JP7006225B2 - 離型フィルム - Google Patents

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本発明は離型フィルムに関するものであり、詳しくは、識別性が付与された粘着剤層保護用離型フィルムに関する。本発明はまた、この離型フィルムを用いた粘着フィルムに関する。
ポリエステルフィルムは、透明性、機械的強度、寸法安定性、平坦性、耐熱性、耐薬品性等に優れることから、偏光板等の光学部材の表面を傷、汚染から保護する保護フィルム、ディスプレイのバックライトユニット等の部材、包装用、製版用、転写用、建材用等、各種の用途に使用されている。ポリエステルフィルムには、粘着剤層保護用離型フィルムの基材フィルムとしての用途もあり、ポリエステルフィルムの一方の面に離型層を形成した離型フィルムが種々提案されている。
近年、ディスプレイ構成部材の保護等に使用する離型フィルムにおいては、識別性が必要とされる場合がある。
例えば、離型フィルム(軽剥離タイプ)/粘着剤層/離型フィルム(重剥離タイプ)の積層構成からなり、両面の離型フィルムを除去した後は、粘着剤層のみとなるOCA(Optical Clear Adhesive)用基材レス粘着シートは、通常、まず、軽剥離タイプの離型フィルムを剥がし、露出した粘着剤層の一方の面を物体面に接着した後、重剥離タイプの離型フィルムを剥がし、露出した粘着剤層の他方の面を他の物体面に接着するという手順で用いられるが、基材フィルムが無色透明なポリエステルフィルムで構成される離型フィルムにあっては、どちらの粘着剤層表面に剥離力が弱い離型フィルムが貼られているのかを識別するのが難しいという問題があった。
この問題を解決するものとして、例えば、着色フィルムを基材フィルムとして用いた離型フィルムが提案されているが(例えば、特許文献1)、このような離型フィルムは、着色による識別は可能である反面、常時着色しているため、異物検査などの検査工程でフィルムの着色が障害になる場合があった。
このようなことから、通常は無色透明で異物検査等の障害にならず、必要な時にだけ着色等による識別が可能な離型フィルムが望まれる。
この対策として、特許文献2には、100層以上の多層積層構造を有し、光の選択反射性を利用して識別するフィルムが提案されている。しかし、この多層積層フィルムは識別性能に関しては優れる反面、そのフィルム構成が複雑なために製造コストが嵩み、実用性、汎用性に乏しいという問題があった。
特開2013-67743号公報 特開2008-132611号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、特に光学部材製造工程に用いられる粘着剤層保護用離型フィルムとして、必要な場合にだけ識別することが可能であり、かつ粘着剤層から剥離させた後でも、離型フィルムを貼りあわせていた面を確認することができる離型フィルム及びこの離型フィルムを用いた粘着フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、基材のポリエステルフィルムに蛍光増白剤を含む特定の構成からなる離型フィルムにより、上述の課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、ポリエステルフィルムと、該ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に設けられた離型層とを有する離型フィルムであって、該ポリエステルフィルムは蛍光増白剤を0.01重量%以上1.0重量%以下含み、該離型フィルムの波長380nmにおける光線透過率が10%以下であり、該離型層表面の残留接着率が70%以上90%以下であることを特徴とする離型フィルム、に存する。
本発明の一態様では、前記ポリエステルフィルムは、少なくとも3層のポリエステル層が積層された積層ポリエステルフィルムである。
本発明の一態様では、前記積層ポリエステルフィルムの前記離型層形成面側の表面層は、実質的に粒子を含有しないポリエステル層である。
本発明の別の要旨は、本発明の離型フィルムの離型層面に粘着剤層が積層されてなる粘着フィルム、に存する。
本発明によれば、特に光学部材製造時に使用する離型フィルムとして、ディスプレイ製造工程における紫外線照射時に発生する蛍光を利用し、紫外線照射した時だけ蛍光により着色させて識別することが可能であり、着色させたくない場合には、無色透明であるという使用方法に対応可能な離型フィルム及び粘着フィルムが提供される。さらに本発明の離型フィルム及び粘着フィルムでは、離型フィルムの離型層表面からも適度に蛍光増白剤がブリードアウトし、相手方である粘着剤層表面に転着することにより、離型フィルム剥離後においても、粘着剤層表面に紫外線照射することで、離型フィルムを貼り合わせていた面を目視にて確認できる利点を有するので、本発明の工業的価値は高い。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の離型フィルムは、ポリエステルフィルム(以下、「本発明のポリエステルフィルム」と称す場合がある。)と、該ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に設けられた離型層とを有し、該ポリエステルフィルムは蛍光増白剤を0.01重量%以上1.0重量%以下含み、該離型フィルムの波長380nmにおける光線透過率が10%以下であり、該離型層表面について下記の方法で測定した残留接着率(以下、単に「残留接着率」と称す。)が70%以上90%以下であることを特徴とする。
