以下、本発明のいくつかの実施形態が説明される。実施形態は、特許請求の範囲による発明を限定するものではなく、実施形態に記載された特徴のすべての組み合わせは、発明の態様によって提供される手段に必ずしも必須ではない。
図1は、有機発光ダイオード100の模範的な構成を示す。有機発光ダイオード100には、有機層10、陽極20、陰極30、カプセル化層40、カプセル化層50、および封止基板60が含まれる。
有機層10は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)現象を使用して光を放出する。有機層10は、陽極20と陰極30の間に設けられており、所定の電流が有機層10を流れる。有機層10は、電子と正孔を再結合させることによって所定の波長の光を生成する。
陽極20は有機層10の底面に設けられている。陽極20は、反射層の機能を有することもある。このように、有機発光ダイオード100の発光効率は改善される。陽極20の材料には、単一の金属元素、例えば銀(Ag)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、白金(Pt)、ネオジム(Nd)、または金(Au)、あるいはこれらの金属のいずれかの合金を挙げることができる。
一例として、陽極20には、第1の透明電極、反射電極、および第2の透明電極が含まれる。陽極20の材料は、例えば、ITO/Ag合金/IZOである。ITOはインジウムスズ酸化物で作られた透明電極である。使用されるAg合金は、安定性のためにAg、Pa、およびCu合金であってもよいが、電極が高い反射率を有しているのであれば、例えば、Al系合金で作られた素子が使用され得る。ITO、Ag合金、およびIZOは、それぞれ50nm、150nm、および10nmの膜厚を有してよい。
陰極30は有機層10の上面に設けられている。陰極30は陽極20の反対側に設けられている。トップエミッション構造の場合、光は陰極側から放出される必要があるため、陰極30は透明性を有していなければならない。陰極30がITOまたはIZOなどの透明電極によって形成される場合、その膜厚は数百ナノメートルのオーダーであることが可能であるが、面内伝導率または等電位面が形成されれば、パネルサイズおよび解像度に応じて任意の膜厚を選択することが可能である。金属電極が使用される場合、大きい膜厚は透明性を妨げるので望ましくないため、陰極30の膜厚は15nm以下であり得る。陰極30の材料には、単一の金属元素、例えばアルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、またはナトリウム(Na)など、あるいはこれらの金属のいずれかの合金が含まれてよい。より具体的には、陰極30の材料は、マグネシウムと銀の合金(MgAg合金)またはアルミニウム(Al)とリチウム(Li)の合金(AlLiまたはその二層を積み重ねたもの)であってよい。あらゆる種類または組成の電極が陰極30として選択され得る。
カプセル化層40は陰極30上に設けられている。カプセル化層40は、単層であってもよいし、多層であってもよい。カプセル化層40は、水分、酸素、および有機層10に悪影響を及ぼす他の不純物を阻止する強い能力を有することが好ましい。例えば、カプセル化層40には、窒化ケイ素(通常はSi3N4)膜、酸化ケイ素(通常はSiO2)膜、酸化窒化ケイ素(X>YであるSiNxOy組成)膜、窒化酸化ケイ素(X>YであるSiOxNy組成)膜、DLC(ダイヤモンド状炭素)などの主に炭素である薄膜、CNT(カーボンナノチューブ)膜などが含まれる。一例として、カプセル化層40は、プラズマCVDを使用して形成される。
カプセル化層50はカプセル化層40上に設けられている。カプセル化層50は有機層10およびカプセル化層40を封止する。カプセル化層50はカプセル化層40と同じ種類の材料を有していてもよいし、異なる種類の材料を有していてもよい。カプセル化層50は、絶縁材料かまたは導電材料のいずれかによって形成され得る。絶縁材料は結晶性であってもアモルファスであってもよく、無機絶縁材料、例えばアモルファスシリコン(α-Si)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si-Nx)、アモルファスカーボン(α-C)、酸化シリコン(SiOx)、または窒化酸化ケイ素(SiNxOy)などであってもよい。導電材料の例としては、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(InZnO)、インジウムチタン亜鉛酸化物(ITZO)などが挙げられる。
封止基板60は、カプセル化層50上に設けられている。封止基板60は、カプセル化層40およびカプセル化層50とともに有機層10を封止する。封止基板60は、有機層10で生成された発光光を透過する材料を有する。例えば、封止基板60は、有機層10で生成された発光光を透過する透明なガラスなどの材料でできている。さらに、封止基板60には、カラーフィルタやブラックマトリックスとして機能する遮光膜が備えられていてもよい。
この実施形態の有機発光ダイオード100では、有機層10は、以下でさらに説明される半結晶化有機(SCO)層86を含み、それによりプラズモン損失を基板モードに変換する。基板モードへの変換を達成することができるならば、外部モードとしての取り出しを実現することが可能である。これに加えて、またはこれの代わりに、半結晶化有機層86を含めることにより、有機発光ダイオード100は発光光を散乱させ、発光光を外部モードとして取り出す。プラズモン損失を外部モードとして取り出すことにより、有機発光ダイオード100はプラズモン損失を低減し、輝度を向上させることができる。さらに、発光光を散乱させることにより、有機発光ダイオード100は光取り出し効率を向上させ、輝度を向上させることができる。
図2Aは、第1の実施形態による有機層10の模範的な構成を示す。この実施形態の有機層10には、発光層(EML)15、正孔輸送領域70、および電子輸送領域80が含まれる。有機層10の各層は、単層であってもよいし、多層であってもよい。第1の実施形態の陰極(カソード、Cathode)30および陽極(アノード、Anode)20は、それぞれ、第1電極および第2電極の例である。
発光層15は、陽極20と陰極30の間に設けられている。発光層15は、陽極20および陰極30に注入された正孔および電子の再結合によって生成された励起子の結果として光を放出する。発光層15は、構成材料に対応する波長を有する光を放出する。例えば、発光層15が青色光を放出する場合、発光層15には、ホスト材料としてADN(アントラセンジナフチル)と、青色光を放出するゲスト材料として混合された2.5重量%の4,4’-ビス[2-{4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル]ビフェニル(DPAVBi)とが含まれる。発光層15の厚さは例えば30nmである。しかし、発光層15の材料および厚さは特に限定されない。
正孔輸送領域70は、発光層15と陽極20の間に設けられている。正孔輸送領域70は、正孔輸送層(HTL)74を含み、正孔を発光層15に注入する。この実施形態の正孔輸送領域70には、正孔注入層(HIL)72および電子障壁層(EBL)76が含まれる。しかし、正孔輸送領域70は正孔注入層72および電子障壁層76を含む必要はない。
正孔注入層72は、発光層15への正孔注入の効率を高めるため、さらに漏れを防止するためのバッファ層として機能する。一例として、正孔注入層72は、芳香族アミン構造を有する。正孔注入層72には、4,4’,4’’-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)および4,4’,4’’-トリス(2-ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(2-TNATA)のいずれか1つが含まれてよい。一例として、正孔注入層72の膜厚は5nm以上である。例えば、正孔注入層72の膜厚は10nmである。正孔注入層72は、P型ドーパントでドープされてもよいが、P型ドーパントでドープされる必要はない。
正孔輸送層74は、発光層15と陽極20の間に設けられている。正孔輸送層74は、発光層15への正孔輸送の効率を高める。一例として、正孔輸送層74は芳香族アミン構造を有する。正孔輸送層74にはビス[(N-ナフチル)-N-フェニル]ベンジジン(α-NPD)が含まれてよい。一例として、正孔輸送層74の膜厚は、5nm以上130nm以下であってよい。例えば、正孔輸送層74の膜厚は10nmである。正孔輸送層74は、P型ドーパントでドープされてもよいが、P型ドーパントでドープされる必要はない。
電子障壁層76は、電子輸送領域80から発光層15に注入された電子が正孔輸送領域70側に移動するのを防ぐ。電子障壁層76は、発光層15のキャリアを調整し、反対の極性のキャリアとの再結合の確率を高めることができる。電子障壁層76の材料は、発光層15および正孔輸送層74の材料に応じて選択されてよい。例えば、電子障壁層76は、発光層15よりも高いLUMO準位(すなわち、より低い電子親和力)を持つ材料である。このように、電子障壁層76は、発光層15からの電子の除去を制限し、再結合の確率を向上させることができる。さらに、電子障壁層76は、そのHOMO準位が正孔輸送層74のHOMO準位に近い材料で形成されることが好ましい。このように、電荷注入障壁は低減される。
電子輸送領域80は、発光層15と陰極30の間に設けられている。電子輸送領域80は、電子輸送層(ETL)84を含み、電子を発光層15に注入する。さらに、電子輸送領域80には半結晶化有機層86が含まれる。この実施形態の電子輸送領域80には、正孔障壁層(HBL)82および電子注入層(EIL)88が含まれる。しかし、電子輸送領域80は正孔障壁層82および電子注入層88を含む必要はない。
正孔障壁層82は、正孔輸送領域70から発光層15に注入された電子が電子輸送領域80側に移動するのを防ぐ。正孔障壁層82は、発光層15のキャリアを調整し、反対の極性のキャリアとの再結合の確率を高めることができる。正孔障壁層82の材料は、発光層15および電子輸送層84の材料に応じて選択されてよい。例えば、正孔障壁層82は、発光層15よりも高い低いHOMO準位(すなわち、より大きいイオン化ポテンシャル)を持つ材料である。このように、正孔障壁層82は、発光層15からの正孔の除去を制限し、再結合の確率を向上させることができる。さらに、正孔障壁層82は、そのLUMO準位が電子輸送層84のLUMO準位に近い材料で形成されることが好ましい。このように、電荷注入障壁は低減される。
電子輸送層84は、陰極30と発光層15の間に設けられている。電子輸送層84は、発光層15への電子輸送の効率を高める。電子輸送層84が電子輸送性を持つ材料でありさえすれば、電子輸送層84の材料は特に限定されない。電子輸送層84には、アリールピリジン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体などが含まれてよい。電子輸送層84は、N型ドーパントでドープされてもよいが、N型ドーパントでドープされる必要はない。さらに、電子輸送層84には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属およびその酸化物、複合酸化物、フッ化物、炭酸塩などが含まれ得る。
