まず、図1及び図2を用いてトラクタ1の全体構成について説明する。
なお、本実施形態においては、作業車としてトラクタ1を例示するが、本発明はこれに限るものではない。すなわち作業車は、その他の農業車両、建設車両、産業車両等であってもよい。
トラクタ1は、主として機体フレーム2、前輪3、エンジン4、ボンネット5、ミッションケース6、後輪7、フェンダ8、運転席9、保護フレーム10及びアシスト機構20を具備する。
機体フレーム2は、図1に示すように、その長手方向を前後方向に向けて配置される。機体フレーム2の前部はフロントアクスル機構(不図示)を介して左右一対の前輪3に支持される。機体フレーム2の前部にはエンジン4が設けられる。エンジン4はボンネット5に覆われる。機体フレーム2の後部には、図1及び図2に示すミッションケース6が設けられている。ミッションケース6は、変速装置(不図示)等を内蔵する。ミッションケース6は、リアアクスル機構(不図示)を介して左右一対の後輪7に支持される。後輪7は、左右のフェンダ8によって上方から覆われる。
エンジン4の動力は、変速装置で変速された後、前記フロントアクスル機構を経て前輪3に伝達可能とされると共に、前記リアアクスル機構を経て後輪7に伝達可能とされる。エンジン4の動力によって前輪3及び後輪7が回転駆動され、トラクタ1は走行することができる。
運転席9は、図1に示すように、運転者が搭乗する部分である。運転席9は、エンジン4の後方に位置する。運転席9には、前輪3の切れ角を調節するためのステアリングホイール9aや運転者が着座するための座席9b、ブレーキペダルやアクセルペダル、クラッチペダル等の種々の操作具等が配置される。
保護フレーム10は、トラクタ1が転倒した場合に、運転席9に搭乗する運転者を保護するためのフレームである。後述するように、保護フレーム10は、下部の下側フレーム11に対して上部の上側フレーム14が揺動可能となるように構成されている。当該保護フレーム10(上側フレーム14)の揺動操作は、操作者によって手動で行うことができる。アシスト機構20は、保護フレーム10の揺動操作を補助するものである。以下では、図1から図8までを用いて、保護フレーム10及びアシスト機構20の詳細について説明する。
保護フレーム10は、座席9bの後方に設けられる。保護フレーム10は、下側フレーム11、上側フレーム14、揺動軸17及び固定ピン18を具備する。
図2から図6までに示す下側フレーム11は、保護フレーム10の下側部位を構成するものである。下側フレーム11は、座席9bの後方において、ミッションケース6に固定されている。下側フレーム11は、図2に示すように、ミッションケース6の左右両側から、それぞれ上方に延びるように一対設けられる。下側フレーム11は、下側第一部材11a、下側第二部材11b、継ぎ部材11c、下側ダンパ連結部12及び上側フレーム連結部13を具備する。
図2から図4までに示す下側第一部材11aは、下側フレーム11の下側部位を構成するものである。下側第一部材11aは、ミッションケース6に固定されると共に上方に延びるように形成される。下側第一部材11aは、フェンダ8に形成された開口部を貫通するように上方に突出し、上端部がフェンダ8の上方に位置する。下側第一部材11aは、角形鋼管により形成されている。
下側第二部材11bは、下側フレーム11の上側部位を構成するものである。下側第二部材11bは、下側第一部材11aの上端部から上方に延びるように形成される。下側第二部材11bは、下端部が下側第一部材11aの上端部に連結される。下側第二部材11bは、下側第一部材11aと同様、角形鋼管により形成されている。
図4に示す継ぎ部材11cは、下側第一部材11aと下側第二部材11bとを連結するものである。継ぎ部材11cは、下側第一部材11a及び下側第二部材11bの境界を跨ぐように配置される。継ぎ部材11cは、平面視L字状とされ、下側第一部材11a及び下側第二部材11bの左右方向外面(トラクタ1の左右方向中央を基準として、外側に向く面)及び後面を覆うように配置される。継ぎ部材11cは、下側第一部材11a及び下側第二部材11bにそれぞれ固定される。
下側ダンパ連結部12は、後述するダンパ機構21の下端部が連結される部分である。下側ダンパ連結部12は、一対の下側フレーム11のうち、右側の下側フレーム11の継ぎ部材11cに設けられる。下側ダンパ連結部12は、上記継ぎ部材11cの右面から右方に突出するように設けられる。下側ダンパ連結部12は、平面視U字状とされ、後方に開口するように配置される。下側ダンパ連結部12は、左端部が継ぎ部材11cの左右方向外面に固定され、右端部がダンパ機構21に連結される。下側ダンパ連結部12の右端部には、後述する下側連結軸25が挿通される孔部(不図示)が形成されている。
図5及び図6に示す上側フレーム連結部13は、後述する上側フレーム14が連結される部分である。上側フレーム連結部13は、下側第二部材11bの上端部に設けられる。上側フレーム連結部13は、平面視U字状とされ、後方に開口するように配置される。上側フレーム連結部13は、下側第二部材11bの上端部を開口内部に収容するように配置される。上側フレーム連結部13は、下側第二部材11bの上端部の左右方向外面、左右方向内面及び前面を覆うように配置される。上側フレーム連結部13の後部は、下側第二部材11bの上端部に対して後方に突出する形状とされている。上側フレーム連結部13は、軸孔13a、第一ピン挿通孔13b及び第二ピン挿通孔13cを具備する。
軸孔13aは、後述する揺動軸17が挿通される孔である。軸孔13aは、左右方向に貫通するように設けられる。軸孔13aは、上側フレーム連結部13の前後方向略中央に設けられる。
第一ピン挿通孔13bは、起立位置P4において、後述する固定ピン18が挿通される孔である。第一ピン挿通孔13bは、左右方向に貫通するように設けられる。第一ピン挿通孔13bは、軸孔13aの前方に設けられる。
