JP7008239B2 - 絶縁回路基板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、パワー素子やLED素子、熱電素子等の素子が搭載される絶縁回路基板及びその製造方法に関する。
金属部材とセラミックス部材とを接合してなる絶縁回路基板として、例えばAlN(窒化アルミニウム)、Al(アルミナ)、Si(窒化ケイ素)等のセラミックス基板と、このセラミックス基板の一方の面に接合されたアルミニウム(Al)や銅(Cu)等の導電性に優れた金属からなる回路層と、を備えた構成のものが知られている。なお、この種の絶縁回路基板には、例えばパワー素子が搭載されるパワーモジュール用基板のように、セラミックス基板の他方の面に熱伝導性に優れた金属からなる金属層を形成することや、金属層を介して放熱層(ヒートシンク)を接合することも行われる。
例えば、特許文献1には、セラミック基板(セラミックス基板)の表面に銅回路が形成され、又はその銅回路と共にセラミック基板の裏面に放熱銅板が形成された回路基板(絶縁回路基板)が開示されている。
このように構成される絶縁回路基板の回路層の表面(上面)に、パワー素子やLED素子、熱電素子等の素子がはんだ付け(実装)されることにより、各種のモジュールが製造される。また、素子が実装されたモジュールは、絶縁性確保や配線保護等の観点から、ポッティング樹脂やモールディング樹脂で封止することも行われる。
特許第3211856号公報
ところで、各種のモジュールにおける回路層と素子との接合界面や、回路層とセラミックス基板との接合界面等の検査は、超音波探査映像装置(SAT:Scanning Acoustic Tomograph)を用いて、素子や絶縁回路基板の各層等を介して行われることが知られている。
ところが、セラミックス基板に銅等の金属を接合して回路層を形成する場合、例えば、セラミックス基板に回路層となる銅(Cu)板を接合する場合、通常、Ag‐Cu‐Ti系等の活性金属ろう材を用いて800℃以上の温度で加熱することが必要となる。このような温度域で加熱した場合、銅の結晶粒が加熱前よりも粗大化する。このため、絶縁回路基板(回路層)を介して回路層と素子との接合界面(はんだ接合部)を超音波探査映像装置により検査する際に、回路層での超音波の反射が大きくなり、検査精度を低下させることが問題となっている。
一方、この対策として、高熱を加えても結晶粒が粗大化しにくい材料を回路層に用いることが考えられるが、この場合には回路層の硬度が増加することで、回路層とセラミックス基板との接合界面における応力差が増加し、絶縁回路基板に反りが生じやすくなる。また、電気伝達性能や放熱性能の観点では、回路層の厚みを比較的大きく(厚く)することが望ましいが、回路層の厚みを大きくすると絶縁回路基板に生じる反りが大きくなり、セラミックス基板が割れるおそれがある。このため、回路層とセラミックス基板との接合信頼性を低下させることが問題となる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、モジュールを構成する各部品の接合界面の検査精度を良好に確保するとともに、回路層とセラミックス基板との接合信頼性を良好に確保できる絶縁回路基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の絶縁回路基板は、セラミックス基板と、該セラミックス基板の一方の面に形成された銅又はアルミニウムからなる回路層と、を備え、前記回路層が、前記セラミックス基板の一方の面に接合された第1回路層と、該第1回路層の表面に接合された第2回路層と、を有する積層構造とされ、前記第1回路層の厚みが該第1回路層の厚みと前記第2回路層の厚みとを合計した値の20%以下とされ、前記回路層が銅のとき、前記第1回路層の平均結晶粒径が250μm以上、前記第2回路層の平均結晶粒径が250μm未満とされ、前記回路層がアルミニウムのとき、前記第1回路層の平均結晶粒径が375μm以上、前記第2回路層の平均結晶粒径が375μm未満とされ、前記回路層は、前記第1回路層と、前記第2回路層と、前記第2回路層の表面に接合された第3回路層と、を有する三層構造とされ、前記第3回路層の厚みが前記第1回路層の厚みと同等とされ、前記第3回路層が前記第1回路層と同等の平均結晶粒径とされる。
この絶縁回路基板では、回路層を第1回路層と第2回路層とを有する積層構造とし、セラミックス基板と接合される第1回路層の平均結晶粒径を銅の場合は250μm以上、アルミニウムの場合は375μm以上として比較的大きく設けることで、第1回路層の硬度を低く設けている。これにより、絶縁回路基板の加熱時等にセラミックス基板にかかる熱応力を低減でき、セラミックス基板が割れることを防止できる。したがって、素子の実装工程時や使用環境において、回路層とセラミックス基板との接合信頼性を良好に確保できる。
また、回路層では、第1回路層の厚みを第1回路層及び第2回路層の厚みを合計した値の20%以下とし、第1回路層が回路層に占める割合を小さく、すなわち回路層に対して第1回路層の厚みを薄く形成している。前述したように、第1回路層の平均結晶粒径は比較的大きく設けられるが、回路層に占める割合を小さくしている。このため、超音波探査映像装置により絶縁回路基板を介して素子と回路層(第2回路層)との接合界面等を検査する際に、第1回路層における超音波の反射の割合を大きく低減でき、検査精度を良好に確保できる。
このように、第1回路層の厚みと、第1回路層及び第2回路層の平均結晶粒径とを上記範囲内に調整することにより、超音波探査映像装置による検査精度と、回路層(第1回路層)とセラミックス基板との接合信頼性との双方を、良好に確保できる。また、回路層全体としては、第1回路層と第2回路層とを組み合わせることで、十分な厚みを確保できる。したがって、回路層として要求される機能である電気伝達性能や放熱性能を良好に確保できる。
