JP6998182B2 - 表面保護フィルム、これを用いた積層体、表面保護フィルムの製造方法 - Google Patents

表面保護フィルム、これを用いた積層体、表面保護フィルムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂フィルムや、樹脂板、金属板等、各種物品の表面を保護する表面保護フィルムに関する。また該表面保護フィルムを用いた積層体、該表面保護フィルムの製造方法に関する。
更に、本発明の表面保護フィルムは、位相差フィルム等の光学フィルムの表面を保護するのに特に適する。尚、本発明において「位相差フィルム」は面内位相差(Re)が0である偏光子保護フィルムを含む。
光学フィルムは非常に平滑な表面形状をしているものが多く、ロール状に巻き取ると、光学フィルム自体がブロッキングを起こすことがある。そこで光学フィルムの表面を保護すると同時にブロッキングを防止する表面保護フィルムが求められている。
特許文献1には、ポリエチレン溶融膜を鏡面冷却ロールと表面がゴムであるニップ(押し付け)ロールとでニップし、表面保護フィルムを製造する方法が開示されている。ニップロールの表面がゴムであると、得られる表面保護フィルムの一方の表面は磨硝子状(微細な凹凸状)となる。表面保護フィルムの、磨硝子状の表面とは反対側の表面を光学フィルムに貼合すれば、得られる光学フィルムと表面保護フィルムの積層体(以下、必要に応じ「光学フィルム/表面保護フィルムの積層体」と略称する)は、少なくとも一方の表面が磨硝子状となる為、ロール状に巻き取ってもブロッキングが発生し難い。また、一方の表面が磨硝子状の表面保護フィルムは滑りやすいため加工し易く、また表面保護フィルムのみをロール状に巻き取った際にも、ブロッキングが発生し難い。
しかしながら表面保護フィルムの磨硝子状の面が粗くなり過ぎると、光学フィルム/表面保護フィルムの積層体を巻き取って保管している間に、光学フィルムに「オレンジピール」と呼ばれるみかんの皮のような欠点を発生させることがあった。これは表面保護フィルムの磨硝子状の面の凹凸により、光学フィルムが変形することに起因するものと思われる。
ところでニップロール表面のゴムには、通常、酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の充填剤が配合されているが、該充填剤がニップロール表面研磨時や使用時にしばしばゴムから脱落し、ニップロール表面に凹みが発生することがあった。ニップロールに凹みが発生すると、該凹みが表面保護フィルムに転写し、凸状の欠点となる。ニップロールの凹みに起因する凸状欠点は、ニップロールが一回転するごとに表面保護フィルムに形成される為、周期的な凸状欠点(以下、「凸状周期欠点」と称す)となる。尚、表面保護フィルムは、通常、オシレート巻きされる為、表面保護フィルム上に出現する凸状周期欠点はジグザグ状となる。表面保護フィルムに凸状周期欠点が発生すると、光学フィルム/表面保護フィルムの積層体を巻き取って保管している間に、該欠点が光学フィルムを変形させ、光学フィルムにジグザグ状の打痕欠点を発生させる恐れがある。
特許文献2には、ニップロール表面のゴムに配合される充填剤の粒子径を小さくすることにより、ニップロールに発生する凹みを小さくして、表面保護フィルムに形成される凸状周期欠点を小さくし、光学フィルムの打痕欠点を解消することが提案されている。ゴムに配合される充填剤の粒子径が小さくなると、表面保護フィルムに形成される凹凸も小さくなり、オレンジピールは発生し難くなる。
しかしながら充填剤の粒子径を十分に小さくしても、ニップロールを製造する際に空気やコンタミと呼ばれる異物が混入することがあり、ニップロール表面の凹みの全てを小さくすることはできず、打痕欠点の問題を解決することはできなかった。
特開2005-28618 WO2013/080925
本発明は凸状周期欠点が小さい表面保護フィルムの提供を課題とする。更には被着体が光学フィルムであっても、被着体に打痕欠点を発生させない表面保護フィルムの提供を課題とする。
