JP6999891B2 - 凍結乾燥助剤、及びそれを用いた凍結乾燥加工食品組成物の調製方法 - Google Patents

凍結乾燥助剤、及びそれを用いた凍結乾燥加工食品組成物の調製方法 Download PDF

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Description

本発明は、可食性の液状または半液状組成物を凍結乾燥する際に、より短い時間で効率的に乾燥するために使用される凍結乾燥助剤に関する。また本発明は、当該凍結乾燥助剤を用いた凍結乾燥加工食品組成物の調製方法に関する。
真空凍結乾燥法は、食品素材の持つ風味や栄養素を維持しながら乾燥できる技術として、食品分野で広く用いられている方法である。しかし、特に固形分が少ない素材や可溶性成分の濃度が高い素材は、一般に乾燥に時間を要するため、凍結乾燥時に乾燥助剤を配合して、乾燥時間を短縮することが行われている。また、特に可溶性成分の濃度が高い素材では、凝固点降下による凍結温度の低下のため、凍結乾燥中の加温操作により溶解し、いわゆるコラプス現象を引き起こすことが知られている。コラプス現象は、乾燥不良や香気成分の散逸の原因となり、また乾燥素材の粉末化など二次加工の際に問題となるため、乾燥を早め、かかるコラプス現象を抑制するためにも乾燥助剤が使用されている。
かかる乾燥助剤として、従来、デキストリン、シクロデキストリン、マルトデキストリン、可溶性デンプン、乳糖、粉飴、コーンスターチ、結晶セルロースなどの賦形剤が使用されている(例えば、特許文献1~3など参照)。なかでもデキストリンは、乾燥助剤や賦形剤として最も好ましいものとして広く使用されている。しかし、可溶性成分の濃度が高い液状または半液状の可食性組成物、具体的には果実や野菜等から調製される、可溶性成分を多く含む搾汁または抽出液、並びに可能性成分の量に加えて粘性の大きいペーストを対象とした場合、コラプス現象を回避するため加温を抑えることが避けられず、凍結乾燥に長時間を要し、またサンプルの状態によっては水飴状物の残留物が生じるなど、従来の乾燥助剤では必ずしも十分でない。
特開2003-26590号公報 特開2007-289115号公報 国際公開公報WO2006/004106号
本発明は、上記従来技術に鑑みて、可溶性成分を多く含む液状または半液状の可食性組成物を、乾燥不良の原因となるコラプス現象を有意に抑制しながら、より短い時間で均一に凍結乾燥するために有効な凍結乾燥助剤を提供することを目的とする。特に本発明は、果実の搾汁やペースト等といった可溶性成分の含量が多い液状または半液状物を、コラプス現象を有意に抑制しながら、短時間に効率よく、均一に乾燥することを可能とする凍結乾燥助剤を提供することを目的とする。また、本発明は、当該凍結乾燥助剤を用いて、果実の搾汁やペースト等といった、可溶性成分の含量が多い液状または半液状物を、コラプス現象を抑制しながら短時間に効率よく均一に乾燥することができる凍結乾燥加工食品組成物の調製方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねていたところ、可溶性成分の含量が多い液状または半液状の可食性組成物であっても、アルファ化した米粉(以下、「アルファ化米粉」と称する)を凍結乾燥助剤として使用することで、凍結乾燥助剤を使用しない場合、並びに凍結乾燥助剤として従来公知のデキストリンを使用する場合と比較して、良好にコラプス現象を抑制しながら、均一に凍結乾燥することができることを見出した。
本発明はこれらの知見に基づいて完成したものであり、下記の実施形態を有するものである。
(I)凍結乾燥助剤
(I-1)アルファ化米粉を有効成分とする凍結乾燥助剤。
(I-2)デキストリンを含まない(I-1)記載の凍結乾燥助剤。
(I-3)アルファ化米粉からなる凍結乾燥助剤。
(I-4)アルファ化米粉末が、モード径が50~100μmの粒度を有するものである(I-1)~(I-3)のいずれかに記載する凍結乾燥助剤。
(I-5)Brix が10%以上、好ましくはBrix値が 10~40%の液状または半液状の可食性組成物を凍結乾燥するために使用される、(I-1)乃至(I-4)のいずれかに記載する凍結乾燥助剤。
(I-6)上記液状または半液状の可食性組成物が、可食性植物の可食物の搾汁、ペースト、または抽出物である、(I-5)に記載する凍結乾燥助剤。
(I-7)上記可食性植物が果物または野菜である、(I-5)または(I-6)に記載する凍結乾燥助剤。
(II)凍結乾燥加工食品組成物の調製方法
