JP7001103B2 - シート状積層体及び積層物 - Google Patents

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Description

本発明は、シート状積層体及び積層物に関する。
金属粉末及び樹脂組成物の混合物は、例えば、インダクタ又はボンド磁石等の工業製品の原材料として利用される(下記特許文献1及び2参照)。また、接着剤が塗布された金属箔(例えば、アルミニウム箔又は銅箔)は、電磁波シールドとして市販されている。
特開2004-31786号公報 特開平8-273916号公報
Fe系合金等の軟磁性体から構成される金属箔は、電子機器の内外で発生した電磁波を遮蔽する電磁波シールドとして用いられる。このような金属箔を用いた工業製品の製造過程では、例えば、成形、切削、積層、移動及び搬送等のような金属箔の加工及びハンドリングが必要であるため、シートの機械的強度及び可撓性が要求される。また金属箔自体を電磁波シールド等の工業製品として用いる場合であっても、破損防止のためにシートの機械的強度及び可撓性が要求される。
しかし、金属箔は脆く、十分な機械的強度及び可撓性を有しないため、加工及びハンドリングに伴って破損し易かった。そこで本発明者らは、従来の常識に反して、電磁波シールド等に用いられる金属箔に樹脂層を積層することにより、金属箔の機械的強度及び可撓性が改善されたシート状積層体を作製することに成功した。しかし、樹脂層自体の磁気特性(例えば比透磁率)は金属箔に著しく劣るため、樹脂層を備えるシート状積層体全体の磁気特性も金属箔単独の磁気特性に劣る。この問題を解決するために、本発明者らは、Fe系合金等の金属元素含有粉を樹脂層に添加することにより、樹脂層の磁気特性を向上させることに成功した。
上記のようなシート状積層体を用いて工業製品を製造する場合、シート状積層体の樹脂層を、工業製品用の他の部品(以下、「基材」と記載する。)の表面に圧着する工程が想定される。基材の機能及び用途に応じて、基材には凹部又は空洞が形成されるので、シート状積層体の樹脂層が凹部又は空洞の内部に斑なく(隙間なく)充填されることが望まれる。しかし、金属元素含有粉を含む樹脂層は、金属元素含有粉を含まない樹脂層に比べて可撓性及び流動性に劣るため、基材の表面に隙間なく密着し難く、凹部又は空洞に充填され難い。例えば、金属元素含有粉を含む樹脂層と、凹部又は空洞の内壁との間には、空隙(ボイド)が生じ易い。以下では、基材に形成された凹部又は空洞へ樹脂層が充填され易い性質を、「充填性」と記載する。充填性は、基材に形成された凹部又は空洞の中に樹脂層が埋め込まれ易い性質(埋め込み性)と言い換えられてよい。
本発明は、磁気特性及び充填性に優れたシート状積層体、及び当該シート状積層体を備える積層物を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係るシート状積層体は、金属箔と、金属箔に積層された樹脂層と、を備え、樹脂層は、樹脂組成物及び金属元素含有粉を含み、樹脂組成物は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びアクリル樹脂を含有し、エポキシ樹脂の質量は、MEと表され、フェノール樹脂の質量は、MPと表され、アクリル樹脂の質量は、MAと表され、MA/(ME+MP)は、1/9以上7/3未満である。
本発明の一側面において、アクリル樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、50万以上150万以下であってよい。
本発明の一側面において、樹脂層における金属元素含有粉の含有量は、70体積%以上100体積%未満であってよい。
本発明の一側面において、金属箔は、Fe系合金を含んでよい。
本発明の一側面において、Fe系合金は、Fe及びNbを含有してよい。
本発明の一側面において、Fe系合金は、Fe、Nb、Cu、Si及びBを含有してよい。
本発明の一側面において、金属箔は、結晶粒径が10nm以下であるFe系合金の結晶を含んでよい。
本発明の一側面において、金属元素含有粉は、Fe系合金を含有してよい。
本発明の一側面において、金属元素含有粉に含有されるFe系合金は、Fe、Nb、Cu、Si及びBを含有してよい。
本発明の一側面において、金属元素含有粉は、粒子径が10nm以下である金属元素含有粒子を含んでよい。
本発明の一側面において、樹脂層は、樹脂組成物の半硬化物を含んでよい。
本発明の一側面に係る積層物は、上記のシート状積層体と、シート状積層体が重ねられた基材と、を備える。
本発明の一側面に係る積層物において、樹脂層の少なくとも一部は、基材に形成された凹部又は空洞に充填されていてよい。
本発明の一側面に係る積層物において、樹脂層は、樹脂組成物の半硬化物、及び樹脂組成物の硬化物のうち少なくともいずれか一方を含んでよい。
本発明によれば、磁気特性及び充填性に優れたシート状積層体、及び当該シート状積層体を備える積層物が提供される。
図1中の(a)は、本発明の一実施形態に係るシート状積層体の積層方向に平行な断面の模式図であり、図1中の(b)は、本発明の一実施形態に係る積層物の積層方向に平行な断面の模式図であり、図1中の(c)は、本発明の一実施形態に係る積層物の積層方向に平行な断面の模式図である。 本発明の一実施形態に係る積層物の積層方向に平行な断面の模式図である。
以下、場合により図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は下記実施形態に何ら限定されるものではない。
図1中の(a)に示されるように、本実施形態に係るシート状積層体10は、金属箔12と、金属箔12に積層された樹脂層11、とを備える。樹脂層11が金属箔12に積層されることにより、金属箔12の可撓性が補強される。換言すれば、元々脆い金属箔12の機械的強度が樹脂層11によって補強される。その結果、シート状積層体10は、金属箔12単独に比べて優れた可撓性を有することができる。機械的強度及び可撓性に優れたシート状積層体10に備わる樹脂層11は、基材に形成された凹部又は空洞の形状に応じて自在に変形し易く、基材に形成された凹部又は空洞の内側に隙間なく密着し易い。シート状積層体10が他の部材(例えば後述の基材)に積層される際に、樹脂層11は接着剤として機能する。樹脂層11は、金属箔12の表面の少なくとも一部又は全体を覆っていてよい。樹脂層11は、金属箔12の表面に直接積層されていてよい。金属箔12の厚みは、特に限定されないが、例えば、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは20μm以下であってよい。金属箔12の厚みは、2μm以上であってよい。樹脂層11の厚みは、特に限定されないが、例えば、20μm以上500μm以下、又は20μm以上200μm以下であってよい。金属箔12の寸法は、シート状積層体10の用途によって変更されてよく、特に限定されない。例えば、シート状積層体10が四角形である場合、シート状積層体10の縦幅は10mm以上500mm以下であってよく、シート状積層体10の横幅は10mm以上500mm以下であってよい。シート状積層体10全体の形状は、シート状積層体10の用途によって変更されてよく、特に限定されない。シート状積層体10の形状は、例えば、多角形、円形、又は楕円形であってよい。シート状積層体10の各辺は、例えば、直線状又は曲線状であってよい。
