JP7005874B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Description
特許文献2では、トナー粒子と、前記トナー粒子表面に外添された外添剤とを有する静電荷像現像トナーが記載されており、更に窒素原子重量分率が5%以上50%以下の有機化合物を前記トナー粒子の表面に有すること、前記有機化合物が、ポリエチレンイミンであることが記載されている。当該トナーは、高温高湿環境下においてもかぶりを発生させることなく画像濃度の低下及び画像の面内ムラが生じにくいと記載されている。
特許文献3では、結着樹脂を含有し、アルキル化ポリアルキレンビグアニド、アルキル化ポリアルキレングアニジン、及びアルキル化ポリアルキレンイミンから選ばれる少なくとも1種の化合物を表面に有するトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーが記載されている。これにより、画像濃度のムラの発生を抑制する静電荷像現像用トナーが得られると記載されている。
本発明は、低温定着性及び低温定着性の経時安定性に優れる静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。
〔1〕酸性基を有する非晶性樹脂と、ポリオレフィン骨格、並びにアミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、ジアゾ基、及びアジ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性窒素含有基を有する化合物Bと、結晶性ポリエステル樹脂とを含有する、静電荷像現像用トナー。
〔2〕酸性基を有する非晶性樹脂と、ポリオレフィン骨格、並びにアミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、ジアゾ基、及びアジ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性窒素含有基を有する化合物Bと、結晶性ポリエステル樹脂との共存下で熱処理する工程を含み、
前記熱処理する工程の最高温度が前記化合物Bの融点より10℃低い温度以上、前記化合物Bの融点より100℃高い温度以下である、静電荷像現像用トナーの製造方法。
本発明に係る静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう)は、酸性基を有する非晶性樹脂(以下、単に「非晶性樹脂A」ともいう)と、ポリオレフィン骨格、並びにアミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、ジアゾ基、及びアジ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性窒素含有基を有する化合物B(以下、単に「化合物B」ともいう)と、結晶性ポリエステル樹脂(以下、「結晶性ポリエステル樹脂C」ともいう)とを含有する。
以上の構成によれば、低温定着性及び低温定着性の経時安定性に優れるトナー及びその製造方法が提供される。
樹脂が結晶性であるか非晶性であるかについては、結晶性指数により判定される。結晶性指数は、後述する実施例に記載の測定方法における、樹脂の軟化点と吸熱の最大ピーク温度との比(軟化点(℃)/吸熱の最大ピーク温度(℃))で定義される。結晶性樹脂とは、結晶性指数が0.6以上1.4以下の樹脂である。非晶性樹脂とは、結晶性指数が0.6未満又は1.4超の樹脂である。結晶性指数は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。
本明細書において、「結着樹脂」とは、非晶性樹脂A及び結晶性ポリエステル樹脂Cを含むトナー中に含まれる樹脂成分を意味する。
明細書中、ポリエステル樹脂のカルボン酸成分には、その例示の化合物のみならず、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び各カルボン酸のアルキルエステル(アルキル基の炭素数1以上3以下)も含まれる。
「(メタ)アクリル酸アルキル」とは、アクリル酸アルキル又はメタクリル酸アルキルを示す。また、アルキル部位について「(イソ)」とは、ノルマルアルキル又はイソアルキルを意味する。
非晶性樹脂Aは、低温定着性及び低温定着性の経時安定性に優れるトナーを得る観点から、酸性基を有する。
酸性基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基が挙げられる。これらの中でもカルボキシ基が好ましい。
非晶性樹脂Aは、酸性基を有する限り特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂が挙げられる。これらの中でもポリエステル系樹脂が好ましい。ポリエステル系樹脂の場合、樹脂のポリマー鎖末端のカルボキシ基は、少なくとも前述の酸性基に該当する。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、変性されたポリエステル系樹脂が挙げられる。変性されたポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂がウレタン結合で変性されたウレタン変性ポリエステル系樹脂、ポリエステル樹脂がエポキシ結合で変性されたエポキシ変性ポリエステル系樹脂、ポリエステル樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントとを含む複合樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との縮合物である。
アルコール成分としては、例えば、芳香族ジオール、直鎖又は分岐の脂肪族ジオール、脂環式ジオール、3価以上の多価アルコールが挙げられる。これらの中でも、芳香族ジオールが好ましい。
芳香族ジオールは、好ましくはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物であり、より好ましくは式(I):
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、ビスフェノールA〔2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン〕のプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、更に好ましくは100モル%である。
