JP7006466B2 - 複合積層板のせん断加工方法及びせん断加工装置 - Google Patents

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Description

本開示は、金属層の間に樹脂層を含む複合積層板をせん断加工するときに露出する端面の防食を行うせん断加工方法及びせん断加工装置に関する。
自動車、家電製品、建築構造物、船舶、橋梁、建設機械、各種プラント、ペンストック等で用いる部材の製造には、金属部材が多く用いられ、また、軽量化、熱伝導性向上等を目的として、鉄系材料及びアルミニウム系材料等からなる複層金属板が用いられている。さらには、軽量化や制振性能等を付与するために、金属板の間に樹脂層を含む複合積層板が提案されている(特許文献1)。
金属部材の加工には、せん断加工が多く利用されている。図1及び2に、従来のせん断加工の態様を模式的に示す。図1に、金属の被加工材に穴を形成するせん断加工の態様を模式的に示し、図2に、金属の被加工材に開断面を形成するせん断加工の態様を模式的に示す。
図1に示すせん断加工においては、ダイ30の上に被加工材10を配置し、パンチ20を被加工材10の板厚方向20aに押し込んで、被加工材10に穴を形成する。図2に示すせん断加工においては、ダイ30の上に被加工材10を配置し、同じく、パンチ20を被加工材10の板厚方向20aに押し込んで、被加工材10に開断面を形成する。
図3に、せん断加工で形成される金属の加工材12のせん断加工面19の断面模式図を示す。加工材12のせん断加工面19は、通常、図3に示すように、だれ14、せん断面15、破断面16、及びバリ17によって構成される。だれ14は、被加工材がパンチ20で押し込まれることにより、せん断加工面19のパンチ側表面18aに形成される。せん断面15は、パンチ20とダイ30との間隙に被加工材が引き込まれることにより、被加工材が局所的に引き伸ばされて形成される。破断面16は、パンチ20とダイ30との間隙に引き込まれた被加工材にパンチ側及びダイ側から亀裂が発生し、被加工材が破断して形成される。バリ17は、パンチ20とダイ30との間隙に引き込まれた被加工材が破断して分離する際、せん断加工面19のダイ側表面18bに生じる。
金属板は通常、めっきされて耐食性を付与されているが、上記のようにせん断加工を行うと端面が露出するので、この端面の腐食対策が必要となる。金属板の端面についてめっきにより腐食対策が行われており、複層金属板の端面についても、めっきを行うこと、または端面を樹脂で覆うことが提案されている(特許文献2)。
特開平8-11000号公報 特開平6-146033号公報
上記のように、従来、金属板や複層金属板については端面の防食方法が提案されているが、金属板の間に樹脂を芯材として用いる複合積層板については、効果的な腐食対策はこれまで提案されていない。特許文献2の方法を行えば、複合積層板のせん断加工面についても防食効果を得ることができるものの、めっきを行う場合は、工程数増加のためコストが増加し、端面を樹脂で覆う場合は、工程数と部品点数が増加するためコストが増加する。そのため、複合積層板のせん断加工面の防食を安価に行うことができる方法が求められている。
そこで、本発明者は、上記課題を解決することができる新たなせん断加工方法及びせん断加工装置を見出した。
本開示の要旨は、以下のとおりである。
(1)複合積層板を第1のパンチ及び第2のパンチでせん断加工するせん断加工方法であって、
前記複合積層板は、第1面及びその反対側の第2面を有し、且つ接着層を介して樹脂層を金属層で挟んだ構造を含み、
前記第1のパンチは、前記複合積層板の前記第1面側に配置され、前記第2のパンチは、前記第1のパンチに対向するように前記複合積層板の前記第2面側に配置され、
前記第1のパンチは、前記複合積層板の板厚方向に対して垂直方向に前記第1のパンチの側面から第1の間隔を開けるように、前記第1のパンチの上部に固定された第1の押え部材を備え、
前記第2のパンチは、前記第1の押え部材に対向するように且つ前記複合積層板の板厚方向に対して垂直方向に前記第2のパンチの側面から第2の間隔を開けるように、前記第2のパンチの上部に固定された第2の押え部材を備え、
前記第1の押え部材及び第2の押え部材のヤング率が、前記複合積層板の金属層のヤング率よりも小さく、
前記複合積層板を、前記第1面が第1のダイ側に配置され且つ前記第2面が第2のダイ側に配置されるように、前記第1のダイ及び第2のダイの間に配置すること、
前記複合積層板の前記第1面から前記第2面に向かって前記複合積層板の板厚方向に、前記第1のパンチでせん断加工を行い、且つ、同時に、前記複合積層板の前記第2面から前記第1面に向かって前記複合積層板の板厚方向に、前記第2のパンチでせん断加工を行って前記複合積層板の端面を露出させ、且つ前記せん断加工に伴う発熱により、前記樹脂層の流動応力を低下させること、
少なくとも前記樹脂層の流動応力が低下している間のいずれかの時点で、前記第1の押え部材及び第2の押え部材を前記複合積層板に押しつけて、前記樹脂層の一部を前記端面から流出させて前記金属層の端面を被覆すること、
を含む、せん断加工方法。
(2)前記第1の間隔及び第2の間隔は、前記金属層の合計厚みの50%以上且つ前記複合積層板の板厚の50%以下である、上記(1)に記載のせん断加工方法。
(3)前記第1のパンチ及び第2のパンチのパンチ速度は、10mm/秒以上4000mm/秒未満である、上記(1)または(2)に記載のせん断加工方法。
(4)前記複合積層板が備える金属層の合計厚みに対する前記複合積層板が備える樹脂層の合計厚みの比率が1.00より大きい、上記(1)~(3)のいずれかに記載のせん断加工方法。
(5)前記複合積層板の全体の板厚は0.8mm以上であり、
前記接着層は、100℃以上225℃以下の融点を有し、
前記樹脂層は、前記接着層の融点よりも高い融点を有し、
前記金属層の線膨張係数ηfに対する前記樹脂層の線膨張係数ηpの比率ηp/ηfが3以上である、
上記(1)~(4)のいずれかに記載のせん断加工方法。
