本発明に係る作業支援システムの実施形態を図面に基づいて説明する。
この作業支援システムは、図1に示すように、収穫機として自脱型のコンバイン1を適用しているが、普通型のコンバイン、その他野菜収穫機を適用することもできる。
コンバイン1は、左右一対のクローラ式の走行部2を有する走行機体3の前部に、圃場の複数条の穀稈を刈り取りながら後方に合流搬送する刈取部4(収穫部に相当する)が昇降自在に連結されている。走行機体3の上部の左側(本実施形態では、前進方向に対する走行機体3の左右方向を基準にして左側、右側として記載する)には、刈取部4から搬送供給される穀稈を脱穀選別処理する脱穀部5が配設されている。脱穀部5の左側には、穀稈の株元を挾持して穂先を脱穀部5の扱室43(図4参照)内に供給した横臥姿勢で後方に搬送するフィードチェーン装置6Aが配設されている。脱穀部5の後部には、フィードチェーン装置6Aの後端から横臥姿勢の穀稈を受け継いで右後方に搬送する排藁チェーン装置6Bと、その排藁チェーン装置6Bで搬送されてくる排藁を細断処理する排藁処理部7が配設されている。
走行機体3の上部の右側前部にはキャビン8が配設されている。キャビン8内の運転部には、図示は省略するが、運転席とハンドル、それ以外に走行レバー、変速レバー、作業クラッチレバー等の各種操作具が設けられている。走行機体3の上部の右側後部には、脱穀部5で脱穀選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク9と、グレンタンク9内の穀粒を機体の外部に排出する穀粒排出オーガ10とが配設されている。
コンバイン1は、エンジン等の駆動源(図示せず)からの動力を各部に伝達することで、走行機体3を走行部2にて走行させるとともに、圃場の穀稈を刈取部4により刈り取り、刈り取られた穀稈を脱穀部5にて脱穀選別し、選別された穀粒を搬送してグレンタンク9に貯留している。
刈取部4は、図1及び図2に示すように、走行機体3の前端部に刈取フレーム21が備えられ、刈取フレーム21は、昇降シリンダ32の作動により走行機体3に対して昇降自在に連結されている。刈取フレーム21には、分草体22、引起装置23、掻込搬送装置24、刈刃装置25、下部搬送装置26、上部搬送装置27、株元縦搬送装置28、穂先搬送装置29、及び、補助搬送装置30等が支持されている。
なお、下部搬送装置26、上部搬送装置27、株元縦搬送装置28、穂先搬送装置29、補助搬送装置30、フィードチェーン装置6A、及び、排藁チェーン装置6Bが、搬送部に相当する。
分草体22は、圃場の刈取対象条の穀稈を一条毎に分草する。引起装置23は、分草後の穀稈を後方上方に挟持搬送して引き起こす。掻込搬送装置24は、引き起こされた穀稈の株元を後方上方に掻き込む。刈刃装置25は、掻き込まれた複数条分の穀稈の株元を切断する。下部搬送装置26は、刈り取った穀稈の株元を挾持して後方上方に搬送する。上部搬送装置27は、刈り取った穀稈の穂先を挟持して後方上方に搬送する。株元縦搬送装置28は、下部搬送装置26から受け継いだ複数条分の穀稈の株元を挾持して、穂先搬送装置29との協働で穀稈を起立姿勢から横臥姿勢に姿勢変更させながら後方上方に搬送して、補助搬送装置30を介して、複数条分の穀稈の株元をフィードチェーン装置6Aに供給する。穂先搬送装置29は、上部搬送装置27から受け継いだ複数条分の穀稈の穂先を挟持して後方上方に搬送する。補助搬送装置30は、株元縦搬送装置28から受け継いだ複数条分の株元を挾持してフィードチェーン装置6Aに受け渡して脱穀部5の穀稈供給口まで搬送供給する。
このようにして、刈刃装置25にて株元が切断された穀稈は、起立姿勢にて下部搬送装置26及び上部搬送装置27により挟持された状態で後方上方側に搬送され、株元縦搬送装置28及び穂先搬送装置29により挟持された状態で起立姿勢から横臥姿勢に姿勢変更され、補助搬送装置30を介して、フィードチェーン装置6Aに供給されている。
株元縦搬送装置28には、扱ぎ深さ調整用アクチュエータ31が備えられ、扱ぎ深さ調整用アクチュエータ31を作動させることで、図2中矢印と点線にて示すように、株元縦搬送装置28の搬送終端部を上下揺動自在に構成されている。株元縦搬送装置28の搬送終端部が、補助搬送装置30の搬送始端部に対して上下揺動することで、補助搬送装置30による穀稈の株元側の挟持位置を調整して、受け継がれるフィードチェーン装置6Aによる穀稈の株元側の挟持位置を調整自在に構成されている。このように、フィードチェーン装置6Aによる穀稈の株元側の挟持位置を調整することで、脱穀部5に対する穀稈の扱ぎ深さを調整自在に構成されている。
脱穀部5は、図4に示すように、フィードチェーン装置6Aに加えて、扱胴41及び受網42を備えている。フィードチェーン装置6Aは、扱胴41の左側方の外部側において、機体前後方向に延びるように配設されている。扱胴41は、扱室43において、機体前後方向に沿う軸心周りで回転自在に備えられている。受網42は、扱胴41の外周面に沿って下方から扱胴41を覆う状態で配設されている。
脱穀部5の下方側には、選別部44が備えられている。選別部44は、揺動選別装置45と風選別装置46と穀粒搬送装置47とを備えている。揺動選別装置45は、脱穀部5の扱胴41及び受網42の下方側に配設されている。揺動選別装置45は、前フィードパン48と後フィードパン49とチャフシーブ50とグレンシーブ51とストローラック52とを備えている。ちなみに、図4では、選別部44における揺動選別装置45、風選別装置46、及び、穀粒搬送装置47についての構成の一例を示しており、他の構成を採用することもできる。
風選別装置46は、唐箕ファン53とプレファン54とセカンドファン55と吸引ファン56とを備えている。揺動選別装置45の下方側において、機体前方側から、プレファン54、唐箕ファン53、セカンドファン55の順に配設されている。吸引ファン56は、揺動選別装置45の後部上方側に配設されている。
穀粒搬送装置47は、一番搬送装置57と二番搬送装置58と一番揚穀装置59と二番還元装置60とを備えている。一番搬送装置57と二番搬送装置58は、揺動選別装置45の下方側に配設され、一番揚穀装置59と二番還元装置60は、揺動選別装置45の右側方に配設されている。
脱穀部5での脱穀、及び、選別部44での選別について説明する。
脱穀部5では、図1に示すように、刈取部4から搬送される刈り取られた穀稈が、その株元でフィードチェーン装置6Aにより受け継がれて、排藁処理部7に向かって後方側に搬送される。この搬送中には、図4に示すように、穀稈の穂先部が扱胴41により脱穀され、穀粒と不要物(藁屑や塵埃等)とを含む処理物が受網42より漏下し、選別部44へ落下する。
