JP7011406B2 - たこ焼類粉又はお好み焼類粉、及びたこ焼類又はお好み焼類 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、穀粉類100質量部に対して、アセチル化酸化澱粉1~30質量部を含有することを特徴とするたこ焼き又はお好み焼き粉ミックスが開示されている。
また、特許文献3には、たこ焼き、お好み焼き、及びもんじゃ焼きから選ばれた1種である和風スナックに用いられるミックス粉であって、米粒又は米粉に、圧縮力、衝撃力、摩擦力及び剪断力から選ばれる少なくとも1種を加えることによって製造され、膨潤度が4.5以上で、アミログラフ糊化最高粘度が500BU以下とされた改質米粉を含有することを特徴とする和風スナック用ミックス粉が開示されている。
そこで、本発明は、内層が軟らかくかつ口溶けが良好なたこ焼類及びお好み焼類を提供することを主な目的とする。
また、本発明は、損傷澱粉量が15~45%である米粉を含有するたこ焼類粉又はお好み焼類粉である。
また、本発明は、損傷澱粉量が15~45%である米粉を含有させるたこ焼類又はお好み焼類である。
前記米粉のα化度が、10~30%であってもよい。
前記米粉の粒子径の累積分布におけるメジアン径(D50)が、30~100μmであってもよい。
前記米粉の含有量は、1~45質量%であってもよい。また、前記米粉の含有量が、小麦粉100質量部に対して1~52質量部であってもよい。
なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
本発明の実施形態(以下、「本実施形態」ともいう)に係る米粉は、損傷澱粉を少なくとも15%以上含有するものである。
本明細書において、「損傷澱粉(「DS」ともいう)量(%)」とは、米粉全量中の、損傷を受けた澱粉の量である。当該「損傷澱粉」とは、米を粉砕する時の圧力や衝撃等により、澱粉粒が機械的な損傷を受けた澱粉のことをいう。
<損傷澱粉量の測定方法>
本実施形態の「損傷澱粉量(%)」は、AACC Method 76-31に従って測定することができる。具体的には、試料中に含まれている損傷澱粉のみをカビ由来α-アミラーゼでマルトサッカライドと限界デキストリンに分解し、次いでアミログルコシダーゼでグルコースにまで分解し、生成されたグルコースを定量することにより測定する。また、市販のキット(例えば、MegaZyme製,Starch Damage Assay Kit)を用いて測定してもよい。
当該米粉の損傷澱粉量の下限値はより好ましくは15%以上であり、さらに好ましくは23%であり、また当該上限値はより好ましくは42%以下であり、さらに好ましくは33%以下である。
これにより、内層が軟らかくかつ口溶けが良好なたこ焼類及びお好み焼類を得ることができる。さらに、焼きたて時だけでなく、冷めた後(特に、冷凍保存後及び/又は冷蔵保存後)の再加熱時でも内層が軟らかくかつ口溶けが良好なものを得ることができる。また、内層が軟らかくても、形状を維持し良好な保形性を有するものを得ることができる。本実施形態のたこ焼類及びお好み焼類は、冷凍保存後に冷蔵保存して再加熱したときにも、内層が軟らかくかつ口溶けが非常に良好である。
本実施形態の米粉の損傷澱粉量が15%未満であると、内層の軟らかさがなく、口溶けがよくないたこ焼類又はお好み焼類となるので好ましくない。一方で、本実施形態の米粉の損傷澱粉量が45%超であると、内層の軟らかさがなく、特に口内に張り付くような食感となり口溶けが悪くなるので好ましくない。
これにより、内層が軟らかくかつ口溶けが良好なたこ焼類及びお好み焼類を得ることができる。さらに、焼きたて時だけでなく、冷めた後(特に、冷凍保存後及び/又は冷蔵保存後)の再加熱時でも内層が軟らかくかつ口溶けが良好なものを得ることができる。また、内層が軟らかくても形状を維持し、良好な保形性を有するものを得ることができる。
<α化度の測定方法>
本実施形態のα化度は、β-アミラーゼ・プルラナーゼ法(BAP法)(中村道徳、貝沼圭二編集、生物化学実験法19 澱粉・関連糖質実験法、p190~191)により測定することができる。
また、このようなメジアン径(D50)であれば、米粉のハンドリング性に優れる点で望ましい。