半結晶化有機層86は、半結晶領域とアモルファス領域の両方を有し得る。半結晶化有機層86の半結晶領域は、一定の分布を有するクラスターまたは結晶の状態を含んで存在し、分散した粒子径を有する。そのため、半結晶化有機層86の粒子径とは、半結晶化有機層86の半結晶領域の平均粒子径を指す。半結晶化有機層86の粒子径および形状は、有機分子の設計に応じて調整することができる。
半結晶化有機層86は、発光層15と電極の間に設けられている。半結晶化有機層86は、陰極30と発光層15の間に設けられている。半結晶化有機層86は、発光層15と陽極20の間に設けられてよい。さらに、半結晶化有機層86は、発光層15と陽極20の間、および発光層15と陰極30の間に設けられてよい。半結晶化有機層86を有機層10と各電極との界面付近に設けることは、有機層10と各電極との界面で発生するプラズモン損失を低減するために効果的である。
半結晶化有機層86は、電子輸送層84に使用され得る材料と同じである材料で、同じ母骨格を有する材料に結晶化度を追加する置換基を有していてもよいし、完全に異なる母骨格を持つ半結晶化度を有していてもよい。ここでの半結晶とは、分子間相互作用が結晶性有機材料よりも小さいというような特性を持つ有機材料を指し、半結晶部分とアモルファス部分の間の電子移動度にほとんど違いがない、そして、半結晶性の層であるため、高い電子移動度という性質を一般に有する結晶性の部分には電荷の集中が起こらない。電荷の集中が半結晶化した部分に集中する場合、発光面の輝度の不均一性が保たれなくなり、電荷の集中に起因するダークスポットなどが出現し、信頼性の点で問題である。半結晶化有機層86は、電子輸送特性を持つ材料を有する。半結晶化有機層86の具体的な材料は、以下でさらに説明される。半結晶化有機層86は、有機層10の他の層と同じ方法で、真空蒸着または印刷などの湿式法を使用して積層されてよく、新しい特別なステップを提供する必要はない。
半結晶化有機層86の膜厚は、30nm以下である、20nm以下、または10nm以下であり得る。半結晶化有機層86の膜厚を30nm以下にすることにより、発光面は均一な発光を実現することが可能である。半結晶化有機層86の膜厚は、発光層15により放出される発光光の波長に応じて適宜変更され得る。
半結晶化有機層86は、有機層10と陰極30の境界付近で発生するプラズモン損失のエネルギーベクトルの方向を変え、プラズモン損失を光として再結合し、光を外部モードとして取り出すことができる。プラズモン損失から外部モードへの変換には、プラズモン損失が基板モードなどの他のモードによって外部モードとして取り出される場合が含まれる。このように、半結晶化有機層86は、プラズモン損失によって引き起こされる外部量子効率(EQE)の低下を低減する。本実施形態では、プラズモン損失エネルギーは光に変換され、それが外部に放射され、それによって有機発光ダイオード100の輝度が改善される。半結晶化有機層86の粒子径は、発光層15により放出される光の波長に応じて適宜選択され得る。半結晶化有機層86の粒子径は100nm以下である。半結晶化有機層86の粒子径は、50nm以下または20nm以下であってよい。例えば、半結晶化有機層86の粒子径は、2nm以上20nm以下である。そのような粒子径を有する半結晶化有機層86の結果として、陰極30の表面積はより大きくなる。
ここで、電界強度の面内均一性を保つために、有機材料で作られた各構成要素は、アモルファス材料で形成されることが多い。あるいは、たとえ材料自体が結晶性であるとしても、薄膜が形成されるとアモルファス薄膜となる材料が使用される。有機材料が結晶化すると、有機発光素子の寿命は電流の集中によって短くなる。例えば、堆積中に電子注入層および電子輸送層が結晶化しないように、化学的および物理的に安定な構造を有するアモルファス材料が選択されている。このように、結晶性材料は電子輸送層に選択されなかったが、他方では、半結晶化有機層86は、プラズモン損失を低減するために設けられた層であり、半結晶性材料で形成されているという特徴を有する。
電子注入層88は、陰極30と半結晶化有機層86の間に設けられている。この実施形態の電子注入層88は、半結晶化有機層86に接触して設けられている。電子注入層88は、電子を陰極30から有機層10へ移動させるための層である。一例として、電子注入層88には、LiFおよびLi2Oのうちの少なくとも1つが含まれ得る。電子注入層88の膜厚は、半結晶化有機層86の結晶の凹凸が陰極30との界面にも残るように十分小さく作られていることが好ましい。例えば、電子注入層88の膜厚は1nmである。一例として、電子注入層88は、N型ドーパントでドープされている材料であり、電子輸送特性を有し、5nmの膜厚を有する。半結晶化有機層86が電子注入層88の機能を有する場合、電子注入層88は不要である。一例として、電子注入層88は、8-ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などの電子輸送特性を有する有機材料と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属などの還元可能な金属とを含む混合層である。
正孔輸送領域70および電子輸送領域80の膜厚は、有機層10で生成された光が外部に取り出されることを可能にする光学条件を満たすように設計されている。各膜厚を素子の設計の光学条件として用い、光取り出し効率を干渉条件として用いて、各膜厚は、それぞれの膜の位置関係に関する素子設計に応じて、光取り出し効率が大きくなる少なくとも2つの箇所を含むように決定される。したがって、電子輸送領域80の膜厚は、正孔輸送領域70の膜厚よりも小さくても大きくてもよい。正孔輸送領域70の膜厚は、正孔注入層72、正孔輸送層74、および電子障壁層76の膜厚の合計である。電子輸送領域80の膜厚は、正孔障壁層82、電子輸送層84、半結晶化有機層86、および電子注入層88の膜厚の合計である。
このように、有機発光ダイオード100は、電子供給機能と正孔供給機能との間のバランスを取ることが好ましい。発光層15への電子と正孔の供給の間のバランスを取ることにより、有機発光ダイオード100は電流効率および発光寿命を改善することができる。
この実施形態の有機発光ダイオード100には、発光層15と陰極30の間に半結晶化有機層86が含まれる。しかし、有機発光ダイオード100には、発光層15と陽極20の間に半結晶化有機層86が含まれてよい。この場合、半結晶化有機層86は正孔輸送特性を有し、正孔注入層72として機能する。
第1の実施形態の有機発光ダイオード100は、トップエミッション型の基本構造を有していると説明されている。しかし、有機発光ダイオード100の基本構造は、ボトムエミッション型であり得る。この場合、陽極20および陰極30の膜厚は、有機発光ダイオード100の基本構造に応じて適宜変更されてよい。
例えば、有機発光ダイオード100がトップエミッション型である場合、陰極30は、有機発光ダイオード100の発光光が透過することを可能にする膜厚を有する。一方、有機発光ダイオード100がボトムエミッション型である場合、陽極20は、ほとんどの場合ITO、IZOなどの透明電極を通常使用するが、金属電極などが使用される場合、陽極20は、有機発光ダイオード100の発光光が透過するのを可能にする厚さを有する。陰極30が反射電極を使用する場合があるが、発光光が陰極30側から発光ライトが漏れないように、透明度が低くゼロに近い状態で使用されることがより効率的である。トップエミッション型とボトムエミッション型の両方について、ほとんどの場合、光取り出し側の電極の反対側の電極、すなわち対向電極は、高い反射率と低い透明度を持つ電極を使用するが、この電極がある程度の透明度を有するならば、発光光を両側から取り出し、それによって透明ディスプレイとして公知の構造を実現することが可能である。この実施形態による本発明は、透過型ディスプレイとしても使用することができる。他の実施形態による有機発光ダイオード100は、トップエミッション型とボトムエミッション型の両方として採用されてもよい。
ここで、有機発光ダイオード100は、発光光が陽極20と陰極30との間で共振して取り出される共振器構造を有している。このように、有機発光ダイオード100は、取り出された光の色純度を向上させ、共振の中心波長近くの取り出された光の強度を向上させる。有機発光ダイオード100の有機層10の各層の膜厚は、以下の式を満たすように調整されてよい。
式1:(2L)/λ+Φ/(2π)=m
光学距離Lは、共振器の第1の端面E1と第2の端面E2との間の光学距離である。第1の端面E1は、陽極20の有機層10側の反射端面を指す。第2の端面E2は、陰極30の有機層10側の反射端面を指す。Φは、第1の端面E1で生じる反射光の位相シフトΦ1と第2の端面E2で生じる反射光の位相シフトΦ2の和(Φ=Φ1+Φ2)(rad)である。λは、第2の端面E2側から取り出されることが望まれる発光光スペクトルのピーク波長である。mは、Lが正になるように選択された整数である。式1において、Lおよびλの単位は同じでなければならない。例えば、Lおよびλは、(nm)単位を有しているように設定される。
この例の有機発光ダイオード100は、発光層15で生成された発光光が共振して第2の端面E2側(すなわち、陰極30側)から取り出される共振構造を有する。光学距離Lは、式1を満たす最小の正の値を実現するように設定されてよい。
また、光学距離L1が下に示される式2を満たし、光学距離L2が下に示される式3を満たすように、有機発光ダイオード100において調整が行われている。光学距離L1は、有機層10の最大発光位置と第1の端面E1との間の光学距離である。光学距離L2は、最大発光位置と第2の端面E2との間の光学距離である。最大発光位置は、発光強度が最大である、発光層15上の位置である。例えば、有機層10の陽極20側と陰極30側の両方の界面で光が発せられる場合、最大発光位置は、これらの界面のうち、より大きい発光強度を有する方である。
式2:L1=tL1+a1
(2tL1)/λ=-Φ1/(2π)+m1
式2において、tL1は、第1の端面E1と最大発光位置との間の理論上の光学距離である。a1は有機層10の発光分布に基づく補正量である。λは、取り出されることが望まれる発光スペクトルのピーク波長である。Φ1は、第1の端面E1で生じる反射光の位相シフト(rad)である。m1は0または整数である。式2は、有機層10で生成された発光光のうち陽極20の方向に向かう発光光が、第1の端面E1で反射されて戻るような場合であり、この戻り光の位相と発光時の位相は同じであるので、放出された光のうち陰極30に向かう発光光とのより強い関係が確立される。
式3:L2=tL2+a2
(2tL2)/λ=-Φ2/(2π)+m2
式3において、tL2は、第2の端面E2と最大発光位置との間の理論上の光学距離である。a2は有機層10の発光分布に基づく補正量である。λは、取り出されることが望まれる発光スペクトルのピーク波長である。Φ2は、第2の端面E2で生じる反射光の位相シフト(rad)である。m2は0または整数である。式3は、有機層10で生成された発光光のうち陰極30の方向に向かう発光光が、第2の端面E2で反射されて戻るような場合であり、この戻り光の位相と発光時の位相は同じであるため、放出された光のうち陽極20に向かう発光光とのより強い関係が確立される。
