以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1に示すように、基板液処理システム1Aは、キャリア搬入出部2と、ロット形成部3と、ロット載置部4と、ロット搬送部5と、ロット処理部6と、制御部7とを備える。
このうちキャリア搬入出部2は、複数枚(たとえば、25枚)の基板(シリコンウエハ)8を水平姿勢で上下に並べて収容したキャリア9の搬入及び搬出を行う。
このキャリア搬入出部2には、複数個のキャリア9を載置するキャリアステージ10と、キャリア9の搬送を行うキャリア搬送機構11と、キャリア9を一時的に保管するキャリアストック12,13と、キャリア9を載置するキャリア載置台14とが設けられている。ここで、キャリアストック12は、製品となる基板8をロット処理部6で処理する前に一時的に保管する。また、キャリアストック13は、製品となる基板8をロット処理部6で処理した後に一時的に保管する。
そして、キャリア搬入出部2は、外部からキャリアステージ10に搬入されたキャリア9を、キャリア搬送機構11を用いてキャリアストック12やキャリア載置台14に搬送する。また、キャリア搬入出部2は、キャリア載置台14に載置されたキャリア9を、キャリア搬送機構11を用いてキャリアストック13やキャリアステージ10に搬送する。キャリアステージ10に搬送されたキャリア9は、外部へ搬出される。
ロット形成部3は、1又は複数のキャリア9に収容された基板8を組合せて同時に処理される複数枚(たとえば、50枚)の基板8からなるロットを形成する。なお、ロットを形成するときは、基板8の表面にパターンが形成されている面を互いに対向するようにロットを形成してもよく、また、基板8の表面にパターンが形成されている面がすべて一方を向くようにロットを形成してもよい。
このロット形成部3には、複数枚の基板8を搬送する基板搬送機構15が設けられている。なお、基板搬送機構15は、基板8の搬送途中で基板8の姿勢を水平姿勢から垂直姿勢及び垂直姿勢から水平姿勢に変更させることができる。
そして、ロット形成部3は、キャリア載置台14に載置されたキャリア9から基板搬送機構15を用いて基板8をロット載置部4に搬送し、ロットを形成する基板8をロット載置部4に載置する。また、ロット形成部3は、ロット載置部4に載置されたロットを基板搬送機構15でキャリア載置台14に載置されたキャリア9へ搬送する。なお、基板搬送機構15は、複数枚の基板8を支持するための基板支持部として、処理前(ロット搬送部5で搬送される前)の基板8を支持する処理前基板支持部と、処理後(ロット搬送部5で搬送された後)の基板8を支持する処理後基板支持部の2種類を有している。これにより、処理前の基板8等に付着したパーティクル等が処理後の基板8等に転着するのを防止する。
ロット載置部4は、ロット搬送部5によってロット形成部3とロット処理部6との間で搬送されるロットをロット載置台16で一時的に載置(待機)する。
このロット載置部4には、処理前(ロット搬送部5で搬送される前)のロットを載置する搬入側ロット載置台17と、処理後(ロット搬送部5で搬送された後)のロットを載置する搬出側ロット載置台18とが設けられている。搬入側ロット載置台17及び搬出側ロット載置台18には、1ロット分の複数枚の基板8が垂直姿勢で前後に並べて載置される。
そして、ロット載置部4では、ロット形成部3で形成したロットが搬入側ロット載置台17に載置され、そのロットがロット搬送部5を介してロット処理部6に搬入される。また、ロット載置部4では、ロット処理部6からロット搬送部5を介して搬出されたロットが搬出側ロット載置台18に載置され、そのロットがロット形成部3に搬送される。
ロット搬送部5は、ロット載置部4とロット処理部6との間やロット処理部6の内部間でロットの搬送を行う。
このロット搬送部5には、ロットの搬送を行うロット搬送機構19が設けられている。ロット搬送機構19は、ロット載置部4とロット処理部6に沿わせて配置したレール20と、複数枚の基板8を保持しながらレール20に沿って移動する移動体21とで構成する。移動体21には、垂直姿勢で前後に並んだ複数枚の基板8を保持する基板保持体22が進退自在に設けられている。
そして、ロット搬送部5は、搬入側ロット載置台17に載置されたロットをロット搬送機構19の基板保持体22で受取り、そのロットをロット処理部6に受け渡す。また、ロット搬送部5は、ロット処理部6で処理されたロットをロット搬送機構19の基板保持体22で受取り、そのロットを搬出側ロット載置台18に受け渡す。更に、ロット搬送部5は、ロット搬送機構19を用いてロット処理部6の内部においてロットの搬送を行う。
ロット処理部6は、垂直姿勢で前後に並んだ複数枚の基板8を1ロットとしてエッチングや洗浄や乾燥などの処理を行う。
このロット処理部6には、基板8の乾燥処理を行う乾燥処理装置23と、基板保持体22の洗浄処理を行う基板保持体洗浄処理装置24と、基板8の洗浄処理を行う洗浄処理装置25と、基板8のエッチング処理を行う2台の本発明によるエッチング処理装置26とが並べて設けられている。
乾燥処理装置23は、処理槽27と、処理槽27に昇降自在に設けられた基板昇降機構28とを備える。処理槽27には、乾燥用の処理ガス(IPA(イソプロピルアルコール)等)が供給される。基板昇降機構28には、1ロット分の複数枚の基板8が垂直姿勢で前後に並べて保持される。乾燥処理装置23は、ロット搬送機構19の基板保持体22からロットを基板昇降機構28で受取り、基板昇降機構28でそのロットを昇降させることで、処理槽27に供給した乾燥用の処理ガスで基板8の乾燥処理を行う。また、乾燥処理装置23は、基板昇降機構28からロット搬送機構19の基板保持体22にロットを受け渡す。
基板保持体洗浄処理装置24は、処理槽29を有し、この処理槽29に洗浄用の処理液及び乾燥ガスを供給できるようになっており、ロット搬送機構19の基板保持体22に洗浄用の処理液を供給した後、乾燥ガスを供給することで基板保持体22の洗浄処理を行う。
洗浄処理装置25は、洗浄用の処理槽30とリンス用の処理槽31とを有し、各処理槽30,31に基板昇降機構32,33を昇降自在に設けている。洗浄用の処理槽30には、洗浄用の処理液(SC-1等)が貯留される。リンス用の処理槽31には、リンス用の処理液(純水等)が貯留される。
エッチング処理装置26は、エッチング用の処理槽34とリンス用の処理槽35とを有し、各処理槽34,35に基板昇降機構36,37が昇降自在に設けられている。エッチング用の処理槽34には、エッチング用の処理液(燐酸水溶液)が貯留される。リンス用の処理槽35には、リンス用の処理液(純水等)が貯留される。
これら洗浄処理装置25とエッチング処理装置26は、同様の構成となっている。エッチング処理装置26について説明すると、基板昇降機構36には、1ロット分の複数枚の基板8が垂直姿勢で前後に並べて保持される。エッチング処理装置26において、ロット搬送機構19の基板保持体22からロットを基板昇降機構36で受取り、基板昇降機構36でそのロットを昇降させることでロットを処理槽34のエッチング用の処理液に浸漬させて基板8のエッチング処理を行う。その後、エッチング処理装置26は、基板昇降機構36からロット搬送機構19の基板保持体22にロットを受け渡す。また、ロット搬送機構19の基板保持体22からロットを基板昇降機構37で受取り、基板昇降機構37でそのロットを昇降させることでロットを処理槽35のリンス用の処理液に浸漬させて基板8のリンス処理を行う。その後、基板昇降機構37からロット搬送機構19の基板保持体22にロットを受け渡す。
制御部7は、基板液処理システム1Aの各部(キャリア搬入出部2、ロット形成部3、ロット載置部4、ロット搬送部5、ロット処理部6)の動作を制御する。
