以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
[作業車両]
図1及び図2は、本実施形態に係る作業車両1を示す斜視図である。本実施形態においては、作業車両1が軌道陸上兼用作業車両であることとする。軌道陸上兼用作業車両とは、鉄道保線作業のような軌道における作業と掘削作業のような地面における作業との両方を実施可能な作業車両をいう。
また、本実施形態においては、軌道陸上兼用作業車両が軌道陸上兼用油圧ショベルであることとする。以下の説明においては、軌道陸上兼用油圧ショベルを適宜、油圧ショベル1、と称する。
図1に示すように、油圧ショベル1は、油圧により作動する作業機10と、作業機10を支持する車両本体20と、車両本体20を支持する走行装置30とを備える。
作業機10は、車両本体20に支持される。本実施形態において、作業機10は、所謂、オフセット式ブームを有するオフセット式作業機である。作業機10は、車両本体20に連結されるメインブーム11と、メインブーム11に連結されるオフセットブーム12と、オフセットブーム12に連結されるアーム13と、アーム13に連結されるアタッチメント14とを有する。アタッチメント14は、交換可能である。アタッチメント14として、掘削対象物を掘削可能なバケット、レール又は枕木のような把持対象物を把持可能なグリッパ、及び地面を締固め可能なタイタンパの少なくとも一つが例示される。図1は、アタッチメント14としてバケットがアーム13に連結されている例を示す。以下の説明においては、アタッチメント14を適宜、バケット14、と称する。
車両本体20とメインブーム11とはブームピンを介して連結される。メインブーム11は、ブーム回転軸を中心に回転可能に車両本体20に支持される。メインブーム11とオフセットブーム12とは第1オフセットピンを介して連結される。オフセットブーム12は、第1オフセット軸を中心に回転可能にメインブーム11に支持される。オフセットブーム12とアーム13とはアームピンを介して連結される。アーム13は、アーム回転軸AX2を中心に回転可能にオフセットブーム12に支持される。また、オフセットブーム12とアーム13とは第2オフセットピンを介して連結される。アーム13は、第2オフセット軸を中心に回転可能にオフセットブーム12に支持される。アーム13とバケット14とはバケットピンを介して連結される。バケット14は、バケット回転軸AX3を中心に回転可能にアーム13に支持される。
車両本体20は、走行装置30に支持される車体フレーム21と、車体フレーム21に支持されるキャブ22とを有する。キャブ22は、運転者が搭乗する運転室を有する。運転者が着座する運転席が運転室に設けられる。車両本体20は、走行装置30の上方に配置され、走行装置30に支持された状態で旋回軸RXを中心に旋回可能である。以下の説明においては、車両本体20を適宜、上部旋回体20、と称し、走行装置30を適宜、下部走行体30、と称する。
ブーム回転軸と、アーム回転軸AX2と、バケット回転軸AX3とは、平行である。ブーム回転軸、アーム回転軸AX2、及びバケット回転軸AX3と、旋回軸RXと平行な軸とは、直交する。以下の説明においては、ブーム回転軸、アーム回転軸AX2、及びバケット回転軸AX3と平行な方向を適宜、上部旋回体20の車幅方向、と称し、旋回軸RXと平行な方向を適宜、上部旋回体20の上下方向、と称し、ブーム回転軸、アーム回転軸AX2、及びバケット回転軸AX3と旋回軸RXとの両方と直交する方向を適宜、上部旋回体20の前後方向、と称する。
本実施形態においては、運転室の運転席に着座した運転者を基準としてバケット14が存在する方向が前方であり、前方の逆方向が後方である。車幅方向の一方が右方であり、右方の逆方向が左方である。バケット14は、上部旋回体20よりも前方に配置される。図1は、作業車両1を左前方から見た斜視図であり、図2は、作業車両1を左後方から見た斜視図である。
作業機10は、油圧シリンダによって作動する。油圧ショベル1は、メインブーム11を駆動するブームシリンダ15と、オフセットブーム12を駆動するオフセットシリンダ16と、アーム13を駆動するアームシリンダ17と、バケット14を駆動するバケットシリンダ18とを有する。ブームシリンダ15が作動すると、メインブーム11の基端部がブーム回転軸を中心に回転して、メインブーム11の先端部が上下方向に移動する。アームシリンダ17が作動すると、アーム13の基端部がアーム回転軸AX2を中心に回転して、アーム13の先端部が上下方向に移動する。バケットシリンダ18が作動すると、バケット14の基端部がバケット回転軸AX3を中心に回転して、バケット14の刃先が上下方向に移動する。
