユーザインターフェース部190を操作することによって入力した計測の指示に応じて、被写体のステレオ撮影を制御する。内視鏡装置1におけるステレオ計測では、イメージセンサ212に出射する被写体からの反射光の光路を時系列に切り替える。より具体的には、内視鏡装置1では、上述したように、挿入部20の先端部(より具体的には、スコープ部21の先端側に装着された光学アダプタ22)に備えた光路切り替え部223によって、対物レンズ222aまたは対物レンズ222bのいずれか一方が出射した被写体からの反射光がイメージセンサ212の撮像領域の全体に出射されるように、イメージセンサ212に光を出射する光路を時系列に切り替える。内視鏡装置1では、システム制御部110に備えた光路切り替え制御部114が、イメージセンサ212に光を出射する光路の時系列の切り替えを制御する。
光路切り替え制御部114は、挿入部20の先端部(より具体的には、スコープ部21の先端側に装着された光学アダプタ22)に備えた光路切り替え部223がイメージセンサ212に光を出射する光路を時系列に切り替える、つまり、光路切り替え部223が遮光部材224を移動(摺動)させる速度やタイミングを制御するための駆動信号(以下、「光路切り替え駆動信号」という)を、光路切り替え部223に出力する。このとき、光路切り替え制御部114は、画像処理部130から取得した制御信号の情報に基づいて、イメージセンサ212における被写体像の撮像タイミングに同期して、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるための光路切り替え駆動信号を、光路切り替え部223に出力する。より具体的には、光路切り替え制御部114は、イメージセンサ212が被写体像を撮像した画素信号を出力する期間、つまり、イメージセンサ212において露光期間が終了してから次の露光期間が始まるまでの期間内に、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるようにする光路切り替え駆動信号を、光路切り替え部223に出力する。以下の説明においては、露光期間が終了してから次の露光期間が始まるまでの、イメージセンサ212が被写体像を撮像した画素信号を出力する期間を、「画素信号読み出し期間」という。なお、上述したように、内視鏡装置1においては、挿入部20(より具体的には、スコープ部21)の長さが非常に長く、システム制御部110がイメージセンサ212に入射される被写体からの反射光の光路を切り替える光路切り替え駆動信号を光路切り替え部223に直接出力したとしても、出力した光路切り替え駆動信号が対応する信号線によって光学アダプタ22に備えた光路切り替え部223に到達するまでに減衰してしまうことが考えられる。このため、システム制御部110(より具体的には、光路切り替え制御部114)は、光路切り替え部223に出力する光路切り替え駆動信号を、光路切り替え駆動回路180に出力する。
なお、光路切り替え制御部114は、光路切り替え駆動信号を光路切り替え部223に出力したことを、表示制御部113に通知する。これにより、表示制御部113は、画像処理部130が生成した被検物内の被写体の1対、つまり、2フレーム分の画像(映像)を、右目に相当する画像(映像)と左目に相当する画像(映像)とのそれぞれの画像(映像)として、表示装置30に表示させることができる。
また、光路切り替え制御部114は、挿入部20の先端部(より具体的には、スコープ部21の先端側)に備えた温度センサ215が計測して出力した先端部の温度を表す温度情報に基づいて、光路切り替え駆動信号の光路切り替え部223への出力を制御する。つまり、光路切り替え制御部114は、挿入部20の先端部の温度に基づいて、ステレオ計測を行うためにイメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるか否かを判定し、判定した結果に応じて、光路切り替え部223に出力する光路切り替え駆動信号の出力を制御する。このとき、光路切り替え制御部114は、パラメータ記憶部120に格納されている、予め定めた先端部の温度の閾値に基づいて、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるか否かを判定する。なお、光路切り替え制御部114によるステレオ撮影を行うか否かの制御方法に関しては、後述する。
光路切り替え駆動回路180は、システム制御部110内の光路切り替え制御部114から出力された光路切り替え部223への光路切り替え駆動信号を増幅して出力する駆動回路(ドライブ回路)である。光路切り替え駆動回路180は、光路切り替え制御部114が出力した光路切り替え駆動信号が、スコープ部21の先端側に装着された光学アダプタ22内の光路切り替え部223に正しく入力されるように、必要な信号レベルまで増幅して駆動する。なお、光路切り替え駆動回路180も、制御信号ドライブ回路160や光源駆動回路150と同様に、光路切り替え制御部114が出力した光路切り替え駆動信号を電流増幅して光路切り替え部223出力する。これにより、光路切り替え部223は、イメージセンサ212に同期したタイミングで、イメージセンサ212の撮像領域の全体に出射される被写体からの反射光が、光路切り替え駆動信号が表す対物レンズ222aまたは対物レンズ222bのいずれか一方の光路に出射された被写体からの反射光に切り替えられる。
なお、スコープ部21の先端側に装着された光学アダプタ22内の光路切り替え部223によってイメージセンサ212に入射される被写体からの反射光の光路を切り替えさせる構成は、上述した構成に限定されるものではない。例えば、光路切り替え制御部114が、イメージセンサ212に入射される被写体からの反射光の光路の切り替えを制御するための制御信号(以下、「光路切り替え制御信号」という)を光路切り替え駆動回路180に出力し、光路切り替え駆動回路180が、光路切り替え制御部114から出力された光路切り替え制御信号が表す速度およびタイミングで光路切り替え部223が光路を切り替えるための光路切り替え駆動信号を生成して出力する構成であってもよい。
なお、内視鏡装置1では、撮影した被検物内の被写体の画像を用いて、内視鏡装置1の使用者がユーザインターフェース部190を操作することによって入力した項目の計測を行う。システム制御部110では、計測部111が、画像処理部130が生成した被写体の画像(映像)に基づいて計測を行う。
計測部111は、画像処理部130が生成した被写体の画像(映像)に基づいて計測を行う処理部である。例えば、内視鏡装置1において被写体のステレオ撮影を行った場合、画像処理部130は、イメージセンサ212が時系列に撮影した被検物内の被写体の1対の画像(映像)、つまり、右目に相当する画像(映像)と左目に相当する画像(映像)との2フレーム分の画像(映像)を生成してシステム制御部110に出力する。これにより、計測部111は、画像処理部130が生成した被写体の1対の画像(映像)に基づいて3次元画像を生成し、生成した3次元画像に基づいてステレオ計測を行う。なお、計測部111がステレオ計測を行うために生成する3次元画像の生成方法や、生成した3次元画像に基づいて行うステレオ計測の計測方法などは、既存のステレオ計測において行う方法と同様であるため、詳細な説明は省略する。そして、計測部111は、撮影した被写体の画像を用いて計測した結果の情報を、表示制御部113に出力する。これにより、表示制御部113は、計測部111が計測した結果の情報を示すためのオンスクリーンディスプレイ画像を表示画像に重畳して、表示装置30に表示させる。また、計測部111は、撮影した被写体の画像を用いて計測した結果の情報を、画像記録処理部112に出力する。これにより、画像記録処理部112は、計測部111が計測した結果の情報を記録画像に紐付けて、記録媒体40に記録させる。
次に、第1の実施形態の内視鏡装置1において、ステレオ撮影を行う際の光路切り替えの制御方法について説明する。図2は、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1における光路切り替えの処理手順の一例を示したフローチャートである。図2には、本体部10内のシステム制御部110に備えた光路切り替え制御部114がステレオ撮影を行うか否かを判定し、判定した結果に応じて、スコープ部21の先端側に装着された光学アダプタ22に備えた光路切り替え部223を制御する方法を示している。
光学アダプタ22がスコープ部21の先端側に装着された状態で電源がオンされると、本体部10が起動する(ステップS101)。これにより、本体部10に備えたシステム制御部110は、パラメータ記憶部120に格納されたプログラムや設定値のデータを読み込み、読み込んだプログラムや設定値(初期値)のデータに応じた機能の動作を開始する。そして、システム制御部110は、画像処理部130にイメージセンサ212の起動や撮影の動作に関する設定を行う。そして、画像処理部130は、システム制御部110の設定に基づいた制御信号を、制御信号ドライブ回路160および対応する信号線を介してイメージセンサ212に出力する。このとき、光路切り替え部223には、光路切り替え制御部114から光路切り替え駆動信号が出力されていない状態である。しかし、光路切り替え部223は、例えば、内視鏡装置1の電源を前回オフにしたときに切り替えられていた、対物レンズ222aが光を出射する光路または対物レンズ222bが光を出射する光路のいずれか一方の光路に遮光部材224が移動されている状態を維持している。このため、イメージセンサ212は、画像処理部130からの設定に従って、光路切り替え部223によって遮光されていない方の光路に出射された被写体からの反射光を撮像した被写体像を表す画素信号を、対応する信号線によって本体部10に伝送する。つまり、イメージセンサ212は、右目または左目のいずれか一方に相当する被写体像を表す画素信号を、本体部10に伝送する。これにより、画像処理部130は、リミッティングアンプ回路170によって増幅された画素信号に応じた被写体の画像(映像)を生成し、システム制御部110(より具体的には、表示制御部113)が、画像処理部130が生成した被写体の画像(映像)を表示装置30に表示させる。
その後、内視鏡装置1の使用者は、表示装置30に表示された現在の被写体の画像(映像)を確認しながら、挿入部20の先端部を被検物内に挿入する。そして、内視鏡装置1の使用者は、挿入部20の先端部が、測定対象の被写体の所まで到達したとき、つまり、表示装置30に測定対象の被写体が映し出されているときに、ユーザインターフェース部190を操作して、被写体のステレオ計測を指示する。これにより、ユーザインターフェース部190は、内視鏡装置1の使用者の操作によるステレオ計測の指示を受け付け、受け付けた使用者の指示を表す情報をシステム制御部110に出力する(ステップS102)。システム制御部110は、ユーザインターフェース部190から入力された内視鏡装置1の使用者によるステレオ計測の指示に応じて、光路切り替え制御部114を起動し、光路切り替え制御部114の機能が動作を開始する。
光路切り替え制御部114が動作を開始すると、まず、光路切り替え制御部114は、温度センサ215が計測して出力した先端部の温度を表す温度情報を取得する。また、光路切り替え制御部114は、パラメータ記憶部120に格納されている温度の閾値を取得する。なお、温度の閾値は、例えば、100℃などの温度値であり、先端部の温度がステレオ計測を行うことができる状態であるか否かを判断するための閾値である。光路切り替え制御部114は、取得した温度情報と温度の閾値とに基づいて、先端部の温度が、温度の閾値よりも低いか否かを判定する(ステップS103)。
ステップS103の判定の結果、先端部の温度が温度の閾値よりも低い温度であると判定した場合(ステップS103の“YES”)、光路切り替え制御部114は、内視鏡装置1の使用者からの指示に応じたステレオ計測を行うことができる状態であると判断する。この場合、光路切り替え制御部114は、イメージセンサ212に光を出射する光路を時系列に切り替えると判定し、光路切り替え駆動信号を、イメージセンサ212が被写体像を撮像するフレームごとに、光路切り替え駆動回路180および対応する信号線を介して光路切り替え部223に出力する。例えば、イメージセンサ212が被写体像を撮像するフレームレートが、60フレーム/秒(fps)である場合、光路切り替え制御部114は、光路を切り替える光路切り替え駆動信号を、16.667msごとに光路切り替え部223に出力する。これにより、システム制御部110は、光路切り替え部223によって光路が切り替えられた被写体からの反射光を撮像した計測用の1対の被写体の画像(映像)を取得する(ステップS104)。より具体的には、イメージセンサ212は、光路切り替え部223によってそれぞれのフレームごとに光路が切り替えられて出射された被写体からの反射光を撮像した被写体像を表す画素信号を、対応する信号線によって本体部10に伝送する。つまり、イメージセンサ212は、それぞれのフレームにおいて撮像した、右目に相当する被写体像と左目に相当する被写体像とのそれぞれを表す画素信号を、本体部10に伝送する。そして、画像処理部130は、リミッティングアンプ回路170によって増幅されたそれぞれのフレームの画素信号に応じた被写体の画像(映像)、つまり、右目に相当する画像(映像)と左目に相当する画像(映像)との1対の画像(映像)を生成し、システム制御部110に出力する。
これにより、システム制御部110(より具体的には、計測部111)は、画像処理部130が生成した被写体の1対の画像(映像)に基づいてステレオ計測を行って、ステレオ計測した結果の情報を、表示制御部113に出力する。そして、システム制御部110(より具体的には、表示制御部113)は、画像処理部130が生成した被写体の1対の画像(映像)に、計測部111がステレオ計測した結果の情報を重畳して、表示装置30に表示させる。
なお、光路切り替え制御部114は、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替える光路切り替え駆動信号を、画像処理部130が1対の画像(映像)を生成することができるように、少なくとも1回出力する。しかし、光路切り替え制御部114は、光路切り替え駆動信号を出力する回数を、さらに多くしてもよい。つまり、光路切り替え制御部114は、イメージセンサ212が、右目に相当する被写体像と左目に相当する被写体像とのそれぞれを表す画素信号を、複数フレーム分出力するようにしてもよい。この場合、画像処理部130は、ステレオ計測を行うための複数対の画像(映像)を生成することができ、計測部111が行うステレオ計測の精度を向上させることができる。
一方、ステップS103の判定の結果、先端部の温度が温度の閾値以上の温度であると判定した場合(ステップS103の“NO”)、光路切り替え制御部114は、内視鏡装置1の使用者からの指示に応じたステレオ計測を行うことができない状態であると判断する。この場合、光路切り替え制御部114は、イメージセンサ212に光を出射する光路を時系列に切り替えないと判定し、ステレオ計測を行うことができない状態であることを、表示制御部113に通知する。これにより、表示制御部113は、先端部の温度が高温であるためステレオ計測を行うことができないことを表す警告を、表示装置30に表示させる。また、光路切り替え制御部114は、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替える光路切り替え駆動信号を、光路切り替え部223に出力しない。つまり、光路切り替え制御部114は、内視鏡装置1の使用者からの指示に応じたステレオ計測のための光路の切り替えを停止する(ステップS105)。より具体的には、光路切り替え制御部114は、光路切り替え駆動信号として出力する電流の極性を変化させない。さらに具体的には、光路切り替え制御部114は、光路切り替え駆動信号として出力する電流の極性を“±0”とする。これにより、光路切り替え部223は、対物レンズ222aが光を出射する光路または対物レンズ222bが光を出射する光路のいずれか一方の光路に遮光部材224が移動されている現在の状態を維持する。そして、光路切り替え部223では、遮光部材224を移動(摺動)させる際の消費電力が低減される。
