JP7006771B2 - フロア構造 - Google Patents

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    • B62D25/00Superstructure or monocoque structure sub-units; Parts or details thereof not otherwise provided for
    • B62D25/20Floors or bottom sub-units

Description

本発明は、自動車のフロア構造に関する。
自動車のフロア構造は、例えばフロアパネル、サイドシル、フロアクロスメンバおよびその他補強部材等からなる。このようなフロア構造では、例えば自動車の側面衝突時、特にポール側面衝突時において、主にサイドシルの曲げ変形とフロアクロスメンバの圧潰変形により衝撃を吸収することで、乗員の生存空間を確保している。この時、フロアパネルには、乗員の生存空間の確保のために大変形しないこと、およびサイドシルからの荷重を支持することが求められる。
近年、電気自動車の航続距離を高めることを目的に、フロアパネルの下に大容量のバッテリーを搭載する車体レイアウトが採用され始めている。このようなレイアウトの車体では、ポール側面衝突時の電気安全の観点から、バッテリーが損傷しないよう、サイドシルの変形で確実に衝撃を吸収することが望まれる。そのため、サイドシルの変形時の耐荷重性能を高めなければならず、フロアパネルには、自身が大変形しないようサイドシルから伝達されるその高い荷重に耐えることが求められる。なお、フロアパネル等の部材は大変形することで部材に入力される荷重が大変形前より小さくなるが、本明細書においては部材が大変形する前の最大入力荷重を“耐力”と称す。
一方、電気自動車では、従来の自動車に対し、プロペラシャフトと呼ばれる駆動部品や排気管が不要になる。そのため、フロアパネルの車幅方向の中央部に設けられるトンネルと呼ばれる段差形状が不要となり、フロアパネルを略フラットな形状にすることができる。プレス成形等の加工の観点では、略フラットなフロアパネルは従来のフロアパネルに比べてエンボスなどの形状付与が容易になる。
従来のフロア構造として、特許文献1~3に記載されたものがある。特許文献1には、キャブオーバー型のキャブフロアの補強構造として、キャブフロアの前部の、車幅方向の中央部の下面に補強部材が接合された構造が開示されている。特許文献1のフロア構造では、その補強部材に車長方向に延伸する複数本のビード部が形成されることで、車長方向の外力に対する変形の抑制が図られている。
特許文献2には、車両のフロア構造として、フロアパネルの下側(車外側)に、稜線部が車長方向に延伸する波板が接合され、波板の車長方向の端部に、車幅方向に延伸するクロスメンバが接合された構造が開示されている。特許文献2のフロア構造は、波板の上側稜線部がフロアパネルに接合され、波板の車幅方向端部がフロアフレームに接合され、波板の車長方向端部がクロスメンバの底面に当接、または接合された構造となっている。そのようなフロア構造とすることで、例えばオフセット前面衝突の際の入力荷重を左右のフロアフレームに分散させている。
特許文献3には、車両のフロア構造として、フロアパネルと、フロアパネルの両側部に接合されたサイドシルと、サイドシルと直交するように各サイドシルの間に配置されたクロスメンバとを有した構造が開示されている。特許文献3のフロア構造は、クロスメンバとサイドシルが交差する部位を中心として同心円弧状のビードがフロアパネルに形成され、これにより側面衝突時の入力荷重を分散させている。
特開2000-135990号公報 特開2004-168252号公報 特開2006-297966号公報
フロア構造には耐力の向上が求められる一方で、燃費向上のために軽量化も求められる。したがって、自動車のフロア構造としては耐力の確保と軽量化を両立させることが求められる。そのためには質量あたりの耐力(耐力/質量)、すなわち耐力に関する質量効率を向上させることが求められる。質量効率を向上させることができれば、部材の板厚を薄くして軽量化を図ったとしても十分な耐力を確保することが可能である。また、フロア構造には室内空間またはバッテリー搭載空間の拡大のため、簡素な構造であることが望まれる。
特許文献1のフロア構造は、フロアトンネルと補強部材で閉断面が形成される構造であり、閉断面形成のためにサイズの大きな部材を組み合わせる分、部品点数の増加と質量の増加を招く。また、特許文献1のフロア構造は、前面衝突の際にキャブフロアの前部中央と補強部材が変形しながら高い荷重を伝達する、いわゆるエネルギー吸収性能を高めることで変形を抑制する構造である。そのため、耐力に焦点を当てた場合、特許文献1のフロア構造では必ずしも十分な耐力が得られるとは限らない。
特許文献2のフロア構造は、フロアパネルと波板で閉断面が形成される構造であり、閉断面形成のためにサイズの大きな部材を組み合わせる分、部品点数の増加と質量の増加を招く。また、特許文献2のフロア構造は、波板の上側稜線部がフロアパネルに接合され、波板の車長方向端部がクロスメンバ底面に当接する構造であることから、波板の高さはクロスメンバの高さに律速される。そのような制約があるために、特許文献2のフロア構造では耐力の質量効率の改善に限界がある。さらに、特許文献2のフロア構造はクロスメンバを設けることを前提としたフロア構造であるため、室内空間またはバッテリー搭載空間の拡大という観点で不利である。