表面保護フィルムに凸状周期欠点が発生すると、光学フィルムに打痕欠点が発生するメカニズムについて、図1に基づき、説明する。表面保護フィルム11に凸状周期欠点11aが発生する(図1(A))と、これをロール状に巻き取った際(図1(B))に、該凸状周期欠点11aが上方に位置する表面保護フィルム12により押され、凸状周期欠点11aの周縁に谷部11bが出現し、更に表面保護フィルムの粘着層表面に瘤11cが形成される。ロール巻きされた表面保護フィルム11を繰り出して、光学フィルム2に貼合する(図1(C))と、瘤11cの周辺で光学フィルム2は表面保護フィルム11と密着せず、空気を含むこととなる。これが打痕欠点2aである。該打痕欠点2aは空気を含み、凸状周期決欠点11aよりも大きなものとなる。
本発明者らは、ニップロール表面の凹みの大きさを小さくすることには限界があるため、ニップロール表面の凹みが表面保護フィルムへ転写することを抑制する方法について鋭意検討した。ニップロール表面の凹みの転写が抑制できれば、表面保護フィルムに形成される凸状周期欠点は小さくなり、その結果、表面保護フィルムをロール状に巻き取って保管しても瘤が発生し難くなる。
初めに検討したのは、ニップロールに接する層(背面層)を結晶化温度の高いエチレン系樹脂から形成することである。しかしながら、背面層の樹脂を変更しても凸状周期欠点の大きさを改善することはできなかった。また背面層用樹脂として結晶化温度の高いエチレン系樹脂やプロピレン系樹脂を採用すると、背面層が硬くなり、光学フィルム/表面保護フィルム積層体をロール状に巻き取って保管している間に、該背面層が光学フィルムを傷付けることがある。
そこで本発明者らは中間層を結晶化温度の高いエチレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物から形成することとした。そして該手段により、表面保護フィルムへのニップロール表面の凹みの転写が抑制されることを見出した。
即ち、本発明によると上記課題を解決する為の手段として、粘着層、中間層、背面層を順に備える表面保護フィルムにおいて、前記中間層が結晶化温度105℃以上のエチレン系樹脂(A)を主成分とする樹脂組成物から形成されることを特徴とする表面保護フィルムが提供される。
また前記中間層が、表面保護フィルムを形成する他の樹脂層より厚いことを特徴とする前記表面保護フィルムが提供される。
また前記エチレン系樹脂(A)が、メタロセン系触媒により重合された樹脂であることを特徴とする前記表面保護フィルムが提供される。
また前記エチレン系樹脂(A)が、密度930kg/m以上であることを特徴とする前記表面保護フィルムが提供される。
また前記樹脂組成物が、前記エチレン系樹脂(A)とは異なる低密度ポリエチレン(B)を副成分として含むことを特徴とする前記表面保護フィルムが提供される。
更に、位相差フィルムの表面に前記表面保護フィルムが貼合されたことを特徴とする積層体が提供される。
また粘着層用樹脂組成物と中間層用樹脂組成物と背面層用樹脂組成物とをT型ダイスから共押出し、冷却ロールとニップロールとにより挟持する表面保護フィルムの製造方法において、前記中間層用樹脂組成物が結晶化温度105℃以上のエチレン系樹脂(A)を主成分とすることを特徴とする表面保護フィルムの製造方法が提供される。
本発明の表面保護フィルムは、中間層を形成する樹脂組成物が結晶化温度105℃以上のエチレン系樹脂を主成分とする為、溶融状態の樹脂を冷却ロールとニップロールで挟持する際に、樹脂が素早く結晶固化する。ニップロール表面に凹みがあったとしても、溶融状態の樹脂が該凹みに沿って変形する前に結晶固化する為、表面保護フィルムに形成される凸状周期欠点は小さくなる。
尚、中間層が厚い程、表面保護フィルムへの凹みの転写は抑制される。
前記結晶化温度105℃以上のエチレン系樹脂が、メタロセン触媒により重合された樹脂であると、中和剤や酸化防止剤等の配合量が低く抑えられているため、表面保護フィルムの表面を清浄な状態に保つことができる。
