以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。以下に説明する実施形態を通して、同一の構成要素に同一の参照符号を付すことで重ねての説明を省略する。なお、図面は、模式的又は概念的なものである。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る発電システム1を示すブロック図である。図1に示されるように、発電システム1は、発電機と、電力制御回路とを備える。発電機は、例えば、振動発電機2を含む。電力制御回路は、例えば、整流・平滑回路3、コンバータ4、電力計測処理部5、制御回路6、及び信号発生回路7を含む。このような発電システム1は、負荷に接続され、負荷に対して電力を供給する。負荷は、センサ等の任意の装置であって、発電システム1からの電力供給を受けて駆動される。
振動発電機2は、例えば電磁誘導素子や圧電素子を備え、環境振動等に起因する機械的振動による機械エネルギーを交流電力に変換して出力する。
第1の整流・平滑回路としての整流・平滑回路3は、振動発電機2から出力される交流電力を直流電力(第1の直流電力)に変換し、この直流電力を平滑化する。整流・平滑回路3は、例えば、整流回路及び平滑回路を有する。整流回路は、振動発電機2から出力される交流電力を直流電力に変換する。発電機が振動発電機であるとき、整流回路から出力される直流電力は、通常、脈流である。整流回路は、例えば、1つ又は複数のダイオードを含む。例えば、整流回路は、4つのダイオードをブリッジ接続した全波整流器を含み得る。平滑回路は、整流回路から出力される直流電力を平滑化する。平滑回路は、例えば1つのキャパシタを含む。平滑回路は、複数のキャパシタを含んでいてもよい。また、平滑回路は、キャパシタとインダクタの組み合わせを含んでいてもよい。平滑回路は、電流を一時的に電荷として蓄積し、蓄積した電荷を放出することで、電圧を平滑化する。すなわち、平滑回路は、電力を蓄積する一種の蓄電回路である。
コンバータ4は、スイッチング回路(スイッチング素子ともいう)を含み、スイッチング回路のスイッチング動作に基づいて、整流・平滑回路3から出力される直流電力を変圧する。スイッチング回路は、信号発生回路7からのパルス信号(矩形波)によって駆動される。スイッチング回路は、例えば、バイポーラトランジスタ又はMOSFET(metal-oxide semiconductor field-effect transistor)を含む。コンバータ4から出力される電力は、発電システム1に接続される負荷、言い換えれば、センサ等の任意の装置に適宜供給される。
図2Aは、整流・平滑回路3とコンバータ4を合わせた電気回路の一例を示している。ここで、図2Aでは、コンバータ4がバックブーストコンバータである例が示されている。
整流・平滑回路3は、整流回路3Aと、平滑回路3Bとを有する。図2Bは、整流回路3Aの出力電圧と平滑回路3Bの出力とをそれぞれ示している。例えば、整流回路3Aが全波整流器を含むとき、振動発電機2からの電圧Vvpgは、図2Bで示されるようにして整流回路3Aにおいて全波整流される。さらに、整流回路3Aの出力電圧vrectは、図2Bの出力電圧vs1で示すようにして平滑回路3Bにおいて平滑化される。
バックブーストコンバータは、スイッチング回路のスイッチングを利用して昇圧と降圧の両方を行うことができるコンバータである。図2Aに示すように、バックブーストコンバータは、キャパシタC、スイッチング回路S、インダクタL、及びダイオードDを備える。整流・平滑回路3の出力は、スイッチング回路Sの一端に接続されている。スイッチング回路Sの他端は、ダイオードDのカソードに接続されている。ダイオードDのアノードは、負荷に接続される。また、インダクタLは、スイッチング回路SとダイオードDとの間にスイッチング回路Sに対して並列に接続されている。キャパシタCは、ダイオードDと負荷との間にダイオードDに対して並列に接続されている。スイッチング回路Sは、図2Cに示されるようなパルス信号により駆動される。スイッチング回路Sは、パルス信号の信号レベルがハイ(High)であるときにオン状態となり、パルス信号の信号レベルがロー(Low)であるときにオフ状態となる。図2Cにおいて、パルス信号の信号レベルがハイである時間がスイッチオン時間tonである。また、図2Cにおいて、信号レベルがハイになる周期がスイッチング周期tswである。スイッチオン時間tonとスイッチング周期tswとにより、スイッチング回路Sのデューティ比が決まる。デューティ比は、スイッチオン時間tonとスイッチング周期tswとの比である。デューティ比に応じて、整流・平滑回路3の出力電圧は昇圧又は降圧される。昇圧又は降圧されたコンバータ4の出力電圧voutは、負荷に印加される。