<残留接着率の測定方法>
離型フィルムの離型層表面に粘着テープ(日東電工(株)「No.31B」)を貼り合わせた後、1時間経過後に該粘着テープを剥がし、その粘着テープの該離型層に貼り合せていた面を、表面を洗浄したステンレス板に貼り合わせる。引張試験機の上部チャックに粘着テープ、下部チャックにステンレス板を固定し、300mm/minの速度で、180°方向に引き剥がし、接着力(1)を測定する。別に、未使用の粘着テープ(日東電工(株)「No.31B」)を用い、上記と同じ手順で接着力(2)を測定する。次式により残留接着率を算出する。
残留接着率(%)=[接着力(1)÷接着力(2)]×100
<ポリエステルフィルム>
本発明のポリエステルフィルムとしては、押出法に従って押出口金からポリエステルを溶融押出して得られるシートを延伸処理してなるフィルムが挙げられる。
上記のフィルムを構成するポリエステルとは、ジカルボン酸とジオール、あるいはヒドロキシカルボン酸の縮合によって形成されるエステル基を含むポリマーである。
ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸或いはこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。ジオールとしては、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸としては、p-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸等を例示することができる。
かかるポリマーの代表的なものとして、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン-2,6-ナフタレート等が例示される。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルの固有粘度には特に制限はないが、後述の実施例の項に記載される方法で測定された固有粘度で0.60~0.75dl/g、特に0.60~0.70dl/gであることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、1層のポリエステル層から構成される単層構造であってもよく、2層以上のポリエステル層で構成される積層ポリエステルフィルムであってもよい。特に、本発明のポリエステルフィルムが、3層以上のポリエステル層が積層された積層ポリエステルフィルムであると、離型層形成面側の表面ポリエステル層、離型層形成面と反対側の表面ポリエステル層の各々に好適な配合組成とし、これらの両表面層を中間層のポリエステル層で一体化して、所望の機能を有するポリエステルフィルムとすることができ、好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、蛍光増白剤を含有することを特徴とする。蛍光増白剤は紫外線照射により、蛍光を発光させることで離型フィルムの識別を可能とするために配合される。
本発明のポリエステルフィルムに用いる蛍光増白剤としては、その種類を特に限定するものではないが、例えばスチルベン系、クマリン系、オキサゾール系、イミダゾール系、ナフタルイミド系等の構造のものを挙げることができる。具体的には、4,4’-ビス(ベンズオキサゾール-2-イル)スチルベン、2,5-ビス(5-t-ブチル-2-ベンズオキサゾリル)チオフェン、1,2-ジ(5-メチル-2-ベンジアゾリル)エチレン、1,2-ビス(5-メチル-2-ベンズオキサゾール)エチレン、2,2’-(4,4’-ジフェノールビニル)ジベンズオキサゾール、1,1’-ビフェニル-4,4’-ビス-ベンズオキサゾール、2,5-ビス(ベンズオキサゾール-2-)チオフェン、4-4’-ビス(5-メチル-2-ベンズオキサゾール)エチレン、1,4-ビス(ベンズオキサゾリル-2-イル)エチレン、1,4-ビス(ベンズオキサゾリル-2-イル)ナフタレン、4-4’-ビス[(4-アミノ-6-モルフォリノ-1,3,5-トリアジン-2-イル)アミノ]スチルベン-ジサルフォネート、2,2’-(1,4-ナフタレンジイル)ビス-ベンズオキサゾールなどを挙げることができ、これらのうちの1種を単独で使用することも、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
また、一般に市販されている蛍光増白剤を単独で使用してもよいし、複数を組み合わせて使用してもよい。蛍光増白剤の市販品としては、チバスペシャリティケミカルズ社製の商品「ユビテック」、イーストマン社製の商品「OB-1」、三池染料社製の商品「Mikephor」、バイエル社製の商品「BLANKOPHOR」、クライアント社製の商品「LEUCOPHOR」、住友精化社製の商品「TBO」、日本曹達社製の商品「ケイコール」、日本化薬社製の商品「カヤホール」、住友化学社製の商品「WHITEX」、BASF社製の商品「LumogenF」などが挙げられる。
本発明のポリエステルフィルム中の蛍光増白剤の含有量は0.01~1.0重量%、好ましくは0.01~0.5重量%、さらに好ましくは0.01~0.3重量%である。蛍光増白剤の含有量が0.01重量%未満の場合は、所望する色調変化レベルに到達せず、本発明の目的を達成できない。一方、1.0重量%を超えると、色調変化効果は飽和してしまうことに加え、フィルム表面に過剰にブリードアウトして使用時に悪影響を与える等の問題が発生する。