また前記結晶化温度105℃以上のエチレン系樹脂が、密度930kg/m以上であると表面保護フィルムの剛性が高まり、該フィルムを搬送したり、光学フィルムと貼り合わせたりし易くなる。
また中間層を形成する樹脂組成物が低密度ポリエチレンを含むと、製膜時に溶融状態の樹脂がネックインしたり、ドローレゾナンスを発生したりし難く、安定した製膜が可能となる。
本発明の表面保護フィルムと位相差フィルムの積層体は、表面保護フィルムに形成される凸状周期欠点が小さい為、位相差フィルムに打痕欠点が発生し難い。
中間層を形成する樹脂組成物が結晶化温度105℃以上のエチレン系樹脂を主成分とする表面保護フィルムは、各層を構成する樹脂組成物を共押出した後に、冷却ロールとニップロールとにより挟持する方法により製造すると、本発明の効果を特に発揮することができる。
表面保護フィルムに凸状周期欠点が発生すると、光学フィルムに打痕欠点が発生するメカニズムを示す模式図である。 実施例1の表面保護フィルムの表面(凸状周期欠点部分)を非接触式表面粗さ測定機により測定した結果である。 比較例2の表面保護フィルムの表面(凸状周期欠点部分)を非接触式表面粗さ測定機により測定した結果である。 実施例1の表面保護フィルムの表面(凸状周期欠点のない部分)を非接触式表面粗さ測定機により測定した結果である。 比較例2の表面保護フィルムの表面(凸状周期欠点のない部分)を非接触式表面粗さ測定機により測定した結果である。
以下、本発明を詳細に説明する。尚、本発明は以下の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲において、種々の形態をとることができる。
また本発明において、「主成分とする」とは、樹脂組成物を構成する樹脂成分のうち、構成比率が50重量%以上であることを意味するものである。主成分と副成分の重量割合について特に記載がない場合、主成分となる樹脂は好ましくは60重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上であり、さらに好ましくは90重量%以上であり、特に好ましくは95重量%以上である。
以下、粘着層、中間層、背面層を順に備える表面保護フィルムについて詳説するが、本発明の表面保護フィルムは必要に応じ、各層の間に他の層を配することもできる。
[粘着層]
粘着層は、表面保護フィルムを被着体に貼り合わせる際に、被着体と接する層である。該粘着層には、表面保護フィルムが貼合された被着体を保管・運搬等する間に、表面保護フィルムが被着体から浮き上がったり剥れたりすることのない適度な粘着性が求められる。また該粘着層には、表面保護フィルムを被着体から剥離する際に、被着体の表面を汚染しない適度な剥離性も求められる。
このような粘着層は、結晶性のエチレン系樹脂を主成分とし、これに非晶性のオレフィン系樹脂を副成分として配した樹脂組成物を用いて形成することができる。結晶性のエチレン系樹脂と非晶性のオレフィン系樹脂の配合割合は特に限定されるものではないが、重量比で結晶性エチレン系樹脂:非晶性オレフィン系樹脂=85~100:15~0であることが好ましく、特に90~99:10~1であることが好ましい。
結晶性のエチレン系樹脂は、後述する示差走査熱量測定(以下、「DSC」と称す)において、30~230℃の範囲に結晶融解熱量が30J/g以上の結晶融解ピーク、及び/又は、結晶化熱量が30J/g以上の結晶化ピークが観測される重合体である。該結晶性エチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等を例示することができる。中でも密度が925kg/m以下のエチレン-αオレフィン共重合体は、適度な粘着性・剥離性を示すため、粘着層の主成分として適している。