以降、システム制御部110は、ステップS102に戻って、内視鏡装置1の使用者の操作によるステレオ計測の指示を受け付けるごとに、ステップS103~ステップS105の処理を繰り返す。つまり、システム制御部110は、内視鏡装置1の使用者の操作によるステレオ計測の指示を受け付けるごとに先端部の温度を判定し、先端部の温度が温度の閾値よりも低い温度であると判定した場合にのみ、内視鏡装置1の使用者からの指示に応じたステレオ計測を行う。
第1の実施形態によれば、所定の中心軸に沿って長手方向に延びるように形成され、先端部を有する挿入部(挿入部20)と、挿入部20の内部に配置され、先端部に配置された第1の対物光学系(対物レンズ222aおよび対物レンズ222bのいずれか一方)から出射された光(被写体からの反射光)が形成する被写体の第1の被写体像(例えば、右目に相当する被写体像)、および先端部に配置された第2の対物光学系(対物レンズ222aおよび対物レンズ222bのいずれか他方)から出射された光(同じ被写体からの反射光)が形成する被写体の第2の被写体像(例えば、左目に相当する被写体像)が共通に結像される結像領域(撮像領域)に、第1の被写体像および第2の被写体像のうちのいずれか一方の被写体像のみが結像されるように光路を切り替える光路切り替え部(光路切り替え部223および遮光部材224)と、結像領域に結像された第1の被写体像および第2の被写体像を撮像する撮像素子(イメージセンサ212)と、挿入部20の状態に基づいて光路の切り替えを制御する光路切り替え制御部(光路切り替え制御部114)と、を備える、内視鏡装置(内視鏡装置1)が構成される。
また、第1の実施形態によれば、光路切り替え制御部114は、挿入部20の状態に基づいて、光路を切り替えるか否かを判定し、光路を切り替えると判定した場合に、光路切り替え部223に光路を切り替えさせ、光路を切り替えないと判定した場合に、光路切り替え部223に光路を切り替えさせない、内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、光路切り替え制御部114は、光路を切り替えると判定した場合に、光路切り替え部223に光路を切り替えさせるための光路切り替え駆動信号を、光路切り替え部223に出力し、光路を切り替えないと判定した場合に、光路切り替え駆動信号を出力しない、内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、挿入部20は、挿入部20の状態を表す情報を提示する情報提示手段、をさらに備え、光路切り替え制御部114は、情報提示手段によって提示された挿入部20の状態を表す情報に基づいて、光路を切り替えるか否かを判定する、内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、情報提示手段は、挿入部20の状態(挿入部20の先端部の状態)を計測した計測情報を提示する計測手段である、内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、計測手段(温度センサ215)は、挿入部20の先端部の温度を計測した計測情報(温度情報)を提示し、光路切り替え制御部114は、温度情報が表す先端部の温度が、予め定めた温度の閾値よりも低い温度であると判定した場合に、光路を切り替えると判定し、温度情報が表す先端部の温度が、温度の閾値以上の温度であると判定した場合に、光路を切り替えないと判定する、内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、光路切り替え部223は、光路切り替え駆動信号における電流の極性に応じて発生した磁場によって、いずれか一方の光路を遮蔽する遮光部材(遮光部材224)を摺動させて、光路を切り替える、内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、挿入部20は、軟性のコード部を含むスコープ部(スコープ部21)と、スコープ部21の先端側に着脱可能な光学アダプタ(光学アダプタ22)と、によって構成され、第1の対物光学系、第2の対物光学系、光路切り替え部223は、光学アダプタ22内に配置され、イメージセンサ212は、スコープ部21の先端側に配置される、内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、光路切り替え制御部114は、光路を切り替えないと判定した場合に、判定した結果を通知する、内視鏡装置1が構成される。
また、第1の実施形態によれば、所定の中心軸に沿って長手方向に延びるように形成され、先端部を有する挿入部(挿入部20)と、挿入部20の内部に配置され、先端部に配置された第1の対物光学系(対物レンズ222aおよび対物レンズ222bのいずれか一方)から出射された光(被写体からの反射光)が形成する被写体の第1の被写体像(例えば、右目に相当する被写体像)、および先端部に配置された第2の対物光学系(対物レンズ222aおよび対物レンズ222bのいずれか他方)から出射された光(同じ被写体からの反射光)が形成する被写体の第2の被写体像(左目に相当する被写体像)が共通に結像される結像領域(撮像領域)に、第1の被写体像および第2の被写体像のうちのいずれか一方の被写体像のみが結像されるように光路を切り替える光路切り替え部(光路切り替え部223および遮光部材224)と、結像領域に結像された第1の被写体像および第2の被写体像を撮像する撮像素子(イメージセンサ212)と、挿入部20の状態に基づいて光路の切り替えを制御する光路切り替え制御部(光路切り替え制御部114)と、を備える内視鏡装置(内視鏡装置1)の制御方法であって、光路切り替え制御部114が、挿入部20の状態に基づいて、光路を切り替えるか否かを判定するステップと、光路を切り替えると判定した場合に、光路切り替え部223に光路を切り替えさせるステップと、光路を切り替えないと判定した場合に、光路切り替え部223に光路を切り替えさせないステップと、を含む内視鏡装置1の制御方法が構成される。
また、第1の実施形態によれば、所定の中心軸に沿って長手方向に延びるように形成され、先端部を有する挿入部(挿入部20)と、挿入部20の内部に配置され、先端部に配置された第1の対物光学系(対物レンズ222aおよび対物レンズ222bのいずれか一方)から出射された光(被写体からの反射光)が形成する被写体の第1の被写体像(例えば、右目に相当する被写体像)、および先端部に配置された第2の対物光学系(対物レンズ222aおよび対物レンズ222bのいずれか他方)から出射された光(同じ被写体からの反射光)が形成する被写体の第2の被写体像(左目に相当する被写体像)が共通に結像される結像領域(撮像領域)に、第1の被写体像および第2の被写体像のうちのいずれか一方の被写体像のみが結像されるように光路を切り替える光路切り替え部(光路切り替え部223および遮光部材224)と、結像領域に結像された第1の被写体像および第2の被写体像を撮像する撮像素子(イメージセンサ212)と、挿入部20の状態に基づいて光路の切り替えを制御する光路切り替え制御部(光路切り替え制御部114)と、を備える内視鏡装置(内視鏡装置1)における光路切り替え制御部114のコンピュータに、挿入部20の状態に基づいて、光路を切り替えるか否かを判定する処理と、光路を切り替えると判定した場合に、光路切り替え部223に光路を切り替えさせる処理と、光路を切り替えないと判定した場合に、光路切り替え部223に光路を切り替えさせない処理と、を実行させる内視鏡装置1の制御プログラムが構成される。
また、第1の実施形態によれば、所定の中心軸に沿って長手方向に延びるように形成され、先端部を有する挿入部(挿入部20)と、挿入部20の内部に配置され、先端部に配置された第1の対物光学系(対物レンズ222aおよび対物レンズ222bのいずれか一方)から出射された光(被写体からの反射光)が形成する被写体の第1の被写体像(例えば、右目に相当する被写体像)、および先端部に配置された第2の対物光学系(対物レンズ222aおよび対物レンズ222bのいずれか他方)から出射された光(同じ被写体からの反射光)が形成する被写体の第2の被写体像(左目に相当する被写体像)が共通に結像される結像領域(撮像領域)に、第1の被写体像および第2の被写体像のうちのいずれか一方の被写体像のみが結像されるように光路を切り替える光路切り替え部(光路切り替え部223および遮光部材224)と、結像領域に結像された第1の被写体像および第2の被写体像を撮像する撮像素子(イメージセンサ212)と、挿入部20の状態に基づいて光路の切り替えを制御する光路切り替え制御部(光路切り替え制御部114)と、を備える(内視鏡装置1)における光路切り替え制御部114のコンピュータに、挿入部20の状態に基づいて、光路を切り替えるか否かを判定する処理と、光路を切り替えると判定した場合に、光路切り替え部223に光路を切り替えさせる処理と、光路を切り替えないと判定した場合に、光路切り替え部223に光路を切り替えさせない処理と、を実行させる内視鏡装置1の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が構成される。
上記に述べたように、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、スコープ部21の先端側、つまり、挿入部20の先端部に温度センサ215を備える。これにより、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、内視鏡装置1の使用者からの指示に応じてステレオ計測を行う際に、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるために遮光部材224を移動(摺動)させる光路切り替え部223の温度の変化を計測することができる。そして、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、温度センサ215が計測した光路切り替え部223の温度が、予め定めた温度の閾値よりも低い温度であると判定した場合に、イメージセンサ212が被写体像を撮像するフレームに同期したタイミングで遮光部材224を移動(摺動)させる。一方、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、温度センサ215が計測した光路切り替え部223の温度が、予め定めた温度の閾値以上の温度であると判定した場合には、ステレオ計測のための光路の切り替えを停止する。これにより、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、ステレオ計測を行う際に光路切り替え部223が遮光部材224を移動(摺動)させることによって消費する消費電力を低減させることができる。このことにより、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、光路切り替え部223における不必要な発熱を抑えることができる。これにより、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、例えば、高温の被検物に挿入部20を挿入して測定対象の被写体を撮影する際に、光路切り替え部223がさらに高温になって定格の温度を超えてしまい、光路切り替え部223自体の機構や、光路切り替え部223が配置された周辺の構成要素、つまり、挿入部20の先端部に備えた構成要素(例えば、イメージセンサ212など)が破壊されてしまう可能性を低くすることができる。
なお、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、光路切り替え制御部114が、パラメータ記憶部120に格納されている1つの温度の閾値に基づいて、ステレオ計測を行うためにイメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるか否かを判定する構成を示した。しかし、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、光路切り替え制御部114が光路を切り替えるか否かを判定するために用いる温度の閾値は、上述したように、1つの温度の閾値に限定されるものではなく、より多くの温度の閾値を用いて段階的にステレオ計測に制約をもたせる構成にしてもよい。例えば、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1において、光路切り替え制御部114が光路を切り替えるか否かを判定するために用いる温度の閾値を2つ用意してもよい。この場合、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、温度センサ215が計測した温度が、低い方の温度の閾値から高い方の温度の閾値までの間であると判定した場合には、先端部の温度が高くなってきていることを表す注意を表示装置30に表示させた上で、光路の切り替えを行ってステレオ計測を行う、またはステレオ計測のために取得する1対の被写体の画像(映像)の数を少なくするなどの制約をもたせた構成にすることができる。そして、この場合、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、温度センサ215が計測した温度が、高い方の温度の閾値以上の温度であると判定した場合に、上述したように、先端部の温度が高温であるためステレオ計測を行うことができないことを表す警告を表示装置30に表示させた上で、ステレオ計測のための光路の切り替えを停止する構成にすることができる。
なお、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、挿入部20の先端部に温度センサ215を備えることによって、光路切り替え部223の温度の変化を計測する構成を説明した。しかし、光路切り替え部223の温度の変化を計測する構成は、上述したような温度センサ215を備えた構成に限定されるものではない。例えば、光路切り替え部223の温度の変化は、イメージセンサ212が被写体像を撮像して出力した画素信号が表す輝度の情報の変化や、画素信号に含まれるノイズの量の変化、画素信号の波形の変化などからも推定することができる。これは、光路切り替え部223の発熱によって挿入部20の先端部に備えたイメージセンサ212も高温になってくると、イメージセンサ212が出力する画素信号によって表される輝度の飽和レベルが下がり、ノイズ量が増加し、波形の変化量(信号レベルの変化量)が少なくなるからである。この場合、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置1では、本体部10に備えたシステム制御部110(より具体的には、光路切り替え制御部114)が、画像処理部130が画像処理を行う前の状態の画素信号、つまり、イメージセンサ212が出力した元の状態の画素信号に基づいて、光路切り替え部223の温度の変化を推定する構成となる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置について説明する。なお、第2の実施形態の内視鏡装置も、工業用の内視鏡装置である場合について説明する。図3は、本発明の第2の実施形態における内視鏡装置の構成の一例を示したブロック図である。図3に示した内視鏡装置2も、図1に示した第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、本体部10と、細長い挿入部20とを備えている。また、内視鏡装置2でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、本体部10に、表示装置30と記録媒体40とが接続されている。
内視鏡装置2でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、所定の中心軸に沿って長手方向に延びた形状の軟性の挿入部20の先端部を被検物内に挿入し、撮影した被写体の画像(映像)の表示装置30への表示や、被写体の画像のデータの記録媒体40への記録を行う。