なお、本明細書において、「米粉のハンドリング性」とは、米粉の取扱いに関する性能全般を総称していい、「ハンドリング性が優れる」というときは、性能上の問題が生じにくいことを示す。当該問題には、米粉の取り扱い中に舞い上がること、米粉が固結しやすいこと、他の粉と混合したときに分離しやすいこと等が含まれる。
本実施形態の「粒径」及び「粒度分布」の測定方法は、株式会社日本レーザー社製「レーザー回折式粒子径分布測定装置HELOS&RODOS」を用いて乾式で測定できる。また、粒度分布における累積分布は、小粒径から積算した粒子の体積分率で表される。例えば、累積分布のD50における粒径とは、小粒径から積算していき体積分率が50%になった時の粒径を表す。
<アミログラフ糊化最高粘度の測定方法>
本実施形態の「アミログラフ糊化最高粘度」とは、米粉に水を加えて撹拌した懸濁液を、撹拌しながら徐々に温度を上げていき、粘度の変化をアミログラフ試験機で測定した時の最高粘度をいう。アミログラフ試験機の測定容器に、固形分50gの試料を含む水懸濁液500gを入れて装置に設置し、1.5℃/分で昇温した後、95℃到達後30分間同温度に保持して、この間の最高粘度をアミログラフ糊化最高粘度とする。
<膨潤度の測定方法>
試料を無水物換算で300mgとり、蒸留水4mLを加える。25℃で1時間振とう後、3600rpmで40分間遠心分離する。上清を回収し、130℃、1時間乾燥させ、固形分量を測定する。次式で溶解度、膨潤度を算出する。
溶解度(%)=〔上清乾燥重量(mg)/試料300mg〕×100
膨潤度=沈殿部重量(mg)/(試料300mg×(100(%)-溶解度(%))/100)
原料として、うるち米及び/又はもち米及び/又は低アミロース米及び/又は高アミロース米及び/又は超硬質米を使用できる。うるち米、もち米、低アミロース米、高アミロース米及び超硬質米の種類として、特に限定されないが、ジャポニカ種、インディカ種、ジャバニカ種を用いることができる。このうち、うるち米が望ましい。
前記原料の米の種類は特に限定されず、例えば、精白米、5分付き米、玄米、屑米等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
また、米粉の粒度の調整は、一定質量の米粉を複数の異なる目開きの篩を用いて、粗い目開きの篩から順次かけていき、各篩上に残った画分及び全ての篩を通過した画分の配合割合を調整することによって行うことができる。
「粒径」及び「粒度分布」は、前述の測定方法にて測定すればよい。
更に、米粉の損傷澱粉量を測定することにより、損傷澱粉量が所望の範囲であることを確認することが好ましい。損傷澱粉量は、前述のAACC Method 76-31に従って測定することができる。
本実施形態の米粉を使用することにより、内層が軟らかくかつ口溶けが良好なたこ焼類及びお好み焼類を得ることができる。さらに、本実施形態の米粉によって、焼きたて時だけでなく、冷めた後(特に、冷凍保存後及び/又は冷蔵保存後)の再加熱時でも内層が軟らかくかつ口溶けが良好なたこ焼類及びお好み焼類を得ることができる。また、当該米粉を使用した場合、たこ焼類及びお好み焼類の保形性も良好である。本実施例のたこ焼類及びお好み焼類において、冷凍保存後に冷蔵保存し、その後再加熱したものについても内層が軟らかくかつ口溶けが非常に良好である。
このように、本実施形態の米粉は、通常、調味料(例えば、ソース、マヨネーズ、ダシ、タレ等)で適宜味付けをして喫食するような小麦粉焼成品(具体的には、たこ焼類及びお好み焼類)に使用することが好ましい。
前記食感改良剤は、本実施形態の米粉以外に任意成分を必要に応じて含有してもよい。当該任意成分として、特に限定されないが、例えば、澱粉、加工澱粉、動植物蛋白、卵成分、食物繊維、増粘剤、乳化剤、油脂等が挙げられる。
本実施形態のたこ焼類粉又はお好み焼類粉は、小麦粉を主原料とし、前記米粉の他に、たこ焼類又はお好み焼類に通常使用される原料を含有させるものであり、たこ焼類用又はお好み焼類用の小麦粉組成物として使用してもよい。小麦粉は、薄力粉が好適である。通常使用される原料として、澱粉、膨張剤、穀粉、糖類、アミノ酸類、調味料等が挙げられる。
本実施形態のたこ焼類は、例えば、通常のたこ焼の他、これに類する焼成品(例えば、明石焼等)も含むものである。
本実施形態のお好み焼類は、例えば、通常のお好み焼の他、これに類する焼成品(例えば、チヂミ焼、もんじゃ焼等)も含むものである。