この制御部7は、たとえばコンピュータからなり、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体138を備える。記憶媒体138には、基板液処理システム1Aにおいて実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部7は、記憶媒体138に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって基板液処理システム1Aの動作を制御する。なお、プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体138に記憶されていたものであって、他の記憶媒体から制御部7の記憶媒体138にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体138としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
〔基板液処理装置〕
続いて基板液処理システム1Aが含む基板液処理装置A1について詳細に説明する。図2に示すように、基板液処理装置A1は、エッチング処理装置26と、シリコン濃度測定ユニット56Bとを備える。
(エッチング処理装置)
エッチング処理装置26は、所定濃度の薬剤(燐酸)の水溶液(例えば88.3重量%の燐酸水溶液)をエッチング用の処理液として用いて基板8を液処理(エッチング処理)する。エッチング処理装置26は、図2に示すように、処理液貯留部38と、処理液供給部39と、処理液循環部40と、処理液排出部41とを備える。
処理液貯留部38は、処理液を貯留し基板8を処理する。処理液貯留部38は、上部を開放させた処理槽34の上部周囲に、上部を開放させた外槽42を形成し、処理槽34と外槽42に処理液を貯留する。処理槽34は、基板8を基板昇降機構36によって浸漬させることにより液処理する処理液を貯留する。外槽42は、処理槽34からオーバーフローした処理液を貯留する。外槽42に貯留された処理液は、処理液循環部40によって処理槽34に供給される。
処理液供給部39は、処理液貯留部38に処理液を供給する。処理液供給部39は、水溶液供給部43と、水供給部44とを備える。水溶液供給部43は、処理液貯留部38に処理液とは異なる濃度(処理液よりも低い濃度)の薬剤(燐酸)の水溶液(例えば85重量%の燐酸水溶液)を供給する。水溶液供給部43は、所定濃度(例えば85重量%)及び所定温度(例えば25℃)の燐酸水溶液を供給するための水溶液供給源45を、処理液貯留部38の外槽42に流量調整器46を介して接続する。流量調整器46は、制御部7に接続されており、制御部7で開閉制御及び流量制御される。水供給部44は、処理液貯留部38に水(純水)を供給する。水供給部44は、所定温度(25℃)の純水を供給するための水供給源47を、処理液貯留部38の外槽42に流量調整器48を介して接続する。流量調整器48は、制御部7に接続されており、制御部7で開閉制御及び流量制御される。
処理液循環部40は、外槽42内の処理液を処理槽34に送る。処理液循環部40は、循環流路49と、ポンプ50と、ヒーター51と、フィルター52とを備える。循環流路49は、処理液貯留部38の外槽42の底部から処理槽34の底部に延びた流路である。循環流路49には、ポンプ50、ヒーター51、フィルター52が上流側(外槽42側)から下流側(処理槽34側)に順に設けられている。ポンプ50及びヒーター51は制御部7に接続されており制御部7により駆動制御される。ポンプ50は、処理液を上流側から下流側に圧送する。ヒーター51は、処理液を設定温度(例えば165℃)まで加熱する。フィルター52は、処理液中に混入したパーティクルを除去する。また、循環流路49から分岐するようにして外槽42に接続された分岐流路55Aに、処理液中の燐酸濃度を測定する燐酸濃度計55Bが介設されている。
処理液排出部41は、処理槽34内から処理液を排出する。処理液排出部41は、例えば、排液流路41Aと、バルブ41Bとを有する。排液流路41Aは、処理槽34内の処理液を導出する。排液流路41Aの一端部は処理槽34の底部に接続されており、排液流路41Aの他端部は基板液処理システム1Aの排液管(不図示)に接続されている。開閉バルブは排液流路41Aを開閉する。
(シリコン濃度測定ユニット)
シリコン濃度測定ユニット56Bは、処理液である燐酸水溶液中のシリコン濃度を測定し、測定結果に応じた処理を行う。シリコン濃度測定ユニット56Bは、図2に示すように、循環流路49から分岐するようにして外槽42に接続された分岐経路56Aに介設されている。シリコン濃度測定ユニット56Bは、分岐経路56Aを介して循環流路49から流入した処理液について所定量だけ秤量し、更に希釈を行った後に、シリコン濃度を測定する。
なお、図3の模式図は、シリコン濃度測定ユニット56Bの配管構成を簡易に示すものに過ぎず、各構成間の位置関係(例えば配置の上下関係等)については考慮していない。例えば、図5に示すように、ガス供給部65、受入れ配管64、送出配管63、及び導入配管62は、この順番で上方から順に配置されているが、図3においてはこのような上下関係は考慮されずに図示されている。
シリコン濃度測定ユニット56Bは、図3に示すように、秤量装置58と、分析装置69とを備える。秤量装置58は、秤量機構60と、制御部70とを備える。以下、秤量装置58の秤量機構60の各構成、分析装置69、及び制御部70の順で詳細に説明する。
秤量機構60は、貯留管61と、導入配管62と、送出配管63と、受入れ配管64と、ガス供給部65と、フッ化水素供給部66と、水供給部67と、希釈タンク68と、第1バルブ81と、第2バルブ82と、第3バルブ83と、近接センサ90とを備えている。
貯留管61は、導入配管62を介して分岐経路56Aから流入する処理液を貯留する貯留部である。貯留管61は、上下方向(鉛直方向)に延びて処理液を貯留する配管である。
導入配管62は、貯留管61に処理液を導入する導入部である。導入配管62は、一端が分岐経路56Aに接続されると共に他端が貯留管61に接続されている。導入配管62には、制御部70によって開閉制御される第1バルブ81が設けられている。第1バルブ81は、導入配管62において処理液の流れを調節する。第1バルブ81が開かれた状態とされることにより、分岐経路56Aから流入した処理液が貯留管61に導入される。このように、導入配管62は、シリコン濃度を測定する対象の処理液である燐酸水溶液を貯留管61に導入する。導入配管62は、図5に示すように、受入れ配管64及び送出配管63の下方において貯留管61に接続されている。
送出配管63は、貯留管61から処理液を送出する送出部である。送出配管63は、一端が貯留管61に接続されると共に他端が希釈タンク68まで延びている。送出配管63には、制御部70によって開閉制御される第2バルブ82が設けられている。第2バルブ82は、送出配管63において処理液の流れを調節する。第2バルブ82が開かれた状態とされることにより、貯留管61に貯留された処理液が希釈タンク68に導かれる。このように、送出配管63は、貯留管61内の処理液を希釈タンク68(すなわち、後述する分析装置69側)に送出する。送出配管63は、図5に示すように、受入れ配管64の下方且つ導入配管62の上方において貯留管61に接続されている。
受入れ配管64は、貯留管61から分岐して延びる配管である。受入れ配管64は、貯留管61における、目標貯留量(所定の貯留量)を超えた処理液を受け入れる受入れ部である。目標貯留量は、例えば10ml以下とされる。図5に示すように、貯留管61においては、送出配管63との接続箇所から受入れ配管64の分岐箇所までの部分に貯留される処理液が、上述した目標貯留量の処理液であり、送出配管63を介して希釈タンク68に送出される処理液である。よって、受入れ配管64の配置(貯留管61からの分岐箇所)は、貯留管61における目標貯留量(送出配管63を介して希釈タンク68に送出される処理液の量)に応じて決められている。受入れ配管64は、例えば、図5に示すように、上下方向に延びる貯留管61に直交する方向に延びており、貯留管61とT字形状を構成するように延びている。受入れ配管64は、貯留管61から分岐する側の反対側の端部が排液管80に接続されている。受入れ配管64には、制御部70によって開閉制御される第3バルブ83が設けられている。第3バルブ83は、受入れ配管64において処理液の流れを調節する。第3バルブ83が開かれた状態とされることにより、貯留管61から流入した処理液(目標貯留量を超えた処理液)が排液管80に導かれる。受入れ配管64は、ガス供給部65によって処理液の表面に窒素ガスが吹きつけられることにより摺り切られた処理液を受け入れる(詳細は後述)。
