JP7333698B2 - 電子レンジ再加熱ベーカリー製品用レンジアップ耐性向上剤、電子レンジ再加熱ベーカリー製品のレンジアップ耐性向上方法、電子レンジ再加熱ベーカリー製品用組成物、電子レンジ再加熱ベーカリー製品用生地、電子レンジ再加熱ベーカリー製品、および電子レンジ再加熱ベーカリー製品の製造方法 - Google Patents
電子レンジ再加熱ベーカリー製品用レンジアップ耐性向上剤、電子レンジ再加熱ベーカリー製品のレンジアップ耐性向上方法、電子レンジ再加熱ベーカリー製品用組成物、電子レンジ再加熱ベーカリー製品用生地、電子レンジ再加熱ベーカリー製品、および電子レンジ再加熱ベーカリー製品の製造方法 Download PDFInfo
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Description
損傷澱粉量が15質量%以上35質量%以下の米粉を有効成分とする、電子レンジ再加熱ベーカリー製品用レンジアップ耐性向上剤および電子レンジ再加熱ベーカリー製品のレンジアップ耐性向上方法を提供する。
本技術に係る電子レンジ再加熱ベーカリー製品用レンジアップ耐性向上剤において、前記米粉の粒子径の累積分布におけるメジアン径(D50)を、40~130μmとすることができる。
損傷澱粉量が15質量%以上35質量%以下の米粉を0.5~20質量%含む、電子レンジ再加熱ベーカリー製品用組成物を提供する。
前記の本技術に係る電子レンジ再加熱ベーカリー製品用レンジアップ耐性向上剤、または、前記の本技術に係る電子レンジ再加熱ベーカリー製品用組成物を用いた、電子レンジ再加熱ベーカリー製品用生地、およびこれらを用いた電子レンジ再加熱ベーカリー製品を提供する。
本技術に係る電子レンジ再加熱ベーカリー製品は、損傷澱粉量が15質量%以上35質量%以下の米粉を0.5~20質量%含有する穀粉類を用いることができる。
損傷澱粉量が15質量%以上35質量%以下の米粉を0.5~20質量%含有する穀粉類を用いた、電子レンジ再加熱ベーカリー製品の製造方法を提供する。
まず、本技術に用いる損傷澱粉量が15質量%以上35質量%以下の米粉(以下「損傷澱粉高含有米粉」ともいう)について説明する。本技術で用いる米粉の「損傷澱粉(「DS」ともいう)量」とは、米粉全量中の、損傷を受けた澱粉の量である。当該「損傷澱粉」とは、米を粉砕する時の圧力や衝撃等により、澱粉粒が物理的な損傷を受けた澱粉のことをいう。
また、本技術で用いる損傷澱粉高含有米粉の粒度分布は、篩を通過して所望の粒径以下となるような100メッシュより目開きの細かい篩を用いて調整することが可能である。
更に、本技術で用いる損傷澱粉高含有米粉の粒度は、一定質量の米粉を複数の異なるメッシュを用いて、粗いメッシュの篩から順次かけていき、各篩上に残った画分及び全ての篩を通過した画分の配合割合を調整することによっても調整が可能である。
本技術に係る電子レンジ再加熱ベーカリー製品用レンジアップ耐性向上剤は、前述した損傷澱粉量が15質量%以上35質量%以下の米粉を有効成分とする。本技術に係る電子レンジ再加熱ベーカリー製品用レンジアップ耐性向上剤を、電子レンジで再加熱を行うベーカリー製品に用いることで、レンジアップ後のしわ、縮み等の外観の悪化や、ヒキの発生等の食感の悪化等の品質低下を防止することができる。
本技術に係る電子レンジ再加熱ベーカリー製品のレンジアップ耐性向上方法は、前述した損傷澱粉量が15質量%以上35質量%以下の米粉を用いることを特徴とする。
本技術に係る電子レンジ再加熱ベーカリー製品用組成物は、前述した損傷澱粉量が15質量%以上35質量%以下の米粉を、0.5~20質量%含むことを特徴とする。本技術に係る電子レンジ再加熱ベーカリー製品用組成物を用いて、電子レンジで再加熱を行うベーカリー製品を製造することで、レンジアップ後のしわ、縮み等の外観の悪化や、ヒキの発生等の食感の悪化等の品質低下を防止することができる。