脂環式ジオールとしては、例えば、水素添加ビスフェノールA〔2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン〕、水素添加ビスフェノールAの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド付加物(平均付加モル数2以上12以下)が挙げられる。
3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールが挙げられる。
これらのアルコール成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
ジカルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸、直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸が挙げられる。これらの中でも、芳香族ジカルボン酸、及び、直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が挙げられる。これらの中でも、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは40モル%以上であり、そして、好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下、更に好ましくは75モル%以下である。
直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アゼライン酸、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸が挙げられる。炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸としては、例えば、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸が挙げられる。これらの中でも、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基で置換されたコハク酸が好ましく、フマル酸、セバシン酸がより好ましい。
直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上であり、そして、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。
3価以上の多価カルボン酸を含む場合、3価以上の多価カルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは3モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上であり、そして、好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%以下、更に好ましくは30モル%以下である。
これらのカルボン酸成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
複合樹脂は、ポリエステル樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントとを含む。ポリエステル樹脂セグメントは、前述のポリエステル樹脂からなることが好ましい。
ビニル系樹脂セグメントは、好ましくは、スチレン系化合物を含む原料モノマーの付加重合物であり、より好ましくは、スチレン系化合物及び炭素数3以上22以下の脂肪族炭化水素基を有するビニル系モノマーを含有する原料モノマーの付加重合物である。
スチレン系化合物としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、tert-ブチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン、スチレンスルホン酸又はその塩が挙げられる。これらの中でも、スチレンが好ましい。
スチレン系化合物の量は、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。
脂肪族炭化水素基を有するビニル系モノマーは、好ましくは(メタ)アクリル酸のアルキルエステルである。(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの場合、炭化水素基はエステルのアルコール側残基である。
(メタ)アクリル酸のアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸(イソ)プロピル、(メタ)アクリル酸(イソ)ブチル、(メタ)アクリル酸(イソ)ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸(イソ)オクチル、(メタ)アクリル酸(イソ)デシル、(メタ)アクリル酸(イソ)ドデシル(以下、(メタ)アクリル酸(イソ)ラウリルともいう)、(メタ)アクリル酸(イソ)パルミチル、(メタ)アクリル酸(イソ)ステアリル、(メタ)アクリル酸(イソ)ベヘニルが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルが好ましい。
複合樹脂は、ポリエステル樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントを連結するため、ポリエステル樹脂セグメント及びビニル系樹脂セグメントと共有結合を介して結合した両反応性モノマー由来の構成単位を有していてもよい。
「両反応性モノマー由来の構造単位」とは、両反応性モノマーの官能基、ビニル部位が反応した単位を意味する。
両反応性モノマーとしては、例えば、分子内に、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、第1級アミノ基、及び第2級アミノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するビニル系モノマーが挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、水酸基又はカルボキシ基を有するビニル系モノマーが好ましく、カルボキシ基を有するビニル系モノマーがより好ましい。
両反応性モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸が挙げられる。これらの中でも、重縮合反応と付加重合反応の双方の反応性の観点から、アクリル酸、又はメタクリル酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。
