第1の発明の食器洗い機は、本体と、前記本体内に設けられ、食器等の被洗浄物を収容する洗浄槽と、前記洗浄槽内に収容された被洗浄物を洗浄する洗浄装置と、前記洗浄槽の底部に設けられた排水口と、前記洗浄槽内の洗浄水を前記洗浄装置に洗浄水を送水する洗浄ポンプと、前記排水口と前記洗浄ポンプとを連通する洗浄水循環経路と、前記洗浄槽内の洗浄水を機外に排出する排水ポンプと、前記排水口と前記排水ポンプとを連通する排水経路と、前記排水口に着脱自在に固定される残菜フィルタとを備え、前記排水口は、上方から流れてきた洗浄水を周囲に拡散する洗浄水拡散部を備えたものである。
この構成によって、上方から流れてきた洗浄水を直接排水したり、循環したりせず、周辺に拡散させて残菜フィルタの複数のフィルタに導くことができる。これにより、洗浄およびすすぎ動作時においては、洗浄水に含まれる残菜や汚れを効果的に捕集させることができる。また、排水動作時においては、フィルタに付着した汚れおよび残菜を洗い落とすことができる。
したがって、排水口に複数のフィルタを備え、効率的な残菜や汚れの捕集が行えるとともに、フィルタへの残菜および汚れの付着を抑制できる排水口まわりの構成を備えた食器洗い機を提供することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、前記残菜フィルタが前記排水口に固着されたとき、前記洗浄水拡散部は、前記残菜フィルタの内部に位置するように構成されたものである。この構成によって、洗浄水拡散部によって拡散させた洗浄水を、より確実に残菜フィルタに導き、洗浄水に含まれる残菜や汚れを効果的に捕集させることができるとともに、フィルタに付着した汚れおよび残菜を洗い落とすことができる。
第3の発明は、特に、第2の発明において、前記残菜フィルタは、略円筒状に形成され外周部に洗浄水が流通可能な多数の孔を有する第1のフィルタと、有底略円筒状に形成され外周部に洗浄水が流通可能な多数の孔を有し、前記第1のフィルタの内側に設けられた第2のフィルタとによって構成され、前記残菜フィルタが前記排水口に固着されたとき、前記洗浄水拡散部は、前記第1のフィルタの内側で、かつ、前記第1のフィルタの下端より上側に位置するように構成されたものである。この構成によって、洗浄水拡散部によって拡散させた洗浄水を、細かい残菜および汚れを捕集する第1のフィルタに導き、洗浄水に含まれる細かい残菜や汚れを効果的に捕集させることができる。これにより、特に、洗浄水循環経路を通じて洗浄ポンプによって洗浄槽内の被洗浄物の洗浄およびすすぎに供される洗浄水の純度を向上させ、洗浄およびすすぎの効率および性能を向上させることができる。また、洗浄水を洗浄水循環経路にスムーズに導くことができ、洗浄水循環効率を向上させることができる。
第4の発明は、特に、第3の発明において、前記洗浄水拡散部は、前記残菜フィルタが前記排水口に固着されたとき、前記第2のフィルタの下方に位置するように構成されたものである。この構成によって、第2のフィルタを通過してきた上方からの洗浄水も効果的に周辺に拡散させることができ、第1のフィルタによる残菜や汚れの捕集性能をより向上させることができる。また、排水動作時における、フィルタに付着した汚れおよび残菜の洗い落とし効果も向上させることができる。
第5の発明は、特に、第3または第4の発明において、前記第2のフィルタは、底部に第2の洗浄水拡散部を備え、前記第2の洗浄水拡散部は、前記残菜フィルタが前記排水口に固着されたとき、前記洗浄水拡散部の直上に位置するように構成されたものである。この構成によって、第2のフィルタの第2の洗浄水拡散部と排水口の洗浄水拡散部の相乗効果により、第1のフィルタによる残菜や汚れの捕集性能および第1のフィルタに付着した汚れおよび残菜の洗い落とし効果をより向上させることができる。
第6の発明は、特に、第5の発明において、前記排水口は、上面に前記洗浄水循環経路に連通する洗浄水循環吸込口を備え、前記残菜フィルタが前記排水口に固着されたとき、前記第2の洗浄水拡散部は、前記洗浄水循環吸込口より上側に位置するように構成されたものである。この構成によって、第2のフィルタ内に上方から流れてきた洗浄水を周辺に拡散させ、第1のフィルタを通して洗浄水循環吸込口に効率よく導くことができる。これにより、洗浄水の純度を向上させ、洗浄およびすすぎの効率および性能を向上させることができる。また、洗浄水を洗浄水循環経路にスムーズに導くことができ、洗浄水循環効率を向上させることができる。
第7の発明は、特に、第1~第6のいずれかの発明において、前記洗浄水拡散部または前記第2の洗浄水拡散部は、主要部が円板状に形成され、円板状の上面は中心部が外周部より高い凸面状に形成されたものである。この構成によって、上方から流れてくる洗浄水の力を分散させつつ、洗浄水を周囲に効果的に拡散させることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の上扉体および下扉体が開かれた状態の正面外観斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の背面外観斜視図である。図3は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の正面図である。図4は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の要部正面断面図である。図5は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の上扉体および下扉体が閉じられた状態の側壁部断面図である。図6は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の上扉体および下扉体が開かれた状態の側面図である。図7は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の上食器かごの構成を示す斜視図である。図8は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の下食器かごの構成を示す斜視図である。