近接センサ90は、貯留管61に設けられ、処理液が目標貯留量に達したことを検知するセンサである。近接センサ90は、処理液の存在を検知できるセンサであればよく、例えば静電容量式のセンサである。上述したように、貯留管61における送出配管63との接続箇所から受入れ配管64の分岐箇所までの部分に貯留される処理液が目標貯留量の処理液とされるため、近接センサ90は、貯留管61における受入れ配管64の分岐箇所に設けられ、該分岐箇所まで処理液が貯留されているか否かを検知する。近接センサ90は、検知結果を制御部70に出力する。
ガス供給部65は、貯留管61に貯留された処理液の表面(上面)に窒素ガスを吹きつける。より詳細には、ガス供給部65は、図5に示すように、貯留管61における受入れ配管64よりも上方の部分に窒素ガスを送り込む。ガス供給部65は、第1供給部65Aと、第2供給部65Bとを備える。
第1供給部65Aは、貯留管61に貯留された処理液の表面にガスを吹きつけることにより処理液の摺り切りを行う。処理液の摺り切りとは、処理液のうち貯留管61の目標貯留量を超えた処理液を受入れ配管64を介して排液管80に流すことをいう。より詳細には、処理液の摺り切りとは、貯留管61において受入れ配管64が接続された部分の下端61Xよりも上に貯留された処理液PL(図5(a)参照)、及び、受入れ配管64に存在する処理液PL(図5(a)参照)を、受入れ配管64を介して排液管80に流すことをいう。第1供給部65Aは、貯留管61の上端に接続された分岐配管65Xに配置されており、窒素ガス供給源65Cと、バルブ65Dとを備える。第1供給部65Aは、制御部70によって、バルブ65Dが開かれ、且つ、窒素ガスを供給するように(加圧するように)窒素ガス供給源65Cが制御されることにより、分岐配管65Xを介して貯留管61に窒素ガスを供給し、処理液の表面にガスを吹きつける。
第2供給部65Bは、貯留管61に貯留された処理液の表面にガスを吹きつけることにより処理液を送出配管63側に加圧する。第2供給部65Bによる処理液の表面へのガスの吹きつけは、上述した第1供給部65Aによる処理液の摺り切り後に行われる(詳細は後述)。第2供給部65Bは、貯留管61の上端に接続された分岐配管65Yに配置されており、窒素ガス供給源65Eと、バルブ65Fとを備える。第2供給部65Bは、制御部70によって、バルブ65Fが開かれ、且つ、窒素ガスを供給するように(加圧するように)窒素ガス供給源65Eが制御されることにより、分岐配管65Yを介して貯留管61に窒素ガスを供給し、処理液の表面にガスを吹きつける。第2供給部65Bから吹きつけられる窒素ガスの流量は、例えば第1供給部65Aから吹きつけられる窒素ガスの流量と同程度とされる。
フッ化水素供給部66は、配管86Aを介してフッ化水素を希釈タンク68に供給する。フッ化水素供給部66は、制御部70によって配管86Aに設けられたバルブ86Bが開かれることにより、配管86Aを介して希釈タンク68にフッ化水素を供給する。また、フッ化水素供給部66は、貯留管61等の洗浄時(詳細は後述)において、配管96Aを介してフッ化水素を貯留管61に供給する。フッ化水素供給部66は、制御部70によって配管96Aに設けられたバルブ96Bが開かれることにより、配管96Aを介して貯留管61にフッ化水素を供給する。
水供給部67は、配管87Aを介して水(純水)を希釈タンク68に供給する。水供給部67は、制御部70によって配管87Aに設けられたバルブ87Bが開かれることにより、配管87Aを介して希釈タンク68に水を供給する。
希釈タンク68は、送出配管63を介して供給された処理液である燐酸水溶液を希釈するためのタンクである。希釈タンク68には、上述したように、処理液である燐酸水溶液、フッ化水素、及び水が供給される。希釈タンク68では、分析装置69においてシリコン濃度の測定・分析が可能となる程度に十分に処理液が希釈される。希釈倍率は、例えば100倍以上とされる。希釈後の希釈溶液は、配管89Aを介して分析装置69に供給される。希釈タンク68の底部には、排液管80に接続された配管88Aが接続されている。配管88Aにはバルブ88Bが設けられており、制御部70によってバルブ88Bが開かれることにより配管88Aを介して希釈タンク68内の希釈溶液の排液が行われる。
分析装置69は、配管89Aを介して供給される希釈溶液を分析することにより、処理液の濃度を測定する濃度測定部である。分析装置69は、制御部70によって配管89Aに設けられたバルブ89Bが開かれることにより、配管89Aを介して希釈溶液を取得する。分析装置69は、測定結果である処理液の濃度を制御部70に出力する。分析装置69の底部には、排液管80に接続された配管95Aが接続されている。配管95Aにはバルブ95Bが設けられており、制御部70によってバルブ95Bが開かれることにより配管95Aを介して、濃度測定後の希釈溶液の排液が行われる。
制御部70は、第1バルブ81及び第3バルブ83を開き、第2バルブ82を閉めることにより、導入配管62から導入される処理液を貯留管61に貯留させる貯留制御と、貯留制御後において第1バルブ81を閉め、貯留管61に窒素ガスを送り込むことにより処理液の摺り切りが行われるようにガス供給部65を制御する摺り切り制御と、を実行するように構成されている。
また、制御部70は、上述した摺り切り制御後において、第3バルブ83を閉め、第2バルブ82を開き、貯留管61に窒素ガスを送り込むことにより貯留管61内の処理液を送出配管63側に加圧するようにガス供給部65を制御する送液制御を更に実行すうように構成されていてもよい。
また、制御部70は、近接センサ90により処理液が目標貯留量に達したことが検知されていることに応じて、上述した貯留制御を終了してもよい。
また、制御部70は、所定の貯留時間の経過後において近接センサ90により処理液が目標貯留量に達したことが検知されていない場合、異常状態であると判定してもよい。
また、制御部70は、分析装置69によって測定された処理液の濃度が、所定の正常値であるか否かを判定し、所定の正常値でない場合に、アラートを発することを更に実行するように構成されていてもよい。
この制御部70は、たとえばコンピュータからなり、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体(不図示)を備える。記憶媒体には、シリコン濃度測定ユニット56Bにおいて実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部70は、記憶媒体に記憶されたプログラムを読み出して実行することによってシリコン濃度測定ユニット56Bの動作を制御する。なお、プログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されていたものであって、他の記憶媒体から制御部70の記憶媒体にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
図4は、制御部70の機能的な構成を例示するブロック図である。図4に示すように、制御部70は、機能上の構成(機能モジュール)として、貯留制御部71と、摺り切り制御部72と、送液制御部73と、分析部74と、洗浄制御部75とを備える。