第1の実施形態の有機発光ダイオード100では、その膜厚が正孔輸送領域70の膜厚よりも大きくなるように電子輸送領域80を形成することにより、式2および式3において、m1>m2となるように有機発光ダイオード100を設計することが可能である。このように、光取り出し効率は増加させることができる。
式2の理論上の光学距離tL1および式3の理論上の光学距離tL2は、理論値であり、それによって、発光領域が広がらないと仮定した場合に、第1の端面E1または第2の端面E2での位相変化量と、発光光の進行に起因する位相変化量が相殺され、戻り光の位相と発光時の位相が同じになる。しかし、発光部分は通常広がるため、式2および式3は、発光分布に基づく補正量a1およびa2が加えられていることに留意する必要があろう。
補正量a1およびa2は、発光分布に応じて異なる。最大発光位置が発光層15の陰極30側にあり、発光分布が最大発光位置から陽極20側に広がっている場合、または最大発光位置が発光層15の陽極20側にあり、発光分布が最大発光位置から陰極30側に広がっている場合、補正量a1およびa2は、次式に示されるように計算される。
式4:a1=b(loge(s))
a2=-a1
bは、発光層15の発光分布が最大発光位置から陽極20の方向へ広がっている場合には、2n≦b≦6nである。さらに、発光層15の発光分布が最大発光位置から陰極30の方向へ広がっている場合には、bは、-6n≦b≦-2nである。nは、取り出されることが望まれる発光スペクトルのピーク波長λにおける第1の端面E1と第2の端面E2との間の平均屈折率である。sは、発光層15における発光分布に関連する物性値(1/e減衰距離)である。
一例として、第1の実施形態の有機発光ダイオード100には、膜厚が210nmの陽極20、膜厚が7nmの正孔注入層72、膜厚が122nmの正孔輸送層74、膜厚が7nmの電子障壁層76、膜厚が30nmの発光層15、合計膜厚が11nmの正孔障壁層82および電子輸送層84、膜厚が10nmの半結晶化有機層86、膜厚が1.0nmの電子注入層88、および膜厚が11nmの陰極30が含まれる。各層の膜厚は一例であり、上記に限定されるものではないことに留意する必要があろう。陽極20は、それぞれ50nm、150nm、および10nmの膜厚を有するITO/Ag合金/ITOの膜であってよい。第1の実施形態における正孔障壁層82、電子輸送層84、および半結晶化有機層86の合計膜厚が21nmである限り、これらの層のそれぞれの膜厚は特に限定されない。
図2Bは、第2の実施形態による有機発光ダイオード100の模範的な構成を示す。第2の実施形態の有機発光ダイオード100は、電子輸送領域80の膜厚が正孔輸送領域70の膜厚よりも大きいという点で第1の実施形態の有機発光ダイオード100とは異なる。第2の実施形態の説明では、第1の実施形態と異なる点に焦点が置かれている。第2の実施形態の陰極30および陽極20は、それぞれ、第1電極および第2電極の例である。
電子輸送領域80の膜厚は正孔輸送領域70の膜厚よりも大きい。電子輸送領域80の膜厚を正孔輸送領域70の膜厚よりも大きく作ることにより、電子が過剰なキャリアとして陰極30から発光層15に注入されることがより困難となる。電子が発光層15において過剰なキャリアとなると、有機発光ダイオード100の寿命は低下する。
特に、有機発光ダイオード100の寿命は、正孔が過剰キャリアになるときよりも、電子が過剰キャリアになるときの方が短くなる傾向がある。第2の実施形態の有機発光ダイオード100の寿命は、電子輸送領域80の膜厚を正孔輸送領域70の膜厚よりも大きく作ることによって増加させることができる。
第2の実施形態の有機発光ダイオード100のでは、正孔輸送領域70の膜厚は電子輸送領域80の膜厚よりも小さい。ここで、正孔輸送領域70および電子輸送領域80の膜厚は、正孔輸送領域70における正孔の移動度および電子輸送領域80における電子の移動度を考慮して設計されることが好ましい。一般に、電子輸送特性を持つ材料の電子移動度は、正孔輸送特性を持つ材料の正孔移動度よりも大きいため、電子輸送領域80における電子の移動度は、正孔輸送領域70における正孔の移動度よりも大きい。発光層15における電子と正孔との間のバランスを実現するために、正孔輸送領域70の膜厚は、電子輸送領域80の膜厚よりも相対的に小さくてよい。
第1の実施形態では、正孔の移動度は一般に電子の移動度よりも小さいため、正孔輸送領域70における移動度を調整するために、P型ドーパントが正孔輸送領域70に埋め込まれている場合がある。第2の実施形態の正孔輸送領域70は、電子輸送領域80よりも小さい膜厚を有するため、P型ドーパントを埋め込む必要はない。このように、第2の実施形態の有機発光ダイオード100の製造工程を簡略化することが可能である。
さらに、第1の実施形態および第2の実施形態の半結晶化有機層86は、発光層15の陰極30側に設けられている。半結晶化有機層86を発光層15の陰極30側に設けることにより、陰極30側のプラズモン損失Mpおよび他の伝搬モード(例えば、伝搬モードM2および伝搬モードM3)を外部モードM1’として取り出すことが可能である。このように、有機発光ダイオード100は、陰極30側のプラズモン損失を低減し、EQEを改善することを容易にする。
例えば、第2の実施形態の有機発光ダイオード100は、10nmの陽極20を形成するITOの上に、膜厚が7nmの正孔注入層72、膜厚が25nmの正孔輸送層74、膜厚が7nmの電子障壁層76、膜厚が30nmの発光層15、合計膜厚が103nmの正孔障壁層82および電子輸送層84、膜厚が10nmの半結晶化有機層86、膜厚が1.0nmの電子注入層88、および膜厚が11nmの陰極30を有する。各層の膜厚は一例であり、上記に限定されるものではないことに留意する必要があろう。正孔障壁層82、電子輸送層84、および半結晶化有機層86の各々の膜厚は、合計光学厚さが等しくなるように、素子特性を考慮して適宜調整されてよく、特に限定されない。第2の実施形態の半結晶化有機層86は、電子注入層88の機能を有し得る。半結晶化有機層86が電子注入層88の機能を有する場合、電子注入層88は不要である。
図2Cは、第3の実施形態による有機発光ダイオード100の模範的な構成を示す。第3の実施形態の有機発光ダイオード100は、半結晶化有機層86が正孔輸送領域70に設けられているという点で第1の実施形態の有機発光ダイオード100とは異なる。言い換えれば、第3の実施形態の陰極30および陽極20は、それぞれ、第2電極および第1電極の例である。第3の実施形態の説明では、第1の実施形態と異なる点に焦点が置かれている。
半結晶化有機層86は、陽極20と正孔注入層72の間に設けられている。しかし、半結晶化有機層86は、正孔注入層72と正孔輸送層74の間に設けられてもよい。第3の実施形態の半結晶化有機層86は、陽極20に接触して設けられている。さらに、半結晶化有機層86は、正孔注入層72の機能を有し得る。半結晶化有機層86が正孔注入層72の機能を有する場合、正孔注入層72は不要である。半結晶化有機層86は、有機層10と陽極20の間のプラズモン損失を外部モードとして取り出す。さらに、たとえ半結晶化有機層86が正孔輸送領域70に設けられている場合でも、発光光は半結晶化有機層86の半結晶によって散乱し、外部モードとして容易に取り出される。有機発光ダイオード100の光学条件は、第1の実施形態と同様の方法を使用して計算され得る。
図2Dは、第4の実施形態による有機発光ダイオード100の模範的な構成を示す。第4の実施形態の有機発光ダイオード100は、電子輸送領域80の膜厚が正孔輸送領域70の膜厚よりも大きいという点で第3の実施形態の有機発光ダイオード100とは異なる。第4の実施形態の説明では、第3の実施形態と異なる点に焦点が置かれている。第4の実施形態の陰極30および陽極20は、それぞれ、第2電極および第1電極の例である。
半結晶化有機層86は、陽極20および正孔注入層72の間、正孔輸送領域70内に設けられている。第4の実施形態の半結晶化有機層86は、陽極20に接触して設けられている。半結晶化有機層86は、正孔注入層72の機能を有し得ることに留意する必要があろう。半結晶化有機層86が正孔注入層72の機能を有する場合、正孔注入層72は不要である。たとえ正孔輸送領域70の膜厚が電子輸送領域80の膜厚よりも小さいとしても、第4の実施形態と同様に、半結晶化有機層86は正孔輸送領域70に設けられてよい。有機発光ダイオード100の光学条件は、第1の実施形態と同様の方法を使用して計算され得る。
第3の実施形態では、正孔の移動度は一般に電子の移動度よりも小さいため、正孔輸送領域70の移動度を調整するために、P型ドーパントが正孔輸送領域70に埋め込まれている場合がある。第4の実施形態の正孔輸送領域70は、電子輸送領域80よりも小さい膜厚を有するため、P型不純物を埋め込む必要はない。このように、第4の実施形態の有機発光ダイオード100の製造工程を簡略化することが可能である。
図2Eは、第5の実施形態による有機発光ダイオード100の模範的な構成を示す図である。第5の実施形態の有機発光ダイオード100は、半結晶化有機層86が、発光層15と陽極20の間、および発光層15と陰極30の間に設けられているという点で第1の実施形態の有機発光ダイオード100とは異なる。第5の実施形態では、半結晶化有機層86aが発光層15と陽極20の間に設けられている。半結晶化有機層86bは、発光層15と陰極30の間に設けられている。
各膜厚を素子の設計の光学条件として用い、光取り出し効率を干渉条件として用いて、各膜厚は、それぞれの膜の位置関係に関する素子設計に応じて、光取り出し効率が大きくなる少なくとも2つの箇所を含むように決定される。したがって、電子輸送領域80の膜厚は、正孔輸送領域70の膜厚よりも小さくても大きくてもよい。
図3は、有機発光ダイオード100の模範的な光伝搬モードを示す図である。図3は、伝搬モードM1~M3と、プラズモン損失Mpを示す。
伝搬モードM1は、外部モードの一例を示す。伝搬モードM1は、有機層10で生成された発光光が有機発光ダイオード100の外部に放射される伝搬モードである。
伝搬モードM2は、基板モードの一例を示す。伝搬モードM2は、封止基板60の表面と陽極20の表面の間を光が伝搬するモードである。例えば、伝搬モードM2では、有機層10で生成された発光光は封止基板60の表面で反射される。さらに、伝搬モードM2では、封止基板60の表面で反射された光は、陽極20の表面で反射され得る。
伝搬モードM3は、導波管モードの一例を示す。伝搬モードM3は、有機層10で生成された発光光が任意の層内に閉じ込められることにより、この層内を伝搬されるモードである。例えば、伝搬モードM3では、有機層10で生成された発光光はカプセル化層40内で伝搬される。さらに、有機層10で生成された発光光は有機層10内で伝搬される。
プラズモン損失Mpは、LSPR(局在表面プラズモン共鳴)が有機層10の表面で発生するモードである。さらに、プラズモン損失Mpでは、プラズモン損失によるエネルギー拡散は有機層10と陽極20の界面および有機層10と陰極30の界面で発生する。
