JP7008596B2 - 採便用便受けシート - Google Patents
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Description
本発明は、検便時に、水洗トイレ等の溜まり水に浮かべ、試料を採取した後に、そのまま水に流すことができる採便用便受けシートに関する。
大腸等の消化管疾患、寄生虫感染、細菌感染等を検査するために、検便が、広く実施されている。
検便用試料を採取する採便は、一般的に、水洗トイレの溜まり水に採便用便受けシートを浮かべて行われる。この採便用便受けシートには、試料を採取するまで水に浮かんだ状態を保持できる浮水性、採取後にそのまま水に流しても排水管の目詰まりを起こすことのない水分散性が要求される。
検便用試料を採取する採便は、一般的に、水洗トイレの溜まり水に採便用便受けシートを浮かべて行われる。この採便用便受けシートには、試料を採取するまで水に浮かんだ状態を保持できる浮水性、採取後にそのまま水に流しても排水管の目詰まりを起こすことのない水分散性が要求される。
このような採便用便受けシートとして、例えば、特許文献1には、水溶紙からなるシート本体の少なくとも一面に耐水処理剤で耐水処理を施し水溶解性を調整した採便用便受けシート、特許文献2には、木材パルプ等の天然系繊維にマーセル化パルプとレーヨンまたはその一方を含有させた、紙の密度が0.7g/cm3以下、サイズ剤を湿式抄紙により内添した採便用便受けシート、特許文献3には、サイズ剤とパルプ叩解度の組合せにより、便保持性と水分散性を調整した坪量が20~60g/m2である採便用シート、が提案されている。
本発明は、浮水性、水分散性が良好な採便用便受けシートを提供することを課題とする。
本発明の課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
1.製紙用繊維全量に対する、繊維幅(D)に対するルーメン幅(l)の比(l/D)が0.6以下である針葉樹パルプの配合量が40重量%以上であり、
サイズ剤の配合量が0.05wt%以上0.12wt%以下であり、
密度が0.60g/cm3以下であることを特徴とする採便用便受けシート。
2.前記針葉樹パルプの配合量が50重量%以上であることを特徴とする1.に記載の採便用便受けシート。
3.前記密度が0.58g/cm3以下であることを特徴とする1.または2.に記載の採便用便受けシート。
1.製紙用繊維全量に対する、繊維幅(D)に対するルーメン幅(l)の比(l/D)が0.6以下である針葉樹パルプの配合量が40重量%以上であり、
サイズ剤の配合量が0.05wt%以上0.12wt%以下であり、
密度が0.60g/cm3以下であることを特徴とする採便用便受けシート。
2.前記針葉樹パルプの配合量が50重量%以上であることを特徴とする1.に記載の採便用便受けシート。
3.前記密度が0.58g/cm3以下であることを特徴とする1.または2.に記載の採便用便受けシート。
本発明の採便用便受けシートは、浮水性に優れ、水に浮かべてから試料を採取するまで、便が溜まり水と接触することなく、浮かんだ状態を維持することができる。本発明の採便用便受けシートは、水分散性に優れており、試料を採取した後に、そのまま水に流しても、排水管の目詰まりを起こすことがない。
「採便用便受けシート」
本発明の採便用便受けシート(以下、便受けシートともいう)は、製紙用繊維全量に対する、繊維幅(D)に対するルーメン幅(l)の比(l/D)が0.6以下である針葉樹パルプの配合量が40重量%以上であり、サイズ剤の配合量が0.05wt%以上0.12wt%以下であり、密度が0.60g/cm3以下であることを特徴とする。
以下、本明細書において、繊維幅(D)に対するルーメン幅(l)の比(l/D)を、単に「l/D」ともいう。
本発明の採便用便受けシート(以下、便受けシートともいう)は、製紙用繊維全量に対する、繊維幅(D)に対するルーメン幅(l)の比(l/D)が0.6以下である針葉樹パルプの配合量が40重量%以上であり、サイズ剤の配合量が0.05wt%以上0.12wt%以下であり、密度が0.60g/cm3以下であることを特徴とする。
以下、本明細書において、繊維幅(D)に対するルーメン幅(l)の比(l/D)を、単に「l/D」ともいう。
・l/D
図1に、パルプ断面の概略図を示す。一般にパルプと呼ばれるものの主体は、針葉樹では仮道管、広葉樹では木繊維であり、その内部にルーメンと呼ばれる内腔を有する。l/Dは、繊維の大きさに占めるルーメンの割合を示す値であり、小さいほどルーメンが小さく、繊維壁が厚いことを示す。
図1に、パルプ断面の概略図を示す。一般にパルプと呼ばれるものの主体は、針葉樹では仮道管、広葉樹では木繊維であり、その内部にルーメンと呼ばれる内腔を有する。l/Dは、繊維の大きさに占めるルーメンの割合を示す値であり、小さいほどルーメンが小さく、繊維壁が厚いことを示す。