(6)複合積層板をせん断加工するためのせん断加工装置であって、
前記複合積層板が、接着層を介して樹脂層を金属層で挟んだ構造を含み、
第1のパンチ及び第2のパンチを備え、
前記第1のパンチは、前記複合積層板の前記第1面側に配置され、前記第2のパンチは、前記第1のパンチに対向するように前記複合積層板の前記第2面側に配置され、
前記第1のパンチは、前記複合積層板の板厚方向に対して垂直方向に前記第1のパンチの側面から間隔を開けるように、前記第1のパンチの上部に固定された第1の押え部材を備え、
前記第2のパンチは、前記第1の押え部材に対向するように且つ前記複合積層板の板厚方向に対して垂直方向に前記第2のパンチの側面から間隔を開けるように、前記第2のパンチの上部に固定された第2の押え部材を備え、
前記第1の押え部材及び第2の押え部材のヤング率が、前記複合積層板の金属層のヤング率よりも小さく、
前記複合積層板の前記第1面から前記第2面に向かって前記複合積層板の板厚方向に、前記第1のパンチでせん断加工を行う機構、及び前記第1のパンチによるせん断加工と同時に、前記複合積層板の前記第2面から前記第1面に向かって前記複合積層板の板厚方向に、前記第2のパンチでせん断加工を行う機構を備えた
せん断加工装置。
(7)前記第1の間隔及び第2の間隔は、前記金属層の合計厚みの50%以上且つ前記複合積層板の板厚の50%以下である、上記(6)に記載のせん断加工装置。
(8)前記複合積層板が備える金属層の合計厚みに対する前記複合積層板が備える樹脂層の合計厚みの比率が1.00より大きい、上記(6)または(7)に記載のせん断加工装置。
(9)前記複合積層板の全体の板厚が0.8mm以上であり、
前記接着層は、100℃以上225℃以下の融点を有し、
前記樹脂層は、前記接着層の融点よりも高い融点を有し、
前記金属層の線膨張係数ηfに対する前記樹脂層の線膨張係数ηpの比率ηp/ηfが3以上である、
上記(6)~(8)のいずれかに記載のせん断加工装置。
本開示の方法によれば、複合積層板のせん断加工と同時にせん断加工面を樹脂で覆うことができるので、複合積層板のせん断加工面の防食を安価に行うことができる。
図1は、被加工材に穴を形成するせん断加工の態様を示す断面模式図である。 図2は、被加工材に開断面を形成するせん断加工の態様を示す断面模式図である。 図3は、被加工材のせん断加工面の断面模式図である。 図4は、複合積層板を従来方法でせん断加工したときの端面の断面模式図である。 図5は、本開示のせん断加工方法の一態様を説明する断面模式図である。 図6は、複合積層板を本開示の方法でせん断加工中の態様を表す断面模式図である。 図7は、本開示の方法で複合積層板のせん断加工を完了したときの態様を表す断面模式図である。 図8は、本開示のせん断加工方法の一態様を説明する断面模式図である。 図9は、本開示のせん断加工方法の一態様を説明する断面模式図である。 図10は、5層構造を有する複合積層板の断面模式図である。 図11は、内板を配置して外板の複合積層板をヘミング加工したときの断面模式図である。 図12は、図11のヘミング加工した複合積層板を、熱処理及び冷却処理したときの断面模式図である。 図13は、従来のハット形鋼(A)及び(C)、並びに複合積層板を用いて得られた負角構造体(B)の断面形状、断面二次モーメント、占有面積(体積)、及び部材剛性の断面効率を比較する表である。
複合積層板は、接着層を介して樹脂層を金属層で挟んだ構造を含む。図4に、複合積層板をせん断加工したときの端面の断面模式図を示す。図4においては、接着層を省略しているが、金属層50と樹脂層70との間を接着層が接着している。複合積層板を、パンチ、ホルダー、及びダイを用いて従来の方法でせん断加工すると、金属層50の端面が露出する。パンチとダイとのクリアランスを比較的大きくしてせん断加工を行う場合は、図4に示すように、樹脂層70が引き延ばされて、複合積層板の両面に配置される2枚の金属層のうち片側の金属層の端部は樹脂により被覆され得るが、両方の金属層の端部を被覆することはできない。
これに対して、本開示によれば、複合積層板の両面側にそれぞれパンチと一体型の押え部材を設けて、金属層及び樹脂層を含む複合積層板を両面からせん断加工を行い、少なくとも樹脂層の流動応力が低下している間のいずれかの時点で、押え部材が金属層を押し込むことによって、樹脂層の樹脂を端面から流出させて、金属層の端面を被覆することができる。これにより、複合積層板のせん断加工面の防食を行うことができる。
本開示は、複合積層板を第1のパンチ及び第2のパンチでせん断加工するせん断加工方法であって、
前記複合積層板は、第1面及びその反対側の第2面を有し、且つ接着層を介して樹脂層を金属層で挟んだ構造を含み、
前記第1のパンチは、前記複合積層板の前記第1面側に配置され、前記第2のパンチは、前記第1のパンチに対向するように前記複合積層板の前記第2面側に配置され、
前記第1のパンチは、前記複合積層板の板厚方向に対して垂直方向に前記第1のパンチの側面から第1の間隔を開けるように、前記第1のパンチの上部に固定された第1の押え部材を備え、
前記第2のパンチは、前記第1の押え部材に対向するように且つ前記複合積層板の板厚方向に対して垂直方向に前記第2のパンチの側面から第2の間隔を開けるように、前記第2のパンチの上部に固定された第2の押え部材を備え、
前記第1の押え部材及び第2の押え部材のヤング率が、前記複合積層板の金属層のヤング率よりも小さく、
前記複合積層板を、前記第1面が第1のダイ側に配置され且つ前記第2面が第2のダイ側に配置されるように、前記第1のダイ及び第2のダイの間に配置すること、
前記複合積層板の前記第1面から前記第2面に向かって前記複合積層板の板厚方向に、前記第1のパンチでせん断加工を行い、且つ、同時に、前記複合積層板の前記第2面から前記第1面に向かって前記複合積層板の板厚方向に、前記第2のパンチでせん断加工を行って前記複合積層板の端面を露出させ、且つ前記せん断加工に伴う発熱により、前記樹脂層の流動応力を低下させること、
