JP7010137B2 - 単列深溝玉軸受の製造方法 - Google Patents

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本発明は、製造時に内輪がエレベータコンベアにより搬送される単列深溝玉軸受、例えば、半浮動式後輪アクスル用玉軸受、及びその製造方法に関する。
半浮動式の車輪支持装置は、構造が単純で安価であり、半浮動式後輪アクスル用玉軸受(以下「玉軸受」とも言う。)の交換も容易なため、車両の走行距離の長いタクシー車や小型商用車(バンやトラック)に広く搭載される。この車輪支持装置では、その端部に車輪取付部が設けられる車軸(アクスルシャフト)の外周面に玉軸受が圧入固定され、アクスルシャフトはこの玉軸受を介して回転可能に支持される。
この種の玉軸受としては、内輪に軸方向に突出する突出部が形成され、内輪の軸方向寸法(幅)が外輪の軸方向寸法よりも長く設けられるものが知られる(例えば、特許文献1参照)。すなわち、この種の玉軸受の内輪は、突出部が形成されて内輪軌道溝を挟んで軸方向に非対称構造に設けられる。
特開2002-013539号公報
そして、上記したような非対称構造の内輪の内輪軌道溝に研削加工や超仕上げ加工を施す場合、内輪軌道溝が内輪全幅の中央からずれた位置にあるため、その製造過程で内輪を所定の向きに揃える必要がある。そこで非対称構造の内輪の向きを揃えるために、非対称構造の内輪の重心が軸方向中心に対して一方に偏ること、及び重力方向に対して斜めに配置されるエレベータコンベアを利用する。このエレベータコンベアは、ホッパーに収容された多数の内輪を下方から上方に1個ずつ又は複数個ずつ搬送しながらその向きを揃える。
ここで、図7及び図8を参照して、非対称構造の内輪をエレベータコンベアで搬送する従来例について説明する。図7は、従来の玉軸受の内輪をその突出部でエレベータコンベアの爪部と係合させて搬送する状態を説明する断面図である。図8は、従来の玉軸受の内輪をその突出部とは軸方向反対側の端部でエレベータコンベアの爪部と係合させて搬送する状態を説明する断面図である。
図7及び図8に示すように、内輪52は、内輪軌道溝52aを挟んで軸方向に非対称構造であり、軸方向一端部(図7の左側端部、図8の右側端部)に軸方向外方に突出する突出部52cを有する。また、内輪52の軸方向他端部(図7の右側端部、図8の左側端部)の外周面には、小径段部52dが全周に亘って形成されている。また、内輪52は、内輪軌道溝52aに隣接する一対の肩部52bをその外周部に有し、一対の肩部52bのうち一方が突出部52cを構成する。また、突出部52cの外周面及び小径段部52d側の肩部52bの外周面はそれぞれ径が一様な円筒面に形成される。
エレベータコンベア60は、ベルト61と、ベルト61の表面に設けられ、内輪52を乗せるための爪部62と、を備える。爪部62は、重力方向断面視で矩形状且つベルト61の幅方向に沿って線状に形成される。エレベータコンベア60は、爪部62の上面に内輪52の外周面を乗せて、内輪52を上方に向けて搬送する。
具体的には、図7に示すように、内輪52の突出部52c側の一端面がベルト61側に位置する場合、内輪52の突出部52cの外周面が爪部62の上面に係合して搬送される。そして、図7に示す搬送状態では、内輪52の重心Gを通る垂線Lが爪部62の上面の範囲、又は爪部62の上面よりもベルト61側(図7の左側)の範囲を通過するため、内輪52は爪部62から落下せずに次工程に搬送される。
その一方、図8に示すように、内輪52の小径段部52d側の他端面がベルト61側に位置する場合、内輪52の小径段部52d側の肩部52bの外周面が爪部62の上面に係合して搬送される。しかし、図8に示す搬送状態では、内輪52の重心Gを通る垂線Lが爪部62よりもベルト61から離れる側に位置するため、内輪52と爪部62との係合部分を中心にして内輪52がベルト61から離れる方向(図8の矢印B方向)に回転して、搬送中に内輪52が爪部62から落下する。従って、内輪52の小径段部52d側の他端面がベルト61側に位置する場合、内輪52は次工程に搬送されない。