ここで、有機発光ダイオード100のEQEを増加させると考えられる方法は、有機層10の内部量子効率(IQE)を増加させ、発光層15から外側に放出される光の光取り出し効率を向上させることである。
ここで、EQEηΦextは、次式によって示される。
ηφext=ηext×ηφint
ηextは光取り出し効率である。さらに、IQEηΦintは、次式によって示される。
ηφint=γ×ηr×ηφf
γは、バランス係数である。ηrは、正孔と電子の間の再結合係数である。ηfは、以下でさらに説明される有機層10を含む発光層15の発光効率である。
つまり、発光効率を向上させるためには、EQEηφextを構成する4つの要因を向上させればよい。光取り出し効率ηextは約20%~25%であり、ほとんどすべての発光光が素子内を伝搬する、それによって熱に変化して不活性となることに留意する必要があろう。特に、発光層15からの発光光の約50%がプラズモン損失として失われることを示すシミュレーション結果がある。この実施形態の有機発光ダイオード100は、半結晶化有機層86を備えていて、プラズモン損失Mpの発光光および他の伝搬モード(例えば伝搬モードM2および伝搬モードM3)を外部モードM1’として取り出し、それによってEQEηφextを向上させることができる。
図4は、有機発光ダイオード100の層状構造の概略図を示す図である。層状構造において、有機層(Organic Layer)95および半結晶化有機層86を有する有機層10は、ガラス基板(Glass Substrate)90の上方に設けられている。図4は、半結晶化有機層86を含む有機発光ダイオード100の結果として、陰極30と有機層10との界面が、半結晶化有機層86に対応する凹凸を有することを示している。
半結晶化有機層86の凹凸により、プラズモン損失のエネルギーベクトルの方向が変えられ、プラズモン損失が光として再結合され、光を外部モードとして取り出されることができる。さらに、有機層10の発光光を散乱させることにより、半結晶化有機層86は、この光を外部モードとして取り出すこともできる。このように、有機発光ダイオード100の量子効率は改善される。
図5A~図5Fは、半結晶化有機層86の形態の観測結果の例を示す。図5A~図5Fでは、半結晶化有機層86の粒子径が変えられる事例が開示されている。例えば、半結晶化有機層86の粒子径は、AFM(原子間力顕微鏡)などの測定装置を使用して、半結晶化有機層86の表面の凹凸を測定することによって取得され得る。半結晶化有機層86は均一な粒子径を持たないため、半結晶化有機層86の粒子径は、複数の粒子径の平均をとることによって決定され得る。図5A~図5Fのスケールバーは、半結晶化有機層86の高低差の最大値および最小値を示している。
図5Gは、図5Aから図5Fまでのすべての図面の半結晶化有機層86の平均粒子径(Average Particle Size)の例を示す図である。
図6Aは、比較例による有機層510の模範的な構成を示す図である。比較例の有機層510には、発光層(EML)515、正孔輸送領域570、および電子輸送領域580が含まれる。比較例の有機層510は、半結晶化有機層86を含まない点で第1の実施形態による有機層10とは異なる。
正孔輸送領域570には、正孔注入層(HIL)572、正孔輸送層(HTL)574、および電子障壁層(EBL)576が含まれる。電子輸送領域580には、正孔障壁層(HBL)582、電子輸送層(ETL)584、および電子注入層(EIL)588が含まれる。比較例の正孔輸送領域570は、電子輸送層584と電子注入層588の間に半結晶化有機層を含まない。
図6Bは、有機発光ダイオード500の光伝搬モードの例を示す。比較例の有機発光ダイオード500は半結晶化有機層を含まないため、プラズモン損失Mpおよび他の伝搬モード(例えば、伝搬モードM2および伝搬モードM3)を外部モードM1’として取り出すことができない。そのため、プラズモン損失Mpのエネルギーは光として放出されずに散逸して損失をもたらし、有機発光ダイオード500のEQEηφextは改善されない。
図7は、赤、緑、青のそれぞれについての電力削減(Power Reduction)結果の寄与率を示す。縦軸はOLEDの電力削減量を示し、横軸は赤、緑、および青のEQEの改善率を示す。有機発光ダイオード100において赤および緑よりも青が、より高い電力削減効果を有することが理解される。特に、青の場合、パネル電力削減の効果はほぼ倍になる。特に、有機発光ダイオード100は青のEQEを向上させることができ、そのことはパネルの電力消費量に大きく寄与するため、電力消費量を低減させる効果が大きい。図7のスペクトルは、有機発光ダイオード100の視野角が0°の場合のデータである。
図8は、有機発光ダイオード100の模範的なELスペクトルを示す。縦軸は有機発光ダイオード100から放射される光の強度(a.u.)を示し、横軸は波長(μm)を示す。実線は、この実施形態による有機発光ダイオード100のスペクトルを示す。破線は、比較例の有機発光ダイオード500のスペクトルを示す。図8から、有機発光ダイオード100の発光光の強度は、有機発光ダイオード500よりも改善されていることが理解される。例えば、改善は、30°の視野角で88%、45°の視野角で56%、60°の視野角で29%であった。さらに、改善は0°の視野角で10%であった。
図9A~図9Dは、有機発光ダイオード100の視野角特性の例を示す。図9A~図9Dには、有機発光ダイオード100の構造が変更された場合の発光効率が示されている。縦軸は発光効率Z/Jを示し、横軸は有機発光ダイオード100の視野角(°)(Angle)を示す。発光効率Z/Jは、Zを電流密度Jで規格化することによって得られる値である。Zは、青色成分を示す値である。実線は、半結晶化有機層86を含むこの実施形態(Embodiment)による有機発光ダイオード100の視野角の特徴を示す。破線は、半結晶化有機層86を含まない比較例(Comparative Example)による有機発光ダイオード500の視野角の特徴を示す。図9Aおよび図9Dは、有機発光ダイオード100の前面での発光効率をそれぞれ示す。有機発光ダイオード100の視野角の特徴は、有機発光ダイオード500よりも改善されていることが理解される。
図9Aは、正孔輸送領域70の膜厚D70が電子輸送領域80の膜厚D80よりも大きい(すなわち、D70>D80)構造を使用する場合である。さらに、図9Aは、陰極30が強いキャビティである場合を示している。強いキャビティは、陰極30の材料であるMgAgが、Mg:Ag=9:1の比で形成され、膜厚が11nmである場合である。一方、弱いキャビティは、陰極30の材料であるMgAgが、Mg:Ag=2:1の比で形成され、膜厚が11nmである場合である。つまり、陰極30の組成は、強いキャビティと弱いキャビティとで異なる。強いキャビティの場合、光は前面に集まりやすい。弱いキャビティの場合、前面に集中した光は、強いキャビティの場合よりも弱いが、発光光分布はlambertianに近い。
図9Bは、正孔輸送領域70の膜厚D70が電子輸送領域80の膜厚D80よりも大きい(すなわち、D70>D80)構造を使用する場合である。さらに、図9Bは、陰極30が弱いキャビティである場合を示している。
図9Cは、電子輸送領域80の膜厚D80が正孔輸送領域70の膜厚D70よりも大きい(すなわち、D80>D70)構造を使用する場合である。さらに、図9Cは、陰極30が強いキャビティである場合を示している。
図9Dは、電子輸送領域80の膜厚D80が正孔輸送領域70の膜厚D70よりも大きい(すなわち、D80>D70)構造を使用する場合である。さらに、図9Dは、陰極30が弱いキャビティである場合を示している。
図9Eは、有機発光ダイオード100の視野角特性の平均値を示す表を示す。図9A~図9Dは、ある特定のサンプルの視野角特性を示し、図9Eは、サンプル数N=10の平均値を示す。このように、図9Eでは、有機発光ダイオード100の状態が変えられたときの特徴の傾向を正確に知ることが可能である。
効率向上率は、半結晶化有機層86が設けられた場合の発光効率の向上率を示す。正孔輸送領域70の膜厚と電子輸送領域80の膜厚との間の関係にかかわらず、正面位置で約10%の効率向上率が達成された。さらに、強いキャビティを使用するか弱いキャビティを使用するかにかかわらず、正面位置で約10%の効率向上率が達成された。
有機発光ダイオード100に半結晶化有機層86を設けることにより、輝度を向上させることが可能である。そのため、たとえ電子輸送領域80の膜厚が正孔輸送領域70の膜厚より大きい場合でも、正面の輝度の低下を制限し、視野角特性を向上させることが可能である。さらに、電子輸送領域80の膜厚を正孔輸送領域70の膜厚よりも大きく作ることにより、過剰なキャリアである電子が発生する可能性が低く、有機発光ダイオード100の寿命は増加される。このように、有機発光ダイオード100の半結晶化有機層86を設け、また、電子輸送領域80の膜厚を正孔輸送領域70の膜厚より大きくすることにより、正面の発光効率と視野角特性の両方を改善すると同時に寿命を増加させることが可能である。
図10Aは、有機発光ダイオード100の輝度(Luminance)の経時変化を示す。縦軸は輝度値を示し、横軸は時間(時間数)を示す。実線は、この実施形態による有機発光ダイオード100の輝度の経時変化を示す。破線は、比較例による有機発光ダイオード500の輝度の経時変化を示す。この実施形態の有機発光ダイオード100は、300時間が経過した後でさえも、有機発光ダイオード500よりも高い輝度を維持している。
図10Bは、有機発光ダイオード100の印加電圧の経時変化を示す。縦軸は印加電圧(V)を示し、横軸は時間(時間数)を示す。実線は、この実施形態による有機発光ダイオード100の輝度の経時変化を示す。破線は、比較例による有機発光ダイオード500の輝度の経時変化を示す。この実施形態の有機発光ダイオード100は、300時間が経過した後でさえも、有機発光ダイオード500よりも高い輝度を維持している。
以上のように、有機発光ダイオード100において半結晶化有機層86を使用することにより、視野角特性を向上させ、青色光のEQEを向上させ、寿命を増加させることが可能である。
有機発光ダイオード100が情報を表示するための表示装置である場合、有機発光ダイオード100は任意の装置に適用することができる。
有機発光ダイオード100を含む表示装置を採用している電子機器の例としては、テレビジョン装置、コンピュータなどのモニター、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話、携帯ゲーム機、ゴーグル型ディスプレイ、携帯情報端末、オーディオ再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器の具体例は、図11A~図11Fにそれぞれ示されている。
図11Aは、有機発光ダイオード100がスマートフォンなどの携帯端末200に採用されている模範的な事例を示す図である。携帯端末200は、シャーシ202および表示部204を含む。表示部204はシャーシ202の中に設けられている。表示部204は有機発光ダイオード100を含み、所定の情報を表示する。表示部204に有機発光ダイオード100を採用することにより、携帯端末200は、優れた視野角特性を持つディスプレイを実現することができる。