貯留制御部71は、導入配管62から導入される処理液を貯留管61に貯留させる貯留制御を行う。貯留制御部71は、例えば制御部7からの処理開始(シリコン濃度測定ユニット56Bによる処理液の濃度測定開始)命令に応じて、貯留制御を開始する。貯留制御部71は、第1バルブ81及び第3バルブ83を開き、第2バルブ82を閉める。すなわち、貯留制御部71は、導入配管62から貯留管61への処理液の導入、及び、貯留管61から受入れ配管64への処理液の受け入れが可能な状態とする。この場合には、導入配管62から導入される処理液が貯留管61に貯留され、十分に時間が経過すると、図5(a)に示すように、貯留管61において、受入れ配管64が接続された部分の下端61Xよりも上方にまで処理液PLが貯留される。また、処理液PLの一部は受入れ配管64に流れ込む。これにより、近接センサ90は、処理液が貯留されていることを検知することとなる。貯留制御部71は、近接センサ90により処理液が目標貯留量に達したことが検知されていることに応じて、貯留制御を終了する。
貯留制御部71は、所定の貯留時間が経過した後においても、近接センサ90により処理液が目標貯留量に達したことが検知されていない場合には、異常状態であると判定する。所定の貯留時間は、導入配管62から貯留管61に導入される処理液の流量に基づいて、目標貯留量に達すると想定される時間が設定される。
なお、貯留制御中においては、図5(a)に示すように第1供給部65Aによる窒素ガスの供給が継続的に行われていてもよいし、窒素ガスの供給が行われていなくてもよい。貯留制御中において窒素ガスの供給が行われていない場合には、例えば、近接センサ90により処理液が目標貯留量に達したことが検知されたタイミングで、第1供給部65Aによる窒素ガスの供給が開始される。
摺り切り制御部72は、貯留制御部71による貯留制御後において、処理液を目標貯留量だけ秤量する摺り切り制御を行う。摺り切り制御部72は、貯留制御後において、第1バルブ81を閉め、貯留管61に窒素ガスを送り込むことにより処理液の摺り切りが行われるように第1供給部65Aを制御する。具体的には、摺り切り制御部72は、第1供給部65Aのバルブ65Dを開くと共に、窒素ガスを供給するように窒素ガス供給源65Cを制御する。なお、貯留制御中から継続的に第1供給部65Aによる窒素ガスの供給が行われている場合には、摺り切り制御部72は、摺り切り制御においても、当該窒素ガスの供給が引き続き行われるように、第1供給部65Aを制御する。この場合には、下端61Xよりも上に貯留されていた処理液PL(図5(a)参照)が摺り切られて受入れ配管64側に流入すると共に、受入れ配管64に存在していた処理液PL(図5(a)参照)が、受入れ配管64を介して排液管80に送り出される。これにより、図5(b)に示すように、処理液PLは、送出配管63との接続箇所から受入れ配管64の分岐箇所までの部分に貯留される処理液のみとされ、目標貯留量だけ秤量される。なお、図5(b)に示すように、目標貯留量を秤量した後において、導入配管62、及び、貯留管61における導入配管62の上方且つ送出配管63の下方の領域には、処理液が残存することとなる。しかしながら、これらの処理液は、後述する送液制御において送出配管63側に流入しないため、目標貯留量だけ送出する制御において問題とならない。
送液制御部73は、摺り切り制御部72による摺り切り制御後において、貯留管61内の処理液を送出配管63側に加圧するように制御する送液制御を行う。送液制御部73は、摺り切り制御後において、第3バルブ83を閉め、第2バルブ82を開き、貯留管61内に窒素ガスを送り込むことにより貯留管61内の処理液を送出配管63側に加圧するように第2供給部65Bを制御する。具体的には、送液制御部73は、第1供給部65Aのバルブ65Dを閉めると共に第2供給部65Bのバルブ65Fを開け、窒素ガスを供給するように窒素ガス供給源65Eを制御する。これにより、摺り切り制御においては第1供給部65Aから行われていた窒素ガスの供給が、送液制御においては第2供給部65Bから行われることとなる。図5(c)に示すように、第2供給部65Bからの窒素ガスにより加圧された処理液PLは、送出配管63側に加圧されて、送出配管63を介して希釈タンク68にまで送液される。これにより、図5(d)に示すように、送出配管63との接続箇所から受入れ配管64の分岐箇所までの部分に貯留される処理液PL(秤量された目標貯留量の処理液)が、希釈タンク68に送液されることとなる。
送液制御部73は、上述した送液制御と並行して、希釈タンク68へのフッ化水素及び水の供給制御を行う。すなわち、送液制御部73は、配管86Aのバルブ86B及び配管87Aのバルブ87Bを開くことにより、フッ化水素及び水が希釈タンク68に供給されるように制御する。
更に、送液制御部73は、希釈タンク68内に格納された処理液である燐酸水溶液、フッ化水素、及び水を撹拌するように、例えば希釈タンク68内に設けられた攪拌機(不図示)を制御する。処理液等の撹拌は、所定時間(例えば30秒程度)行われる。なお、希釈タンク68の上部には、処理液の存在を検知するセンサ(例えば近接センサ)が設けられ、該センサにより検知されない範囲(希釈タンク68から処理液等が溢れ出さない範囲)で撹拌が行われるように制御されてもよい。送液制御部73は、処理液等の撹拌(希釈)後、配管89Aのバルブ89Bを開くことにより、希釈溶液が分析装置69に供給されるように制御する。
分析部74は、分析装置69の測定結果に応じた制御を行う。分析部74は、分析装置69より測定結果(処理液のシリコン濃度)を取得する。そして、分析部74は、当該シリコン濃度が所定の正常値であるか否かを判定する。正常値である場合には、分析部74は、シリコン濃度を制御部7に通知する。一方で、正常値でない場合には、分析部74は、シリコン濃度と共にアラート(異常値であることを示す情報)を制御部7に通知する。分析部74は、配管95Aのバルブ95Bを開くことにより、分析装置69における濃度測定後の希釈溶液が排液されるように制御する。また、分析部74は、配管88Aのバルブ88Bを開くことにより、希釈タンク68内に残った希釈溶液が排液されるように制御する。
洗浄制御部75は、上述した分析部74の処理後において、希釈タンク68、貯留管61、送出配管63、及び受入れ配管64等がフッ化水素により洗浄されるように制御する。当該洗浄は、希釈タンク68及び貯留管61等に処理液が残存することを抑制し、希釈タンク68及び貯留管61等が汚れた状態となることを抑制すること等を目的に行われる。当該洗浄は、秤量が行われる毎(すなわち、希釈タンク68への送液が行われる毎)に行われてもよいし、秤量が所定回行われる毎に行われてもよい。
洗浄制御部75は、分析部74による制御後において、第1バルブ81及び第2バルブ82を閉めると共に第3バルブ83を開いた状態で、配管96Aのバルブ96Bを開くことにより、フッ化水素を貯留管61に供給する。洗浄制御部75は、貯留管61に窒素ガスが送り込まれるように第1供給部65Aを制御する。具体的には、洗浄制御部75は、第1供給部65Aのバルブ65Dを開くと共に、窒素ガスを供給するように窒素ガス供給源65Cを制御する。窒素ガスが供給されることにより、貯留管61から摺り切られたフッ化水素が受入れ配管64を流れ、排液管80に送り出されることとなる。これによって、貯留管61及び受入れ配管64を、フッ化水素により洗浄することができる。この状態においては、貯留管61内には所定量(上述した目標貯留量)のフッ化水素が存在している。洗浄制御部75は、所定量のフッ化水素が貯留管61内に溜まった状態において、配管96Aのバルブ96Bを閉め(すなわち、貯留管61へのフッ化水素の流入を止め)、所定時間(貯留管61を洗浄するのに十分な時間)待機してもよい。なお、貯留管61に貯留される洗浄液として、フッ化水素に加えて水が含まれていてもよい。