本技術に係る電子レンジ再加熱ベーカリー製品用生地は、前述した電子レンジ再加熱ベーカリー製品用レンジアップ耐性向上剤、または、前述した電子レンジ再加熱ベーカリー製品用組成物を用いることを特徴とする。本技術に係る電子レンジ再加熱ベーカリー製品用生地は、前述した電子レンジ再加熱ベーカリー製品用レンジアップ耐性向上剤、または、前述した電子レンジ再加熱ベーカリー製品用組成物を用いているため、本技術の生地を用いて、電子レンジで再加熱を行うベーカリー製品を製造することで、レンジアップ後のしわ、縮み等の外観の悪化や、ヒキの発生等の食感の悪化等の品質低下を防止することができる。
本技術に係る電子レンジ再加熱ベーカリー製品及び電子レンジ再加熱ベーカリー製品の製造方法は、前述した損傷澱粉量が15質量%以上35質量%以下の米粉を0.5~20質量%含有する穀粉類を用いることを特徴とする。本技術に係る電子レンジ再加熱ベーカリー製品、および本技術に係る電子レンジ再加熱ベーカリー製品の製造方法を用いて製造したベーカリー製品は、前述した損傷澱粉高含有米粉を用いているため、レンジアップ後のしわ、縮み等の外観の悪化や、ヒキの発生等の食感の悪化等の品質低下を防止することができる。
実験例1では、損傷澱粉(DS)量が異なる米粉を用いて電子レンジ再加熱ベーカリー製品を製造した場合のレンジアップ耐性について、検討を行った。
加糖中種法にて、バンズを製造した。具体的には、小麦粉70質量部、イーストフード0.1質量部、ぶどう糖3質量部、生イースト3質量部、水40質量部を低速で3分間、中速で2分間ミキシングした生地を28℃、湿度85%で2.5時間発酵させた。発酵させた生地に小麦粉30質量部、下記表1に示す各米粉5質量部、砂糖10質量部、食塩1.8質量部、全卵10質量部、水12質量部を加え、低速3分間、中速4分間ミキシングした後、ショートニング10質量部を加え、さらに低速2分間、中速3分間ミキシングした(捏ね上げ温度27℃)。得られた生地を27℃、湿度85%で20分間発酵させ50gに分割して丸めた。20分間ベンチタイムをとった後円盤型に成形し、38℃、湿度85℃で60分間ホイロをとった後、200℃、10分間焼成してバンズを得た。これを30分間放冷した後、OPP袋に入れ、封をした。
製造時の製パン性について下記の評価基準に基づいて、評価を行った。
また、前記で製造したOPP袋入りバンズを24時間常温保管した後、OPP袋の一部に開口部を作ってから電子レンジ(1900W)で15秒間、再加熱し、常温に3分間保管した。その後、外観(しわ・縮み)、および食感(ヒキ)について、下記の評価基準に基づいて、評価を行った。訓練を受けた専門のパネル5名で合議の上、評点を決定した。
5:生地形成がしやすく、べたつかない
4:生地形成がしやすく、殆どべたつかない
3:生地形成がしにくく、ややべたつくが許容範囲内
2:生地形成がしにくく、ややべたつく
1:生地形成がしにくく、非常にべたつく
5:しわや縮みがない
4:しわや縮みがほとんどない
3:しわや縮みがややあるが許容範囲内
2:しわや縮みが少しある
1:しわが多く、かなり縮んでいる
5:ヒキが感じられず、歯切れが非常に良い
4:ヒキが感じられず、歯切れが良い
3:ヒキがやや強く、歯切れがやや悪いが許容範囲内
2:ヒキが強く、歯切れが悪い
1:ヒキが強く、歯切れが非常に悪い
製パン性、外観(しわ・縮み)、食感(ヒキ)についての評価結果を下記表1に、破断強度測定結果を図1に、それぞれ示す。
表1および図1に示す通り、損傷澱粉(DS)を15質量%以上含有する米粉を用いた実施例1~3は、損傷澱粉(DS)の量が15質量%未満の米粉を用いた比較例1および2に比べて、製パン性、外観(しわ・縮み)、食感(ヒキ)の全てにおいて、良好な結果であった。また、実際の破断強度に関しても、損傷澱粉(DS)量が多くなるにつれて、破断強度が低下することが証明された。
実験例2では、穀粉類中の損傷澱粉高含有米粉の量の違いによって、電子レンジ再加熱ベーカリー製品のレンジアップ耐性に影響が生じるかを検討した。
下記表2に示す配合で、前記実験例1と同様の方法を用いて、OPP袋入りバンズを得た。
製造時の製パン性について前記の評価基準に基づいて、評価を行った。