ここで、本明細書において、パルプのl/Dとは、以下の手順で測定することができる。
1.パルプ懸濁液を0.05%の濃度になるよう希釈する。
2.希釈液を滴下管を用いて汚れのないプレパラート上に滴下し、必要に応じて解剖針を用いて繊維を均一に分散する。
3.気泡が入らないようにカバーガラスを載せ、余剰の水を吸い取り紙で除き、スライドを作製する。
4.スライドを光学顕微鏡を用いて観察し、可動ステージ上でスライドを水平方向又は垂直方向に動かし、繊維幅(D)、ルーメン幅(l)を計測し、l/Dを算出する。
1.パルプ懸濁液を0.05%の濃度になるよう希釈する。
2.希釈液を滴下管を用いて汚れのないプレパラート上に滴下し、必要に応じて解剖針を用いて繊維を均一に分散する。
3.気泡が入らないようにカバーガラスを載せ、余剰の水を吸い取り紙で除き、スライドを作製する。
4.スライドを光学顕微鏡を用いて観察し、可動ステージ上でスライドを水平方向又は垂直方向に動かし、繊維幅(D)、ルーメン幅(l)を計測し、l/Dを算出する。
紙料を調製する場合は、配合するパルプについて、上記方法で100本以上のパルプのl/Dを求め、その平均値をパルプのl/Dとすることができる。
抄紙した紙からは、紙の離解ろ水度を測定するためのスラリー調製と同様にして紙を離開し、200本以上のパルプについて、樹種等によって異なる色に呈色する染色液を用いて判別するとともに、上記方法でl/Dを求めることにより、針葉樹パルプの配合量と、パルプのl/Dを求めることができる。
抄紙した紙からは、紙の離解ろ水度を測定するためのスラリー調製と同様にして紙を離開し、200本以上のパルプについて、樹種等によって異なる色に呈色する染色液を用いて判別するとともに、上記方法でl/Dを求めることにより、針葉樹パルプの配合量と、パルプのl/Dを求めることができる。
・製紙用繊維
本発明の便受けシートは、製紙用繊維全量に対する、l/Dが0.6以下である針葉樹パルプの配合量が40重量%以上であることを特徴とする。
本発明の便受けシートは、密度が0.60g/cm3以下である紙を抄造できる限り、製紙用繊維として、l/Dが0.6以下である針葉樹パルプとその他のパルプとを組み合わせて使用することができる。製紙用繊維全量に対するl/Dが0.6以下である針葉樹パルプの配合量は、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましい。
本発明の便受けシートは、製紙用繊維全量に対する、l/Dが0.6以下である針葉樹パルプの配合量が40重量%以上であることを特徴とする。
本発明の便受けシートは、密度が0.60g/cm3以下である紙を抄造できる限り、製紙用繊維として、l/Dが0.6以下である針葉樹パルプとその他のパルプとを組み合わせて使用することができる。製紙用繊維全量に対するl/Dが0.6以下である針葉樹パルプの配合量は、50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましい。
・l/Dが0.6以下である針葉樹パルプ
l/Dが0.6以下である針葉樹パルプは、繊維壁が肉厚で潰れにくく、ルーメンや繊維間隙に空気を含んだ状態を維持しやすいため、水に浮かびやすい。また、l/Dが0.6以下である針葉樹パルプは、繊維壁が肉厚で潰れにくく、低密度なシートを形成するため、繊維間結合が少なくなり水に分散しやすい。l/Dが小さいほど水に浮かびやすく、かつ、水に分散しやすいシートが抄造できるため、l/Dが0.6以下である針葉樹パルプは、そのl/Dが0.55以下であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましく、0.45以下であることがさらに好ましい。
l/Dが0.6以下である針葉樹パルプは、繊維壁が肉厚で潰れにくく、ルーメンや繊維間隙に空気を含んだ状態を維持しやすいため、水に浮かびやすい。また、l/Dが0.6以下である針葉樹パルプは、繊維壁が肉厚で潰れにくく、低密度なシートを形成するため、繊維間結合が少なくなり水に分散しやすい。l/Dが小さいほど水に浮かびやすく、かつ、水に分散しやすいシートが抄造できるため、l/Dが0.6以下である針葉樹パルプは、そのl/Dが0.55以下であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましく、0.45以下であることがさらに好ましい。
l/Dが0.6以下である針葉樹パルプとしては、特に制限されず、機械パルプ(MP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、亜硫酸パルプ(SP)、クラフトパルプ(KP)、また、これらの晒パルプ(BP)、未晒パルプ(UP)の1種類または2種類以上を配合して使用することができる。これらの中で、強度に優れるクラフトパルプ(KP)および亜硫酸パルプ(SP)が好ましい。