オフセット式作業機である作業機10は、上部旋回体20の車幅方向にバケット14を移動可能である。オフセットシリンダ16が作動し、オフセットブーム12が第1オフセット軸を中心に回転することにより、アーム13及びバケット14が車幅方向に移動する。第1オフセット軸を中心とするオフセットブーム12の回転と同期して、アーム13が第2オフセット軸を中心に回転する。これにより、アーム13及びバケット14が車幅方向に平行移動する。バケット14は、上部旋回体20よりも前方に配置される。オフセットシリンダ16の作動により、バケット14は、運転席の正面に移動可能である。
上部旋回体20は、車体フレーム21と、車体フレーム21の前部に設けられたチルト機構23を介して車体フレーム21にチルト可能に支持されるチルトフロア24を含むキャブ22とを有する。キャブ22は、運転室を形成する部材である。キャブ22は、チルトフロア24と、チルトフロア24に支持される複数の支柱25と、支柱25の上端部に支持されるキャノピー26と、運転席の前方に配置され2つの支柱25に支持されるフロントガラス27とを含む。
下部走行体30は、上部旋回体20の車体フレーム21を支持する。下部走行体30は、軌道を走行するための車輪31と、地面を走行するための履帯32と、車体フレーム21を旋回可能に支持するセンターフレーム33と、センターフレーム33の前後のそれぞれに配置され、車輪31を支持する可動フレーム34と、センターフレーム33の左右のそれぞれに配置され、履帯32を支持するトラックフレーム35とを有する。
車輪31は、4つ設けられる。可動フレーム34は、センターフレーム33に支持される。車輪31は、可動フレーム34に回転可能に支持される。下部走行体30は、車輪31と履帯32との相対位置の調整のための動力を発生可能な油圧アクチュエータ36を有する。油圧アクチュエータ36は、例えば油圧シリンダである。油圧アクチュエータ36は、可動フレーム34を上下方向に移動可能である。可動フレーム34は、一対の履帯32の間に配置される。油圧アクチュエータ36は、車輪31が履帯32よりも上方に配置される状態と下方に配置される状態との一方から他方に変化するように可動フレーム34を移動する。車輪31が履帯32よりも下方に配置された状態で、軌道において車輪31が回転することにより、油圧ショベル1は軌道を走行する。車輪31が履帯32よりも上方に配置された状態で、地面において履帯32が回転することにより、油圧ショベル1は地面を走行する。
図3は、本実施形態に係る作業車両1を示す側面図である。図3に示すように、上部旋回体20は、車体フレーム21と、車体フレーム21に支持されるチルトフロア24を含むキャブ22とを有する。
車体フレーム21は、上部旋回体20のベース部材である。チルトフロア24は、車体フレーム21に支持される。チルト機構23は、ヒンジ機構を含み、車体フレーム21の前部に配置される。車体フレーム21の前部とチルトフロア24の前部とがチルト機構23を介して連結される。チルトフロア24は、チルト機構23を介して車体フレーム21にチルト可能に支持される。
チルト機構23のチルト軸線BXは、旋回軸RXと直交する水平面と平行である。チルト軸線BXは、車幅方向に延在する。チルトフロア24は、前方にチルトする。
チルトフロア24は、規定のチルト範囲においてチルトする。上部旋回体20には、チルトフロア24のチルト範囲を規定するストッパ機構が設けられる。チルトフロア24がチルト範囲の下端部に配置されたチルトダウン状態において、チルトフロア24の上面は、旋回軸RXと直交する水平面と平行である。チルトフロア24がチルト範囲の上端部に配置されたチルトアップ状態において、チルトフロア24の上面は、旋回軸RXと直交する水平面に対して傾斜する。
チルトダウン状態において、車体フレーム21とチルトフロア24との間に収容空間28が形成される。収容空間28は、主要機器2を収容する。主要機器2は、例えばメインエンジン及びメイン油圧ポンプを含む。なお、収容空間28は、主要機器2として、車輪31を回転させる走行モータ、車輪31による走行と履帯32による走行とを切り換える切換装置、ブレーキ装置、及びその他の主要な機器を収容してもよい。