少なくとも前記樹脂層の流動応力が低下している間のいずれかの時点で、前記第1の押え部材及び第2の押え部材を前記複合積層板に押しつけて、前記樹脂層の一部を前記端面から流出させて前記金属層の端面を被覆すること、
を含む、せん断加工方法を対象とする。
以下、本開示の方法について、図面を参照しながら説明する。
本開示の方法においては、複合積層板を第1のパンチ及び第2のパンチでせん断加工する。図5に、本開示の方法に用い得るパンチを含むせん断加工装置の断面模式図を示す。図5は、複合積層板に開断面を形成するせん断加工の態様を一例として示しているが、複合積層板に穴を形成する場合にも適用される。以下の説明においても同様である。
図5に示すように、せん断加工装置は、第1面101及びその反対側の第2面102を有する複合積層板100を、第1面101から第2面102に向かってせん断加工する第1のパンチ20、第2面102から第1面101に向かってせん断加工する第2のパンチ20’、並びに複合積層板100を保持する第1のダイ30及び第2のダイ30’を有する。第1のダイ30及び第2のダイ30’は、弾性体31、31’を備えてもよい。
図5に示すせん断加工においては、第1面101及びその反対側の第2面102を有する複合積層板100を、第1面101が第1のパンチ20側に配置され、第2面102が第2のパンチ20’側に配置されるように、第1のダイ30と第2のダイ30’との間に配置する。第1のパンチ20が、複合積層板100の第1面101から第2面102に向かって複合積層板100を打ち抜き、且つ第2のパンチ20’が、複合積層板100の第2面102から第1面101に向かって複合積層板100を打ち抜くことで、抜き材及び加工材を得ることができる。第1のダイ30と第2のダイ30’は、第1のパンチ20及び第2のパンチ20’による打ち抜きの際、複合積層板100を、複合積層板の板厚方向に抑えつけて固定することができる。
第1のパンチ20は、複合積層板100の第1面101側に配置され、第2のパンチ20’は、第1のパンチ20に対向するように複合積層板100の第2面102側に配置される。第1のパンチ20及び第2のパンチ20’は、従来から用いられている形状を有してもよく、好ましくは、図5に模式的に示すように、先端部において、押え部材側に向かって鋭角な形状を有する非対称形状を有する。
第1のパンチ20は、図5に模式的に示すように、上部が拡がったT字またはL字形状を有し、複合積層板100の板厚方向に対して垂直方向に第1のパンチ20の側面から第1の間隔W1を開けるように、第1のパンチ20の上部21に固定された第1の押え部材22を備える。
第2のパンチ20’もまた、図5に模式的に示すように、上部が拡がったT字またはL字形状を有し、第1の押え部材22に対向するように且つ複合積層板100の板厚方向に対して垂直方向に第2のパンチ20’の側面から第2の間隔W1’を開けるように、第2のパンチ20’の上部21’に固定された第2の押え部材22’を備える。本明細書において、パンチの上部とは、複合積層板から遠い方のパンチの部位をいう。
押え部材22のパンチ20の上部21への固定及び押え部材22’のパンチ20’の上部21’への固定は、例えば、接着剤によって行うことができる。
図6に示すように、第1のパンチ20が複合積層板100の板厚方向に押し込まれる際に、第1の押え部材22が複合積層板100の第1面101に押しつけられる。同時に、第2のパンチ20’が複合積層板100の板厚方向に押し込まれ、その際に、第2の押え部材22’が複合積層板100の第2面102に押しつけられる。
図7に示すように、第1のパンチ20及び第2のパンチ20’で複合積層板を打ち抜くときの加工発熱により、樹脂層70の流動応力を低下させ、少なくとも樹脂層70の流動応力が低下している間のいずれかの時点で、第1の押え部材22及び第2の押え部材22’で複合積層板の金属層50を押し込み、複合積層板の内部の樹脂層70の樹脂を端面から流出させて、金属層50の端面を樹脂で被覆することができる。本開示の方法においては、金属層の端面を被覆できれば、樹脂層及び接着層の端面は被覆されていなくてもよいが、好ましくは、金属層、接着層、及び樹脂層の端面全体が被覆される。
第1の間隔W1及び第2の間隔W1’は、好ましくは、複合積層板に含まれる金属層の合計厚みの50%以上且つ複合積層板の板厚の50%以下である。第1の間隔W1及び第2の間隔W1’が前記範囲内であることにより、複合積層板の内部の樹脂の端面からの流出及び流出させた樹脂による金属層の端面の被覆をより良好に行うことができる。
金属層の端面の樹脂による被覆厚みは、好ましくは0.1~3.0mm、より好ましくは0.5~2.5mmである。金属層の端面の樹脂による被覆厚みが前記範囲であることにより、せん断加工面の防食をより安定して行うことができる。
第1のパンチ及び第2のパンチの刃先が接触する前に、第1のパンチ及び第2のパンチの動作を停止する。第1のパンチ及び第2のパンチの停止位置は、金属層がせん断され、第1のパンチ及び第2のパンチの間に、何も存在しないか、端面から押し出された樹脂層の樹脂のみが存在する位置であればよい。押し出された樹脂層の樹脂は簡単に切断することができる。第1のパンチ及び第2のパンチの停止位置における刃先の間隔は、例えば、0.05~0.15mmにすることができる。第1のパンチ及び第2のパンチの停止位置は、サーボ制御することができる。
第1の押え部材及び第2の押え部材のヤング率は、金属層のヤング率よりも小さく、好ましくは複合積層板のヤング率よりも小さい。このようなヤング率を有する押え部材を用いることによって、図7に示すように、第1の押え部材22及び第2の押え部材22’が変形しながら金属層50を押し込み、複合積層板の樹脂層70の樹脂を端面から流出させて、金属層50の端面を樹脂で被覆することができる。