選別部44では、図4に示すように、揺動選別装置45が揺動機構により揺動されることで、処理物が前後のフィードパン48,49により均平化されて比重選別される。前フィードパン48による選別後のものが、チャフシーブ50により粗選別される。後フィードパン49による選別後のものが、グレンシーブ51により選別される。チャフシーブ50による選別後のものが、グレンシーブ51と唐箕ファン53、プレファン54及びセカンドファン55からの選別風とにより精選別される。
チャフシーブ50及びグレンシーブ51から落下する穀粒や藁屑等が、唐箕ファン53及びプレファン54からの選別風により精選別される。このとき、比重が大きく重い穀粒は、一番物として選別風に逆らって落下し、一番搬送装置57に供給される。これよりも比重が小さく軽いものは、唐箕ファン53及びプレファン54からの選別風により、さらにはセカンドファン55からの選別風により二番搬送装置58の上方へ向けて飛ばされる。
この飛ばされたものの中でも比較的重いもの、例えば枝梗付穀粒は、二番物として落下し、二番搬送装置58に供給される。これを除いたものは、唐箕ファン53、プレファン54及びセカンドファン55からの選別風によりストローラック52へ向けてさらに飛ばされる。そのうちの藁屑は、ストローラック52によりほぐされ、藁屑の中にある穀粒が、二番物として落下し、二番搬送装置58に供給される。他の塵埃等は、吸引ファン56により吸引されて排出される。
一番物は、一番搬送装置57により一番揚穀装置59に搬送され、一番揚穀装置59によりグレンタンク9に搬送されて貯留される。二番物は、二番搬送装置58により二番還元装置60に搬送され、二番還元装置60により脱穀部5の扱室43又は揺動選別装置45の上方空間へ搬送され、脱穀されて、又は脱穀されずに、揺動選別装置45及び風選別装置46により再選別される。
コンバイン1には、図7に示すように、走行部2や刈取部4等の各部を制御可能な制御部100が備えられており、制御部100に対して各種のセンサの検出情報が入力可能に構成されている。制御部100は、各種のセンサの検出情報に基づいて、各部の作動を制御することで、コンバイン1を制御している。
各種のセンサとして、例えば、刈取部4にて穀稈を刈り取る刈取高さを検出する刈取高さ検出センサ81、刈取部4にて刈り取った穀稈の有無を検出する穀稈検出センサ82、脱穀部5に供給される穀稈の扱ぎ深さを検出する扱ぎ深さ検出センサ83、前後方向での走行機体3の姿勢状態を検出する前後姿勢状態検出センサ85、左右方向での走行機体3の姿勢状態を検出する左右姿勢状態検出センサ86、コンバイン1(走行機体3)の車速を検出する車速センサ87、コンバイン1にて収穫された穀粒量を検出する穀粒量検出センサ88、刈取部4にて刈り取られた穀稈の量を検出する藁量検出センサ90(作物束の量を検出する束量検出部に相当する)等が備えられている。
刈取高さ検出センサ81は、例えば、刈取部4の下端部等に備えられ、作業地となる圃場等の圃場表面(作業地表面)に対する刈取部4の高さを検出することで、刈取部4による刈取高さを検出する。穀稈検出センサ82は、例えば、刈取部4にて刈り取った穀稈を搬送する搬送経路上に備えられ、穀稈に接触するか否かによって穀稈の有無を検出する。前後姿勢状態検出センサ85は、前後方向における走行機体3の傾斜角度等から前後方向での走行機体3の姿勢状態を検出する。左右姿勢状態検出センサ86は、左右方向における走行機体3の傾斜角度等から左右方向での走行機体3の姿勢状態を検出する。
扱ぎ深さ検出センサ83は、図3に示すように、例えば、脱穀部5の扱室43への穀稈供給口よりも穀稈の搬送方向の手前箇所に備えられ、長稈センサ83aと短稈センサ83bを有している。扱ぎ深さ検出センサ83は、水平方向において、フィードチェーン装置6Aから一定の所定距離だけ離れた位置に配置され、長稈センサ83aが短稈センサ83bよりもフィードチェーン装置6Aから離れる側に配置されている。フィードチェーン装置6Aにて扱室43内に供給される穀稈の扱ぎ深さが所定扱ぎ深さである場合に、短稈センサ83bのみが穀稈を検出するように、長稈センサ83a、短稈センサ83b及びフィードチェーン装置6Aの水平方向における配置関係が設定されている。フィードチェーン装置6Aにて扱室43内に供給される穀稈の扱ぎ深さが所定扱ぎ深さよりも深い場合には、長稈センサ83a及び短稈センサ83bの両方のセンサが穀稈を検出する。逆に、フィードチェーン装置6Aにて扱室43内に供給される穀稈の扱ぎ深さが所定扱ぎ深さよりも浅い場合には、長稈センサ83a及び短稈センサ83bの両方のセンサが穀稈を検出しない。このようにして、扱ぎ深さ検出センサ83は、フィードチェーン装置6Aにて扱室43内に供給される穀稈の扱ぎ深さが所定扱ぎ深さであるか否か、及び、所定扱ぎ深さでない場合には深い側であるか浅い側であるかを検出している。
穀粒量検出センサ88は、図5に示すように、グレンタンク9内の上部に備えられている。グレンタンク9に穀粒を供給する一番揚穀装置59は、上下方向においてグレンタンク9まで延びる揚穀筒71と、駆動源の回転駆動力によって回転駆動される揚穀軸72と、その揚穀軸72に螺旋状に設けられた揚穀搬送体73と、その揚穀搬送体73によって送られてきた穀粒を跳ね飛ばす放出羽根74とを備えている。穀粒量検出センサ88は、例えば、歪みゲージや圧電素子等であり、放出羽根74にて跳ね飛ばされた穀粒が衝突した際の衝撃力を検出することで、グレンタンク9に貯留される穀粒の穀粒量を検出している。穀粒量検出センサ88は、グレンタンク9に貯留される穀粒の穀粒量を所定時間にて積算することで、所定時間毎にグレンタンク9に貯留される穀粒量を時系列的に検出している。ちなみに、所定時間内の穀粒量を求める際に、所定時間内の衝撃力を積算することで、所定時間内の穀粒量を求めることができる。また、例えば、所定時間を複数の周期に区分けし、衝撃力が設定値以上の周期のみ、その衝撃力を積算することで、外乱の影響等を除外した状態で所定時間内の穀粒量を求めることもできる。
穀粒量検出センサ88については、衝撃力を検出するものに限らず、例えば、グレンタンク9に貯留される穀粒の重さを検出することで、グレンタンク9に貯留される穀粒の穀粒量を検出することもできる。
藁量検出センサ90は、図6に示すように、排藁チェーン装置6Bの下方に備えられている。