金属箔12は、特に限定されないが、鉄箔、鉄系合金箔、銅箔、銅系合金箔、アルミニウム箔、アルミニウム系合金箔、銀箔、銀系合金箔、金箔及び金系合金箔からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。金属箔12は、例えば、Fe‐Cr系合金、Fe‐Ni‐Cr系合金、Fe‐Si系合金、Fe‐Si‐Al系合金、Fe‐Ni系合金、Fe‐Cu‐Ni系合金、Fe‐Co系合金、Fe‐Cr‐Si系合金、Nd‐Fe‐B系合金、Nd‐Fe‐B系合金、Sm‐Co系合金、Sm‐Fe‐N系合金、Al‐Ni‐Co系合金、Cu‐Sn系合金、Cu‐Sn‐P系合金、Cu-Ni系合金、及びCu‐Be系合金からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよい。金属箔12は、軟磁性体又は硬磁性体であってよい。
金属箔12は、Fe系合金(つまりFeを含有する合金)を含んでよい。金属箔12は、Fe系合金のみからなっていてよい。金属箔12は、一種又は複数種のFe系合金を含んでよい。金属箔12は、金属箔12の比透磁率を過度に低下させない限度において、Fe系合金に加えて他の成分(例えば、金属又は合金)を含んでよい。
Fe系合金は、Fe及びNbを含有してよい。Fe系合金は、Fe、Nb、Cu、Si及びBを含有してよい。Fe及びNbを含有するFe系合金、又はFe、Nb、Cu、Si及びBを含有するFe系合金では、高い飽和磁束密度と高い比透磁率が両立し易い。
Fe系合金は、例えば、下記化学式(1)で表されてよい。下記化学式(1)で表されるFe系合金では、高い飽和磁束密度と高い比透磁率が両立し易い。
(Fe1-a100-x-y-z-α-β-γCuSiM’αM’’βγ (1)
化学式(1)中、Mは、Co及びNiのうち一方又は両方である。M’は、Nb、Mo、Ta、Ti、Zr、Hf、V、Cr、Mn及びWからなる群より選ばれる少なくとも一種である。M’’は、Al、白金族元素、Sc、希土類元素、Au、Zn、Sn及びReからなる群より選ばれる少なくとも一種である。Xは、C、Ge、P、Ga、Sb、In、Be及びAsからなる群より選ばれる少なくとも一種である。a、x、y、z、α、β及びγは、それぞれ0≦a≦0.5、0.1≦x≦3、0≦y≦30、0≦z≦25、5≦y+z≦30、0≦α≦20、0≦β≦20及び0≦γ≦20を満足する。
金属箔12は、結晶粒径が10nm以下であるFe系合金の結晶を含んでよい。金属箔12に含まれるFe系合金の結晶粒径が10nm以下であることにより、金属箔12及びシート状積層体10の全体が、従来のFe系合金からなる金属箔に比べて、優れた磁気特性(例えば軟磁気特性)を有することができる。例えば、金属箔12に含まれるFe系合金の結晶粒径が10nm以下であることにより、従来のアモルファスなFe系合金からなる金属箔に比べて、高い飽和磁束密度と高い比透磁率と両立させることが可能になる。金属箔12に含まれるFe系合金の結晶の結晶粒径(例えば結晶粒径の平均値)は、5nm以上10nm以下であってよい。金属箔12に含まれるFe系合金の結晶粒径の測定手段は、特に限定されないが、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)、又は透過型電子顕微鏡(TEM)であってよい。粉末X線回折法に基づくシェラー(Scherrer)の式を用いて、金属箔12に含まれるFe系合金の結晶粒径が特定されてもよい。
結晶粒径が10nm以下であるFe系合金の結晶を含む金属箔12は、例えば、以下の方法によって製造することができる。原料として、目的とする金属箔12と同じ組成を有するFe系合金の素材を作製する。例えば、Fe系合金の素材は、Feを主成分として含み、さらにSi、B、Cu及びNbを添加元素として含む合金であってよい。Fe系合金の素材を高温で加熱することにより、合金の融液を得る。融液を約100万℃/秒程度で急冷及び固化することにより、アモルファス(非晶質)のFe系合金からなる薄帯を得る。この薄帯を、Fe系合金の結晶化温度以上の温度で熱処理する。以上の方法により、Fe系合金の結晶粒径が微細化され、結晶粒径が10nm以下であるFe系合金の結晶を含む金属箔12が得られる。
Fe系合金の市販品としては、例えば、日立金属株式会社製のナノ結晶軟磁性材料である「ファインメット」(登録商標)が好適である。ファインメットは、例えば、Fe、Nb、Cu、Si及びBを含有し、結晶粒径が10nm以下である結晶を含む。
樹脂層11は、樹脂組成物及び金属元素含有粉を含む。樹脂層11は、樹脂組成物及び金属元素含有粉からなっていてよい。金属元素含有粉を含む樹脂層11は、金属元素含有粉に由来する磁気特性を有することができる。樹脂組成物は、少なくともエポキシ樹脂、フェノール樹脂及びアクリル樹脂を含有する。エポキシ樹脂は熱硬化性樹脂の中でも比較的流動性に優れている。したがって、エポキシ樹脂を含有する樹脂層11の少なくとも一部は、硬化温度よりも低い温度での加熱により、容易に軟化又は液化して、基材に形成された凹部又は空洞の内部へ流入し易く、凹部又は空洞に斑なく(隙間なく)充填され易い。フェノール樹脂は、例えば、エポキシ樹脂の硬化剤として機能してよい。アクリル樹脂の分子量はエポキシ樹脂よりも分子量が大きいため、アクリル樹脂はエポキシ樹脂に比べて高い粘性を有する。したがって、アクリル樹脂の含有によって樹脂層11の可撓性(柔軟性)が向上し、シート状積層体10の可撓性も向上する。可撓性に優れたシート状積層体10は、基材に形成された凹部又は空洞の形状に応じて自在に変形し易く、変形に伴って破損し難い。
樹脂組成物に含有されるエポキシ樹脂の質量は、MEと表される。樹脂組成物に含有されるフェノール樹脂の質量は、MPと表される。樹脂組成物に含有されるアクリル樹脂の質量は、MAと表される。MA/(ME+MP)は、1/9以上7/3未満である。MA/(ME+MP)は、好ましくは2/8以上5/5以下であってよい。MA/(ME+MP)が1/9未満である場合、樹脂層11の可撓性(ハンドリング性)が低減して、硬化後の樹脂層11が脆くて破損し易い。MA/(ME+MP)が7/3以上である場合、樹脂層11の流動性が低減して、樹脂層11の充填性(埋め込み性)が損なわれる。またMA/(ME+MP)が7/3以上である場合、樹脂層11の磁気特性(例えば比透磁率)も損なわれる。
樹脂層11における金属元素含有粉の含有量は、好ましくは70体積%以上100体積%未満、より好ましくは70体積%以上85体積%以下であってよい。樹脂層11における金属元素含有粉の含有量が70体積%以上であることにより、樹脂層11の磁気特性(例えば、比透磁率)と、樹脂層11の可撓性が両立し易い。その結果、シート状積層体10の優れた磁気特性と優れた可撓性が両立し易い。樹脂層11における金属元素含有粉の含有量が小さ過ぎる場合、金属元素含有粉に由来する樹脂層11の磁気特性(例えば、比透磁率)が損なわれ易く、シート状積層体10全体としての磁気特性も損なわれ易い。樹脂層11における金属元素含有粉の含有量が大き過ぎる場合、樹脂組成物に由来する樹脂層11の可撓性が損なわれ易く、シート状積層体10全体としての可撓性も損なわれ易い。樹脂層11における樹脂組成物の含有量は、好ましくは0体積%より大きく30体積%以下、より好ましくは15体積%以上30体積%以下であってよい。ただし、樹脂層11における金属元素含有粉の含有量が上記の範囲外であっても、本発明の効果は奏される。
