JP6996333B2 - ブランクス基材、インプリントモールド、インプリントモールドの製造方法及びインプリント方法 - Google Patents

ブランクス基材、インプリントモールド、インプリントモールドの製造方法及びインプリント方法 Download PDF

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本開示は、ブランクス基材、インプリントモールド及びその製造方法、並びにインプリント方法に関する。
微細加工技術として知られているナノインプリント技術は、基材の表面に微細凹凸パターンが形成されてなるインプリントモールドを用い、当該微細凹凸パターンを被加工物に転写することで微細凹凸パターンを等倍転写するパターン形成技術である。特に、半導体デバイスにおける配線パターン等のさらなる微細化等に伴い、その製造プロセス等においてナノインプリント技術が注目されている。
ナノインプリント技術において一般に用いられるインプリントモールドとしては、例えば、基材と、基材の表面から突出する凸構造部と、凸構造部の上面に形成されてなる微細凹凸パターンとを備えるものが知られている。このようなインプリントモールドを用い、被転写基板上に供給された被加工物としてのインプリント樹脂にインプリントモールドの微細凹凸パターンを接触させることで、当該微細凹凸パターンにインプリント樹脂を充填させる。そして、その状態で当該インプリント樹脂を硬化させることにより、インプリントモールドの微細凹凸パターンが転写されてなるパターン構造体が形成される。
インプリント樹脂の供給量が不十分であると、微細凹凸パターンにインプリント樹脂が十分に充填されず、パターン構造体に欠陥(未充填欠陥)を生じさせてしまう。一方で、インプリント樹脂の供給量を高精度に制御するのは極めて困難である。未充填欠陥を生じさせないために十分すぎる量のインプリント樹脂を被転写基板に供給すると、インプリント樹脂にインプリントモールドを接触させたときに、インプリントモールドの凸構造部の外側に余剰のインプリント樹脂がはみ出し、凸構造部の側面に付着してしまう。凸構造部の外側にはみ出し、側面に付着したインプリント樹脂は、微細凹凸パターンに充填されたインプリント樹脂と同時に硬化されてしまう。その結果、インプリントモールドをインプリント樹脂から引き離す際に大きな応力が作用し、インプリントモールドやパターン構造体に損傷を生じさせるおそれがある。また、いわゆるステップアンドリピート方式によりインプリント処理を行う場合、凸構造部の外側にはみ出し、硬化したインプリント樹脂と重ならないように、インプリントされる領域を離間させる必要があるため、1枚の被転写基板にインプリント処理を行うことのできる回数が制限されてしまう。
このような問題を解決するために、従来、微細凹凸パターンが形成されているパターン領域の外周を取り囲むように、凸構造部の側面に高撥液性部等を設けてなるインプリントモールドが知られている(特許文献1参照)。
特開2016-157785号公報
上記特許文献1に記載のインプリントモールドにおいては、凸構造部の側面に凹凸構造又は撥液性被膜からなる高撥液性部が設けられており、インプリント処理時にパターン領域からのインプリント樹脂のはみ出しを抑制することができる。しかしながら、撥液性被膜からなる高撥液性部が設けられているインプリントモールドを用いて複数回のインプリントを連続して行うと、撥液性被膜が徐々に剥がれ、撥液性が劣化してしまうおそれがある。また、凸構造部の側面に設けられている高撥液性部としての凹凸構造は、当該側面に対して直交する凹凸方向を有する。この凹凸構造は、撥液性被膜とは異なり、複数回のインプリントによりその撥液性が劣化してしまうことはない点で優れてはいるものの、凸構造部の側面に直交する凹凸方向を有する凹凸構造を精度よく形成するのは極めて困難である。そのため、特許文献1に記載のインプリントモールドにおいても、依然として、パターン領域の外側へインプリント樹脂が大きくはみ出してしまうおそれがある。
上記課題に鑑みて、本開示は、凸構造部の凹凸パターン形成領域から外側へのインプリント樹脂のはみ出しを抑制可能なインプリントモールド及びそれを製造するために用いられるブランクス基材、並びに当該インプリントモールドの製造方法及びインプリント方法を提供することを一目的とする。
上記課題を解決するために、本開示の一実施形態として、第1面及び当該第1面に対向する第2面、並びに前記第1面に設定されるパターン領域の外側を取り囲む機能性領域が設定される第3面を有する基部と、前記第3面に形成されてなる接触角調整用凹凸構造部とを備え、前記第3面は、前記第1面の外縁部に連続する内周縁部と、前記内周縁部よりも前記第2面側に位置する外周縁部とを有し、前記接触角調整用凹凸構造部は、前記第1面に対して実質的に直交する凹凸方向を有するブランクス基材が提供される。
前記第3面は、第1傾斜角を有する第1傾斜面と、前記第1傾斜角と異なる角度の第2傾斜角を有する第2傾斜面とを含んでいればよく、前記第1傾斜角が、前記第2傾斜角よりも大きくてもよいし、前記第1傾斜角が、前記第2傾斜角よりも小さくてもよい。
前記第3面は、前記第2面に向かって凹状の凹曲面を含んでいてもよいし、前記第1面に向かって凸状の凸曲面を含んでいてもよい。また、前記第3面は、前記内周縁部から前記外周縁部に向けて傾斜する傾斜面であってもよい。
前記接触角調整用凹凸構造の凹部の前記第3面側における凹幅が、前記凹部の底部における凹幅よりも大きくてもよく、前記接触角調整用凹凸構造の凹部の凹幅が、前記第3面側から前記底部に向けて漸減してもよい。また、前記接触角調整用凹凸構造の凹部の凹幅が、前記凹部の深さ方向において実質的に同一であってもよい。
前記基部の厚さ方向における前記内周縁部と前記外周縁部との高さの差が、100μm以下であってもよく、前記第3面を少なくとも被覆する遮光膜をさらに有していてもよい。
本開示の一実施形態として、上記ブランクス基材の前記パターン領域に形成されてなる凹凸パターンを有するインプリントモールドが提供される。