コンバイン1には、排藁チェーン装置6Bに対向するように配置された挟扼杆91が備えられており、排藁チェーン装置6Bと挟扼杆91で作物Sとしての排藁を挟み込んだ状態で排藁チェーン装置6Bが駆動することで、排藁が搬送されるように構成されている。ここで、挟扼杆91は、支持軸92によって支持されるとともに、付勢部材93によって排藁チェーン装置6Bに近づく方向に付勢されている。これにより、搬送される排藁の量(厚み)に応じて、挟扼杆91及び支持軸92は、支持軸92の軸方向に移動する。そこで、その支持軸92の挟扼杆91と反対側の端部に藁量検出センサ90が設けられている。
藁量検出センサ90は、アーム部90aと角度センサ90bとから構成されている。アーム部90aは、支持軸92の位置に応じて回動するように構成されている。角度センサ90bは、アーム部90aの回動角を検出する。以上により、藁量検出センサ90は、作物束の量としての排藁量、及び、その時間変化を検出することができる。
図7に示すように、制御部100は、刈取高さ検出センサ81にて検出される刈取高さが所定刈取高さになるように、昇降シリンダ32の作動を制御している。上述の如く、図1及び図2に示すように、刈取部4は、刈取フレーム21が昇降シリンダ32により昇降自在に備えられているので、制御部100は、昇降シリンダ32の作動を制御することで、刈取部4の高さを制御することができる。
図7に示すように、制御部100は、穀稈検出センサ82の検出情報に基づいて、刈取部4にて実際に作物を刈り取っている刈取中であるか否かを把握しているとともに、穀粒量検出センサ88の検出情報に基づいて、コンバイン1にて収穫された穀粒量を時系列的に把握している。
制御部100は、扱ぎ深さ検出センサ83の検出情報に基づいて、フィードチェーン装置6Aにて扱室43内に供給される穀稈の扱ぎ深さが一定の所定扱ぎ深さになるように、扱ぎ深さ調整用アクチュエータ31の作動を制御している。上述の如く、図2に示すように、扱ぎ深さ調整用アクチュエータ31を作動させて、株元縦搬送装置28の搬送終端部を、補助搬送装置30の搬送始端部に対して上下揺動させることで、補助搬送装置30を介して、フィードチェーン装置6Aによる穀稈の株元側の挟持位置を調整して、扱室43内に対する穀稈の扱ぎ深さを調整自在としている。そこで、扱ぎ深さ検出センサ83にて検出する扱ぎ深さが所定扱ぎ深さよりも浅い側である場合には、制御部100が、穀稈の扱ぎ深さが深い側に調整されるように、扱ぎ深さ調整用アクチュエータ31を作動させて、穀稈の扱ぎ深さを一定量深い側に調整して、穀稈の扱ぎ深さを所定扱ぎ深さとしている。逆に、扱ぎ深さ検出センサ83にて検出する扱ぎ深さが所定扱ぎ深さよりも深い側である場合には、制御部100が、穀稈の扱ぎ深さが浅い側に調整されるように、扱ぎ深さ調整用アクチュエータ31を作動させて、穀稈の扱ぎ深さを一定量浅い側に調整して、穀稈の扱ぎ深さを所定扱ぎ深さに調整している。
制御部100は、前後姿勢状態検出センサ85の検出情報に基づいて、前後方向での走行機体3の姿勢(傾斜角度)が所定姿勢(所定角度)になるように、前後姿勢変更部11の作動を制御している。図示は省略するが、左右の走行部2の夫々には、前後方向での走行機体3の姿勢を変更するためのピッチングシリンダ等を有する前後姿勢変更部11が備えられている。そこで、制御部100が、前後姿勢状態検出センサ85の検出情報に基づいて、左右の走行部2の夫々における前後姿勢変更部11の作動を制御することで、前後方向での走行機体3の姿勢を所定姿勢に制御している。
制御部100は、左右姿勢状態検出センサ86の検出情報に基づいて、左右方向での走行機体3の姿勢(傾斜角度)が所定姿勢(所定角度)になるように、左右姿勢変更部12の作動を制御している。図示は省略するが、左右の走行部2の夫々には、走行機体3の高さを変更するためのローリングシリンダ等を有する左右姿勢変更部12が備えられている。そこで、制御部100が、左右姿勢状態検出センサ86の検出情報に基づいて、左右の走行部2の夫々における走行機体3の高さを調整するように、左右姿勢変更部12の作動を制御することで、左右方向での走行機体3の姿勢を所定姿勢に制御している。
コンバイン1には、上述のセンサに加えて、図7に示すように、作物の草高(圃場等の作業地の地面から作物の上端部までの高さ)を検出する草高検出センサ89が備えられている。草高検出センサ89は、図1に示すように、例えば、キャビン8の前上端部に備えられており、走行機体3よりも前方側の作物を含む所定範囲に対してレーザを照射し、作物等からの反射の度合いに応じて作物までの距離を検出するレーザレンジファインダー等にて構成することができる。これにより、制御部100は、草高検出センサ89の検出情報に基づいて、作物の草高を把握している。
コンバイン1には、図7に示すように、測位衛星から送信される測位データを受信する測位アンテナ13、測位アンテナ13にて受信される測位データからコンバイン1の現在位置を示すコンバイン1の位置情報を取得する位置情報取得部101が備えられている。ちなみに、位置情報取得部101は、単独測位や相対測位により、コンバイン1の位置情報として、コンバイン1の現在の緯度・経度情報を取得している。
制御部100は、位置情報取得部101にてコンバイン1の位置情報を取得しているので、刈取部4にて作物を刈り取った複数の刈取位置の夫々を把握できるとともに、穀粒量検出センサ88の検出情報に基づいて、コンバイン1にて収穫した穀稈の穀粒量を時系列的に把握している。刈取位置の位置情報について、制御部100は、位置情報取得部101により、コンバイン1において測位アンテナ13が配置された位置情報を取得している。コンバイン1の前後方向において、刈取部4による刈取位置から刈取部4の後端部(キャビン8の前端部)までの距離、及び、刈取部4の後端部(キャビン8の前端部)から測位アンテナ13の配置位置までの距離は規定値である。よって、制御部100は、この規定値と位置情報取得部101により取得される測位アンテナ13の位置情報から刈取位置を求めることができる。これにより、制御部100は、コンバイン1の位置情報と穀粒量検出センサ88にて検出した穀稈の穀粒量とを関連付けることで、穀粒量検出センサ88にて検出される穀粒量のうちから、コンバイン1が特定位置に位置して作物を刈取部4にて刈り取ったときの穀稈の穀粒量を特定することができ、圃場等の作業地おいてどの刈取位置でどれだけの穀粒量を得たかを把握することができる。
コンバイン1では、刈取部4にて刈り取られた穀稈に含まれる穀粒が、脱穀部5での脱穀及び選別部44での選別を経て、グレンタンク9に搬送されて穀粒量検出センサ88にて穀粒量が検出される。よって、位置情報取得部101にて刈取位置を取得したタイミングから、穀粒量検出センサ88にて穀粒量を検出するタイミングまでに時間遅れが生じる。そこで、制御部100は、コンバイン1の位置情報と穀粒量検出センサ88にて検出した穀粒量とを関連付けるに当たり、この時間遅れを考慮して、コンバイン1の位置情報と穀粒量検出センサ88にて検出した穀粒量とを関連付けている。