素子が搭載(実装)される回路層の表面を第3回路層により形成し、この第3回路層の平均結晶粒径を第1回路層と同等の大きな平均結晶粒径に設けているので、回路層の表面の表面粗度(表面粗さ)も比較的大きくできる。回路層(第3回路層)上に素子を実装したモジュールを樹脂封止すると、モールド樹脂の特に回路層の周縁(第3回路層の周縁)に形成された角部に応力が集中しやすいが、本発明の絶縁回路基板では、第3回路層の平均結晶粒径を大きく設け、その表面の表面粗度を大きく設けているので、モールド樹脂を第3回路層の周縁に強固に固定でき、モールド樹脂と回路層との密着性を向上できる。
また、第3回路層の厚みを第1回路層の厚みと同等にし、第3回路層の厚みを薄く形成している。このため、超音波探査映像装置によりモジュールの各部品の接合界面を検査する際の第3回路層における超音波の反射の割合を大きく低減できる。したがって、回路層全体における超音波の反射を大きく低減でき、検査精度を良好に確保できる。
本発明の絶縁回路基板の好適な実施態様として、前記セラミックス基板の他方の面に、前記回路層と同じ金属からなる金属層を備え、前記金属層は、前記セラミックス基板の他方の面に接合された第1金属層と、該第1金属層の表面に接合された第2金属層と、を有する積層構造とされ、前記第1金属層の厚みが該前記第1金属層の厚みと前記第2金属層の厚みとを合計した値の20%以下とされ、前記第1金属層が前記第1回路層と同等の平均結晶粒径に設けられ、前記第2金属層が前記第2回路層と同等の平均結晶粒径に設けられているとよい。
金属層を第1金属層と第2金属層とを有する積層構造とし、第1金属層を第1回路層と同等の大きな平均結晶粒径に設けておくことで、セラミックス基板と接合される第1金属層の硬度を低く設けることができる。このため、絶縁回路基板の加熱時等にセラミックス基板にかかる熱応力を低減でき、セラミックス基板が割れることを防止できる。したがって、素子の実装工程時や使用環境において、絶縁回路基板の回路層とセラミックス基板との接合信頼性だけでなく、金属層とセラミックス基板との接合信頼性も良好に確保できる。
また、金属層においても、第1金属層の厚みを第1金属層及び第2金属層の厚みを合計した値の20%以下とし、第1金属層が金属層に占める割合を小さく、すなわち金属層に対して第1金属層の厚みを薄く形成している。このため、超音波探傷映像装置により絶縁回路基板を介して素子と回路層(第2回路層)との接合界面を検査する際に、第1金属層における超音波の反射の割合を大きく低減できる。したがって、回路層に加えて金属層でも超音波の反射を低減でき、超音波探査映像装置による検査精度を良好に確保できる。
本発明の絶縁回路基板の好適な実施態様として、前記金属層は、前記第1金属層と、前記第2金属層と、前記第2金属層の表面に接合された第3金属層と、を有する三層構造とされ、前記第3金属層の厚みが前記第1金属層の厚みと同等とされ、前記第3金属層が前記第1金属層と同等の平均結晶粒径とされているとよい。
金属層の表面を第3金属層により形成し、この第3金属層の平均結晶粒径を第1金属層と同等の大きな平均結晶粒径に設けておくことで、第3金属層の表面の表面粗度を大きく設けることができる。このように、金属層の表面の表面粗度を大きくしておくことで、金属層に放熱層(ヒートシンク)を重ねてはんだ等により接合する際に、金属層とはんだとの濡れ性が向上する。このため、金属層と放熱層との密着性及び接合信頼性を高めることができ、金属層から放熱層への放熱を円滑に行うことができる。また、金属層と放熱層とを熱伝導性グリスを挟んで積層する場合にも、金属層の表面の表面粗度を大きくしておくことで、金属層と放熱層との間に熱伝導性グリスを留めておくことができ、熱伝導性グリスが外部に抜けることを抑制できる。したがって、金属層と放熱層との密着性を良好に確保できるので、金属層と放熱層との間の熱抵抗を低減でき、放熱性能を良好に確保できる。
また、第3金属層の厚みを第1金属層の厚みと同等にし、第3金属層の厚みを薄く形成している。このため、超音波探査映像装置によりモジュールの各部品の接合界面を検査する際の第3金属層における超音波の反射の割合を大きく低減できる。したがって、金属層全体における超音波の反射を大きく低減でき、検査精度を良好に確保できる。
本発明の絶縁回路基板の製造方法は、セラミックス基板の一方の面に接合された第1回路層と該第1回路層の表面に接合された第2回路層とを有する回路層を形成する回路層形成工程を有しており、前記回路層のうち、前記第1回路層となる第1金属材として、前記回路層と前記セラミックス基板との接合温度における加熱後の平均結晶粒径が前記回路層が銅であれば250μm以上、前記回路層がアルミニウムであれば375μm以上となる金属材を用意し、前記第2回路層となる第2金属材として、前記接合温度における加熱後の平均結晶粒径が前記回路層が銅であれば250μm未満、前記回路層がアルミニウムであれば375μm未満となる金属材を用意し、前記第1金属材の厚みを該第1金属材の厚みと前記第2金属材の厚みとを合計した値の20%以下に設けて、前記第1金属材と前記第2金属材とが圧着されたクラッド材を形成しておき、前記回路層形成工程において、前記セラミックス基板の一方の面にろう接合材を介して前記クラッド材の前記第1金属材を重ねて配置した状態で、前記セラミックス基板と前記クラッド材との積層方向に加圧して前記接合温度で加熱することにより、前記クラッド材の前記第1金属材と前記セラミックス基板とを接合して、前記セラミックス基板の一方の面に前記第1回路層と前記第2回路層とを有する前記回路層を形成する。
予め第1金属材と第2金属材とが圧着されたクラッド材を形成しておくことで、回路層形成工程における接合温度での1回の加熱により、クラッド材とセラミックス基板とを接合して、第1回路層と第2回路層とを備える回路層を容易に形成できる。したがって、絶縁回路基板の製造工程を簡略化できる。