電力計測処理部5は、振動発電機2における発電電力を計測する。電力計測処理部5は、振動発電機2の出力電圧とパルス信号の動作条件とに基づいて、振動発電機2における発電電力を計測する。電力計測処理部5は、CPU、ASIC、FPGA又はDSP等のデジタル信号処理器を有している。また、電力計測処理部5は、DRAM、SRAM等のメモリを有していてもよい。また、電力計測処理部5は、複数のデジタル信号処理器や、メモリを有していてもよい。さらに、電力計測処理部5は、後で説明する計算を行うように構成された乗算回路と除算回路の組み合わせであってもよい。出力電圧とパルス信号の動作条件に基づいた電力計測方法については後で詳しく説明する。本実施形態における電力計測方法では、電流計測が不要であるので、一般的な電力計測方法、即ち電圧と電流とを計測しそれらを掛け合わせて電力とする方法よりも消費電力を低く抑えることができる。電力計測処理部5の入力段に、ノイズを除去するためのフィルタ(例えばハイパスフィルタ又はローパスフィルタ)が設けられていてもよい。また、電力計測処理部5は、図1においては、整流・平滑回路3の後段に配置されているが、前段に配置されていてもよい。
制御回路6は、電力計測処理部5で計測された電力を用いてコンバータ4のスイッチング動作の条件、例えばコンバータ4を駆動するパルス信号のスイッチオン時間を制御する。制御回路6は、CPU、ASIC、FPGA又はDSP等のデジタル信号処理器を有している。また、制御回路6は、DRAM、SRAM等のメモリを有していてもよい。また、制御回路6は、複数のデジタル信号処理器や、メモリを有していてもよい。さらに、制御回路6は、電力計測処理部5を含んでいてもよい。制御回路6によって制御されるスイッチング動作の条件は、スイッチオン時間でなくてもよく、スイッチング周期又はデューティ比であってもよい。以降では、スイッチング動作の条件はスイッチオン時間であるとして説明する。制御回路6の動作の詳細については後で説明する。
信号発生回路7は、制御回路6から指示されたスイッチオン時間を有するパルス信号を発生し、このパルス信号をコンバータ4に出力する。
ここで、図1の破線で示すように、電力計測処理部5、制御回路6、及び信号発生回路7は、整流・平滑回路3から出力される電圧によって動作してよい。この場合、発電システム1の各ユニットは、振動発電機2によって発電された電力によって動作する。このため、発電システム1に電池等の別の電源を設ける必要はない。実際には、振動発電機2によって発電された電力が過渡的であるとき、電力計測処理部5、制御回路6、及び信号発生回路7に供給される電圧も不安定になる。発電システム1の安定性を担保するために、整流・平滑回路3の平滑回路は、ある程度のキャパシタンスを有していることが望ましい。
次に、本実施形態における電力計測方法について説明する。振動発電機2に図2Aに示される整流・平滑回路3とコンバータ4を接続した系において、整流回路3Aの出力電圧v
rectのリップルが十分に小さいと見なせるとき、整流回路3Aの出力電圧v
rectと平滑回路3Bの出力v
s1とはともに振動発電機2の出力電圧v
vpgのピーク値に等しくなる。したがって、v
vpgの実効値をv
vpg_rmsとすると、v
s1は(式1)のように表される。
ここで、コンバータ4の入力から見込む回路の抵抗をr
dc、振動発電機2の出力電流の実効値をi
vpg_rmsとし、コンバータ4でのロスがないとすると、電力の釣り合いの式は(式2)のようになる。
(式1)を(式2)に代入すると、(式3)が得られる。
したがって、コンバータ4の入力から見込む回路の抵抗r
dcは、(式4)のように表される。
ここで、振動発電機2から見込む回路の等価抵抗r
eqは(式5)のように表される。
(式5)を(式4)に代入し、r
eqについてまとめると、(式6)のようになる。
一方、コンバータ4をDCM(Discontinuous Conduction Mode)で動作させた場合、コンバータ4の入力電流i
inはスイッチング回路Sがオンされている期間では増加し、スイッチング回路Sがオフされている期間では0になる。コンバータ4の平均入力電流をi
in_avgとすると、i
in_avgは(式7)のように表される。
ここで、t
swはスイッチング周期であり、t
onはスイッチオン時間である。また、ldcはインダクタLのインダクタンスである。
また、コンバータ4の入力から見込む回路の抵抗r
dcは(式8)のように表される。
(式8)に(式7)を代入すると、(式9)のようになる。
さらに、(式9)を(式6)に代入すると、振動発電機から見込む回路の等価抵抗r
eqは(式10)のように表される。
一般的に、インダクタンスldcは設計時に決まる値であって定数である。したがって、等価抵抗reqは、スイッチング周期tsw又はスイッチオン時間tonを制御することで制御され得る。例えば、スイッチング周期tswを一意に決めれば、スイッチオン時間tonのみを制御することで等価抵抗reqを制御することができる。
一方、回路の等価抵抗がr
eqであるとき、振動発電機2の発電電力pは(式11)のように表される。
ここで、v
vpgは振動発電機2の出力電圧の実効値である。(式11)を(式10)に代入すると、下記の(式12)が得られる。