図1、図2、及び図3に示すように、旋回軸RXと直交する断面において、車体フレーム21の左部、右部、及び後部のそれぞれは、円弧状である。本実施形態において、上部旋回体20は、車体フレーム21の右前部に設けられたケース部材60を有する。ケース部材60は、車体フレーム21の右前部から前方に突出する。ケース部材60は、車体フレーム21及びキャブ22よりも前方であって作業機10よりも右方に配置される。ケース部材60は、補助用又は非常用の補助機器3を収容する。補助機器3は、例えば補助エンジン及び補助油圧ポンプを含む。なお、ケース部材60は、補助機器3として、補助バッテリ及びその他の補助用の機器、又は非常用コック及びその他の非常用の機器を収容してもよい。
軌道陸上兼用の油圧ショベル1は、標準の陸上専用の油圧ショベルよりも多くの補助機器3を有する。軌道において油圧ショベル1が作業を実施しているときに、収容空間28に収容されている主要機器2に異常が生じたとき、補助機器3が作動することにより、油圧ショベル1は、軌道を移動したり作業を継続したりすることができる。
また、キャブ22には、補助機器3を操作するための操作装置及び補助機器3を制御する制御盤が搭載される。そのため、軌道陸上兼用の油圧ショベル1のキャブ22の重量は、陸上専用の油圧ショベルのキャブの重量よりも大きい。
[収容部材及び蓋部材]
図4は、本実施形態に係る収容部材40及び蓋部材50を左前方から見た斜視図である。図5は、本実施形態に係る収容部材40及び蓋部材50を右前方から見た斜視図である。図6は、本実施形態に係る収容部材40及び蓋部材50を上方から見た平面図である。図7は、本実施形態に係る収容部材40及び蓋部材50の断面図であり、図6のA-A線断面矢視図に相当する。
油圧ショベル1は、チルトフロア24の前方に配置される収容部材40と、収容部材40の開口部を覆う蓋部材50とを備える。
収容部材40は、車体フレーム21及びキャブ22の前方に配置される。収容部材40は、車体フレーム21とチルトフロア24とを連結するチルト機構23の前方に配置される。収容部材40は、車体フレーム21及びキャブ22よりも前方であって作業機10よりも左方に配置される。収容部材40は、規定機器4を収容する。本実施形態において、規定機器4は、例えばバッテリ、リレー、ヒューズ、及び抵抗器を含む。なお、収容部材40は、規定機器4として、集合電磁弁及びその他の電装品を収容してもよい。
主要な主要機器2及び補助用又は非常用の補助機器3の存在により、規定機器4を上部旋回体20の収容空間28及びケース部材60に収容することが困難である。そのため、本実施形態においては、チルトフロア24の前方に収容部材40が設けられ、収容部材40に規定機器4が収容される。
規定機器4は、主要機器2及び補助機器3よりもメンテナンスされる頻度が高い機器である。規定機器4が収容空間28に収容される場合、規定機器4をメンテナンスするために、チルトフロア24をチルトアップする必要がある。規定機器4が収容部材40に収容されることにより、作業者は、チルトフロア24をチルトアップさせなくても、蓋部材50を操作して収容部材40の開口部を開放することにより、規定機器4をメンテナンスすることができる。これにより、規定機器4をメンテナンスするときの作業性が向上する。
また、収容部材40がチルトフロア24の前方に配置されることにより、上部旋回体20の旋回半径の拡大が抑制される。例えば、収容部材40がチルトフロア24の左方、右方、又は後方に配置されると、上部旋回体20の旋回半径が拡大してしまう。油圧ショベル1は軌道において作業する。そのため、上部旋回体20の旋回半径が拡大すると、軌道において上部旋回体20が旋回したとき、上部旋回体20の少なくとも一部が隣の軌道上に進出してしまう可能性がある。
本実施形態において、収容部材40は、車体フレーム21及びチルトフロア24よりも前方であって作業機10の左方に配置される。ケース部材60は、車体フレーム21及びチルトフロア24よりも前方であって作業機10よりも右方に配置される。作業機10の少なくとも一部は、ケース部材60及び収容部材40よりも前方に配置される。すなわち、収容部材40は、車幅方向において作業機10の左方(一方)に配置され、ケース部材60は、車幅方向において作業機10の右方(他方)に配置される。