(II-1)Brix値が10%以上、好ましくはBrix値が10~40%の液状または半液状の可食性組成物を、(I-1)~(I-7)のいずれかに記載する凍結乾燥助剤の存在下で凍結乾燥する工程を有する、凍結乾燥加工食品の調製方法。
(II-2)凍結乾燥工程後に、凍結乾燥物を粉砕する工程を有する、(II-1)に記載する凍結乾燥加工食品組成物の調製方法。
(II-3)上記液状または半液状の可食性組成物が、可食性植物の可食部の搾汁、ペースト、または抽出物である、(II-1)または(II-2)に記載する調製方法。
(II-4)上記可食性植物が果物または野菜である、(II-3)に記載する調製方法。
本発明の凍結乾燥助剤及び調製方法によれば、Brix値が10%以上、好ましくはBrix値が10~40%といった可溶性成分の含量が多い液状または半液状の可食性組成物を、凍結乾燥助剤を使用しない場合と比べて、コラプス現象による乾燥不良を抑制しながら均一に効率的に凍結乾燥することができる。また得られた凍結乾燥物は復元性がよく、得られた凍結乾燥物をさらに破砕することで流動性のよい乾燥粉末(粉末状の加工食品組成物)を調製することができる。なお、ここで復元性が良好であるとは、水を加えたときに速やかにまた均一若しくはほぼ均一に吸水し、もとの食品の物性値に近い食品が再現できることを意味する。特に好ましくは、本発明の凍結乾燥助剤及び調製方法によれば、乾燥助剤としてデキストリンを用いた場合と比べて、上記可食性組成物をコラプス現象による乾燥不良を抑制しながら均一に効率的に凍結乾燥することができ、さらにはこれを破砕することで付着性が抑えられハンドリング特性が良好な乾燥粉末(粉末状の加工食品組成物)を調製することができる。
本発明の凍結乾燥助剤は、アルファ化米の製造工程で生じる規格外品や廃棄品に相当する砕米(破砕されたアルファ化米)を原料として調製されるものである。このため、本発明によれば、アルファ化米の規格外品や廃棄品を有効利用することができる。
実験例4(b)における付着性の定義を示す。サンプルとプランジャが完全に離れたときの応力を基線とし、基線からマイナス方向への最大値を付着力(N)、マイナス部分の面積を付着性(N/m2)とした。 実験例4(b)の結果を示す。乾燥助剤無添加区(濃縮還元ぶどう果汁粉末)、デキストリン添加区、アルファ化米粉添加区、デキストリンそのもの、アルファ化米粉そのものについて、経時的に付着性(N/m2)を評価した結果を示す。
(I)凍結乾燥助剤
本発明の凍結乾燥助剤は、アルファ化米粉を有効成分とすることを特徴とする。好ましくはアルファ化米粉を有効成分とし、デキストリンを含まないことを特徴とする。より好ましくはアルファ化米粉を有効成分とし、デキストリンを始めとする従来公知の凍結乾燥助剤(例えば、シクロデキストリン、マルトデキストリン、可溶性デンプン、乳糖、粉飴、コンスターチ、結晶セルロースなどが挙げられる)を含まないことを特徴とする。さらに好ましくはアルファ化米粉からなることを特徴とする。その形状は、液状または半液状の可食性組成物への分散性及び溶解性から、粉末状または顆粒状である。なお、アルファ化米粉をそのまま凍結乾燥助剤として用いる場合、アルファ化米粉の形状がそのまま凍結乾燥助剤の形状になる。
ここでアルファ化米とは、炊飯や蒸煮などの加水加熱によって米の澱粉をアルファ化(糊化)させたのち、乾燥処理によってその糊化の状態を固定させた乾燥米飯のことである。加水加熱により糊化した米澱粉は、放熱とともに徐々に再ベータ化(老化)するが、アルファ化米はこの老化が起こる前に乾燥処理を施した米飯である。アルファ化米は熱湯や冷水を注入することで飯に復元し可食の状態となる。また穀類膨張機(いわゆるポン菓子機)、またはエクストルーダによりアルファ化した米は製造時点で乾燥が終了しており、アルファ化米粉原料として使用可能である。
本発明が対象とするアルファ化米粉は、当該アルファ化米を粉末状にしたものである。粉末状にするために原料として使用するアルファ化米は、上記の通り、アルファ化した米であればよく、その形状は問わない。よって米粒の形状であってもよいし、破砕して一部が欠けた規格外品または廃棄対象品のアルファ化米であってもよい。規格外品及び廃棄対象品の有効利用という観点から好ましくは破砕米を利用することができる。
粉末状にはアルファ化米を粉砕機にかけることで調製することができる。粉砕機には、制限はされないものの、乳鉢のほか、ボールミル、ロッドミル、SAGミル、自生粉砕ミル、小石ミル、及び縦軸インパクタ(VSI)ミル、ジェットミル等のミル;高圧粉砕ロール、および気流粉砕を例示することができる。