・その他のパルプ
l/Dが0.6以下である針葉樹パルプと組み合わせるその他のパルプとしては、l/Dが0.6を超える針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、再生セルロース、亜麻、ケナフ、楮、三椏などの靭皮繊維、バガス、竹、エスパルトなどの硬質繊維、コットンリンターなどの種子毛繊維、マニラ麻、サイザル麻などの葉脈繊維といった非木材パルプ等を、特に制限なく使用することができる。
その他のパルプのl/Dは、特に制限されず、0.6を超えてもよい。ただし、その他のパルプのl/Dが大きい場合、浮水性と水分散性が低下する傾向があるため、l/Dが0.6以下である針葉樹パルプの配合量を多くする必要がある。
l/Dが0.6以下である針葉樹パルプと組み合わせるその他のパルプとしては、l/Dが0.6を超える針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、再生セルロース、亜麻、ケナフ、楮、三椏などの靭皮繊維、バガス、竹、エスパルトなどの硬質繊維、コットンリンターなどの種子毛繊維、マニラ麻、サイザル麻などの葉脈繊維といった非木材パルプ等を、特に制限なく使用することができる。
その他のパルプのl/Dは、特に制限されず、0.6を超えてもよい。ただし、その他のパルプのl/Dが大きい場合、浮水性と水分散性が低下する傾向があるため、l/Dが0.6以下である針葉樹パルプの配合量を多くする必要がある。
便受けシートに使用する製紙用繊維は、濾水度(カナダ標準フリーネス:CSF)が550mlCSF以上750mlCSF以下となるように叩解することが好ましい。濾水度が550mlCSFより小さくなる(叩解が進む)と、水分散性が低下する。濾水度が750mlCSFより大きいと、抄紙が困難となる場合がある。濾水度(カナダ標準フリーネス:CSF)は、600mlCSF以上730mlCSF以下であることが好ましく、630mlCSF以上710mlCSF以下であることがより好ましい。
パルプ懸濁液の叩解は、針葉樹パルプのみからなる懸濁液を叩解する場合に限らず、針葉樹パルプとその他のパルプとを混合した後に混合叩解しても、針葉樹パルプとその他のパルプとを別々に叩解した後に混合(別叩解)してもよい。別叩解の場合、それぞれのパルプの濾水度は、特に制限されるものではないが、各パルプを混合した後の内部層を抄紙するためのパルプ懸濁液の濾水度が、上記した550mlCSF以上750mlCSF以下の範囲内となるように調成する。
パルプ懸濁液の叩解は、針葉樹パルプのみからなる懸濁液を叩解する場合に限らず、針葉樹パルプとその他のパルプとを混合した後に混合叩解しても、針葉樹パルプとその他のパルプとを別々に叩解した後に混合(別叩解)してもよい。別叩解の場合、それぞれのパルプの濾水度は、特に制限されるものではないが、各パルプを混合した後の内部層を抄紙するためのパルプ懸濁液の濾水度が、上記した550mlCSF以上750mlCSF以下の範囲内となるように調成する。
・サイズ剤
本発明の便受けシートは、絶乾状態でのサイズ剤の配合量が0.05wt%以上0.12wt%以下である。サイズ剤の配合量が上記した範囲内であることにより、本発明の便受けシートは、浮水性と水分散性とをバランスよく発現することができる。サイズ剤の配合量が0.05wt%未満では、浮水性が低下する場合がある。サイズ剤の配合量が0.12wt%より大きくなると、水分散性が低下する場合がある。サイズ剤の配合量は、0.06wt%以上0.11wt%以下であることがより好ましく、0.08wt%以上0.10wt%以下であることがさらに好ましい。なお、便受けシートに含まれるサイズ剤の配合量は、熱分解ガスクロマトグラフ-質量分析法により測定できる。
サイズ剤としては、ロジン、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)、スチレン・アクリル樹脂等のポリマー系サイズ剤、高級脂肪酸系サイズ剤などの公知のサイズ剤を、内添、外添のいずれか、または両方として、使用することができる。
本発明の便受けシートは、絶乾状態でのサイズ剤の配合量が0.05wt%以上0.12wt%以下である。サイズ剤の配合量が上記した範囲内であることにより、本発明の便受けシートは、浮水性と水分散性とをバランスよく発現することができる。サイズ剤の配合量が0.05wt%未満では、浮水性が低下する場合がある。サイズ剤の配合量が0.12wt%より大きくなると、水分散性が低下する場合がある。サイズ剤の配合量は、0.06wt%以上0.11wt%以下であることがより好ましく、0.08wt%以上0.10wt%以下であることがさらに好ましい。なお、便受けシートに含まれるサイズ剤の配合量は、熱分解ガスクロマトグラフ-質量分析法により測定できる。
