実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和装置の全体的な構成図である。空気調和装置100は、部屋などの空調空間における空気の温度及び湿度を調整するものであり、再熱除湿運転を行う機能を有している。空気調和装置100は、図1に示すように、空調空間内に設置される室内機70と、空調空間の外部に設置される室外機80と、を有している。室内機70と室外機80とは、冷媒配管20によって接続されている。以降では、空調空間内のことを室内ともいい、空調空間の外部のことを室外ともいう。
室内機70は、例えば、空調空間の床に置かれる床置型除湿機、又は天井に設けられた天埋型除湿機もしくは天吊型除湿機などである。室内機70には、圧縮機1、再熱開閉弁2、再熱器3、第1膨張弁4、室内熱交換器5、冷却開閉弁6、第2膨張弁9、及び除霜開閉弁10が収容されている。室外機80は、屋外又は機械室などに設置される。室外機80には、室外熱交換器7及び液溜め8が収容されている。すなわち、空気調和装置100は、圧縮機1、再熱開閉弁2、再熱器3、第1膨張弁4、室内熱交換器5、冷却開閉弁6、室外熱交換器7、液溜め8、第2膨張弁9、及び除霜開閉弁10が冷媒配管20により接続され、冷媒が循環する冷媒回路30を有している。
冷媒回路30を循環させる冷媒としては、単一混合冷媒、擬似単一混合冷媒、又は非共沸混合冷媒などを用いることができる。非共沸混合冷媒としては、例えば、R32、R125、R134a、r1234yf、及びCO2の混合冷媒を用いることができる。この非共沸混合冷媒は、R32の組成が49wt%~55wt%であり、R125の組成が16wt%~22wt%であり、R134aの組成が7wt%~13wt%であり、r1234yfの組成が6wt%~12wt%であり、CO2の組成が7wt%~13wt%であり、合計が100wt%となる組成比をもつ。また、非共沸混合冷媒としては、上記以外の組成をもつ非共沸混合冷媒であるR448A、R449A、又はR407Fなどを採用してもよい。
冷媒配管20は、主配管21と、冷却配管22と、バイパス配管23と、により構成されている。主配管21は、圧縮機1と再熱開閉弁2と再熱器3と第1膨張弁4と室内熱交換器5とを順次環状に連結する配管である。つまり、冷媒回路30は、圧縮機1、再熱開閉弁2、再熱器3、第1膨張弁4、及び室内熱交換器5が主配管21により接続されて形成された主回路31を含む。
冷却配管22は、圧縮機1と再熱器3との間から第1膨張弁4と室内熱交換器5との間までをつなぐ配管である。より具体的に、冷却配管22は、圧縮機1と再熱開閉弁2との間の主配管21と、第1膨張弁4と室内熱交換器5との間の主配管21とを接続し、冷却開閉弁6と室外熱交換器7と液溜め8と第2膨張弁9とを連結する配管である。つまり、冷媒回路30は、冷却開閉弁6、室外熱交換器7、液溜め8、及び第2膨張弁9が冷却配管22により連結された開回路である冷却回路32を含む。ここで、圧縮機1と再熱開閉弁2との間の主配管21と、冷却配管22との接続部分を、第1接続部Mという。また、第1膨張弁4と室内熱交換器5との間と、冷却配管22との接続部分を、第2接続部Nという。
バイパス配管23は、圧縮機1の吐出側から再熱器3と第1膨張弁4との間までをつなぐ配管である。本実施の形態1において、圧縮機1の吐出側とは、圧縮機1と第1接続部Mとの間のことである。より具体的に、バイパス配管23は、圧縮機1と第1接続部Mとの間の主配管21と、再熱器3と第1膨張弁4との間の主配管21とを接続する配管であり、バイパス配管23を開閉する除霜開閉弁10が設けられている。つまり、冷媒回路30は、バイパス配管23に除霜開閉弁10が設けられた開回路であるバイパス回路33を含む。ここで、図1に示すように、再熱器3及び第1膨張弁4と、室外熱交換器7及び第2膨張弁9とは、並列に接続されている。
圧縮機1は、冷媒を吸入して圧縮し、高温高圧のガス状態にして吐出する。圧縮機1は、例えば、インバータ回路等によって回転数が制御され、冷媒の吐出量の調整が可能な圧縮機である。もっとも、圧縮機1は、一定の回転数で動作する一定速の圧縮機であってもよい。
再熱器3、室内熱交換器5、及び室外熱交換器7は、例えば、冷媒が流れる配管と、該配管に取り付けられたフィンとにより形成されたフィンアンドチューブ型熱交換器である。再熱器3は、圧縮機1で圧縮された冷媒と空気との間で熱交換させることにより、冷媒を凝縮させる。空気調和装置100では、室内熱交換器5と再熱器3とが共通する風路上に設けられている。
室内熱交換器5は、冷媒を蒸発させる蒸発器(冷却器)として機能する空気熱交換器である。つまり、室内熱交換器5は、第1膨張弁4及び第2膨張弁9のうちの少なくとも一方で膨張された冷媒と空気との間で熱交換させることにより、冷媒を蒸発させる。室外熱交換器7は、冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する空気熱交換器である。つまり、室外熱交換器7は、圧縮機1で圧縮された冷媒と空気との間で熱交換させることにより、冷媒を凝縮させる。
第1膨張弁4は、例えば電子膨張弁からなり、再熱器3の下流に配置されている。第1膨張弁4は、再熱器3で凝縮された冷媒を膨張させる。第2膨張弁9は、例えば電子膨張弁からなり、室外熱交換器7の下流に配置されている。第2膨張弁9は、室外熱交換器7で凝縮された冷媒を膨張させる。
再熱開閉弁2、冷却開閉弁6、及び除霜開閉弁10は、例えば、開状態と閉状態とを有する電磁弁であり、開状態において冷媒を通過させる。再熱開閉弁2は、閉状態のとき、第1接続部Mを経由して再熱器3に流れようとする冷媒を遮断する。冷却開閉弁6は、閉状態のとき、第1接続部Mを経由して室外熱交換器7に流れようとする冷媒を遮断する。除霜開閉弁10は、閉状態のとき、バイパス配管23に流れようとする冷媒を遮断する。液溜め8は、余剰冷媒を貯留する部材である。
また、室内機70には、室内熱交換器5及び再熱器3に風を送る室内送風機11が設けられている。室外機80には、室外熱交換器7に付設され、室外熱交換器7に風を送る室外送風機12が設けられている。本実施の形態1において、室内送風機11および室外送風機12は、例えばインバータ回路等によって回転数を制御され、送風量の調整が可能な送風機である。
さらに、室内機70には、室内冷媒漏洩センサ41と、制御装置50と、圧力センサ61~63と、冷媒温度センサ65~68と、空気温度センサ91と、が設けられている。室外機80には、圧力センサ64と、冷媒温度センサ69と、空気温度センサ92と、が設けられている。
圧力センサ61は、圧縮機1の吸入側に設けられ、圧縮機1によって吸入される冷媒の圧力である低圧圧力を計測する。圧力センサ62は、圧縮機1の吐出側に設けられ、圧縮機1から吐出される冷媒の圧力である高圧圧力を計測する。圧力センサ63は、再熱器3の出口側、すなわち再熱器3の出口又は出口近傍に設けられ、再熱器3から流出する冷媒の圧力である再熱器出口圧力を計測する。圧力センサ64は、室外熱交換器7の出口側、すなわち室外熱交換器7の出口又は出口近傍に設けられ、室外熱交換器7から流出する冷媒の圧力である凝縮器出口圧力を計測する。
冷媒温度センサ65~69は、例えばサーミスタにより構成される。冷媒温度センサ65は、圧縮機1の吸入側に設けられ、圧縮機1に吸入される冷媒の温度である吸入温度を計測する。冷媒温度センサ66は、圧縮機1の吐出側に設けられ、圧縮機1から吐出される冷媒の温度である吐出温度を計測する。冷媒温度センサ67は、再熱器3の出口側に設けられ、再熱器3から流出する冷媒の温度である再熱器出口温度を計測する。冷媒温度センサ68は、室内熱交換器5の出口側に設けられ、室内熱交換器5から流出する冷媒の温度(蒸発器出口温度)を計測する。冷媒温度センサ69は、室外熱交換器7の出口側に設けられ、室外熱交換器7から流出する冷媒の温度である凝縮器出口温度を計測する。
空気温度センサ91及び92は、例えばサーミスタにより構成される。空気温度センサ91は、室内機70の吸込口などに設けられ、空調空間の温度を室内温度として計測する。空気温度センサ92は、室外機80に設けられ、屋外又は機械室などの温度を外気温度として計測する。