特許文献3のフロア構造は、フロアパネルとクロスメンバで閉断面が形成される構造であり、閉断面形成のためにサイズの大きな部材を組み合わせる分、部品点数の増加と質量の増加を招く。また、フロアパネルに形成されるビード形状はクロスメンバを有する場合に効果的に機能するものであり、クロスメンバを配置しないフロア構造においては、耐力の質量効率が大きく低下する。また、特許文献3のフロア構造はクロスメンバを設けることを前提としたフロア構造であるため、室内空間またはバッテリー搭載空間の拡大という観点で不利である。
本発明は、従来技術が有するこのような課題に鑑みてなされたものであり、(a)衝突対応用のクロスメンバによって形成される閉断面、を有しない簡素な構造で、(b)耐力に関する質量効率が向上したフロア構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明者は、略フラットなフロアパネルとサイドシルとを模擬した衝突シミュレーションを実施し、フロアパネルの面外変形の挙動と最大入力荷重の関係について鋭意検討した結果、以下の知見を以て本発明を完成した。すなわち、本発明者は、フロアパネルに、車幅方向または車長方向に平行な稜線部を有する波形状を付与し、そのフロアパネルの凸部の周期Cと高さhを用いたC/√hの値が60未満となる場合に上記課題を解決できることを見出した。
したがって、上記課題を解決する本発明の一態様は、フロア構造であって、車幅方向または車長方向に平行な稜線部を有する波形状部を備えたフロアパネルと、前記フロアパネルの前記車幅方向の端部に接合されたサイドシルと、を備え、前記波形状部の凸部の周期C(mm)と、高さh(mm)を用いたC/√h(mm 0.5 の値が60未満であることを特徴としている。
本発明によれば、衝突対応用のクロスメンバによって形成される閉断面、を有しない簡素な構造で、耐力に関する質量効率が向上したフロア構造を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係るフロア構造の概略構成を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係るフロア構造の概略構成を示す平面図である。 図2のA-A断面図である。 図2のB-B断面図である。 フロアパネルの形状例を示す、図2のB-B断面図に相当する図である。 本発明の第2実施形態に係るフロア構造の概略構成を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係るフロア構造の、図2中のA-A断面図に相当する図である。 本発明の第3実施形態に係るフロア構造の概略構成を示す斜視図である。 図8のC-C断面図である。 L字ブラケットを用いたフロアパネルとサイドシルの接合例を示す図である。 L字ブラケットの形状例を示す、車内側からブラケットを見たときの断面図である。 周期Cが一定でない場合の例を示す図である。 高さhが一定でない場合の例を示す図である。 周期Cおよび高さhが一定でない場合の例を示す図である。 側面衝突シミュレーション(A)における解析モデルを示す図である。 側面衝突シミュレーション(A)における解析モデルを示す図である。 図16のD-D断面図である。 側面衝突シミュレーション(A)における解析モデルを示す図である。 比較例および実施例におけるポールの変位とフロアパネルへの入力荷重との関係を示す図である。なお、本図の縦軸は各解析モデルにおける入力荷重を比較例1の最大入力荷重で規格化した荷重比で表されている。 比較例1の面外変形の状態を示す図である。 実施例1の面外変形の状態を示す図である。 フロアパネルの凸部の高さh/周期Cが0.067の時の、周期Cと最大入力荷重との関係を示す図である。なお、本図の縦軸は各解析モデルにおける最大入力荷重を比較例1の最大入力荷重で規格化した最大荷重比で表されている。 フロアパネルの凸部のC/√hと、各解析モデルにおける耐力の質量効率との関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<第1実施形態>
図1~図3に示すように第1実施形態のフロア構造1は、フロアパネル2とサイドシル3で構成されている。サイドシル3はサイドシルアウタ4とサイドシルインナ5で構成されている。
サイドシルアウタ4は、車長方向Lに垂直な断面がハット形状の部材であり、車高方向Hに延伸する天面部4aと、天面部4aの車高方向Hの両端部から車幅方向Wの車内側に延伸する縦壁部4bと、縦壁部4bの先端部から当該縦壁部4bに対して垂直に延伸するフランジ部4cを有している。サイドシルインナ5も同様に、車長方向Lに垂直な断面がハット形状の部材であり、車高方向Hに延伸する天面部5aと、天面部5aの車高方向Hの両端部から車幅方向Wの車外側に延伸する縦壁部5bと、縦壁部5bの先端部から当該縦壁部5bに対して垂直に延伸するフランジ部5cを有している。サイドシルアウタ4とサイドシルインナ5とは、フランジ部4cとフランジ部5cとが例えばスポット溶接されることで接合されている。なお、サイドシルアウタ4のハット形状、およびサイドシルインナ5のハット形状には、例えば縦壁部が天面部に対して傾斜した略ハット形状も含まれる。また、例えばサイドシルアウタ4とサイドシルインナ5のいずれか一方の部材が平板部材であっても良い。