斯くして調製されるアルファ化米粉の粒度は、特に制限されないものの、モード径が50~100μmの範囲にあるものを挙げることができる。モード径として好ましくは50~80μm、より好ましくは50~70μmである。なお、ここでいうモード径とは、粉砕したアルファ化米粉の粒度分布をレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置で測定し、最も高い頻度分布を示した半径を意味する。
また制限されないものの、好適なアルファ化米粉の物性としては、水分が5~15質量%の範囲、好ましくは5~10質量% ;冷時粘度(5%, 30℃, 30rpm, 60sec、B型粘度計)が20~120mPa・sの範囲、好ましくは20~80mPa・s ;膨潤度が6.0~10.0ml/g、好ましくは6.0~8.0ml/g ;pHが6~8、好ましくは7~7.5を挙げることができる。
ここでアルファ化米粉の水分は、常圧加熱乾燥法に基づいて加熱乾燥前後の重量測定により求めることができる。常圧加熱乾燥法は、具体的には、強制循環通風式の乾燥器を用いて、対流、伝導、輻射によって加熱を行い、135℃で3時間乾燥した際の試料の重量減量分を水分として分析する方法である。
冷時粘度は、水を添加して5質量%濃度になるように調製した水溶液(または水懸濁液)(30℃)の粘度を、B型粘度計を用いて、30rpm回転数で60秒間測定することで求めることができる。
膨潤度は、下記方法により求めることができる:
・250mgのアルファ化米粉を、遠沈管に量りとり、蒸留水50mlを加え、60℃水浴中で30分撹拌する。
・3200rpm、30分、室温下で遠心分離する。
・沈殿部分の重量を測定し、1gの米粉が吸収した水の量として算出する。具体的には、沈殿部分の重量から遠沈管に量りとったアルファ化米粉の重量250mgを差し引くことで米粉が吸収した水分量を算出し、米粉1g当たりが吸収した水分量に換算した。
本発明の凍結乾燥助剤は、Brix値10%以上の液状または半液状の可食性組成物を凍結乾燥するために好適に使用される。
ここでBrix値は、本発明が対象とする液状または半液状の可食性組成物の可溶性成分濃度(以下、単に「濃度」とも称する。)を反映する値である。当該Brix値は、本発明が対象とする液状または半液状の可食性組成物を20℃の温度条件でBrix屈折計を用いて測定した時の示度として求めることができる。例えば、質量分率30%のショ糖水溶液(100 gの溶液中に30 gのショ糖が溶解。水含量は70 g)をBrix屈折計を用いて測定した時の示度は30%(Brix値)となる。本発明が対象とする液状または半液状の可食性組成物に含まれる可溶性成分は、ショ糖に限定されるものではないが、Brix屈折計を用いることでショ糖換算値として求めることができる。
本発明が対象とする液状または半液状の可食性組成物の濃度は、好ましくはBrix値が10%以上、より好ましくはBrix値15%以上である。Brix値の上限値は60%程度を挙げることができる。好ましい濃度の範囲は、Brix値10~60%であり、より好ましくはBrix値15~40%の範囲である。
本発明が対象とする液状または半液状の可食性組成物は、上記濃度の範囲にあるものであればよい。例えば、みそ汁、各種スープ、お汁粉、濃厚だしなどの液状食品;可食性植物の可食部の搾汁、ペースト、または抽出物等を挙げることができるである。なお、ここで抽出物は、可食性植物の可食部を水(湯を含む)またはその他の可食性溶媒で抽出した液を好適に例示することができる。より好ましくは可食性植物の可食部の搾汁、またはペーストである。
ここでペーストとは、可食性植物の可食部(固形部分)を液状物(搾汁、飲用水、飲料などの可食性溶液)で懸濁または混錬りしたもの、および可食部を直接磨砕したものである。
なお、搾汁、ペースト、または抽出液には、濃度が上記範囲にある限り、可食性植物に由来する成分だけでなく、他の成分を配合することもできる。例えば、呈味剤(糖や糖アルコール等の糖類、甘味料、酸味料、塩、みそ、しょうゆ等の調味料等)、防腐剤、香料、顔料、抗酸化剤(アスコルビン酸またはその誘導体など)、及び食用油などを例示することができる。
可食性植物としては、可食性の可食部を有するものであればよく、特に制限されないものの、好ましくは果物(果実、果肉)及び野菜などの作物を挙げることができる。例えば、果菜類(イチゴ、メロン等、ウリ科植物等)、かんきつ類(みかん、甘なつかん、伊予柑、清見、キンカン、グレープフルーツ、ネーブル、はっさく等)、核果類(サクランボ、モモ、スモモ、アンズ、アボガド、ウメ等)、仁果類(日本梨、西洋梨、リンゴ等)、その他の果樹(クリ、カキ、ビワ、ブドウ、イチジク、キウイフルーツ、ベリー類、ザクロ、パイナップル、マンゴー、クコ等)、葉菜類(キャベツ、ケール、あすっこ、エゴマ等)を挙げることができる。好ましくはイチゴ、スモモ、モモ、メロン、ブドウ、ベリー類、ナシ、カキ、クコ等の果物;ケール、エゴマ等の野菜を挙げることができる。さらに、上記可食性植物の果汁またはペーストを牛乳や豆乳等に混合した飲料、また可食性植物の果汁またはペーストを甘酒などの発酵飲料に混合した飲料などを挙げることができる。