本発明によれば、モジュールを構成する各部品の接合界面の検査精度を良好に確保するとともに、回路層とセラミックス基板との接合信頼性を良好に確保できる。
本発明の第1実施形態の絶縁回路基板を用いたパワーモジュールを模式的に表した縦断面図である。 図1に示す絶縁回路基板の縦断面図である。 図2に示す絶縁回路基板の製造方法を工程順に示す縦断面図である。 本発明の第2実施形態の絶縁回路基板を模式的に表した縦断面図である。 本発明の第3実施形態の絶縁回路基板を模式的に表した縦断面図である。 本発明の第4実施形態の絶縁回路基板を模式的に表した縦断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の絶縁回路基板の製造方法により製造される絶縁回路基板(パワーモジュール用基板)10を用いたパワーモジュール101を示している。このパワーモジュール101は、絶縁回路基板10と、絶縁回路基板10の表面に搭載された素子91とを備え、素子91と絶縁回路基板10とがエポキシ樹脂等からなるモールド樹脂81により樹脂封止されたものである。なお、図1の符号92は、素子91を固着するはんだ材等の接合層を示している。このパワーモジュール101は、パワーモジュール101の露出面(絶縁回路基板10の露出面)を放熱層(ヒートシンク)71等の表面に熱伝導性グリスを介して押し付ける、又は、はんだ材や接着材等を介して接着して固定された状態で使用される。
絶縁回路基板10は、図2に示すように、セラミックス基板11と、セラミックス基板11の一方の面に形成された回路層12と、セラミックス基板11の他方の面に形成された金属層13と、を備えている。セラミックス基板11は、AlN(窒化アルミニウム)、Al(アルミナ)、Si(窒化ケイ素)等のセラミックス材料により形成される。
回路層12は、銅(純銅又は銅合金)又はアルミニウム(純アルミニウム又はアルミニウム合金)により形成され、これらの金属からなる金属板をセラミックス基板11の一方の面にAg‐Cu‐Ti系もしくはAl‐Si系等のろう接合材により接合することで形成される。また、回路層12は、図1及び図2に示すように、セラミックス基板11の一方の面に接合された第1回路層121と、その第1回路層121の表面に接合された第2回路層122と、を有する積層構造とされ、回路層12の表面に配置される第2回路層122の表面に素子91が搭載されるようになっている。
第1回路層121の厚みt11は、この第1回路層121の厚みt11と第2回路層122の厚みt12とを合計した値(t11+t12)の20%以下とされる。また、回路層12が銅(Cu)のとき、第1回路層121の平均結晶粒径が250μm以上とされ、第2回路層122の平均結晶粒径が250μm未満とされる。一方、回路層12がアルミニウム(Al)のとき、第1回路層121の平均結晶粒径が375μm以上とされ、第2回路層122の平均結晶粒径が375μm未満とされる。いずれの場合も、第1回路層121の平均結晶粒径は、第1回路層121の平均結晶粒径よりも大きく設けられる。
金属層13は、回路層12と同じ金属からなり、回路層12と同様に、金属板をセラミックス基板11の他方の面にろう接合材により接合することで形成される。また、図1及び図2に示すように、金属層13は、セラミックス基板11の他方の面に接合された第1金属層131と、その第1金属層131の表面に接合された第2金属層132と、を有する積層構造とされる。第1金属層131の厚みt21は、この第1金属層131の厚みt21と第2金属層132の厚みt22とを合計した値(t21+t22)の20%以下とされる。また、第1金属層131が第1回路層121と同様の平均結晶粒径に設けられ、第2金属層132が第2回路層122と同様の平均結晶粒径に設けられる。
第1回路層121の平均結晶粒径と第1金属層131の平均結晶粒径とが同等とは、第1金属層131の平均結晶粒径が基準となる第1回路層121の平均結晶粒径と厳密に一致する場合だけでなく、±20%の差がある場合も含むものとする。同様に、第2回路層122の平均結晶粒径と第2金属層132の平均結晶粒径とが同等とは、第2金属層132の平均結晶粒径が基準となる第2回路層122の平均結晶粒径と厳密に一致する場合だけでなく、±20%の差がある場合も含むものとする。なお、第1金属層131の平均結晶粒径は、第1回路層121と同様に、回路層12が銅(Cu)のとき250μm以上であり、回路層12がアルミニウム(Al)のとき375μm以上とされる。また、第2金属層132の平均結晶粒径は、第2回路層122と同様に、回路層12が銅のとき250μm未満であり、回路層12がアルミニウムのとき375μm未満とされる。
なお、図1等では、金属層13が回路層12と同じ平面積で形成されるが、金属層13を回路層12と異なる平面積として形成してもよい。
第1回路層121及び第2回路層122、第1金属層131及び第2金属層132の各平均結晶粒径は、例えば、光学顕微鏡を用いて測定される。本実施形態では、回路層12の第1回路層121と第2回路層122の平均結晶粒径は、回路層12を厚み方向に研磨し、第2回路層122、第1回路層121の平面を順に露出させ、各層122,121の平面における結晶粒を光学顕微鏡を用いて測定した。また、同様に、金属層13の第1金属層131と第2金属層132の平均結晶粒径は、金属層13を厚み方向に研磨し、第2金属層132、第1金属層131の平面を順に露出させ、各層132,131の平面におおける結晶粒を光学顕微鏡を用いて測定した。そして、光学顕微鏡により観察される既知の面積(例えば5000mm)の測定範囲内に完全に含まれる結晶粒の数と、測定範囲の周辺で切断されている結晶粒の数の半分の数と、を足した数を全結晶粒数とし、測定範囲の面積を全結晶粒数で割った面積から、円相当径(金属粒子の単位面積と同じ面積を持つ円の直径)を算出し、この円相当径を各平均結晶粒径とした。
