以下、本発明の一実施形態にかかる荷重推定装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる荷重推定装置は、人力機械のシートポストの周方向の複数個所にそれぞれ設けられた検出手段で、シートポストの変形を検出し、第1荷重推定手段で検出手段の検出結果に基づいてシートポストの先端部に取り付けられたサドルにかかる荷重を推定する。このようにすることにより、シートポストの周方向の複数個所の変形を検出して、それらの変形に基づいて着座位置に関係なくサドルにかかる荷重を精度良く推定することができる。
また、検出手段は、シートポストの人力機械における前側と後側又は右側と左側など、シートポストを挟んで対向した位置に設けられることが好ましい。このようにすることにより、サドルの着座位置が前よりであっても後よりであってもシートポストにかかる荷重を高精度に検出することができる。
また、検出手段は、ひずみゲージで構成され、ひずみゲージの検出方向は、シートポストの長手方向であってもよい。このようにすることにより、シートポストの変形をひずみゲージで検出することができる。また、ひずみゲージを用いることにより、シートポストの変形を高精度に検出することが可能となるとともに、荷重推定装置の小型化を図ることができる。
また、ひずみゲージは、1か所につき、検出方向が互いに直交する一対が設けられていてもよい。このようにすることにより、検出手段の出力感度を上げることができるため、ノイズ耐性を向上させることができる。また、温度補償も不要となる。
また、第1荷重推定手段は、シートポストの先端部に異なる重さの複数種類の重りをそれぞれ設置した際に検出手段から出力された複数の値により算出された係数に基づいて荷重を推定してもよい。このようにすることにより、ひずみゲージの出力とサドルにかかる荷重の関係を決定することができる。
また、シートポストの先端部に異なる重さの複数種類の重りを設置した際における検出手段の複数の出力に基づいて係数を校正する校正手段を有してもよい。このようにすることにより、サドルの高さを変更した際や、サドル、フレームを交換した際、或いはシートポストの経年変形等による荷重推定精度の低下を防止することができる。
また、本発明の一実施形態にかかる着座位置推定装置は、上述した荷重推定装置と、荷重推定装置が推定した荷重及び検出手段の結果に基づいてサドルの着座位置を推定する着座位置推定手段と、を有している。このようにすることにより、荷重位置推定手段を利用してサドルの着座位置を推定することができる。したがって、着座位置を推定するためのセンサ等を別途設ける必要が無く機能追加をすることができる。
また、本発明の一実施形態にかかる姿勢出力装置は、上述した荷重推定装置と、人力機械のペダルにかかる荷重を推定する第2荷重推定手段と、人力機械のハンドルにかかる荷重を推定する第3荷重推定手段と、荷重推定装置、第2荷重推定手段及び第3荷重推定手段の出力に基づいて人力機械の搭乗者の姿勢に関する情報を出力する出力手段と、を有している。このようにすることにより、サドル、ペダル、ハンドルのそれぞれにかかる荷重から、3荷重のバランスや重心等の搭乗者の姿勢に関する情報を出力することができる。
また、出力手段は、人力機械の搭乗者の姿勢に関する情報を表示する表示手段であってもよい。このようにすることにより、3荷重のバランスや重心等を搭乗者等に表示して、運転時の姿勢の改善に役立てることができる。
また、本発明の一実施形態にかかる荷重推定方法は、検出工程で人力機械のシートポストの周方向の複数個所にそれぞれ設けられた検出手段によるシートポストの変形を検出し、荷重推定工程で検出工程での検出結果に基づいてシートポストの先端部に取り付けられたサドルにかかる荷重を推定する。このようにすることにより、シートポストの周方向の複数個所の変形を検出して、それらの変形に基づいて着座位置に関係なくサドルにかかる荷重を精度良く推定することが可能となる。
また、上述した荷重推定方法をコンピュータにより実行させる荷重推定プログラムとしてもよい。このようにすることにより、コンピュータを用いて、シートポストの周方向の複数個所の変形を検出して、それらの変形に基づいて着座位置に関係なくサドルにかかる荷重を精度良く推定することが可能となる。
また、上述した荷重推定プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよい。このようにすることにより、当該プログラムを機器に組み込む以外に単体でも流通させることができ、バージョンアップ等も容易に行える。
本発明の第1の実施例にかかる荷重推定装置を図1乃至図19を参照して説明する。人力機械としての自転車1は図1に示すように、フレーム3と、フロント車輪5と、リア車輪7と、ステム8と、ハンドル9と、シートポスト10と、サドル11と、フロントフォーク13と、駆動機構101と、を有している。
フレーム3は、2つのトラス構造から構成されている。フレーム3は、後方の先端部分において、リア車輪7と回転自在に接続されている。また、フレーム3の前方において、フロントフォーク13が回転自在に接続されている。
フロントフォーク13は、フロントフォーク13から自転車1の前方に向けて延在するステム8を介してハンドル9と接続されている。また、フロントフォーク13の下方向の先端位置において、フロントフォーク13とフロント車輪5とは回転自在に接続されてい
る。
フロント車輪5は、ハブ部、スポーク部及びタイヤ部を有している。ハブ部はフロントフォーク13と回転自在に接続されている。そして、このハブ部とタイヤ部はスポーク部によって接続されている。
リア車輪7は、ハブ部、スポーク部及びタイヤ部を有している。ハブ部はフレーム3と回転自在に接続されている。そして、このハブ部とタイヤ部はスポーク部によって接続されている。リア車輪7のハブ部は、後述するスプロケット113と接続されている。
シートポスト10は、その上方向の先端位置にサドル11が取り付けられ当該サドル11を支持している。シートポスト10は、フレーム3のシートチューブ14に挿入され、その挿入量を調節することで伸縮し、サドル11の高さが調節できる。なお、シートポスト10は、フレーム3から着脱自在であってもよいし、着脱不可であってもよい。また、図1の例ではシートポスト10(シートチューブ14)は、自転車1の側面から見て路面に対して傾斜しているが、路面に対して垂直であってもよい。
自転車1は、ユーザの足による踏み込み力(踏力)を自転車1の駆動力に変換する駆動機構101を有している。駆動機構101は、ペダル103、クランク機構104、チェーンリング109、チェーン111、スプロケット113と、を有している。
ペダル103は、ユーザが踏み込むための足と接する部分である。ペダル103は、クランク機構104のペダルクランク軸115によって回転自在となるように支持されている。
クランク機構104は、クランク105とクランク軸107及びペダルクランク軸115(図8および図10も参照)から構成されている。
クランク軸107はフレーム3を左右方向に(自転車側面の一方から他方に)貫通している。クランク軸107は、フレーム3によって回転自在に支持されている。即ち、クランク105の回転軸となる。
クランク105は、クランク軸107と直角に設けられている。クランク105は、一端部において、クランク軸107と接続されている。
ペダルクランク軸115は、クランク105と直角に設けられている。ペダルクランク軸115の軸方向は、クランク軸107と同一方向となっている。ペダルクランク軸115は、クランク105の他端部においてクランク105と接続されている。
クランク機構104は、このような構造を自転車1の側面の反対側にも有している。つまり、クランク機構104は、2個のクランク105及び、2個のペダルクランク軸115を有している。したがって、ペダル103も自転車1の両側面にそれぞれ有している。
これらが自転車1の右側にあるか左側にあるかを区別する場合には、それぞれ右側クランク105R、左側クランク105L、右側ペダルクランク軸115R、左側ペダルクランク軸115L、右側ペダル103R、左側ペダル103Lと記載する。
また右側クランク105Rと左側クランク105Lは、クランク軸107を中心として反対方向に延びるように接続されている。右側ペダルクランク軸115R、クランク軸107および左側ペダルクランク軸115Lは、平行かつ同一平面に形成されている。右側クランク105R及び左側クランク105Lは、平行かつ同一平面上に形成されている。