サイズ剤としては、ロジン、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)、スチレン・アクリル樹脂等のポリマー系サイズ剤、高級脂肪酸系サイズ剤などの公知のサイズ剤を、内添、外添のいずれか、または両方として、使用することができる。
・添加剤
本発明の便受けシートは、浮水性、水分散性を損なわない範囲内において、公知の添加剤、例えば、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン化澱粉、各種変性澱粉、尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホルマリン樹脂などの乾燥紙力増強剤、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、ポリビニルアミン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂などの湿潤紙力増強剤、歩留剤、濾水性向上剤、凝結剤、硫酸バンド、嵩高剤、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、紫外線防止剤、退色防止剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の添加剤を、必要に応じて適宜選択して配合することができる。
本発明の便受けシートは、浮水性、水分散性を損なわない範囲内において、公知の添加剤、例えば、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン化澱粉、各種変性澱粉、尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホルマリン樹脂などの乾燥紙力増強剤、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、ポリビニルアミン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂などの湿潤紙力増強剤、歩留剤、濾水性向上剤、凝結剤、硫酸バンド、嵩高剤、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、紫外線防止剤、退色防止剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の添加剤を、必要に応じて適宜選択して配合することができる。
・密度
本発明の便受けシートは、密度が0.60g/cm3以下である。密度が0.60g/cm3以下であることにより、上に大便を乗せた状態でも、採便作業を行う間程度は、水洗トイレの溜まり水に浮かぶことができる。密度は、0.58g/cm3以下であることが好ましく、0.55g/cm3以下であることがより好ましく、0.52g/cm3以下であることがさらに好ましい。
本発明の便受けシートは、密度が0.60g/cm3以下である。密度が0.60g/cm3以下であることにより、上に大便を乗せた状態でも、採便作業を行う間程度は、水洗トイレの溜まり水に浮かぶことができる。密度は、0.58g/cm3以下であることが好ましく、0.55g/cm3以下であることがより好ましく、0.52g/cm3以下であることがさらに好ましい。
・坪量
本発明の便受けシートの坪量は、20g/m2以上60g/m2以下であることが好ましい。坪量が20g/m2未満では、浮水性が不足する場合がある。坪量が60g/m2より大きいと、水分散性が低下する場合がある。坪量は、30g/m2以上50g/m2以下であることがより好ましく、40g/m2以上45g/m2以下であることがさらに好ましい。
本発明の便受けシートの坪量は、20g/m2以上60g/m2以下であることが好ましい。坪量が20g/m2未満では、浮水性が不足する場合がある。坪量が60g/m2より大きいと、水分散性が低下する場合がある。坪量は、30g/m2以上50g/m2以下であることがより好ましく、40g/m2以上45g/m2以下であることがさらに好ましい。
・浮水性
本発明の便受けシートの浮水性は、下記方法で測定した水没時間により評価することができる。
「水没時間」
便受けシート(257mm×364mm)を水に浮かせ、便受けシートの中心に総重量が270gとなるようにおもりを入れたアクリルケース(横7.5mm×縦11.5mm×高さ44mm)を静かに置き、体積の半分が水面下に沈むまでの時間を、水没時間とする。