両反応性モノマー由来の構成単位の量は、複合樹脂のポリエステル樹脂セグメントのアルコール成分100モル部に対して、好ましくは1モル部以上、より好ましくは3モル部以上、更に好ましくは5モル部以上であり、そして、好ましくは30モル部以下、より好ましくは25モル部以下、更に好ましくは20モル部以下である。
ビニル系樹脂セグメントの量は、複合樹脂中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
両反応性モノマー由来の構成単位の量は、複合樹脂中、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
複合樹脂中のポリエステル樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントと、両反応性モノマー由来の構成単位の合計量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは93質量%以上、更に好ましくは95質量%以上であり、そして、100質量%以下であり、好ましくは99質量%以下である。
非晶性樹脂Aは、ポリエステル樹脂である場合、例えば、アルコール成分及びカルボン酸成分の重縮合により得られる。
必要に応じて、ジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)、酸化ジブチル錫、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のエステル化触媒をアルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対し0.01質量部以上5質量部以下;没食子酸(3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸と同じ。)等のエステル化助触媒をアルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対し0.001質量部以上0.5質量部以下用いて重縮合してもよい。
重縮合反応の温度は、好ましくは120℃以上、より好ましくは160℃以上、更に好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下である。なお、重縮合は、不活性ガス雰囲気中にて行ってもよい。
工程Aの後に工程Bを行ってもよいし、工程Bの後に工程Aを行ってもよく、工程Aと工程Bを同時に行ってもよい。
工程Aにおいて、カルボン酸成分の一部を重縮合反応に供し、次いで工程Bを実施した後に、カルボン酸成分の残部を重合系に添加し、工程Aの重縮合反応及び必要に応じて両反応性モノマーとの反応を更に進める方法が好ましい。
工程Aの条件は、前述のポリエステル樹脂の製造方法と同様である。
重合開始剤の使用量は、ビニル系樹脂セグメントの原料モノマー100質量部に対して、好ましくは1質量部以上20質量部以下である。
付加重合反応の温度は、好ましくは110℃以上、より好ましくは130℃以上であり、そして、好ましくは220℃以下、より好ましくは210℃以下である。
非晶性樹脂Aの軟化点は、耐熱保存性をより向上させる観点から、好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、そして、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、更に好ましくは125℃以下である。
非晶性樹脂Aのガラス転移温度は、耐熱保存性をより向上させる観点から、好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、更に好ましくは40℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、更に好ましくは70℃以下である。
非晶性樹脂Aの軟化点、ガラス転移温度、及び酸価は、原料モノマーの種類及びその使用量、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができ、また、それらの値は、実施例に記載の方法により求められる。
なお、非晶性樹脂Aを2種以上組み合わせて使用する場合は、それらの混合物として得られた軟化点、ガラス転移温度、及び酸価の値がそれぞれ前述の範囲内であることが好ましい。
化合物Bは、低温定着性及び低温定着性の経時安定性に優れるトナーを得る観点から、ポリオレフィン骨格、及び塩基性窒素含有基を有する。化合物Bは、非晶性樹脂A中に分散していることが好ましい。つまり、化合物Bがトナー粒子内部に分散していることが好ましい。
アミノ基は、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基のいずれであってもよい。
化合物Bの結着樹脂Aへの親和性の観点からは、アミノ基が好ましい。
ポリオレフィン骨格を形成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、ポリテトラデセン、ポリヘキサデセン、ポリオクタデセン、ポリエイコセン、ポリドコセン又はこれらの単量体の共重合体が挙げられる。
ポリオレフィン骨格としては、ポリプロピレン骨格、ポリエチレン骨格、プロピレン/ポリエチレン共重合体骨格が好ましく、ポリエチレン骨格、ポリプロピレン骨格がより好ましく、ポリプロピレン骨格が更に好ましい。
塩基性窒素含有基原料としては、例えば、ポリアミン化合物が挙げられる。
ポリアミン化合物としては、例えば、ポリアルキレンアミン、ポリアリルアミン、ポリアミノアルキルメタクリレートが挙げられる。
ポリアミン化合物としては、酸性基を有する結着樹脂への吸着性の観点から、1級及び2級からなる群より選ばれる少なくとも1種のアミノ基を有するポリアルキレンアミンが好ましい。
ポリアルキレンアミンとしては、例えば、ポリエチレンアミン、ポリプロピレンアミン、ポリブチレンアミンが挙げられる。
ポリエチレンアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、数平均分子量300以上15,000以下のポリエチレンイミンが挙げられる。中でも、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、数平均分子量300以上3,000以下のポリエチレンイミンが更に好ましく数平均分子量300以上2,000以下のポリエチレンイミンが更に好ましい。
ポリエチレンイミンの市販品としては、例えば、「エポミン」シリーズの「SP-003」、「SP-006」、「SP-012」、「SP-018」(以上、純正化学株式会社製)が挙げられる。
