以下、図面を参照しながら、一実施形態に係るインクジェットプリンタについて説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材、部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。以下の説明では、インクジェットプリンタを正面から見たときに、インクジェットプリンタから遠ざかる方を前方、インクジェットプリンタに近づく方を後方とする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表している。ただし、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、インクジェットプリンタの設置態様等を限定するものではない。
図1は、一実施形態に係る大判のインクジェットプリンタ(以下、「プリンタ」とする。)10の正面図である。図2は、プリンタ10の右側面図である。プリンタ10は、ロール状の記録媒体5を前後方向に移動させるとともに、左右方向に移動するキャリッジ20に搭載された複数のインクヘッド21からインクを吐出することによって、記録媒体5上に画像を印刷する。
本実施形態では、プリンタ10は、インクジェット方式のプリンタである。本実施形態において、「インクジェット方式」とは、二値偏向方式または連続偏向方式などの各種の連続方式、および、サーマル方式または圧電素子方式などの各種のオンデマンド方式を含む従来公知の各種の手法によるインクジェット式のことをいう。
記録媒体5は、画像が印刷される対象物である。記録媒体5は特に限定されない。記録媒体5は、例えば、普通紙やインクジェット用印刷紙等の紙類であってもよいし、樹脂製やガラス製などの透明なシートであってもよい。金属製やゴム製等のシートであってもよい。また、布帛であってもよい。
図1に示すように、プリンタ10は、プリンタ本体11と、脚12とを備えている。プリンタ本体11には、記録媒体5が載置されるプラテン13が設けられている。プリンタ本体11には、キャリッジ20と、インクヘッド21と、光照射装置22と、キャリッジ移動装置23と、搬送装置24と、インク供給システム30(図3参照)の一部と、が設けられている。インク供給システム30の他の一部は、プリンタ本体11の外部に配置されている。プリンタ本体11は、左右方向に延びている。
キャリッジ移動装置23は、ガイドレール23Aと、ベルト23Bと、左右のプーリ23Cと、スキャンモータ23Dとを備えている。ガイドレール23Aは、プリンタ本体11に設けられている。ガイドレール23Aには、キャリッジ20が摺動自在に係合している。ガイドレール23Aは、左右方向に延びている。ベルト23Bは、キャリッジ20に固定されている。ベルト23Bは、無端状のベルトである。ベルト23Bは、左右のプーリ23Cに巻き掛けられている。一方のプーリ23Cにはスキャンモータ23Dが取り付けられている。スキャンモータ23Dは、プーリ23Cを介してキャリッジ20をガイドレール23Aに沿って移動させる。スキャンモータ23Dが駆動するとプーリ23Cが回転し、ベルト23Bが走行する。それにより、キャリッジ20がガイドレール23Aに沿って左右方向に移動する。なお、本実施形態ではキャリッジ20をガイドレール23Aに沿って移動させるアクチュエータはスキャンモータ23Dであるが、アクチュエータは電動モータに限定されるわけではない。
キャリッジ20の下方には、プラテン13が配置されている。プラテン13は、左右方向に延びている。プラテン13上の記録媒体5は、搬送装置24によって前後方向に移動される。搬送装置24は、ピンチローラ24Aと、グリットローラ24Bと、図示しないフィードモータとを備えている。ピンチローラ24Aはプラテン13の上方に設けられ、記録媒体5を上から押下する。グリットローラ24Bは、プラテン13に設けられている。グリットローラ24Bは、ピンチローラ24Aと対向する位置に設けられている。グリットローラ24Bは、フィードモータに連結されている。ピンチローラ24Aとグリットローラ24Bとの間に記録媒体5が挟まれた状態でグリットローラ24Bが回転すると、記録媒体5は前後方向に搬送される。
キャリッジ20には複数のインクヘッド21が設けられている。複数のインクヘッド21は、キャリッジ20の下面に保持されている。本実施形態では、インクヘッド21の数は8つである。複数のインクヘッド21は、キャリッジ20において左右方向に並んで配置されている。各インクヘッド21は、インクを吐出するノズル21A(図3参照)が複数形成されたノズル面を有している。ノズル21Aは、インクが吐出される微細な孔である。各インクヘッド21のノズル面において、複数のノズル21Aは前後方向に並んでノズル列を形成している。
複数のインクヘッド21の内部には、それぞれ、圧電素子を備えたアクチュエータ(図示せず)が設けられている。アクチュエータは、ノズル21Aごとに設けられている。各アクチュエータが駆動することによって、各ノズル21Aはインクを吐出する。各アクチュエータは、ノズル21Aと連通しインクが貯留される圧力室と、圧力室に接する圧電素子とを備えている。圧電素子に印加される電圧を変化させると圧電素子は膨張・収縮し、その変位によって圧力室の体積が変化する。この圧力室の体積の変化によってインクがノズル21Aから吐出される。
複数のインクヘッド21はそれぞれ、後述する複数のインクタンク40のうちのいずれかに接続されている。図3は、インク供給システム30の概念図である。インク供給システム30は、インクヘッド21にインクを供給するシステムである。図3に示すように、各インクヘッド21は、1つのインクタンク40のインク収容部50に接続され、インク収容部50に収容されたインクを吐出する。図1に示すように、ここでは、インクタンクは8つ設けられている。インクヘッド21の数とインクタンク40の数とは同じである(ただし、図3では、2つの系統以外は図示省略)。なお、本実施形態では1つのインクヘッド21には1つのノズル列が設けられ、1つのインクタンク40が接続されているが、インクヘッドおよびインク供給システムの構成は、それには限定されない。1つのインクヘッドには複数のノズル列が形成されていてもよく、ノズル列と同数のインクタンクが接続されてもよい。その場合、1つのノズル列のノズルからは、当該ノズル列に接続されたインクタンクに貯留されたインクが吐出される。
インクタンク40は、インクを補充可能に構成されている。インクタンク40には、インクが収容されたサプライボトル200が着脱され、サプライボトル200からインクが補充される。インクタンク40とサプライボトル200の構成については後述する。
複数のインクヘッド21と複数のインクタンク40とは、それぞれ、インク供給路31によって接続されている。インク供給路31には、それぞれ、インクをインクタンク40からインクヘッド21に送る送液ポンプ32が設けられている。ただし、インク供給システム30の構成はこれに限定されない。インク供給システム30は、例えば、インクから気泡を除去する脱気装置や、インクを循環させる循環流路や、バルブなどを備えていてもよい。図2に示すように、インク供給路31は、配管ボックス14の内部で取り回されている。配管ボックス14内には、送液ポンプ32が配置されている。インク供給路31のうちの4つは、プリンタ本体11の左右に1つずつ設けられた配管ボックス14のうちの一方の内部を経由して4つのインクヘッド21に接続されている。インク供給路31の他の4つは、他方の配管ボックス14の内部を経由して他の4つのインクヘッド21に接続されている。
インクの材料は何ら限定されず、従来からインクジェットプリンタのインクの材料として用いられている各種の材料を使用することができる。上記インクは、例えば、ソルベント系(溶剤系)顔料インクや水性顔料インク、または水性染料インクであってもよい。本実施形態では、インクは、紫外線を受けて硬化する紫外線硬化型顔料インクである。
図1に示すように、光照射装置22は、キャリッジ20に設けられている。光照射装置22は、光硬化性インクを硬化させる光を照射する装置である。光照射装置22は、図示しない光源と照射口とを備えている。光照射装置22は、照射口から下方に向けて光を照射する。光照射装置22は、前後方向に延びている。光照射装置22は、ここでは、キャリッジ20の左側面に配置されている。ただし、光照射装置22は、キャリッジ20の右側面に配置されていてもよい。あるいは、左右両側面に配置されていてもよい。
プリンタ本体11のうちプラテン13よりも右側の部分は、非印刷時にキャリッジ20が待機する待機位置に設定されている。キャリッジ20の待機位置の下方には、図示しないキャッピング装置などが設けられている。プリンタ本体11のうちプラテン13よりも左側の部分は、インクヘッド21をメンテナンスするためのメンテナンスエリアに設定されている。プリンタ本体11のうち、メンテナンスエリアが設定された左側部分およびキャリッジ20の待機位置が設定された右側部分の下方には、それぞれ左右の配管ボックス14が取り付けられている。
2つの脚12は、プリンタ本体11を下方から支持している。2つの脚12は、左右方向に並んで配置されている。2つの脚12は、それぞれ、プラテン13の左端付近および右端付近から下方に向かって延びている。プリンタ本体11のうち、メンテナンスエリアが設定された左側部分およびキャリッジ20の待機位置が設定された右側部分は、それぞれ左右の脚12よりも外方に設けられている。
以下では、インクタンク40およびサプライボトル200の構成について詳しく説明する。図1および図2に示すように、インクタンク40は、プリンタ本体11に設けられている。8つのインクタンク40のうちの4つは、キャリッジ20の待機位置が設定されたプリンタ本体11の右側部分の下方かつ、右側の配管ボックス14の前方に設けられている。4つのインクタンク40は、左右方向に並んで配置されている。8つのインクタンク40のうちの他の4つは、メンテナンスエリアが設定されたプリンタ本体11の左側部分の下方かつ、左側の配管ボックス14の前方に設けられている。当該4つのインクタンク40も、左右方向に並んで配置されている。
図2に示すように、インクタンク40は、インクを収容可能なインク収容部50と、サプライボトル200が着脱可能に構成された装着機構60と、を備えている。サプライボトル200は、補充用のインクが収容された補充容器の一例である。装着機構60は、インク収容部50に接続されている。サプライボトル200を装着機構60に装着することにより、サプライボトル200に収容されたインクがインク収容部50に移動される。また、サプライボトル200を装着機構60から取り外すことにより、空になったサプライボトル200を回収することができる。
