JP2021054399A - 車両用構造部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造部材の必要以上の質量増加を抑えつつ、構造部材の耐衝突性能、特に曲げ圧壊モードに対する耐衝突性能を効果的に向上させる。【解決手段】天板部2A、2Bの両側にそれぞれ側壁部3A、3B及びフランジ部4A、4Bが連続する断面ハット形状からなる2つのハット部材1A、1Bを、フランジ部4A、4B同士を接合して閉断面形状を構成する中空部材1と、上記天板部2A、2Bの幅方向に沿って延在する金属板からなり、対向する2つの側壁部3A又は3Bの内面同士を連結して上記2つの側壁部3A、3B間の距離が広がることを拘束するテンション部材5と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、2つのハット部材からなる閉断面構造を有する車両用の構造部材(骨格部材)に関する。特に、本発明は、2つの天板部の対向方向に沿った方向から入力される衝突荷重による曲げ変形に対し、耐衝突性能を有する構造部材を提供する技術に関する。
近年、自動車分野では、乗員保護の観点から衝突安全基準の厳格化が進められており、高強度鋼の適用拡大や衝突安全性能に優れる車両開発が強く求められている。
ここで、衝突の形態としては、軸圧壊する衝突形態(軸圧壊モード)と、曲げ変形する衝突形態(曲げ圧壊モード)とがある。軸圧壊する衝突形態では、自動車前面から入力される衝突荷重を受けるクラッシュボックスやフロントサイドメンバのように、部材の長手方向が衝突方向と一致して軸圧壊が発生する。曲げ変形する衝突形態では、側面衝突におけるBピラーやサイドシルのように、構造部材の側面に衝突荷重が負荷されて部材が曲げ変形する。両方の形態は、いずれも、部材が座屈変形することで衝突エネルギーを吸収することで、耐衝突性能を発揮する。
上記のような耐衝突性能が要求される車両用構造部材には、ハット部材を用いた閉断面構造の構造部材が採用されることが多い。
このようなハット部材を用いた閉断面構造の構造部材に対する耐衝突性能を向上させる技術の1つとしては、部材の面に補強部材を取り付けることで構造部材の面剛性の強度を向上させる技術が提案されている。例えば、特許文献1には、中空部材を構成する底板部や天板部の内面に補強部材を密着して配置することが記載されている。また、特許文献2には、天板部と側壁部とを繋ぐ稜線部に接合される補強部材を備え、該稜線部に前記補強部材との溶接部が設けられている。また、特許文献3では、主壁部と立ち上がり壁部とフランジ部を有する第1の鋼板部材と、その稜線部の内側もしくは外側の面に接合される第2の鋼板部材を有する鋼板部材組合せ構造で、衝突エネルギー吸収効率を向上させることが記載されている。
特開2017−159896号公報 特開2014−87848号公報 国際公開第2017/030191号 特開2012−66795号公報
特許文献1〜3に記載のような方法は、軸圧壊モードの衝突特性に対しては優れた補強方法であることが知られている。しかし、特許文献1〜3に記載のような方法は、曲げ圧壊モードの場合、更にはロッカーのように底板にもハット部材が用いられる部品の場合の衝突特性に対しても最適な補強方法となっているとは言い難い。すなわち、特許文献1のような方法では、板材等による主補強部材とは別に、発泡樹脂等により成形される充填部材を副補強部材として用いる必要があり、工程数増加やリサイクル性など生産面での課題がある。また、特許文献2のような方法では、主補強部材が側壁部や稜線部に接合されているが、補強位置に関する検討がされていないため、各部品形状において効果的な補強位置であるとは言い難い。また、特許文献3のような方法では、前記縦壁の長さによって補強部材が接合される範囲を規定しているが、部材ごとに異なる最適な補強位置を狙って補強しているものではなく、効果的な補強となっているとは言い難い。
