JP7008420B2 - 複合固体電解質、その製造方法、および全固体電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン伝導性に優れた複合固体電解質、およびその製造方法、並びに前記複合固体電解質を有する全固体電池に関するものである。
近年、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータなどのポータブル電子機器の発達や、電気自動車の実用化などに伴い、小型・軽量でかつ高容量・高エネルギー密度の二次電池が必要とされるようになってきている。
現在、この要求に応え得る非水二次電池、特にリチウムイオン二次電池では、正極活物質にコバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)などのリチウム含有複合酸化物を用い、負極活物質に黒鉛などを用い、非水電解質として有機溶媒とリチウム塩とを含む有機電解液が用いられている。そして、非水二次電池の適用機器の更なる発達に伴って、非水二次電池の更なる長寿命化・高容量化・高エネルギー密度化が求められていると共に、長寿命化・高容量化・高エネルギー密度化した非水二次電池の安全性および信頼性も高く求められている。
しかし、リチウムイオン二次電池に用いられている有機電解液は、可燃性物質である有機溶媒を含んでいるため、電池に短絡などの異常事態が発生した際に、有機電解液が異常発熱する可能性がある。また、近年の非水二次電池の高エネルギー密度化および有機電解液中の有機溶媒量の増加傾向に伴い、より一層非水二次電池の安全性および信頼性が求められている。
以上のような状況において、従来の有機溶媒系電解質に代えて、有機溶媒を用いない固体電解質の成形体を用いる全固体電池が注目されている(特許文献1など)。固体電解質を用いることにより、異常発熱の虞がなく、高い安全性を備えた電池を構成することが可能となる。また、電解質が揮発性溶媒でなく固体のため、高温に曝されても、液体が揮発することがないことから、高温でも動作可能な電池とすることが可能となる。
特開2017-4910号公報
全固体電池の今後の適用範囲の拡大を考慮すると、更なる特性向上が求められることが予想され、それを達成するためには、固体電解質のリチウムイオン伝導性の向上が不可欠となる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、リチウムイオン伝導性に優れた複合固体電解質、およびその製造方法、並びに前記固体電解質を有する全固体電池を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の複合固体電解質は、第1の固体電解質と第2の固体電解質とを含有しており、前記第1の固体電解質がリチウムイオン伝導性を有する錯体水素化物で、前記第2の固体電解質が酸化物系固体電解質であり、前記第2の固体電解質の割合が0.1~25体積%であることを特徴とするものである。
本発明の複合固体電解質は、前記第1の固体電解質と前記第2の固体電解質との混合物を、前記第1の固体電解質が溶融する温度以上で熱処理する本発明の複合固体電解質の製造方法によって製造することができる。
また、本発明の全固体電池は、正極、負極、および前記正極と前記負極との間に介在する固体電解質層を有しており、前記固体電解質層が、本発明の複合固体電解質を含有していることを特徴とするものである。
本発明によれば、リチウムイオン伝導性に優れた複合固体電解質、およびその製造方法、並びに前記固体電解質を有する全固体電池を提供することができる。
実施例1で作製した複合固体電解質の走査型電子顕微鏡写真である。 図1の一部拡大写真である。 本発明の全固体電池の一例を模式的に表す断面図である。
本発明の複合固体電解質は、前記第1の固体電解質であるリチウムイオン伝導性を有する錯体水素化物と、前記第2の固体電解質である酸化物系固体電解質とを含有しており、これらが複合化されたものである。
第2の固体電解質(酸化物系固体電解質)は、リチウムイオン伝導性に優れる一方で、通常、粒子状(粉体状)の形態を有している。この固体電解質は一般に融点が非常に高いことから、例えば、全固体電池の固体電解質層に使用するために層状(板状など)に成形しようとした場合、溶融して成形することが困難であり、粒子間にある程度の隙間が形成されるため、この固体電解質が本来有しているリチウムイオン伝導性を十分に引き出すことができない。また、仮に、粒子同士が焼結するような高温まで第2の固体電解質を加熱したとしても、前記固体電解質や、前記固体電解質と接する正極層あるいは負極層の活物質が変質したり、前記固体電解質と活物質との間に界面抵抗を増大させるような第三相が生じる場合があり、必ずしもリチウムイオン伝導性の向上に繋がるとは限らない。
一方、第1の固体電解質である錯体水素化物は、材料自体のリチウムイオン伝導性は前記第2の固体電解質よりも低いものの、一般に融点が比較的低いため、前記第2の固体電解質や活物質の変質などを生じない低温で溶融させることが可能であり、第2の固体電解質同士を容易に接合することができる。