そして、内輪52がベルト61から回転して落下する場合、落下距離が大きくなり、内輪52に圧痕ができ、さらにその落下が激しい場合には圧痕の底にマイクロクラックが発生し、内輪52の遅れ破壊などの損傷の原因となる可能性があった。
ところで、上記した特許文献1の玉軸受の内輪では、突出部の外周面に小径段部が形成されると共に、突出部の内周面に大きな面取部が形成されているため、内輪の突出部に大きな肉抜きが形成されている。このため、内輪の突出部側の端面がベルト側に位置する場合と内輪の突出部から離間する側の端面がベルト側に位置する場合との間において、内輪の軸方向中心からの重心の移動が少なくなる。従って、上記した特許文献1の玉軸受の内輪の場合、図7及び図8に示す内輪の向きを揃える方法を適用することが難しい。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、エレベータコンベアから落下する内輪の落下速度を抑制して、内輪の損傷を防止することができる単列深溝玉軸受及びその製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1)内周面に外輪軌道溝が形成される外輪と、外周面に内輪軌道溝が形成される内輪と外輪軌道溝と内輪軌道溝との間に転動可能に設けられる複数の玉と、を備える単列深溝玉軸受であって、内輪は、内輪軌道溝を挟んで軸方向一端部と軸方向他端部の形状が異なる軸方向に非対称構造であって、内輪の軸方向他端部に第1小径段部が設けられ、内輪の内輪軌道溝に隣接する一対の肩部のうち他方の肩部の外周縁には、一方の肩部の外周縁に設けられる面取部よりも大きい内輪側面取部が設けられることを特徴とする単列深溝玉軸受。
(2)内輪軌道溝から内輪の軸方向一端面までの軸方向寸法が、内輪軌道溝から内輪の軸方向他端面までの軸方向寸法よりも大きいことを特徴とする(1)に記載の単列深溝玉軸受。
(3)内輪側面取部と内輪の重心とを通る直線と内輪の中心軸との交角が55°~75°の範囲に設定されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の単列深溝玉軸受。
(4)(1)~(3)のいずれか1つに記載の単列深溝玉軸受の製造方法であって、内輪は、重力方向に対して斜めに配置されるエレベータコンベアにより下方から上方に搬送され、エレベータコンベアは、ベルトと、ベルトの表面に設けられ、内輪を乗せるための爪部と、を備え、爪部は重力方向断面視で矩形状に形成され、爪部の上面と表側面との間の縁部には、爪側面取部が設けられ、内輪の内輪軌道溝に隣接する一対の肩部のうち他方の肩部の外周縁には、一方の肩部の外周縁に設けられる面取部よりも大きい内輪側面取部が設けられ、エレベータコンベアの爪部によって内輪が搬送される際、内輪側面取部が、爪側面取部に対向するように位置し、且つ内輪の重心を通る垂線上に位置することを特徴とする単列深溝玉軸受の製造方法。
(5)内輪の軸方向一端部に第2小径段部が設けられ、第2小径段部は、内輪軌道溝と同時に研削により設けられ、エレベータコンベアの搬送方向と重力方向に対して直交する水平面との交角は、内輪側面取部と内輪の重心とを通る直線と内輪の中心軸との交角以上に設定されることを特徴とする(4)に記載の単列深溝玉軸受の製造方法。
本発明よれば、内輪は、内輪軌道溝を挟んで軸方向一端部と軸方向他端部の形状が異なる軸方向に非対称構造であって、内輪の軸方向他端部に第1小径段部が設けられ、内輪の内輪軌道溝に隣接する一対の肩部のうち他方の肩部の外周縁には、一方の肩部の外周縁に設けられる面取部よりも大きい内輪側面取部が設けられるため、エレベータコンベアの爪部によって内輪が搬送される際、内輪側面取部が、爪部の爪側面取部に対向するように位置し、且つ内輪の重心を通る垂線上に位置する。このため、内輪の内輪側面取部が爪部の爪側面取部を滑り落ち、内輪が回転することなくベルトに沿って滑り落ちるので、内輪の落下速度を抑制して、内輪の損傷を防止することができる。