また、特許文献4には、2つのハット部材を組み合わせてなる閉断面形状の構造部材に対し、各ハット部材毎に連結壁(補強部材)をそれぞれ設け、曲げ圧壊モードの衝突に対する耐力を向上させる構造の検討がなされているが、特許文献3と同様に、部材ごとに異なる最適な補強位置に対し効果的な補強となっているとは言い難い。
更に、構造部材の面に対し単純に補強部材を貼り付ける場合、耐衝突性能は向上するものの、部品点数の増加を招いて必要以上に構造部材の質量が増加したり、金型の増加を招いたりして、従来にあってはコスト面での課題がある。特に、従来にあっては、広い領域を補強部材で補強しようとするほど、質量増加が顕著となる。
本発明は、上記のような点に着目したもので、構造部材の必要以上の質量増加を抑えつつ、構造部材の耐衝突性能、特に曲げ圧壊モードに対する耐衝突性能を効果的に向上させることを目的としている。
本発明者は、閉断面形状を構成する中空部材における効果的な補強位置を検討し、特に2つのハット部材を組み合わせてなる閉断面形状の構造部材について、衝突荷重に対する変形モードを検討して、補強方法及び効果的な補強位置について鋭意検討した。その鋭意検討の結果、本発明をなした。
そして、課題解決のために、本発明の一態様は、天板部の両側にそれぞれ側壁部及びフランジ部が連続する断面ハット形状からなる2つのハット部材を、フランジ部同士を接合して閉断面形状を構成する中空部材と、上記天板部の幅方向に沿って延在する金属板からなり、対向する2つの側壁部の内面同士を連結して上記2つの側壁部間の距離が広がることを拘束するテンション部材と、を備える。
更に、本発明の一態様は、例えば、上記2つのハット部材は、他方のハット部材の高さが、一方のハット部材の高さよりも低く、且つ一方のハット部材の高さの0.5倍以上の高さであり、上記テンション部材の厚さが、上記中空部材の板厚よりも板厚が薄い、ことを要旨とする。
また、本発明の他の態様は、天板部の両側にそれぞれ側壁部及びフランジ部が連続する断面ハット形状からなる2つのハット部材を、フランジ部同士を接合して閉断面形状を構成する中空部材と、上記天板部の幅方向に沿って延在する金属板からなり、対向する2つの側壁部の内面同士を連結して上記2つの側壁部間の距離が広がることを拘束するテンション部材と、を備え、上記テンション部材の厚さが、上記中空部材の板厚よりも板厚が薄く、上記2つのハット部材の天板部同士が上下で対向配置させた状態において、上記2つのハット部材のうち、上側のハット部材の高さをh1とし、下側のハット部材の高さをh2とし、上記上側のハット部材の天板部から上記テンション部材までの上下方向の距離を補強位置pとしたとき、下記(1)式で定義される補強高さ比rが、下記(2)式を満足することを要旨とする。
r =(h1−p)/h1 :但し、h1 > pの場合
r =(h1−p)/h2 :但し、h1 < pの場合
・・・(1)
−0.5 ≦ r ≦ 0.375 ・・・(2)
本発明の態様によれば、2つのハット部材で閉断面形状を構成する中空部材における効果的な補強位置に補強部材を接合するようにしたため、より効果的な補強位置で補強を行うことができる。すなわち、本発明の態様によれば、構造部材の必要以上の質量増加を抑えつつ、構造部材の耐衝突性能、特に曲げ圧壊モードに対する、部材質量当たりの耐衝突性能を効果的に向上させることが可能となる。
本発明に基づく実施形態に係る構造部材を示す斜視図である。 本発明に基づく実施形態に係る構造部材を示す断面図である。 三点曲げ圧壊試験を説明する概念図である。 荷重と変形ストロークの関係の一例を示す図である。 三点曲げ圧壊試験による部材変形の挙動を説明する図であり、(a)は変形ストローク量:20mmでの状態を、(b)は変形ストローク量:60mmでの状態を示す。図5中、上側の図が断面図であり、下側の図が側面図である。 補強高さ比rと、質量当たりの最大荷重との関係を示す図である。 横軸をテンション部材の板厚t、縦軸を構造部材の質量当たりの最大荷重としてまとめた結果の図である。 補強高さ比rと性能向上比の関係を示す図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(構成)