制御部100は、刈取部4にて刈り取られた作物の搬送速度等を用いて、位置情報取得部101にて刈取位置を取得したタイミングから穀粒量検出センサ88にて穀粒量を検出するタイミングまでの作物の搬送時間を求めることができる。搬送速度については、例えば、実験等により予め求めたものを用いたり、駆動源の回転速度や各部の作動状態、及び、処理対象の作物の量等に基づいて求めることもできる。そこで、制御部100は、求めた搬送時間が時間遅れに相当するとして、位置情報取得部101にて取得された刈取位置と、その刈取位置を取得したタイミングから搬送時間だけ遅れたタイミングにて穀粒量検出センサ88にて検出された穀粒量とを関連付けている。
このような関連付けを行うことで、制御部100は、穀粒量検出センサ88にて検出される穀粒量のうちから、コンバイン1が特定位置に位置するときに刈り取った穀稈の穀粒量を特定して、圃場等の作業地においてどの刈取位置でどれだけの穀粒量を得たかを把握している。よって、図示は省略するが、制御部100は、圃場等の作業地において、どの刈取位置でどれだけの穀粒量を収穫できたかを示す作業地の穀粒量画像情報を生成することができ、その穀粒量画像情報を表示装置14等の各種の装置に出力可能に構成されている。また、制御部100は、位置情報取得部101にて取得された刈取位置と穀粒量検出センサ88にて検出された穀粒量とを関連付けた情報や、穀粒量画像情報等を記憶部107に記憶させている。
この実施形態では、コンバイン1にて収穫される作物の穀粒量に加えて、コンバイン1にて収穫される作物の茎数(穀稈等の作物束を構成する茎の本数)を求めており、そのために、図7に示すように、コンバイン1には、茎数算出部102が備えられている。
茎数算出部102は、藁量検出センサ90にて検出された作物束の量と作物の種別情報とに基づいて作物の茎数を算出している。作物の種別情報は、例えば、作物が稲であるか、大豆であるか、麦であるか等の情報であり、ユーザにて任意に設定されるようになっている。また、作物の種別毎の茎1本当たりの量(厚み)等、作物の種別毎に作物束の量を茎数に換算するための換算テーブルが備えられている。例えば、換算テーブルが作物の種別毎の茎1本当たりの量(厚み)である場合には、藁量検出センサ90にて検出された作物束の量(厚み)を、設定されている作物種の茎1本当たりの量(厚み)で除した上で所定の係数を乗じる等により作物束の茎数を求めることができる。所定の係数は、例えば、藁量検出センサ90による作物束の量(厚み)の検出時に、排藁チェーン装置6Bと挟扼杆91とによる挟持力や重力等で作物束が圧縮されていることを考慮して補正するための係数とすることができる。よって、茎数算出部102は、作物束の量と作物の種別情報とに基づいて作物の茎数を算出することができる。
ここで、作物は、一般的に先端側(穂先側)ほど茎が細くなるなど長さ方向の位置が変われば茎の太さが相違するので、作物束の長さ方向において藁量検出センサ90により検出する藁量検出位置が変化すれば、検出される作物束の量も変化すると考えられる。
そこで、茎数算出部102は、藁量検出センサ90にて検出された作物束の量(厚み)と作物の種別情報に加えて、作物束の長さ方向における藁量検出位置にも基づいて作物の茎数を算出している。この場合、換算テーブルには、作物の種別毎の茎1本当たりの量(厚み)が、作物束の長さ方向における藁量検出位置毎に設定されており、作物の種別に加えて作物束の長さ方向における藁量検出位置をも加味して正確に茎数を算出することができる。例えば、作物束の長さ方向における藁量検出位置は、作物束の根元からどのような位置にあるかを示すように、作物束の根元から藁量検出位置までの長さとして特定したり、作物束の草丈(全長)に対してどのような位置にあるかを示すように、作物束の草丈に占める作物束の根元から藁量検出位置までの長さの割合として特定することができる。
作物束の長さ方向における藁量検出位置を、作物束の草丈に占める作物束の根元から藁量検出位置までの長さの割合として特定する場合は、作物束の草丈と、作物束の根元から藁量検出位置までの長さとを算出した上で、それら算出値に基づいて算出することができる。以下、図8に基づいて説明を加える。
まず、作物束の草丈の算出方法について説明する。
作物Sにおいて、刈取部4の刈取位置をP1とすると、刈取高さ検出センサ81にて検出される刈取高さはL1となる。作物Sにおける刈取位置P1よりも穂先側の穀稈が脱穀部5の扱室43内に供給されて脱穀される。脱穀部5にて穀稈を脱穀する際には、フィードチェーン装置6Aにて穀稈の株元側を挟持する状態で脱穀部5の穀稈供給口まで穀稈を搬送供給している。このとき、上述の如く、制御部100は、扱ぎ深さ検出センサ83の検出情報に基づいて、フィードチェーン装置6Aにて扱室43内に供給される穀稈の扱ぎ深さが一定の所定扱ぎ深さになるように、扱ぎ深さ調整用アクチュエータ31の作動を制御している。これにより、フィードチェーン装置6Aの位置は扱室43に対して固定されているので、フィードチェーン装置6Aによる挟持位置をP2とすると、その挟持位置P2から穀稈の先端部(上端部)までの長さL3は一定の長さになる。この長さL3は、扱室43とフィードチェーン装置6Aとの間の距離等、装置毎の配置関係に基づく一定の配置ズレ量に、一定の所定扱ぎ深さを加えたものとなる。
以上のことから、L1は、刈取高さ検出センサ81にて検出される刈取高さであり、L3は、一定の所定扱ぎ深さ及び一定の配置ズレ量から求めることができる一定の長さであるので、刈取位置P1からフィードチェーン装置6Aによる挟持位置P2までの長さL2が分かれば、茎数算出部102は、作物S(作物束)の草丈を算出することができる。
上述の如く、刈取部4にて刈り取られた穀稈は、図2に示すように、下部搬送装置26及び上部搬送装置27により挟持された状態で搬送され、株元縦搬送装置28及び穂先搬送装置29により挟持された状態で姿勢変更され、補助搬送装置30を介して、最終的にフィードチェーン装置6Aにて挟持された状態で搬送される。下部搬送装置26にて穀稈の株元側を挟持搬送し、そのまま受け継がれて株元縦搬送装置28にて穀稈の株元側を挟持搬送するので、株元縦搬送装置28による挟持位置は刈取位置P1に対して一定の距離を隔てた挟持位置となる。つまり、穀稈の株元側は、下部搬送装置26、株元縦搬送装置28の順に受け継がれるが、そのときの挟持位置は、刈取高さに対する搬送装置の配置関係や各搬送装置の配置関係に応じた一定の配置ズレ量だけずれることになり、株元縦搬送装置28による挟持位置は、刈取位置P1に対して一定の配置ズレ量だけずれた位置となる。よって、刈取位置P1及び配置ズレ量を用いて、株元縦搬送装置28による挟持位置がどのような位置となっているかを求めることができる。