第二ピン挿通孔13cは、倒伏位置P1において、後述する固定ピン18が挿通される孔である。第二ピン挿通孔13cは、左右方向に貫通するように設けられる。第二ピン挿通孔13cは、軸孔13aの後方に設けられる。
図2、図3、図6及び図8に示す上側フレーム14は、保護フレーム10の上側部位を構成するものである。上側フレーム14は、後述する揺動軸17を介して下側フレーム11の上側フレーム連結部13に対して、前後方向に揺動可能に連結される。上側フレーム14は、図3に示すように、下側フレーム11の上方において起立する起立位置P4と、図14に示すように、下側フレーム11に対して折り畳まれる倒伏位置P1と、に変位可能とされる。上側フレーム14は、下側フレーム11の下側第二部材11b及び下側第一部材11aと同様、角形鋼管により形成されている。
上側フレーム14は、図2に示すように、起立位置P4において背面視U字状とされ、開口する側の一対の端部(下側フレーム11側の端部)が、一対の下側フレーム11の上側フレーム連結部13に対してそれぞれ連結される。上側フレーム14は、下側フレーム11側の端部が、上側フレーム連結部13の開口の内部に収容される。
上側フレーム14は、図3に示すように、起立位置P4とされた状態で、下側の部位(下側フレーム11側の部位)が、下側フレーム11から鉛直方向に沿って上方に延びる構成とされている。また、上側フレーム14は、起立位置P4とされた状態で、上側の部位(反下側フレーム側の部位)が、前方に屈曲している。上側フレーム14は、起立位置P4とされた状態で、下側フレーム11側の端部の前面が、上側フレーム連結部13の内部に当接する。上側フレーム14は、上側ダンパ連結部15及び筒状部16を具備する。
図5から図9までに示す上側ダンパ連結部15は、後述する連結部材30が連結される部分である。上側ダンパ連結部15は、上側フレーム14の右面から右方に突出するように設けられる。上側ダンパ連結部15は、起立位置P4において厚さ方向を上下方向に沿わせた板状であって、前端部が下方に屈曲した形状とされている。上側ダンパ連結部15は、第一ボルト挿通孔15a及び第二ボルト挿通孔15bを具備する。
第一ボルト挿通孔15aは、起立位置P4において上側ダンパ連結部15を上下方向に貫通する孔である。第一ボルト挿通孔15aは、後述する第一ボルト34aが挿通可能とされている。第一ボルト挿通孔15aは、図9に示すように、上側ダンパ連結部15の後部に形成されている。
第二ボルト挿通孔15bは、起立位置P4において上側ダンパ連結部15を上下方向に貫通する孔である。第二ボルト挿通孔15bは、後述する第二ボルト35aが挿通可能とされている。第二ボルト挿通孔15bは、第一ボルト挿通孔15aの前方に形成されている。
図5及び図8に示す筒状部16は、後述する揺動軸17が挿通されるものである。筒状部16は、上側フレーム14の下側フレーム11側の端部において後面に設けられる。筒状部16は、左右方向に貫通する孔を有する円筒形状とされている。筒状部16は、側面視において上記孔が上側フレーム連結部13の軸孔13aと重複するように配置される。
また、上側フレーム14の下側フレーム11側の端部には、起立位置P4とされた状態で、側面視において第一ピン挿通孔13bと重複する孔(不図示)及び倒伏位置P1とされた状態で、側面視において第二ピン挿通孔13cと重複する孔(不図示)が形成されている。
図5から図8までに示す揺動軸17は、下側フレーム11と上側フレーム14とを揺動可能に連結するものである。揺動軸17は軸線方向を左右方向に向けて配置される。揺動軸17は、図8に示すように、上側フレーム連結部13の軸孔13a及び上側フレーム14の筒状部16に形成された孔に挿通される。図例では、揺動軸17を、軸孔13a及び筒状部16に形成された孔に挿通されるボルトによって構成した例を示している。上記ボルトは、軸孔13a及び筒状部16に形成された孔に挿通された状態で、ナットが締結されることで下側フレーム11及び上側フレーム14に取り付けられる。
固定ピン18は、起立位置P4又は倒伏位置P1とされた上側フレーム14の揺動を規制するものである。固定ピン18は、軸線方向を左右方向に向けた円柱状とされている。固定ピン18は、上側フレーム連結部13の第一ピン挿通孔13b及び第二ピン挿通孔13cを介して、下側フレーム11及び上側フレーム14に対して着脱可能に挿通される。
図例では、固定ピン18の左右方向一端部に取手部を設けた例を示している。また、固定ピン18は、左右方向他端部に下側フレーム11及び上側フレーム14に対する抜け止め(不図示)が設けられる。
図3に示すように、上側フレーム14を起立位置P4とした状態で、固定ピン18を第一ピン挿通孔13b及び上側フレーム14に形成された孔に挿通することで、起立位置P4とされた上側フレーム14の揺動を規制することができる。また、図14に示すように、上側フレーム14を倒伏位置P1とした状態で、固定ピン18を第二ピン挿通孔13c及び上側フレーム14に形成された孔に挿通することで、倒伏位置P1とされた上側フレーム14の揺動を規制することができる。
図2から図8までに示すアシスト機構20は、上側フレーム14を揺動方向に付勢することで、当該上側フレーム14の揺動操作を補助するものである。アシスト機構20は、保護フレーム10の右側に設けられる。アシスト機構20は、ダンパ機構21、連結部材30、第一止具34及び第二止具35を具備する。なお、以下では、特筆すべき事情のない限り、上側フレーム14が起立位置P4とされた状態を基準としてアシスト機構20について説明する。