本実施形態の車両用構造部材は、図1及び図2に示すように、中空部材1と、中空部材1を補強するテンション部材5とを有する。
<中空部材1>
中空部材1は、2つのハット部材1A、1Bを、フランジ部4A、4B同士を接合して閉断面形状を構成する。
各ハット部材1A、1Bはそれぞれ、天板部2A、2Bと、天板部2A、2Bの両側にそれぞれ側壁部3A、3B及びフランジ部4A、4Bが連続する断面ハット形状の部材である。各ハット部材1A、1Bは、天板部2A、2Bの幅方向で2つの側壁部3A、3Bが対向配置している。そして、各ハット部材1A、1Bの対向するフランジ部4A、4B同士が、溶接にて結合されることで、構造部材は閉断面となる。
ここで、本明細書では、図1及び図2に示すように、2つのハット部材1A、1Bの天板部2A、2B同士が上下で対向配置させた状態の姿勢で説明する。2つのハット部材1A、1Bを区別する場合には、上側のハット部材1Aを第1のハット部材1Aと記載し、下側のハット部材1Bを第2のハット部材1Bと記載する。本実施形態では、第1のハット部材1A側に構造部材側方からの衝撃が入力しやすい場合とする。
この2つのハット部材1A、1Bは、同じ寸法である必要はない。例えば、第1のハット部材1Aの高さh1に比べて第2のハット部材1Bの高さh2の方が低くても構わない。2つのハット部材1A、1Bの高さ比は、例えば高さが大きい方のハット部材と高さが低い方のハット部材の比が、1:1〜1:0.5とする。すなわち、2つのハット部材の高さが異なる場合、高さが低い方のハット部材の高さが、高さが大きい方のハット部材の高さよりも低く、且つ高さが大きい方のハット部材の高さの0.5倍以上の高さとするとよい。
ハット部材1A、1Bの高さとは、フランジ部4A、4Bから天板部2A、2Bまでの高さを指す。また、本実施形態では、各ハット部材1A、1Bにおいて、左右の側壁部3Aと3A、3Bと3Bの高さが実質、等しいとする。左右の側壁部の高さが等しいとは、左右の側壁部間の高さの差が2mm以内である場合とする。
なお、天板部2A、2Bに、長手方向に向けて延びる1又は2以上のビードが形成されていても良い。長手方向に延びるビードを設けることで、車両用構造部材は、中空部材1の長手方向に沿った方向への荷重入力に対する強度が向上する。
また、図1及び図2には、実施例における部材の寸法を併記しているが、この寸法は、本発明を何ら限定するものではない。
<テンション部材5>
テンション部材5は、天板部2A、2Bの幅方向に向けて延在する金属板からなる。テンション部材5は、左右で対向する2つの側壁部3A又は3Bの内面同士を連結し、その2つの側壁部3A、3B間の開きを拘束する部材である。
テンション部材5の板厚は、使用される部位に要求される諸元に応じて設定される。
本実施形態では、テンション部材5の板厚は、例えば、中空部材1の板厚未満、0.6mm以上、好ましくは、0.8mm以下0.6mm以上である。また、テンション部材5の板厚は、例えば、ハット部材1A、1Bの板厚の50%以上80%以下に設定することが好ましい。ここで、テンション部材5の板厚を、中空部材1の板厚未満に設定する際に、中空部材1を構成するハット部材1A、1Bの板厚が異なる場合には、ハット部材1A、1Bのうちの板厚が薄い側のハット部材の板厚の値を用いる。
金属板からなるテンション部材5は、天板部2A、2Bの面と平行又は略平行であることが好ましいが。テンション部材5は、天板部2A、2Bの面と平行な仮想平面に対し、天板部2A、2Bの幅方向や長手方向に向けて傾いた状態で設けられていても良い。
なお、テンション部材5は、テンション部材5と各天板部2A、2B内面との間に空間を形成し、対向する天板部2A、2Bの間の空間を上下に仕切るように配置される。