本発明に係る単列深溝玉軸受の第1実施形態を説明する断面図である。 図1に示す内輪を一方の肩部で爪部と係合させて搬送する状態を説明する断面図である。 図1に示す内輪を他方の肩部で爪部と係合させて搬送する状態を説明する断面図である。 本発明に係る単列深溝玉軸受の第1実施形態の変形例を説明する断面図である。 本発明に係る単列深溝玉軸受の第2実施形態を説明する断面図である。 図5に示す内輪を一方の肩部で爪部と係合させて搬送する状態を説明する断面図である。 従来の玉軸受の内輪をその突出部でエレベータコンベアの爪部と係合させて搬送する状態を説明する断面図である。 従来の玉軸受の内輪をその突出部とは軸方向反対側の端部でエレベータコンベアの爪部と係合させて搬送する状態を説明する断面図である。
以下、本発明に係る単列深溝玉軸受の各実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、単列深溝玉軸受(以下「玉軸受」とも言う。)は、半浮動式の車輪支持装置に搭載される転がり軸受であり、車両の後輪(駆動輪)を回転自在に支承するために使用される。また、半浮動式の車輪支持装置では、車軸(アクスルシャフト)は玉軸受を介してハウジング(アクスルハウジング)に収納される。そして、本実施形態の玉軸受はアクスルシャフトの外周面に係止される。
(第1実施形態)
まず、図1~図4を参照して、本発明に係る単列深溝玉軸受の第1実施形態について説明する。
本実施形態の玉軸受(単列深溝玉軸受)10は、図1に示すように、固定軌道輪である外輪11と、回転軌道輪である内輪12と、外輪11の外輪軌道溝11aと内輪12の内輪軌道溝12aとの間に転動可能に設けられる複数の玉13と、複数の玉13を周方向に略等間隔に保持する保持器14と、外輪11の内周面の両端部に取り付けられる第1及び第2密封装置15,16と、を備える。また、軸受内部空間には、潤滑剤(例えば、グリース)が封入されている。
外輪11は、その内周面の軸方向中央に外輪軌道溝11aが形成され、外輪軌道溝11aに隣接する一対の肩部11bを有する。外輪11は、外輪軌道溝11aを挟んで軸方向一端部と軸方向他端部の形状が略同一である。
内輪12は、その外周面に内輪軌道溝12aが形成され、内輪軌道溝12aに隣接する一対の肩部12bを有する。また、内輪12は、内輪軌道溝12aを挟んで軸方向一端部と軸方向他端部の形状が異なる軸方向に非対称構造であり、内輪軌道溝12aの溝底部から内輪12の軸方向一端面12cまでの軸方向寸法B1が、内輪軌道溝12aの溝底部から内輪12の軸方向他端面12dまでの軸方向寸法B2よりも大きくなるように形成されている。このため、内輪12の軸方向寸法は外輪11の軸方向寸法よりも大きく構成され、内輪12の軸方向一端部が外輪11の軸方向一端面よりも軸方向外側に突出している。また、内輪12の軸方向他端面は、外輪11の軸方向他端面と軸方向位置が略同一である。
また、内輪12の軸方向一方側(図1の右側)の肩部12bの外周縁には、テーパ状又は円弧状の面取部12eが全周に亘って形成されている。なお、一対の肩部12bの外周面はそれぞれ径が一様な円筒面に形成される。
また、内輪12の軸方向他端部(図1の左側端部)の外周面には、肩部12bの外周面よりも小径となるように、底面12g及び側面12hを有する第1小径段部12fが全周に亘って形成されている。第1小径段部12fの底面12gは、軸方向外方に向かって縮径するテーパ面に形成される。
また、内輪12の軸方向他方側の肩部12bの外周縁、つまり、第1小径段部12fの側面12hと軸方向他方側(図1の左側)の肩部12bの外周面との間の縁部には、テーパ状の内輪側面取部12iが全周に亘って形成されている。つまり、内輪12の内輪側面取部12iが設けられる側の軸方向端部に、第1小径段部12fが設けられている。そして、内輪側面取部12iは、一方側の肩部12bの面取部12eよりも径方向寸法及び軸方向寸法が大きく形成されている。
第1密封装置15は、車両組み付け状態で車両外側に配置され、外部の塵埃や泥水が玉軸受内へ侵入することを防止するシールであり、ラジアルリップが内輪12の一方側の肩部12bの外周面に摺接すると共に、サイドリップが内輪12の一方側の肩部12bの外周面に円筒部が嵌合される断面L字形状のスリンガ15aの円輪部の軸方向内側面に摺接する。第2密封装置16は、アクスル管内に封入されたデフオイルが玉軸受内に封入された潤滑剤を洗い流してしまうことを防ぐためのシールであり、ラジアルリップが内輪12の第1小径段部12fの底面12gに摺接する。