シート状積層体10の磁気特性及び可撓性を両立させ易い観点において、樹脂層11における金属元素含有粉の含有量は、好ましくは65質量%以上90質量%以下、より好ましくは68質量%以上84質量%以下であってよい。同様の理由から、樹脂層11における樹脂組成物の含有量は、好ましくは10質量%以上35質量%以下、より好ましくは16質量%以上32質量%以下であってよい。
樹脂層11に含まれる金属元素含有粉は、例えば、金属単体、合金及び金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有してよい。金属元素含有粉は、例えば、金属単体、合金及び金属化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種からなっていてよい。合金は、固溶体、共晶及び金属間化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含んでよい。合金とは、例えば、ステンレス鋼(Fe‐Cr系合金、Fe‐Ni‐Cr系合金等)であってよい。金属化合物とは、例えば、フェライト等の酸化物であってよい。金属元素含有粉は、一種の金属元素又は複数種の金属元素を含んでよい。金属元素含有粉に含まれる金属元素は、例えば、卑金属元素、貴金属元素、遷移金属元素、又は希土類元素であってよい。コンパウンド粉は、一種の金属元素含有粉を含んでよく、複数種の金属元素含有粒粉を含んでもよい。
金属元素含有粉に含まれる金属元素は、例えば、鉄(Fe)、銅(Cu)、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、鉛(Pb)、銀(Ag)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)及びジスプロシウム(Dy)からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。金属元素含有粉は、金属元素以外の元素を含んでもよい。金属元素含有粉は、例えば、酸素(О)、ベリリウム(Be)、リン(P)、ホウ素(B)、又はケイ素(Si)を含んでもよい。金属元素含有粉は、磁性粉であってよい。金属元素含有粉は、軟磁性合金、又は硬磁性合金であってよい。金属元素含有粉は、例えば、Fe‐Si系合金、Fe‐Si‐Al系合金(センダスト)、Fe‐Ni系合金(パーマロイ)、Fe‐Cu‐Ni系合金(パーマロイ)、Fe‐Co系合金(パーメンジュール)、Fe‐Cr‐Si系合金(電磁ステンレス鋼)、Nd‐Fe‐B系合金(希土類磁石)、Sm‐Co系合金(希土類磁石)、Sm‐Fe‐N系合金(希土類磁石)、Al‐Ni‐Co系合金(アルニコ磁石)及びフェライトからなる群より選ばれる少なくとも一種からなる磁性粉であってよい。フェライトは、例えば、スピネルフェライト、六方晶フェライト、又はガーネットフェライトであってよい。金属元素含有粉は、Cu‐Sn系合金、Cu‐Sn‐P系合金、Cu-Ni系合金、又はCu‐Be系合金等の銅合金であってもよい。金属元素含有粉は、上記の元素及び組成物のうち一種を含んでよく、上記の元素及び組成物のうち複数種を含んでもよい。
金属元素含有粉は、Fe単体であってもよい。金属元素含有粉は、Fe系合金であってもよい。Fe系合金は、例えば、Fe‐Si‐Cr系合金、又はNd‐Fe‐B系合金であってよい。金属元素含有粉は、アモルファス系鉄粉及びカルボニル鉄粉のうち少なくともいずれかであってもよい。金属元素含有粉がFe単体及びFe系合金のうち少なくともいずれかを含む場合、高い占積率を有し、且つ磁気特性に優れる樹脂層11を作製し易い。金属元素含有粉は、Feアモルファス合金であってもよい。Feアモルファス合金粉の市販品としては、例えば、AW2‐08、KUAMET‐6B2(以上、エプソンアトミックス株式会社製の商品名)、DAP MS3、DAP MS7、DAP MSA10、DAP PB、DAP PC、DAP MKV49、DAP 410L、DAP 430L、DAP HYBシリーズ(以上、大同特殊鋼株式会社製の商品名)、MH45D、MH28D、MH25D、及びMH20D(以上、神戸製鋼株式会社製の商品名)からなる群より選ばれる少なくとも一種が用いられてよい。
金属元素含有粉に含まれるFe系合金は、好ましくはFe及びNbを含有してよく、より好ましくはFe、Nb、Cu、Si及びBを含有してよい。金属元素含有粉が、Fe及びNb、又はFe、Nb、Cu、Si及びBを含有するFe系合金含むことにより、樹脂層11の飽和磁束密度及び比透磁率が向上し易い。その結果、シート状積層体10の磁気特性も向上し易い。
金属元素含有粉に含まれるFe系合金は、上記化学式(1)で表されてよい。金属元素含有粉が、上記化学式(1)で表されるFe系合金を含有することにより、樹脂層11の飽和磁束密度及び比透磁率が向上し易く、シート状積層体10の磁気特性も向上し易い。その結果、シート状積層体10の磁気特性も向上し易い。
金属元素含有粉の平均粒子径は、例えば、1μm以上300μm以下であってよい。金属元素含有粉のメジアン径D50は1μm以上90μm以下であってよい。金属元素含有粉は、粒子径が10nm以下である金属元素含有粒子を含んでよい。金属元素含有粉は、粒子径が5nm以上10nm以下である金属元素含有粒子を含んでよい。金属元素含有粒子の粒子径が小さいほど、より多数の金属元素含有粒子が樹脂層11中に緻密に充填され易く、樹脂層11全体の密度が向上し易い。その結果、樹脂層11の飽和磁束密度及び比透磁率が向上し易く、金属元素含有粉の含有に伴う樹脂層11の機械的強度及び可撓性の低下が抑制され易い。したがって、シート状積層体10の磁気特性及び可撓性も向上し易い。金属元素含有粒子の粒子径は、例えば、レーザ回折・散乱式の粒子径分布測定装置を用いて測定されてよい。粒子径が10nm以下である金属元素含有粒子は、結晶粒径が10nm以下であるFe系合金の結晶を含む上記の金属箔を原料して用いることにより、作製されてよい。例えば、結晶粒径が10nm以下であるFe系合金の結晶を含む上記の金属箔を粉砕することにより、粒子径が10nm以下である金属元素含有粒子を調製することができる。シート状積層体10の磁気特性が向上させる観点において、金属元素含有粉を構成する個々の金属元素含有粒子は、結晶粒径が10nm以下であるFe系合金の結晶を含んでもよい。
金属元素含有粉に含まれる個々の金属元素含有粒子の形状は、特に限定されない。個々の金属元素含有粒子は、例えば、球状、扁平形状、角柱状又は針状であってよい。樹脂層11は、平均粒子径が異なる複数種の金属元素含有粒子を含んでよい。金属箔12の組成は、樹脂層11に含まれる金属元素含有粉の組成と同じであってよい。金属箔12の組成は、樹脂層11に含まれる金属元素含有粉の組成と異なっていてもよい。金属元素含有粉及び樹脂組成物が、樹脂層11中において分散していてよい。つまり、樹脂層11において、樹脂組成物及び金属元素含有粉は均一に混ざっていてよい。
樹脂層11は、未硬化の樹脂組成物を含んでよい。樹脂層11が未硬化の樹脂組成物を含む場合、シート状積層体10を用いた工業製品の製造過程の適時において、樹脂層11中の樹脂組成物の一部を軟化又は液化させ易く、樹脂組成物の流動性が向上し易い。その結果、樹脂層11を基材の表面に密着させ易く、樹脂層11を、基材に形成された凹部又は空洞の中へ充填させ易い。樹脂層11は、樹脂組成物の半硬化物(Bステージの樹脂組成物)を含んでもよい。樹脂組成物の半硬化物を含む樹脂層11は、樹脂組成物が全く硬化されていない場合に比べて、機械的強度に優れるため、このような樹脂層11を備えるシート状積層体10の充填性が向上する。樹脂層11が樹脂組成物の半硬化物を含む場合、シート状積層体10を用いた工業製品の製造過程の適時において、樹脂層11を完全に硬化させてよい。樹脂層11は、未硬化の樹脂組成物と、樹脂組成物の半硬化物と、を含んでもよい。樹脂組成物の半硬化物は、樹脂層11をケトン系溶媒(メチルエチルケトン等)へ溶解した後に残る固形分残渣のうち金属元素含有粉を除く成分に相当する。