本開示の一実施形態として、上記インプリントモールドを製造する方法であって、前記ブランクス基材の前記パターン領域に、前記凹凸パターンに対応するマスクパターンを形成する工程と、前記マスクパターンが形成された前記ブランクス基材をエッチングすることで、前記凹凸パターンを形成する工程とを有するインプリントモールドの製造方法が提供される。
本開示の一実施形態として、上記インプリントモールドを用いたインプリント方法であって、前記インプリントモールドの前記第3面のインプリント樹脂に対する濡れ性とは異なる濡れ性を有する被転写面を有する被転写基板を準備する工程と、前記被転写面に前記インプリント樹脂を供給する工程と、前記被転写面上の前記インプリント樹脂に前記凹凸パターンを接触させることで、前記インプリント樹脂に前記凹凸パターンを転写する工程と、前記凹凸パターンが転写された前記インプリント樹脂から前記インプリントモールドを引き離す工程とを有するインプリント方法が提供される。
前記第3面の前記インプリント樹脂に対する接触角が、前記被転写面の前記インプリント樹脂に対する接触角よりも大きくてもよいし、前記被転写面の前記インプリント樹脂に対する接触角よりも小さくてもよい。
前記第3面の前記インプリント樹脂に対する接触角を、前記第1面の前記インプリント樹脂に対する接触角よりも大きくすることができる。第1面の接触角よりも第3面の接触角の方が小さく、かつ第3面の傾斜角度が小さいと、被転写面と第3面との間の狭い空間に働く毛管力とあわせてインプリント樹脂がはみ出しやすくなるおそれがあるが、第1面の接触角よりも第3面の接触角の方が大きいことで、インプリント樹脂のはみ出しを抑制することができる。
本開示によれば、凸構造部の凹凸パターン形成領域から外側へのインプリント樹脂のはみ出しを抑制可能なインプリントモールド及びそれを製造するために用いられるブランクス基材、並びに当該インプリントモールドの製造方法及びインプリント方法を提供することができる。
図1は、本開示の一実施形態に係るブランクス基材の一態様の概略構成を示す切断端面図である。 図2は、図1におけるA部の概略構成を示す部分拡大切断端面図である。 図3は、図2におけるB部の概略構成を示す部分拡大切断端面図である。 図4は、本開示の一実施形態における接触角調整用凹凸構造における作用を示す部分拡大切断端面図(その1)である。 図5は、本開示の一実施形態における接触角調整用凹凸構造における作用を示す部分拡大切断端面図(その2)である。 図6は、本開示の一実施形態における接触角調整用凹凸構造における作用を示す部分拡大切断端面図(その3)である。 図7は、本開示の一実施形態に係るブランクス基材の傾斜面の他の態様(その1)の概略構成を示す部分拡大切断端面図である。 図8は、本開示の一実施形態に係るブランクス基材の傾斜面の他の態様(その2)の概略構成を示す部分拡大切断端面図である。 図9は、本開示の一実施形態に係るブランクス基材の傾斜面の他の態様(その3)の概略構成を示す部分拡大切断端面図である。 図10は、本開示の一実施形態に係るブランクス基材の傾斜面の他の態様(その4)の概略構成を示す部分拡大切断端面図である。 図11は、本開示の一実施形態に係るブランクス基材の傾斜面の他の態様(その5)の概略構成を示す部分拡大切断端面図である。 図12は、本開示の一実施形態に係るブランクス基材の傾斜面の他の態様(その6)の概略構成を示す部分拡大切断端面図である。 図13は、本開示の一実施形態に係るブランクス基材の傾斜面の他の態様(その7)の概略構成を示す部分拡大切断端面図である。 図14は、本開示の一実施形態に係るブランクス基材の概略構成を示す平面図である。 図15は、本開示の一実施形態におけるインプリントモールドの概略構成を示す切断端面図である。 図16は、本開示の一実施形態に係るブランクス基材の製造方法の一工程を概略的に示す部分拡大切断端面図である。 図17は、本開示の一実施形態に係るブランクス基材の製造方法の一工程であって、図16に示す工程の続きの工程を概略的に示す部分拡大切断端面図である。 図18は、本開示の一実施形態に係るブランクス基材の製造方法の一工程であって、図17に示す工程の続きの工程を概略的に示す部分拡大切断端面図である。 図19は、本開示の一実施形態に係るブランクス基材の製造方法の一工程であって、図18に示す工程の続きの工程を概略的に示す部分拡大切断端面図である。 図20は、本開示の一実施形態に係るブランクス基材の製造方法の一工程であって、図19に示す工程の続きの工程を概略的に示す部分拡大切断端面図である。 図21は、本開示の一実施形態に係るブランクス基材の製造方法の一工程であって、図20に示す工程の続きの工程を概略的に示す部分拡大切断端面図である。 図22は、本開示の一実施形態におけるインプリント方法の各工程を切断端面にて示す工程フロー図である。 図23は、本開示の一実施形態におけるインプリント方法の各工程であって、図22に示す工程の続きの工程を切断端面にて示す工程フロー図である。 図24は、本開示の他の実施形態に係るブランクス基材の概略構成を示す切断端面図である。
本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
当該図面においては、理解を容易にするために、各部の形状、縮尺、縦横の寸法比等を、実物から変更したり、誇張したりして示している場合がある。本明細書等において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値のそれぞれを下限値及び上限値として含む範囲であることを意味する。本明細書等において、「フィルム」、「シート」、「板」等の用語は、呼称の相違に基づいて相互に区別されない。例えば、「板」は、「シート」、「フィルム」と一般に呼ばれ得るような部材をも含む概念である。
〔ブランクス基材〕
図1は、本実施形態に係るブランクス基材の一態様の概略構成を示す切断端面図であり、図2は、図1におけるA部の概略構成を示す部分拡大切断端面図であり、図3は、図2におけるB部の概略構成を示す部分拡大切断端面図である。