次に、上記した内輪12の製造工程について説明する。内輪12の製造工程は、内輪側面取部12iが形成された内輪12を後述するエレベータコンベア20によって搬送する搬送工程と、搬送された内輪12の内輪軌道溝12aを加工する軌道溝加工工程(研削加工工程又は超仕上げ加工工程)と、を少なくとも含んでいる。
搬送工程では、内輪12を所定の向きに揃えて軌道溝加工工程に搬送する。軌道溝加工工程では、内輪12の内輪軌道溝12aに研削加工や超仕上げ加工を施す。なお、内輪12には、内輪側面取部12i、面取部12e、及び第1小径段部12fが、切削加工等により搬送工程の前に予め形成されている。
次に、図2及び図3を参照して、内輪12の搬送工程について詳しく説明する。
搬送工程では、図2及び図3に示すように、内輪12は、重力方向(図2及び図3の上下方向)に対して斜めに配置されるエレベータコンベア20により下方から上方に搬送される。つまり、エレベータコンベア20の搬送方向Dは、重力方向に対して斜めに設定されている。
エレベータコンベア20は、ベルト21と、ベルト21の表面に設けられ、内輪12を乗せるための爪部22と、を備える。爪部22は、重力方向断面視で矩形状且つベルト21の幅方向に沿って線状に形成される。そして、爪部22の上面と表側面との間の縁部には、曲面状の爪側面取部22aが形成されている。エレベータコンベア20は、爪部22の上面に内輪12を乗せて、内輪12を上方に向けて搬送する。
そして、図2に示すように、内輪12の軸方向一端面12cがベルト21側に位置して内輪12を搬送する場合、内輪12の一方側の肩部12bの外周面が爪部22の上面に係合する。このとき、内輪12の重心Gを通る垂線Lが爪部22の上面の範囲或いは爪部22の上面よりもベルト21側の範囲に位置するため、内輪12は爪部22から落下せずに次工程に搬送される。なお、内輪12の重心Gは、内輪12の中心軸(径方向中心を通る軸方向線)C上に位置する。
その一方、図3に示すように、内輪12の軸方向他端面12dがベルト21側に位置して内輪12を搬送する場合、内輪12の内輪側面取部12iが爪部22の爪側面取部22aに係合する。このとき、内輪側面取部12iが、爪側面取部22aに対向するように位置し、且つ内輪12の重心Gを通る垂線L上に位置するため、内輪12の内輪側面取部12iが爪側面取部22aを滑り落ち(図3の矢印A参照)、内輪12が回転することなくベルト21に沿って滑り落ちる。従って、内輪12は爪部22から落下するため次工程に搬送されない。また、内輪12がベルト21に沿って滑り落ちる場合、内輪12の落下速度が抑制され、内輪12の損傷が防止される。
以上説明したように、本実施形態の単列深溝玉軸受10及びその製造方法によれば、エレベータコンベア20の爪部22によって内輪12が搬送される際、内輪側面取部12iが、爪側面取部22aに対向するように位置し、且つ内輪12の重心Gを通る垂線L上に位置する。このため、内輪12の内輪側面取部12iが爪部22の爪側面取部22aを滑り落ち、内輪12が回転することなくベルト21に沿って滑り落ちるので、内輪12の落下速度を抑制して、内輪12の損傷を防止することができる。
また、本実施形態の単列深溝玉軸受10及びその製造方法によれば、内輪12の第1小径段部12fの底面12gが、軸方向外方に向かって縮径するテーパ面に形成されるため、内輪12の内輪側面取部12iが爪部22の爪側面取部22aを滑り落ちる際に、第1小径段部12fの底面12gが爪部22に引っ掛からず、内輪12が滑り落ちることを阻害しない。このため、内輪12を回転させることなくベルト21に沿って滑り落とすことができる。
また、本実施形態の変形例として、図4に示すように、内輪12の軸方向一端部の外輪11の軸方向一端面に対する突出幅を小さくしてもよい。また、内輪12の軸方向一端部(図4の右側端部)の外周面に第2小径段部12kが全周に亘って形成され、第1密封装置15が第2密封装置16と同様の構造となっている。そして、本変形例においても、図2及び図3に示すように、内輪12を所定の向きに揃えて次工程に搬送することができる。