ダンパ機構21は、伸縮可能であり、伸長方向に上側フレーム14を付勢するものである。ダンパ機構21は、下側フレーム11及び上側フレーム14に回動可能に連結される。アシスト機構20は、図3に示すように、長手方向を上下方向に向けて配置される。ダンパ機構21は、内部に封入されたガスの圧力によって上側フレーム14を付勢するガススプリングを構成する。ダンパ機構21は、シリンダチューブ22及びピストンロッド24を具備する。
図5に示すシリンダチューブ22は、ダンパ機構21の上側部位を構成するものである。シリンダチューブ22は、内部にガスが封入される円筒状の部材である。シリンダチューブ22は、後述する連結部材30を介して上側フレーム14に回動可能に連結される。シリンダチューブ22は、上側連結軸23を有する。
上側連結軸23は、後述する連結部材30に対して回動可能に連結される軸である。上側連結軸23は、シリンダチューブ22の上端部と上記連結部材30とを連結する。上側連結軸23は、略円柱形のピン状の部材である。上側連結軸23は、軸線方向を左右方向に向けて配置される。
図4に示すピストンロッド24は、ダンパ機構21の下側部位を構成するものである。ピストンロッド24は、シリンダチューブ22の内部に収容可能とされた略円柱形の部材である。ピストンロッド24は、シリンダチューブ22に封入されたガスの圧力を受けることで、シリンダチューブ22に対して突出する方向(ダンパ機構21が伸長する方向)に付勢される。また、ピストンロッド24は、シリンダチューブ22に封入されたガスの圧力に抗してシリンダチューブ22の内部に収容される方向(ダンパ機構21が収縮する方向)に変位することができる。ピストンロッド24は、下側連結軸25を有する。
下側連結軸25は、下側フレーム11に対して回動可能に連結される軸である。下側連結軸25は、ピストンロッド24の下端部と下側フレーム11の下側ダンパ連結部12とを連結する。下側連結軸25は、略円柱形のピン状の部材である。下側連結軸25は、軸線方向を左右方向に向けて配置される。下側連結軸25は、図4に示すように、下側ダンパ連結部12の右端部に形成された孔部に挿通されることで、当該下側ダンパ連結部12に対して連結される。
ダンパ機構21は、上側連結軸23と下側連結軸25を伸長方向に離間させるように付勢する構成とされている。ダンパ機構21は、上側フレーム14及び下側フレーム11に連結された状態で、上側フレーム14の揺動に伴って伸縮する。
図5から図11までに示す連結部材30は、上側フレーム14とピストンロッド24とを連結するものである。連結部材30は、連結片部31、固定片部32及び切欠き部33を具備する。
連結片部31は、上側連結軸23を介して、シリンダチューブ22の上端部が連結される部分である。連結片部31は、厚さ方向が左右方向に沿うように配置される。連結片部31は、図6及び図7に示すように、上側連結軸23が挿通される孔部31aを具備する。孔部31aは、連結片部31の後部において、左右方向に貫通するように設けられる。
固定片部32は、上側フレーム14の上側ダンパ連結部15に連結される部分である。連結片部31は、厚さ方向が上下方向に沿うように配置される。固定片部32は、連結片部31の上端部から左方に延びるように設けられる。当該固定片部32及び上側連結軸23により、連結部材30は、正面視L字状とされている。連結部材30は、金属材料により形成された板を折り曲げて形成される。固定片部32は、第一ボルト挿通孔32a及び第二ボルト挿通孔32bを具備する。
第一ボルト挿通孔32aは、固定片部32を上下方向に貫通する孔である。第一ボルト挿通孔32aは、後述する第一ボルト34aが挿通可能とされている。第一ボルト挿通孔32aは、図9に示すように、固定片部32の後部に形成されている。第一ボルト挿通孔32aは、図7に示すように、側面視においてダンパ機構21の軸線上に位置する。
第二ボルト挿通孔32bは、固定片部32を上下方向に貫通する孔である。第二ボルト挿通孔32bは、後述する第二ボルト35aが挿通可能とされている。第二ボルト挿通孔32bは、固定片部32において、第一ボルト挿通孔32aの前方に形成されている。
図8、図9及び図15に示す切欠き部33は、連結部材30の一部を切り欠いた部分である。切欠き部33は、図15に示すように、上側フレーム14を倒伏位置P1とした状態で、シリンダチューブ22の上端部との干渉を避けるように形成される。切欠き部33は、連結片部31及び固定片部32の接続部分を切り欠いて形成される。切欠き部33は、上記接続部分のうち、連結部材30の右後角部を構成する部分を切り欠いた形状とされる。切欠き部33は、図8に示すように、平面視において、少なくともシリンダチューブ22の上端部と重複する部分を避けた形状とされる。
第一止具34は、連結部材30の固定片部32と、上側フレーム14の上側ダンパ連結部15と、を締結するものである。第一止具34は、第一ボルト34a及び第一ナット34bを具備する。
第一ボルト34aは、第一止具34の雄ねじ部を構成するものである。第一ボルト34aは、第一ボルト挿通孔32a及び第一ボルト挿通孔15aに挿通される。第一ボルト34aは、挿通方向に長尺状とされている。
第一ナット34bは、第一止具34の雌ねじ部を構成するものである。図9から図11までに示すように、第一ナット34bに対して第一ボルト34aがねじ込まれることで、連結部材30の固定片部32と、上側フレーム14の上側ダンパ連結部15と、が締結される。
第二止具35は、連結部材30の固定片部32と、上側フレーム14の上側ダンパ連結部15と、を締結するものである。第二止具35は、第二ボルト35a及び第二ナット35bを具備する。
第二ボルト35aは、第二止具35の雄ねじ部を構成するものである。第二ボルト35aは、第二ボルト挿通孔32b及び第二ボルト挿通孔15bに挿通される。第二ボルト35aは、挿通方向に長尺状とされている。
