JP2021163522A - 固体電解質、固体電解質層および固体電解質電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】電位窓が広く、十分に高いイオン伝導度を有する固体電解質を提供する。【解決手段】下記式で表される化合物からなる多結晶である固体電解質とする。Li3+a−eE1−bGbDcXd−e(EはSc、ランタノイド、Ruから選択される。Gは、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Si、Al、Ti、Cu、Y、Zr、Nb、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Au、Biから選択される。DはO、Sのうち一方または両方の元素である。XはF、Cl、Br、Iから選択される。n=(Eの価数)−(Gの価数)としたときa=nbであり、Gを含まない場合a=0である。0≦b<0.5、0≦c≦3、0<d≦6.1、e<d、0≦e≦2、e<3+aである。)【選択図】なし
Description
本発明は、固体電解質、固体電解質層および固体電解質電池に関する。
近年、エレクトロニクス技術の発達はめざましく、携帯電子機器の小型軽量化、薄型化、多機能化が図られている。それに伴って、電子機器の電源となる電池に対して、小型軽量化、薄型化、信頼性の向上が強く望まれている。このため、電解質として固体電解質を用いる固体電解質電池が注目されている。固体電解質としては、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質、錯体水素化物系固体電解質(LiBH4など)などが知られている。
非特許文献1のTable1には、シミュレーション値として、Li3ScCl6のイオン伝導度が29mS/cm(300Kにおける値)であり、Li3ScBr6のイオン伝導度が1.4mS/cm(300Kにおける値)であることが記載されている。また、非特許文献1には、シミュレーション値として、Li3ScCl6の還元側の電位窓が0.87V(V vs. Li/Li+)であり、Li3ScBr6の還元側の電位窓が0.92V(V vs. Li/Li+)であることが記載されている(Figure1およびSuppoting InfomationのTableS3参照)。
Angewandte Chemie International Edition、Volumn58、Issue24、Pages8039−8043
しかしながら、従来の固体電解質電池では、固体電解質の電位窓を広くすることが要求されていた。また、固体電解質電池では、高い放電容量が得られるように、十分に高いイオン伝導度を有する固体電解質を用いることが求められている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、電位窓が広く、十分に高いイオン伝導度を有する固体電解質を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記固体電解質を有する固体電解質層、および固体電解質層と正極と負極から選択される少なくとも1つが上記固体電解質を含む、広い電位範囲で動作させることができ、かつ内部抵抗が小さく放電容量の大きい固体電解質電池を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、電位窓が広く、十分に高いイオン伝導度を有する固体電解質を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記固体電解質を有する固体電解質層、および固体電解質層と正極と負極から選択される少なくとも1つが上記固体電解質を含む、広い電位範囲で動作させることができ、かつ内部抵抗が小さく放電容量の大きい固体電解質電池を提供することを目的とする。
[1]下記式(1)で表される化合物からなる多結晶である、固体電解質。
Li3+a−eE1−bGbDcXd−e・・・(1)
(式(1)中において、EはSc、ランタノイド、Ruからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。Gは、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Si、Al、Ti、Cu、Y、Zr、Nb、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Au、Biからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。DはO、Sのうち一方または両方の元素である。XはF、Cl、Br、Iからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。n=(Eの価数)−(Gの価数)としたときa=nbであり、Gを含まない場合a=0である。0≦b<0.5、0≦c≦3、0<d≦6.1、e<d、0≦e≦2、e<3+aである。)
Li3+a−eE1−bGbDcXd−e・・・(1)
(式(1)中において、EはSc、ランタノイド、Ruからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。Gは、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Si、Al、Ti、Cu、Y、Zr、Nb、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Au、Biからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。DはO、Sのうち一方または両方の元素である。XはF、Cl、Br、Iからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。n=(Eの価数)−(Gの価数)としたときa=nbであり、Gを含まない場合a=0である。0≦b<0.5、0≦c≦3、0<d≦6.1、e<d、0≦e≦2、e<3+aである。)
[2]CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=29.7°±2°、2θ=34.4°±2°、2θ=49.6°±2°から選ばれる少なくとも1つの位置に回折ピークを有する[1]に記載の固体電解質。
[3]CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=29.7°±2°、2θ=34.4°±2°、2θ=49.6°±2°から選ばれる回折ピーク強度が最も大きい位置おける回折ピークの半価幅から求めた結晶子サイズが5nm〜500nmである[1]または[2]に記載の固体電解質。
[4]前記式(1)で表される化合物において、Gが1価の元素である、[1]〜[3]のいずれかに記載の固体電解質。
[5]前記式(1)で表される化合物において、Gが2価の元素である、[1]〜[3]のいずれかに記載の固体電解質。
[6]前記式(1)で表される化合物において、Gが3価の元素である、[1]〜[3]のいずれかに記載の固体電解質。
[5]前記式(1)で表される化合物において、Gが2価の元素である、[1]〜[3]のいずれかに記載の固体電解質。
[6]前記式(1)で表される化合物において、Gが3価の元素である、[1]〜[3]のいずれかに記載の固体電解質。
[7]前記式(1)で表される化合物において、Gが4価の元素である、[1]〜[3]のいずれかに記載の固体電解質。
[8]前記式(1)で表される化合物において、Gが5価の元素である、[1]〜[3]のいずれかに記載の固体電解質。
[9]前記式(1)で表される化合物において、Gが6価の元素である、[1]〜[3]のいずれかに記載の固体電解質。
[8]前記式(1)で表される化合物において、Gが5価の元素である、[1]〜[3]のいずれかに記載の固体電解質。
[9]前記式(1)で表される化合物において、Gが6価の元素である、[1]〜[3]のいずれかに記載の固体電解質。
[10]前記式(1)で表される化合物において、XがFである、[1]〜[9]のいずれかに記載の固体電解質。
[11]前記式(1)で表される化合物において、XがClである、[1]〜[9]のいずれかに記載の固体電解質。
[12]前記式(1)で表される化合物において、XがBrである、[1]〜[9]のいずれかに記載の固体電解質。
[13]前記式(1)で表される化合物において、XがIである、[1]〜[9]のいずれかに記載の固体電解質。
[11]前記式(1)で表される化合物において、XがClである、[1]〜[9]のいずれかに記載の固体電解質。
[12]前記式(1)で表される化合物において、XがBrである、[1]〜[9]のいずれかに記載の固体電解質。
[13]前記式(1)で表される化合物において、XがIである、[1]〜[9]のいずれかに記載の固体電解質。
[14]前記化合物がLi3ScCl6である、[1]または[2]に記載の固体電解質。
[15]前記化合物がLiScCl4である、[3]に記載の固体電解質。
[15]前記化合物がLiScCl4である、[3]に記載の固体電解質。
[16]Li2Oと、
LiX(XはF、Cl、Br、Iからなる群から選択される少なくとも1種以上である。)と、
Sc2O3と、
ScX3(XはF、Cl、Br、Iからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。)と、
GOn(Gは、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Si、Al、Ti、Cu、Y、Zr、Nb、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Au、Biからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。Gの価数をmとしたときn=m/2である。)とからなる群から選択される少なくとも一つの化合物を、0.1〜1.0質量%含む、[1]〜[15]のいずれかに記載の固体電解質。
LiX(XはF、Cl、Br、Iからなる群から選択される少なくとも1種以上である。)と、
Sc2O3と、
ScX3(XはF、Cl、Br、Iからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。)と、
GOn(Gは、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Si、Al、Ti、Cu、Y、Zr、Nb、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Au、Biからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。Gの価数をmとしたときn=m/2である。)とからなる群から選択される少なくとも一つの化合物を、0.1〜1.0質量%含む、[1]〜[15]のいずれかに記載の固体電解質。