(式12)からも明らかなように、スイッチング周期tswを一意に決めておけば、振動発電機2の出力電圧vvpgとスイッチオン時間tonとから振動発電機2の発電電力pを算出することができる。この場合、発電電力pの計測に、電流計測は不要である。なお、(式12)では、振動発電機2の出力電圧vvpgによって発電電力pが算出される。これに対し、図1に示されるように、電力計測処理部5が整流・平滑回路3の後段に配置されているときには、(式12)の出力電圧vvpgは、整流・平滑回路3から出力される平滑電圧vs1に置き換えられる。
次に、第1の実施形態における発電システム1の動作について説明する。本実施形態では、最大電力点追従制御アルゴリズムとして、一般的な山登り法を実装する場合について説明する。図3は、第1の実施形態における発電システム1の最も簡単な動作手順を示すフローチャートである。図3のステップS101において、振動発電機2は環境振動を受けて発電する。なお、発電開始時のスイッチオン時間t
onは、整流・平滑回路3から見込む等価抵抗r
eqが適正抵抗r
rとなる時間に設定されていてもよい。適正抵抗r
rは、振動発電機2の発電電力を最大化する等価抵抗の値である。特に、環境振動の周波数が振動発電機2の固有振動数と一致しており、かつ、環境振動の振動波形が正弦波状であるときには、適正抵抗r
rは(式13)で表される。ここで、(式13)のk
v、c
m、r
c、l
c、ω
nは、それぞれ、振動発電機2の電圧定数、振動発電機2の機械的減衰係数、振動発電機2の内部の発電用コイルの抵抗、発電用コイルのインダクタンス、振動発電機2の固有振動数を表している。
環境振動の周波数が固有振動数と一致していなかったり、環境振動が過渡的であったりする場合には、適正抵抗rrを(式13)で表すことはできない。しかしながら、発電開始時のスイッチオン時間tonは、整流・平滑回路3から見込む等価抵抗reqが(式13)で示される適正抵抗rrとなる時間に設定されていてよい。これは、仮に環境振動の周波数が固有振動数と一致していなかったり、環境振動が過渡的であったりしても、後の最大電力点追従制御によって振動発電機2の発電電力を最大化するようにスイッチオン時間tonが調整されるためである。
ステップS102において、電力計測処理部5は、振動発電機2の発電電力を計測する。電力計測処理部5は、整流・平滑回路3から出力された平滑電圧vs1を取り込むとともに、制御回路6において設定されているスイッチオン時間tonを取得する。電力計測処理部5は、入力された出力電圧及びスイッチオン時間を用いて上述した(式12)から発電電力を算出する。そして、電力計測処理部5は、算出した発電電力を制御回路6に入力する。制御回路6は、算出された発電電力をある時間間隔毎にサンプリングする。
ステップS103において、制御回路6は、現在の発電電力pcと過去の発電電力ppとを比較し、現在の発電電力pcが過去の発電電力pp以上であるか否かを判定する。ステップS103において、現在の発電電力pcが過去の発電電力pp以上であるとき、処理はステップS104に移行する。ステップS103において、現在の発電電力pcが過去の発電電力pp以上でないとき、処理はステップS105に移行する。
ステップS104において、制御回路6は、所定の微小時間だけ短くしたスイッチオン時間tonを信号発生回路7に設定する。(式11)で示されるように、スイッチオン時間tonが短くなることにより回路の等価抵抗reqが増加する。ステップS105において、制御回路6は、所定の微小時間だけ長くしたスイッチオン時間tonを信号発生回路7に設定する。(式11)で示されるように、スイッチオン時間tonが長くなることにより回路の等価抵抗reqが低下する。等価抵抗reqが変化することにより、振動発電機2の動作点が変化する。ステップS104又はS105の後、処理はステップS102に戻る。なお、制御回路6は、ステップS104及びS105とは反対に、現在の発電電力pcが過去の発電電力pp以上のときにスイッチオン時間tonを長くし、現在の発電電力pcが過去の発電電力pp以上でないときにスイッチオン時間tonを短くしてもよい。
図4A、図4B、図4Cは、第1の実施形態において、環境振動が定常的な振動(例えば正弦波振動)である場合の発電システム1の動作例を示す図である。図4Aは、振動発電機2からの平滑電圧に基づいて計測される平滑電力と、その平滑電力をある時間間隔毎にサンプリングしたサンプリング電力のグラフである。図4Bは、図4Aの平滑電力とサンプリング電力をある時間間隔毎に比較した結果を示す図である。図4Bでは、平滑電力がサンプリング電力よりも大きい状態がハイ(High)で、平滑電力がサンプリング電力よりも小さい状態がロー(Low)で表されている。なお、平滑電力をサンプリングするタイミングと、平滑電力とサンプリング電力を比較するタイミングは位相遅れがあるほうが好ましい。この場合、図4Aの平滑電力がステップS103の現在の発電電力pcと対応し、図4Aのサンプリング電力がステップS103の過去の発電電力ppと対応する。図4Cは、図4Bで比較した結果に基づいて回路の等価抵抗reqが変更された様子を示す図である。つまり、図4Bでハイとなったときには等価抵抗reqが増加するようにスイッチオン時間tonが設定され、図4Bでローとなったときには等価抵抗reqが減少するようにスイッチオン時間tonが設定される。図4Cのようにして等価抵抗reqが変更されることにより、図4Aに示すように、発電電力は、徐々に増加し、やがてある最大電力点に収束する。