このように構成される絶縁回路基板10の諸寸法について、一例を挙げると、Si(窒化ケイ素)からなるセラミックス基板11の厚み(板厚)が0.1mm~1.5mm、Cu(銅)からなる回路層12の厚み及び金属層13の厚みが0.8mm~3.0mmとされる。また、第1回路層121の厚みt11及び第1金属層131の厚みt21が0.01mm~0.6mm、第2回路層122の厚みt12及び第2金属層132の厚みt22が0.79mm~2.4mmとされる。ただし、これらの寸法は、上記数値範囲に限られるものではない。
素子91は、半導体を備えた電子部品であり、必要とされる機能に応じて、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、FWD(Free Wheeling Diode)等の種々の半導体素子が選択される。この場合、素子91は、図示を省略するが、上部に上部電極部が設けられ、下部に下部電極部が設けられており、下部電極部が回路層12(第2回路層122)の上面にはんだ付け等により接合されることで、素子91が回路層12の上面に搭載されている。また、素子91の上部電極部は、リードフレーム(図示略)等を介して回路層12の回路電極部等に接続される。
また、パワーモジュール101は、素子91と絶縁回路基板10とが、金属層13の裏面側を除いてモールド樹脂81により樹脂封止されることにより一体化されている。モールド樹脂81としては、例えばSiOフィラー入りのエポキシ系樹脂等を用いることができ、例えばトランスファーモールドにより成形される。
次に、絶縁回路基板10を製造する方法について、図3を用いて工程順に説明する。
図1及び図2に示すように、セラミックス基板11の両面にそれぞれ回路層12と金属層13とを備える絶縁回路基板10については、回路層12を形成する回路層形成工程と、金属層13を形成する金属層形成工程とを、同時に行うことができる。回路層形成工程では、セラミックス基板11の一方の面に回路層12となる金属板(クラッド材)を接合して、セラミックス基板11の一方の面に接合された第1回路層121とその第1回路層121の表面に接合された第2回路層122とを有する回路層12を形成する。また、金属層形成工程では、セラミックス基板11の他方の面に金属層13となる金属板(クラッド材)を接合して、セラミックス基板11の他方の面に接合された第1金属層131とその第1金属層131の表面に接合された第2金属層132とを有する金属層13を形成する。
回路層12となる金属板として、図3(a)に示すように、第1回路層121となる第1金属材221aと、第2回路層122となる第2金属材222aとが圧着されたクラッド材251を形成しておく。また、クラッド材251の第1金属材221aの厚みを、その第1金属材221aの厚みと第2金属材222aの厚みとを合計した値の20%以下に設けておく。なお、第1回路層121の厚みt11と第1金属材221aの厚みとは、ほぼ同じ厚さとなることから、図3(a)では、第1回路層121となる第1金属材221aの厚みを、第1回路層121の厚みt11と同じ符号t11で示している。また、第2回路層122の厚みt12と第2金属材222aの厚みとは、ほぼ同じ厚さとなることから、図3(a)では、第2回路層122となる第2金属材222aの厚みを、第2回路層122の厚みt12と同じ符号で示している。また、クラッド材251は、例えば、第1金属材221aの母材と第2金属材222aの母材とを重ねてロール等で圧延することにより形成できる。なお、クラッド材251は、プレス加工により板材を打ち抜くことで所望の外形に形成される。
第1金属材221aには、回路層12とセラミックス基板11との接合温度における加熱後の平均結晶粒径が、回路層12が銅(Cu)であれば250μm以上、回路層12がアルミニウム(Al)であれば375μm以上となる金属材を用いる。例えば、回路層12が銅のとき、第1金属材221aには、一般的な圧延板の無酸素銅(OFC)を用いることができる。この場合、第1金属材221aは、銅からなる回路層12とセラミックス基板11との接合温度(800℃)で加熱した際に結晶粒が粗大化し、平均結晶粒径が250μm以上となる。
一方、第2金属材222aには、回路層12とセラミックス基板11との接合温度における加熱後の平均結晶粒径が、回路層12が銅であれば250μm未満、回路層12がアルミニウム(Al)であれば375μm未満となる金属材を用いる。例えば、回路層12が銅のとき、第2金属材222aには、接合温度(800℃)で加熱した際に、結晶粒の粗大化が抑制され、平均結晶粒径が250μm未満とされる結晶粒抑制材を好適に用いることができる。具体的には、第2金属材222aには、結晶粒抑制材として、古河電工株式会社製のGOFCを用いることができる。
また、本実施形態では、金属層13となる金属板は、回路層12となる金属材221a,222aと同様の構成により形成される。つまり、金属層13となる金属板として、第1金属材221aと同じ構成の第1金属材221bと、第2金属材222aと同じ構成の第2金属材222bとが圧着されたクラッド材252を用いる。また、クラッド材252は、第1金属材221bの厚みを、その第1金属材221bの厚みと第2金属材222bの厚みとを合計した値の20%以下に設ける。なお、第1金属層131の厚みt21と第1金属材221bの厚みとは、ほぼ同じ厚さとなることから、図3(a)では、第1金属層131となる第1金属材221bの厚みを、第1金属層131の厚みt21と同じ符号t21で示している。また、第2金属層132の厚みt22と第2金属材222bの厚みとは、ほぼ同じ厚さとなることから、図3(a)では、第2金属層132となる第2金属材222bの厚みを、第2金属層132の厚みt32と同じ符号で示している。