チェーンリング109は、クランク軸107に接続されている。チェーンリング109は、ギア比を変化させることができる可変ギアで構成されると好適である。また、チェーンリング109にはチェーン111が係合されている。
チェーン111はチェーンリング109及びスプロケット113に係合している。スプロケット113は、リア車輪7と接続されている。スプロケット113は、可変ギアで構成されると好適である。
自転車1は、このような駆動機構101によってユーザの踏み込み力をリア車輪の回転力に変換している。
自転車1は、サイクルコンピュータ201と、第1測定モジュール401と、第2測定モジュール301と、第3測定モジュール501と、を有している。
サイクルコンピュータ201は、ステム8に配置されている。サイクルコンピュータ201は、図2に示すように、各種情報を表示するサイクルコンピュータ表示部203およびユーザの操作を受けるサイクルコンピュータ操作部205を有している。
サイクルコンピュータ表示部203に表示される各種情報とは、自転車1の速度、位置情報、目的地までの距離、目的地までの予測到達時間、出発してからの移動距離、出発してからの経過時間、クランク105の角度ごとの推進力や損失力、効率及び後述する搭乗者の姿勢に関する情報等である。
ここで、推進力とはクランク105の回転方向に加わる力の大きさである。一方、損失力とは、クランク105の回転方向とは別の方向に加わる力の大きさである。この回転方向とは別の方向に加わる力は、何ら自転車1の駆動に寄与しない無駄な力である。したがって、ユーザは、推進力をできるだけ増加させ、損失力をできるだけ減少させることによって、より効率的に自転車1を駆動させることが可能となる。即ち、これらの力は、クランク105の回転時に当該クランク105に加えられる力である。
サイクルコンピュータ操作部205は、図2では押しボタンで示されているが、それに限らず、タッチパネルなど各種入力手段や複数の入力手段を組み合わせて用いることができる。サイクルコンピュータ201の詳細なブロック構成等は後述する。
第1測定モジュール401は、シートポスト10に設けられ、複数のひずみゲージ素子から構成されるひずみゲージ469(図3及び図4を参照)を用いて、シートポスト10の長手方向(上下方向)の伸縮、屈曲等の変形を検出する。
図3は、第1測定モジュール401のブロック図である。第1測定モジュール401は、図3に示したように、測定モジュール無線送信部409、測定モジュール制御部451、測定モジュール記憶部453、荷重センサ468を有している。
測定モジュール無線送信部409は、測定モジュール制御部451がひずみ情報から算出した荷重を、サイクルコンピュータ無線受信部209に送信している。なお、測定モジュール無線送信部409は、送信のみの機能を有する必要はない。例えば、受信部としての機能を有していても良い。また、以降に説明する送信部又は受信部も同様に一方のみの機能を有するに限らず送受信を行えるようにしてもよい。
測定モジュール制御部451は、測定モジュール401を包括的に制御している。測定モジュール制御部451は、荷重演算部451aと、送信データ作成部451bと、を有している。
第1荷重推定手段としての荷重演算部451aは、荷重センサ468が出力するひずみ情報に基づいてサドルにかかる荷重を算出する。荷重の算出方法は後述する。
送信データ作成部451bは、荷重演算部451aで算出された荷重等から送信データを作成して、測定モジュール無線送信部409に出力する。
測定モジュール記憶部453には、各種情報が記憶される。各種情報とは、例えば、測定モジュール制御部451の制御プログラム、及び、測定モジュール制御部451が制御を行う際に必要とされるパラメータや一時的な情報等である。
荷重センサ468は、ひずみゲージ469と、測定モジュールひずみ検出回路465と、を有している。ひずみゲージ469は、シートポスト10に接着されて、一体化される。ひずみゲージ469は、第1ひずみゲージ469a、第2ひずみゲージ469b、第3ひずみゲージ469c、第4ひずみゲージ469dから構成されている(図4等参照)。そして、ひずみゲージ469のそれぞれの端子は、測定モジュールひずみ検出回路465に接続されている。
図4に、本実施例におけるひずみゲージ469のシートポスト10への配置の例を示す。ひずみゲージ469は、シートポスト10の前側及び後側のシートポスト10を挟んで対向する位置にそれぞれひずみゲージ素子が2つずつ接着されている。即ち、シートポスト10の周方向の複数個所にそれぞれ設けられている。シートポスト10の前側とは自転車1の前方側から見た面(人力機械における前側)であり、後側とは自転車1の後方側から見た面(人力機械における後側)である。
第1ひずみゲージ469aは、シートポスト10の前側において、シートポスト10の長手方向(上下方向)に対して検出方向が平行になるように設けられている。第2ひずみゲージ469bは、シートポスト10の前側において、シートポスト10の長手方向(上下方向)に対して検出方向が直角になるように設けられている。即ち、第1ひずみゲージ469aと第2ひずみゲージ469bとは、検出方向が直交している。
第3ひずみゲージ469cは、シートポスト10の後側において、シートポスト10の長手方向(上下方向)に対して検出方向が平行になるように設けられている。第4ひずみゲージ469dは、シートポスト10の後側において、シートポスト10の長手方向(上下方向)に対して検出方向が直角になるように設けられている。即ち、第3ひずみゲージ469cと第4ひずみゲージ469dとは、検出方向が直交している。
即ち、シートポスト10には、1か所につき、第1ひずみゲージ469a及び第2ひずみゲージ469bの一対と、第3ひずみゲージ469c及び第4ひずみゲージ469dの一対が設けられている。
測定モジュールひずみ検出回路465は、第1ひずみゲージ469a、第2ひずみゲージ469b、第3ひずみゲージ469c、第4ひずみゲージ469dが接続されて、ひずみゲージ469のひずみ量が電圧として出力される。
測定モジュールひずみ検出回路465の例を図5に示す。測定モジュールひずみ検出回路465は、2つのブリッジ回路である第1検出回路473aと第2検出回路473bとで構成されている。第1検出回路473aの第1系統側では、電源Vccから順に、第1ひずみゲージ469a、第2ひずみゲージ469bの順に接続されている。即ち、第1ひずみゲージ469aおよび第2ひずみゲージ469bが電源Vccに対して直列に接続されている。第2系統側では、電源Vccから順に、固定抵抗R、固定抵抗Rの順に接続されている。第2検出回路473bの第1系統側では、電源Vccから順に、第3ひずみゲージ469c、第4ひずみゲージ469dの順に接続されている。即ち、第3ひずみゲージ469cおよび第4ひずみゲージ469dが電源Vccに対して直列に接続されている。第2系統側では、電源Vccから順に、固定抵抗R、固定抵抗Rの順に接続されている。
即ち、2つの固定抵抗Rは、第1検出回路473aと第2検出回路473bとで共有している。ここで、2つの固定抵抗Rは同一の抵抗値を有している。なお、第1ひずみゲージ469a乃至第4ひずみゲージ469dは圧縮または伸長が生ずる前では同じ抵抗値を有している。
ひずみゲージ469の抵抗値は、公知のように圧縮されている場合には抵抗値が下がり、伸長されている場合には抵抗値が上がる。この抵抗値の変化は、変化量がわずかな場合には比例している。また、ひずみゲージ469の検出方向は、配線が伸びている方向であり、上述したように第1ひずみゲージ469a、第3ひずみゲージ469cが、シートポスト10の長手方向と平行な方向、第2ひずみゲージ469b、第4ひずみゲージ469dが、シートポスト10の長手方向と垂直な方向となる。。このような検出方向とすることでは、ひずみゲージ469の圧縮または伸長を効率よく検出することができる。
このような特性を持つひずみゲージ469を使用した第1検出回路473aは、第1ひずみゲージ469aと第2ひずみゲージ469bの検出方向で圧縮または伸長されていない場合は、第1ひずみゲージ469aと第2ひずみゲージ469bとの間の電位Vabと、2つの固定抵抗Rの間の電位Vrとの電位差はほぼゼロとなる。
第1ひずみゲージ469aが圧縮され、第2ひずみゲージ469bが伸張された場合は、第1ひずみゲージ469aの抵抗値が減少して第2ひずみゲージ469bの抵抗値が増加するために、電位Vabが高くなり、電位Vrは変化しない。つまり、電位Vabと電位Vrとの間に電位差が発生する。第1ひずみゲージ469aが伸張され、第2ひずみゲージ469bが圧縮された場合は、第1ひずみゲージ469aの抵抗値が増加して第2ひずみゲージ469bの抵抗値が減少するために、電位Vabが低くなり、電位Vrは変化しない。つまり、電位Vabと電位Vrとの間に電位差が発生する。