図1~図6に示されるように、食器洗い機の本体1の内部には、樹脂製の洗浄槽2が設けられている。洗浄槽2の前面には、食器等の被洗浄物6が出し入れされる開口部3が設けられている。開口部3の上部と下部をそれぞれ上扉体4と下扉体5によって開閉するよう構成されている。
開口部3の周囲の前面には、例えばシリコンゴム等の弾性体からなるシール部材9が取付けられている。シール部材9と、上扉体4に設けられた上扉体シール受け部(図示せず)と、下扉体5に設けられた下扉体シール受け部(図示せず)とによって、開口部3のシール部が構成されている。上扉体4の下端部には扉体間シール部材68(図示せず)が取付けられており、上扉体4と下扉体5とが閉じられたとき、上扉体4の下端部と下扉体5の上端部との間のシール性が確保されるよう構成されている。
上扉体4と下扉体5は、洗浄槽2の左右の外側壁に設けられた一対の扉体開閉機構10によって連動して回動されて開閉される。上扉体4と下扉体5は、開口部3の前側下方にその内面が上向きで略水平となる位置まで開成されるよう構成されている。上扉体4と下扉体5は、開成されたとき、上扉体4が下扉体5の上に重なるように位置する。すなわち、上扉体4と下扉体5とが開成された状態では、上扉体4の内面側が最上部に位置し、使用者の目に触れやすい。なお、上扉体4は光透過部65を備えている。下扉体5は、全面不透明に構成されている。
下扉体5の前面には、扉体オープンボタン11が設けられている。上扉体4および下扉体5を開口部3に閉成された状態で洗浄槽2にロックする扉体ロック装置12が、洗浄槽2の外側壁に設けられている。使用者が扉体オープンボタン11を押し込むと、扉体ロック装置12はロックが解除され、下扉体5が下端部を中心に少し回動され、上端部が、使用者の指が掛けられる程度前方に開かれるよう構成されている。
なお、上扉体4および下扉体5を開く方式は、上記の方式に限定されるものではない。例えば、上扉体4および下扉体5が開口部3を閉じている状態において、上扉体4および下扉体5を開放方向に弾性的に付勢しておき、扉体ロック装置によってロックし、閉じた状態に維持しておく。使用者が扉体オープンボタンを押し込むと、扉体ロック装置はロックが解除され、上扉体4および下扉体5は、開放方向への付勢力によって自動で開成状態まで開かれる。このような方式であってもよい。
下扉体5の前面に、操作表示部13が設けられている。操作表示部13は、食器洗い機の運転を制御する制御部(図示せず)と電気的に接続されており、制御部と運転に関する
情報をやりとりする。制御部は、洗い工程、すすぎ工程および乾燥工程を制御し、被洗浄物6の洗浄運転を実行する。使用者は、操作表示部13を操作して、運転コースの選択および洗浄、すすぎ、乾燥の時間や回数等の条件を入力する。また、使用者は、操作表示部13に表示される情報によって、選択された運転コースや運転状況の確認を行うことができる。 洗浄槽2の内部には、食器等の被洗浄物6がセットされる上食器かご7および下食器かご8が収納されている。上食器かご7および下食器かご8は、いずれも洗浄槽2の左右の内側面2a、2bに前後方向に個別に移動可能に支持されている。上食器かご7および下食器かご8は、上扉体4と下扉体5が開成されたとき、洗浄槽2の前面の開口部3より前方に引き出すことが可能である。
図7に示されるように、上食器かご7は、上食器かご本体77と、上食器かご本体77の左側に載置される第1のセットかご78と、上食器かご本体77の右側に載置される第2のセットかご79と、上食器かご本体77の左右に固定される側面部材73とから構成されている。第1のセットかご78は、着脱可能ではあるが、通常、上食器かご本体77に取り付けられて使用される。
図8に示されるように、下食器かご8は、下食器かご本体87と、下食器かご本体87の左側に載置される第3のセットかご88と、下食器かご本体87の中央やや右寄りに載置される小物入れ89と、下食器かご本体87の左右に固定される側面部材83とから構成されている。第3のセットかご88は、着脱可能ではあるが、通常、下食器かご本体87に取り付けられて使用される。
洗浄槽2の内部に洗浄水を供給する給水部が備えられている。給水部は、本体1に設けられた給水弁(図示せず)と、給水弁と洗浄槽2とを接続する内部給水配管と、給水弁と水道水配管とを接続する給水ホース96とによって構成されている。制御部が、洗浄槽2の内部と連通する水位センサ(図示せず)からの情報に基づいて給水弁を制御し、洗浄およびすすぎにおいて、洗浄槽2の内部に所定量の洗浄水を供給する。
図4に示されるように、洗浄槽2内の下部に、複数設けられた噴射孔から洗浄水を噴射する第1の回転洗浄ノズル14および第2の回転洗浄ノズル15が配設されている。洗浄槽2の内部の背面には、洗浄槽2の内壁に沿わせてほぼ十字形状の固定洗浄ノズル16が配設されている。固定洗浄ノズル16は、扁平な筒状に形成されており、洗浄槽2の内部スペースを広く確保している。
