以下、本開示に係る空気調和装置の実施の形態について図面を参照して説明する。本開示は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本開示は、以下の実施の形態およびその変形例に示す構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組み合わせを含むものである。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。なお、各図面では、各構成部材の相対的な寸法関係または形状等が実際のものとは異なる場合がある。
実施の形態1.
[空気調和装置200の構成]
はじめに、実施の形態1に係る空気調和装置200の構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る空気調和装置200の構成の一例を示す冷媒回路図である。実施の形態1では、空気調和装置200は、例えば、室内を換気する外気調和機としての機能を有するものである。空気調和装置200は、運転モードとして、冷房運転モードと除湿運転モードとを有している。
図1に示すように、空気調和装置200は、例えば、室内300と室外301との間の境界に設置されている。室内300は、空気調和装置200の被空調空間である。空気調和装置200は、室内300に設置されていてもよい。
空気調和装置200は、圧縮機16と、絞り装置17と、第1熱交換器11と、第2熱交換器12と、第3熱交換器13とを含む、ヒートポンプ回路を備えている。圧縮機16、第1熱交換器11、第2熱交換器12、絞り装置17、および、第3熱交換器13が冷媒配管18によって接続されて、冷媒回路が形成されている。
空気調和装置200においては、冷房運転モードと除湿運転モードとにおいて、冷媒の流れる方向は同じである。具体的には、冷房運転モードおよび除湿運転モードにおいて、冷媒は、圧縮機16、第1熱交換器11、第2熱交換器12、絞り装置17、第3熱交換器13、圧縮機16の順に流れる。
図1に示すように、空気調和装置200は、室外301の空気を室内300に給気する給気経路19および給気ファン14を備えている。給気ファン14は、給気経路19内に配置されている。また、空気調和装置200は、室内300の空気を室外301に還気する還気経路20および還気ファン15を備えている。還気ファン15は、還気経路20内に配置されている。以下、図1を用いて、これらの構成要素について説明する。
なお、図1における4つの矢印は、それぞれ、外気OA、給気SA、還気RA、および、排気EAの通風方向を示している。外気OAは、給気ファン14により室外301から第2熱交換器12および第3熱交換器13へ供給される空気であり、給気経路19内を、室外301から室内300に向かう方向に流れる。また、給気SAは、給気ファン14により第2熱交換器12および第3熱交換器13から室内300へ供給される空気であり、給気経路19内を室外301から室内300に向かう方向に流れる。また、還気RAは、還気ファン15により室内300から第1熱交換器11へ供給される空気であり、還気経路20内を室内300から室外301に向かう方向に流れる。排気EAは、還気ファン15により第1熱交換器11から室外301へ排気される空気であり、還気経路20内を室内300から室外301に向かう方向に流れる。
給気経路19は、室外301と室内300とを連絡する風路である。給気経路19は、例えば、ダクトから構成されている。給気ファン14は、給気経路19内に設けられ、室外301から室内300へ空気を送風する。給気ファン14は、第2熱交換器12と第3熱交換器13とに、外気OAを供給する。
還気経路20は、室内300と室外301とを連絡する風路である。還気経路20は、例えば、ダクトから構成されている。還気ファン15は、還気経路20内に設けられ、室内300から室外301へ空気を送風する。還気ファン15は、第1熱交換器11に還気RAを供給する。
給気ファン14および還気ファン15の形態としては、遠心送風機、軸流送風機、横流送風機のいずれでもよく、給気ファン14の形態と還気ファン15の形態とは同じであっても、異なっていてもよい。また、給気ファン14は、第2熱交換器12および第3熱交換器13の上流側にあっても下流側にあってもよい。同様に、還気ファン15は、第1熱交換器11の上流側にあっても下流側にあってもよい。
圧縮機16は、吸入口と吐出口とを有している。圧縮機16は、冷媒を吸入口から吸入して、当該冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒を吐出口から吐出する。圧縮機16は、例えば、ロータリー圧縮機、スクロール圧縮機、スクリュー圧縮機、または、往復圧縮機等で構成することができる。圧縮機16が、インバータ圧縮機の場合、インバータ回路などにより、運転周波数を任意に変化させ、圧縮機16の単位時間あたりの冷媒を送り出す容量を変化させてもよい。その場合、圧縮機16の運転周波数は、後述する制御部90で制御される。
第1熱交換器11は、冷媒配管18を介して、圧縮機16の吐出口に接続されている。第1熱交換器11には、圧縮機16から吐出された高温高圧の冷媒が流入される。図1に示すように、第1熱交換器11は、還気経路20内に配置されている。第1熱交換器11は、内部に、冷媒が流れる伝熱管を有している。第1熱交換器11は、例えば、フィンアンドチューブ型熱交換器である。第1熱交換器11は、伝熱管を流れる冷媒と還気RAとの間で熱交換を行う。第1熱交換器11は、冷房運転モードおよび除湿運転モードにおいて、凝縮器として機能する。
第2熱交換器12は、冷房運転モードにおける冷媒の流れる方向において、第1熱交換器11の下流側に配置されている。第2熱交換器12には、第1熱交換器11から流出された冷媒が流入される。また、第2熱交換器12は、給気経路19内に配置されている。第2熱交換器12は、内部に、冷媒が流れる伝熱管を有している。第2熱交換器12は、例えば、フィンアンドチューブ型熱交換器である。第2熱交換器12は、伝熱管を流れる冷媒と外気OAとの間で熱交換を行う。第2熱交換器12は、冷房運転モードにおいては蒸発器として機能し、除湿運転モードにおいては凝縮器として機能する。
第3熱交換器13は、冷房運転モードにおける冷媒の流れる方向において、第2熱交換器12の下流側に配置されている。第3熱交換器13には、第2熱交換器12から流出された冷媒が、絞り装置17を介して流入される。また、第3熱交換器13は、給気経路19内に配置されている。第3熱交換器13は、内部に、冷媒が流れる伝熱管を有している。第3熱交換器13は、例えば、フィンアンドチューブ型熱交換器である。第3熱交換器13は、伝熱管を流れる冷媒と外気OAとの間で熱交換を行う。第3熱交換器13は、冷房運転モードおよび除湿運転モードにおいて、蒸発器として機能する。
絞り装置17は、第2熱交換器12と第3熱交換器13との間に配置されている。絞り装置17は、第1熱交換器11および第2熱交換器12を経由した冷媒を膨張させて減圧する。絞り装置17は、例えば冷媒の流量を調整可能な電動膨張弁で構成することができる。なお、絞り装置17としては、電動膨張弁だけでなく、受圧部にダイアフラムを採用した機械式膨張弁等の他の膨張弁を適用することも可能である。
また、図1に示すように、空気調和装置200は、複数の検出部80〜88を有している。各検出部80〜88の検出結果は、制御部90に入力される。以下、これらの検出部80〜88について説明する。
第1温度湿度検出部80は、給気経路19内に配置されている。第1温度湿度検出部80は、空気の流れる方向において、第2熱交換器12および第3熱交換器13の下流に配置されている。第1温度湿度検出部80は、給気SAの温度と湿度とを検出する。第1温度湿度検出部80は、例えば、温度センサおよび湿度センサから構成される。
