JP6997016B2 - 真空処理装置、真空処理装置の製造方法、および、真空処理装置用の内部冶具 - Google Patents
真空処理装置、真空処理装置の製造方法、および、真空処理装置用の内部冶具 Download PDFInfo
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Description
本発明は、真空処理装置、真空処理装置の製造方法、および、真空処理装置用の内部冶具に関する。
シリコン基板の表面に形成された自然酸化膜をエッチングによって除去する酸化膜除去装置が知られている。酸化膜除去装置は、マイクロ波を用いて生成したプラズマ中に含まれるラジカルを用いて自然酸化膜のエッチャントを生成し、生成されたエッチャントによって自然酸化膜を熱分解温度がより低いシリコンを含む錯体に変える。そして、酸化膜除去装置は、錯体とともにシリコン基板を加熱することによって、錯体をシリコン基板上から気化させる。これにより、酸化膜除去装置は、自然酸化膜をシリコン基板から除去する(例えば、特許文献1参照)。
ところで、酸化膜除去装置において、シリコン基板をエッチングする処理を複数回行うと、処理間においてエッチング速度がばらつくことがある。そのため、エッチング速度のばらつきを抑えることが求められている。なお、こうした要請は、酸化膜除去装置に限らず、真空下においてラジカルを用いて処理対象のエッチングを行う真空処理装置において共通している。
本発明は、エッチング速度におけるばらつきを抑えることを可能とした真空処理装置、真空処理装置の製造方法、および、真空処理装置用の内部冶具を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための真空処理装置は、ラジカル生成部と、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の面上に形成されたバリア層を含む部材と、を備える。前記バリア層の表面は、前記ラジカル生成部が生成したラジカルに接する接触面であり、前記バリア層は、前記接触面を含む表層部を含み、前記表層部が、ベーマイト、バイヤライト、および、ギブサイトから構成されるアルミニウム化合物から形成され、前記アルミニウム化合物において、バイヤライトの質量、および、ギブサイトの質量の和が、ベーマイトの質量以上である。
上記課題を解決するための真空処理装置の製造方法は、アルミニウムと酸素とを含むバリア層を有した部材を準備することと、前記部材の前記バリア層を5℃以上80℃以下の水に接触させ、アルミニウム化合物から形成される表層部を前記バリア層に形成することと、を含む。前記表層部を形成することは、ベーマイト、バイヤライト、および、ギブサイトから構成されるアルミニウム化合物から前記表層部を形成することを含む。前記アルミニウム化合物において、バイヤライトの質量、および、ギブサイトの質量の和が、ベーマイトの質量以上である。
上記課題を解決するための真空処理装置用の内部冶具は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の面上に形成されたバリア層を含む真空処理装置用の内部冶具であって、前記バリア層の表面は、前記真空処理装置のラジカル生成部が生成したラジカルに接する接触面であり、前記バリア層は、前記接触面を含む表層部を含み、前記表層部が、ベーマイト、バイヤライト、および、ギブサイトから構成される酸化アルミニウム水和物から形成され、前記酸化アルミニウム水和物において、バイヤライトの質量、および、ギブサイトの質量の和が、ベーマイトの質量以上である。
上記各構成では、表層部において、ベーマイトよりも多くの水分子を水和するバイヤライトおよびギブサイトにおける質量の和が、ベーマイトの質量以上である。そのため、表層部がバイヤライトの質量およびギブサイトの質量の和よりも多くのベーマイトを含む場合と比べて、ラジカル生成部の生成したラジカルの失活が抑えられる。これにより、エッチング量のばらつきが抑えられる。
上記真空処理装置では、前記アルミニウム化合物において、バイヤライトの質量およびギブサイトの質量の各々が、ベーマイトの質量よりも大きくてもよい。
上記真空処理装置用の内部冶具では、前記酸化アルミニウム水和物において、バイヤライトの質量およびギブサイトの質量の各々が、ベーマイトの質量よりも大きくてもよい。
上記各構成によれば、表層部が、ベーマイトに対してバイヤライトおよびギブサイトを2倍以上含むため、エッチング量のばらつきがさらに抑えられる。
上記真空処理装置用の内部冶具では、前記酸化アルミニウム水和物において、バイヤライトの質量およびギブサイトの質量の各々が、ベーマイトの質量よりも大きくてもよい。