図4に示すようにフロアパネル2は、周期的に形成された凸部10と、底面部11と、凸部10と底面部11とを繋ぐ角部である稜線部12とを有した波形状となっている。第1実施形態におけるフロアパネル2の凸部10は、天面部10aと、天面部10aの両端部から車高方向Hに延伸する側壁部10bと、天面部10aと側壁部10bとを繋ぐ角部である稜線部10cとを有した形状となっている。稜線部10c、12は車幅方向Wに平行となっている。すなわち、凸部10の長手方向は車幅方向Wに平行となっている。また、第1実施形態のフロアパネル2においては、天面部10aと底面部11の車長方向Lの長さが互いに同一となっている。このような波形状のフロアパネル2は、例えばロールによる転写またはプレス成形によって平板に形状が付与されることで製造される。
図3に示すように、フロアパネル2の車幅方向Wの端部(以下、“幅方向端部”)はサイドシル3に当接した状態で接合されている。詳述すると、フロアパネル2の幅方向端部が、サイドシルインナ5の天面部5aに当接した状態で、例えば隅肉溶接で幅方向端部と天面部5aとが接合されている。
第1実施形態のフロア構造1は以上のように構成されている。ここで、フロアパネル2の波形状部の底面部11から天面部10aまでの高さをhと定義し、波形状部の凸部10の周期をCと定義する。本明細書における“凸部の周期”とは、凸部10と底面部11との境界位置から、当該凸部10の隣にある凸部10と底面部11との境界位置までの間隔を意味する。第1実施形態の凸部10の形状の場合、周期Cは、隣り合う凸部10のうち、第1の凸部10の側壁部10bから第2の凸部10の側壁部10bまでの間隔である。また、図5のように、例えば凸部10の側壁部10bが天面部10aに対して傾斜している場合、周期Cは、第1の凸部10の側壁部10bの内側の面P1と、底面部11の下面P2との交線から、第2の凸部10の側壁部10bの内側の面P1と、底面部11の下面P2との交線までの間隔である。
第1実施形態のフロア構造においては、例えば自動車の側面衝突の際にフロアパネル2の天面部10aおよび底面部11に面外変形が生じるが、周期Cが小さくなるほど、各天面部10aおよび各底面部11の車長方向Lの長さが短くなる。これにより、各天面部10aおよび各底面部11において曲げ変形が生じ得るスパンが短くなり、面外変形が起こりにくくなる。その結果、フロアパネル2の耐力が向上する。凸部10の周期Cは15~200mmであることが好ましい。一方、凸部10の高さhに関しては、高さhが高くなるほど、車長方向Lを回転軸とする曲げ変形に対する曲げ剛性が高まるため、フロアパネル2の耐力が向上しやすくなる。凸部10の高さhは2~20mmであることが好ましい。
周期Cを小さくすると共に高さhを高くすると、その分、フロアパネル2を製造する際の材料使用量が多くなり、フロアパネル2の質量が増加する。したがって、耐力確保と軽量化の両立という観点においては、周期Cと高さhのバランスが重要である。この点について、第1実施形態のフロアパネル2においては、C/√hが60未満となるように波形状部が形成されている。C/√hが60未満となるフロアパネル2は、C/√hが60以上のフロアパネルに対して耐力の質量効率が向上する。すなわち、従来のフロアパネルを第1実施形態のようなフロアパネル2に置き換えることでフロア構造としての耐力の質量効率も向上する。なお、その効果をさらに高めるためには、C/√hが55以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。また、その効果をさらに高めるためには、フロアパネルは、引張強度が780MPa以上の鋼板であることが好ましい。
また、第1実施形態のようなフロア構造1によれば、フロアパネル2を閉断面構造としなくても十分な耐力を発揮し得るため、クロスメンバ等の補強部材を設けずにフロア構造を構成することも可能となる。これにより室内空間またはバッテリー搭載空間を拡大することも可能となる。ただし、耐力向上の観点においては、第1実施形態のようなフロア構造1にさらにクロスメンバ等の補強部材を設けることで、フロア構造1としての耐力をさらに高めることも可能である。
なお、C/√hの下限は特に限定されない。例えばフロアパネル2の成形性の観点から周期Cの下限が制約されたり、室内空間またはバッテリー搭載空間の確保の観点から高さhの上限が制約されてC/√hの下限が適宜定まるが、C/√hは3.34以上であることが好ましい。
<第2実施形態>
図6および図7に示すように第2実施形態では、フロアパネル2の幅方向端部の形状が第1実施形態と異なっている。第2実施形態のフロアパネル2は、幅方向端部が例えば曲げ加工によって立ち上げられたフランジ部13となっている。そして、そのフランジ部13の底面部11がサイドシルインナ5の天面部5aに当接した状態でスポット溶接されることで、フロアパネル2とサイドシル3とが接合されている。このように、第2実施形態のフロア構造1では、フロアパネル2の幅方向端部がフランジ部13となっていることで、フロアパネル2とサイドシル3の接合にスポット溶接を採用することができる。これによりフロアパネル2とサイドシル3との接合作業が容易になり、生産性が向上する。
なお、スポット溶接を行う場合、スポット打点のスペースを十分に確保するために、フランジ部13の底面部11の、車長方向Lの長さは15mm以上であることが好ましい。また、図6および図7に示す例では、フロアパネル2のフランジ部13が車高方向Hの上方に延伸する形状となっているが、下方に延伸する形状であっても良い。
<第3実施形態>