第2温度湿度検出部81は、還気経路20内に配置されている。第2温度湿度検出部81は、空気の流れる方向において、第1熱交換器11の上流に配置されている。第2温度湿度検出部81は、還気RAの温度と湿度とを検出する。第2温度湿度検出部81は、例えば、温度センサおよび湿度センサから構成される。
外気温度検出部82は、給気経路19内に配置されている。外気温度検出部82は、空気の流れる方向において、第2熱交換器12および第3熱交換器13の上流に配置されている。外気温度検出部82は、外気OAの温度を検出する。外気温度検出部82は、例えば、温度センサから構成される。
第1冷媒温度検出部83は、第1熱交換器11と第2熱交換器12との間の冷媒配管18に取り付けられている。第1冷媒温度検出部83は、冷房運転モードにおける冷媒の流れる方向において、第1熱交換器11の下流に配置されている。第1冷媒温度検出部83は、第1熱交換器11の出口冷媒温度を検出する。第1冷媒温度検出部83は、例えば、温度センサから構成される。
第2冷媒温度検出部84は、第2熱交換器12と第3熱交換器13との間の冷媒配管18に取り付けられている。第2冷媒温度検出部84は、冷房運転モードにおける冷媒の流れる方向において、例えば、第2熱交換器12の下流で、且つ、絞り装置17の上流に配置されている。第2冷媒温度検出部84は、第2熱交換器12の出口冷媒温度を検出する。第2冷媒温度検出部84は、例えば、温度センサから構成される。
第3冷媒温度検出部85は、第3熱交換器13と圧縮機16との間の冷媒配管18に取り付けられている。第3冷媒温度検出部85は、冷房運転モードにおける冷媒の流れる方向において、第3熱交換器13の下流に配置されている。第3冷媒温度検出部85は、第3熱交換器13の出口冷媒温度を検出する。第3冷媒温度検出部85は、例えば、温度センサから構成される。
吐出圧力検出部86は、圧縮機16の吐出口側に配置されている。吐出圧力検出部86は、例えば、圧縮機16と第1熱交換器11との間の冷媒配管18に取り付けられている。吐出圧力検出部86は、圧縮機16から吐出される冷媒の圧力を検出する。吐出圧力検出部86は、例えば、圧力センサから構成される。
吸入圧力検出部87は、圧縮機16の吸入口側に配置されている。吸入圧力検出部87は、例えば、圧縮機16と第3熱交換器13との間の冷媒配管18に取り付けられている。吸入圧力検出部87は、圧縮機16に吸入される冷媒の圧力を検出する。吸入圧力検出部87は、例えば、圧力センサから構成される。
吐出温度検出部88は、圧縮機16の吐出口側に配置されている。吐出温度検出部88は、例えば、圧縮機16と第1熱交換器11との間の冷媒配管18に取り付けられている。吐出温度検出部88は、圧縮機16から吐出される冷媒の温度を検出する。吐出温度検出部88は、例えば、温度センサから構成される。
なお、図1においては、空気調和装置200が冷房運転と除湿運転のみを行う場合の冷媒回路構成を示しているが、その場合に限らず、空気調和装置200は、さらに暖房運転を行うようにしてもよい。図16は、実施の形態1に係る空気調和装置200の変形例である空気調和装置200Aの構成の一例を示す冷媒回路図である。空気調和装置200Aは、冷房運転モードと除湿運転モードと暖房運転モードとを有している。
図16に示すように、空気調和装置200Aにおいては、図1の構成に対して、流路切替装置30、第2絞り装置31、および、第4冷媒温度検出部89が追加されている。
流路切替装置30は、圧縮機16の吐出口と、第1熱交換器11及び第3熱交換器13との間に配置されている。流路切替装置30は、例えば、四方弁から構成されている。流路切替装置30は、空気調和装置200の運転モードが冷房運転モードか暖房運転モードかに応じて、冷媒の流れる方向を切り替える。但し、空気調和装置200Aにおいても、空気調和装置200と同様に、冷房運転モードと除湿運転モードとは、冷媒の流れる方向は同じである。図16において、流路切替装置30の実線は、流路切替装置30の冷房運転モード時の状態を示し、流路切替装置30の破線は、流路切替装置30の暖房運転モード時の状態を示している。つまり、流路切替装置30は、冷房運転モード時においては、圧縮機16の吐出口と第1熱交換器11とを接続すると共に、圧縮機16の吸入口と第3熱交換器13とを接続するように冷媒の流れを切り替える。また、流路切替装置30は、暖房運転モード時においては、圧縮機16の吐出口と第3熱交換器13とを接続すると共に、圧縮機16の吸入口と第1熱交換器11とを接続するように冷媒の流れを切り替える。これにより、冷房運転モード時と暖房運転モード時では、冷媒の流れる方向は逆になる。
冷房運転モードにおいては、圧縮機16から吐出された冷媒は、流路切替装置30を介して、第1熱交換器11に流入される。すなわち、冷房運転モードにおいては、冷媒は、圧縮機16、流路切替装置30、第1熱交換器11、第2絞り装置31、第2熱交換器12、絞り装置17、第3熱交換器13、流路切替装置30、圧縮機16の順に流れる。
一方、暖房運転モードにおいては、圧縮機16から吐出された冷媒は、流路切替装置30を介して、第3熱交換器13に流入される。すなわち、暖房運転モードにおいては、冷媒は、圧縮機16、流路切替装置30、第3熱交換器13、絞り装置17、第2熱交換器12、第2絞り装置31、第1熱交換器11、流路切替装置30、圧縮機16の順に流れる。
第2絞り装置31は、第1熱交換器11と第2熱交換器12との間に配置されている。暖房運転モードにおいて、第2絞り装置31は、第2熱交換器12から流出された冷媒を膨張させて減圧する。
第4冷媒温度検出部89は、暖房運転モードにおける冷媒の流れる方向において、第1熱交換器11の下流に配置されている。第4冷媒温度検出部89は、例えば、第1熱交換器11と流路切替装置30との間の冷媒配管18に設けられている。第4冷媒温度検出部89は、暖房運転モードにおいて、第1熱交換器11の出口冷媒温度を検出する。第4冷媒温度検出部89の検出結果は、制御部90に入力される。
このように、図16に示すように、流路切替装置30を追加して、冷房運転モード時と逆方向の冷媒流れを形成可能にし、且つ、第1熱交換器11と第2熱交換器12との間に第2絞り装置31を追加すれば、空気調和装置200が暖房運転を行うことも可能である。
あるいは、特許文献1に記載のように、空気の流れ方向を切り替えることにより、暖房運転を行うようにしても良い。すなわち、第1熱交換器11が給気経路19内にあり、第2熱交換器12と第3熱交換器13とが還気経路20内にあるように、風路を切り替える切り替え機構を、図1の構成に追加すればよい。
なお、以下では、説明の簡略化のため、図1の冷媒回路の場合を例に挙げて、実施の形態1について説明する。
(制御部90)
図1に示すように、空気調和装置200は、制御部90をさらに備えている。制御部90は、空気調和装置200の全体の動作の制御を行うものであり、例えばアナログ回路、デジタル回路、CPU、または、これらのうちの2つ以上が組み合わされた処理回路で構成されている。処理回路の少なくとも一部分がCPU(プロセッサ)の場合、制御部90の当該一部分の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、または、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、メモリに格納される。処理回路は、メモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御部90の各機能を実現する。ここで、メモリとは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)などの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
