JP7001224B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Description
また、近年、トナー性能が損なわれない高信頼性の観点から、トナーの耐久性の向上も求められている。
特許文献2では、トナー粒子と、前記トナー粒子表面に外添された外添剤とを有する静電荷像現像トナーが記載されており、更に窒素原子重量分率が5%以上50%以下の有機化合物を前記トナー粒子の表面に有すること、前記有機化合物が、ポリエチレンイミンであることが記載されている。当該トナーは、高温高湿環境下においてもかぶりを発生させることなく画像濃度の低下及び画像の面内ムラが生じにくいと記載されている。
特許文献3では、結着樹脂を含有し、アルキル化ポリアルキレンビグアニド、アルキル化ポリアルキレングアニジン、及びアルキル化ポリアルキレンイミンから選ばれる少なくとも1種の化合物を表面に有するトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーが記載されている。これにより、画像濃度のムラの発生を抑制する静電荷像現像用トナーが得られると記載されている。
特許文献4では、結着樹脂、着色剤及びワックスを少なくとも含有するトナー粒子と外添剤を有するトナーであって、該トナーは、DSCにより測定される昇温時の吸熱曲線、THF可溶成分のGPC、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mn、及び、2000以下の領域の成分が所定の範囲である画像形成用トナーが記載されている。当該トナーを用いた画像形成方法等によれば、電子ソート機能を備えた複写装置において、十分な定着性を保持し、部数毎に縦通紙、横通紙を交互に切り替える場合に発生する端部オフセットを防止可能にすると記載されている。
本発明の一実施形態は、プラスチックフィルム、特にポリプロピレンフィルムへの定着性に優れる静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。
本発明の一実施形態は、耐久性に優れる静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。
〔1〕酸性基を有する結着樹脂と、ポリオレフィン骨格、並びにアミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、ジアゾ基、及びアジ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性窒素含有基を有する化合物Bと、を含有する、静電荷像現像用トナー。
〔2〕酸性基を有する結着樹脂と、ポリオレフィン骨格、並びにアミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、ジアゾ基、及びアジ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性窒素含有基を有する化合物Bとの共存下で熱処理する工程を含み、
前記熱処理する工程の最高温度が前記化合物Bの融点以上、前記化合物Bの融点より100℃高い温度以下である、静電荷像現像用トナーの製造方法。
〔3〕酸性基を有する結着樹脂と、ポリオレフィン骨格、並びにアミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、ジアゾ基、及びアジ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性窒素含有基を有する化合物Bと、ワックスと、を含有する、静電荷像現像用トナー。
〔4〕酸性基を有する結着樹脂と、ポリオレフィン骨格、並びにアミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、ジアゾ基、及びアジ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性窒素含有基を有する化合物Bと、ワックスとの共存下で熱処理する工程を含み、
前記熱処理する工程の最高温度が前記化合物Bの融点以上、前記化合物Bの融点より100℃高い温度以下である、静電荷像現像用トナーの製造方法。
第2実施形態によれば、耐久性に優れる静電荷像現像用トナー及びその製造方法を提供できる。
本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係る静電荷像現像用トナー(以下、静電荷像現像用トナーを意味して、単に「トナー」ともいう)は、酸性基を有する結着樹脂(以下、単に「結着樹脂A」ともいう)と、ポリオレフィン骨格、並びにアミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、ジアゾ基、及びアジ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性窒素含有基を有する化合物B(以下、単に「化合物B」ともいう)と、を含有する。
第2実施形態に係る静電荷像現像用トナーは、第1実施形態に係るトナーの構成に加えて、ワックスを更に含有する。
第1実施形態では、酸性基を有する結着樹脂を含有するトナー粒子中に、ポリオレフィン骨格と、アミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、ジアゾ基、及びアジ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性窒素含有基と、を有する化合物Bを含有する。結着樹脂Aの酸性基と化合物Bとの酸塩基相互作用により、結着樹脂中に化合物Bが微分散したトナーとなる。それに伴い、化合物B中の塩基性窒素含有基と化学的に結合しているポリオレフィン骨格が結着樹脂中に微分散化した状態が形成される。この微分散化されたポリオレフィンが、定着時にプラスチックフィルムとの親和性を向上させるため、プラスチックフィルムへの定着性に優れるトナーとなる。