インク収容部50の容積は、サプライボトル200の容積よりも大きく構成されている。インク収容部50の容積をサプライボトル200の容積よりも大きくすることにより、夜間の自動運転などによってインクの補充がないままサプライボトル200のインク収容量よりも多量にインクを消費する使用方法にも対応可能となる。インク収容部50の容積は、ここでは、サプライボトル200の容積の2倍以上である。例えば、サプライボトル200に収容されるインクの体積は、500mlまたはその近辺である。一方、インク収容部50に収容されるインクの体積は、1500mlまたはその近辺である。ただし、インク収容部50およびサプライボトル200の容積は、特に限定されるわけではない。
なお、プリンタ10は、サプライボトル200によるインクタンク40へのインクの補充中にも印刷を継続できるように構成されていてもよい。
図2に示すように、サプライボトル200は、プリンタ本体11よりも前方でインクタンク40に装着される。サプライボトル200が挿入される挿入部70(詳しくは後述)は、インクタンク40の前後方向に関する中心線CLよりも前方に配置されている。インクタンク40は、少なくとも挿入部70がプリンタ本体11よりも前方に位置するように設けられている。これにより、サプライボトル200をインクタンク40に装着する作業をプリンタ10の前方側から行うことができる。インクタンク40のうち装着機構60よりも後方部分の一部は、プリンタ本体11の前面よりも後方に配置されている。サプライボトル200は、インクタンク40に装着された状態において、一部、ここでは下端部付近を除く半分以上の部分が装着機構60の外側に位置する。
インクタンク40のインク収容部50は、インクが外光を受けて硬化することを防止するため遮光性を有する材料から形成されている。また、インク収容部50の大部分は、定型性を有する材料から形成されている。ただし、インク収容部50の一部または全部には、可撓性の材料が用いられてもよい。インクタンク40のうちインクと接する部分は、樹脂によって形成されている。光硬化性インクは、金属と接していると化学反応して硬化するおそれがあり、インクタンク40のうちインクと接する部分の材料としては樹脂が好適である。インクタンク40のうちインクと接する部分は、さらに好適には、インクに耐性を有する樹脂、例えばPP(ポリプロピレン)等で形成されているとよい。装着機構60も樹脂により形成されている。装着機構60のうち遮光を要する部分は、遮光性を有する材料によって形成されているとよい。装着機構60のうちサプライボトル200が接する部分は、摺動性のよい樹脂、例えばPOM(ポリアセタール)によって形成されているとよい。ただし、インクタンク40の各部の材料は、上記したものには限定されない。
図4は、インクタンク40の装着機構60付近の縦断面図である。図4は、装着機構60にサプライボトル200を装着する前の状態を図示している。図4に示された状態では、サプライボトル200は、装着機構60の挿入部70に挿入されているもののストッパ91に突き当たることによりインクタンク40には接続されていない。ここからサプライボトル200を下方に向かって押し込むことによりサプライボトル200とインクタンク40とが接続される。これについては後述する。サプライボトル200の挿入部70への挿入方向は、本実施形態では下方である。挿入方向の逆方向は上方である。
図4に示すように、サプライボトル200は、インクが収容される容器本体210と、容器本体210の下端に設けられインクタンク40に接続されるボトル側接続部220とを有している。なお、以下の説明においてサプライボトル200の方向を示す際には、特に断らない限り、サプライボトル200がインクタンク40に装着されるときにおける方向を使用する。しかし、これはサプライボトル200の設置態様等を限定するものではない。
サプライボトル200の容器本体210は、前方部分(下方部分)が後方部分(上方部分)よりも細くなった略円筒状の形状を有している。図4に示すように、容器本体210は、第1ストレート部211と、テーパ部212と、第2ストレート部213と、突出部214と、前端部215とを有している。第1ストレート部211は、容器本体210の後方部分を構成している。第1ストレート部211は、上下方向に延びる円筒状に形成されている。なお、第1ストレート部211は、上端を塞ぐ天面を有している。
第1ストレート部211の下方には、テーパ部212が連続している。テーパ部212は、挿入部70への挿入方向(ここでは下方)に向かって狭まるように傾斜している。テーパ部212は、ここでは、下方に向かって狭まる円錐面の一部である。ただし、テーパ部212は円錐面の一部でなくてもよく、例えば、球面の一部のようにRが付けられていてもよい。テーパ部212の形状は限定されない。テーパ部212の外周面は、インクタンク40によって保持される被保持面212aを形成している。後述するように、インクタンク40は、被保持面212aに対応するように傾斜した保持面81aを備えている。保持面81aは、サプライボトル200を保持する保持機構80の一部である。
テーパ部212の下方には、第2ストレート部213が連続している。第2ストレート部213も円筒状に形成されている。第2ストレート部213の直径は、第1ストレート部211の直径よりも小さい。第2ストレート部213の下方には、突出部214が設けられている。突出部214も円筒状に形成されている。突出部214の直径は、第2ストレート部213の直径よりも大きく構成されている。突出部214の下方には前端部215が設けられている。ここでは、前端部215は、第2ストレート部213と同じ直径の円筒状に形成されている。突出部214は、そこで、サプライボトル200の径方向に関して第2ストレート部213および前端部215よりも突出している。容器本体210は、第2ストレート部213と突出部214との間に形成された第1段差面214aと、突出部214と前端部215との間に形成された第2段差面214bとを備えている。第1段差面214aは、突出部214の上面を構成し、上方を向いている。第2段差面214bは、突出部214の下面を構成し、下方を向いている。
第1ストレート部211は、サプライボトル200の挿入方向に関して容器本体210全体の半分以上の長さを占めている。そのため、第1段差面214aは、サプライボトル200の挿入方向の中心よりも挿入方向の前方側に設けられている。詳しくは後述するように、第1段差面214aは、インクタンク40のロック機構90が係合する係合部である。ロック機構90は、サプライボトル200の上方への動きを規制する機構である。サプライボトル200は、インクタンク40に装着されると、ロック機構90により、挿入方向の半分よりも前方側で保持される。ただし、第1ストレート部211は容器本体210全体の半分以上の長さを占めていなくてもよく、サプライボトル200は、必ずしも挿入方向の半分よりも前方側で保持されなくてもよい。
容器本体210の下端、すなわち前端部215の下端には、ボトル側接続部220が設けられている。ボトル側接続部220は、装着機構60にサプライボトル200が装着された場合には、インクタンク40に設けられたタンク側接続部100に接続される。ボトル側接続部220は、容器本体210の挿入方向側の端部(下端)に開口したインク注入口221と、インク注入口221に設けられた封止フィルム222とを含んでいる。図4に示すように、インク注入口221の周縁部、ここではインク注入口221の内周面には、タンク側接続部100の受側テーパ面115a1に対応した傾斜を有するボトル側テーパ面221aが形成されている。このボトル側テーパ面221aとインクタンク40の受側テーパ面115a1との勘合により、ボトル側接続部220とタンク側接続部100との間の水平方向の位置が位置合わせされる。
本実施形態では、容器本体210は定型性を有し、インクの収容量にかかわらず上記した形状を維持するように構成されている。サプライボトル200は、インクタンク40の装着機構60に保持され、係合される。また、詳しくは後述するが、サプライボトル200は装着機構60に設けられた弁体110を押圧する。そのため、サプライボトル200は、パウチのような可撓性を有する態様には構成されず、定型性を有するように構成されている。
容器本体210は、インクと化学反応することがないように樹脂によって形成されている。好適には、容器本体210は、インクに耐性を有しかつ遮光性を有する樹脂、例えば不透明のPPによって形成されているとよい。容器本体210の材料は、さらに好適には、効果的に紫外線を遮断できる黒色または茶色のPPであるとよい。
ボトル側テーパ面221aの上方には、封止フィルム222がインク注入口221を塞ぐように張られている。封止フィルム222によりサプライボトル200はインクを収容した状態で密封される。封止フィルム222は、ここでは、PPおよびPET(ポリエチレンテレフタラート)によって形成されている。サプライボトル200のインクと接する部分、ここではサプライボトル200の全体は、樹脂によって形成されている。
インクタンク40の装着機構60は、インクタンク40の上部に設けられている。装着機構60は、インク収容部50よりも上方に設けられている。インクは、重力の作用により、サプライボトル200から装着機構60を経由してインク収容部50に移動される。図4に示すように、装着機構60は、挿入部70と、保持機構80と、タンク側接続部100とを含んでいる。タンク側接続部100は、挿入部70の開口71よりもサプライボトル200の挿入方向に設けられており、サプライボトル200が接続される。ここでは、タンク側接続部100は、挿入部70の底部72に設けられている。保持機構80は、挿入部70の側方および上方に設けられている。保持機構80は、サプライボトル200をタンク側接続部100と接続された状態で保持する機構である。本実施形態では、保持機構80は、容器本体210の軸線Axが上下方向に向くようにサプライボトル200を支持する。ただし、保持機構80は、容器本体210の軸線Axが鉛直方向から傾くようにサプライボトル200を支持してもよい。
図4に示すように、挿入部70は、サプライボトル200が挿入される筒状の部材である。挿入部70は円筒状に形成され、サプライボトル200の突出部214よりもわずかに大きい直径を有している。挿入部70は、上下方向に延びている。挿入部70は、上方に向かって開口する開口71を有しており、上方からサプライボトル200が挿入されるように構成されている。