本体部10は、システム制御部110と、パラメータ記憶部120と、画像処理部130と、湾曲制御部140と、2つの湾曲モータ141aおよび湾曲モータ141bと、光源駆動回路150と、制御信号ドライブ回路160と、リミッティングアンプ回路170と、光路切り替え駆動回路180と、ユーザインターフェース部190と、ワイヤー接続機構101と、着脱コネクタ102とを含んで構成される。また、システム制御部110は、計測部111と、画像記録処理部112と、表示制御部113と、光路切り替え制御部115とを含んで構成される。
挿入部20は、軟性のコード部を含むスコープ部23と、スコープ部23の先端側に着脱可能な光学アダプタ22とを含んで構成される。スコープ部23は、ワイヤー固定部211と、イメージセンサ212と、水晶発振器213と、レンズ214と、加速度センサ235と、スコープ検知部216と、ワイヤー接続機構201と、着脱コネクタ202とを含んで構成される。また、光学アダプタ22は、光源221と、2つの対物レンズ222aおよび対物レンズ222bと、光路切り替え部223と、遮光部材224とを含んで構成される。なお、スコープ部23において、ワイヤー固定部211、イメージセンサ212、水晶発振器213、レンズ214、および加速度センサ235は、光学アダプタ22が装着される先端側に配置されている。以下の説明においても、イメージセンサ212などが配置されているスコープ部23の先端側と、このスコープ部23の先端側に装着された光学アダプタ22とを含めて、挿入部20の「先端部」という。
内視鏡装置2では、第1の実施形態の内視鏡装置1において挿入部20を構成するスコープ部21に備えた温度センサ215が、加速度センサ235に代わっている。このため、内視鏡装置2では、第1の実施形態の内視鏡装置1において挿入部20を構成するスコープ部21が、スコープ部23に代わっている。また、内視鏡装置2では、第1の実施形態の内視鏡装置1において本体部10に備えたシステム制御部110内の光路切り替え制御部114が、光路切り替え制御部115に代わっている。内視鏡装置2は、加速度センサ235が検出した挿入部20の動きに基づいて、イメージセンサ212に光を出射する光路の切り替えを制御する。
なお、内視鏡装置2に備えたその他の構成要素は、第1の実施形態の内視鏡装置1に備えた構成要素と同じ構成要素である。従って、以下の説明においては、内視鏡装置2の構成要素において、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様の構成要素には、同一の符号を付与し、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略する。そして、以下の説明においては、内視鏡装置2の構成要素において、第1の実施形態の内視鏡装置1と異なる構成要素についてのみを説明する。
加速度センサ235は、挿入部20の先端部の動きを計測する加速度計測手段(センサ)である。加速度センサ235は、挿入部20を被検物内に挿入するときや、内視鏡装置2が被写体を撮影する方向を変えるときの先端部の動きを計測する。加速度センサ235が計測する先端部の動きには、先端部の動き量(変移量)や先端部が動いているときの加速度など、先端部が動いているか否かを判定するための種々の情報が含まれている。加速度センサ235は、計測した先端部の動きを表す動き情報を、コード部内の信号線を介して常に(リアルタイムに)本体部10に出力(提示)する。加速度センサ235は、例えば、加速度センサICなどによって構成される。加速度センサ235は、先端部の動きを表すデータを、動き情報として本体部10に出力する。このとき、加速度センサ235は、例えば、I2Cなどの予め定めたシリアル通信方式で、動き情報を本体部10に出力する。なお、加速度センサ235の構成は、上述したような加速度センサICの構成に限定されるものではなく、例えば、ジャイロセンサなど、先端部が動いているときの角速度を表すデータを動き情報として出力する構成であってもよい。
内視鏡装置2でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、挿入部20の構成、つまり、スコープ部23の先端部に装着した光学アダプタ22の構成によって、被検物内の被写体のステレオ計測を行う。このため、内視鏡装置2でも、システム制御部110が、内視鏡装置2の使用者がユーザインターフェース部190を操作することによって入力した計測の指示に応じて、被写体のステレオ撮影を制御する。内視鏡装置2におけるステレオ計測でも、第1の実施形態の内視鏡装置1におけるステレオ計測と同様に、イメージセンサ212に出射する被写体からの反射光の光路を時系列に切り替える。内視鏡装置2では、システム制御部110に備えた光路切り替え制御部115が、第1の実施形態の内視鏡装置1においてシステム制御部110に備えた光路切り替え制御部114の代わりに、イメージセンサ212に光を出射する光路の時系列の切り替えを制御する。
光路切り替え制御部115は、光路切り替え制御部114と同様に、挿入部20の先端部(より具体的には、スコープ部23の先端側に装着された光学アダプタ22)に備えた光路切り替え部223がイメージセンサ212に光を出射する光路を時系列に切り替える(光路切り替え部223が遮光部材224を移動(摺動)させる)速度やタイミングを制御するための光路切り替え駆動信号を、光路切り替え部223に出力する。このとき、光路切り替え制御部115も、光路切り替え制御部114と同様に、画像処理部130から取得した制御信号の情報に基づいて、イメージセンサ212における被写体像の撮像タイミングに同期して、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるための光路切り替え駆動信号を、光路切り替え部223に出力する。つまり、光路切り替え制御部115も、光路切り替え制御部114と同様に、イメージセンサ212の画素信号読み出し期間内に、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるようにする光路切り替え駆動信号を、光路切り替え部223に出力する。なお、内視鏡装置2においても、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、挿入部20(より具体的には、スコープ部23)の長さが非常に長いため、光路切り替え制御部115も、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様の理由によって、光路切り替え制御部114と同様に、光路切り替え部223に出力する光路切り替え駆動信号を、光路切り替え駆動回路180に出力する。これにより、光路切り替え部223は、イメージセンサ212に同期したタイミングで、イメージセンサ212の撮像領域の全体に出射される被写体からの反射光が、光路切り替え駆動信号が表す対物レンズ222aまたは対物レンズ222bのいずれか一方の光路に出射された被写体からの反射光に切り替えられる。
なお、内視鏡装置2においても、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、スコープ部23の先端側に装着された光学アダプタ22内の光路切り替え部223によってイメージセンサ212に入射される被写体からの反射光の光路を切り替えさせる構成は、上述した構成に限定されるものではない。つまり、内視鏡装置2においても、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、光路切り替え制御部115が、光路切り替え制御信号を光路切り替え駆動回路180に出力し、光路切り替え駆動回路180が、光路切り替え制御部115から出力された光路切り替え制御信号が表す速度およびタイミングで光路切り替え部223が光路を切り替えるための光路切り替え駆動信号を生成して出力する構成であってもよい。
なお、光路切り替え制御部115は、光路切り替え制御部114と同様に、光路切り替え駆動信号を光路切り替え部223に出力したことを、表示制御部113に通知する。これにより、内視鏡装置2でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、表示制御部113が、画像処理部130が生成した被検物内の被写体の1対(つまり、2フレーム分)の画像(映像)を、右目に相当する画像(映像)と左目に相当する画像(映像)とのそれぞれの画像(映像)として、表示装置30に表示させることができる。
また、光路切り替え制御部115は、光路切り替え制御部114と同様に、光路切り替え駆動信号の光路切り替え部223への出力を制御する。ただし、光路切り替え制御部115は、挿入部20の先端部(より具体的には、スコープ部23の先端側)に備えた加速度センサ235が計測して出力した挿入部20の先端部の動きを表す動き情報に基づいて、光路切り替え駆動信号の光路切り替え部223への出力を制御する。つまり、光路切り替え制御部115では、光路切り替え制御部114が光路を切り替えるか否かを判定する挿入部20の先端部の温度に代わって、挿入部20の先端部の動きに基づいて、ステレオ計測を行うためにイメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるか否かを判定し、判定した結果に応じて、光路切り替え部223に出力する光路切り替え駆動信号の出力を制御する。このとき、光路切り替え制御部115は、パラメータ記憶部120に格納されている、予め定めた先端部の動きの閾値に基づいて、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるか否かを判定する。
次に、第2の実施形態の内視鏡装置2において、ステレオ撮影を行う際の光路切り替えの制御方法について説明する。図4は、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2における光路切り替えの処理手順の一例を示したフローチャートである。図4には、図2に示した第1の実施形態の内視鏡装置1における光路切り替えの処理と同様に、本体部10内のシステム制御部110に備えた光路切り替え制御部115がステレオ撮影を行うか否かを判定し、判定した結果に応じて、スコープ部23の先端側に装着された光学アダプタ22に備えた光路切り替え部223を制御する方法を示している。
光学アダプタ22がスコープ部23の先端側に装着された状態で電源がオンされると、本体部10が起動する(ステップS201)。なお、ステップS201におけるそれぞれの動作は、図2に示した第1の実施形態の内視鏡装置1の光路切り替えの処理におけるステップS101におけるそれぞれの動作と同様である。従って、ステップS201におけるそれぞれの動作に関する詳細な説明は省略する。
その後、内視鏡装置2の使用者は、表示装置30に表示された現在の被写体の画像(映像)を確認しながら、挿入部20の先端部を被検物内に挿入し、挿入部20の先端部が、測定対象の被写体の所まで到達して表示装置30に測定対象の被写体が映し出されているときに、内視鏡装置2の使用者は、ユーザインターフェース部190を操作して、被写体のステレオ計測を指示する。これにより、ユーザインターフェース部190は、内視鏡装置2の使用者の操作によるステレオ計測の指示を受け付け、受け付けた使用者の指示を表す情報をシステム制御部110に出力する(ステップS202)。システム制御部110は、ユーザインターフェース部190から入力された内視鏡装置2の使用者によるステレオ計測の指示に応じて、光路切り替え制御部115を起動し、光路切り替え制御部115の機能が動作を開始する。
光路切り替え制御部115が動作を開始すると、まず、光路切り替え制御部115は、加速度センサ235が計測して出力した先端部の動きを表す動き情報を取得する。また、光路切り替え制御部115は、パラメータ記憶部120に格納されている動きの閾値を取得する。なお、動きの閾値は、先端部の動きが止まっている状態であることを表す値であり、先端部の動きがステレオ計測を行うことができる状態であるか否かを判断するための閾値である。ここで、先端部の動きが止まっている状態とは、例えば、既存の手ぶれ補正の技術を用いることによって、ぶれることなく被写体を撮影することができる状態のことも含んでいる。つまり、先端部の動きが止まっている状態とは、必ずしも先端部が静止している状態のことのみをいうものではない。光路切り替え制御部115は、取得した動き情報と動きの閾値とに基づいて、先端部の動きが、動きの閾値よりも少ないか否かを判定する(ステップS203)。
ステップS203の判定の結果、先端部の動きが動きの閾値よりも少ない動きであると判定した場合(ステップS203の“YES”)、光路切り替え制御部115は、内視鏡装置2の使用者からの指示に応じたステレオ計測を行うことができる状態であると判断する。この場合、光路切り替え制御部115は、イメージセンサ212に光を出射する光路を時系列に切り替えると判定し、光路切り替え駆動信号を、イメージセンサ212が被写体像を撮像するフレームごとに、光路切り替え駆動回路180および対応する信号線を介して光路切り替え部223に出力する。これにより、システム制御部110は、光路切り替え部223によって光路が切り替えられた被写体からの反射光を撮像した計測用の1対の被写体の画像(映像)を取得する(ステップS204)。なお、ステップS204におけるそれぞれの動作は、図2に示した第1の実施形態の内視鏡装置1の光路切り替えの処理におけるステップS104におけるそれぞれの動作と同様である。従って、ステップS204におけるそれぞれの動作に関する詳細な説明は省略する。
これにより、内視鏡装置2でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、システム制御部110(より具体的には、計測部111)が、画像処理部130が生成した被写体の1対の画像(映像)に基づいてステレオ計測を行うことができる。そして、内視鏡装置2でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、システム制御部110(より具体的には、表示制御部113)が、画像処理部130が生成した被写体の1対の画像(映像)に計測部111がステレオ計測した結果の情報を重畳して、表示装置30に表示させることができる。
なお、光路切り替え制御部115も、光路切り替え制御部114と同様に、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替える光路切り替え駆動信号を出力する回数を多くしてもよい。これにより、内視鏡装置2でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、画像処理部130がステレオ計測を行うための複数対の画像(映像)を生成して、計測部111が行うステレオ計測の精度を向上させることができる。
一方、ステップS203の判定の結果、先端部の動きが動きの閾値以上の動きであると判定した場合(ステップS203の“NO”)、光路切り替え制御部115は、内視鏡装置2の使用者からの指示に応じたステレオ計測を行うことができない状態であると判断する。この場合、光路切り替え制御部115は、イメージセンサ212に光を出射する光路を時系列に切り替えないと判定し、ステレオ計測を行うことができない状態であることを、表示制御部113に通知する。これにより、表示制御部113は、先端部の動きが大きい(多い)ためステレオ計測を行うことができないことを表す警告を、表示装置30に表示させる。また、光路切り替え制御部115は、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替える光路切り替え駆動信号を、光路切り替え部223に出力せずに、内視鏡装置2の使用者からの指示に応じたステレオ計測のための光路の切り替えを停止する(ステップS205)。つまり、光路切り替え制御部115は、光路切り替え駆動信号として出力する電流の極性を変化させず(極性を“±0”として)、光路切り替え部223に、対物レンズ222aが光を出射する光路または対物レンズ222bが光を出射する光路のいずれか一方の光路に遮光部材224が移動されている現在の状態を維持させる。これにより、内視鏡装置2でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、光路切り替え部223において、遮光部材224を移動(摺動)させる際の消費電力が低減される。