第1ひずみゲージ469a、第2ひずみゲージ469bともに圧縮された場合は、第1ひずみゲージ469a、第2ひずみゲージ469bともに抵抗値が減少するために、電位Vabと、電位Vrとの電位差はほぼゼロとなる。第1ひずみゲージ469a、第2ひずみゲージ469bともに伸張された場合は、第1ひずみゲージ469a、第2ひずみゲージ469bともに抵抗値が増加するために、電位Vabと、電位Vrとの電位差はほぼゼロとなる。
第2検出回路473bも第1検出回路473aと同様の動作となる。つまり、第3ひずみゲージ469cが圧縮され、第4ひずみゲージ469dが伸張された場合は、電位Vcdが高くなり、電位Vrは低くなり、電位Vcdと電位Vrとの間に電位差が発生する。第3ひずみゲージ469cが伸張され、第4ひずみゲージ469dが圧縮された場合は、電位Vcdが低くなり、電位Vcdと電位Vrとの間に電位差が発生する。第3ひずみゲージ469c、第4ひずみゲージ469dともに圧縮された場合と、第3ひずみゲージ469c、第4ひずみゲージ469dともに伸張された場合は、電位Vcdと、電位Vrとの電位差はほぼゼロとなる。
そこで、第1検出回路473aの電位Vabが測定できる第1ひずみゲージ469aと第2ひずみゲージ469bとの接続点と、電位Vrが測定できる2つの固定抵抗Rの接続点と、を第1検出回路473aの出力(以降Fin)とする。第2検出回路473bの電位Vcdが測定できる第3ひずみゲージ469cと第4ひずみゲージ469dとの接続点と、電位Vrが測定できる2つの固定抵抗Rの接続点と、を第2検出回路473bの出力(以降Rin)とする。このFinとRinを図示しないアンプで増幅し、A/Dコンバータでデジタル信号に変換したものが測定モジュールひずみ検出回路465の出力であるひずみ情報となる。
なお、ひずみゲージ素子は1か所当たり一対(2つ)でなく1つであってもよい。つまり、第1ひずみゲージ469a又は第2ひずみゲージ469bのいずれかのみであってもよいし、第3ひずみゲージ469c又は第4ひずみゲージ469dのいずれかのみであってもよい。但し、1つの場合は、検出方向がシートポスト10の長手方向である第1ひずみゲージ469a及び第3ひずみゲージ469cの方が変化量が大きくなるので好ましいが、シートポスト10が長手方向に変形すれば、長手方向と直交する方向の変形も伴うので、第2ひずみゲージ469b及び第4ひずみゲージ469dでも変形を検出することは可能である。
ひずみゲージ素子が1か所当たり1つの場合、図5に示したブリッジ回路は、削除したひずみゲージ素子の部分を固定抵抗Rとすればよい。この場合Rは、ひずみゲージ469の圧縮又は伸長が生ずる前の抵抗値と同一の抵抗値とする。
次に、図4のように配置され、図5のように第1ひずみゲージ469a、第2ひずみゲージ469b、第3ひずみゲージ469c、第4ひずみゲージ469dが接続された測定モジュールひずみ検出回路465から出力されたひずみ情報により荷重演算部451aでサドル11にかかる荷重を算出する方法を説明する。
サドル11にかかる荷重(サドル荷重ms)は以下の(1)式により算出する。なお、以降の式において「・」は乗算、「/」は除算を示す。
サドル荷重ms=((Fout+x・Rout)-y)・z[kgf]…(1)
ここで、FoutはFinを増幅及びA/D変換した後の値、RoutはRinを増幅及びA/D変換した後の値、x、y、zは係数である。
係数x、y、zの算出について説明する。係数x、y、zは荷重演算部451aで算出する。まず、図6に示したように、シートポスト10の上方向の先端にサドル11の代わりに取り付けた自転車1の前後方向に延在する棒1001のシートポスト10から前後それぞれ所定距離に重り1002を設ける。そして、それぞれの位置にそれぞれの重り1002を配置した場合のFout及びRout、即ちひずみ情報を測定する。このとき重り1002は、複数種類の重さによりそれぞれFout及びRoutを測定する。
例えば、シートポスト10からの所定距離を前側12cm(+12cm)と後側12cm(-12cm)とし、重り1002を5kg(5kgf負荷)と40kg(40kgf負荷)の2種類を用いてそれぞれ測定したとする。この時の測定値を表1とする。なお、複数種類の重りの重さは、異なる重さであればよいが、本実施例のように、ある程度の差がある方が好ましい。
次に、表1の値に基づいてFoutとRoutの感度を合わせるための係数xを(2)式により算出する。
x=(f40r-f40f)/(r40f-r40r)…(2)
次に、表1の値及び係数xに基づいて係数zを(3)式として算出する。
z=(40-5)/((f40r+x・r40r)-(f05r+x・r05r))…(3)
(3)式で(40-5)は、本実施例における2種類の重り1002の重さの差である。次に、表1の値及び係数x、zに基づいて係数yを(4)式として算出する。
y=(f05r+x・r05r)-(5/z)…(4)
これらの係数x、y、zは、サドル11の高さを変更した場合や、サドル11、フレーム3を交換した場合、或いは1年等所定の期間等で上述した方法で算出し直すことが好ましい。つまり、表1の値をサドル11の高さ等に合わせて再測定し、係数x、y、zを再算出することで、サドル11にかかる荷重を校正することができる。即ち、荷重演算部451aは、シートポスト10の先端部に複数種類の重りを設置した際におけるひずみゲージ469の複数の出力に基づいて係数x、y、zを校正する校正手段として機能する。
このようにして求めた係数x、y、zは、例えば測定モジュール記憶部453に記憶され、(1)式の演算の際に読み出される。そして、自転車1に搭乗者が搭乗すると、(1)式によりサドル荷重msが算出され、算出されたサドル荷重msがサドルにかかる荷重と推定される。即ち、シートポスト10の先端部に異なる重さの複数種類の重りをそれぞれ設置した際にひずみゲージ469から出力された複数の値により算出された係数x、y、zに基づいてサドル荷重msを推定している。
ところで、第1測定モジュール401では、サドル11の前後方向の着座位置(荷重位置)を推定することも可能である。以下に着座位置の推定方法について説明する。この動作は荷重演算部451aで行われる。
まず、上述したFoutを次の(5)式のように仮定する。
Fout=ms・α・(L-β)…(5)
ここで、Lはサドル11の前後方向の着座位置(荷重位置)、αは次の(6)式により求める係数、βはFoutが0となるときのLの値である。
α=(f40f-f40r)/(24・40)…(6)
ここで、(6)式の「24」は本実施例における前後の重り1002の位置の距離(+12cm~-12cm)を示すものである。また、「40」は、2種類の重り1002のうち40kgの重り1002の重さである。これは、(6)式の分子が40kgの重り1002での測定値であるからである。なお、(6)式で40kgの重り1002を使用するのは、重い方がひずみゲージ素子からの出力が大きくなるので、精度を高くすることができるからである。
また、上記(5)式を変形すると、前後方向の着座位置Lは次の(7)式で表せる。
L=(Fout/(ms・α))+β…(7)
αは予め算出される係数であり、βは予め測定により求められる値であるので、サドル荷重msを算出し、そのときのFoutの値を(7)式に代入することでサドル11の前後方向の着座位置(荷重位置)を算出し、推定することができる。即ち、荷重演算部451aは、推定したサドル荷重ms及びひずみゲージ469の出力であるFoutに基づいてサドル11の着座位置を推定する着座位置推定手段として機能する。
第2測定モジュール301は、例えばクランク105の内面に設けられ、複数のひずみゲージ素子から構成されるひずみゲージ369(図7及び図8参照)を用いて、ペダル103に搭乗者が加えている人力(踏力)を検出する。具体的には、クランク105の回転力であって自転車1の駆動力となる推進力と、回転方向とは別の方向に加わる力である損失力を算出する。また、第2測定モジュール301は、クランク105の回転角度も検出する。
図7は、第2測定モジュール301のブロック図である。第2測定モジュール301は、図7に示したように、測定モジュール無線送信部309、測定モジュール制御部351、測定モジュール記憶部353、フォースセンサ368及び磁気センサ22を有している。
測定モジュール無線送信部309は、測定モジュール制御部351がひずみ情報から算出した推進力及び損失力、クランク105の回転角度等を、サイクルコンピュータ無線受信部209に送信している。