そこで、本発明の複合固体電解質では、前記のような第1の固体電解質と第2の固体電解質とを複合化することとした。これにより、例えば、第2の固体電解質粒子同士の間に第1の固体電解質を配置することが可能となるため、第1の固体電解質のみを用いて層状(板状など)とした場合や、第2の固体電解質のみを用いて層状(板状など)とした場合に比べて、そのリチウムイオン伝導性を大きく高めることができる。
更に、本発明の複合固体電解質においては、例えば層状に成形する場合、より融点が低い第1の固体電解質を溶融させればよく、第2の固体電解質のみの場合に比べて成形しやすく、より容易に緻密な層状とすることができる。
よって、正極と負極との間に介在させる固体電解質層に本発明の複合固体電解質を含有させることによって、より良好な特性の全固体電池を構成することが可能となる。
複合固体電解質に係る第1の固体電解質である錯体水素化物としては、ハロゲン化リチウム(LiI、LiBr、LiF、LiClなど)、ハロゲン化ルビジウム(RbI、RbBr、RbiF、RbClなど)、ハロゲン化セシウム(CsI、CsBr、CsF、CsClなど)、リチウムアミド、ルビジウムアミドおよびセシウムアミドよりなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ金属化合物と、LiBHとの固溶体などが挙げられる。前記固溶体の中でも、LiBHとLiIとの固溶体がより好ましい。
前記固溶体において、LiBHと前記アルカリ金属化合物とのモル比は、1:1~20:1であることが好ましい。
第2の固体電解質である酸化物系固体電解質としては、リチウムイオン伝導性の点から、LiLaZr12などに代表されるガーネット型構造を有する酸化物が好ましく用いられる。前記ガーネット型構造を有する酸化物は、構成元素の一部が、Ba、Ta、Sc、Ti、V、Y、Nb、Hf、Al、Si、Ga、Ge、Snなど他の元素により置換されていたり、他の元素が添加された組成の化合物であってもよい。
前記ガーネット型構造を有する酸化物以外に、第2の固体電解質として用いることのできる酸化物系固体電解質としては、LiLa(1-x)MO〔M:Ti、Nb、Taなど〕などに代表されるペロブスカイト構造を有する酸化物、LiZr(POなどに代表されるナシコン型構造を有する酸化物などが例示される。
複合固体電解質に係る第2の固体電解質の平均粒子径は、100nm~10μmであることが好ましい。
本明細書でいう前記の平均粒子径は、日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置「HRA9320」を用いて、粒度分布の小さい粒子から積分体積を求める場合の体積基準の積算分率における50%径の値(d50)を意味している。
複合固体電解質の全体100体積%中における第2の固体電解質の割合は、高いリチウムイオン伝導性を確保する観点から、0.1体積%以上であり、5体積%以上であることが好ましく、25体積%以下であり、20体積%以下であることが好ましい。すなわち、複合固体電解質中の第2の固体電解質の割合が前記の範囲より多すぎても少なすぎても、リチウムイオン伝導性が低下する。
また、複合固体電解質の全体100体積%中における第1の固体電解質の割合も、高いリチウムイオン伝導性を確保する観点から、75体積%以上であることが好ましく、80体積%以上であることがより好ましく、99.9体積%以下であることが好ましく、95体積%以下であることがより好ましい。
複合固体電解質は第1の固体電解質および第2の固体電解質のみから構成されていてもよいが、その効果を損なわない範囲で、両固体電解質の反応を抑制する表面保護剤などを含有していてもよい。
複合固体電解質は、第1の固体電解質と第2の固体電解質とを混合し、得られた混合物を第1の固体電解質が溶融する温度以上で熱処理することで得ることができる。具体的な熱処理温度は、例えば300~500℃であることが好ましく、また、その際の熱処理時間は1~30分程度とすることが好ましい。
また、この熱処理に先立って前記の混合物を加圧成形などにより板状(ペレット状)などの形状に成形しておき、その後に前記の条件で熱処理することで、複合固体電解質の形成(複合化)と成形とを行うこともできる。
このようにして得られた複合固体電解質の走査型電子顕微鏡写真を図1および図2に示す。図2は図1の一部を拡大した写真である。図1および図2中の粒子状のものが第2の固体電解質であり、その周囲を覆っているものが第1の固体電解質である。
本発明の複合固体電解質は、例えば、二次電池やスーパーキャパシタなどの電気化学素子において、正極と負極との間に介在させる固体電解質層に使用することができる。前記電気化学素子においては、正極-負極間のリチウムイオンのやり取りを、本発明の複合固体電解質を含有する固体電解質層を介して行う。
すなわち、本発明の全固体電池は、正極と負極と固体電解質層とを有し、この固体電解質層が本発明の複合固体電解質を含有するものである。