図1~3に示すように、本実施形態に係るブランクス基材1は、表面2A及び当該表面2Aに対向する裏面2Bを有する基部2と、基部2の表面2Aから突出する凸構造部3と、裏面2B側に形成されている窪み部4とを備える。
基部2としては、インプリントモールド用基板として一般的なもの、例えば、石英ガラス基板、ソーダガラス基板、蛍石基板、フッ化カルシウム基板、フッ化マグネシウム基板、バリウムホウケイ酸ガラス、アミノホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス等の無アルカリガラス基板等のガラス基板、ポリカーボネート基板、ポリプロピレン基板、ポリエチレン基板、ポリメチルメタクリレート基板、ポリエチレンテレフタレート基板等の樹脂基板、これらのうちから任意に選択された2以上の基板を積層してなる積層基板等の透明基板等を用いることができる。なお、本実施形態において「透明」とは、インプリント樹脂を硬化させ得る波長の光を透過可能であることを意味し、波長150nm~400nmの光線の透過率が60%以上であることを意味し、好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。
基部2の平面視形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、略矩形状、略円形状等が挙げられる。基部2が光インプリント用として一般的に用いられている石英ガラス基板からなるものである場合、通常、基部2の平面視形状は略矩形状である。
基部2の大きさ(平面視における大きさ)も特に限定されるものではないが、基部2が上記石英ガラス基板からなる場合、例えば、基部2の大きさは152mm×152mm程度である。また、基部2の厚さは、強度、取り扱い適性等を考慮し、例えば、300μm~10mm程度の範囲で適宜設定され得る。
基部2の表面2Aから突出する凸構造部3は、平面視において基部2の略中央に設けられている。凸構造部3の平面視における形状は、例えば、略矩形状であればよいが、それに限定されるものではなく、略八角形等の略多角形状、略円形状、略楕円形状等の任意の形状であってもよい。凸構造部3の大きさは、インプリントモールド10(図15参照)を用いたインプリント処理を経て製造される製品等に応じて適宜設定されるものであり、例えば、33mm×26mm程度の略矩形状の凸構造部3を挙げることができる。
凸構造部3の突出高さ(基部2の表面2Aと凸構造部3の上面31との間の基部2厚み方向に沿った長さ)は、本実施形態におけるインプリントモールド10(図15参照)が凸構造部3を備える目的を果たし得る限り、特に制限されるものではなく、例えば、10μm~100μm程度に設定され得る。
凸構造部3は、凹凸パターン11(図15参照)が形成される予定のパターン領域PAを有する上面31と、上面31の縁部に連続する内周縁部32A及び当該内周縁部32Aよりも裏面2B側に位置する外周縁部32Bを有する傾斜面32と、傾斜面32の外周縁部32Bに連続し、上面31に実質的に直交する(基部2の厚み方向に実質的に平行な)側面33とを有する。
傾斜面32の幅W32(表面2A側からの平面視における内周縁部32A及び外周縁部32B間の長さ)は、特に限定されるものではないが、例えば、50μm~700μm程度であればよく、100μm~500μm程度であるのが好ましい。後述するように、本実施形態に係るブランクス基材1から製造されるインプリントモールド10において、傾斜面32に形成されている接触角調整用凹凸構造5によりパターン領域PAからのインプリント樹脂81のはみ出しを抑制することができるが、傾斜面32の幅W32が50μm未満であると、傾斜面32の接触角調整用凹凸構造5による所望とする樹脂はみ出し抑制効果が得られなくなるおそれがある。
傾斜面32の高さT32(内周縁部32Aと外周縁部32Bとの、基部2の厚さ方向における高さ位置の差分)は、特に限定されるものではなく、例えば、100μm程度以下、好ましくは50μm以下であればよい。傾斜面32の高さT32が100μmを超えると、後述する接触角調整用凹凸構造5を形成する際に、その寸法制御が難しくなり、所望とする樹脂はみ出し抑制効果が得られなくなるおそれがある。
傾斜面32には、凹部51及び凸部52を有する接触角調整用凹凸構造5が形成されている。当該接触角調整用凹凸構造5は、いわゆるロータス効果によりインプリント樹脂に対する接触角を任意の値に調整することができる。本実施形態において、接触角調整用凹凸構造5は、傾斜面32の全面(内周縁部32Aと外周縁部32Bとの間)に形成されている態様を例に挙げているが(図2参照)、この態様に限定されるものではない。本実施形態における接触角調整用凹凸構造5は、本実施形態に係るブランクス基材1から製造されるインプリントモールド10において、傾斜面32に形成されている接触角調整用凹凸構造5によりパターン領域PAからのインプリント樹脂81のはみ出しを抑制することができる限りにおいて、内周縁部32Aから外側(平面視における外周縁部32B側)に向かって傾斜面32の一部に形成されていてもよい。
本実施形態に係るブランクス基材1から製造されるインプリントモールド10(図15参照)を用いたインプリント処理時に用いられるインプリント樹脂に対する接触角調整用凹凸構造5の接触角θ5は、当該インプリント処理時に用いられる被転写基板80(図22(A)参照)のインプリント樹脂に対する接触角θ80よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。例えば、被転写基板80のインプリント樹脂に対する接触角θ80とインプリント樹脂に対する接触角調整用凹凸構造5の接触角θ5との差分が2°以上であればよく、好ましくは4°以上であればよい。なお、接触角は、例えば、温度25℃、湿度(RH)30%の条件下で撥液性凹凸構造5の表面にマイクロシリンジを用いてインプリント樹脂を滴下し、それから10秒後に接触角測定装置(協和界面化学社製,自動接触角計DM-501)を用いて測定され得る。