ポリアミノアルキルメタクリレートとしては、例えば、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートが挙げられる。
塩基性窒素含有基原料のアミン価は、後述の方法により測定できる。
これらの中でも、低温定着性及び低温定着性の経時安定性を向上させる観点から、ポリエチレンイミンが好ましい。
ポリオレフィン骨格原料としては、例えば、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性エチレン/プロピレン共重合体、無水マレイン酸変性エチレン/ヘキセン共重合体等の無水マレイン酸変性ポリオレフィンが挙げられる。
酸変性ポリオレフィンは、片末端酸変性ポリオレフィンが好ましく、片末端無水マレイン酸変性ポリオレフィンがより好ましい。
ポリオレフィン骨格原料の数平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により求めることができる。
化合物Bは、塩基性窒素含有基原料とポリオレフィン骨格原料との反応により得られる。
反応温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは150℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは170℃以下である。
化合物Bの融点は、低温定着性及び低温定着性の経時安定性を向上させる観点から、好ましくは34℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは65℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下である。
融点の測定方法は実施例に記載の方法による。
化合物Bのアミン価は、後述の方法により測定できる。
トナーは、低温定着性及び低温定着性の経時安定性に優れるトナーを得る観点から、結晶性ポリエステル樹脂Cを含有する。
結晶性ポリエステル樹脂Cは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物であり、好ましくはα,ω-脂肪族ジオールを含むアルコール成分と脂肪族ジカルボン酸を含むカルボン酸成分との重縮合物である。
α,ω-脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは6以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは14以下、更に好ましくは12以下である。
α,ω-脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオールが挙げられる。これらの中でも、低温定着性をより向上させる観点から、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオールが好ましく、1,4-ブタンジオール、1,10-デカンジオールがより好ましく、1,10-デカンジオールが更に好ましい。
α,ω-脂肪族ジオールの量は、アルコール成分中、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、そして100モル%以下であり、更に好ましくは100モル%である。
脂肪族ジカルボン酸の炭素数は、好ましくは4以上、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上であり、そして、好ましくは14以下、より好ましくは12以下である。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸が挙げられる。これらの中でも、低温定着性をより向上させる観点から、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸が好ましく、セバシン酸、テトラデカン二酸がより好ましく、セバシン酸が更に好ましい。これらのカルボン酸成分は、1種又は2種以上を用いてもよい。
脂肪族ジカルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、更に好ましくは100モル%である。
結晶性ポリエステル樹脂Cの軟化点は、低温定着性の経時安定性をより向上させる観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下、更に好ましくは100℃以下である。
トナーは、ワックスを含有していてもよい。
ワックスとしては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス;マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス等の炭化水素系ワックス又はそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス又はそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。
ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
トナーは、荷電制御剤を含有していてもよい。
荷電制御剤は、正帯電性荷電制御剤、負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN―11」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリヱント化学工業株式会社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP―B」(オリヱント化学工業株式会社製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ―2001」、「PLZ―8001」(以上、四国化成工業株式会社製)等;スチレン-アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」(藤倉化成株式会社製)等が挙げられる。
荷電制御剤の中でも、負帯電性荷電制御剤が好ましく、サリチル酸化合物の金属化合物がより好ましい。
トナーは、着色剤を含有していてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン-Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエローが挙げられる。本発明のトナーは、黒トナー、黒以外のカラートナーのいずれであってもよい。