本発明の便受けシートの浮水性は、下記方法で測定した水没時間により評価することができる。
「水没時間」
便受けシート(257mm×364mm)を水に浮かせ、便受けシートの中心に総重量が270gとなるようにおもりを入れたアクリルケース(横7.5mm×縦11.5mm×高さ44mm)を静かに置き、体積の半分が水面下に沈むまでの時間を、水没時間とする。
本発明の便受けシートは、この水没時間が180秒以上であることが好ましく、240秒以上であることがより好ましく、300秒以上であることがさらに好ましい。便受けシートは、この水没時間が長くなるほど、水に浮かびやすいため浮水性に優れる。そのため、この水没時間が長い便受けシートは、採便作業を行なう時間を確保しやすい。
・水分散性
本発明の便受けシートの水分散性は、フロック状水分散時間、JIS P4501の「4.5 ほぐれやすさ」によって評価することができる。フロック状水分散時間とは、脱イオン水300mlを300mlビーカーに入れ、スターラーで650rpmに攪拌しながら、3cm角の試験片を投入し、試験片が2つ以上に千切れる時間である。
本発明の便受けシートの水分散性は、フロック状水分散時間、JIS P4501の「4.5 ほぐれやすさ」によって評価することができる。フロック状水分散時間とは、脱イオン水300mlを300mlビーカーに入れ、スターラーで650rpmに攪拌しながら、3cm角の試験片を投入し、試験片が2つ以上に千切れる時間である。
本発明の便受けシートは、フロック状水分散時間が、120秒以内であることが好ましく、90秒以内であることがより好ましく、60秒以内であることがさらに好ましい。また、本発明の便受けシートは、JIS P4501の「4.5 ほぐれやすさ」が、200秒を上限とし、100秒以内であることが好ましい。これらの時間が長くなると、水分散性が低くなり、排水管等を詰まらす原因となる場合がある。
「製造方法」
本発明の便受けシートは、公知の製紙技術によって製造することができる。抄紙機は、円網式抄紙機、傾斜短網式抄紙機、長網式抄紙機、ツインワイヤー式抄紙機等何れでもよく、要求される強度、水分散性に応じて使い分けることができる。例えば、円網式抄紙機を用いた場合には、強度異方性が大きく、縦方向より横方向の強度が弱くなるため、水中で容易に横方向に千切れる紙を製造することができる。
本発明の便受けシートは、公知の製紙技術によって製造することができる。抄紙機は、円網式抄紙機、傾斜短網式抄紙機、長網式抄紙機、ツインワイヤー式抄紙機等何れでもよく、要求される強度、水分散性に応じて使い分けることができる。例えば、円網式抄紙機を用いた場合には、強度異方性が大きく、縦方向より横方向の強度が弱くなるため、水中で容易に横方向に千切れる紙を製造することができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は下記実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
針葉樹クラフトパルプ(l/D:0.41)をカナダ標準ろ水度690mlCSFまで叩解したものに、サイズ剤(荒川化学工業株式会社製 商品名:サイズパインK-901)を絶乾状態での配合量が0.08wt%となるように添加し、坪量43g/m2の便受けシートを円網式抄紙機で製造した。
針葉樹クラフトパルプ(l/D:0.41)をカナダ標準ろ水度690mlCSFまで叩解したものに、サイズ剤(荒川化学工業株式会社製 商品名:サイズパインK-901)を絶乾状態での配合量が0.08wt%となるように添加し、坪量43g/m2の便受けシートを円網式抄紙機で製造した。
[実施例2]
サイズ剤の配合量が0.06wt%となるように添加した以外は実施例1と同様に製造した。
[実施例3]
サイズ剤の配合量が0.10wt%となるように添加した以外は実施例1と同様に製造した。
[実施例4]
針葉樹クラフトパルプ(l/D:0.41)50重量%と広葉樹クラフトパルプ50重量%をカナダ標準ろ水度620mlCSFまで叩解したものを使用した以外は実施例1と同様に製造した。
サイズ剤の配合量が0.06wt%となるように添加した以外は実施例1と同様に製造した。
[実施例3]
サイズ剤の配合量が0.10wt%となるように添加した以外は実施例1と同様に製造した。
[実施例4]
針葉樹クラフトパルプ(l/D:0.41)50重量%と広葉樹クラフトパルプ50重量%をカナダ標準ろ水度620mlCSFまで叩解したものを使用した以外は実施例1と同様に製造した。
[比較例1]
サイズ剤を添加しないこと以外は実施例1と同様に製造した。
[比較例2]
針葉樹クラフトパルプ(l/D:0.70)をカナダ標準ろ水度690mlCSFに叩解したものを使用した以外は実施例1と同様に製造した。
[比較例3]