テンション部材5で連結する2つの側壁部3A又は3Bは、第1のハット部材1Aが有する左右で対向する2つの側壁部3Aか、第2のハット部材1Bが有する左右で対向する2つの側壁部3Bのいずれか一方とする。すなわち、2つの天板部2A、2B間に介在するテンション部材5は1枚とする。2つの天板部2A、2B間に介在するテンション部材5を2枚以上としても良いが、その分、構造部材の質量の増大に繋がるため、テンション部材5は1枚が好ましい。
テンション部材5の幅方向両側はそれぞれ、対向する2つの側壁部3A又は3B内面に対し溶接にて接合(連結)されている。図2では、例えば、テンション部材5の幅方向両端部にフランジ部が形成され、そのフランジ部の面を側壁部3B内面に突き当てて溶接することでテンション部材5を取り付けた例である。もっとも、テンション部材5と側壁部3A又は3B内面との接合方法は、特に限定されない。その接合は、例えば、レーザー溶接やスポット溶接、又は接着剤により実行する。
テンション部材5は、衝突時における2つの側壁部3A、3Bの開きに対しより大きな引張力が得られるように、テンション部材5とその端部に形成されるフランジ部との間の曲げ部の曲率半径は小さい方が好ましい。そのフランジ部の成形可能性を考慮し且つ上記曲げ部の曲率半径をより小さくするためには、テンション部材5の板厚は薄い方が好ましい。また、テンション部材5の引張強度は高い方が好ましい。但し、例えば上記の曲げ部の曲率半径を0.3mm以下と小さく設定する場合、その曲げ部での成形を実現するためには、テンション部材5の引張強度を例えば590MPa級以下と低く設定する。ここで、テンション部材5は、主として引張力を負担するためのものである。すなわち、テンション部材5の板厚は余り引張力に寄与しないので、軽量化の観点から、テンション部材5の板厚は薄い方が好ましい。したがって、テンション部材5の強度を落としてでも、上記の曲げ部の曲率半径を小さくすることが好ましい。
ここで、テンション部材5は、中空部材1の長手方向全面に亘って連続して設ける必要はない。テンション部材5を、中空部材1の長手方向に沿って部分的に設けても良い。この場合、平面視において、テンション部材5は、少なくとも衝突荷重が負荷される可能性が高いと推定される位置を含む箇所に設けることが好ましい。
衝突荷重が負荷される可能性が高いと推定される天板部2Aにおける面位置は、例えば、その構造部材を配置する車両位置に基づき、過去の事故情報などから、車両の側面衝突によって、対象とする構造部材のどの部分に衝突荷重が入力され易いかなどによって推定する。
また、変形領域の特定は、例えば、FEMシミュレーション解析によって、部材の変形位置を解析して求める。予め設定した衝突荷重は、構造部材を使用する位置で耐衝突性能として要求される許容の衝突荷重を採用する。
また、2つのハット部材1A、1Bの高さが異なる場合に、テンション部材5は、どちらのハット部材に設けても良いが、例えば、高さが低いハット部材側に設ける。
また、例えば、テンション部材5は、2つのハット部材1A、1Bの天板部の対向方向に沿った衝突荷重が負荷される可能性が高いと推定される位置に配置される側のハット部材が分かっている場合には、テンション部材5は、衝突荷重が負荷される可能性が高いと推定される位置に配置される側のハット部材とは反対側に位置するハット部材に設けることが好ましい
<テンション部材5の高さ位置>
次に、金属板からなるテンション部材5の好適な配置位置(高さ方向の位置)について説明する。
ここで、図2のように、2つのハット部材1A、1Bのうち、第1のハット部材1A(上側のハット部材1A)の高さをh1とし、第2のハット部材1B(下側のハット部材1B)の高さをh2とする。また、第1のハット部材1Aの天板部2Aからテンション部材5までの上下方向の距離を補強位置pとする。また、構造部材の高さをHとし、各ハット部材の幅をwとする。
2つのハット部材1A、1Bの高さが異なる場合、2つのハット部材1A、1Bのうち、例えば、高さが高い方のハット部材を第1のハット部材1Aとする。高さが低い方のハット部材を第1のハット部材1Aとしても良い。