当該インプリントモールド10を用いてインプリントされる対象である被転写基板80としては、例えば、石英ガラス基板、シリコンウェハ等が挙げられる。通常、被転写基板80の被転写面には、インプリント樹脂との密着性を向上させるための密着層、インプリント樹脂の濡れ広がりやすさを向上させるための接触角調整層等が設けられており、被転写面のインプリント樹脂に対する接触角は50°以下程度、好ましくは10°~40°程度、特に好ましくは20°~30°以下程度である。
また、接触角調整用凹凸構造5の接触角θ5が被転写基板80の接触角θ80よりも小さいと、図5に示すように、パターン領域PAから外側にはみ出したインプリント樹脂81は被転写基板80よりも傾斜面32(接触角調整用凹凸構造5)に沿って濡れ広がりやすい。そのため、パターン領域PAから外側にはみ出すインプリント樹脂は、傾斜面32側に引っ張られるため、被転写基板80側においては図4に示す状態よりもはみ出し難くなる(図5における破線は、図4に示す状態において傾斜面32(接触角調整用凹凸構造5)及び被転写基板80のそれぞれに沿ってインプリント樹脂81が濡れ広がる領域の外縁を示している。)。また、傾斜面32に沿ってインプリント樹脂81が外側に向かって濡れ拡がるため、被転写基板80上においてパターン領域PAからはみ出すインプリント樹脂の量を低減することができる。その結果、インプリント樹脂81のはみ出しを抑制することができる。
さらに、接触角調整用凹凸構造5の接触角θ5が被転写基板80の接触角θ80よりも大きいと、図6に示すように、傾斜面32に沿ってインプリント樹脂81が濡れ広がり難くなるため、傾斜面32側及び被転写基板80側のそれぞれにおいてインプリント樹脂81がパターン領域PA側に引っ張られるようになる。その結果、インプリント樹脂81のはみ出しを抑制することができる。
接触角調整用凹凸構造5の凹部51及び凸部52の寸法(ブランクス基材1の上面31に対する垂直方向に沿って見たときの傾斜面32上における寸法)は、接触角調整用凹凸構造5のインプリント樹脂に対する接触角θ5を被転写基板80のインプリント樹脂に対する接触角θ80よりも大きく又は小さくすることができる寸法であればよく、その限りにおいて特に制限されるものではない。なお、凹部51の寸法とは、当該凹部51が正方形状のホール形状である場合にはその一辺の長さを、円形状のホール形状である場合にはその直径を意味し、凹部51がスペース形状である場合にはその短手方向の長さを意味するものとする。
例えば、基部2を構成する基板と同一の基板に接触角調整用凹凸構造5が形成されていない場合に、当該基板のインプリント樹脂に対する接触角をθs、インプリント雰囲気(ガス)とインプリント樹脂81との接触角をθg、接触角調整用凹凸構造5の凹部51の面積密度をRsとした場合、接触角調整用凹凸構造5が形成されている傾斜面32とインプリト樹脂との接触角θ5は、Cassie式を用いて、
cosθ5=(1-Rs)cosθs+Rs・cosθg
Rs<1
と表される。この接触角θ5が被転写基板80のインプリント樹脂に対する接触角θ80と異なるように(接触角θ80よりも大きくなる又は小さくなるように)、接触角調整用凹凸構造5の凹部51の面積密度Rsを設定すればよい。
例えば、接触角調整用凹凸構造5の凹部51が平面視正方形状のホール形状である場合、平面視における凹部51のホールの一辺の長さをWs、凹部51のピッチをWpとすると、上記式は、
cosθ5=((Wp2-Ws2)/Wp2)・cosθs+(Ws2/Wp2)・cosθg
となる。
また、凹部51がスペース形状である場合には、平面視における短手方向の幅をWs、凹部51のピッチをWpとすると、上記式は、
cosθ5=((Wp-Ws)/Wp)・cosθs+(Ws/Wp)・cosθg
となる。
さらに、凹部51が平面視円形状のホール形状である場合、平面視における凹部51のホールの半径をWr、凹部51のピッチをWpとすると、上記式は、
cosθ5=((Wp2-πWr2)/Wp2)・cosθs+(πWr2/Wp2)・cosθg
となる。
したがって、凹部51の形状に応じ、上記式を満たすように、凹部51の寸法と凹部51のピッチとが設定されればよい。
接触角調整用凹凸構造5の凹部51の深さ方向は、凸構造部3の上面31に対して実質的に垂直方向であるのが好ましい。凹部51の深さ方向が傾斜面32に対して垂直方向であると、傾斜面32に沿って濡れ拡がるインプリント樹脂の一部が凹部51に浸入して硬化したときにインプリントモールド10の離型が困難となったり、インプリントモールド10の離型時に接触角調整用凹凸構造5に応力が印加されて欠陥が発生したりするおそれがある。しかしながら、当該凹部51の深さ方向が凸構造部3の上面31に対して実質的に垂直方向であることで、上記のような問題が生じるのを抑制することができる。なお、実質的に垂直方向とは、凸構造部3の上面31に対する凹部51の深さ方向のなす角度が90°±2°であることを意味するものとする。
図2に示すように、本実施形態における傾斜面32は、凸構造部3の上面31に対して所定の傾斜角度を有する面であってもよいが、図7に示すように、基部2の表面2Aに向かって凸状の湾曲面(凸曲面)により構成されていてもよいし、図8に示すように、基部2の裏面2Bに向かって凹状の湾曲面(凹曲面)により構成されていてもよい。また、傾斜面32は、第1傾斜角を有する第1傾斜面321と第2傾斜角を有する第2傾斜面322とを含み、第1傾斜角が、第2傾斜角よりも小さくてもよいし(図9参照)、第2傾斜角よりも大きくてもよい(図10参照)。さらに、所定の傾斜角度を有する面と湾曲面(凹曲面又は凸曲面)とにより構成されていてもよい。なお、傾斜面32の少なくとも一部が湾曲面(凹曲面又は凸曲面)により構成される場合、凹部51の寸法、ピッチは、接触角調整用凹凸構造5のインプリント樹脂に対する接触角θ5を被転写基板80のインプリント樹脂に対する接触角θ80よりも大きく又は小さくすることができる寸法、ピッチであればよい。上述した、凹部51の形状に応じた下記式は、傾斜面32が平面であることを前提として成立するものであるため、傾斜面32の少なくとも一部が湾曲面により構成される場合には、厳密に言えば成立しないこととなる。しかしながら、本実施形態に係るブランクス基材1において、傾斜面32を構成する湾曲面の曲率半径が、傾斜面32の幅W32や高さT32に比して非常に大きいことからすると、凹部51の形状に応じて下記式を満たすように当該凹部51の寸法、ピッチを設定すれば、接触角調整用凹凸構造5のインプリント樹脂に対する接触角θ5を被転写基板80のインプリント樹脂に対する接触角θ80よりも大きく又は小さくすることができると推察される。