(II)凍結乾燥加工食品組成物の調製方法
本発明は凍結乾燥加工食品組成物の調製方法に関し、当該方法は下記(1)の凍結乾燥工程、または下記(1)の凍結乾燥工程及び(2)の粉砕工程を有する。
(1)Brix値が10%以上の液状または半液状の可食性組成物を、上記(I)で説明した本発明の凍結乾燥助剤の存在下で凍結乾燥して凍結乾燥物を取得する工程、
(2)上記(1)の工程で調製した凍結乾燥物を粉砕する工程。
これらの工程について、以下、説明する。
(1) 凍結乾燥工程(1)
当該凍結乾燥工程は、Brix値が10%以上の液状または半液状の可食性組成物を、前述する本発明の凍結乾燥助剤の存在下で凍結乾燥することを特徴とする。
ここでBrix値が10%以上の液状または半液状の可食性組成物とは、上記(I)で説明した通りであり、好ましい可食性成分濃度(Brix値);並びに可食性組成物の由来、種類、その形態、水分含量、及び粘度などの記載は、ここに同様に援用することができる。また凍結乾燥助剤についても上記(I)で説明した通りであり、当該記載はここに援用することができる。
「凍結乾燥助剤の存在下で凍結乾燥する」とは、可食性組成物と凍結乾燥助剤とを共存させた状態で凍結乾燥することを意味する。ここで両者の共存状態は制限されないものの、液状または半液状の可食性組成物を効率よく、できるだけ均一な状態で乾燥させるためには、可食性組成物中に予め凍結乾燥助剤を分散または溶解させておくことが好ましい。液状または半液状の可食性組成物中に凍結乾燥助剤を分散または溶解させる方法(好ましくは均質化方法)としては、特に制限なく、当該可食性組成物に凍結乾燥助剤を添加し撹拌混合する等の定法を利用することができる。また、かかる分散または溶解は、特に制限されず、通常、室温程度の温度下で行うことができる。
可食性組成物に対する凍結乾燥助剤の配合量は、可食性組成物の固形分及び可溶性成分濃度に応じて適宜選択することができる。特に凍結温度に影響を与える可溶性成分濃度に応じて決定することができる。例えば、Brix値が10~20%の範囲にある可食性組成物100質量部に対して使用される凍結乾燥助剤の割合として、通常5~20質量部を挙げることができる。好ましくは5~15質量部であり、より好ましくは5~10質量部である。またBrix値が20~40%の範囲にある可食性組成物100質量部に対して使用される凍結乾燥助剤の割合として、通常10~20質量部を挙げることができる。好ましくは10~18質量部であり、より好ましくは10~15質量部である。
斯くして得られる可食性組成物と凍結乾燥助剤との混合物の乾燥は、一旦、当該混合物を凍結した後に、真空下で乾燥することで行われる(凍結乾燥)。凍結は、-50℃~-10℃、好ましくは-50℃~-25℃の温度条件で行うことができるが、特にこれに制限されるものではない。凍結乾燥は、定法に従い、凍結乾燥機を用いて行うことができる。
制限されないものの、凍結乾燥はトラップ温度-47℃以下の条件下で乾燥を行うことが好ましい。また蒸発潜熱を補うための加温は、被験試料を乗せる棚の温度を変更することで行うことができる。但し、加温は、被験試料の溶解が起きない範囲で、被験試料の温度、チャンバー内圧力に応じて設定することが好ましい。棚温度が氷点以上である場合、被験試料の温度が棚温度以上を示し、チャンバー内圧力が6.67Paとなった時を乾燥終点とすることができる。
後述する実施例に記載するように、本発明の方法によれば、可食性組成物を、凍結乾燥助剤の存在下で凍結乾燥することにより、凍結乾燥助剤を配合しない場合と比較して、短時間に乾燥させることができる。また好ましくは、本発明の方法によれば、凍結乾燥助剤を配合しない場合に生じ得る被験試料の溶解に起因する粘稠物の残留(コラプス現象)が生じることなく、全体を均一に乾燥することができる。さらに可食性組成物を凍結時に適当な型にいれて乾燥することでブロック状等の所望の形状を有するインスタント食品として提供することも可能である。
(2)粉砕工程(2)
当該工程は、上記凍結乾燥工程で得られた凍結乾燥物を破砕(粉砕)して、粉末状の可食性組成物、言い換えれば粉末状の凍結乾燥加工食品組成物を調製する工程である。