本実施形態においては、収容部材40がチルトフロア24の前方に配置されることにより、収容部材40がチルトフロア24の左方、右方、又は後方に配置される場合に比べて、上部旋回体20の旋回半径の拡大が抑制される。また、収容部材40がチルトフロア24の前方に配置されることにより、規定機器4をメンテナンスするときの作業性が向上する。
収容部材40は、前板部41と、後板部42と、左板部43と、右板部44とを有する。前板部41は、後板部42よりも前方に配置される。後板部42は、チルト機構23と対向する。右板部44は、作業機10よりも左方に配置される。右板部44は、左板部43よりも右方に配置される。左板部43は、右板部44よりも車幅方向外側に配置される。すなわち、車幅方向において、車両本体20の中心と右板部44との距離は、車両本体20の中心と左板部43との距離よりも短い。
収容部材40は、開口部45を有する。開口部45は、上方に開口する。開口部45は、前板部41の上端部と後板部42の上端部と左板部43の上端部と右板部44の上端部とによって規定される。
本実施形態において、前板部41は、第1部分411と、第1部分411よりも車幅外側において第1部分411よりも後方に配置される第2部分412と、第1部分411と第2部分412とを結ぶ第3部分413とを含む。第2部分412は、第1部分411よりも左方に配置される。第3部分413は、第1部分411の左端部と第2部分412の右端部とを結ぶように配置される。
第1部分411は、前方を向く第1前面411Sを有する。第2部分412は、第1前面411Sよりも車幅方向外側において第1前面411Sよりも後方に配置される第2前面412Sを有する。第3部分413は、第1前面411Sの左端部と第2前面412Sの右端部とを結ぶ接続面413Sを有する。接続面413Sは、左方を向く。
すなわち、前板部41には、前板部41の車幅方向外側において後方に凹む段差が形成される。
以下の説明において、第1前面411Sと第2前面412Sと接続面413Sとを適宜、前板部41の外面41S、と総称する。
収容部材40の外面は、前板部41の外面41Sと、後板部42の外面42Sと、左板部43の外面43Sと、右板部44の外面44Sとを含む。後板部42の外面42Sは、後方を向く。左板部43の外面43Sは、左方を向く。右板部44の外面44Sは、右方を向く。
規定機器4が配置される収容部材40の内部空間は、外面41Sの逆方向を向く前板部41の内面と、外面42Sの逆方向を向く後板部42の内面と、外面43Sの逆方向を向く左板部43の内面と、外面44Sの逆方向を向く右板部44の内面とによって規定される。
本実施形態において、収容部材40は、手歯止め部材5を支持する支持部材46を有する。支持部材46は、第1前面411Sに固定される。手歯止め部材5の先端部は、くさび状である。油圧ショベル1が軌道において作業を実施するとき、車輪31と軌道との間に手歯止め部材5の先端部が挿入される。これにより、走行装置30が不要に移動することが抑制される。
蓋部材50は、収容部材40の開口部45を覆う。蓋部材50の外面は、上方を向く上面51と、前方に向かって下方に傾斜する前方傾斜面52と、後方に向かって下方に傾斜する後方傾斜面53と、左方を向く左面54と、右方を向く右面55とを含む。
上面51は、第1上面511と、第1上面511よりも車幅方向外側において第1上面511よりも下方に配置される第2上面512とを含む。第2上面512は、第1上面511よりも左方に配置される。車幅方向において、車両本体20の中心と第1上面511との距離は、車両本体20の中心と第2上面512との距離よりも短い。
前方傾斜面52は、第1前方傾斜面521と、第1前方傾斜面521よりも車幅方向外側において第1前方傾斜面521よりも後方に配置される第2前方傾斜面522とを含む。第2前方傾斜面522は、第1前方傾斜面521よりも左方に配置される。車幅方向において、車両本体20の中心と第1前方傾斜面521との距離は、車両本体20の中心と第2前方傾斜面522との距離よりも短い。第1前方傾斜面521は、第1上面511の前端部と結ばれる。第2前方傾斜面522は、第2上面512の前端部と結ばれる。
すなわち、蓋部材50には、上面51の車幅方向外側において下方に凹む段差が形成される。