以上のように第1の実施形態に係る発電システム1においては、コンバータ4の一例としてバックブーストコンバータが用いられている。バックブーストコンバータの場合、出力に接続される負荷によらずに発電機から見込む回路の等価抵抗reqが(式11)によって表される。このような等価抵抗reqを用いることにより、例えば、山登り法を用いた最大電力点追従制御のための電力計測に際して電流計測をする必要がない。このように、第1の実施形態に係る発電システム1においては、電流計測を不要にすることで消費電力を小さくして最大電力点追従制御をすることができる。これは、特に、振動発電機が用いられる場合等の、発電機の発電量が小さいときに有効である。
ここで、第1の実施形態では、(式12)に従って実際の発電電力を計測している。これに対し、山登り法による最大電力点追従制御における電力比較の際の指標として、(式12)に従って計測される発電電力の代わりに、スイッチオン時間tonと振動発電機2の出力電圧vvpgの積が用いられてもよい。
[第1の実施形態の変形例1]
図5は、第1の実施形態の変形例1に係る発電システム1を示すブロック図である。図5に示されるように、発電システム1は、振動発電機2、整流・平滑回路3、コンバータ4、電力計測処理部5、制御回路6、信号発生回路7に加えて、リファレンス出力部8を備える。リファレンス出力部8は、DRAM、SRAM等のメモリを有している。なお、リファレンス出力部8は後述する各実施形態に係る発電システムに設けられてもよい。
リファレンス出力部8は、スイッチオン時間の下限閾値、言い換えると、等価抵抗の上限閾値を記憶する。制御回路6は、リファレンス出力部8から出力される等価抵抗の上限閾値を超えないようにスイッチオン時間、言い換えると等価抵抗を変更する。ここで、等価抵抗の上限閾値は、例えば(式13)に基づいて設定することができる。等価抵抗の上限閾値は、例えば、(式13)で表される等価抵抗の値からある一定の許容値を加えた値又は(式13)で表される等価抵抗の定数倍に設定される。振動発電機2による発電システムの場合、太陽電池による発電システムとは異なり、最大電力点に対応した等価抵抗reqは、(式13)で表される、環境振動の周波数が振動発電機2の固有振動数と一致しており、かつ、環境振動の振動波形が正弦波状であるときの等価抵抗よりも小さくなることが多い。このため、振動発電機2による発電システムでは、(式13)で表される等価抵抗は、有効な上限閾値となり得る。
以上のように第1の実施形態の変形例においては、等価抵抗の上限閾値を設定することにより、制御が発散するのを防ぐことができる。結果として、発電システム1の安定性が向上する。また、等価抵抗の上限閾値を(式13)で表される等価抵抗に基づいて設定することにより、等価抵抗が早期に適正値になる可能性を高めることができる。
ここで、リファレンス出力部8には、スイッチオン時間の上限閾値、言い換えると、等価抵抗の下限閾値も記憶されてもよい。この場合、制御回路6は、リファレンス出力部8から出力される等価抵抗の閾値の範囲内でスイッチオン時間、言い換えると等価抵抗を変更する。
[第1の実施形態の変形例2]
図6は、第1の実施形態の変形例2に係る発電システム1を示すブロック図である。図6に示されるように、発電システム1は、振動発電機2、整流・平滑回路3、コンバータ4、電力計測処理部5、制御回路6、及び信号発生回路7に加えて整流・平滑回路9を備える。
第2の整流・平滑回路としての整流・平滑回路9は、制御回路6への電力供給系と、電力計測処理部5、制御回路6、及び信号発生回路7といった発電システム1の各ユニットのへの電源供給系とを分離するために配置される。整流・平滑回路9は、整流・平滑回路3から出力される平滑電圧vs1をさらに整流及び平滑化する。図7は、整流・平滑回路3から出力される平滑電圧vs1と整流・平滑回路9から出力される平滑電圧vs2とを比較して示した図である。図7に示すように、整流・平滑回路9から出力される平滑電圧vs2は、整流・平滑回路3から出力される平滑電圧vs1の包絡線をとるような電圧になる。
環境振動が過渡的である場合、整流・平滑回路3で平滑化された平滑電圧vs1は、図7に破線で示されるように、瞬間的には、電力計測処理部5、制御回路6、及び信号発生回路7といった発電システム1の各ユニットの駆動電圧を下回ることがあり得る。このため、各ユニットの動作が安定しないことがある。これに対し、整流・平滑回路9でさらに整流及び平滑化がされた電力(第2の直流電力)を用いることにより、各ユニットへの電源供給が安定化する。結果として、発電システム1の安定性は向上する。