以降、システム制御部110は、ステップS202に戻って、内視鏡装置2の使用者の操作によるステレオ計測の指示を受け付けるごとに、ステップS203~ステップS205の処理を繰り返す。つまり、システム制御部110は、内視鏡装置2の使用者の操作によるステレオ計測の指示を受け付けるごとに先端部の動きを判定し、先端部の動きが動きの閾値よりも少ない動きであると判定した場合にのみ、内視鏡装置2の使用者からの指示に応じたステレオ計測を行う。
第2の実施形態によれば、計測手段(加速度センサ235)は、挿入部(挿入部20)の先端部の動きを計測した計測情報(動き情報)を提示し、光路切り替え制御部(光路切り替え制御部115)は、動き情報が表す先端部の動きが、予め定めた動きの閾値よりも少ない動きであると判定した場合に、光路を切り替えると判定し、動き情報が表す先端部の動きが、動きの閾値以上の動きであると判定した場合に、光路を切り替えないと判定する、内視鏡装置(内視鏡装置2)が構成される。
上記に述べたように、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2では、スコープ部23の先端側、つまり、挿入部20の先端部に加速度センサ235を備える。これにより、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2では、内視鏡装置2の使用者からの指示に応じてステレオ計測を行う際に、挿入部20の先端部の動き、言い換えれば、被写体のぶれを計測することができる。そして、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2では、加速度センサ235が計測した先端部の動きが、予め定めた動きの閾値よりも少ない動きであると判定した場合に、イメージセンサ212が被写体像を撮像するフレームに同期したタイミングで遮光部材224を移動(摺動)させる。一方、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2では、加速度センサ235が計測した先端部の動きが、予め定めた動きの閾値以上の動きであると判定した場合には、ステレオ計測のための光路の切り替えを停止する。これにより、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2では、ステレオ計測を行うことができない状態であるときに、内視鏡装置2の使用者からの指示に応じて不必要な被写体の撮影を行ってしまうのを防止することができ、光路切り替え部223が遮光部材224を移動(摺動)させることによって消費する消費電力も抑えることができる。また、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2では、挿入部20の先端部の動きが大きいときに光路の切り替えを停止させる、つまり、光路切り替え部223による遮光部材224の移動(摺動)を停止させるため、例えば、挿入部20を被検物内に挿入するときや被写体を撮影する方向を変えるときに先端部に強い衝撃が加わった場合でも、光路切り替え部223と遮光部材224との機械的な機構が破壊されてしまう可能性を低くすることができる。
なお、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2においても、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、光路切り替え制御部115が、パラメータ記憶部120に格納されている1つの動きの閾値に基づいて、ステレオ計測を行うためにイメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるか否かを判定する構成を示した。しかし、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2でも、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、光路切り替え制御部115が光路を切り替えるか否かを判定するために用いる動きの閾値は、上述したように、1つの動きの閾値に限定されるものではなく、より多くの動きの閾値を用いて段階的にステレオ計測に制約をもたせる構成にしてもよい。例えば、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2においても、第1の実施形態の内視鏡装置1と同様に、光路切り替え制御部115が光路を切り替えるか否かを判定するために用いる動きの閾値を2つ用意してもよい。この場合、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2では、加速度センサ235が計測した動きが、小さい(少ない)方の動きの閾値から大きい(多い)方の動きの閾値までの間であると判定した場合には、撮影する被写体がぶれていることを表す注意を表示装置30に表示させた上で、光路の切り替えを行ってステレオ計測を行う、またはステレオ計測のために取得する1対の被写体の画像(映像)の数を少なくするなどの制約をもたせた構成にすることができる。そして、この場合、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2では、加速度センサ235が計測した動きが、大きい(多い)方の動きの閾値以上の動きであると判定した場合に、上述したように、先端部の動きが大きい(多い)ためステレオ計測を行うことができないことを表す警告を表示装置30に表示させた上で、ステレオ計測のための光路の切り替えを停止する構成にすることができる。
なお、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2では、挿入部20の先端部に加速度センサ235を備えることによって、挿入部20の先端部の動き(被写体のぶれ)を計測する構成を説明した。しかし、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2でも、挿入部20を被検物内に挿入するときや被写体を撮影するときの先端部の動きや方向を、本体部10(より具体的には、システム制御部110)が制御している。このため、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2では、挿入部20の先端部の動き(被写体のぶれ)を、先端部の動きや方向を制御するためにシステム制御部110が湾曲制御部140に出力する湾曲制御信号の情報に基づいて推定することができる。この場合、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置2では、挿入部20の先端部に備える加速度センサ235が計測して出力した動き情報に加えて、または動き情報に代わって、湾曲制御信号の情報を用いる構成にすることができる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態の内視鏡装置について説明する。なお、第3の実施形態の内視鏡装置も、工業用の内視鏡装置である場合について説明する。図5は、本発明の第3の実施形態における内視鏡装置の構成の一例を示したブロック図である。図5に示した内視鏡装置3も、図1に示した第1の実施形態の内視鏡装置1、および図3に示した第2の実施形態の内視鏡装置2と同様に、本体部10と、細長い挿入部20とを備えている。また、内視鏡装置3でも、第1の実施形態の内視鏡装置1および第2の実施形態の内視鏡装置2と同様に、本体部10に、表示装置30と記録媒体40とが接続されている。
内視鏡装置3でも、第1の実施形態の内視鏡装置1および第2の実施形態の内視鏡装置2と同様に、所定の中心軸に沿って長手方向に延びた形状の軟性の挿入部20の先端部を被検物内に挿入し、撮影した被写体の画像(映像)の表示装置30への表示や、被写体の画像のデータの記録媒体40への記録を行う。
本体部10は、システム制御部110と、パラメータ記憶部120と、画像処理部130と、湾曲制御部140と、2つの湾曲モータ141aおよび湾曲モータ141bと、光源駆動回路150と、制御信号ドライブ回路160と、リミッティングアンプ回路170と、光路切り替え駆動回路180と、ユーザインターフェース部190と、ワイヤー接続機構101と、着脱コネクタ102とを含んで構成される。また、システム制御部110は、計測部111と、画像記録処理部112と、表示制御部113と、光路切り替え制御部116とを含んで構成される。
挿入部20は、軟性のコード部を含むスコープ部24と、スコープ部24の先端側に着脱可能な光学アダプタ22とを含んで構成される。スコープ部24は、ワイヤー固定部211と、イメージセンサ212と、水晶発振器213と、レンズ214と、スコープ検知部216と、識別部247と、ワイヤー接続機構201と、着脱コネクタ202とを含んで構成される。また、光学アダプタ22は、光源221と、2つの対物レンズ222aおよび対物レンズ222bと、光路切り替え部223と、遮光部材224とを含んで構成される。なお、スコープ部24において、ワイヤー固定部211、イメージセンサ212、水晶発振器213、およびレンズ214は、光学アダプタ22が装着される先端側に配置されている。以下の説明においても、イメージセンサ212などが配置されているスコープ部24の先端側と、このスコープ部24の先端側に装着された光学アダプタ22とを含めて、挿入部20の「先端部」という。
内視鏡装置3では、第1の実施形態の内視鏡装置1において挿入部20を構成するスコープ部21や、第2の実施形態の内視鏡装置2において挿入部20を構成するスコープ部23が、スコープ部24に代わっている。そして、内視鏡装置3では、挿入部20を構成するスコープ部24に識別部247を備えている。また、内視鏡装置3では、挿入部20を構成するスコープ部24から、第1の実施形態の内視鏡装置1において挿入部20を構成するスコープ部21に備えた温度センサ215や、第2の実施形態の内視鏡装置2において挿入部20を構成するスコープ部23に備えた加速度センサ235が削除されている。また、内視鏡装置3では、第1の実施形態の内視鏡装置1において本体部10に備えたシステム制御部110内の光路切り替え制御部114や、第2の実施形態の内視鏡装置2において本体部10に備えたシステム制御部110内の光路切り替え制御部115が、光路切り替え制御部116に代わっている。内視鏡装置3は、識別部247が表すスコープ部24の種類に基づいて、イメージセンサ212に光を出射する光路の切り替えを制御する。
なお、内視鏡装置3に備えたその他の構成要素は、第1の実施形態の内視鏡装置1や第2の実施形態の内視鏡装置2に備えた構成要素と同じ構成要素である。従って、以下の説明においては、内視鏡装置3の構成要素において、第1の実施形態の内視鏡装置1や第2の実施形態の内視鏡装置2と同様の構成要素には、同一の符号を付与し、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略する。そして、以下の説明においては、内視鏡装置3の構成要素において、第1の実施形態の内視鏡装置1や第2の実施形態の内視鏡装置2と異なる構成要素についてのみを説明する。
識別部247は、挿入部20の種類(機能や性能)を識別するための情報を提示する識別手段である。識別部247は、少なくとも、スコープ部24に備えたイメージセンサ212の種類(機能や性能)を識別するための情報を提示する。識別部247は、例えば、スコープ部24の種類、つまり、スコープ部24に備えたイメージセンサ212の種類ごとに排他的に予め定められた固定の抵抗値をもつ抵抗素子などによって構成される。なお、識別部247の構成は、上述したような抵抗素子を用いた構成に限定されるものではなく、例えば、ROM、EPROM、フラッシュメモリなどの種々のメモリの構成であってもよい。
内視鏡装置3でも、第1の実施形態の内視鏡装置1や第2の実施形態の内視鏡装置2と同様に、挿入部20の構成、つまり、スコープ部24の先端部に装着した光学アダプタ22の構成によって、被検物内の被写体のステレオ計測を行う。このため、内視鏡装置3でも、システム制御部110が、内視鏡装置3の使用者がユーザインターフェース部190を操作することによって入力した計測の指示に応じて、被写体のステレオ撮影を制御する。内視鏡装置3におけるステレオ計測でも、第1の実施形態の内視鏡装置1や第2の実施形態の内視鏡装置2におけるステレオ計測と同様に、イメージセンサ212に出射する被写体からの反射光の光路を時系列に切り替える。内視鏡装置3では、システム制御部110に備えた光路切り替え制御部116が、第1の実施形態の内視鏡装置1においてシステム制御部110に備えた光路切り替え制御部114や、第2の実施形態の内視鏡装置2においてシステム制御部110に備えた光路切り替え制御部115の代わりに、イメージセンサ212に光を出射する光路の時系列の切り替えを制御する。
光路切り替え制御部116は、光路切り替え制御部114や光路切り替え制御部115と同様に、挿入部20の先端部(より具体的には、スコープ部24の先端側に装着された光学アダプタ22)に備えた光路切り替え部223がイメージセンサ212に光を出射する光路を時系列に切り替える(光路切り替え部223が遮光部材224を移動(摺動)させる)速度やタイミングを制御するための光路切り替え駆動信号を、光路切り替え部223に出力する。このとき、光路切り替え制御部116も、光路切り替え制御部114や光路切り替え制御部115と同様に、画像処理部130から取得した制御信号の情報に基づいて、イメージセンサ212における被写体像の撮像タイミングに同期して、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるための光路切り替え駆動信号を、光路切り替え部223に出力する。つまり、光路切り替え制御部116も、光路切り替え制御部114や光路切り替え制御部115と同様に、イメージセンサ212の画素信号読み出し期間内に、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるようにする光路切り替え駆動信号を、光路切り替え部223に出力する。なお、内視鏡装置3においても、第1の実施形態の内視鏡装置1や第2の実施形態の内視鏡装置2と同様に、挿入部20(より具体的には、スコープ部24)の長さが非常に長いため、光路切り替え制御部116も、光路切り替え制御部114や光路切り替え制御部115と同様に、光路切り替え部223に出力する光路切り替え駆動信号を、光路切り替え駆動回路180に出力する。これにより、光路切り替え部223は、イメージセンサ212に同期したタイミングで、イメージセンサ212の撮像領域の全体に出射される被写体からの反射光が、光路切り替え駆動信号が表す対物レンズ222aまたは対物レンズ222bのいずれか一方の光路に出射された被写体からの反射光に切り替えられる。
なお、内視鏡装置3においても、第1の実施形態の内視鏡装置1や第2の実施形態の内視鏡装置2と同様に、スコープ部24の先端側に装着された光学アダプタ22内の光路切り替え部223によってイメージセンサ212に入射される被写体からの反射光の光路を切り替えさせる構成は、上述した構成に限定されるものではない。つまり、内視鏡装置3においても、第1の実施形態の内視鏡装置1や第2の実施形態の内視鏡装置2と同様に、光路切り替え制御部116が、光路切り替え制御信号を光路切り替え駆動回路180に出力し、光路切り替え駆動回路180が、光路切り替え制御部116から出力された光路切り替え制御信号が表す速度およびタイミングで光路切り替え部223が光路を切り替えるための光路切り替え駆動信号を生成して出力する構成であってもよい。