なお、ここで、蛍光増白剤の含有量は、本発明のポリエステルフィルム中の含有量であり、前述の通り、本発明のポリエステルフィルムが複数のポリエステル層の積層ポリエステルフィルムである場合、各ポリエステル層の含有量は、積層ポリエステルフィルム中の含有量が上記範囲となればよく、特に制限はない。
蛍光増白剤をポリエステルフィルムに配合する方法としては、(1)ポリエステルと蛍光増白剤を、ポリエステルフィルムを成形する押出機に直接添加する方法、(2)あらかじめ蛍光増白剤を練り込んだポリエステル樹脂を製造しておき、これをポリエステルフィルムを成形する押出機に添加する方法等を挙げることができ、このうちいずれか一方の方法を採用してもよく、2つの方法を併用してもよい。
本発明のポリエステルフィルムが積層ポリエステルフィルムである場合、蛍光増白剤は、積層ポリエステルフィルムを構成するポリエステル層のうちの少なくとも1層に含有されていればよく、いずれの層に含有されていてもよい。また、蛍光増白剤は全ポリエステル層に含有されていてもよい。
本発明のポリエステルフィルムが3層積層ポリエステルフィルムである場合、蛍光増白剤を適度に相手方の被着体に移行させる観点から、両表面層に蛍光増白剤を含有し、中間層は蛍光増白剤を含有しないことが好ましいが、何らこの構成に限定されるものではない。ただし、3層積層ポリエステルフィルムの両表面層に蛍光増白剤を含有すると蛍光増白剤を適度に積極的に相手方の被着体に移行させることが可能であり、好ましい。また、中間層に蛍光増白剤を含有しないことで、帯電防止剤など、他の機能を有する添加剤を併用することが可能となる点で好ましい。なお、上記の好ましい態様は、本発明のポリエステルフィルムが中間層を2層以上有することにより4層以上の積層ポリエステルフィルムである場合についても同様である。
本発明のポリエステルフィルムには、取り扱いを容易にするために透明性を損なわない条件で粒子を含有させてもよい。本発明で用いる粒子の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子や、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子を挙げることができる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
用いる粒子の平均粒径は、通常0.05~5.0μm、好ましくは0.1~4.0μmである。平均粒径が5.0μmより大きいとフィルムのヘーズが大きくなり、フィルムの透明性が低下することがある。平均粒径が0.1μmより小さいと表面粗度が小さくなりすぎて、フィルムの取り扱いが困難になる場合がある。なおここで、粒子の平均粒径とは、後述の実施例の項に記載の方法で測定される「d50」である。
本発明のポリエステルフィルムが粒子を含有する場合、その含有量は、通常0.001~5.0重量%であり、好ましくは0.01~3.0重量%である。粒子含有量が多いとヘーズが大きくなり、フィルムの透明性が低下することがあり、粒子含有量が少ないと、粒子を含有させたことによるフィルム取り扱い性の向上効果が十分に得られない場合がある。
本発明のポリエステルフィルムが積層ポリエステルフィルムの場合、粒子は表面層に含有されることが好ましい。この場合、離型層形成面側の表面層には粒子を含有させないことが、離型層の剥離性をさらに均一にできる観点から好ましい。本発明のポリエステルフィルムが3層以上の積層ポリエステルフィルムの場合、離型層形成面とは反対側の表面層のみに粒子を含有させ、中間層と離型層形成面側の表面層には粒子を含有させないことが好ましい。
ポリエステルフィルムに粒子を含有させる方法としては、原料とするポリエステル中に粒子を含有させて添加する方法、ポリエステルフィルムを成形する押出機に直接添加する方法等を挙げることができ、このうちいずれか一方の方法を採用してもよく、2つの方法を併用してもよい。
原料とするポリエステルに粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル化反応終了後、重縮合反応工程で添加してもよく、重縮合反応工程後に添加してもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコール又は水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、又は、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行うこともできる。
本発明のポリエステルフィルム又は本発明の積層ポリエステルフィルムの各ポリエステル層には、必要に応じて上記以外の添加剤を加えてもよい。このような添加剤としては、例えば安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤などが挙げられる。
本発明のポリエステルフィルムの厚さ(積層ポリエステルフィルムの場合は、その全厚さ)は、通常12~125μm、好ましくは12~100μm、さらに好ましくは12~75μmである。ポリエステルフィルムの厚さが12μmよりも薄い、又は125μmよりも厚い場合、フィルムの取扱い性が低下する場合がある。