制御部90は、検出部80〜88の検出結果に基づいて、圧縮機16の周波数および絞り装置17の開度等のヒートポンプ回路の動作の制御、並びに、給気ファン14の回転数および還気ファン15の回転数等の空気の流れの制御を行う。検出部80〜88の検出結果とは、例えば、上述した、吐出圧力検出部86、吸入圧力検出部87、吐出温度検出部88、第1冷媒温度検出部83、第2冷媒温度検出部84、および、第3冷媒温度検出部85、第1温度湿度検出部80、第2温度湿度検出部81、および、外気温度検出部82の検出結果のうちの少なくとも1つである。
また、制御部90は、リモートコントローラ(図示せず)からの指示に基づいて、圧縮機16の周波数、給気ファン14の回転数、還気ファン15の回転数、絞り装置17の開度等を制御する。
制御部90の制御により、空気調和装置200において、冷房運転モード又は除湿運転モードにおける運転が実施される。
なお、実施の形態1では、制御部90が空気調和装置200の内部に設けられている場合について示しているが、制御部90は空気調和装置200の外部に設けられていてもよい。また、制御部90は、1つの制御部から構成されていてもよいが、複数の制御部から構成されていてもよい。制御部90が複数の制御部から構成されている場合、そのうちの少なくとも1つが、給気ファン14と還気ファン15などの空気流れに関する制御を行い、他の少なくとも1つが、ヒートポンプ回路の冷媒流れに関する制御を行うようにしてもよい。
[空気調和装置200の動作]
上述したように、実施の形態1に係る空気調和装置200においては、冷房運転モードと除湿運転モードとにおいて、冷媒の流れる方向は同じである。冷房運転モードと除湿運転モードとの違いは、以下の点である。
(1)第2熱交換器12が、冷房運転モードにおいては蒸発器として機能し、除湿運転モードにおいては凝縮器として機能する。
(2)冷房運転モードにおける絞り装置17の開度OPは、除湿運転モードに比べて小さい。
(3)除湿運転モードにおいて、制御部90は、絞り装置17の開度OPを減少させることにより、第2熱交換器12の外気OAに対する加熱能力を減少させる。また、絞り装置17の開度OPを増加させることにより、第2熱交換器12の外気OAに対する加熱能力を増加させる制御を行う。
すなわち、実施の形態1においては、空気調和装置200は、上記(1)および(2)により、冷房運転モードと除湿運転モードとにおいて冷媒の流れる方向を切り替える必要がない。制御部90が絞り装置17の開度OPを調整することで、第2熱交換器12が蒸発器として機能するか凝縮器として機能するかが決定される。そのため、除湿運転モードと冷房運転モードとを連続的に移行することができる。また、上記(3)により、制御部90が、絞り装置17の開度OPを調整することで、第2熱交換器12の加熱能力が調整できる。これにより、除湿運転モードにおける運転において、室内300の温度低下を抑制しながら、室内300の湿度を低下させる除湿運転が可能となる。以下に詳細に説明する。
以下、空気調和装置200の動作について、冷媒の流れおよび空気の流れと共に説明する。
<冷房運転>
まず、空気調和装置200が実行する動作のうち、冷房運転について図1〜図3を用いて説明する。冷房運転においては、空気調和装置200は、室外301の空気を降温して室内300に給気する。図2は、実施の形態1に係る空気調和装置200の冷房運転モードにおける冷媒の流れおよび空気の流れを説明する説明図である。図3は、実施の形態1に係る空気調和装置200の冷房運転モードにおける冷媒状態を示すモリエル線図である。なお、図2では、冷媒の流れる方向を実線の矢印で示し、空気の流れる方向を破線の矢印で示すと共に、代表的な条件での冷媒および空気の温度の例を矢印に付記している。また、図3において、横軸は冷媒のエンタルピ、縦軸は冷媒の圧力を示している。図3では、空気の温度、および、冷媒の圧力、エンタルピ、冷媒の温度を示している。図3では、破線の曲線により、飽和蒸気線40と飽和液線41とを示している。飽和蒸気線40と飽和液線41との境界は、臨界点Kである。なお、図3において、実際には、状態R2の圧力と状態R2−1の圧力とは同じであるが、図示の便宜上、オーバーラップさせずに、シフトさせて別々に示している。ここでは、熱交換動作において、熱交換流体が空気であり、被熱交換流体が冷媒である場合を例に、空気調和装置200の動作について説明する。
冷房運転モードにおいては、第1熱交換器11が凝縮器として作用し、第2熱交換器12および第3熱交換器13が蒸発器として作用する。
図2および図3に示すように、圧縮機16を駆動させることによって、圧縮機16から高温高圧のガス状態の冷媒が吐出する(図3の状態R1)。このときの冷媒の温度は、例えば、70℃である。圧縮機16から吐出した高温高圧のガス冷媒(単相)は、凝縮器として機能する第1熱交換器11に流れ込む。第1熱交換器11では、流れ込んだ高温高圧のガス冷媒と、還気ファン15によって室内300から室外301へ還気される還気RAとの間で熱交換が行われる。還気RAの温度TRは、例えば、27℃である。その結果、高温高圧のガス冷媒が凝縮して、高圧の液冷媒(単相)になる(図3の状態R2)。冷房運転においては、除湿運転時よりも、絞り装置17の開度OPを小さく設定している。これにより、状態R2における冷媒の圧力Pを値P1まで上昇させ、熱交換を促進することで、第1熱交換器11から流出する液冷媒の温度を、還気RAの温度TRと同程度まで低下させることができる。第1熱交換器11から流出される冷媒の温度は、例えば、27℃である。このように、絞り装置17の開度OPは、制御部90の制御により、後述する除湿運転モードに比べて小さくなるように設定される。なお、値P1は、図6に示す除湿運転時の値P2以上の値である。
第1熱交換器11から送り出された高圧の液冷媒は、蒸発器として機能する第2熱交換器12において、外気OAと熱交換し、蒸発する(図3の状態R3)。ここで、室内300の温度は、空気調和装置200または他の空気調和装置によって、外気OAよりも低温に調整されているため、還気RAの温度TRは外気OAの温度Toよりも低い。例えば、還気RAの温度TRが27℃で、外気OAの温度TOが35℃である。第1熱交換器11から第2熱交換器12に流入される液冷媒の温度は、上述したように、還気RAの温度TRと同程度であり、外気OAよりも低い。従って、外気OAは、第2熱交換器12の熱交換において冷却される。従って、第2熱交換器12を通過した外気OAの温度TO1は、例えば、27℃である。第2熱交換器12で蒸発して昇温された液冷媒は、絞り装置17によって低圧のガス冷媒と液冷媒との二相状態の冷媒になる(図3の状態R4)。二相状態の冷媒は、蒸発器として機能する第3熱交換器13に流れ込む。第3熱交換器13では、流れ込んだ二相状態の冷媒と、給気ファン14によって室外301から室内300へ供給される外気OAとの間で熱交換が行われる。その結果、二相状態の冷媒のうち液冷媒が蒸発して、低圧のガス冷媒(単相)になる(図3の状態R5)。第3熱交換器13において、外気OAは冷却される。第3熱交換器13を通過した外気OAの温度TO2は、例えば、15℃である。給気経路19では、図2に示すように、第2熱交換器12を通過した空気と第3熱交換器13を通過した空気とが混ざり合って、給気SAとなって、室内300に供給される。第3熱交換器13から送り出された低圧のガス冷媒は、圧縮機16に流れ込み、圧縮されて高温高圧のガス冷媒となって、再び圧縮機16から吐出する(図3の状態R1)。以下、このサイクルが繰り返される。
(冷房運転時の制御部90の動作)
冷房運転モードにおける制御部90の働きについて説明する。制御部90は、圧縮機16の吐出冷媒圧力と、第1熱交換器11の出口冷媒温度とに基づいて、室内300の温度が設定温度になるように、絞り装置17の開度OPを制御する。