第二ナット35bは、第二止具35の雌ねじ部を構成するものである。上記第一止具34と同様、第二ナット35bに対して第二ボルト35aがねじ込まれることで、連結部材30の固定片部32と、上側フレーム14の上側ダンパ連結部15と、が締結される。
上記構成とされたアシスト機構20は、図2に示すように、上側フレーム14及び下側フレーム11の左右方向外側(右側)に位置するように配置される。これにより、アシスト機構20を、図14に示す倒伏位置P1とされた上側フレーム14に対して干渉し難い位置に配置することができる。
また、アシスト機構20は、フェンダ8の右側端部よりも、左右方向内側(左側)に位置するように配置されている。これにより、アシスト機構20が、周囲の物に接触することを抑制することができる。
また、アシスト機構20は、図3に示すように、上側フレーム14を起立位置P4とした状態で、側面視において上側フレーム14及び下側フレーム11と重複するように配置されている。これにより、保護フレーム10及びアシスト機構20の側面視における美観を向上させることができる。また、アシスト機構20が保護フレーム10よりも前方に位置しないことから、座席9bに座った運転者がアシスト機構20に接触することや、上記運転者が座席9bから後方を見た際の視認性の阻害を抑制することができる。
以下では、上述の構成とされたアシスト機構20の保護フレーム10に対する取付態様について説明する。
まず、図4に示すように、ダンパ機構21のピストンロッド24の下端部と、下側フレーム11の下側ダンパ連結部12と、を下側連結軸25を介して連結する。また、図9に示すように、ダンパ機構21のシリンダチューブ22の上端部と、連結部材30の連結片部31と、を上側連結軸23を介して連結する。
次に、図9及び図10に示すように、上側フレーム14を起立位置P4とした状態で、上側フレーム14の上側ダンパ連結部15の上方に連結部材30の固定片部32を位置させる。この状態では、ダンパ機構21は最大伸長状態(ダンパ機構21が最大限伸長した状態(シリンダチューブ22に対してピストンロッド24が最大限突出した状態))とされている。
次に、上記状態で、連結部材30の第一ボルト挿通孔32a及び上側ダンパ連結部15の第一ボルト挿通孔15aに、第一ボルト34aを上方から挿通する。上記第一ボルト34aの挿通方向に沿う軸線と、ダンパ機構21の伸縮方向に沿う軸線と、は側面視において一致する。
次に、上側ダンパ連結部15の下方側に第一ナット34bを配置し、当該第一ナット34bを第一ボルト34aの先端部に螺合させる。この状態では、上側ダンパ連結部15と固定片部32とは上下に離間している。
次に、図10及び図11に示すように、第一ボルト34aを第一ナット34bにねじ込む。上記ねじ込みには、適宜の工具が用いられる。これにより、上側ダンパ連結部15と固定片部32とが近接すると共に、ダンパ機構21が、付勢力に抗して収縮する。第一ボルト34aは、上側ダンパ連結部15と固定片部32とが当接するまでねじ込まれる。これにより、ダンパ機構21を収縮させた状態で保持することができる。
次に、図11に示すように、連結部材30の第二ボルト挿通孔32b及び上側ダンパ連結部15の第二ボルト挿通孔15bに、第二ボルト35aを上方から挿通する。また、上記第一ボルト34aと同様、上側ダンパ連結部15の下方側に配置された第二ナット35bに対して第二ボルト35aをねじ込む。これにより、上側ダンパ連結部15と固定片部32とが締結され、連結部材30を介して上側フレーム14とダンパ機構21が連結される。
上述の構成としたことで、ダンパ機構21を最大伸長状態よりも所定量収縮させた状態で、当該ダンパ機構21を保護フレーム10に取り付けることができる。これにより、上述したように上側フレーム14の揺動に伴ってダンパ機構21を伸縮させる際に、ダンパ機構21に対して、最大伸長状態から更に伸長させようとする力が掛かることを抑制することができる。また、上述のように、第一ボルト34aのねじ込みによって、ダンパ機構21を収縮させる構成としているので、容易にダンパ機構21を収縮させた状態で保護フレーム10に取り付けることができる。
また、本実施形態では、上側フレーム14を起立位置P4とした状態で、第一ボルト34aの挿通方向に沿う軸線と、ダンパ機構21の伸縮方向に沿う軸線と、を側面視において一致させている。これにより、ダンパ機構21の付勢力に抗して第一ボルト34aをねじ込み易い構成とすることができる。
上述のように構成された保護フレーム10は、図3、図13及び図14に示すように、上側フレーム14が、揺動軸17を中心として起立位置P4と倒伏位置P1とに揺動(回動)可能とされる。本実施形態では、上側フレーム14を、起立位置P4から後側に略180度回動させた位置を倒伏位置P1としている。
図14に示すように、上側フレーム14は、倒伏位置P1において、先端部がアシスト機構20の下端よりも下方に位置する。このように構成したことで、保護フレーム10の前後方向のコンパクト化を図ることができる。すなわち、上側フレーム14の先端部がアシスト機構20の下端よりも上方に位置するように上側フレーム14を折り畳んだ場合と比べて、保護フレーム10の前後方向のコンパクト化を図ることができる。
図13では、上側フレーム14を、起立位置P4と倒伏位置P1との間の所定の位置(以下では「第一境界位置P2」と称する)とした状態を示している。本実施形態では、第一境界位置P2を、起立位置P4とされた上側フレーム14を、倒伏位置P1側(後側)に略45度回動させた位置としている。
図12では、側面視においてダンパ機構21の下側連結軸25と揺動軸17とを通る直線Lを、二点鎖線で示している。また、図12では、ダンパ機構21の上側連結軸23が直線L上に位置する状態を示している。この状態では、ダンパ機構21は、上側フレーム14の揺動に伴って当該ダンパ機構21が伸縮する中で最も伸長した状態となる。この状態での上側フレーム14の位置を、以下では、「第二境界位置P3」と称する。
