JP7376797B2 - 自動車骨格部材および電気自動車 - Google Patents

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本発明は、例えば自動車の衝突時などにおいて、高いエネルギー吸収効率を発揮する自動車骨格部材に関する。
近年、世界中で燃費規制が厳格化され、衝突性能の向上と共に自動車車体の軽量化が求められている。しかし、自動車骨格部材の材料を単純に高強度で板厚が薄い材料に置き換えるだけでは、骨格部材の形状によっては、剛性の低下に伴い衝突時に早期に座屈することがあり、必ずしも高いエネルギー吸収効率が得られるとは限らない。エネルギー吸収性能は、骨格部材が塑性変形する部分が多いほど高くなるが、衝突時に早期に座屈が生じた場合には塑性変形しない部分が多く残り、材料強度を大きくしてもエネルギー吸収性能の向上度合いは小さくなる。このため、衝突時に早期に座屈が生じないよう材料本来の強度を活かすことができる骨格部材の検討が進められている。また、電気自動車においては、フロア下に大容量のバッテリーを搭載する車体構造の開発が進められており、サイドシル等の骨格部材の改良が進められている。
エネルギー吸収性能を向上させることを目的とした技術として、特許文献1には、サイドシルとクロスメンバの間に、断面が略U字状のバルクヘッドを設けることが開示されている。特許文献1のバルクヘッドは、正面部と、後側面部と、フランジとで構成され、正面部と後側面部に凹部を有している。特許文献2には、中空部材に蛇腹状の変形促進手段が設けられた衝撃吸収部材が開示されている。特許文献2の衝撃吸収部材は、衝撃による曲げ荷重が加わった際に、蛇腹状の変形促進手段が座屈することによって、曲げ荷重を長手方向の圧縮荷重に変換させ、断面崩れの抑制を図っている。特許文献3には、ハット部材の縦壁に凹状または凸状のビードが形成された金属製アブソーバが開示されている。
特開2006-205797号公報 特開2006-207679号公報 特開2008-265738号公報
特許文献1の車体構造は、サイドシル自体の座屈を抑えることを目的とした構造ではないため、材料強度を活かすことによるエネルギー吸収性能の向上という観点では改善の余地がある。また、特許文献2の衝撃吸収部材について、本発明者がシミュレーションを実施したところ、衝撃吸収部材には塑性変形が生じていない部分が多く残り、材料強度を活かすことによるエネルギー吸収性能の向上という観点では改善の余地がある。特許文献3のアブソーバは、歩行者と自動車の衝突時における歩行者の脚部の保護を目的としたものであり、車体側のエネルギー吸収性能を向上させるという点では改善の余地がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、自動車骨格部材のエネルギー吸収効率(吸収エネルギーの質量効率)を向上させることを目的とする。
上記課題を解決する本発明の一態様は、自動車骨格部材であって、ハット部材と、クロージングプレートを備え、前記ハット部材は、天板と、2つの縦壁と、2つのフランジを備え、前記2つの縦壁は、それぞれ前記天板と前記フランジの間にあり、前記2つの縦壁は、向かい合い、前記2つのフランジは、それぞれ前記クロージングプレートと接合され、前記2つの縦壁はそれぞれ、前記ハット部材の長手方向に垂直な方向に延びる複数の溝部を備え、前記溝部は、1つの稜線と、2つの側面を備え、前記稜線は、前記ハット部材の長手方向に垂直な方向に延び、前記2つの側面は、それぞれ前記稜線に接続され、前記天板に平行な断面における前記溝部の深さaと、前記溝部の幅bと、前記天板に垂直な方向における前記縦壁の高さeは、0.2≦a/e≦0.3、かつ、0.1≦b/e≦0.3の関係を満たすことを特徴としている。
別の観点による本発明の一態様は、自動車骨格部材であって、中空部材を備え、前記中空部材は、天板と、底板と、2つの縦壁を備え、前記天板と前記底板は、向かい合い、前記2つの縦壁は、それぞれ前記天板と前記底板の間にあり、前記2つの縦壁は、向かい合い、前記2つの縦壁はそれぞれ、前記中空部材の長手方向に垂直な方向に延びる複数の溝部を備え、前記溝部は、1つの稜線と、2つの側面を備え、前記稜線は、前記中空部材の長手方向に垂直な方向に延び、前記2つの側面は、それぞれ前記稜線に接続され、前記天板に平行な断面における前記溝部の深さaと、前記溝部の幅bと、前記天板に垂直な方向における前記縦壁の高さeは、0.2≦a/e≦0.3、かつ、0.1≦b/e≦0.3の関係を満たすことを特徴としている。
自動車骨格部材のエネルギー吸収効率を向上させることができる。