第2実施形態では、酸性基を有する結着樹脂を含有するトナー粒子中に、ポリオレフィン骨格と、アミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、ジアゾ基、及びアジ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性窒素含有基と、を有する化合物Bと、離型剤とを含有する。トナー結着樹脂Aの酸性基と化合物Bとの酸塩基相互作用により、結着樹脂中に化合物Bが吸着し、且つ、ポリオレフィン骨格と離型剤が相互作用するため、離型剤が微分散したトナーとなる。そのため、離型剤を含有していても耐久性に優れたトナーが得られると考えられる。
<結着樹脂A>
結着樹脂Aは、第1実施形態ではプラスチックフィルムへの優れた定着性を得る観点から、第2実施形態では優れた耐久性を得る観点から、酸性基を有する。
酸性基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基が挙げられる。これらの中でもカルボキシ基が好ましい。
結着樹脂Aは、酸性基を有する限り特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂が挙げられる。これらの中でもポリエステル系樹脂が好ましい。ポリエステル系樹脂の場合、樹脂のポリマー鎖末端のカルボキシ基は、少なくとも上述の酸性基に該当する。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、変性されたポリエステル系樹脂が挙げられる。変性されたポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂がウレタン結合で変性されたウレタン変性ポリエステル系樹脂、ポリエステル樹脂がエポキシ結合で変性されたエポキシ変性ポリエステル系樹脂、ポリエステル樹脂セグメントとビニル系樹脂セグメントとを含む複合樹脂が挙げられる。
アルコール成分としては、例えば、芳香族ジオール、直鎖又は分岐の脂肪族ジオール、脂環式ジオール、3価以上の多価アルコールが挙げられる。これらの中でも、芳香族ジオールが好ましい。
芳香族ジオールは、好ましくはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物であり、より好ましくは式(I):
(式中、OR1及びR2Oはオキシアルキレン基であり、R1及びR2はそれぞれ独立にエチレン基又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、16以下、好ましくは8以下、より好ましくは4以下である)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物である。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、ビスフェノールA〔2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン〕のプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることが好ましい。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、そして、100モル%以下であり、更に好ましくは100モル%である。
脂環式ジオールとしては、例えば、水素添加ビスフェノールA〔2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン〕、水素添加ビスフェノールAの炭素数2以上4以下のアルキレンオキサイド付加物(平均付加モル数2以上12以下)が挙げられる。
3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールが挙げられる。
これらのアルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ジカルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸、直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸が挙げられる。これらの中でも、芳香族ジカルボン酸、及び、直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が挙げられる。これらの中でも、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは40モル%以上であり、そして、好ましくは90モル%以下、より好ましくは80モル%以下、更に好ましくは75モル%以下である。
直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アゼライン酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸が挙げられる。炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸としては、例えば、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸が挙げられる。これらの中でも、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸が好ましい。