なお、光路切り替え制御部116は、光路切り替え制御部114や光路切り替え制御部115と同様に、光路切り替え駆動信号を光路切り替え部223に出力したことを、表示制御部113に通知する。これにより、内視鏡装置3でも、第1の実施形態の内視鏡装置1や第2の実施形態の内視鏡装置2と同様に、表示制御部113が、画像処理部130が生成した被検物内の被写体の1対(つまり、2フレーム分)の画像(映像)を、右目に相当する画像(映像)と左目に相当する画像(映像)とのそれぞれの画像(映像)として、表示装置30に表示させることができる。
また、光路切り替え制御部116は、光路切り替え制御部114や光路切り替え制御部115と同様に、光路切り替え駆動信号の光路切り替え部223への出力を制御する。このとき、光路切り替え制御部116では、本体部10に接続されている挿入部20の種類(より具体的には、スコープ部24に備えたイメージセンサ212の種類)に基づいて、光路切り替え駆動信号の光路切り替え部223への出力を制御する。このため、光路切り替え制御部116は、スコープ部24に備えた識別部247を識別することによって、スコープ部24の種類、つまり、スコープ部24に備えたイメージセンサ212の種類を識別する。例えば、識別部247が予め定めた固定の抵抗値をもつ抵抗素子によって構成されている場合、光路切り替え制御部116は、識別部247の抵抗値を表す電圧値を検出することによって、本体部10に接続されているスコープ部24の種類(イメージセンサ212の種類)を識別する。また、例えば、識別部247がメモリによって構成されている場合、光路切り替え制御部116は、識別部247に格納されているスコープ部24(イメージセンサ212)の種類を表す情報(データ)を読み出すことによって、本体部10に接続されているスコープ部24の種類(イメージセンサ212の種類)を識別する。
なお、光路切り替え制御部116は、識別したスコープ部24(イメージセンサ212)の種類から、イメージセンサ212が被写体像を撮像するフレームレートや、イメージセンサ212が被写体像を撮像する際のブランキング期間などを判別する。これは、イメージセンサ212が被写体像を撮像する際のフレームレートやブランキング期間などによって、光路切り替え部223がイメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるために使用することができる期間、つまり、光路切り替え部223が遮光部材224を移動(摺動)させる速度が異なるからである。
以下の説明においては、光路切り替え制御部116が、少なくとも、イメージセンサ212のフレームレート(60フレーム/秒(fps)や30フレーム/秒(fps)など)を判別するものとして説明する。そして、以下の説明においては、フレームレートが60フレーム/秒(fps)のイメージセンサ212が高速なイメージセンサ212であるものとし、フレームレートが30フレーム/秒(fps)のイメージセンサ212が低速なイメージセンサ212であるものとして説明する。上述したように、光路切り替え制御部116は、イメージセンサ212の画素信号読み出し期間内にイメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるようにする光路切り替え駆動信号を、光路切り替え部223に出力する。ここで、イメージセンサ212における画素信号読み出し期間は、例えば、イメージセンサ212のブランキング期間に相当し、フレームレートが30フレーム/秒(fps)である低速なイメージセンサ212の方が、フレームレートが60フレーム/秒(fps)である高速なイメージセンサ212よりも長いことが考えられる。この場合、低速なイメージセンサ212では、光路切り替え部223が遮光部材224を移動(摺動)させるために使用する時間を、高速なイメージセンサ212よりも長くすることができる。従って、光路切り替え制御部116は、スコープ部24に備えたイメージセンサ212が、低速なイメージセンサ212である場合には、高速なイメージセンサ212である場合よりも低速で光路を切り替えるようにする光路切り替え駆動信号を、光路切り替え部223に出力することができる。
なお、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替える速度は、出力するそれぞれの極性の光路切り替え駆動信号の電流値によって制御することができる。つまり、光路切り替え駆動信号の電流値を高くすることによって、光路切り替え部223による遮光部材224の移動(摺動)を速くして、光路を切り替える速度を速くすることができる。一方、光路切り替え駆動信号の電流値を低くすることによって、光路切り替え部223による遮光部材224の移動(摺動)を遅くして、光路を切り替える速度を遅くすることができる。
このことから、光路切り替え制御部116は、識別した本体部10に接続されている挿入部20の種類(より具体的には、スコープ部24に備えたイメージセンサ212の種類)に基づいて、光路切り替え部223に出力する光路切り替え駆動信号の電流値を制御する。つまり、光路切り替え制御部116は、識別したスコープ部24に備えたイメージセンサ212が、低速なイメージセンサ212である場合には、それぞれの極性の電流値が低い光路切り替え駆動信号を、光路切り替え部223に出力する。これにより、内視鏡装置3では、本体部10に接続されている挿入部20の種類、つまり、スコープ部24に備えたイメージセンサ212の種類が、低速なイメージセンサ212である場合に、ステレオ計測を行う際に光路切り替え部223が遮光部材224を移動(摺動)させるために消費する消費電力を低減させることができる。
次に、第3の実施形態の内視鏡装置3において、ステレオ撮影を行う際の光路切り替えの制御方法について説明する。図6は、本発明の第3の実施形態の内視鏡装置3における光路切り替えの処理手順の一例を示したフローチャートである。図6には、本体部10内のシステム制御部110に備えた光路切り替え制御部116が、接続されているスコープ部24に備えたイメージセンサ212が被写体像を撮像するフレームレートを判別し、ステレオ撮影を行う際に、判別したイメージセンサ212のフレームレートに応じて、スコープ部23の先端側に装着された光学アダプタ22に備えた光路切り替え部223に出力する光路切り替え駆動信号の電流値を制御する方法を示している。以下の説明においては、識別部247が予め定めた固定の抵抗値をもつ抵抗素子によって構成されているものとして説明する。なお、識別部247が抵抗素子によって構成されている場合、光路切り替え制御部116は、上述したように、識別部247の抵抗値を表す電圧値を検出することによって本体部10に接続されているスコープ部24の種類(イメージセンサ212の種類)を識別する。しかし、以下の説明する図6に示した第3の実施形態の内視鏡装置3における光路切り替えの処理では、説明を容易にするため、光路切り替え制御部116は、識別部247の抵抗値を検出するものとして説明する。
光学アダプタ22がスコープ部24の先端側に装着された状態で電源がオンされると、本体部10が起動する(ステップS301)。これにより、本体部10に備えたシステム制御部110は、パラメータ記憶部120に格納されたプログラムや設定値のデータを読み込み、読み込んだプログラムに応じて、光路切り替え制御部116を起動し、光路切り替え制御部116の機能が動作を開始する。
光路切り替え制御部116が動作を開始すると、まず、光路切り替え制御部116は、本体部10に接続されているスコープ部24に備えた識別部247の抵抗値を検出する。そして、光路切り替え制御部116は、検出した識別部247の抵抗値が60fpsタイプの抵抗値である、つまり、フレームレートが60フレーム/秒(fps)の高速なイメージセンサ212を備えたスコープ部24の抵抗値であるか否かを判定する(ステップS302)。
ステップS302の判定の結果、検出した識別部247の抵抗値が60fpsタイプの抵抗値であると判定した場合(ステップS302の“YES”)、光路切り替え制御部116は、イメージセンサ212に光を出射する光路を時系列に高速で切り替えると判定し、スコープ部24が60fpsタイプであることを表す情報を出力する。これにより、システム制御部110は、パラメータ記憶部120から読み込んだ設定値(初期値)のデータに基づいて、画像処理部130にイメージセンサ212を起動して60フレーム/秒(fps)で撮影の動作をさせるための設定を行う。そして、画像処理部130は、システム制御部110の設定に基づいた制御信号を、制御信号ドライブ回路160および対応する信号線を介してイメージセンサ212に出力する(ステップS303)。このとき、光路切り替え部223には、光路切り替え制御部116から光路切り替え駆動信号が出力されていない状態であり、対物レンズ222aが光を出射する光路または対物レンズ222bが光を出射する光路のいずれか一方の光路に遮光部材224が移動されている状態を維持している。このため、イメージセンサ212は、画像処理部130からの設定に従って、光路切り替え部223によって遮光されていない方の光路に出射された被写体からの反射光を60フレーム/秒(fps)で撮像した被写体像を表す画素信号を、対応する信号線によって本体部10に伝送する。つまり、イメージセンサ212は、右目または左目のいずれか一方に相当するそれぞれのフレームの被写体像を表す画素信号を、60フレーム/秒(fps)で本体部10に伝送する。これにより、画像処理部130は、リミッティングアンプ回路170によって増幅された画素信号に応じた被写体の画像(映像)を生成し、システム制御部110(より具体的には、表示制御部113)が、画像処理部130が生成した被写体の画像(映像)を60フレーム/秒(fps)で表示装置30に表示させる。
その後、内視鏡装置3の使用者は、表示装置30に表示された現在の被写体の画像(映像)を確認しながら、挿入部20の先端部を被検物内に挿入し、挿入部20の先端部が、測定対象の被写体の所まで到達して表示装置30に測定対象の被写体が映し出されているときに、ユーザインターフェース部190を操作して、被写体のステレオ計測を指示する。これにより、ユーザインターフェース部190は、内視鏡装置3の使用者の操作によるステレオ計測の指示を受け付け、受け付けた使用者の指示を表す情報をシステム制御部110に出力する(ステップS304)。システム制御部110は、ユーザインターフェース部190から入力された内視鏡装置3の使用者によるステレオ計測の指示に応じて、光路切り替え制御部116に、ステレオ撮影の動作を開始させる。
光路切り替え制御部116がステレオ撮影の動作を開始すると、光路切り替え制御部116は、イメージセンサ212に光を出射する光路を時系列に切り替えるための高速モードの電流値の光路切り替え駆動信号を、イメージセンサ212が被写体像を撮像するフレームごとに、光路切り替え駆動回路180および対応する信号線を介して光路切り替え部223に出力する。ここで、高速モードの電流値とは、60フレーム/秒(fps)で被写体像を撮像しているイメージセンサ212の画素信号読み出し期間内に、イメージセンサ212に光を出射する光路を高速で切り替えるために必要な高さの電流値である。これにより、システム制御部110は、光路切り替え部223によって光路が切り替えられた被写体からの反射光を撮像した計測用の1対の被写体の画像(映像)を取得する(ステップS305)。なお、ステップS305におけるそれぞれの動作は、図2に示した第1の実施形態の内視鏡装置1の光路切り替えの処理におけるステップS104や、図4に示した第2の実施形態の内視鏡装置2の光路切り替えの処理におけるステップS204におけるそれぞれの動作と同様である。従って、ステップS305におけるそれぞれの動作に関する詳細な説明は省略する。
これにより、内視鏡装置3でも、第1の実施形態の内視鏡装置1や第2の実施形態の内視鏡装置2と同様に、システム制御部110(より具体的には、計測部111)が、画像処理部130が生成した被写体の1対の画像(映像)に基づいてステレオ計測をおこなうことができる。そして、内視鏡装置3でも、第1の実施形態の内視鏡装置1や第2の実施形態の内視鏡装置2と同様に、システム制御部110(より具体的には、表示制御部113)が、画像処理部130が生成した被写体の1対の画像(映像)に計測部111がステレオ計測した結果の情報を重畳して、表示装置30に表示させることができる。
なお、光路切り替え制御部116は、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替える高速モードの電流値の光路切り替え駆動信号を出力する回数を多くしてもよい。これにより、内視鏡装置3では、画像処理部130がステレオ計測を行うための複数対の画像(映像)を生成して、計測部111が行うステレオ計測の精度を向上させることができる。
一方、ステップS302の判定の結果、スコープ部24が60fpsタイプではないと判定した場合(ステップS302の“NO”)、光路切り替え制御部116は、検出した識別部247の抵抗値が30fpsタイプの抵抗値である、つまり、フレームレートが30フレーム/秒(fps)の低速なイメージセンサ212を備えたスコープ部24の抵抗値であるか否かを判定する(ステップS306)。
ステップS306の判定の結果、検出した識別部247の抵抗値が30fpsタイプの抵抗値であると判定した場合(ステップS306の“YES”)、光路切り替え制御部116は、イメージセンサ212に光を出射する光路を時系列に低速で切り替えると判定し、スコープ部24が30fpsタイプであることを表す情報を出力する。これにより、システム制御部110は、パラメータ記憶部120から読み込んだ設定値(初期値)のデータに基づいて、画像処理部130にイメージセンサ212を起動して30フレーム/秒(fps)で撮影の動作をさせるための設定を行う。そして、画像処理部130は、システム制御部110の設定に基づいた制御信号を、制御信号ドライブ回路160および対応する信号線を介してイメージセンサ212に出力する(ステップS307)。このときも、光路切り替え部223には、光路切り替え制御部116から光路切り替え駆動信号が出力されていない状態であり、対物レンズ222aが光を出射する光路または対物レンズ222bが光を出射する光路のいずれか一方の光路に遮光部材224が移動されている状態を維持している。このため、イメージセンサ212は、画像処理部130からの設定に従って、光路切り替え部223によって遮光されていない方の光路に出射された被写体からの反射光を30フレーム/秒(fps)で撮像した被写体像を表す画素信号を、対応する信号線によって本体部10に伝送する。つまり、イメージセンサ212は、右目または左目のいずれか一方に相当するそれぞれのフレームの被写体像を表す画素信号を、30フレーム/秒(fps)で本体部10に伝送する。これにより、画像処理部130は、リミッティングアンプ回路170によって増幅された画素信号に応じた被写体の画像(映像)を生成し、システム制御部110(より具体的には、表示制御部113)が、画像処理部130が生成した被写体の画像(映像)を30フレーム/秒(fps)で表示装置30に表示させる。
その後、内視鏡装置3の使用者は、表示装置30に表示された現在の被写体の画像(映像)を確認しながら、挿入部20の先端部を被検物内に挿入し、挿入部20の先端部が、測定対象の被写体の所まで到達して表示装置30に測定対象の被写体が映し出されているときに、ユーザインターフェース部190を操作して、被写体のステレオ計測を指示する。これにより、ユーザインターフェース部190は、内視鏡装置3の使用者の操作によるステレオ計測の指示を受け付け、受け付けた使用者の指示を表す情報をシステム制御部110に出力する(ステップS308)。システム制御部110は、ユーザインターフェース部190から入力された内視鏡装置3の使用者によるステレオ計測の指示に応じて、光路切り替え制御部116に、ステレオ撮影の動作を開始させる。