測定モジュール制御部351は、第2測定モジュール301を包括的に制御している。測定モジュール制御部351は、推進力演算部351aと、回転角検出部351bと、荷重演算及び送信データ作成部351dと、を有している。
推進力演算部351aは、フォースセンサ368が出力するひずみ情報から推進力及び損失力を算出する。推進力及び損失力の算出方法は後述する。
回転角検出部351bは、磁気センサ22の検出結果に基づいてクランク105の回転角度を検出し、ひずみ情報を取得するタイミング等を制御している。クランク105の回転角度の検出方法は後述する。
荷重演算及び送信データ作成部351dは、推進力演算部351aで算出された推進力及び損失力と、回転角検出部351bで検出されたクランク105の回転角度等と、に基づいてペダル103にかかる荷重を算出する。荷重の算出方法は後述する。そして、算出された荷重等から送信データを作成して、測定モジュール無線送信部309に出力する。
測定モジュール記憶部353には、各種情報が記憶される。各種情報とは、例えば、測定モジュール制御部351の制御プログラム、及び、測定モジュール制御部351が制御を行う際に必要とされる一時的な情報である。
フォースセンサ368は、ひずみゲージ369と、測定モジュールひずみ検出回路365と、を有している。ひずみゲージ369は、クランク105に接着されて、一体化される。ひずみゲージ369は、第5ひずみゲージ369a、第6ひずみゲージ369b、第7ひずみゲージ369c、第8ひずみゲージ369dから構成されている(図8等参照)。そして、ひずみゲージ369のそれぞれの端子は、測定モジュールひずみ検出回路365に接続されている。
図8に、本実施例におけるひずみゲージ369のクランク105への配置の例を示す。ひずみゲージ369は、クランク105の内面119に接着されている。クランク105の内面とは、クランク軸107が突設されている(接続されている)面であり、クランク105の回転運動により定義される円を含む平面と平行な面(側面)である。また、図8には図示しないが、クランク105の外面120は、内面119と対向しペダルクランク軸115が突設されている(接続されている)面である。つまり、ペダル103が回転自在に設けられている面である。クランク105の上面117は、内面119および外面120と同じ方向に長手方向が延在し、かつ内面119および外面120と直交する面の一方である。クランク105の下面118は、上面117と対向する面である。
第5ひずみゲージ369aと第6ひずみゲージ369bは、クランク105の長手方向に対して検出方向が平行、つまり、内面119の中心軸C1に対して平行かつ、内面119の中心軸C1に対して対称になるように設けられている。第7ひずみゲージ369cは、中心軸C1上に設けられ、検出方向が中心軸C1に対して平行かつ、第5ひずみゲージ369aと第6ひずみゲージ369bに挟まれるように設けられている。第8ひずみゲージ369dは、クランク105の長手方向に対して検出方向が垂直、つまり、内面119の中心軸C1に対して垂直かつ、中心軸C1上に設けられている。
即ち、クランク105の長手方向に延在する軸である中心軸C1と平行な方向(図8の縦方向)、つまり、クランク105の長手方向と平行な方向が、第5ひずみゲージ369a、第6ひずみゲージ369b、第7ひずみゲージ369cの検出方向となり、中心軸C1と垂直な方向(図8の横方向)、つまり、クランク105の長手方向と垂直な方向が、第8ひずみゲージ369dの検出方向となる。したがって、第5ひずみゲージ369a乃至第7ひずみゲージ369cと第8ひずみゲージ369dは検出方向が互いに直交している。
なお、第5ひずみゲージ369a乃至第8ひずみゲージ369dの配置は図8に限らない。つまり、中心軸C1と平行または垂直の関係が維持されていれば他の配置でもよい。但し、第5ひずみゲージ369a及び第6ひずみゲージ369bは、中心軸C1を挟んで対称に配置し、第7ひずみゲージ369c及び第8ひずみゲージ369dは、中心軸C1上に配置する方が、後述する各変形を精度良く検出できるので好ましい。
また、図8では、クランク105を単純な直方体として説明しているが、デザイン等により、角が丸められていたり、一部の面が曲面で構成されていてもよい。そのような場合でも、上述した配置を極力維持するようにひずみゲージ369を配置することで、後述する各変形を検出することができる。但し、上記した中心軸C1との関係(平行または垂直)がずれるにしたがって検出精度が低下する。
測定モジュールひずみ検出回路365は、第5ひずみゲージ369a、第6ひずみゲージ369b、第7ひずみゲージ369c、第8ひずみゲージ369dが接続されて、ひずみゲージ369のひずみ量が電圧として出力される。測定モジュールひずみ検出回路365の出力は、図示しないA/Dコンバータによって、アナログ情報からデジタル情報であるひずみ情報信号に変換される。そして、ひずみ情報信号は測定モジュール制御部351の推進力演算部351aに出力される。
測定モジュールひずみ検出回路365の例を図9に示す。測定モジュールひずみ検出回路365は、2つのブリッジ回路である第1検出回路373aと第2検出回路373bとで構成されている。第1検出回路373aの第1系統側では、電源Vccから順に、第5ひずみゲージ369a、第6ひずみゲージ369bの順に接続されている。即ち、第5ひずみゲージ369aおよび第6ひずみゲージ369bが電源Vccに対して直列に接続されている。第2系統側では、電源Vccから順に、固定抵抗R、固定抵抗Rの順に接続されている。第2検出回路373bの第1系統側では、電源Vccから順に、第7ひずみゲージ369c、第8ひずみゲージ369dの順に接続されている。即ち、第7ひずみゲージ369cおよび第8ひずみゲージ369dが電源Vccに対して直列に接続されている。第2系統側では、電源Vccから順に、固定抵抗R、固定抵抗Rの順に接続されている。
即ち、2つの固定抵抗Rは、第1検出回路373aと第2検出回路373bとで共有している。ここで、2つの固定抵抗Rは同一の抵抗値を有している。なお、第5ひずみゲージ369a乃至第8ひずみゲージ369dは圧縮または伸長が生ずる前では同じ抵抗値を有している。
このような特性を持つひずみゲージ369を使用した第1検出回路373a及び第2検出回路373bの動作は、上述した第1測定モジュール401の第1検出回路473a及び第2検出回路473bと同様である。
ここで、第1検出回路373aの電位Vabが測定できる第1ひずみゲージ369aと第2ひずみゲージ369bとの接続点と、電位Vrが測定できる2つの固定抵抗Rの接続点と、を第1検出回路373aの出力(以降A出力)とする。第2検出回路373bの電位Vcdが測定できる第3ひずみゲージ369cと第4ひずみゲージ369dとの接続点と、電位Vrが測定できる2つの固定抵抗Rの接続点と、を第2検出回路373bの出力(以降B出力)とする。このA出力とB出力がひずみ情報となる。
図10は、ユーザにより力(踏力)が加えられた際の右側クランク105Rの変形状態を示している。(a)は右側クランク105Rの内面119から見た平面図、(b)は右側クランク105Rの上面117から見た平面図、(c)は右側クランク105Rのクランク軸107側の端部から見た平面図である。なお、以降の説明では右側クランク105Rで説明するが、左側クランク105Lでも同様である。
ユーザの足からペダル103を介して踏力が加えられると、その踏力はクランク105の回転力となる、クランク105の回転の接線方向の力である推進力Ftと、クランク105の回転の法線方向の力である損失力Frとに分けられる。このとき、右側クランク105Rには、曲げ変形x、曲げ変形y、引張変形z、ねじれ変形rzの各変形状態が生じる。
曲げ変形xは、図10(a)に示したように、右側クランク105Rが上面117から下面118に向かって、或いは下面118から上面117に向かって曲がるように変形することであり、推進力Ftによって生じる変形である。即ち、クランク105の回転方向に発生する変形によるひずみ(クランク105の回転方向に生じているひずみ)を検出することとなり、曲げ変形xの検出によってクランク105に生じている回転方向ひずみが検出できる。曲げ変形yは、図10(b)に示したように、右側クランク105Rが外面120から内面119に向かって、或いは内面119から外面120に向かって曲がるように変形することであり、損失力Frによって生じる変形である。即ち、クランク105の外面120から内面119、または内面119から外面120に向かって発生する変形によるひずみ(右側クランク105Rの回転運動により定義される円を含む平面と垂直な方向に生じているひずみ)を検出することとなり、曲げ変形yの検出によってクランク105に生じている内外方向ひずみが検出できる。