直鎖又は分岐の脂肪族ジカルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは1モル%以上、より好ましくは2モル%以上、更に好ましくは3モル%以上であり、そして、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、更に好ましくは10モル%以下である。
3価以上の多価カルボン酸を含む場合、3価以上の多価カルボン酸の量は、カルボン酸成分中、好ましくは3モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上、更に好ましくは20モル%以上であり、そして、好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%以下、更に好ましくは30モル%以下である。
これらのカルボン酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
結着樹脂Aは、例えば、アルコール成分及びカルボン酸成分の重縮合により得られる。
必要に応じて、ジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)、酸化ジブチル錫、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のエステル化触媒をアルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対し0.01質量部以上5質量部以下;没食子酸(3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸と同じ。)等のエステル化助触媒をアルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対し0.001質量部以上0.5質量部以下用いて重縮合してもよい。
重縮合反応の温度は、好ましくは120℃以上、より好ましくは160℃以上、更に好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下である。なお、重縮合は、不活性ガス雰囲気中にて行ってもよい。
結着樹脂Aの軟化点は、耐熱保存性をより向上させる観点から、好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、更に好ましくは125℃以下である。
結着樹脂Aのガラス転移温度は、耐熱保存性をより向上させる観点から、好ましくは30℃以上、より好ましくは35℃以上、更に好ましくは40℃以上であり、そして、低温定着性をより向上させる観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、更に好ましくは70℃以下である。
結着樹脂Aの軟化点、ガラス転移温度、及び酸価は、原料モノマーの種類及びその使用量、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができ、また、それらの値は、実施例に記載の方法により求められる。
なお、結着樹脂Aを2種以上組み合わせて使用する場合は、それらの混合物として得られた軟化点、ガラス転移温度及び酸価の値がそれぞれ前述の範囲内であることが好ましい。
本明細書において、「結着樹脂」とは、結着樹脂Aを含むトナー中に含まれる樹脂成分を意味する。
化合物Bは、第1実施形態ではプラスチックフィルム、特にポリプロピレンフィルムへの定着性に優れるトナーを得る観点から、第2実施形態では優れた耐久性を得る観点から、ポリオレフィン骨格、及び塩基性窒素含有基を有する。化合物Bは、結着樹脂中に分散していることが好ましい。つまり、化合物Bがトナー粒子内部に分散していることが好ましい。
アミノ基は、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基のいずれであってもよい。
化合物Bの結着樹脂Aへの親和性の観点からは、アミノ基が好ましい。
ポリオレフィン骨格を形成するポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、ポリテトラデセン、ポリヘキサデセン、ポリオクタデセン、ポリエイコセン、ポリドコセン又はこれらの共重合体が挙げられる。
ポリオレフィン骨格としては、ポリプロピレン骨格、ポリエチレン骨格、プロピレン/ポリエチレン共重合体骨格が好ましく、ポリエチレン骨格又はポリプロピレン骨格がより好ましく、ポリプロピレン骨格が更に好ましい。
塩基性窒素含有基原料としては、例えば、ポリアミン化合物が挙げられる。
ポリアミン化合物としては、例えば、ポリアルキレンアミン、ポリアリルアミン、ポリアミノアルキルメタクリレートが挙げられる。
ポリアミン化合物としては、酸性基を有する結着樹脂への吸着性の観点から、1級及び2級から選ばれる少なくとも1種のアミノ基を有するポリアルキレンアミンが好ましい。
ポリアルキレンアミンとしては、例えば、ポリエチレンアミン、ポリプロピレンアミン、ポリブチレンアミンが挙げられる。
ポリエチレンアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、数平均分子量300以上15,000以下のポリエチレンイミンが挙げられる。中でも、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、数平均分子量300以上3,000以下のポリエチレンイミンが更に好ましく数平均分子量300以上2,000以下のポリエチレンイミンが更に好ましい。
ポリエチレンイミンの市販品としては、例えば、「エポミン」シリーズの「SP-003」、「SP-006」、「SP-012」、「SP-018」(以上、純正化学株式会社製)が挙げられる。