トナー粒子をトナーとしてそのまま用いることもできるが、後述の外添剤をトナー粒子表面に添加処理したものをトナーとして使用することが好ましい。
トナーは、好ましくは乾式トナーとして用いられる。
トナーは、溶融混練法、乳化転相法、乳化重合法、乳化凝集法等の公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。
本発明のトナーの製造方法は、好ましくは、酸性基を有する非晶性樹脂Aと、ポリオレフィン骨格、並びにアミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、ジアゾ基、及びアジ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性窒素含有基を有する化合物Bと、結晶性ポリエステル樹脂Cとの共存下で熱処理する工程を含む。
ここで、熱処理する工程の最高温度は、化合物Bの融点より10℃低い温度以上、化合物Bの融点より100℃高い温度以下である。
このような、製造方法により、トナーの低温定着性及び低温定着性の経時安定性がより向上する。定かではないが、非晶性樹脂Aと化合物Bと結晶性ポリエステル樹脂Cとの共存下、化合物Bの融点より10℃低い温度以上で熱処理することで、非晶性樹脂Aと化合物Bとが化学的な相互作用を及ぼしつつ、完全相溶に至らず、非晶性樹脂A中で化合物Bを微分散することができ、化合物Bの有するポリオレフィン骨格が結晶性ポリエステル樹脂Cの分散性を高め、トナーの低温定着性及び低温定着性の経時安定性がより向上すると考えられる。
例えば、溶融混練法においては、後述の溶融混練工程が、当該熱処理工程に相当する。乳化凝集法においては、凝集後の融着工程が当該熱処理工程に相当する。
工程1:非晶性樹脂A、化合物B、及び結晶性ポリエステル樹脂Cを含有する混合物を溶融混練する工程、及び
工程2:工程1で得られた溶融混練物を粉砕、分級しトナー粒子を得る工程
を含む。
当該工程1における最高温度が、前述の熱処理する工程の最高温度の範囲であることが好ましい。
工程1の溶融混練には、密閉式ニーダー、一軸押出機、又は二軸押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができる。これらの中でも混練温度を広く設定することのできる二軸押出機が好ましい。
溶融混練する温度は、好ましくは80℃以上160℃以下である。
工程1で得られた溶融混練物を、粉砕が可能な程度に冷却した後、続く工程2に供する。
粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、例えば、ハンマーミル、アトマイザー、ロートプレックスが挙げられる。微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、例えば、流動層式ジェットミル、衝突板式ジェットミル、回転型機械式ミルが挙げられる。これらの中でも、粉砕効率の観点から、流動層式ジェットミル、衝突板式ジェットミルが好ましく、衝突板式ジェットミルがより好ましい。
トナー粒子のCV値は、高画質の画像を得る観点から、好ましくは12%以上、より好ましくは14%以上、更に好ましくは16%以上であり、そして、好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下である。
外添剤としては、例えば、疎水性シリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化セリウム、カーボンブラック等の無機材料微粒子、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子が挙げられる。これらの中でも、疎水性シリカが好ましい。
外添剤を用いる場合、外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4.5質量部以下、更に好ましくは4質量部以下である。
〔樹脂の酸価〕
樹脂の酸価は、JIS K 0070-1992に記載の中和滴定法に従って測定した。ただし、測定溶媒をクロロホルムとした。
(1)軟化点
フローテスター「CFT-500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
(2)結晶性指数、吸熱の最大ピーク温度
示差走査熱量計「Q100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、室温(20℃)から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで試料をそのまま1分間保持させ、その後、昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し熱量を測定した。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度(1)として、(軟化点(℃))/(吸熱の最大ピーク温度(1)(℃))により、結晶性指数を求めた。
(3)ガラス転移温度
示差走査熱量計「Q100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで試料を昇温速度10℃/minで昇温し、熱量を測定した。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度(2)とした。結晶性樹脂の時には該ピーク温度を融点とした。
また、非晶性樹脂の場合にピークが観測されるときはそのピークの温度を、ピークが観測されずに段差が観測されるときは、該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の低温側のベースラインの延長線との交点の温度をガラス転移温度とした。
示差走査熱量計「Q100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温した後、200℃から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで、試料を昇温速度10℃/minで昇温し、熱量を測定し、吸熱の最大ピーク温度を融点とした。
塩基性窒素含有基原料及び化合物Bのアミン価は、JIS K2501:2003の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K2501:2003の規定のクロロベンゼンからクロロホルムに変更する。
以下に示す、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により数平均分子量を求めた。