また、蓋部材50には、前方傾斜面52の車幅方向外側において後方に凹む段差が形成される。
蓋部材50の外面は、第1上面511の左端部と第2上面512の右端部とを結び、且つ、第1前方傾斜面521の左端部と第2前方傾斜面522の右端部とを結ぶ接続面56を含む。接続面56は、左方を向く。
車幅方向において、第1前面411Sの寸法と、第1前方傾斜面521の寸法と、第1上面511の寸法とは、同一である。また、収容部材40の開口部45が蓋部材50に覆われた状態で、車幅方向において、第1前面411Sの位置と、第1前方傾斜面521の位置と、第1上面511の位置とは、一致する。
蓋部材50は、蓋部材50を操作する作業者が保持可能なハンドル部材57を有する。ハンドル部材57は、第2前方傾斜面522と接続面56とを連結するように設けられる。また、第2前方傾斜面522には、蓋部材50を収容部材40にロックするために操作されるキーが挿入されるキー孔58が設けられる。
図7に示すように、収容部材40の開口部45が蓋部材50に覆われた状態において、蓋部材50は、前板部41の上端部を含む前板部41の少なくとも一部と重複し、後板部42の上端部を含む後板部42の少なくとも一部と重複する。同様に、収容部材40の開口部45が蓋部材50に覆われた状態において、蓋部材50は、左板部43の上端部を含む左板部43の少なくとも一部と重複し、右板部44の上端部を含む右板部44の少なくとも一部と重複する。これにより、収容部材40の開口部45が蓋部材50に覆われた状態において、収容部材40の内部空間に異物が侵入することが抑制される。
蓋部材50は、回動機構70を介して収容部材40の車幅方向の端部に回動可能に支持される。
収容部材40の車幅方向の端部は、収容部材40の右端部(第1端部)と、収容部材40の左端部(第2端部)とを含む。収容部材40の左端部は、収容部材40の右端部よりも車幅方向外側に配置される。すなわち、車幅方向において、車両本体20の中心と収容部材40の右端部との距離は、車両本体20の中心と収容部材40の左端部との距離よりも短い。
本実施形態においては、右板部44が収容部材40の右端部を含み、左板部43が収容部材40の左端部を含む。収容部材40の右端部は、右板部44の上端部を含み、収容部材40の左端部は、左板部43の上端部を含む。
本実施形態において、回動機構70は、収容部材40の右端部に設けられる。
図5に示すように、右板部44の上端部は、前方に向かって下方に傾斜する前方傾斜部44Aと、後方に向かって下方に傾斜する後方傾斜部44Bとを有する。前方傾斜部44Aの上端部と後方傾斜部44Bの上端部とが結ばれる。回動機構70は、前方傾斜部44Aに設けられる。
回動機構70は、ヒンジ機構を含む。回動機構70は、収容部材40の右端部と蓋部材50の右端部とを連結する。回動機構70の回動軸線CXは、旋回軸RXと直交する水平面に対して傾斜する。本実施形態において、回動機構70の回動軸線CXは、前方に向かって下方に傾斜する。
チルト機構23のチルト軸線BXと回動機構70の回動軸線CXとはねじれの位置関係にある。旋回軸RXと直交する水平面において、チルト機構23のチルト軸線BXは、車幅方向に延在し、回動機構70の回動軸線CXは、前後方向に延在する。すなわち、本実施形態において、回動機構70の回動軸線CXは、チルト機構23のチルト軸線BXに平行な線と直交する。
[動作]
図8は、本実施形態に係る油圧ショベル1の動作の一例を示す図である。図8に示すように、油圧ショベル1は、チルト可能なチルトフロア24を有する。チルトフロア24は、前方にチルトする。チルトフロア24が前方にチルトすることにより、チルトフロア24に支持されている支柱25及びフロントガラス27を含むキャブ22が前方にチルトする。例えば油圧ショベル1のメンテナンス作業において、チルトフロア24が前方にチルトされ、上部旋回体20の収容空間28に配置されている主要な主要機器2のメンテナンス作業が実施される。
チルトフロア24は、規定のチルト範囲でチルトする。上部旋回体20には、チルトフロア24のチルト範囲を規定するストッパ機構が設けられる。チルトフロア24がチルト範囲の下端部に配置されるチルトダウン状態において、チルトフロア24の上面は、旋回軸RXと直交する水平面と平行である。