ポリアミノアルキルメタクリレートとしては、例えば、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートが挙げられる。
塩基性窒素含有基原料のアミン価は、後述の方法により測定できる。
第1実施形態における塩基性窒素含有基原料としては、プラスチックフィルムへの定着性の観点から、ポリエチレンイミンが好ましい。
ポリオレフィン骨格原料としては、例えば、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリエチレン/プロピレン共重合体、無水マレイン酸変性ポリエチレン/ヘキセン共重合体等の無水マレイン酸変性ポリオレフィンが挙げられる。
酸変性ポリオレフィンは、片末端酸変性ポリオレフィンが好ましく、片末端無水マレイン酸変性ポリオレフィンがより好ましい。
ポリオレフィン骨格原料の数平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により求めることができる。
化合物Bは、塩基性窒素含有基原料とポリオレフィン骨格原料との反応により得られる。
反応温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、更に好ましくは150℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは170℃以下である。
化合物Bの融点は、第1実施形態ではプラスチックフィルムへの定着性の観点から、第2実施形態では耐久性をより向上させる観点から、好ましくは34℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは65℃以上、更に好ましくは80℃以上であり、そして、トナー粒子への分散性の観点から、第2実施形態では低温定着性を向上させる観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下である。
融点の測定方法は実施例に記載の方法による。
化合物Bのアミン価は、後述の方法により測定できる。
トナーは、ワックスを含有していてもよい。
ワックスとしては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス;マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス等の炭化水素系ワックス又はそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス又はそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
トナーは、荷電制御剤を含有していてもよい。
荷電制御剤は、正帯電性荷電制御剤、負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN―11」(以上、オリヱント化学工業株式会社製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリヱント化学工業株式会社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP―B」(オリヱント化学工業株式会社製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ―2001」、「PLZ―8001」(以上、四国化成工業株式会社製)等;スチレン-アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」(藤倉化成株式会社製)等が挙げられる。
荷電制御剤の中でも、負帯電性荷電制御剤が好ましく、サリチル酸化合物の金属化合物がより好ましい。
トナーは、着色剤を含有していてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン-Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
トナーは、好ましくは乾式トナーとして用いられる。
トナーは、溶融混練法、乳化転相法、乳化重合法、乳化凝集法等の従来より公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。
本発明のトナーの製造方法は、好ましくは、酸性基を有する結着樹脂と、ポリオレフィン骨格、並びにアミノ基、イミノ基、シアノ基、アゾ基、ジアゾ基、及びアジ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基性窒素含有基を有する化合物Bとの共存下で熱処理する工程を含む。
ここで、熱処理する工程の最高温度は、化合物Bの融点以上、化合物Bの融点より100℃高い温度以下である。
このような、製造方法により、プラスチックフィルム、特にポリプロピレンフィルムへの定着性に優れる静電荷像現像用トナーが得られる。定かではないが、結着樹脂Aと化合物Bとの共存下、化合物Bの融点以上で熱処理することで、結着樹脂と化合物Bが化学的な相互作用を及ぼしつつ、完全相溶に至らず、結着樹脂中で化合物Bを微分散することができ、化合物Bの有するポリオレフィン骨格がプラスチックフィルムとの親和性を向上させ、プラスチックフィルムへの定着性に優れるトナーが得られると考えられる。
例えば、溶融混練法においては、後述の溶融混合工程が、当該熱処理工程に相当する。乳化凝集法においては、凝集後の融着工程が当該熱処理工程に相当する。
工程1:結着樹脂A、化合物Bを含有する混合物を溶融混練する工程、及び
工程2:工程1で得られた溶融混練物を粉砕、分級しトナー粒子を得る工程
を含む。