図11Bは、有機発光ダイオード100がスマートフォンなどの携帯端末210に採用されている模範的な事例を示す図である。携帯端末210は、シャーシ212および表示部214を含む。シャーシ212では、表示部214が設けられている主面は曲面である。有機発光ダイオード100をフレキシブル基板上に形成することにより、表示部214は曲面を有するシャーシ212に採用され得る。
図11Cは、有機発光ダイオード100が折り畳み式携帯端末220に採用されている模範的な事例を示す図である。携帯端末220は、シャーシ222および表示部224を含む。シャーシ222は、折り畳みを可能にする機構を有している。表示部224は、3つの表示部224a、224b、および224cを含み、シャーシ222の折り畳み動作に応じて折り畳まれることができる。携帯端末220は、高輝度かつ広視野角の表示を実現することができ、携帯性も向上させることができる。
図11Dは、有機発光ダイオード100がノートパソコン230に採用されている模範的な事例を示す図である。ノートパソコン230は、シャーシ232および表示部234を含む。表示部234に有機発光ダイオード100を採用することにより、ノートパソコン230は、高輝度および広視野角のディスプレイを実現することができる。
図11Eは、有機発光ダイオード100がテレビジョン装置240に採用されている模範的な事例を示す図である。テレビジョン装置240は、シャーシ242および表示部244を含む。表示部244に有機発光ダイオード100を採用することにより、テレビジョン装置240は、高輝度および広視野角のディスプレイを実現することができる。
図11Fは、有機発光ダイオード100がスマートグラス250に採用されている模範的な事例を示す図である。スマートグラス250は、シャーシ252および表示部254を含む。有機発光ダイオード100は曲面に設けられることができるため、表示部254は、スマートグラス250のガラスに沿って設けられることができる。
図11Gは、有機発光ダイオード100がスマートウォッチ260に採用されている模範的な事例を示す図である。スマートウォッチ260は、シャーシ262および表示部264を含む。表示部264に高輝度の有機発光ダイオード100を採用することにより、スマートウォッチ260は屋外視認性を改善することができる。シャーシ262では、表示部264が設けられている主面は平面であるが、その代わりに曲面であってもよい。
半結晶化有機層86の材料は、電子輸送材料を含んでもよい。半結晶化有機層86の材料の例として提示した材料は、電子輸送層84の材料として使用されてよい。例えば、半結晶化有機層86の材料には、8-ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq
3)が含まれる。Alq
3は次式で示される。
式1:
さらに、半結晶化有機層86の材料は、下記の式2に示されるジベンズイミダゾール誘導体を含むこともある。
式2:
式2のY1~Y8は、置換基を有していてもよい6~60個の炭素原子を有するアリール基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいピリジル基、置換基を有していてもよいキノリル基、置換基を有していてもよい1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、置換基を有していてもよい1~20個の炭素原子を有するアルキル基、または置換基を有していてもよい脂肪族環式基をそれぞれ表すことに留意する必要があろう。Y7およびY8は、連結基を介して環を形成してもよい。
さらに、ジベンズイミダゾール誘導体の具体例が下式に示される。
式3:
式4:
式5:
半結晶化有機層86の材料は、ジベンズイミダゾール誘導体を含んでよい。ここで、ジベンズイミダゾール誘導体は、ジベンズイミダゾールを母骨格として使用する誘導体である。例えば、ジベンズイミダゾール誘導体は、下記の式6~式8で示される材料であり、強い電子注入性を持つ。半結晶化有機層86の材料は、ジベンズイミダゾール誘導体が含まれている場合、他の化合物を含む混合層であってよい。他の化合物は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属およびそれらの酸化物、複合酸化物、フッ化物、および炭酸塩の中から選択される少なくとも1種の化合物であってよい。
式6:
式7:
式8:
半結晶化有機層86の材料は、下記の式9に示されるように、アルキル置換チアゾリルまたはアルキル置換オキサゾリルを含む化合物であり得る。
式9:
この式では、Gは、6~40個の炭素原子を有する芳香族炭化水素化合物および4~40個の炭素原子を有する複素芳香族化合物からなる群から選択される1つの化合物から誘導されるm価の基であるか、または、同じ基から選択された2つの化合物を単結合で連結することによって得られる化合物から誘導されるm価の基である。これらの基の水素原子の1つは、1~12個の炭素原子を有するアルキル、3~12個の炭素原子を有するシクロアルキル、または6~24個の炭素原子を有するアリールで置き換えられてよい。
X1~X6は、独立に、=CR1-または=N-であり、X1~X6の中の少なくとも2つは、=CR1-であり、X1~X6の中の2つの=CR1-単位のR1は、Gまたはアゾール環と結合する結合であり、互いに=CR1-中のR1は、水素または1~4個の炭素原子を有するアルキルである。
アゾール環の置換基であるR2およびR3が1~4個の炭素原子を有するアルキルである場合、R2のアルキルおよびR3のアルキルは同じであってもよいし、異なっていてもよい。1~4個の炭素原子を有するアルキルは、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。つまり、1~4個の炭素原子を有するアルキルは、1~4個の炭素原子を有する直鎖アルキルまたは3または4個の炭素原子を有する分岐鎖アルキルである。この例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、フェニル、s-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t-ブチルなどが含まれる。
Yは独立に、-O-または-S-であり、R2は独立に、1~4個の炭素原子を有するアルキルであり、R3は独立に、水素または1~4個の炭素原子を有するアルキルであり、mは2~4の整数である。アゾール環および6員環によって形成される基は同じであっても異なっていてもよい。各環のいずれか1つの水素原子および式中のアルキルは、重水素で置き換えられてよい。
6~40個の炭素原子を有する芳香族炭化水素化合物および4~40個の炭素原子を有する複素芳香族化合物からなる群から選択される1つの化合物から誘導されるm価の基および同じ群から選択された2つの化合物を単結合で連結することによって得られる化合物から誘導されるm価の基のいずれか1つの水素原子が置き換えられていてよい、1~12個の炭素原子を有するアルキルは、1~12個の炭素原子を有する直鎖アルキルまたは3~12個の炭素原子を有する分岐鎖アルキルである。さらに、1~12個の炭素原子を有するアルキルは、1~6個の炭素原子を有するアルキル(3~6個の炭素原子を有する分岐鎖アルキル)であってもよいし、1~4個の炭素原子を有するアルキル(分岐鎖アルキル3~4個の炭素原子を有する)であってもよい。この具体例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、フェニル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ナフチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチルなどが含まれる。
6~40個の炭素原子を有する芳香族炭化水素化合物および4~40個の炭素原子を有する複素芳香族化合物からなる群から選択される1つの化合物から誘導されるm価の基および同じ群から選択された2つの化合物を単結合で連結することによって得られる化合物から誘導されるm価の基のいずれか1つの水素原子が置き換えられていてよい、3~12個の炭素原子を有するアルキルの具体例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチル、ジメチルシクロヘキシルなどが含まれる。
6~40個の炭素原子を有する芳香族炭化水素化合物および4~40個の炭素原子を有する複素芳香族化合物からなる群から選択される1つの化合物から誘導されるm価の基および同じ群から選択された2つの化合物を単結合で連結することによって得られる化合物から誘導されるm価の基のいずれか1つの水素原子が置き換えられていてよい、6~24個の炭素原子を有するアルキルの具体例には、単環式アリールであるフェニル、(o-、m-、p-)トリル、メシチル(2,4,6-トリメチルフェニル)、(2,3-、2,4-、2,5-、2,6-、3,4-、3,5-)キシリル、(o-、m-、p-)クメニル、二環式アリールである(2-、3-、4-)ビフェニリル、縮合二環式アリールである(1-、2-)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m-テルフェニル-2’-イル、o-テルフェニル-3’-イル、o-テルフェニル-4’-イル、m-テルフェニル-4’-イルm-テルフェニル-5’-イル、p-テルフェニル-2’-イル、o-テルフェニル-2-イル、o-テルフェニル-3-イル、o-テルフェニル-4-イル、p-テルフェニル-3-イル、p-テルフェニル-4-イル)、p-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-2-イル、m-テルフェニル-3-イル、m-テルフェニル-4-イル、縮合三環式アリールであるアントラセン-(1-、2-、9-)イル、フェナレン-(1-、2-)イル、(1-、2-、3-、4-、9-)フェナントリル、アセナフチレン-(1-、3-、4-、5-)イル、フルオレン-(1-、2-、3-、4-、9-)イル、縮合四環式アリールであるトリフェニレン-(1-、2-)イル、ピレン-(1-、2-、4-)イル、テトラセン-(1-、2-、5-)イル、縮合五環式アリールであるペリレン-(1-、2-、3-)イルなどが含まれる。
式9中のGは、下記の式10~式12に示される基の組から選択される1つの基であってよい。
式10:
式11:
式12:
さらに、半結晶化有機層86の材料は、下記の式13に示される材料を含むこともある。
式13:
この式において、Arは、6~40個の炭素原子を有する芳香族炭化水素から誘導されるm価の基または2~40個の炭素原子を有する芳香族複素環から誘導されるm価の基であり得る。これらの基のいずれか1つの水素原子は、1~4個の炭素原子を有するアルキルで置き換えられてよい。Lは、単結合または2価の基の組から選択される1つの基である。mは1~4の整数である。mが2、3、または4である場合、ピリジン環とLによって形成された基は、同じであっても異なっていてもよい。