チルトフロア24がチルト範囲の上端部に配置されるチルトアップ状態において、チルトフロア24の上面は、旋回軸RXと直交する水平面に対して傾斜する。チルトアップ状態において、チルトフロア24の上面は、前方に向かって下方に傾斜する。以下の説明においては、チルトフロア24がチルト範囲の上端部に配置されているチルトアップ状態において、チルトフロア24の上面と水平面とがなす角度を適宜、チルトフロア24の最大チルト角度θtmax、と称する。
回動機構70の回動軸線CXは、旋回軸RXと直交する水平面に対して傾斜する。回動機構70の回動軸線CXは、前方に向かって下方に傾斜する。以下の説明においては、回動機構70の回動軸線CXと水平面とがなす角度を適宜、回動軸線CXの傾斜角度θsr、と称する。
本実施形態において、旋回軸RXに直交する水平面に対する回動機構70の回動軸線CXの傾斜角度θsrは、チルトフロア24の最大チルト角度θtmax以上である。本実施形態においては、傾斜角度θsrと最大チルト角度θtmaxとは等しい。すなわち、回動軸線CXと、チルトアップ状態におけるチルトフロア24の上面とは平行である。なお、傾斜角度θsrは、最大チルト角度θtmaxよりも大きくてもよい。
図8は、収容部材40の開口部45が開放されるように蓋部材50が操作された状態を示す。図8に示すように、チルトフロア24が最大チルト角度θtmaxにチルトされ、開口部45が開放されるように蓋部材50が操作された状態において、蓋部材50は、チルトフロア24を含むキャブ22から離れている。
図9は、本実施形態に係る収容部材40及び蓋部材50の断面図である。図9は、収容部材40の開口部45が蓋部材50に覆われ、チルトフロア24が最大チルト角度θtmaxにチルトされている状態を示す。図9に示すように、チルトフロア24が最大チルト角度θtmaxにチルトされ、収容部材40の開口部45が覆われるように蓋部材50が操作された状態においても、蓋部材50は、チルトフロア24を含むキャブ22から離れている。
本実施形態において、蓋部材50は、最大チルト角度θtmaxにチルトされたキャブ22から離れた状態で、回動軸線CXを中心に回動することができる。
[ストッパ機構]
図10は、本実施形態に係る収容部材40及び蓋部材50を示す斜視図である。図10は、収容部材40の開口部45が開放されるように蓋部材50が操作された状態を示す。
本実施形態において、油圧ショベル1は、回動軸線CXを中心に回動する蓋部材50の回動範囲を規定するストッパ機構80を備える。蓋部材50が回動範囲の下端部に配置されている状態において、収容部材40の開口部45は、蓋部材50により閉塞される。蓋部材50が回動範囲の上端部に配置されている状態において、蓋部材50は開口部45から退避し、収容部材40の開口部45は、開放される。図10は、蓋部材50が回動範囲の上端部に配置されている状態を示す。
収容部材40及び蓋部材50の右方には作業機10が存在する。なお、図10においては、作業機10の図示を省略してある。蓋部材50が回動範囲の上端部に配置されている状態においては、蓋部材50の少なくとも一部が、収容部材40の右板部44(収容部材40の右端部)よりも右側に配置される。本実施形態においては、蓋部材50が回動範囲の上端部に配置されている状態において、蓋部材50と作業機10とは離れている。すなわち、蓋部材50は、作業機10と接触することなく、作業機10から離れた状態で、回動軸線CXを中心に回動することができる。
ストッパ機構80は、蓋部材50を支持する支持ロッド81を含む。支持ロッド81は、回動機構70よりも下方において収容部材40の右端部に回動可能に連結される支持端部82と、蓋部材50の内面に設けられたガイド部材83にガイドされる移動端部84とを有する。
右板部44の前方傾斜部44Aにおいて、回動機構70よりも下方に、支持端部82を回動可能に支持する支持部85が設けられる。支持部85は、右板部44に設けられた開口を含む。支持ロッド81の支持端部82は、折り曲げられている。折り曲げられた支持端部82は、支持部85の開口に挿入される。支持ロッド81の支持端部82は、支持部85に回転可能に引っ掛けられる。
支持ロッド81の移動端部84は、折り曲げられている。ガイド部材83は、移動端部84が配置されるガイド溝を含む。ガイド溝は、蓋部材50の左面54と右面55とを結ぶ仮想線に平行な蓋部材50の長手方向に延在する。折り曲げられた移動端部84は、ガイド部材83のガイド溝に挿入される。支持ロッド81の移動端部84は、ガイド部材83の長手方向に移動可能に引っ掛けられる。