凍結乾燥物を破砕(粉砕)して粉末状にする方法は、特に制限されず、当業界の定法に従って行うことができる。好ましくは、凍結乾燥物を微粉砕または超微粉砕化する方法であり、例えば乳鉢、カッターミル、ボールミル、ロッドミル、SAGミル、自生粉砕ミル、小石ミル、及び縦軸インパクタ(VSI)ミル、ジェットミル等のミル;高圧粉砕ロール、ピン式粉砕機、衝撃式粉砕機などを制限なく挙げることができる。
凍結乾燥加工食品組成物は上記の粉砕方法により容易に任意の粒度に粉砕することができる。粒度は特に限定されないものの、乾燥物を水(湯を含む)で戻して使用する場合は、例えば粉末状の乾燥物のうち80重量%以上、好ましくは90重量%以上が100メッシュパス200メッシュオンであることが望ましい。粉末状の乾燥物をフレーバーパウダー等に使用する場合は、例えば80重量%以上、好ましくは90重量%以上が150メッシュパス280メッシュオンであることが望ましい。
斯くして調製された凍結乾燥加工食品組成物は、上記の粉末状でそのまま使用されてもよいし(散剤、細粒剤)、また添加剤や担体等を配合して造粒し顆粒剤の形態で使用されてもよいし、さらに成型することで錠剤や丸剤(タブレット、トローチ)などの形態で使用されてもよい。また粉末(散剤、細粒剤)や顆粒剤を充填したカプセル剤の形態で使用することもできる。凍結乾燥加工食品組成物は、上記のような製剤形態を有するサプリメントとして使用される他、食品(健康食品、機能性食品、機能性表示食品、特定保健用食品、保健用食品を含む)の材料として使用することもできる。
以下、実験例及び実施例を利用して、本発明をより詳細に説明する。但し、当該実験例及び実施例は本発明を説明するための一例であり、本発明はこれらの実験例及び実施例によって制限されるものではない。
実験例1
乾燥助剤(アルファ化米粉、デキストリン)の添加が凍結乾燥条件に与える影響を調べるため、ショ糖濃度0質量%(Brix値0%)~40質量%(Brix値40%)およびペクチン0質量%~1質量%を含む水溶液を用いて凍結乾燥試験を行った。
なお、ここでアルファ化米粉として、アルファー食品(株)製のアルファ化米を(株)サタケ製小型製粉機SRG05C(0.7mmスクリーン使用)を用いて製粉した粉末を使用した。本粉末は下記の物性を有していた。
[アルファ化米粉の物性]
・モード径:100μm
・水分含量:6.0質量%
・冷時粘度:25mPa・s(5%, 30℃, 30rpm, 60sec、B型粘度計)
・膨潤度:8.0
・pH:7.23。
またデキストリンは、和光純薬工業(株)より購入したデキストリンを使用した。
(1)実験方法
具体的にはモデル系試験として、ショ糖濃度0、10、15、30、及び40質量%の水溶液それぞれについて、乾燥助剤無添加区、並びに乾燥助剤としてデキストリン添加区(10質量%)、およびアルファ化米粉添加区(10質量%)を設定した。凍結乾燥機の乾燥中の棚温度は-10、0、10、20℃の4区を設定した。さらに果実搾汁等を乾燥する場合を想定し、ペクチン(GENU[登録商標]LMペクチン、LM104AS、三晶株式会社)0、0.5、および1.0質量%添加区を設定した。乾燥試験は直径9cmのプラスチックシャーレを用いて、ショ糖濃度、ペクチン濃度および乾燥助剤濃度に応じて水分量が27.5ml/シャーレとなるよう被験試料を分注し、-35℃フリーザーで凍結した。
被験試料を十分に凍結した後、各試料を凍結乾燥機(日本テクノサービス製FD-10BM)に移して、トラップ温度-47℃以下の条件下で凍結乾燥した。凍結乾燥機は初期棚温度を-20℃に冷却し試料を配置した後、真空ポンプを稼働し、サンプル表面温度が蒸発潜熱により-28℃を下回った時点で棚温度を前記所定の温度(-10、0、10、20℃)に設定した。本試験では、アルファ化米粉の乾燥助剤としての優位性を評価するため、乾燥終点をアルファ化米粉区のサンプル温度が設定した棚温度を上回り、かつ恒温となった時点からさらに24時間経過した時点(出庫時点)とした。 凍結乾燥においてはコラプス現象を回避できる範囲で、できるだけ棚温度を高く保つことが望ましい。出庫時点で乾燥不良やコラプス現象が確認された区は「×」、均一に乾燥できた区は「○」と評価した。
(2)実験結果
ペクチン無添加区の結果を表1に示す。乾燥助剤無添加区をコントロールと表記した。アルファ化米粉添加区では棚温度-10℃~20℃まで、すべてのショ糖濃度区(0~40質量%)で均一な乾燥が可能だった。無添加区(コントロール)およびデキストリン添加区ではショ糖濃度の上昇、また、棚温度を上昇に伴って乾燥不良となった。結果は省略するが、ペクチン添加区はペクチン濃度0.5質量%添加区および1質量%添加区ともに下記表1に示すペクチン無添加区と同様の結果となった。