第1の実施形態に係る自動車骨格部材の概略構成を示す斜視図である。 自動車骨格部材の、溝部が設けられていない部分における部材長手方向に垂直な断面を示す図である。 電気自動車の車高方向に垂直な断面におけるサイドシルの周辺を示す図である。 ハット部材の溝形成箇所周辺の平面図である。 ハット部材の溝形成箇所周辺の側面図である。 図5中のA-A断面図である。 自動車骨格部材の変形モードの一例(面外折れモード)を示す図である。 図7中のB-B断面図である。 自動車骨格部材の変形モードの一例(面内折れモード)を示す図である。 自動車骨格部材の変形モードの一例(軸圧潰モード)を示す図である。 図10中のC-C断面図である。 稜線Rの曲率半径dについて説明するための図である。本図はハット部材の天板を上から見た図である。 第2の実施形態に係る自動車骨格部材の概略構成を示す斜視図である。 第2の実施形態に係る自動車骨格部材の、図5中のA-A断面に相当する図である。 溝部の形状例を示す、図5中のA-A断面に相当する図である。 第3の実施形態に係る自動車骨格部材の、図5中のA-A断面に相当する図である。 第1のハット部材と第2のハット部材の両方に溝部を有した自動車骨格部材の、図5中のA-A断面に相当する図である。 第4の実施形態に係る自動車骨格部材の概略構成を示す斜視図である。 第4の実施形態に係る自動車骨格部材の、図5中のA-A断面に相当する図である。 溝部の形状例を示す図である。 溝部の形状例を示す図である。 溝部の形状例を示す図である。 溝部の形状例を示す図である。 衝突シミュレーションにおける解析モデルを示す図である。 シミュレーション(1)の結果を示す図である。 シミュレーション(2)におけるa/eと、b/eと、変形モードの関係を示す図である。
以下、本発明に係る一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態における自動車骨格部材1の概略構成を示す図である。自動車骨格部材1は、サイドシルまたはバンパービーム等の曲げ荷重を受ける部材である。第1の実施形態の自動車骨格部材1は、部材長手方向(図1のY方向)に垂直な断面がハット形状の部材であるハット部材10と、ハット部材10に接合される底板である平板状のクロージングプレート20とを有している。なお、図1に示すX方向、Y方向およびZ方向は互いに垂直な方向であり、自動車骨格部材1が例えばサイドシルを構成する部材である場合は、X方向が車高方向、Y方向が車長方向、Z方向が車幅方向である。また、自動車骨格部材1が例えばバンパービームを構成する部材である場合は、X方向が車高方向、Y方向が車幅方向、Z方向が車長方向である。
図2に示されるように、ハット部材10は、天板11と、天板11に繋がる2つの縦壁12と、縦壁12に繋がる2つのフランジ13とを有している。2つの縦壁12は、それぞれ天板11とフランジ13の間にあり、2つの縦壁12は向かい合っている。第1の実施形態においては、ハット部材10の2つのフランジ13と、クロージングプレート20とが接合されることで自動車骨格部材1が構成されている。ハット部材10は例えば引張強さ440~1500MPaの鋼材で形成されるが、ハット部材10の素材は特に限定されず、例えばアルミニウム合金部材やマグネシウム合金部材等であってもよい。同様に、クロージングプレート20は例えば引張強さ440~1500MPaの鋼材で形成されるが、クロージングプレート20の素材は特に限定されず、例えばアルミニウム合金部材やマグネシウム合金部材等であってもよい。
自動車骨格部材1が車体に取り付けられる際は、ハット部材10の天板11がクロージングプレート20に対して車外側に配置されていても車内側に配置されていてもよい。特にサイドシルの場合には、天板11はクロージングプレート20に対して車外側に配置されていることが好ましい。なぜなら、ハット部材のフランジが車外側にあると、フランジとドアが干渉してドアが閉まらないからである。また、自動車骨格部材1は電気自動車に適用されることが好ましい。なぜなら、サイドシルで衝撃を吸収することでサイドシルより車内側に配置される電池の損傷を回避することができるからである。図3は、電気自動車40の車高方向に垂直な断面におけるサイドシル41の周辺を示す図である。図3に示されるように自動車骨格部材1がサイドシル41を構成する部材である場合は、クロージングプレート20が、フロアパネル(図示せず)の下に配置される電池42に隣接し、天板11が車外側と車内側のうち、車外側に配置されていることが好ましい。なお、本実施形態および後述の実施形態においては、天板11が車外側と車内側のうち、車外側に配置されている。
図1および図4~図6に示されるように、第1の実施形態のハット部材10は、部材長手方向に垂直な方向に延びる溝部31を有している。エネルギー吸収効率を効果的に向上させる観点においては、溝部31は、図1および図6のように天板11と縦壁12の間にある稜線部14から縦壁12とフランジ13の間にある稜線部15に跨るように、すなわち、縦壁12の車外側端部から車内側端部にわたって形成されていることが好ましい。溝部31は一対の縦壁12の両方に設けられている。溝部31の成形方法は特に限定されず、例えばハット部材10の成形後にプレス加工を繰り返し行い、徐々に溝部31の深さを大きくしていくことで成形が行われる。本明細書では、図4に示されるような溝部31が形成された箇所を“溝形成箇所30”と称す。また、図6に示されるように、本明細書では、溝形成箇所30における天板11を“溝部天板32”と称し、溝形成箇所30における縦壁12を“溝部縦壁33”と称し、溝形成箇所30におけるフランジ13を“溝部フランジ34”と称す。
溝部天板32は、溝形成箇所30以外の部分の天板11と同一平面内に位置しており、溝部フランジ34は、溝形成箇所30以外の部分のフランジ13と同一平面内に位置している。図4に示されるように、第1の実施形態の溝部縦壁33は、天板11に垂直な方向から見て三角形状に凹んでいる。溝部縦壁33には、溝部31の底に位置する1つの稜線31aと、溝形成箇所30以外の部分の縦壁12と稜線31aとの間の一対の平面である側面31bがある。すなわち、溝部31は、1つの稜線31aと、2つの側面31bを備えており、2つの側面31bは、それぞれ1つの稜線31aに接続されている。換言すると、2つの側面31bは、1つの稜線31aを介して互いに接続されている。稜線31aは、ハット部材10の長手方向(Y方向)に垂直な方向(Z方向)に延びている。