しかしながら、制御部100が、扱ぎ深さ検出センサ83の検出情報に基づいて、フィードチェーン装置6Aにて扱室43内に供給される穀稈の扱ぎ深さが一定の所定扱ぎ深さになるように、扱ぎ深さ調整用アクチュエータ31の作動を制御するので、フィードチェーン装置6Aによる挟持位置P2は、扱ぎ深さ調整用アクチュエータ31による一定の扱ぎ深さ調整量だけ、株元縦搬送装置28による挟持位置から一定量だけ変更されることになる。そこで、茎数算出部102は、株元縦搬送装置28による挟持位置に加えて、扱ぎ深さ調整用アクチュエータ31による一定の扱ぎ深さ調整量を用いることで、刈取位置P1からフィードチェーン装置6Aの挟持位置P2までの長さL2を求めることができる。よって、茎数算出部102は、各長さL1~L3を加算することで、作物Sの草丈Lを求めている。
このようにして、茎数算出部102は、刈取高さ検出センサ81にて検出される刈取高さに加えて、一定の所定扱ぎ深さ、扱ぎ深さ調整用アクチュエータ31による一定の扱ぎ深さ調整量、及び、各装置の配置関係に応じた配置ズレ量を含む扱ぎ深さ情報に基づいて、作物Sの草丈Lを求めている。
次に、作物束の根元から藁量検出センサ90による藁量検出位置までの長さの算出方法について説明する。
作物Sは、刈取部4にて刈り取られ、フィードチェーン装置6A、排藁チェーン装置6Bと順に受け継がれて、排藁チェーン装置6Bでの作物束の挟持量を検出する藁量検出センサ90にて検出される。
そのため、作物Sの長さ方向における藁量検出位置は、フィードチェーン装置6Aによる挟持位置P2から受け継がれた排藁チェーン装置6Bによる挟持位置Pfとなる。ここで、フィードチェーン装置6Aによる挟持位置P2から排藁チェーン装置6Bによる挟持位置Pfまでの長さL4は、フィードチェーン装置6Aと排藁チェーン装置6Bとの配置関係から求めることができる一定の長さである。
よって、作物Sの根元から藁量検出位置までの長さLfは、刈取高さ検出センサ81にて検出される刈取高さL1と、刈取位置P1からフィードチェーン装置6Aによる挟持位置P2までの長さL2と、フィードチェーン装置6Aによる挟持位置P2から排藁チェーン装置6Bによる挟持位置Pfまでの長さL4の合計となる。茎数算出部102は、各長さL1,L2,L4を加算することで、作物束の根元から藁量検出位置までの長さLfを求めている。
このようにして、茎数算出部102は、刈取高さ検出センサ81にて検出される刈取高さ、扱ぎ深さ調整量検出センサ84(扱ぎ深さ情報取得部に相当する)にて検出する扱ぎ深さ調整量、及び、フィードチェーン装置6Aと排藁チェーン装置6Bの配置関係から求められる搬送受け継ぎ情報に基づいて、作物束の根元から藁量検出センサ90による藁量検出位置までの長さLfを求めている。
そして、茎数算出部102は、例えば、作物束の根元から藁量検出位置までの長さLfを作物Sの草丈Lにて除する等により、作物束の長さ方向における藁量検出位置として、作物束の草丈Lに占める作物束の根元から藁量検出位置までの長さLfの割合を求めている。上述の如く、作物の種別毎に作物束の量を茎数に換算するための換算テーブルには、作物の種別毎の茎1本当たりの量(厚み)が、作物束の長さ方向における藁量検出位置毎に設定されているので、茎数算出部102は、藁量検出センサ90にて検出された作物束の量(厚み)と作物の種別情報に加えて、この作物束の長さ方向における藁量検出位置にも基づいて、作物の茎数を算出している。茎数算出部102は、作物の茎数を時系列的に算出しており、例えば、単位時間当たりの作物の茎数を算出している。
上述の如く、制御部100は、前後姿勢状態検出センサ85の検出情報に基づいて、前後方向での走行機体3の姿勢(傾斜角度)が所定姿勢(所定角度)になるように、前後姿勢変更部11の作動を制御しているので、前後方向での走行機体3の姿勢は所定姿勢に制御されている。しかしながら、前後方向での走行機体3(コンバイン1)の姿勢が所定姿勢から多少ずれていたり、所定姿勢自体を前後方向で傾いた姿勢とすることもある。このような場合には、前後方向でのコンバイン1の姿勢が、前方側部位が後方側部位よりも上方側に位置する前上がり姿勢や、前方側部位が後方側部位よりも下方側に位置する前下がり姿勢となることがある。
ここで、刈取高さ検出センサ81の検出位置は、穀稈の刈取位置よりも前方側となっており、刈取高さ検出センサ81の検出位置と穀稈の刈取位置とは、コンバイン1の前後方向において、同じ位置ではなく、多少異なった位置となっている。よって、前後方向でのコンバイン1の姿勢が前上がり姿勢となると、刈高さ検出センサ81にて検出される刈取高さが実際に刈取部4にて作物を刈り取る刈取高さよりも高い値になることがある。逆に、前後方向でのコンバイン1の姿勢が前下がり姿勢となると、刈高さ検出センサ81にて検出される刈取高さが実際に刈取部4にて作物を刈り取る刈取高さよりも低い値になることがある。
そこで、上述の如く、茎数算出部102は、刈取高さ情報や扱ぎ深さ情報、搬送受け継ぎ情報に基づいて、作物束の長さ方向における藁量検出位置を算出した上で、作物の茎数を算出するだけでなく、刈取高さ情報や扱ぎ深さ情報、搬送受け継ぎ情報に加えて、前後姿勢状態検出センサ85及び左右姿勢状態検出センサ86(姿勢情報取得部に相当する)の検出情報から取得されるコンバイン1の姿勢情報に基づいて、作物束の長さ方向における藁量検出位置を算出した上で、作物の茎数を算出することもできるようにしている。
例えば、茎数算出部102は、前後姿勢状態検出センサ85にて前上がり姿勢を検出すると、刈取高さ検出センサ81にて検出される刈取高さに係数を掛けて低くなる側に補正し、補正後の刈取高さを用いて、作物束の長さ方向における藁量検出位置を算出した上で、作物の茎数を算出することができる。このときの係数は、例えば、前上がり姿勢の傾斜角度が大きくなるほど、刈取高さ検出センサ81にて検出される刈取高さをより低くなる側に補正するための係数とすることができる。また、茎数算出部102は、前後姿勢状態検出センサ85にて前下がり姿勢を検出すると、刈取高さ検出センサ81にて検出される刈取高さに係数を掛けて高くなる側に補正し、補正後の刈取高さを用いて、作物束の長さ方向における藁量検出位置を算出した上で、作物の茎数を算出することができる。このときの係数は、例えば、前下がり姿勢の傾斜角度が大きくなるほど、刈取高さ検出センサ81にて検出される刈取高さをより高くなる側に補正するための係数とすることができる。