また、本発明のポリエステルフィルムが積層ポリエステルフィルムである場合、各ポリエステル層の厚さについては特に制限はないが、3層以上の積層ポリエステルフィルムでは、両表面層(両外層)の厚さはそれぞれ3μm以下、特に2μm以下であることが好ましい。両表面層のポリエステル層の厚さが3μmより厚い場合、蛍光増白剤がポリエステルフィルムから適度にブリードアウトさせることが困難になる場合がある。両表面層の厚さの下限は通常1μm以上である。
本発明のポリエステルフィルムの好適な製造方法について以下に具体的に説明するが、本発明のポリエステルフィルムの製造方法は以下の製造方法に何ら限定されるものではない。
本発明のポリエステルフィルムの製造方法としては、前述のポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを、25~60℃の冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得、これを二軸延伸処理して二軸延伸フィルムとする方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/又は液体塗布密着法が好ましく採用される。得られた未延伸シートを二軸方向に延伸するには、まず、未延伸シートを一方向にロール又はテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70~120℃、好ましくは80~110℃であり、延伸倍率は通常2.5~7倍、好ましくは3.0~6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸するが、その場合、延伸温度は通常70~170℃であり、延伸倍率は通常3.0~7倍、好ましくは3.5~6倍である。そして、引き続き180~270℃の温度で緊張下又は30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸延伸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、上記の逐次二軸延伸法ではなく、同時二軸延伸法でポリエステルフィルムを製造することもできる。同時二軸延伸法は、前記の未延伸シートを通常70~120℃、好ましくは80~110℃で温度コントロールされた状態で機械方向(引取方向)および幅方向(引取方向と直交する方向)に同時に延伸し配向させる方法であり、延伸倍率としては、面積倍率で4~50倍、好ましくは7~35倍、さらに好ましくは10~25倍である。そして、引き続き、170~250℃の温度で緊張下又は30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸延伸配向フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来から公知の延伸方式を採用することができる。
さらに上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に塗布層を設ける場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、離型フィルムの基材フィルムとして好適なポリエステルフィルムを製造できる。
なお、2層以上の積層ポリエステルフィルムである本発明のポリエステルフィルムを製造する場合は、上記の未延伸シートの製造において、複数のダイを有する押出機を用いて未延伸積層シートを製造すればよい。
<離型層>
本発明の離型フィルムを構成する離型層の材料は限定されないが、離型性を良好とするために硬化型シリコーン樹脂を含有することが好ましい。離型層は、硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。硬化型シリコーン樹脂以外の材料としては、ポリオレフィンや含フッ素系樹脂等が挙げられる。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等、何れの硬化反応タイプでも用いることができる。具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS-774、KS-775、KS-778、KS-779H、KS-847H、KS-856、X-62-2422、X-62-2461、X-62-1387、KNS-3051、X-62-1496、KNS320A、KNS316、X-62-1574A/B、X-62-7052、X-62-7028A/B、X-62-7619、X-62-7213;GE東芝シリコーン(株)製YSR-3022、TPR-6700、TPR-6720、TPR-6721、TPR6500、TPR6501、UV9300、UV9425、XS56-A2775、XS56-A2982、UV9430、TPR6600、TPR6604、TPR6605、SM3200、SM3030;東レ・ダウコーニング(株)製DKQ3-202、DKQ3-203、DKQ3-204、DKQ3-205、DKQ3-210、SRX357、SRX211、SD7220、LTC303E、LTC750A、LTC760A、SP7259、BY24-468C、SP7248S、BY24-452、SP7268S、SP7265S、LTC1000M、LTC1050L、SYLOFF7900、SYLOFF7198、SYLOFF22A;旭化成ワッカー社製Dehesive430、Dehesive440等が例示される。さらに離型層の剥離性等を調整するために剥離コントロール剤を併用してもよい。