ここで、図1の構成では発電システム1の安定性を担保するためには、整流・平滑回路3の平滑回路はある程度のキャパシタンスを有していることが望ましい。一方、図9の構成では、電源供給系に別途に整流・平滑回路9を設けることにより、整流・平滑回路3の平滑回路のキャパシタンスを小さくすることができる。キャパシタンス成分は、振動発電機2の可動部の動きを抑え、ひいては発電電力が低下する要因となる。したがって、電力供給系におけるキャパシタンスは小さいほうがよい。図6の構成では、電力供給系におけるキャパシタンス成分を小さくすることができるので、発電電力を最大限に大きくすることができる。
以上のように、第1の実施形態の変形例2に係る発電システム1においては、整流・平滑回路9を配置することで、整流・平滑回路3のキャパシタンスを小さくしても、システムの安定性が高い。また、整流・平滑回路3のキャパシタンスを小さくすることで、振動発電機2の可動部の動きが抑制されないため、発電電力を最大限に大きくすることができる。
ここで、整流・平滑回路9は後述する第2の実施形態に係る発電システム1に設けられてもよい。
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、山登り法とは異なる最大電力点追従制御アルゴリズムについて説明する。第2の実施形態に係る発電システム1の構成は、前述した図1、図5又は図6の構成と同じである。したがって、説明を省略する。
振動発電機2から見込む回路の等価抵抗r
eqに対する電力pを表す電力近似式は(式14)のように表すことができる。ここで、r
cは発電コイルの抵抗であり既知である。a、b、cはそれぞれ未知の係数である。
図8は、等価抵抗r
eqに対する電力pのグラフである。図8のグラフは、(式14)によって表される曲線によって近似される。このため、(式14)の3つの未知係数a、b、cの値は、3つの等価抵抗r
1、r
2、r
3に対する電力p
1、p
2、p
3の連立方程式を解くことで求めることができる。さらに、電力が最大となる適正抵抗をr
eq_optとすると、適正抵抗r
eq_optは(式15)のように表される。つまり、未知係数a、b、cの値が決まれば、適正抵抗r
eq_optを決めることができる。
次に、第2の実施形態における発電システム1の動作について説明する。図9は、第2の実施形態における発電システム1の動作手順を示している。図9のステップS201において、振動発電機2は環境振動を受けて発電する。
ステップS202において、制御回路6は、スイッチオン時間ton1を設定する。この時点でのスイッチオン時間ton1は任意でよい。ステップS203において、電力計測処理部5は、スイッチオン時間ton1に対応する等価抵抗r1に対する振動発電機2の発電電力p1を計測する。発電電力p1は、上述した(式12)に基づいて算出される。そして、電力計測処理部5は、計測した発電電力p1を制御回路6に入力する。
ステップS204において、制御回路6は、スイッチオン時間ton2を設定する。スイッチオン時間ton2はスイッチオン時間ton1と異なっていればよい。ステップS205において、電力計測処理部5は、スイッチオン時間ton2に対応する等価抵抗r2に対する振動発電機2の発電電力p2を計測する。そして、電力計測処理部5は、計測した発電電力p2を制御回路6に入力する。
ステップS206において、制御回路6は、スイッチオン時間ton3を設定する。スイッチオン時間ton3はスイッチオン時間ton1及びスイッチオン時間ton2と異なっていればよい。ステップS207において、電力計測処理部5は、スイッチオン時間ton3に対応する等価抵抗r3に対する振動発電機2の発電電力p3を計測する。そして、電力計測処理部5は、計測した発電電力p3を制御回路6に入力する。
ステップS208において、制御回路6は、スイッチオン時間ton1、ton2、ton3からそれぞれ算出される等価抵抗r1、r2、r3と、発電電力p1、p2、p3とを(式14)に代入することで得られる連立方程式を解くことにより、上述した3つの未知係数a、b、cの値を計算する。ステップS209において、制御回路6は、計算された未知係数a、b、cの値を用いて、(式15)から適正抵抗req_optを計算する。そして、ステップS210において、制御回路6は、適正抵抗req_optに対応するスイッチオン時間tonを(式11)に基づいて計算し、計算したスイッチオン時間tonを信号発生回路7に設定する。
図10A及び図10Bは、第2の実施形態において、環境振動が定常的な振動(例えば正弦波振動)である場合の発電システム1の動作例を示す図である。図10Aは、振動発電機2からの平滑電圧に基づいて計測される平滑電力と、その平滑電力をある時間間隔毎にサンプリングしたサンプリング電力のグラフである。ここで、図10Aには、図9のステップS203、S205、S207の電力計測のタイミングが示されている。図10Bは、回路の等価抵抗の時間変化を示すグラフである。ここで、図10Bには、図9のステップS202、S204、S206、S210のスイッチオン時間の設定のタイミングが示されている。図10Bに示されるように、3回のスイッチオン時間、言い換えれば等価抵抗の設定の後、ステップS210のタイミングにおいて等価抵抗は、最終的には適正抵抗に調整される。なお、平滑電力をサンプリングするタイミングは、スイッチオン時間の切り替え直後ではなく、スイッチオン時間の切り替え後の少なくとも時定数又は時定数の数倍後であることが好ましい。これは、振動発電機2による発電システムの場合、スイッチオン時間の切り替え直後は、環境振動の影響によって回路が不安定となっているためである。