室内冷媒漏洩センサ41は、空調空間内に設けられ、冷媒の漏洩を検知する。室外冷媒漏洩センサ42は、空調空間の外部に設けられ、冷媒の漏洩を検知する。室内冷媒漏洩センサ41及び室外冷媒漏洩センサ42は、冷媒の漏洩を検知したとき、冷媒漏洩の発生を示す漏洩信号を制御装置50へ出力する。各圧力センサは、それぞれ、計測した圧力のデータを制御装置50へ出力する。各温度センサは、それぞれ、計測した温度のデータを制御装置50へ出力する。すなわち、各冷媒漏洩センサ、各圧力センサ、及び各温度センサは、電気的又は光学的に制御装置50と接続されている。
また、室内機70には、スピーカ及び発光体のうちの少なくとも1つを含んで構成された異常報知器45が設けられている。発光体としては、LED(発光ダイオード)などを用いることができる。異常報知器45は、制御装置50からの指示に応じて、音、音声、又は光などを出力することにより、異常の発生を報知する。
制御装置50は、冷媒回路30を制御するものである。すなわち、制御装置50は、各圧力センサ及び各温度センサの出力を取得して、圧縮機1、再熱開閉弁2、第1膨張弁4、冷却開閉弁6、第2膨張弁9、及び除霜開閉弁10などの各種アクチュエータを制御する。また、制御装置50は、異常が生じたときに異常報知器45に異常発生の旨を報知させる。本実施の形態1の制御装置50は、各冷媒漏洩センサにより、冷媒漏洩の異常を検知したとき、異常報知器45に、音、音声、又は光などを出力させる。
制御装置50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、を含んで構成される。RAMは、各種データを記憶する揮発性の記憶媒体である。ROMは、後述する各運転モードによる運転制御を制御装置50に実行させるための動作プログラムなどを記憶する不揮発性の記憶媒体である。制御装置50は、ROM内の動作プログラムにしたがって、圧縮機1、再熱開閉弁2、第1膨張弁4、冷却開閉弁6、第2膨張弁9、及び除霜開閉弁10などを適宜制御し、各運転モードによる空調を実施する。すなわち、制御装置50は、CPUなどの演算装置と、こうした演算装置と協働して下記の各種機能を実現させる動作プログラムとによって構成することができる。
ここで、室内機70における空気の流れについて概略的に説明する。室内送風機11が動作すると、室内機70に空気が取り込まれる。室内機70に取り込まれた空気は、蒸発器として機能する室内熱交換器5を通過して、絶対湿度が低下する。つまり、水分を含んだ空気が室内熱交換器5を通過することで、空気中の水分が室内熱交換器5に結露するため、空気の絶対湿度が低下する。室内熱交換器5を通過することで絶対湿度が低下し、温度が低下した空気は、相対湿度が高い冷たい空気となっている。室内熱交換器5を通過した空気は、再熱器3を通過することにより再加熱され、相対湿度が低下する。そして、再熱器3を通過して相対湿度が低下した空気は、室内に吹き出される。上記の通り、室内機70に取り込まれた空気は、相対湿度が低下して状態で室内に吹き出されるため、室内の相対湿度が低下する。これは、後述する除湿運転時又は中間運転時の室内機70における空気の流れである。
図2は、図1の制御装置の機能的構成を概略的に示すブロック図である。制御装置50は、演算処理部51と、記憶部52と、を有している。演算処理部51は、設定処理部51aと、動作制御部51bと、余剰冷媒検出部51cと、漏洩処理部51dと、を有している。設定処理部51aは、空気調和装置100の操作用のリモートコントローラ(図示せず)などから、ユーザによる操作及び設定の内容を示す操作信号を受け付ける。そして、設定処理部51aは、操作信号に応じて、運転モード、目標温度、及び目標湿度などの設定を行う。
余剰冷媒検出部51cは、下記の何れかの方法により余剰冷媒の発生を検出するものであり、余剰冷媒の発生を検出したときに、動作制御部51bへ検出信号を出力する。例えば、余剰冷媒検出部51cは、過冷却度を求めると共に、求めた過冷却度が過冷却閾値よりも大きいか否かを判定するように構成することができる。この判定は、余剰冷媒が発生しているときに過冷却度が大きくなることを利用したものである。つまり、余剰冷媒検出部51cは、求めた過冷却度が過冷却閾値よりも大きい場合に、動作制御部51bへ検出信号を出力する。
また、余剰冷媒の検出には、余剰冷媒が発生しているときに冷媒の吐出温度が高くなることを利用してもよい。つまり、余剰冷媒検出部51cは、冷媒温度センサ66から吐出温度を取得し、取得した吐出温度が吐出閾値よりも大きいか否かを判定してもよい。そして、余剰冷媒検出部51cは、吐出温度が吐出閾値よりも大きいときに、動作制御部51bへ検出信号を出力してもよい。
さらに、余剰冷媒の検出には、余剰冷媒が発生しているときに高圧圧力が上昇することを利用してもよい。つまり、余剰冷媒検出部51cは、圧力センサ62から高圧圧力を取得し、取得した高圧圧力が高圧閾値よりも大きいか否かを判定してもよい。そして、余剰冷媒検出部51cは、高圧圧力が高圧閾値よりも大きいときに、動作制御部51bへ検出信号を出力してもよい。
加えて、余剰冷媒の検出には、余剰冷媒が発生しているときに低圧圧力が上昇することを利用してもよい。つまり、余剰冷媒検出部51cは、圧力センサ61から低圧圧力を取得し、取得した低圧圧力が低圧閾値よりも大きいか否かを判定してもよい。そして、余剰冷媒検出部51cは、低圧圧力が低圧閾値よりも大きいときに、動作制御部51bへ検出信号を出力してもよい。
漏洩処理部51dは、室内冷媒漏洩センサ41及び室外冷媒漏洩センサ42のそれぞれから漏洩信号を取得する。漏洩処理部51dは、室内冷媒漏洩センサ41から漏洩信号が出力された場合、室内での冷媒漏洩の発生を示す室内漏洩信号を動作制御部51bへ出力する。漏洩処理部51dは、室外冷媒漏洩センサ42から漏洩信号が出力された場合、室外での冷媒漏洩の発生を示す室外漏洩信号を動作制御部51bへ出力する。
また、漏洩処理部51dは、室内冷媒漏洩センサ41及び室外冷媒漏洩センサ42の少なくとも一方から漏洩信号が出力されたとき、異常報知器45に、音、音声、又は光などを出力させる。漏洩処理部51dは、室内冷媒漏洩センサ41から漏洩信号を取得した場合と、室外冷媒漏洩センサ42から漏洩信号を取得した場合とで、異なる音、音声、又は光などを、異常報知器45に出力させてもよい。
動作制御部51bは、各圧力センサ及び各温度センサから定期的に計測データを取得する。そして、動作制御部51bは、設定処理部51aによる設定内容に応じて、取得した計測データを用い、空気調和装置100の各アクチュエータの動作を制御する。動作制御部51bは、例えば、圧縮機1の圧縮機モータ1a、室内送風機11のファンモータ11a、及び室外送風機12のファンモータ12aの回転数を制御する。
動作制御部51bは、ユーザの操作又はデフォルトの設定により、運転モードが除湿運転モードに設定されている場合、空気調和装置100に、空調空間の空気の除湿を行う除湿運転を実行させる。動作制御部51bは、運転モードが中間運転モードに設定されている場合、空気調和装置100に中間運転を実行させる。動作制御部51bは、運転モードが冷却運転モードに設定されている場合、空気調和装置100に、空調空間の空気の冷却を行う冷却運転を実行させる。動作制御部51bは、運転モードが除霜運転モードに設定されている場合、室内熱交換器5に付着した霜を溶かす除霜運転を空気調和装置100に実行させる。
例えば、動作制御部51bは、除湿運転時に冷却開閉弁6を閉状態にする。動作制御部51bは、除湿運転時に、第2膨張弁9を全閉の状態にしてもよい。このようにすれば、冷却回路32から主回路31への冷媒の流入を防ぐことができる。また、動作制御部51bは、冷却運転時に再熱開閉弁2を閉状態にする。動作制御部51bは、冷却運転時に、第1膨張弁4を全閉の状態にしてもよい。このようにすれば、再熱器3などに滞留している冷媒の室内熱交換器5への流入を防ぐことができる。
また、動作制御部51bは、余剰冷媒が発生したとき、空気調和装置100に、後述する冷媒量調整運転を実行させる。つまり、動作制御部51bは、余剰冷媒検出部51cから検出信号が出力されたときに、再熱器3の性能を維持させつつ余剰冷媒を液溜め8に貯留させる冷媒量調整制御を実行する。