本発明の離型フィルムを構成する離型層では、後述の残留接着率が所定の範囲を満足させるため、硬化型シリコーン樹脂の反応を促進するために、触媒を用いることが好ましく、中でも白金系触媒を用いることが好ましい。本成分としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィンとの錯体、塩化白金酸とアルケニルシロキサンとの錯体等の白金系化合物、白金黒、白金担持シリカ、白金担持活性炭が例示される。
また、硬化型シリコーン樹脂の反応は非常に反応性が高いため、場合によっては、付加反応抑制剤として、アセチレンアルコールを添加することがある。その成分は炭素-炭素3重結合と水酸基を有する有機化合物であるが、好ましくは、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オールおよびフェニルブチノールからなる群から選択される化合物である。
本発明のポリエステルフィルムに離型層を設ける方法としては、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」(槇書店 原崎勇次著1979年発行)に記載がある。
本発明のポリエステルフィルム上に離型層を形成する際の製造条件に関しては特に限定されるわけではなく、例えば、塗布延伸法(インラインコーティング)により離型層を設ける場合、通常、170~280℃で3~40秒間、好ましくは200~280℃で3~40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。一方、オフラインコーティングにより離型層を設ける場合、通常、80~200℃で3~40秒間、好ましくは100~180℃で3~40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。また、塗布延伸法(インラインコーティング)あるいはオフラインコーティングに係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。尚、活性エネルギー線照射による硬化のためのエネルギー源としては、従来から公知の装置とエネルギー源を用いることができる。
離型層の塗工量は塗工性の面から、乾燥後の塗布量として、通常0.005~1g/m、好ましくは0.005~0.5g/mの範囲である。塗工量が0.005g/m未満の場合、塗工性の面より安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難になる場合がある。一方、1g/mを超えて厚塗りにする場合には離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
なお、本発明の離型フィルムの離型層が設けられていない面には、本発明の主旨を損なわない範囲において、接着層、帯電防止層等の他の層を設けてもよい。
また、離型フィルムを構成する本発明のポリエステルフィルムにはあらかじめ、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
<波長380nmの光線透過率>
本発明の離型フィルムは、波長380nmにおける光線透過率が10%以下である。この光線透過率は好ましくは5%以下である。波長380nmにおける光線透過率が10%より大きいと、所望の色調変化レベルに到達せず、本発明の目的を達成できない。
波長380nmにおける光線透過率を10%以下とするには、例えば、蛍光増白剤をポリエステルフィルムに対して、0.01~1.0重量%の範囲で添加する方法が挙げられる。波長380nmにおける光線透過率の下限値は限定されず、通常0%以上である。
なお、離型フィルムの光線透過率は、後述の実施例の項に記載の方法で測定される。
<残留接着率>
本発明の離型フィルムは、貼り合わせる相手方の粘着剤層表面へ、適度に蛍光増白剤を転着させて蛍光による識別を可能とするために、前記した測定方法に基づく残留接着率が70%以上90%以下である。この残留接着率は好ましくは75%以上90%以下である。残留接着率が70%より低いと、蛍光増白剤の移行性が高すぎて、加工工程において、粘着剤層塗布時にロール汚れや粘着剤面に蛍光増白剤が必要以上に移行して、粘着力低下などの不具合を生じる。一方、残留接着率が90%を超える場合、離型層成分由来の粘着剤層表面への移行が少ないため、粘着剤層表面に蛍光増白剤成分の転着が困難になる。
本発明における離型フィルムの残留接着率とは、あくまで離型フィルムの特性を規定したものである。従って、本発明の離型フィルムの使用方法は、残留接着率の測定に用いた粘着テープとの貼り合せのみに限定されるものではない。
なお、離型フィルムの残留接着率の測定方法の詳細は、後述の実施例の項に記載の通りである。
離型フィルムの残留接着率を上記範囲とするには、例えば、離型層の形成に用いる離型剤組成物の触媒の配合量を調整する方法、離型層中にシリコーンオイルなどの移行成分を併用する方法等が挙げられる。
より具体的には、離型剤組成物の触媒配合量を硬化型シリコーン樹脂100重量部に対して1~5重量部として配合する方法などが挙げられる。
<粘着フィルム>