当該工程1における最高温度が、前述の熱処理する工程の最高温度の範囲であることが好ましい。
工程1の溶融混練には、密閉式ニーダー、一軸押出機、又は二軸押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができる。これらの中でも混練温度を広く設定することのできる二軸押出機が好ましい。
溶融混練する温度は、好ましくは80℃以上160℃以下である。
工程1で得られた溶融混練物を、粉砕が可能な程度に冷却した後、続く工程2に供する。
粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、例えば、ハンマーミル、アトマイザー、ロートプレックスが挙げられる。微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、例えば、流動層式ジェットミル、衝突板式ジェットミル、回転型機械式ミルが挙げられる。粉砕効率の観点から、流動層式ジェットミル、及び衝突板式ジェットミルを用いることが好ましく、衝突板式ジェットミルを用いることがより好ましい。
トナー粒子のCV値は、高画質の画像を得る観点から、好ましくは12%以上、より好ましくは14%以上、更に好ましくは16%以上であり、そして、好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下である。
外添剤としては、例えば、疎水性シリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化セリウム、カーボンブラック等の無機材料微粒子、及びポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子が挙げられる。これらの中でも、疎水性シリカが好ましい。
外添剤を用いる場合、外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4.5質量部以下、更に好ましくは4質量部以下である。
第2実施形態に係るトナーにおいて、結着樹脂A、荷電制御剤、着色剤については、第1実施形態と同じなので、説明を省略する。
第2実施形態における化合物Bは、第1実施形態と基本的に同様であるが、第2実施形態において好ましい態様は以下のとおりである。
第2実施形態における化合物Bの塩基性窒素含有基原料としては、ポリエチレンアミンが好ましい。
ポリエチレンアミンとしては、優れた耐久性の観点から、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、数平均分子量300以上15,000以下のポリエチレンイミンが好ましい。これらの中でも、第2実施形態においては、優れた耐久性の観点から、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、数平均分子量300以上3,000以下のポリエチレンイミンが更に好ましく、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、数平均分子量300以上2,000以下のポリエチレンイミンが更に好ましい。
ワックスとしては、特に限定されるものはないが、例えば、炭化水素ワックス、エステルワックス、シリコーンワックス、脂肪酸アミドワックス、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩が挙げられる。
炭化水素ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス等の鉱物又は石油系炭化水素ワックス;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブテンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のポリオレフィンワックス等の合成炭化水素ワックスが挙げられる。
エステルワックスとしては、例えば、モンタンワックス等の鉱物又は石油系エステルワックス;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の植物系エステルワックス;ミツロウ等の動物系エステルワックスが挙げられる。
脂肪酸アミドワックスとしては、例えば、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミドが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いてもよい。
これらの中でも、耐ホットオフセット性をより向上させる観点から、炭化水素ワックス又はエステルワックスが好ましく、炭化水素ワックスがより好ましく、合成炭化水素ワックスが更に好ましく、フィッシャートロプシュワックスが更に好ましい。
ワックスの含有量は、定着時におけるトナー粒子と定着ローラ間での付着力を低減する観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、より好ましくは2.5質量部以上、より好ましくは3質量部以上、より好ましくは3.5質量部以上、より好ましくは4質量部以上、より好ましくは4.5質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、そして、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは7質量部以下である。
このような、製造方法により、耐久性に優れる静電荷像現像用トナーが得られる。定かではないが、結着樹脂Aと化合物Bとワックスとの共存下、化合物Bの融点以上で熱処理することで、結着樹脂と化合物B、化合物Bとワックスとが化学的な相互作用を及ぼしつつ、完全相溶に至らず、結着樹脂中でワックスを微分散することができ、耐久性に優れるトナーが得られると考えられる。