上記各構成によれば、表層部が、ベーマイトに対してバイヤライトおよびギブサイトを2倍以上含むため、エッチング量のばらつきがさらに抑えられる。
上記真空処理装置において、前記ラジカル生成部は、アンモニアを含むガスからラジカルを生成してもよい。上記構成によれば、他の分子を含むガスからラジカル生成部がラジカルを生成する場合よりも、バリア層による効果をより顕著に得ることができる。
図1から図6を参照して、真空処理装置、真空処理装置の製造方法、および、真空処理装置用の内部冶具の一実施形態を説明する。以下では、真空処理装置の一例として酸化膜除去装置を説明する。酸化膜除去装置は、シリコン基板に形成された自然酸化膜を除去する装置である。また、以下では、酸化膜除去装置の構成、酸化膜除去装置の製造方法、および、実施例を順に説明する。
[酸化膜除去装置の構成]
図1から図3を参照して、酸化膜除去装置の構成を説明する。
図1が示すように、酸化膜除去装置10は、プロセスチャンバ11と加熱チャンバ12とを備えている。2つのチャンバ11,12は、仕切弁13を介して接続されている。加熱チャンバ12の外側には、ヒータ14が位置している。ヒータ14は、加熱チャンバ12の外部から、加熱チャンバ12によって区画される空間を所定の温度に加熱する。加熱チャンバ12には、排気部15が接続されている、排気部15は、バルブと排気ポンプとを含み、加熱チャンバ12およびプロセスチャンバ11の内部を所定の圧力まで減圧する。
図1から図3を参照して、酸化膜除去装置の構成を説明する。
図1が示すように、酸化膜除去装置10は、プロセスチャンバ11と加熱チャンバ12とを備えている。2つのチャンバ11,12は、仕切弁13を介して接続されている。加熱チャンバ12の外側には、ヒータ14が位置している。ヒータ14は、加熱チャンバ12の外部から、加熱チャンバ12によって区画される空間を所定の温度に加熱する。加熱チャンバ12には、排気部15が接続されている、排気部15は、バルブと排気ポンプとを含み、加熱チャンバ12およびプロセスチャンバ11の内部を所定の圧力まで減圧する。
プロセスチャンバ11には、プロセスチャンバ11内にガスを供給するためのガス供給管21が接続されている。ガス供給管21の途中には、放電管22が位置している。放電管22には、導波管23を介してマイクロ波源24が発振したマイクロ波が照射される。
ガス供給管21において、放電管22よりも上流には、アンモニア(NH3)ガス供給部25と窒素(N2)ガス供給部26とが接続されている。これに対して、ガス供給管21において、放電管22よりも下流には、三フッ化窒素(NF3)ガス供給部27が接続されている。NH3ガス供給部25、N2ガス供給部26、および、NF3ガス供給部27は、それぞれガス供給管21を介してプロセスチャンバ11内にガスを供給するマスフローコントローラーである。
酸化膜除去装置10において、ガス供給管21、放電管22、導波管23、マイクロ波源24、NH3ガス供給部25、N2ガス供給部26、および、NF3ガス供給部27が、ラジカル生成部20を構成している。ラジカル生成部20は、NH3を含むガスからラジカルを生成する。
酸化膜除去装置10において、自然酸化膜のエッチングが行われるときには、まず、シリコン基板がプロセスチャンバ11内に搬入される。次いで、排気部15によってプロセスチャンバ11が減圧される。そして、NH3ガスとN2ガスとが放電管22に供給された後、放電管22内にマイクロ波が照射される。これにより、NH3ガスからプラズマが生成され、プラズマ中に含まれる水素含有ラジカルが、ガス供給管21を通じてプロセスチャンバ11に供給される。なお、水素含有ラジカルには、例えばNxHy
*やH*を挙げることができる。これらの水素含有ラジカルは、水素含有ラジカルが酸化膜除去装置10のなかで、水素含有ラジカルが接触する面の状態に起因して失活することがある。
水素含有ラジカルは、NF3とプロセスチャンバ11内で反応する。これにより、自然酸化膜のエッチャントであるアンモニアフッ化物(NHxFy)が生成される。なお、水素含有ラジカルの一部は、ガス供給管21内でもNF3と反応する。アンモニアフッ化物がシリコン基板まで運ばれると、自然酸化膜とアンモニアフッ化物とが反応して、熱分解温度が低いアンモニア錯体((NH4)2SiF6)が生成される。
こうしたプロセスチャンバ11での処理が行われると、シリコン基板がプロセスチャンバ11から加熱チャンバ12に搬送される。そして、シリコン基板が、アンモニア錯体が分解する温度以上の温度に加熱される。これにより、シリコン基板上のアンモニア錯体が、NH3、フッ化水素(HF)、および、四フッ化シリコン(SiF4)として揮発する。これにより、自然酸化膜がシリコン基板から除去される。