溝形成箇所30は、ハット部材10の部材長手方向に沿って間隔をおいて複数設けられている。すなわち、2つの縦壁12は、ハット部材10の部材長手方向に沿って複数の溝部31を備えている。第1の実施形態においては、溝形成箇所30が存在する領域がハット部材10の部材長手方向の中央部のみとなっているが、溝形成箇所30は例えばハット部材10の部材長手方向の全域に設けられていてもよい。
第1の実施形態の自動車骨格部材1は以上のように構成されている。この自動車骨格部材1においては、衝突時にZ方向から部分的に荷重が加わる。第1の実施形態の自動車骨格部材1の場合、ハット部材10の溝部31が、縦壁12だけでなく、縦壁12と天板11の間の稜線部14と縦壁12とフランジ13の間の稜線部15にも設けられているため、各稜線部14、15に溝部31が設けられていない場合に比べ、稜線部15の剛性が高まり、自動車骨格部材1の変形に要する荷重を大きくすることができる。また、溝部31は、天板11に垂直な方向に延びる1つの稜線31aと2つの側面31bを有する形状であることにより、縦壁12の面剛性をさらに高めることができ、自動車骨格部材1の変形に要する荷重をさらに大きくすることができる。第1の実施形態の自動車骨格部材1においては、それらの作用により、エネルギー吸収性能を向上させることができる。また、第1の実施形態の自動車骨格部材1は、新たに補強部材が追加される構造ではないことから、エネルギー吸収性能に関する質量効率を向上させることができる。
なお、自動車骨格部材1の変形時においては、次のいずれかの変形モードが生じる。
(面外折れモード)
図7および図8に示されるように、面外折れモードは、主な変形が、部材長手方向に垂直な断面においてハット部材10の縦壁12が面外方向に折れる変形となるモードである。
(面内折れモード)
図9に示されるように、面内折れモードは、主な変形が、ハット部材10の縦壁12が部材長手方向に向かって折れる変形であり、部材長手方向に垂直な断面における面外方向への縦壁12の変形が小さいモードである。
(軸圧潰モード)
図10および図11に示されるように、軸圧潰モードは、部材長手方向に垂直な断面においてハット部材10の縦壁12が短い間隔で圧潰し、全体として蛇腹状の変形が生じるモードである。
変形に要する荷重を衝突初期から衝突後期にかけて安定して大きくするためには、自動車骨格部材1が軸圧潰モードで変形することが好ましい。
ここで、図4に示すようにハット部材10の天板11に平行な断面における溝部31の深さを“a”、溝部31の幅を“b”と定義し、図6に示すようにハット部材10の天板11に垂直な方向における縦壁12の高さを“e”と定義する。なお、溝部31の深さaとは、天板11に平行な断面における、ハット部材10の部材長手方向に垂直な方向(X方向)の、縦壁12から稜線31aまでの長さである。溝部31の幅bとは、ハット部材10の部材長手方向(Y方向)における2つの側面31b間の最大長さである。縦壁12の高さeとは、ハット部材10の部材長手方向に垂直な方向(Z方向)におけるフランジ13から天板11までの長さである。なお、第1の実施形態においては、縦壁12の高さeは、溝部フランジ34から溝部天板32までの高さに等しい。
自動車骨格部材1に軸圧潰モードの変形を生じさせやすくするためには、溝部31の深さaと、溝部31の幅bと、ハット部材10の縦壁12の高さeが、0.2≦a/e≦0.3、かつ、0.1≦b/e≦0.3の関係を満たすことが好ましい。この数値範囲を満たす場合には、後記の実施例でも示すように自動車骨格部材1の変形が軸圧潰モードになりやすく、変形に要する荷重が衝突初期から衝突後期にわたって安定して大きくなる。これにより、エネルギー吸収性能をさらに向上させることができる。エネルギー吸収効率をさらに向上させる観点においては、b/eは0.2以下であることが好ましい。
また、隣り合う溝部31の間隔c(図4)は、40mm以下であることが好ましい。溝部31の間隔cが40mm以下であることにより、軸圧潰モードの変形が生じやすくなり、エネルギー吸収効率を向上させることができる。溝部31の間隔cは小さいほど、エネルギー吸収効率を向上させることが可能であるが、溝部31を有するハット部材10の成形性の観点からは、溝部31の間隔cは、10mm以上であることが好ましい。また、軸圧潰モードの変形をより誘発しやすくするためには、2つの側面31b同士がなす角θ1が90~95度であることが好ましく、垂直であることがさらに好ましい。また、軸圧潰モードの変形をより誘発しやすくするためには、図6に示されるような溝部縦壁33と溝部フランジ34とのなす角θ2が90~100度であることが好ましく、垂直であることがさらに好ましい。
軸圧潰モードの変形をより誘発しやすくする観点からは、図12に示される稜線31aの曲率半径d(稜線Rの曲率半径)は、5mm以下であることが好ましい。
<第2の実施形態>