上側フレーム14が起立位置P4とされた状態では、ダンパ機構21の上側連結軸23は、直線Lよりも上側フレーム14の揺動方向における起立位置P4側に位置する。また、上側フレーム14が倒伏位置P1とされた状態では、ダンパ機構21の上側連結軸23は、直線Lよりも揺動方向における倒伏位置P1側に位置する。
以下では、図13を用いて、揺動方向に変位する上側フレーム14に加わる力について説明する。なお、以下では、上側フレーム14の揺動範囲のうち、倒伏位置P1から第一境界位置P2までを第一揺動領域R1とする。また、上側フレーム14の揺動範囲のうち、第一境界位置P2から第二境界位置P3までを第二揺動領域R2とする。また、上側フレーム14の揺動範囲のうち、第二境界位置P3から起立位置P4までを第三揺動領域R3とする。
図13に示すように、上側フレーム14には、自重による揺動方向の力のモーメント(以下では「第一揺動力F1」と称する)が加わる。第一揺動力F1の大きさや向きは、上側フレーム14の自重の大きさや重心の位置等によって定まる。
上側フレーム14は、重心が揺動軸17よりも倒伏位置P1側(後側)に位置する状態では、倒伏位置P1側への第一揺動力F1が加わる。また、上側フレーム14は、重心が揺動軸17よりも起立位置P4側(前側)に位置する状態では、起立位置P4側への第一揺動力F1が加わる。また、上側フレーム14の重心が、側面視において揺動軸17を通る鉛直方向の直線上となる位置(重心境界位置)となった状態では、第一揺動力F1は0となる。
本実施形態では、第二揺動領域R2の所定位置において、上側フレーム14が重心境界位置となる構成としている。すなわち、本実施形態では、上側フレーム14が第一揺動領域R1に位置する状態と、上側フレーム14が第二揺動領域R2における重心境界位置よりも倒伏位置P1側に位置する状態と、において上側フレーム14に倒伏位置P1側への第一揺動力F1が加わる。また、本実施形態では、上側フレーム14が第二揺動領域R2における重心境界位置よりも起立位置P4側に位置する状態と、上側フレーム14が第三揺動領域R3に位置する状態と、において上側フレーム14に起立位置P4側への第一揺動力F1が加わる。
上側フレーム14の揺動範囲のうち、重心境界位置よりも倒伏位置P1側の領域では、上側フレーム14が重心境界位置に近づくように回動するに伴い、倒伏位置P1側への第一揺動力F1は徐々に小さくなる。また、上側フレーム14の揺動範囲のうち、重心境界位置よりも起立位置P4側の領域では、重心境界位置の上側フレーム14が起立位置P4側に回動するに伴い、起立位置P4側への第一揺動力F1は徐々に大きくなる。
また、図13に示すように、上側フレーム14には、ダンパ機構21による揺動方向の力のモーメント(以下では「第二揺動力F2」と称する)が加わる。第二揺動力F2の大きさや向きは、ダンパ機構21の付勢力や、上側連結軸23及び下側連結軸25の位置等によって定まる。
上側連結軸23が、直線Lよりも揺動方向における倒伏位置P1側に位置する状態(上側フレーム14が第一揺動領域R1及び第二揺動領域R2に位置する状態)では、ダンパ機構21は、上側フレーム14を起立位置P4側に付勢する。この状態では、上側フレーム14には起立位置P4側への第二揺動力F2が加わる。また、上側連結軸23が、直線Lよりも上側フレーム14の揺動方向における起立位置P4側に位置する状態(上側フレーム14が第三揺動領域R3に位置する状態)では、ダンパ機構21は、上側フレーム14を倒伏位置P1側に付勢する。この状態では、上側フレーム14には倒伏位置P1側への第二揺動力F2が加わる。また、上側連結軸23が、直線L上に位置する状態では、第二揺動力F2は0となる。
第一揺動領域R1及び第二揺動領域R2では、上側フレーム14が第二境界位置P3に近づくように回動するに伴い、起立位置P4側への第二揺動力F2は徐々に小さくなる。また、第三揺動領域R3では、第二境界位置P3の上側フレーム14が起立位置P4に近づくように回動するに伴い、倒伏位置P1側への第二揺動力F2は徐々に大きくなる。
アシスト機構20は、第一揺動領域R1において、倒伏位置P1側への第一揺動力F1が起立位置P4側への第二揺動力F2よりも大きくなるように構成されている。また、アシスト機構20は、第二揺動領域R2において、倒伏位置P1側への第一揺動力F1が起立位置P4側への第二揺動力F2よりも小さくなるように構成されている。
また、アシスト機構20は、第三揺動領域R3において、起立位置P4側への第一揺動力F1が倒伏位置P1側への第二揺動力F2よりも大きくなるように構成されている。すなわち、上述したように、第三揺動領域R3においては、ダンパ機構21の第二揺動力F2の方向が、起立位置P4側から倒伏位置P1側に変わるが、上記第二揺動力F2よりも、上側フレーム14の自重による起立位置P4側への第一揺動力F1が大きくなる。
以下では、上述の構成とされた保護フレーム10及びアシスト機構20の揺動操作における動作について説明する。まず、倒伏位置P1の上側フレーム14を起立位置P4側に回動させる揺動操作について説明する。
図14に示すように、倒伏位置P1の上側フレーム14は、第二ピン挿通孔13c及び上側フレーム14に形成された孔に挿通された固定ピン18によって、上側フレーム14の起立位置P4側への回動が規制されている。従って、まず、第二ピン挿通孔13c及び上側フレーム14に形成された孔に挿通された固定ピン18を外し、上側フレーム14を回動可能な状態とする。