[17][1]〜[16]のいずれかに記載の固体電解質を含む固体電解質層。
[18]固体電解質層と、正極と、負極と、を備え
前記固体電解質層と前記正極と前記負極から選択される少なくとも1つが、[1]〜[16]のいずれかに記載の固体電解質を含む、固体電解質電池。
[19]固体電解質層と正極と負極とを備え、前記固体電解質層が、[1]〜[16]のいずれかに記載の固体電解質を含む、固体電解質電池。
[18]固体電解質層と、正極と、負極と、を備え
前記固体電解質層と前記正極と前記負極から選択される少なくとも1つが、[1]〜[16]のいずれかに記載の固体電解質を含む、固体電解質電池。
[19]固体電解質層と正極と負極とを備え、前記固体電解質層が、[1]〜[16]のいずれかに記載の固体電解質を含む、固体電解質電池。
本発明によれば、電位窓が広く、十分に高いイオン伝導度を有する固体電解質を提供できる。また、本発明の固体電解質層は、電位窓が広く、十分に高いイオン伝導度を有する本発明の固体電解質を含む。
また、本発明の固体電解質電池は、固体電解質層と正極と負極から選択される少なくとも1つが本発明の固体電解質を含むため、広い電位範囲で動作させることができ、かつ内部抵抗が小さく放電容量の大きいものとなる。
また、本発明の固体電解質電池は、固体電解質層と正極と負極から選択される少なくとも1つが本発明の固体電解質を含むため、広い電位範囲で動作させることができ、かつ内部抵抗が小さく放電容量の大きいものとなる。
以下、本発明の固体電解質、固体電解質層および固体電解質電池について、詳細に説明する。
[固体電解質]
本実施形態の固体電解質は、下記式(1)で表される化合物からなる多結晶である。
Li3+a−eE1−bGbDcXd−e・・・(1)
(式(1)中において、EはSc、ランタノイド、Ruからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。Gは、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Si、Al、Ti、Cu、Y、Zr、Nb、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Au、Biからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。DはO、Sのうち一方または両方の元素である。XはF、Cl、Br、Iからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。n=(Eの価数)−(Gの価数)としたときa=nbであり、Gを含まない場合a=0である。0≦b<0.5、0≦c≦3、0<d≦6.1、e<d、0≦e≦2、e<3+aである。)
[固体電解質]
本実施形態の固体電解質は、下記式(1)で表される化合物からなる多結晶である。
Li3+a−eE1−bGbDcXd−e・・・(1)
(式(1)中において、EはSc、ランタノイド、Ruからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。Gは、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Si、Al、Ti、Cu、Y、Zr、Nb、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Au、Biからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。DはO、Sのうち一方または両方の元素である。XはF、Cl、Br、Iからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。n=(Eの価数)−(Gの価数)としたときa=nbであり、Gを含まない場合a=0である。0≦b<0.5、0≦c≦3、0<d≦6.1、e<d、0≦e≦2、e<3+aである。)
本実施形態の固体電解質は、上記化合物からなる粉末(粒子)の状態であってもよいし、上記化合物からなる粉末を焼結した焼結体の状態とされていてもよい。また、本実施形態の固体電解質は、粉末を圧縮して成形した成形体、粉末とバインダーとの混合物を成形した成形体、粉末とバインダーと溶媒とを含む塗料を塗布した後、加熱して溶媒を除去することにより形成した塗膜の状態とされていてもよい。
式(1)で表される化合物において、Eは、3価の元素であり、Sc、ランタノイド(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)、Ruからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。Eを含むことにより、電位窓が広く、十分に高いイオン伝導度を有する固体電解質となる。このため、Eは、必須の元素である。Eとしては、よりイオン伝導度の高い固体電解質となるため、Sc、La、Ruを含むことが好ましく、特にScであることが好ましい。
式(1)で表される化合物において、Gは、必要に応じて含有される元素である。Gは、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Si、Al、Ti、Cu、Y、Zr、Nb、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Au、Biからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。式(1)で表される化合物がGを含むことにより、キャリアイオンであるリチウムイオン量が増減してイオン伝導度が高くなるとともに、還元側の電位窓が広くなるという効果が得られる。
式(1)で表される化合物において、Gは上記のうち、Na、K、Rb、Cs、Agから選ばれる1価の元素であってもよい。Gが1価の元素である場合、イオン伝導度が高く還元側の電位窓が広い固体電解質となるため、Naおよび/またはCsを含むことが好ましい。
式(1)で表される化合物において、Gは上記のうち、Mg、Ca、Ba、Sr、Cu、Snから選ばれる2価の元素であってもよい。Gが2価の元素である場合、イオン伝導度が高く還元側の電位窓が広い固体電解質となるため、Mgおよび/またはCaであることが好ましい。
式(1)で表される化合物において、Gは上記のうち、Mg、Ca、Ba、Sr、Cu、Snから選ばれる2価の元素であってもよい。Gが2価の元素である場合、イオン伝導度が高く還元側の電位窓が広い固体電解質となるため、Mgおよび/またはCaであることが好ましい。
式(1)で表される化合物において、Gは上記のうち、Al、Y、In、Au、Biから選ばれる3価であってもよい。Gが3価の元素である場合、イオン伝導度の高い固体電解質となるため、In、Au、Biであることが好ましい。
式(1)で表される化合物において、Gは上記のうち、4価の元素であるZr、Hf、Snであってもよい。Gが4価の元素である場合、イオン伝導度の高い固体電解質となるため、Hfおよび/またはZrを含むことが好ましい。
式(1)で表される化合物において、Gは上記のうち、4価の元素であるZr、Hf、Snであってもよい。Gが4価の元素である場合、イオン伝導度の高い固体電解質となるため、Hfおよび/またはZrを含むことが好ましい。
式(1)で表される化合物において、Gは上記のうち、Nb、Sb、Taから選ばれる5価の元素であってもよい。Gが5価の元素である場合、イオン伝導度の高い固体電解質となるため、Sbおよび/またはTaを含むことが好ましい。
式(1)で表される化合物において、Gは、上記のうち、6価の元素であるWであってもよい。Gが6価の元素である場合、イオン伝導度の高い固体電解質となるため、Wであることが好ましい。
式(1)で表される化合物において、Gは、上記のうち、6価の元素であるWであってもよい。Gが6価の元素である場合、イオン伝導度の高い固体電解質となるため、Wであることが好ましい。
式(1)で表される化合物において、Dは、必要に応じて含有される元素である。DはO、Sのうち一方または両方の元素である。Dは価数当たりのイオン半径が小さい。具体的には、Dの価数当たりのイオン半径は、それぞれO2−(0.7Å)、S2−(0.92Å)である。これに対し、例えば、Xの価数当たりのイオン半径は、それぞれF−(1.33Å)、Cl−(1.81Å)、Br−(1.96Å)、I−(2.2Å)である。このことから、式(1)で表される化合物が価数当たりのイオン半径の小さいDを含む場合、しっかりとした結晶構造が形成されるものと考えられる。その結果、イオン伝導度の高い固体電解質となり、好ましい。特に、式(1)で表される化合物がGと価数当たりのイオン半径の小さいDとを含む場合、GとDとの間のクーロン力が強く、しっかりとした結晶構造が形成されるため、よりイオン伝導度の高い固体電解質となり、好ましい。
式(1)で表される化合物において、Xは、必須の元素である。XはF、Cl、Br、Iからなる群から選択される少なくとも1種以上である。Xは価数当たりのイオン半径が大きい。このため、式(1)で表される化合物がXを含むことにより、リチウムイオンが流れやすくなり、イオン伝導度が高くなるという効果が得られる。また、XはGとの間のクーロン力が弱い。したがって、特に、式(1)で表される化合物がGとともにXを含む場合、リチウムイオンが流れやすくなり、イオン伝導度の高い固体電解質となり、好ましい。Xとしては、イオン伝導度の高い固体電解質となるため、Brおよび/またはIを含むことが好ましい。また、Xとしては、耐酸化性および耐還元性のバランスが良い固体電解質となるため、Fを含むことが好ましい。
式(1)で表される化合物において、n=(Eの価数)−(Gの価数)としたときa=nbであり、Gを含まない場合a=0である。式(1)で表される化合物においては、aがGの価数に応じて決定される上記の数値であり、0≦e≦2、e<3+aであるので、化合物中に含まれるLiの含有量が適正となり、イオン伝導度の高い固体電解質となる。
式(1)で表される化合物において、bは0以上〜0.5未満である。したがって、Eは必須元素であり、Gは含まれていなくてもよい。式(1)で表される化合物にGが含まれている場合、Gを含むことによる効果が十分に得られるように、bは0.1以上であることが好ましい。また、式(1)で表される化合物中のEの含有量を確保するとともに、Gの含有量が多すぎることによる固体電解質のイオン伝導度の低下が生じないように、bは0.5未満とする。式(1)で表される化合物において、bは0.45以下であることが好ましい。