また、これらのクラッド材251,252及びセラミックス基板11を接合するろう接合材224としては、例えばAg‐Cu‐Ti系ろう材を用いることができる。この場合、ろう接合材224は、予めクラッド材251の接合面及びクラッド材252の接合面に塗布しておくことで、容易に取り扱うことができる。図3(b)では、第1金属材221aの下面及び第1金属材221bの上面に予めろう接合材224を塗布している。
図3(c)に示すように、回路層12を形成するクラッド材251をろう接合材224を介してセラミックス基板11の一方の面に重ねて配置する。また、同様に、セラミックス基板11の他方の面に、金属層13を形成するクラッド材252を、同じろう接合材224を介して重ねて配置する。この状態で、図3(c)に白抜き矢印で示すように、セラミックス基板11とクラッド材251,252との積層方向に加圧して接合温度(800℃)で加熱する。
これにより、回路層12となるクラッド材251の第1金属材221aとセラミックス基板11とを接合する。この際、クラッド材251は、加熱されることにより第1金属材221aの金属と第2金属材222aの金属とが原子間接合され、強固に接合される。これにより、セラミックス基板11の一方の面に第1回路層121と第2回路層122とを有する回路層12が形成される。また、同時に、金属層13となるクラッド材252の第1金属材221bとセラミックス基板11とを接合するとともに、第1金属材221bと第2金属材222bとを強固に接合し、セラミックス基板11の他方の面に第1金属層131と第2金属層132とを有する金属層13を形成する。これにより、図3(d)に示すように、金属層13とセラミックス基板11と回路層12とが順に積層された絶縁回路基板10が製造される。
第2金属材222a,222bとして、接合温度での加熱による結晶粒の粗大化が抑制された結晶粒抑制材を用いることで、平均結晶粒径が異なる第1回路層121と第2回路層122とを備える回路層12及び第1金属層131と第2金属層132とを備える金属層13を形成できる。また、予め第1金属材221a,221bと第2金属材222a,222bとが圧着されたクラッド材251,252を形成しておくことで、回路層形成工程及び金属層形成工程における接合温度での1回の加熱により、クラッド材251,252とセラミックス基板11とを接合して、第1回路層121と第2回路層122とを備える回路層12及び第1金属層131と第2金属層132とを備える金属層13を容易に形成できる。したがって、絶縁回路基板10の製造工程を簡略化できる。
このようにして製造された絶縁回路基板10に、図1に示すように、素子91を搭載する。素子91は、回路層12の第2回路層122の上面に、例えば銀焼結やはんだ接合材からなる接合層92を介して接合する。また、図示は省略するが、素子91に必要な配線等を接続し、回路層12と素子91とを電気的に接続してパワーモジュール101を製造する。その後、金属層13の下面を除いたパワーモジュール101の全体をモールド樹脂81により封止する。
このように構成されるパワーモジュール101の絶縁回路基板10では、セラミックス基板11と接合される第1回路層121は、第2回路層122と比較して平均結晶粒径が比較的大きく設けられることから、硬度が低く設けられる。このため、絶縁回路基板10の加熱時等にセラミックス基板11にかかる熱応力を低減でき、セラミックス基板11が割れることを防止できる。したがって、素子91の実装工程時やパワーモジュール101の使用環境において、回路層12とセラミックス基板11との接合信頼性を良好に確保できる。
また、第2回路層122が銅のときに平均結晶粒径を250μm未満、第2回路層122がアルミニウムのときに平均結晶粒径を375μm未満とすることで、超音波探査映像装置(SAT)における超音波の反射を大きく低減できる。前述したように、第1回路層121は、銅のとき平均結晶粒径が250μm以上、アルミニウムのときに平均結晶粒径が375μm以上とされ、超音波探査映像装置における超音波を反射しやすくなっている。しかし、絶縁回路基板10では、前述したように、第1回路層121の厚みt11を、第1回路層121の厚みt11及び第2回路層122の厚みt12を合計した値(t11+t12)の20%以下とし、第1回路層121が回路層12に占める割合を小さく、すなわち回路層12に対して第1回路層121の厚みt11を十分に薄く形成している。このように、第1回路層121の平均結晶粒径は比較的大きく設けられるが、回路層12に占める割合を小さくしているので、超音波探査映像装置における超音波の反射の割合を大きく低減できる。
したがって、絶縁回路基板10では、第1回路層121の厚みt11と、第1回路層121及び第2回路層122の平均結晶粒径とを調整することにより、超音波探査映像装置による検査精度と、回路層12(第1回路層121)とセラミックス基板11との接合信頼性との双方を、良好に確保できる。また、回路層12全体としては、第1回路層121と第2回路層122とを組み合わせることで、十分な厚みを確保できる。したがって、回路層12として要求される機能である電気伝達性能や放熱性能を良好に確保できる。
また、絶縁回路基板10においては、金属層13を第1金属層131と第2金属層132との積層構造とし、第1金属層131を第1回路層121と同等の平均結晶粒径に設けているので、セラミックス基板11と接合される第1金属層131の硬度も低く設けることができる。このため、絶縁回路基板10の加熱時等にセラミックス基板11にかかる熱応力を低減でき、セラミックス基板11が割れることを防止できる。したがって、素子91の実装工程時や使用環境において、絶縁回路基板10の回路層12とセラミックス基板11との接合信頼性だけでなく、金属層13とセラミックス基板11との接合信頼性を良好に確保できる。