Arは、下記の式14~式17に示される基の組から選択される1つの基であってよい。
式14:
式15:
式16:
式17:
式14~17において、Zは独立に、-O-、-S-、または式18の(2)または(3)によって示される2価の基の組から選択される1つの基であり、各基のいずれか1つの水素原子は、1~4個の炭素原子を有するアルキルまたは6~18個の炭素原子を有するアリールで置き換えられてよい。
式18:
(2)において、R
1はフェニル、ビフェニリル、ナフチル、またはテルフェニルであり、(3)において、R
2は独立に、フェニルまたはメチルであり、R
2単位は互いに結合されて環を形成してもよい。
Lは、式19および式20に示される単結合および2価の基の組から選択される1つの基である。
式19:
式19において、X
1~X
6は、独立に、=CR
1-または=N-であり、X
1~X
6の中の少なくとも2つは、=CR
1-であり、X
1~X
6の中の2つの=CR
1-単位のR
1は、Arまたはピリジン環と結合する結合であり、他の=CR
1-単位のR
1は、水素であってよい。
式20:
式20において、X
7~X
14は、独立に、=CR
1-または=N-であり、X
7~X
14の中の少なくとも2つは、=CR
1-であり、X
7~X
14の中の2つの=CR
1-単位のR
1は、Arまたはピリジン環と結合する結合であり、他の=CR
1-単位のR
1は、水素であってよい。
Lのいずれか1つの水素原子は、1~4個の炭素原子を有するアルキルまたは6~18個の炭素原子を有するアリールで置き換えられてよい。ピリジン環の任意の1個の水素原子は、1~4個の炭素原子を有するアルキル、フェニル、ビフェニリル、またはナフチルで置き換えられてよい。各環のいずれか1つの水素原子および式中のアルキルは、重水素で置き換えられてよい。
Arは、下記の式21~式22に示される基の組から選択される1つの基であってよい。
式21:
式22:
さらに、半結晶化有機層86の材料は、下記の式23に示される材料を含むこともある。
式23:
この式において、Arは、6~50個の炭素原子を有する芳香族炭化水素から誘導されるm価の基または2~50個の炭素原子を有する芳香族複素環から誘導されるm価の基であり得る。これらの基のいずれか1つの水素原子は、1~6個の炭素原子を有するアルキル、3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル、または6~12個の炭素原子を有するアリールで置き換えられてよい。mは2~4の整数である。R
1は、1~4個の炭素原子を有するアルキルであってよい。2~4個のピリジルフェニル基は同じであっても異なっていてもよい。各環およびアルキル中の任意の水素原子は、重水素で置き換えられてよい。
Arは、下記の式24~式25に示される基の組から選択される1つの基であってよい。
式24:
式25:
Zは、独立に、-O-、-S-、または式26によって示される2価の基であり、各基のいずれか1つの水素原子は、1~6個の炭素原子を有するアルキル、3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル、または6~12個の炭素原子を有するアリールは、で置き換えられてよい。
式26:
(2)において、R2は、フェニル、ナフチル、ビフェニリルまたはテルフェニリルであり、(3)において、R3は、独立に、メチル、ビフェニリル、またはフェニルであり、2つのR3単位は、相互に連結されて環を形成することができる。
さらに、半結晶化有機層86の材料は、下記の式27によって示される材料を含むこともある。
式27:
この式において、Arは、6~40個の炭素原子を有する芳香族炭化水素から誘導されるm価の基または2~40個の炭素原子を有する芳香族複素環から誘導されるm価の基である。これらの基の水素原子は、1~12個の炭素原子を有するアルキルまたは3~12個の炭素原子を有するシクロアルキルで置き換えられてよい。X
1~X
6は、独立に、=CR
1-または=N-であり、X
1~X
6の中の少なくとも2つは、=CR
1-であり、X
1~X
6の中の2つの=CR
1-単位のR
1は、Arまたはアゾール環と結合する結合であり、他の=CR
1-単位中のR
1は、水素または1~4個の炭素原子を有するアルキルであってよい。
Yは、独立に、-O-または-S-であり、アゾール環のいずれか1つの水素原子は、1~4個の炭素原子を有するアルキル、ビフェニリル、フェニル、またはナフチルで置き換えられてよい。mは2~4の整数であり、アゾール環と6員環似よって形成された基は、同じであっても異なっていてもよい。各環のいずれか1つの水素原子および式中のアルキルは、重水素で置き換えられてよい。
Arは、下記の式28および式29によって示される基の組から選択される1つの基であってよい。
式28:
式29:
Zは、独立に、-O-、-S-、または式30の(2)もしくは(3)によって示される2価の基であり各基のいずれか1つの水素原子は、1~12個の炭素原子を有するアルキル、3~12個の炭素原子を有するシクロアルキル、または6~24個の炭素原子を有するアリールで置き換えられてよい。
式30:
(2)において、R
2は、フェニル、ナフチル、ビフェニリルまたはテルフェニリルであってよい。(3)において、R
3は、独立に、メチル、ビフェニリル、またはフェニルであってよい。2つのR
3単位は、互いに連結されて環を形成することができる。
さらに、半結晶化有機層86の材料は、下記の式31によって示される材料を含むこともある。
式31:
式中のa、b、c、およびdは、独立に、1または0である、但し、aおよびbは同時に0ではない。Py
1およびPy
2は、独立に、ピリジルまたはビピリジルであり、このピリジルまたはビピリジルの任意の水素原子は、1~6個の炭素原子を有するアルキル、3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル、6~14個の炭素原子を有するアリール、または2~12個の炭素原子を有するヘテロアリールで置き換えられてよい。Ar
1は、水素、またはaが0の場合には6~20個の炭素原子を有するアリール、aが1の場合には6~20個の炭素原子を有するアリーレンであり、Ar
2は、水素、またはbが0の場合には6~20個の炭素原子を有するアリール、bが1の場合には6~20個の炭素原子を有するアリーレンであり、このアリールまたはアリーレンの任意の水素原子は、1~6個の炭素原子を有するアルキル、3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル、または6~14個の炭素原子を有するアリールで置き換えられてよい。
Aは、6~20個の炭素原子を有するアリールであり、このアリールの任意の水素原子は、1~6個の炭素原子を有するアルキル、3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル、または6~14個の炭素原子を有するアリールで置き換えられてよい。
R1~R8は、独立に、水素原子、1~6個の炭素原子を有するアルキル、3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル、6~14個の炭素原子を有するアリール、または2~10個の炭素原子を有するヘテロアリールであり、このアリールまたはヘテロアリールの任意の水素原子は、1~6個の炭素原子を有するアルキルまたは3~6個の炭素原子を有するシクロアルキルで置き換えられてよい。この化合物のいずれか1つの水素原子は、重水素で置き換えられてよい。
Py
1およびPy
2は、独立に、下記の式32および式33によって示される基の組から選択される1つの基であってよい。
式32:
式33:
式34:
これらの基の任意の水素原子は、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、s-ブチル、t-ブチル、n-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロヘキシル、t-ペンチル、n-ヘキシル、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、またはピリジルで置き換えられてよい。Ar1およびAr2は、独立に、フェニレン、ナフタレンジイル、アントラセンジイル、またはクリセンジイルであり、これらの基の任意の水素原子は、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、s-ブチル、t-ブチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、フェニル、ビフェニリル、またはナフチルで置き換えられてよい。Aは、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、またはフェナントリルであり、これらの基の任意の水素原子は、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、s-ブチル、t-ブチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、フェニル、ビフェニリル、またはナフチルで置き換えられてよい。R1~R8は、独立に、水素原子、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、s-ブチル、t-ブチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、またはフェニルであってよい。さらに、cおよびdは、独立に、1または0であってよい。
半結晶化有機層86の材料は、下記の式35によって示される材料を含むこともある。
式35:
式中のPyはピリジルであり、このピリジルの任意の水素原子は、1~6個の炭素原子を有するアルキル、3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル、あるいは、1~6個の炭素原子を有するアルキルまたは3~6個の炭素原子を有するシクロアルキルが置換されていてよいフェニルまたはビフェニリルで置き換えられてよい。
Bpはビフェニリレンであり、このビフェニリレンの任意の水素原子は、1~6個の炭素原子を有するアルキル、3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル、あるいは1~6個の炭素原子を有するアルキルまたは3~6個の炭素原子を有するシクロアルキルが置換されていてよいフェニルまたはビフェニリルで置き換えられてよい。
Rは、水素、1~6個の炭素原子を有するアルキル、3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル、または6~14個の炭素原子を有するアリールであり、このアリールの任意の水素原子は、1~6個の炭素原子を有するアルキルまたは3~6個の炭素原子を有するシクロアルキルで置き換えられてよい。この化合物のいずれか1つの水素原子は、重水素で置き換えられてよい。