図13および図14に示されるように第2の実施形態の自動車骨格部材1は、溝部31がハット部材10の稜線部14まで延びていない。詳述すると、第2の実施形態の自動車骨格部材1においては、溝部31の一方端が縦壁12の車内側端部(図15の例では稜線部15)まで延びているものの、溝部31の他方端は縦壁12の車外側端部(図15の例では稜線部14)までは延びていない。このような形状の溝部31であっても、溝部31の深さaと、溝部31の幅bと、ハット部材10の縦壁12の高さeが、0.2≦a/e≦0.3、かつ、0.1≦b/e≦0.3の関係を満たすことで、軸圧潰モードの変形が生じやすくなり、エネルギー吸収効率を向上させることができる。本実施形態においても、エネルギー吸収効率をさらに向上させる観点からは、b/eは0.2以下であることが好ましい。
図15は、溝部31の形状例を示す図である。図15の例における自動車骨格部材1は、図14の例とは異なり、溝部31の一方端が縦壁12の車外側端部(図15の例では稜線部14)まで延びている一方、溝部31の他方端は縦壁12の車内側端部(図15の例では稜線部15)まで延びていない構造である。このような構造であっても、図14に示す構造のようにエネルギー吸収効率を向上させることができる。
ただし、前述の図14のような構造の自動車骨格部材1の方が、図15のような構造の自動車骨格部材1よりもエネルギー吸収効率を向上させることが可能である。自動車骨格部材1に衝撃荷重が入力された際には、縦壁12の最初に座屈した箇所を起点として縦壁12の車内側端部に向かって座屈領域が広がっていく。このため、最初に座屈する箇所を縦壁12の車外側にする方がエネルギー吸収効率向上の点で有利である。理由としては、縦壁12の車内側が先に座屈すると車外側の溝部31の延在方向と衝撃入力方向のずれが大きくなり軸圧潰モードの変形が起こりにくくなり、蛇腹状に変形する領域がより小さくなるからである。すなわち、溝部31は縦壁12の車内側端部まで延在していることが望ましい。最初に座屈する箇所は溝部31の無い箇所である。溝部31が無いと最初に座屈する理由は、溝部31が無いと変形抵抗が小さいからである。
図14の自動車骨格部材1の場合、溝部31が縦壁12の車内側端部(図14の例では稜線部15)まで延びており、縦壁12の車外側端部(図14の例では稜線部14)には溝部31が形成されていない。このため、図14の自動車骨格部材1は、衝撃荷重の入力時に縦壁12の車外側端部(図14の例では稜線部14)の近傍で座屈が生じやすい。一方、図15の自動車骨格部材1は、縦壁12の車内側端部(図15の例では稜線部15)の近傍で座屈が生じやすい。したがって、図14のような構造の自動車骨格部材1は、図15のような構造の自動車骨格部材1に比べて蛇腹状に変形する領域を多く確保することができ、エネルギー吸収効率を向上させることができる。
さらに、第2の実施形態における自動車骨格部材1によれば、稜線部14および稜線部15のうち、一方の稜線部14には溝部31が形成されていないことから、第1の実施形態の自動車骨格部材1に比べ、ハット部材10を成形しやすい。すなわち、第2の実施形態の自動車骨格部材1は、エネルギー吸収効率と成形性を高いレベルで両立させることが可能な部材である。
図14のようにハット部材10の車内側端部(図14の例では稜線部15)まで溝部31が延びている場合、ハット部材10の天板11に垂直な方向における溝部31の長さgは、ハット部材10の縦壁12の高さeの80%以上の長さであることが好ましい。これにより、衝撃荷重の入力時に軸圧潰モードの変形が生じやすくなり、エネルギー吸収効率を向上させることができる。なお、ハット部材10の車内側端部まで溝部31が延びている場合の溝部31の長さgとは、溝形成箇所30における、縦壁12の稜線部14側のR止まりと溝部31側のR止まりのうち、溝部31側のR止まりからフランジ13までのZ方向長さである。ハット部材10の車内側端部まで溝部31が延びている場合、エネルギー吸収効率をさらに向上させる観点からは、溝部31の長さgは縦壁12の高さeの90%以上の長さであることがより好ましく、95%以上の長さであることがさらに好ましい。
また、図15のようにハット部材10の車内側端部(図14の例では稜線部15)まで溝部31が延びていない場合、ハット部材10の天板11に垂直な方向における溝部31の長さgは、ハット部材10の縦壁12の高さeの70%以上の長さであることが好ましい。これにより、衝撃荷重の入力時に軸圧潰モードの変形が生じやすくなり、エネルギー吸収効率を向上させることができる。なお、ハット部材10の車内側端部まで溝部31が延びていない場合の溝部31の長さgとは、溝形成箇所30における、縦壁12の稜線部15側のR止まりと溝部31側のR止まりのうち、溝部31側のR止まりから天板11までのZ方向長さである。ハット部材10の車内側端部まで溝部31が延びていない場合、エネルギー吸収効率をさらに向上させる観点からは、溝部31の長さgは縦壁12の高さeの75%以上の長さであることがより好ましく、85%以上または90%以上の長さであることがさらに好ましい。
<第3の実施形態>