また、例えば、車両に設けた場合に、2つのハット部材1A、1Bの天板部の対向方向に沿った衝突荷重が負荷される可能性が高いと推定される位置に配置される側のハット部材を第1のハット部材1Aとする。
テンション部材5は、左右の2つの側壁部3A、3B間が広がろうとする際に、引張力を負担するために設けられる。このため、補強位置pは、左右の側壁部3A、3B間が広がろうとする際に、テンション部材5が引張力を負荷する位置である。すなわち、テンション部材5が平板の場合、補強位置pは、例えば、テンション部材5の厚さ方向中央位置での値とする。また、テンション部材5の面が傾いた状態で配置される場合には、補強位置pは、例えば、平面視におけるテンション部材5の中央位置やテンション部材5の重心位置での値とする。
このとき、下記(1)式及び(2)式を満足するように、テンション部材5の高さ位置を設定することが好ましい(実施例参照)。
(1)式及び(2)式を満足することで、曲げ圧壊モードの衝突に対し、より効率良く耐衝突性能の向上ができるようになる。
r =(h1−p)/h1 :但し、h1 > pの場合
r =(h1−p)/h2 :但し、h1 < pの場合
・・・(1)
−0.5 ≦ r ≦ 0.375 ・・・(2)
更に好ましくは、下記(3)式を満足することが好ましい。
−0.25≦ r ≦ 0.125 ・・・(3)
なお、h1 > pの場合、rはゼロより大きい値であり、h1 < pの場合、rはゼロより小さい値である。
<動作その他>
発明者は、FEM解析により、図1及び図2に示すような寸法のハット部材1A、1Bから閉断面を構成した構造部材(中空部材1で、テンション部材5は無い)に対し、三点曲げ圧壊試験での部材変形の挙動を詳細に解析した。三点曲げの解析条件は、図3に示すように、構造部材における長手方向に離れた下面の2点を支持部材10で支持し、天板部2A、2Bの長手方向中央部に対し、パンチ11によって上側から下方に向けて荷重を負荷するという条件である。具体的には、パンチ11を速度1m/sで図3中に矢印Fで示す方向に供試体である構造部材の幅方向と長手方向に垂直に動かして荷重を負荷した。また、供試体である構造部材の変形ストロークを80mmとした。そのときの、荷重と変形ストロークとの関係を図4に示す。
以上のような解析による部材変形の挙動は、部材中央の断面である図5に示すように、部材の変形に従い、第1のハット部材1Aが潰れるように変形すると共に第2のハット部材1Bの左右の側壁部3Bが外側に開くように変形する。そして、この変形により部材がV字型に折れ、図4に示すように部材にかかる荷重が低下することが分かった。ここで、図5中、(a)は変形ストロークが20mm、(b)は変形ストロークが60mmのときの状態である。
そのため、このときの最大荷重を耐衝突性能ととらえると、その最大荷重を増加させるためには、上述の左右で対向する2つの側壁部3A、3Bの開きを抑えることが、耐衝突性能を向上させるためには有効であると考えた。
そこで、本実施形態では、図1及び図2に示すような、補強部材としてのテンション部材5を左右の側壁部3A又は3Bを連結するように設けることで、側方からの衝突による部材変形時に対し、対向する側壁部3A、3Bの開きが抑えるという効果を奏する。
特に、後述の実施例で示すように、上記の補強高さ比rが(1)式及び(2)式を満足するように、テンション部材5を設けることで、構造部材の必要以上の質量増加を抑えつつ、構造部材の耐衝突性能、特に曲げ圧壊モードに対する、部材質量当たりの耐衝突性能を効果的に向上させることが可能となる。
上記の図5のように、衝突による変形は、衝突荷重が入力される側と反対側である第2のハット部材1Bにおける左右の側壁部3Bが広がる。このため、単純に、衝突が入力されると推定される第1のハット部材1Aではない、第2のハット部材1Bに対してテンション部材5を設けるとしてもよい。第2のハット部材1Bにおける、対向する側壁部3B間をテンション部材5で連結することで、例えば天板部2Aに荷重が入力するような衝突による、部材変形時に対向する側壁部3A、3B間の距離が大きくなることを効率的に抑えることができて、耐衝突性能を向上させることが可能となる。このとき、左右の側壁が相対的に広がりやすいのは、第2のハット部材1Bのフランジ部4B側であるので、例えば、上側の天板部2Aからの距離で表される補強位置pを(4)式の範囲とする。