引張変形zは、右側クランク105Rが長手方向に伸張または圧縮されるように変形することであり、損失力Frによって生じる変形である。即ち、クランク105が長手方向に引っ張られるまたは押される方向に発生する変形によるひずみ(長手方向と平行な方向に生じているひずみ)を検出することとなり、引張変形zの検出によってクランク105に生じている引張方向ひずみが検出できる。ねじれ変形rzは、右側クランク105Rが、ねじれるように変形することであり、推進力Ftによって生じる変形である。即ち、クランク105がねじれる方向に発生する変形によるひずみを検出することとなり、ねじれ変形rzの検出によってクランク105に生じているねじり方向ひずみが検出できる。なお、図10では、曲げ変形x、曲げ変形y、引張変形z、ねじれ変形rzの変形方向を矢印で示したが、上述したように、この矢印と逆方向に各変形が発生する場合もある。
したがって、推進力Ftを測定するためには、曲げ変形xまたはねじれ変形rzのいずれか、損失力Frを測定するためには、曲げ変形yまたは引張変形zのいずれかを定量的に検出すればよい。
ここで、図8のように配置され、図9のように第5ひずみゲージ369a、第6ひずみゲージ369b、第7ひずみゲージ369c、第8ひずみゲージ369dが接続された測定モジュールひずみ検出回路365によって、曲げ変形x、曲げ変形y、引張変形z、ねじれ変形rzを検出(測定)する方法を説明する。
まず、第1検出回路373aのA出力において、各変形がどのように検出(測定)されるかを説明する。曲げ変形xは、右側クランク105Rが上面117から下面118に向かって、或いはその逆方向に変形する。右側クランク105Rが上面117から下面118に向かって変形する場合、第5ひずみゲージ369aは圧縮されるので抵抗値が減少し、第6ひずみゲージ369bは伸張されるので抵抗値が増加する。そのため、第1検出回路373aのA出力は正出力(電位Vabが高く電位Vrが低い)となる。また、右側クランク105Rが下面118から上面117に向かって変形する場合、第5ひずみゲージ369aは伸張されるので抵抗値が増加し、第6ひずみゲージ369bは圧縮されるので抵抗値が減少する。そのため、第1検出回路373aのA出力は負出力(電位Vabが低く電位Vrが高い)となる。
曲げ変形yは、右側クランク105Rが外面120から内面119に向かって、或いはその逆方向に変形する。右側クランク105Rが外面120から内面119に向かって変形する場合、第5ひずみゲージ369a、第6ひずみゲージ369bともに圧縮されるので、どちらも抵抗値が減少する。そのため、第1検出回路373aのA出力はゼロ(電位Vabと電位Vrに電位差が無い)となる。また、右側クランク105Rが内面119から外面120に向かって変形する場合、第5ひずみゲージ369a、第6ひずみゲージ369bともに伸張されるので、どちらも抵抗値が増加する。そのため、第1検出回路373aのA出力はゼロとなる。
引張変形zは、右側クランク105Rが長手方向に伸張または圧縮されるように変形する。右側クランク105Rが伸張する場合、第5ひずみゲージ369a、第6ひずみゲージ369bともに伸張されるので、どちらも抵抗値が増加する。そのため、第1検出回路373aのA出力はゼロとなる。また、右側クランク105Rが圧縮する場合、第5ひずみゲージ369a、第6ひずみゲージ369bともに圧縮されるので、どちらも抵抗値が減少する。そのため、第1検出回路373aのA出力はゼロとなる。
ねじれ変形rzは、右側クランク105Rが、ねじれるように変形する。右側クランク105Rが図10(b)の矢印の方向にねじれる場合、第5ひずみゲージ369a、第6ひずみゲージ369bともに伸張されるので、どちらも抵抗値が増加する。そのため、第1検出回路373aのA出力はゼロとなる。また、右側クランク105Rが図10(b)の矢印と逆方向にねじれる場合、第5ひずみゲージ369a、第6ひずみゲージ369bともに伸張されるので、どちらも抵抗値が増加する。そのため、第1検出回路373aのA出力はゼロとなる。
以上のように、A出力からは、曲げ変形xのみが検出される。即ち、第1検出回路373aは、第1ひずみゲージ369aおよび第2ひずみゲージ369bが接続され、クランク105に生じている回転方向ひずみを検出する。
次に、第2検出回路373bのB出力において、各変形がどのように検出(測定)されるかを説明する。曲げ変形xは、右側クランク105Rが上面117から下面118に向かって、或いはその逆方向に変形する。右側クランク105Rが上面117から下面118に向かって変形する場合、第7ひずみゲージ369c、第8ひずみゲージ369dは曲がるだけのため、検出方向に圧縮も伸張もされないので抵抗値は変化しない。そのため、第2検出回路373bのB出力はゼロとなる。また、右側クランク105Rが下面118から上面117に向かって変形する場合、第7ひずみゲージ369c、第8ひずみゲージ369dは曲がるだけのため、検出方向に圧縮も伸張もされないので抵抗値は変化しない。そのため、第2検出回路373bのB出力はゼロとなる。
曲げ変形yは、右側クランク105Rが外面120から内面119に向かって、或いはその逆方向に変形する。右側クランク105Rが外面120から内面119に向かって変形する場合、第7ひずみゲージ369cは圧縮されるので抵抗値が減少し、第8ひずみゲージ369dは伸張されるので抵抗値が増加する。そのため、第2検出回路373bのB出力は正出力(電位Vcdが高く電位Vrが低い)となる。また、右側クランク105Rが内面119から外面120に向かって変形する場合、第7ひずみゲージ369cは伸張されるので抵抗値が増加し、第8ひずみゲージ369dは圧縮されるので抵抗値が減少する。そのため、第2検出回路373bのB出力は負出力(電位Vcdが低く電位Vrが高い)となる。
引張変形zは、右側クランク105Rが長手方向に伸張または圧縮されるように変形する。右側クランク105Rが伸張する場合、第7ひずみゲージ369cは伸張されるので抵抗値が増加し、第8ひずみゲージ369dは圧縮されるので抵抗値が減少する。そのため、第2検出回路373bのB出力は負出力となる。また、右側クランク105Rが圧縮する場合、第7ひずみゲージ369cは圧縮されるので抵抗値が減少し、第8ひずみゲージ369dは伸張されるので抵抗値が増加する。そのため、第2検出回路373bのB出力は正出力となる。
ねじれ変形rzは、右側クランク105Rが、ねじれるように変形する。右側クランク105Rが図10(b)の矢印の方向にねじれる場合、第7ひずみゲージ369cは伸張されるので抵抗値が増加し、第8ひずみゲージ369dは検出方向に変形しないので抵抗値は変化しない。そのため、第2検出回路373bのB出力は負出力となる。また、右側クランク105Rが図10(b)の矢印と逆方向にねじれる場合、第7ひずみゲージ369cは伸張されるので抵抗値が増加し、第8ひずみゲージ369dは検出方向に変形しないので抵抗値は変化しない。そのため、第2検出回路373bのB出力は負出力となる。
以上のように、B出力からは、曲げ変形y、引張変形z、ねじれ変形rzが検出される。即ち、第2検出回路373bは、第7ひずみゲージ369cおよび第8ひずみゲージ369dが接続され、クランク105に生じている内外方向ひずみまたは引張方向ひずみを検出する。
そして、第1検出回路373aのA出力と、第2検出回路373bのB出力から、推進力演算部351aが、推進力Ftは次の(8)式により、損失力Frは次の(9)式によりそれぞれ算出する。なお、引張変形zは曲げ変形yと比較すると非常に小さいので無視することができる。即ち、(8)式及び(9)式で算出される値が、クランク105の回転時に当該クランク105に加えられる荷重に関する値となる。
Ft=p(A-A0)+q(B-B0)[kgf]…(8)
Fr=s|A-A0|+u(B-B0)[kgf]…(9)
ここで、Aは推進力Ft(あるいは損失力Fr)を算出する時点におけるA出力値、A0は無負荷時のA出力値、Bは推進力Ft(あるいは損失力Fr)を算出する時点におけるB出力値、B0は無負荷時のB出力値、p、q、s、uは係数であり、次の(10)~(13)式からなる連立方程式により算出される値である。
m=p(Am-A0)+q(Be-B0)…(10)