第1の実施形態における自動車骨格部材1は、ハット部材10の相手部材がクロージングプレート20であった。図16に示される第3の実施形態の自動車骨格部材1は、相手部材もハット部材となっている。以降の説明では、第1の実施形態で説明したハット部材(図16中の上側の部材)を“第1のハット部材10a”と称し、第1のハット部材10aの相手部材となるハット部材(図16中の下側の部材)を“第2のハット部材10b”と称す。第2のハット部材10bも第1のハット部材10aと同様に、天板11と、天板11に繋がる一対の縦壁12と、縦壁12に繋がるフランジ13とを有している。自動車骨格部材1は、第1のハット部材10aと第2のハット部材10bが互いのフランジ13で接合されることで構成されている。第3の実施形態の自動車骨格部材1においても、第1のハット部材10aの溝部31は、図4のように天板11に垂直な方向から見たときに1つの稜線31aと2つの側面31bとを有しており、当該溝部31は、図16に示されるように稜線部14から稜線部15にわたって設けられている。このため、エネルギー吸収効率を向上させることができる。
また、図17に示されるように、第2のハット部材10bにも、第1のハット部材10aと同様に溝部31が設けられていてもよい。これによりエネルギー吸収効率をさらに向上させることができる。なお、第2のハット部材10bに溝部31が設けられる場合、溝部31の深さaと、第1のハット部材10aの高さe1と第2のハット部材10bの高さe2の和eとの比(a/e)が0.2~0.3であり、かつ溝部31の幅bと、第1のハット部材10aの高さe1と第2のハット部材10bの高さe2の和eとの比(b/e)が0.1~0.3であることが好ましい。本実施形態においても、エネルギー吸収効率をさらに向上させる観点からは、b/eは0.2以下であることが好ましい。また、溝部31の2つの側面31b同士のなす角θ1は90~95度であることが好ましく、垂直であることがさらに好ましい。また、溝部縦壁33と溝部フランジ34とのなす角θ2は90~100度であることが好ましく、垂直であることがさらに好ましい。
さらに、第1のハット部材と第2のハット部材10bの両方が溝形成箇所30を有する場合、第2のハット部材10bの高さe2と第1のハット部材10aの高さe1との比(e2/e1)は、0.25以下であることが好ましい。この数値範囲を満たす場合には、軸圧潰モードの変形をより誘発しやすくなり、e2/e1が0.25を超える場合に比べて、エネルギー吸収効率を向上させることができる。e2/e1は、0.2以下であることがより好ましく、0.1以下であることがさらに好ましい。すなわち、e2/e1は、小さいほど好ましい。
<第4の実施形態>
前述の第1~第3の実施形態の自動車骨格部材1は、複数の部材が互いに接合されることで構成されていたが、第4の実施形態の自動車骨格部材1は、図18および図19に示されるように角管状の中空部材2で構成されている。中空部材2は、天板11と、天板11に繋がる2つの縦壁12と、2つの縦壁12に繋がる底板16とを有している。2つの縦壁12は、それぞれ天板11と、底板16の間にあり、2つ縦壁12は、向かい合っている。また、天板11と底板16も向かい合っている。中空部材2の素材は特に限定されず、例えば鋼材、アルミニウム合金部材やマグネシウム合金部材等である。第4の実施形態の自動車骨格部材1が、例えば電気自動車40のサイドシル41を構成する部材である場合、図3の例と同様に、中空部材2の底板16が、フロアパネル(図示せず)の下に配置される電池42に隣接する。
第4の実施形態の自動車骨格部材1は、第1~第3の実施形態と同様に、中空部材2の部材長手方向に垂直な方向に延びる複数の溝部31を有している。エネルギー吸収効率を効果的に向上させる観点においては、溝部31は、稜線部14から稜線部17に跨るように、すなわち、縦壁12の車外側端部から車内側端部にわたって形成されていることが好ましい。溝部31は一対の縦壁12の両方に設けられている。溝部31の成形方法は特に限定されず、例えば押出成形により角筒形の中空状部材を形成した後、プレス加工を繰り返し行い、徐々に溝部31の深さを大きくしていくことで成形が行われる。また、例えばハイドロフォーミングによって溝部31が形成されてもよい。
溝形成箇所30は、中空部材2の部材長手方向に沿って複数設けられている。すなわち、2つの縦壁12は、中空部材2の部材長手方向に沿って複数の溝部31を備えている。本明細書では、溝形成箇所30における天板11を“溝部天板32”と称し、溝形成箇所30における縦壁12を“溝部縦壁33”と称し、溝形成箇所30における底板16を“溝部底板35”と称す。溝部天板32は、溝形成箇所30以外の部分の天板11と同一平面内に位置しており、溝部底板35は、溝形成箇所30以外の部分の底板16と同一平面内に位置している。平面視における溝部31の形状は、第1~第3の実施形態と同様である。すなわち、図4の場合と同様に第4の実施形態の自動車骨格部材1においても、溝部縦壁33には、ハット部材10の長手方向に垂直な方向(Z方向)に延びた、溝部31の底に位置する1つの稜線31aと、溝形成箇所30以外の部分の縦壁12と稜線31aとの間の一対の平面である側面31bがある。すなわち、溝部31は、1つの稜線31aと、2つの側面31bを備えており、2つの側面31bは、それぞれ1つの稜線31aに接続されている。換言すると、2つの側面31bは、1つの稜線31aを介して互いに接続されている。