図2には、プロセスチャンバ11の内部の構造が概略的に示されている。上述したように、プロセスチャンバには、NF3から生成されたラジカルが供給される。そのため、プロセスチャンバ11は、ラジカルに接触する接触面を有する部材を備えている。
酸化膜除去装置10は、上述したラジカル生成部20と、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の面上に形成されたバリア層を含む部材とを備えている。バリア層の表面は、ラジカル生成部20が生成したラジカルに接する接触面である。バリア層は、接触面を含む表層部を含んでいる。表層部は、ベーマイト、バイヤライト、および、ギブサイトから構成される酸化アルミニウム水和物から形成されている。酸化アルミニウム水和物において、バイヤライトの質量およびギブサイトの質量の和が、ベーマイトの質量以上である。以下、酸化膜除去装置10が備える部材について図2を参照して詳しく説明する。
図2が示すように、プロセスチャンバ11は真空槽31を備え、真空槽31は、シリコン基板Wを収容する空間を区画している。真空槽31の内側面には、シャワープレート32が固定されている。シャワープレート32は、ガス供給管21が備える端部に接続されている。シャワープレート32は、ガス供給管21を通じてプロセスチャンバ11内に供給されるガスを拡散し、これによって、プロセスチャンバ11の全体にガスが供給されやすくなる。
真空槽31内には基板ホルダ33が位置し、基板ホルダ33は、シリコン基板Wを保持することが可能に構成されている。基板ホルダ33は移載装置34によってプロセスチャンバ11から加熱チャンバ12内に搬送される。なお、加熱チャンバ12にてシリコン基板Wが加熱されている間にわたって、基板ホルダ33は、加熱チャンバ12内にてシリコン基板Wを保持している。酸化膜除去装置10は、移載装置34に代えて、プロセスチャンバ11から加熱チャンバ12にシリコン基板Wを搬送する搬送ロボットを備えてもよい。この場合には、加熱チャンバ12が、プロセスチャンバ11から搬送された基板を保持する基板ホルダを備えていればよい。
ラジカル生成部20が生成した水素含有ラジカルは、ガス供給管21を通じて真空槽31内に供給される。そして、水素含有ラジカルは、シャワープレート32によって真空槽31内に拡散される。水素含有ラジカルの少なくとも一部は、シリコン基板Wが有する自然酸化膜に到達する可能性がある。そのため、プロセスチャンバ11を構成する部材のなかで、真空槽31、シャワープレート32、および、基板ホルダ33が、水素含有ラジカルに接する接触面を備える部材の一例である。なお、接触面を備える部材には、酸化膜除去装置10が備える他の部材が含まれてもよい。また、基板ホルダ33は、真空処理装置用の内部冶具の一例である。こうした部材のより詳しい構成を、図3を参照して説明する。
図3は、部材の一例である真空槽31における断面構造の一部を拡大して示している。図3は、図2において二点鎖線で囲まれる領域Aを拡大して示している。
図3が示すように、真空槽31はアルミニウム製あるいはアルミニウム合金製の本体部31aと、バリア層31bとを備えている。本体部31aのなかで、バリア層31bが接する面が、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の面である。なお、本体部31aの全体がアルミニウム製でなくともよく、本体部31aにおいて、少なくともバリア層31bとの境界を構成する部分がアルミニウム製またはアルミニウム合金製であればよい。
図3が示すように、真空槽31はアルミニウム製あるいはアルミニウム合金製の本体部31aと、バリア層31bとを備えている。本体部31aのなかで、バリア層31bが接する面が、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の面である。なお、本体部31aの全体がアルミニウム製でなくともよく、本体部31aにおいて、少なくともバリア層31bとの境界を構成する部分がアルミニウム製またはアルミニウム合金製であればよい。
バリア層31bの表面が、ラジカル生成部20が生成したラジカルと接する接触面31bFである。バリア層31bのなかで、接触面31bFを含む部分が表層部31b1であり、表層部31b1と本体部31aとの間に位置する部分が、下層部31b2である。
上述したように、表層部31b1は、ベーマイト、バイヤライト、および、ギブサイトから構成されている。ベーマイト、バイヤライト、および、ギブサイトは、いずれも酸化アルミニウム水和物の一例である。ベーマイトは、酸化アルミニウムの一水和物(Al2O3・H2O)であり、バイヤライトおよびギブサイトは、酸化アルミニウムの三水和物(Al2O3・3H2O)である。すなわち、バイヤライトおよびギブサイトは、ベーマイトよりも多くの結晶水を含む。