図3に、本発明の全固体電池の一例を模式的に表す断面図を示す。図3に示す全固体電池は、外装缶2と、封口缶3と、これらの間に介在する樹脂製のガスケット7で形成された外装体内に、正極4、負極5および固体電解質層6が封入されている。封口缶3は、外装缶2の開口部にガスケット7を介して嵌合しており、外装缶2の開口端部が内方に締め付けられ、これによりガスケット7が封口缶3に当接することで、外装缶2の開口部が封口されて素子内部が密閉構造となっている。そして、固体電解質層6は、本発明の複合固体電解質を含有している。
外装缶2および封口缶3には、ステンレス鋼製のものなどが使用できる。
固体電解質層は、複合固体電解質の粉体を加熱しつつ加圧成形する方法;複合固体電解質を溶媒に分散させて調製した固体電解質層形成用組成物を基材に塗布し、乾燥した後に基材から剥離する方法;などにより形成することができる。また、固体電解質層は、前記の通り、第1の固体電解質と第2の固体電解質とをあらかじめ成形しておき、これを熱処理して両固体電解質を複合化することで形成したものであってもよい。
また、固体電解質層には、必要に応じて樹脂製の網などの芯材を用いてもよい。
固体電解質層の厚みは、1~1000μmであることが好ましい。
全固体電池に係る正極としては、正極活物質を含有する正極合剤層を、集電体の片面または両面に有する構造のものや、集電体となる導電性多孔質基材などの空隙に正極活物質などを充填した構造のものなどが使用できる。
正極活物質には、従来から知られているリチウムイオン二次電池に用いられているものと同様の、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な活物質を使用することができる。具体的には、LiM Mn2-x(ただし、Mは、Li、B、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Sn、Sb、In、Nb、Mo、W、Y、RuおよびRhよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0.01≦x≦0.5)で表されるスピネル型リチウムマンガン複合酸化物、LiMn(1-b-a)Ni 2-d(ただし、Mは、Co、Mg、Al、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Zr、Mo、Sn、Ca、SrおよびWよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0.8≦a1.2、0<b<0.5、0≦c≦0.5、d+f<1、-0.1≦d≦0.2、0≦f≦0.1)で表される層状化合物、LiCo1-g (ただし、Mは、Al、Mg、Ti、Zr、Fe、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、SbおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦g≦0.5)で表されるリチウムコバルト複合酸化物、LiNi1-h (ただし、Mは、Al、Mg、Ti、Zr、Fe、Co、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、SbおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦h≦0.5)で表されるリチウムニッケル複合酸化物、LiM 1-mPO(ただし、Mは、Fe、MnおよびCoよりなる群から選択される少なくとも1種の元素で、Nは、Al、Mg、Ti、Zr、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、SbおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦m≦0.5)で表されるオリビン型複合酸化物、LiTi12で表されるリチウムチタン複合酸化物などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
正極合剤層を有する正極の場合、正極合剤層には、正極活物質と共に導電助剤やバインダを含有させたり、導電助剤および/またはバインダに代えて固体電解質を含有させたり、導電助剤やバインダと共に固体電解質を含有させたりすることができる。また、集電体となる導電性多孔質基材の空隙内に正極活物質を充填させてなる構造の正極の場合にも、正極活物質と共に導電助剤やバインダ、固体電解質などを含む正極合剤を、導電性多孔質基材の空隙内に充填させてもよい。
正極に使用する固体電解質には、本発明の複合固体電解質が使用できるほか、複合固体電解質に用いられる第1の固体電解質や第2の固体電解質をそのまま使用したり、従来から知られているその他の固体電解質を使用したりしてもよい。ただし、固体電解質をバインダに代えて使用する場合には、正極合剤の各成分同士を良好に結着させるために、本発明の複合固体電解質や第1の固体電解質、その他の水素化物系固体電解質を用いることが好ましい。
正極に係るバインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂などが使用でき、また、正極に係る導電助剤としては、例えば、カーボンブラックなどの炭素材料などが使用できる。