非晶性のオレフィン系樹脂は、非晶性または低結晶性のオレフィン系樹脂であり、後述するDSCにおいて、30~230℃の範囲に、融解熱量が30J/g以上である結晶融解ピークも、結晶化熱量が30J/g以上である結晶化ピークも、観測されない樹脂である。このような非晶性のオレフィン系樹脂の中でも、特に融解熱量が15J/g以上である結晶融解ピークも、結晶化熱量が15J/g以上である結晶化ピークも、いずれも観測されない樹脂が好ましく、更には融解熱量が1J/g以上である結晶融解ピークも、結晶化熱量が1J/g以上である結晶化ピークも、いずれも観測されない樹脂が好ましい。
非晶性のオレフィン系樹脂としては、エチレンやプロピレンと、炭素原子数4~20のα-オレフィンとの共重合体が挙げられ、炭素原子数4~20のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-へプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン等の直鎖状のα-オレフィン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、2-エチル-1-ヘキセン、2,2,4-トリメチル-1-ペンテン等の分岐状のα-オレフィンなどが挙げられる。
尚、非晶性のオレフィン系樹脂は、マルチサイト系触媒、シングルサイト系触媒、その他、いずれの触媒を用いて重合されたものでもよい。
[中間層]
本発明では表面保護フィルムへのニップロール表面の凹みの転写が抑制されるように、中間層用の樹脂組成物の主成分を、(1)エチレン系樹脂で、尚且つ(2)結晶化温度が高い樹脂、具体的には後述するDSCにおいて観測される結晶化温度が105℃以上の樹脂とした。
主成分を(1)エチレン系樹脂とすることにより、中間層用樹脂組成物の押出温度を下げることが可能となる。中間層用樹脂組成物の押出温度が低いと、該樹脂組成物は少ない放熱(冷却)で結晶化温度に達することができる。またニップロールの表面が、溶融樹脂により温められ、設定温度より高くなることも抑制できる。
更に主成分として(2)結晶化温度が高い樹脂を採用することにより、中間層用樹脂組成物は比較的高温の状態から結晶化を開始する。
中間層の主成分として使用可能なエチレン系樹脂(A)は、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-αオレフィン共重合体等のエチレン系樹脂のうち、結晶化温度が105℃以上のものである。中でも結晶化温度が108℃以上のものが適する。
尚、エチレン系樹脂の中には、酸化防止剤や中和剤等の添加剤が多く配合されているものや、酸化防止剤や中和剤等の添加剤がブリードアウトし易いもの等がある。このような樹脂を使用した表面保護フィルムは、これらの添加剤がフィルム表面にブリードアウトし、フィルム表面が汚れたものとなりやすい。しかしながらメタロセン触媒により重合されたエチレン系樹脂、特にメタロセン触媒により重合されたエチレン-αオレフィン共重合体は、これらの添加剤の配合量が少なく、またブリードアウトもし難い為、フィルムの表面を清浄に保つことができる。尚、各種添加剤が添加されていないメタロセン触媒によるエチレン系重合体が、該エチレン系樹脂(A)として特に適する。
また中間層の主成分であるエチレン系樹脂(A)が密度930kg/m以上であると、表面保護フィルムの剛性(引張弾性率)が高くなる。表面保護フィルムの剛性が高いと、被着体が光学フィルム等の撓みやすいものであっても、高いテンションで搬送し、貼り合わせることができる。また、近年、光学フィルムの薄膜化が進んでいるが、非常に薄膜の光学フィルムであっても、剛性の高い表面保護フィルムを使用することにより、光学フィルム/表面保護フィルムの積層体のハンドリング性が向上する。
中間層を形成する樹脂組成物には、フィルムの製膜安定性を高める目的で、主成分であるエチレン系樹脂(A)とは異なる低密度ポリエチレン(B)を副成分として配合することが望ましい。副成分の低密度ポリエチレン(B)は、高圧法により製造されるポリエチレンで、分子の枝分かれが大きい。該低密度ポリエチレン(B)を、中間層を形成する樹脂組成物に配合すると、中間層用樹脂組成物の溶融張力が高まり、ダイスと冷却ロールの間のエアギャップにおける、ネッキング現象やドローレゾナンス現象を抑制することができる。