コンバイン1の姿勢については、前後方向だけでなく、左右方向において右側部位と左側部位との一方側が他方側よりも下方側に位置する左右傾斜姿勢となる場合もある。上述の如く、制御部100は、左右姿勢状態検出センサ86の検出情報に基づいて、左右方向での走行機体3の姿勢(傾斜角度)が所定姿勢(例えば、作業地表面に対して水平となる姿勢)になるように、左右姿勢変更部12の作動を制御しているが、前後方向と同様に、左右方向での走行機体3(コンバイン1)の姿勢が所定姿勢から多少ずれていたり、所定姿勢自体を圃場表面(作業地表面)に対して左右方向で傾いた姿勢とすることもある。
コンバイン1の姿勢が左右傾斜姿勢となると、左右方向において右側部位と左側部位とのうち、下方側に位置する部位の方が刈取位置がより低い位置となることが考えられる。よって、左右方向において右側部位と左側部位とのうち、下方側に位置する部位の方が刈取位置がより低い位置となると、長さの長い穀稈と長さの短い穀稈とが混在することが考えられる。
上述の如く、制御部100は、扱ぎ深さ検出センサ83の検出情報に基づいて、穀稈の扱ぎ深さが一定の所定扱ぎ深さになるように、扱ぎ深さ調整用アクチュエータ31の作動を制御している。この制御を行う際に、長さの長い穀稈と長さの短い穀稈とが混在している場合には、制御部100が、長さの長い穀稈に合わせて、穀稈の扱ぎ深さが一定の所定扱ぎ深さになるように、扱ぎ深さ調整用アクチュエータ31の作動を制御している。
そこで、長さの長い穀稈と長さの短い穀稈とが混在している場合には、茎数算出部102が作物束の長さ方向における藁量検出位置を算出した上で、作物の茎数を算出するに当たり、長さの長い穀稈を基準として、作物束の長さ方向における藁量検出位置を算出した上で、作物の茎数を算出するようにしている。例えば、刈取高さ検出センサ81の検出位置がコンバイン1の左右方向の中央部となっている場合に、コンバイン1の姿勢が左右傾斜姿勢となると、左右方向において右側部位と左側部位とのうち、下方側に位置する部位では、実際に刈取部4にて作物を刈り取る刈取高さが、刈取高さ検出センサ81にて検出される刈取高さよりも低くなる。
よって、コンバイン1の姿勢が左右傾斜姿勢となる場合には、茎数算出部102が、左右方向において右側部位と左側部位とのうち、下方側に位置する部位を刈取位置とするために、刈取高さ検出センサ81にて検出される刈取高さに係数を掛けて高くなる側に補正し、補正後の刈取高さを用いて、作物束の長さ方向における藁量検出位置を算出した上で、作物の茎数を算出することができる。このときの係数は、例えば、左右傾斜姿勢の傾斜角度が大きくなるほど、刈取高さ検出センサ81にて検出される刈取高さをより高くなる側に補正するための係数とすることができる。
このように、コンバイン1の姿勢が左右傾斜姿勢となる場合には、茎数算出部102は、刈取高さ情報や扱ぎ深さ情報、搬送受け継ぎ情報に加えて、前後姿勢状態検出センサ85及び左右姿勢状態検出センサ86(姿勢情報取得部に相当する)の検出情報から取得されるコンバイン1の姿勢情報に基づいて、作物束の長さ方向における藁量検出位置を算出した上で、作物の茎数を算出することもできるようにしている。
以上の如く、コンバイン1の姿勢が前後方向において前上がり姿勢や前下がり姿勢になる場合、及び、コンバイン1の姿勢が左右方向において左右傾斜姿勢となる場合には、刈取高さ検出センサ81にて検出される刈取高さが、実際に刈取部4にて作物を刈り取る刈取高さから多少ずれることが考えられる。そこで、茎数算出部102は、前後姿勢状態検出センサ85及び左右姿勢状態検出センサ86の検出情報に基づいて、刈取高さ検出センサ81にて検出される刈取高さを補正することで、コンバイン1の姿勢情報も考慮して、より正確に作物束の長さ方向における藁量検出位置を算出した上で、作物の茎数を算出することができる。
茎数算出部102は、作物の茎数を時系列的に算出しているので、例えば、図9に示すように、作物の茎数の時間経過に伴う変化を示すグラフ情報を出力することができ、そのグラフ情報を表示装置14に出力して、表示装置14にグラフ情報を表示させることができる。作物や品種によっては高品質な穀粒を実らせるために適切な基準茎数が存在するので、図9では、作物の茎数が基準茎数に対してどのような数であるかが把握できるように、標準茎数等の基準茎数を基準として作物の茎数の時間経過に伴う変化を示したものを例示している。
茎数算出部102が作物の茎数を算出するので、穀粒量検出センサ88にて検出する穀粒量と同様に、制御部100は、コンバイン1の位置情報と茎数算出部102にて算出した作物の茎数とを関連付けることで、茎数算出部102にて算出される作物の茎数から、コンバイン1が特定位置に位置するときに刈取部4にて刈り取られた作物の茎数を特定することができる。よって、圃場等の作業地においてどの刈取位置でどのような茎数の作物を収穫したかを把握することができる。そのために、コンバイン1には、図7に示すように、茎数特定部103が備えられている。
コンバイン1では、刈取部4にて刈り取られた穀稈が、排藁チェーン装置6Bでの搬送中において、藁量検出センサ90にて検出される作物束の量を検出することで、茎数算出部102が作物の茎数を算出している。よって、位置情報取得部101にて刈取位置を取得したタイミングから、茎数算出部102が作物の茎数を算出するタイミングまでに時間遅れが生じる。そこで、茎数特定部103は、コンバイン1の位置情報と茎数算出部102が算出した作物の茎数とを関連付けるに当たり、この時間遅れを考慮して、コンバイン1の位置情報と茎数算出部102が算出した作物の茎数とを関連付けている。
茎数特定部103は、刈取部4にて刈り取られた作物の搬送速度等を用いて、位置情報取得部101にて刈取位置を取得したタイミングから茎数算出部102が作物の茎数を算出するタイミングまでの作物の搬送時間を求めることができる。搬送速度については、例えば、実験等により予め求めたものを用いたり、駆動源の回転速度や各部の作動状態、及び、処理対象の作物の量等に基づいて求めることもできる。そこで、茎数特定部103は、求めた搬送時間が時間遅れに相当するとして、位置情報取得部101にて取得された刈取位置と、その刈取位置を取得したタイミングから搬送時間だけ遅れたタイミングにて茎数算出部102にて算出された作物の茎数とを関連付けている。ちなみに、位置情報取得部101にて刈取位置を取得したタイミングから茎数算出部102が作物の草丈を算出するタイミングまでの作物の搬送時間を求めるに当たり、コンバイン1の車速によって搬送時間が変化する場合には、車速センサ87にて検出されるコンバイン1の車速も考慮することで、正確な搬送時間を求めることができる。