また、金属層13においても、第1金属層131の厚みt21を第1金属層131及び第2金属層132の厚みt21を合計した値の20%以下とし、第1金属層131が金属層13に占める割合を小さく、すなわち金属層13に対して第1金属層131の厚みt21を薄く形成している。このため、超音波探傷映像装置により絶縁回路基板10を介して素子91と回路層12(第2回路層122)との接合界面を検査する際に、第1金属層131における超音波の反射の割合を大きく低減できる。したがって、回路層12に加えて金属層13でも超音波の反射を低減でき、超音波探査映像装置による検査精度を良好に確保できる。
[その他の実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態の絶縁回路基板20を示している。前述した第1実施形態においては、絶縁回路基板10がセラミックス基板11の他方の面に形成された金属層13を備える構成とされていたが、図4に示す第2実施形態の絶縁回路基板20のように、セラミックス基板11の他方の面に金属層13を設けることなく、一方の面に形成された回路層12のみを備える構成も、本発明に含まれる。なお、第2実施形態において、第1実施形態と共通要素には同一符号を付して説明を省略する。
図5は、本発明の第3実施形態の絶縁回路基板30及びパワーモジュール103を示している。第3実施形態において、第1実施形態及び第2実施形態と共通要素には同一符号を付して説明を省略する。
前述した第1実施形態では、図2に示すように回路層12が第1回路層121と第2回路層122とを備える二層構造とされていたが、図5に示す絶縁回路基板30のように、回路層32を、第1回路層121と、第2回路層122と、その第2回路層122の表面に接合された第3回路層123と、を有する三層構造としてもよい。第3回路層123の厚みt13は、第1回路層121の厚みt11と同等とされ、第1回路層121の厚みt11と第2回路層122の厚みt12とを合計した値(t11+t12)の20%以下とされる。また、第3回路層123は、第1回路層121と同等の平均結晶粒径とされ、回路層32が銅のとき第3回路層123の平均結晶粒径は250μm以上とされ、回路層32がアルミニウムのとき第3回路層123の平均結晶粒径は375μm未満とされる。
なお、三層構造の回路層32を有する絶縁回路基板30は、二層構造の回路層12を有する第1実施形態の絶縁回路基板10と同様に、容易に製造できる。具体的には、図示は省略するが、回路層32の各層121,122,123となる3つの金属材を圧着した三層構成のクラッド材を用いることで、回路層形成工程における接合温度での1回の加熱によりクラッド材とセラミックス基板11とを接合して、第1回路層121と第2回路層122と第3回路層123とを備える回路層32を容易に形成できる。
第3実施形態の絶縁回路基板30では、素子91が搭載される回路層32の表面を第3回路層123により形成し、この第3回路層123の平均結晶粒径を第1回路層121と同等の大きな平均結晶粒径に設けているので、回路層32の表面の表面粗度を比較的大きくできる。図5に示すように、回路層32(第3回路層123)上に素子91を実装したパワーモジュール103を樹脂封止すると、モールド樹脂81の特に回路層32の周縁(第3回路層123の周縁)に形成された角部に応力が集中しやすい。しかし、第3実施形態の絶縁回路基板30では、第3回路層123の平均結晶粒径を大きく設け、その表面の表面粗度を大きく設けているので、モールド樹脂81を第3回路層123の周縁に強固に固定できる。したがって、モールド樹脂81と回路層32との密着性を向上できる。
また、第3回路層123の厚みt13を第1回路層121の厚みt11と同等にし、第3回路層123の厚みt13を薄く形成している。このため、超音波探査映像装置によりパワーモジュール103の各部品の接合界面を検査する際の第3回路層123における超音波の反射の割合を大きく低減できる。したがって、回路層32全体における超音波の反射を大きく低減でき、検査精度を良好に確保できる。
図6は、本発明の第4実施形態の絶縁回路基板40及びパワーモジュール104を示している。なお、第4実施形態において、第1~第3実施形態と共通要素には同一符号を付して説明を省略する。前述した第1実施形態等では、金属層13が第1金属層131と第2金属層132とを備える二層構造とされていたが、図6に示す絶縁回路基板40のように、金属層34を、第1金属層131と、第2金属層132と、その第2金属層132の表面に接合された第3回路層133と、を有する三層構造としてもよい。第3金属層133の厚みt23は、第1金属層131の厚みt21と同等とされ、第1金属層131の厚みt21と第2金属層132の厚みt22とを合計した値(t21+t22)の20%以下とされる。また、第3金属層133は、第1金属層131と同等の平均結晶粒径とされ、回路層32及び金属層34が銅のとき第3金属層133の平均結晶粒径は250μm以上とされ、回路層32及び金属層34がアルミニウムのとき第3金属層133の平均結晶粒径は375μm以上とされる。