図4は、実施の形態1に係る空気調和装置200における冷房運転モード時の制御部90の動作を示すフローチャートである。ステップS1で、制御部90は、吐出圧力検出部86から、圧縮機16の吐出口側の冷媒圧力を取得する。次に、ステップS2で、制御部90は、取得した冷媒圧力に基づいて、当該圧力における飽和温度を算出する。次に、ステップS3で、制御部90は、第1冷媒温度検出部83から、第1熱交換器11の出口冷媒温度を取得する。次に、ステップS4で、制御部90は、ステップS2で算出した飽和温度と、ステップS3で取得した出口冷媒温度とに基づいて、第1熱交換器11の出口過冷却度SC1を算出する。制御部90は、算出した出口過冷却度SC1を指標として、絞り装置17の開度OPを制御する。具体的には、制御部90は、ステップS5で、出口過冷却度SC1と、閾値Th1とを比較する。出口過冷却度SC1が閾値Th1より大きい場合は、ステップS6の処理に進み、出口過冷却度SC1が閾値Th1以下の場合は、ステップS7の処理に進む。ステップS6では、制御部90は、絞り装置17の開度OPを現在の値より増加させる。一方、ステップS7では、制御部90は、絞り装置17の開度OPを現在の値より減少させる。なお、絞り装置17の開度OPの増減量は、予め設定された一定値にしてもよいが、制御部90が、出口過冷却度SC1と閾値Th1との差分に応じて増減量を決定するようにしてもよい。
なお、閾値Th1は、通常の冷房運転を想定した第1熱交換器11の出口過冷却度の設計値(すなわち、通常運転時の理論値)に基づいて予め設定した固定値であってもよいが、可変の値でもよい。その場合、例えば、閾値Th1は、制御部90によって、空気調和装置200に対してユーザーから設定される室内300の室温に対する設定値に基づいて決定される。なお、決定方法としては、データテーブルまたは演算式をメモリに予め格納しておき、制御部90が、それを用いて閾値Th1を演算する。当該データテーブルには、室温に対する設定値ごとに、閾値Th1を記憶しておく。また、演算式は、室温に対する設定値をパラメータとして閾値Th1を求める関数である。
なお、冷房運転モードにおける絞り装置17の開度OPは、除湿運転モードに比べて小さい値に設定される。具体的に説明する。冷房運転モードにおける絞り装置17の開度OPと除湿運転モードにおける絞り装置17の開度OPとの間の境界値を境界点OPA(図8参照)とする。このとき、冷房運転モードにおける絞り装置17の開度OPは、境界点OPA以下の第1範囲内の値であり、除湿運転モードにおける絞り装置17の開度OPは、境界点OPAより大きい第2範囲内の値である。
また、冷房運転モードにおいて、制御部90は、以下のような制御を実施してもよい。給気ファン14の回転数、および、還気ファン15の回転数は、室内300の必要換気量に応じて、予め決定されるものである。ただし、空気調和装置200のほかに換気装置が設けられているなどの理由で、給気ファン14および還気ファン15の回転数を変更できる場合が想定される。その場合には、制御部90が、給気ファン14および還気ファン15の回転数を上昇させることにより、出口過冷却度SC1を増加させ、給気ファン14および還気ファン15の回転数を低下させることにより、出口過冷却度SC1を減少させるようにしてもよい。
また、制御部90は、圧縮機16の吸入圧力と、第3熱交換器13の出口冷媒温度とに基づいて、絞り装置17の開度OPを制御するようにしてもよい。その場合、制御部90は、吸入圧力検出部87から、圧縮機16が吸入する冷媒の圧力を取得して、当該圧力における飽和温度を算出する。また、制御部90は、第3冷媒温度検出部85から、第3熱交換器13の出口冷媒温度を取得する。制御部90は、算出した飽和温度と取得した出口冷媒温度とに基づいて、第3熱交換器13の出口過熱度SHeを算出する。制御部90は、出口過熱度SHeが、予め設定された閾値Th2以下のとき、圧縮機16への液吸入を防止するために、絞り装置17の開度OPを減少させる制御を実施する。一方、制御部90は、出口過熱度SHeが閾値Th2より大きい場合には、絞り装置17の開度OPを現在の値に維持する。
また、制御部90は、圧縮機16の吐出圧力と、圧縮機16の吐出冷媒温度とに基づいて、絞り装置17の開度OPを制御するようにしてもよい。その場合、制御部90は、吐出圧力検出部86から、圧縮機16が吐出する冷媒の圧力を取得して、当該圧力における飽和温度を算出する。また、制御部90は、吐出温度検出部88から、圧縮機16が吐出する冷媒の温度を取得する。制御部90は、算出した飽和温度と取得した冷媒の温度とに基づいて、圧縮機16の吐出過熱度SHdを算出する。制御部90は、予め設定された吐出温度の閾値Th3−1と、吐出過熱度SHdの閾値Th3−2に応じて絞り装置17の開度OPを制御する。吐出温度検出部88が閾値Th3−1以上の場合は、絞り装置17の開度OPを増加させる制御を実施する。これにより、蒸発器として機能する第3熱交換器13の出口冷媒を湿り状態にして、圧縮機16に微量の液冷媒を吸入させ、圧縮機16の吐出温度を低下させる。吐出温度検出部88が閾値Th3−1未満の場合は、絞り装置17の開度OPを現在の値に維持する。吐出過熱度SHdが閾値Th3−2以下の場合は、絞り装置17の開度OPを減少させる制御を実施する。これにより、圧縮機16への過剰な液流入を防止することができる。吐出過熱度SHdが閾値Th3−2より大きい場合は、絞り装置17の開度OPを現在の値に維持する。
<除湿運転>
次に、空気調和装置200が実行する運転のうち、除湿運転について、図1、図5、図6を用いて説明する。除湿運転では、空気調和装置200は、室外301の空気を室内300に除湿して給気する。図5は、実施の形態1に係る空気調和装置200の除湿運転モードにおける冷媒の流れおよび空気の流れを説明する説明図である。図6は、実施の形態1に係る空気調和装置200の除湿運転モードにおける冷媒状態を示すモリエル線図である。なお、図5では、冷媒の流れる方向を実線の矢印で示し、空気の流れる方向を破線の矢印で示し、また、代表的な条件での冷媒および空気の温度を矢印に付記している。図6において、横軸は冷媒のエンタルピ、縦軸は冷媒の圧力を示している。図6では、空気の温度、および、冷媒の圧力、エンタルピ、冷媒の温度を示している。また、図6では、破線の曲線により、飽和蒸気線40と飽和液線41とを示している。飽和蒸気線40と飽和液線41との境界は、臨界点Kである。ここでは、熱交換流体が空気であり、被熱交換流体が冷媒である場合を例に、空気調和装置200の動作について説明する。
除湿運転モードにおいては、第1熱交換器11および第2熱交換器12が凝縮器として作用し、第3熱交換器13が蒸発器として作用する。
図5および図6に示すように、圧縮機16を駆動させることによって圧縮機16から高温高圧のガス状態の冷媒が吐出する。圧縮機16から吐出した高温高圧のガス冷媒(単相)は、凝縮器として機能する第1熱交換器11に流れ込む(図6の状態R1)。第1熱交換器11では、流れ込んだ高温高圧のガス冷媒と、還気ファン15によって室内300から室外301へ排気される還気RAとの間で熱交換が行われ、高温高圧のガス冷媒が凝縮して高圧の液冷媒または二相冷媒になる(図6の状態R2)。このとき、除湿運転モードにおいては、制御部90が、絞り装置17の開度OPを冷房運転モードに比べて大きくすることにより、状態R2の圧力Pを冷房運転モード時の値P1よりも低い値P2にする。こうして熱交換を抑制することにより、液冷媒の温度を外気OAの温度TOより高い温度まで低下させる。第1熱交換器11から送り出された液冷媒の温度は、例えば45℃で、外気OAの温度は、例えば35℃である。