本実施形態に係る積層物は、上記のシート状積層体と、シート状積層体が重ねられた基材と、を備えてよく、樹脂層が基材に接していてよい。樹脂層が基材に密着していてよい。樹脂層の硬化物が基材に接していてよい。例えば、図1中の(c)に示されるように、本実施形態の一側面に係る積層物30は、第一の金属箔31及び第二の金属箔33と、第一の金属箔31及び第二の金属箔33に挟まれた樹脂層32と、樹脂層32中に埋設された基材34と、を備える。積層物30は、一対のシート状積層体10a及び10bと、基材34と、から作製される。一方のシート状積層体10aの樹脂層32aと、他方のシート状積層体10bの樹脂層32bを、互いに向かい合わせて、基材34を一対の樹脂層32a及び32bで挟み込み、樹脂層32a及び32bを互いに密着させる。樹脂層32a及び32bを樹脂組成物の硬化温度よりも低い温度で加熱することにより、樹脂層32a及び32bに含まれる樹脂組成物が軟化又は液化する。その結果、樹脂層32a及び32b其々の表面が混ざり合って一体化し、基材34の表面が樹脂層32で斑なく覆われる。続いて、樹脂層32を硬化してもよい。基材34がコイルである場合、例えば、樹脂層32a及び32bがコイルを包み込み、且つコイルの内側(コイルで囲まれた空洞)へ隙間なく充填される。つまり樹脂層32a及び32bがコイルの磁芯になる。積層物30が備える樹脂層32は、樹脂組成物の半硬化物、及び樹脂組成物の硬化物のうち少なくともいずれか一方を含んでよい。つまり、積層物30が備える樹脂層32は、完全に硬化していなくてもよく、完全に硬化していてよい。
一対のシート状積層体から積層物が形成する場合、重なり合う一対の樹脂層の組成は互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。一方のシート状積層体の金属箔の組成は、他方の金属箔の組成と同じであってよい。一方のシート状積層体の金属箔の組成は、他方の金属箔の組成と異なっていてもよい。
図2に示されるように、本実施形態の他の一側面に係る積層物40は、シート状積層体10cと、シート状積層体10cが重ねられた基材43と、を備える。シート状積層体10cが有する樹脂層42の少なくとも一部は、基材43の表面に形成された凹部に充填されている。シート状積層体10cは充填性に優れているため、樹脂層11が充填された基材43の凹部内には、ボイドが形成され難い。
上述の通り、樹脂層11に含まれる樹脂組成物は、少なくともエポキシ樹脂、フェノール樹脂及びアクリル樹脂を含有し、更に硬化剤、硬化促進剤及び添加剤を包含し得る成分であって、有機溶媒と金属元素含有粉とを除く残りの成分(不揮発性成分)であってよい。添加剤とは、樹脂組成物のうち、樹脂、硬化剤及び硬化促進剤を除く残部の成分である。添加剤とは、例えば、カップリング剤又は難燃剤等である。樹脂組成物が添加剤としてワックスを含んでいてもよい。樹脂組成物がワックスを含有することにより、樹脂層11の離型性が向上したり、加熱された樹脂層11の流動性が向上したりする。ワックスは、例えば、ワックスは、高級脂肪酸等の脂肪酸、及び脂肪酸エステルのうち少なくともいずれか一つであってよい。
樹脂組成物は金属元素含有粒粉の結合剤(バインダー)としての機能を有し、樹脂層11に機械的強度を付与する。例えば、樹脂層11中の樹脂組成物が加圧されて部材(例えば基材34)へ当接される際に、金属元素含有粉の間に充填され、金属元素含有粉を互いに結着する。樹脂層11中の樹脂組成物を硬化させることにより、樹脂組成物の硬化物が金属元素含有粉同士をより強固に結着して、樹脂層11、シート状積層体10及び積層物其々の機械的強度が向上する。
樹脂層11に含まれる樹脂組成物は、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂に加えて、更に別の熱硬化性樹脂(例えば、ポリアミドイミド樹脂)を含有してよい。樹脂組成物は、アクリル樹脂に加えて、更に別の熱可塑性樹脂を含んでもよい。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、及びポリエチレンテレフタレートからなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。樹脂組成物は、シリコーン樹脂を含んでもよい。
エポキシ樹脂は、例えば、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する樹脂であってよい。エポキシ樹脂の中でも、結晶性のエポキシ樹脂が好ましい。結晶性のエポキシ樹脂の分子量は比較的低いにもかかわらず、結晶性のエポキシ樹脂は比較的高い融点を有し、且つ流動性に優れる。
エポキシ樹脂は、例えば、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、ナフトール類とフェノール類との共重合型エポキシ樹脂、アラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、ビスフェノール型エポキシ樹脂、アルコール類のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、シクロペンタジエン型エポキシ樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジル型又はメチルグリシジル型のエポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、及びオレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。
流動性に優れている観点において、エポキシ樹脂は、ビフェニル型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂、及びナフトールノボラック型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。
エポキシ樹脂は、結晶性のエポキシ樹脂であってよい。結晶性のエポキシ樹脂の分子量は比較的低いにもかかわらず、結晶性のエポキシ樹脂は比較的高い融点を有し、且つ流動性に優れる。結晶性のエポキシ樹脂(結晶性の高いエポキシ樹脂)は、例えば、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、チオエーテル型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。結晶性のエポキシ樹脂の市販品は、例えば、エピクロン860、エピクロン1050、エピクロン1055、エピクロン2050、エピクロン3050、エピクロン4050、エピクロン7050、エピクロンHM-091、エピクロンHM-101、エピクロンN-730A、エピクロンN-740、エピクロンN-770、エピクロンN-775、エピクロンN-865、エピクロンHP-4032D、エピクロンHP-7200L、エピクロンHP-7200、エピクロンHP-7200H、エピクロンHP-7200HH、エピクロンHP-7200HHH、エピクロンHP-4700、エピクロンHP-4710、エピクロンHP-4770、エピクロンHP-5000、エピクロンHP-6000、及びN500P-2(以上、DIC株式会社製の商品名)、NC-3000、NC-3000-L、NC-3000-H、NC-3100、CER-3000-L、NC-2000-L、XD-1000、NC-7000-L、NC-7300-L、EPPN-501H、EPPN-501HY、EPPN-502H、EOCN-1020、EOCN-102S、EOCN-103S、EOCN-104S、CER-1020、EPPN-201、BREN-S、BREN-10S(以上、日本化薬株式会社製の商品名)、YX-4000、YX-4000H、YL4121H、及びYX-8800(以上、三菱ケミカル株式会社製の商品名)からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。