工程1:結着樹脂A、化合物B及びワックスを含有する混合物を溶融混練する工程、及び
工程2:工程1で得られた溶融混練物を粉砕、分級しトナー粒子を得る工程
を含む。
当該工程1における最高温度が、前述の熱処理する工程の最高温度の範囲であることが好ましい。
工程1、工程2及びそれ以降の工程は、第1実施形態と同様である。
〔樹脂の酸価〕
樹脂の酸価は、JIS K 0070-1992に記載の中和滴定法に従って測定した。ただし、測定溶媒をクロロホルムとした。
(1)軟化点
フローテスター「CFT-500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
(2)ガラス転移温度
示差走査熱量計「Q100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで試料を昇温速度10℃/minで昇温し、熱量を測定した。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度をガラス転移温度とした。また、ピークが観測されずに段差が観測されるときは、該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の低温側のベースラインの延長線との交点の温度をガラス転移温度とした。
示差走査熱量計「Q100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温した後、200℃から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで、試料を昇温速度10℃/minで昇温し、熱量を測定し、吸熱の最大ピーク温度を融点とした。
塩基性窒素含有基原料及び化合物Bのアミン価は、JIS K2501:2003の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K2501:2003の規定のクロロベンゼンからクロロホルムに変更する。
以下に示す、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により数平均分子量を求めた。
(1) 試料溶液の調製
試料濃度が0.2g/100mLになるように、原料を、0.15mol/LのNa2SO4を含有する1質量%酢酸水溶液に溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業株式会社製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とした。
(2) 分子量測定
以下の測定装置と分析カラムを用い、溶離液として0.15mol/LのNa2SO4を含有する1質量%酢酸水溶液を、1mL/minの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して分子量を測定した。試料の分子量(数平均分子量Mn)は、数種類の標準プルラン(タイプ名(Mw):「P-5」(5.9×103)、「P-50」(4.73×104)、「P-200」(2.12×105)、「P-800」(7.08×105);いずれも昭和電工株式会社製)を標準試料として、あらかじめ作成した検量線に基づき算出した。
測定装置:「HLC-8320GPC」(東ソー株式会社製)
分析カラム:「α」+「α-M」+「α-M」(いずれも東ソー株式会社製)
トナー粒子の体積中位粒径(D50)は、次の通り測定した。
・測定機:「コールターマルチサイザー(登録商標)III」(ベックマンコールター株式会社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:「マルチサイザー(登録商標)IIIバージョン3.51」(ベックマンコールター株式会社製)
・電解液:「アイソトン(登録商標)II」(ベックマンコールター株式会社製)
・分散液:ポリオキシエチレンラウリルエーテル「エマルゲン(登録商標)109P」〔花王株式会社製、HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)=13.6〕を前記電解液に溶解させ、濃度5質量%の分散液を得た。
・分散条件:前記分散液5mLに乾燥後のトナー粒子の測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製した。
・測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒径分布から体積中位粒径(D50)及び体積平均粒径を求めた。
また、CV値(%)は次の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径)×100
〔トナーのポリプロピレンフィルムへの定着性の評価:濃度残存率〕
未定着画像を出力できるように改造した複写機「AR-505」(シャープ株式会社製)にトナーを実装し、ポリプロピレンフィルム「OPU-0」(三井化学東セロ株式会社製)に、付着量0.5mg/cm2となる印字面積2cm×12cmのべた画像を出力し、未定着状態の印刷物を得た。
次に、温度可変に改造した前記複写機の定着機にて、130℃、40mm/secの条件で前記未定着画像を定着させ、印刷物を得た。
印刷面に、長さ5cm、幅15mmのテープ「セロテープ(登録商標)CT15」(ニチバン株式会社製)を、軽く貼り付けた後、500gのおもりを載せ、速さ10mm/sで1往復押し当てた。その後、貼付したテープを下端側から剥離角度180°、速さ10mm/sで剥がし、テープ剥離後の印刷物を得た。