以上から、凍結乾燥中のサンプル溶解によるコラプス現象発生は、サンプル棚からの加温強度とサンプル中のショ糖濃度(=可溶性成分濃度)に起因し、乾燥助剤の使用により溶解への耐性が上がること、また、アルファ化米粉はデキストリンよりさらに強い溶解耐性(コラプス現象発生抑制)を示すことが確認された。被験試料への加温は蒸発潜熱を補うために行うことから、加温に対する耐性は乾燥時間の短縮を促すと推定される。
Figure 0006999891000001
実験例2
実験例1から、ショ糖溶液の凍結乾燥において、デキストリン添加区およびアルファ化米粉添加区では蒸発潜熱を補うための棚温度を乾燥助剤無添加区より高く保持しても凍結乾燥が可能であり、アルファ化米粉添加区ではさらに高温でも良好な乾燥が可能であることが示された。そこで、ショ糖濃度が同一で乾燥助剤無添加区、デキストリン添加区、アルファ化米粉添加区それぞれの棚温度を-10℃、0℃、および20℃に設定した場合の乾燥に要した時間を測定した。
(1)実験方法
具体的にはモデル系試験として、ショ糖濃度20質量%の水溶液について、乾燥助剤無添加区(コントロール)、並びに乾燥助剤としてデキストリン添加区(10質量%)、およびアルファ化米粉添加区(10質量%)を設定した。なお、デキストリン及びアルファ化米粉は、実験例1で使用したものを同様に使用した。
凍結乾燥機の乾燥中の棚温度は乾燥助剤無添加区は-10℃、デキストリン添加区は0℃、アルファ化米粉添加区は20℃の3区を設定した。試験区毎の棚温度は、実験例1の結果から乾燥可能棚温度上限と考えられる設定とした(無添加区は当該ショ糖濃度での乾燥は実験例1の範囲では不可)。乾燥試験は直径9cmのプラスチックシャーレを用いて、ショ糖濃度、および乾燥助剤濃度に応じて水分量が27.5ml/シャーレとなるよう分注し、-35℃フリーザーで凍結した。
被験試料を十分に凍結した後、各試料を実験例1に準じて各区各々3枚のシャーレを凍結乾燥した。凍結乾燥機は初期棚温度を-20℃に冷却し試料を配置した後、真空ポンプを稼働し、サンプル表面温度が蒸発潜熱により-28℃を下回った時点で棚温度を前記所定の温度(-10℃、0℃、20℃)に設定した。本試験では、被験試料温度が棚温度以上を示し、チャンバー内圧力が6.67Paとなった時点を乾燥終点とした。
(2)実験結果
乾燥助剤と棚温度が乾燥時間に与える影響を表2に示す。乾燥助剤無添加区をコントロールと表記した。
Figure 0006999891000002
アルファ化米粉添加区(20℃)では800分で乾燥が終了したが、デキストリン添加区(0℃)では1000分を要した。乾燥助剤無添加区では1800分を経過したところで被験試料温度およびチャンバー内圧力が乾燥終点の条件を満たしたものの、乾燥不良を生じた。
実験例1および実験例2からアルファ化米粉を乾燥助剤として使用することで、乾燥助剤無添加溶液およびデキストリン添加溶液と比較して棚温度を高く設定することが可能であり、かつ乾燥時間の短縮が可能であることが示された。
実験例3 凍結乾燥による機能性成分変化
すもも(ソルダム)の生(果肉部)をペースト状にして、下記の方法により凍結乾燥した粉末(凍結乾燥助剤なし、凍結乾燥助剤としてアルファ化米粉[5質量%]、またはデキストリン[5質量%]を配合)について、Brix値、総ポリフェノール量、及びアスコルビン酸の含有量を測定した。
(1)すもも(ソルダム)の凍結乾燥粉末の調製方法
1.すももを洗浄してふたつに割り、種を取り出しておく。
2.アスコルビン酸を最終濃度が0.5質量%となるように添加し、ブレンダー及びミキサーを用いてペースト化する。
3.これを、凍結乾燥助剤添加なし(無添加区)、デキストリン添加区、及びアルファ米粉添加区の3つの試験区に分け、各試験区毎にシャーレに分注し、デキストリン添加区及びアルファ米粉添加区には、それぞれデキストリン(和光純薬工業製)及びアルファ化米粉(180~200メッシュ、モード径50~80μm)を、最終濃度が5質量%となるように添加し、十分に混合する。
4.これを-20℃で一晩凍結する。
5.凍結した各試料(シャーレ入り)を、真空凍結乾燥機(日本テクノサービス製FD-10BM)に入れ、-30℃~20℃まで段階的に温度を上げて乾燥させる。
6.乾燥試料が出来たら取り出し、ブレンダーを用いて粉末状にする。なお、粉末化は、温度条件18~22℃、湿度条件90%以下で行う。
(2)各試料についてBrix値、ビタミンCの含有量、及び総ポリフェノール量の測定方法
(a)Brix測定法