さらに、動作制御部51bは、室内冷媒漏洩センサ41において冷媒の漏洩が検知されたとき、つまり漏洩処理部51dから室内漏洩信号が出力されたとき、再熱開閉弁2を閉状態にし、第2膨張弁9を全開の状態にする。これにより、第1接続部Mから再熱器3へ流れる冷媒を遮断し、室内の冷媒を室外熱交換器7及び液溜め8などに貯留することができるため、室内への冷媒の漏洩を抑制することができる。
ここで、動作制御部51bは、室内冷媒漏洩センサ41において冷媒の漏洩が検知されたとき、さらに第1膨張弁4を全閉の状態にしてもよい。このようにすれば、再熱器3などに滞留している冷媒の室内熱交換器5側への流入を防ぐことができる。そのため、冷媒の漏洩箇所が、第2接続部Nから室内熱交換器5及び圧縮機1を経て第1接続部Mまでの流路に存在する場合に、室内へのさらなる冷媒漏洩を抑制することができる。動作制御部51bは、室内冷媒漏洩センサ41において冷媒の漏洩が検知されたとき、再熱開閉弁2及び除霜開閉弁10を閉状態とし、第1膨張弁4を全閉の状態とすることで、再熱開閉弁2から第1膨張弁4までの冷媒回路を独立させ、冷媒漏洩箇所の特定処理を促進してもよい。
また、動作制御部51bは、室外冷媒漏洩センサ42において冷媒の漏洩が検知されたとき、つまり漏洩処理部51dから室外漏洩信号が出力されたとき、冷却開閉弁6を閉状態にし、第1膨張弁4を全閉の状態にする。これにより、室外への冷媒の流れを遮断し、室外の冷媒を室内熱交換器5に貯留することができるため、室外での冷媒の漏洩を抑制することができる。動作制御部51bは、室外冷媒漏洩センサ42において冷媒の漏洩が検知されたとき、冷却開閉弁6を閉状態とし、第2膨張弁9を全閉の状態とすることで、冷却開閉弁6から第2膨張弁9までの冷媒回路を独立させ、冷媒の漏洩箇所の特定処理を促進してもよい。
記憶部52には、制御装置50の動作プログラムが記憶されている。また、記憶部52には、空調制御に関する種々のデータが記憶される。例えば、記憶部52には、運転モード、目標温度、及び目標湿度などの設定内容のデータが記憶される。また、記憶部52には、過冷却閾値、吐出閾値、高圧閾値、又は低圧閾値などの、余剰冷媒の発生を検出する際の基準となる閾値の情報が記憶される。なお、過冷却閾値、吐出閾値、高圧閾値、及び低圧閾値は、予め設定されており、適宜設定変更することができる。
図3は、図1の空気調和装置の除湿運転時における冷媒回路の状態を示す説明図である。図4は、図1の空気調和装置の中間運転時における冷媒回路の状態を示す説明図である。図5は、図1の空気調和装置の冷却運転時における冷媒回路の状態を示す説明図である。図6は、図1の空気調和装置の除霜運転時における冷媒回路の状態を示す説明図である。図3~図6では、開状態の開閉弁を白抜きで示し、閉状態の開閉弁を黒塗りで示す。また、図3~図6では、冷媒の流れを矢印つきの破線で示す。図3~図6を参照して、各運転モードにおける弁制御及び冷媒の流れについて説明する。
[除湿運転]
図3に示すように、除湿運転時は、冷却開閉弁6及び除霜開閉弁10が閉状態にあり、再熱開閉弁2が開状態にある。つまり、制御装置50は、除湿運転モードに設定されている場合、再熱開閉弁2を開状態とし、冷却開閉弁6及び除霜開閉弁10を閉状態とする。
したがって、圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は、吐出配管を経て再熱器3に流入する。ここで、室内送風機11によって送風され、室内熱交換器5を通過した室内空気は、再熱器3を通過するようになっている。よって、再熱器3に流入した高温高圧のガス冷媒は、再熱器3を通過する室内空気と熱交換して放熱し、凝縮して液化する。そして、再熱器3から流出した冷媒は、液配管を経て第1膨張弁4で減圧され、気液二相冷媒となって室内熱交換器5に流入する。室内熱交換器5に流入した気液二相冷媒は、室内送風機11によって送風される室内空気との熱交換により吸熱してガス化し、低温低圧のガス冷媒となって圧縮機1に戻る。
ここで、室内送風機11により室内機70を循環する空気は、室内熱交換器5を流れる低温低圧の気液二相冷媒によって冷却され、その温度が露点以下まで低下する。これにより、室内熱交換器5の表面で室内空気中の水分が結露し、室内空気が除湿される。その後、室内熱交換器5を通過した空気は、再熱器3で高温高圧のガス冷媒により加熱されて昇温し、相対湿度が低下する。
このように、空気調和装置100は、除湿運転時に、冷却開閉弁6を閉状態にすることで、冷凍サイクル内の放熱をすべて室内で行う。つまり、空気調和装置100は、圧縮機1により冷媒に加わる熱量、及び空気中の水蒸気の凝縮潜熱の分だけ室内空気を加熱する運転を行う。したがって、除湿運転時の空気調和装置100に吸い込まれた室内空気は、加熱されると同時に除湿される。
[中間運転]
図4に示すように、空調空間の空気の除湿と冷却とを同時に行う中間運転時は、再熱開閉弁2及び冷却開閉弁6が開状態にあり、除霜開閉弁10が閉状態にある。つまり、制御装置50は、中間運転モードに設定されている場合、再熱開閉弁2及び冷却開閉弁6を開状態とし、除霜開閉弁10を閉状態とする。
したがって、圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は、吐出配管を経て、室外熱交換器7に流入すると共に、再熱器3に流入する。そして、室外熱交換器7および再熱器3で放熱して液化した冷媒は、液配管の下流に設置された第1膨張弁4及び第2膨張弁9で減圧されて気液二相冷媒となり、室内熱交換器5に流入する。室内熱交換器5に流入した気液二相冷媒は、室内熱交換器5で吸熱してガス化し、吸入配管を経て圧縮機1に吸入される。制御装置50は、中間運転において、室外送風機12に対し、室外温度及び高圧圧力に応じたオンオフ制御を行うと共に、室内送風機11に対し、常時オンにする制御を行う。
[冷却運転]
図5に示すように、空調空間の空気を冷却する冷却運転時は、冷却開閉弁6が開状態にあり、再熱開閉弁2及び除霜開閉弁10が閉状態にある。つまり、制御装置50は、冷却運転モードに設定されている場合、再熱開閉弁2及び除霜開閉弁10を閉状態とし、除霜開閉弁10を閉状態とする。
したがって、圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は、吐出配管を経て室外熱交換器7に流入し、室外送風機12によって送風される室外空気と熱交換して放熱し、凝縮して液化する。そして、室外熱交換器7から流出した冷媒は、液配管を経て第1膨張弁4で減圧されて気液二相冷媒となり、室内熱交換器5に流入する。室内熱交換器5に流入した気液二相冷媒は、室内送風機11により送風される室内空気と熱交換して吸熱してガス化し、低温低圧のガス冷媒となって圧縮機1に戻る。つまり、室内送風機11により循環する空気は、室内熱交換器5において低温低圧の気液二相冷媒により冷却される。なお、冷却運転時の余剰冷媒は、適宜、液溜め8に貯留される。
ここで、冷却運転は、室内の絶対湿度が低いとき、又は室内の温度を下げる優先度が高いときに実行するとよい。なぜなら、冷却運転により空気の温度が低下すると、相対湿度が高くなる。そして、相対湿度が高くなると、快適性が低下すると共に、室内が結露しやすくなるといった不都合が生じるためである。また、例えば、冷却運転により、空気の温度が低下して露点以下になると、室内熱交換器5の表面で室内空気中の水分が結露して通風抵抗が増大し、熱交換能力が低下するためである。
[除霜運転]
除霜運転は、室内熱交換器5に霜が着き、熱交換器としての性能が低下した際に行う霜取り運転のことである。図6に示すように、除霜運転時は、再熱開閉弁2及び冷却開閉弁6が閉状態にあり、除霜開閉弁10が開状態にある。つまり、制御装置50は、除霜運転モードに設定されている場合、再熱開閉弁2及び冷却開閉弁6を閉状態とし、除霜開閉弁10を開状態とする。したがって、圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は、吐出配管及びバイパス回路33を経て、第1膨張弁4で減圧され、室内熱交換器5に流入する。