収容部材40の開口部45が蓋部材50に閉塞されている状態においては、移動端部84は、ガイド部材83の一端部83Lに配置される。開口部45が開放されるように蓋部材50が操作されると、移動端部84は、ガイド部材83にガイドされながら、一端部83Lから他端部83Rに移動する。移動端部84が他端部83Rに移動したとき、移動端部84の移動が制限される。これにより、蓋部材50の回動が制限される。
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、水平面に対する回動機構70の回動軸線CXの傾斜角度θsrは、チルトフロア24の最大チルト角度θtmax以上である。そのため、チルトフロア24がチルトアップされた状態で、作業者は蓋部材50を操作して収容部材40の開口部45を円滑に開放することができる。蓋部材50は、最大チルト角度θtmaxにチルトされたチルトフロア24を含むキャブ22に接触することなく、キャブ22から離れた状態で回動することができる。したがって、チルトフロア24をチルトアップして主要機器2をメンテナンスする作業と、収容部材40の開口部45を開放して規定機器4をメンテナンスする作業とを並行して実施することができる。
回動機構70は、収容部材40の右端部及び左端部のうち、車幅方向中心側の右端部に設けられる。これにより、作業者は、車両本体20の左側から収容部材40及び蓋部材50に接近して、開口部45が開放されるように蓋部材50を操作し、規定機器4を円滑にメンテナンスすることができる。
収容部材40は、作業機10よりも左方に配置される。これにより、作業者は、車両本体20の左側から収容部材40に接近して、規定機器4を円滑にメンテナンスすることができる。
ストッパ機構80は、作業機10から離れた状態で回動するように蓋部材50の回動範囲を規定する。これにより、蓋部材50と作業機10との接触が抑制される。また、作業機10と蓋部材50とが離れているので、作業機10のメンテナンス作業も円滑に実施することができる。
蓋部材50の外面は、前方に向かって下方に傾斜する前方傾斜面52を含む。これにより、運転室に搭乗している運転者の前方の視界が遮られることが抑制される。
蓋部材50の前方傾斜面52は、第1前方傾斜面521と、第1前方傾斜面521よりも車幅方向外側において第1前方傾斜面521よりも後方に配置される第2前方傾斜面522とを含む。これにより、運転室に搭乗している運転者の斜め左前方の視界が遮られることが効果的に抑制される。
収容部材40は、第1前面411Sと、第1前面411Sよりも車幅方向外側において第1前面411Sよりも後方に配置される第2前面412Sとを含む。これにより、運転室に搭乗している運転者の斜め左前方の視界が遮られることが効果的に抑制される。
蓋部材50の外面は、後方に向かって下方に傾斜する後方傾斜面53を含む。これにより、図8及び図9を参照して説明したように、蓋部材50の回動において、蓋部材50とチルトアップ状態のキャブ22との接触を効果的に抑制できる。
[その他の実施形態]
なお、上述の実施形態においては、回動機構70の回動軸線CXは、チルト機構23のチルト軸線BXに平行な線と直交することとした。回動軸線CXは、チルト軸線BXに平行な線と直交しなくてもよい。蓋部材50の回動において蓋部材50とチルトフロア24及びチルトフロア24に支持されている構造物との接触を抑制することができればよく、回動軸線CXとチルト軸線BXとの相対位置は任意に定めることができる。
なお、上述の実施形態においては、回動機構70が収容部材40の右端部に設けられることとした。回動機構70は収容部材40の左端部に設けられてもよい。また、蓋部材50が、収容部材40の右端部に回動可能に支持される第1の蓋部材と、収容部材40の左端部に回動可能に支持される第2の蓋部材とを含んでもよい。
なお、上述の実施形態においては、作業車両1が軌道陸上兼用油圧ショベルであることとした。作業車両1は、標準の陸上専用の油圧ショベルでもよい。
なお、上述の各実施形態においては、作業車両が油圧ショベルであることとしたが、油圧ショベルには限定されない。チルトフロアを備える作業車両全般に、上述の実施形態で説明した収容部材及び蓋部材を適用することができる。