また、前記で製造したOPP袋入りバンズを24時間常温保管した後、OPP袋の一部に開口部を作ってから電子レンジ(1900W)で15秒間、再加熱し、常温に3分間保管した。その後、外観(しわ・縮み)、および食感(ヒキ)について、前記の評価基準に基づいて、評価を行った。訓練を受けた専門のパネル5名で合議の上、評点を決定した。
製パン性、外観(しわ・縮み)、食感(ヒキ)についての評価結果を下記表2に、破断強度測定結果を図2に、それぞれ示す。
表2および図2に示す通り、穀粉類中の損傷澱粉高含有米粉の量が0.5~20質量%の実施例4~8は、穀粉類中の損傷澱粉高含有米粉を含まない比較例3に比べて、製パン性、外観(しわ・縮み)、食感(ヒキ)の全てにおいて、良好な結果であった。また、実際の破断強度に関しても、穀粉類中の損傷澱粉高含有米粉の量が多くなるにつれて、破断強度が低下することが証明された。
実験例3では、本技術に係る電子レンジ再加熱ベーカリー製品用組成物(ミックス)を用いて、中華まんを製造した。
ノータイムストレート法にて、中華まんを製造した。具体的には、下記表3に示す配合のミックス100質量部と、生イースト1.8質量部、ラード5質量部、および下記表3に示す量の水を低速で5分間、中速で5分間ミキシングした(捏ね上げ温度25℃)。得られた生地を27℃、湿度85%で20分間発酵させ50gに分割して丸めた。20分間ベンチタイムをとった後40gのあんを包み、36℃、湿度60℃で40分間ホイロをとった後、15分間蒸して中華まんを得た。これを30分間放冷した後、OPP袋に入れ、封をした。
製造時の製パン性について前記の評価基準に基づいて、評価を行った。
また、前記で製造したOPP袋入り中華まんを24時間冷蔵保管した後、OPP袋の一部に開口部を作ってから電子レンジ(1900W)で20秒間、再加熱し、常温に3分間保管した。その後、外観(しわ・縮み)、および食感(ヒキ)について、前記の評価基準に基づいて、評価を行った。訓練を受けた専門のパネル5名で合議の上、評点を決定した。
製パン性、外観(しわ・縮み)、食感(ヒキ)についての評価結果を下記表3に示す。
表3に示す通り、本技術に係る電子レンジ再加熱ベーカリー製品用組成物(ミックス)を用いて電子レンジ再加熱ベーカリー製品を製造したところ、製パン性、外観(しわ・縮み)、食感(ヒキ)の全てにおいて、良好な結果であった。
Claims (8)
- 損傷澱粉量が15質量%以上35質量%以下の米粉を有効成分とし、
前記米粉の粒子径の累積分布におけるメジアン径(D50)が、45~130μmである、電子レンジ再加熱ベーカリー製品用レンジアップ耐性向上剤。 - ベーカリー製品の原料穀粉類100質量%に対して前記米粉の添加量が0.5~10質量%である、請求項1に記載の電子レンジ再加熱ベーカリー製品用レンジアップ耐性向上剤。
- 損傷澱粉量が15質量%以上35質量%以下、粒子径の累積分布におけるメジアン径(D50)が45~130μmである米粉を用いる、電子レンジ再加熱ベーカリー製品のレンジアップ耐性向上方法。
- 損傷澱粉量が15質量%以上35質量%以下、粒子径の累積分布におけるメジアン径(D50)が45~130μmである米粉を0.5~20質量%含む、電子レンジ再加熱ベーカリー製品用組成物。
- 請求項1に記載の電子レンジ再加熱ベーカリー製品用レンジアップ耐性向上剤、または、請求項4に記載の電子レンジ再加熱ベーカリー製品用組成物を用いた、電子レンジ再加熱ベーカリー製品用生地。
- 請求項1に記載の電子レンジ再加熱ベーカリー製品用レンジアップ耐性向上剤、請求項4に記載の電子レンジ再加熱ベーカリー製品用組成物、または、請求項5に記載の電子レンジ再加熱ベーカリー製品用生地を用いた、電子レンジ再加熱ベーカリー製品。
- 前記米粉を0.5~20質量%含有する穀粉類を用いた、請求項6記載の電子レンジ再加熱ベーカリー製品。
- 損傷澱粉量が15質量%以上35質量%以下、粒子径の累積分布におけるメジアン径(D50)が45~130μmである米粉を0.5~20質量%含有する穀粉類を用いた、電子レンジ再加熱ベーカリー製品の製造方法。
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