図13に示すように、倒伏位置P1とされた上側フレーム14は、第一揺動領域R1に位置する。第一揺動領域R1においては、上側フレーム14の重心が倒伏位置P1側に位置することから、倒伏位置P1側への第一揺動力F1が加わる。上述したように、第一揺動領域R1においては、アシスト機構20は、倒伏位置P1側への第一揺動力F1が、起立位置P4側への第二揺動力F2よりも大きくなるように構成されているので、図14に示す倒伏位置P1の上側フレーム14を起立位置P4側に変位させる際には、操作者の手動による揺動操作を要する。
ここで、第一揺動領域R1においては、ダンパ機構21の上側連結軸23は、直線Lよりも揺動方向における倒伏位置P1側に位置する。この状態では、ダンパ機構21は、上側フレーム14を起立位置P4側に付勢する。従って、第一揺動領域R1においては、ダンパ機構21の付勢力によって、上側フレーム14を倒伏位置P1から起立位置P4に変位させる際の揺動操作に必要な力を軽減することができる。
上記揺動操作により、上側フレーム14は、第二揺動領域R2に達する。この状態でも、ダンパ機構21の上側連結軸23は、直線Lよりも揺動方向における倒伏位置P1側に位置するので、ダンパ機構21は、上側フレーム14を起立位置P4側に付勢する。
本実施形態では、上述したように、第二揺動領域R2の所定位置において、上側フレーム14が重心境界位置となる構成としている。従って、第二揺動領域R2においては、上側フレーム14が重心境界位置よりも倒伏位置P1側に位置する状態では、上側フレーム14に倒伏位置P1側への第一揺動力F1が加わる。一方、上側フレーム14が重心境界位置よりも起立位置P4側に位置する状態では、上側フレーム14に起立位置P4側への第一揺動力F1が加わる。
上述したように、第二揺動領域R2では、アシスト機構20は、倒伏位置P1側への第一揺動力F1が起立位置P4側への第二揺動力F2よりも小さくなるように構成されている。従って、第二揺動領域R2においては、自動的に上側フレーム14を起立させることができる。すなわち、第二揺動領域R2においては、上側フレーム14が重心境界位置よりも倒伏位置P1側に位置する状態では、倒伏位置P1側への第一揺動力F1に抗して、起立位置P4側への第二揺動力F2により自動的に上側フレーム14を起立させることができる。また、上側フレーム14が重心境界位置よりも起立位置P4側に位置する状態では、起立位置P4側への第一揺動力F1及び起立位置P4側への第二揺動力F2により自動的に上側フレーム14を起立させることができる。
上述したように、自動的に起立した上側フレーム14は、第三揺動領域R3に達する。ここで、上述したように、第三揺動領域R3においては、上側フレーム14が重心境界位置よりも起立位置P4側へ位置するので、上側フレーム14には、起立位置P4側に第一揺動力F1が加わる構成とされている。
ここで、第三揺動領域R3においては、ダンパ機構21の上側連結軸23は、直線Lよりも揺動方向における起立位置P4側に位置する。この状態では、ダンパ機構21は、上側フレーム14を倒伏位置P1側に付勢する。また、上述したように、本実施形態では、第三揺動領域R3において、起立位置P4側への第一揺動力F1が、倒伏位置P1側への第二揺動力F2よりも大きくなるように構成されている。これにより、第三揺動領域R3において、自動的に上側フレーム14を起立させることができる。
上側フレーム14は、起立位置P4において、当該上側フレーム14の前面が上側フレーム連結部13の内部に当接することで、前方への更なる回動が規制される。本実施形態では、ダンパ機構21の付勢力によって上側フレーム14の上側フレーム連結部13に対する衝撃を緩和することができる。
上側フレーム14を起立位置P4とした状態で、固定ピン18を第一ピン挿通孔13b及び上側フレーム14に形成された孔に挿通することで、上側フレーム14の倒伏位置P1側への回動を規制することができる。
次に、起立位置P4の上側フレーム14を倒伏位置P1側に回動させる揺動操作について説明する。
まず、第一ピン挿通孔13b及び上側フレーム14に形成された孔に挿通された固定ピン18を外し、上側フレーム14を回動可能な状態とする。
図13に示すように、起立位置P4とされた上側フレーム14は、第三揺動領域R3に位置する。上述したように、第三揺動領域R3においては、アシスト機構20は、起立位置P4側への第一揺動力F1が、倒伏位置P1側への第二揺動力F2よりも大きくなるように構成されている。従って、起立位置P4の上側フレーム14を倒伏位置P1側に変位する際には、操作者の揺動操作を要する。
ここで、第三揺動領域R3においては、上述したように、ダンパ機構21は、上側フレーム14を倒伏位置P1側に付勢する。従って、ダンパ機構21の付勢力によって倒伏位置P1側へ上側フレーム14を倒し始める際の揺動操作を補助することができる。
上記揺動操作により、上側フレーム14は、第二揺動領域R2に達する。上述したように、第二揺動領域R2では、アシスト機構20は、倒伏位置P1側への第一揺動力F1が、起立位置P4側への第二揺動力F2よりも小さくなるように構成されている。従って、第二揺動領域R2においても、上側フレーム14を倒伏位置P1側に変位する際には、操作者の揺動操作を要する。ここで、上述したように、上側フレーム14が重心境界位置よりも倒伏位置P1側に位置する状態では、第一揺動力F1の方向が倒伏位置P1側となるので、当該第一揺動力F1によって倒伏位置P1側への揺動操作を補助することができる。
上記揺動操作により、上側フレーム14は、第一揺動領域R1に達する。上述したように、第一揺動領域R1においては、アシスト機構20は、倒伏位置P1側への第一揺動力F1が、起立位置P4側への第二揺動力F2よりも大きくなるように構成されている。これにより、第一揺動領域R1において、自動的に上側フレーム14を倒伏させることができる。また、ダンパ機構21の付勢力によって、自重により上側フレーム14が勢いよく揺動することを抑制することができる。