エチレン系樹脂(A)と低密度ポリエチレン(B)の配合割合は重量比で50~100:50~0であるが、70~98:30~2が好ましく、特に80~95:20~5が好ましい。また該低密度ポリエチレン(B)も、エチレン系樹脂(A)と同様に、比較的結晶化温度が高いものを選択することが望ましく、具体的には結晶化温度が90℃以上、更には92℃以上のものを選択することが望ましい。
[背面層]
背面層は、表面保護フィルムを被着体に貼り合わせたときに、被着体と反対側の最外層となる層である。背面層を形成する樹脂組成物は特に限定されないが、中間層との接着性を考慮すると、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-αオレフィン共重合体等のエチレン系樹脂や、ポリプロピレン、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン共重合体等のプロピレン系樹脂を主成分とすることが好ましい。また加工温度を、粘着層や中間層と近づける為には、エチレン系樹脂を主成分として採用するとよい。尚、背面層用樹脂組成物として、中間層用樹脂組成物と同じものを採用することもできる。
被着体が光学フィルムである場合、背面層の硬度が高いと、光学フィルム/表面保護フィルムの積層体を巻き取って保管している間に、背面層により光学フィルムが傷付く恐れがある。光学フィルムの傷付きを抑える為には、背面層をエチレン系樹脂を主成分とする樹脂組成物から形成することが望ましく、特に高圧法による低密度ポリエチレンを主成分とすることが望ましい。高圧法による低密度ポリエチレンは結晶化度が低く、柔軟であるため、光学フィルムを傷付けにくい。また触媒に起因するブリードアウト物が少なく、表面保護フィルムの背面層として特に適する。
[DSC]
本発明ではDSCを、以下の要領で行った。
試料は23℃50%RHの恒温恒湿室で1日以上保管したものを用い、10mg秤量して使用する。昇温速度10℃/分で30℃から230℃まで昇温(1st)し、次いで降温速度10℃/分で230℃から0℃まで降温し、更に昇温速度10℃/分で0℃から230℃まで再昇温(2nd)する。
結晶融解熱量は再昇温(2nd)に観測される結晶融解ピークから求める。また結晶化熱量は降温時に観測される結晶化ピークから求める。結晶化温度も降温時に観測される結晶化ピークから求める。結晶化ピークが複数ある場合は、最も大きい結晶化ピークから結晶化温度を求める。尚、DSC曲線から熱量を求める際のベースラインの調整はJIS K7122-1987に準拠して行う。
[表面保護フィルム]
本発明の表面保護フィルムは、各層用の樹脂組成物を一度に環状のダイスから押出すインフレーション共押出法、T型ダイスから押出すTダイ共押出法等の共押出法、各樹脂組成物を別々に製膜した後、ドライラミネート法、熱ラミネート法等により積層する方法、サンドラミネート法やタンデムラミネート法等の押出ラミネート法等により積層する方法等、従来公知の方法により製造することができる。
しかしながら、生産性を考慮すると共押出法を採用することが望ましく、粘着層や背面層の表面形状をコントロールする為には、Tダイ共押出法によりダイスから溶融状態の樹脂を押出し、次いで該樹脂を冷却ロールとニップロールでニップすることが望ましい。このとき、粘着層用の樹脂組成物が冷却ロールに、背面層用の樹脂組成物がニップロールに接触することが望ましい。冷却ロールを鏡面の金属ロールとし、ニップロールを微粒子が配合されたゴムを表面に配するものとすることにより、得られる表面保護フィルムは、粘着面が平滑で、背面が微細な表面粗さとなる。