第1熱交換器11から送り出された高圧の液冷媒は、凝縮器として機能する第2熱交換器12に流入される。第2熱交換器12では、当該液冷媒が外気OAと熱交換して凝縮する(図6の状態R3)。このとき、第1熱交換器11から第2熱交換器12に流入した液冷媒の温度(例えば45℃)は、上述したように、外気OAの温度(例えば35℃)より高い。従って、第2熱交換器12において、外気OAは加熱される。第2熱交換器12を通過した外気OAの温度TO1は、例えば、45℃である。凝縮した液冷媒は、絞り装置17によって減圧され、低圧のガス冷媒と液冷媒との二相状態の冷媒になる(図6の状態R4)。二相状態の冷媒は、蒸発器として機能する第3熱交換器13に流れ込む。第3熱交換器13では、流れ込んだ二相状態の冷媒と、給気ファン14によって室外301から供給された外気OAとの間で、熱交換が行われて、二相状態の冷媒のうち液冷媒が蒸発して低圧のガス冷媒(単相)になる(図6の状態R5)。第3熱交換器13を通過した外気OAの温度TO2は、例えば、15℃である。第3熱交換器13から送り出された低圧のガス冷媒は、圧縮機16に流れ込み、圧縮されて高温高圧のガス冷媒となって、再び圧縮機16から吐出する(図6の状態R1)。以下、このサイクルが繰り返される。
除湿運転モードでは、第2熱交換器12で加熱された空気と、第3熱交換器13で冷却および除湿された空気とが混合されて給気SAとなって室内300に供給される。これにより、室内300の温度低下を抑制しながら、室内300の湿度を低下させる除湿運転が可能となる。
(除湿運転時の制御部90の動作)
除湿運転モードにおける制御部90の働きについて説明する。制御部90は、圧縮機16の吐出冷媒圧力と、第2熱交換器12の出口冷媒温度とに基づいて、室内300の温度が設定温度になるように、絞り装置17の開度OPを制御する。絞り装置17の開度OPを制御することにより、第2熱交換器12の加熱能力が増加または減少されるため、第2熱交換器12で加熱されて室内300に供給される空気の温度を調整することができる。これにより、室内300の温度を設定温度に維持することができる。
図7は、実施の形態1に係る空気調和装置200における除湿運転モード時の制御部90の動作を示すフローチャートである。ステップS11で、制御部90は、吐出圧力検出部86から、圧縮機16の吐出口側の冷媒圧力を取得する。次に、ステップS12で、制御部90は、取得した冷媒圧力に基づいて、当該圧力における飽和温度を算出する。次に、ステップS13で、制御部90は、第2冷媒温度検出部84から、第2熱交換器12の出口冷媒温度を取得する。次に、ステップS14で、制御部90は、ステップS12で算出した飽和温度と、ステップS13で取得した冷媒温度とに基づいて、第2熱交換器12の出口過冷却度SC2を算出する。制御部90は、算出した出口過冷却度SC2を指標として、絞り装置17の開度OPを制御する。具体的には、制御部90は、ステップS15で、出口過冷却度SC2と、閾値Th4とを比較する。出口過冷却度SC2が閾値Th4より大きい場合は、ステップS16の処理に進み、出口過冷却度SC2が閾値Th4以下の場合は、ステップS17の処理に進む。ステップS16では、制御部90は、室内300の室温が低下していると判定し、絞り装置17の開度OPを現在の値より増加させる。これにより、第2熱交換器12の加熱能力が増加し、第2熱交換器12を通過した外気OAの温度が高くなる。一方、ステップS17では、制御部90は、室内300の室温が高いと判定し、絞り装置17の開度OPを現在の値より減少させる。これにより、第2熱交換器12の加熱能力が減少し、第2熱交換器12を通過した外気OAの温度が低くなる。なお、絞り装置17の開度OPの増減量は、予め設定された一定値にしてもよいが、制御部90が、出口過冷却度SC2と閾値Th4との差分に応じて増減量を決定するようにしてもよい。
なお、閾値Th4は、通常の除湿運転を想定した第2熱交換器12の出口過冷却度の設計値(すなわち、通常運転時の理論値)に基づいて予め設定した固定値であってもよいが、可変の値でもよい。その場合、例えば、閾値Th4は、制御部90によって、空気調和装置200に対してユーザーから設定される室内300の室温に対する設定値に基づいて決定される。なお、決定方法としては、データテーブルまたは演算式をメモリに予め格納しておき、制御部90が、それを用いて閾値Th4を演算する。当該データテーブルには、室温に対する設定値ごとに、閾値Th4を記憶しておく。また、演算式は、室温に対する設定値をパラメータとして閾値Th4を求める関数である。
実施の形態1では、上述したように、制御部90が、第2熱交換器12の出口過冷却度SC2を指標として、絞り装置17の開度OPを制御する。これにより、除湿運転モードにおいて、室内300の温度低下を抑制しながら、室内300の湿度を低下させる除湿運転が可能となる。
なお、除湿運転モードにおいて、制御部90が、以下のような制御を実施してもよい。上述したように、給気ファン14の回転数および還気ファン15の回転数は、室内300の必要換気量に応じてあらかじめ決定されるものである。ただし、空気調和装置200のほかに換気装置が設けられているなどの理由で、給気ファン14の回転数および還気ファン15の回転数を変更できる場合がある。その場合は、絞り装置17の開度OPの代わりに、給気ファン14の回転数および還気ファン15の回転数を変更することで、出口過冷却度SC2を制御するようにしてもよい。その場合には、制御部90は、出口過冷却度SC2が閾値Th4以下の場合は、給気ファン14の回転数および還気ファン15の回転数を上昇させることにより、出口過冷却度SC2を増加させる。一方、出口過冷却度SC2が閾値Th4より大きい場合は、制御部90は、給気ファン14の回転数および還気ファン15の回転数を低下させることにより、出口過冷却度SC2を減少させる。なお、この場合に限らず、絞り装置17の開度OPの制御と、給気ファン14の回転数および還気ファン15の回転数の制御とを、併用してもよい。
また、制御部90が、圧縮機16の吸入冷媒圧力と、第3熱交換器13の出口冷媒温度とに基づいて、絞り装置17の開度OPを制御するようにしてもよい。その場合、制御部90は、吸入圧力検出部87の吸入冷媒圧力に基づいて、当該圧力における飽和温度を算出する。次に、制御部90は、算出した飽和温度と、第3冷媒温度検出部85の冷媒温度とに基づいて、第3熱交換器13の出口過熱度SHeを算出する。制御部90は、出口過熱度SHeが閾値Th5以下のとき、圧縮機16への液吸入を防止するために、絞り装置17の開度OPを現在の開度より減少させる。また、制御部90は、出口過熱度SHeが閾値Th5より大きい場合には、絞り装置17の開度OPを現在の値に維持させる。
また、制御部90が、圧縮機16の吐出冷媒圧力と、圧縮機16の吐出冷媒温度とに基づいて、絞り装置17の開度OPを制御するようにしてもよい。その場合、制御部90は、吐出圧力検出部86の冷媒圧力に基づいて、当該圧力における飽和温度を算出する。制御部90は、算出した飽和温度と、吐出温度検出部88の冷媒温度とに基づいて、圧縮機16の吐出過熱度SHdを算出する。制御部90は、予め設定された吐出温度の閾値Th6−1と、吐出過熱度SHdの閾値Th6−2に応じて絞り装置17の開度OPを制御する。吐出温度検出部88が閾値Th6−1以上の場合は、絞り装置17の開度OPを増加させる制御を実施する。これにより、蒸発器として機能する第3熱交換器13の出口冷媒を湿り状態にして、圧縮機16に微量の液冷媒を吸入させ、圧縮機16の吐出温度を低下させる。吐出温度検出部88が閾値Th6−1未満の場合は、絞り装置17の開度OPを現在の値に維持する。吐出過熱度SHdが閾値Th6−2以下の場合は、絞り装置17の開度OPを減少させる制御を実施する。これにより、圧縮機16への過剰な液流入を防止することができる。吐出過熱度SHdが閾値Th6−2より大きい場合は、絞り装置17の開度OPを現在の値に維持する。
(運転モードの切替動作)