せん断加工時における複合積層板の板厚方向に対して垂直方向における温度分布は、加工発熱により、せん断加工により形成された端面側が高温となり、第1のダイ30及び第2のダイ30’側(以下、ダイ側ともいう)が低温となる。そのため、樹脂層70の流動応力は端面側が低くなり、図7に示すように、複合積層板の端面側が、押え部材による変形量が大きくなる。本明細書において、樹脂層の流動応力とは、第1の押さえ部材22および第2の押さえ部材22’による複合積層板の板厚方向の圧下を受けたときの変形抵抗を意味する。樹脂層の流動応力がせん断加工時の加工発熱により低下して、好ましくは、室温の状態と比べて70%以下に流動応力が低下するときに複合積層板の端面から樹脂が流出する。
第1の押え部材及び第2の押え部材(以下、押え部材ともいう)に用いられる材料のヤング率は、複合積層板のヤング率の好ましくは60%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは1%以下である。押え部材が上記範囲のヤング率を有することにより、複合積層板の端面側の変形量が大きくダイ側の変形量が小さくなるように押え部材が変形しながら金属層を押し込み、複合積層板の内部の樹脂を端面から流出させて、金属層の端面を樹脂で被覆することができる。
押え部材に用いられる材料のヤング率の下限は、好ましくは0.1MPa以上である。この範囲のヤング率を有する押え部材であれば、複合積層板の内部の樹脂を端面から流出させて、金属層の端面を被覆することができる。
押え部材は、金属、合金、セラミックス、及び樹脂から選択される少なくとも1つの材料であることができる。押え部材は、好ましくは樹脂である。
例えば、押え部材に用いられ得る金属材料は、銅(ヤング率:130GPa)、アルミニウム(ヤング率:71GPa)等の柔らかい金属であることができる。
押え部材に用いられ得る合金材料は、アルミニウム合金(ヤング率:68GPa)、黄銅(ヤング率:100GPa)等であることができる。
押え部材に用いられ得るセラミックス材料は、ステアタイト(ヤング率:120GPa)等であることができる。
押え部材に用いられ得る樹脂材料は、ポリウレタン(ヤング率:50MPa)、エチレンゴム(ヤング率:約2~4MPa)、フッ素ゴム(ヤング率:約3~5MPa)等であることができる。押え部材は、好ましくはポリウレタンである。
押え部材は、複数の材料の組み合わせで構成されてもよい。押え部材は、例えば樹脂のみで構成されてもよいし、樹脂と金属、合金、セラミックス、ばね、またはダンパーとの組み合わせで構成されてもよい。例えば、樹脂だけでは荷重が不十分の場合、金属等のより大きなヤング率の材料と組み合わせてもよい。押え部材が複数の材料から構成されている場合、押え部材のヤング率は、押え部材全体のヤング率である。複合積層板のヤング率は、複合積層板全体のヤング率である。
図8に例示するように、第1の押え部材22及び第2の押え部材22’は、先端部に比較的ヤング率が小さい樹脂221、221’を備え、パンチ20、20’の上部21、21’に保持される側に比較的ヤング率が大きい材料、ばね、またはダンパー222、222’を備えてもよい。また、第1の押え部材22及び第2の押え部材22’は、先端部に比較的ヤング率が大きい樹脂を備え、パンチ20、20’の上部21、21’に保持される側にばねまたはダンパーを備えてもよい。
パンチ速度は、好ましくは10mm/秒以上、より好ましくは100mm/秒以上である。上記範囲のパンチ速度でせん断加工を行うことにより、せん断加工面を約400~500℃以上に発熱させて樹脂層の流動応力を低下させ、第1の押え部材及び第2の押え部材で複合積層板の金属層を押し込み、複合積層板の内部の樹脂を端面から流出させて、金属層の端面を樹脂で被覆することができる。パンチ速度が速すぎると、ブランキングラインのずれが発生し得るので、パンチ速度の上限は、好ましくは4000mm/秒未満、より好ましくは2000mm/秒以下、さらに好ましくは1000mm/秒以下、さらにより好ましくは500mm/秒以下である。
第1のパンチ20の先端部の位置から第1の押え部材22の先端部の位置までの、複合積層板100の第2面102から第1面101に向かう板厚方向の距離H1、及び第2のパンチ20’の先端部の位置から第1の押え部材22’の先端部の位置までの、複合積層板100の第1面101から第2面102に向かう板厚方向の距離H2は、少なくとも樹脂層の流動応力が低下している間のいずれかの時点で、第1の押え部材22及び第2の押え部材22’が複合積層板100の金属層50を押しこんで複合積層板の樹脂層70の樹脂を端面から流出させて、金属層の端面を安定して樹脂で被覆させることができる範囲であればよい。図5に、距離H1及び距離H2を有するパンチ及び押え部材を示す。
好ましくは、樹脂層の流動応力が室温の状態に比べて70%以下に低下している間、より好ましくは。樹脂層の流動応力が室温の状態に比べて低下している間、第1の押え部材及び第2の押え部材で複合積層板の金属層を押し込む。
距離H1及び距離H2は、実質的にゼロ、またはマイナスであってもよい。すなわち、せん断加工を行う際に、パンチが複合積層板に接するのと実質的に同時に押え部材も複合積層板に接するか、または押え部材が複合積層板に接した後にパンチが複合積層板に接してもよい。距離H1及び距離H2がこのような範囲であることにより、複合積層板がせん断加工される全行程で、押え部材が変形しながら複合積層板を押さえることができる。
距離H1及び距離H2は、好ましくは0mm以上且つ複合積層板の板厚の100%以下、より好ましくは、複合積層板の金属層の合計厚みの50%以上且つ複合積層板の板厚の50%未満である。距離H1及び距離H2が、上記範囲内であることにより、押え部材が複合積層板を押し過ぎないように且つ樹脂層の流動応力が室温の状態に比べて低下している時間の全部において押え部材が複合積層板を押しこんで樹脂層の樹脂を端面から流出させて、金属層の端面をより安定して樹脂で被覆することができる。
板厚方向に対して垂直方向の第1の押え部材の寸法W2及び第2の押え部材の寸法W2’は、複合積層板を押しこんで樹脂層の樹脂を端面から流出させて、金属層の端面を樹脂で被覆することができる範囲であれば特に限定されないが、好ましくは複合積層板の板厚の50~300%程度であることができる。