表層部31b1を形成するアルミニウム化合物は、ベーマイトよりも多くの水分子を水和するバイヤライトおよびギブサイトを、ベーマイト以上に含んでいる。そのため、表層部31b1がバイヤライトの質量およびギブサイトの質量の和よりも多くのベーマイトを含む場合と比べて、ラジカル生成部20の生成したラジカルの失活が抑えられる。これにより、エッチング速度のばらつきが抑えられる。
表層部31b1を形成するアルミニウム化合物において、バイヤライトの質量およびギブサイトの質量の各々が、ベーマイトの質量よりも大きいことができる。これにより、表層部31b1が、ベーマイトに対してバイヤライトおよびギブサイトを2倍以上含むため、エッチング速度のばらつきがさらに抑えられる。
これに対して、ベーマイトが主成分である表層部を含むバリア層では、バリア層に接触した水素含有ラジカルが失活するため、エッチングの処理間においてエッチング速度にばらつきが生じる。
下層部31b2は、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムの少なくとも一方から形成されている。下層部31b2は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化膜のなかで、水和されていない部分である。なお、バリア層31bにおいて、表層部31b1のみに限らず、下層部31b2もベーマイト、バイヤライト、および、ギブサイトから構成されるアルミニウム化合物から形成されてもよい。言い換えれば、バリア層31bの全体が、水和されてもよい。
[酸化膜除去装置の製造方法]
図4から図6を参照して、酸化膜除去装置10の製造方法を説明する。以下では、酸化膜除去装置10の製造方法の一例として、部材が真空槽31である例を説明する。
図4から図6を参照して、酸化膜除去装置10の製造方法を説明する。以下では、酸化膜除去装置10の製造方法の一例として、部材が真空槽31である例を説明する。
酸化膜除去装置の製造方法は、アルミニウムと酸素とを含むバリア層31bを有する部材を準備することと、表層部31b1を形成することとを含む。表層部31b1を形成することは、バリア層31bを5℃以上80℃以下の水に接触させ、酸化アルミニウム水和物から形成される表層部31b1をバリア層31bに形成する。また、表層部31b1を形成することは、ベーマイト、バイヤライト、および、ギブサイトから構成される酸化アルミニウム水和物から表層部31b1を形成することを含み、かつ、酸化アルミニウム水和物において、バイヤライトの質量およびギブサイトの質量の和が、ベーマイトの質量以上である。以下、図4から図6を参照して、酸化膜除去装置10の製造方法をより詳しく説明する。
図4が示すように、酸化膜除去装置の製造方法は、準備工程(ステップS11)と形成工程(ステップS12)とを含んでいる。準備工程では、プロセスチャンバ11を構成する部材を少なくとも1つ準備する。なお、部材は、アルミニウム製でもよいしアルミニウム合金製でもよい。次いで、部材の表面に、アルミニウムと酸素とを含むバリア層31bを形成する。バリア層31bを構成する物質には、例えば酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムを挙げることができる。
バリア層31bを形成する方法には、アルミニウム製、あるいは、アルミニウム合金製の部材を陽極酸化する方法が用いられる。これにより、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムの少なくとも一方から構成される多孔性の層が、バリア層31bとして形成される。陽極酸化を行うための電解液として、例えば、シュウ酸、硫酸、および、クロム酸水溶液のいずれかを用いることができる。
形成工程は、バリア層31bを5℃以上80℃以下の水に接触させる。バリア層31bを水に接触させるときには、処理槽に充填された液状の水の中に部材を配置してもよいし、処理槽に充填された水蒸気内に部材を配置してもよい。これにより、バリア層31bが水と反応することにより、バリア層31bの表面に位置する酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムの少なくとも一方が、ベーマイト、バイヤライト、および、ギブサイトから構成される酸化アルミニウム水和物に変わる。これにより、バリア層31b内にバリア層31bの表面を含む表層部31b1が形成される。なお、表層部31b1は、バリア層31bが有していた多数の孔が上述した水和物によって封孔されることによってバリア層31b内に形成される。