固定洗浄ノズル16の上部には、複数の噴射孔から洗浄水を噴射する垂直部位16aが延設されている。固定洗浄ノズル16の右側には、複数の噴射孔を備えた第1の水平部位16bが延設されている。固定洗浄ノズル16の左側には、複数の噴射孔を備えた第2の水平部位16cが延設されている。第2の水平部位16cには、前方へ延設された円筒形状の回転洗浄ノズル導水路17aが接続されている。回転洗浄ノズル導水路17aの先端部には、第3の回転洗浄ノズル17が設けられ、第2の水平部位16cと連通されている。第3の回転洗浄ノズル17は、上食器かご7の左側下方に配設されている。第3の回転洗浄ノズル17は、洗浄水を噴射する複数の噴射孔を上面に備え、上食器かご7の左側に収容された被洗浄物6に向けて、すぐ真下から洗浄水を噴射する。
洗浄槽2内に収容された被洗浄物6に向けて、第1の回転洗浄ノズル14、第2の回転洗浄ノズル15、固定洗浄ノズル16、および固定洗浄ノズル16と連通された第3の回転洗浄ノズル17から洗浄水が順番に噴射されることにより、被洗浄物6は洗浄される。
図5に示されるように、すすぎ後の被洗浄物6を乾燥させる乾燥装置30が洗浄槽2の外側部に設けられている。乾燥装置30は、ヒータ(図示せず)、ファン31、空気温度
センサ(温度センサ29)、送風配管32等によって構成されている。これらの構成については、よく知られたものと同様であるので、詳しい説明は省略する。乾燥装置30の送風配管32は、一端が洗浄槽2内の右奥下部に設けられた乾燥用空気吹出口2cに連通されており、他端が洗浄槽2内の右奥上部に設けられた乾燥用空気吸込口2dに連通されている。この構成により、ファン31によって送風された乾燥用空気は、洗浄槽2の内部を循環し、被洗浄物6を乾燥させる。空気温度センサ(温度センサ29)は、洗浄槽2の底部の乾燥用空気吹出口2cに近い位置の外壁に設置されている。
洗浄槽2の水溜部18の構成を、図を参照して説明する。図9は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の洗浄槽の水溜部および排水口の構成を示す上面断面図である。図10は、図9の状態から水溜部蓋が取り除かれた状態の上面断面図である。図11は、図9のA-A断面図である。図14は、図9のB-B断面図である。図13は、図10のC-C断面図である。
洗浄槽2の底部には、洗浄工程およびすすぎ工程において、供給された洗浄水が溜められる水溜部18が凹設されている。水溜部18は、洗浄槽2の底部に開口する開口部18aが横長の概略長方形に形成され、その開口部18aから所定深さほぼ垂直に凹設されている。水溜部18は、洗浄槽2の左右のほぼ中央の前部に設けられている。
水溜部18のほぼ中央部には、さらに一段低い凹部が設けられている。その凹部に、排水口19が設けられている。水溜部18の底面は、排水口19に向かってゆるやかに下り傾斜に形成されている。
水溜部18の上部の開口部18aには、水溜部蓋20が、洗浄槽2の底部と連続するように着脱自在に嵌め込まれている。水溜部蓋20は、外周形状が水溜部18の開口部18aと対応する横長の概略長方形に形成され、中央部が凹設されて凹部20aが形成されている。凹部20aの中央には、円形の開口20bが設けられている。水溜部蓋20が水溜部18の開口部18aに装着されたとき、凹部20aは、排水口19の直上に位置する。そして、排水口19に後述する残菜フィルタ23が取り付けられたとき、凹部20aの下面は、中央の円形の開口20bと残菜フィルタ23の第1のフィルタ51の外縁部上面とが連続するように構成されている。
水溜部蓋20は、凹部20aの傾斜面以外の平面の大部分にきわめて小さな複数の孔20dが設けられている。洗浄水の多くは、この孔20dから水溜部18に落下する。この孔20dから落下しなかった洗浄水は、残菜とともに凹部20aの下面に配設された残菜フィルタ23に流入する。
水溜部蓋20の凹部20aの側面上部には、溢水口20cが設けられている。洗浄水が給水される洗浄水位(図12中にAで示されている)は、溢水口20cよりやや低い高さ位置に設定されているが、運転中に残菜フィルタ23および水溜部蓋20の目詰まりのために洗浄水の水位が上昇した場合、洗浄水は溢水口20cから溢れて排水される。
排水口19には、残菜を捕集する残菜フィルタ23が配設されている。残菜フィルタ23は、水溜部蓋20の凹部20aの下面より下方に配設されている。残菜フィルタ23の構成の詳細については後述する。
図12、図15に示されるように、排水口19は、洗浄水循環経路21を通じて洗浄ポンプ22の吸い込み側に連通している。洗浄工程およびすすぎ工程において、洗浄水は、水溜部蓋20の孔20dを通過したり、残菜フィルタ23を通過したりして水溜部蓋20に溜まる。水溜部蓋20に溜まった洗浄水は、洗浄ポンプ22に吸い込まれて加圧され、
分水部(図示せず)によって送水先が選択され、分水されて送水される。
分水されて送水される洗浄水は、第1の回転洗浄ノズル14、第2の回転洗浄ノズル15、固定洗浄ノズル16および固定洗浄ノズル16と連通された第3の回転洗浄ノズル17に供給され、各ノズルの噴射孔から噴射される。噴射された洗浄水は、被洗浄物6を洗浄もしくはすすぎ、再び排水口19に戻る。このようにして、洗浄工程もしくはすすぎ工程において、洗浄水は循環される。
洗浄ポンプ22にはヒータ25が内設されている。循環される洗浄水は、ヒータ25に通電されることにより、必要に応じて適宜加熱される。また、洗浄水の温度を検知する温度センサ29が、洗浄槽2の底部の外壁に設置されている。温度センサ29が設置される洗浄槽2の底部の外壁部分は、洗浄槽2の内側に膨出されている。その膨出部2eの内部に温度センサ29を配設することにより、温度センサ29の検出感度を向上させている。制御部は、温度センサ29の検知情報に基づいて、ヒータ25の通電を制御する。温度センサ29は、サーミスタ等により構成されている。なお、温度センサ29は、乾燥工程において洗浄槽2内の空気の温度を検知する空気温度センサも兼ねている。