式(1)で表される化合物において、cは0〜3である。したがって、Dは含まれていなくてもよい。式(1)で表される化合物にDが含まれている場合、cは0.1以上であることが好ましい。cが0.1以上であると、Dを含むことによるイオン伝導度向上効果が十分に得られる。cはDの含有量が多すぎることに起因する固体電解質のイオン伝導度の低下が生じないように、3以下とし、好ましくは2.5以下とする。
式(1)で表される化合物においては、0<d≦6.1、e<dであり、0≦e≦2であり、およびe<3+aである。式(1)で表される化合物においては、1≦d−eであることが好ましく、2≦d−eであることがより好ましい。2≦d−eであると、Xを含むことによる効果が十分に得られる。また、dが6.1以下であるので、Xの含有量が多すぎることによる固体電解質のイオン伝導度の低下が生じない。d−e≦6であることが好ましい。
式(1)で表される化合物においては、0≦e≦2およびe<3+aである。0<eであると、式(1)で表される化合物に含まれるLi含有量およびX含有量が適正となり、より一層高いイオン伝導度が得られる。e≦2およびe<3+aであると、式(1)で表される化合物に含まれるLi含有量およびX含有量が不足することによる固体電解質のイオン伝導度の低下が生じない。
式(1)で表される化合物においては、電位窓が広く、イオン伝導度の高い固体電解質となるため、EがScでありXがClである化合物が好ましい。具体的には、式(1)で表される化合物は、イオン伝導度と電位窓のバランスが良好な固体電解質となるため、Li3ScCl6またはLiScCl4であることが好ましい。
本実施形態の固体電解質は、上記化合物とともに、Li2Oと、LiX(XはF、Cl、Br、Iからなる群から選択される少なくとも1種以上である。)と、Sc2O3と、ScX3(XはF、Cl、Br、Iからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。)と、GOn(Gは、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Si、Al、Ti、Cu、Y、Zr、Nb、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Au、Biからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。Gの価数がm価のときn=m/2である。)とからなる群から選択される少なくとも一つの化合物を、0.1〜1.0質量%含む、ことが好ましい。
上記化合物とともに、上記Li2O、LiX、Sc2O3、ScX3、GOnからなる群から選択される少なくとも一つの化合物を、0.1〜1.0質量%含む固体電解質は、より一層高いイオン伝導度を有する。その理由は、詳細は不明であるが、次のように考えられる。
このような固体電解質において、Li2O、LiX、Sc2O3、ScX3、GOnは、上記化合物からなる粒子間におけるイオン的な接続を助ける機能を有する。このことにより、上記化合物からなる粒子間における粒界抵抗が小さくなり、固体電解質全体として高いイオン伝導度が得られるものと推定される。
このような固体電解質において、Li2O、LiX、Sc2O3、ScX3、GOnは、上記化合物からなる粒子間におけるイオン的な接続を助ける機能を有する。このことにより、上記化合物からなる粒子間における粒界抵抗が小さくなり、固体電解質全体として高いイオン伝導度が得られるものと推定される。
固体電解質中に含まれるLi2O、LiX、Sc2O3、ScX3、GOnからなる群から選択される少なくとも一つの化合物の含有量が0.1質量%以上であると、Li2O、LiX、Sc2O3、ScX3、GOnを含むことによる上記化合物からなる粒子間の粒界抵抗を小さくする効果が顕著となる。また、Li2O、LiX、Sc2O3、ScX3、GOnからなる群から選択される少なくとも一つの化合物の含有量が1.0質量%以下であると、Li2O、LiX、Sc2O3、ScX3、GOnが多すぎるために、固体電解質を含む固体電解質層が硬くなって、上記化合物からなる粒子間にイオン的な接続を助ける良好な界面が形成されにくくなることがない。
本実施形態の固体電解質は、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=29.7°±2°、2θ=34.4°±2°、2θ=49.6°±2°から選ばれる少なくとも1つの位置に回折ピークを有するものであってよい。このような回折ピークを有する固体電解質は、イオン伝導の経路が十分に確保されたものであるため、より高いイオン伝導度が得られる。このような回折ピークを有する固体電解質としては、例えば、Li3ScCl6、Li3ScCl3Br3、Li3.1Sc0.9Mg0.1Cl2.9Br3.1、Li3ScCl5Br、Li3ScFCl5、Li3ScF0.3Cl5.7、Li2.6Sc0.6Zr0.4Cl6、Li2.6Sc0.6Zr0.4Cl3.5Br2.5、LiScCl4などが挙げられる。
本実施形態の固体電解質は、CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=29.7°±2°、2θ=34.4°±2°、2θ=49.6°±2°から選ばれる回折ピーク強度が最も大きい位置おける回折ピークの半価幅から求めた結晶子サイズが5nm〜500nmであることが好ましく、10nm〜200nmであることがより好ましい。固体電解質の結晶子サイズが5nm未満であると、イオン伝導の経路が十分に発達していないために十分に高いイオン伝導度が得られないおそれがある。また、固体電解質の結晶子サイズが500nmを越えると、結晶子内のリチウムイオンの拡散距離が長くなり過ぎて、イオン伝導度が低下するおそれがある。固体電解質の結晶子サイズは、固体電解質の製造工程において所定の条件で熱処理を行う方法により調整できる。
(固体電解質の製造方法)
本実施形態の固体電解質が粉末状態である場合、例えば、所定のモル比で所定の元素を含む原料粉末を混合し、反応させる方法により製造できる。
本実施形態の固体電解質が焼結体の状態である場合、例えば、以下に示す方法により製造できる。まず、所定のモル比で所定の元素を含む原料粉末を混合する。次いで、混合した原料粉末を所定の形状に成形し、真空中または不活性ガス雰囲気中で焼結する。原材粉末中に含まれるハロゲン化物原料は、温度を上げると蒸発しやすい。このため、焼結する際の雰囲気中にハロゲンガスを共存させて、ハロゲンを補ってもよい。また、密閉性の高い型を用いてホットプレス法により焼結しても良い。この場合、型の密閉性が高いため、焼結によるハロゲン化物原料の蒸発を抑制できる。このようにして焼結することにより、所定の組成を有する化合物からなる焼結体の状態の固体電解質が得られる。
本実施形態の固体電解質が粉末状態である場合、例えば、所定のモル比で所定の元素を含む原料粉末を混合し、反応させる方法により製造できる。
本実施形態の固体電解質が焼結体の状態である場合、例えば、以下に示す方法により製造できる。まず、所定のモル比で所定の元素を含む原料粉末を混合する。次いで、混合した原料粉末を所定の形状に成形し、真空中または不活性ガス雰囲気中で焼結する。原材粉末中に含まれるハロゲン化物原料は、温度を上げると蒸発しやすい。このため、焼結する際の雰囲気中にハロゲンガスを共存させて、ハロゲンを補ってもよい。また、密閉性の高い型を用いてホットプレス法により焼結しても良い。この場合、型の密閉性が高いため、焼結によるハロゲン化物原料の蒸発を抑制できる。このようにして焼結することにより、所定の組成を有する化合物からなる焼結体の状態の固体電解質が得られる。
本実施形態においては、固体電解質の製造工程において、必要に応じて熱処理を行ってもよい。熱処理を行うことにより、固体電解質の結晶子サイズを調整できる。熱処理としては、例えば、アルゴンガス雰囲気中で、130℃〜650℃で0.5〜60時間行うことが好ましく、175℃〜600℃で1〜30時間行うことがより好ましい。アルゴンガス雰囲気中で、150〜550℃で5〜24時間行うことにより、上記結晶子サイズが5nm〜500nmである固体電解質が得られる。
本実施形態の固体電解質は、式(1)で表される化合物からなる多結晶であるため、以下に示すように、単結晶からなる固体電解質と比較して、電位窓が広いものになる。
すなわち、単結晶からなる固体電解質は、粒界が存在しないため異方性が高く、特定方向だけにイオンが流れやすい。しかも、単結晶からなる固体電解質では、イオンの流れにくい方向に無理にイオンを流すと、表面の電解質が分解してしまう。このため、単結晶からなる固体電解質では、広い電位窓が得られにくい。これに対し、多結晶からなる固体電解質では、粒界が多数存在するため、イオンの流れやすい方向が多数存在する。このため、多結晶からなる固体電解質では、単結晶からなる固体電解質と比較して広い電位窓が得られる。
すなわち、単結晶からなる固体電解質は、粒界が存在しないため異方性が高く、特定方向だけにイオンが流れやすい。しかも、単結晶からなる固体電解質では、イオンの流れにくい方向に無理にイオンを流すと、表面の電解質が分解してしまう。このため、単結晶からなる固体電解質では、広い電位窓が得られにくい。これに対し、多結晶からなる固体電解質では、粒界が多数存在するため、イオンの流れやすい方向が多数存在する。このため、多結晶からなる固体電解質では、単結晶からなる固体電解質と比較して広い電位窓が得られる。
さらに、本実施形態の固体電解質は、式(1)で表される化合物からなる多結晶であるため、還元側の電位窓が広いものとなる。その理由は、詳細は不明であるが、次のように考えられる。
式(1)で表される化合物において、Eは、Sc、ランタノイド、Ruからなる群から選択される少なくとも1種の3価の元素である。例えば、EとしてScを含む場合、Eとして用いられる元素のイオン半径を価数で割った値は、以下に示す方法により算出できる。Sc3+(6配位)のイオン半径は、0.745Åである。したがって、Scにおけるイオン半径を価数で割った値は、0.745Å÷3=0.25Åとなる。この値を「価数当たりのイオン半径」と呼ぶ。上記の方法により算出した、Eとして用いられる元素の価数当たりのイオン半径は、0.25Å〜0.34Åの範囲である。
式(1)で表される化合物において、Eは、Sc、ランタノイド、Ruからなる群から選択される少なくとも1種の3価の元素である。例えば、EとしてScを含む場合、Eとして用いられる元素のイオン半径を価数で割った値は、以下に示す方法により算出できる。Sc3+(6配位)のイオン半径は、0.745Åである。したがって、Scにおけるイオン半径を価数で割った値は、0.745Å÷3=0.25Åとなる。この値を「価数当たりのイオン半径」と呼ぶ。上記の方法により算出した、Eとして用いられる元素の価数当たりのイオン半径は、0.25Å〜0.34Åの範囲である。