本発明の離型フィルムの使用方法は限定されないが、粘着剤層を積層させた粘着フィルムとして好適に用いることができる。また、離型フィルムの離型層面に粘着剤層が積層されてなる粘着フィルムであることが好ましい。粘着剤層を構成する材料は限定されず、公知の粘着剤を使用することができる。
本発明の離型フィルムは、含有する蛍光増白剤が適度にブリードアウトするので、離型フィルムに粘着剤層を積層した場合、当該粘着剤層側に適量の蛍光増白剤を移行させることができる。このため、本発明の離型フィルムを剥離後の粘着剤層においても、例えばブラックライトの照射等によって、その面を認識することが可能となる。
粘着剤層の両面に離型フィルムを積層する場合は、両面の離型フィルムとして本発明の離型フィルムを用いてもよいが、一方の面を本発明の離型フィルムとし、他方の面は蛍光増白剤を含有しない離型フィルムとする構成の方が好ましい。粘着剤層の両面に本発明の離型フィルムを用いる場合は、蛍光増白剤の種類や含有量の異なる離型フィルムを用いることが好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[物性・特性の評価]
以下において、各種物性・特性は以下のように測定又は定義されたものである。
(1)ポリエステルの固有粘度(dl/g)の測定
ポリエステルに非相溶な成分を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)粒子の平均粒径(d50)
島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置(SA-CP3型)を用いて測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒径を平均粒径d50とした。
(3)離型フィルムの光線透過率の測定
分光光度計(株式会社島津製作所UV-3100PC型)により、スキャン速度を低速、サンプリングピッチを2nm、波長300~700nm領域で連続的に光線透過率を測定し、380nm波長での光線透過率を検出し、下記判定基準で評価した。
《判定基準》
◎:380nm波長での光線透過率5%以下(実用上問題なし。特に良好)
○:380nm波長での光線透過率5%を超え、10%以下(実用上問題なし)
×:380nm波長での光線透過率10%を超える(実用上問題あり)
(4)離型フィルムの識別性(紫外線照射による色調変化)評価
試料フィルムの離型層表面および試料フィルムの離型層面を貼り合わせていた粘着剤層表面に市販のUVランプを用いて、紫外線照射させた。その後、目視による官能評価にて、識別が可能か否かにつき、下記判定基準で評価した。
《判定基準》
○:試料フィルムの離型層表面、および試料フィルムの離型層面を貼り合わせていた粘着剤層表面の両方ともに極めて容易に識別可能(実用上問題なし。特に良好)
△:試料フィルムの離型層表面、および試料フィルムの離型層面を貼り合わせていた粘着剤層表面の両方ともに識別可能(実用上問題なし)
×:少なくとも試料フィルムの離型層表面および試料フィルムの離型層面を貼り合わせていた粘着剤層表面の何れかが識別困難(実用上問題あり)
(5)離型フィルムの残留接着率(離型層成分の移行性)評価
試料フィルムをA4サイズに切り出し、離型層表面に粘着テープ(日東電工(株)「No.31B」)を、重さが2kgの金属ローラーを用いて貼り合わせた後、室温で1時間経過後に、粘着テープを剥がし、その粘着テープを、表面を洗浄したステンレス板に当該金属ローラーを用いて貼り合わせた。引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)の上部チャックに粘着テープ、下部チャックにステンレス板をそれぞれ固定し、300mm/minの速度で、180°方向に引き剥がし、接着力(1)を測定した。
別に、試料フィルムと貼り合わせていない未使用の粘着テープ(日東電工(株)「No.31B」)を用い、上記と同じ手順で接着力(2)を測定した。
残留接着率を次式により算出した。
残留接着率(%)=[接着力(1)÷接着力(2)]×100
残留接着率は下記基準で評価した。
《判定基準》
○:70%以上90%以下(実用上問題なし)
×:70%未満あるいは90%を超える(実用上問題あり)
(6)離型フィルムの剥離力評価
試料フィルムの離型層表面に粘着テープ(日東電工製「No.31B」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、その後室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は、引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行って測定した。測定された剥離力を下記判定基準で評価した。
《判定基準》
○:10~20mN/cmの範囲(実用上問題なし)
×:10mN/cmより小さい、もしくは、20mN/cmより大きい(実用上問題あり)
(7)離型フィルムのブリードアウト性評価
試料フィルムを150℃で30分加熱処理した後、離型層表面を光学顕微鏡にて観察することにより、蛍光増白剤の析出の有無を確認し、下記判定基準で評価した。
《判定基準》
○:蛍光増白剤の析出あり(実用上問題なし。特に良好)
△:蛍光増白剤の析出わずかにあり(実用上問題なし)
×:蛍光増白剤の析出なし(実用上問題あり)
(8)総合評価
剥離力、識別性、ブリードアウト性の各評価項目につき、下記判定基準より総合評価を行った。