サイズ剤の配合量が0.04wt%となるように添加した以外は実施例1と同様に製造した。
サイズ剤を添加しないこと以外は実施例1と同様に製造した。
[比較例2]
針葉樹クラフトパルプ(l/D:0.70)をカナダ標準ろ水度690mlCSFに叩解したものを使用した以外は実施例1と同様に製造した。
[比較例3]
サイズ剤の配合量が0.04wt%となるように添加した以外は実施例1と同様に製造した。
[比較例4]
サイズ剤の配合量が0.20wt%となるように添加した以外は実施例1と同様に製造した。
[比較例5]
針葉樹クラフトパルプ(l/D:0.41)30重量%と広葉樹クラフトパルプ70重量%をカナダ標準ろ水度600mlCSFまで叩解したものを使用した以外は実施例1と同様に製造した。
サイズ剤の配合量が0.20wt%となるように添加した以外は実施例1と同様に製造した。
[比較例5]
針葉樹クラフトパルプ(l/D:0.41)30重量%と広葉樹クラフトパルプ70重量%をカナダ標準ろ水度600mlCSFまで叩解したものを使用した以外は実施例1と同様に製造した。
得られた便受けシートについて、下記評価を行った。結果を表1に示す。
・坪量、厚さ、密度
JIS P8124に準拠して坪量を測定した。
JIS P8118に準拠して加圧面間の圧力100kPaとして、シート1枚の厚さを測定した。
測定した坪量と厚さより、密度を計算した。
・坪量、厚さ、密度
JIS P8124に準拠して坪量を測定した。
JIS P8118に準拠して加圧面間の圧力100kPaとして、シート1枚の厚さを測定した。
測定した坪量と厚さより、密度を計算した。
・水没時間
上記方法で水没時間を測定し、下記基準で評価した。
◎ 300秒以上
○ 180秒以上300秒未満
× 180秒未満
上記方法で水没時間を測定し、下記基準で評価した。
◎ 300秒以上
○ 180秒以上300秒未満
× 180秒未満
・ほぐれやすさ
JIS P4501の「4.5 ほぐれやすさ」に準拠して測定し、下記基準で評価した。
○ 100秒以下
△ 100秒より長く200秒以下
× 200秒より長い
JIS P4501の「4.5 ほぐれやすさ」に準拠して測定し、下記基準で評価した。
○ 100秒以下
△ 100秒より長く200秒以下
× 200秒より長い
・フロック状水分散時間
上記方法でフロック状水分散時間を測定し、下記基準で評価した。
◎ 60秒以下
○ 60秒より長く120秒以下
× 120秒より長い
上記方法でフロック状水分散時間を測定し、下記基準で評価した。
◎ 60秒以下
○ 60秒より長く120秒以下
× 120秒より長い
本発明である実施例1~4で抄造した便受けシートは、水没時間が長く、かつ、水分散性に優れており、便受けシートとして好適に使用することができる。
比較例1、3で抄造した便受けシートは、水分散性に優れていたものの、サイズ性が低いため、水に浮かべると水が紙の上に浸透してすぐに沈んでしまった。
比較例2で抄造した便受けシートは、実施例1~4よりも使用した針葉樹パルプのl/Dが大きいため、水に浮かびにくく、水分散性に劣っていた。
比較例4で抄造した便受けシートは、サイズ性が高く、浮水性に優れていたが、水分散性が低かった。
比較例5で抄造した便受けシートは、実施例4で抄造した便受けシートと比較してl/Dが0.6以下である針葉樹パルプの使用量が少なく、浮水性が低下した。
比較例1、3で抄造した便受けシートは、水分散性に優れていたものの、サイズ性が低いため、水に浮かべると水が紙の上に浸透してすぐに沈んでしまった。
比較例2で抄造した便受けシートは、実施例1~4よりも使用した針葉樹パルプのl/Dが大きいため、水に浮かびにくく、水分散性に劣っていた。
比較例4で抄造した便受けシートは、サイズ性が高く、浮水性に優れていたが、水分散性が低かった。
比較例5で抄造した便受けシートは、実施例4で抄造した便受けシートと比較してl/Dが0.6以下である針葉樹パルプの使用量が少なく、浮水性が低下した。
Claims (3)
- 製紙用繊維全量に対する、繊維幅(D)に対するルーメン幅(l)の比(l/D)が0.6以下である針葉樹パルプの配合量が40重量%以上であり、
サイズ剤の配合量が0.05wt%以上0.12wt%以下であり、
密度が0.60g/cm3以下であることを特徴とする採便用便受けシート。 - 前記針葉樹パルプの配合量が50重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載の採便用便受けシート。
- 前記密度が0.58g/cm3以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の採便用便受けシート。
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