アスコルビン酸を添加しないすももペーストについて、これを適宜純水で希釈して、(株)アタゴ製のデジタル糖度計PR-101にて測定した。
(b)アスコルビン酸(Vitamin C)測定法
1.乾燥粉末1g(生果ペーストにあっては10g)、2%メタリン酸溶液20mlを乳鉢に取り、石英砂を加えて磨砕する
2.固形物を含む全量を2%メタリン酸溶液で50mlに定容する。
3.遠沈管に移し、8,000rpm、5分、室温下で遠心分離する。
4.上清をフィルタ濾過して得られた濾液を、還元型アスコルビン酸試料とする。
5.上清5mlにDTT溶液(DTT200mgを66mM KH2PO428ml、66mM Na2HPO4 12mlの混合液に溶解)1ml、中和液((NaOH 2.86g、KH2PO4 3.27g、Na2HPO4 4.54gを蒸留水100mlに溶解)1mlを加え混合した後、10分間放置。
6.フィルタ濾過して得られた濾液を、酸化型アスコルビン酸試料とする。
なお、アスコルビン酸標準液として、5mg/100ml 、10mg/100ml 、50mg/100ml、20mg/100ml濃度になるように、アスコルビン酸を2質量%メタリン酸溶液に溶解したものを使用する。
[HPLC条件]
移動相:1質量% メタリン酸
流速:1ml/min
試料注入量:10μl
検出器:UV 242nm
カラム:Inertsil 120A(GL science製) 4.5×250mm
カラム温度:40℃。
(c)総ポリフェノール測定法(フォーリン・チオカルト法)
1.被験試料1~5gを測りとり、熱水50mLを加え、80℃以上の水浴中で60分間熱水抽出する。
2.冷後、メスフラスコで100mLにメスアップする。
3.濾紙(5A)で濾過する(最初の20mLは廃液とする)。濾液を試料溶液とする。
4.試料溶液5mLに2倍希釈したフォーリンチオカルト試薬5mL加え、室温で3分間放置する。
5.10質量%の炭酸ナトリウム溶液5mL加え、室温で60分間放置後、3000回転/分、5分間遠心する。
6.上清を吸光度700nmで測定する。
(3)結果
結果を表3に示す。
Figure 0006999891000003
この結果から、凍結乾燥助剤としてデキストリンに代えて、アルファ化米粉を使用するほうが、凍結乾燥粉末を調製した場合の総ポリフェノール量及びアスコルビン酸含量の低下が少ないことがわかる。
実験例4 乾燥粉末の流動性及び付着性の評価
可食性組成物を乾燥助剤を使用せずに凍結乾燥し、粉砕した場合、乾燥助剤としてアルファ化米粉またはデキストリンを使用して凍結乾燥し、粉砕した場合のそれぞれについて、得られた乾燥粉末の流動性及び付着性を評価した。
(1)被験試料の調製
濃縮還元ブドウ果汁(セブンプレミアムグレープ果汁100、Brix約12%)を可食性組成物として用いた。アルファ化米粉またはデキストリンを乾燥助剤としてそれぞれ20%(w/v)添加した試験区(アルファ化米粉添加区、デキストリン添加区)、および対照区として乾燥助剤を加えない試験区(乾燥助剤無添加区、つまり果汁の乾燥粉末)を設けた。なお、アルファ化米粉及びデキストリンは実験例1で使用したものを同様に使用した。先の実験例に示した通り、可溶性成分濃度が高い液体を真空凍結乾燥する場合、コラプス現象を抑えるため、乾燥助剤に応じた棚温度を維持する必要があるため、アルファ化米粉添加区では0℃、デキストリン添加区では-20℃で凍結乾燥(トラップ温度-40℃)を行った。乾燥助剤無添加区は同条件では乾燥が困難であるため、東京理科機械製FDU-2110を用いて、サンプル温度成り行き、トラップ温度-80℃の条件下で乾燥した。
調製した乾燥物は室温25℃、湿度32%の恒湿環境下においてカッターミル(12000rpm,15秒)により粉砕して粉末状にし、以下の試験に供試した。
(2)実験方法とその結果
(a) 安息角による流動性(凝集性)の評価
各乾燥粉末(乾燥助剤無添加区、アルファ化米粉添加区、デキストリン添加区)の安息角は底面限界法で測定した。すなわち、ブレンダーで粉砕した粉末をふるい(目空き0.5mm)に移し、開口径10mmの三角すいを通して直径6cmの円形台に積み上げた。三角すいから受け台までは5cmとした。受け台円周部分から粉末がこぼれ落ちるまで積み上げたのち、停止安息角を測定した。また対照のため乾燥助剤(アルファ化米粉、デキストリン)自体の安息角も同時測定した。