本実施形態のたこ焼類又はお好み焼類は、本実施形態の米粉を使用して、又は本実施形態のたこ焼類粉若しくはお好み焼類粉を使用して、又は本実施形態のたこ焼類用生地若しくはお好み焼類用生地を使用して、製造することができる。
前記たこ焼類又はお好み焼類の製造は、一般的な製造方法で行うことができ、例えば、粉混合工程、生地製造工程及び焼成工程を含むことができる。
また、本実施形態の生地は、生地製造後に、冷凍保存及び/又は冷蔵保存することが、長期保存できるため、望ましい。
前記具材として、特に限定されず、タコ、イカ、エビ等の魚介類;豚肉、牛肉等の畜肉類;キャベツ、ショウガ等の野菜類;天かす等が挙げられる。
そして、本実施形態のたこ焼類及びお好み焼類は、それぞれ、冷凍した後及び/又は冷蔵した後に再加熱しても、また冷凍保存後に冷蔵保存し、その後再加熱しても、喫食時の内層の軟らかさや口溶け及び保形性の点で優れている。
これに対し、本実施形態の米粉を使用することにより、冷凍保存及び/又は冷蔵保存し、再加熱(例えば、電子レンジ、油ちょう、オーブン等)した後であっても、内層が軟らかくかつ口溶けが良好なたこ焼類及びお好み焼類を得ることができ、また保形性も良好であり、総合的に良好である。特に、電子レンジ再加熱において、焼きたて直後のような軟らかい内層かつ良好な口溶けであり、保形性も良好である。
表1及び2に示すように、たこ焼粉60gと水300gとを撹拌混合し、各バッター生地を調製した(表1:試験例1~7と表2:試験例8~15)。
200℃に加熱したたこ焼器にサラダ油を引き、各生地を流し入れた後、各窪みに茹で蛸(4g)を加え、竹串を用いて球状に形を整えながら10分間焼成し、複数のたこ焼を製造した。焼成後のたこ焼10個をプラスチック容器に入れ、ラップで巻いた後、-20℃で冷凍保存した。
・試験例1の米粉(DS10%):衝撃式粉砕機(ピンミル;コントラプレックス250CW 槇野産業株式会社製)。
・試験例2の米粉(DS15%):気流式粉砕機(サイクロンミル;サイクロンミル250W 株式会社静岡プラント製)。
・試験例3の米粉(DS23%):臼式粉砕機(臼式粉砕機;臼挽き職人 KP091 カンリウ工業株式会社製)。
・試験例4の米粉(DS27%):気流式粉砕機(ジェットミル;ナノジェットマイザー アイシンアノテクノロジーズ社製)。
・試験例5の米粉(DS33%):臼式粉砕機(臼式粉砕機;臼挽き職人 KP091 カンリウ工業株式会社製)。
・試験例6の米粉(DS42%):気流式粉砕機(ジェットミル;ナノジェットマイザー アイシンアノテクノロジーズ社製)。
試験例7の米粉は、清酒醸造用の酒米の製造時に産出される白糠を購入して使用した。
試験例3、6及び試験例7の各米粉のアミログラフ糊化最高粘度(BU)は、それぞれ、試験例3:501BU、試験例6:313BU、試験例7(白糠):300BUであった。
試験例4、5及び6の各米粉の膨潤度は、それぞれ、試験例4:4.2、試験例5:4.5、試験例6:5.3、試験例7(白糠):5.8であった。
各米粉の水分含有量は、10~15質量%であった。
たこ焼10個をプラスチック容器に入れ、ラップで巻いた後、-20℃で1週間冷凍保存後、4℃で1日保存したたこ焼及び4℃で3日保存したたこ焼を、ラップをした容器のまま電子レンジで加熱(1500W、40秒)し、パネラー10名にて、試食した。
試食のときの官能評価は、以下の内層評価(5段階)、口溶け評価(5段階)、外観及び食感を含めたたこ焼全体としての総合評価(5段階)について行い、パネラー10名の平均点を評価点とした(表1及び2参照)。
5:内層が軟らかくとろみがあり、非常に良好
4:内層がやや軟らかく、とろみも感じられ良好
3:コントロール(試験区1)と同等
2:内層がやや硬く、やや悪い
1:内層が硬く、悪い
〔口溶け評価〕
5:口溶けがよく、非常に良好
4:やや口溶けがよく、良好
3:コントロール(試験区1)と同等
2:やや口溶けが悪い
1:口溶けが悪い
〔総合評価〕
5:非常に良好
4:良好
3:コントロール(試験区1)と同等
2:やや悪い
1:悪い
また、試験例7の米粉の損傷澱粉量は56%であり、これを使用したたこ焼の内層及び口溶けの評価は、4℃3日保存のときは両方とも良くなかった。しかも、このたこ焼は、温めて食するときに、内部が重たく糊状のため、口内に張り付くような感じで口溶けがよくなかった。