0=s(Am-A0)+u(Be-B0)…(11)
0=p(Ae-A0)+q(Bm-B0)…(12)
m=s(Ae-A0)+u(Bm-B0)…(13)
ここで、Amはクランク105の角度が水平前向き(クランク105で水平かつフロント車輪5方向に延在している状態)でペダル103にm[kg]を載せたときのA出力値である。Beはクランク105の角度が水平前向きでペダル103にm[kg]を載せたときのB出力値である。Aeはクランク105の角度が垂直下向き(クランク105で鉛直かつ地面方向に延在している状態)でペダル103にm[kg]を載せたときのA出力値である。Bmはクランク105の角度が垂直下向きでペダル103にm[kg]を載せたときのB出力値である。
係数p、q、s、uおよびA0、B0は予め算出又は測定可能な値であるので、AおよびBを(8)式に代入することで推進力Ftが算出でき、AおよびBを(9)式に代入することで損失力Frが算出できる。
また、(8)式ではB出力を用いてA出力の補正をしている。(9)式ではA出力を用いてB出力の補正をしている。これにより、第1検出回路373aや第2検出回路373bに含まれる検出対象以外のひずみの影響を排除することができる。なお、第5ひずみゲージ369aと第6ひずみゲージ369bがクランク方向(中心軸C1と平行な方向)にずれが無い場合、Ae=A0となりB出力による補正の必要がなくなる。
なお、ひずみゲージ369の配置やブリッジ回路の構成は図8や図9に示した構成に限らない。例えばひずみゲージ369は4つに限らないし、ブリッジ回路も1つに限らない。要するに、推進力Ftや損失力Frが算出できる構成であればよい。
次に、クランク105の回転角度検出について図11及び図12を参照して説明する。
なお、以降の説明において、クランク105の回転角度は、右側クランク105Rを基準に表されるものとする。つまり、右側クランク105Rが12時の方向に位置する(先端が上方を向く)ときに、クランク105の回転角度θは0°とする。また、本実施例においては、右側クランク105Rが3時の方向を指す(先端が前方を向く)とき、クランク105の回転角度(以後、クランク回転角度θとする)は90°を示し、右側クランク105Rが9時の方向を指す(先端が後方を向く)とき、クランク回転角度θは270°を示す。そして、検出されるクランク回転角度θの範囲は0°以上360°未満(0≦θ<360°)となっており、右側クランク105Rが12時の方向から時計回りで回転する向きを「+」方向とする。
図11(a)に示すように、円環状の枠状部材20、枠状部材20の表面に所定間隔をおいて固定された複数の磁石からなる磁石群21(磁石21a、21b等)及び磁気センサ22からクランク105の回転角度を検出する。磁石群21が固定された枠状部材20は、枠状部材20の中心点とクランク軸107の軸心とが一致した状態で、磁石群21がクランク105に対向する様にフレーム3の側面に固定されている。一方、磁気センサ22はチェーンリング109に固定され、クランク105(105R)と共に回転する。
磁石群21は12個の磁石21a~磁石21lからなり、円環状の枠状部材20の中心点を基準として30°間隔で配置されている。磁石21a、磁石21lは、非常に強い磁力及び保磁力を有するネオジム磁石で構成されている。具体的に、磁石21a、21lは第1ネオジム磁石が2つ直列してなり(双方のN極が同一直線上で同一方向を向いて重ねられ)、その他の磁石21b~磁石21kは、第1ネオジム磁石より磁力が小さい第2ネオジム磁石が2つ直列してなる。すなわち、磁石群21は、磁力の異なる2種類の磁石からなる。
また、磁石21a、磁石21bは、各中心軸が枠状部材20の半径方向と一致した状態で配置されている。そして、N極の向きが外側を向く磁石と内側(中心側)を向く磁石とが枠状部材20の周方向に交互に入れ替わって配置されている。具体的には、磁石21a、磁石21c、磁石21e、磁石21g、磁石21i、磁石21kのN極が枠状部材20の半径方向(放射方向)外側を向き、磁石21b、磁石21d、磁石21f、磁石21h、磁石21j、磁石21lのN極が枠状部材20の半径方向内側(中心)を向いている。さらに、各磁石21a~21lの半径方向外側先端と枠状部材20の中心との距離L4は同一となっている。
磁気センサ22は、第1素子部22a、第2素子部22b及び第3素子部22cがケース22dに収容されてなる。第1素子部22a及び第2素子部22bは、所定方向において磁力線(磁界)を検出し(図11(a)において水平方向左向き)、その検出方向と逆向きの磁力線を検出する場合(N極が対向する磁石を検出する場合)にHiレベルの信号(以下、単にHiとする)を出力し、検出方向と同一の向きの磁力線を検出する場合(S極が対向する磁石を検出する場合)にLoレベルの信号(以下、単にLoとする)を出力する。なお、第1素子部22a及び第2素子部22bは所定の強さの磁力線を検出しない場合、出力状態を保持する。
クランク105の回転角度検出時において(枠状部材20及び磁気センサ22が適切に自転車1に固定された状態で)、自転車1の側方からみると、第1素子部22aと第2素子部22bは、枠状部材20の半径方向外側、すなわち、枠状部材20の中心点から磁石21a~磁石21lより遠い位置に配されている。また、第1素子部22aと第2素子部22bの検出方向は一致しており、各検出方向上に枠状部材20の中心点が位置している。そして、第1素子部22aの方が第2素子部22bより枠状部材20の中心点から近い位置に配されており、検出方向上を通過する磁石21a~磁石21lの外側先端に近い。これは、後述するように、第1素子部22aを用いて全ての磁石21a~磁石21lを検出し、第2素子部22bを用いてクランク回転角度θ=0°を示す磁石21aを検出するためである。なお、クランク回転角度θ=0°のとき(右側クランク105Rが12時を示すとき)、第2素子部22bが磁石21aを検出するように(磁石21aが第2素子部22bの検出方向上に位置するように)、枠状部材20及び磁気センサ22が自転車1に固定されている。
また、磁気センサ22には、第1素子部22a及び第2素子部22bより低消費電力の第3素子部22cが設けられている。第3素子部22cは第1素子部22aの近傍に設けられており、いずれかの磁石21a~21lを検出すると、第2測定モジュール301のシステムを起動させる。
次に、図12を用いて、クランク回転角度の検出方法について説明する。前述したように、円環状の枠状部材20には、その中心点を基準として30°間隔で磁石21a~磁石21lが配置されており、最も磁力の高い磁石21aはクランク回転角度θ=0°となるときに、第2素子部22bに検出される位置に配されている(以下、磁石21aのことを「基準磁石21a」ともいう)。また、磁石21a~磁石21lのN極の向きが交互に入れ替わっている。よって、チェーンリング109に固定された磁気センサ22が、クランク105の回転に伴ってクランク軸107を中心に回転すると、磁気センサ22の第1素子部22aは磁石21a~磁石21lの前を通過する度にHi又はLoと出力を切り換える。同様に、磁気センサ22の第2素子部22bは磁石21a、21lの前を通過する度にHi又はLoと出力を切り換える。この第1素子部22aから出力される「Hi」又は「Lo」は、クランク105が30°回転したことを検出するものである(以後「間隔角度検出信号」という)。一方、第2素子部22bから出力する「Hi」は、クランク回転角度θ=0°を検出するものである(以後「基準角度検出信号」という)。
このように、間隔角度検出信号と基準角度検出信号とを用いることにより、クランク回転角度θを0°から30°間隔で検出することができる。なお、第2素子部22bから出力されたHiは、同一の磁力で逆向きに配置された磁石21lの前を通過するとLoとなる。すなわち、リセットされる。よって、クランク回転角度θを連続して検出することができる。よって、以後、第2素子部22bから出力する「Lo」を「リセット信号」という。
また、第1素子部22aと基準磁石21aとが最も遠く離れた位置関係にあるときに、第1素子部22aが基準磁石21aを検出してしまうことを防ぐためには、以下の3条件を満たすことが望ましい。(1)基準磁石21aが第2素子部22bの検出方向上(以下、「第2検出方向」という)で第2素子部22bに最も接近したときに第2素子部22bが基準磁石21aを検出できること。(2)最も磁力の小さい磁石21b~磁石21lが第1素子部22aの検出方向上(以下、「第1検出方向」という)で第1素子部22aに最も接近したときに第1素子部22aが磁石21b~磁石21kを検出できること。(3)基準磁石21aが第1検出方向上で第1素子部22aから最も離隔したときに第1素子部22aが基準磁石21aを検出できないこと。