(凹部51が平面視正方形状のホール形状である場合。Ws:平面視における凹部51のホールの一辺の長さ,Wp:平面視における凹部51のピッチ)
cosθ5=((Wp2-Ws2)/Wp2)・cosθs+(Ws2/Wp2)・cosθg
(凹部51がスペース形状である場合。Ws:平面視における凹部51の短手方向の幅,Wp:平面視における凹部51のピッチ)
cosθ5=((Wp-Ws)/Wp)・cosθs+(Ws/Wp)・cosθg
(凹部51が平面視円形状のホール形状である場合。Ws:平面視における凹部51のホールの半径,Wp:平面視における凹部51のピッチ)
cosθ5=((Wp2-πWr2)/Wp2)・cosθs+(πWr2/Wp2)・cosθg
接触角調整用凹凸構造5の凹部51の傾斜面32上における寸法は、凹部51の底部における寸法よりも大きくてもよく、この場合において凹部51の寸法は、傾斜面32から底部に向かって漸減していてもよい。例えば、凹部51の断面形状が針状であってもよいし(図11参照)、凹部51の深さ方向の途中から底部に向けて凹部51の寸法が漸減していてもよいし(図12参照)、凹部51の底部が湾曲形状を有していてもよい(図13参照)。
基部2の裏面2Bには、所定の大きさの窪み部4が形成されている。窪み部4が形成されていることで、本実施形態に係るブランクス基材1から製造されるインプリントモールド10(図15参照)を用いたインプリント処理時、特にインプリント樹脂との接触時やインプリントモールド10の剥離時に、基部2、特に凸構造部3の上面31を湾曲させることができる。その結果、凸構造部3の上面31とインプリント樹脂とを接触させるときに、凸構造部3の上面31に形成されている凹凸パターン11(図15参照)とインプリント樹脂との間に気体が挟みこまれてしまうのを抑制することができ、また、インプリント樹脂に凹凸パターン11が転写されてなる転写パターンからインプリントモールド10を容易に剥離することができる。
窪み部4の平面視形状は、略円形状であるのが好ましい。略円形状であることで、インプリント処理時、特に凸構造部3の上面31とインプリント樹脂とを接触させるときやインプリント樹脂からインプリントモールド10を剥離するときに、インプリントモールド10の凸構造部3の上面31を、その面内において実質的に均一に湾曲させることができる。
図14に示すように、窪み部4の平面視における大きさは、窪み部4を基部2の表面2A側に投影した投影領域内に、凸構造部3が包摂される程度の大きさである限り、特に制限されるものではない。当該投影領域が凸構造部3を包摂不可能な大きさであると、インプリントモールド10(図15参照)の凸構造部3の上面の全面を効果的に湾曲させることができないおそれがある。
なお、本実施形態に係るブランクス基材1において、少なくとも傾斜面32にはクロム系化合物等により構成される遮光層(図示省略)が形成されていてもよい。傾斜面32に遮光層が形成されていることで、パターン領域PAから外側にはみ出したインプリント樹脂が硬化するのを防止することができる。
〔インプリントモールド〕
図15は、本実施形態におけるインプリントモールドの概略構成を示す切断端面図である。
図15に示すように、本実施形態におけるインプリントモールド10は、本実施形態に係るブランクス基材1の凸構造部3の上面31に設定されるパターン領域PAに凹凸パターン11が形成されてなるものである。
凹凸パターン11の形状、寸法等は、本実施形態におけるインプリントモールド10を用いて製造される製品等にて要求される形状、寸法等に応じて適宜設定され得る。例えば、凹凸パターン11の形状としては、ラインアンドスペース状、ピラー状、ホール状、格子状等が挙げられる。また、凹凸パターン11の寸法は、例えば、10nm~200nm程度に設定され得る。なお、凹凸パターン11の寸法とは、凹凸パターン11がラインアンドスペース状又は格子状である場合にはその凹部又は凸部の短手方向の幅を意味し、凹凸パターン11がピラー状又はホール状である場合にはその凹部又は凸部の直径又は一辺の長さを意味するものとする。
〔ブランクス基材の製造方法〕
本実施形態に係るブランクス基材1を製造する方法について説明する。図16~21は、本実施形態に係るモールド基材の製造方法の各工程を示す部分拡大切断端面図である。なお、上記ブランクス基材1と同様の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
まず、表面2A及びそれに対向する裏面2Bを有する基部2と、基部2の表面2A側における平面視略中央部に位置し、当該表面2Aから突出する凸構造部3とを具備し、凸構造部3が上面31、傾斜面32及び側面33を有するモールド用基板1’を準備する(図16参照)。モールド用基板1’は、傾斜面32に接触角調整用凹凸構造5が形成されていない以外は本実施形態に係るブランクス基材1(図1~3参照)と同様の構成を有するものである。