このような関連付けを行うことで、茎数特定部103は、茎数算出部102にて算出される作物の茎数から、コンバイン1が特定位置に位置するときに刈取部4にて刈り取られた作物の茎数を特定して、圃場等の作業地においてどの刈取位置でどれだけの茎数の作物を収穫したかを把握している。
圃場等の作業地にて収穫作業を行う場合に、複数の作業地にて収穫作業を行うことがある。そこで、茎数特定部103は、圃場等の作業地において収穫作業を行う毎にその作業地にて収穫した作物の茎数を特定しており、どの作業地にて特定した作物の茎数であるかが把握できるように、特定した作物の茎数を作業地に関連付けて記憶部107に記憶させている。よって、どの作業地にて特定した作物の茎数であるかが把握できるようになっている。
また、同じ作業地において、去年、今年、来年等のように、複数年に亘って複数回の収穫作業が行われたり、二毛作等のように同じ作業地において1年で複数回の収穫作業が行われる場合もある。このような場合には、位置情報取得部101にて取得された刈取位置と茎数算出部102にて算出された作物の茎数とを関連付けた情報の所定回数分を記憶部107に記憶させておくことができる。或いは、作業地にて収穫作業を行う毎に関連付けた情報を更新する状態で最新の関連付けた情報だけを記憶部107に記憶させることもできる。
コンバイン1には、図7に示すように、茎数特定部103にて特定された作物の草丈とコンバイン1の位置情報を関連付けて、予め定められた基準茎数に対するコンバイン1の各位置における茎数の状態を示す作業地の茎数画像情報(図10参照)を生成する茎数画像情報生成部104が備えられている。図9は、茎数画像情報生成部104にて生成された茎数画像情報を表示装置14に表示させた例を示している。図10では、圃場等の作業地において、基準茎数よりも茎数が一段階多い領域、基準茎数よりも茎数が二段階多い領域、基準茎数よりも茎数が一段階少ない領域、基準茎数よりも茎数が二段階少ない領域、基準茎数である領域とに区分けして草丈の状態を示している。
茎数画像情報生成部104は、記憶部107に記憶されている位置情報取得部101にて取得された刈取位置と茎数算出部102にて算出された作物の茎数とを関連付けた情報を用いており、例えば、所定回数分の関連付けた情報が記憶されている場合に、所定回数分の茎数画像情報を生成することができる。このとき、例えば、表示装置14には、所定回数分の茎数画像情報を並べて表示させることができる。これにより、ユーザ等は、茎数画像情報がどのように変化しているかを把握することができ、より効果的な作業計画を策定することができる。また、茎数画像情報生成部104にて生成された茎数画像情報も記憶部107に記憶させておくことができる。
この実施形態では、茎数算出部102にて作物の茎数を算出するのに加えて、草高検出センサ89が備えられており、作物の草高を検出している。ここで、作物の草丈は、図8に示すように、作物の下端部から上端部までの長さであって、作物自体の長さ(全長)を示すものである。それに対して、作物の草高は、作物が圃場(作業地)に植えられている状態での圃場表面(作業地表面)から作物の上端部までの長さであって、作物が圃場(作業地)に植えられている状態での作物の高さを示すものである。よって、作物が圃場(作業地)に植えられている状態において、作物の上端側が倒伏していると、作物の草高は作物の草丈よりも短くなる。そこで、コンバイン1には、図7に示すように、茎数算出部102にて茎数の算出過程で算出される作物の草丈と草高検出センサ89にて検出される作物の草高とを比較することで、作物の倒伏状態を特定する倒伏状態特定部105が備えられている。
倒伏状態とは、作物の穂先側が倒伏しているか否か、及び、倒伏している場合にはどの程度倒伏しているかを示すものである。倒伏状態特定部105は、茎数算出部102にて算出される作物の草丈に対して草高検出センサ89にて検出される作物の草高が同じ又は略同じであれば、作物は倒伏状態では無いと特定している。倒伏状態特定部105は、茎数算出部102にて算出される作物の草丈に対して草高検出センサ89にて検出される作物の草高が短い場合には、作物が倒伏状態であると特定しており、作物の草丈に対して作物の草高が短いほど、倒伏状態が大きいと特定している。
倒伏状態特定部105は、茎数特定部103と同様に、位置情報取得部101にて取得された刈取位置と、その刈取位置を取得したタイミングから搬送時間だけ遅れたタイミングにて特定した作物の倒伏状態とを関連付けている。このような関連付けを行うことで、倒伏状態特定部105は、特定した作物の倒伏状態から、コンバイン1が特定位置に位置するときに刈取部4にて刈り取られた作物の倒伏状態を特定して、圃場等の作業地においてどの刈取位置でどれだけの倒伏状態の作物を収穫したかを把握している。
倒伏状態特定部105は、茎数特定部103にて特定された作物の茎数とコンバイン1の位置情報を関連付けた情報と同様に、圃場等の作業地において収穫作業を行う毎にその作業地にて収穫した作物の倒伏状態を特定しており、どの作業地にて特定した倒伏状態であるかが把握できるように、特定した作物の倒伏状態を作業地に関連付けて記憶部107に記憶させている。また、同じ作業地にて複数回の収穫作業が行われる場合には、特定した倒伏状態を記憶部107に対してどのように記憶させるかは適宜変更が可能である。例えば、所定回数分の作物の倒伏状態を記憶部107に記憶させておくことができる。或いは、作業地にて収穫作業を行う毎に作物の倒伏状態を更新する状態で最新の作物の倒伏状態だけを記憶部107に記憶させることもできる。
コンバイン1には、倒伏状態特定部105にて特定された作物の倒伏状態とコンバイン1の位置情報を関連付けて、コンバイン1の各位置における作物の倒伏状態を示す作業地の倒伏状態画像情報(図11参照)を生成する倒伏状態画像情報生成部106が備えられている。図11は、倒伏状態画像情報生成部106にて生成された倒伏状態画像情報を表示装置14に表示させた例を示している。図11では、圃場等の作業地において、倒伏状態では無い領域と倒伏状態が小さい領域と倒伏状態が大きい領域とに区分けして作物の倒伏状態を示している。
倒伏状態画像情報生成部106は、記憶部107に記憶されている作物の倒伏状態を用いており、例えば、所定回数分の作物の倒伏状態が記憶されている場合に、所定回数分の倒伏状態画像情報を生成することができる。このとき、例えば、表示装置14には、所定回数分の倒伏状態画像情報を並べて表示させることができる。