(1) 試料溶液の調製
試料濃度が0.2g/100mLになるように、原料を、0.15mol/LのNa2SO4を含有する1質量%酢酸水溶液に溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業株式会社製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とした。
(2) 分子量測定
以下の測定装置と分析カラムを用い、溶離液として0.15mol/LのNa2SO4を含有する1質量%酢酸水溶液を、1mL/minの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して分子量を測定した。試料の分子量(数平均分子量Mn)は、数種類の標準プルラン(タイプ名(Mw):「P-5」(5.9×103)、「P-50」(4.73×104)、「P-200」(2.12×105)、「P-800」(7.08×105);いずれも昭和電工株式会社製)を標準試料として、あらかじめ作成した検量線に基づき算出した。
測定装置:「HLC-8320GPC」(東ソー株式会社製)
分析カラム:「α」+「α-M」+「α-M」(いずれも東ソー株式会社製)
トナー粒子の体積中位粒径(D50)は、次の通り測定した。
・測定機:「コールターマルチサイザー(登録商標)III」(ベックマンコールター株式会社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:「マルチサイザー(登録商標)IIIバージョン3.51」(ベックマンコールター株式会社製)
・電解液:「アイソトン(登録商標)II」(ベックマンコールター株式会社製)
・分散液:ポリオキシエチレンラウリルエーテル「エマルゲン(登録商標)109P」〔花王株式会社製、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)=13.6〕を前記電解液に溶解させ、濃度5質量%の分散液を得た。
・分散条件:前記分散液5mLに乾燥後のトナー粒子の測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製した。
・測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒径分布から体積中位粒径(D50)及び体積平均粒径を求めた。
また、CV値(%)は次の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径)×100
〔低温定着性(最低定着温度T1)〕
上質紙「J紙A4サイズ」(富士ゼロックス株式会社製)に市販のプリンタ「Microline(登録商標)5400」(株式会社沖データ製)を用いて、トナーの紙上の付着量が1.49~1.51mg/cm2となるベタ画像をA4紙の上端から5mmの余白部分を残し、50mmの長さで定着させずに出力した。
次に、定着器を温度可変に改造した同プリンタを用意し、定着器の温度を110℃にし、A4縦方向に1枚あたり1.5秒の速度でトナーを定着させ、印刷物を得た。
同様の方法で定着器の温度を5℃ずつ上げて、トナーを定着させ、印刷物を得た。
印刷物の画像上の上端の余白部分からベタ画像にかけて、メンディングテープ「Scotch(登録商標)メンディングテープ810」(住友スリーエム株式会社製、幅18mm)を長さ50mmに切ったものを軽く貼り付けた後、500gのおもり(接触面積1963mm2)を載せ、速さ10mm/sで1往復押し当てた。その後、貼付したテープを下端側から剥離角度180°、速さ10mm/sで剥がし、テープ剥離後の印刷物を得た。テープ貼付前及び剥離後の印刷物の下に上質紙「エクセレントホワイト紙A4サイズ」(株式会社沖データ製)を30枚敷き、各印刷物のテープ貼付前及び剥離後の定着画像部分の反射画像濃度を、測色計「SpectroEye」(GretagMacbeth社製、光射条件;標準光源D50、観察視野2°、濃度基準DINNB、絶対白基準)を用いて測定し、各反射画像濃度から次の式に従って定着率を算出した。
定着率(%)=(テープ剥離後の反射画像濃度/テープ貼付前の反射画像濃度)×100
定着率が90%以上となる最低の温度を最低定着温度T1とした。最低定着温度が低いほど低温定着性に優れることを表す。
トナーを温度45℃、相対湿度50%の恒温槽で150時間保持した後、前記低温定着性の評価と同様の方法で高温高湿保管後の最低定着温度T2を評価した。最低定着温度が低いほど高温保管後の低温定着性に優れることを表す。
製造例A1(樹脂A-1(非晶性樹脂)の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した内容積10Lの四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(2.2)付加物4289g、テレフタル酸1322g、ジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)25g、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸2.5gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、235℃に昇温し、235℃で8時間保持した後、フラスコ内の圧力を下げ、8kPaにて1時間保持した。その後、大気圧に戻した後、160℃まで冷却し、160℃に保持した状態で、スチレン1041g、アクリル酸2-エチルヘキシル260g、アクリル酸71g、及びジブチルパーオキサイド160gの混合物を1時間かけて滴下した。その後、30分間160℃に保持した後、200℃まで昇温し、更にフラスコ内の圧力を下げ、8kPaにて1時間保持した。その後、大気圧に戻した後、190℃まで冷却し、フマル酸171g、セバシン酸124g、トリメリット酸無水物282g、及び4-tert-ブチルカテコール2.5gを加え、210℃まで10℃/hrで昇温し、その後、4kPaにて所望の軟化点まで反応を行って、樹脂A-1を得た。物性を表1に示す。
製造例B1(化合物B-1の製造)