ここで、室内熱交換器5は、冷媒により加熱され、着氷した霜と熱交換して霜を溶かす。室内熱交換器5に流入した冷媒は、霜との熱交換により温度が低下して低温になった後、吸入管と熱交換して吸熱してガス化し、低温低圧のガス冷媒となって圧縮機1に戻る。このとき、制御装置50は、第1膨張弁4を最小開度にすることで、室内熱交換器5を通過する冷媒の量を調整し、液化した冷媒が圧縮機1に入ることを防ぐ。また、制御装置50は、室内送風機11をオフにする。よって、除霜運転時は、単純に、室内熱交換器5を通過する冷媒と、室内熱交換器5に付着した霜との間の熱交換のみが行われる。
[冷媒量調整運転]
上記の各運転のうち、中間運転は、再熱器3及び室外熱交換器7に冷媒を流すため、必要とする冷媒量が相対的に多くなる。一方、除湿運転は、中間運転と比較して、必要とする冷媒の量が少ない。除湿運転では、再熱器3に冷媒が流れるが、室外熱交換器7には冷媒が流れないためである。したがって、除湿運転を行っているときは、余剰冷媒が発生することがある。そして、余剰冷媒が発生すると、高圧圧力が上昇する等の異常が発生するおそれがある。
そこで、本実施の形態1の空気調和装置100は、除湿運転時において、余剰冷媒が発生したときに、冷媒量調整運転を実行するようになっている。以下、余剰冷媒が発生したときに動作制御部51bが行う冷媒量調整制御について説明する。
動作制御部51bは、除湿運転中に、余剰冷媒の発生を検出すると、中間運転のときと同様、再熱開閉弁2及び冷却開閉弁6を共に開状態とし、除霜開閉弁10を閉状態とする。そして、動作制御部51bは、再熱器3の下流に設けられた第1膨張弁4と、室外熱交換器7の下流に設けられた第2膨張弁9とを用いて、冷媒量調整制御を実行する。つまり、動作制御部51bは、SC制御(サブクール制御)により冷凍サイクルを構成することで、再熱器3の性能を確保しつつ、SH制御(スーパーヒート制御)によって室外熱交換器7を通過した余剰冷媒を液溜め8に貯留させる。
本実施の形態1の動作制御部51bは、再熱器3による過冷却度(SC)を再熱判定値以上に保つように、第1膨張弁4のSC制御を実行する。動作制御部51bによるSC制御により、除湿運転時に必要とする再熱器3の再熱量を確保して、必要十分な除湿能力を発揮することができる。
動作制御部51bは、例えば、再熱器3の出口の冷媒の温度を利用して、第1膨張弁4の開度を制御する。この場合、動作制御部51bは、冷媒温度センサ67において計測された再熱器出口温度を用いて再熱器3による過冷却度を求める。より具体的に、動作制御部51bは、再熱器3による過冷却度を求める際、圧力センサ62から高圧圧力を取得すると共に、冷媒温度センサ67から再熱器出口温度を取得する。次いで、動作制御部51bは、高圧圧力を飽和換算して凝縮温度を求め、求めた凝縮温度から再熱器出口温度を減算することにより、再熱器3による過冷却度を求める。そして、動作制御部51bは、求めた過冷却度が設定値となるように第1膨張弁4を制御する。これにより、再熱器3による再熱の熱量を制御して、設定された除湿能力を発揮することができる。
なお、動作制御部51bは、空気調和装置100の吹出し空気の温度、すなわち再熱器3を通過した空気の温度を利用して、第1膨張弁4の開度を制御してもよい。この場合、室内機70の吹出口に空気温度センサを設けておき、動作制御部51bは、当該空気温度センサによる計測温度が、設定された目標温度となるように、第1膨張弁4の開度を制御するとよい。ここで、空気調和装置100の吹出し空気の温度とは、室内機70から空調空間に吹き出される空気の温度のことであり、以降では、吹出し温度ともいう。
また、動作制御部51bは、室外熱交換器7による加熱度(SH)を凝縮判定値以上に保つように、第2膨張弁9のSH制御を実行する。これにより、余剰冷媒が液溜め8に貯留される。本実施の形態1において、動作制御部51bは、室内熱交換器5の過熱度を求める際、圧力センサ61から低圧圧力を取得すると共に、冷媒温度センサ65から吸入温度を取得する。そして、動作制御部51bは、低圧圧力を飽和換算して蒸発温度を求め、吸入温度から蒸発温度を減算することにより、室内熱交換器5の過熱度を求める。もっとも、室内熱交換器5に冷媒温度センサを設け、当該冷媒センサによる計測温度を、制御装置50が蒸発温度として用いるようにしてもよい。
図7は、図1の空気調和装置の動作のうち、冷媒量調整運転時の動作を例示したフローチャートである。図7に基づき、制御装置50による冷媒量調整制御について説明する。制御装置50は、下記のステップS101~S108の一連の処理を、定期的に繰り返し実行する。
空気調和装置100の運転中において、制御装置50は、再熱器3による過冷却度を求める(ステップS101)。そして、制御装置50は、再熱器3による過冷却度が再熱判定値以上であるか否かを判定する(ステップS102)。
制御装置50は、再熱器3による過冷却度が再熱判定値以上であれば(ステップS102/Yes)、第1膨張弁4の開度を小さくする(ステップS103)。一方、制御装置50は、再熱器3による過冷却度が再熱判定値未満であれば(ステップS102/No)、第1膨張弁4の開度を大きくする(ステップS104)。
ステップS103及びS104において、制御装置50は、再熱器3による過冷却度と再熱判定値との差分であるSC差に応じて、第1膨張弁4の開度調整の程度を決定する。例えば、記憶部52に、SC差と第1膨張弁4の開度の調整量である第1調整量とを関連づけた第1開度調整テーブルを記憶させておくとよい。ここで、再熱器3による過冷却度から再熱判定値を減算してSC差を求める場合を想定する。すると、第1開度調整テーブルは、SC差が正の範囲で、SC差が大きくなれば、第1調整量が大きくなるようにするとよい。また、第1開度調整テーブルは、SC差が負の範囲で、SC差が小さくなれば、第1調整量が大きくなるようにするとよい。制御装置50は、第1開度調整テーブルを用いることにより、再熱器3による過冷却度が再熱判定値以上であれば、SC差が大きいほど第1膨張弁4の開度を小さくすることになる。同様に、制御装置50は、再熱器3による過冷却度が再熱判定値未満であれば、SC差の絶対値が大きいほど第1膨張弁4の開度を大きくすることになる。
さらに、制御装置50は、室内熱交換器5による過熱度を求める(ステップS105)。そして、制御装置50は、室内熱交換器5による過熱度が蒸発判定値以上であるか否かを判定する(ステップS106)。
制御装置50は、室内熱交換器5による過熱度が蒸発判定値以上であれば(ステップS106/Yes)、第2膨張弁9の開度を大きくする(ステップS107)。一方、制御装置50は、室内熱交換器5による過熱度が蒸発判定値未満であれば(ステップS106/No)、第2膨張弁9の開度を小さくする(ステップS108)。
ステップS107及びS108において、制御装置50は、室内熱交換器5による過熱度と蒸発判定値との差分であるSH差に応じて、第2膨張弁9の開度調整の程度を決定する。例えば、記憶部52に、SH差と第2膨張弁9の開度の調整量である第2調整量とを関連づけた第2開度調整テーブルを記憶させておくとよい。ここで、室内熱交換器5による過熱度から蒸発判定値を減算してSH差を求める場合を想定する。すると、第2開度調整テーブルは、SH差が正の範囲で、SH差が大きくなれば第2調整量が大きくなるようにするとよい。また、第2開度調整テーブルは、SH差が負の範囲で、SH差が小さくなれば第2調整量が大きくなるようにするとよい。制御装置50は、第2開度調整テーブルを用いることにより、室内熱交換器5による過熱度が蒸発判定値以上であれば、SH差が大きいほど第2膨張弁9の開度を大きくすることになる。同様に、制御装置50は、室内熱交換器5による過熱度が蒸発判定値未満であれば、SH差の絶対値が大きいほど第2膨張弁9の開度を小さくすることになる。
[冷媒漏洩時の処理及び動作]
次に、冷媒漏洩が発生した場合の制御装置50による処理内容、及び各開閉弁及び各膨張弁の動作内容の一例について説明する。
(室内冷媒漏洩センサ41が冷媒漏洩を検知した場合)