保持機構80は、挿入部70よりも上方に配置された入口部81と、挿入部70の側方に設けられたロック機構90とを含んでいる。入口部81は、サプライボトル200の被保持面212aに対応するように傾斜した保持面81aを有している。保持面81aは、サプライボトル200の挿入方向後方側に向かって広がる傾斜を有している。保持面81aは、挿入部70の開口71に隣接している。保持面81aはそこから上方に向かって広がるとともに、上方に向かって開口している。なお、保持面81aは、ここでは、サプライボトル200の被保持面212aと同じ材料によって形成されている。保持面81aの材料は樹脂である。ただし、保持面81aの材料は、サプライボトル200の被保持面212aと同じ材料と同じでなくてもよい。
ロック機構90は、タンク側接続部100と接続された状態のサプライボトル200が挿入部70への挿入方向の逆方向に動くことを規制する機構である。ただし、本実施形態では、ロック機構90は、挿入部70に差し込んだだけではサプライボトル200がタンク側接続部100に接続されないようにサプライボトル200の落下を留めるストッパ部としての機能を果たしている。言い換えれば、ストッパ部としてのロック機構90は、サプライボトル200が自重だけでタンク側接続部100に接続されることを防止している。図4に示すように、ロック機構90のストッパ91がサプライボトル200を支持している状態では、サプライボトル200の先端のボトル側接続部220は、タンク側接続部100よりも上方に位置している。ストッパ部としてのロック機構90は、タンク側接続部100よりもサプライボトル200の挿入方向の後方側に設けられている。なお、ストッパ部としての機能を考慮しなければ、ロック機構90の位置は、タンク側接続部100よりもサプライボトル200の挿入方向の後方側には限定されない。
図4に示すように、ロック機構90は、ストッパ91と、第1付勢部材92と、ロック解除スイッチ93とを備えている。ストッパ91は、挿入部70の内周面73に開口した側孔74に挿通されている。ストッパ91は、略水平方向に延びている。ストッパ91は、側孔74を通って挿入部70の径方向に移動可能に構成されている。ここでは、ストッパ91は、挿入部70の内周面73よりも径方向の内側に突出し、挿入部70に挿入されたサプライボトル200と当接する位置(以下、ロック位置Prと呼ぶ)と、ロック位置Prよりも挿入部70の径方向の外側であって挿入部70に挿入されたサプライボトル200が側方を通過可能な位置(図7等を参照、以下、アンロック位置Puと呼ぶ)とに移動可能である。第1付勢部材92は、ストッパ91がロック位置Prに保持されるようにストッパ91を付勢している。サプライボトル200がインクタンク40に装着されていない状態では、ストッパ91はロック位置Prに位置している。なお、アンロック位置Puは、ストッパ91の全部が挿入部70の内周面73よりも径方向の外側に退避した位置であってもよく、挿入部70の内周面73よりも径方向の内側にストッパ91の一部が突出した位置であってもよい。
ストッパ91は、第1付勢部材92の付勢力を受けるバネ受面91aを備えている。バネ受面91aは、上下方向に延びている。第1付勢部材92は、ここではコイルスプリングであって圧縮された状態で設けられている。ただし、第1付勢部材92はコイルスプリングに限定されるわけではなく、板バネ等であってもよい。第1付勢部材92は、水平方向に延びている。第1付勢部材92は、バネ受面91aとそれに対向するようにインクタンク40に設けられた鉛直面90aとの間で圧縮されている。そこで、第1付勢部材92は、ストッパ91を挿入部70の径方向内側に向かって押圧している。
ストッパ91の挿入部70内に突出する部分は、ストッパ91がロック位置Prにあるときにサプライボトル200が挿入部70に挿入されるとサプライボトル200に当接する受力部91bを有している。受力部91bは、サプライボトル200の挿入方向に沿って挿入部70の径方向の外方側から内方側に向かって傾斜した傾斜面91b1を有している。傾斜面91b1は、上方を向いている。挿入部70にサプライボトル200を挿入すると、傾斜面91b1にはサプライボトル200の前端部215の外周部(以下、第1押圧部215aとも呼ぶ)が当接する。サプライボトル200の自重だけではストッパ91はアンロック位置Puまで後退しないため、サプライボトル200を下方に向かって押し込まない限り、サプライボトル200はストッパ91に支持される。第1押圧部215aは、ストッパ91の受力部91bに当接し、受力部91bを下方に向かって押圧するサプライボトル200の押圧部の1つである。
上記を言い換えれば、第1付勢部材92は、受力部91bがサプライボトル200の挿入方向に向かって所定の力を受けるとアンロック位置Puに移行するようにストッパ91を付勢しており、受力部91bが受ける力が上記所定の力よりも小さい場合には、ストッパ91をアンロック位置Puよりも内側に保持する。上記所定の力は、インクが収容された状態のサプライボトル200の重さよりも大きい。上記所定の力は、容量の半分以上のインクが収容されたときのサプライボトル200の重さよりも大きいことが好ましく、さらに好適には、容量一杯までインクが収容されたときのサプライボトル200の重さよりも大きいことが好ましい。なお、サプライボトル200の重さによりストッパ91は挿入部70の径方向外側に後退するが、それでもアンロック位置Puよりも内側の位置に維持され、第1押圧部215aに当接する。
図4に示すように、ロック機構90は、ロック解除スイッチ93を備えている。ロック解除スイッチ93は、棒状に形成され、上下方向に延びている。ロック解除スイッチ93は、サプライボトル200の挿入方向、ここでは下方に押込み可能に構成されている。図4に示すように、ロック解除スイッチ93の下面93aは、サプライボトル200の挿入方向に沿って挿入部70の径方向の外方側から内方側に向かって傾斜している。ロック解除スイッチ93の傾斜した下面93aは、ストッパ91に設けられた突起部91cによって下方から支持されている。突起部91cは、左右方向に延びる略円柱状に形成されている。
ロック解除スイッチ93の上面93bは、インクタンク40のロック解除スイッチ93付近の部分よりも上方に突出している。ロック解除スイッチ93の上面93bは、ユーザーによって押下されることが可能に構成されている。ロック解除スイッチ93は、挿入部70と並んで配置されている。ここでは、ロック解除スイッチ93は、挿入部70の前方に並んで配置されている。
ストッパ91がロック位置Prに位置しているときにロック解除スイッチ93を押し込むと、図7に示すように、ストッパ91の突起部91cは、ロック解除スイッチ93の傾斜した下面93aによって挿入部70の径方向の外方側に向かって押される。これにより、ストッパ91が挿入部70の径方向の外方側に後退する。ロック解除スイッチ93が所定の距離以上押し込まれると、ストッパ91はアンロック位置Puまで移動する。
本実施形態では、ロック解除スイッチ93とストッパ91の突起部91cが、第1付勢部材92の付勢力に抗してストッパ91をアンロック位置Puに移動させる解除機構を構成している。解除機構は、ロック解除スイッチ93をサプライボトル200の挿入方向に押す力をストッパ91を挿入部70の径方向の外方に移動させる力に変換することにより、ストッパ91をアンロック位置Puに移動させる。本実施形態では、ロック解除スイッチ93の傾斜した下面93aとストッパ91の略円柱状の突起部91cとが、ロック解除スイッチ93をサプライボトル200の挿入方向に押す力をストッパ91を挿入部70の径方向の外方に移動させる力に変換する方向転換部を構成している。ただし、解除機構の構成はこのようなものに限定されるわけではない。
本実施形態に係る挿入部70は、挿入部70内に突出した突起75を備えている。突起75は、ここでは、挿入部70の上端付近に設けられている。突起75の上下方向の位置は特に限定されないが、本実施形態では、装着機構60に装着された状態のサプライボトル200の突出部214よりも上方である。突起75は、例えば、弾性を有するゴムによって形成されている。突起75は、サプライボトル200を挿入部70へ挿入する時にはサプライボトル200を通過させることが可能であって、かつ、サプライボトル200がタンク側接続部100に接続された状態では、挿入方向視においてサプライボトル200の一部と重なるように構成されている。ここでは、突起75は、サプライボトル200がタンク側接続部100に接続された状態では、上方から見てサプライボトル200の突出部214と重なるように構成されている。
突起75の存在にもかかわらず挿入部70にサプライボトル200を挿入する方法は特に限定されないが、例えば、弾性を有する突起75を変形させて挿入部70にサプライボトル200を挿入してもよい。または、サプライボトル200を突起75とは逆側に寄せて挿入部70に挿入することにより突起75を避けてもよい。または、サプライボトル200を傾けて挿入部70に挿入することにより突起75を避けてもよい。また、上記した方法のうちの2つ以上が併用されてもよい。タンク側接続部100に接続された状態からサプライボトル200を真上に移動させると、サプライボトル200の突出部214は突起75に衝突し、突起75からの抵抗を受けることになる。
なお、本実施形態では平面視において突起75と重なるサプライボトル200の部位は突出部214であるが、平面視において突起75と重なるサプライボトル200の部位はどこであってもよい。
タンク側接続部100は、挿入部70の底部72に設けられている。図4に示すように、タンク側接続部100は、インク通路101と、弁体110と、弁体当接部102と、第2付勢部材103と、を備えている。図4に示すように、インク通路101は、弁体110より下方であってインク収容部50よりも上方の空間である。インク通路101はインク収容部50と連通している。インク通路101は、サプライボトル200が接続される弁体110(より詳しくは、弁体110のうち接続端としての針部111)とインク収容部50とを接続する。インク通路101は、ここでは、インクタンク40の内部空間のうちのインク収容部50と弁体110との間の空間であるが、それには限定されない。例えば、装着機構はインクタンクの外部に設けられていてもよく、その場合、インク通路は、例えば、挿入部とインクタンクとを繋ぐ管状の通路であってもよい。
弁体110は、挿入部70とインク通路101との間に設けられている。弁体110は、サプライボトル200が挿入部70に挿入された場合にサプライボトル200と接続される接続端としての針部111を備えている。弁体110は、サプライボトル200が装着機構60に装着または離脱されるのに対応して、針部111とインク通路101との間を開放または閉鎖する開閉機構の一例である。弁体110は、針部111と、針部111に設けられた流入口112と、流出口113と、流入口112と流出口113とを接続する内部流路114と、を備えている。インクは、弁体110の針部111と内部流路114とを介して挿入部70からインク通路101に移動する。