h1< p < h1+(h2/2) ・・・(4)
また、第1のハット部材1A側にテンション部材5を設ける場合には、例えば、補強位置pを(5)式の範囲とする。
0.625・h1 ≦ p < h1 ・・・(5)
以上のように、本実施形態では、上記のようにテンション部材5を設けることで、特に、曲げ変形する衝突形態について、構造部材の耐衝突性能を向上させることができる。本実施形態のテンション部材5は、幅方向で対向する2つの側壁部3A、3Bが離れる方向に変位することを、テンション(引張力)によって拘束する。この結果、天板部2A、2Bへの衝突荷重の入力に対し、対向する2つの側壁部3A、3Bの面外方向への膨らみ(座屈)を抑制する。すなわち、本実施形態に基づくテンション部材5を設けることで、衝突時の部材断面変形を効果的に抑制し、特に曲げ変形における最大荷重を向上させることが可能となる。
また、金属板からなるテンション部材5は、衝突荷重に対して、引張力を負担し、必ずしも圧縮力について負担する必要がないため、薄板の金属板でも効果を有する。すなわち、耐衝突性能を向上させるために、テンション部材5を設けても、従来に比べて荷重増加を抑制することが可能である。すなわち、金属板からなるテンション部材5を補強部材として設けても、それによる質量の増加を小さく抑えることができる。
次に、本発明に基づく実施例について説明する。
図1及び図2に示すような構成を考え、実施例のテンション部材5の接合は、連続接合で行った場合である。
ハット部材1A、1B及びテンション部材5は、表1のように設定した。またハット断面形状について、断面形状を、表2に示したような「1」〜「6」の諸元に設定して解析を行った。
Figure 2021054399
Figure 2021054399
そして、上記説明したFEM解析による、三点曲げ圧壊試験について、断面形状を「1」とし、補強高さ比rを変えて実行した。その結果を表3に示す。
Figure 2021054399
表3には、断面形状が「1」の場合における、構造部材の質量当たりの最大荷重を示す。
ここで、実施例1〜11は各補強高さ比rに対応する補強位置pにテンション部材5を配置して補強を行った場合の結果であり、比較例1は、テンション部材5を設けなかった場合の結果である。
図6に、横軸を補強高さ比r、縦軸を構造部材の質量当たりの最大荷重としてまとめた結果を示す。図6では、比較例1の値は水平線で示している。
この図6から分かるように、質量当たりの最大荷重は、補強高さ比rが−0.1又はその前後のときに最大となることが分かった。
次に、上記説明したFEM解析による、三点曲げ圧壊試験を、表3に示した結果のうち、性能向上比が最大となった実施例5におけるテンション部材5の板厚tを変えて実行した。その結果を表4に示す。
表4には、断面形状が「1」、補強高さ比rが−0.171の場合において、テンション部材5の板厚tを変えた場合の、構造部材の質量当たりの最大荷重を示す。ここで、比較例1はテンション部材5を設けなかった場合の結果である。
図7に、横軸をテンション部材の板厚t、縦軸を構造部材の質量当たりの最大荷重としてまとめた結果を示す。
この図7から分かるように、質量当たりの最大荷重はテンション部材5の板厚tが0.8のときに最大となることが分かった。
Figure 2021054399
次に、上記説明したFEM解析による、三点曲げ圧壊試験を、断面形状を「2」〜「6」のいずれかに設定し、補強高さ比rを変えて実行した。その結果を表5に示す。
Figure 2021054399