第4実施形態の絶縁回路基板40のように、金属層34の表面を第3金属層133により形成し、この第3金属層133の平均結晶粒径を第1金属層131と同等の大きな平均結晶粒径に設けておくことで、第3金属層133の表面の表面粗度を大きく設けることができる。このように、金属層34の表面の表面粗度を大きくしておくことで、金属層34に放熱層(ヒートシンク)71を重ねてはんだ等により接合する際に、金属層34とはんだとの濡れ性が向上する。このため、金属層34と放熱層71との密着性及び接合信頼性を高めることができ、金属層34から放熱層71への放熱を円滑に行うことができる。また、金属層34と放熱層71とを熱伝導性グリスを挟んで積層する場合にも、金属層34の表面の表面粗度を大きくしておくことで、金属層34と放熱層71との間に熱伝導性グリスを留めておくことができ、熱伝導性グリスが外部に抜けることを抑制できる。したがって、金属層34と放熱層71との密着性を良好に確保できるので、金属層34と放熱層71との間の熱抵抗を低減でき、放熱性能を良好に確保できる。
また、第3金属層133の厚みt23を第1金属層131の厚みt21と同等にし、第3金属層133の厚みを薄く形成している。このため、超音波探査映像装置によりパワーモジュール104の各部品の接合界面を検査する際の第3金属層133における超音波の反射の割合を大きく低減できる。したがって、金属層34全体における超音波の反射を大きく低減でき、検査精度を良好に確保できる。
なお、本発明は上記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の樹脂を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、素子91の片面(下部電極部)を絶縁回路基板10の回路層12に搭載していたが、素子91の両面に絶縁回路基板10をそれぞれ配置する構成とすることにより、両面冷却構造とすることも可能である。
また、上記実施形態では、平均結晶粒径を領域毎に異ならせた回路層と金属層とを銅(純銅又は銅合金)により形成した一例について説明したが、アルミニウム(純アルミニウム又はアルミニウム合金)を用いても平均結晶粒径を領域毎に異ならせて回路層と金属層とを形成できる。
例えば、アルミニウムの鋳塊を所望の板厚まで圧延する圧延工程における1パス当たりの圧下率を調整することで、平均結晶粒径を制御できる。具体的には、1パス当たりの圧下率を大きくすると、平均結晶粒径を大きくできる。そして、このように平均結晶粒径が調整された圧延材を用いることで、第1回路層と第2回路層、さらにも第3回路層とで平均結晶粒径が異なる回路層を有する絶縁回路基板を容易に製造できる。
以下、本発明の効果を実施例を用いて詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
表1~表2に示すように、素子と絶縁回路基板とを接合したパワーモジュールの実施例1-1~1-3及び2-1~2-3と比較例1-1~1-3及び2-1~2-3とを作製した。絶縁回路基板には、セラミックス基板の一方の面に、表1及び表2に示す構成(厚み、平均結晶粒径)の回路層を形成したものを用いた。実施例1-1~1-3及び比較例1-1~1-3では、絶縁回路基板の回路層を銅で形成した。一方、実施例2-1~2-3及び比較例2-1~2-3では、絶縁回路基板の回路層をアルミニウムで形成した。
セラミックス基板には、Si(窒化ケイ素)からなる板厚が0.32mm、平面サイズが30mm×30mmの矩形板を用いた。回路層を形成するクラッド材には、回路層が銅の場合には厚み(板厚)3.0mm、回路層がアルミニウムの場合には厚み(板厚)3.0mmで、いずれも平面サイズが28mm×28mmの矩形板を用いた。また、第1金属材(第1回路層)部分の厚みt11と、第2金属材(第2回路層)部分の厚みt12とは、表1及び表2に示す厚みで形成した。表1及び表2に示す「t11の比率」は、第1回路層の厚みt11と第2回路層の厚みt12との合計の値(t11+t12)に対する第1回路層の厚みt11の比率{t11/(t11+t12)}×100[%]である。
また、回路層となる各クラッド板が銅の場合にはAg‐Cu‐Ti系ろう接合材を用い、アルミニウムの場合にはAl‐Si系ろう接合材を用いて、セラミックス基板とクラッド材とを接合して、絶縁回路基板を作製した。
得られた各絶縁回路基板の回路層(第2回路層)の表面に素子をはんだ材(Sn‐Cu系はんだ材)により接合し、パワーモジュールを製造した。そして、得られたパワーモジュールについて、回路層を介さない素子側と、回路層を介した絶縁回路基板側と、の双方からはんだ接合層を検査し、はんだ接合層中のボイド面積率を測定した。また、各絶縁回路基板について冷熱サイクル試験を実施し、冷熱サイクル試験後のセラミックス基板と回路層との接合率を測定した。
(はんだ接合層中のボイドの直径の測定方法)
得られたパワーモジュールに対し、超音波探査映像装置(SAT、日立エンジニアリング・アンド・サービス社製ES5000)を用いて、回路層と素子との接合界面(はんだ接合層)を観察した。回路層と素子との接合界面の観察は、回路層を介した絶縁回路基板側と、回路層を介さない素子側との双方から行い、超音波探査映像装置により観察されるボイドの直径を各方向から測定した。ボイドの直径は、観察されたボイドの面積から、同じ面積を持つ円の直径を算出し、この円相当径をボイドの直径とした。なお、1つの接合界面内に複数のボイドが有る場合には、各ボイドの直径の平均値(平均直径)を算出した。また、素子側から観察した際のボイドの平均直径D1と、絶縁回路基板側から観察した際のボイドの平均直径D2と、の比率(D1/D2)×100[%]を算出した。
得られた比率の値が小さいほど、素子側から観察した際のボイドの平均直径と、絶縁回路基板側から観察した際のボイドの平均直径と、の差が小さく、良好な検査精度が得られる。この場合、検査精度の評価は、比率の値が±10%未満(比率が90%を超え110%未満)であれば良好「○」とし、±10%以上(比率が90%以下又は110%以上)の場合を否「×」と評価した。結果を表3及び表4に示す。
(冷熱サイクル試験後のセラミックス基板と回路層との接合信頼性)