押え部材は、好ましくは、先端部においてパンチの刃先(側面)に向かって高さが増加する傾斜部を有する。図9に、せん断加工前のパンチと押え部材の断面模式図を示す。第1の押え部材22及び第2の押え部材22’がそれぞれ、先端部において第1のパンチ20及び第2のパンチ20’の刃先(側面)に向かって複合積層板の板厚方向の長さが増加する傾斜部223、223’を有する場合、傾斜部223、223’が、複合積層板の端面側の変形量が大きくダイ側の変型量が小さくなるように金属層を押し込むことをより安定して行うことができる。
複合積層板の板厚方向に垂直方向における第1のパンチと第1のダイとの間のクリアランス及び第2のパンチと第2のダイとの間のクリアランスは特に限定されないが、例えば、複合積層板の板厚の5~15%程度であることができる。
本開示の方法に用いられる複合積層板は、接着層を介して樹脂層を金属層で挟んだ構造を含む。複合積層板に含まれる層数は特に限定されるものではなく、接着層を介して樹脂層を金属層で挟んだ構造を含む限り、複合積層板は所望の構成を有することができる。
例えば、図10の断面模式図に示すように、複合積層板100は、金属層50/接着層60/樹脂層70/接着層60/金属層50の5層構造を有してもよく、この5層構造に金属層、接着層、及び樹脂層のうち少なくとも1層をさらに加えた構造を有してもよく、あるいは、線材を用いて網状に形成した網状の線材層をさらに含んでもよい。例えば、複合積層板は、金属層/接着層/網状の線材層/樹脂層/網状の線材層/接着層/金属層の7層構造を有してもよい。複合積層板は、好ましくは、金属層/接着層/樹脂層/接着層/金属層の5層構造を有する。
好ましくは、複合積層板の全体の板厚は0.8mm以上であり、接着層は、100℃以上225℃以下の融点を有し、樹脂層は、接着層の融点よりも高い融点を有し、金属層の線膨張係数ηfに対する樹脂層の線膨張係数ηpの比率ηp/ηfは3以上である。これにより、複合積層板は軽量であり且つ良好な曲げ剛性を有し、さらには、この複合積層板を用いれば、複雑な工程や特別な金型を要せずに、密着性の良いかしめ継ぎ手を得ること、及び負角成形を容易に行うことができる。
複合積層板の全体の板厚は、0.8mm以上、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは1.2mm以上、さらに好ましくは1.4mm以上である。複合積層板が上記範囲の板厚を有することにより、曲げ剛性を確保して外板の高級感を高めることができる。複合積層板の全体の板厚の上限は、特に限定されないが、例えば2.3mmであることができる。
曲げ剛性は、素材の弾性係数と形状の断面2次モーメントIの積で表わされる。弾性係数は素材固有の値であり、断面2次モーメントIは以下の式:
I=b×t/12
(式中、bは幅であり、tは板厚である)
で表され、板厚の3乗に比例する。
複合積層板が備える金属層の合計厚みは、好ましくは0.03~0.40mm、より好ましくは0.05~0.20mm、さらに好ましくは0.07~0.15mmである。
複合積層板が備える樹脂層の合計厚みは、好ましくは0.06~0.80mm、より好ましくは0.10~0.50mm、さらに好ましくは0.14~0.30mmである。
金属層及び樹脂層が上記範囲の厚みを有することにより、複合積層板の軽量化及び曲げ剛性をより向上することができる。
複合積層板が備える樹脂層の合計厚み/複合積層板が備える金属層の合計厚みの比率は、好ましくは1.00より大きく6.00以下、より好ましくは1.50以上5.50以下、より好ましくは1.75以上5.00以下、さらに好ましくは2.00以上4.00以下である。
金属層及び樹脂層が、上記樹脂層の厚み/金属層の厚みの比率を有することにより、複合積層板のさらなる軽量化及び曲げ剛性のさらなる向上を図ることができ、より優れた密着性を有するかしめ継ぎ手を得ること、及びより容易に負角形成を行うことが可能となる。また、樹脂層が金属層に対して上記厚みの比率を有することにより、押え部材が金属層を押し込んで複合積層板の樹脂層の樹脂を端面から十分に流出させて、金属層の端面を十分に被覆することができる。
接着層は接着剤で構成され、接着剤は、100℃以上225℃以下の融点を有する。接着剤は、好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下、さらに好ましくは160℃以下の融点を有する。
接着剤は、好ましくは、熱圧着型変性ポリプロピレン接着剤、熱可塑性樹脂系接着剤、エラストマー系接着剤、及び無機系接着剤のうち少なくとも1つである。熱圧着型変性ポリプロピレン接着剤は約160℃の融点を有し得る。
一般に、自動車の外板を作製する際、外板に接するように外板の端部に沿って内板を配置し、外板が内側に配置される内板に密着するように外板にヘミング加工が行われ、かしめ継ぎ手を形成して外板を内板に密着させる。さらに、かしめ継ぎ手を有する外板に、100~225℃、特に170~180℃で20~30分間、焼付け塗装処理(BH処理)が行われる。プレス加工またはフランジ加工を行って溝形構造体若しくはハット形構造体を成形する場合も、同様のBH処理が行われ得る。
接着層の接着剤が上記範囲の融点を有することにより、加熱を伴うBH処理工程で、接着剤の流動性を高めて、ヘミング加工またはプレス加工の際に金属層と樹脂層との間に発生した応力を緩和し、その後の冷却過程で、外力無しに、ヘミング加工またはプレス加工で形成した曲げ角度をさらに閉じることができるので、良好な密着性を有するかしめ継ぎ手を得ることができ、または容易に負角構造体を得ることができる。
樹脂層は樹脂で構成される。樹脂層の樹脂は、接着層の接着剤の融点よりも高い融点、好ましくは接着層の接着剤の融点+20℃以上の融点を有する。樹脂層の樹脂は、好ましくは熱可塑性である。樹脂層の樹脂はまた、好ましくは225℃超、より好ましくは250℃以上、さらに好ましくは270℃以上、さらにより好ましくは290℃以上の融点を有する。樹脂層の樹脂が、上記範囲の融点を有することにより、熱処理において樹脂層が溶融することをより確実に防止することができる。