冷却管、窒素導入管、撹拌機、脱水管及び熱電対を装備した内容積2Lの四つ口フラスコに、塩基性窒素含有基原料として、ポリエチレンイミン35g、ポリオレフィン骨格原料として、片末端無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPSA1000)331g、及びキシレン(和光純薬工業株式会社製)366gを入れ、窒素ガスで反応容器内を置換した。反応容器内を150℃に加温して1時間保持した後、160℃に昇温して1時間保持し、更に、フラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaに減圧して溶剤を留去しながら反応を行った。IR分析から、PPSA由来の酸無水物のピーク(1780cm-1)が消失し、イミド結合由来のピーク(1700cm-1)が生じたことを確認して、化合物B-1を得た。物性を表2に示す。
塩基性窒素含有基原料、ポリオレフィン骨格原料、及びキシレンの量を、表2に示すように変更した以外は製造例B1と同様にして、化合物B-2を得た。物性を表2に示す。
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した内容積10Lの四つ口フラスコの内部を窒素置換し、1,10-デカンジオール3416g及びセバシン酸4084gを入れ、撹拌しながら、135℃に昇温し、135℃で3時間保持した後、135℃から200℃まで10時間かけて昇温した。その後、ジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)23gを加え、更に200℃にて1時間保持した後、フラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaの減圧下にて1時間保持し、樹脂C-1を得た。物性を表3に示す。
原料組成を表3に示すように変更した以外は製造例C1と同様にして、樹脂C-2を得た。物性を表3に示す。
実施例1(トナー1の製造)
ヘンシェルミキサーに、樹脂A-1を85質量部、化合物B-1を5質量部、樹脂C-1を15質量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン E-81」(オリヱント化学工業株式会社製)0.2質量部、銅フタロシアニン顔料「ECB-301」(大日精化工業株式会社製)5質量部、及びワックス「エステルワックスWEP-8」(日油株式会社製、融点:78℃)2質量部を添加し、混合した後、同方向回転二軸押出機「PCM-30」(株式会社池貝製、軸の直径2.9cm、軸の断面積7.06cm2)用いて溶融混練した。運転条件は、バレル設定温度 110℃、軸回転数 200r/min(軸の回転の周速 0.30m/sec)、混合物供給速度 10kg/h(軸の単位断面積あたりの混合物供給量 1.42kg/h・cm2)であった。得られた溶融混練物を冷却、ロートプレックスで粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、気流式分級機で分級して、体積中位粒径(D50)7.0μm、CV値30%のトナー粒子を得た。
該トナー粒子100質量部、疎水性シリカ「RY50」(日本アエロジル株式会社製、個数平均粒径;0.04μm)2.5質量部、及び疎水性シリカ「キャボシル(登録商標)TS720」(キャボットジャパン株式会社製、個数平均粒径;0.012μm)1.0質量部をヘンシェルミキサーに入れて撹拌し、150メッシュの篩を通過させてトナー1を得た。得られたトナーの評価結果を表4に示す。
表4に示すように、樹脂と化合物Bの種類及び量を変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー2~8,51~55を得た。得られたトナーの評価結果を表4に示す。
Claims (7)
- 酸性基を有する非晶性樹脂と、ポリオレフィン骨格、並びにアミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、ジアゾ基、及びアジ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性窒素含有基を有する化合物Bと、結晶性ポリエステル樹脂とを含有する、静電荷像現像用トナーであって、
前記化合物Bが、塩基性窒素含有基原料とポリオレフィン骨格原料との反応物であり、
前記ポリオレフィン骨格原料が、反応性の官能基を有するポリオレフィンを含有し、
前記塩基性窒素含有基原料の塩基性窒素のモル数(N)に対する、前記ポリオレフィン骨格原料の反応性官能基のモル数(A)の比率(A/N)が0.1以上0.8以下である、静電荷像現像用トナー。 - 前記化合物Bが前記非晶性樹脂中に分散している、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記結晶性ポリエステル樹脂が、α,ω-脂肪族ジオールを含むアルコール成分と脂肪族ジカルボン酸を含むカルボン酸成分との重縮合物である、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記ポリオレフィン骨格がポリエチレン骨格又はポリプロピレン骨格である、請求項1~3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記化合物Bは、塩基性窒素含有基原料がポリエチレンイミンであり、ポリオレフィン骨格原料が無水マレイン酸変性ポリオレフィンであり、反応によりイミド結合が形成されている、請求項1~4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記ポリオレフィン骨格原料が、無水マレイン酸変性ポリプロピレンである、請求項1~5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 酸性基を有する非晶性樹脂と、ポリオレフィン骨格、並びにアミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、ジアゾ基、及びアジ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性窒素含有基を有する化合物Bと、結晶性ポリエステル樹脂との共存下で熱処理する工程を含み、
前記熱処理する工程の最高温度が前記化合物Bの融点より10℃低い温度以上、前記化合物Bの融点より100℃高い温度以下である、静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
前記化合物Bが、塩基性窒素含有基原料とポリオレフィン骨格原料との反応物であり、
前記ポリオレフィン骨格原料が、反応性の官能基を有するポリオレフィンを含有し、
前記塩基性窒素含有基原料の塩基性窒素のモル数(N)に対する、前記ポリオレフィン骨格原料の反応性官能基のモル数(A)の比率(A/N)が0.1以上0.8以下である、静電荷像現像用トナーの製造方法。
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