本発明の表面保護フィルムにおける各層の厚さ割合は、特に限定されるものではないが、粘着層:中間層:背面層が、1:1:1~1:8:1、特に1:3:1~1:6:1であることが好ましい。粘着層や背面層の厚さの割合が上記範囲よりも小さくなると、被着体との粘着性が低下したり、フィルムの滑り性、耐ブロッキング性が悪化したりする恐れがある。また中間層の厚さの割合が上記範囲よりも小さいと、中間層の主成分であるエチレン系樹脂(A)として結晶化温度が高いものを採用しても、凸状周期欠点を小さくする効果は乏しい。尚、本発明が効果を確実に奏する為には、中間層が、表面保護フィルムを形成する他の層よりも厚いことが望まれる。
表面保護フィルムの厚さは特に限定されるものではないが、被着体が位相差フィルムである場合は10~100μm、特に20~50μmが一般的である。
以下、実施例に基づき、本発明の効果を詳細に説明する。尚、各測定は以下の通りである。
[凸状周期欠点高さ]
表面保護フィルムを製膜し、これを一旦ロール状に巻き取ったのち、フィルムを繰り出し、非接触式表面粗さ測定機により、ニップロールの凹みに起因する凸状周期欠点の高さを測定する。
[結晶化温度]
前述したDSCに沿って測定する。
[ドローレゾナンス現象]
製膜時にエアギャップを目視で確認し、ドローレゾナンス現象(溶融状態の樹脂の厚みが周期的に変動する現象)の発生の有無を確認する。
[実施例1]
粘着層を形成する樹脂組成物としてエチレン-αオレフィン共重合体-1(結晶化温度101.1℃ 結晶化熱量88.5J/g)を用いた。中間層を形成する樹脂組成物として、エチレン-αオレフィン共重合体-2(結晶化温度112.2℃ 結晶化熱量178.4J/g)と低密度ポリエチレン-1(結晶化温度91.0℃)とを、90:10の重量割合でブレンドしたものを用いた。また背面層を形成する樹脂組成物として、上記低密度ポリエチレン-1を用いた。
各樹脂組成物を別々の押出機に供給し、T型ダイスから共押出し、溶融状態の樹脂を冷却ロールとニップロールとで挟持して厚さ30μmの表面保護フィルムを製造した。尚、各層の厚さ比率(粘着層:中間層:背面層)は1:4:1とした。また冷却ロールは、鏡面の金属ロールを、ニップロールは微細な粒子を含むゴムが表面に配され、更に粒子の脱落に由来する凹みがあるロールを採用した。
[実施例2~3、参考例4]
各表面保護フィルムの中間層を形成する樹脂組成物を表1に記す。中間層を形成する樹脂組成物以外は、実施例1と同様にして本発明の表面保護フィルムを得た。
Figure 0006998182000001
尚、PE-α-1:エチレン-αオレフィン共重合体-1(結晶化温度101.1℃ 結晶化熱量88.5J/g)
PE-α-2:エチレン-αオレフィン共重合体-2(結晶化温度112.2℃ 結晶化熱量178.4J/g)
PE-α-3:エチレン-αオレフィン共重合体-3(結晶化温度109.8℃ 結晶化熱量173.7J/g)
LDPE-1:低密度ポリエチレン-1(結晶化温度91.0℃)
LDPE-2:低密度ポリエチレン-2(結晶化温度92.4℃)
HDPE:高密度ポリエチレン(結晶化温度111.5℃)
結晶化温度105℃以上のエチレン系樹脂を中間層の主成分とする実施例1乃至3と参考例4の表面保護フィルムは、ニップロールの凹みに起因する凸状周期欠点の高さが5μm以下であった。また該エチレン系樹脂がエチレン-αオレフィン共重合体であり、中間層に副成分として低密度ポリエチレンを含む実施例1、2の表面保護フィルムは、ドローレゾナンス現象が発生せず、膜厚が均一であった。
[比較例1~5]
各層を構成する樹脂組成物を表2に記す。比較例1については、中間層を形成する樹脂組成物を変更した以外は、実施例1と同様にして比較の為の表面保護フィルムを得た。
また中間層がプロピレン系樹脂から成る比較例2~5は、T型ダイスから押出す際の中間層の押出温度を、実施例1よりも30℃程度高くして製膜した。また中間層、背面層を形成する樹脂組成物を表2のように変更した。その他は実施例1と同様にして比較の為の表面保護フィルムを得た。
Figure 0006998182000002
PP:プロピレン-エチレンランダム共重合体(結晶化温度94.6℃)