樹脂層の樹脂は、好ましくは、ポリアミド6(PA6)、アセチルセルロース、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド66(PA66)、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルファイド、及びポリアミドイミドのうち少なくとも1つである。ポリアミド6(PA6)は約225℃の融点、アセチルセルロースは約230℃の融点、ポリブチレンテレフタレートは約245℃の融点、ポリアミド66(PA66)は約265℃の融点、ポリエチレンテレフタレートは約255℃の融点、ポリフェニレンスルファイドは約290℃の融点、ポリアミドイミドは約300℃の融点を有し得る。
図11に、内板80を配置して外板の複合積層板100をヘミング加工したときの断面模式図を示す。図12に、図11のヘミング加工した複合積層板100を、上記所定の温度で熱処理し、次いで100℃未満に冷却処理したときの断面模式図を示す。図11に示すように、ヘミング加工後はスプリングバックが起こるため、複合積層板のかしめ継ぎ手の曲げ角度が開いて、外板と内板との密着性が低下する。複合積層板をヘミング加工後に上記所定の熱処理及び冷却処理を行うことにより、図12に示すように、かしめ継ぎ手の曲げ角度が閉じるために、密着性の高いかしめ継ぎ手を得ることができる。
ヘミング加工は、プレス曲げ、ローラーヘム等の従来方法により行うことができる。外板は、ヘミング加工された後、密着性確保のためにシーラー塗布され得る。
理論に束縛されるものではないが、熱処理及び冷却処理により曲げ角度が閉じる方向に変形する理由は次のように考えられる。
複合積層板から得られたかしめ継ぎ手または溝形構造体若しくはハット形構造体の熱処理過程で、金属層と樹脂層との間の線膨張係数差に起因する熱歪みが発生する。ここで、接着剤の(融点-20℃)以上の温度で熱処理を行うと、接着剤が軟化または溶融するため、金属層と樹脂層との間の接着力が低下して金属層と樹脂層との間でずれが生じ、金属層と樹脂層との線膨張係数差に起因する熱歪みが緩和する。熱処理をした後、100℃未満までの冷却過程で、金属層と樹脂層との間で硬化または再接着が生じ、金属層及び樹脂層は収縮し、線膨張係数差により金属層と樹脂層との間にせん断応力が発生して、曲げ角度が閉じる方向に変形すると考えられる。
100℃未満では金属層と樹脂層との層間は固定され、熱処理の際に、接着剤が軟化または溶融し金属層と樹脂層との層間がずれる必要がある。
金属層は、225℃超の融点を有する金属板または合金板で構成され、好ましくは鋼板、アルミニウム合金板、銅合金板、純チタン板、チタン合金板、またはマグネシウム合金板であることができる。鋼板は、好ましくは270~590MPaの引張強度を有し、例えばめっき鋼板、電気めっき鋼板、ぶりき、または缶用鋼板(TFS:ティンフリースチール)であることができる。
接着層の一層の厚みは、好ましくは0.001~0.200mm、より好ましくは0.050~0.100mm、さらに好ましくは0.100~0.050mmである。接着層が上記範囲の厚みを有することにより、樹脂層と金属層とを良好に接着することができる。
外板をヘミング加工して内板とかしめ継ぎ手を形成する場合、外板を曲げた部分(フランジ部分)の内板と外板との密着性が重要である。内板は、特に限定されず、従来より用いられている金属板等であることができる。
複合積層板のヘミング加工後またはプレス加工後に、熱処理及び冷却処理を行うことにより、熱処理前よりも曲げ角度を低減することができる。熱処理前の曲げ角度に対する曲げ角度の低減角度(閉じ角度)は、好ましくは0.55°以上、より好ましくは2.00°以上、さらに好ましくは2.30°以上、さらにより好ましくは2.50°以上、さらにより好ましくは2.60°以上、さらにより好ましくは5.00°以上、さらにより好ましくは5.10°以上である。曲げ角度の低減角度の上限は特に限定されないが、例えば20°または10°であることができる。
金属層の線膨張係数ηfに対する樹脂層の線膨張係数ηpの比率ηp/ηfが大きいほど、熱処理後の冷却過程での曲げ角度の閉じ角度(変化量)が大きくなり、密着性に優れたかしめ継ぎ手を得ることができ、または容易に負角構造体を得ることができる。
金属層の線膨張係数ηfに対する樹脂層の線膨張係数ηpの比率ηp/ηfは、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、さらに好ましくは7以上である。かしめ継ぎ手を成形する場合、比率ηp/ηfが大きいほど、熱処理後の冷却過程での曲げ角度の閉じ角度(変化量)が大きくなり、密着性に優れたかしめ継ぎ手を得ることが可能であり、上記範囲で、工業的に必要なかしめ力を得ることができる。負角構造体を成形する場合も、比率ηp/ηfが大きいほど、熱処理後の冷却過程での曲げ角度の閉じ角度(変化量)が大きくなり、複雑な工程や特別な金型を要せずに、曲げ角度がより小さい負角構造体を容易に得ることができる。曲げ角度がより小さい負角構造体は、断面2次モーメントを得るための効率がより高く、剛性がより優れている。ηp/ηfの上限値は特に限定されるものではないが、例えばηp/ηfを20以下にしてもよい。
90°曲げの場合にηp/ηfが3であると、熱処理及び冷却処理により、曲げ角度の閉じ角度(変化量)は0.55°になる。稜線開き角度の合計が180°以上となる部品においては、閉じ角度の合計は、1.1°になる。一般に、ヘミング加工により、内板と外板とでかしめ継ぎ手を形成する場合に必要なフランジ長さは25mmであり、面精度は±0.5mmである。すなわち、面精度が低い場合は0.5mmの隙間が生じ、接合不良が生じ得る。ηp/ηfを3以上にすることによって、フランジ端の隙間を0.5mm(25mm×sin(1.1°)=0.5mm)狭めて、隙間を塞ぐことができる。