本実施形態において、モールド用基板1’の凸構造部3の上面31、傾斜面32及び側面33、並びに基部2の表面2Aには、ハードマスク層6が形成されている。ハードマスク層6を構成する材料としては、例えば、クロム、チタン、タンタル、珪素、アルミニウム等の金属;窒化クロム、酸化クロム、酸窒化クロム等のクロム系化合物、酸化タンタル、酸窒化タンタル、酸化硼化タンタル、酸窒化硼化タンタル等のタンタル化合物、窒化チタン、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等を単独で、又は任意に選択した2種以上を組み合わせて用いることができる。
ハードマスク層6は、後述する工程(図20参照)にてパターニングされ、モールド用基板1’をエッチングする際のマスクとして用いられるものである。そのため、モールド用基板1’の種類に応じ、エッチング選択比等を考慮して、ハードマスク層6の構成材料を選択するのが好ましい。例えば、モールド用基板1’が石英ガラス基板である場合、ハードマスク層6として金属クロム膜等が好適に選択され得る。
ハードマスク層6の厚さは、モールド用基板1’の種類に応じたエッチング選択比、製造されるブランクス基材1における接触角調整用凹凸構造5のアスペクト比等を考慮して適宜設定される。例えば、モールド用基板1’が石英ガラス基板であって、ハードマスク層6が金属クロム膜である場合、ハードマスク層6の厚さは、1nm~20nm程度に設定され得る。
モールド用基板1’にハードマスク層6を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、スパッタリング、PVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の公知の成膜方法が挙げられる。
次に、モールド用基板1’の凸構造部3(ハードマスク層6)の上面31及び傾斜面32を少なくとも覆うレジスト膜7を形成する(図17参照)。レジスト膜7は、例えば、公知のポジ型感光性樹脂材料を、スピンコート法等によりハードマスク層6上に塗布し、感光性樹脂材料中に含まれる有機溶剤を加熱等により除去することにより形成され得る。ここで、ポジ型感光性樹脂材料とは、フォトマスクを介して露光された露光部に存在する材料が、後述するレジスト膜7の現像工程により除去され、露光されていない未露光部に存在する材料が残存するようになる感光性樹脂材料である。
レジスト膜7の膜厚は、特に限定されるものではなく、後述のレジストパターン71をマスクとしたハードマスク層6のエッチング処理中に、当該レジストパターン71が消失してしまわない程度に適宜設定され得る。
接触角調整用凹凸構造5に対応する遮光パターンを有するフォトマスクを準備し、モールド用基板1’に位置合わせされたフォトマスク(図示省略)を介して、特定波長域の光L、例えば紫外線、電子線等をレジスト膜7に照射する(図18参照)。フォトマスクを介した露光は、例えば、フォトマスクをレジスト膜7に密着させてフォトマスクの裏面側から露光するコンタクト露光、フォトマスクをレジスト膜7から離間させて配置してフォトマスクの裏面側から露光するプロキシミティ露光、フォトマスクとレジスト膜7との間にレンズや鏡等の光学装置を配置し、フォトマスクを透過した光が当該光学装置を介してレジスト膜7に投影されるプロジェクション露光等により行われ得る。また、電子線描画装置等を用い、接触角調整用凹凸構造5に対応するパターン潜像をレジスト膜7に直接描画露光してもよい。接触角調整用凹凸構造5に対応するレジストパターン71(図19参照)を高精度で形成することで、接触角調整用凹凸構造5を高精度に形成することができる。本実施形態において、当該レジストパターン71は、傾斜面32に形成されるが、傾斜面32の高さT32(内周縁部32Aと外周縁部32Bとの、基部2の厚さ方向における高さ位置の差分)が大きすぎる(高すぎる)と、電子線描画装置においてエラーと認識し描画することができなくなるおそれがある。仮に描画することができたとしても、電子線ボケの影響でレジストパターン71の寸法精度が低下するおそれがある。また、電子線を用いたコンタクト露光の場合も同様に、レジスト膜7上にフォトマスクからの距離が異なる部分が存在すると、レジストパターン71の寸法精度が低下するおそれがある。この点、本実施形態のように、傾斜面32の高さT32が100μm以下程度であれば、上記問題が生じ難くなり、レジストパターン71を高精度に形成することができる。
露光されたレジスト膜7を現像してレジストパターン71を形成する(図19参照)。例えば、スプレー法、浸漬法、パドル法等の公知の方法により、有機溶剤や有機アルカリ水溶液等の現像液をレジスト膜7に接触させ、露光部に存在するレジスト膜7を溶解・除去し、純水等のリンス液ですすぐ。これにより、フォトマスクの遮光パターン、すなわち接触角調整用凹凸構造5に対応するレジストパターン71が形成される。
上記レジストパターン71をマスクとして用い、例えば、塩素系(Cl2+O2)のエッチングガスを用いるドライエッチング処理によりモールド用基板1’の傾斜面32上に形成されているハードマスク層6をエッチングして、ハードマスクパターン61を形成する(図20参照)。その後、残存するレジストパターン71をウェットエッチング等により除去する。
最後に、ハードマスクパターン61をマスクとしてモールド用基板1’にドライエッチング処理を施すことで接触角調整用凹凸構造5を形成し、ハードマスクパターン61を除去する。このようにして、本実施形態に係るブランクス基材1が製造される(図22参照)。
上述のようにして製造されるブランクス基材1の凸構造部3の上面31に、所望のハードマスクパターンを形成し、当該ハードマスクパターンをマスクとしてブランクス基材1にドライエッチング処理を施すことで凹凸パターン11を形成する。これによりインプリントモールド10が製造され得る。ハードマスクパターンは、凸構造部3の上面31に形成されたハードマスク層上にレジスト膜を形成し、凹凸パターン11に対応する遮光パターンを有するフォトマスクを介した露光現像処理や直接露光現像処理により形成されたレジストパターンをマスクとしたエッチング処理、凹凸パターン11に対応する凹凸パターンを有するマスターモールドを用いたインプリント処理により形成されたレジストパターンをマスクとしたエッチング処理により形成され得る。