第4の実施形態の自動車骨格部材1は以上のように構成されている。第4の実施形態の自動車骨格部材1においても、溝部31の深さa(図4)と、溝部31の幅b(図4)と、中空部材2の縦壁12の高さe(図19)が、0.2≦a/e≦0.3、かつ、0.1≦b/e≦0.3の関係を満たしている。このため、第1~第3の実施形態の自動車骨格部材1と同様に、エネルギー吸収効率を向上させることができる。本実施形態においても、エネルギー吸収効率をさらに向上させる観点からは、b/eは0.2以下であることが好ましい。なお、中空部材2の縦壁12の高さeとは、部材長手方向に垂直な方向(Z方向)における底板16から天板11までの長さである。また、第4の実施形態の中空部材2の縦壁12の高さeは、溝部底板35から溝部天板32までの高さに等しい。
隣り合う溝部31の間隔c(図4)は、第1~第3の実施形態と同様に40mm以下であることが好ましい。これにより、軸圧潰モードの変形が生じやすくなり、エネルギー吸収効率を向上させることができる。溝部31を有する中空部材2の成形性の観点からは、溝部31の間隔cは、10mm以上であることが好ましい。また、軸圧潰モードの変形をより誘発しやすくするためには、溝部31の2つの側面31b同士のなす角θ1(図4)が90~95度であることが好ましく、垂直であることがさらに好ましい。また、軸圧潰モードの変形をより誘発しやすくするためには、図19に示されるように溝部縦壁33と溝部底板35とのなす角θ3が80~90度であることが好ましく、垂直であることがさらに好ましい。
図13に示される第2の実施形態の場合と同様に、自動車骨格部材1が中空部材2で構成されている場合も、溝部31は、図20のように縦壁12の車内側端部(図20の例では稜線部17)から車外側端部(図20の例では稜線部14)の全域にわたって形成されていなくてもよい。溝部31が図20のように車内側端部まで形成されている場合には、中空部材2の天板11に垂直な方向における溝部31の長さgは、中空部材2の縦壁12の高さeの80%以上の長さであることが好ましい。これにより、エネルギー吸収効率と成形性を高いレベルで両立させることが可能である。エネルギー吸収効率をさらに向上させる観点においては、溝部31の長さgは縦壁12の高さeの90%以上の長さであることがより好ましく、95%以上の長さであることがさらに好ましい。なお、溝部31が車内側端部まで延びている場合の溝部31の長さgとは、溝形成箇所30における、縦壁12の稜線部14側のR止まりと溝部31側のR止まりのうちの溝部31側のR止まりから底板16までのZ方向長さである。
また、図21に示されるように、自動車骨格部材1が中空部材2で構成されている場合において、溝部31が車内側端部(図21の例では稜線部17)まで形成されていない場合には、中空部材2の天板11に垂直な方向における溝部31の長さgは、中空部材2の縦壁12の高さeの70%以上の長さであることが好ましい。これにより、エネルギー吸収効率と成形性を高いレベルで両立させることが可能である。エネルギー吸収効率をさらに向上させる観点においては、溝部31の長さgは縦壁12の高さeの80%以上の長さであることがより好ましく、85%以上または90%以上の長さであることがさらに好ましい。なお、溝部31が車内側端部までの延びていない場合の溝部31の長さgとは、溝形成箇所30における、縦壁12の稜線部17側のR止まりと溝部31側のR止まりのうちの溝部31側のR止まりから天板11までのZ方向長さである。
また、自動車骨格部材1が中空部材2で構成されている場合も、軸圧潰モードの変形をより誘発しやすくする観点からは、図12に示される稜線31aの曲率半径d(稜線Rの曲率半径)は、5mm以下であることが好ましい。
以上、本発明に係る一実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば上記実施形態では、縦壁12に対する溝部31の形状が凹状であったが、図22または図23のように凸状であってもよい。図22または図23の自動車骨格部材1の場合、溝形成箇所30においては縦壁12の内面が縦壁12の外側に向かって凹んでおり、1つの稜線と2つの側面を有する溝部31となっている。このような自動車骨格部材1であっても、溝部31の深さaと、溝部31の幅bと、縦壁12の高さeが、0.2≦a/e≦0.3、かつ、0.1≦b/e≦0.3の関係を満たしていれば、軸圧潰モードの変形が生じやすくなり、エネルギー吸収効率を向上させることができる。また、凸状の溝部31の場合であっても、前述の実施形態と同様にエネルギー吸収効率をさらに向上させる観点からは、b/eは0.2以下であることが好ましい。また、溝部31の長さgは縦壁12の高さeの80%以上であることが好ましい。また、溝部31の間隔cは40mm以下であることが好ましい。また、稜線31aの曲率半径d(稜線Rの曲率半径)は、5mm以下であることが好ましい。
<シミュレーション(1)>
本発明に係る自動車骨格部材の一例として図24のような解析モデル(実施例構造)を作成し、ポール側突を模擬したシミュレーションを実施した。図24の解析モデルは、図1に示される自動車骨格部材と同等の構成を有しており、ハット部材10とクロージングプレート20で構成されている。ハット部材10およびクロージングプレート20の素材は、引張強度が1180MPa、板厚が1.6mmの鋼材である。ハット部材10の部材長手方向の中央部には複数の溝形成箇所30が設けられている。ハット部材10の全長は1500mm、縦壁12の高さe(Z方向の長さ)および天板11の幅(X方向の長さ)は、それぞれ100mmである。溝部31の深さaおよび幅bはそれぞれ20mmである。すなわち、前述のa/eおよびb/eの値は、それぞれ0.2である。溝部の間隔cは20mmである。