表4に測定結果を示した。乾燥助剤無添加区(果汁粉末)は本試験実施環境下では吸湿が速く、ふるいおよび三角すいに付着したため、測定できなかった(N.D.)。アルファ化米粉添加区の停止安息角は50度、デキストリン添加区の停止安息角は48.8度となり大きな差異は認められなかったが、デキストリン添加区では限界安息角が約63度となり、停止安息角(48.8度)と大きな差異を示した。アルファ化米粉添加区では限界安息角と停止安息角はほぼ同一だった。乾燥助剤自体の安息角がデキストリンでは停止安息角42.4度、限界安息角63.4度と、デキストリン添加区と同様の傾向を示したことから、上記デキストリン添加区における限界安息角と停止安息角の差は乾燥助剤(デキストリン)の性質に起因するものと考えられる。
Figure 0006999891000004
(b) 付着性の評価
(株)山電製レオメータRE2-3305Cを用いて、各乾燥粉末の付着性およびその経時変化を評価した。6cmプラスチックシャーレに約2gの各乾燥粉末(乾燥助剤無添加区[果汁粉末]、アルファ化米粉添加区、デキストリン添加区、アルファ化米粉そのもの、デキストリンそのもの)をとり、表面をならしたものを被験試料とした。レオメータのプランジャを(テフロン製直径3cm、乾燥助剤無添加区については直径1.6cm)を10N(乾燥助剤無添加区については1.6N)で粉末表面に押しつけ、手動操作で応力緩和を相殺しながら1分間維持したのち、引張り応力を測定した。プランジャの移動速度は0.1mm/secとし、横軸を歪率(%)としてプロットした。プランジャと被験試料が完全に離れたときの引張り応力を基線とし、基線からマイナス方向に振れた範囲の面積を付着力(N/m2)として算出した(図1)。被験試料はフタを開放して放置し、30分~3時間後に再度測定した。測定は25℃、相対湿度35~40%の条件下で行った。
結果を図2(縦軸は対数軸)に示す。乾燥助剤無添加区(果汁粉末)は吸湿が速いため、真のゼロタイムではないが、2457kN/m2となった。デキストリン添加区では粉砕直後は付着性ゼロとなったが、30分経過時に933 N/m2となり、その後、経時的に増加して3時間経過時は1228kN/m2まで上昇した。アルファ化米粉添加区では1時間経過時に28 N/m2となり、以後経時的に増加するが、3時間経過時でも2.4kN/m2であり、乾燥助剤無添加区及びデキストリン添加区と比べて、有意に付着力の増加が抑制されていることが確認された。乾燥助剤自体は、デキストリン及びアルファ化米粉ともに付着性を示さなかった。
(3)考察
(a)に示したように、停止安息角で評価した流動性(凝集性)について、アルファ化米粉は、デキストリンと比較して明確な優位性は示せなかった。しかし、限界安息角と停止安息角の差異が大きいものはフィーダーでの詰まりなどを引き起こすなど、粉体としての取扱が困難となる場合がある。乾燥助剤としてアルファ化米粉を用いて調製した乾燥粉末は、デキストリンを使用する場合と比較して、その差異が小さいため、ハンドリングのしやすさ(取り扱い易さ)やその向上を期待することができる。同様に吸湿性及び付着性も粉体のハンドリングに影響を与えるが、吸湿性はデキストリン添加区、アルファ化米粉添加区で大きな差異は認められない一方で、デキストリン添加区は吸湿にともなって付着性が早期に非常に高くなるのに対して、アルファ化米粉添加区では吸湿が付着性に与える影響が小さい。一般に可溶性成分濃度が高い可食性組成物の乾燥粉末は、吸湿にともない器具や機器等への付着性が強くなるため取り扱い難く、空気(外気)への暴露は最小限に抑えたり、湿度を調整する必要があるが、アルファ化米粉を乾燥助剤として使用すると、吸湿したとしても付着性が抑えられた取り扱いやすい乾燥粉末を製造することができる。

Claims (6)

  1. アルファ化米粉を有効成分とする凍結乾燥助剤
    (但し、デンプンが糊化された米に麹を配合し、麹発酵させることによってデンプンの一部が糖化されたフリーズドライジャム用添加剤を除く。)。
  2. デキストリンを含まない、請求項1記載の凍結乾燥助剤。
  3. Brix値が10%以上の液状または半液状の可食性組成物を凍結乾燥するために使用される請求項1または2に記載する凍結乾燥助剤。
  4. Brix値が10%以上の液状または半液状の可食性組成物を、請求項1乃至3のいずれか1項に記載する凍結乾燥助剤の存在下で凍結乾燥する工程を有する、凍結乾燥加工食品組成物の調製方法。
  5. 凍結乾燥工程後に、凍結乾燥物を粉砕する工程を有する、請求項4に記載する凍結乾燥加工食品組成物の調製方法。
  6. 上記液状または半液状の可食性組成物が、可食性植物の可食部の搾汁、ペースト、または抽出液である、請求項4乃至5のいずれかに記載する調製方法。
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