洗浄制御部75は、更に、貯留管61内のフッ化水素を送出配管63側に加圧する。洗浄制御部75は、第3バルブ83を閉め、第2バルブ82を開き、貯留管61内に窒素ガスを送り込むことにより貯留管61内のフッ化水素を送出配管63側に加圧するように第2供給部65Bを制御する。具体的には、洗浄制御部75は、第1供給部65Aのバルブ65Dを閉めると共に第2供給部65Bのバルブ65Fを開き、窒素ガスを供給するように窒素ガス供給源65Eを制御する。窒素ガスが供給されることにより、貯留管61内のフッ化水素が送出配管63側に流れ、送出配管63を介して希釈タンク68にまで送液される。これによって、送出配管63及び希釈タンク68を、フッ化水素により洗浄することができる。なお、洗浄制御部75は、希釈タンク68に対して、配管86Aを介したフッ化水素の供給が行わるように、配管86Aのバルブ86Bを開き、配管87Aを介した水の供給が行われるように、配管87Aのバルブ87Bを開く。これにより、希釈タンク68には、フッ化水素及び水が供給されることとなる。このことで、希釈タンク68内のフッ化水素が希釈され、希釈されていないフッ化水素を受け入れることができない分析装置69側への洗浄液(希釈されたフッ化水素)の送出が可能となる。
洗浄制御部75は、少なくとも、処理液(燐酸水溶液)が貯留していた領域までは、希釈タンク68内にフッ化水素を貯留する。洗浄制御部75は、例えば希釈タンク68の上部に設けられたセンサ(例えば近接センサ)により、希釈タンク68内のフッ化水素が所定量に到達したか否かを判定してもよい。また、洗浄制御部75は、例えば上述した送出配管63を介したフッ化水素の送液を所定回数(例えば2回)行うことによりフッ化水素が所定量に到達することが予めわかっている場合には、所定回数フッ化水素の送液を行ったか判定することにより、希釈タンク68内のフッ化水素が所定量に到達したか否かを判定してもよい。
洗浄制御部75は、更に、希釈タンク68内に貯留されたフッ化水素(水により希釈されたフッ化水素。以下、希釈フッ化水素と記載する)を分析装置69側に加圧する。洗浄制御部75は、配管89Aのバルブ89Bを開くことにより、希釈タンク68内の希釈フッ化水素を、配管89Aを介して分析装置69に送り込む。これによって、配管89A及び分析装置69を、希釈フッ化水素により洗浄することができる。
洗浄制御部75は、希釈フッ化水素を分析装置69側に十分な量だけ送液した後に、配管88Aのバルブ88Bを開くことにより希釈タンク68内に残った希釈フッ化水素が排液されるように制御し、配管95Aのバルブ95Bを開くことにより、分析装置69における希釈フッ化水素が排液されるように制御する。
〔基板液処理方法〕
続いて、基板液処理方法の一例として、制御部70が実行する濃度測定処理手順を説明する。図6に示すように、制御部70は、まずステップS1を実行する。ステップS1は、上述した処理液の貯留制御を行う貯留処理を含む。より詳細な手順は後述する。次に、制御部70はステップS2を実行する。ステップS2は、上述した処理液の摺り切り制御を行う摺り切り処理を含む。より詳細な手順は後述する。次に、制御部70はステップS3を実行する。ステップS3は、上述した送液制御を行う送液処理を含む。より詳細な手順は後述する。次に、制御部70はステップS4を実行する。ステップS4は、上述したシリコン濃度の分析処理を行う濃度分析処理を含む。より詳細な手順は後述する。次に、制御部70はステップS5を実行する。ステップS5は上述した洗浄制御を行う洗浄処理を含む。以後、シリコン濃度測定ユニット56Bが稼働する間、貯留処理、摺り切り処理、送液処理、濃度分析処理、及び洗浄処理が繰り返し実行される。なお、ステップS5の洗浄処理は、ステップS1~S4が所定回数実行される毎に1度実行されるものであってもよい。
(貯留処理手順)
続いて、上記ステップS1における、処理液の貯留制御を行う貯留処理の詳細な手順を説明する。図7に示すように、制御部70は、まずステップS11を実行する。ステップS11では、貯留制御部71が第2バルブ82を閉める。これにより、貯留管61に処理液が貯留される段階において、送出配管63から処理液が送出されることを防止できる。
次に、制御部70はステップS12を実行する。ステップS12では、貯留制御部71が第3バルブ83を開く。これにより、貯留管61から受入れ配管64への処理液の受け入れが可能な状態となる。
次に、制御部70はステップS13を実行する。ステップS13では、貯留制御部71が第1バルブ81を開く。これにより、導入配管62から貯留管61への処理液の導入が開始される(図5(a)参照)。
次に、制御部70はステップS14を実行する。ステップS14では、貯留制御部71が近接センサ90から処理液の検知結果を取得する。制御部70は、例えば、検知結果を所定の時間間隔で近接センサ90から取得する。
次に、制御部70はステップS15を実行する。ステップS15では、貯留制御部71が、近接センサ90の検知結果に基づき、処理液の貯留量が目標貯留量に達しているか否かを判定する。ステップS15において貯留量が目標貯留量に達していると判定された場合には、貯留制御を行う貯留処理(ステップS1)が完了する。
一方で、ステップS15において貯留量が目標貯留量に達していない(すなわち、近接センサ90が処理液を検知していない)と判定された場合には、制御部70はステップS16を実行する。ステップS16では、貯留制御部71が、所定の貯留時間が経過しているか否かを判定する。当該所定の貯留時間は、導入配管62から貯留管61に導入される処理液の流量に基づいて、目標貯留量に達すると想定される時間である。ステップS16において所定の貯留時間が経過していないと判定された場合には、制御部70は再度ステップS14を実行する。
ステップS15において所定の貯留時間が経過していると判定された場合には、制御部70はステップS17を実行する。ステップS17では、貯留制御部71が、異常状態であると判定し、貯留処理(ステップS1)が完了する。所定の貯留時間が経過しているにもかかわらず、処理液が目標貯留量に達していない場合には、処理液を貯留するための構成に何らかの不具合が発生していると考えられる。よって、このような場合に異常判定を行う構成とすることにより、処理液を貯留するための構成の不具合を簡易且つ高精度に判定することができる。なお、異常状態と判定した場合においても、制御部70はステップS14からの処理を継続してもよい。
(摺り切り処理手順)
続いて、上記ステップS2における、処理液の摺り切り制御を行う摺り切り処理の詳細な手順を説明する。図8に示すように、制御部70は、まずステップS21を実行する。ステップS21では、摺り切り制御部72が第1バルブ81を閉める。これにより、導入配管62から貯留管61への処理液の導入が停止される。
次に、制御部70はステップS22を実行する。ステップS22では、摺り切り制御部72が、貯留管61に窒素ガスを送り込むことにより処理液の摺り切りが行われるように第1供給部65Aを制御する。すなわち、摺り切り制御部72は、摺り切りのためのガス(摺り切りガス)の供給が行われるように第1供給部65Aを制御する。具体的には、第1供給部65Aのバルブ65Dを開くと共に、窒素ガスを供給するように窒素ガス供給源65Cを制御する。この場合には、下端61Xよりも上に貯留されていた処理液PL(図5(a)参照)が摺り切られて受入れ配管64側に流入すると共に、受入れ配管64に存在していた処理液PL(図5(a)参照)が、受入れ配管64を介して排液管80に送り出される。これにより、図5(b)に示すように、処理液PLは、送出配管63との接続箇所から受入れ配管64の分岐箇所までの部分に貯留される処理液のみとされ、目標貯留量だけ秤量される。以上で、処理液の摺り切り制御を行う摺り切り処理(ステップS2)が完了する。
(送液処理手順)
続いて、上記ステップS3における、送液制御を行う送液処理の詳細な手順を説明する。図9に示すように、制御部70は、まずステップS31を実行する。ステップS31では、送液制御部73が第3バルブ83を閉める。これにより、摺り切り制御後において、窒素ガスが受入れ配管64側に流れることを防止できる。