図4に示すように、針部111は、サプライボトル200が装着機構60に装着された状態においてサプライボトル200の封止フィルム222を貫通する尖った先端部111aを備えている。先端部111aは、上方に向かって直径が小さくなる円錐形状を有している。針部111は、封止フィルム222を突き破ることが可能に構成されている。針部111が封止フィルム222を貫通することにより、サプライボトル200の内部と弁体110の内部流路114とが連通する。針部111には、上方に向かって開口する複数の流入口112が形成されている。内部流路114は、流入口112から下方に向かって延びている。内部流路114は、弁体110を上下方向に貫通している。内部流路114の下端には、流出口113が開口している。
弁体110は、サプライボトル200が挿入部70に挿入された場合にサプライボトル200が挿入される力を受ける当接部115aを備えている。ここでは、当接部115aには、サプライボトル200が直接当接する。ただし、当接部115aには、他の部材を介してサプライボトル200が間接的に当接してもよい。当接部115aは、針部111の下端から水平方向に広がる円盤状の受力板115に設けられている。当接部115aは、受力板115の外周縁に形成され、サプライボトル200の挿入方向に対して傾斜している。詳しくは、当接部115aは、サプライボトル200の挿入方向に沿って径方向の内方側から外方側に向かって傾斜した受側テーパ面115a1を備えている。受側テーパ面115a1は、針部111の先端部111aよりも径方向の外方に設けられている。前述したように、受側テーパ面115a1は、サプライボトル200のインク注入口221に形成されたボトル側テーパ面221aに勘合するように構成されている。弁体110は、サプライボトル200が挿入部70に押し込まれることによりボトル側テーパ面221aが受側テーパ面115a1を押下すると、下方に移動する。弁体110は、サプライボトル200の挿入部70への挿入方向およびその逆方向に移動可能に構成されている。
なお、本実施形態では、受側テーパ面115a1およびサプライボトル200のボトル側テーパ面221aは、サプライボトル200の挿入方向に沿って径方向の内方側から外方側に向かって傾斜していたが、サプライボトル200の挿入方向に沿って径方向の外方側から内方側に向かって傾斜していてもよい。受側テーパ面115a1およびサプライボトル200のボトル側テーパ面221aは、サプライボトル200の挿入方向に対して互いに対応するように傾斜していればよく、その向きや角度は限定されない。
弁体110の下端には蓋部116が設けられている。図6は、装着機構60付近の縦断面図であって、サプライボトル200にストッパ91が係合した状態を示す図である。サプライボトル200のストッパ91への係合については後述するが、図6に示すように弁体110は、サプライボトル200によって下方に押されると挿入部70に対して下方に移動するように構成されている。図6に示すように、蓋部116は、流出口113と上下方向に離間している。針部111、内部流路114、および受力板115が形成された弁体110の上部と蓋部116とは、連結部117によって連結されている。連結部117は、上端が弁体110の上部に接続され、下端が蓋部116に接続されている。蓋部116は、円盤状に形成され、連結部117の下端から水平方向に広がっている。
蓋部116の外周縁には、弁体側シール部116aが形成されている。弁体側シール部116aは、サプライボトル200の挿入方向に沿って径方向の内方側から外方側に向かう傾斜を有している。図6に示すように、装着機構60は、弁体側シール部116aと対応する傾斜を有するタンク側シール部102a1を備えている。タンク側シール部102a1は、挿入部70の底部72から下方に向かって延びる円筒状の弁体当接部102に設けられている。詳しくは、タンク側シール部102a1は、弁体当接部102の下端102aの内周縁に形成されている。図4に示すように、サプライボトル200が下方に向かって押されていないとき、弁体側シール部116aとタンク側シール部102a1とは当接している。サプライボトル200が下方に向かって押されていないとき、流出口113とインク通路101との間は、弁体側シール部116aとタンク側シール部102a1との当接により閉鎖されている。言い換えれば、この状態において、挿入部70とインク通路101との間は、弁体110により閉鎖されている。なお、ここでの閉鎖とは、インクまたは空気が通過できないようにシールすることでもよく、単に空気や光の通過を概ね防止する程度のことであってもよい。
上記から理解されるように、弁体110は、挿入部70とインク通路101との間に設けられており、挿入部70とインク通路101との間を閉鎖する位置(以下、閉鎖位置Pcと呼ぶ、図4参照)と、挿入部70とインク通路101との間を開放する位置(以下、開放位置Poと呼ぶ、図6参照)とに移動可能に構成されている。図4および図6に示すように、閉鎖位置Pcは、弁体110の可動範囲の最も上方であって、弁体側シール部116aとタンク側シール部102a1とが当接する弁体110の位置である。開放位置Poは閉鎖位置Pcよりも下方であって、弁体側シール部116aとタンク側シール部102a1とが離間する弁体110の位置である。弁体110が開放位置Poに位置しているとき、流出口113はインク通路101と接続される。それにより、挿入部70とインク通路101との間が開放される。
一方、弁体110が閉鎖位置Pcに位置しているとき、流出口113はインク通路101と離間している。弁体側シール部116aは、弁体110が閉鎖位置Pcに位置しているときには流出口113とインク通路101との間に位置する。それにより、弁体側シール部116aは、流出口113とインク通路101との間を閉鎖する。
第2付勢部材103は、弁体110が閉鎖位置Pcに保持されるように弁体110を付勢している。第2付勢部材103は、ここではコイルスプリングである。ただし、第2付勢部材103はコイルスプリングに限定されるわけではなく、例えば板バネ等でもよい。第2付勢部材103は、弁体110の受力板115の下面115bと、弁体当接部102に設けられたバネ座面102bとの間に圧縮された状態で配置されている。バネ座面102bは、受力板115の下面115bよりも下方に配置され、水平方向に広がっている。弁体110は、上方から押されていない状態では、第2付勢部材103の付勢力により閉鎖位置Pcに位置付けられている。サプライボトル200が装着機構60に装着されていないときには、インク収容部50は外部から隔離されている。
第2付勢部材103は、弁体110の当接部115aがサプライボトル200の挿入方向に向かって所定の力以上の力で押されると開放位置Poに移動するように弁体110を付勢している。弁体110は、当接部115aがサプライボトル200の挿入方向に向かって上記所定の力以上の力で押されると開放位置Poに移動する。そこで、サプライボトル200が装着機構60に装着されるときには、インク収容部50とサプライボトル200の内部とは連通する。
図4に示すように、バネ座面102bには、上下方向に貫通するバイパス通路104が設けられている。バイパス通路104は、挿入部70とインク通路101とを接続する。バイパス通路104は、弁体110の内部流路114とは別のルートで挿入部70とインク通路101とを接続する通路である。図4に示すように、弁体110は、閉鎖位置Pcにおいてバイパス通路104とインク通路101との間を閉鎖する。一方、弁体110は、開放位置Poにおいてバイパス通路104とインク通路101との間を開放する。これにより、サプライボトル200が装着機構60に装着されていないときにはバイパス通路104も閉鎖される。また、サプライボトル200が装着機構60に装着されるときにはバイパス通路104が開放される。バイパス通路104は、弁体110の流入口112よりも下方に配置されている。
以下では、サプライボトル200をインクタンク40に装着し、取り外す手順について説明する。サプライボトル200をインクタンク40に装着するために、まずサプライボトル200が挿入部70に挿入される。ユーザーは、サプライボトル200の突出部214と挿入部70の突起75との衝突を回避するようにサプライボトル200を保持しながら、サプライボトル200を挿入部70に挿入する。サプライボトル200が挿入部70に挿入されると、サプライボトル200は図4の状態でいったん保持される。つまり、単にサプライボトル200を挿入部70内に落としただけでは、サプライボトル200はインクタンク40に接続されない。これにより、意図しないサプライボトル200とインクタンク40との接続が抑制される。
図5は、装着機構60付近の縦断面図であって、弁体110とサプライボトル200のインク注入口221とが当接した状態を示す図である。図6は、前述したように、装着機構60付近の縦断面図であって、サプライボトル200にストッパ91が係合した状態を示す図である。図4に示す状態からサプライボトル200を下方に向かって押し込むと、サプライボトル200と装着機構60との関係は、図5の状態を経て図6の状態に移行する。図6の状態では、ロック機構90により、サプライボトル200は装着機構60に固定されている。
図4および図5から理解されるように、図4に示された状態からサプライボトル200を下方に向かって押し込むと、ストッパ91の傾斜面91b1がサプライボトル200の第1押圧部215aによって下方に向かって押され、傾斜面91b1の傾斜の効果によってストッパ91が挿入部70の径方向の外方に移動する。それにより、第1押圧部215aは傾斜面91b1よりも下方に移動し、ストッパ91はサプライボトル200の前端部215の側面に当接する。ここにおいて、意図しないサプライボトル200とインクタンク40との接続を抑制するストッパ部としてのロック機構90の役割は終了する。かかる状態を実現するためには、サプライボトル200を所定の力以上の力で下方に押し込むことが必要である。