また、排水口19は、排水経路26を通じて排水ポンプ27の吸い込み側に連通している。洗浄工程およびすすぎ工程が完了して排水される洗浄水は、排水ポンプ27によって排水経路26から排水ホース97を経由して食器洗い機の外部に排出される。
次に、排水口19の構成を、図13~図15を用いて説明する。図13~図15に示されるように、排水口19は、中央に位置する機外排水口41と、その周囲に機外排水口41とは隔離して設けられた中空円環状の循環排水口42とによって構成されている。
機外排水口41は、上面、下面、外周面および内周面で囲まれた円環状の機外排水室43を備えている。機外排水室43の下面は、水溜部18のほぼ中央部に一段低く設けられた凹部の底面の一部をさらに凹設して円形に形成された底面で構成されている。機外排水室43の上面、外周面および内周面は、機外排水口外郭44で構成されている。
機外排水口外郭44は、円周状に形成された外周面44aと、外周面44aと連続させて形成された上面44bと、外周面44aを形成する円の中心に、外周面44aの下端とほぼ同じ高さから垂直に上面44bより高く設けられた軸部44cと、軸部44cの上端部に水平に円板状に張り出して設けられた洗浄水拡散部44dと、洗浄水拡散部44dと上面44bとを4点で連続させる円周接続部44eとから構成されている。
洗浄水拡散部44dの下部で複数の円周接続部44eの間は、複数の円弧形状の洗浄水排水吸込口45が設けられている。洗浄水排水吸込口45は、排水される洗浄水をすみやかに機外排水室43に導くために十分な面積が確保されて設けられている。
円板状の洗浄水拡散部44dの上面は、排水される洗浄水を円周の全方向に拡散するために、中心部が外周部より高い凸面状に形成されている。
機外排水室43は、排水経路26を通じて排水ポンプ27の吸い込み側に連通している。
循環排水口42は、上面、下面、外周面および内周面で囲まれた円環状の循環排水室46を備えている。循環排水室46の下面は、水溜部18のほぼ中央部にさらに一段低く設けられた凹部の底面の一部で構成されており、上面、外周面および内周面は、循環排水口外郭47で構成されている。循環排水口外郭47の上面47aおよび内周面には、多数の
孔より成る洗浄水循環吸込口48が設けられている。洗浄水循環吸込口48は、水溜部18のほぼ中央部の一段低い凹部に開放されている。循環排水室46は、洗浄水循環経路21を通じて洗浄ポンプ22の吸い込み側に連通している。
機外排水口外郭44および循環排水口外郭47は、樹脂で一体に形成されている。機外排水口外郭44および循環排水口外郭47は、洗浄槽2の水溜部18とは別部材で構成されている。
次に、排水口19に配設されている残菜フィルタ23の構成を、図を参照して詳しく説明する。図14は、本発明の実施の形態1における食器洗い機の残菜フィルタに関連する部分の分解斜視図である。
図14に示されるように、残菜フィルタ23は、外周部を形成する第1のフィルタ51と、第1のフィルタ51の内側に配設される第2のフィルタ52によって構成されている。排水口19に取り付けられる状態においては、第2のフィルタ52が第1のフィルタ51の内側に挿入され、係止されて一体化され、第1のフィルタ51が排水口19に係止されて固定されている。
第1のフィルタ51は、底の無い略円筒状に形成されている。円筒状の外周部51aは、ステンレス等の金属板で、洗浄水が双方向に流通可能な多数の孔51bがメッシュ状に形成されている。
第2のフィルタ52は、樹脂材料で有底略円筒状の手桶形状に形成されている。有底略円筒状に形成された本体部52aの外周部52bの上面から、上方に伸びる1本の把手部52cが形成されている。把手部52cは、第2のフィルタ52を第1のフィルタ51に対し着脱する際に、使用者が手で持って上下方向に操作する。把手部52cは、第1のフィルタ51と第2のフィルタ52が一体となった状態で排水口19対し着脱される際に、使用者が手で持って水平に回転させるように操作する。
第2のフィルタ52が第1のフィルタ51の内側に挿入され一体化された状態において、第2のフィルタ52の外周部52bの外面は、第1のフィルタ51の外周部51aの内面に対向している。第2のフィルタ52の本体部52aの外周部52bには、洗浄水が双方向に流通可能な多数の孔52dが設けられている。この孔52dは、第1のフィルタ51の孔51bより大きく設定されている。図13に示されるように、第2のフィルタ52の底部52eは、その中央部が内側(上側)に傘状に膨出され、第2の洗浄水拡散部52fを形成している。そして、第2のフィルタ52の底部52eの第2の洗浄水拡散部52fの周囲に、円弧状の複数のスリット52gが形成されている。第2の洗浄水拡散部52fは、排水口19の循環排水室46の上面47aに設けられた洗浄水循環吸込口48より高い位置に設けられている。
残菜フィルタ23が排水口19に取り付けられた状態では、第1のフィルタ51の外周部51aの下部が排水口19の循環排水口42の内周面に挿入されている。排水口19に設けられた洗浄水拡散部44dは、第1のフィルタ51の内側で、第1のフィルタ51の下端より上側に位置している。また、第2のフィルタ52の底部52eが機外排水口外郭44の洗浄水拡散部44dの直上近傍に位置している。したがって、第2のフィルタ52の底部52eに設けられた第2の洗浄水拡散部52fは、排水口19に設けられた洗浄水拡散部44dの直上に位置する。第1のフィルタ51の外周部51aの上部半分以上に設けられた孔51b、および、第2のフィルタ52の本体部52aの外周部52bに設けられた孔52dは、循環排水口外郭47の上面47aより高い位置に設けられ、水溜部18の内部に臨ませて設けられている。