次に、冷房運転モードと除湿運転モードとの運転モードの切替動作について説明する。上述した冷房運転モードおよび除湿運転モードは、制御部90が絞り装置17の開度OPを制御するによって、連続的に切り替えることが可能である。図8は、実施の形態1に係る空気調和装置200における絞り装置17の開度OPによる運転モードの切替動作を示す説明図である。図8のグラフにおいて、横軸は、図3および図6の状態R2における冷媒の温度、並びに、絞り装置17の開度OPを示す。なお、横軸において、Toは、外気OAの温度であり、TRは、還気RAの温度である。また、絞り装置17の開度OPの境界点OPAは、冷房運転モードおよび除湿運転モードが切り替わる境目である。絞り装置17の開度OPが境界点OPAより大きい第2範囲内のとき、除湿運転モードになり、絞り装置17の開度OPが境界点OPA以下の第1範囲内のとき、冷房運転モードになる。また、図8のグラフにおいて、縦軸は、第2熱交換器12の冷却能力および加熱能力を示す。縦軸において、0より大きい領域は加熱能力を示し、0以下の領域は、冷却能力を示す。
図8に示すように、絞り装置17の開度OPが第1範囲内のとき、図3および図6の状態R2の圧力は高くなるため、空気の温度と冷媒の飽和温度との差が大きく、熱交換が促進される。したがって、熱交換後の冷媒の温度は、還気RAの温度TRと同程度となる。このとき、還気RAの温度TRは、外気OAの温度TOよりも低いため、第2熱交換器12は蒸発器として作用する。すなわち、空気調和装置200の運転モードは、冷房運転モードとなる。このとき、絞り装置17の開度OPを境界点OPAに向けて大きくしていくと、開度OPが大きくなるにしたがって、状態R2の圧力が低下し、熱交換量が小さくなる。その結果、絞り装置17の開度OPを境界点OPAに到達すると、状態R2の冷媒温度は外気OAの温度TOと等しくなる。このとき、第2熱交換器12は熱交換しない。さらに、絞り装置17の開度OPを大きくして第2範囲内の値にすると、状態R2の冷媒温度は、外気OAの温度TOを上回るため、第2熱交換器12は、凝縮器として作用する。すなわち、空気調和装置200の運転モードは、除湿運転モードとなる。
(運転モードの切替時の制御部90の動作)
制御部90による運転モードの切替動作について説明する。図9は、実施の形態1に係る空気調和装置200における制御部90の運転モードの切替動作を示すフローチャートである。ステップS21で、制御部90は、還気RAの温度と湿度とを検出する第2温度湿度検出部81から、被空調空間である室内300の温度Troomおよび絶対湿度Xroomを取得する。次に、ステップS22で、制御部90は、被空調空間の温度Troomと閾値Th7とを比較する。温度Troomが閾値Th7よりも高い場合、制御部90は、ステップS23の処理に進み、冷房運転モードの運転を実施する。一方、温度Troomが閾値Th7以下の場合、制御部90は、ステップS24の処理に進む。ステップS24で、制御部90は、被空調空間である室内300の絶対湿度Xroomと閾値Th8とを比較する。絶対湿度Xroomが閾値Th8より高い場合、制御部90は、ステップS25の処理に進み、除湿運転モードの運転を実施する。一方、絶対湿度Xroomが閾値Th8以下の場合、制御部90は、ステップS26の処理に進む。ステップS26では、制御部90は、空気調和装置200において、圧縮機16を停止させることによりヒートポンプ回路は動作させず、還気ファン15および給気ファン14の少なくとも一方を動作させて換気のみを実施する。
なお、閾値Th7は、予め設定された固定値であってもよいが、空気調和装置200に対してユーザーから設定される室内300の室温に対する設定値に基づいて決定されてもよい。また、閾値Th8は、予め設定された固定値であってもよいが、空気調和装置200に対してユーザーから設定される室内300の湿度に対する設定値または室温に対する設定値に基づいて決定されてもよい。閾値Th7および閾値Th8の決定方法としては、上記の閾値Th1およびTh4と同様に、データテーブルまたは演算式により求めればよい。
[第1熱交換器11および第2熱交換器12の伝熱管の構成]
図10は、実施の形態1に係る空気調和装置200における第1熱交換器11および第2熱交換器12の伝熱管の構成を示す側面図である。図10(a)は、第1熱交換器11の伝熱管100の構成の一例を示し、図10(b)は、第2熱交換器12の伝熱管101の構成の一例を示す。
図10(a)に示すように、第1熱交換器11の伝熱管100は、一定間隔を空けて鉛直方向に沿って並んで配置されている。伝熱管100は、円管形状を有している。伝熱管100は、フィン102を貫通するように配置されている。
図10(b)に示すように、第2熱交換器12の伝熱管101は、一定間隔を空けて鉛直方向に沿って並んで配置されている。伝熱管101は、フィン103を貫通するように配置されている。伝熱管101は、長径と短径とを有する扁平管形状を有している。伝熱管101の短径は鉛直方向に延びており、伝熱管101の長径は、鉛直方向に対して垂直な方向(すなわち、水平方向)に延びている。伝熱管101を扁平管形状にすることにより、一断面あたりの伝熱管の外周長さを、円管よりも長くすることが可能になる。実施の形態1では、伝熱管101は、伝熱管100よりも、外周長さが長い。その分だけ、伝熱管101は、伝熱管100よりも、伝熱面積が大きくなる。
さらに、図10(b)では、伝熱管101が、扁平多孔管から構成されている場合を例示している。伝熱管101の内部は、内柱101aによって区分けされて細管化されることで、直径の小さい複数の冷媒流路101bが形成されている。これに対して、図10(a)に示す円管の伝熱管100では、直径の大きい1つの冷媒流路100bが設けられている。図10(b)の伝熱管101は、細分化されていない扁平管と比較すると、当該細分化により、1断面における冷媒と管内部との接触長さを2倍以上にすることができる。これにより、伝熱管101の管内の伝熱面積を拡大することができる。
除湿運転モードにおける第2熱交換器12の加熱能力の最大値は、第1熱交換器11との伝熱面積の比によって大きな影響を受ける。第2熱交換器12の加熱能力と第3熱交換器13の冷却能力とが釣り合った運転状態(除湿のみ)を実現するためには、第1熱交換器11に比べて第2熱交換器12の伝熱面積が大きいほうが望ましい。
そこで、実施の形態1では、第2熱交換器12の伝熱管101を扁平管形状にする。これにより、上述したように、一断面あたりの伝熱管101の外周長さを伝熱管100よりも長くすることで、伝熱管101の伝熱面積を、第1熱交換器11の伝熱管100よりも大きくする。また、伝熱管101の内部を細分化することで、さらに、伝熱面積を拡大できる。また、風の進行方向から見たときの伝熱管の投影面積は、扁平管の方が円管より小さくなる。そのため、円管と同じ通風抵抗で設計した場合、伝熱管101を円管に対して高密度に配置することができる。すなわち、図10(a)では、伝熱管100が3本設けられている領域に、図10(b)では、4本の伝熱管101の配置が可能になっている。これにより、伝熱管101とフィン103との接触長さが増加し、フィン103の効率が改善される。また、円管の伝熱管100の場合、フィン102に伝熱管100を挿入してから、伝熱管100を拡管することでフィン102に密着させる。しかしながら、伝熱管100とフィン102との間に、わずかでも空気層が介在すれば熱抵抗となり、性能が低下する。一方、扁平管の伝熱管101の場合は、ロウ付け接続により、フィン103と伝熱管101とを溶着させるため、熱抵抗が小さくなる。これらの理由により、第1熱交換器11に比べて第2熱交換器12の伝熱面積が大きくなり、第2熱交換器12の加熱能力と第3熱交換器13の冷却能力とが釣り合った運転状態(除湿のみ)を実現することが可能になる。なお、第3熱交換器13の伝熱管は、特に限定されず、第2熱交換器12の伝熱管101と同じ扁平管形状であっても、第1熱交換器11の伝熱管100と同じ円管形状であってもよい。