次に、制御部70はステップS32を実行する。ステップS32では、送液制御部73が第2バルブ82を開く。これにより、送出配管63を介して、秤量後の処理液を希釈タンク68に送出することが可能な状態となる。
次に、制御部70はステップS33を実行する。ステップS33では、送液制御部73が、貯留管61に窒素ガスを送り込むことにより貯留管61内の処理液を送出配管63側に加圧するように第2供給部65Bを制御する。すなわち、送液制御部73は、送液のためのガス(送液ガス)の供給が行われるように第2供給部65Bを制御する。具体的には、送液制御部73は、第1供給部65Aのバルブ65Dを閉めると共に第2供給部65Bのバルブ65Fを開け、窒素ガスを供給するように窒素ガス供給源65Eを制御する。この場合には、図5(c)に示すように、第2供給部65Bからの窒素ガスにより加圧された処理液PLは、送出配管63側に加圧されて、送出配管63を介して希釈タンク68にまで送液される。これにより、図5(d)に示すように、送出配管63との接続箇所から受入れ配管64の分岐箇所までの部分に貯留される処理液PL(秤量された目標貯留量の処理液)が、希釈タンク68に送液されることとなる。以上で、送液制御を行う送液処理(ステップS3)が完了する。
(濃度分析処理手順)
続いて、上記ステップS4における、濃度分析処理の詳細な手順を説明する。図10に示すように、制御部70は、まずステップS41を実行する。ステップS41では、分析部74が、分析装置69からシリコン濃度(Si濃度)を取得する。
次に、制御部70はステップS42を実行する。ステップS42では、分析部74が、シリコン濃度が所定の正常値(正常範囲内)であるか否かを判定する。
ステップS42においてシリコン濃度が正常値であると判定された場合には、制御部70はステップS43を実行する。ステップS43では、分析部74は、シリコン濃度を制御部7に通知する。
一方でステップS42においてシリコン濃度が正常値でないと判定された場合には、制御部70はステップS44を実行する。ステップS44では、分析部74が、シリコン濃度とともにアラート(異常値であることを示す情報)を制御部7に通知する。
ステップS43又はステップS44が実行された後に、制御部70はステップS45を実行する。ステップS45では、分析部74が、配管95Aのバルブ95Bを開くことにより、分析装置69における濃度測定後の希釈溶液が排液されるように制御すると共に、配管88Aのバルブ88Bを開くことにより、希釈タンク68内に残った希釈溶液が排液されるように制御する。以上で、濃度分析処理(ステップS4)が完了する。
(洗浄処理手順)
続いて、上記ステップS5における、洗浄処理手順の詳細な手順を説明する。図11に示すように、制御部70は、まずステップS51を実行する。ステップS51では、洗浄制御部75が、第1バルブ81及び第2バルブ82を閉めると共に第3バルブ83を開いた状態で、配管96Aのバルブ96Bを開くことにより、フッ化水素を貯留管61に貯留する。
次に、制御部70はステップS52を実行する。ステップS52では、洗浄制御部75が、貯留管61に窒素ガスが送り込まれるように第1供給部65Aを制御し、貯留管61に貯留されたフッ化水素が摺り切られて受入れ配管64側に流れるように制御する。
次に、制御部70はステップS53を実行する。ステップS53では、洗浄制御部75が、第3バルブ83を閉め、第2バルブ82を開き、貯留管61内に窒素ガスを送り込むことにより貯留管61内のフッ化水素を送出配管63側に加圧するように第2供給部65Bを制御する。これにより、貯留管61内のフッ化水素が送出配管63を介して希釈タンク68に流入する。
次に、制御部70はステップS54を実行する。ステップS54では、洗浄制御部75が、希釈タンク68内においてフッ化水素の液量が所定量に到達しているか否かを判定する。
ステップS54において液量が所定量に到達していないと判定された場合には、再度ステップS51の処理が行われる。一方で、ステップS54において液量が所定量に到達していると判定された場合には、制御部70はステップS55を実行する。ステップS55では、洗浄制御部75が、希釈タンク68内に貯留された希釈フッ化水素を分析装置69側に加圧するように制御する。
最後に、制御部70はステップS56を実行する。ステップS56では、洗浄制御部75が、希釈フッ化水素が排液されるように制御する。すなわち、洗浄制御部75は、、希釈フッ化水素を分析装置69側に十分な量だけ送液した後に、配管88Aのバルブ88Bを開くことにより希釈タンク68内に残った希釈フッ化水素が排液されるように制御し、配管95Aのバルブ95Bを開くことにより、分析装置69における希釈フッ化水素が排液されるように制御する。
〔本実施形態の効果〕
上述したような基板液処理装置においては、処理液である燐酸水溶液中のシリコン濃度を測定するに際し、濃度を測定する分析装置に対して十分に希釈された処理液を送る必要がある。分析装置においてシリコン濃度を正確に測定するためには、希釈率に高い再現精度が求められる。また、サンプリングする燐酸水溶液は高温(例えば165℃)であるところ、希釈されるまでに液温が大きく低下すると燐酸水溶液中に溶存しているシリコンが析出して濃度測定精度に影響を与えるおそれがあるため、燐酸水溶液を冷却することができない。このように、基板液処理装置においては、処理液を、高温環境下において高精度に定量供給することが重要となる。
この点、秤量装置58を含む基板液処理装置A1は、処理液を貯留する貯留管61と、貯留管61に処理液を導入する導入配管62と、貯留管61から処理液を送出する送出配管63と、貯留管61に貯留された処理液の表面にガスを吹きつけることにより処理液の摺り切りを行うガス供給部65と、を備える。
基板液処理装置A1によれば、導入配管62から導入された処理液を貯留する貯留管61において、処理液の表面にガスが吹きつけられ処理液の摺り切りが行われる。処理液を秤量する方法としては、流量計を用いる方法、ピペット等の吸引技術を用いる方法、又はポンプを用いる方法等が考えられる。しかしながら、流量計を用いる場合には、機器の立ち上がり及び立ち下がり期における流量の変動が大きく、少量の処理液秤量精度を担保することができない。また、ピペット等の吸引技術を用いる場合には、表面張力の影響により、少量の処理液の秤量精度を担保することが難しい。更には、ポンプ等を用いる場合にはコストの面や対応可能な温度領域の面で制限が多く、秤量精度を担保できないケースが想定される。この点、本実施形態の基板液処理装置A1では、ガスを吹きつけて摺り切ることにより処理液を秤量している。ガスを吹きつける方法においては、秤量対象の処理液に直接触れて秤量しないため、液面の表面張力が問題になりにくい。また、流量計又はポンプを用いずに秤量するため、上述した機器の立ち上り期の流量の変動や、温度領域等が問題とならない。そして、本実施形態に係る基板液処理装置A1では、当該秤量後の処理液を、送出配管63から送出することができる。以上より、本実施形態に係る基板液処理装置A1によれば、少量の処理液を精度良く秤量することができる。
そして、上述したように、基板液処理装置A1では、ポンプ等を用いないため、高温環境下であることに影響されずに秤量を行うことができる。すなわち、基板液処理装置A1によれば、処理液を、高温環境下において高精度に定量供給することができる。
基板液処理装置A1は、ガス供給部65により摺り切られた処理液を受け入れる受入れ配管64を備える。これにより、摺り切られた処理液と、秤量された(希釈タンク68に送出される)処理液とを適切に仕分けることができ、受入れ配管64を介して摺り切られた処理液を確実に排出することができる。このことで、秤量精度を担保することができる。