第1のフィルタ51および第2のフィルタ52は、順番は規定されるがそれぞれ個別に取り外しおよび取り付けができるように構成されている。取り外し時を例に取って説明する。まず、第2のフィルタ52を第1のフィルタ51から上方に取り外す。次いで、第1のフィルタ51を排水口19から回転させて取り外す。なお、第1のフィルタ51と第2のフィルタ52が一体化された状態で排水口19から回転させて取り外すことも、もちろん可能である。
図14に示されるように、第1のフィルタ51の外周部51aの底部に鍔状に設けられた接続部51cには、爪部51dが円周状に180度を成す位置に2ヶ所設けられている。一方、排水口19の循環排水口外郭47の内周部47bに設けられた接続部47cには、爪部51dに対応した係止部47dが円周状に2ヶ所配設されている。係止部47dの下面は、傾斜させて形成されている。爪部51dと係止部47dとの位置を合わせて第1のフィルタ51を上方から挿入したのち、爪部51dを係止部47dの傾斜した下面にガイドさせて右方向に約30度回転させ、第1のフィルタ51を循環排水口外郭47に係止し、排水口19に固定するよう構成されている。
また、これと逆の動作を行うことにより、第1のフィルタ51を排水口19から取り外すことができる構成である。
また、第1のフィルタ51の外周部51aには、ガイド部51iが円周上90度毎に4ヶ所設けられている。ガイド部51iは、第1のフィルタ51を排水口19に対して着脱する際のガイドである。ガイド部51iは、垂直方向に所定長さを有する突起状に形成されている。ガイド部51iは、第1のフィルタ51の排水口19に対する円周方向の固定位置を規定するため、4ヶ所のうち1ヶ所が他と異なるサイズに、例えば幅広に形成されている。
なお、図14に示されるように、水溜部蓋20が水溜部18に嵌め込まれた状態でも第1のフィルタ51を上方に取り出せるように、凹部20aの下面の中央の開口20bには第1のフィルタ51のガイド部51iが上下方向に通過できる切欠き状の逃げ溝20eが円周状に4ヶ所設けられている。逃げ溝20eは、4ヶ所のうち1ヶ所が他と異なるサイズに、例えば幅広に形成されている。第1のフィルタ51の他と異なるサイズに形成された1ヶ所のガイド部51iを、この他と異なるサイズに形成された1ヶ所の逃げ溝20eに対応させることにより、残菜フィルタ23が排水口19に正しい向きに挿入、固定される。
後述される第1のフィルタと第2のフィルタとの位置規定構成と併せて、第2のフィルタ52の把手部52cを常に手前側に位置させることができ、使用者は、残菜フィルタ23の取り付け、取り外しを手際よく行うことができる。
第1のフィルタ51の内周部51eには、第1の係合部51fと第2の係合部51gとが設けられている。第1の係合部51fと第2の係合部51gは、第2のフィルタ52を第1のフィルタ51に対し着脱する際に、第2のフィルタ52をガイドするものである。第1の係合部51fと第2の係合部51gは、いずれも樹脂製で、互いにほぼ180度を成す位置に設けられている。
第1の係合部51fは、第1のフィルタ51内に挿入され固定されて使用される第2のフィルタ52を、円周方向の移動を規制しつつ上下方向にガイドし、係合する。第1の係合部51fは、第1のフィルタ51の内周部51eから内方へ突出させて形成されている。第1の係合部51fは、例えば、円周方向に一対の壁で構成される溝部で形成される。
第2の係合部51gは、第1のフィルタ51の内周部51eから内方へ突出させて形成されている。第2の係合部51gは、例えば、断面が略三角形の上下方向に適度な長さを有する柱状のリブで形成される。
また、第1の係合部51fおよび第2の係合部51gは、ともに第1のフィルタ51の上面から上方に突出させて設けられている。使用者が第1の係合部51fと第2の係合部51gに指を掛けて、左方向に約30度回転させることにより、第1のフィルタ51を単独で排水口19から容易に取り外すことができるように構成されている。
なお、第1の係合部51fと第2の係合部51gをともに第1のフィルタ51の上面から上方に突出させることに替えて、別途、専用の把手部が設けられてもよい。
第2のフィルタ52には、本体部52aの外周部52bの上面から、上方に伸びる1本の把手部52cが形成されている。把手部52cは、略扁平な板状に形成されている。
把手部52cの外側面の本体部52aに近い基部は、第1のフィルタ51の第1の係合部51fに係合される。把手部52cの外側面の基部は、第2のフィルタ52が第1のフィルタ51に対し着脱される際に、第1のフィルタ51の第1の係合部51fに設けられた矩形形状の溝に嵌合され、上下方向にガイドされるとともに、円周方向の移動を規制される。第2のフィルタ52の第1のフィルタ51に対する保持を確実にするとともに着脱を容易にするため、把手部52cの基部の外側面は、下方にいくほど内側に傾斜する傾斜面とすることが望ましい。
第2のフィルタ52の本体部52aの外周部52bに溝部52iが形成されている。溝部52iは、第1のフィルタ51の第2の係合部51gに係合される。溝部52iは、第2のフィルタ52が第1のフィルタ51に対し着脱される際に、第1のフィルタ51の第2の係合部51gによって上下方向にガイドされるとともに、円周方向の移動を規制される。したがって、溝部52iは、例えば、断面が第2の係合部51gよりやや大きい略三角形で、下端が開放された上下方向に必要な長さを有する溝で形成される。