樹脂組成物は、上記のうち一種のエポキシ樹脂を含有してよい。樹脂組成物は、上記のうち複数種のエポキシ樹脂を含有してもよい。
硬化剤は、低温から室温の範囲でエポキシ樹脂を硬化させる硬化剤と、加熱に伴ってエポキシ樹脂を硬化させる加熱硬化型硬化剤と、に分類される。低温から室温の範囲でエポキシ樹脂を硬化させる硬化剤は、例えば、脂肪族ポリアミン、ポリアミノアミド、及びポリメルカプタン等である。加熱硬化型硬化剤は、例えば、芳香族ポリアミン、酸無水物、フェノールノボラック樹脂、及びジシアンジアミド(DICY)等である。
低温から室温の範囲でエポキシ樹脂を硬化させる硬化剤を用いた場合、エポキシ樹脂の硬化物のガラス転移点は低く、エポキシ樹脂の硬化物は軟らかい傾向がある。その結果、樹脂層11も軟らかくなり易い。一方、樹脂層11の耐熱性を向上させる観点から、硬化剤は、好ましくは加熱硬化型の硬化剤、より好ましくはフェノール樹脂、さらに好ましくはフェノールノボラック樹脂であってよい。特に硬化剤としてフェノールノボラック樹脂を用いることで、ガラス転移点が高いエポキシ樹脂の硬化物が得られ易い。その結果、成形体の耐熱性及び機械強度が向上し易い。
フェノール樹脂は、例えば、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型フェノールとアラルキル型フェノールとの共重合型フェノール樹脂、パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂、シクロペンタジエン変性フェノール樹脂、多環芳香環変性フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、及びトリフェニルメタン型フェノール樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。フェノール樹脂は、上記のうちの2種以上から構成される共重合体であってもよい。フェノール樹脂の市販品としては、例えば、荒川化学工業株式会社製のタマノル758、又は日立化成株式会社製のHP-850N等を用いてもよい。
フェノールノボラック樹脂は、例えば、フェノール類及び/又はナフトール類と、アルデヒド類と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られる樹脂であってよい。フェノールノボラック樹脂を構成するフェノール類は、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール及びアミノフェノールからなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。フェノールノボラック樹脂を構成するナフトール類は、例えば、α‐ナフトール、β‐ナフトール及びジヒドロキシナフタレンからなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。フェノールノボラック樹脂を構成するアルデヒド類は、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド及びサリチルアルデヒドからなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。
硬化剤は、例えば、1分子中に2個のフェノール性水酸基を有する化合物であってもよい。1分子中に2個のフェノール性水酸基を有する化合物は、例えば、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及び置換又は非置換のビフェノールからなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。
樹脂組成物は、上記のうち一種のフェノール樹脂を含有してよい。樹脂組成物は、上記のうち複数種のフェノール樹脂を備えてもよい。樹脂組成物は、上記のうち一種の硬化剤を含有してよい。樹脂組成物は、上記のうち複数種の硬化剤を含有してもよい。
エポキシ樹脂中のエポキシ基と反応する硬化剤中の活性基(フェノール性OH基)の比率は、エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して、好ましくは0.5~1.5当量、より好ましくは0.9~1.4当量、さらに好ましくは1.0~1.2当量であってよい。硬化剤中の活性基の比率が0.5当量未満である場合、硬化後のエポキシ樹脂の単位重量当たりのOH量が少なくなり、樹脂組成物(エポキシ樹脂)の硬化速度が低下する。また硬化剤中の活性基の比率が0.5当量未満である場合、得られる硬化物のガラス転移温度が低くなったり、硬化物の充分な弾性率が得られなかったりする。一方、硬化剤中の活性基の比率が1.5当量を超える場合、樹脂層11の硬化後の機械的強度が低下する傾向がある。ただし、硬化剤中の活性基の比率が上記範囲外である場合であっても、本発明に係る効果は得られる。
アクリル樹脂は、アクリル酸由来の構造単位(アクリルモノマー)及びメタクリル酸由来の構造単位(メタクリルモノマー)のうち少なくともいずれかを有する重合体又は共重合体である。アクリル樹脂は、例えば、ラジカル重合又はリビング重合によって形成されてよい。シート状積層体10の可撓性(柔軟性)を向上させる観点から、アクリル樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは50万以上150万以下、より好ましくは60万以上100万以下であってよい。アクリルモノマーは、例えば、アクリロニトリル、エチルアクリレート、及びブチルアクリリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。メタクリルモノマーは、例えば、グリシジルメタクリレートであってよい。アクリル樹脂がグリシジル基を有していてよい。樹脂組成物は上記のうち一種のアクリル樹脂を備えてよく、樹脂組成物は上記のうち複数種のアクリル樹脂を備えてもよい。