図8および図9に示すように、第3実施形態のフロアパネル2は第1実施形態のフロアパネル2と同一の形状であり、第2実施形態のようなフランジ部13は形成されていない。第3実施形態では、フロアパネル2の幅方向端部がサイドシルインナ5の天面部5aに当接した状態にあり、フロアパネル2とサイドシル3はブラケット6を介して接合されている。ブラケット6は、車長方向Lに垂直な断面の形状がL字状の、車長方向Lに延伸した部材である。本明細書では、ブラケット6の互いに垂直な2つの壁面部をそれぞれ“第1の壁面部6a”と“第2の壁面部6b”と称す。
第3実施形態のフロア構造1では、ブラケット6がフロアパネル2の上側(車内側)に配置され、第1の壁面部6aがフロアパネル2の天面部10aに接合され、第2の壁面部6bがサイドシルインナ5の天面部5aに接合されている。部材同士の接合方法は特に限定されないが、例えばスポット溶接が採用される。スポット溶接を採用する場合、スポット打点のスペースを十分に確保するために、フロアパネル2の天面部10aの、車長方向Lの長さは15mm以上であることが好ましい。
第3実施形態のフロア構造1によれば、第2実施形態のようなフロアパネル2のフランジ部13を形成する必要がなくなり、フロアパネル2の製造が容易になる。さらに、フロアパネル2とサイドシル3の接合にスポット溶接を採用できるため、フロアパネル2とサイドシル3の接合作業が容易になる。これにより、フロア構造1を造りやすくなり、生産性を向上させることができる。
また、第3実施形態のブラケット6を用いる場合、図10に示すようにフロアパネル2とサイドシル3との間にブラケット6を配置しても良い。図10に示す例ではブラケット6の第1の壁面部6aがフロアパネルの底面部11の下面に接合され、第2の壁面部6bはサイドシルインナ5の天面部5aの上面に接合されている。一方で、図10に示す例では、側面衝突の際にサイドシル3から、まずブラケット6に荷重が入力されることになるため、フロアパネル2よりも先にブラケット6が変形する。このため、荷重の入力状況によってはブラケット6の変形に追従してフロアパネル2の変形が誘発される場合もある。したがって、図8および図9に示すフロア構造1のようにフロアパネル2の車幅方向端部がサイドシル3に当接するようにブラケット6が配置されることが好ましい。これにより、側面衝突の際にサイドシル3から直接フロアパネル2に荷重が入力されるため、フロア構造1としての耐力を向上させることができる。
また、図11に示すように、第3実施形態のブラケット6の第1の壁面部6aは、フロアパネル2の波形状部と同様の波形状部を有していてもよい。図11に示す例では、ブラケット6の第1の壁面部6aに周期的に凸部7が形成されており、第1の壁面部6aの凸部7と、フロアパネル2の凸部10とが互いに接するようにしてブラケット6とフロアパネル2が接合されている。このような第1の壁面部6aを有するブラケット6を用いれば、ブラケット6とフロアパネル2の接合強度を高めることができ、フロア構造1としての耐力を向上させることができる。
なお、第3実施形態では、ブラケット6がフロアパネル2の上側(車内側)に設けられていたが、フロアパネル2の下側(車外側)に設けられていても良い。ブラケット6がフロアパネルの下側(車外側)に設けられる場合、ブラケット6の第1の壁面部6aがフロアパネル2の底面部11の下面に接合され、第2の壁面部6bはサイドシルインナ5の天面部5aに接合される。また、第3実施形態ではブラケット6の形状をL字状としたが、フロアパネル2とサイドシル3とを接合することができれば、他の形状であっても良い。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えばフロアパネル2は、車長方向Lの全域にわたって波形状でなくても良く、車長方向Lにおける一部の区間のみ波形状であっても良い。そのようなフロア構造あっても、フロアパネル2の、波形状が付与された部分においてC/√hが60未満であれば、上記実施形態で説明したように耐力の質量効率が向上する。この場合もC/√hは55以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。車長方向Lの一部の区間のみが波形状である場合、その波形状部の範囲は、例えばポール側面衝突試験におけるポールの衝突位置を中心として車長方向Lの前方に200mm以上、かつ後方に200mm以上であることが好ましい。なお、上記実施形態のようにフロアパネル2の車長方向Lの全域にわたって波形状を付与することで、側面衝突時に荷重の入力位置に関わらず、高い耐力を発揮することができ、ロバスト性に優れたフロア構造とすることができる。
フロアパネル2は、車幅方向Wの全域にわたって波形状でなくても良く、幅方向端部のみが波形状であっても良い。そのようなフロア構造であっても、幅方向端部の波形状が付与された部分においてC/√hが60未満であれば、上記実施形態で説明したように耐力の質量効率が向上する。この場合もC/√hは55以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。なお、幅方向端部のみが波形状である場合、その波形状部の範囲は、フロアパネル2の車幅方向Wの端点を起点として、フロアパネル2の幅(車体の一方のサイドシルから他方のサイドシルまでの車幅方向Wの長さ)の1/4以上であることが好ましい。