また、上側フレーム14を倒伏位置P1とした状態で、固定ピン18を第二ピン挿通孔13c及び上側フレーム14に形成された孔に挿通することで、上側フレーム14の起立位置P4側への揺動を規制することができる。
以上の如く、本実施形態に係るトラクタ1(作業車)は、
座席9bの後方に固定される下側フレーム11と、揺動軸17を介して前記下側フレーム11の上部に前後に揺動可能に連結される上側フレーム14と、を有する保護フレーム10を具備するトラクタ1であって、
前記上側フレーム14は、揺動操作によって、前記下側フレーム11の上方において起立する起立位置P4と、前記下側フレーム11に対して折り畳まれる倒伏位置P1と、に変位可能とされ、
前記上側フレーム14の揺動操作を補助するアシスト機構20を具備するものである。
このように構成することにより、座席9bの後方に設けられた保護フレーム10の揺動操作を補助することができる。すなわち、アシスト機構20を設けたことで、上側フレーム14を倒伏位置P1や起立位置P4に変位する際の揺動操作を補助することができる。
また、前記アシスト機構20は、
前記上側フレーム14を、当該上側フレーム14の揺動方向における前記起立位置P4側に付勢可能であるダンパ機構21(付勢機構)を具備するものである。
このように構成することにより、ダンパ機構21の付勢力を利用して、上側フレーム14の揺動操作を補助することができる。すなわち、ダンパ機構21の付勢力を利用して、上側フレーム14を倒伏位置P1から起立位置P4に変位させる際の揺動操作に必要な力を軽減することができる。また、ダンパ機構21の付勢力を利用して、上側フレーム14を起立位置P4から倒伏位置P1に変位させる際に、自重により上側フレーム14が勢いよく揺動することを抑制することができる。
また、前記アシスト機構20は、
前記上側フレーム14が、前記起立位置P4と前記倒伏位置P1との間の第一境界位置P2(境界位置)よりも前記倒伏位置P1側(第一揺動領域R1)に位置する状態では、前記ダンパ機構21により前記上側フレーム14に加えられる前記起立位置P4への揺動力(第二揺動力F2)が、前記上側フレーム14の自重により当該上側フレーム14に加わる前記倒伏位置P1への揺動力(第一揺動力F1)よりも小さくなり、
前記上側フレーム14が、前記第一境界位置P2から前記起立位置P4側の所定範囲(第二揺動領域R2)に位置する状態では、前記ダンパ機構21により前記上側フレーム14に加えられる前記起立位置P4への揺動力(第二揺動力F2)が、前記上側フレーム14の自重により当該上側フレーム14に加わる前記倒伏位置P1への揺動力(第一揺動力F1)よりも大きくなるものである。
このように構成することにより、保護フレーム10の揺動操作に必要な力をより軽減することができる。すなわち、上側フレーム14が第一境界位置P2よりも倒伏位置P1側(第一揺動領域R1)に位置する状態では、自動的に上側フレーム14を倒伏させることができる。また、上側フレーム14が第一境界位置P2よりも起立位置P4側の所定範囲(第二揺動領域R2)に位置する状態では、自動的に上側フレーム14を起立させることができる。
また、前記アシスト機構20は、
前記上側フレーム14と前記ダンパ機構21とを回動可能に連結する上側連結軸23と、前記下側フレーム11と前記ダンパ機構21とを回動可能に連結する下側連結軸25と、を有し、
前記ダンパ機構21は、
伸縮可能であり、前記上側連結軸23と前記下側連結軸25とを伸縮方向に沿って離間させるように付勢する構成とされ、
前記上側連結軸23は、
前記上側フレーム14が前記起立位置P4とされた状態では、側面視において前記下側連結軸25と前記揺動軸17とを通る直線Lに対して前記揺動方向における前記起立位置P4側に位置し、
前記上側フレーム14が前記倒伏位置P1とされた状態では、前記直線Lに対して前記揺動方向における前記倒伏位置P1側に位置するものである。
このように構成することにより、上側フレーム14を起立位置P4側に変位させる際の揺動操作を補助することを可能としながらも、衝撃を緩和することができる。すなわち、上側連結軸23が、下側連結軸25と揺動軸17とを通る直線Lよりも揺動方向における倒伏位置P1側に位置する状態では、ダンパ機構21が上側フレーム14を起立位置P4側に付勢することで揺動操作を補助することができる。一方、上側連結軸23が、上記直線Lよりも揺動方向における起立位置P4側に位置する状態では、ダンパ機構21は上側フレーム14を倒伏位置P1側に付勢する。これにより、上側フレーム14が起立位置P4に達する際に生じる衝撃を緩和することができる。また、起立位置P4から倒伏位置P1へ上側フレーム14を倒し始める際の揺動操作を補助する。
また、前記アシスト機構20は、
前記上側連結軸23を介して前記ダンパ機構21に回動可能に連結される連結部材30と、
前記連結部材30を前記上側フレーム14に固定する第一ボルト34a(ネジ)と、
を具備し、
前記連結部材30は、
前記ダンパ機構21の伸縮方向に前記第一ボルト34aを挿通可能な構成とされ、当該第一ボルト34aが前記上側フレーム14側にねじ込まれることで、前記ダンパ機構21を収縮させた状態に保持するものである。
このように構成することにより、ダンパ機構21の上側フレーム14に対する取付性を向上させることができる。すなわち、ダンパ機構21は、最大伸長状態の当該ダンパ機構21に対して、更に伸長方向へ力が掛かることを抑制すべく、所定量収縮させて取り付けられる必要がある。ここで、手動による押し込みでダンパ機構21を収縮させるようなことは困難であるが、第一ボルト34aのねじ込みを利用してダンパ機構21を収縮させることで、容易にダンパ機構21を収縮させた状態で上側フレーム14に対して固定することができる。
また、前記第一ボルト34aは、