(第2実施形態)
次に、図5及び図6を参照して、本発明に係る単列深溝玉軸受の第2実施形態について説明する。なお、上記第1実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
本実施形態では、図5に示すように、内輪12の軸方向一端部(図5の右側端部)の外周面に、肩部12bの外周面よりも小径となるように、底面12n及び側面12pを有する第2小径段部12mが全周に亘って形成されている。この第2小径段部12mは、軸方向他端部の第1小径段部12fよりも大径である。また、第2小径段部12mの底面12nは径が一様な円筒面に形成され、第2小径段部12mの側面12pは軸方向外方に向かって縮径するテーパ面に形成される。また、第2小径段部12mの底面12nにスリンガ15aが嵌合される。
そして、第2小径段部12mは、上記した製造工程の軌道溝加工工程において、内輪12の内輪軌道溝12aと同時に研削により形成される。
また、本実施形態では、内輪側面取部12iと内輪12の重心Gとを通る直線Eと内輪12の中心軸Cとの交角αが55°~75°の範囲、より好ましくは60°~70°の範囲に設定される。より具体的には、直線Eは、内輪側面取部12iの軸方向内端と軸方向外端との間を通る直線である。このため、内輪側面取部12iの軸方向内端と内輪12の重心Gとを通る直線Eと内輪12の中心軸Cとの交角α、及び内輪側面取部12iの軸方向外端と内輪12の重心Gとを通る直線Eと内輪12の中心軸Cとの交角αの両方が、55°~75°の範囲、より好ましくは60°~70°の範囲に設定されている。なお、本実施形態では、交角αは63°~66°に設定される。
また、本実施形態では、図6に示すように、エレベータコンベア20の搬送方向Dと重力方向(=垂線L)に対して直交する水平面Fとの交角βは、内輪側面取部12iと内輪12の重心Gとを通る直線Eと内輪12の中心軸Cとの交角α以上(β≧α)に設定される。つまり、本実施形態では、交角βは66°以上に設定される。
そして、上記したように交角α及び交角βが設定されることにより、内輪12の軸方向他端面12dがベルト21側に位置して内輪12を搬送する場合、内輪12の内輪側面取部12iが爪側面取部22aを滑り落ち(図6の矢印A参照)、内輪12が回転することなくベルト21に沿って滑り落ちる。従って、内輪12は爪部22から落下するため次工程に搬送されない。また、内輪12がベルト21に沿って滑り落ちる場合、内輪12の落下速度が抑制され、内輪12の損傷を防止される。
また、内輪12の軸方向一端面12cがベルト21側に位置して内輪12を搬送する場合、図2に示す内輪12と同様に、内輪12の重心Gを通る垂線Lが爪部22の上面の範囲或いは爪部22の上面よりもベルト21側の範囲に位置するため、内輪12は爪部22から落下せずに次工程に搬送される。
以上説明したように、本実施形態の単列深溝玉軸受10及びその製造方法によれば、内輪側面取部12iと内輪12の重心Gとを通る直線Eと内輪12の中心軸Cとの交角αが55°~75°の範囲に設定され、エレベータコンベア20の搬送方向Dと重力方向に対して直交する水平面Fとの交角βが、内輪側面取部12iと内輪12の重心Gとを通る直線Eと内輪12の中心軸Cとの交角α以上に設定される。このため、内輪12の内輪側面取部12iが爪部22の爪側面取部22aを滑り落ち、内輪12が回転することなくベルト21に沿って滑り落ちるので、内輪12の落下速度を抑制して、内輪12の損傷を防止することができる。
また、本実施形態の単列深溝玉軸受10によれば、内輪12の軸方向一端部の外周面に、第2小径段部12mが形成されるため、第1密封装置15を径方向で大型化することができると共に、スリンガ15aの内周面と第2小径段部12mの底面12nとの嵌合面からの浸水を更に防止することができるので、軸受の耐水性を向上することができる。