図4の状態からサプライボトル200を下方に少し移動させると、弁体110の針部111の先端部111aがサプライボトル200の封止フィルム222に接触する。さらにサプライボトル200を下方に移動させると、針部111はサプライボトル200の封止フィルム222を突き破る。針部111に形成された流入口112がサプライボトル200の内部まで侵入すると、サプライボトル200の内部に収容されたインクは流入口112に流入する。この過程で、インクの一部は流入口112には流入せず、挿入部70の内部にこぼれ落ちる。本実施形態では、針部111がサプライボトル200の封止フィルム222を突き破っているとき、弁体110は第2付勢部材103の付勢により不動である。ただし、第2付勢部材103の付勢力は、針部111がサプライボトル200の封止フィルム222を突き破るときの抵抗よりも小さく設定されていてもよく、従って、このとき弁体110は下方に移動してもよい。言い換えれば、サプライボトル200とインクタンク40とは連通してもよい。
図4の状態から図5の状態に移行する途中で、ストッパ91の傾斜面91b1は、サプライボトル200の突出部214の下方側の隅(サプライボトル200の挿入方向の前隅)214cに当接し、前隅214cにより下方に押圧される。サプライボトル200の突出部214の下方側の隅214cは、ストッパ91の受力部91bに当接し、受力部91bを押圧する第2押圧部である。ストッパ91は、第2押圧部214cによって下方に向かって押され、傾斜面91b1の傾斜の効果によって挿入部70の径方向の外方に移動する。これにより、第2押圧部214cは傾斜面91b1よりも下方に移動し、ストッパ91はサプライボトル200の突出部214の側面に当接する。
図5に示すように、ストッパ91がサプライボトル200の突出部214の側面に当接している間に、サプライボトル200のボトル側テーパ面221aは、インクタンク40の受側テーパ面115a1と当接する。これにより、サプライボトル200を下方に押し込む力が弁体110に直接伝達されるようになる。サプライボトル200を第2付勢部材103の付勢力よりも大きい力で押し込むと、弁体110は下方に移動する。これにより、弁体110は、例えば図6に示すように、閉鎖位置Pcから開放位置Poに移動する。その結果、サプライボトル200の内部と、インク通路101およびインク収容部50とが連通する。これにより、サプライボトル200の内部のインクがインク収容部50に移動する。
また、サプライボトル200のボトル側テーパ面221aとインクタンク40の受側テーパ面115a1とが当接することにより、サプライボトル200の内部と挿入部70との間が閉鎖される。図4の状態と図5の状態との間においてはインクの一部が挿入部70にこぼれ落ちていたが、これにより、このインクの挿入部70への流入が止まる。
図6に示すように、弁体110が開放位置Poに移動すると、バイパス通路104とインク通路101との間も連通する。そこで、挿入部70とインク収容部50とは、バイパス通路104およびインク通路101を介して連通する。その結果、図4の状態と図5の状態との間において挿入部70に流入したインクは、バイパス通路104およびインク通路101を通ってインク収容部50に移動する。
図5の状態からさらにサプライボトル200を下方に押し込むと、サプライボトル200は図6に示すロック状態に移行する。図6に示すように、ロック状態では、突出部214はストッパ91よりもサプライボトル200の挿入方向の前方に位置している。ロック状態では、ストッパ91は、突出部214と第2ストレート部213との間に形成された第1段差面214aに当接している。第2ストレート部213は、サプライボトル200の挿入方向の後方側において突出部214と隣接し、突出部214よりも径方向の大きさが小さく構成されている。そのため、突出部214と第2ストレート部213との間には、上方を向いた第1段差面214aが形成されている。ロック状態では、ストッパ91は、係合部としての第1段差面214aに当接することによりサプライボトル200が挿入方向の逆方向に移動することを規制する。
タンク側接続部100は、サプライボトル200と当接する接続端としての針部111と、針部111をサプライボトル200の挿入方向の逆方向に付勢する第2付勢部材103と、を備えている。ロック機構90のストッパ91は、サプライボトル200が針部111に当接している状態では、第1付勢部材92の付勢によって挿入部70の内周面73よりも内側に突出するとともにサプライボトル200に設けられた係合部としての第1段差面214aに係合し、サプライボトル200が挿入方向の逆方向に移動することを規制する。ストッパ91がサプライボトル200の挿入方向の逆方向への移動を規制し、第2付勢部材103がサプライボトル200を挿入方向の逆方向に付勢することにより、サプライボトル200の一部は、ストッパ91と弁体110とによって上下から挟まれる。これにより、サプライボトル200が装着機構60に固定される。
なお、このとき、保持機構80の一部としての保持面81aは、サプライボトル200のテーパ部212に形成された被保持面212aを保持している。サプライボトル200の挿入方向に対して傾斜した保持面81aと被保持面212aとの当接により、サプライボトル200が回転しようとする力が受けられ、サプライボトル200の固定状態が安定する。ストッパ91は、ここでは、サプライボトル200の前方側にだけ設けられている。そのため、第2付勢部材103の付勢力により、サプライボトル200は、ストッパ91と当接している部位を軸に第2付勢部材103の付勢方向に回転しようとする。保持面81aと被保持面212aは、この回転力を受け止めている。なお、上記回転力の一部は、保持機構80の入口部81の鉛直面によっても受け止められていてもよい。
図2に示すように、サプライボトル200が保持機構80に保持された状態において、サプライボトル200の一部は装着機構60の外側に位置している。詳しくは、サプライボトル200が保持機構80に保持された状態において、サプライボトル200の第1ストレート部211のほとんどは、装着機構60よりも外側に突出している。これにより、ユーザーは、サプライボトル200の装着機構60よりも外側に突出した部分(ここでは、第1ストレート部211)を把持しながらサプライボトル200のインクタンク40への装着作業を行うことができる。そこで、サプライボトル200のインクタンク40への装着作業が容易である。
インクタンク40は、サプライボトル200が装着されたことを確認するためのセンサ等を備えていてもよい。プリンタ10は、例えば、サプライボトル200が装着確認後、所定の時間が経過すると、サプライボトル200を取り外すことを促す表示を表示するように構成されていてもよい。上記所定の時間は、サプライボトル200内のインクが全てインクタンク40に移動するのに要する時間以上の時間である。サプライボトル200内のインクが全てインクタンク40に移動するのに要する時間は予め測定されている。
サプライボトル200をインクタンク40から取り外す際には、ロック解除スイッチ93が押下される。図7は、装着機構60付近の縦断面図であって、ロック解除スイッチ93が押下された状態を示す図である。図7に示すように、ロック解除スイッチ93が押下されると、ストッパ91の突起部91cは、ロック解除スイッチ93の傾斜した下面93aによって挿入部70の径方向の外方側に向かって押される。これにより、ストッパ91が挿入部70の径方向の外方側に後退する。ロック解除スイッチ93が所定の距離以上押し込まれると、ストッパ91はアンロック位置Puまで移動する。これにより、サプライボトル200の固定が解除される。かかるロック解除機構の構成によれば、ロック解除スイッチ93を押下するという簡単な操作によってサプライボトル200の固定を解除することができる。
ロック解除スイッチ93は、ここでは、挿入部70と並んで配置され、サプライボトル200の挿入方向に押込み可能に構成されている。そしてロック解除は、ロック解除スイッチ93を押下することにより行われる。そのため、ユーザーにとって、ロックの解除方法が感覚的に分かりやすい。
ロックが解除されたとき、サプライボトル200は、弁体110を介して第2付勢部材103の付勢力を受けている。そのため、ロックが解除されると、サプライボトル200は第2付勢部材103の付勢力を受け、挿入方向の逆方向に向かって移動される。挿入部70の突起75は、このサプライボトル200の移動を制限するために設けられている。突起75が設けられていなければ、ロックが解除されたとき、サプライボトル200が移動する速度が速すぎ、例えば、サプライボトル200に残ったインクが飛散したり、サプライボトル200が被翔してしまったりするおそれがある。突起75は、そのような問題を回避するために設けられている。突起75は、サプライボトル200がタンク側接続部100に接続された状態では、上方から見てサプライボトル200の突出部214と重なるように構成されている。そこで、タンク側接続部100に接続された状態からサプライボトル200のロックを解除すると、サプライボトル200の突出部214は突起75に衝突する。それによりサプライボトル200は突起75からの抵抗を受ける。その結果、サプライボトル200が装着機構60から離脱する速度が低減される。
サプライボトル200とインクタンク40との接続が解除されると、弁体110は再び閉鎖位置Pcに移動する。これにより、インクタンク40の外部との通路が閉鎖される。本実施形態では、インクは光硬化性のインクであり、少なくとも光が照射されない状態で保管されることが好ましい。また、乾燥を防ぐため、インクは、外気と触れない状態で保管されることがなお好ましい。本実施形態に係るプリンタ10は、サプライボトル200がインクタンク40に装着されているとき以外は弁体110がインク通路101と挿入部70との間を閉鎖するように構成されている。そのため、インクタンク40に収容されたインクに光が照射されること、および外気に触れることを抑制できる。
このように、本実施形態に係るプリンタ10は、インクを収容可能なインク収容部50を備えたインクタンク40と、インクが収容されたサプライボトル200が着脱可能に構成され、インク収容部50に接続された装着機構60と、を備えている。かかるプリンタ10によれば、着脱式の補充容器であるサプライボトル200に収容されたインクをインクタンク40のインク収容部50に移すことにより簡単にインクを補充することができる。
本実施形態に係るプリンタ10は、インクヘッド21が設けられたキャリッジ20と、キャリッジ20が摺動自在に係合したガイドレール23Aと、キャリッジ20をガイドレール23Aに沿って移動させるスキャンモータ23Dと、を備えている。インクタンク40は、ガイドレール23Aが設けられたプリンタ本体11に設けられている。かかる構成によれば、インクタンク40に設けられた装着機構60にサプライボトル200を装着する際にインクタンク40に過大な力が加わったとしても、キャリッジ20およびガイドレール23Aには上記過大な力は加わらない。そこで、例えば、インクの補充によってキャリッジ20およびガイドレール23Aが破損し、印刷品質に影響を及ぼすおそれを低減できる。