シミュレーションは、半径127mmの円柱状のインパクタ50を天板11に押し当て、1.8km/hの速度でインパクタ50を変位させることで実施されている。本シミュレーションにおいては天板11の上に剛体壁が配置されている。また、比較例として、ハット部材に溝部を有していない解析モデル(比較例構造)を作成し、上記条件と同様のシミュレーションを実施した。シミュレーション結果(1)を図25に示す。
図25に示されるように実施例構造は比較例構造に対して吸収エネルギー(EA)が大幅に向上した。
<シミュレーション(2)>
次に、図26に示すように溝部の深さa(図4)と縦壁の高さe(図6)の比、および溝部の幅b(図4)と縦壁の高さe(図6)の比が異なる解析モデルを複数作成し、各解析モデルでシミュレーションを実施した。図26には、シミュレーションで生じた各解析モデルの変形モードについても示されている。なお、シミュレーション条件は、解析モデルが異なることを除き、シミュレーション(1)と同様の条件である。
図26に示されるようにa/eが0.2~0.3であって、かつ、b/eが0.1~0.3の解析モデルにおいては軸圧潰モードの変形が生じた。次に、a/eと、b/eと、エネルギー吸収効率(EA効率)との関係をまとめると下記表1のようになる。
Figure 0007376797000001
図26と表1の結果が示すように軸圧潰モードの変形が生じたモデルは、軸圧潰モードの変形が生じていないモデルよりもエネルギー吸収効率が向上している。例えば「a/e=0.1、b/e=0.1」のモデルと、「a/e=0.2~0.3、b/e=0.1」のモデルを比較すると、軸圧潰モードの変形が生じる「a/e=0.2~0.3、b/e=0.1」のモデルの方がエネルギー吸収効率は向上している。同様に「b/e=0.2」の場合においても、「a/e=0.1」のモデルよりも「a/e=0.2~0.3」のモデルの方がエネルギー効率は向上している。同様に「b/e=0.3」の場合においても、「a/e=0.1」のモデルよりも「a/e=0.2~0.3」のモデルの方がエネルギー吸収効率は向上している。本シミュレーションの結果によれば、a/eが0.2~0.3であって、かつ、b/eが0.1~0.3を満たす自動車骨格部材1においては、軸圧潰モードの変形が生じやすくなり、エネルギー吸収効率が向上する。
また、表1に示されるように、エネルギー吸収効率は、a/eが0.2~0.3、かつ、b/eが0.1~0.2の場合にさらに高くなる。したがって、b/eは0.2以下であることが好ましい。そして、b/eが0.1以下の場合には軸圧潰モードの変形と面内折れモードの変形が併発し、エネルギー吸収効率が最も高くなった。軸圧潰モードと面内折れモードが併発する理由は、溝部の形状が、1つの稜線に2つの側面が接続されるような形状であることによって稜線付近においては2つの側面同士の距離が互いに近く、溝部の幅bが狭い場合には2つの側面同士が接触しやすいためと考えられる。
<シミュレーション(3)>
次に、図14のように溝部31が車内側端部(図14の例では稜線部15)まで延びている構造において、溝部の長さgと、縦壁の高さeの比が異なる解析モデルを複数作成し、各解析モデルでシミュレーションを実施した。なお、シミュレーション条件は、解析モデルが異なることを除き、シミュレーション(1)と同様の条件である。シミュレーション(3)の結果を下記表2に示す。
Figure 0007376797000002
表2に示されるように、g/eが0.8以上の場合には、g/eが0.8未満の場合に比べてエネルギー吸収効率が飛躍的に向上した。本シミュレーションの条件下では、g/eが0.8~1.0の場合には、自動車骨格部材に軸圧潰モードの変形が生じていた。すなわち、溝部31が車内側端部(図14の例では稜線部15)にまで延びている場合、溝部の長さgは縦壁の高さeの80%以上の長さであることが好ましい。
<シミュレーション(4)>
次に、図15のように溝部31が車内側端部(図15の例では稜線部15)まで延びていない構造において、溝部の長さgと、縦壁の高さeの比が異なる解析モデルを複数作成し、各解析モデルでシミュレーションを実施した。なお、シミュレーション条件は、解析モデルが異なることを除いてシミュレーション(1)の条件と同様である。シミュレーション(4)の結果を下記表3に示す。
Figure 0007376797000003
表3に示されるように、g/eが0.7以上の場合には、g/eが0.7未満の場合に比べてエネルギー吸収効率が飛躍的に向上した。本シミュレーションの条件下では、g/eが0.7~1.0の場合には自動車骨格部材に軸圧潰モードの変形が生じていた。すなわち、溝部31が車内側端部(図15の例では稜線部15)にまで延びていない場合、溝部の長さgは縦壁の高さeの70%以上の長さであることが好ましい。
<シミュレーション(5)>
次に、溝部の間隔c(図4)が異なる解析モデルを複数作成し、各解析モデルでシミュレーションを実施した。なお、シミュレーション条件は、解析モデルが異なることを除き、シミュレーション(1)と同様の条件である。シミュレーション(5)の結果を下記表4に示す。
Figure 0007376797000004
表4に示されるように、本シミュレーションの条件下では、溝部の間隔cが40mm以下である場合には軸圧潰モードの変形が生じ、エネルギー吸収効率が向上した。