また、第2のフィルタ52の本体部52aの外周部52bには、係止部52hが本体部52aと一体に形成されている。係止部52hは、下部が片持ち支持され上部が外側に膨らんだ板状に形成されている。係止部52hは、溝部52iに対し約90度を成す左右位置に2個設けられている。係止部52hは、第2のフィルタ52の内側方向に弾性的に変形可能に構成されており、内側方向に変形されると、外側に向かって付勢される。係止部52hは、第2のフィルタ52が第1のフィルタ51の内部に挿入されると、第1のフィルタの係止部51jに係止され、第2のフィルタ52が第1のフィルタ51に着脱自在に固定される。
以上のように、第1のフィルタ51と第2のフィルタ52は、第1の係合部51fと第2の係合部51gとによって構成される第1のフィルタ51の係合部と、把手部52cの基部と溝部52iとによって構成される第2のフィルタ52の係合部とによって、一体で回転するように係合され、係止部52hによって固定される。また、双方の係合部は形状が異なるので、第1のフィルタ51と第2のフィルタ52の一体化に際して互いの向きは規定される。
また、図14および図15に示されるように、第1のフィルタ51の上面の開口部は、180度を成す2ヶ所の位置において、円周から弦状に内側に張り出されて形成されている。一方、第2のフィルタ52の外周部52bも、180度を成す2ヶ所の位置において
、弦状にカットされた形状(いわゆるHカット)をなして形成されている。この構成によって、第2のフィルタ52が第1のフィルタ51に装着される際に、向きが規定される。また、装着された状態で、双方の弦状部分が嵌合されることにより、互いの回転方向の規制が強化され、一体化がより確実なものとなる。
また、図示は省略するが、水溜部蓋20の下面の開口20bの近傍にはストッパーが設けられている。残菜フィルタ23もしくは第1のフィルタ51単体が、排水口19から取り外される際に約30度左方向に回転されたとき、水溜部蓋20の前記ストッパーによって、第1のフィルタ51は、それ以上の回転を阻止される。そのとき、第1フィルタ51のガイド部51iは水溜部蓋20の逃げ溝20eに対応する位置の直下に位置するように構成されている。この状態で、残菜フィルタ23もしくは第1のフィルタ51単体を上方に移動させることにより、排水口19から容易に取り外すことができる。
残菜フィルタ23は、捕集された残菜の除去および清掃を頻繁に行う必要がある。その際、第2のフィルタ52のみ清掃したい場合、第1のフィルタ51のみ清掃したい場合、両方同時に清掃したい場合等、使用者の要求は多様である。本実施の形態の残菜フィルタ23のように構成することにより、使用者の多様な要求に応えることができる。
以上のように構成された食器洗い機について、その動作および作用を説明する。
使用者が下扉体5の扉体オープンボタン11を押し込むと、扉体ロック装置12のロックが解除され、下扉体5の上端部が少し前方に開かれる。次いで、使用者が下扉体5の上端部に手を掛け前方下方に引くことによって、下扉体5は本体1の前方下方に開かれる。このとき、上扉体4も扉体開閉機構10によって連動して本体1の前方下方に開かれる。そして、上扉体4と下扉体5は、上扉体4が下扉体5の上に重なった状態で、ほぼ水平状態まで開成され、洗浄槽2の前面の開口部3は前方に開放される。
使用者は、開放された洗浄槽2の開口部3から下食器かご8を前方に引き出し、洗浄したい被洗浄物6を下食器かご8にセットする。本実施の形態における下食器かご8は、下記のような被洗浄物6がセットされるのに適した構成となっている。箸、フォーク、スプーン等は、下食器かご8の中央やや右寄りに設けられた専用の小物入れ89に収容される。小物入れ89の右側には、大皿、ラーメン鉢等の比較的大きい食器が収容される。小物入れ89の左側の第3のセットかご88には、丼鉢、小鉢、中皿等が収容される。
下食器かご8に被洗浄物6のセッティングが終了すると、使用者は、下食器かご8を洗浄槽2内に押し込み収容する。
次に、使用者は、上食器かご7を前方に引き出し、洗浄したい被洗浄物6を上食器かご7にセットする。本実施の形態における上食器かご7は、下記のような被洗浄物6がセットされるのに適した構成となっている。上食器かご7の左側の第1のセットかご78には、茶碗、汁椀、小皿等が収容される。上食器かご7の右側の第2のセットかご79には、コップ、弁当箱、碗類等が収容される。
次に、使用者は、適量の洗剤を下食器かご8に設けられた洗剤投入部90から洗浄槽2の水溜部18に投入し、上扉体4および下扉体5を閉じる。使用者は、操作表示部13によって電源を投入し、運転コースおよび時間等の条件を入力し、スタートボタンを押す。すると、制御部は、食器洗い機の運転を開始し、入力された条件にしたがって洗浄工程、すすぎ工程、乾燥工程を順に実行する。
まず、給水弁が動作して、所定量の洗浄水が洗浄槽2内に給水される。給水弁が停止し
、給水が終わると、洗浄ポンプ22が駆動される。洗浄水はヒータ25によって加熱され、洗浄ポンプ22によって加圧されて、分水部から第1の回転洗浄ノズル14、第2の回転洗浄ノズル15、固定洗浄ノズル16および固定洗浄ノズル16と連通された第3の回転洗浄ノズル17に選択的に分水されて送水される。
分水部は、例えば、第1の回転洗浄ノズル14、第1の回転洗浄ノズル14と第2の回転洗浄ノズル15、第2の回転洗浄ノズル15、固定洗浄ノズル16とそれに連通した第3の回転洗浄ノズル17の順に所定時間毎に洗浄水の送水を切り替えるように動作する。
洗浄水が噴射されて被洗浄物6から脱落した残菜は、水溜部蓋20および残菜フィルタ23によって捕集される。また、洗浄水の温度は温度センサ29によって検出されており、洗浄水の温度が所定温度を超えるとヒータ25への通電が停止される。これによって、洗浄水は、常に洗浄に適した温度に維持される。