また、冷房運転モードにおいては第2熱交換器12が液冷媒で満たされ、除湿運転モードにおいては第2熱交換器12が液冷媒または二相冷媒で満たされる。したがって、冷房運転モードと除湿運転モードでは、運転に必要な冷媒充填量が大きく異なる。いずれかの運転モードにとって適正な冷媒充填量とした場合、もう一方の運転モードで安定した運転が困難となる。このような運転モードによる必要冷媒量の変動を抑制するためには、第2熱交換器12の冷媒流路101bの容積を小さくすることが効果的である。具体的には、図10(b)に示すように、伝熱管101が、扁平多孔管のような直径の小さな冷媒流路101bを多数有する構造を有していると良い。扁平多孔管は、このような構造により、大きな伝熱面積と小さな冷媒流路容積とを両立することが可能である。このように、第2熱交換器12が、第1熱交換器11に比べて小さな冷媒流路容積を有することにより、運転モードの違いによる熱交換器内の冷媒量の変動を抑制し、空気調和装置200の動作の安定性を向上させることができる。また、第2熱交換器12で生じた冷媒の過不足を第1熱交換器11で吸収することが可能となる。
なお、図10(b)では、第2熱交換器12の伝熱管101が、扁平管形状を有している場合を例に挙げて示している。しかしながら、この場合に限らず、第2熱交換器12が熱交換を行う伝熱面積が、第1熱交換器11が熱交換を行う伝熱面積よりも大きくなる構成であれば、他の構成であってもよい。なお、図10(b)では、第2熱交換器12の伝熱管101が、扁平多孔管から構成されている場合を例に挙げて示している。しかしながら、この場合に限らない。すなわち、第2熱交換器12の伝熱管101が、扁平管形状を有している場合であれば、第2熱交換器12が熱交換を行う伝熱面積が、第1熱交換器11が熱交換を行う伝熱面積よりも大きくなる。そのため、必ずしも、第2熱交換器12の伝熱管101の内部を細分化して多孔管にする必要はない。
図10(b)では、冷媒流路の容積を小さくするために、第2熱交換器12の伝熱管101が、扁平多孔管から構成されている場合を例に挙げて示している。しかしながら、この場合に限らず、第2熱交換器12の伝熱管101の各冷媒流路101bの容積が、第1熱交換器11の伝熱管100の各冷媒流路の容積よりも小さくなる構成であれば、他の構成であってもよい。
以上のように、実施の形態1では、第2熱交換器12が、第1熱交換器11よりも大きな伝熱面積を有し、第1熱交換器11よりも小さな冷媒流路容積を有している場合について説明した。しかしながら、冷房運転モードを重視して設計する場合にはこの限りではない。
[第2熱交換器12および第3熱交換器13の配置]
第2熱交換器12および第3熱交換器13は、共に、給気経路19内に配置されている。ここでは、給気経路19内における第2熱交換器12および第3熱交換器13の配置について説明する。
図11は、実施の形態1に係る空気調和装置200における第2熱交換器12および第3熱交換器13の配置の一例を説明する平面図である。図11では、第2熱交換器12および第3熱交換器13を上から見た状態を示している。また、図11(a)は、実施の形態1における第2熱交換器12および第3熱交換器13の配置例を示し、図11(b)は、比較例を示す。
図11(a)および(b)において、白抜き矢印は、給気経路19内の外気OAの流れる方向を示している。図11(a)に示すように、第2熱交換器12と第3熱交換器13とは、鉛直方向に垂直な方向(すなわち、水平方向)に並んで配置され、且つ、外気OAの流れる方向に対して垂直な方向に並んで配置されている。これにより、給気経路19を流れる外気OAのうち、少なくとも一部分が、第2熱交換器12のみを通過する。これにより、冷房運転モードにおいて、第2熱交換器12が凝縮器として作用することを防ぐことができる。
従って、実施の形態1においては、少なくとも図11(b)の比較例に示す直列配置は避けることが望ましい。図11(b)では、第2熱交換器12と第3熱交換器13とは、空気の流れる方向に沿って並んで配置されている。すなわち、第2熱交換器12と第3熱交換器13とは、空気の流れる方向において、一方が上流側、他方が下流側に配置されている。例えば図11(b)に示すように、第3熱交換器13が上流側にあると、第3熱交換器13で冷却された空気が第2熱交換器12に流れる。その場合、第2熱交換器12は凝縮器として機能してしまい、冷房運転モードの運転が行えない。逆に、第2熱交換器12が上流側にあると、除湿運転モードにおいて、第2熱交換器12で外気OAを温めた後に、第3熱交換器13で外気OAを冷やす動作となり、除湿量が不十分となる。
また、図12は、実施の形態1に係る空気調和装置200における第2熱交換器12および第3熱交換器13の配置の変形例を説明する側面図である。図12では、第2熱交換器12および第3熱交換器13を横から見た状態を示している。図12の変形例のように、第2熱交換器12および第3熱交換器13を鉛直方向に沿って上下に配置するようにしてもよい。具体的には、第2熱交換器12が下側で、第3熱交換器13が上側に配置されている。変形例においても、給気経路19を流れる外気OAのうち、少なくとも一部分が、第2熱交換器12のみを通過する。これにより、冷房運転モードにおいて、第2熱交換器12が凝縮器として作用することを防ぐことができる。
上記の図5に示すように、空気調和装置200は、冷媒回路上で、1つの絞り装置17と3つの熱交換器11〜13を備え、第1熱交換器11は還気経路20内に設置され、第2熱交換器12および第3熱交換器13は給気経路19内に配置されている。除湿運転においては、第2熱交換器12で加熱された空気と、第3熱交換器13で冷却された空気とは、室内300に至るまでに、給気経路19を構成するダクト等で混合され、均一な温度となる。そのため、図12に示すように、第2熱交換器12を第3熱交換器13よりも鉛直方向下側に配置した場合、温度の高い空気は浮力によって上昇するため、当該空気の浮力によって、第2熱交換器12を通過した空気が上昇していく。その結果、第2熱交換器12で加熱された空気と第3熱交換器13で冷却された空気との混合を促進することができる。これにより、室内300にむらの少ない均一な温度の空気を提供し、快適性を向上することが可能となる。
以上のように、実施の形態1に係る空気調和装置200では、冷房運転モードと除湿運転モードとにおいて、冷媒回路において冷媒の流れる方向が同じである。冷房運転モードにおいては、絞り装置17の開度OPは第1範囲内に設定されて、第1熱交換器11は凝縮器として作用し、第2熱交換器12および第3熱交換器13が蒸発器として作用する。除湿運転モードにおいては、絞り装置17の開度OPは第1範囲よりも大きい第2範囲内に設定されて、第1熱交換器11および第2熱交換器12は凝縮器として作用し、第3熱交換器13が蒸発器として作用する。このように、実施の形態1に係る空気調和装置200では、流路の切替を必要としない簡易な構成で、除湿運転モードと冷房運転モードとを連続的に移行することができる。そのため、上記の特許文献1とは異なり、流路切り替えに伴う熱交換器内の冷媒圧力の変動を抑制することができる。その結果、実施の形態1では、空気調和装置200によって室内300に給気される給気SAの温度の変動が抑制できるので、安定した温度の給気SAが室内300に供給され、室内300内のユーザーの快適性を向上させることができる。
また、実施の形態1では、制御部90が、除湿運転モードにおいて、圧縮機16の吐出側または吸入側の冷媒の圧力、第2熱交換器12の出口側の冷媒温度、第3熱交換器13の出口側の冷媒温度、圧縮機16の吐出側の冷媒温度のうちの少なくとも1つに基づいて、絞り装置17の開度OPを制御する。具体的には、制御部90は、絞り装置17の開度OPを第2範囲内で現在の値より減少させることにより、給気ファン14によって給気される室外の空気に対する第2熱交換器12の加熱能力を減少させる。逆に、制御部90は、絞り装置17の開度を第2範囲内で現在の値より増加させることにより、給気ファン14によって給気される室外の空気に対する第2熱交換器12の加熱能力を増加させる。これにより、第2熱交換器12から室内300に供給される空気の温度を制御できるため、室内300の温度低下を抑制しながら、室内300の湿度を低下させる除湿運転が可能となる。
実施の形態2.