〔インプリント方法〕
上述した構成を有するインプリントモールド10を用いたインプリント方法について説明する。図22及び図23は、本実施形態におけるインプリント方法の各工程を切断端面にて示す工程フロー図である。
まず、インプリントモールド10と、被転写面80A及び被転写面80Aに対向する対向面80Bを有する被転写基板80とを準備する(図22(A)参照)。被転写基板80としては、例えば、石英ガラス基板、ソーダガラス基板、フッ化カルシウム基板、フッ化マグネシウム基板、アクリルガラス等や、これらのうちから任意に選択される2以上の基板を積層してなる積層基板等の透明基板;ニッケル基板、チタン基板、アルニウム基板等の金属基板等;シリコン基板、窒化ガリウム基板等の半導体基板等が挙げられる。
被転写面80Aのインプリント樹脂81(図22(B)参照)に対する接触角は、インプリントモールド10の凸構造部3の傾斜面32のインプリント樹脂81に対する接触角よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
次に、被転写基板80の被転写面80A側にインプリント樹脂81を供給する(図22(B)参照)。インプリント樹脂81としては、従来公知の紫外線硬化性樹脂等を用いることができる。インプリント樹脂81の供給量は、本実施形態におけるインプリント方法により作製されるパターン構造体82(図23(B)参照)の残膜厚及びインプリントモールド10の凹凸パターン11の容積等に応じて適宜算出され、決定され得る。このとき、インプリント樹脂81の供給量不足によってパターン構造体82に欠陥(未充填欠陥)が生じるのを防止するために、インプリント樹脂81の供給量は、パターン構造体82の残膜厚及びインプリントモールド10の凹凸パターン11の容積等に応じて算出される量よりも僅かに多い量に決定されればよい。
続いて、インプリント樹脂81にインプリントモールド10の凸構造部3の上面31の凹凸パターン11(パターン領域PA)を接触させ、被転写基板80の被転写面80Aとインプリントモールド10の凹凸パターン11(パターン領域PA)との間にインプリント樹脂81を展開させる(図22(C)参照)。このとき、インプリント樹脂81は、パターン領域PAから外側に向かって濡れ広がるように展開し、インプリントモールド10の傾斜面32に達する。この傾斜面32には接触角調整用凹凸構造5が形成されているため、インプリント樹脂81のはみ出しが抑制され得る。
そして、その状態でインプリント樹脂81にインプリントモールド10を介してエネルギー線(UV等)ELを照射し、当該インプリント樹脂81を硬化させる(図23(A)参照)。
最後に、硬化したインプリント樹脂81からインプリントモールド10を剥離する(図23(B)参照)。これにより、被転写基板80の被転写面80A上に、インプリントモールド10の凹凸パターン11が転写されてなるパターン構造体82を作製することができる。
上述したように、本実施形態に係るインプリントモールド10を用いてインプリント処理を行うことで、インプリントモールド10の凸構造部3の外側にインプリント樹脂81がはみ出すのを防止することができる。したがって、ステップアンドリピート方式により被転写基板80の被転写面80A上に複数のインプリント処理を繰り返す場合、被転写基板80の被転写面80A上における隣接する被インプリント領域(インプリントされる領域)の間隔を狭めることができ、1枚の被転写基板80におけるインプリント処理回数を増大させることができる。また、インプリント樹脂81がはみ出して凸構造部3の外側(側面33)に沿って盛り上がるようにして硬化してしまうと、当該盛り上がって硬化した部分によりインプリントモールド10が破損したり、パーティクルが発生したりするおそれがあるが、本実施形態に係るインプリントモールド10を用いたインプリント処理においては、凸構造部3の外側(側面33)にまでインプリント樹脂81がはみ出してしまうのを防止することができるため、上記インプリントモールド10の破損やパーティクルの発生を防止することもできる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
上記実施形態においては、基部2の表面2Aから突出する凸構造部3を備え、凸構造部3の傾斜面32に接触角調整用凹凸構造5が形成されている態様を例に挙げて説明したが、この態様に限定されるものではない。例えば、図24に示すように、凸構造部3を有さず、基部2の表面2Aは、当該表面2Aに設定されるパターン領域PAを取り囲む傾斜面22を含み、当該傾斜面22に接触角調整用凹凸構造5が形成されていてもよい。
上記実施形態において、少なくとも傾斜面32(接触角調整用凹凸構造5)を被覆する遮光層が設けられていてもよい。この場合において、遮光層は、通常、インプリント樹脂81に照射される光(例えば、波長200nm~450nmの光線等)に対して所望とする遮光性能(例えば、光学濃度値(OD値)が3以上)を奏するように設計されており、遮光層を構成する材料としては、例えば、クロム、酸化クロム、窒化クロム、酸窒化クロム等のクロム系材料;モリブデン、モリブデンシリサイド等のモリブデン系材料;金等が用いられ得る。傾斜面32を被覆する遮光層が設けられていることで、凸構造部3の上面31(パターン領域PA)から外側にはみ出し、傾斜面32(接触角調整用凹凸構造5)に接触するインプリント樹脂81が、インプリントモールド10の基部2の厚み方向に沿って進行するエネルギー線(UV等)ELを遮光し、当該エネルギー線(UV等)ELが、インプリントモールド10の凸構造部3の上面31(パターン領域PA)から外側にはみ出し、傾斜面32(接触角調整用凹凸構造5)にて留まるインプリント樹脂81に照射されるのを防止することができる。
上記実施形態において、モールド用基板1’の凸構造部3(ハードマスク層6)の上面31及び傾斜面32にポジ型感光性樹脂材料からなるレジスト膜7を形成しているが、この態様に限定されるものではなく、レジスト膜7は、ネガ型感光性樹脂材料により構成されていてもよい。