室内冷媒漏洩センサ41が冷媒漏洩を検知した際、制御装置50は、再熱開閉弁2を閉状態にし、除霜開閉弁10を閉状態にし、冷却開閉弁6を開状態にし、第2膨張弁9を全閉とし、圧縮機1を運転させてポンプダウン運転を実行する。ポンプダウン運転を実行する際、制御装置50は、室内送風機11及び室外送風機12の回転数を、通常運転時の回転数よりも大きくするとよい。上記のような弁制御とポンプダウン運転により、室内で冷媒漏れが発生したとき、冷媒を、冷却開閉弁6から室外熱交換器7までの配管、室外熱交換器7、室外熱交換器7から液溜め8までの配管、液溜め8、及び液溜め8から第2膨張弁9までの配管に溜めることができる。
また、制御装置50は、吸入側の圧力が設定値よりも低くなったとき、又は吐出側の圧力が設定値よりも高くなったときに、圧縮機1の運転を停止させる。そして、制御装置50は、圧縮機1の運転を停止させた後に、冷却開閉弁6を閉状態にする。このように、圧縮機1の停止後に冷却開閉弁6を閉状態にすることで、冷媒の逆流を抑制することができる。そして、上記のように、空気調和装置100の運転を段階的に停止することで、安全性の向上を図ることができる。
なお、ポンプダウン運転を実行した後に、圧縮機1と室外熱交換器7と第2膨張弁9と室内熱交換器5とに冷媒を循環させでも支障がないときは、冷却開閉弁6を開にして冷却運転を実行することができる。冷却運転を実行することで、空調空間の温度上昇を防ぐことができるため、快適性の低下を抑制することができる。なお、圧縮機1と室外熱交換器7と第2膨張弁9と室内熱交換器5とに冷媒を循環させでも支障がない状況としては、冷媒の漏洩箇所が、再熱開閉弁2と第1膨張弁4との間、又は除霜開閉弁10と第1膨張弁4との間などで特定されている場合が想定される。
(室外冷媒漏洩センサ42が冷媒漏洩を検知した場合)
室外冷媒漏洩センサ42が冷媒漏洩を検知した際、制御装置50は、再熱開閉弁2を開状態にし、除霜開閉弁10を閉状態にし、冷却開閉弁6を閉状態にし、第1膨張弁4を全閉とし、圧縮機1を運転させてポンプダウン運転を実行する。ポンプダウン運転を実行する際、制御装置50は、室内送風機11及び室外送風機12の回転数を、通常運転時の回転数よりも大きくするとよい。上記のような弁制御とポンプダウン運転により、室外で冷媒漏れが発生したとき、冷媒を、再熱器3及び再熱器3から第1膨張弁4までの配管などに溜めることができる。
また、制御装置50は、吸入側の圧力が設定値よりも低くなったとき、又は吐出側の圧力が設定値よりも高くなったときに、圧縮機1の運転を停止させる。そして、制御装置50は、圧縮機1の運転を停止させた後に、再熱開閉弁2を閉状態にする。このように、圧縮機1の停止後に再熱開閉弁2を閉状態にすることで、冷媒の逆流を抑制することができる。そして、上記のように、空気調和装置100の運転を段階的に停止することで、安全性を高めることができる。
なお、ポンプダウン運転を実行した後に、圧縮機1と再熱器3と第1膨張弁4と室内熱交換器5とに冷媒を循環させても支障がないときは、再熱開閉弁2を開にして、除湿運転を実行することができる。除湿運転を継続することで、空調空間の湿度上昇を防ぐことができるため、快適性の低下を抑制することができる。なお、圧縮機1と再熱器3と第1膨張弁4と室内熱交換器5とに冷媒を循環させても支障がない状況としては、冷媒の漏洩箇所が、冷却開閉弁6と第2膨張弁9との間などで特定されている場合が想定される。
以上のように、本実施の形態1の空気調和装置100では、除湿運転時に、制御装置50が冷却開閉弁6を閉状態にすることから、室外熱交換器7への冷媒の寝込みを防ぐことができるため、除湿能力の低下を防止し、除湿運転を効率よく行うことができる。また、制御装置50は、除湿運転時に、第2膨張弁9を全閉の状態にしてもよい。このようにすれば、冷却回路32から主回路31への冷媒の流入を防ぐことができるため、除湿運転の運転効率を高めることができる。
また、主回路31は、圧縮機1と再熱器3との間の主配管21と冷却配管22との接続部分と、再熱器3との間に、開閉動作を行う再熱開閉弁2を有している。そして、制御装置50は、冷却運転時に、再熱開閉弁2を閉状態にするようになっている。よって、再熱器3への冷媒の流入を防ぐことができるため、冷却運転時の冷媒循環の円滑化と共に、運転効率の向上を図ることができる。加えて、制御装置50は、冷却運転時に、第1膨張弁4を全閉の状態にしてもよい。このようにすれば、第1接続部Mから再熱器3及び第1膨張弁4を経て第2接続部Nまでの流路に滞留している冷媒の、室内熱交換器5への流入を防ぐことができるため、冷却運転時の運転効率をさらに高めることができる。
さらに、制御装置50は、室内冷媒漏洩センサ41において冷媒の漏洩が検知されたとき、再熱開閉弁2を閉状態にするため、再熱開閉弁2の下流での冷媒漏洩を抑制することができる。加えて、制御装置50は、室内冷媒漏洩センサ41において冷媒の漏洩が検知されたとき、さらに第2膨張弁9を全開の状態にする。よって、室内に設けられた主回路31への冷媒の流入を防ぐことができ、室外熱交換器7及び液溜め8などに冷媒を貯留することができるため、室内への冷媒の漏洩を抑制することができる。もっとも、制御装置50は、室内冷媒漏洩センサ41において冷媒の漏洩が検知されたとき、第2膨張弁9を全開の状態にしなくてもよい。
また、制御装置50は、室内冷媒漏洩センサ41において冷媒の漏洩が検知されたとき、さらに第1膨張弁4を全閉の状態にしてもよい。このようにすれば、再熱器3などに滞留している冷媒の室内熱交換器5への流入を防ぐことができるため、冷媒の漏洩箇所が、再熱開閉弁2から再熱器3を経て第1膨張弁4までの流路上にない場合、室内への冷媒漏洩を低減することができる。
ここで、制御装置50は、室内冷媒漏洩センサ41において冷媒の漏洩が検知されたとき、再熱開閉弁2及び除霜開閉弁10を閉状態とし、第1膨張弁4を全閉の状態としてもよい。このようにすれば、再熱開閉弁2から第1膨張弁4までの冷媒回路を独立させることができるため、冷媒漏洩箇所の特定処理を促進することができる。
また、制御装置50は、室外冷媒漏洩センサ42において冷媒の漏洩が検知されたとき、冷却開閉弁6を閉状態にする。よって、室外への冷媒の流れを遮断すると共に、室外の冷媒を室内熱交換器5に貯留することができるため、室外での冷媒の漏洩を抑制することができる。加えて、制御装置50は、室外冷媒漏洩センサ42において冷媒の漏洩が検知されたとき、さらに第1膨張弁4を全閉の状態にする。よって、主回路31における冷媒の流れを遮断し、第1膨張弁4の上流、すなわち再熱器3などに冷媒を貯留することができるため、室外での冷媒の漏洩をさらに精度よく抑制することができる。もっとも、制御装置50は、室外冷媒漏洩センサ42において冷媒の漏洩が検知されたとき、第1膨張弁4を全閉の状態にしなくてもよい。
ここで、制御装置50は、室外冷媒漏洩センサ42において冷媒の漏洩が検知されたとき、第2膨張弁9を全閉の状態にしてもよい。このようにすれば、冷却開閉弁6から第2膨張弁9までの冷媒回路を独立させることができるため、冷媒の漏洩箇所を迅速に特定させることができる。
ところで、第1膨張弁4のSC制御を行わない場合は、室内又は室外の温度が低い方に冷媒が流れやすくなる。つまり、第1膨張弁4のSC制御を行わなければ、室内の温度が室外の温度よりも低いときは、再熱器3に冷媒が流れやすくなるため、室内の温度が所望の温度よりも上昇し、相対湿度が所望の湿度よりも低下する。一方、室外の温度が室内の温度よりも低いときは、再熱器3に冷媒が流れにくくなるため、室内の温度が所望の目温度よりも低下し、相対湿度が所望の湿度よりも上昇する。この点、制御装置50は、上記の通り、第1膨張弁4のSC制御を行うようになっている。そのため、再熱器3による加熱量を確保して、室内機70に除湿能力を発揮させることができる。
また、再熱器3による過冷却度を再熱判定値以上に保つように、第1膨張弁4だけを制御すると、液バックが発生するおそれがある。第1膨張弁4のみの制御では、余剰冷媒を低減することができないためである。この点、制御装置50は、上記の通り、室外熱交換器7による加熱度を凝縮判定値以上に保つように、第2膨張弁9のSH制御を実行する。これにより、余剰冷媒が液溜め8に貯留されるため、液バックの発生を抑制することができる。すなわち、本実施の形態1の空気調和装置100によれば、第1膨張弁4でのSC制御と第2膨張弁9でのSH制御とを組み合わせることで、再熱能力の低下を抑止すると共に、液バックに起因した圧縮機1の損傷発生を回避することができる。
実施の形態2.