また、本実施形態では、インク収容部50の容積は、サプライボトル200の容積よりも大きい。そこで、本実施形態に係るプリンタ10によれば、インクの補充がないままサプライボトル200のインク収容量よりも多量にインクを消費する使用方法にも対応することができる。
詳しくは、インク収容部50の容積は、サプライボトル200の容積の2倍以上である。例えば、インク収容部50の容積がサプライボトル200の容積よりも大きくサプライボトル200の容積の2倍未満であった場合には、2本のサプライボトル200に収容されたインクの全てをインクタンク40に移動させることができない。その場合、一度に補充可能なインクの量は、サプライボトル200の1本分である。従って、インク収容部50の容積がサプライボトル200の容積の2倍未満の場合には、大量のインク消費に対応する能力という意味では、例えばインクカートリッジから直接インクヘッドにインクを供給する方式との差が小さい。しかし、インク収容部50の容積がサプライボトル200の容積の2倍以上であれば、インク収容部50内のインク残量により、2本のサプライボトル200に収容されたインクの全てをインクタンク40に移動させることが可能である。そのため、大量のインク消費に対応する能力が向上する。
本実施形態では、装着機構60の挿入部70は、上方に向かって開口し、上方からサプライボトル200が挿入されるように構成されている。また、サプライボトル200のボトル側接続部220は、容器本体210の下端に設けられている。かかる構成によれば、インクは重力の作用によりサプライボトル200からインクタンク40に移動される。そのため、プリンタ10は、例えば送液ポンプのようなインクをサプライボトルからインクタンクに移動させる装置を備える必要がない。
本実施形態では、挿入部70は、インクタンク40の前後方向に関する中心線CLよりも前方に配置されている。インクタンク40は、少なくとも挿入部70がプリンタ本体11よりも前方に位置するように設けられている。かかるインクタンク40の配置によれば、サプライボトル200がプリンタ本体11よりも前方でインクタンク40に装着されるため、サプライボトル200の脱着に係る作業性が良い。一方でインクタンク40の一部はプリンタ本体11の前面よりも後方に配置されており、インクタンク40がプリンタ本体11よりも前方に突出する程度が抑えられている。そのため、前後方向に関するプリンタ10の長さを抑制できる。
本実施形態に係るプリンタ10は、サプライボトル200をタンク側接続部100と接続された状態で保持する保持機構80を備えている。かかる保持機構80によれば、サプライボトル200が保持機構80に保持されるため、サプライボトル200を支持する負荷がボトル側接続部220およびタンク側接続部100に掛かりにくい。そのため、ボトル側接続部220およびタンク側接続部100に故障等が発生しにくい。なお、本実施形態では、保持機構80は傾斜した保持面81aとロック機構90とを含んでいたが、それには限定されない。保持機構は、例えば、サプライボトルを把持するような機構でもよい。また、保持機構は装着機構の一部でなくてもよく、保持機構の一部または全部は装着機構の外側に設けられていてもよい。
本実施形態では、保持機構80は、容器本体210の軸線Axが上下方向に向くようにサプライボトル200を支持する。かかる構成によれば、重力の作用によりインクが移動されるため送液ポンプのような装置を備える必要がない他、サプライボトル200を縦に保持することによりプリンタ10の大きさが大きくなることを抑制できる。
本実施形態では、サプライボトル200は、保持機構80に保持された状態において一部が装着機構60の外側に位置するように構成されている。かかる構成によれば、ユーザーは、サプライボトル200の装着機構60よりも外側に突出した部分を把持しながらサプライボトル200のインクタンク40への装着作業を行うことができる。そのため、サプライボトル200のインクタンク40への装着作業がしやすい。
なお、本実施形態では、サプライボトル200が保持機構80に保持された状態においてもサプライボトル200一部しか装着機構60の内部に収容されないが、それには限定されない。サプライボトルは、装着機構に装着された状態において全部が装着機構の内部に収容されてもよい。
本実施形態に係るサプライボトル200は、挿入部70への挿入方向に向かって狭まるように傾斜した被保持面212aを備えている。保持機構80は、被保持面212aと対応するように傾斜した保持面81aを備えている。かかる構成によれば、サプライボトル200の挿入方向に関してサプライボトル200を支持できるとともに、サプライボトル200が倒れる方向(挿入方向に交差する方向)に関してもサプライボトル200を支持できる。特に本実施形態では、前述したように、被保持面212aは、サプライボトル200を回転させる力を受けるように構成されており、サプライボトル200が回転しないように支持している。
なお、本実施形態では、保持面81aおよび被保持面212aは円錐面に構成され、側面視において直線の形状を有していたが、これには限定されない。保持面81aおよび被保持面212aは、例えば、側面視において曲線の形状を有していてもよいし、側面視において段差を有していてもよい。
さらに、本実施形態では、保持面81aは、被保持面212aと同じ材料によって構成されている。これにより、保持面81aおよび被保持面212aが互いに接触することによって摩耗することが抑制される。
本実施形態に係る保持機構80は、タンク側接続部100と接続された状態のサプライボトル200が挿入部70への挿入方向の逆方向へ動くことを規制するロック機構90を備えている。かかるロック機構90によれば、サプライボトル200とタンク側接続部100との接続をより安定させることができる。
さらに本実施形態では、ロック機構90が係合する係合部(ここでは、第1段差面214a)は、サプライボトル200の挿入方向に関する中心よりも挿入方向の前方側に設けられている。かかる構成によれば、係合部がサプライボトル200の前方側に設けられているため、サプライボトル200の挿入方向に関して、挿入部70からロック機構90にかけての長さを小さくすることができる。
本実施形態では、保持機構80は、インクタンク40に設けられている。かかる構成によれば、インクタンクの外部に保持機構を別に設ける必要がないため、プリンタの構成をシンプルにできる。なお、本実施形態では、保持機構80はインクタンク40に設けられているが、保持機構80の一部または全部はインクタンク40の外部に設けられていてもよい。
本実施形態に係るロック機構90は、挿入部70の径方向に移動可能に構成され、挿入部の内周面73よりも径方向の内側に突出し挿入部70に挿入されたサプライボトル200と当接するロック位置Prと、ロック位置Prよりも径方向の外側であって挿入部70に挿入されたサプライボトル200が側方を通過可能なアンロック位置Puと、に移行するストッパ91と、ストッパ91がロック位置Prに保持されるようにストッパ91を付勢する第1付勢部材92と、を備えている。ストッパ91は、サプライボトル200の挿入方向に沿って挿入部70の径方向の外方側から内方側に向かって傾斜した傾斜面91b1を有している。かかる構成によれば、傾斜面91b1がサプライボトル200の挿入方向に向かって力を受けていないときには、ストッパ91はロック位置Prに位置している。そこで、サプライボトル200が意図せずタンク側接続部100と接触することが抑制される。一方、傾斜面91b1がサプライボトル200の挿入方向に向かって力を受けると、ストッパ91は、ロック位置Prからアンロック位置Puに移行する。そこで、サプライボトル200に挿入方向の力を付与すれば、サプライボトル200とインクタンク40とを接続することができる。
なお、第1付勢部材92がストッパを付勢する力は、インクが収容された状態のサプライボトル200の重さよりも大きい。そこで、ストッパ91はインクが収容された状態のサプライボトル200を支持することができ、従って、サプライボトル200は自重だけでインクタンク40と接続されることがない。
また、本実施形態では、傾斜面91b1を有するのはストッパ91であったが、傾斜面を有するのはサプライボトル200の方でもよい。あるいは、両方であってもよい。サプライボトルの挿入方向に沿って挿入部の径方向の外方側から内方側に向かって傾斜した傾斜面は、ストッパの受力部およびサプライボトルの押圧部のうちの少なくとも一方に設けられていればよい。ただし、ストッパ91が傾斜面91b1を有することにより、言い換えれば従動側の部材が傾斜面を有することにより、よりスムーズな動きが実現できる。
さらに、ストッパは、挿入部の径方向に移動可能に構成されていればよく、挿入部の内周面に設けられた側孔を通って挿入部の内部に出し入れされる必要は必ずしもない。例えば、ストッパは、挿入部よりもサプライボトルの挿入方向の後方側に設けられていてもよい。
本実施形態に係るタンク側接続部100は、接続端としての針部111をサプライボトル200の挿入方向の逆方向に付勢する第2付勢部材103を備えている。ストッパ91は、サプライボトル200が針部111に当接している状態では、第1付勢部材92の付勢によって挿入部70の内周面73よりも内側に突出するとともにサプライボトル200に設けられた係合部に係合し、サプライボトル200が挿入方向の逆方向に移動することを規制する。かかる構成によれば、ストッパ91がサプライボトル200の挿入方向の逆方向への移動を規制し、第2付勢部材103がサプライボトル200を挿入方向の逆方向に付勢することにより、サプライボトル200の一部は、ストッパ91と弁体110とによって挟まれる。これにより、サプライボトル200が装着機構60に固定される。
本実施形態に係るサプライボトル200は、挿入方向の前隅に第2押圧部214cが設けられた筒状の突出部214と、挿入方向の後方側において突出部214と隣接し突出部214よりも径方向の大きさが小さい筒状の第2ストレート部213と、突出部214と第2ストレート部213との間に形成された第1段差面214aと、を備えている。ストッパ91は、係合部としての第1段差面214aに当接することによりサプライボトル200が挿入方向の逆方向に移動することを規制する。かかる構成によれば、係合部としての第1段差面214aは、サプライボトル200の周方向に沿って形成される。よって、サプライボトル200の軸線Ax周りの回転方向によらず、サプライボトル200をストッパ91で係合することができる。なお、段差面は必ずしもサプライボトルの周方向の全部に形成されていなくてもよく、その一部に形成されていてもよい。また、係合部としてはサプライボトルの挿入方向後方を向いた段差面が存在していればよく、段差面の挿入方向前方側が周囲の中で突出しているのか、段差面の挿入方向後方側が周囲の中で凹んでいるのかは、いずれでもよい。