PE-α-4:エチレン-αオレフィン共重合体-4(結晶化温度90.5℃)
中間層が、結晶化温度が105℃を下回るエチレン系樹脂を主成分とする比較例1のフィルムは凸状周期欠点の高さが8.5μmであった。また中間層がプロピレン系樹脂から成る比較例2~5のフィルムもまた凸状周期欠点が5μmを超えるものであった。
実施例2、比較例2の表面保護フィルムを、ロール状に巻き取った後、繰り出して、その表面を非接触式表面粗さ測定機により測定した。
実施例2の凸状周期欠点部分の測定結果を図2、比較例2の凸状周期欠点部分の測定結果を図3に記す。実施例2の表面保護フィルムの方が、比較例2のフィルムよりも、凸状周期欠点が小さかった。また比較例2の表面保護フィルムは、凸状周期欠点の周縁に谷(矢印部分)が形成されており、表面保護フィルムの粘着層表面には瘤が形成されていた。
また実施例2の凸状周期欠点のない部分の測定結果を図4に、比較例2の凸状周期欠点のない部分の測定結果を図5に記す。実施例2の表面保護フィルムのRzが6.8μmで、比較例2のフィルムのRzは7.1μmであった。同じニップロールにより成形したにもかかわらず、実施例2の表面保護フィルムの方が比較例2のフィルムよりも、凹凸が小さかった。
実施例2、比較例2の表面保護フィルムをそれぞれ位相差フィルムに貼り合わせ、位相差フィルム/表面保護フィルムの積層体を製造し、これをロール状に巻き取って1週間保管した。保管後の位相差フィルム/表面保護フィルムの積層体を繰り出し、位相差フィルムの表面を目視にて確認した。実施例2の表面保護フィルムを用いたものは、打痕欠点も、オレンジピールも観察されなかった。これは、凸状周期欠点が小さくなったこと、フィルム背面の凹凸が小さくなったことに起因するものと思われる。一方、比較例2のフィルムを用いたものは、打痕欠点、オレンジピールのいずれも観察された。
[比較例6]
T型ダイスから押出す際の中間層の温度を実施例1と同等まで下げ、その他は比較例2と同様にして比較の為の表面保護フィルムを得た。しかしながら表面保護フィルム背面の表面形状を改善することはできなかった。比較例6の表面保護フィルムの背面層の表面形状は、比較例2と同等の粗さであった。

Claims (7)

  1. 粘着層、中間層、背面層を順に備える表面保護フィルムにおいて、前記中間層が結晶化温度105℃以上のエチレン系樹脂(A)を主成分とする樹脂組成物から形成され
    前記エチレン系樹脂(A)が、メタロセン触媒により重合されたエチレン-αオレフィン共重合体であることを特徴とする表面保護フィルム。
  2. 前記中間層が、表面保護フィルムを形成する他の樹脂層より厚いことを特徴とする請求項1記載の表面保護フィルム。
  3. 背面層が、低密度ポリエチレンからなることを特徴とする請求項1または2記載の表面保護フィルム。
  4. 前記エチレン系樹脂(A)が、密度930kg/m以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
  5. 前記樹脂組成物が、前記エチレン系樹脂(A)とは異なる低密度ポリエチレン(B)を副成分として含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
  6. 位相差フィルムの表面に請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表面保護フィルムが貼合されたことを特徴とする積層体。
  7. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表面保護フィルムの製造方法において、粘着層用樹脂組成物と中間層用樹脂組成物と背面層用樹脂組成物とをT型ダイスから共押出し、冷却ロールとニップロールとにより挟持することを特徴とする表面保護フィルムの製造方法。
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