表示装置14は、図10に示すように、茎数画像情報生成部104にて生成された茎数画像情報を単独で表示させる状態と、図11に示すように、倒伏状態画像情報生成部106にて生成された倒伏状態画像情報を単独で表示させる状態と、図12に示すように、茎数画像情報生成部104にて生成された茎数画像情報と倒伏状態画像情報生成部106にて生成された倒伏状態画像情報とを重ね合わせて表示させる状態とに切替可能に構成されている。
ユーザ等は、例えば、図10に示す茎数画像情報に基づいて、基準茎数よりも茎数が一段階多い領域、基準茎数よりも茎数が二段階多い領域、基準茎数よりも茎数が一段階少ない領域、基準茎数よりも茎数が二段階少ない領域、基準茎数である領域とが、圃場等の作業地においてどの位置にあるかを把握することで、本年度の栽培評価を行うことができる。図9に示すものでは、例えば、作物の茎数は比較的基準茎数であり、概ね好調であるものの、基準茎数よりも二段階茎数の少ない茎数の極めて少ない領域も数箇所ある等の栽培評価を行うことができる。よって、ユーザ等は、次年度の作業計画として、茎数が多い領域については、肥料を減らしたり、茎数が少ない領域については、生育を促すために肥料を増やしたりする等の作業計画を策定することができる。また、作業地においてどの位置に対してどれだけの肥料を散布するか等、作業地の各位置毎に肥料の散布量を設定することもできる。更に、次年度の作業計画として、茎数が多い領域については、植付本数を減らしたり、茎数が少ない領域については、植付本数を増やしたりする等の作業計画を策定することもできる。
図11に示すように、表示装置14に倒伏状態画像情報を表示させることで、ユーザ等は、圃場等の作業地において、倒伏状態では無い領域と倒伏状態が小さい領域と倒伏状態が大きい領域とがどの位置にあるかを把握することができることから、作物の倒伏状態も考慮して、次年度の作業計画を立てることもできる。
更に、図12に示すように、表示装置14に茎数画像情報と倒伏状態画像情報とを重ね合わせて表示させることで、ユーザ等は、茎数画像情報と倒伏状態画像情報とを比較しながら、次回の作業計画を立てることができる。
例えば、茎数は良好だが倒伏状態が大きい領域は、作業効率が低下するため、倒伏が発生しないように肥料を減らしたり、茎数が少なくて倒伏が少ない領域は、生育を促すように肥料を増やしたり、茎数は良好で倒伏も少ない領域は、肥料の量を前年と同様にしたりする等の作業計画を策定することができる。
この実施形態では、図7に示すように、茎数算出部102にて算出した作物の茎数や倒伏状態特定部105にて特定した倒伏状態を管理するサーバ等の管理装置110が備えられている。コンバイン1に備えられた通信モジュール15と管理装置110に備えられた通信モジュール113との無線通信等により、コンバイン1と管理装置110との間で各種の情報を通信自在に構成されている。管理装置110には、管理装置110を制御する管理用制御部111、各種の情報を記憶する記憶部112が備えられている。
管理装置110は、コンバイン1との通信により、穀粒量検出センサ88にて検出される作物の穀粒量、茎数算出部102にて算出した作物の茎数、茎数画像情報生成部104にて生成した茎数画像情報、倒伏状態特定部105にて特定した倒伏状態、及び、倒伏状態画像情報生成部106にて生成した倒伏状態画像情報等を取得しており、それらの各情報を記憶部107に記憶している。管理装置110は、記憶部107に記憶している各情報を外部に出力可能に構成されており、例えば、ユーザ等が使用する携帯通信端末等に、作物の茎数や茎数画像情報等の各情報を出力することができる。
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。
尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記実施形態では、茎数算出部102、茎数特定部103、茎数画像情報生成部104、倒伏状態特定部105、倒伏状態画像情報生成部106等をコンバイン1に備えた例を示したが、例えば、茎数算出部102、茎数特定部103、茎数画像情報生成部104、倒伏状態特定部105、倒伏状態画像情報生成部106等を管理装置110に備えることもできる。つまり、茎数算出部102、茎数特定部103、茎数画像情報生成部104、倒伏状態特定部105、倒伏状態画像情報生成部106等をどこに備えるかは適宜変更が可能である。
(2)上記実施形態では、草高検出センサ89、倒伏状態特定部105等を備えて、作物の倒伏状態を特定するようにしているが、作物の倒伏状態を特定しなくてもよく、又は、作物の倒伏状態を特定するか否かはユーザ等が選択できるようにしてもよい。
(3)上記実施形態では、束量検出部として、排藁チェーン装置6Bにて搬送されている排藁の量を検出する藁量検出センサ90を例に示したが、勿論、排藁チェーン装置6B以外の搬送部にて搬送されている藁の量を検出する藁量検出センサや、収穫部としての刈取部4にて刈り取られている藁の量を検出する藁量検出センサ等であってもよく、作物束が収穫部により収穫されて搬送部によって搬送される過程で作物束の量を検出可能な各種のセンサを用いることができる。
(4)上記実施形態では、束量検出部(藁量検出センサ90)が、作物束の量として作物束の厚みを検出する場合を例に示したが、例えば、作物束の量として作物束の重さを検出するものであってもよい。その場合、茎数算出部102は、作物の種別毎の茎1本当たりの量(重さ)が設定された換算テーブルを用いて、上記実施形態と同様、束量検出部にて検出された作物束の量(重さ)と作物の種別情報とに基づいて作物の茎数を算出することができる。
(5)上記実施形態では、制御部100が扱ぎ深さ検出センサ83の検出情報に基づいて扱ぎ深さ調整用アクチュエータ31にて扱ぎ深さを調整する場合に、一定の扱ぎ深さ調整量としているが、制御部100は、扱ぎ深さ検出センサ83の検出情報に基づいて、穀稈の長さに応じて、扱ぎ深さ調整用アクチュエータ31による扱ぎ深さ調整量を変更する形態で、扱ぎ深さを調整することもできる。
この場合には、扱ぎ深さ調整量が一定の扱ぎ深さ調整量ではなくなるので、例えば、図7に示すように、コンバイン1には、扱ぎ深さ調整用アクチュエータ31の作動量を検出することで、扱ぎ深さ調整量を検出する扱ぎ深さ調整量検出センサ84(扱ぎ深さ情報取得部に相当する)を備えることができる。制御部100は、扱ぎ深さ調整量検出センサ84の検出情報に基づいて、穀稈の扱ぎ深さを所定扱ぎ深さとするための扱ぎ深さの調整量がどれぐらいかを把握することができる。よって、茎数算出部102は、扱ぎ深さ調整量検出センサ84にて検出した扱ぎ深さ調整量を用いることで、図8に示すように、刈取位置P1からフィードチェーン装置6の挟持位置P2までの長さL2を求めて、作物束の長さ方向における藁量検出位置を算出した上で、作物の茎数を算出することができる。