本実施の形態2の空気調和装置は、吹出し温度のばらつきを低減するように構成されている。本実施の形態2の空気調和装置の構成は、図1及び図2に例示した構成と同様である。よって、実施の形態1と同等の構成部材については同一の符号を用いて説明は省略する。
図8は、本発明の実施の形態2に係る室内熱交換器の具体的な構成を例示した説明図である。図8に示すように、室内熱交換器5は、複数本の伝熱管13と、複数枚のフィン14と、冷媒分配器15と、ヘッダ16と、により構成されたプレートフィンチューブ熱交換器である。また、本実施の形態2の再熱器3は、室内熱交換器5と同様に構成されたプレートフィンチューブ熱交換器である。すなわち、再熱器3は、複数本の伝熱管13と、複数枚のフィン14と、冷媒分配器15と、ヘッダ16と、により構成されている。なお、図8において、伝熱管13の本数、フィン14の枚数、段数、及び列数は一例である。すなわち、室内熱交換器5及び再熱器3のそれぞれについて、伝熱管13の本数、フィン14の枚数、段数、及び列数は、適宜変更することができる。
[非共沸混合冷媒の特徴]
空気調和装置には、冷媒回路を循環させる冷媒として、複数種類の冷媒を混合した非共沸混合冷媒が用いられることがある。非共沸混合冷媒は、同圧力下において相変化で温度が変化する。そのため、例えば、蒸発器を非共沸混合冷媒が通過する場合、蒸発過程において、上流側の方が下流側よりも温度が低くなる。また、凝縮器を非共沸混合冷媒が通過する場合、凝縮過程において、上流側の方が下流側よりも温度が高くなる。
図9は、非共沸混合冷媒のモリエル線図を例示した説明図である。図10は、非共沸混合冷媒の温度勾配の具体例を示すモリエル線図である。図9では、共沸混合冷媒の等温線を実線で示し、非共沸混合冷媒の等温線のうち、飽和液腺と飽和蒸気線との間の部分を破線で示す。つまり、非共沸混合冷媒を用いた場合、一定圧力で変化する蒸発工程及び凝縮工程において、熱交換器の入口-出口間に温度勾配が発生する。
図10では、非共沸混合冷媒の低温域での室内熱交換器5の入口-出口間の温度勾配が約5℃の場合を例示している。この例では、室内熱交換器5の入口側の冷媒温度が-12℃となり、出口側の冷媒温度が-7℃となっている。すなわち、室内熱交換器5では、入口側の冷媒温度が、出口側の冷媒温度よりも低くなっている。そのため、室内熱交換器5の入口と出口とでは、吹出し温度に差異が生じる。
非共沸混合冷媒のような温度勾配を有する冷媒を用いると、冷媒の温度が低い蒸発器の入口側では、空気の冷却が促進されて吹出し温度が低くなり、冷媒の温度が高い蒸発器の出口側では、吹出し温度が高くなる。つまり、熱交換器からの吹出し温度にばらつきが生じる。そして、ヒートポンプ式の再熱除湿が可能な空気調和装置では、吹出し温度のばらつきに起因して、空調空間の温湿度の安定性にむらが生じる。
特に、CO2を含む冷媒では、温度勾配が大きくなるため、吹出し温度のばらつきが顕著となる。CO2を含む非共沸混合冷媒は、例えばR32、R125、R134a、r1234yf、及びCO2の混合冷媒である。この例の非共沸混合冷媒は、R32の組成が49wt%~55wt%であり、R125の組成が16wt%~22wt%であり、R134aの組成が7wt%~13wt%であり、r1234yfの組成が6wt%~12wt%であり、CO2の組成が7wt%~13wt%である。そして、R32、R125、R134a、r1234yf、及びCO2の組成比は、合計が100wt%となる。
ここで、室内熱交換器5内の冷媒の流れについて説明する。まず、第1膨張弁4で減圧膨張された低温低圧の液状態の冷媒は、冷媒分配器15の流入口より室内熱交換器5に流入する。冷媒分配器15の流入口より流入した冷媒は、冷媒分配器15で分配され、冷媒分配器15のそれぞれの流出口より複数の伝熱管13へと流れる。伝熱管13に流入した冷媒は、伝熱管13の軸方向に沿って流れる。伝熱管13及びフィン14の表面には、冷却対象である室内の空気が、室内送風機11によって送風されている。本実施の形態2の空気調和装置100は、室内送風機11により室内熱交換器5に送風される空気が、伝熱管13を流れる冷媒と対向方向に流れるようになっている。空気調和装置100は、室内熱交換器5に送風される空気と伝熱管13を流れる冷媒とを対向させる対向流化により、熱交換損失を低減し、室内熱交換器5の性能向上を図っている。伝熱管13を流れる冷媒は、伝熱管13及びフィン14に接する屋内の空気との間で熱交換を行い、室内の空気の熱を吸熱する。伝熱管13にて室内の空気と熱交換を行った冷媒は、ヘッダ16の流入口より流入し、ヘッダ16で合流して、ヘッダ16の流出口より圧縮機1へと流れる。
次に、再熱器3内の冷媒の流れについて説明する。まず、圧縮機1で加熱圧縮された高温高圧のガス状態の冷媒は、冷媒分配器15の流入口より流入する。冷媒分配器15の流入口より流入した冷媒は、冷媒分配器15で分配され、冷媒分配器15のそれぞれの流出口より複数の伝熱管13へと流れる。伝熱管13に流入した冷媒は、伝熱管13の軸方向に沿って流れる。伝熱管13及びフィン14の表面には、室内熱交換器5を通過して冷却された空気が送風されている。本実施の形態2の空気調和装置100は、再熱器3に送風される空気が、伝熱管13を流れる冷媒と対向方向に流れるようになっている。空気調和装置100は、再熱器3に送風される空気と伝熱管13を流れる冷媒とを対向させる対向流化により、熱交換損失を低減し、再熱器3の性能向上を図っている。伝熱管13を流れる冷媒は、室内熱交換器5で冷却され、伝熱管13及びフィン14に接する空気との間で熱交換を行い、空気へ熱を放熱する。伝熱管13にて空気と熱交換を行った冷媒は、ヘッダ16の流入口より流入し、ヘッダ16で合流して、ヘッダ16の流出口より第1膨張弁4へと流れる。
非共沸混合冷媒を用いる場合、室内熱交換器5において、冷媒分配器15の流入口側と、ヘッダ16の流出口側との間には、熱交換能力に差異が生じる。したがって、冷媒分配器15の流入口側を通過した空気と、ヘッダ16の流出口側を通過した空気との間には、温度差が生じる。再熱器3においても同様に、冷媒分配器15の流入口側と、ヘッダ16の流出口側との間には、熱交換能力に差異が生じる。ただし、再熱器3では、室内熱交換器5とは逆に、入口側の冷媒温度が、出口側の冷媒温度よりも高くなっている。
したがって、室内熱交換器5の入口側と再熱器3の出口側とが対向し、かつ蒸発器の出口側と再熱器3の入口側とが対向するように、再熱器3と室内熱交換器5とを配置すると、室内熱交換器5で生じた温度差が、再熱器3でさらに大きくなってしまう。つまり、上記のような配置を採ると、非共沸混合冷媒を用いた際に生じる、熱交換器の入口-出口間の温度差により、再熱除湿時の吹出し温度には、部位によって差異が発生することとなる。
そこで、本実施の形態2の空気調和装置100は、室内熱交換器5のうちで冷媒温度が最も低い部分を通過した空気が、再熱器3のうちで冷媒温度が最も高い部分を通過するように、室内熱交換器5と再熱器3とが配置されている。つまり、室内熱交換器5のうちで冷媒温度が最も高い部分を通過した空気が、再熱器3のうちで冷媒温度が最も低い部分を通過するように、室内熱交換器5と再熱器3とが配置されている。なお、本実施の形態2の空気調和装置100においても、実施の形態1と同様、室内熱交換器5と再熱器3とは、共通する風路上に設けられている。