テープ貼付前及び剥離後の印刷物の下に上質紙「エクセレントホワイト紙A4サイズ」(株式会社沖データ製)を30枚敷き、各印刷物のテープ貼付前及び剥離後の定着画像部分の反射画像濃度を、測色計(GretagMacbeth社製、商品名:SpectroEye、光射条件;標準光源D50、観察視野2°、濃度基準DINNB、絶対白基準)を用いて測定し、下記の式で濃度残存率を算出した。
濃度残存率(%)=(テープ剥離後の反射濃度/テープ貼付前の反射濃度)×100
濃度残存率が高いほど、ポリプロピレンフィルムへの定着性に優れることを表す。
現像ローラを目視で見ることができるように改造したIDカートリッジ「ML-5400用、イメージドラム」(株式会社沖データ製)にトナーを実装し、温度30℃、相対湿度50%の条件下で、70r/min(36ppm相当)で空回し運転を行い、現像ローラフィルミングを目視にて観察した。フィルミング発生までの時間を耐久性の指標とした。耐久性は現像ローラフィルミング発生までの時間が長いほど、耐久性に優れることを示す。
未定着画像を取れる様に改造した、プリンター「OKI MICROLINE 5400」(株式会社沖データ製)にトナーを充填し、2cm角のベタ画像の未定着画像を印刷した。「OKI MICROLINE 3010」(株式会社沖データ製)を改造した外部定着装置を使用して、定着ロールの回転速度150mm/secにて、定着ロールの温度を100℃から200℃まで5℃ずつ上昇させながら、各温度でこの未定着画像の定着処理を行い、定着画像を得た。各定着温度で得られた画像にメンディングテープ(住友スリーエム株式会社製)を付着させた後、500gの円筒(直径3cm)の重石を、その底面を下方に向けて載せることにより、十分にテープを定着画像に付着させた。その後、ゆっくりとメンディングテープを定着画像より剥がした。テープ貼付前及び剥離後の定着画像の画像濃度を画像濃度測定器「Gretag SPM50」(GretagMacbeth社製)を用いて測定した。画像印字部分を各3点測定し、その平均値を画像濃度として算出した。剥離後の画像濃度/剥離前の画像濃度×100の値から定着率(%)を算出し、定着率が90%以上で、且つオフセットが発生しない最も高い温度を定着温度とし、耐ホットオフセット性を評価した。
製造例A1
(樹脂A-1の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した内容積10Lの四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ビスフェノールAのポリオキシプロピレン(2.2)付加物3325g、ビスフェノールAのポリオキシエチレン(2.2)付加物3088g、テレフタル酸1798g、ドデセニルコハク酸無水物255g、ジ(2-エチルヘキサン酸)錫(II)28g、及び3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸2.8gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、235℃に昇温し、235℃で10時間保持した後、フラスコ内の圧力を下げ、8kPaにて1時間保持した。その後、大気圧に戻した後、190℃まで冷却し、トリメリット酸無水物730gを加え、220℃まで10℃/hrで昇温し、その後、フラスコ内の圧力を下げ、10kPaにて所望の軟化点まで反応を行って、樹脂A-1を得た。物性を表1に示す。
製造例B11
(化合物B1-1の製造)
冷却管、窒素導入管、撹拌機、脱水管及び熱電対を装備した内容積2Lの四つ口フラスコに、塩基性窒素含有基原料として、ポリエチレンイミン35g、ポリオレフィン骨格原料として、片末端無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPSA1000)331g、及びキシレン(和光純薬工業株式会社製)366gを入れ、窒素ガスで反応容器内を置換した。反応容器内を150℃に加温して1時間保持した後、160℃に昇温して1時間保持し、更に、フラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaに減圧して溶剤を留去しながら反応を行った。IR分析から、PPSA由来の酸無水物のピーク(1780cm-1)が消失し、イミド結合由来のピーク(1700cm-1)が生じたことを確認して、化合物B1-1を得た。物性を表2に示す。
(化合物B1-2の製造)
塩基性窒素含有基原料、ポリオレフィン骨格原料、及びキシレンの量を、表2に示すように変更した以外は製造例B11と同様にして、化合物B1-2を得た。物性を表2に示す。
(化合物B2-1の製造)
冷却管、窒素導入管、撹拌機、脱水管及び熱電対を装備した内容積2Lの四つ口フラスコに、塩基性窒素含有基原料として、ジエチレントリアミン16g、ポリオレフィン骨格原料として、片末端無水マレイン酸変性ポリプロピレン(PPSA1000)300g、及びキシレン(和光純薬工業株式会社製)316gを入れ、窒素ガスで反応容器内を置換した。反応容器内を150℃に加温して1時間保持した後、160℃に昇温して1時間保持し、更に、フラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaに減圧して溶剤を留去しながら反応を行った。IR分析から、PPSA由来の酸無水物のピーク(1780cm-1)が消失し、イミド結合由来のピーク(1700cm-1)が生じたことを確認して、化合物B2-1を得た。物性を表3に示す。
(化合物B2-2~B2-7の製造)
塩基性窒素含有基原料、ポリオレフィン骨格原料、及びキシレンの量を、表3に示すように変更した以外は製造例B21と同様にして、化合物B2-2~B2-7を得た。物性を表3に示す。