硬化促進剤は、例えば、エポキシ樹脂と反応してエポキシ樹脂の硬化を促進させる組成物であれば限定されない。樹脂組成物は、一種の硬化促進剤を備えてよい。樹脂組成物は、複数種の硬化促進剤を備えてもよい。樹脂組成物が硬化促進剤を含有することにより、樹脂層11の成形性及び離型性が向上し易い。また樹脂組成物は硬化促進剤を含有することにより、シート状積層体10を用いて製造された積層物(例えば、電子部品)の機械的強度が向上したり、高温・高湿な環境下における樹脂層11の保存安定性が向上したりする。硬化促進剤は、例えば、アルキル基置換イミダゾール、又はベンゾイミダゾール等のイミダゾール類であってよい。イミダゾール系硬化促進剤の市販品としては、例えば、2MZ-H、C11Z、C17Z、1,2DMZ、2E4MZ、2PZ-PW、2P4MZ、1B2MZ、1B2PZ、2MZ-CN、C11Z-CN、2E4MZ-CN、2PZ-CN、C11Z-CNS、2P4MHZ、TPZ、及びSFZ(以上、四国化成工業株式会社製の商品名)からなる群より選ばれる少なくとも一種を用いてよい。これらの中でも長鎖アルキル基を有する硬化剤が好ましく、例えば、C11Z-CN(1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール)が好ましい。
硬化促進剤の配合量は、硬化促進効果が得られる量であればよく、特に限定されない。ただし、樹脂組成物の吸湿時の硬化性及び流動性を改善する観点からは、硬化促進剤の配合量は、100質量部のエポキシ樹脂に対して、好ましくは0.1~30質量部、より好ましくは1~15質量部であってよい。硬化促進剤の含有量は、エポキシ樹脂及び硬化剤(例えばフェノール樹脂)の質量の合計に対して0.001質量部以上5質量部以下であることが好ましい。硬化促進剤の配合量が0.1質量部未満である場合、十分な硬化促進効果が得られ難い。硬化促進剤の配合量が30質量部を超える場合、樹脂層11の保存安定性が低下し易い。ただし、硬化促進剤の配合量及び含有量が上記範囲外である場合であっても、本発明に係る効果は得られる。
カップリング剤は、樹脂組成物と金属元素含有粉との密着性を向上させ、樹脂層11及びシート状積層体10其々の可撓性及び機械的強度を向上させる。カップリング剤は、例えば、シラン系化合物(シランカップリング剤)、チタン系化合物、アルミニウム化合物(アルミニウムキレート類)、及びアルミニウム/ジルコニウム系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。シランカップリング剤は、例えば、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、酸無水物系シラン及びビニルシランからなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。特に、アミノフェニル系のシランカップリング剤が好ましい。コンパウンド粉は、上記のうち一種のカップリング剤を備えてよく、上記のうち複数種のカップリング剤を備えてもよい。
樹脂層11の環境安全性、リサイクル性、成形加工性及び低コストのために、樹脂組成物は難燃剤を含んでよい。難燃剤は、例えば、臭素系難燃剤、鱗茎難燃剤、水和金属化合物系難燃剤、シリコーン系難燃剤、窒素含有化合物、ヒンダードアミン化合物、有機金属化合物及び芳香族エンプラからなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。コンパウンド粉は、上記のうち一種の難燃剤を備えてよく、上記のうち複数種の難燃剤を備えてもよい。
シート状積層体10の用途は、限定されない。金属箔12の組成、樹脂層11に含まれる金属元素含有粉樹脂組成物其々の組成、及びこれらの組合せに応じて、シート状積層体10の電磁気的特性又は熱伝導性等の諸物性は自在に制御される。したがって、シート状積層体10を様々な工業製品又はそれらの材料に利用することができる。シート状積層体10を用いて製造される工業製品は、例えば、自動車関連機器、医療機器、電子機器、電気機器、情報通信機器、家電製品、音響機器、及び一般産業機器であってよい。例えば、樹脂層11が金属元素含有粉としてFe系合金又はフェライト等の軟磁性粉を含む場合、シート状積層体10は、インダクタ(例えばEMIフィルタ)又はトランスの材料として利用されてよい。樹脂層11が金属元素含有粉として永久磁石を含む場合、シート状積層体10はボンド磁石の材料として利用されてよい。樹脂層11が金属元素含有粉として鉄と銅とを含む場合、シート状積層体10は、電磁波シールドとして利用されてよい。
シート状積層体の製造方法は、第一工程及び第二工程を備えてよい。シート状積層体の製造方法は、必要に応じて、第二工程に続く第三工程を更に備えてもよい。以下では、各工程の詳細を説明する。
第一工程では、上述の樹脂組成物、金属元素含有粉及び有機溶媒を均一に混合することにより、ペーストを調製する。換言すれば、上述の樹脂組成物、金属元素含有粉及び有機溶媒を混合することにより、ペーストを調製する。ペーストは、硬化剤及び硬化促進剤を含んでよい。ペーストは、シランカップリング剤及び難燃剤等の添加剤を含んでよい。有機溶媒は、上述の樹脂層の各成分を溶解する液体であればよく、特に限定されない。有機溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ベンゼン、トルエン、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、シクロヘキサノン及びキシレンからなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい。作業性の観点から、有機溶媒は常温で液体であることが好ましく、且つ有機溶媒の沸点が60℃以上150℃以下であることが好ましい。
第二工程では、ペーストを金属箔の表面に塗布する。そして、金属箔に塗布されたペーストを乾燥して有機溶媒を除去することにより、Bステージの樹脂層を金属箔の表面に形成する。Bステージの樹脂層とは、樹脂組成物の半硬化物を含む樹脂層と言い換えられてよい。Bステージの樹脂層と、当該樹脂層が積層された金属箔とを備える積層体を、シート状積層体の完成品として用いてよい。ペーストの塗布方法は、例えば、バーコータ、コンマコータ、又はディップコータであってよい。
基材に塗布されたペーストの乾燥温度は、有機溶媒の種類に応じて適宜調整されてよい。乾燥温度は、例えば、60℃以上160℃以下、好ましくは70℃以上140℃以下、さらに好ましくは80℃以上130℃以下であってよい。乾燥温度が60℃未満である場合、乾燥に長時間を要する。また乾燥温度が60℃未満である場合、有機溶媒が樹脂層中に残って樹脂層の機械的強度が損なわれたり、樹脂層に皺が生じたり、第三工程においてボイドが発生したりする。一方、乾燥温度が160℃を超える場合、有機溶媒の急激な揮発によって第二工程においてボイドが発生したり、樹脂組成物の硬化が進み過ぎたりする。
第三工程では、樹脂層(Bステージの樹脂層)を熱処理によって更に硬化させ、Cステージの樹脂層を得てよい。Cステージの樹脂層とは、樹脂組成物の硬化物を含む樹脂層と言い換えられてよい。Cステージの樹脂層を備えるシート状積層体を、完成品として用いてよい。熱処理の温度は、樹脂層中の樹脂組成物が十分に硬化する温度であればよい。熱処理の温度は、例えば、好ましくは150℃以上300℃以下、より好ましくは175℃以上250℃以下であってよい。樹脂層中の金属元素含有粉の酸化を抑制するために、熱処理を不活性雰囲気下で行うことが好ましい。熱処理温度が300℃を超える合、熱処理の雰囲気に不可避的に含まれる微量の酸素によって金属元素含有粉が酸化されたり、樹脂硬化物が劣化したりする。金属元素含有粉の酸化、及び樹脂硬化物の劣化を抑制しながら樹脂組成物を十分に硬化させるためには、熱処理温度の保持時間は、好ましくは数分以上4時間以下、より好ましくは5分以上1時間以下であってよい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、シート状積層体は、一対の金属箔と一対の金属箔に挟まれた樹脂層とを備えてよい。つまり、樹脂層の両方の表面其々に金属箔が積層されていてよい。