《判定基準》
○:剥離力、識別性、ブリードアウト性のすべてが○
△:剥離力、識別性、ブリードアウト性の少なくとも一つが△(×はなし)
×:剥離力、識別性、ブリードアウト性の少なくとも一つが×
[ポリエステルの製造]
実施例及び比較例で用いたポリエステルは以下のようにして製造した。
<ポリエステルAの製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04重量部を添加した後、三酸化アンチモン0.04重量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、固有粘度0.63dl/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステルAの固有粘度は0.63dl/gであった。
<ポリエステルBの製造方法>
ポリエステルAを、あらかじめ160℃で予備結晶化させた後、温度220℃の窒素雰囲気下で固相重合し、固有粘度0.75dl/gのポリエステルBを得た。
<ポリエステルCの製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコール60重量部、エチルアシッドフォスフェートを生成ポリエステルに対して30ppm、触媒として酢酸マグネシウム・四水和物を生成ポリエステルに対して100ppmを窒素雰囲気下、260℃でエステル交換反応をさせた。引き続いて、テトラブチルチタネートを生成ポリエステルに対して50ppm添加し、2時間30分かけて280℃まで昇温すると共に、絶対圧力0.3kPaまで減圧し、さらに80分、溶融重縮合させ、固有粘度0.61dl/gのポリエステルCを得た。
<ポリエステルDの製造方法>
ポリエステルAの製造方法において、平均粒径(d50)が2.3μmのシリカ粒子を0.03重量部添加する以外は、ポリエステルAの製造方法と同様の方法を用いてポリエステルDを得た。得られたポリエステルDの固有粘度は0.63dl/gであった。
<ポリエステルEの製造方法>
ポリエステルCの製造方法において、平均粒径(d50)が2.3μmのシリカ粒子を0.03重量部添加する以外は、ポリエステルCの製造方法と同様の方法を用いてポリエステルEを得た。得られたポリエステルEの固有粘度は0.61dl/gであった。
<ポリエステルFの製造方法>
ポリエステルAの製造方法において、蛍光増白剤としてイーストマン社製の商品「OB-1」を、得られるポリエステル中の蛍光増白剤含有率が10重量%となるように添加する以外は、ポリエステルAの製造方法と同様の方法を用いてポリエステルFを得た。得られたポリエステルFの固有粘度は0.63dl/gであった。
<ポリエステルGの製造方法>
ポリエステルCの製造方法において、蛍光増白剤としてイーストマン社製の商品「OB-1」を、得られるポリエステル中の蛍光増白剤含有率が10重量%となるように添加する以外は、ポリエステルCの製造方法と同様の方法を用いてポリエステルGを得た。得られたポリエステルGの固有粘度は0.61dl/gであった。
[離型剤組成物]
実施例及び比較例で用いた離型剤組成物は、次のようにして調製した。
<離型剤組成物Aの調製方法>
ポリジメチルシロキサンの構造中にビニル基を少なくとも2個有するビニル変性シリコーン樹脂(重量平均分子量:2000)と、ポリジメチルシロキサンの構造中にヒドロシリル基を少なくとも2個有するポリメチルハイドロジェンシロキサン(重量平均分子量:200)を77/22(配合比)となるように混ぜ合わせ、固形分3重量%となるようにトルエン/メチルエチルケトン(MEK)/ヘキサン=1/1/18(重量比)の配合比の混合溶剤で希釈した後、前記の2種のポリジメチルシロキサンの合計を100重量部に対して触媒(東レ・ダウコーニング社製 白金系触媒「SRX-212」)を2重量部加えて、離型剤組成物Aを得た。
<離型剤組成物Bの調製方法>
ポリジメチルシロキサン、触媒、及び溶剤として以下のものを以下の重量配合として用いたこと以外は、離型剤組成物Aと同様にして離型剤組成物Bを調製した。
硬化型シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング社製「LTC303E」):100重量部
触媒(東レ・ダウコーニング社製「SRX-212」):1重量部
MEK/トルエン混合溶剤(混合比率は1:1):1500重量部
<離型剤組成物Cの調製方法>
ポリジメチルシロキサン、触媒、及び溶剤として以下のものを以下の重量配合として用いたこと以外は、離型剤組成物Aと同様にして離型剤組成物Cを調製した。
硬化型シリコーン樹脂(信越化学工業株式会社製「KS-847H」):100重量部
触媒(信越化学工業株式会社製「PL-50T」):10重量部
MEK/トルエン混合溶剤(混合比率は1:1):1500重量部
<離型剤組成物Dの調製方法>
ポリジメチルシロキサン、触媒、シリコーンオイル、及び溶剤として以下のものを以下の重量配合として用いたこと以外は、離型剤組成物Aと同様にして離型剤組成物Dを調製した。
硬化型シリコーン樹脂(信越化学工業株式会社製「KS-847H」):100重量部
触媒(信越化学工業社製「PL-50T」):10重量部
ポリエーテル変性シリコーンオイル(信越化学工業株式会社製「KF-353」):10重量部
MEK/トルエン混合溶剤(混合比率は1:1):1500重量部
[実施例1]
<ポリエステルフィルムF1の製造>