図12に示すようにフロアパネル2の凸部10の周期Cは一定でなくても良い。この場合の“周期C”は各凸部10の周期Cの平均値となる。例えば図12のように周期が互いに異なる凸部10が4つ設けられている場合に、第1の凸部10の周期を“C1”、第1の凸部10の隣に位置する第2の凸部10の周期を“C2”、第2の凸部10の隣に位置する第3の凸部の周期を“C3”とすると、本明細書における周期Cは(C1+C2+C3)/3で算出される値である。このように周期Cが一定でないフロア構造であっても、波形状が付与された部分においてC/√hが60未満であれば、上記実施形態で説明したように耐力の質量効率が向上する。この場合もC/√hは55以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。なお、周期Cが一定でない場合、車長方向Lの全域にわたってC/√hが60未満でなくても良い。例えば、フロアパネル2が車長方向Lの全域にわたって波形状であったとしても、車長方向Lの一部の区間の平均周期であるCと高さhとを用いたC/√hの値が60未満であれば、当該区間においては耐力の質量効率が向上する。したがって、当該区間に着目すれば、C/√hが60未満であるフロア構造となるため、本発明に係るフロア構造であると言える。
図13に示すようにフロアパネル2の凸部10の高さhは一定でなくても良い。この場合の“高さh”は各凸部10の高さhの平均値となる。例えば図13のように高さが互いに異なる凸部10が4つ設けられている場合に、第1の凸部10の高さを“h1”、第1の凸部10の隣に位置する第2の凸部10の高さを“h2”、第2の凸部10の隣に位置する第3の凸部の高さを“h3”とすると、本明細書における高さhは(h1+h2+h3)/3で算出される値である。このように高さhが一定でないフロア構造であっても、波形状が付与された部分においてC/√hが60未満であれば、上記実施形態で説明したように耐力の質量効率が向上する。この場合もC/√hは55以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。なお、高さhが一定でない場合、車長方向Lの全域にわたってC/√hが60未満でなくても良い。例えば、フロアパネル2が車長方向Lの全域にわたって波形状であったとしても、車長方向Lの一部の区間の高さhの平均値と周期Cとを用いたC/√hの値が60未満であれば、当該区間においては耐力の質量効率が向上する。したがって、当該区間に着目すれば、C/√hが60未満であるフロア構造となるため、本発明に係るフロア構造であると言える。
また、図14に示すようにフロアパネル2の凸部10の周期Cと高さhがそれぞれ一定でなくても良い。この場合の“周期C”は図12の場合と同様に各凸部10の周期Cの平均値となり、“高さh”は図13の場合と同様に各凸部10の高さhの平均値となる。例えば図14のように周期が互いに異なり、かつ、高さが互いに異なる凸部10が4つ設けられている場合、周期Cは(C1+C2+C3)/3で算出され、高さhは(h1+h2+h3)/3で算出される。このように周期Cと高さhがそれぞれ一定でないフロア構造であっても、波形状が付与された部分においてC/√hが60未満であれば、上記実施形態で説明したように耐力の質量効率が向上する。この場合もC/√hは55以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。なお、周期Cと高さhがそれぞれ一定でない場合、車長方向Lの全域にわたってC/√hが60未満でなくても良い。例えば、フロアパネル2が車長方向Lの全域にわたって波形状であったとしても、車長方向Lの一部の区間の平均周期であるCと、当該区間の平均高さであるhとを用いたC/√hの値が60未満であれば、当該区間においては耐力の質量効率が向上する。したがって、当該区間に着目すれば、C/√hが60未満であるフロア構造となるため、本発明に係るフロア構造であると言える。
フロアパネル2の凸部10の高さhが車幅方向Wの位置によって異なっていても良い。この場合の“高さh”は車幅方向Wの位置でそれぞれ異なる各高さの平均値である。そのようなフロア構造であっても、波形状が付与された部分においてC/√hが60未満であれば、上記実施形態で説明したように耐力の質量効率が向上する。この場合もC/√hは55以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。なお、凸部10の高さhが車幅方向Wの位置によって異なっている場合、車幅方向Wの全域にわたってC/√hが60未満でなくても良く、幅方向端部においてのみC/√hが60未満であれば、フロアパネル2の耐力は向上する。この場合のC/√hが60未満となる範囲は、フロアパネル2の車幅方向Wの端点を起点として、フロアパネル2の幅(車体の一方のサイドシルから他方のサイドシルまでの車幅方向Wの長さ)の1/4以上であることが好ましい。
以上の説明では、フロアパネル2の凸部10が天面部10aと、側壁部10bと、稜線部10cで構成されるものとしたが、凸部10の形状は特に限定されず、例えば凸部10の長手方向に垂直な断面の形状が円形状であっても良い。この場合の“高さh”は底面部11から凸部10の最も離れた位置までの高さである。そのようなフロア構造であっても、波形状が付与された部分においてC/√hが60未満であれば、上記実施形態で説明したように耐力の質量効率が向上する。この場合もC/√hは55以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。