例えば、樹脂層の材料として好ましいポリアミド6(PA6)の線膨張係数は、5.9~10×10-5/℃であり、アセチルセルロースの線膨張係数は、8~18×10-5/℃であり、ポリブチレンテレフタレートの線膨張係数は、6.0~9.5×10-5/℃であり、ポリアミド66(PA66)の線膨張係数は、8~10×10-5/℃であり、ポリエチレンテレフタレートの線膨張係数は、6.5×10-5/℃であり、ポリフェニレンスルファイドの線膨張係数は、4.9×10-5/℃であり、ポリアミドイミドの線膨張係数は、3.1×10-5/℃である。例えば、金属層の材料として好ましい鋼板の線膨張係数は、9.0~12.8×10-6/℃であり、アルミニウム板の線膨張係数は、23×10-6/℃であり、銅板の線膨張係数は、17.7×10-6/℃である。ηp/ηfが所望の比率になるように、金属層及び樹脂層の材料を選択することができる。
複合積層板は、金属板の間に接着剤を介して樹脂を挟み、熱間圧着して、作製され得る。熱間圧着は、例えば、温度を100~200℃に加熱しながら、0.01~5.00MPaの圧力で1.0×10~1.0×10秒間、プレスすることによって行われる。
上記複合積層板は、プレス加工による曲げ加工後に熱処理及び冷却処理を行うことによって曲げ角度を閉じることができるため、負角成形を容易に行うことができる。負角成形とは、90°よりも小さい曲げ角度を有する成形部を形成することをいう。通常のプレス工法では負角構造体を成形することはできない。負角構造体を成形するには、多工程化や斜めから金型を移動させるカム工法が必要となるが、コストが高くなる。
上記複合積層板を用いて得られる負角構造体は、優れた断面二次モーメント、占有面積(体積)、及び部材剛性の断面効率を両立することができる。
図13に、金属板を用いて従来工法で作製したハット形鋼(A)、上記複合積層板を用いてハット形鋼(A)と同じ断面形状のハット形鋼を従来工法で作製し、次いで熱処理及び冷却処理して作製した負角構造体(B)、及び金属板を用いてフランジ部が負角構造体(B)と同じ幅を有するようにした通常工法で作製したハット形鋼(C)の断面形状、断面二次モーメント、占有面積(体積)、及び部材剛性の断面効率の比較を示す。
断面二次モーメントについては、断面積が最も大きいハット形鋼(A)が優れているが、負角構造体(B)も線長(図芯からの距離)が大きいので良好であり、ハット形鋼(C)は断面積が小さいので劣っている。
占有面積(体積)については、断面積が最も大きいハット形鋼(A)が劣っており、負角構造体(B)及びハット形鋼(C)は優れている。
部材剛性の断面効率については、ハット形鋼(A)及びハット形鋼(C)は不十分であるが、負角構造体(B)は優れている。
本方法において、パンチ及びダイは、上記で説明した構成以外は特に限定されず、従来と同様の材質、寸法、及び形状を有することができる。
本開示の方法はまた、複合積層板をせん断加工するためのせん断加工装置であって、
前記複合積層板が、接着層を介して樹脂層を金属層で挟んだ構造を含み、
第1のパンチ及び第2のパンチを備え、
前記第1のパンチは、前記複合積層板の前記第1面側に配置され、前記第2のパンチは、前記第1のパンチに対向するように前記複合積層板の前記第2面側に配置され、
前記第1のパンチは、前記複合積層板の板厚方向に対して垂直方向に前記第1のパンチの側面から間隔を開けるように、前記第1のパンチの上部に固定された第1の押え部材を備え、
前記第2のパンチは、前記第1の押え部材に対向するように且つ前記複合積層板の板厚方向に対して垂直方向に前記第2のパンチの側面から間隔を開けるように、前記第2のパンチの上部に固定された第2の押え部材を備え、
前記第1の押え部材及び第2の押え部材のヤング率が、前記複合積層板の金属層のヤング率よりも小さく、
前記複合積層板の前記第1面から前記第2面に向かって前記複合積層板の板厚方向に、前記第1のパンチでせん断加工を行う機構、及び前記第1のパンチによるせん断加工と同時に、前記複合積層板の前記第2面から前記第1面に向かって前記複合積層板の板厚方向に、前記第2のパンチでせん断加工を行う機構を備えた
せん断加工装置を対象とする。
複合積層板の第1面から第2面に向かって複合積層板の板厚方向に第1のパンチでせん断加工を行う機構、及び第1のパンチによるせん断加工と同時に、複合積層板の第2面から第1面に向かって複合積層板の板厚方向に第2のパンチでせん断加工を行う機構は、特に限定されないが、例えばカム機構を用いた金型機構やタンカーシリンダー等であることができる。
パンチは、好ましくは10mm/秒以上、より好ましくは100mm/秒以上のパンチ速度でせん断加工するように構成されている。上記範囲のパンチ速度でせん断加工を行うことにより、せん断加工面を約400~500℃以上に発熱させて樹脂層の流動応力を低下させ、第1の押え部材及び第2の押え部材で複合積層板の金属層を押し込み、複合積層板の内部の樹脂を端面から流出させて、金属層の端面を樹脂で被覆することができる。パンチ速度が速すぎると、ブランキングラインのずれが発生し得るので、パンチ速度の上限は、好ましくは4000mm/秒未満、より好ましくは2000mm/秒以下、さらに好ましくは1000mm/秒以下、さらにより好ましくは500mm/秒以下である。
その他、せん断加工方法の構成について説明した上記記載は、せん断加工装置の構成にも適用される。
10 被加工材
100 複合積層板
101 複合積層板材の第1面
102 複合積層板の第2面
14 だれ
15 せん断面
16 破断面
17 バリ
18a パンチ側表面
18b ダイ側表面
19 せん断加工面
20 パンチまたは第1のパンチ
20’ 第2のパンチ
20a 被加工材または複合積層板の板厚方向
21 第1のパンチの上部
21’ 第2のパンチの上部
22 第1の押え部材
22’ 第1の押え部材
221 比較的ヤング率が小さい樹脂
221’ 比較的ヤング率が小さい樹脂
222 比較的ヤング率が大きい材料、ばね、またはダンパー
222’ 比較的ヤング率が大きい材料、ばね、またはダンパー
223 傾斜部
223’ 傾斜部
31 弾性部材
30 ダイまたは第1のダイ