これに対し、例えば、式(1)で表される化合物におけるEに代えて、Zrが含まれている場合、Zrの価数当たりのイオン半径は、以下に示す値となる。Zr4+(6配位)のイオン半径は、0.72Åである。したがって、Zrの価数当たりのイオン半径は、0.72Å÷4=0.18Åとなる。
また、Li+のイオン半径(6配位)は、0.76Åであり、Liの価数当たりのイオン半径は、0.76Åである。Liは、最も卑な金属(言い換えれば還元側の電位窓が広い金属)である。
また、Li+のイオン半径(6配位)は、0.76Åであり、Liの価数当たりのイオン半径は、0.76Åである。Liは、最も卑な金属(言い換えれば還元側の電位窓が広い金属)である。
このように、式(1)で表される化合物におけるEは、例えば、Zr4+よりも、価数当たりのイオン半径が大きく、電荷当たりの体積が大きい。これは、式(1)で表される化合物中のEが、例えばZrなどの元素よりも、正電荷(原子核中の陽子)と電子とを結合しているクーロン力の弱い元素であることを意味している。すなわち、式(1)で表される化合物中のEは、正電荷による電子の束縛が弱く、原子核から電子が離れやすく、酸化されやすいものである。このことから、式(1)で表される化合物は、低電位で還元が起こりやすく、還元側の電位窓が広いものになると考えられる。
なお、多結晶からなる固体電解質には、粒界が多数存在している。このため、多結晶からなる固体電解質は、粒界が存在しない単結晶からなる固体電解質と比較して、イオン伝導度が低くなる可能性がある。しかし、本実施形態の固体電解質は、式(1)で表される化合物からなるものであるため、多結晶であっても十分に高いイオン伝導度を有する。
[固体電解質電池]
図1は、本実施形態にかかる固体電解質電池の断面模式図である。
図1に示す固体電解質電池10は、正極1と負極2と固体電解質層3とを備える。
固体電解質層3は、正極1と負極2とに挟まれている。固体電解質層3は、上述した固体電解質を含む。
正極1および負極2には、外部端子(不図示)が接続されており、外部と電気的に接続されている。
図1は、本実施形態にかかる固体電解質電池の断面模式図である。
図1に示す固体電解質電池10は、正極1と負極2と固体電解質層3とを備える。
固体電解質層3は、正極1と負極2とに挟まれている。固体電解質層3は、上述した固体電解質を含む。
正極1および負極2には、外部端子(不図示)が接続されており、外部と電気的に接続されている。
固体電解質電池10は、正極1と負極2の間での固体電解質層3を介したイオンおよび外部回路を介した電子の授受により充電または放電する。固体電解質電池10は、正極1と負極2と固体電解質層3が積層された積層体であってもよいし、積層体を巻回した巻回体であってもよい。固体電解質電池は、例えば、ラミネート電池、角型電池、円筒型電池、コイン型電池、ボタン型電池等に用いられる。
(正極)
図1に示すように、正極1は、板状(箔状)の正極集電体1A上に、正極合剤層1Bが設けられたものである。
(正極集電体)
正極集電体1Aは、充電時の酸化に耐え腐食しにくい電子伝導性の材料であれば良く、例えば、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、チタンなどの金属、または、伝導性樹脂を用いることができる。正極集電体1Aは、粉体、箔、パンチング、エクスパンドの各形態であっても良い。
(正極合剤層)
正極合剤層1Bは、正極活物質を含み、必要に応じて、固体電解質、バインダーおよび導電助剤を含む。
図1に示すように、正極1は、板状(箔状)の正極集電体1A上に、正極合剤層1Bが設けられたものである。
(正極集電体)
正極集電体1Aは、充電時の酸化に耐え腐食しにくい電子伝導性の材料であれば良く、例えば、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、チタンなどの金属、または、伝導性樹脂を用いることができる。正極集電体1Aは、粉体、箔、パンチング、エクスパンドの各形態であっても良い。
(正極合剤層)
正極合剤層1Bは、正極活物質を含み、必要に応じて、固体電解質、バインダーおよび導電助剤を含む。
(正極活物質)
正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵・放出、挿入・脱離(インターカレーション・デインターカレーション)を可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池に用いられている正極活物質を使用できる。正極活物質としては、例えば、リチウム含有金属酸化物、リチウム含有金属リン酸化物などが挙げられる。
リチウム含有金属酸化物としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、リチウムマンガンスピネル(LiMn2O4)、及び、一般式:LiNixCoyMnzO2(x+y+z=1)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiVOPO4、Li3V2(PO4)3)、オリビン型LiMPO4(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Feから選択される少なくとも1種を示す)、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)などが挙げられる。
正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵・放出、挿入・脱離(インターカレーション・デインターカレーション)を可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池に用いられている正極活物質を使用できる。正極活物質としては、例えば、リチウム含有金属酸化物、リチウム含有金属リン酸化物などが挙げられる。
リチウム含有金属酸化物としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、リチウムマンガンスピネル(LiMn2O4)、及び、一般式:LiNixCoyMnzO2(x+y+z=1)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiVOPO4、Li3V2(PO4)3)、オリビン型LiMPO4(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Feから選択される少なくとも1種を示す)、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)などが挙げられる。
また、リチウムを含有していない正極活物質も使用できる。このような正極活物質としては、リチウム非含有金属酸化物(MnO2、V2O5など)、リチウム非含有金属硫化物(MoS2など)、リチウム非含有フッ化物(FeF3、VF3など)などが挙げられる。
これらのリチウムを含有していない正極活物質を用いる場合、あらかじめ負極にリチウムイオンをドープしておく、またはリチウムイオンを含有する負極を用いればよい。
これらのリチウムを含有していない正極活物質を用いる場合、あらかじめ負極にリチウムイオンをドープしておく、またはリチウムイオンを含有する負極を用いればよい。
(バインダー)
正極合剤層1Bを構成する正極活物質と固体電解質と導電助剤とを相互に結合するとともに、正極合剤層1Bと正極集電体とを接着するために、正極合剤層1Bには、バインダーが含まれていることが好ましい。バインダーに要求される特性としては、耐酸化性があること、接着性が良いことが挙げられる。
正極合剤層1Bを構成する正極活物質と固体電解質と導電助剤とを相互に結合するとともに、正極合剤層1Bと正極集電体とを接着するために、正極合剤層1Bには、バインダーが含まれていることが好ましい。バインダーに要求される特性としては、耐酸化性があること、接着性が良いことが挙げられる。
正極合剤層1Bに用いられるバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはそのコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリル酸(PA)及びその共重合体、ポリアクリル酸(PA)及びその共重合体の金属イオン架橋体、無水マレイン酸をグラフト化したポリプロピレン(PP)、無水マレイン酸をグラフト化したポリエチレン(PE)、または、これらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、バインダーとしては、特にPVDFを用いることが好ましい。
正極合剤層1Bにおける固体電解質の含有率は、特に限定されないが、正極活物質、固体電解質、導電助剤及びバインダーの質量の総和を基準にして、1体積%〜50体積%であることが好ましく、5体積%〜30体積%であることがより好ましい。
正極合剤層1Bにおけるバインダーの含有率は、特に限定されないが、正極活物質、固体電解質、導電助剤及びバインダーの質量の総和を基準にして、1質量%〜15質量%であることが好ましく、3質量%〜5質量%であることがより好ましい。バインダー量が少な過ぎると、十分な接着強度の正極1を形成できなくなる傾向がある。逆にバインダー量が多過ぎると、一般的なバインダーは電気化学的に不活性なので放電容量に寄与せず、十分な体積または質量エネルギー密度を得ることが困難となる傾向がある。
(導電助剤)
導電助剤は、正極合剤層1Bの電子伝導性を良好にするものであれば特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。例えば、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、グラフェンなどの炭素材料、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス、鉄、アモルファス金属などの金属、ITOなどの伝導性酸化物、またはこれらの混合物が挙げられる。前記導電助剤は、粉体、繊維の各形態であっても良い。
導電助剤は、正極合剤層1Bの電子伝導性を良好にするものであれば特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。例えば、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、グラフェンなどの炭素材料、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス、鉄、アモルファス金属などの金属、ITOなどの伝導性酸化物、またはこれらの混合物が挙げられる。前記導電助剤は、粉体、繊維の各形態であっても良い。