上記実施形態において、ブランクス基材1及びインプリントモールド10として、基部2の裏面2B側に窪み部4が形成されてなる態様を例に挙げて説明したが、この態様に限定されるものではない。例えば、基部2の裏面2B側に窪み部4が形成されていなくてもよい。窪み部4が形成されていないインプリントモールド10を用いて被転写基板80にインプリントする場合には、被転写基板80の被転写面80Aに対向する面80Bに窪み部が形成されているのが望ましい。
上記実施形態において、傾斜面32に接触角調整用凹凸構造5が設けられてなるブランクス基材1を例に挙げて説明したが、この態様に限定されるものではない。例えば、ブランクス基材1は、接触角調整用凹凸構造5が形成されていないが、接触角調整用凹凸構造5を形成可能な傾斜面32を有するものであってもよい。この場合において、接触角調整用凹凸構造5は、凹凸パターン11と同時に形成されてもよいし、凹凸パターン11とは別個に形成されてもよい。
上記実施形態のブランクス基材1及びインプリントモールド10において、凸構造部3の傾斜面32のインプリント樹脂に対する接触角は、凸構造部3の上面31のインプリント樹脂に対する接触角よりも大きくてもよい。凸構造部3の上面31と被転写基板80の被転写面80Aとの間のインプリント樹脂は、凸構造部3の傾斜面32に沿ってはみ出していくが、傾斜面32の接触角が上面31の接触角よりも大きいことで、インプリント樹脂のはみ出しを抑制することができる。
本発明は、半導体デバイスの製造過程等において用いられるインプリントモールドやそれを製造するためのモールド基材等の技術分野において有用である。
1…ブランクス基材
2…基部
3…凸構造部
31…上面
32…傾斜面
33…側面
4…窪み部
10…インプリントモールド
11…凹凸パターン

Claims (18)

  1. 第1面及び当該第1面に対向する第2面、並びに前記第1面に設定されるパターン領域の外側を取り囲む、機能性領域が設定される第3面を有する基部と、
    前記第3面に形成されてなる接触角調整用凹凸構造部と
    を備え、
    前記第3面は、前記第1面の外縁部に連続する内周縁部と、前記内周縁部よりも前記第2面側に位置する外周縁部とを有し、
    前記接触角調整用凹凸構造部は、前記第1面に対して実質的に直交する凹凸方向を有する
    ブランクス基材。
  2. 前記第3面は、第1傾斜角を有する第1傾斜面と、前記第1傾斜角と異なる角度の第2傾斜角を有する第2傾斜面とを含む
    請求項1に記載のブランクス基材。
  3. 前記第1傾斜角が、前記第2傾斜角よりも大きい
    請求項2に記載のブランクス基材。
  4. 前記第1傾斜角が、前記第2傾斜角よりも小さい
    請求項2に記載のブランクス基材。
  5. 前記第3面は、前記第2面に向かって凹状の凹曲面を含む
    請求項1~4のいずれかに記載のブランクス基材。
  6. 前記第3面は、前記第1面に向かって凸状の凸曲面を含む
    請求項1~5のいずれかに記載のブランクス基材。
  7. 前記第3面は、前記内周縁部から前記外周縁部に向けて傾斜する傾斜面である
    請求項1に記載のブランクス基材。
  8. 前記接触角調整用凹凸構造の凹部の前記第3面側における凹幅が、前記凹部の底部における凹幅よりも大きい
    請求項1~7のいずれかに記載のブランクス基材。
  9. 前記接触角調整用凹凸構造の凹部の凹幅が、前記第3面側から前記底部に向けて漸減する
    請求項8に記載のブランクス基材。
  10. 前記接触角調整用凹凸構造の凹部の凹幅が、前記凹部の深さ方向において実質的に同一である
    請求項1~7のいずれかに記載のブランクス基材。
  11. 前記基部の厚さ方向における前記内周縁部と前記外周縁部との高さの差が、100μm以下である
    請求項1~10のいずれかに記載のブランクス基材。
  12. 前記第3面を少なくとも被覆する遮光膜をさらに有する
    請求項1~11のいずれかに記載のブランクス基材。
  13. 請求項1~12のいずれかに記載のブランクス基材の前記パターン領域に形成されてなる凹凸パターンを有するインプリントモールド。
  14. 請求項13に記載のインプリントモールドを製造する方法であって、
    前記ブランクス基材の前記パターン領域に、前記凹凸パターンに対応するマスクパターンを形成する工程と、
    前記マスクパターンが形成された前記ブランクス基材をエッチングすることで、前記凹凸パターンを形成する工程と
    を有するインプリントモールドの製造方法。
  15. 請求項13に記載のインプリントモールドを用いたインプリント方法であって、
    前記インプリントモールドの前記第3面のインプリント樹脂に対する濡れ性とは異なる濡れ性を有する被転写面を有する被転写基板を準備する工程と、
    前記被転写面に前記インプリント樹脂を供給する工程と、
    前記被転写面上の前記インプリント樹脂に前記凹凸パターンを接触させることで、前記インプリント樹脂に前記凹凸パターンを転写する工程と、
    前記凹凸パターンが転写された前記インプリント樹脂から前記インプリントモールドを引き離す工程と
    を有するインプリント方法。
  16. 前記第3面の前記インプリント樹脂に対する接触角が、前記被転写面の前記インプリント樹脂に対する接触角よりも大きい
    請求項15に記載のインプリント方法。
  17. 前記第3面の前記インプリント樹脂に対する接触角が、前記被転写面の前記インプリント樹脂に対する接触角よりも小さい
    請求項15に記載のインプリント方法。
  18. 前記第3面の前記インプリント樹脂に対する接触角が、前記第1面の前記パターン領域の前記インプリント樹脂に対する接触角よりも大きい
    請求項15~17のいずれかに記載のインプリント方法。
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