所定時間の洗浄工程が終了すると、汚れを含む洗浄水は排水ポンプ27によって機外に排出され、洗浄槽2内に新たに洗浄水が給水される。給水された洗浄水は洗浄ポンプ22によって加圧され、第1の回転洗浄ノズル14、第2の回転洗浄ノズル15、固定洗浄ノズル16および固定洗浄ノズル16と連通された第3の回転洗浄ノズル17に送給される。送給された洗浄水は、各洗浄ノズルの噴射孔から噴射され、被洗浄物6に付着した洗剤や残菜等を洗い流すすすぎ工程が実行される。
このすすぎ工程は、所定時間、すすぎ動作が行われた後、すすぎ動作によって被洗浄物6から洗剤や残菜が洗い出された洗浄水は、排水ポンプ27によって機外に排出される。そして、洗浄槽2内には新たな洗浄水が給水され、再びすすぎ動作が行われる。標準設定では、このすすぎ動作が3回実行され、洗浄水が排水ポンプ27によって機外に排出されて、すすぎ工程は終了する。
ここで、洗浄およびすすぎ動作時と排水動作時の残菜フィルタ23および排水口19まわりの洗浄水の流れについて、図を参照して説明する。図16は、洗浄およびすすぎ動作時の残菜フィルタ23および排水口19まわりの洗浄水の流れを示す説明図である。図17は、排水動作時の残菜フィルタ23および排水口19まわりの洗浄水の流れを示す説明図である。
洗浄およびすすぎ動作時においては、水溜部18に溜まった洗浄水は、洗浄ポンプ22によって吸引され、循環排水口外郭47の上面47aに設けられた多数の孔から成る洗浄水循環吸込口48から洗浄水循環経路21に吸い込まれる。洗浄水循環吸込口48は、残菜フィルタ23より外側に円周状に設けられている。また、洗浄水循環吸込口48は、第1のフィルタ51の外周部51aに設けられた孔51bおよび第2のフィルタ52の本体部52aの外周部52bに設けられた孔52dの大半より低い位置に設けられている。また、洗浄水循環吸込口48は、第2のフィルタ52の底部52eに設けられた第2の洗浄水拡散部52fより低い位置に設けられている。
この構成によって、洗浄およびすすぎ動作時においては、洗浄水は、図16に示されるように、概ね矢印Cで表示されたように流れる。洗浄水は、第1のフィルタ51の孔51bおよび第2のフィルタ52の孔52dにおいて、概ね内側から外側に向かって流れる。
このとき、循環される洗浄水に含まれる残菜や汚れは、大きい残菜は第2のフィルタ52によって捕集され、細かい残菜および汚れは第1のフィルタ51によって捕集される。特に、洗浄水に含まれる汚れは第1のフィルタ51の内周面に付着する。汚れの第1のフィルタ51の内周面への付着は、洗浄水循環経路21に近い部分に集中する傾向があるが
、排水口19に設けられた洗浄水拡散部44dおよび第2のフィルタ52に設けられた第2の洗浄水拡散部によって全周に均等に拡散されることにより、細かい残菜や汚れが第1のフィルタ51の内周面の一部に集中して付着することが抑制される。
一方、排水動作時においては、水溜部18に溜まった洗浄水は、排水ポンプ27によって吸引され、機外排水口外郭44の上面44bおよび円周接続部44eに設けられた洗浄水排水吸込口45から排水経路26に吸い込まれる。洗浄水排水吸込口45は、残菜フィルタ23よりほぼ下側かつ内側に円周状に設けられている。また、残菜フィルタ23は、外周部が水溜部18に臨ませてあり、水溜部18は従来のものより大幅に容積を大きく設定してあり、排水時においても、残菜フィルタ23の外周部まわりに相当の量の洗浄水が存在している。排水直前の状態では、残菜フィルタ23の外周部まわりの水溜部18に存在する洗浄水の量は、残菜フィルタ23の直上部に存在する洗浄水の量より多い。
この構成によって、排水動作時においては、洗浄水は、図17に示されるように、概ね矢印Dで表示されたように流れる。洗浄水は、第1のフィルタ51の孔51bおよび第2のフィルタ52の孔52dにおいて、概ね外側から内側に向かって流れる。
したがって、洗浄およびすすぎ時に第1のフィルタ51の内周面に付着した汚れおよび細かい残菜は、外側から内側へと流れる洗浄水(排水される洗浄水)によって洗い落とされ、排水される洗浄水とともに機外へと排出される。この際、主に排水口19に設けられた洗浄水拡散部44dによって、排水口19から排水される洗浄水が底部の内部で全周にわたって拡散されることにより、第1のフィルタ51の内周面に付着した汚れおよび残菜の洗い落としが促進される。
また、排水口19の中央上からくる排水の流れの洗浄水は、洗浄水拡散部44dによって拡散されて第1のフィルタ51の内周面に導かれ、第1のフィルタ51の内周面に付着した汚れおよび細かい残菜の洗い落としが促進される。
すすぎ工程が終了すると、乾燥工程が実行される。乾燥装置30が動作し、内蔵されたファン31によって洗浄槽2内に送給される外気がヒータによって加熱され、送風と加温との両方の効果によって、被洗浄物6に付着した水滴の蒸発が行われる。この乾燥が所定時間実施された後、乾燥装置30の運転が停止されて乾燥工程が終了する。被洗浄物6の洗浄のすべての工程が終了し、選択された運転コースの実行が終了する。
本実施の形態における食器洗い機には、洗浄効率を向上させる目的と、洗浄水を循環させる洗浄ポンプ22や各洗浄ノズルを保護する目的とにより、洗浄水に含まれる残菜や汚れを捕集する残菜フィルタ23が取り外し可能に設置されている。残菜フィルタ23は、定期的に清掃される必要がある。
その際の残菜フィルタ23の取り外し手順について、図15を用いて説明する。
図15(a)は、残菜フィルタ23が洗浄槽2の排水口19に取り付けられた状態を示している。