図5は、形成工程において用いる水の温度(℃)と、表層部31b1においてバイヤライトおよびギブサイトの質量が占める割合(%)、すなわち組成比との関係とを示している。なお、図5における実線がバイヤライトの質量およびギブサイトの質量の和が表層部31b1において占める割合を示すグラフであり、一点鎖線がベーマイトの質量が表層部31b1において占める割合を示すグラフである。
図5が示すように、形成工程において用いる水の温度が5℃であるときには、表層部31b1のほとんどが、バイヤライトおよびギブサイトによって形成される。また、形成行程において用いる水の温度が80℃であるときには、表層部31b1を形成するアルミニウム化合物の質量における50%が、バイヤライトおよびギブサイトである。一方で、形成工程において用いる水の温度が80℃を超えるときには、表層部31b1を形成するアルミニウム化合物の質量において、ベーマイトの質量が50%を超える。
なお、アルミニウム水和物から構成される表層部31b1の形成される速度は、形成工程において用いられる水の温度が高くなるに従って高まる。そのため、酸化膜除去装置10の製造における効率を高める観点では、形成工程において用いられる水の温度は例えば60℃以上であることが好ましい。
[実施例]
図6を参照して実施例を説明する。
ラジカルと接する接触面を有する部材の一例として、以下のシャワープレートを準備した。まず、同一の材料、および、同一の条件で形成されたアルミニウム製のシャワープレートを3つ準備した。そして、各シャワープレートを同一の条件で陽極酸化することによって、シャワープレートの表面にバリア層を形成した。
図6を参照して実施例を説明する。
ラジカルと接する接触面を有する部材の一例として、以下のシャワープレートを準備した。まず、同一の材料、および、同一の条件で形成されたアルミニウム製のシャワープレートを3つ準備した。そして、各シャワープレートを同一の条件で陽極酸化することによって、シャワープレートの表面にバリア層を形成した。
次いで、60℃の水を用いてバリア層に表層部を形成することによって、実施例1のシャワープレートを得た。これに対して、バリア層を形成したのみのシャワープレート、言い換えれば、上述した形成工程における処理が行われなかったシャワープレートを比較例1のシャワープレートとして得た。また、90℃の水を用いてバリア層に表層部を形成することによって、比較例2のシャワープレートを得た。
各シャワープレートを同一の酸化膜除去装置に搭載し、かつ、同一の条件で自然酸化膜の除去を行うことにより、各シャワープレートを用いたときのエッチング速度におけるばらつきを算出した。各シャワープレートを搭載した酸化膜除去装置によってエッチング処理を複数回行い、かつ、各処理におけるエッチング速度を算出した。なお、各処理において、複数のシリコン基板でのエッチング速度の平均値を、各処理でのエッチング速度として算出した。そして、複数回の処理において、最高速度に対する最低速度の比をエッチング速度のばらつきとして算出した。算出した結果は、図6に示す通りであった。
図6が示すように、実施例1において、最高速度を1とするとき、最低速度が0.952であることが認められた。これに対して、比較例1において、最高速度を1とするとき、最低速度が0.524であることが認められた。また、比較例2において、最高速度を1とするとき、最低速度が0.833であることが認められた。
このように、実施例1によれば、比較例1および比較例2に比べて、エッチングの速度におけるばらつきが抑えられることが認められた。実施例1では、シャワープレートの表面に存在する水が比較例1および比較例2よりも多いことによって、シャワープレートを通過するラジカルの失活が抑えられ、これによって、各シリコン基板に到達するラジカル、または、エッチャントの量がばらつくことが抑えられたと考えられる。結果として、エッチングの速度におけるばらつきが抑えられたと考えられる。
なお、形成工程において用いられる水の温度が、5℃以上80℃以下の範囲であれば、実施例1と同様の傾向が認められた。
以上説明したように、真空処理装置、および、真空処理装置の一実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)表層部31b1において、ベーマイトよりも多くの水分子を水和するバイヤライトおよびギブサイトにおける質量の和が、ベーマイトの質量以上である。そのため、表層部31b1がバイヤライトの質量およびギブサイトの質量の和よりも多くのベーマイトを含む場合と比べて、ラジカル生成部20の生成したラジカルの失活が抑えられる。これにより、エッチング速度におけるばらつきが抑えられる。