また、本実施形態の単列深溝玉軸受10によれば、第2小径段部12mが、内輪軌道溝12aと同時に研削により形成されるため、図1に示すような第2小径段部12mが形成されない内輪12と比較して、肩部12bを研削する際の研削抵抗を低くすることができる。より詳細に説明すると、研削加工は、切削加工と比較して、加工抵抗、特に径方向の加工抵抗が大きいため、被研削物が変形しやすい。そこで、本実施形態では、第2小径段部12mを設けて、肩部12bを研削する際の研削部分を減らしている。これにより、研削抵抗を低くすることができるため、内輪12の真円度を高めることができる。
その他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と同様である。
なお、本発明は上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、本発明を軸方向で非対称構造の内輪に適用する場合を例示したが、これに限定されず、軸方向で対称構造の内輪に本発明を適用してもよい。この場合、例えば、内輪の刻印の方向を揃える場合などに利用可能である。
また、上記実施形態では、内輪側面取部がテーパ状の面取りで、爪側面取部が曲面状の面取りであるが、これに限定されず、内輪側面取部が曲面状の面取りで、爪側面取部がテーパ状の面取りであってもよい。また、内輪側面取部と爪側面取部の両方がテーパ状の面取り又は曲面状の面取りであってもよい。
10 玉軸受(単列深溝玉軸受)
11 外輪
11a 外輪軌道溝
11b 肩部
12 内輪
12a 内輪軌道溝
12b 肩部
12c 軸方向一端面
12d 軸方向他端面
12e 面取部
12f 第1小径段部
12g 底面
12h 側面
12i 内輪側面取部
12m 第2小径段部
12n 底面
12p 側面
13 複数の玉
14 保持器
15 第1密封装置
16 第2密封装置
20 エレベータコンベア
21 ベルト
22 爪部
22a 爪側面取部
B1 内輪軌道溝から内輪の軸方向一端面までの軸方向寸法
B2 内輪軌道溝から内輪の軸方向他端面までの軸方向寸法
C 内輪の中心軸
D エレベータコンベアの搬送方向
G 重心
L 垂線
E 内輪側面取部と内輪の重心とを通る直線
F 重力方向に対して直交する水平面
α 内輪側面取部と内輪の重心とを通る直線と内輪の中心軸との交角
β エレベータコンベアの搬送方向と重力方向に対して直交する水平面との交角

Claims (2)

  1. 列深溝玉軸受の製造方法であって、
    単列深溝玉軸受は、内周面に外輪軌道溝が形成される外輪と、外周面に内輪軌道溝が形成される内輪と、前記外輪軌道溝と前記内輪軌道溝との間に転動可能に設けられる複数の玉と、を備え、
    前記内輪は、前記内輪軌道溝を挟んで軸方向一端部と軸方向他端部の形状が異なる軸方向に非対称構造であって、
    前記内輪の軸方向他端部に第1小径段部が設けられ、
    前記内輪は、重力方向に対して斜めに配置されるエレベータコンベアにより下方から上方に搬送され、
    前記エレベータコンベアは、ベルトと、前記ベルトの表面に設けられ、前記内輪を乗せるための爪部と、を備え、
    前記爪部は重力方向断面視で矩形状に形成され、
    前記爪部の上面と表側面との間の縁部には、爪側面取部が設けられ、
    前記内輪の前記内輪軌道溝に隣接する一対の肩部のうち他方の肩部の外周縁には、一方の肩部の外周縁に設けられる面取部よりも大きい内輪側面取部が設けられ、
    前記エレベータコンベアの前記爪部によって前記内輪が搬送される際、前記内輪側面取部が、前記爪側面取部に対向するように位置し、且つ前記内輪の重心を通る垂線上に位置することを特徴とする単列深溝玉軸受の製造方法。
  2. 前記内輪の軸方向一端部に第2小径段部が設けられ、
    前記第2小径段部は、前記内輪軌道溝と同時に研削により設けられ、
    前記エレベータコンベアの搬送方向と重力方向に対して直交する水平面との交角は、前記内輪側面取部と前記内輪の重心とを通る直線と前記内輪の中心軸との交角以上に設定されることを特徴とする請求項に記載の単列深溝玉軸受の製造方法。
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