一つのシート状積層体の樹脂層を、別のシート状積層体の樹脂層に直接重ねることにより、図1中の(b)に示されるような積層物20を作製してよい。積層物20は、第一の金属箔23と、第一の金属箔23に積層された樹脂層22と、樹脂層22に積層された第二の金属箔21と、を備える。樹脂層22は、樹脂組成物の半硬化物を含んでよく、樹脂組成物の硬化物を含んでもよい。
以下では実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
アクリル樹脂のシクロヘキサノン溶液219.6g、エポキシ樹脂のメチルエチルケトン溶液39.84g、フェノールノボラック樹脂のメチルエチルケトン溶液17.32g、硬化促進剤のメチルエチルケトン溶液2.00g及びシランカップリング剤4.5gを計り取り、これらの原料を650mlの軟膏容器に入れた。
アクリル樹脂としては、ナガセケムテックス株式会社製の「HTR-860-P3」を用いた。アクリル樹脂のシクロヘキサノン溶液のNV(不揮発分の含有量)は、12.5質量%であった。アクリル樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、50万であった。
エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製の「NC3000-H」を用いた。エポキシ樹脂のメチルエチルケトン溶液のNV(不揮発分の含有量)は、50.2質量%であった。
フェノールノボラック樹脂(硬化剤)としては、日立化成株式会社製の「HP‐850N」を用いた。フェノールノボラック樹脂のメチルエチルケトン溶液のNV(不揮発分の含有量)は、43.0質量%であった。
硬化促進剤としては、四国化成工業株式会社製の「2PZ-CN」を用いた。硬化促進剤のメチルエチルケトン溶液のNV(不揮発分の含有量)は、10質量%であった。
シランカップリング剤としては、信越化学工業株式会社製の「KBM-573」を用いた。
軟膏容器内の全原料を自公転撹拌機で攪拌・混合することにより、樹脂組成物ワニスを得た。自公転撹拌機としては、株式会社シンキー製の「ARE-500」を用いた。攪拌・混合工程では、自公転撹拌機の公転速度を5分間1000rpmに維持し、続いて公転速度を1分間2000rpmに維持した。
上記の樹脂組成物ワニス8.85g、及び金属元素含有粉100gを計り取り、これらを150mlの軟膏容器に入れた。軟膏容器内の原料を、自公転撹拌機を用いて公転速度1000rpmで40秒撹拌した。軟膏容器内の原料を自公転撹拌機で計5回撹拌することにより、樹脂層用のペーストを得た。
100gの金属元素含有粉は、80gの第一合金粉末と20gの第二合金粉末とを混合することによって調製された。
第一合金粉末は、Fe系合金の金属箔の粉砕によって作製した。金属箔としては、日立金属株式会社製の商品「ファインメット」を用いた。第一合金粉末は、Fe、Nb、Cu、Si及びBを含有するFe系合金の粉末であった。第一合金粉末の粒子径D50は、25μmであった。下記表1では、第一合金粉末を「ファインメット1」と表記する。
第二合金粉末は、Fe系合金の金属箔の粉砕によって作製した。金属箔としては、日立金属株式会社製の商品「ファインメット」を用いた。第二合金粉末は、Fe、Nb、Cu、Si及びBを含有するFe系合金の粉末であった。第二合金粉末の粒子径D50は、4μmであった。下記表1では、第二合金粉末を「ファインメット2」と表記する。
金属箔をガラス板上に置き、バーコータを用いて上記のペーストを金属箔の表面に塗布した。金属箔に塗布されたペーストを110℃で12分間乾燥することにより、金属箔と金属箔に積層された樹脂層とを備える実施例1のシート状積層体を得た。乾燥後の樹脂層の厚みは、100μmであった。ペーストの乾燥には、タバイエスペック社製の温風循環型乾燥機を用いた。実施例1の樹脂層は、上記樹脂組成物の半硬化物(Bステージの樹脂組成物)を含んでいた。
金属箔としては、日立金属株式会社製の商品「ファインメットFT-3M」を用いた。金属箔の厚みは、18μmであった。この金属箔は、Fe、Nb、Cu、Si及びBを含有するFe系合金からなっていた。実施例1の金属箔は、加熱処理前(結晶化前)のアモルファスの金属箔であった。
実施例1の樹脂層における金属元素含有粉の含有量(単位:質量%)は、下記表1に示される。実施例1の樹脂層における金属元素含有粉の含有量(単位:体積%)は、下記表1に示される。実施例1のMA/(ME+MP)は、下記表1に示される。上記の通り、MEは、樹脂組成物に含有されるエポキシ樹脂の質量であり、MPは、樹脂組成物に含有されるフェノール樹脂の質量であり、MAは、樹脂組成物に含有されるアクリル樹脂の質量である。下記の表1及び表2中の各成分の欄に記載の数値は、100gの金属粉に対する各成分の相対的な質量(単位:g)である。下記の表1及び表2中のアクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及び硬化促進剤其々の欄に記載の数値は、各成分の溶液の質量である。
(実施例2~11及び比較例1)
実施例2~11及び比較例1其々のシート状積層体の作製では、樹脂層を構成する成分として、下記の表1又は表2に示されるアクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤、カップリング剤及び金属粉(金属元素)が用いられた。実施例2~11及び比較例1其々の樹脂層の作製に用いられた各成分の質量は、下記の表1又は表2に示さる。実施例2~11及び比較例1其々の樹脂層における金属元素含有粉の含有量(単位:質量%)は、下記の表1又は表2に示される。実施例2~11及び比較例1其々の樹脂層における金属元素含有粉の含有量(単位:体積%)は、下記の表1又は表2に示される。実施例2~11及び比較例1其々のシート状積層体の作製では、下記の表1又は表2に示される金属箔を用いた。実施例2~11及び比較例1其々のMA/(ME+MP)は、下記表1に示される。
下記の表1及び表2に記載の「HTR-860-P3’」は、ナガセケムテックス株式会社製のアクリル樹脂である。HTR-860-P3’のシクロヘキサノン溶液のNV(不揮発分の含有量)は、12.5質量%であった。HTR-860-P3’のポリスチレン換算の重量平均分子量は、80万であった。
下記の表1及び表2に記載の「JER828」は、三菱ケミカル株式会社製のビスフェノールA型エポキシ樹脂である。JER828のメチルエチルケトン溶液のNV(不揮発分の含有量)は、60.2質量%であった。
下記の表1及び表2に記載の「YX4000」は、三菱ケミカル株式会社製のビフェニル型エポキシ樹脂である。YX4000のメチルエチルケトン溶液のNV(不揮発分の含有量)は、50.8質量%であった。
下記の表1及び表2に記載の「TypeA」は、新東工業株式会社製のFeSiCrからなる粉末平均粒子径2μm)である。
下記の表1及び表2に記載の「MT18SD‐H」は、三井金属鉱業株式会社製の銅箔(キャリア箔付き銅箔、厚み:3μm)である。
下記の表1及び表2に記載の「3EC‐M3‐VLP」は、三井金属鉱業株式会社製の銅箔(ロープロファイル電解銅箔、厚み:12μm)である。
下記の表1及び表2に記載の「MW‐P‐VSP」は、三井金属鉱業株式会社製の銅箔(厚み:18μm)である。
下記の表1及び表2に記載の「1085」は、株式会社UACJ製箔製のアルミニウム箔(厚み:12μm)である。