実施例1-1(トナー11の製造)
ヘンシェルミキサーに、結着樹脂A-1を90質量部、化合物B-1を10質量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン E-81」(オリヱント化学工業株式会社製)0.2質量部、銅フタロシアニン顔料「ECB-301」(大日精化工業株式会社製)5質量部、及びワックス「カルナウバワックス C1」(株式会社加藤洋行製、融点:83℃)2質量部を添加し、混合した後、同方向回転二軸押出機「PCM-30」(株式会社池貝製、軸の直径2.9cm、軸の断面積7.06cm2)用いて溶融混練した。運転条件は、バレル設定温度 110℃、軸回転数 200r/min(軸の回転の周速 0.30m/sec)、混合物供給速度 10kg/h(軸の単位断面積あたりの混合物供給量 1.42kg/h・cm2)であった。得られた溶融混練物を冷却、ロートプレックスで粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、気流式分級機で分級して、体積中位粒径(D50)7.5μm、CV値35%のトナー粒子を得た。
該トナー粒子100質量部、疎水性シリカ「RY50」(日本アエロジル株式会社製、個数平均粒径;0.04μm)2.5質量部、及び疎水性シリカ「キャボシル(登録商標)TS720」(キャボットジャパン株式会社製、個数平均粒径;0.012μm)1.0質量部をヘンシェルミキサーに入れて撹拌し、150メッシュの篩を通過させてトナー11を得た。得られたトナーのポリプロピレンフィルムへの定着試験結果を表4に示す。
表4に示すように、結着樹脂と化合物B等の種類及び量を変更した以外は、実施例1-1と同様にしてトナー12~15,51~54を得た。得られたトナーのポリプロピレンフィルムへの定着試験結果を表4に示す。
表5に示すように、ワックス「カルナウバワックス C1」(株式会社加藤洋行製、融点:83℃)2質量部を添加する代りに、ワックス「SP-105」(株式会社加藤洋行製、フィッシャートロプシュワックス、融点:105℃)5質量部を添加する以外は、実施例1-1と同様の操作を行い、トナー21を得た。得られたトナーの評価結果を表5に示す。
表5に示すように、結着樹脂と化合物B等の種類及び量を変更した以外は、実施例2-1と同様にして実施例2-2~2-7、比較例2-1~2-3のトナー22~27,61~63を得た。得られたトナーの評価結果を表5に示す。
また、実施例及び比較例の結果から、酸性基を有する結着樹脂と、化合物Bと、ワックスとを含有することで優れた耐ホットオフセット性が維持されていることがわかる。
Claims (7)
- 酸性基を有する結着樹脂と、ポリオレフィン骨格、及び塩基性窒素含有基を有する化合物Bと、を含有する、静電荷像現像用トナーであって、
前記化合物Bが、塩基性窒素含有基原料とポリオレフィン骨格原料との反応物であり、
前記塩基性窒素含有基原料がポリエチレンイミンであり、前記ポリオレフィン骨格原料が無水マレイン酸変性ポリオレフィンであり、前記化合物Bは、反応によりイミド結合が形成されている、静電荷像現像用トナー。 - 酸性基を有する結着樹脂と、ポリオレフィン骨格及び塩基性窒素含有基を有する化合物Bと、ワックスとを含有する、静電荷像現像用トナーであって、
前記化合物Bが、塩基性窒素含有基原料とポリオレフィン骨格原料との反応物であり、
前記塩基性窒素含有基原料がポリエチレンイミンであり、ポリオレフィン骨格原料が無水マレイン酸変性ポリオレフィンであり、前記化合物Bは、反応によりイミド結合が形成されている、静電荷像現像用トナー。 - 前記化合物Bが前記結着樹脂中に分散している、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記ポリオレフィン骨格がポリエチレン骨格又はポリプロピレン骨格である、請求項1~3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記ポリオレフィン骨格原料が、無水マレイン酸変性ポリプロピレンである、請求項1~4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 酸性基を有する結着樹脂と、ポリオレフィン骨格及び塩基性窒素含有基を有する化合物Bとの共存下で熱処理する工程を含み、
前記熱処理する工程の最高温度が前記化合物Bの融点以上、前記化合物Bの融点より100℃高い温度以下である、静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
前記化合物Bが、塩基性窒素含有基原料とポリオレフィン骨格原料との反応物であり、
前記塩基性窒素含有基原料がポリエチレンイミンであり、前記ポリオレフィン骨格原料が無水マレイン酸変性ポリオレフィンであり、前記化合物Bは、反応によりイミド結合が形成されている、静電荷像現像用トナーの製造方法。 - 酸性基を有する結着樹脂と、ポリオレフィン骨格及び塩基性窒素含有基を有する化合物Bと、ワックスとの共存下で熱処理する工程を含み、
前記熱処理する工程の最高温度が前記化合物Bの融点以上、前記化合物Bの融点より100℃高い温度以下である、静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
前記化合物Bが、塩基性窒素含有基原料とポリオレフィン骨格原料との反応物であり、
前記塩基性窒素含有基原料がポリエチレンイミンであり、前記ポリオレフィン骨格原料が無水マレイン酸変性ポリオレフィンであり、前記化合物Bは、反応によりイミド結合が形成されている、静電荷像現像用トナーの製造方法。
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