実施の形態2に係る空気調和装置200Bについて説明する。図13は、実施の形態2に係る空気調和装置200Bの構成の一例を示す冷媒回路図である。実施の形態1で説明した図1の構成と比較すると、図13においては、第1開閉弁21、第2開閉弁22、および、バイパス配管23が追加されている点が異なる。他の構成については、図1と同じであるため、同一符号を付して示し、ここでは、その説明を省略する。
第1開閉弁21は、第1熱交換器11と第2熱交換器12との間の冷媒配管18に設けられている。第1開閉弁21の開閉動作は、制御部90によって制御される。
バイパス配管23は、冷媒配管18から分岐したバイパス配管である。バイパス配管23は、第1熱交換器11と第1開閉弁21との間の点C1において冷媒配管18から分岐している。また、バイパス配管23は、第2熱交換器12と絞り装置17との間の点C2において冷媒配管18に接続している。このとき、第2冷媒温度検出部84は、バイパス配管23よりも下流側に配置されている。
第2開閉弁22は、バイパス配管23に設けられている。第2開閉弁22が開状態のとき、バイパス配管23に冷媒が流れる。第2開閉弁22の開閉動作は、制御部90によって制御される。
次に、実施の形態2に係る空気調和装置200Bの動作について説明する。実施の形態2においては、除湿運転モードにおいては、制御部90が、第1開閉弁21を開き、第2開閉弁22を閉じる。これにより、実施の形態2の除湿運転モードの動作は、実施の形態1の除湿運転モードの動作と同じになる。
冷房運転モードでは、制御部90は、外気OAの温度TOが還気RAの温度TRより大きく、且つ、外気OAの温度TOと還気RAの温度TRとの温度差ΔTが閾値Th9より大きい場合は、第1開閉弁21を開き、第2開閉弁22を閉じる。この場合の実施の形態2の冷房運転モードの動作は、実施の形態1の冷房運転モードの動作と同じになる。
なお、閾値Th9は、通常の冷房運転を想定した外気OAの温度TOと還気RAの温度TRとの温度差ΔTの設計値(すなわち、通常運転時の理論値)に基づいて予め設定した固定値であってもよいが、可変の値でもよい。その場合、例えば、閾値Th9は、制御部90によって、空気調和装置200に対してユーザーから設定される室内300の室温に対する設定値、あるいは、外気OAの温度TOと還気RAの温度TRとの温度差に基づいて決定される。なお、決定方法としては、データテーブルまたは演算式をメモリに予め格納しておき、制御部90が、それを用いて閾値Th9を演算する。当該データテーブルには、室温に対する設定値あるいは温度差ごとに、閾値Th9を記憶しておく。また、演算式は、室温に対する設定値あるいは温度差をパラメータとして閾値Th9を求める関数である。
一方、冷房運転モードにおいて、外気OAの温度TOと還気RAの温度TRとの温度差ΔTが閾値Th9以下の場合、あるいは、外気OAの温度TOが還気RAの温度TR以下の場合は、制御部90は、第1開閉弁21を閉じ、第2開閉弁22を開く。これにより、冷媒はバイパス配管23を流れるようになり、バイパス配管23から絞り装置17を介して第3熱交換器13に流入される。すなわち、冷媒は、第2熱交換器12をスキップして、第1熱交換器11、バイパス配管23、絞り装置17、第3熱交換器13の順に流れる。これにより、外気OAと還気RAの温度差ΔTが小さい場合、冷房運転モードで、本来は蒸発器として作動する第2熱交換器12が、凝縮器として作動することを防ぐことができる。
(制御部90)
図14は、実施の形態2に係る空気調和装置200Bにおける制御部90の動作を示すフローチャートである。ステップS31で、制御部90は、空気調和装置200Bの現在の運転モードが、除湿運転モードか冷房運転モードかを判定する。制御部90は、空気調和装置200Bの現在の運転モードが除湿運転モードである場合は、ステップS32の処理に進む。一方、制御部90は、空気調和装置200Bの現在の運転モードが冷房運転モードである場合は、ステップS33の処理に進む。
ステップS32では、制御部90は、第1開閉弁21を開き、第2開閉弁22を閉じる。すなわち、実施の形態2の除湿運転モードの動作は、実施の形態1の除湿運転モードの動作と同じになる。
ステップS33では、制御部90は、外気OAの温度TOが還気RAの温度TRより大きく、且つ、外気OAの温度TOと還気RAの温度TRとの温度差ΔTが閾値Th9より大きいかを判定する。これらの条件をすべて満たしている場合には、制御部90は、ステップS34の処理に進む。そうでない場合には、制御部90は、ステップS35の処理に進む。
ステップS34では、制御部90は、第1開閉弁21を開き、第2開閉弁22を閉じる。この場合の実施の形態2の冷房運転モードの動作は、実施の形態1の冷房運転モードの動作と同じになる。
一方、ステップS35では、制御部90は、第2熱交換器12を蒸発器として作動させることが困難であると判断し、第1開閉弁21を閉じ、第2開閉弁22を開く。
以上のように、実施の形態2では、基本的に実施の形態1と同じ構成を有しているため、実施の形態1と同様の効果が得られる。さらに、実施の形態2においては、図13に示すように、図1の構成に対して、第1開閉弁21、第2開閉弁22、および、バイパス配管23を追加している。実施の形態2においては、冷房運転モードにおいて、外気OAの温度TOと還気RAの温度TRとの温度差ΔTが小さい場合、あるいは、外気OAの温度TOが還気RAの温度TR以下の場合は、制御部90が、第1開閉弁21を閉じ、第2開閉弁22を開く制御を行う。これにより、冷房運転モードにおいて、本来は蒸発器として作動する第2熱交換器12が、凝縮器として作動することを防ぐことができる。
実施の形態3.
実施の形態3に係る空気調和装置200Cについて説明する。図15は、実施の形態3に係る空気調和装置200Cの構成の一例を示す冷媒回路図である。実施の形態1で説明した図1の構成と比較すると、図15においては、第3熱交換器13と圧縮機16との間の冷媒配管18にアキュムレータ24が追加されている点で異なる。アキュムレータ24は、冷媒配管18内の余剰冷媒を貯留する。他の構成については、図1と同じであるため、同一符号を付して示し、ここでは、その説明を省略する。なお、図15では、検出部80〜88の図示が省略されているが、実際には、設けられているものとする。
実施の形態3においては、除湿運転モードでは、アキュムレータ24に冷媒を貯留することにより、冷媒配管18を循環する冷媒を減らす。
一方、冷房運転モードでは、アキュムレータ24に貯留された冷媒を冷媒配管18に放出することにより、冷媒配管18を循環する冷媒を増やす。
これによって、運転モードに応じて、実質的な冷媒充填量を調整する効果を得ることができる。冷媒充填量は、必要冷媒量の最も多い運転モードに合わせると良い。
アキュムレータ24への冷媒の貯留と放出は、必要に応じて成り行きで行われる。例えば、制御部90が、第1熱交換器11または第2熱交換器12の出口における冷媒の出口過冷却度SC1またはSC2を指標として、絞り装置17の開度OPを制御する場合について考える。冷房運転モードにおいて、第1熱交換器11の出口過冷却度SC1を増加させるとき、絞り装置17を絞ることによって、第3熱交換器13の圧力が下がり、熱交換が促進されることにより、アキュムレータ24に過熱ガスが流入する。したがって、過熱ガスで温められたアキュムレータ24内の液冷媒が冷媒配管18に放出される。一方、除湿運転モードにおいて、第2熱交換器12の出口過冷却度SC2を減少させるとき、絞り装置17を開くことによって、第3熱交換器13の圧力が上がり、熱交換が抑制されることにより、アキュムレータ24に液冷媒が流入する。したがって、アキュムレータ24内に液冷媒が貯留される。
以上のように、実施の形態3では、基本的に実施の形態1と同じ構成を有しているため、実施の形態1と同様の効果が得られる。さらに、実施の形態3では、第3熱交換器13と圧縮機16との間にアキュムレータ24を設けている。これにより、除湿運転モードでは、アキュムレータ24に冷媒を貯留し、冷房運転モードでは、アキュムレータ24に貯留された冷媒を冷媒配管18に放出することにより、冷媒の不足を防止することができる。