本実施形態に係るロック機構90は、第1付勢部材92の付勢力に抗してストッパ91をアンロック位置Puに移動させる解除機構を備えている。かかる構成によれば、解除機構によりサプライボトル200のロックを解除してサプライボトル200を装着機構60から取り外すことができる。
解除機構は、挿入部70と並んで配置され、サプライボトル200の挿入方向に押込み可能なロック解除スイッチ93と、ロック解除スイッチ93をサプライボトル200の挿入方向に押す力をストッパ91を挿入部70の径方向の外方に移動させる力に変換する方向転換部と、を備えている。本実施形態では、方向転換部は、ロック解除スイッチ93の傾斜した下面93aと、ストッパ91の略円柱状の突起部91cとを含んでいる。かかる構成によれば、ロック解除スイッチ93をサプライボトル200の挿入方向に押し込む操作により、簡単にサプライボトル200のロックを解除することができる。また、ロック解除スイッチ93は挿入部70と並んで配置され、サプライボトル200の挿入方向に押し込むように構成されているため、ユーザーにとって、ロックの解除方法が感覚的に分かりやすい。
本実施形態では、挿入部70は、挿入部70内に突出した突起75を備えている。突起75は、挿入部70への挿入時にはサプライボトル200を通過させることが可能であって、かつ、サプライボトル200がタンク側接続部100に接続された状態では挿入方向視においてサプライボトル200の一部と重なるように構成されている。かかる構成によれば、サプライボトル200のロック状態が解除されたときに飛び出そうとするサプライボトル200に突起75が接触することにより、サプライボトル200が装着機構60から離脱する速度を低減することができる。これにより、サプライボトル200に残留したインクの飛散などを抑制できる。
本実施形態では、インクタンク40およびサプライボトル200のうちインクと接する部分は、樹脂によって形成されている。これにより、インクがインクタンク40およびサプライボトル200と化学反応するおそれが低減される。
加えて、本実施形態に係る装着機構60は、サプライボトル200が接続される接続端としての針部111と、針部111とインク収容部50とを接続するインク通路101と、サプライボトル200が装着または離脱されるのに対応して針部111とインク通路101との間を開放または閉鎖する開閉機構と、を備えている。ここでは、サプライボトル200がインクタンク40に装着されていないときは開閉機構の一部としての弁体110がインク通路101と挿入部70との間を閉鎖する。そのため、インク収容部50が外部と遮断される。これにより、インク収容部50に収容されたインクに光が照射されることやインクが外気に触れることを抑制できる。一方、サプライボトル200が装着機構60に装着されたときには、開閉機構の一部としての弁体110は、サプライボトル200の内部とインクタンク40のインク収容部50とを連通させる。そのため、サプライボトル200内のインクをインク収容部50に移動することができる。
より詳しくは、装着機構60は、弁体110と、第2付勢部材103とを備えている。弁体110は、挿入部70とインク通路101との間に設けられ、挿入部70とインク通路101との間を閉鎖する閉鎖位置Pcと、挿入部70とインク通路101との間を開放する開放位置Poとに移動可能に構成されている。第2付勢部材103は、閉鎖位置Pcに保持されるように弁体110を付勢している。また、第2付勢部材103は、弁体110の当接部115aがサプライボトル200の挿入方向に向かって所定の力以上の力で押されると開放位置Poに移動するように弁体110を付勢している。
かかる構成によれば、サプライボトル200が装着機構60に装着されていないときは、第2付勢部材103の付勢により、弁体110がインク通路101と挿入部70との間を閉鎖している。一方、サプライボトル200が装着機構60に装着されるときには、サプライボトル200に押されることにより第2付勢部材103の付勢力に抗して弁体110が開放位置Poに移動する。これにより、挿入部70とインク収容部50とが連通する。これにより、サプライボトル200がインクタンク40に装着されていないときはインク通路101と挿入部70との間を閉鎖し、サプライボトル200がインクタンク40に装着されているときはインク通路101と挿入部70との間を開放する開閉機構の動きが実現できる。
さらに上記構成によれば、インクを補充しないときにはインク収容部50を外部から遮断しつつ、サプライボトル200を押し込むという非常に簡単な作業でサプライボトル200とインク通路101とを連通させ、インク収容部50にインクを補充することができる。
本実施形態では、弁体110は、サプライボトル200が挿入部70に挿入された場合にサプライボトル200と接続される針部111と、針部111に設けられた流入口112と、流出口113と、流入口112と流出口113とを接続する内部流路114と、弁体側シール部116aとを備えている。流出口113は、弁体110が閉鎖位置Pcに位置しているときにはインク通路101と離間している。流出口113は、弁体110が開放位置Poに位置しているときにはインク通路101と接続される。弁体側シール部116aは、弁体110が閉鎖位置Pcに位置しているときには流出口113とインク通路101との間に位置して流出口113とインク通路101との間を閉鎖する。かかる構成によれば、インクは弁体110の内部流路114を通ってインク収容部50に移動する。弁体110に接続端としての針部111と内部流路114とが形成されていることにより、接続端とインクの流路とを1つの部材、ここでは弁体110により実現できる。これによって、タンク側接続部100の構成をシンプルにでき、かつ部品点数を削減できる。
本実施形態では、サプライボトル200は、インク注入口221を封止する封止フィルム222を備えており、接続端としての針部111は、サプライボトル200と当接部115aとが当接した状態においてサプライボトル200の封止フィルム222を貫通する尖った先端部111aを備えている。かかる構成によれば、サプライボトル200を挿入部70に挿入して当接部115aと当接させる動作(言い換えれば、挿入部70とインク通路101とを接続する動作)によって、同時にサプライボトル200と接続端としての針部111とを接続することができる。
本実施形態では、挿入部70とインク通路101とを接続するバイパス通路104が設けられている。弁体110は、閉鎖位置Pcにおいてはバイパス通路104とインク通路101との間を閉鎖し、開放位置Poにおいてはバイパス通路104とインク通路101との間を開放するように構成されている。かかる構成によれば、弁体110が開放位置Poに位置したときにはバイパス通路104を介して挿入部70とインク通路101とが連通し、挿入部70内にこぼれたインクがインク収容部50に移動する。一方、弁体110が閉鎖位置Pcに位置しているときには挿入部70とインク収容部50との間は閉鎖され、インク収容部50の外部との隔離は維持される。
本実施形態に係る弁体110の当接部115aは、サプライボトル200の挿入方向に対して傾斜した受側テーパ面115a1を備えており、サプライボトル200は、受側テーパ面115a1と対応した傾斜を有するボトル側テーパ面221aを備えている。互いに当接する受側テーパ面115a1とボトル側テーパ面221aとがサプライボトル200の挿入方向に対して傾斜していることにより、サプライボトル200を正確な位置に挿入しなくとも受側テーパ面115a1とボトル側テーパ面221aとは適正な位置で勘合する。これにより、受側テーパ面115a1の押圧、および、受側テーパ面115a1とボトル側テーパ面221aとの間のシールが簡単に実現できる。なお、受側テーパ面115a1とボトル側テーパ面221aとの間のシールは、両者の間からインクが漏れ出ないことまで要求されず、弁体110の内部流路114を通るインクよりも明らかに少ない量のインクが漏れ出ることは許容される。
なお、本実施形態では、ボトル側テーパ面221aは、サプライボトル200のインク注入口221の周縁部に形成され、受側テーパ面115a1は、針部111の先端部111aの周囲、すなわち先端部111aよりも径方向の外方に設けられているが、それには限定されない。ボトル側テーパ面は、例えばサプライボトル200の軸線方向の中央部や後端部などに設けられていてもよく、受側テーパ面はボトル側テーパ面に対応する場所に設けられていてもよい。ただし、ボトル側テーパ面221aがサプライボトル200のインク注入口221の周縁部に形成され、受側テーパ面115a1が針部111の周囲に設けられていることにより、サプライボトルの構成をシンプルにでき、装着機構のサイズ、特に装着機構のサプライボトルの挿入方向に関する長さをコンパクトにできる。
上記した実施形態は、いくつかの変形例によって実施することができる。以下では、いくつかの好適な変形例について説明する。なお、以下の変形例の説明では、上記した実施形態と共通の機能を奏する部材には共通の符号を使用するものとする。また、重複する説明は省略または簡略化する。
[変形例1]
変形例1では、弁体の構成が上記した実施形態と異なる。図8は、本変形例に係る弁体120の斜視図である。図8に示すように、弁体120の針部121は、尖った先端部121aの他に、先端部121aよりもサプライボトル200の挿入方向側(ここでは下方側)に設けられた側壁部121bを備えている。側壁部121bは、ここでは、サプライボトル200の挿入方向に略平行に延びている。そこで、針部121は、図8に示すように、側壁部121bと先端部121aとの境界で屈折している。なお、本変形例では、側壁部121bの角度はサプライボトル200の挿入方向に略一致しているが、それには限定されない。サプライボトルの挿入方向に直交する1方向視(例えば、正面視)における上記挿入方向に対する側壁部の角度は、少なくとも先端部の角度よりも小さければよい。かかる構成により、針部は、側壁部と先端部との境界で屈折する。
最初の実施形態と同様に、本変形例でも、先端部121aは略円錐状に形成されている。側壁部121bは円柱状に形成されている。サプライボトル200の挿入方向に関する側壁部121bの長さL1は、先端部121aの根本部分の半径R1以上に構成されている。先端部121aの根本部分の半径R1は、ここでは、側壁部121bの半径に等しい。