ポリエステル原料C、Gをそれぞれ70重量%、30重量%の割合でブレンドした原料を表層原料(離型層形成面側)、ポリエステル原料C100%原料を中間層原料、ポリエステル原料C、E、Gをそれぞれ70重量%、10重量%、20重量%の割合でブレンドした原料を表層原料(離型層非形成面側)として、3台のベント付き押出機に供給し、290℃で溶融押出した後、静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して厚さ約1500μmの未延伸シートを得た。この未延伸シートを85℃で縦方向(引取方向)に3.4倍延伸した。その後、フィルムをテンターに導き、95℃で横方向(引取方向と直交方向)に4.3倍延伸し、230℃で10秒間熱処理した後に、横方向に2%の弛緩処理を行い、厚さ38μm(厚み構成比=2μm/34μm/2μm)の積層ポリエステルフィルムF1を得た。
<離型層の形成>
離型剤組成物Aを、積層ポリエステルフィルムF1の離型層形成面側に、塗布量(乾燥後)が0.1g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗布した後、180℃で30秒間熱処理を行って、離型剤組成物Aよりなる離型層を形成して離型フィルムを得た。
[実施例2]
実施例1において、離型剤組成物Aを離型剤組成物Bに変更する以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。
[実施例3~7]
実施例1において、積層ポリエステルフィルムの原料配合を表1に示す通りとした以外は実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
[比較例1]
実施例1において、離型剤組成物Aを離型剤組成物Cに変更する以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。
[比較例2]
実施例1において、離型剤組成物Aを離型剤組成物Dに変更する以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。
[比較例3]
実施例1において、積層ポリエステルフィルムの原料配合を表1に示す通りとした以外は実施例1と同様にして離型フィルムを得た。
実施例1~7および比較例1~3で得られた各離型フィルムの評価結果を下記表1に示す。
Figure 0007006225000001
表1より、本発明の離型フィルムであれば、紫外線照射による蛍光増白剤からの蛍光で識別可能であり、また、蛍光増白剤が離型層表面からブリードアウトして相手方の粘着剤層表面に転着することで、離型フィルム剥離後においても紫外線照射することで離型フィルムを貼り合わせていた面を目視にて確認できることが分かる。
これに対して、比較例1,2の離型フィルムは、残留接着率が70%未満あるいは90%を超える場合であり、比較例1では離型層由来成分の粘着剤層表面への移行が少ないため、粘着剤層表面に蛍光増白剤成分の転着が困難となり、識別性に劣る。
また、比較例2の離型フィルムは、特に残留接着率が70%未満と低く、本来、所望する剥離力を得るのが困難である。
更に、蛍光増白剤を用いていない比較例3の離型フィルムでは、識別不可能である。
本発明の離型フィルムは、例えば、偏光板、位相差板など、光学部材の粘着剤層保護用として、識別機能を有し、且つ相手方粘着剤層表面に離型層由来の成分が適度に移行するため、離型フィルムを粘着剤層表面から剥離させた後でも、粘着剤層表面に蛍光増白剤が適度に転着した痕跡を利用して、離型フィルムを貼り合わせていた面を確認できる利点を有する。本発明の離型フィルムは、例えば、離型フィルム(軽剥離タイプ)/粘着剤層/離型フィルム(重剥離タイプ)の構成からなるOCA用基材レス粘着シートにも応用可能である。

Claims (4)

  1. 少なくとも3層のポリエステル層が積層された積層ポリエステルフィルムであって、該ポリエステルフィルムの両表面層に蛍光増白剤を含有するポリエステルフィルムと、該ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に設けられた離型層とを有する離型フィルムであって、前記離型層が硬化型シリコーン樹脂を含有し、
    該ポリエステルフィルムは蛍光増白剤を0.01重量%以上1.0重量%以下含み、
    該離型フィルムの波長380nmにおける光線透過率が10%以下であり、
    該離型層表面の残留接着率が70%以上90%以下であることを特徴とする、被着体の貼合面識別用離型フィルム。
  2. 請求項1において、前記積層ポリエステルフィルムの前記離型層形成面側の表面層は、粒子を含有しないポリエステル層であることを特徴とする被着体の貼合面識別用離型フィルム 。
  3. 請求項1又は2に記載の離型フィルムの離型層面に粘着剤層が積層されてなる、被着体の貼合面識別用粘着フィルム。
  4. 請求項1又は2に記載の被着体の貼合面識別用離型フィルムまたは請求項3に記載の被着体の貼合面識別用粘着フィルムを被着体に貼合した後、該被着体から該離型フィルムまたは該粘着フィルムを剥離させ、その後、該被着体表面にブラックライトを照射して、蛍光増白剤の転着の有無を確認する、離型フィルムまたは粘着フィルムの使用方法。
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