貯留管61は上下方向に延びて処理液を貯留し、受入れ配管64は貯留管61から分岐して延び、導入配管62及び送出配管63は、受入れ配管64の下方において貯留管61に接続され、ガス供給部65は貯留管61における受入れ配管64よりも上方の部分に窒素ガスを送り込むことにより、処理液の摺り切りを行う。貯留管61の上部側にガスが送り込まれることにより、処理液の表面に好適にガスを吹きつけることができ、貯留管61から分岐する受入れ配管64に適切に処理液を排出することができる。そして、受入れ配管64が貯留管61から分岐していることにより、例えば所定の貯留量を超えた処理液を受入れ配管64側に流し易くなり、秤量精度をより向上させることができる。
導入配管62は、送出配管63よりも下方に配置されている。例えば、導入配管が送出配管の上方に配置されている場合には、導入配管から貯留管に導入される処理液の一部が下方(送出配管側)に流れ込むおそれがある。この場合には、秤量を適切に行うことができず、処理液を高精度に定量供給できないおそれがある。この点、導入配管62が送出配管63の下方に配置されていることにより、導入配管62から貯留管61への処理液の導入時において、送出配管63側に処理液が流れ込みにくくなり、秤量精度を担保することができる。
導入配管62において処理液の流れを調節するバルブである第1バルブ81と、送出配管63において処理液の流れを調節するバルブである第2バルブ82と、受入れ配管64において処理液の流れを調節するバルブである第3バルブ83と、制御部70と、を備え、制御部70は、第1バルブ81及び第3バルブ83を開き、第2バルブ82を閉めることにより、導入配管62から導入される処理液を貯留管61に貯留させる貯留制御と、貯留制御後おいて、第1バルブ81を閉め、貯留管61に窒素ガスを送り込むことにより処理液の摺り切りが行われるようにガス供給部65を制御する摺り切り制御と、を実行するように構成されている。これにより、処理液の貯留後に、適切に摺り切りを行うことができ、秤量精度を担保することができる。
制御部70は、摺り切り制御後において、第3バルブ83を閉め、第2バルブ82を開き、貯留管61に窒素ガスを送り込むことにより貯留管61内の処理液を送出配管63側に加圧するようにガス供給部65を制御する送液制御を更に実行するように構成されている。これにより、処理液の摺り切り後に、該摺り切りに供した窒素ガスを、貯留管61から送出配管63への処理液の送出用のガスとしても用いることができ、簡易な構成で処理液の定量供給を実現することができる。
貯留管61に設けられ、処理液が目標貯留量に達したことを検知する近接センサ90を更に備え、制御部70は、近接センサ90により処理液が目標貯留量に達したことが検知されていることに応じて、貯留制御を終了する。これにより、例えば目標貯留量を、送出配管63から送出する処理液以上の量としておいて、該目標貯留量に達した後に摺り切り制御を行うことができる。すなわち、摺り切り制御を開始するのに十分な量だけ処理液が貯留された後に摺り切り制御を行うことができ、所望の秤量を確実に行うことができる。
制御部70は、所定の貯留時間の経過後において近接センサ90により処理液が目標貯留量に達したことが検知されていない場合、異常状態であると判定する。所定時間内において導入配管62から貯留管61に導入される処理液の流量は予め想定可能であるところ、本来目標貯留量に達しているはずの所定の貯留時間が経過しても、処理液が目標貯留量に達したことが近接センサ90により検知されない場合には、処理液を貯留するための構成に何らかの不具合が発生していると考えられる。よって、このような場合に異常判定を行う構成とすることにより、処理液を貯留するための構成の不具合を簡易且つ高精度に判定することができる。
処理液の濃度を測定する分析装置69を更に備え、導入配管62は、濃度測定対象の処理液を貯留管61に導入し、送出配管63は、貯留管61内の処理液を分析装置69側に送出し、制御部70は、分析装置69によって測定された処理液の濃度が、所定の正常値であるか否かを判定し、所定の正常値でない場合に、制御部7に対してアラートを発することを更に実行するように構成されている。これにより、定量供給した処理液の濃度測定を行う構成において、処理液の濃度が正常値でないことを適切に判定及び通知することができる。
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、基板液処理装置A1においては、燐酸水溶液の摺り切り(燐酸水溶液の秤量)を行う構成として、上述した貯留管61、導入配管62、送出配管63、ガス供給部65、及び制御部70等を備えるとして説明したが、これに限定されず、例えば、希釈タンク68に送り込まれるフッ化水素及び水についても、同様に、貯留管等を用いて摺り切り(秤量)を行ってもよい。
また、ガス供給部65による窒素ガスの供給ついて、摺り切り制御と送液制御とで、第1供給部65A及び第2供給部65Bを切り替えるとして説明したがこれに限定されず、両方の制御において窒素ガス供給部が切り替えられない(窒素ガス供給が、同一の窒素ガス供給部により行われる)構成であってもよい。
また、ガス供給部65からは窒素ガスが供給されるとして説明したがこれに限定されず、上述した摺り切り制御及び送液制御におけるガスが、窒素ガス以外のガスであってもよい。
また、処理液の秤量を行う配管構成として、上述した貯留管61、導入配管62、送出配管63、及び受入れ配管64を説明したが、処理液の秤量を行う配管構成はこれらに限定されない。すなわち、上記実施形態においては、図12(a)に示すように、上下方向に延びる貯留管61から受入れ配管64が分岐し、送出配管63が受入れ配管64の下方に配置され、導入配管62が送出配管63及び受入れ配管64の下方に配置され、貯留管61における受入れ配管64よりも上方の部分から窒素ガスが供給されるとして説明したが、処理液の秤量を行う配管構成はこれに限定されない。
例えば、図12(b)に示すように、貯留管161の一部が拡径(例えば貯留管61の10倍の容量)された構成を採用して、秤量する量をより多くしてもよい。また、図13(a)及び(b)に示すように、ガス供給部によって、貯留管61に交差する方向から窒素ガスが供給されるものであってもよい。この場合、図13(a)に示すようにガス供給部265が受入れ配管64の下方に配置されていてもよいし、図13(b)に示すようにガス供給部365が受入れ配管64の上方に配置されていてもよい。
また、図13(c)に示すように、導入配管462が送出配管463の上方に配置されていてもよい。また、図13(d)に示すように、貯留管561の上端から処理液が流れ出る構成として、例えば貯留管561の上端よりも上方に配置されたガス供給部(図示せず)から貯留管561の液面にガスを供給する構成であってもよい。更に、図13(e)に示すように、導入配管62が、上下方向に延びる貯留管61と上下方向において連続し、下方から貯留管61に処理液を導入するものであってもよい。
また、図14に示すように、秤量装置は、貯留管61(貯留部)を温める加温部150を更に備えていてもよい。具体的には、加温部150は、循環配管151と、断熱材152とを有する。循環配管151は、導入配管62から分岐して貯留管61に沿って延びると共に、処理液貯留部38(処理液供給源)の外槽42に接続される配管である。具体的には、循環配管151は、第1部分151aと、第2部分151bと、第3部分151cと、第4部分151dとを有する。
第1部分151aは、導入配管62から分岐するように導入配管62に接続された部分である。第1部分151aは、導入配管62との接続箇所から下方に延びている。導入配管62を流れる処理液は第1部分151aから循環配管151に流入する。第2部分151bは、第1部分151aの下端に連続すると共に、第1バルブ81及び第2バルブ82の外縁に沿って延びる部分である。第2部分151bは、水平方向に延びる水平部分151e,151gと、鉛直方向に延びる鉛直部分151fとを有する。水平部分151eは、第1部分151aの下端に連続すると共に導入配管62と略平行に水平方向に延びる部分である。水平部分151eは、第1バルブ81の下面に沿うようにして第1バルブ81の後端(第1バルブ81における貯留管61に接続される側と反対側の端部)まで水平方向に延びている。鉛直部分151fは、水平部分151eの端部(水平部分151eにおける第1部分151aの下端に連続する側と反対側の端部)に連続すると共に上方に延びる部分である。鉛直部分151fは、第1バルブ81及び第2バルブ82の側面に沿うようにして第2バルブ82の上方まで鉛直方向に延びている。水平部分151gは、鉛直部分151fの上端に連続すると共に水平方向に延びる部分である。水平部分151gは、第2バルブ82の上面に沿うようにして貯留管61に近接する位置まで水平方向に延びている。