また、制御回路6は、発電開始からある一定時間が経過した後で、スイッチオン時間、言い換えれば等価抵抗の値を元の値に戻すリフレッシュ機能を有していてもよい。このようなリフレッシュ機能により、万が一、スイッチオン時間が予期しない値に収束したときに、最大電力点追従制御をやり直すことができる。なお、第1の実施形態における制御回路6も、リフレッシュ機能を有していてもよい。
また、第2の実施形態における(式14)の近似式は、2次の近似式であるが、さらに高次の近似式が用いられてもよい。高次の近似式が用いられることにより、適正抵抗の算出精度が高められる一方で、未知数が多くなるので計測の回数は増加することになる。
以上のように第2の実施形態では、スイッチオン時間tonを3回切り替えて等価抵抗reqを変化させ、各等価抵抗r1、r2、r3での電力p1、p2、p3を計測し、(式14)に基づく連立方程式を解くことで3つの未知係数a、b、cの値を決定し、さらに、これらの係数から(式15)に基づいて適正抵抗を算出することで、適正抵抗に対応するスイッチオン時間が設定される。これにより、第1の実施形態に比べて適正抵抗を決定するまでに必要な時間と電力を低減することができる。
[第2の実施形態の変形例1]
第2の実施形態の変形例1では、第2の実施形態で説明した最大電力点追従制御アルゴリズムをさらに簡略化した最大電力点追従制御アルゴリズムを説明する。
振動発電機2の発電コイルの抵抗が、振動発電機2から見込む回路の等価抵抗r
eqに対して無視できるほど小さい場合、(式14)は(式16)のように表される。
また、このとき、適正抵抗r
eq_optを表す(式15)は(式17)のように表される。
このように、振動発電機2の発電コイルの抵抗が十分に小さい場合には、適正抵抗req_optを求める式を簡略化できる。したがって、第2の実施形態と同様に、スイッチオン時間tonを3回切り替えて等価抵抗reqを変化させ、各等価抵抗r1、r2、r3での電力p1、p2、p3を計測し、(式14)に基づく連立方程式を解くことで2つの未知係数a、cの値を決定し、さらに、これらの未知係数a、cの値から(式17)に基づいて適正抵抗req_optを算出し、適正抵抗req_optに相当するスイッチオン時間に設定することで、電力を最大化することができる。
[第2の実施形態の変形例2]
第2の実施形態の変形例2では、第2の実施形態の変形例1で説明した最大電力点追従制御アルゴリズムをさらに簡略化した最大電力点追従制御アルゴリズムについて説明する。
図11は、第2の実施形態の変形例2を説明するための図である。図11は、等価抵抗r
eqに対する電力のグラフを示しており、このグラフのうち単調増加する区間を実線で示している。この単調増加する区間において、等価抵抗r
eqに対する電力pは(式18)のように近似される。
また、適正抵抗r
eq_optは(式19)のように表される。
したがって、第2の実施形態の変形例2では、スイッチオン時間tonを2回切り替えて等価抵抗reqを変化させ、各等価抵抗r1、r2での電力p1、p2を計測し、(式14)に基づく連立方程式を解くことで2つの未知係数a、bの値を決定し、さらに、これらの未知係数a、bの値から(式19)に基づいて適正抵抗req_optを算出し、適正抵抗req_optに対応するスイッチオン時間に設定することで、電力を最大化することができる。つまり、最大電力点が求められればよいので、単調増加の区間を表す近似式を用いて適正抵抗を求めることができる。このようにして、適正抵抗を求める式をさらに簡略化できる。
[第3の実施形態]
図12は、第3の実施形態に係る発電システムを示すブロック図である。図12に示されるように、発電システム1は、振動発電機2、整流・平滑回路3、コンバータ4、電力計測処理部5、信号発生回路7に加えて、制御回路10、リファレンス電力出力部11、加速度計12を備える。
制御回路10は、電力計測処理部5で計測された電力を用いてコンバータ4のスイッチング動作の条件、例えばコンバータ4を駆動するパルス信号のスイッチオン時間を制御する。制御回路10は、制御回路6による最大電力点追従制御アルゴリズムとは異なるアルゴリズムに従ってスイッチング動作の条件を制御する。制御回路10は、CPU、ASIC、FPGA又はDSP等のデジタル信号処理器を有している。制御回路10は、アナログ回路によってスイッチング動作の条件を制御するように構成されていてもよい。また、制御回路10は、DRAM、SRAM等のメモリを有していてもよい。また、制御回路10は、複数のデジタル信号処理器や、メモリを有していてもよい。さらに、制御回路10は、電力計測処理部5を含んでいてもよい。制御回路10によって制御されるスイッチング動作の条件は、スイッチオン時間でなくてもよく、スイッチング周期又はデューティ比であってもよい。以降では、スイッチング動作の条件はスイッチオン時間であるとして説明する。制御回路10の動作の詳細については後で説明する。