また、以上の説明では、フロアパネル2の稜線部10c、12を車幅方向Wに平行とし、側面衝突に対応したフロア構造としたが、稜線部10c、12をフロアパネル2の車長方向Lに平行とし、前面衝突または後面衝突に対応したフロア構造としても良い。そのようなフロア構造であっても、波形状が付与された部分においてC/√hが60未満であれば、上記実施形態で説明したように耐力の質量効率が向上する。この場合もC/√hは55以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。
稜線部10c、12が車長方向Lに平行である場合も、フロアパネル2は、車幅方向Wの全域にわたって波形状でなくても良く、車幅方向Wにおける一部の区間のみ波形状であっても良い。そのようなフロア構造あっても、フロアパネル2の、波形状が付与された部分においてC/√hが60未満であれば、上記実施形態で説明したように耐力の質量効率が向上する。この場合もC/√hは55以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。車幅方向Wの一部の区間のみが波形状である場合、その波形状部の範囲は、例えばフロアパネル2の車幅方向Wにおける中心位置から、車幅方向Wの右方に200mm以上、かつ左方に200mm以上であることが好ましい。
稜線部10c、12が車長方向Lに平行である場合も、フロアパネル2は、車長方向Lの全域にわたって波形状でなくても良く、車長方向Lの端部(以下、“長手方向端部”)のみが波形状であっても良い。そのようなフロア構造であっても、長手方向端部の波形状が付与された部分においてC/√hが60未満であれば、上記実施形態で説明したように耐力の質量効率が向上する。この場合もC/√hは55以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。なお、長手方向端部のみが波形状である場合、その波形状部の範囲は、フロアパネル2の車長方向Lの端点を起点として、フロアパネル2の前端から後端までの長さの1/4以上であることが好ましい。
稜線部10c、12が車長方向Lに平行である場合も、フロアパネル2の凸部10の周期Cは一定でなくても良い。この場合の“周期C”は各凸部10の周期Cの平均値となる。そのようなフロア構造であっても、波形状が付与された部分においてC/√hが60未満であれば、上記実施形態で説明したように耐力の質量効率が向上する。この場合もC/√hは55以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。なお、周期Cが一定でない場合、車幅方向Wの全域にわたってC/√hが60未満でなくても良い。例えば、フロアパネル2が車幅方向Wの全域にわたって波形状であったとしても、車幅方向Wの一部の区間の平均周期であるCと高さhとを用いたC/√hの値が60未満であれば、当該区間においては耐力の質量効率が向上する。したがって、当該区間に着目すれば、C/√hが60未満であるフロア構造となるため、本発明に係るフロア構造であると言える。
稜線部10c、12が車長方向Lに平行である場合も、フロアパネル2の凸部10の高さhは一定でなくても良い。この場合の“高さh”は各凸部10の高さhの平均値となる。そのようなフロア構造であっても、波形状が付与された部分においてC/√hが60未満であれば、上記実施形態で説明したように耐力の質量効率が向上する。この場合もC/√hは55以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。なお、高さhが一定でない場合、車幅方向Wの全域にわたってC/√hが60未満でなくても良い。例えば、フロアパネル2が車幅方向Wの全域にわたって波形状であったとしても、車幅方向Wの一部の区間の高さhの平均値と周期Cとを用いたC/√hの値が60未満であれば、当該区間においては耐力の質量効率が向上する。したがって、当該区間に着目すれば、C/√hが60未満であるフロア構造となるため、本発明に係るフロア構造であると言える。
稜線部10c、12が車長方向Lに平行である場合も、フロアパネル2の凸部10の周期Cと高さhがそれぞれ一定でなくても良い。この場合の“周期C”は各凸部10の周期Cの平均値となり、“高さh”は各凸部10の高さhの平均値となる。そのようなフロア構造であっても、波形状が付与された部分においてC/√hが60未満であれば、上記実施形態で説明したように耐力の質量効率が向上する。この場合もC/√hは55以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。なお、周期Cと高さhがそれぞれ一定でない場合、車幅方向Wの全域にわたってC/√hが60未満でなくても良い。例えば、フロアパネル2が車幅方向Wの全域にわたって波形状であったとしても、車幅方向Wの一部の区間の平均周期であるCと、当該区間の平均高さであるhとを用いたC/√hの値が60未満であれば、当該区間においては耐力の質量効率が向上する。したがって、当該区間に着目すれば、C/√hが60未満であるフロア構造となるため、本発明に係るフロア構造であると言える。
稜線部10c、12が車長方向Lに平行である場合も、フロアパネル2の凸部10の高さhが車長方向Lの位置によって異なっていても良い。この場合の“高さh”は車長方向Lの位置でそれぞれ異なる各高さの平均値である。そのようなフロア構造であっても、波形状が付与された部分においてC/√hが60未満であれば、上記実施形態で説明したように耐力の質量効率が向上する。この場合もC/√hは55以下であることが好ましく、25以下であることがより好ましい。なお、凸部10の高さhが車長方向Lの位置によって異なっている場合、車長方向Lの全域にわたってC/√hが60未満でなくても良く、長手方向端部においてのみC/√hが60未満であれば、フロアパネル2の耐力は向上する。この場合のC/√hが60未満となる範囲は、フロアパネル2の車長方向Lの端点を起点として、フロアパネル2の前端から後端までの長さの1/4以上であることが好ましい。