第3部分151cは、水平部分151gの端部(水平部分151gにおける鉛直部分151fに連続する側と反対側の端部)に連続すると共に、貯留管61に沿って上方に延びる部分である。第3部分151cは、その内部を流れる高温の処理液の温度によって貯留管61を温めることができる程度に貯留管61に近接している。第3部分151cは、例えば、貯留管61における受入れ配管64の接続箇所よりも上方まで延びている。第4部分151dは、第3部分151cの上端に連続すると共に、処理液貯留部38(処理液供給源)の外槽42にまで延びる部分である。
断熱材152は、貯留管61に沿って設けられた断熱部材である。断熱材152は、例えば貯留管61及び循環配管151を囲うように設けられていてもよい。断熱材152は、熱移動を減少させるものであればよく、例えば発泡樹脂により構成されている。
例えば、貯留管61を用いて連続的に高温(例えば160℃前後)の処理液の秤量を行う場合、次の秤量までのインターバル期間においては、高温の処理液が流れないため貯留管61の温度が低下することとなる。ここで、貯留管61及び貯留管61に連続する配管のバルブ(第1バルブ81及び第2バルブ82等)は、これらの温度に応じて熱膨張し容積が変化する。このため、長いインターバル期間の直後(すなわち温度が低下した状態)と、長いインターバル期間から十分に時間が経過した後(すなわち温度が高い状態)とでは、貯留管61等における容積が異なることとなり、処理液を再現性良く秤量することができないおそれがある。この点、図14に示したような、貯留管61を温める加温部150が設けられた構成においては、長いインターバル期間においても貯留管61等の温度が低下することを効果的に抑制することができる。このことで、秤量タイミングによって貯留管61により秤量される処理液の量が変化することを抑制でき、処理液を再現性良く秤量することができる。
上述したように、図14に示した構成では、加温部150が、導入配管62から分岐して貯留管61に沿って延びると共に処理液貯留部38(処理液供給源)の外槽42に接続される循環配管151を有している。導入配管62に接続された循環配管151には、処理液が継続的に流れることとなる。例えば高温の処理液を循環配管151に流し続けることによって、該循環配管151に沿って延びる貯留管61、第1バルブ81、及び第2バルブ82を継続的に温めることができる。このことにより、貯留管61、第1バルブ81、及び第2バルブ82の温度が低下することを抑制し、処理液を再現性良く秤量することができる。なお、貯留管61等を温める手段として循環配管151を用いることにより、ヒーター等を導入する場合と比較して、設備が簡易且つコンパクトとなり設備コストを低減することができる。
更に、図14に示した構成では、加温部150が、貯留管61に沿って設けられた断熱材152を有している。これにより、簡易な構成によって、貯留管61等の温度が低下することをより効果的に抑制することができる。
また、図15(a)、図15(b)及び図16に示すように、導入配管62の下方において貯留管61に接続されて処理液を排出するドレイン配管160を更に備えていてもよい。ドレイン配管160には、ドレイン配管160における処理液の流れを調節するバルブである第4バルブ180が設けられている。
このような構成において、制御部70は、貯留管61内の処理液を送出配管63側に加圧する送液制御後において、図17に示すように、第2バルブ82を閉め(ステップS111)、第4バルブ180を開き(ステップS112)、貯留管61に窒素ガスを送り込むようにガス供給部65を制御することにより残液(詳細は後述)を排出するドレイン制御を実行する(ステップS113)ように構成されている。
図15(a)は、上述した送液制御後の状態を示している。送液制御前には、導入配管62から貯留管61に処理液が導入されるため導入配管62、及び貯留管61における該導入配管62との接続箇所よりも上方に処理液が貯留されることとなる。そして送液制御が完了すると、図15(a)に示すように、貯留管61における送出配管63との接続箇所よりも上方の処理液は送出配管63側に送液され、貯留管61における送出配管63との接続箇所から導入配管62との接続箇所の間、導入配管62内、及び各配管に係るバルブ(第1バルブ81及び第2バルブ82等)に処理液が残留することとなる(以下では、残留した処理液を「残留処理液」(残液)と記載する場合がある)。送液制御の完了時においては、図15(a)に示すように第2バルブ82が開き、第1バルブ81及び第4バルブ180が閉じている。
この状態から、図15(b)に示すように、制御部70によって上述したドレイン制御が実行されると、第2バルブ82が閉じ第4バルブ180が開き、ドレイン配管160が開放されるため、上述した残留処理液がドレイン配管160から排出されることとなる。
ドレイン配管160が設けられていない構成においては、残留処理液がその後の洗浄処理によっても十分に排除されない場合がある。この場合、例えば導入配管62から新たに処理液が導入された際に、新たな処理液に残留処理液が混合してしまい、処理液の濃度が所望の濃度とならないおそれがある。すなわち、例えば高濃度の処理液と低濃度の処理液とが交互に秤量されるような場合には、処理液の濃度が所望の濃度とならないおそれがある。この点、導入配管62の下方において貯留管61に接続されるドレイン配管160が設けられていることにより、該ドレイン配管160を開放することで、上述した残留処理液を適切に排出することができる。以上より、上述した構成によれば、新たな処理液と残留処理液とが混合することを防止し、貯留管61から送出される処理液の濃度を所望の濃度とすることができる。なお、例えば、ドレイン配管160が設けられていない構成においても、濃度を切り替えた最初のタイミングにおいて秤量された処理液を廃棄することによって、混合により所望の濃度となっていない処理液を用いない構成とすることができるが、処理液の消費量が増加すること及び測定時間が長くなること等が問題となる。この点についても、上述したドレイン配管160を設けた構成においては問題とならない。
また、図16に示すように、制御部70は、貯留制御の開始時において、所定時間だけ第4バルブ180を開くことにより、貯留管61に溜まった空気をドレイン配管160から抜く空気抜き制御を行ってもよい。すなわち、貯留制御時には、第1バルブ81を開き導入配管62から処理液が導入されるが、当該制御の開始時の所定時間内のみ、第1バルブ81に加えて第4バルブ180を開く空気抜き制御が行われてもよい。制御部70は、所定時間の経過後、第4バルブ180を閉める。貯留制御の開始時においては、送液制御等において開放したバルブによって貯留管61に空気が溜まっている。貯留管61に空気が溜まっていることによって、貯留管61における処理液の貯留量が変化してしまうおそれがある。この点、貯留制御の開始時にドレイン配管160の第4バルブ180が開かれてドレイン配管160から空気抜きが行われることにより、貯留制御において貯留管61に空気が溜まっていない状態で処理液を貯留することができ、処理液を再現性良く秤量することが可能となる。なお、制御部70は、上述した空気抜き制御の時間(第4バルブ180を開く時間)を長くすることにより、導入配管62に残存する処理液等をドレイン配管160から排出してもよい。