図11は、本発明の実施の形態2の空気調和装置における蒸発器及び再熱器の配置例を示す説明図である。図11において、室内熱交換器5及び再熱器3の内部に示す波線同士の間隔は、冷媒温度の高低に対応している。すなわち、図11では、波線同士の間隔が狭くなれば冷媒温度が高くなり、波線同士の間隔が広くなれば冷媒温度が低くなるように、波線を例示している。
つまり、室内熱交換器5は、冷媒の入口側の温度が、冷媒の出口側の温度よりも低くなっている。再熱器3は、冷媒の入口側の温度が、冷媒の出口側の温度よりも高くなっている。そして、室内熱交換器5と再熱器3とは、室内熱交換器5における冷媒の入口側を通過した空気が、再熱器3における冷媒の出口側を通過し、かつ、室内熱交換器5における冷媒の出口側を通過した空気が、再熱器3における冷媒の入口側を通過するように配置されている。
例えば、図11に示すように、室内熱交換器5の冷媒温度が相対的に低い部分と、再熱器3の冷媒温度が相対的に高い部分とが対向し、かつ室内熱交換器5の冷媒温度が相対的に高い部分と、再熱器3の冷媒温度が相対的に低い部分とが対向するような配置を採ってもよい。室内熱交換器5及び再熱器3は、何れも、冷媒が上部から下部へ流れるように設けられている。室内熱交換器5と再熱器3との具体的な配置については、各機器の配置及びパスパターンによる各熱交換器からの吹出し温度をもとに、最適な配置を適宜選択すればよい。
ところで、図11では、各熱交換器の列数が1列の場合を例示しているが、これに限らず、各熱交換器の列数は、2列以上であってもよい。室内熱交換器5及び再熱器3のうちの少なくとも1つの列数を2列以上とした場合においても、各熱交換器の熱分布をもとに、室内熱交換器5及び再熱器3の配置を決定するとよい。
図12は、本発明の実施の形態2の空気調和装置における冷媒漏洩時の各開閉弁及び各膨張弁の状態を示す表である。本実施の形態2の制御装置50は、実施の形態1の場合と同様、室内冷媒漏洩センサ41及び室外冷媒漏洩センサ42のそれぞれから漏洩信号を取得するようになっている。
制御装置50は、室内側で冷媒漏洩を検知した際、室内側の再熱開閉弁2を閉状態にすると共に、再熱器3の下流側の第1膨張弁4を全開にする。これにより、第1接続部Mから再熱器3及び第1膨張弁4を経て第2接続部Nまでの流路に存在する冷媒を、室内熱交換器5側へ導くことができる。さらに、制御装置50は、室内側で冷媒漏洩を検知した際、室外側の冷却開閉弁6を開状態にし、室外熱交換器7の下流側の第2膨張弁9を全閉にする。これらの弁制御により、冷媒を室外側に溜めることができる。よって、室内で冷媒が漏れた場合に、室内での不活性ガスの充満を抑止することができるため、安全性を高めることができる。
制御装置50は、室外側で冷媒漏洩を検知した際、冷却開閉弁6を閉状態にし、第2膨張弁9を全開にする。これにより、冷却回路32に存在する冷媒を、室内熱交換器5側へ導くことができる。さらに、制御装置50は、室外側で冷媒漏洩を検知した際、再熱開閉弁2を開状態にすると共に、第1膨張弁4を全閉にする。これらの弁制御により、冷媒を室内側に溜めることができる。よって、室外で冷媒が漏れた場合に、室外での不活性ガスの充満を抑止することができるため、安全性を高めることができる。
また、本実施の形態2では、非共沸混合冷媒の特性を生かし、制御装置50が、乾き度を用いて冷媒回路30を制御するようになっている。ところで、従来の擬似共沸冷媒は、二層冷媒の温度勾配がないため、擬似共沸冷媒を用いた場合は、乾き度を算出することができない。よって、高圧と低圧の飽和温度と冷媒温度から算出した過熱度及び過冷却度を用いて冷媒回路を制御するのが一般的であり、冷媒の状態がわからないことから、従来は、算出した過熱度及び過冷却度に尤度を持たせて制御するという手法が採られている。
この点、非共沸混合冷媒では、圧力と温度とから乾き度を求めることができ、求めた乾き度から冷媒の状態がわかるため、尤度を持たせる設計をしなくても、信頼性の高い制御を構築することができる。すなわち、非共沸混合冷媒を用いれば、モリエル線図上の飽和線に沿った制御が可能となるため、熱交換器の容量を有用に活用した制御を構築することができる。非共沸混合冷媒は、二相冷媒の温度勾配があるためである。
本実施の形態2の空気調和装置100は、圧縮機1の吸入側の圧力を計測する低圧センサと、室内熱交換器5出口の乾き度、つまり低圧側の乾き度を取得する位置の温度を計測する蒸発器温度センサと、を設けて構成するとよい。すると、制御装置50は、低圧センサが検出した圧力と、蒸発器温度センサが検出した温度とから、低圧側の乾き度を求めることができる。非共沸冷媒では、圧力と冷媒の温度から低圧側の乾き度が一意に求まる。ここで、低圧センサは、図1の圧力センサ61に相当し、蒸発器温度センサは、図1の冷媒温度センサ68に相当する。
また、圧縮機1の吐出側の圧力を計測する高圧センサと、再熱器3出口又は室外熱交換器7出口の乾き度、つまり高圧側の乾き度を取得する位置の温度を計測する凝縮器温度センサと、を設けて構成するとよい。すると、制御装置50は、高圧センサが検出した圧力と、凝縮器温度センサが検出した温度とから、高圧側の乾き度を求めることができる。非共沸冷媒では、圧力と冷媒の温度から高圧側の乾き度が一意に求まる。ここで、高圧センサは、図1の圧力センサ62、63、64に相当し、凝縮器温度センサは、図1の冷媒温度センサ67、69に相当する。すなわち、再熱器3出口の乾き度は、圧力センサ62又は圧力センサ63の計測圧力と、冷媒温度センサ67の計測温度とから求まる。室外熱交換器7出口の乾き度は、圧力センサ62又は圧力センサ64の計測圧力と、冷媒温度センサ69の計測温度とから求まる。
以上のように、本実施の形態2の空気調和装置100によっても、除湿能力の低下を防止し、除湿運転を効率よく行うことができる。また、本実施の形態2において、室内熱交換器5と再熱器3とは、室内熱交換器5の吹出し温度が低くなる箇所と、再熱器3の吹出し温度が高くなる箇所とが、空気の流れにおいて重なるように配置されている。つまり、空気調和装置100は、室内熱交換器5及び再熱器3の各々の温度分布をもとに、室内熱交換器5の最も冷媒温度が低い部分と、再熱器3の最も冷媒温度が高い部分とが、共通する風路に対し重なるように構成されている。そのため、除湿運転時又は中間運転時において、温度のばらつきの少ない空気を室内に供給することができる。
より具体的に、本実施の形態2の冷媒回路30は、内部を循環する冷媒として、非共沸混合冷媒が用いられている。そのため、室内熱交換器5は、冷媒の入口側の温度が、冷媒の出口側の温度よりも低くなる。また、再熱器3は、冷媒の入口側の温度が、冷媒の出口側の温度よりも高くなる。そして、室内熱交換器5と再熱器3とは、室内熱交換器5における冷媒の入口側を通過した空気が、再熱器3における冷媒の出口側を通過し、かつ、室内熱交換器5における冷媒の出口側を通過した空気が、再熱器3における冷媒の入口側を通過するように配置されている。例えば、室内熱交換器5及び再熱器3のそれぞれに流れる冷媒の経路は、図11のように規定することができる。よって、吹出し温度のばらつきと、吹出し温度のばらつきに起因した湿度のむらとを低減することができるため、室内機70から空調空間に吹き出される空気の温度のばらつきを抑制すると共に、室内の空気の状態の安定化を図ることができる。他の効果等については、実施の形態1と同様である。
実施の形態3.