以上の事項を除いて実施例1と同様の方法で、実施例2~11及び比較例1其々のシート状積層体を作製した。実施例2~11及び比較例1のいずれにおいても、シート状積層体の樹脂層は、樹脂組成物の半硬化物を含んでいた。
[充填性の評価]
実施例1~11及び比較例1其々のシート状積層体の充填性を以下の方法で個別に評価した。
充填性の評価には、銅箔の厚みが異なる三種類のプリント配線板用銅張積層板(基板)を用いた。基板としては、日立化成株式会社製の商品「MCL」シリーズを用いた。三種類の基板其々の銅箔の厚みは、12μm、18μm、及び35μmであった。各基板の銅箔のエッチングによって、いわゆるラインアンドスペースの線状パターンを各基板の銅箔に形成した。各基板に形成されたライン(L)/スペース(S)其々の幅は、05mm/0.5mm、0.3mm/0.3mm、0.2mm/0.2mm、及び0.1mm/0.1mmであった。ラインの間に位置するスペースは凹部(溝)であり、スペースの深さは各銅箔の厚みにほぼ等しい。シート状積層体の樹脂層が銅箔の線状パターンに直接重なるように、シート状積層体を配置した。そして、シート状積層体を180℃で30分間加熱しながら各基板の表面へ圧着して、実施例1~11及び比較例1ごとに、三種類の積層物を形成した。圧着は、真空プレスによって行われた。シート状積層体へ加えた圧力は5MPaであった。続いて、シート状積層体が圧着された基板の表面に対して垂直に、各積層物を切断して、各積層物の断面を観察した。
図2と同様に、実施例1~11のいずれの積層物の断面においても、シート状積層体の樹脂層が、線状パターンのスペース(凹部)内へ隙間なく充填されていた。一方、比較例1の積層物の断面では、シート状積層体の樹脂層が線状パターンのスペースへ十分に充填されず、シート状積層体の樹脂層と線状パターンのスペースとの間にボイドが形成されていた。
[磁気特性の評価]
実施例1~11其々の樹脂層の比透磁率μ’を、インピーダンス・アナライザによって個別に測定した。測定結果は、下記表1又は表2に示される。比透磁率μ’の測定には、金属箔に積層される前の樹脂層を用いた。測定装置としては、キーサイト・テクノロジー合同会社製の測定装置「F9049A」(商品名)を用いた。比較例1の場合、樹脂層自体の機械的強度が著しく低かったため、樹脂層の比透磁率μ’を測定することはできなかった。
Figure 0007001103000001
Figure 0007001103000002
本発明に係るシート状積層体は、磁気特性及び充填性に優れており、高い工業的な価値を有している。
10,10a,10b,10c…シート状積層体、12,21,23,31,33,41…金属箔、11,22,32,32a,32b,42…樹脂層、34,43…基材、20,30,40…積層物。

Claims (17)

  1. 金属箔と、
    前記金属箔に積層された樹脂層と、
    を備え、
    前記樹脂層は、樹脂組成物及び金属元素含有粉を含み、
    前記樹脂組成物は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びアクリル樹脂を含有し、
    前記エポキシ樹脂の質量は、MEと表され、
    前記フェノール樹脂の質量は、MPと表され、
    前記アクリル樹脂の質量は、MAと表され、
    MA/(ME+MP)は、1/9以上7/3未満であり、
    前記金属箔は、Fe系合金を含み、
    前記金属箔に含まれる前記Fe系合金は、Fe、Nb、Cu、Si及びBを含有する、
    シート状積層体。
  2. 前記金属箔は、結晶粒径が10nm以下である前記Fe系合金の結晶を含む、
    請求項に記載のシート状積層体。
  3. 金属箔と、
    前記金属箔に積層された樹脂層と、
    を備え、
    前記樹脂層は、樹脂組成物及び金属元素含有粉を含み、
    前記樹脂組成物は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びアクリル樹脂を含有し、
    前記エポキシ樹脂の質量は、MEと表され、
    前記フェノール樹脂の質量は、MPと表され、
    前記アクリル樹脂の質量は、MAと表され、
    MA/(ME+MP)は、1/9以上7/3未満であり、
    前記金属箔は、Fe系合金を含み、
    前記金属箔は、結晶粒径が10nm以下である前記Fe系合金の結晶を含む、
    シート状積層体。
  4. 前記金属箔に含まれる前記Fe系合金は、Fe及びNbを含有する、
    請求項に記載のシート状積層体。
  5. 前記金属元素含有粉は、Fe系合金を含有する、
    請求項1~のいずれか一項に記載のシート状積層体。
  6. 前記金属元素含有粉に含有される前記Fe系合金は、Fe、Nb、Cu、Si及びBを含有する、
    請求項に記載のシート状積層体。
  7. 前記金属元素含有粉は、粒子径が10nm以下である金属元素含有粒子を含む、
    請求項5又は6に記載のシート状積層体。
  8. 金属箔と、
    前記金属箔に積層された樹脂層と、
    を備え、
    前記樹脂層は、樹脂組成物及び金属元素含有粉を含み、
    前記樹脂組成物は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びアクリル樹脂を含有し、
    前記エポキシ樹脂の質量は、MEと表され、
    前記フェノール樹脂の質量は、MPと表され、
    前記アクリル樹脂の質量は、MAと表され、
    MA/(ME+MP)は、1/9以上7/3未満であり、
    前記金属元素含有粉は、Fe系合金を含有する、
    シート状積層体。
  9. 前記金属元素含有粉に含有される前記Fe系合金は、Fe、Nb、Cu、Si及びBを含有する、
    請求項8に記載のシート状積層体。
  10. 前記金属元素含有粉は、粒子径が10nm以下である金属元素含有粒子を含む、
    請求項8又は9に記載のシート状積層体。
  11. 前記金属箔は、Fe系合金を含み、
    前記金属箔に含まれる前記Fe系合金は、Fe及びNbを含有する、
    請求項8~10のいずれか一項に記載のシート状積層体。
  12. 前記アクリル樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、50万以上150万以下である、
    請求項1~11のいずれか一項に記載のシート状積層体。
  13. 前記樹脂層における前記金属元素含有粉の含有量は、70体積%以上100体積%未満である、
    請求項1~12のいずれか一項に記載のシート状積層体。
  14. 前記樹脂層は、前記樹脂組成物の半硬化物を含む、
    請求項1~13のいずれか一項に記載のシート状積層体。
  15. 請求項1~14のいずれか一項に記載のシート状積層体と、
    前記シート状積層体が重ねられた基材と、
    を備え、
    前記樹脂層が前記基材に接している、
    積層物。
  16. 前記樹脂層の少なくとも一部は、前記基材に形成された凹部又は空洞に充填されている、
    請求項15に記載の積層物。
  17. 前記樹脂層は、前記樹脂組成物の半硬化物、及び前記樹脂組成物の硬化物のうち少なくともいずれか一方を含む、
    請求項15又は16に記載の積層物。
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