リファレンス電力出力部11は、DRAM、SRAM等のメモリを有している。リファレンス電力出力部11は、リファレンス電力を記憶している。リファレンス電力は、例えば、電力の制御の基準となる上限値である。リファレンス電力出力部11は、アナログ回路によってリファレンス電力としての閾値を出力するように構成されていてもよい。
加速度計12は、環境振動に起因して振動発電機2にかかっている環境加速度を計測する。環境加速度は、環境振動の加速度に対応する。このため、環境加速度から環境振動の波形を計測することができる。
次に、第3の実施形態における発電システムの動作について説明する。図13は、第3の実施形態における発電システム1の最も簡単な動作手順を示すフローチャートである。図13のステップS301において、振動発電機2は環境振動を受けて発電する。なお、発電開始時のスイッチオン時間t
onは、整流・平滑回路3から見込む等価抵抗r
eqが適正抵抗r
rとなる時間に設定されていてもよい。適正抵抗r
rは、振動発電機2の発電電力を最大化する等価抵抗の値である。環境振動の周波数が振動発電機2の固有振動数と一致しており、かつ、環境振動の振動波形が正弦波状であるときには、適正抵抗r
rは前述した(式13)で表される。また、適正抵抗r
rは、環境振動の振動波形がランダム波状であるときの適正抵抗r
r,randomに設定されていてもよい。環境振動の振動波形がランダム波状であるときの適正抵抗r
r,randomは(式20)で表される。
環境振動の振動波形が正弦波状であるときの適正抵抗と環境振動の振動波形がランダム波状であるときの適正抵抗との何れを用いるかを判断するために、制御回路10は、加速度計12を用いて計測される環境加速度から環境振動の振動波形がランダム波状であるか否かを判定してもよい。また、環境振動の振動波形がランダム波状であるか否かを判定の別の方法として、制御回路10は、振動発電機2から出力された電気信号に対して振動発電機2の逆特性フィルタを適用することにより環境振動の振動波形を算出してもよい。
ステップS302において、電力計測処理部5は、振動発電機の発電電力を計測する。電力計測処理部5は、上述した(式12)から発電電力を算出する。そして、電力計測処理部5は、算出した発電電力を制御回路10に入力する。制御回路10は、算出された発電電力をある時間間隔毎にサンプリングする。
ステップS303において、制御回路10は、現在の発電電力p
cがリファレンス電力出力部11に記憶されているリファレンス電力p
refよりも大きいか否かを判定する。リファレンス電力p
refは、例えば、環境振動の周波数が振動発電機2の固有振動数であり、環境振動の振動波形が正弦波状であるときの発電電力と変位の関係から、(式21)のように決定することができる。ここで、x
refはリファレンス変位、すなわち制限したい可動部の変位の閾値である。
ステップS303において、現在の発電電力pcがリファレンス電力出力部11に記憶されているリファレンス電力prefよりも大きいと判定されたときには、処理はステップS304に移行する。ステップS303において、現在の発電電力pcがリファレンス電力出力部11に記憶されているリファレンス電力prefよりも大きくないと判定されたときには、処理はステップS302に戻る。
ステップS304において、制御回路10は、スイッチオン時間tonを増加させる。上述したように、スイッチオン時間tonが増加することにより、等価抵抗reqが低下し、電流が増加する。これにより、減衰力が増加し、可動部の変位が小さくなる。その後、処理はステップS302に戻る。
次に、環境振動が定常的(例えば正弦波)である場合の発電システム1の動作例を説明する。図14Aは、振動発電機の電力を平滑化した平滑電力と、その平滑電力をある時間間隔毎にサンプリングしたサンプリング電力と、リファレンス電力との関係を示すグラフである。図14Bは、図14Aの制御に伴う回路の等価抵抗reqの時間変化を示すグラフである。図14Cは、図14Aの制御に伴う回路の可動部の変位の時間変化を示すグラフである。ここで、サンプリング電力が現在の電力pcに対応する。
サンプリング電力がリファレンス電力よりも大きいとき、制御回路10は、スイッチオン時間tonを増加させる。これにより、図14Bに示すように、等価抵抗reqは低下する。つまり、図14Aに示すように、サンプリング電力も徐々に低下していく。最終的にはサンプリング電力はリファレンス電力付近に収束する。一方、等価抵抗reqの低下により、図14Cに示すように、可動部の変位も小さくなる。最終的には、可動部の変位もある一定値の付近に収束する。なお、平滑電力をサンプリングするタイミングと、平滑電力とサンプリング電力を比較するタイミングは位相遅れがあるほうが好ましい。
以上のように、第3の実施形態に係る発電システムにおいては、振動発電機2の電力を予め設定した電力以下に制御することにより、可動部の変位を抑制することができる。
ここで、第1の実施形態の変形例1で説明したように、電力制御の発散を防ぐため、スイッチオン時間tonには上限値、下限値又はその両方が設定されてもよい。