本変形例では、流入口122は先端部121aに設けられている。流入口122は先端部121aにだけ開口し、側壁部121bには重ならないように構成されている。ただし、流入口は、側壁部に一部が重なるように形成されていてもよい。流入口122は、先端部121aの軸線周りに180度離間して2つ設けられている。針部121は、側壁部121bに設けられ、内部流路124に連通した4つのスリット127を備えている。4つのスリット127は、それぞれサプライボトル200の挿入方向に延びている。4つのスリット127のうちの2つは、一方の流入口122に接続されている。他の2つのスリット127は、他方の流入口122に接続されている。複数のスリット127の上端は、針部121を上方に向かって切り抜けている。
なお、ここではスリット127は流入口122に接続されているが、スリットは側壁部に設けられるとともに内部流路に連通していればよく、流入口に接続されていなくてもよい。
本変形例の弁体120の構成は、針部121によって突き破られた封止フィルム222が流入口122を塞ぐことを防止するためのものである。針部121によって突き破られた封止フィルム222は、図8に示すように、側壁部121bに沿って起立する。例えば最初の実施形態のように、側壁部121bが設けられず受力板125の上面から先端部121aが延びていたとした場合、突き破られた封止フィルム222は、先端部121aに沿うように斜めに起立する可能性がある。その場合には、先端部121aに沿って広がる封止フィルム222が先端部121aに設けられた流入口122の一部または全部を塞いでしまい、インクの移動効率が低下するおそれがある。
そのため、本変形例では、針部121によって突き破られた封止フィルム222が先端部121aに重ならないように側壁部121bが設けられている。封止フィルム222のうち針部121によって突き破られた部分が側壁部121bに沿って起立する高さは、先端部121aの根本部分の半径R1に概ね等しい。そこで、サプライボトル200の挿入方向に関する側壁部121bの長さL1は、先端部121aの根本部分の半径R1以上に構成されている。かかる構成によれば、封止フィルム222のうち針部121によって突き破られた部分は先端部121aに到達しない。よって、針部121によって突き破られた封止フィルム222が流入口122を塞ぐことを抑制できる。
なお、先端部が円錐形でなく例えば角錐形である場合には、角錐の根本部分を平面視して得られる多角形の外接円の半径が、上記した半径R1に相当する。また、側壁部がサプライボトルの挿入方向に略平行でない角度で延びており、根本部分に向かって広がっている場合には、側壁部の根元部分の径方向の長さ(半径相当)が上記した半径R1に相当する。これをさらに一般化すれば、側壁部の高さは、先端部および側壁部の径方向の長さ(半径相当)のうち最大の長さ以上であればよい。
あるいは、針部121によって突き破られた封止フィルム222が先端部121aに一切重ならないようにすることを目的とするのでなければ、側壁部121bの高さは適宜に設定されてもよい。サプライボトル200の挿入方向に関する側壁部121bの長さは、特に限定されるわけではない。
スリット127は、流入口122よりも下方に溜まったインクを内部流路124に流すために設けられている。そのためにスリット127は、側壁部121bに設けられ、内部流路124に連通している。スリット127の上端が流入口122に接続されていることにより、流入口122がインクを流すことができる最低高さとスリット127がインクを流すことができる最高高さとの間が切れ目なく連続する。これにより、流入口122よりも下方に溜まったインクを効率よく内部流路124に流すことができる。
[変形例2]
変形例2では、弁体の構成が上記した実施形態および変形例1とさらに異なる。図9は、本変形例に係る弁体130の斜視図である。図9に示すように、本変形例では、針部131の先端部131aは、それぞれ先端が尖った複数の板状体137が径方向に放射状に配置されることにより形成されている。ここでは、板状体137の数は4である。4つの板状体137は、針部131の周方向に沿って90度ごとに配置されている。ただし、板状体137の数や配置は特に限定されない。
本変形例では、流入口132は、サプライボトル200の挿入方向視において、上記複数の板状体137同士の間に開口している。複数の板状体137は、受力板135から上方に向かって延びている。複数の板状体137の上端は、封止フィルム222を貫通するための尖った先端である。流入口132は、受力板135の上面に開口している。流入口132の上方には、複数の板状体137が配置されている。流入口132は、複数の板状体137により複数の部分に区画されている。内部流路134は、流入口132から下方に向かって延びている。
本変形例に係る弁体130の構成によれば、変形例2と同様に、針部131によって突き破られた封止フィルム222が流入口132を塞ぐことを抑制できる。本変形例では、流入口132は、サプライボトル200の挿入方向視において、複数の板状体137同士の間に開口している。そのため、針部131によって突き破られた封止フィルム222は板状体137に沿って起立し、流入口132を塞ぎにくい。
なお、本変形例では、複数に区画された流入口132は、複数の板状体137同士の間のそれぞれに配置されていたが、そうでなくてもよい。流入口は、複数の板状体同士の間の1つ以上に設けられていればよく、複数の板状体同士の間の全部に設けられている必要はない。
[変形例3]
変形例3では、弁体のシール構造が異なっている。図10は、本変形例に係る弁体140を模式的に示す縦断面図である。図10に示すように、本変形例に係る弁体140は、外周面に開口した流出口143を備えている。装着機構には上下方向に延びる筒状の摺動孔155が設けられている。弁体140は、摺動孔155に挿入されている。弁体140は、摺動孔155に沿って上下方向に移動可能である。弁体140は、サプライボトル200がインクタンク40に装着されていないとき、付勢部材153によって図10の位置に保持されている。図10に示す弁体140の位置は、閉鎖位置である。
摺動孔155の内周面には、インク通路151が開口している。インク通路151は、閉鎖位置における流出口143の下方(サプライボトル200の挿入方向)に設けられている。閉鎖位置において流出口143とインク通路151との間を閉鎖するシール部146は、摺動孔155の内周面と接する弁体140の外周面のうち流出口143よりも下方の部分である。シール部146は、閉鎖位置において流出口143とインク通路151との間に位置している。
サプライボトル200が挿入部に挿入され、弁体140が下方に向かって押されると、付勢部材153が収縮する。それにより、弁体140が下方に移動する。それに伴って流出口143も下方に移動する。そして、流出口143の一部がインク通路151の開口部と向かい合う位置まで弁体140が移動すると、挿入部とインク通路151との間が開放される。かかる構成によっても、サプライボトルがインクタンクに装着されていないときにはインク通路を外部から遮断し、サプライボトルがインクタンクに装着されているときにはインク通路と外部とを連通させることができる。
なお、上記変形例3は弁体のシール構造の1つの変形例に過ぎず、弁体のシール構造はこの他にも種々のバリエーションで実施し得る。例えば、弁体は内部流路を備えず、サプライボトルの挿入部とインク通路との間を開閉するだけのものであってもよい。この場合、インクは弁体の内部流路ではなく、弁体が開閉する他の通路を通ってインク通路に達する。
また、弁体はインク通路側のシール部と対になってインク通路を閉鎖するものでなくもよい。例えば、弁体は、通常は閉鎖された弁膜を備えていてもよい。この場合、弁体が開放位置に移動すると、例えばパイプ状のインク通路と弁膜とが当接し、インク通路によって弁膜が押し開けられてもよい。このように、弁体のシール構造は種々の構造が可能であり、何ら限定されない。
以上、好適ないくつかの実施形態および変形例について説明した。しかし、ここに開示するインク供給システムおよびプリンタは、上記した実施形態および変形例に限定されない。
例えば、上記した実施形態では、サプライボトル200の挿入部70への挿入方向は下方であったが、サプライボトルの挿入方向はこれに限定されない。サプライボトルの挿入方向は、例えば、水平方向や斜め鉛直方向であってもよい。サプライボトルを装着する装着機構およびインクタンクと装着機構とを接続するインク通路は、インクタンクの外部に設けられていてもよい。インクタンクの位置もプリンタの前方側に限定されない。
上記した実施形態では、インクヘッドにインクを供給するプリンタ側の容器は樹脂製のインクタンク40であり、プリンタ側の容器にインクを補充する補充容器は樹脂製のサプライボトル200であったが、プリンタ側の容器および補充容器の構成はこれに限定されない。両者の材料はそれぞれ適宜に選択でき、樹脂には限られない。プリンタ側の容器は、必ずしも定型性を有する容器でなくともよく、一部または全部が可撓性を有する容器であってもよい。補充容器は、ロック機構および弁体を挿入方向に押圧できるように構成されていればよく、全体が定型性を有する必要はない。
プリンタ側の容器と補充容器とを接続する接続部の構成は、封止フィルムと針部に限られない。接続部は、例えば、いわゆるカプラ継手のように機械的に接続されると流路が開く弁機構を備えていてもよい。または、例えば、補充容器の蓋を外してプリンタ側の流入口に接続するのでもよい。
上記した実施形態では、インクタンク40はプリンタ本体11の前面に設けられていた。しかし、インクタンクは、プリンタのうちキャリッジとガイドレールとを除く場所であればどこに設けられてもよい。インクタンクの設置位置は特に限定されない。また、装着機構はインクタンクに設けられていなくともよく、その場合、インクタンクの設置位置は特に限定されない。かかる場合には、装着機構がプリンタのうちキャリッジとガイドレールとを除くいずれかの好適な場所に設けられればよい。
また、上記した実施形態では、プリンタ10はロール・トゥー・ロールタイプのインクジェットプリンタであったが、プリンタの構成は特に限定されない。例えば、ここに開示される技術は、フラットベッドタイプのインクジェットプリンタに対して適用されてもよい。また、インクは光硬化性のインクでなくともよく、例えば、熱硬化性のインクであってもよい。プリンタは、他の装置と組み合わせることもできる。ここに開示される技術が適用される装置は、例えばカッティングヘッド付きインクジェットプリンタであってもよい。
さらに、ここに開示する技術は、インクジェットプリンタだけでなく、インク吐出ヘッドを備えた他の装置にも利用することができる。例えば、ここに開示する技術は、インクを吐出する三次元造形装置などに利用されてもよい。