光路切り替え制御部116がステレオ撮影の動作を開始すると、光路切り替え制御部116は、イメージセンサ212に光を出射する光路を時系列に切り替えるための低速モードの電流値の光路切り替え駆動信号を、イメージセンサ212が被写体像を撮像するフレームごとに、光路切り替え駆動回路180および対応する信号線を介して光路切り替え部223に出力する。ここで、低速モードの電流値とは、30フレーム/秒(fps)で被写体像を撮像しているイメージセンサ212の画素信号読み出し期間内に、イメージセンサ212に光を出射する光路を低速で切り替えるために必要な高さの電流値である。このため、低速モードの電流値は、60フレーム/秒(fps)で被写体像を撮像しているイメージセンサ212の画素信号読み出し期間内にイメージセンサ212に光を出射する光路を高速で切り替えるための高速モードの電流値よりも低い電流値である。これにより、システム制御部110は、光路切り替え部223によって光路が切り替えられた被写体からの反射光を撮像した計測用の1対の被写体の画像(映像)を取得する(ステップS309)。なお、ステップS309におけるそれぞれの動作は、イメージセンサ212が被写体像を撮像するフレームレートが異なっているが、ステップS305におけるそれぞれの動作と同様である。従って、ステップS309におけるそれぞれの動作に関する詳細な説明は省略する。
これにより、内視鏡装置3でも、第1の実施形態の内視鏡装置1や第2の実施形態の内視鏡装置2と同様に、システム制御部110(より具体的には、計測部111)が、画像処理部130が生成した被写体の1対の画像(映像)に基づいてステレオ計測をおこなうことができる。そして、内視鏡装置3でも、第1の実施形態の内視鏡装置1や第2の実施形態の内視鏡装置2と同様に、システム制御部110(より具体的には、表示制御部113)が、画像処理部130が生成した被写体の1対の画像(映像)に計測部111がステレオ計測した結果の情報を重畳して、表示装置30に表示させることができる。
なお、光路切り替え制御部116は、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替える低速モードの電流値の光路切り替え駆動信号を出力する回数を多くしてもよい。これにより、内視鏡装置3では、画像処理部130がステレオ計測を行うための複数対の画像(映像)を生成して、計測部111が行うステレオ計測の精度を向上させることができる。
一方、ステップS306の判定の結果、スコープ部24が30fpsタイプではないと判定した場合(ステップS306の“NO”)、光路切り替え制御部116は、内視鏡装置3の使用者からの指示に応じたステレオ計測を行うことができない状態であると判断する。この場合、光路切り替え制御部116は、イメージセンサ212に光を出射する光路を時系列に切り替えないと判定し、ステレオ計測を行うことができない状態であることを、表示制御部113に通知する。これにより、表示制御部113は、ステレオ計測を行うことができないことを表す警告を、表示装置30に表示させる(ステップS310)。なお、ステップS306が“NO”となる要因としては、本体部10に接続されているスコープ部24に備えた識別部247の抵抗値を検出することができない場合や、スコープ部24に備えたイメージセンサ212のフレームレートが対応していないフレームレートである場合などが考えられる。このため、光路切り替え制御部116は、ステレオ計測を行うことができない状態である要因の情報も併せて、表示制御部113に通知してもよい。この場合、表示制御部113は、ステレオ計測を行うことができない要因を含めた警告を、表示装置30に表示させることができる。
なお、ステップS310において表示装置30に警告を表示させた場合、システム制御部110は、イメージセンサ212を起動して撮影の動作をさせるための設定を行っていない。このため、表示装置30には、警告のみが表示される。従って、内視鏡装置3の使用者は、表示装置30に表示された警告を確認した場合には、本体部10に接続しているスコープ部24の交換などを行った後に、再びスコープ部24の先端側に装着された状態で電源をオンすることにより、内視鏡装置3は、ステップS302~ステップS310の処理を繰り返す。
第3の実施形態によれば、情報提示手段は、挿入部(挿入部20)の種類を識別するための識別情報を提示する識別手段である、内視鏡装置(内視鏡装置3)が構成される。
また、第3の実施形態によれば、識別手段(識別部247)は、撮像素子(イメージセンサ212)の種類を表す識別情報を提示し、光路切り替え制御部(光路切り替え制御部116)は、光路を切り替えると判定した場合に、識別情報が表すイメージセンサ212の種類に応じた光路切り替え駆動信号を出力する、内視鏡装置3が構成される。
また、第3の実施形態によれば、識別情報は、イメージセンサ212が第1の被写体像(例えば、右目に相当する被写体像)および第2の被写体像(例えば、左目に相当する被写体像)を撮像するフレームレートを表す情報であり、光路切り替え制御部116は、識別情報が表すイメージセンサ212のフレームレートが低速である場合には、イメージセンサ212のフレームレートが高速である場合よりも低速で光路を切り替えさせるための光路切り替え駆動信号を出力する、内視鏡装置3が構成される。
また、第3の実施形態によれば、光路切り替え制御部116は、光路を低速で切り替えさせる場合には、光路を高速で切り替えさせるときの光路切り替え駆動信号の電流値よりも低い電流値の光路切り替え駆動信号を出力する、内視鏡装置3が構成される。
上記に述べたように、本発明の第3の実施形態の内視鏡装置3では、スコープ部24に識別部247を備える。これにより、本発明の第3の実施形態の内視鏡装置3では、本体部10に接続されている挿入部20の種類(より具体的には、スコープ部24に備えたイメージセンサ212の種類)を識別することができる。そして、本発明の第3の実施形態の内視鏡装置3では、識別したイメージセンサ212の種類に応じて、光路切り替え部223に出力する光路切り替え駆動信号の電流値を、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるために必要な高さの電流値に制御する。これにより、本発明の第3の実施形態の内視鏡装置3では、イメージセンサ212が被写体像を撮像するフレームレートに適した速さで、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えることができる。そして、本発明の第3の実施形態の内視鏡装置3では、スコープ部24に備えたイメージセンサ212が被写体像を撮像するフレームレートが低速である場合(第3の実施形態では、30フレーム/秒(fps))には、ステレオ計測において遮光部材224を移動(摺動)させるために光路切り替え部223が消費する消費電力を低減させることができる。
なお、本発明の第3の実施形態の内視鏡装置3においては、本体部10に接続する挿入部20(より具体的には、スコープ部24)を変更することによって、イメージセンサ212のフレームレートが異なるフレームレートになる場合について説明した。しかし、イメージセンサ212のフレームレートの変更は、上述したようなイメージセンサ212自体が変わる場合に限定されるものではなく、イメージセンサ212に対する撮影の動作に関する設定によっても変更する(切り替える)ことができる。この場合、本発明の第3の実施形態の内視鏡装置3では、光路切り替え制御部116が、画像処理部130から取得した制御信号の情報に含まれるイメージセンサ212のフレームレートに関する情報に基づいて、光路切り替え部223に出力する光路切り替え駆動信号の電流値を、フレームレートが変更された(切り替えられた)イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるために必要な高さの電流値に制御する。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態の内視鏡装置について説明する。なお、第4の実施形態の内視鏡装置も、工業用の内視鏡装置である場合について説明する。図7は、本発明の第4の実施形態における内視鏡装置の構成の一例を示したブロック図である。図7に示した内視鏡装置4も、第1の実施形態~第3の実施形態の内視鏡装置1~内視鏡装置3と同様に、本体部10と、細長い挿入部20とを備えている。また、内視鏡装置4でも、第1の実施形態~第3の実施形態の内視鏡装置1~内視鏡装置3と同様に、本体部10に、表示装置30と記録媒体40とが接続されている。
内視鏡装置4でも、第1の実施形態~第3の実施形態の内視鏡装置1~内視鏡装置3と同様に、所定の中心軸に沿って長手方向に延びた形状の軟性の挿入部20の先端部を被検物内に挿入し、撮影した被写体の画像(映像)の表示装置30への表示や、被写体の画像のデータの記録媒体40への記録を行う。
本体部10は、システム制御部110と、パラメータ記憶部120と、画像処理部130と、湾曲制御部140と、2つの湾曲モータ141aおよび湾曲モータ141bと、光源駆動回路150と、制御信号ドライブ回路160と、リミッティングアンプ回路170と、光路切り替え駆動回路180と、ユーザインターフェース部190と、ワイヤー接続機構101と、着脱コネクタ102とを含んで構成される。また、システム制御部110は、計測部111と、画像記録処理部112と、表示制御部113と、光路切り替え制御部117とを含んで構成される。
挿入部20は、軟性のコード部を含むスコープ部25と、スコープ部25の先端側に着脱可能な光学アダプタ26とを含んで構成される。スコープ部25は、ワイヤー固定部211と、イメージセンサ212と、水晶発振器213と、レンズ214と、スコープ検知部216と、ワイヤー接続機構201と、着脱コネクタ202とを含んで構成される。また、光学アダプタ26は、光源221と、2つの対物レンズ222aおよび対物レンズ222bと、光路切り替え部223と、遮光部材224と、識別部265とを含んで構成される。なお、スコープ部25において、ワイヤー固定部211、イメージセンサ212、水晶発振器213、およびレンズ214は、光学アダプタ26が装着される先端側に配置されている。以下の説明においても、イメージセンサ212などが配置されているスコープ部25の先端側と、このスコープ部25の先端側に装着された光学アダプタ26とを含めて、挿入部20の「先端部」という。
内視鏡装置4では、第1の実施形態の内視鏡装置1において挿入部20を構成するスコープ部21や、第2の実施形態の内視鏡装置2において挿入部20を構成するスコープ部23、第3の実施形態の内視鏡装置3において挿入部20を構成するスコープ部24が、スコープ部25に代わっている。そして、内視鏡装置4では、第1の実施形態の内視鏡装置1において挿入部20を構成するスコープ部21に備えた温度センサ215や、第2の実施形態の内視鏡装置2において挿入部20を構成するスコープ部23に備えた加速度センサ235、第3の実施形態の内視鏡装置3において挿入部20を構成するスコープ部24に備えた識別部247が削除されている。また、内視鏡装置4では、第1の実施形態~第3の実施形態の内視鏡装置1~内視鏡装置3においてそれぞれのスコープ部の先端側に装着された光学アダプタ22が、光学アダプタ26に代わっている。そして、内視鏡装置4では、挿入部20を構成するスコープ部25の先端側に装着された光学アダプタ26に、識別部265を備えている。また、内視鏡装置4では、第1の実施形態の内視鏡装置1において本体部10に備えたシステム制御部110内の光路切り替え制御部114や、第2の実施形態の内視鏡装置2において本体部10に備えたシステム制御部110内の光路切り替え制御部115、第3の実施形態の内視鏡装置3において本体部10に備えたシステム制御部110内の光路切り替え制御部116が、光路切り替え制御部117に代わっている。内視鏡装置4は、識別部265が表す光学アダプタ26の種類に基づいて、イメージセンサ212に光を出射する光路の切り替えを制御する。
なお、内視鏡装置4に備えたその他の構成要素は、第1の実施形態~第3の実施形態の内視鏡装置1~内視鏡装置3に備えた構成要素と同じ構成要素である。従って、以下の説明においては、内視鏡装置4の構成要素において、第1の実施形態~第3の実施形態の内視鏡装置1~内視鏡装置3と同様の構成要素には、同一の符号を付与し、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略する。そして、以下の説明においては、内視鏡装置4の構成要素において、第1の実施形態~第3の実施形態の内視鏡装置1~内視鏡装置3と異なる構成要素についてのみを説明する。
スコープ部25は、光学アダプタ26が先端側に装着された状態で、先端部から被検物内に挿入され、光学アダプタ26から入射された被検物内の被写体からの反射光を結像した被写体像を表す画素信号を、本体部10に伝送する。
光学アダプタ26は、スコープ部25の先端側に配置されたイメージセンサ212に被検物内の被写体像の光を入射させる光学系のアダプタである。光学アダプタ26は、第1の実施形態~第3の実施形態の内視鏡装置1~内視鏡装置3においてそれぞれのスコープ部の先端側に装着された光学アダプタ22と同様に、2つの対物レンズ222aおよび対物レンズ222bを備え、光路切り替え部223が遮光部材224を移動(摺動)させることによって、イメージセンサ212に出射する被写体からの反射光の光路を切り替えることができる構成である。
識別部265は、挿入部20を構成する光学アダプタ26の種類(機能や性能)を識別するための情報を提示する識別手段である。識別部265は、少なくとも、光学アダプタ26に備えた対物レンズ222aおよび対物レンズ222bのそれぞれの組み合わせを識別するための情報を提示する。識別部265は、例えば、光学アダプタ26の種類、つまり、光学アダプタ26に備えた対物レンズ222aおよび対物レンズ222bのそれぞれの組み合わせごとに排他的に予め定められた固定の抵抗値をもつ抵抗素子などによって構成される。なお、識別部265の構成は、上述したような抵抗素子を用いた構成に限定されるものではなく、例えば、ROM、EPROM、フラッシュメモリなどの種々のメモリの構成であってもよい。
ここで、光学アダプタ26としては、被検物内の被写体の計測を行うための光学アダプタ26と、被写体の観測を行うための光学アダプタ26など、様々な種類がある。そして、それぞれの光学アダプタ26は、対物レンズ222aおよび対物レンズ222bの組み合わせが異なっている。例えば、対物レンズ222aおよび対物レンズ222bのいずれか一方が右目に相当する光学レンズであり、他方が左目に相当する光学レンズである場合、光学アダプタ26は、光学アダプタ22と同様に、内視鏡装置4によって被検物内の被写体をステレオ計測するためのステレオ撮影に用いるステレオ計測アダプタとなる。また、例えば、対物レンズ222aおよび対物レンズ222bのいずれか一方が遠点用の光学レンズであり、他方が近点用の光学レンズである場合、光学アダプタ26は、内視鏡装置4において焦点距離を切り替えて被検物内の被写体を観測するために用いる遠近切り替えアダプタとなる。また、例えば、対物レンズ222aおよび対物レンズ222bのいずれか一方が直視用の光学レンズであり、他方が測視用の光学レンズである場合、光学アダプタ26は、内視鏡装置4において被検物内の被写体を観測する方向を切り替えるために用いる直測切り替えアダプタとなる。また、例えば、対物レンズ222aおよび対物レンズ222bのいずれか一方が望遠用の光学レンズであり、他方が広角用の光学レンズである場合、光学アダプタ26は、内視鏡装置4において被検物内の被写体を観測する際の倍率を切り替えるために用いる望遠広角切り替えアダプタとなる。