30’ 第2のダイ
50 金属層
60 接着層
70 樹脂層
80 内板
H1 第1のパンチの先端部の位置から第1の押え部材の先端部の位置までの距離
H2 第2のパンチの先端部の位置から第2の押え部材の先端部の位置までの距離
W1 複合積層板の板厚方向に対して垂直方向における第1のパンチの側面からの第1の間隔
W1’ 複合積層板の板厚方向に対して垂直方向における第2のパンチの側面からの第2の間隔
W2 板厚方向に対して垂直方向の第1の押え部材の寸法
W2’ 板厚方向に対して垂直方向の第2の押え部材の寸法

Claims (10)

  1. 複合積層板を第1のパンチ及び第2のパンチでせん断加工するせん断加工方法であって、
    前記複合積層板は、第1面及びその反対側の第2面を有し、且つ接着層を介して樹脂層を金属層で挟んだ構造を含み、
    前記第1のパンチは、前記複合積層板の前記第1面側に配置され、前記第2のパンチは、前記第1のパンチに対向するように前記複合積層板の前記第2面側に配置され、
    前記第1のパンチは、前記複合積層板の板厚方向に対して垂直方向に前記第1のパンチの側面から第1の間隔を開けるように、前記第1のパンチの上部に固定された第1の押え部材を備え、
    前記第2のパンチは、前記第1の押え部材に対向するように且つ前記複合積層板の板厚方向に対して垂直方向に前記第2のパンチの側面から第2の間隔を開けるように、前記第2のパンチの上部に固定された第2の押え部材を備え、
    前記第1の押え部材及び第2の押え部材のヤング率が、前記複合積層板の金属層のヤング率よりも小さく、
    前記複合積層板を、前記第1面が第1のダイ側に配置され且つ前記第2面が第2のダイ側に配置されるように、前記第1のダイ及び第2のダイの間に配置すること、
    前記複合積層板の前記第1面から前記第2面に向かって前記複合積層板の板厚方向に、前記第1のパンチでせん断加工を行い、且つ、同時に、前記複合積層板の前記第2面から前記第1面に向かって前記複合積層板の板厚方向に、前記第2のパンチでせん断加工を行って前記複合積層板の端面を露出させ、且つ前記せん断加工に伴う発熱により、前記樹脂層の流動応力を低下させること、
    少なくとも前記樹脂層の流動応力が低下している間のいずれかの時点で、前記第1の押え部材及び第2の押え部材を前記複合積層板に押しつけて、前記樹脂層の一部を前記端面から流出させて前記金属層の端面を被覆すること、
    を含む、せん断加工方法。
  2. 前記第1の間隔及び第2の間隔は、前記金属層の合計厚みの50%以上且つ前記複合積層板の板厚の50%以下である、請求項1に記載のせん断加工方法。
  3. 前記第1のパンチ及び第2のパンチのパンチ速度は、10mm/秒以上4000mm/秒未満である、請求項1または2に記載のせん断加工方法。
  4. 前記複合積層板が備える金属層の合計厚みに対する前記複合積層板が備える樹脂層の合計厚みの比率が1.00より大きい、請求項1~3のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
  5. 前記複合積層板の全体の板厚は0.8mm以上であり、
    前記接着層は、100℃以上225℃以下の融点を有し、
    前記樹脂層は、前記接着層の融点よりも高い融点を有し、
    前記金属層の線膨張係数ηfに対する前記樹脂層の線膨張係数ηpの比率ηp/ηfが3以上である、
    請求項1~4のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
  6. 複合積層板をせん断加工するためのせん断加工装置であって、
    前記複合積層板が、第1面及びその反対側の第2面を有し、且つ接着層を介して樹脂層を金属層で挟んだ構造を含み、
    第1のパンチ及び第2のパンチを備え、
    前記第1のパンチは、前記複合積層板の前記第1面側に配置され、前記第2のパンチは、前記第1のパンチに対向するように前記複合積層板の前記第2面側に配置され、
    前記第1のパンチは、前記複合積層板の板厚方向に対して垂直方向に前記第1のパンチの側面から第1の間隔を開けるように、前記第1のパンチの上部に固定された第1の押え部材を備え、
    前記第2のパンチは、前記第1の押え部材に対向するように且つ前記複合積層板の板厚方向に対して垂直方向に前記第2のパンチの側面から第2の間隔を開けるように、前記第2のパンチの上部に固定された第2の押え部材を備え、
    前記第1の押え部材及び第2の押え部材のヤング率が、前記複合積層板の金属層のヤング率よりも小さく、
    前記複合積層板の前記第1面から前記第2面に向かって前記複合積層板の板厚方向に、前記第1のパンチでせん断加工を行う機構、及び前記第1のパンチによるせん断加工と同時に、前記複合積層板の前記第2面から前記第1面に向かって前記複合積層板の板厚方向に、前記第2のパンチでせん断加工を行う機構を備えた
    せん断加工装置。
  7. 前記第1の間隔及び第2の間隔は、前記金属層の合計厚みの50%以上且つ前記複合積層板の板厚の50%以下である、請求項6に記載のせん断加工装置。
  8. 前記パンチは、10mm/秒以上4000mm/秒未満のパンチ速度でせん断加工するように構成されている、請求項6または7に記載のせん断加工装置。
  9. 前記複合積層板が備える金属層の合計厚みに対する前記複合積層板が備える樹脂層の合計厚みの比率が1.00より大きい、請求項6~8のいずれか一項に記載のせん断加工装置。
  10. 前記複合積層板の全体の板厚が0.8mm以上であり、
    前記接着層は、100℃以上225℃以下の融点を有し、
    前記樹脂層は、前記接着層の融点よりも高い融点を有し、
    前記金属層の線膨張係数ηfに対する前記樹脂層の線膨張係数ηpの比率ηp/ηfが3以上である、
    請求項6~9のいずれか一項に記載のせん断加工装置。
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