(1)表層部31b1において、ベーマイトよりも多くの水分子を水和するバイヤライトおよびギブサイトにおける質量の和が、ベーマイトの質量以上である。そのため、表層部31b1がバイヤライトの質量およびギブサイトの質量の和よりも多くのベーマイトを含む場合と比べて、ラジカル生成部20の生成したラジカルの失活が抑えられる。これにより、エッチング速度におけるばらつきが抑えられる。
(2)表層部31b1が、ベーマイトに対してバイヤライトおよびギブサイトを2倍以上含む場合には、エッチング速度におけるばらつきがさらに抑えられる。
(3)ラジカル生成部20がアンモニアを用いてラジカルを生成するため、他の分子を含むガスからラジカル生成部20がラジカルを生成する場合よりも、バリア層31bによる効果をより顕著に得ることができる。
なお、上述した実施形態は、以下のように適宜変更して実施することができる。
[ラジカル生成部]
・ラジカル生成部20は、放電管22、導波管23、および、マイクロ波源24を備える構成に限らず、放電管22、導波管23、および、マイクロ波源24に代えて、ラジカル生成用のガスを加熱する加熱体を備えてもよい。
[ラジカル生成部]
・ラジカル生成部20は、放電管22、導波管23、および、マイクロ波源24を備える構成に限らず、放電管22、導波管23、および、マイクロ波源24に代えて、ラジカル生成用のガスを加熱する加熱体を備えてもよい。
[用途]
・真空処理装置は、シリコン基板に形成された自然酸化膜を除去する酸化膜除去装置に限らず、他の処理対象に対してラジカルを用いて処理を行う真空処理装置として具体化することも可能である。
・真空処理装置は、シリコン基板に形成された自然酸化膜を除去する酸化膜除去装置に限らず、他の処理対象に対してラジカルを用いて処理を行う真空処理装置として具体化することも可能である。
10…酸化膜除去装置、11…プロセスチャンバ、12…加熱チャンバ、13…仕切弁、14…ヒータ、15…排気部、20…ラジカル生成部、21…ガス供給管、22…放電管、23…導波管、24…マイクロ波源、25…アンモニアガス供給部、26…窒素ガス供給部、27…三フッ化窒素ガス供給部、31…真空槽、31a…本体部、31b…バリア層、31b1…表層部、31b2…下層部、31bF…接触面、32…シャワープレート、33…基板ホルダ、34…移載装置、W…シリコン基板。
Claims (6)
- ラジカル生成部と、
アルミニウム製またはアルミニウム合金製の面上に形成されたバリア層を含む部材と、を備え、
前記バリア層の表面は、前記ラジカル生成部が生成したラジカルに接する接触面であり、
前記バリア層は、前記接触面を含む表層部を含み、前記表層部が、ベーマイト、バイヤライト、および、ギブサイトから構成される酸化アルミニウム水和物から形成され、
前記酸化アルミニウム水和物において、バイヤライトの質量、および、ギブサイトの質量の和が、ベーマイトの質量以上である
真空処理装置。 - 前記酸化アルミニウム水和物において、バイヤライトの質量およびギブサイトの質量の各々が、ベーマイトの質量よりも大きい
請求項1に記載の真空処理装置。 - 前記ラジカル生成部は、アンモニアを含むガスからラジカルを生成する
請求項1または2に記載の真空処理装置。 - アルミニウムと酸素とを含むバリア層を有した部材を準備することと、
前記部材の前記バリア層を5℃以上80℃以下の水に接触させ、酸化アルミニウム水和物から形成される表層部を前記バリア層に形成することと、を含み、
前記表層部を形成することは、ベーマイト、バイヤライト、および、ギブサイトから構成される酸化アルミニウム水和物から前記表層部を形成することを含み、
前記酸化アルミニウム水和物において、バイヤライトの質量、および、ギブサイトの質量の和が、ベーマイトの質量以上である
真空処理装置の製造方法。 - アルミニウム製またはアルミニウム合金製の面上に形成されたバリア層を含む真空処理装置用の内部冶具であって、
前記バリア層の表面は、前記真空処理装置のラジカル生成部が生成したラジカルに接する接触面であり、
前記バリア層は、前記接触面を含む表層部を含み、前記表層部が、ベーマイト、バイヤライト、および、ギブサイトから構成される酸化アルミニウム水和物から形成され、
前記酸化アルミニウム水和物において、バイヤライトの質量、および、ギブサイトの質量の和が、ベーマイトの質量以上である
真空処理装置用の内部冶具。 - 前記酸化アルミニウム水和物において、バイヤライトの質量およびギブサイトの質量の各々が、ベーマイトの質量よりも大きい
請求項5に記載の真空処理装置用の内部冶具。
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