内視鏡装置4では、挿入部20の構成、つまり、スコープ部25の先端部に装着した光学アダプタ26の構成によって、被検物内の被写体の計測や観測を行う。このため、内視鏡装置4では、システム制御部110が、内視鏡装置4の使用者がユーザインターフェース部190を操作することによって入力した指示に応じて、被写体の撮影を制御する。より具体的には、例えば、ステレオ計測アダプタがスコープ部25の先端部に装着されている状態で内視鏡装置4の使用者から計測の指示が入力された場合、システム制御部110は、第1の実施形態~第3の実施形態の内視鏡装置1~内視鏡装置3と同様に、入力された計測の指示に応じて、被写体のステレオ撮影を制御する。なお、内視鏡装置4におけるステレオ計測でも、システム制御部110は、第1の実施形態~第3の実施形態の内視鏡装置1~内視鏡装置3におけるステレオ計測と同様に、イメージセンサ212に出射する被写体からの反射光の光路を時系列に切り替える。また、例えば、遠近切り替えアダプタ、直測切り替えアダプタ、または望遠広角切り替えアダプタのいずれかがスコープ部25の先端部に装着されている状態で内視鏡装置4の使用者から切り替えの指示が入力された場合、システム制御部110は、入力された切り替えの指示に応じて、被写体からの反射光をイメージセンサ212に出射する対物レンズ222を切り替える。つまり、内視鏡装置4における対物レンズ222の切り替えでは、システム制御部110が、内視鏡装置4の使用者から切り替えの指示が入力されるごとに、イメージセンサ212に出射する被写体からの反射光の光路を切り替える。内視鏡装置4では、システム制御部110に備えた光路切り替え制御部117が、第1の実施形態の内視鏡装置1においてシステム制御部110に備えた光路切り替え制御部114や、第2の実施形態の内視鏡装置2においてシステム制御部110に備えた光路切り替え制御部115、第3の実施形態の内視鏡装置3においてシステム制御部110に備えた光路切り替え制御部116の代わりに、イメージセンサ212に光を出射する光路の切り替えを制御する。
光路切り替え制御部117は、挿入部20の先端部(より具体的には、スコープ部25の先端側)に装着された光学アダプタ26の種類に基づいて、光学アダプタ26に備えた光路切り替え部223がイメージセンサ212に光を出射する光路を切り替える(光路切り替え部223が遮光部材224を移動(摺動)させる)速度やタイミングを制御するための光路切り替え駆動信号を、光路切り替え部223に出力する。このため、光路切り替え制御部117は、光学アダプタ26に備えた識別部265を識別することによって、光学アダプタ26の種類を識別する。例えば、識別部265が予め定めた固定の抵抗値をもつ抵抗素子によって構成されている場合、光路切り替え制御部117は、識別部265の抵抗値を表す電圧値を検出することによって、スコープ部25の先端部に装着されている光学アダプタ26の種類を識別する。また、例えば、識別部265がメモリによって構成されている場合、光路切り替え制御部117は、識別部265に格納されている光学アダプタ26の種類を表す情報(データ)を読み出すことによって、スコープ部25の先端部に装着されている光学アダプタ26の種類を識別する。これは、スコープ部25の先端部に装着されている光学アダプタ26の種類によって、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるために必要となる速度やタイミングが異なるからである。
光路切り替え制御部117は、ステレオ計測アダプタがスコープ部25の先端部に装着されている状態の場合には、光路切り替え制御部114などと同様に、画像処理部130から取得した制御信号の情報に基づいて、イメージセンサ212における被写体像の撮像タイミングに同期して、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるための光路切り替え駆動信号を、光路切り替え部223に出力する。一方、光路切り替え制御部117は、ステレオ計測アダプタ以外がスコープ部25の先端部に装着されている状態の場合には、内視鏡装置4の使用者から切り替えの指示に応じて、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるための光路切り替え駆動信号を、光路切り替え部223に出力する。つまり、光路切り替え制御部117は、ステレオ計測アダプタがスコープ部25の先端部に装着されている状態の場合にのみ、イメージセンサ212の画素信号読み出し期間内に、イメージセンサ212に光を出射する光路を時系列に切り替えるようにする光路切り替え駆動信号を、光路切り替え部223に出力する。言い換えれば、光路切り替え制御部117は、ステレオ計測アダプタ以外がスコープ部25の先端部に装着されている状態の場合には、ステレオ計測アダプタがスコープ部25の先端部に装着されている状態の場合よりも低速で光路を切り替えるようにする光路切り替え駆動信号を、任意のタイミングで光路切り替え部223に出力する。これにより、内視鏡装置4では、ステレオ計測アダプタ以外がスコープ部25の先端部に装着されている場合には、ステレオ計測アダプタがスコープ部25の先端部に装着されてステレオ計測を行う場合よりも、光路切り替え部223が遮光部材224を移動(摺動)させるために消費する消費電力を低減させることができる。なお、内視鏡装置4においても、第1の実施形態~第3の実施形態の内視鏡装置1~内視鏡装置3と同様に、挿入部20(より具体的には、スコープ部25)の長さが非常に長いため、光路切り替え制御部117も、光路切り替え制御部114や、光路切り替え制御部115、光路切り替え制御部116と同様に、光路切り替え部223に出力する光路切り替え駆動信号を、光路切り替え駆動回路180に出力する。これにより、光路切り替え部223は、イメージセンサ212に同期したタイミングで、イメージセンサ212の撮像領域の全体に出射される被写体からの反射光が、光路切り替え駆動信号が表す対物レンズ222aまたは対物レンズ222bのいずれか一方の光路に出射された被写体からの反射光に切り替えられる。
なお、内視鏡装置4においても、第1の実施形態~第3の実施形態の内視鏡装置1~内視鏡装置3と同様に、スコープ部25の先端側に装着された光学アダプタ26内の光路切り替え部223によってイメージセンサ212に入射される被写体からの反射光の光路を切り替えさせる構成は、上述した構成に限定されるものではない。つまり、内視鏡装置4においても、第1の実施形態~第3の実施形態の内視鏡装置1~内視鏡装置3と同様に、光路切り替え制御部117が、光路切り替え制御信号を光路切り替え駆動回路180に出力し、光路切り替え駆動回路180が、光路切り替え制御部117から出力された光路切り替え制御信号が表す速度およびタイミングで光路切り替え部223が光路を切り替えるための光路切り替え駆動信号を生成して出力する構成であってもよい。
なお、ステレオ計測アダプタ以外がスコープ部25の先端部に装着されている状態の場合、光路切り替え制御部117は、光路切り替え制御部114などと同様に、光路切り替え駆動信号を光路切り替え部223に出力したことを、表示制御部113に通知する。これにより、内視鏡装置4でも、第1の実施形態~第3の実施形態の内視鏡装置1~内視鏡装置3と同様に、表示制御部113が、画像処理部130が生成した被検物内の被写体の1対(つまり、2フレーム分)の画像(映像)を、右目に相当する画像(映像)と左目に相当する画像(映像)とのそれぞれの画像(映像)として、表示装置30に表示させることができる。
次に、第4の実施形態の内視鏡装置4における光路切り替えの制御方法について説明する。図8は、本発明の第4の実施形態の内視鏡装置4における光路切り替えの処理手順の一例を示したフローチャートである。図8には、本体部10内のシステム制御部110に備えた光路切り替え制御部117が、スコープ部25の先端部に装着されている光学アダプタ26を識別し、識別した光学アダプタ26によって、光学アダプタ26に備えた光路切り替え部223に出力する光路切り替え駆動信号の電流値を制御する方法を示している。以下の説明においては、識別部265が予め定めた固定の抵抗値をもつ抵抗素子によって構成されているものとして説明する。なお、識別部265が抵抗素子によって構成されている場合、光路切り替え制御部117は、上述したように、識別部265の抵抗値を表す電圧値を検出することによってスコープ部25の先端部に装着されている光学アダプタ26の種類を識別する。しかし、以下の説明する図8に示した第4の実施形態の内視鏡装置4における光路切り替えの処理でも、説明を容易にするため、光路切り替え制御部117は、識別部265の抵抗値を検出するものとして説明する。
いずれかの光学アダプタ26がスコープ部25の先端側に装着された状態で電源がオンされると、本体部10が起動する(ステップS401)。これにより、本体部10に備えたシステム制御部110は、パラメータ記憶部120に格納されたプログラムや設定値のデータを読み込み、読み込んだプログラムに応じて、光路切り替え制御部117を起動し、光路切り替え制御部117の機能が動作を開始する。
光路切り替え制御部117が動作を開始すると、まず、光路切り替え制御部117は、スコープ部25の先端部に装着されている光学アダプタ26に備えた識別部265の抵抗値を検出する。そして、光路切り替え制御部117は、検出した識別部265の抵抗値がステレオ計測アダプタの抵抗値であるか否かを判定する(ステップS402)。
ステップS402の判定の結果、検出した識別部265の抵抗値がステレオ計測アダプタの抵抗値であると判定した場合(ステップS402の“YES”)、光路切り替え制御部117は、イメージセンサ212に光を出射する光路を時系列に高速で切り替えると判定し、光学アダプタ26がステレオ計測アダプタであることを表す情報を出力する。これにより、システム制御部110は、パラメータ記憶部120から読み込んだ設定値(初期値)のデータに基づいて、画像処理部130にイメージセンサ212を起動して撮影の動作をさせるための設定を行う。そして、画像処理部130は、システム制御部110の設定に基づいた制御信号を、制御信号ドライブ回路160および対応する信号線を介してイメージセンサ212に出力する。このとき、光路切り替え部223には、光路切り替え制御部117から光路切り替え駆動信号が出力されていない状態であり、対物レンズ222aが光を出射する光路または対物レンズ222bが光を出射する光路のいずれか一方の光路に遮光部材224が移動されている状態を維持している。このため、イメージセンサ212は、画像処理部130からの設定に従って、光路切り替え部223によって遮光されていない方の光路に出射された被写体からの反射光を撮像した被写体像を表す画素信号を、対応する信号線によって本体部10に伝送する。つまり、イメージセンサ212は、右目または左目のいずれか一方に相当する被写体像を表す画素信号を、本体部10に伝送する。これにより、画像処理部130は、リミッティングアンプ回路170によって増幅された画素信号に応じた被写体の画像(映像)を生成し、システム制御部110(より具体的には、表示制御部113)が、画像処理部130が生成した被写体の画像(映像)を表示装置30に表示させる。
その後、内視鏡装置4の使用者は、表示装置30に表示された現在の被写体の画像(映像)を確認しながら、挿入部20の先端部を被検物内に挿入し、挿入部20の先端部が、測定対象の被写体の所まで到達して表示装置30に測定対象の被写体が映し出されているときに、ユーザインターフェース部190を操作して、被写体のステレオ計測を指示する。これにより、ユーザインターフェース部190は、内視鏡装置4の使用者の操作によるステレオ計測の指示を受け付け、受け付けた使用者の指示を表す情報をシステム制御部110に出力する(ステップS403)。システム制御部110は、ユーザインターフェース部190から入力された内視鏡装置4の使用者によるステレオ計測の指示に応じて、光路切り替え制御部117に、ステレオ撮影の動作を開始させる。
光路切り替え制御部117がステレオ撮影の動作を開始すると、光路切り替え制御部117は、イメージセンサ212に光を出射する光路を時系列に切り替えるための高速モードの電流値の光路切り替え駆動信号を、イメージセンサ212が被写体像を撮像するフレームごとに、光路切り替え駆動回路180および対応する信号線を介して光路切り替え部223に出力する。ここで、高速モードの電流値とは、イメージセンサ212におけるそれぞれのフレームの画素信号読み出し期間内に、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるために必要な高さの電流値である。これにより、システム制御部110は、光路切り替え部223によって光路が切り替えられた被写体からの反射光を撮像した計測用の1対の被写体の画像(映像)を取得する(ステップS404)。なお、ステップS404におけるそれぞれの動作は、図2に示した第1の実施形態の内視鏡装置1の光路切り替えの処理におけるステップS104や、図4に示した第2の実施形態の内視鏡装置2の光路切り替えの処理におけるステップS204、図6に示した第3の実施形態の内視鏡装置3の光路切り替えの処理におけるステップS305またはステップS309におけるそれぞれの動作と同様である。従って、ステップS405におけるそれぞれの動作に関する詳細な説明は省略する。
これにより、スコープ部25の先端部にステレオ計測アダプタが光学アダプタ26として装着されている内視鏡装置4では、第1の実施形態~第3の実施形態の内視鏡装置1~内視鏡装置3と同様に、システム制御部110(より具体的には、計測部111)が、画像処理部130が生成した被写体の1対の画像(映像)に基づいてステレオ計測を行うことができる。そして、スコープ部25の先端部にステレオ計測アダプタが光学アダプタ26として装着されている内視鏡装置4でも、第1の実施形態~第3の実施形態の内視鏡装置1~内視鏡装置3と同様に、システム制御部110(より具体的には、表示制御部113)が、画像処理部130が生成した被写体の1対の画像(映像)に計測部111がステレオ計測した結果の情報を重畳して、表示装置30に表示させることができる。
なお、光路切り替え制御部117は、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替える高速モードの電流値の光路切り替え駆動信号を出力する回数を多くしてもよい。これにより、内視鏡装置4では、画像処理部130がステレオ計測を行うための複数対の画像(映像)を生成して、計測部111が行うステレオ計測の精度を向上させることができる。
一方、ステップS402の判定の結果、検出した識別部265の抵抗値がステレオ計測アダプタの抵抗値ではないと判定した場合(ステップS402の“NO”)、光路切り替え制御部117は、検出した識別部265の抵抗値が遠近切り替えアダプタの抵抗値であるか否かを判定する(ステップS405)。
ステップS405の判定の結果、検出した識別部265の抵抗値が遠近切り替えアダプタの抵抗値であると判定した場合(ステップS405の“YES”)、光路切り替え制御部117は、イメージセンサ212に光を出射する光路を低速で切り替えると判定し、光学アダプタ26が遠近切り替えアダプタであることを表す情報を出力する。これにより、システム制御部110は、パラメータ記憶部120から読み込んだ設定値(初期値)のデータに基づいて、画像処理部130にイメージセンサ212を起動して撮影の動作をさせるための設定を行う。そして、画像処理部130は、システム制御部110の設定に基づいた制御信号を、制御信号ドライブ回路160および対応する信号線を介してイメージセンサ212に出力する。このとき、光路切り替え部223には、光路切り替え制御部117から光路切り替え駆動信号が出力されていない状態であり、対物レンズ222aが光を出射する光路または対物レンズ222bが光を出射する光路のいずれか一方の光路に遮光部材224が移動されている状態を維持している。このため、イメージセンサ212は、画像処理部130からの設定に従って、光路切り替え部223によって遮光されていない方の光路に出射された被写体からの反射光を撮像した被写体像を表す画素信号を、対応する信号線によって本体部10に伝送する。つまり、イメージセンサ212は、遠点または近点のいずれか一方の焦点距離で撮像した被写体像を表す画素信号を、本体部10に伝送する。これにより、画像処理部130は、リミッティングアンプ回路170によって増幅された画素信号に応じた被写体の画像(映像)を生成し、システム制御部110(より具体的には、表示制御部113)が、画像処理部130が生成した被写体の画像(映像)を表示装置30に表示させる。
