JP6429324B2 - 電子写真用トナー - Google Patents
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〔1〕 (ポリ)アルキレングリコールモノアリールエーテルを1モル%以上30モル%以下含有するアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを、重縮合して得られるポリエステルを含有する、電子写真用トナー、並びに
〔2〕 (ポリ)アルキレングリコールモノアリールエーテルを1モル%以上30モル%以下含有するアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを、重縮合して得られる、電子写真トナー用結着樹脂
に関する。
本発明の電子写真用トナーが、低温定着性、高温高湿下での保存性(以下、単に耐熱保存性ともいう)及び帯電立ち上がり性に優れる理由は定かではないが、次のように考えられる。
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることが好ましい。
フローテスター「CFT-500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
JIS K 0070の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K 0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料をテトラヒドロフランに、40℃で溶解させる。次いで、この溶液を孔径0.20μmのPTFEタイプメンブレンフィルター「DISMIC-25JP」(東洋濾紙株式会社製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー株式会社製のA-500(5.0×102)、A-1000(1.01×103)、A-2500(2.63×103)、A-5000(5.97×103)、F-1(1.02×104)、F-2(1.81×104)、F-4(3.97×104)、F-10(9.64×104)、F-20(1.90×105)、F-40(4.27×105)、F-80(7.06×105)、F-128(1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー株式会社製)
分析カラム:TSKgel GMHXL+TSKgel G3000HXL(東ソー株式会社製)
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業株式会社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
一次粒子の体積平均粒径を下記式より求める。
平均粒径(nm)=6/(ρ×比表面積(m2/g))×1000
式中、ρは外添剤の真比重であり、例えば、シリカの真比重は2.2である。比表面積は、窒素吸着法により求められたBET比表面積である。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
〔結着樹脂の製造〕
表1、2に示す原料モノマー、エステル化触媒(2-エチルヘキサン酸錫(II))、及びエステル化助触媒(没食子酸)を、温度計、ステンレス製攪拌棒、分留塔、脱水管、冷却管、及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、235℃まで昇温し、5時間反応を行った後、235℃にて反応率が95%に到達したのを確認し、5.3kPaにて表1、2に記載の軟化点に達するまで反応を行い、ポリエステルを得た。なお、反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
得られたポリエステル100質量部、着色剤「Regal 330R」(キャボット社製、カーボンブラック)5質量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン E-81」(オリエント化学工業株式会社製)1質量部、及び離型剤「三井ハイワックス NP055」(三井化学株式会社製、ポリプロピレンワックス、融点:125℃)2質量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度80℃で溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が8μmのトナー粒子を得た。
表1、2に示す原料モノマー及びエステル化触媒(2-エチルヘキサン酸錫(II))を、温度計、ステンレス製攪拌棒、分留塔、脱水管、冷却管、及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、185℃まで昇温し、3時間反応を行った後、220℃まで5℃/hの速度で段階的に昇温を行った。その後220℃にて反応率が95%に到達したのを確認し、5.3kPaにて原料モノマーのうちアルコール成分を留去しながら表1、2に記載の軟化点に達するまで反応を行い、ポリエステルを得た。
・プロピレングリコールモノフェニルエーテル:フェニルプロピレングリコール(PhFG)、日本乳化剤株式会社製、プロピレングリコール平均モル数 1
・ポリプロピレングリコールモノフェニルエーテル(3):フェニルプロピレングリコール30(PhF-30)、日本乳化剤株式会社製、プロピレングリコール平均モル数 3
・ポリプロピレングリコールモノフェニルエーテル(6):フェニルプロピレングリコール60(PhF-60)、日本乳化剤株式会社製、プロピレングリコール平均モル数 6
・エチレングリコールモノフェニルエーテル:フェニルグリコール(PhG)、日本乳化剤株式会社製、エチレングリコール平均モル数 1