各絶縁回路基板をN=5個ずつ作製し、-40℃×5分と150℃×5分の液槽冷熱サイクルを1000サイクル実施した後に、各絶縁回路基板についてセラミックス基板と回路層との接合界面を観察し、セラミックス基板の割れの有無を判定した。冷熱サイクル試験は、エスペック社製の液槽冷熱衝撃装置TSB‐51を用いて行った。セラミックス基板と回路層との接合界面の観察は、超音波探査映像装置(日立エンジニアリング・アンド・サービス社製ES5000)を用いて、セラミックス基板を介してセラミックス基板側から行った。N=5個の絶縁回路基板について、セラミックス基板の割れが発生した個数Aの割合(A/N)×100[%]を算出した。得られた割合の値が小さいほど、セラミックス基板の割れの発生数が少なく、セラミックス基板と回路層との接合信頼性高い。この場合、セラミックス基板と回路層との接合信頼性の評価は、割合の値が10%未満であれば良好「○」とし、10%以上の場合を否「×」と評価した。結果を表3及び表4に示す。
Figure 0007008239000001
Figure 0007008239000002
Figure 0007008239000003
Figure 0007008239000004
表3及び表4の結果からわかるように、回路層が銅のときは、第1回路層の厚みt11の比率を20%以下とし、第1回路層の平均結晶粒径を250μm以上、第2回路層の平均結晶粒径を250μm未満とすることで、超音波探査映像装置による検査精度と、セラミックス基板と回路層との接合信頼性との双方を、良好に確保できる。また、回路層がアルミニウムのときは、第1回路層の厚みt11の比率を20%以下とし、第1回路層の平均結晶粒径を375μm以上、第2回路層の平均結晶粒径を375μm未満とすることで、超音波探査映像装置による検査精度と、セラミックス基板と回路層との接合信頼性との双方を、良好に確保できる。
10,20,30,40 絶縁回路基板
11 セラミックス基板
12,32 回路層
13,34 金属層
81 モールド樹脂
91 素子
92 接合層
101,103,104 パワーモジュール(モジュール)
121 第1回路層
122 第2回路層
123 第3回路層
131 第1金属層
132 第2金属層
133 第3金属層
221a,221b 第1金属材
222a,222b 第2金属材
224 ろう接合材
251,252 クラッド材

Claims (4)

  1. セラミックス基板と、該セラミックス基板の一方の面に形成された銅又はアルミニウムからなる回路層と、を備え、
    前記回路層が、前記セラミックス基板の一方の面に接合された第1回路層と、該第1回路層の表面に接合された第2回路層と、を有する積層構造とされ、
    前記第1回路層の厚みが該第1回路層の厚みと前記第2回路層の厚みとを合計した値の20%以下とされ、
    前記回路層が銅のとき、前記第1回路層の平均結晶粒径が250μm以上、前記第2回路層の平均結晶粒径が250μm未満とされ、
    前記回路層がアルミニウムのとき、前記第1回路層の平均結晶粒径が375μm以上、前記第2回路層の平均結晶粒径が375μm未満とされ
    前記回路層は、前記第1回路層と、前記第2回路層と、前記第2回路層の表面に接合された第3回路層と、を有する三層構造とされ、
    前記第3回路層の厚みが前記第1回路層の厚みと同等とされ、前記第3回路層が前記第1回路層と同等の平均結晶粒径とされていることを特徴とする絶縁回路基板。
  2. 前記セラミックス基板の他方の面に、前記回路層と同じ金属からなる金属層を備え、
    前記金属層は、前記セラミックス基板の他方の面に接合された第1金属層と、該第1金属層の表面に接合された第2金属層と、を有する積層構造とされ、
    前記第1金属層の厚みが該前記第1金属層の厚みと前記第2金属層の厚みとを合計した値の20%以下とされ、
    前記第1金属層が前記第1回路層と同等の平均結晶粒径に設けられ、前記第2金属層が前記第2回路層と同等の平均結晶粒径に設けられていることを特徴とする請求項に記載の絶縁回路基板。
  3. 前記金属層は、前記第1金属層と、前記第2金属層と、前記第2金属層の表面に接合された第3金属層と、を有する三層構造とされ、
    前記第3金属層の厚みが前記第1金属層の厚みと同等とされ、前記第3金属層が前記第1金属層と同等の平均結晶粒径とされていることを特徴とする請求項に記載の絶縁回路基板。
  4. セラミックス基板の一方の面に接合された第1回路層と該第1回路層の表面に接合された第2回路層とを有する回路層を形成する回路層形成工程を有しており、
    前記回路層のうち、前記第1回路層となる第1金属材として、前記回路層と前記セラミックス基板との接合温度における加熱後の平均結晶粒径が前記回路層が銅であれば250μm以上、前記回路層がアルミニウムであれば375μm以上となる金属材を用意し、
    前記第2回路層となる第2金属材として、前記接合温度における加熱後の平均結晶粒径が前記回路層が銅であれば250μm未満、前記回路層がアルミニウムであれば375μm未満となる金属材を用意し、
    前記第1金属材の厚みを該第1金属材の厚みと前記第2金属材の厚みとを合計した値の20%以下に設けて、前記第1金属材と前記第2金属材とが圧着されたクラッド材を形成しておき、
    前記回路層形成工程において、前記セラミックス基板の一方の面にろう接合材を介して前記クラッド材の前記第1金属材を重ねて配置した状態で、前記セラミックス基板と前記クラッド材との積層方向に加圧して前記接合温度で加熱することにより、前記クラッド材の前記第1金属材と前記セラミックス基板とを接合して、前記セラミックス基板の一方の
    面に前記第1回路層と前記第2回路層とを有する前記回路層を形成することを特徴とする絶縁回路基板の製造方法。
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