正極の集電体としては、アルミニウムなどの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、本発明では網状構造基材などの導電性多孔質基材を用いることが特に好ましい。
より具体的には、正極は、前記のように、導電性多孔質基材と、導電性多孔質基材に充填された正極活物質(粒子)とを備えていることが好ましい。これにより、固体電解質層を保持する正極の強度が向上し、固体電解質層の大面積化が可能となる。
全固体電池の負極としては、従来から知られているリチウムイオン二次電池などの電気化学素子に用いられている負極、すなわち、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な活物質を含有する負極であれば特に制限はない。例えば、負極活物質として、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などのリチウムを吸蔵・放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物が用いられる。また、Si、Sn、Ge、Bi、Sb、Inなどの元素を含む単体、化合物およびその合金、リチウム含有窒化物またはリチウム含有酸化物などのリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物、若しくはリチウム金属やリチウム/アルミニウム合金も負極活物質として用いることができる。
負極には、負極活物質に導電助剤(カーボンブラックなどの炭素材料や、正極に使用し得るものとして例示した各種の固体電解質など)やPVDFなどのバインダなどを適宜添加した負極合剤を、集電体を芯材として成形体(負極合剤層)に仕上げたもの、または前記の各種合金やリチウム金属の箔を単独、若しくは集電体上に負極剤層として積層したものなどが用いられる。
負極に集電体を用いる場合には、その集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、本発明では網状構造基材などの導電性多孔質基材を用いることが特に好ましい。
より具体的には、負極は、導電性多孔質基材と、導電性多孔質基材に充填された負極活物質(粒子)とを備えていることが好ましい(導電性多孔質基材に充填するものは、負極活物質を含む負極合剤であってもよい)。これにより、固体電解質層を保持する負極の強度が向上し、固体電解質層の大面積化が可能となる。
正極と負極とは、固体電解質層を介して積層した電極体として、全固体電池に使用される。
全固体電池の外装体には、図3に示すような外装缶と封口缶とガスケットとで構成されたもののほか、金属ラミネートフィルムで構成されたラミネートフィルム外装体などを用いることができる。
なお、外装缶と封口缶とガスケットとで構成された外装体の場合、ガスケットを通じて水分が外装体内に浸入して固体電解質を劣化させ、電池特性を低下させてしまう虞がある。よって、ガスケットは吸水率が低い樹脂で構成することが好ましい。具体的には、ポリプロピレン(PP、吸水率:0.01~0.03%)などのポリオレフィン;ポリフェニレンサルファイド(PPS、吸水率:0.02%);ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE、吸水率:0.01%未満)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA、吸水率:0.01%)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP、吸水率:0.01%)などのフッ素樹脂;ポリスルフォン(PSF、吸水率:0.03%);ポリブチレンテレフタレート(PBT、吸水率:0.06~0.08%)などのポリエステル;などが好ましい樹脂として挙げられる。
また、前記例示の樹脂の中でも、融点または熱分解温度が200℃以上の耐熱樹脂、具体的には、PPS、前記各フッ素樹脂、PSF、PBTなどがより好ましい。本発明の複合固体電解質は、非水電解液とは異なり、高温下に置かれても液体の揮発が生じないため、これを用いた全固体電池には高温環境下での使用が期待されるが、ガスケットが耐熱樹脂で構成されている場合には、こうした使用途中にガスケットの軟化や溶融などの問題が生じ難いことから、より高温下での使用に適した全固体電池となる。
また、前記例示の樹脂の中でも、外装体の封止性がより良好となる点でフッ素樹脂がより好ましく、PFAが更に好ましい。
本発明の全固体電池は、従来から知られている二次電池と同じ用途に適用することが可能であるが、外装缶、封口缶およびガスケットで形成される外装体を用い、かつガスケットを耐熱樹脂で構成した場合や、ラミネートフィルム外装体を用いた場合には、特に高温に曝される用途に好ましく適用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
第1の固体電解質として3LiBH-LiI(固溶体)を使用して複合固体電解質を作製した。前記第1の固体電解質と、第2の固体電解質であるLiLaZr12とを、メノウ乳鉢を用いて体積比80:20で混合して混合物を得た。この混合物を直径10mmの金型治具に入れ、プレス機を用いて圧力ゲージ表示値2000kgで加圧成形を行い、ペレット状(ディスク状)の成形体を得た。得られた成形体を300℃で5分間熱処理して、複合固体電解質ペレット(直径10mm、厚み0.7mm)を得た。