正極合剤層1Bにおける導電助剤の含有率は、特に限定されないが、導電助剤を添加する場合には通常、正極活物質、固体電解質、導電助剤及びバインダーの質量の総和を基準にして、0.5質量%〜20質量%であることが好ましく、1質量%〜5質量%とすることがより好ましい。
(負極)
図1に示すように、負極2は、負極集電体2A上に、負極合剤層2Bが設けられたものである。
(負極集電体)
負極集電体2Aは、伝導性であれば良く、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄などの金属、または、伝導性樹脂箔を用いることができる。負極集電体2Aは、粉体、箔、パンチング、エクスパンドの各形態であっても良い。
(負極合剤層)
負極合剤層2Bは、負極活物質を含み、必要に応じて、固体電解質、バインダーおよび導電助剤を含む。
図1に示すように、負極2は、負極集電体2A上に、負極合剤層2Bが設けられたものである。
(負極集電体)
負極集電体2Aは、伝導性であれば良く、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄などの金属、または、伝導性樹脂箔を用いることができる。負極集電体2Aは、粉体、箔、パンチング、エクスパンドの各形態であっても良い。
(負極合剤層)
負極合剤層2Bは、負極活物質を含み、必要に応じて、固体電解質、バインダーおよび導電助剤を含む。
(負極活物質)
負極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの挿入及び脱離を可逆的に進行させることができれば特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池に用いられている負極活物質を使用することができる。
負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、メソカーボンファイバー(MCF)、コークス類、ガラス状炭素、有機化合物焼成体などの炭素材料、Si、SiOx、Sn、アルミニウムなどのリチウムと化合できる金属、これらの合金、これら金属と炭素材料との複合材料、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、SnO2などの酸化物、金属リチウムなどが挙げられる。
負極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの挿入及び脱離を可逆的に進行させることができれば特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池に用いられている負極活物質を使用することができる。
負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、メソカーボンファイバー(MCF)、コークス類、ガラス状炭素、有機化合物焼成体などの炭素材料、Si、SiOx、Sn、アルミニウムなどのリチウムと化合できる金属、これらの合金、これら金属と炭素材料との複合材料、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、SnO2などの酸化物、金属リチウムなどが挙げられる。
(バインダー)
負極合剤層2Bを構成する負極活物質と固体電解質と導電助剤とを相互に結合するとともに、負極合剤層2Bと負極集電体とを接着するために、負極合剤層2Bには、バインダーが含まれていることが好ましい。バインダーに要求される特性としては、耐還元性があること、接着性が良いことが挙げられる。
負極合剤層2Bを構成する負極活物質と固体電解質と導電助剤とを相互に結合するとともに、負極合剤層2Bと負極集電体とを接着するために、負極合剤層2Bには、バインダーが含まれていることが好ましい。バインダーに要求される特性としては、耐還元性があること、接着性が良いことが挙げられる。
負極合剤層2Bに用いられるバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはそのコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリル酸(PA)及びその共重合体、ポリアクリル酸(PA)及びその共重合体の金属イオン架橋体、無水マレイン酸をグラフト化したポリプロピレン(PP)、無水マレイン酸をグラフト化したポリエチレン(PE)、またはこれらの混合物などが挙げられる。これらの中でもバインダーとしては、SBR、CMC、PVDFから選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。
負極合剤層2Bにおける固体電解質の含有率は、特に限定されないが、負極活物質、固体電解質、導電助剤およびバインダーの質量の総和を基準にして、1体積%〜50体積%であることが好ましく、5体積%〜30体積%であることがより好ましい。
負極合剤層2Bにおけるバインダーの含有率は、特に限定されないが、負極活物質、導電助剤及びバインダーの質量の総和を基準にして、1質量%〜15質量%であることが好ましく、1.5質量%〜10質量%であることがより好ましい。バインダー量が少な過ぎると、十分な接着強度を有する負極2を形成できなくなる傾向がある。また、バインダーは一般的に、電気化学的に不活性である。このため、放電容量に寄与しないバインダー量が多過ぎると、十分な体積エネルギー密度または質量エネルギー密度を得ることが困難となる傾向がある。
(導電助剤)
負極合剤層2Bに含まれてもよい導電助剤としては、炭素材料など、正極合剤層1Bに含まれてもよい上述した導電助剤と同様のものを用いることができる。
負極合剤層2Bに含まれてもよい導電助剤としては、炭素材料など、正極合剤層1Bに含まれてもよい上述した導電助剤と同様のものを用いることができる。
負極合剤層2Bにおける導電助剤の含有率は、特に限定されないが、導電助剤を添加する場合には通常、負極活物質に対して0.5質量%〜20質量%であることが好ましく、1質量%〜12質量%とすることがより好ましい。
(外装体)
本実施形態の固体電解質電池では、正極1と固体電解質層3と負極2とからなる電池要素は、外装体に収納され、密封されている。外装体は、外部から内部への水分などの侵入を抑止できるものであればよく、特に限定されない。
例えば、外装体として、金属箔の両面を高分子フィルムでコーティングしてなる金属ラミネートフィルムを、袋状に形成したものを用いることができる。このような外装体は、開口部をヒートシールすることにより密閉される。
金属ラミネートフィルムを形成している金属箔としては、例えばアルミニウム箔、ステンレス箔などを用いることができる。外装体の外側に配置される高分子フィルムとしては、融点の高い高分子を用いることが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミドなどを用いることが好ましい。外装体の内側に配置される高分子フィルムとしては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などを用いることが好ましい。
本実施形態の固体電解質電池では、正極1と固体電解質層3と負極2とからなる電池要素は、外装体に収納され、密封されている。外装体は、外部から内部への水分などの侵入を抑止できるものであればよく、特に限定されない。
例えば、外装体として、金属箔の両面を高分子フィルムでコーティングしてなる金属ラミネートフィルムを、袋状に形成したものを用いることができる。このような外装体は、開口部をヒートシールすることにより密閉される。
金属ラミネートフィルムを形成している金属箔としては、例えばアルミニウム箔、ステンレス箔などを用いることができる。外装体の外側に配置される高分子フィルムとしては、融点の高い高分子を用いることが好ましく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミドなどを用いることが好ましい。外装体の内側に配置される高分子フィルムとしては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などを用いることが好ましい。
(外部端子)
電池要素の正極1には正極端子が電気的に接続され、負極2には、負極端子が電気的に接続されている。本実施形態では、正極集電体1Aに正極端子が電気的に接続され、負極集電体2Aに負極端子が電気的に接続されている。正極集電体または負極集電体と、外部端子(正極端子および負極端子)との接続部分は、外装体の内部に配置されている。
外部端子としては、例えば、アルミニウム、ニッケルなどの導電材料で形成されたものを用いることができる。
電池要素の正極1には正極端子が電気的に接続され、負極2には、負極端子が電気的に接続されている。本実施形態では、正極集電体1Aに正極端子が電気的に接続され、負極集電体2Aに負極端子が電気的に接続されている。正極集電体または負極集電体と、外部端子(正極端子および負極端子)との接続部分は、外装体の内部に配置されている。
外部端子としては、例えば、アルミニウム、ニッケルなどの導電材料で形成されたものを用いることができる。
外装体と外部端子との間には、無水マレイン酸をグラフト化したPE(以降、「酸変性PE」という場合がある。)、または無水マレイン酸をグラフト化したPP(以降、「酸変性PP」という場合がある。)からなるフィルムが配置されていることが好ましい。酸変性PEまたは酸変性PPからなるフィルムの配置されている部分が、ヒートシールされていることにより、外装体と外部端子との密着性が良好な固体電解質電池となる。
[固体電解質電池の製造方法]
次いで、本実施形態にかかる固体電解質電池の製造方法について説明する。
まず、本実施形態の固体電解質電池10に備えられている固体電解質層3となる上述した固体電解質を準備する。本実施形態では、固体電解質層3の材料として、粉末の状態の固体電解質を用いる。固体電解質層3は、粉末形成法を用いて作製できる。
また、例えば、正極集電体1A上に、正極活物質を含むペーストを塗布し、乾燥させて正極合剤層1Bを形成することにより、正極1を製造する。また、例えば、負極集電体2A上に、負極活物質を含むペーストを塗布し、乾燥させて負極合剤層2Bを形成することにより、負極2を製造する。
次いで、本実施形態にかかる固体電解質電池の製造方法について説明する。
まず、本実施形態の固体電解質電池10に備えられている固体電解質層3となる上述した固体電解質を準備する。本実施形態では、固体電解質層3の材料として、粉末の状態の固体電解質を用いる。固体電解質層3は、粉末形成法を用いて作製できる。