<側面衝突シミュレーション(A)>
ポール側面衝突を想定したフロア構造の側面衝突シミュレーションを実施した。本シミュレーションに用いた解析モデルのフロア構造は、図15に示す平板状のフロアパネルを有する構造(比較例1)と、図16に示すような、平板状のフロアパネルに図17の側面衝突対応用のクロスメンバを接合した構造(比較例2)と、図18に示す波形状のフロアパネルを用いた構造である。また、波形状のフロアパネルを用いたフロア構造に関しては、凸部の周期Cと高さhを変化させた複数の解析モデルを作成してシミュレーションを実施した(実施例1~10)。実施例10の構造は、波形状のフロアパネルにクロスメンバを接合した構造である。なお、本シミュレーションではフロアパネルの耐力に着目して評価を行うため、サイドシルを厚み6mmの弾性体のプレートに置き換えている。
側面衝突シミュレーションは、サイドシルを模擬した弾性体のプレートの中央部に直径254mmのポールを配置し、そのポールを車幅方向Wに平行に1m/sで10mm移動させることで実施した。その際のポールの押込み量(変位量)と入力荷重を記録し、入力された最大荷重、すなわち耐力を計測した。なお、フロアパネルは通常、強度が270~440MPaの材料が適用されるため、比較例2のみフロアパネルについては強度を270MPaとした。その他のフロアパネルについては強度を980MPaとし、通常のものに比べ高強度のものとした。比較例2のポール側面衝突対応用のクロスメンバは通常590MPaの材料が適用されるが、本シミュレーションでは強度を980MPaとし、通常のものに比べ高強度のものとした。
下記表1に側面衝突シミュレーションの解析モデルの条件、および各解析モデルの最大入力荷重F1を比較例1の最大入力荷重F0で規格化した最大荷重比(F1/F0)を示す。また、各解析モデルの質量m1を比較例1の質量m0で規格化した質量比(m1/m0)も示す。
Figure 0007006771000001
図19に、比較例1と、実施例1および実施例2の変位-荷重比線図を示す。図19に示す荷重比は、各解析モデルにおける入力荷重を比較例1の最大入力荷重で規格化した値である。図19に示すように、どの条件においても入力荷重が最大荷重に到達した後は入力荷重が低下して推移している。このように推移する理由は、入力荷重が最大荷重に到達した後、フロアパネルが大変形するためである。すなわち、最大入力荷重はフロアパネルが大変形する前の入力荷重であり、耐力に相当する。したがって、図19によれば、実施例1のフロア構造の耐力が比較例1と比較して高いことが示される。
ここで、図20に比較例1の解析モデルのシミュレーションで生じた面外変形の状態を示す。また、図21に実施例1の解析モデルのシミュレーションで生じた面外変形の状態を示す。ポールがサイドシルに衝突することで、フロアパネルは圧縮荷重を受けることになるが、図20に示すように平板状のフロアパネルの場合にはポールの衝突によりフロアパネルの衝突部近傍に大きな面外変形が生じている。
一方、図21に示すように実施例1の波形状のフロアパネルの場合には、凸部の天面部10aと底面部11が個々に面外変形している。そして、フロアパネル全体として見た場合の面外変形の発生領域は、図20に示す平板状のフロアパネルよりも狭くなっている。このように天面部10aと底面部11が個々に面外変形する理由は、天面部10aと側壁部10bとを繋ぐ稜線部10c(図4)、および底面部11と側壁部10bとを繋ぐ稜線部12(図4)の延伸方向が荷重入力方向に一致していることにより、荷重入力によるフロアパネルの変形に対し強い抵抗力が生じ、各稜線部10c、12が曲げ変形時の支持点として作用するためである。その支持点間はフロアパネルの面外変形が生じ得る領域となるが、フロアパネルが波形状であるために支持点間の間隔が短くなっており、曲げ変形のスパンが平板状のフロアパネルに対して短くなる。これにより、実施例1のフロアパネルでは曲げ変形に対する抵抗力が高まり、波形状でないフロアパネルよりも耐力が大きくなる。
次に、図19において実施例1と実施例2を比較すると、実施例2では実施例1よりも最大荷重が大きくなっている一方、最大荷重に到達した後の入力荷重の減衰は実施例1の方が小さくなっている。換言すると、実施例1は実施例2に比べ、フロアパネルの大変形前の最大荷重が小さいが、フロアパネルの大変形後の入力荷重は高く維持される。したがって、実施例1のフロア構造は、実施例2に対してエネルギー吸収性能の高い構造であると言えるが、フロアパネルの大変形前に高い耐力を発揮させるという観点では実施例2のフロア構造の方が優れている。この結果によれば、エネルギー吸収性能の高いフロア構造が、必ずしも耐力が大きい構造ではないことが示される。
図22に波形状のフロアパネルを有する各解析モデルの凸部の周期Cと、各解析モデルの最大入力荷重F1を比較例1の最大入力荷重F0で規格化した最大荷重比F1/F0との関係を示す。図22中のプロットは、上記表1中の比較例5、および実施例1~5の結果に対応するものであり、h/Cが全て0.067で一定の場合のケースのものである。h/Cが一定であることにより、図4のような断面図におけるフロアパネルの線長が一定となり、質量一定の条件で耐力の評価を行うことが可能となる。