比較的大きな残菜が第2のフィルタ52に捕集されるので、第2のフィルタ52のみ取り外して清掃したい場合が多い。この場合は、残菜フィルタ23が排水口19に係止され固定された状態で第2のフィルタ52の把手部52cを上方に引っ張ることにより、図15(b)に示されるように、第2のフィルタ52のみ単独で取り外すことができる。なお、この後、第1のフィルタ51の第1の係合部51fと第2の係合部51gの上方突出部に指を掛けて左方向に約30度回転させれば、第1のフィルタ51を単独で排水口19か
ら係止固定解除し、取り外すことができる。
この取り外し手順によれば、必要に応じて、第2のフィルタ52と第1のフィルタ51を、それぞれ単独で取り外すことができるので、使用者は、取り外し作業時に汚れた部分に触れる必要がなく、清潔に清掃作業を行うことができる。
また、使用者は、第2のフィルタ52の把手部52cを持ち、左方向に約30度回転させると、図15(c)に示された状態となる。この状態で、残菜フィルタ23は排水口19に対する係止が外れているので、上方に引くことにより、図15(d)に示されるように、第1のフィルタ51と第2のフィルタ52が一体となった状態で残菜フィルタ23を取り外すことができる。なお、この際、水溜部蓋20の開口20bには、第1のフィルタ51の外周のガイド部51iを通過させられる切欠き状の逃げ溝20eが設けられている。したがって、残菜フィルタ23の取り外しは、水溜部蓋20が水溜部18に載置された状態で行うことができる。
残菜フィルタ23を取り外した後、使用者は、排水口19の内面、残菜フィルタ23の第1のフィルタ51の外面、第2のフィルタ52の内面を清掃することができる。
なお、この際、第1のフィルタ51の内面、第2のフィルタ52の外面も合わせて清掃したい場合は、第2のフィルタ52の把手部52cを上方に引っ張れば、第2のフィルタ52を第1のフィルタ51から取り外すことができる。
この取り外し手順によれば、使用者は、排水口19の内面、残菜フィルタ23の第1のフィルタ51の外面、第2のフィルタ52の内面を効率よく清掃することができる。
以上のように、本実施の形態における食器洗い機は、排水口19は、上方から流れてきた洗浄水を周囲に拡散する洗浄水拡散部44dを機外排水口41の上部に備えている。この構成によって、上方から流れてきた洗浄水を直接排水したり、循環したりせず、周辺に拡散させて残菜フィルタ23の第1のフィルタ51および第2のフィルタ52に導くことができる。これにより、洗浄およびすすぎ動作時においては、洗浄水に含まれる残菜や汚れを効果的に捕集させることができる。また、排水動作時においては、特に第1のフィルタ51に付着した汚れおよび残菜を洗い落とすことができる。
また、残菜フィルタ23が排水口19に固着されたとき、洗浄水拡散部44dは、残菜フィルタ23の内部に位置するように構成されている。この構成によって、洗浄水拡散部44dによって拡散させた洗浄水を、より確実に残菜フィルタ23に導き、洗浄水に含まれる残菜や汚れを効果的に捕集させることができるとともに、特に第1のフィルタ51に付着した汚れおよび残菜を洗い落とすことができる。
また、残菜フィルタ23が排水口19に固着されたとき、洗浄水拡散部44dは、第1のフィルタ51の内側で、かつ、第1のフィルタ51の下端より上側に位置するように構成されている。この構成によって、洗浄水拡散部44dによって拡散させた洗浄水を、細かい残菜および汚れを捕集する第1のフィルタ51に導き、洗浄水に含まれる細かい残菜や汚れを効果的に捕集させることができる。これにより、特に、洗浄水循環経路21を通じて洗浄ポンプ22によって洗浄槽2内の被洗浄物の洗浄およびすすぎに供される洗浄水の純度を向上させ、洗浄およびすすぎの効率および性能を向上させることができる。また、洗浄水を洗浄水循環経路21にスムーズに導くことができ、洗浄水循環効率を向上させることができる。
また、洗浄水拡散部44dは、残菜フィルタ23が排水口19に固着されたとき、第2
のフィルタ52の下方に位置するように構成されている。この構成によって、第2のフィルタ52を通過してきた上方からの洗浄水も効果的に周辺に拡散させることができ、第1のフィルタ51による残菜や汚れの捕集性能をより向上させることができる。また、排水動作時における、第1のフィルタ51に付着した汚れおよび残菜の洗い落とし効果も向上させることができる。
また、第2のフィルタ52の底部に第2の洗浄水拡散部52fを備え、第2の洗浄水拡散部52fは、残菜フィルタ23が排水口19に固着されたとき、洗浄水拡散部44dの直上に位置するように構成されている。この構成によって、第2のフィルタ52の第2の洗浄水拡散部52fと排水口19の洗浄水拡散部44dの相乗効果により、第1のフィルタ51による残菜や汚れの捕集性能および第1のフィルタ51に付着した汚れおよび残菜の洗い落とし効果をより向上させることができる。
また、残菜フィルタ23が排水口19に固着されたとき、第2の洗浄水拡散部52fは、洗浄水循環吸込口48より上側に位置するように構成されている。この構成によって、第2のフィルタ52内に上方から流れてきた洗浄水を周辺に拡散させ、第1のフィルタ51を通して洗浄水循環吸込口48に効率よく導くことができる。これにより、洗浄水の純度を向上させ、洗浄およびすすぎの効率および性能を向上させることができる。また、洗浄水を洗浄水循環経路21にスムーズに導くことができ、洗浄水循環効率を向上させることができる。
また、洗浄水拡散部44dおよび第2の洗浄水拡散部52fは、主要部が円板状に形成され、円板状の上面は中心部が外周部より高い凸面状に形成されている。この構成によって、上方から流れてくる洗浄水の力を分散させつつ、洗浄水を周囲に効果的に拡散させることができる。