また、例えば、正極集電体1A上に、正極活物質を含むペーストを塗布し、乾燥させて正極合剤層1Bを形成することにより、正極1を製造する。また、例えば、負極集電体2A上に、負極活物質を含むペーストを塗布し、乾燥させて負極合剤層2Bを形成することにより、負極2を製造する。
次いで、例えば、正極1の上に、穴部を有するガイドを設置し、ガイド内に固体電解質を充填する。その後、固体電解質の表面をならし、固体電解質の上に負極2を重ねる。このことにより、正極1と負極2との間に固体電解質が挟まれる。その後、正極1および負極2に圧力を加えることで、固体電解質を加圧成形する。加圧成形されることにより、正極1と固体電解質層3と負極2が、この順に積層された積層体が得られる。
次に、積層体を形成している正極1の正極集電体および負極2の負極集電体に、それぞれ公知の方法により外部端子を溶接し、正極集電体または負極集電体と外部端子とを電気的に接続する。その後、外部端子と接続された積層体を外装体に収納し、外装体の開口部をヒートシールすることにより密封する。
以上の工程により、本実施形態の固体電解質電池10が得られる。
次に、積層体を形成している正極1の正極集電体および負極2の負極集電体に、それぞれ公知の方法により外部端子を溶接し、正極集電体または負極集電体と外部端子とを電気的に接続する。その後、外部端子と接続された積層体を外装体に収納し、外装体の開口部をヒートシールすることにより密封する。
以上の工程により、本実施形態の固体電解質電池10が得られる。
上述した固体電解質電池10の製造方法では、粉末の状態の固体電解質を用いる場合を例に挙げて説明したが、固体電解質として、焼結体の状態の固体電解質を用いてもよい。
この場合、焼結体の状態の固体電解質を、正極1と負極2との間に挟んで、加圧成形する方法により、固体電解質層3を有する固体電解質電池10が得られる。
この場合、焼結体の状態の固体電解質を、正極1と負極2との間に挟んで、加圧成形する方法により、固体電解質層3を有する固体電解質電池10が得られる。
本実施形態の固体電解質層3は、電位窓が広く、十分に高いイオン伝導度を有する本実施形態の固体電解質を含む。このため、本実施形態の固体電解質層3を備える本実施形態の固体電解質電池10は、広い電位範囲で動作させることができ、および内部抵抗が小さく放電容量の大きいものとなる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
(実施例1〜実施例49、実施例52〜実施例75、実施例81〜実施例85)
表1〜表5に示すモル比で所定の原材料を含む原料粉末を、遊星型ボールミル装置を用いて、自転回転数500rpm、公転回転数500rpm、自転の回転方向と公転の回転方向とを逆方向とし、24時間混合して反応させる方法により、表6〜表10に示す組成を有する化合物からなる粉末状態の実施例1〜実施例49、実施例52〜実施例75、実施例81〜実施例85の固体電解質を製造した。
表1〜表5に示すモル比で所定の原材料を含む原料粉末を、遊星型ボールミル装置を用いて、自転回転数500rpm、公転回転数500rpm、自転の回転方向と公転の回転方向とを逆方向とし、24時間混合して反応させる方法により、表6〜表10に示す組成を有する化合物からなる粉末状態の実施例1〜実施例49、実施例52〜実施例75、実施例81〜実施例85の固体電解質を製造した。
(実施例50、実施例51)
表4に示すモル比で所定の原材料を含む原料粉末を、遊星型ボールミル装置を用いて、実施例1と同様に混合して反応させる方法により、粉末状態の固体電解質を製造した。得られた粉末状態の固体電解質を石英管に真空封入し、表4に示す熱処理温度で熱処理することにより、表9に示す組成を有する化合物からなる実施例50、実施例51の固体電解質を製造した。
表4に示すモル比で所定の原材料を含む原料粉末を、遊星型ボールミル装置を用いて、実施例1と同様に混合して反応させる方法により、粉末状態の固体電解質を製造した。得られた粉末状態の固体電解質を石英管に真空封入し、表4に示す熱処理温度で熱処理することにより、表9に示す組成を有する化合物からなる実施例50、実施例51の固体電解質を製造した。
各固体電解質の組成は、酸素を除く各元素をICP(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析)装置(株式会社島津製作所製)を用いて分析する方法により求めた。なお、フッ素を含む固体電解質については、固体電解質中に含まれるフッ素の含有量をイオンクロマトグラフィー装置(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)法を用いて分析した。
また、表9には、実施例54の固体電解質中に含まれる酸素の割合として、表4に示す原料粉末中の酸素の割合を記載した。なお、予め実験を行うことにより、固体電解質中に含まれる酸素の割合が、原料粉末中に含まれる酸素の割合と同等であるとみなせることを確認している。
また、表9には、実施例54の固体電解質中に含まれる酸素の割合として、表4に示す原料粉末中の酸素の割合を記載した。なお、予め実験を行うことにより、固体電解質中に含まれる酸素の割合が、原料粉末中に含まれる酸素の割合と同等であるとみなせることを確認している。
また、遊星型ボールミル用の密閉容器およびボールとして、ジルコニア製のものを用いた。そのため、製造した化合物中には、密閉容器およびボールに由来するジルコニウムがコンタミネーションとして混入している。密閉容器およびボールに由来するジルコニウムのコンタミネーション量は、ある一定量であることが分かっている。表6〜表10には、化合物中のジルコニウム含有量の実測値を記載した。
(実施例76〜実施例80)
実施例49で作製した固体電解質(Li3ScCl6)に、添加剤としてLi2O、LiCl、Sc2O3、ScCl3およびCaOをそれぞれ0.1質量%添加して混合したものを、固体電解質とした。
実施例49で作製した固体電解質(Li3ScCl6)に、添加剤としてLi2O、LiCl、Sc2O3、ScCl3およびCaOをそれぞれ0.1質量%添加して混合したものを、固体電解質とした。
表1〜表5には、各固体電解質に使用した原材料および原材料配合比(モル比)、各固体電解質の組成を式(1)に当てはめた時の「E」のイオン半径、熱処理を行った場合の熱処理温度をそれぞれ示した。
また、表6〜表10には、各固体電解質の組成について、上述した式(1)を満たす場合を「〇」満たさない場合を「−」と記載した。さらに、表6〜表10には、各固体電解質の組成と、それを式(1)に当てはめた時の「E」「G」「D」「Gの価数」「X」「a」「b」「c」「d」「e」をそれぞれ示した。
また、表6〜表10には、各固体電解質の組成について、上述した式(1)を満たす場合を「〇」満たさない場合を「−」と記載した。さらに、表6〜表10には、各固体電解質の組成と、それを式(1)に当てはめた時の「E」「G」「D」「Gの価数」「X」「a」「b」「c」「d」「e」をそれぞれ示した。
[X線回折(XRD)測定]
実施例1〜実施例85、比較例1の固体電解質について、以下に示す方法により、それぞれCuKα線を用いたX線回折測定を行った。
アルゴンガスを循環させた露点−99℃、酸素濃度1ppmのグローブボックス内で、固体電解質をガラス製のXRD測定用ホルダーに充填した。その後、充填面を覆うように、防湿のためのポリイミドテープ(70℃で16時間真空乾燥させたもの)を張り付けて封止し、XRD測定試料を準備した。次いで、XRD測定試料を大気中に取り出し、X線回折装置(パナリティカル社製)を用いてXRD測定を行った。
X線源としては、CuKα線を用いた。XRD測定は、走査角度(2θ)10〜65度、管電圧45KV、管電流40mAで行った。
実施例1〜実施例85、比較例1の固体電解質について、以下に示す方法により、それぞれCuKα線を用いたX線回折測定を行った。
アルゴンガスを循環させた露点−99℃、酸素濃度1ppmのグローブボックス内で、固体電解質をガラス製のXRD測定用ホルダーに充填した。その後、充填面を覆うように、防湿のためのポリイミドテープ(70℃で16時間真空乾燥させたもの)を張り付けて封止し、XRD測定試料を準備した。次いで、XRD測定試料を大気中に取り出し、X線回折装置(パナリティカル社製)を用いてXRD測定を行った。
X線源としては、CuKα線を用いた。XRD測定は、走査角度(2θ)10〜65度、管電圧45KV、管電流40mAで行った。
(結晶子サイズの測定)
実施例1〜実施例85、比較例1の固体電解質は、いずれもCuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=29.7°±2°、2θ=34.4°±2°、2θ=49.6°±2°から選ばれる少なくとも1つの位置に回折ピークが観察された。これらの回折ピークから選ばれる回折ピーク強度が最も大きい位置の回折ピークの半価幅から、それぞれ結晶子サイズを求めた。その結果を、表6〜表10に示す。
結晶子サイズの大きさは、以下に示すsherrerの式(2)を用いて求めた。
D=K×λ/(β×cosθ)
式(2)中の各記号の意味を下に記す。
D:結晶子サイズ
K:sherrer定数(本実施例では1)
λ:使用したX線の波長(本実施例では、CuKα線の波長(1.5418Å(0.15418nm))
β:結晶子の回折X線の広がり(本実施例では、2θ=29.7°±2°、2θ=34.4°±2°、2θ=49.6°±2°から選ばれる回折ピーク強度が最も大きい位置の回折ピークの半価幅)
θ:ブラッグ角(回折角2θの1/2)
実施例1〜実施例85、比較例1の固体電解質は、いずれもCuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=29.7°±2°、2θ=34.4°±2°、2θ=49.6°±2°から選ばれる少なくとも1つの位置に回折ピークが観察された。これらの回折ピークから選ばれる回折ピーク強度が最も大きい位置の回折ピークの半価幅から、それぞれ結晶子サイズを求めた。その結果を、表6〜表10に示す。
結晶子サイズの大きさは、以下に示すsherrerの式(2)を用いて求めた。
D=K×λ/(β×cosθ)
式(2)中の各記号の意味を下に記す。
D:結晶子サイズ
K:sherrer定数(本実施例では1)
λ:使用したX線の波長(本実施例では、CuKα線の波長(1.5418Å(0.15418nm))
β:結晶子の回折X線の広がり(本実施例では、2θ=29.7°±2°、2θ=34.4°±2°、2θ=49.6°±2°から選ばれる回折ピーク強度が最も大きい位置の回折ピークの半価幅)
θ:ブラッグ角(回折角2θの1/2)
(多結晶であることの確認)