さらに、試験例3~6の米粉の損傷澱粉量は23~42%であり、これを使用したたこ焼は、焼きたてのときの内層が軟らかく及び口溶けも良好であった。しかも、試験例3~6の米粉を使用した場合、たこ焼を製造後に1週間冷凍保存し、冷蔵保存を1~3日程度行った後に、これを電子レンジで再加熱した場合でも、焼きたて直後のようにたこ焼の内層が軟らかくかつ口溶けが良好であった。
また、試験例2~6の米粉を使用した場合、焼きたて及び電子レンジ再加熱後でもたこ焼の球形がある程度維持でき、保形性が良好であり、総合評価も良好であった。
また、試験例7の米粉は、α化度52%であり、これを使用したたこ焼は、内層及び口溶けの評価は良くなく、特に口内に張り付くような食感であった。このことから、試験例7の米粉よりもα化度が高い、例えばα化度が50%を超えるような米粉も、口内に張り付くような食感になる点で好ましくないと考える。
一方で、試験例2~6の米粉のα化度は8~20%であり、これら米粉を使用した場合、内層が軟らかくかつ口溶けが良好で、保形性も含めた総合評価も良好であった。
表3に示したバッター生地を使用し、お好み焼を製造した。バッター生地120質量部に対して、キャベツ120質量部を配合し、200℃に加熱したホットプレート上にて円盤状に成形し、焼成した(表3:試験例16~20)。
焼成後プラスチック容器に入れ、-20℃で1週間冷凍保存後、4℃で1日保存したお好み焼及び4℃で3日保存したお好み焼を、電子レンジで加熱(1500W、50秒)し、パネラー10名にて試食した。
試食のときの官能評価は、以下の内層評価(5段階)、口溶け評価(5段階)、外観及び食感を含めたお好み焼全体としての総合評価(5段階)について行い、パネラー10名の平均点を評価点とした(表3参照)。
5:内層がふんわりと軟らかく、非常に良好
4:内層にふんわり感があってやや軟らかく、良好
3:コントロール(試験区1)と同等
2:内層がやや硬く、やや悪い
1:内層が硬く、悪い
〔口溶け評価〕
5:口溶けがよく、非常に良好
4:やや口溶けがよく、良好
3:コントロール(試験区1)と同等
2:やや口溶けが悪い
1:口溶けが悪い
〔総合評価〕
5:非常に良好
4:良好
3:コントロール(試験区1)と同等
2:やや悪い
1:悪い
よって、本実施形態の米粉を用いたお好み焼類は、製造後に冷凍保存し、冷蔵保存した後に、これを電子レンジで再加熱した場合でも、焼きたて直後のように、内層がふんわりと軟らかくかつ口溶けが良好であり、これらのお好み焼の保形性も含めた総合評価も良好であった。
さらに、少なくとも前記特定の損傷澱粉量又は前記特定のα化度に調整したときの米粉の膨潤度が、6以下、さらに3~6であることが好ましい。また、前記調整したときの米粉のアミログラフ糊化最高粘度が310~600BUであることが好ましい。また、前記調整したときの米粉のメジアン径(D50)が、30μm~100μmであることが好ましい。
Claims (10)
- 損傷澱粉量が15~45%である米粉であって、小麦粉100質量部に対して、1~52質量部の配合量となるように配合するためのたこ焼類用又はお好み焼類用の米粉。
- 前記米粉のα化度が、10~30%である請求項1記載のたこ焼類用又はお好み焼類用の米粉。
- 前記米粉の粒子径の累積分布におけるメジアン径(D50)が、30~100μmである請求項1又は2記載のたこ焼類用又はお好み焼類用の米粉。
- 損傷澱粉量が15~45%である米粉の含有量が、小麦粉100質量部に対して、1~52質量部であるたこ焼類粉又はお好み焼類粉。
- 前記米粉のα化度が、10~30%である請求項4記載のたこ焼類粉又はお好み焼類粉。
- 前記米粉の粒子径の累積分布におけるメジアン径(D50)が、30~100μmである請求項4又は5に記載のたこ焼類粉又はお好み焼類粉。
- 前記米粉の含有量が、1~45質量%である請求項4~6の何れか1項記載のたこ焼類粉又はお好み焼類粉。
- 損傷澱粉量が15~45%である米粉の含有量が、小麦粉100質量部に対して、1~52質量部であるたこ焼類又はお好み焼類。
- 前記米粉のα化度が、10~30%である請求項8記載のたこ焼類又はお好み焼類。
- 前記米粉の粒子径の累積分布におけるメジアン径(D50)が、30~100μmである請求項8又は9記載のたこ焼類又はお好み焼類。
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