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置にトナーを実装し、シャープ(株)製の紙[CopyBond SF-70NA(75g/m2)]上に、未定着の状態で印刷物を得た。総定着圧が40kgfになるように調整した定着機(定着速度390mm/sec)を用い、定着ローラーの温度を100℃から240℃へと5℃ずつ順次上昇させながら、各温度で前記未定着状態の印刷物の定着試験を行った。定着した画像に「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆社、幅:18mm、JISZ-1522)を貼り付け、30℃に設定した定着ローラーに通過させた後、テープを剥がした。テープを貼る前と剥がした後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(剥離後/貼付前×100)が最初に90%を越える定着ローラーの温度を最低定着温度とした。結果を表1、2に示す。最低定着温度が低いほど、低温定着性に優れ、最低定着温度は、135℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下がさらに好ましい。
220mL容の容器(直径約3cm)にトナー4gを入れ、高温高湿(温度55℃、湿度85%)環境下で60時間放置した。12時間毎にトナー凝集の発生を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、耐熱保存性を評価した。結果を表1、2に示す。
A+:84時間後も凝集は認められない。
A :72時間後も凝集は認められないが84時間後では凝集が認められる。
A−:60時間後も凝集は認められないが72時間後では凝集が認められる。
B+:48時間後で凝集は認められないが60時間後では凝集が認められる。
B :36時間後で凝集は認められないが48時間後では凝集が認められる。
B−:24時間後で凝集は認められないが36時間後では凝集が認められる。
C :12時間後で凝集は認められないが24時間後では凝集が認められる。
D :12時間以内に凝集が認められる。
温度25℃、相対湿度30%において、トナー0.6gとシリコーンフェライトキャリア(関東電化工業株式会社製、平均粒子径90μm)19.4gとを50mL容器のポリプロピレン製の容器に入れ、ボールミルを用いて250r/minで混合し、帯電量をQ/Mメーター(EPPING社製)を用いて測定した。60秒間又は600秒間混合後、Q/Mメーター付属のセルに規定量の現像剤を投入し、目開き32μmのふるい(ステンレス製、綾織、線径:0.0035mm)を通してトナーのみを90秒間吸引した。そのとき発生するキャリア上の電圧変化をモニターし、〔90秒後の総電気量(μC)/吸引されたトナー量(g)〕の値を帯電量(μC/g)とした。混合時間60秒後における帯電量と混合時間600秒後における帯電量の比率(混合時間60秒後における帯電量/混合時間600秒後の帯電量)を算出し、帯電立ち上がり性を評価した。結果を表1、2に示す。前記帯電量の比率の値が大きいほど、帯電立ち上がり性に優れ、帯電量の比率は、0.7以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、0.9以上がさらに好ましい。
実施例4〜6、比較例5の対比において、アルコール成分中、(ポリ)アルキレングリコールモノアリールエーテルの含有量が18.1モル%の実施例5のポリエステルが、低温定着性、帯電立ち上がり性、及び耐熱保存性により優れることが分かる。
実施例2と5の対比から、アルコール成分として、(ポリ)アルキレングリコールモノアリールエーテルと炭素数2以上6以下の脂肪族ジオールを用いた実施例5のポリエステルが、低温定着性により優れることが分かる。
実施例5と7の対比から、カルボン酸成分として、芳香族ジカルボン酸化合物が100モル%である実施例5のポリエステルが、耐熱保存性と帯電立ち上がり性により優れることが分かる。
実施例5、8、9の対比において、(ポリ)アルキレングリコールモノアリールエーテルにおける(ポリ)アルキレングリコールの平均モル数が1である実施例5のポリエステルが、耐熱保存性により優れることが分かる。
実施例5と10の対比から、(ポリ)アルキレングリコールモノアリールエーテルにおける(ポリ)アルキレングリコールのアルキレンがプロピレンである実施例5のポリエステルが、耐熱保存性により優れることが分かる。
比較例1と3の対比、比較例2と4の対比から、カルボン酸成分に芳香族モノカルボン酸化合物を用いても、低温定着性及び耐熱保存性は向上しないことが分かる。
Claims (6)
- (ポリ)アルキレングリコールモノアリールエーテルを1モル%以上30モル%以下含有するアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを、重縮合して得られるポリエステルを含有する、電子写真用トナー。
- アルコール成分が、さらに、炭素数2以上6以下の脂肪族ジオール及び芳香族ジオールから選ばれる1種以上のジオールAを70モル%以上99モル%以下含有する、請求項1記載の電子写真用トナー。
- カルボン酸成分中、芳香族ジカルボン酸化合物の含有量が60モル%以上である、請求項1又は2記載の電子写真用トナー。
- (ポリ)アルキレングリコールモノアリールエーテルが、(ポリ)プロピレングリコールモノフェニルエーテルである、請求項1〜3いずれか記載の電子写真用トナー。
- 芳香族ジカルボン酸化合物が、テレフタル酸、イソフタル酸、フランジカルボン酸、これらの酸の無水物、及びこれらの酸と炭素数1以上3以下のアルコールとのエステルからなる群より選ばれた1種以上である、請求項1〜4いずれか記載の電子写真用トナー。
- (ポリ)アルキレングリコールモノアリールエーテルを1モル%以上30モル%以下含有するアルコール成分と、芳香族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを、重縮合して得られる、電子写真トナー用結着樹脂。
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