また、現在の発電電力pcがリファレンス電力prefよりも小さい限りにおいて、電力計測処理部5によって計測される電力が最大となるように、第1の実施形態又は第2の実施形態で説明した最大電力点追従制御が併用されてもよい。
また、図13の例では、現在の発電電力pcがリファレンス電力prefよりも大きいときにスイッチオン時間tonを増加させる例が示されている。スイッチオン時間tonを増加させるのではなく、スイッチオン時間を2値で切り替えることでも、振動発電機2の電力を予め設定した電力以下に制御することができる。
また、第3の実施形態では、電力計測処理部5は、出力電圧vvpgとスイッチオン時間tonとに基づいて測定している。第3の実施形態においては、電力計測処理部5は、他の電力計測手法、例えば電圧と電流を計測しそれらを掛け合わせることにより振動発電機2の電力を算出してもよい。
[第3の実施形態の変形例1]
図15は、第3の実施形態の変形例1に係る発電システムを示している。図15に示されるように、発電システム1は、振動発電機2、整流・平滑回路3、コンバータ4、電力計測処理部5、信号発生回路7、制御回路10、リファレンス電力出力部11、加速度計12に加えて、電力計測処理部13を備える。
電力計測処理部13は、CPU、ASIC、FPGA又はDSP等のデジタル信号処理器を有している。また、電力計測処理部13は、DRAM、SRAM等のメモリを有していてもよい。また、電力計測処理部13は、複数のデジタル信号処理器や、メモリを有していてもよい。電力計測処理部13は、負荷によって消費される平均消費電力を計測する。電力計測処理部13は、例えば、負荷に印加される電圧と負荷に流れる電流とを計測し、それらを掛け合わせることにより平均消費電力を算出してもよい。そして、電力計測処理部13は、負荷によって消費される平均消費電力に従ってリファレンス電力出力部11に記憶するリファレンス電力を決定する。例えば、電力計測処理部13は、リファレンス電力を平均消費電力×1.5として決定することができる。
第3の実施形態の変形例1では、負荷の平均消費電力が既知ではないときであっても、自動でリファレンス電力が決定される。
[第3の実施形態の変形例2]
図16は、第3の実施形態の変形例2に係る発電システムを示している。図16に示されるように、発電システム1は、振動発電機2、整流・平滑回路3、コンバータ4、電力計測処理部5、信号発生回路7、制御回路10、リファレンス電力出力部11、加速度計12に加えて、変位計測処理部14及びリファレンス変位出力部15を備える。
変位計測処理部14は、CPU、ASIC、FPGA又はDSP等のデジタル信号処理器を有している。また、変位計測処理部14は、DRAM、SRAM等のメモリを有していてもよい。また、変位計測処理部14は、複数のデジタル信号処理器や、メモリを有していてもよい。変位計測処理部14は、振動発電機2の可動部の変位を計測する。例えば、変位計測処理部14は、加速度計12で計測される加速度を2回積分することによって可動部の変位を計測する。
リファレンス変位出力部15は、DRAM、SRAM等のメモリを有している。リファレンス変位出力部15は、リファレンス変位を記憶している。リファレンス変位は、例えば可動部の変位の上限値である。
第3の実施形態の変形例2では、制御回路10は、現在の発電電力pcがリファレンス電力prefよりも大きいときだけでなく、現在の可動部の変位がリファレンス変位よりも大きいときにもスイッチオン時間tonを増加させる。この時のスイッチオン時間tonの増加幅は、例えば、発電電力に基づくスイッチオン時間tonの増加幅よりも大きな増加幅であってよい。この場合、環境加速度が突発的に大きくなった場合においても、可動部の変位が素早く抑制され得る。
第3の実施形態の変形例2において、電力計測処理部13が設けられてもよい。この場合、電力計測処理部13は、負荷によって消費される平均消費電力に従ってリファレンス電力出力部11に記憶するリファレンス電力を決定してよい。
[その他の変形例]
前述した発電システム1においては、コンバータ4の一例としてバックブーストコンバータが用いられている。これに対し、前述した実施形態及びその変形例の技術は、発電機から見込む回路の等価抵抗reqが負荷によらずに(式10)によって表すことができる各種のスイッチング方式のコンバータを用いた電力制御回路においても適用され得る。
また、制御回路6又は制御回路10は、CPU、ASIC、FPGA又はDSP等のデジタル信号処理器によってスイッチング回路4のスイッチング動作をするとしている。これに対し、制御回路6又は制御回路10は、例えばスイッチング回路Sに接続される抵抗をジャンパにより変更することによりスイッチング動作をするものであってもよい。
また、前述した発電システム1における発電機は、振動発電機である。これに対し、前述した実施形態及び変形例の技術は、太陽光発電機、風力発電機といった電力制御に最大電力点追従制御が用いられる各種の発電システムに対して適用され得る。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。