<シミュレーション(6)>
次に、溝部の稜線Rの曲率半径d(図12)が異なる解析モデルを複数作成し、各解析モデルでシミュレーションを実施した。なお、シミュレーション条件は、解析モデルが異なることを除き、シミュレーション(1)と同様の条件である。シミュレーション(6)の結果を下記表5に示す。
Figure 0007376797000005
表5に示されるように、本シミュレーションの条件下では、溝部の稜線Rの曲率半径dが5mm以下である場合には軸圧潰モードの変形が生じ、エネルギー吸収効率が向上した。
本発明に係る技術は、自動車のサイドシルやバンパービーム等に利用することができる。
1 自動車骨格部材
2 中空部材
10 ハット部材
10a 第1のハット部材
10b 第2のハット部材
11 天板
12 縦壁
13 フランジ
14 稜線部
15 稜線部
16 底板
17 稜線部
20 クロージングプレート
30 溝形成箇所
31 溝部
31a 溝部の稜線
31b 溝部の側面
32 溝部天板
33 溝部縦壁
34 溝部フランジ
35 溝部底板
40 電気自動車
41 サイドシル
42 電池
50 インパクタ
a 溝部の深さ
b 溝部の幅
c 溝部の間隔
d 稜線の曲率半径
e 縦壁の高さ
g 溝部の長さ
θ1 溝部の2つの側面がなす角
θ2 溝部縦壁と溝部フランジとのなす角
θ3 溝部縦壁と溝部底板とのなす角

Claims (12)

  1. ハット部材と、クロージングプレートを備え、
    前記ハット部材は、天板と、2つの縦壁と、2つのフランジを備え、
    前記2つの縦壁は、それぞれ前記天板と前記フランジの間にあり、
    前記2つの縦壁は、向かい合い、
    前記2つのフランジは、それぞれ前記クロージングプレートと接合され、
    前記2つの縦壁はそれぞれ、前記ハット部材の長手方向に垂直な方向に延びる複数の溝部を備え、
    前記溝部は、1つの稜線と、2つの側面を備え、
    前記稜線は、前記ハット部材の長手方向に垂直な方向に延び、
    前記2つの側面は、それぞれ前記稜線に接続され、
    前記天板に平行な断面における前記溝部の深さaと、前記溝部の幅bと、前記天板に垂直な方向における前記縦壁の高さeは、0.2≦a/e≦0.3、かつ、0.1≦b/e≦0.3の関係を満たす、自動車骨格部材。
  2. 前記溝部は、前記縦壁の前記クロージングプレート側端部まで延び、
    前記天板に垂直な方向における前記溝部の長さgは、前記縦壁の高さeの80%以上の長さである、請求項1に記載の自動車骨格部材。
  3. 前記溝部は、前記縦壁の前記クロージングプレート側端部までは延びておらず、
    前記天板に垂直な方向における前記溝部の長さgは、前記縦壁の高さeの70%以上の長さである、請求項1に記載の自動車骨格部材。
  4. 前記溝部の間隔cは、40mm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の自動車骨格部材。
  5. 前記稜線の曲率半径dは、5mm以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の自動車骨格部材。
  6. 中空部材を備え、
    前記中空部材は、天板と、底板と、2つの縦壁を備え、
    前記天板と前記底板は、向かい合い、
    前記2つの縦壁は、それぞれ前記天板と前記底板の間にあり、
    前記2つの縦壁は、向かい合い、
    前記2つの縦壁はそれぞれ、前記中空部材の長手方向に垂直な方向に延びる複数の溝部を備え、
    前記溝部は、1つの稜線と、2つの側面を備え、
    前記稜線は、前記中空部材の長手方向に垂直な方向に延び、
    前記2つの側面は、それぞれ前記稜線に接続され、
    前記天板に平行な断面における前記溝部の深さaと、前記溝部の幅bと、前記天板に垂直な方向における前記縦壁の高さeは、0.2≦a/e≦0.3、かつ、0.1≦b/e≦0.3の関係を満たす、自動車骨格部材。
  7. 前記溝部は、前記縦壁の前記底板側端部まで延び、
    前記天板に垂直な方向における前記溝部の長さgは、前記縦壁の高さeの80%以上の長さである、請求項6に記載の自動車骨格部材。
  8. 前記溝部は、前記縦壁の前記底板側端部までは延びておらず、
    前記天板に垂直な方向における前記溝部の長さgは、前記縦壁の高さeの70%以上の長さである、請求項6に記載の自動車骨格部材。
  9. 前記溝部の間隔cは、40mm以下である、請求項6~8のいずれか一項に記載の自動車骨格部材。
  10. 前記稜線の曲率半径dは、5mm以下である、請求項6~8のいずれか一項に記載の自動車骨格部材。
  11. 請求項1~5のいずれか一項に記載の自動車骨格部材を備えたサイドシルと、電池とを備え、
    車高方向に垂直な断面において、前記クロージングプレートは、前記電池に隣接し、前記天板は、車外側に配置されている、電気自動車。
  12. 請求項6~10のいずれか一項に記載の自動車骨格部材を備えたサイドシルと、電池とを備え、
    車高方向に垂直な断面において前記底板は、前記電池に隣接し、
    前記天板は、車外側に配置されている、電気自動車。
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