図22の結果によれば、質量一定の条件下では、凸部の高さhを高くするより周期Cを小さくした方が、フロアパネルの耐力が高まることが示される。また、図22中の周期Cが30mmの場合のプロットは上記表1の実施例2の結果に対応するが、上記表1によれば、クロスメンバを有するフロア構造である比較例2よりも実施例2の方が最大荷重比が大きい。この結果から、実施例2のフロア構造であれば、ポール側面衝突対応用のクロスメンバの省略が可能なほどに、耐力が高まることが示される。
図23にフロアパネルの凸部のC/√hと、各解析モデルの最大荷重比F1/F0を、比較例1を基準とした質量比m1/m0で規格化したものとの関係を示す。図23の縦軸の値は、質量あたりの耐力の大きさを示す耐力の質量効率であり、縦軸の値が高いほど、耐力と質量のバランスに優れることを意味する。
図23によれば、C/√hの値が小さいほど、質量効率に優れることが示される。また、図23および上記表1からも明らかなように、たとえフロアパネルが波形状であっても、平板状のフロアパネルの比較例1よりも耐力の質量効率が劣る場合もある。すなわち、単にフロアパネルを波形状とするだけでは、耐力確保と軽量化を両立させることはできない。本シミュレーションの結果に鑑みれば、比較例1に対して耐力の質量効率に優れるフロア構造は、C/√hが60未満となるフロア構造である。また、C/√hが55以下、さらには25以下となるフロア構造において耐力の質量効率が大きく向上する。
なお、上記表1の実施例10の結果によれば、波形状のフロアパネルにクロスメンバが接合された構造であれば、耐力の質量効率が大きく向上する。このため、例えば室内空間やバッテリー搭載空間の確保よりも、耐力の向上と軽量化の両立がより優先される場合には、波形状のフロアパネルにクロスメンバを設けることが有効である。
<側面衝突シミュレーション(B)>
次に、実施例2のフロアパネルを、ブラケットを介してサイドシルに接合した場合の側面衝突シミュレーションを実施した。本シミュレーションに用いた解析モデルのフロア構造は、図9のようなフロアパネルの幅方向端部がサイドシルに当接した状態でフロアパネルの上側(車内側)にL字ブラケットが配置された構造(実施例11)と、図10のようなフロアパネルとサイドシルの間にL字ブラケットが配置された構造(実施例12)である。本シミュレーションでは、L字ブラケットの接合位置の違いによるフロアパネルの耐力の影響に着目するため、サイドシルを、厚み6mmの弾性体のプレートに置き換えている。荷重の入力条件は前述の側面衝突シミュレーション(A)と同様である。
以上の条件の下でシミュレーションを実施したところ、実施例11の最大入力荷重は実施例12の最大入力荷重の1.56倍となった。すなわち、L字ブラケットを用いてフロアパネルとサイドシルを接合する場合、図10のようにフロアパネルとサイドシルの間にL字ブラケットを配置するより、図9のようにフロアパネルがサイドシルに当接するようにL字ブラケットを配置する方がフロア構造としての耐力が高まる。
本発明は、自動車等の車両に取り付けられるフロア構造として利用することができる。
1 フロア構造
2 フロアパネル
3 サイドシル
4 サイドシルアウタ
4a サイドシルアウタ天面部
4b サイドシルアウタ縦壁部
4c サイドシルアウタフランジ部
5 サイドシルインナ
5a サイドシルインナ天面部
5b サイドシルインナ縦壁部
5c サイドシルインナフランジ部
6 ブラケット
6a ブラケットの第1の壁面部
6b ブラケットの第2の壁面部
7 第1の壁面部の凸部
10 フロアパネルの凸部
10a 凸部の天面部
10b 凸部の側壁部
10c 凸部の稜線部
11 底面部
12 稜線部
13 フロアパネルのフランジ部
C 凸部の周期
H 車高方向
h 凸部の高さ
L 車長方向
W 車幅方向

Claims (7)

  1. フロア構造であって、
    車幅方向または車長方向に平行な稜線部を有する波形状部を備えたフロアパネルと、
    前記フロアパネルの前記車幅方向の端部に接合されたサイドシルと、を備え、
    前記波形状部の凸部の周期C(mm)と、高さh(mm)を用いたC/√h(mm 0.5 の値が60未満である。
  2. 請求項1に記載のフロア構造において、
    C/√h(mm 0.5 の値が55以下である。
  3. 請求項1または2に記載のフロア構造において、
    前記稜線部が前記車幅方向に平行である。
  4. 請求項3に記載のフロア構造において、
    前記フロアパネルと前記サイドシルとがブラケットを介して接合されている。
  5. 請求項4に記載のフロア構造において、
    前記サイドシルは、サイドシルアウタと、サイドシルインナと、を備え、
    前記サイドシルインナは、天面部と、前記天面部から車幅方向の車外側に延伸する縦壁部と、を有し、
    前記ブラケットは、第1の壁面部と第2の壁面部とを有するL字状であり、
    前記第1の壁面部が前記フロアパネルに接合され、前記第2の壁面部が前記サイドシルインナの前記天面部に接合されている。
  6. 請求項5に記載のフロア構造において、
    前記フロアパネルの車幅方向の端部が前記サイドシルインナの前記天面部に当接している。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載のフロア構造において、
    前記フロアパネルは、引張強度が780MPa以上の鋼板からなる。
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