前記上側フレーム14を前記揺動方向における所定位置(起立位置P4)に位置させた状態で、当該第一ボルト34aの挿通方向に沿う軸線と、前記ダンパ機構21の伸縮方向に沿う軸線と、が側面視において一致するように設けられているものである。
このように構成することにより、ダンパ機構21の上側フレーム14に対する取付性をより向上させることができる。
また、前記連結部材30は、
前記上側フレーム14が前記倒伏位置P1とされた状態において、前記ダンパ機構21の少なくとも一部を避ける切欠き部33を具備するものである。
このように構成することにより、上側フレーム14が倒伏位置P1とされた状態において、ダンパ機構21と連結部材30との干渉を抑制することができる。
また、前記付勢機構(ダンパ機構21)は、
ばねによる付勢力を有するダンパ機構21であるものである。
このように構成することにより、付勢機構(ダンパ機構21)の構成を簡略化することができる。
すなわち、オイルの供給が必要な油圧シリンダや電力の供給が必要な電動シリンダを用いて保護フレーム10の揺動操作を補助するようなものと比べて、構成の簡略化を図ることができる。
また、前記アシスト機構20は、
前記上側フレーム14及び前記下側フレーム11の左右方向外側に位置するものである。
このように構成することにより、アシスト機構20の配置を好適な位置とすることができる。
また、前記アシスト機構20は、
当該トラクタ1の後輪7を覆うように配置されるフェンダ8の左右方向外側端部よりも、左右方向内側に位置するものである。
このように構成することにより、アシスト機構20が、周囲の物に接触することを抑制することができる。
また、前記上側フレーム14は、
前記倒伏位置P1において、反下側フレーム側の端部が前記アシスト機構20の下端よりも下方に位置するものである。
このように構成することにより、保護フレーム10の前後方向のコンパクト化を図ることができる。
なお、本実施形態に係るトラクタ1は、本発明に係る作業車の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るダンパ機構21は、本発明に係る付勢機構の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第一ボルト34aは、本発明に係るネジの実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第一境界位置P2は、本発明に係る境界位置の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第二揺動領域R2は、本発明に係る所定範囲の一形態である。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、アシスト機構20を、保護フレーム10の右側に設けた構成としたが、このような構成に限られない。例えば、アシスト機構20を、保護フレーム10の左側に設けてもよく、また、保護フレーム10の左右両側にアシスト機構20を設けてもよい。また、本実施形態においては、アシスト機構20を、下側フレーム11の左右方向外側に設けた構成としたが、アシスト機構20を下側フレーム11の左右方向内側に設けてもよい。
また、本実施形態では、第二揺動領域R2の所定位置において、上側フレーム14の重心が側面視において揺動軸17を通る直線上となる位置(重心境界位置)となる構成としたが、このような構成に限られない。すなわち、重心境界位置は、上側フレーム14の形状等に応じて定まるものであり、上述した例に限られるものではない。
また、上側フレーム14及び下側フレーム11の形状は、上述したものに限られず、種々の形状を採用可能である。例えば、本実施形態では、上側フレーム14を、起立位置P4に位置させた状態で、上側の部位(反下側フレーム側の部位)が前方に屈曲した構成としているが、このような構成に限られず、上側フレーム14を側面視直線状としてもよい。
また、本実施形態では、本発明に係る所定範囲(起立位置P4への第二揺動力F2が、倒伏位置P1への第一揺動力F1よりも大きくなる範囲)を、第二揺動領域R2としたが、このような構成に限られない。例えば、上記所定範囲を、第二揺動領域R2及び第三揺動領域R3としてもよい。すなわち、上側フレーム14の揺動範囲のうち、第一境界位置P2から起立位置P4までの範囲において、起立位置P4への第二揺動力F2が、倒伏位置P1への第一揺動力F1よりも大きくなるような構成としてもよい。
また、本実施形態では、上側フレーム14が起立位置P4とされた状態では、上側連結軸23が直線Lよりも上側フレーム14の揺動方向における起立位置P4側に位置する構成としたが、このような構成に限られない。例えば、上側フレーム14が起立位置P4とされた状態で、上側連結軸23が直線Lよりも上側フレーム14の揺動方向における倒伏位置P1側に位置する構成としてもよい。
また、本実施形態における第一揺動領域R1、第二揺動領域R2及び第三揺動領域R3は一例であり、上述のものに限られない。第一揺動領域R1、第二揺動領域R2及び第三揺動領域R3は、上側フレーム14の揺動範囲において適宜設定可能である。
また、本実施形態では、ダンパ機構21を、連結部材30を介して上側フレーム14に対して連結させた構成としたが、このような構成に限られない。例えば、ダンパ機構21を、直接上側フレーム14に連結するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、ダンパ機構21を、ガススプリングにより構成するものとしたが、このような構成に限られない。ダンパ機構21は、種々のばねによる付勢力を有するものを採用可能である。また、ダンパ機構21は、ばねによる付勢力を有するものに限られず、種々の構成を採用可能である。