Pyは、下記の式36および式37によって示される基の組から選択される1つの基である。Bpは、下記の式38によって示される基の組から選択される1つの基である。このビフェニリレンの任意の水素原子は、1~6個の炭素原子を有するアルキル、3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル、あるいは1~6個の炭素原子を有するアルキル3~6個の炭素原子を有するシクロアルキルが置換されていてよいフェニルまたはビフェニリルで置き換えられてよい。Rは、水素、1~6個の炭素原子を有するアルキル、3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル、または6~14個の炭素原子を有するアリールであり、このアリール中の任意の水素原子は、1~6個の炭素原子を有するアルキルまたは3~6個の炭素原子を有するシクロアルキルで置き換えられてよい。
式36:
式37:
式38:
さらに、半結晶化有機層86の材料は、下記の式39によって示される材料を含むこともある。
式39:
式中、Arは、6~30個の炭素原子を有するアリールである。式中、Ar、ベンゼン環、およびピリジン環の任意の水素原子は、1~6個の炭素原子を有するアルキルまたは3~6個の炭素原子を有するシクロアルキルで置き換えられてよい。この化合物のいずれか1つの水素原子は、重水素で置き換えられてよい。
Arは、式40および41に示される一価の基の組から選択される1つの基であってよい。
式40:
式41:
さらに、半結晶化有機層86の材料は、下記の式42によって示される材料を含むこともある。
式42:
式中、Pyは、独立に、下記の式43~式46によって示される基であってよい。
式43:
式44:
式45:
式46:
アントラセン環、ナフタレン環、ピリジン環、およびベンゼン環の-H単位は、独立に、重水素、1~6個の炭素原子を有するアルキル、または3~6個の炭素原子を有するシクロアルキルで置き換えられてよい。
さらに、半結晶化有機層86の材料は、下記の式47によって示される材料を含むこともある。
式47:
式中、Arは、6~30個の炭素原子を有するアリールである。Pyは、2-ピリジル、3-ピリジル、または4-ピリジルであってよい。式中、Ar、ベンゼン環、およびピリジン環の任意の水素原子は、1~6個の炭素原子を有するアルキルまたは3~6個の炭素原子を有するシクロアルキルで置き換えられてよい。この化合物のいずれか1つの水素原子は、重水素で置き換えられてよい。
Arは、下記に示される一価の基の組から選択される1つの基である。
式48:
上記式中、R
1は、独立に、1~6個の炭素原子を有するアルキルまたはフェニルであり、各群の任意の炭素原子は、1~6個の炭素原子を有するアルキルまたは3~6個の炭素原子を有するシクロアルキルで置き換えられてよい。
さらに、半結晶化有機層86の材料は、下記の式49によって示される材料を含むこともある。
式49:
式中、Pyはピリジルであり、このピリジルの任意の水素は、1~6個の炭素原子を有するアルキル、1~6個の炭素原子を有するアルキルまたは3~6個の炭素原子を有するシクロアルキルが置換されていてよい1-ナフチル、1~6個の炭素原子を有するアルキルまたは3~6個の炭素原子を有するシクロアルキルが置換されていてよいフェニル、3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル、あるいは1~6個の炭素原子を有するアルキルまたは3~6個の炭素原子を有するシクロアルキルが置換されていてよい2-ナフチルで置き換えられてよい。Rは、水素、1~6個の炭素原子を有するアルキル、3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル、または6~14個の炭素原子を有するアリールであり、このアリールの任意の水素原子は、1~6個の炭素原子を有するアルキルまたは3~6個の炭素原子を有するシクロアルキルで置き換えられてよい。さらに、この化合物のいずれか1つの水素原子は、重水素で置き換えられてよい。
Pyは、下記に示される一価の基の組から選択される1つの基であってよい。
式50:
さらに、半結晶化有機層86の材料は、下記の式51によって示される材料を含むこともある。
式51:
式中、Pyは、独立に、下記の式52~式54によって示される基である。
式52:
式53:
式54:
mおよびnは、0または1である、但し、m+n=1。ベンゼン環、ナフタレン環、およびピリジン環中の少なくとも1つの水素原子は、1~6個の炭素原子を有するアルキル基または3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル基で置き換えられている。
さらに、半結晶化有機層86の材料は、下記の式55によって示される材料を含むこともある。
式55:
式中、Pyは、下記の式56~59によって示される一価の基から選択される1つの基であり、これらの基の任意の水素原子は、1~6個の炭素原子を有するアルキル基または3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル基で置き換えられてよい。
式56:
式57:
式58:
式59:
Ar
1は、ナフタレン-1,4-ジイルまたはナフタレン-1,5-ジイルであってよい。これらの基の任意の水素原子は、1~6個の炭素原子を有するアルキル基または3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル基で置き換えられてよい。
Ar2は、フェニルまたは2-ナフチルであり、これらの基の任意の水素原子は、1~6個の炭素原子を有するアルキル基または3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル基で置き換えられてよい。
Pyは、下記に示される一価の基から選択される1つの基である。
式60:
さらに、半結晶化有機層86の材料は、下記の式61によって示される材料を含むこともある。
式61:
式中、Pyは、独立に、式62~式65によって示される基である。
式62:
式63:
式64:
式65:
mおよびnは、0または1である、但し、m+n=1。式中のベンゼン環、ナフタレン環、およびピリジン環の-H単位は、独立に、1~6個の炭素原子を有するアルキル基または3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル基で置き換えられてよい。
さらに、半結晶化有機層86の材料は、下記の式66によって示される材料を含むこともある。
式66:
式中、Gはn価の連結基であり、nは2~4の整数である。R
1~R
4は独立に、水素原子、一価の基、またはGと連結する自由原子価の基であり、R
5~R
8は独立に、水素または一価の基であり、R
1~R
4のうちの1つはGと連結する自由原子価の基である。さらに、n個の3,4’-ビピリジル基は、同じであっても異なっていてもよい。
さらに、半結晶化有機層86の材料は、下記の式67によって示される材料を含むこともある。
式67:
式中、Gはn価の連結基であり、nは2~4の整数である。R
1~R
4は独立に、水素原子、一価の基、またはGと連結する自由原子価の基であってよい。R
5~R
8は独立に、水素原子または一価の基であり、R
1~R
4のうちの1つはGと連結する自由原子価の基である。さらに、n個の4,4’-ビピリジル基は、同じであっても異なっていてもよい。
R1~R4のうちの1つはGと連結する自由原子価の基であって、その他は水素原子であり、R5~R8は水素原子であってよい。
式中、Gは、下記の(G1)~(G3)によって示される連結基の組から選択される1つの基であってよい。R
9~R
12のうちの1つはGと連結する自由原子価の基であって、その他は水素原子であり、R
13~R
16のうちの1つはGと連結する自由原子価の基であって、その他は水素原子である。
式69:
式中、G
1は、独立に、下記の式70~73によって示される化合物の組から選択される1つの化合物から誘導される第2の原子価基であってよい。
式70:
式71:
式72:
式73:
さらに、半結晶化有機層86の材料は、下記の式74によって示される材料を含むこともある。
式74:
式中、Gはn価の連結基であり、nは2~4の整数である。R
1~R
4は独立に、水素原子、一価の基、またはGと連結する自由原子価の基であり、R
5~R
8は独立に、水素原子または一価の基であり、R
1~R
4のうちの1つはGと連結する自由原子価の基である。さらに、n個の2,4’-ビピリジル基は、同じであっても異なっていてもよい。
さらに、半結晶化有機層86の材料は、下記の式75によって示される材料を含むこともある。
式75:
式中、Gはn価の連結基であり、nは2~4の整数である。R
1~R
4は独立に、水素原子、一価の基、またはGと連結する自由原子価の基であってよい。R
5~R
8は独立に、水素原子または一価の基であり、R
1~R
4のうちの1つはGと連結する自由原子価の基である。さらに、n個の2,3’-ビピリジル基は、同じであっても異なっていてもよい。
この化合物は、下記に示される材料であり得る。
式76:
式中、Gは、下記の(G1)~(G3)によって示される基の組から選択される1つの基であってよい。R
9~R
12のうちの1つはGと連結する自由原子価の基であって、その他は水素原子である。R
13~R
16のうちの1つはGと連結する自由原子価の基であって、その他は水素原子である。
式77:
式中、G
1は、独立に、下記の式78~81によって示される化合物の組から選択される1つの化合物から誘導される第2の原子価基であってよい。
式78:
式79:
式80:
式81:
さらに、半結晶化有機層86の材料は、下記の式82によって示される材料を含むこともある。
式82:
式中、R
1~R
4は各々独立に、水素原子、6~60個の環原子を有する置換もしくは非置換アリール基、1~50個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキル基、5~60個の環原子を有する置換もしくは非置換ヘテロアリール基、1~50個の炭素原子を有する置換もしくは非置換ハロアルキル基、3~50個の炭素原子を有する置換もしくは非置換シクロアルキル基、6~60個の環原子を有する置換もしくは非置換アリールオキシカルボニル基、6~60個の環原子を有する置換もしくは非置換アリールカルボニル基、1~50個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルコキシカルボニル基、置換もしくは非置換カルバモイル基、6~60個の環原子を有する置換もしくは非置換アリールスルホニル基、1~50個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキルスルホニル基、6~60個の環原子を有する置換もしくは非置換アリールスルフィニル基、1~50個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキルスルフィニル基、1~50個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキルカルボニル基、ハロゲン原子、シアノ基、およびニトロ基である。相互に隣接しているR
1~R