図13は、本発明の実施の形態3に係る空気調和装置の全体的な構成図である。本実施の形態3の空気調和装置200は、冷媒回路30の構成の一部が、実施の形態1及び2の空気調和装置100とは異なっている。実施の形態1及び2と同様の構成部材については同一の符号を用いて説明は省略する。
図13に示すように、本実施の形態3の冷媒回路30は、液溜め8を搭載しておらず、アキュムレータ18を搭載している点で実施の形態1とは異なっており、他の構成については実施の形態1と同様である。すなわち、空気調和装置200は、アキュムレータ18に余剰冷媒を溜めるように、再熱器3及び室外熱交換器7の双方の運転をSC制御によってコントロールする。
本実施の形態3では、再熱器3及び室外熱交換器7のそれぞれに応じたSC制御により、再熱器3及び室外熱交換器7のそれぞれでの最適な冷媒量による運転が可能となる。そのため、空気調和装置200の能力を適正に維持することができると共に、余剰した冷媒は、安価なアキュムレータ18に溜めておくことができる。つまり、液バックにより圧縮機1に向けて冷媒が戻ってきたとしても、アキュムレータ18の作用により、圧縮機1での液圧縮を抑制することができるため、信頼性の高い空気調和装置200を提供することができる。
ここで、制御装置50は、再熱器3による過冷却度を、圧力センサ62から取得する高圧圧力と、冷媒温度センサ67から取得する再熱器出口温度と、を用いて求めるようになっている。すなわち、制御装置50は、高圧圧力を飽和換算して凝縮温度を求め、求めた凝縮温度から再熱器出口温度を減算することにより、再熱器3による過冷却度を求める。また、制御装置50は、室外熱交換器7による過冷却度を、圧力センサ64から取得する凝縮器出口圧力と、冷媒温度センサ69から取得する室外熱交換器出口温度とを用いて求めるようになっている。すなわち、制御装置50は、高圧圧力を飽和換算して凝縮温度を求め、求めた凝縮温度から室外熱交換器出口温度を減算することにより、室外熱交換器7による過冷却度を求める。もっとも、制御装置50は、室外熱交換器7による過冷却度を求める際、圧力センサ64から取得する凝縮器出口圧力の代わりに、圧力センサ62から取得する高圧圧力を用いてもよい。
室内外での冷媒漏洩時の各開閉弁及び各膨張弁の制御は、上述した実施の形態1及び2と同様である。また、空気調和装置200は、前述した実施の形態2における再熱器3と室内熱交換器5との配置構成を適用してもよく、実施の形態2の場合と同様、乾き度を用いて冷媒回路30を制御してもよい。
図14は、図13の空気調和装置の動作のうち、冷媒量調整運転時の動作を例示したフローチャートである。図14を参照して、本実施の形態3の制御装置50による冷媒量調整制御について説明する。制御装置50は、下記のステップS101~S104、及びステップS301~S304の一連の処理を、定期的に繰り返し実行する。
制御装置50は、図7の場合と同様に、ステップS101~S104の一連の処理を実行する。次いで、制御装置50は、室外熱交換器7による過冷却度を求める(ステップS301)。そして、制御装置50は、求めた室外熱交換器7による過冷却度が凝縮判定値以上であるか否かを判定する(ステップS302)。
制御装置50は、室外熱交換器7による過冷却度が凝縮判定値以上であれば(ステップS302/Yes)、第2膨張弁9の開度を小さくする(ステップS303)。一方、制御装置50は、室外熱交換器7による過冷却度が凝縮判定値未満であれば(ステップS302/No)、第2膨張弁9の開度を小さくする(ステップS304)。
ステップS303及びS304において、制御装置50は、室外熱交換器7による過冷却度と凝縮判定値との差分である第2SC差に応じて、第1膨張弁4の開度調整の程度を決定する。例えば、記憶部52に、第2SC差と第2膨張弁9の開度の調整量である弁調整量とを関連づけた弁調整テーブルを記憶させておくとよい。ここで、室外熱交換器7による過冷却度から凝縮判定値を減算して第2SC差を求める場合を想定する。すると、弁調整テーブルは、第2SC差が正の範囲で、第2SC差が大きくなれば、弁調整量が大きくなるようにするとよい。また、弁調整テーブルは、第2SC差が負の範囲で、第2SC差が小さくなれば、弁調整量が大きくなるようにするとよい。制御装置50は、弁調整テーブルを用いることにより、室外熱交換器7による過冷却度が凝縮判定値以上であれば、第2SC差が大きいほど第2膨張弁9の開度を小さくすることになる。同様に、制御装置50は、室外熱交換器7による過冷却度が再熱判定値未満であれば、第2SC差の絶対値が大きいほど第2膨張弁9の開度を大きくすることになる。
以上のように、本実施の形態3の空気調和装置200によっても、除湿能力の低下を防止し、除湿運転を効率よく行うことができる。ところで、実施の形態1のように、液溜め8を備える冷媒回路30では、液バックに応じた保護のために、第2膨張弁9に対し、過熱度を確保する運転を実施する必要がある。したがって、余剰冷媒を貯留させるためには、容量の大きな液溜め8のような高価な高圧容器が必要となる。
この点、本実施の形態3の空気調和装置200では、再熱器3及び室外熱交換器7のそれぞれに応じたSC制御により、再熱器3及び室外熱交換器7のそれぞれでの最適な冷媒量による運転が可能となる。そのため、空気調和装置200の能力を適正に維持することができ、余剰冷媒は、安価なアキュムレータ18に溜めておくことができる。つまり、液バックにより圧縮機1に向けて冷媒が戻ってきたとしても、アキュムレータ18の作用により、圧縮機1での液圧縮を抑制することができるため、空気調和装置としての信頼性を高めることができる。
そして、空気調和装置200は、非共沸混合冷媒を、アキュムレータ18により、気体と液体とに分離させ、高沸点の冷媒をアキュムレータ18に貯留させ、低沸点の冷媒を用いて除霜運転時の熱容量を増加させる。つまり、空気調和装置200は、除霜運転中において、非共沸混合冷媒に含まれる高沸点の冷媒をアキュムレータ18に貯留させ、非共沸混合冷媒に含まれる低沸点の冷媒を冷媒回路30に循環させる。そのため、霜取り時間の短縮を図ることができる。他の効果等については、実施の形態1及び2と同様である。
上述した各実施の形態は、空気調和装置における好適な具体例であり、本発明の技術的範囲は、これらの態様に限定されるものではない。例えば、空気調和装置100は、冷却運転及び除霜運転を行う機能を有さなくてもよく、この場合は、再熱開閉弁2が不要となる。よって、主回路31は、圧縮機1、再熱器3、第1膨張弁4、及び室内熱交換器5が主配管21により順次連結されたものとなる。また、実施の形態1及び2では、冷媒回路30に液溜め8が設けられた例を示したが、これに限らず、実施の形態1及び2の冷媒回路30は、液溜め8を有しなくてもよい。さらに、上記各実施の形態では、主回路31が空調空間に配置されている場合を例示したが、これに限らず、主回路31の構成のうち、少なくとも再熱器3及び室内熱交換器5が空調空間に配置されていればよい。加えて、実施の形態1~3の冷媒回路30は、バイパス回路33を有しなくてもよい。ただし、冷媒回路30にバイパス回路33を設けなければ、本実施の形態1のような流路での除霜運転は不可となる。
上記各実施の形態では、主回路31が空調空間に配置されている場合を例示したが、これに限らず、少なくとも再熱器3及び室内熱交換器5が空調空間に配置されていればよい。
図1及び図13では、室内冷媒漏洩センサ41が室内機70の内部に設けられた例を示したが、これに限らず、室内冷媒漏洩センサ41は、空調空間の内部であって、室内機70の外部に設けられてもよい。同様に、図1及び図13では、室外冷媒漏洩センサ42が室外機80の内部に設けられた例を示したが、これに限らず、室外冷媒漏洩センサ42は、空調空間及び室外機80の外部に設けられてもよい。
図1及び図13では、制御装置50が室内機70の内部に設けられた例を示したが、これに限らず、制御装置50は、室外機80の内部に設けられてもよい。また、室外機80に、室外送風機12などの室外機80の各アクチュエータの動作を制御する室外制御装置を設け、制御装置50と室外制御装置とが連携して、空気調和装置100又は200を制御してもよい。加えて、図12に例示した冷媒漏洩時の各開閉弁及び各膨張弁の処理は、実施の形態1及び3の構成に適用することもできる。