表5に、断面形状が「2」〜「6」の場合における、質量当たりの最大荷重を示す。また、表3や表5に、各断面形状でのテンション部材5による性能向上比の値を合わせて示す。この値は、各補強高さ比rでの質量当たりの最大荷重を、テンション部材5のない場合の質量当たりの最大荷重で除した値である。
図8に、各断面形状において、横軸を補強高さ比r、縦軸を性能向上比としてまとめた結果を示す。
図8に示すように、テンション部材5による性能向上比が最大となるのは、構造部材の断面形状に関係無く、補強高さ比rが−0.1又はその前後のときであることが分かる。また、補強高さ比rが−0.5以上0.375以下で有意に性能向上していることが分かった。より好ましくは、−0.25以上0.125以下、更には、−0.25以上0.00以下であることが分かった。
1 中空部材
1A 第1のハット部材
1B 第2のハット部材
2A、2B 天板部
3A、3B 側壁部
4A、4B フランジ部
5 テンション部材
p 補強位置
r 補強高さ比

Claims (6)

  1. 天板部の両側にそれぞれ側壁部及びフランジ部が連続する断面ハット形状からなる2つのハット部材を、フランジ部同士を接合して閉断面形状を構成する中空部材と、
    上記天板部の幅方向に沿って延在する金属板からなり、対向する2つの側壁部の内面同士を連結して上記2つの側壁部間の距離が広がることを拘束するテンション部材と、
    を備え、
    上記2つのハット部材は、他方のハット部材の高さが、一方のハット部材の高さよりも低く、且つ一方のハット部材の高さの0.5倍以上の高さであり、
    上記テンション部材の厚さが、上記中空部材の板厚よりも板厚が薄い、
    ことを特徴とする車両用構造部材。
  2. 上記テンション部材は、上記他方のハット部材の対向する2つの側壁部の内面同士を連結する、ことを特徴とする請求項1に記載した車両用構造部材。
  3. 天板部の両側にそれぞれ側壁部及びフランジ部が連続する断面ハット形状からなる2つのハット部材を、フランジ部同士を接合して閉断面形状を構成する中空部材と、
    上記天板部の幅方向に沿って延在する金属板からなり、対向する2つの側壁部の内面同士を連結して上記2つの側壁部間の距離が広がることを拘束するテンション部材と、
    を備え、
    上記テンション部材の厚さが、上記中空部材の板厚よりも板厚が薄く、
    上記2つのハット部材の天板部同士が上下で対向配置させた状態において、
    上記2つのハット部材のうち、上側のハット部材の高さをh1とし、下側のハット部材の高さをh2とし、上記上側のハット部材の天板部から上記テンション部材までの上下方向の距離を補強位置pとしたとき、
    下記(1)式で定義される補強高さ比rが、下記(2)式を満足することを特徴とする車両用構造部材。
    r =(h1−p)/h1 :但し、h1 > pの場合
    r =(h1−p)/h2 :但し、h1 < pの場合
    ・・・(1)
    −0.5 ≦ r ≦ 0.375 ・・・(2)
  4. 上記2つのハット部材は、他方のハット部材の高さが、一方のハット部材の高さよりも低く、且つ一方のハット部材の高さの0.5倍以上の高さである、
    ことを特徴とする請求項3に記載の車両用構造部材。
  5. 上記テンション部材は、上記他方のハット部材の対向する2つの側壁部の内面同士を連結する、
    ことを特徴とする請求項4に記載した車両用構造部材。
  6. 中空部材を構成する上記2つのハット部材のうち、上記2つのハット部材の天板部の対向方向に沿った衝突荷重が負荷される可能性が高いと推定されるハット部材を第1のハット部材と記載し、他のハット部材を第2のハット部材と記載したとき、
    上記テンション部材は、上記第2のハット部材を構成する2つの側壁部を連結していることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載した車両用構造部材。
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