実施例1〜実施例85、比較例1の固体電解質の粉末について、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて粒径を求めた。具体的には、SEMで観察した固体電解質の写真を画像処理し、150個の固体電解質粒子の円相当径を求め、その平均を固体電解質の平均粒径とした。その結果、実施例1〜実施例85、比較例1の固体電解質の粉末の平均粒径は、いずれも上記の方法により測定した結晶子サイズよりも大きいことが分かった。このことは、各固体電解質粒子の中に、複数の結晶が存在していること示している。したがって、実施例1〜実施例85、比較例1の固体電解質は、いずれも単結晶ではなく、多結晶である。
実施例1〜実施例85、比較例1の固体電解質の粉末について、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて粒径を求めた。具体的には、SEMで観察した固体電解質の写真を画像処理し、150個の固体電解質粒子の円相当径を求め、その平均を固体電解質の平均粒径とした。その結果、実施例1〜実施例85、比較例1の固体電解質の粉末の平均粒径は、いずれも上記の方法により測定した結晶子サイズよりも大きいことが分かった。このことは、各固体電解質粒子の中に、複数の結晶が存在していること示している。したがって、実施例1〜実施例85、比較例1の固体電解質は、いずれも単結晶ではなく、多結晶である。
例えば、図2は、実施例49の固体電解質のSEM写真である。図2に示す写真から求めた実施例49の固体電解質の平均粒径は218nmであった。すなわち、実施例49の固体電解質の平均粒径は、表9に示す結晶子サイズ(15nm)よりも大きいものであった。
図3は、実施例81の固体電解質のSEM写真である。図3に示す写真から求めた実施例81の固体電解質の平均粒径は280nmであった。すなわち、実施例81の固体電解質の平均粒径は、表10に示す結晶子サイズ(32nm)よりも大きいものであった。
図3は、実施例81の固体電解質のSEM写真である。図3に示す写真から求めた実施例81の固体電解質の平均粒径は280nmであった。すなわち、実施例81の固体電解質の平均粒径は、表10に示す結晶子サイズ(32nm)よりも大きいものであった。
図4は、実施例49の固体電解質のX線回折結果を示したチャートである。また、防湿のために用いたポリイミドテープのみをXRD測定用ホルダーに張り付け、実施例49の固体電解質のXRD測定と同様の条件で、XRD測定を行った。図4に示す「●」は、ポリイミドテープのX線回折測定において確認された回折ピークを示す。
図4に示すように、実施例49の固体電解質(Li3ScCl6)は、2θ=29.7°±2°(図4において符号Aで示す範囲)、2θ=34.4°±2°(図4において符号Bで示す範囲)、2θ=49.6°±2°(図4において符号Cで示す範囲)のそれぞれの位置に回折ピークが観察された。
図5は、実施例81の固体電解質のX線回折結果を示したチャートである。また、防湿のために用いたポリイミドテープのみをXRD測定用ホルダーに張り付け、実施例81の固体電解質のXRD測定と同様の条件で、XRD測定を行った。図5に示す「●」は、ポリイミドテープのX線回折測定において確認された回折ピークを示す。
図5に示すように、実施例81の固体電解質(LiScCl4)は、2θ=49.6°±2°(図5において符号Dで示す範囲)の位置に回折ピークが観察された。
(還元側の電位窓の測定)
実施例1〜実施例85、比較例1の固体電解質それぞれについて、以下に示す方法により、還元側の電位窓(Vvs.Li/Li+)を算出した。その結果を、表6〜表10に示す。
中心に直径10mmの貫通孔を有する直径30mm、高さ20mmの加圧成形用ダイス(PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)製)の円筒を準備した。次に、円筒の貫通孔に下側から、合金工具鋼(SKD11)からなる直径9.99mmの下パンチを挿入した。また、円筒の貫通孔に上側から固体電解質の粉体を110mg投入した。その後、円筒の貫通孔に上側から、合金工具鋼(SKD11)からなる直径9.99mmの上パンチを挿入した。そして、円筒をプレス機に装着し、上パンチと下パンチとの間に3トンの荷重を付与し、固体電解質の粉体のプレスを行った。
実施例1〜実施例85、比較例1の固体電解質それぞれについて、以下に示す方法により、還元側の電位窓(Vvs.Li/Li+)を算出した。その結果を、表6〜表10に示す。
中心に直径10mmの貫通孔を有する直径30mm、高さ20mmの加圧成形用ダイス(PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)製)の円筒を準備した。次に、円筒の貫通孔に下側から、合金工具鋼(SKD11)からなる直径9.99mmの下パンチを挿入した。また、円筒の貫通孔に上側から固体電解質の粉体を110mg投入した。その後、円筒の貫通孔に上側から、合金工具鋼(SKD11)からなる直径9.99mmの上パンチを挿入した。そして、円筒をプレス機に装着し、上パンチと下パンチとの間に3トンの荷重を付与し、固体電解質の粉体のプレスを行った。
その後、円筒をプレス機から外し、円筒から上パンチを取り外し、円筒内に直径10mm、厚み100μmの白金箔を挿入し、再び上パンチを挿入した。上パンチとしては、側面に電気化学測定用の端子が付いているものを用いた。次に、円筒を上下逆にして、円筒から下パンチを取り外し、円筒内に直径10mm、厚み100μmのインジウム箔と、直径10mm、厚み100μmのリチウム箔と、直径10mm、厚み100μmのインジウム箔とをこの順番で挿入し、再び下パンチを挿入した。下パンチとしては、側面に電気化学測定用の端子が付いているものを用いた。このことにより、円筒内に、インジウム箔、リチウム箔、インジウム箔、固体電解質、白金箔がこの順に積層された電気化学セルを形成した。
また、直径50mm、厚み5mmのステンレス鋼板2枚と、直径50mm、厚み2mmのベークライト(登録商標)板2枚とを準備した。次いで、2枚のステンレス鋼板および2枚のベークライト(登録商標)板に、ネジを通す穴をそれぞれ4つずつ設けた。ネジを通す穴は、電気化学セルと、2枚のステンレス鋼板および2枚のベークライト(登録商標)板とを積層したときに、2枚のステンレス鋼板と2枚のベークライト(登録商標)板とが平面視で重なり、かつ電気化学セルと平面視で重ならない位置に設けた。
その後、ステンレス鋼板、ベークライト(登録商標)板、電気化学セル、ベークライト(登録商標)板、ステンレス鋼板をこの順に積層し、上記のネジ穴にネジを入れて締めた。このようにして、電気化学セルの上パンチおよび下パンチが、ベークライト(登録商標)板によって絶縁された電気化学測定用セルを得た。
その後、ステンレス鋼板、ベークライト(登録商標)板、電気化学セル、ベークライト(登録商標)板、ステンレス鋼板をこの順に積層し、上記のネジ穴にネジを入れて締めた。このようにして、電気化学セルの上パンチおよび下パンチが、ベークライト(登録商標)板によって絶縁された電気化学測定用セルを得た。
次に、電気化学測定用セルに約50kgf/cm2の圧力を付与しながら、25℃の恒温槽に入れて24時間静置した。このことにより、電気化学測定用セル内のインジウム箔とリチウム箔とインジウム箔とが一体化されて、リチウム−インジウム合金となる。
その後、25℃の恒温槽に入れて24時間静置した後の電気化学測定用セルについて、電気化学測定を行った。電気化学測定は、Bio−Logic社のEC−Lab電気化学測定システムVMP−300を用いて行った。電気化学測定は、スキャン速度を0.1mV/secとし、酸化方向は5.5V(vs.Li/Li+)まで、還元方向は−0.1V(vs.Li/Li+)まで掃引して行った。そして、電極(直径)面積当たり還元電流(μA/cm2)が、0.1μA/cm2以下となる最大電圧を、還元側の電位窓とした。
その後、25℃の恒温槽に入れて24時間静置した後の電気化学測定用セルについて、電気化学測定を行った。電気化学測定は、Bio−Logic社のEC−Lab電気化学測定システムVMP−300を用いて行った。電気化学測定は、スキャン速度を0.1mV/secとし、酸化方向は5.5V(vs.Li/Li+)まで、還元方向は−0.1V(vs.Li/Li+)まで掃引して行った。そして、電極(直径)面積当たり還元電流(μA/cm2)が、0.1μA/cm2以下となる最大電圧を、還元側の電位窓とした。
(イオン伝導度の測定)
還元側の電位窓の測定を行う場合と同様にして、電気化学測定用セルを得た。そして、電気化学測定用セルに約50kgf/cm2の圧力を付与しながら、25℃の恒温槽に入れて20分間静置した。
その後、電気化学測定用セルのイオン伝導度の測定を行った。電気化学測定用セルのイオン伝導度は、電気化学インピーダンス測定法により、周波数応答アナライザを搭載したポテンシオスタットを用いて測定した。イオン伝導度の測定は、周波数範囲を7MHz〜0.1Hzとし、振幅10mVの条件で行った。その結果を、表6〜表10に示す。
還元側の電位窓の測定を行う場合と同様にして、電気化学測定用セルを得た。そして、電気化学測定用セルに約50kgf/cm2の圧力を付与しながら、25℃の恒温槽に入れて20分間静置した。
その後、電気化学測定用セルのイオン伝導度の測定を行った。電気化学測定用セルのイオン伝導度は、電気化学インピーダンス測定法により、周波数応答アナライザを搭載したポテンシオスタットを用いて測定した。イオン伝導度の測定は、周波数範囲を7MHz〜0.1Hzとし、振幅10mVの条件で行った。その結果を、表6〜表10に示す。
[固体電解質電池の作製]
以下に示す方法により、実施例1〜実施例85、比較例1の固体電解質からなる固体電解質層を備える固体電解質電池をそれぞれ作製した。固体電解質電池の作製は、露点−70℃以下のアルゴン雰囲気としたグローブボックス内で行った。また、以下に示す方法により、固体電解質電池の充放電試験を行い、放電容量を測定した。
まず、コバルト酸リチウム(LiCoO2):実施例1〜実施例85、比較例1の各固体電解質:カーボンブラック=81:16:3重量部になるように秤量し、めのう乳鉢で混合して、正極合剤とした。次に、黒鉛:実施例1〜実施例85、比較例1の各固体電解質:カーボンブラック=67:30:3重量部になるように秤量し、めのう乳鉢で混合して、負極合剤とした。
以下に示す方法により、実施例1〜実施例85、比較例1の固体電解質からなる固体電解質層を備える固体電解質電池をそれぞれ作製した。固体電解質電池の作製は、露点−70℃以下のアルゴン雰囲気としたグローブボックス内で行った。また、以下に示す方法により、固体電解質電池の充放電試験を行い、放電容量を測定した。