次に、推進力演算部351aで算出された推進力Ft、損失力Fr及び回転角検出部351bで検出されたクランク105の回転角に基づいてペダル103にかかる荷重の算出方法について説明する。
図13に示したように、クランク105の回転角が水平方向からθの角度の位置にあるとする。ここで、上述したように、推進力Ftはクランク105の接線方向の力となり、損失力Ftはクランク105の法線方向の力となる。よって、このときのクランク105の垂直方向の力(下向きの力)は、次の(14)式で求められる。
下向きの力=Ft・cosθ+Fr・sinθ・・・(14)
ペダル103にかかる荷重(ペダル荷重mp)は、所定の角度毎に算出した下向きの力を1回転中で平均化した値として推定する。本実施例の場合、回転角検出部351bが30°毎に回転角を検出することから、30°毎に下向きの力を算出し、1回転あたり12個の(14)式で算出された値を平均化したものとなる。即ち、第2測定モジュール301の荷重演算及び送信データ作成部351dは、人力機械のペダルにかかる荷重を推定する第2荷重推定手段として機能する。
第3測定モジュール501は、ステム8に設けられ、複数のひずみゲージ素子から構成されるひずみゲージ569を用いて、ハンドル9に荷重がかけられた際のステム8の伸縮、屈曲等の変形を検出する。
図14は、第3測定モジュール501のブロック図である。第3測定モジュール501は、図14に示したように、測定モジュール無線送信部509、測定モジュール制御部551、測定モジュール記憶部553、荷重センサ568を有している。
測定モジュール無線送信部509は、測定モジュール制御部551がひずみ情報から算出した荷重を、サイクルコンピュータ無線受信部209に送信している。
測定モジュール制御部551は、測定モジュール501を包括的に制御している。測定モジュール制御部551は、荷重演算部551aと、送信データ作成部551bと、を有している。
荷重演算部551aは、荷重センサ568が出力するひずみ情報に基づいてハンドル9にかかる荷重を算出する。荷重の算出方法は後述する。
送信データ作成部551bは、荷重演算部551aで算出された荷重等から送信データを作成して、測定モジュール無線送信部509に出力する。
測定モジュール記憶部553には、各種情報が記憶される。各種情報とは、例えば、測定モジュール制御部551の制御プログラム、及び、測定モジュール制御部551が制御を行う際に必要とされるパラメータや一時的な情報等である。
荷重センサ568は、ひずみゲージ569と、測定モジュールひずみ検出回路565と、を有している。ひずみゲージ569は、ステム8に接着されて、一体化される。ひずみゲージ569は、第9ひずみゲージ569a、第10ひずみゲージ569bから構成されている(図15等参照)。そして、ひずみゲージ569のそれぞれの端子は、測定モジュールひずみ検出回路565に接続されている。
図15に、本実施例におけるひずみゲージ569のステム8への配置の例を示す。ひずみゲージ569は、ステム8の下側に2つ接着されている。但し、ステム8の上側であってもよい。要するに、ハンドル9にかかる荷重により変形が検出できる位置であればよい。ここで、ステム8の下側とは自転車1の上下方向から見た下側の面であり、上側とはステム8の下側とは自転車1の上下方向から見た下側の面である。
第9ひずみゲージ569aは、ステム8の下側において、ステム8の長手方向(ハンドル9に向かって延在する方向)に対して検出方向が平行になるように設けられている。第10ひずみゲージ569bは、ステム8の下側において、ステム8の長手方向に対して検出方向が直角になるように設けられている。即ち、第9ひずみゲージ569aと第10ひずみゲージ569bとは、検出方向が直交している。
測定モジュールひずみ検出回路565は、第9ひずみゲージ569a、第10ひずみゲージ569bが接続されて、ひずみゲージ569のひずみ量が電圧として出力される。
測定モジュールひずみ検出回路565の例を図16に示す。測定モジュールひずみ検出回路565は、ブリッジ回路である検出回路573で構成されている。検出回路573の第1系統側では、電源Vccから順に、第9ひずみゲージ569a、第10ひずみゲージ569bの順に接続されている。即ち、第9ひずみゲージ569aおよび第10ひずみゲージ569bが電源Vccに対して直列に接続されている。第2系統側では、電源Vccから順に、固定抵抗R、固定抵抗Rの順に接続されている。
ここで、2つの固定抵抗Rは同一の抵抗値を有している。なお、第9ひずみゲージ569a及び第10ひずみゲージ569bは圧縮または伸長が生ずる前では同じ抵抗値を有している。
このような特性を持つひずみゲージ569を使用した検出回路573の動作は、上述した第1測定モジュール401の第1検出回路473a等と同様である。
ここで、検出回路573の電位Vabが測定できる第9ひずみゲージ569aと第10ひずみゲージ569bとの接続点と、電位Vrが測定できる2つの固定抵抗Rの接続点と、を検出回路573の出力(以降Sin)とする。このSinを図示しないアンプで増幅し、A/Dコンバータでデジタル信号に変換したものがひずみ情報となる。
次に、図15のように配置され、図16のように第9ひずみゲージ569a、第10ひずみゲージ569bが接続された測定モジュールひずみ検出回路565から出力されたひずみ情報により荷重演算部551aでハンドル9にかかる荷重を算出する方法を説明する。
ハンドル9にかかる荷重(ハンドル荷重mh)は以下の(15)式により算出する。
ハンドル荷重mh=Sout・w[kgf]…(15)
ここで、SoutはSinを増幅及びA/D変換した後の値、wは係数である。
係数wの算出について説明する。係数wは荷重演算部551で算出する。まず、ハンドル9の左右に合計M[kg]の重りを掛け、その時のSoutを測定する。そして、この時のSoutの値をSoutmとすると、係数wは以下の(16)式により求められる。
w=M/Soutm…(16)
この係数wは、係数x等と同様にハンドル9、フレーム3を交換した場合等には上述した方法で算出し直すことが好ましい。即ち、Soutmを再測定し、係数wを再算出することで、ハンドル9にかかる荷重を校正することができる。
このようにして求めた係数wは、例えば測定モジュール記憶部553に記憶され、(15)式の演算の際に読み出される。そして、自転車1に搭乗者が搭乗すると、(15)式によりハンドル荷重mhが算出され、算出されたハンドル荷重mhがハンドル9にかかる荷重と推定される。即ち、第3測定モジュール501の荷重演算部551aは、人力機械のハンドル9にかかる荷重を推定する第3荷重推定手段として機能する。
次に、サイクルコンピュータ201のブロック構成を説明する。サイクルコンピュータ201は、図17に示したように、サイクルコンピュータ表示部203、サイクルコンピュータ操作部205、サイクルコンピュータ無線受信部209、サイクルコンピュータ外部通信部210、サイクルコンピュータ記憶部253及びサイクルコンピュータ制御部251を有している。
サイクルコンピュータ表示部203は、ユーザ(搭乗者)の指示等に基づいて、各種の情報を表示する。本実施例においては、第1測定モジュール401、第2測定モジュール301、第3測定モジュール501でそれぞれ推定したサドル荷重ms、ペダル荷重mp、ハンドル荷重mhに基づいて、各荷重によるバランスの表示等、搭乗者の姿勢に関する情報を視覚化して表示する。また、第2測定モジュール301で算出した推進力Ftと損失力Frを視覚化して表示してもよい。
サイクルコンピュータ操作部205は、ユーザの指示(入力)を受ける。例えば、サイクルコンピュータ操作部205は、ユーザから、サイクルコンピュータ表示部203に表示させる内容の指示を受ける。
サイクルコンピュータ無線受信部209は、配線を介してサイクルコンピュータ201の本体部分と接続されている。サイクルコンピュータ無線受信部209は、第1測定モジュール401、第2測定モジュール301、第3測定モジュール501から送信される送信データを受信する。
サイクルコンピュータ外部通信部210は、主にサイクルコンピュータ記憶部253に記憶されているサドル荷重ms、ペダル荷重mp、ハンドル荷重mhや、推進力Ft及び損失力Fr、クランク回転角度θといったデータをサイクルコンピュータ201の外部のコンピュータ等に送信する。