得られた複合固体電解質ペレットの密度(かさ密度)を実測したところ、真密度(複合固体電解質の作製に用いた各材料の密度から算出される理論密度)の87%であった。この複合固体電解質ペレットの走査型電子顕微鏡写真を図1および図2に示す。
(実施例2)
第1の固体電解質と第2の固体電解質とのモル比を90:10に変更した以外は、実施例1と同様にして複合固体電解質ペレットを作製した。得られた複合固体電解質ペレットの実測密度は、真密度の89%であった。
(実施例3)
第1の固体電解質と第2の固体電解質とのモル比を95:5に変更した以外は、実施例1と同様にして複合固体電解質ペレットを作製した。得られた複合固体電解質ペレットの実測密度は、真密度の90%であった。
(比較例1)
第1の固体電解質のみを実施例1と同様にしてペレット状とした。得られたペレットの実測密度は、真密度の93%であった。
(比較例2)
第1の固体電解質と第2の固体電解質とのモル比を70:30に変更した以外は、実施例1と同様にして複合固体電解質ペレットを作製した。得られた複合固体電解質ペレットの実測密度は、真密度の79%であった。
(比較例3)
第2の固体電解質のみを実施例1と同様にしてペレット状とした。得られたペレットの実測密度は、真密度の62%であった。
実施例1~3および比較例2の複合固体電解質ペレット、並びに比較例1、3の固体電解質ペレットの両面にLi金属を貼り付け、交流インピーダンスアナライザーに接続してリチウムイオン伝導度を測定した。これらの結果を、各ペレットの組成および真密度に対する実測密度の割合(実測密度/真密度)と共に表1に示す。
Figure 0007008420000001
表1に示す通り、第1の固体電解質と第2の固体電解質とを適正な組成で複合化した実施例1~3の複合固体電解質ペレットは、リチウムイオン伝導性がより低い第1の固体電解質を含有しているにも関わらず、よりリチウムイオン伝導性が高い第2の固体電解質のみで形成した比較例3のペレットよりも高いリチウムイオン伝導度を示した。比較例3のペレットは真密度に対する実測密度の割合が低く、第2の固体電解質粒子同士の間の多くが隙間となっているために、十分なリチウムイオン伝導性が確保できなかったのに対し、実施例1~3の複合固体電解質ペレットは前記割合が高く、図1および図2にあるように、第2の固体電解質粒子同士の間に第1の固体電解質が存在していることで、ペレット全体にわたって高いリチウムイオン伝導性が確保できたものと推測される。
一方、第1の固体電解質のみで形成した比較例1のペレットは、真密度に対する実測密度の割合は高いが、材料自体のリチウムイオン伝導性が低いためにペレットのリチウムイオン伝導度も低かった。また、第2の固体電解質の割合が多すぎる比較例2のペレットも、実施例1~3のペレットに比べて真密度に対する実測密度の割合が低く、第2の固体電解質粒子同士の間が隙間のままで残っている比率がより大きいために、リチウムイオン伝導度が低くなったと考えられる。
1 全固体電池
2 外装缶
3 封口缶
4 正極
5 負極
6 固体電解質層
7 ガスケット

Claims (5)

  1. 第1の固体電解質と第2の固体電解質とを含有する複合固体電解質であって、
    前記第1の固体電解質がリチウムイオン伝導性を有する錯体水素化物で、前記第2の固体電解質が酸化物系固体電解質であり、
    前記第2の固体電解質の割合が0.1~25体積%であり、
    前記第2の固体電解質の粒子間に、前記第1の固体電解質が存在しており、前記第2の固体電解質の粒子の周囲の前記第1の固体電解質を介して、前記第2の固体電解質の粒子同士が接合していることを特徴とする複合固体電解質。
  2. 前記第1の固体電解質は、ハロゲン化リチウム、ハロゲン化ルビジウム、ハロゲン化セシウム、リチウムアミド、ルビジウムアミドおよびセシウムアミドよりなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ金属化合物と、LiBHとの固溶体である請求項1に記載の複合固体電解質。
  3. 前記酸化物系固体電解質が、ガーネット型構造を有する請求項1または2に記載の複合固体電解質。
  4. 正極、負極、および前記正極と前記負極との間に介在する固体電解質層を有する全固体電池であって、
    前記固体電解質層が、請求項1~3のいずれかに記載の複合固体電解質を含有していることを特徴とする全固体電池。
  5. 請求項1~3のいずれかに記載の複合固体電解質を製造する方法であって、
    前記第1の固体電解質と前記第2の固体電解質との混合物を、前記第1の固体電解質が溶融する温度以上で熱処理することを特徴とする複合固体電解質の製造方法。
JP2017064204A 2017-03-29 2017-03-29 複合固体電解質、その製造方法、および全固体電池 Active JP7008420B2 (ja)

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