その後、内視鏡装置4の使用者は、表示装置30に表示された現在の被写体の画像(映像)を確認しながら、挿入部20の先端部を被検物内に挿入し、挿入部20の先端部が、測定を行う所まで到達して表示装置30に測定対象の被写体が映し出されているときに、ユーザインターフェース部190を操作して、焦点距離の切り替えを指示する。これにより、ユーザインターフェース部190は、内視鏡装置4の使用者の操作による焦点距離切り替えの指示を受け付け、受け付けた使用者の指示を表す情報をシステム制御部110に出力する(ステップS406)。システム制御部110は、ユーザインターフェース部190から入力された内視鏡装置4の使用者による焦点距離切り替えの指示に応じて、光路切り替え制御部117に、光路切り替えの動作を開始させる。
光路切り替え制御部117が光路切り替えの動作を開始すると、光路切り替え制御部117は、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるための低速モードの電流値の光路切り替え駆動信号を、光路切り替え駆動回路180および対応する信号線を介して光路切り替え部223に出力する。ここで、低速モードの電流値とは、イメージセンサ212が被写体像を撮像するフレームに必ずしも同期している必要はなく、つまり、光路切り替え部223が遮光部材224を移動(摺動)させる速度に制約はなく、イメージセンサ212に光を出射する光路を単純に切り替えるために必要な高さの電流値である。このため、低速モードの電流値は、イメージセンサ212の画素信号読み出し期間内に光路を切り替える必要がある高速モードの電流値よりも低い電流値である。これにより、システム制御部110は、光路切り替え部223によって光路が切り替えられた被写体からの反射光を撮像した観測用の被写体の画像(映像)を取得する(ステップS407)。より具体的には、イメージセンサ212は、光路切り替え部223によって光路が切り替えられて出射された被写体からの反射光を撮像した被写体像を表す画素信号を、対応する信号線によって本体部10に伝送する。つまり、イメージセンサ212は、切り替えられた遠点または近点のいずれか一方の焦点距離で撮像した被写体像を表す画素信号を、本体部10に伝送する。そして、画像処理部130は、リミッティングアンプ回路170によって増幅された画素信号に応じた被写体の画像(映像)、つまり、遠点または近点のいずれか一方の焦点距離に切り替えられた画像(映像)を生成し、システム制御部110に出力する。
これにより、スコープ部25の先端部に遠近切り替えアダプタが光学アダプタ26として装着されている内視鏡装置4では、システム制御部110(より具体的には、表示制御部113)が、画像処理部130が生成した切り替え後の焦点距離で撮像した被写体の画像(映像)を表示装置30に表示させる。
一方、ステップS405の判定の結果、検出した識別部265の抵抗値が遠近切り替えアダプタの抵抗値ではないと判定した場合(ステップS405の“NO”)、光路切り替え制御部117は、検出した識別部265の抵抗値が直測切り替えアダプタの抵抗値であるか否かを判定する(ステップS408)。
ステップS408の判定の結果、検出した識別部265の抵抗値が直測切り替えアダプタの抵抗値であると判定した場合(ステップS408の“YES”)、光路切り替え制御部117は、イメージセンサ212に光を出射する光路を低速で切り替えると判定し、光学アダプタ26が直測切り替えアダプタであることを表す情報を出力する。これにより、システム制御部110は、パラメータ記憶部120から読み込んだ設定値(初期値)のデータに基づいて、画像処理部130にイメージセンサ212を起動して撮影の動作をさせるための設定を行う。これにより、ステップSS405と同様に、画像処理部130が、イメージセンサ212から伝送されてきた被写体像を表す画素信号に応じた被写体の画像(映像)を生成し、システム制御部110(より具体的には、表示制御部113)が、画像処理部130が生成した被写体の画像(映像)を表示装置30に表示させる。なお、ここで表示装置30に表示される被写体の画像(映像)は、イメージセンサ212が、対物レンズ222aが光を出射する光路または対物レンズ222bが光を出射する光路のいずれか一方の光路に出射された被写体からの反射光を撮像した、つまり、直視または測視のいずれか一方の方向を撮像した被写体の画像(映像)である。
その後、内視鏡装置4の使用者は、表示装置30に表示された現在の被写体の画像(映像)を確認しながら、挿入部20の先端部を被検物内に挿入し、挿入部20の先端部が、測定を行う所まで到達して表示装置30に測定対象の被写体が映し出されているときに、ユーザインターフェース部190を操作して、観測方向の切り替えを指示する。これにより、ユーザインターフェース部190は、内視鏡装置4の使用者の操作による観測方向切り替えの指示を受け付け、受け付けた使用者の指示を表す情報をシステム制御部110に出力する(ステップS409)。システム制御部110は、ユーザインターフェース部190から入力された内視鏡装置4の使用者による観測方向切り替えの指示に応じて、光路切り替え制御部117に、光路切り替えの動作を開始させる。
光路切り替え制御部117が光路切り替えの動作を開始すると、光路切り替え制御部117は、ステップSS407と同様に、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるための低速モードの電流値の光路切り替え駆動信号を、光路切り替え駆動回路180および対応する信号線を介して光路切り替え部223に出力する。これにより、システム制御部110は、光路切り替え部223によって光路が切り替えられた被写体からの反射光を撮像した観測用の被写体の画像(映像)を取得する(ステップS410)。なお、ステップS410においてシステム制御部110は、光学アダプタ26が異なっているため、直視または測視のいずれか一方に切り替えられた方向を撮像した観測用の被写体の画像(映像)を取得するが、ステップS410におけるそれぞれの動作は、ステップS407におけるそれぞれの動作と同様である。従って、ステップS410におけるそれぞれの動作に関する詳細な説明は省略する。
これにより、スコープ部25の先端部に直測切り替えアダプタが光学アダプタ26として装着されている内視鏡装置4では、システム制御部110(より具体的には、表示制御部113)が、画像処理部130が生成した切り替え後の方向を撮像した被写体の画像(映像)を表示装置30に表示させる。
一方、ステップS408の判定の結果、検出した識別部265の抵抗値が直測切り替えアダプタの抵抗値ではないと判定した場合(ステップS408の“NO”)、光路切り替え制御部117は、内視鏡装置4の使用者からの指示に応じた計測や観測を行うことができない状態であると判断する。この場合、光路切り替え制御部117は、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えないと判定し、計測や観測を行うことができない状態であることを、表示制御部113に通知する。これにより、表示制御部113は、計測や観測を行うことができないことを表す警告を、表示装置30に表示させる(ステップS411)。なお、ステップS408が“NO”となる要因としては、スコープ部25の先端部に装着されている光学アダプタ26に備えた識別部265の抵抗値を検出することができない場合や、スコープ部25の先端部に装着された光学アダプタが対応していない光学アダプタである場合などが考えられる。このため、光路切り替え制御部117は、計測や観測を行うことができない状態である要因の情報も併せて、表示制御部113に通知してもよい。この場合、表示制御部113は、計測や観測を行うことができない要因を含めた警告を、表示装置30に表示させることができる。
なお、ステップS411において表示装置30に警告を表示させた場合、システム制御部110は、イメージセンサ212を起動して撮影の動作をさせるための設定を行っていない。このため、表示装置30には、警告のみが表示される。従って、内視鏡装置4の使用者は、表示装置30に表示された警告を確認した場合には、スコープ部25の先端部に装着している光学アダプタ26の交換などを行った後に、再び光学アダプタ26がスコープ部25の先端側に装着された状態で電源をオンすることにより、内視鏡装置4は、ステップS402~ステップS411の処理を繰り返す。
第4の実施形態によれば、識別手段(識別部265)は、第1の対物光学系と第2の対物光学系とを組み合わせた(対物レンズ222aと対物レンズ222bとの組み合わせた)対物光学系の種類を表す識別情報を提示し、光路切り替え制御部(光路切り替え制御部117)は、光路を切り替えると判定した場合に、識別情報が表す対物光学系の種類に応じた光路切り替え駆動信号を出力する、内視鏡装置(内視鏡装置4)が構成される。
また、第4の実施形態によれば、光路切り替え制御部117は、識別情報が表す対物光学系の種類が被写体を観測する観測光学系である場合には、対物光学系の種類が高速で光路を切り替えて被写体を計測する計測光学系である場合よりも低速で光路を切り替えさせるための光路切り替え駆動信号を出力する、内視鏡装置4が構成される。
上記に述べたように、本発明の第4の実施形態の内視鏡装置4では、光学アダプタ26に識別部265を備える。これにより、本発明の第4の実施形態の内視鏡装置4では、スコープ部25の先端部に装着されている光学アダプタ26の種類、つまり、光学アダプタ26に備えた対物レンズ222aおよび対物レンズ222bのそれぞれの組み合わせを識別することができる。そして、本発明の第4の実施形態の内視鏡装置4では、識別した光学アダプタ26の種類に応じて、光路切り替え部223に出力する光路切り替え駆動信号の電流値を、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えるために必要な高さの電流値に制御する。これにより、本発明の第4の実施形態の内視鏡装置4では、スコープ部25の先端部に装着されている光学アダプタ26によって計測をする場合と観測をする場合とに適した速さで、イメージセンサ212に光を出射する光路を切り替えることができる。そして、本発明の第4の実施形態の内視鏡装置4では、スコープ部25の先端部に装着されている光学アダプタ26が被写体の観測を行うための光学アダプタ26(遠近切り替えアダプタや、直測切り替えアダプタ、望遠広角切り替えアダプタなど)である場合には、遮光部材224を移動(摺動)させるために光路切り替え部223が消費する消費電力を低減させることができる。
上記に述べたように、本発明を実施するための形態によれば、挿入部を構成するスコープ部の先端側に、撮像素子に被写体像の光を入射させる光路を切り替える構成の2つの対物レンズを備えた光学アダプタを装着した内視鏡装置において、挿入部の状態に基づいて撮像素子に光を入射させる光路を切り替えるか否かを判定する光路切り替え制御部を備える。そして、本発明を実施するための形態では、光路切り替え制御部が判定した挿入部の状態に応じて、撮像素子に被写体像の光を入射させる光路を切り替える速度やタイミングを制御する。このとき、本発明を実施するための形態では、光路切り替え制御部が判定した挿入部の状態が、被検物内の被写体の計測や観測に適していない状態であるときには、撮像素子に被写体像の光を入射させる光路の切り替えを停止するように制御する。
また、本発明を実施するための形態では、光路切り替え制御部が判定した挿入部の状態が、撮像素子に被写体像の光を入射させる光路を切り替える速度に制約がないときには、低速で光路を切り替えるように制御する。これにより、本発明を実施するための形態では、撮像素子に被写体像の光を入射させる光路を切り替えるために動作する機構によって不必要に消費する消費電力を低減させることができる。また、本発明を実施するための形態では、光路を切り替える機構が消費する消費電力を低減させることによって、光路を切り替える機構における不必要な発熱を抑え、光路を切り替える機構自体や、光路を切り替える機構が配置された周辺の挿入部の構成要素(例えば、イメージセンサ212など)が破壊されてしまう可能性を低くすることができる。
なお、各実施形態においては、挿入部が、スコープ部と光学アダプタとによって構成される内視鏡装置の構成について説明した。つまり、各実施形態においては、挿入部を構成する対物光学系が挿入部の先端側から分離することができる構成の内視鏡装置について説明した。しかし、内視鏡装置を構成する挿入部の構成は、各実施形態において示した構成に限定されるものではなく、スコープ部と光学アダプタとが一体になった構成であってもよい。つまり、内視鏡装置を構成する挿入部の構成は、対物光学系が挿入部の先端側に組み込まれた構成であってもよい。
また、第1の実施形態では温度センサ215をスコープ部21に備え、第2の実施形態では加速度センサ235をスコープ部23に備え、第3の実施形態では識別部247をスコープ部24に備え、第4の実施形態では識別部265を光学アダプタ26に備え、それぞれの構成要素を用いて、対応する光路切り替え制御部が挿入部の状態を判定する構成を示した。しかし、各実施形態において示した挿入部の状態を判定するために用いるそれぞれの構成要素は、内視鏡装置において排他的に備える構成に限定されるものではなく、複数の構成要素を同時に備えてもよい。この場合には、内視鏡装置において、各実施形態において説明したそれぞれの構成要素に係る機能や処理を同時に実現することができる。
なお、各実施形態においては、挿入部を構成するスコープ部の長さが非常に長い構成の内視鏡装置について説明した。しかし、各実施形態の考え方は、挿入部を構成するスコープ部の長さが長い構成の内視鏡装置への適用に限定されるものではなく、挿入部を構成するスコープ部の長さに関係なく同様に適用することができる。そして、この場合にも、各実施形態の内視鏡装置と同様の効果を得ることができる。なお、挿入部を構成するスコープ部の長さが短い構成の内視鏡装置では、各実施形態の内視鏡装置において長い挿入部に対応するために本体部に備えていたそれぞれの構成要素(より具体的には、光源駆動回路150、制御信号ドライブ回路160、リミッティングアンプ回路170、および光路切り替え駆動回路180)を備えていない構成となることが考えられる。この場合の内視鏡装置における動作や処理、制御方法などは、各実施形態において説明した内容に基づいて容易に考えることができる。従って、本発明の考え方を適用した、挿入部を構成するスコープ部の長さが短い構成の内視鏡装置に関する詳細な説明は省略する。
また、各実施形態においては、本発明の内視鏡装置が、工業用の内視鏡装置である場合について説明した。しかし、各実施形態の構成や考え方は、工業用の内視鏡装置への適用に限定されるものではなく、例えば、医療用の内視鏡装置にも同様に適用することもできる。これにより、医療用の内視鏡装置においても、各実施形態において説明した工業用の内視鏡装置と同様の効果を得ることができる。
なお、例えば、図1に示した本体部10やその一部、本体部10に備えたシステム制御部110や、システム制御部110に備えた光路切り替え制御部114など、内視鏡装置の機能や処理を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本実施形態の内視鏡装置に係る上述した種々の機能や処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器などのハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリなどの書き込み可能な不揮発性メモリ、CD-ROMなどの可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスクなどの記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネットなどのネットワークや電話回線などの通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置などに格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネットなどのネットワーク(通信網)や電話回線などの通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態およびその変形例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。