サイクルコンピュータ記憶部253には、各種情報が記憶される。各種情報とは、例えば、サイクルコンピュータ制御部251の制御プログラム、及び、サイクルコンピュータ制御部251が制御を行う際に必要とされる一時的な情報である。なお、サイクルコンピュータ記憶部253は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびフラッシュメモリ等の不揮発性の読み書き可能なメモリを有している。ROMには制御プログラム、及び、各種情報をサイクルコンピュータ表示部203に視覚的に表示するデータに変換するための各種のパラメータ、定数、等が記憶されている。
RAMには、サイクルコンピュータ制御部251が制御を行う際に必要とされる一時的な情報等が記憶されている。
サイクルコンピュータ制御部251は、サイクルコンピュータ201を包括的に制御している。さらに、第1測定モジュール401、第2測定モジュール301、第3測定モジュール501をも包括的に制御していても良い。また、サイクルコンピュータ制御部251は、搭乗者の姿勢に関する情報も生成する。
サイクルコンピュータ表示部203に表示される搭乗者の姿勢に関する情報の例を図18に示す。図18は、サドル11、ペダル103、ハンドル9のそれぞれにかかる荷重を割合で示したものである。なお、割合でなく重量等他の単位でもよい。即ち、サイクルコンピュータ表示部203は、荷重演算部451a(荷重推定装置)、荷重演算及び送信データ作成部351d(第2荷重推定手段)及び荷重演算部551a(第3荷重推定手段)の出力に基づいて自転車1(人力機械)の搭乗者の姿勢に関する情報を出力する出力手段(表示手段)として機能する。
また、搭乗者の姿勢に関する情報としては、サドル荷重ms、ペダル荷重mp、ハンドル荷重mhから重心を求めて、例えば図18のような図に重心の位置を点や○印、星印等で表示するようにしてもよい。
また、搭乗者の姿勢に関する情報は、サイクルコンピュータ表示部203に表示するに限らず、サイクルコンピュータ外部通信部210から外部のコンピュータ等に送信してもよい。この場合、サイクルコンピュータ外部通信部210が出力手段として機能する。
即ち、上述した第1測定装置401、第2測定装置301.第3測定装置501、サイクルコンピュータ201が、本発明の一実施例にかかる姿勢出力装置800を構成する。姿勢出力装置800の動作を図19のフローチャートに示す。
ステップS11において、シートポスト10のひずみ情報を検出する。つまり、ひずみゲージ469が接続された測定モジュールひずみ検出回路465からFin、Rinを得て、アンプによる増幅、A/Dコンバータによるデジタル信号への変換をしてFout、Routを出力する。次に、ステップS12において、ステップS11で出力されたFout、Routに基づいて荷重演算部451aが(1)式によりサドル荷重msを算出して推定する。即ち、ステップS11が荷重推定方法の検出工程、ステップS12が荷重推定方法の荷重推定工程として機能する。
また、ステップS13において、推進力Ft、損失力Frを算出する。つまり、ひずみゲージ369が接続された測定モジュールひずみ検出回路365からA出力、B出力を得て、推進力演算部351aが(8)式、(9)式により推進力Ft、損失力Frを算出する。次に、ステップS14において、ステップS13で出力された推進力Ft、損失力Frと回転角検出部351bが検出したクランク105の回転角度に基づいて荷重演算及び送信データ作成部351dが(14)式により下向きの力を算出し、その下向きの力を1回転中で平均化してペダル荷重mpを算出して推定する。
更に、ステップS15において、ステム8のひずみ情報を検出する。つまり、ひずみゲージ569が接続された測定モジュールひずみ検出回路565からSinを得て、アンプによる増幅、A/Dコンバータによるデジタル信号への変換をしてSoutを出力する。次に、ステップS16において、ステップS15で出力されたSoutに基づいて荷重演算部551aが(15)式によりハンドル荷重mhを算出して推定する。
次に、ステップS17において、サイクルコンピュータ201のサイクルコンピュータ制御部251が、ステップS12で推定されたサドル荷重ms、ステップS14で推定されたペダル荷重mp、ステップS16で推定されたハンドル荷重mh、に基づいて搭乗者の姿勢に関する情報を生成し、ステップS18において、サイクルコンピュータ表示部203に生成された姿勢に関する情報が表示される。
ここで、ステップS11、S12は第1測定モジュール401、ステップS13、S14は第2測定モジュール301、ステップS15、S16は第3測定モジュール501でそれぞれ実行されるため、これらは並行して実行される。また、ステップS17、S18はサイクルコンピュータ201で実行される。
本実施例によれば、自転車1のシートポスト10の前側と後側のシートポスト10を挟んで対向する2か所にそれぞれ一対設けられたひずみゲージ469で、シートポスト10の変形を検出し、荷重演算部451aでひずみゲージ469が接続された測定モジュールひずみ検出回路465の出力であるFout、Routに基づいてシートポスト10の先端部に取り付けられたサドル11にかかる荷重を(1)式により算出して推定する。このようにすることにより、シートポスト10の周方向の2か所の変形を高精度に検出して、それらの変形に基づいて着座位置に関係なく(サドルの着座位置が前よりであっても後よりであっても)サドル11にかかる荷重を精度良く推定することが可能となる。
また、第1ひずみゲージ469a、第3ひずみゲージ469cの検出方向は、シートポスト10の長手方向である。このようにすることにより、シートポスト10の変形をひずみゲージで検出することができる。また、ひずみゲージ素子を用いることにより、シートポスト10の変形を高精度に検出することが可能となり、荷重推定装置の小型化を図ることができる。
また、ひずみゲージ469は、シートポスト10の前側に検出方向が互いに直交する一対の第1ひずみゲージ469a及び第2ひずみゲージ469bを、シートポスト10の後側に検出方向が互いに直交する一対の第3ひずみゲージ469c及び第4ひずみゲージ469dを有している。このようにすることにより、ひずみゲージ469の出力感度を上げることができるため、ノイズ耐性を向上させることができる。また、温度補償も不要となる。
また、ひずみゲージ469が接続されたブリッジ回路である第1検出回路473aと第2検出回路473bとを有し、荷重演算部451aは、ブリッジ回路の出力であるFout及びRoutに基づいて荷重を推定している。このようにすることにより、ブリッジ回路によって、シートポスト10の変形を検出することができ、簡便な回路構成でサドル11にかかる荷重の推定をすることができる。
また、荷重演算部451aは、シートポスト10の先端部に異なる重さの複数種類の重りをそれぞれ設置した際にひずみゲージ469から出力された複数の値により算出された係数x、y、zに基づいてサドル荷重を推定している。このようにすることにより、ひずみゲージ469の出力と算出された係数x、y、zに基づいてサドルにかかる荷重を推定することができる。
また、荷重演算部451aは、シートポスト10の先端部に異なる重さの複数種類の重りを設置した際におけるひずみゲージ469の複数の出力に基づいて係数x、y、zを校正する校正手段しても機能する。このようにすることにより、サドル11の高さを変更した際や、サドル11、フレーム3を交換した際、或いはシートポスト10の経年変形等による推定精度の低下を防止することができる。
また、荷重演算部451aで、測定モジュールひずみ検出回路465の出力であるFoutと、算出されたサドル荷重msと、予め算出された係数α及び予め測定された定数βに基づいて、サドル11の前後方向の着座位置を推定している。このようにすることにより、サドル荷重msを利用して前後方向の着座位置を推定することができる。したがって、着座位置を推定するためのセンサ等を別途設ける必要が無く機能追加をすることができる。
また、第1測定モジュール401と、第2測定モジュール301と、第3測定モジュール501と、サイクルコンピュータ201と、で姿勢出力装置として機能する。このようにすることにより、サドル11、ペダル103、ハンドル9のそれぞれにかかる荷重から、3荷重のバランスや重心等の搭乗者の姿勢に関する情報を出力することができる。
また、出力手段は、自転車1の搭乗者の姿勢に関する情報を表示するサイクルコンピュータ表示部203として機能する。このようにすることにより、3荷重のバランスや重心等を搭乗者等に表示して、運転時の姿勢の改善に役立てることができる。