4単位は、相互に連結して環構造を形成することができる。
R5およびR6は、独立に、5~60個の環原子を有する置換もしくは非置換ヘテロアリール基、1~50個の炭素原子を有する置換もしくは非置換アルキル基、6~60個の環原子を有する置換もしくは非置換アリール基、3~50個の炭素原子を有する置換もしくは非置換シクロアルキル基、または1~50個の炭素原子を有する置換もしくは非置換ハロアルキル基である。
式82によって示される含窒素複素環誘導体は、下記の式83によって示される誘導体のいずれであってもよい。
式83:
さらに、半結晶化有機層86の材料は、下記の式84によって示される材料を含むこともある。
式84:
式中、R1およびR2は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、6~40個の炭素原子を有するアリールアミノ基、1~20個の炭素原子を有するハロアルキル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基、6~40個の核炭素原子を有する置換もしくは非置換アリール基、または2~40個の核炭素原子を有する置換もしくは非置換複素環基を表し得る。相互に隣接している置換基は、相互に連結して環を形成することができる。Y1およびY2はそれぞれ水素原子または非置換の一価の基を表す。nは1~12の整数を表す。nが2以上である場合、複数の単位R1およびR2はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Y1およびY2はそれぞれ独立に、水素原子、6~40個の核炭素原子を有する置換もしくは非置換アリール基、1~20個の炭素原子を有するアルキル基、または2~40個の核炭素原子を有する置換もしくは非置換複素環基であり得る。
1~20個の炭素原子を有するアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘプタデシル基、ネオペンチル基、n-オクタデシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1-ペンチルヘキシル基、1-ブチルペンチル基、1-ヘプチルオクチル基、シクロペンチル基、3-メチルペンチル基、シクロオクチル基、シクロヘキシル基、3,5-テトラメチルシクロヘキシル基などが挙げられる。
1~20個の炭素原子を有するハロアルキル基の例としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが挙げられる。
1~20個の炭素原子を有するアルコキシ基の例としては、-OYで示される基が挙げられる。例えば、Yは上記のアルキル基で説明したYと同じである。
6~40個の炭素原子を有するアリールアミノ基の例としては、ジフェニルアミノ基など、またはメチル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、トリフェニレニル基、フルオランテニル基、あるいはジフェニルアミノ基またはアミノ基を置換基として有するビフェニル基などが挙げられる。
6~40個の核炭素原子を有するアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラセニル基、およびトリフェニレニル基が挙げられる。置換基の例としては、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、イソプロピル基、ブチル基、ナフチル基、フェニル基などが挙げられる。
2~40個の炭素原子を有する置換もしくは非置換複素環基の例としては、1-ピロリル基、2-ピロリル基、3-ピロリル基、ピラジニル基、2-ピリジニル基、2-イミダゾピリジニル基、3-イミダゾピリジニル基、5-イミダゾピリジニル基、6-イミダゾピリジニル基、7-イミダゾピリジニル基、8-イミダゾピリジニル基、3-ピリジニル基、4-ピリジニル基、2-フリル基、3-フリル基、2-ベンゾフラニル基、3-ベンゾフラニル基、4-ベンゾフラニル基、5-ベンゾフラニル基、6-ベンゾフラニル基、7-ベンゾフラニル基、1-イソベンゾフラニル基、3-イソベンゾフラニル基、4-イソベンゾフラニル基、5-イソベンゾフラニル基、6-イソベンゾフラニル基、7-イソベンゾフラニル基、2-キノリル基、3-キノリル基、4-キノリル基、5-キノリル基、6-キノリル基、7-キノリル基、8-キノリル基、2-キノキサリニル基、5-キノキサリニル基、6-キノキサリニル基、1-カルバゾリル基、2-カルバゾリル基、3-カルバゾリル基、4-カルバゾリル基、9-カルバゾリル基、3-フラザニル基、2-チエニル基、3-チエニル基、2-メチルピロール-1-イル基、2-メチルピロール-3-イル基、2-メチルピロール-4-イル基、2-メチルピロール-5-イル基、3-メチルピロール-1-イル基、3-メチルピロール-2-イル基、3-メチルピロール-4-イル基、3-メチルピロール-5-イル基、β-カルボリン-1-イル、β-カルボリン-3-イル、β-カルボリン-4-イル、β-カルボリン-5-イル、β-カルボリン-6-イル、β-カルボリン-7-イル、β-カルボリン-8-イル、β-カルボリン-9-イル、1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリル、1-フェナントリジニル基、2-フェナントリジニル基、3-フェナントリジニル基、4-フェナントリジニル基、6-フェナントリジニル基、7-フェナントリジニル基、8-フェナントリジニル基、9-フェナントリジニル基、10-フェナントリジニル基、1-イミダゾリル基、2-イミダゾリル基、1-ピラゾリル基、1-インドリジニル基、2-インドリジニル基、3-インドリジニル基、5-インドリジニル基、6-インドリジニル基、7-インドリジニル基
、8-インドリジニル基、1-アクリジニル基、2-アクリジニル基、3-アクリジニル基、4-アクリジニル基、9-アクリジニル基、1-インドリル基、2-インドリル基、3-インドリル基、4-インドリル基、5-インドリル基、6-インドリル基、7-インドリル基、1-イソインドリル基、2-イソインドリル基、3-イソインドリル基、4-イソインドリル基、5-イソインドリル基、6-イソインドリル基、7-イソインドリル基、1,7-フェナントロリン-2-イル基、1,7-フェナントロリン-3-イル基、1,7-フェナントロリン-4-イル基、1,7-フェナントロリン-5-イル基、1,7-フェナントロリン-6-イル基、1,7-フェナントロリン-8-イル基、1,7-フェナントロリン-9-イル基、1,7-フェナントロリン-10-イル基、1,8-フェナントロリン-2-イル基、1,8-フェナントロリン-3-イル基、1,8-フェナントロリン-4-イル基、1,8-フェナントロリン-5-イル基、1,8-フェナントロリン-6-イル基、1,8-フェナントロリン-7-イル基、1,8-フェナントロリン-9-イル基、1,8-フェナントロリン-10-イル基、1,9-フェナントロリン-2-イル基、1,9-フェナントロリン-3-イル基、1,9-フェナントロリン-4-イル基、1,9-フェナントロリン-5-イル基、1,9-フェナントロリン-6-イル基、1,9-フェナントロリン-7-イル基、1,9-フェナントロリン-8-イル基、1,9-フェナントロリン-10-イル基、1,10-フェナントロリン-2-イル基、1,10-フェナントロリン-3-イル基、1,10-フェナントロリン-4-イル基、1,10-フェナントロリン-5-イル基、2,7-フェナントロリン-1-イル基、2,7-フェナントロリン-3-イル基、2,7-フェナントロリン-4-イル基、2,7-フェナントロリン-5-イル基、2,7-フェナントロリン-6-イル基、2,7-フェナントロリン-8-イル基、2,7-フェナントロリン-9-イル基、2,7-フェナントロリン-10-イル基、1-フェナジニル基、2-フェナジニル基、2,8-フェナントロリン-1-イル基、2,8-フェナントロリン-3-イル基、2,8-フェナントロリン-4-イル基、2,8-フェナントロリン-5-イル基、2,8-フェナントロリン-6-イル基、2,8-フェナントロリン-7-イル基、2,8-フェナントロリン-9-イル基、2,8-フェナントロリン-10-イル基、2,9-フェナントロリン-1-イル基、2,9-フェナントロリン-3-イル基、2,9-フェナントロリン-4-イル基、2,9-フェナントロリン-5-イル基、2,9-フェナントロリン-6-イル基、2,9-フェナントロリン-7-イル基、2,9-フェナントロリン-8-イル基、2,9-フェナントロリン-10-イル基、1-ゲルマフルオレニル基、2-ゲルマフルオレニル基、3-ゲルマフルオレニル基、4-ゲルマフルオレニル基、2-オキサジアゾリル基、5-オキサジアゾリル基、2-t-ブチルピロール-4-イル基、3-(2-フェニルプロピル)ピロール-1-イル基、2-メチル-1-インドリル基、4-メチル-1-インドリル基、2-メチル-3-インドリル基、4-メチル-3-インドリル基、1-フェノチアジニル基、2-フェノチアジニル基、3-フェノチアジニル基、4-フェノチアジニル基、10-フェノチアジニル基、1-フェノキサジニル基、2-フェノキサジニル基、3-フェノキサジニル基、4-フェノキサジニル基、10-フェノキサジニル基、2-オキサゾリル基、4-オキサゾリル基、5-オキサゾリル基、2-t-ブチル-1-インドリル基、4-t-ブチル-1-インドリル基、2-t-ブチル-3-インドリル基、4-t-ブチル-3-インドリル基、1-ジベンゾフラニル基、2-ジベンゾフラニル基、3-ジベンゾフラニル基、4-ジベンゾフラニル基、1-ジベンゾチオフェニル基、2-ジベンゾチオフェニル基、3-ベンゾチオフェニル基、4-ジベンゾチオフェニル基、1-シアフルオレニル基、2-シアフルオレニル基、3-シアフルオレニル基、4-シアフルオレニル基などが挙げられる。
置換基は、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、イソプロピル基、ブチル基、ナフチル基、フェニル基などである。
R1およびR-
2は連結して環を形成することができる。例えば、ベンゼン環、シクロヘキシル環、またはナフチル環が形成される。
本発明の実施形態が説明されたが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に限定されない。上記の実施形態に変更または改良を上記の実施形態に加えることが可能であることは当業者に明らかである。また、このような変更や改良を加えた実施形態が本発明の技術的範囲に含められ得ることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、実施形態、または図に示された装置、システム、プログラム、および方法によって実行される各工程の操作、手順、ステップ、および段階は、順序が「より前に(prior)」、「より前に(before)」などによって示されていない限り、そして前工程の出力を後工程で利用しない限り、どのような順序で行ってもよい。工程フローが特許請求の範囲、実施形態、または図において「最初」または「次」などの語句を使用して説明されているとしても、必ずしも工程がこの順序で実行されなければならないことを意味するものではない。