まず、コバルト酸リチウム(LiCoO2):実施例1〜実施例85、比較例1の各固体電解質:カーボンブラック=81:16:3重量部になるように秤量し、めのう乳鉢で混合して、正極合剤とした。次に、黒鉛:実施例1〜実施例85、比較例1の各固体電解質:カーボンブラック=67:30:3重量部になるように秤量し、めのう乳鉢で混合して、負極合剤とした。
前記樹脂ホルダーに下パンチを挿入し、樹脂ホルダーの上から実施例1〜実施例85、比較例1の固体電解質を110mg投入した。固体電解質の上に上パンチを挿入した。このセットをプレス機に載置し、圧力373MPaで成形した。前記セットをプレス機から取り出し、上パンチを取り外した。
樹脂ホルダー内の固体電解質(ペレット状)の上に正極合剤を39mg投入し、その上に上パンチを挿入し、プレス機にセットを静置し、圧力373MPaで成形した。次にセットを取り出し、上下を逆にして下パンチを取り外した。固体電解質(ペレット)の上に負極合剤を20mg投入し、その上に下パンチを挿入し、プレス機にセットを静置し、圧力373MPaで成形した。
このことにより、樹脂ホルダーの中に、正極と固体電解質と負極とがこの順に積層された電池要素を作製した。上下パンチの側面のネジ穴には、充放電用の端子としてネジを差し込んだ。
樹脂ホルダー内の固体電解質(ペレット状)の上に正極合剤を39mg投入し、その上に上パンチを挿入し、プレス機にセットを静置し、圧力373MPaで成形した。次にセットを取り出し、上下を逆にして下パンチを取り外した。固体電解質(ペレット)の上に負極合剤を20mg投入し、その上に下パンチを挿入し、プレス機にセットを静置し、圧力373MPaで成形した。
このことにより、樹脂ホルダーの中に、正極と固体電解質と負極とがこの順に積層された電池要素を作製した。上下パンチの側面のネジ穴には、充放電用の端子としてネジを差し込んだ。
前記電池要素を封入する外装体として、アルミニウムラミネート材料を準備した。これは、PET(12)/Al(40)/PP(50)からなるラミネート材料である。PETはポリエチレンテレフタレート、PPはポリプロピレンである。かっこ内は各層の厚み(単位はμm)を表す。このアルミラミネート材料をA4サイズにカットし、PPが内面となるように、長辺の真ん中で折り返した。
正極端子として、アルミニウム箔(幅4mm、長さ40mm、厚み100μm)を準備した。また、負極端子として、ニッケル箔(幅4mm、長さ40mm、厚み100μm)とを準備した。これらの外部端子(正極端子および負極端子)にそれぞれ酸変性PPを巻き付け、外装体に熱接着した。これは外部端子と外装体とのシール性を向上させるためである。
前記折り返したアルミラミネート材料の対向している2辺のそれぞれ中程に、正極端子および負極端子をアルミラミネート材料で挟むように載置し、ヒートシールした。その後、外装体の中に前記セットを挿入し、上パンチの側面のネジと外装体内の正極端子とをリード線で接続することにより、正極と正極端子とを電気的に接続した。また、下パンチの側面のネジと外装体内の負極端子とをリード線で接続することにより、負極と負極端子とを電気的に接続した。その後、外装体の開口部をヒートシールして、固体電解質電池とした。
固体電解質電池の充放電試験は、25℃の恒温槽内にて行った。充放電電流の表記は、以降C(シー)レート表記を使う。nC(mA)は、公称容量(mAh)を1/n(h)で充放電できる電流である。例えば、公称容量70mAhの電池の場合、0.05Cの電流は3.5mA(計算式70×0.05=3.5)である。同様に、0.2Cの電流は14mA、2Cの電流は140mAである。充電は0.2Cで4.2Vまで定電流定電圧(CCCVと言う)で行った。充電終了は、電流が1/20Cになるまで行った。放電は、0.2Cで3.0Vまで放電した。その結果を、表6〜表10に示す。
表6〜表10に示すように、実施例1〜実施例85、比較例1の固体電解質は、いずれも十分にイオン伝導度の高いものであった。また、実施例1〜実施例85、比較例1の固体電解質からなる固体電解質層を有する固体電解質電池は、いずれも十分に放電容量の大きいものであった。
また、表6〜表10に示すように、実施例1〜実施例85の固体電解質は、比較例1の固体電解質と比較して、いずれも還元側の電位窓が広いものであった。
また、表6〜表10に示すように、実施例1〜実施例85の固体電解質は、比較例1の固体電解質と比較して、いずれも還元側の電位窓が広いものであった。
1…正極、1A…正極集電体、1B…正極合剤層、2…負極、2A…負極集電体、2B…負極合剤層、3…固体電解質層、10…固体電解質電池。
Claims (19)
- 下記式(1)で表される化合物からなる多結晶である、固体電解質。
Li3+a−eE1−bGbDcXd−e・・・(1)
(式(1)中において、EはSc、ランタノイド、Ruからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。Gは、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Si、Al、Ti、Cu、Y、Zr、Nb、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Au、Biからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。DはO、Sのうち一方または両方の元素である。XはF、Cl、Br、Iからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。n=(Eの価数)−(Gの価数)としたときa=nbであり、Gを含まない場合a=0である。0≦b<0.5、0≦c≦3、0<d≦6.1、e<d、≦e≦2、e<3+aである。) - CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=29.7°±2°、2θ=34.4°±2°、2θ=49.6°±2°から選ばれる少なくとも1つの位置に回折ピークを有する請求項1に記載の固体電解質。
- CuKα線を用いたX線回折測定において、2θ=29.7°±2°、2θ=34.4°±2°、2θ=49.6°±2°から選ばれる回折ピーク強度が最も大きい位置おける回折ピークの半価幅から求めた結晶子サイズが5nm〜500nmである請求項1または請求項2に記載の固体電解質。
- 前記式(1)で表される化合物において、Gが1価の元素である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の固体電解質。
- 前記式(1)で表される化合物において、Gが2価の元素である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の固体電解質。
- 前記式(1)で表される化合物において、Gが3価の元素である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の固体電解質。
- 前記式(1)で表される化合物において、Gが4価の元素である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の固体電解質。
- 前記式(1)で表される化合物において、Gが5価の元素である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の固体電解質。
- 前記式(1)で表される化合物において、Gが6価の元素である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の固体電解質。
- 前記式(1)で表される化合物において、XがFである、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の固体電解質。
- 前記式(1)で表される化合物において、XがClである、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の固体電解質。
- 前記式(1)で表される化合物において、XがBrである、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の固体電解質。
- 前記式(1)で表される化合物において、XがIである、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の固体電解質。
- 前記化合物がLi3ScCl6である、請求項1または請求項2に記載の固体電解質。
- 前記化合物がLiScCl4である、請求項3に記載の固体電解質。
- Li2Oと、
LiX(XはF、Cl、Br、Iからなる群から選択される少なくとも1種以上である。)と、
Sc2O3と、
ScX3(XはF、Cl、Br、Iからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。)と、
GOn(Gは、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Si、Al、Ti、Cu、Y、Zr、Nb、Ag、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Au、Biからなる群から選択される少なくとも1種の元素である。Gの価数をmとしたときn=m/2である。)とからなる群から選択される少なくとも一つの化合物を、0.1〜1.0質量%含む、請求項1〜請求項15のいずれか一項に記載の固体電解質。 - 請求項1〜請求項16のいずれか一項に記載の固体電解質を含む固体電解質層。
- 固体電解質層と、正極と、負極と、を備え前記固体電解質層と前記正極と前記負極から選択される少なくとも1つが請求項1〜請求項16のいずれか一項に記載の固体電解質を含む固体電解質電池。
- 固体電解質層と正極と負極とを備え、前記固体電解質層が請求項1〜請求項16のいずれか一項に記載の固体電解質を含む固体電解質電池。
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WO2022180980A1 (ja) * | 2021-02-26 | 2022-09-01 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 固体電解質材料およびそれを用いた電池 |
CN115863750A (zh) * | 2023-02-27 | 2023-03-28 | 清陶(昆山)能源发展股份有限公司 | 一种固态锂离子电池 |
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- 2020-03-30 JP JP2020060656A patent/JP2021163522A/ja active Pending
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