JP6993545B1 - 難燃性樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】難燃性に優れた樹脂組成物及びその成形品を提供することを課題とする。【解決手段】ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)、臭素系難燃剤(B)、アンチモン化合物(C)を含み、臭素原子の含有量及びアンチモン原子の含有量が所定の範囲であり、フッ素樹脂(D)の含有量及びカーボンブラック(E)の含有量所定の範囲であり、かつ、以下の式1:5.6≧2d+2e+2c/(c’/100) (式1)d:ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対するフッ素樹脂(D)の含有量(質量部)e:ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対するカーボンブラック(E)の含有量(質量部)c:ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100gに対するアンチモン原子の含有量(mol)c’:アンチモン化合物(C)中のアンチモン原子の含有量(質量%)を満たす、難燃性樹脂組成物とする。【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性樹脂組成物及びその成形品に関する。詳しくは、難燃性ポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物及びその成形品に関する。
ポリアルキレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリエステル樹脂は、優れた機械的特性、電気的特性、耐熱性、耐候性、耐水性、耐薬品性及び耐溶剤性を有しており、自動車部品、電気・電子部品などの種々の用途に広く利用されている。特に電気・電子分野では、火災防止のため、ポリアルキレンテレフタレート樹脂にハロゲン系又はリン系の難燃剤や、アンチモン化合物又は窒素化合物等の難燃助剤を添加して難燃性に優れた樹脂組成物が用いられている。
樹脂の難燃性を示す規格としてUL94 Vertical Flame testが知られている。この規格は、樹脂の燃焼時間、ドリッピング(樹脂の溶融物の滴下)による可燃物への着火の有無、及びグローイング時間等を判断基準としている。
ドリッピング(樹脂の溶融物の滴下)による可燃物への着火を防ぐため、難燃性の樹脂組成物には、ドリッピング防止剤(非滴下剤)としてPTFE等の繊維状のフッ素樹脂が併用されることがある。
グローイング時間は、樹脂が燃焼する際に炎を上げず赤熱している状態が続く時間である。グローイング時間は、より短い方が難燃性に優れているといえる。グローイング時間に影響を与える要因として、例えば先行文献1にはオレフィン系エラストマーの含有量がポリエステル樹脂100質量部に対して50重量部より多いとグローイング時間が長くなることが記載されている。特許文献2には、ガラス繊維を多量に用いると樹脂組成物のグローイング時間が長くなることが記載されている。
特開平10-158487号公報 特開平10-158486号公報
本発明者は、研究の過程で、難燃性の樹脂組成物に、非滴下剤として用いられるフッ素樹脂を添加すると、グローイング時間が長くなり樹脂組成物の難燃性が低下する場合があるとの問題点を見出した。また、樹脂組成物の着色や帯電防止剤として添加されることがあるカーボンブラックも樹脂組成物の難燃性に影響を与えるのではないかと考えた。これらの知見に基づいて鋭意研究を進めた結果、難燃剤及び難燃助剤に由来する臭素原子及びアンチモン原子、並びに、任意で添加されるフッ素樹脂やカーボンブラックの含有量が所定の関係式を満たす関係にある場合に、グローイング時間が短い樹脂組成物にすることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、難燃性に優れた樹脂組成物及びその成形品を提供することを課題とする。
本発明は以下の実施形態を有する。
[1]ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)、臭素系難燃剤(B)、アンチモン化合物(C)を含み、臭素原子の含有量が、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100gに対して0.13mol以上であり、アンチモン原子の含有量が、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100gに対して0.05mol以上であり、フッ素樹脂(D)の含有量が、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して0~2.7質量部であり、カーボンブラック(E)の含有量が、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して0~2.7質量部であり、かつ、
以下の式1:
5.6≧2d+2e+2c/(c’/100) (式1)
(但し、
d:ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対するフッ素樹脂(D)の含有量(質量部)
e:ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対するカーボンブラック(E)の含有量(質量部)
c:ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100gに対するアンチモン原子の含有量(mol)
c’:アンチモン化合物(C)中のアンチモン原子の含有量(質量%)
である)
を満たす、難燃性樹脂組成物。
[2]臭素系難燃剤(B)が、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ化合物を含む、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]アンチモン化合物(C)が、五酸化アンチモン及びアンチモン酸ナトリウムから選択される1以上を含む、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]フッ素樹脂(D)が滴下防止性能を有する、[1]から[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]カーボンブラック(E)のフタル酸ジブチル吸油量が350cm/100g以下である、[1]から[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)が、ポリブチレンテレフタレート樹脂である、[1]から[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7][1]から[6]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、成形品。
本発明によれば、難燃性に優れた樹脂組成物及びその成形品を提供することができる。
以下に本発明について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜変更を加えて実施することができる。
[樹脂組成物]
本実施形態に係る樹脂組成物は、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)、臭素系難燃剤(B)、アンチモン化合物(C)を含む。樹脂組成物は、必要に応じてフッ素樹脂(D)及び/又はカーボンブラック(E)を含んでいてもよい。
(A:ポリアルキレンテレフタレート樹脂)
ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)は、ジカルボン酸化合物及び/又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、ジオール化合物及び/又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするジオール成分との反応により得られる熱可塑性ポリエステル樹脂のうち、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸及び/又はそのエステル形成性誘導体を主成分とし、ジオール成分としてアルキレングリコール及び/又はそのエステル形成性誘導体を主成分とするものである。
ポリアルキレンテレフタレート樹脂としては、主成分以外のジカルボン酸成分やジオール成分、さらに他の共重合可能なモノマーとして、オキシカルボン酸成分、ラクトン成分等(以下、共重合性モノマーという場合がある)を組み合わせたコポリエステルも使用できる。
主成分以外のジカルボン酸成分としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドテカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、ダイマー酸などのC4-40程度のジカルボン酸、好ましくはC4-14程度のジカルボン酸)、脂環族ジカルボン酸(例えば、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ハイミック酸などのC4-40程度のジカルボン酸、好ましくはC8-12程度のジカルボン酸)、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、メチルイソフタル酸、メチルテレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェノキシエーテルジカルボン酸、4,4’-ジオキシ安息香酸、4,4’-ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルケトンジカルボン酸などのC8-16程度のジカルボン酸)、又はこれらの誘導体(例えば、低級アルキルエステル、アリールエステル、酸無水物などのエステル形成可能な誘導体)などが挙げられる。テレフタル酸と組み合わせて用いるのに好ましいジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、これらを二種以上組み合わせて用いることもできる。ただし、共重合性モノマーとしてのジカルボン酸成分全体の好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上が芳香族ジカルボン酸化合物であるとよい。さらに必要に応じて、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸又はそのエステル形成誘導体(アルコールエステル等)等を併用してもよい。このような多官能性化合物を併用すると、分岐状のポリアルキレンテレフタレート樹脂を得ることもできる。
主成分以外のジオール成分としては、脂肪族アルカンジオール(例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオールなどのC2-12程度の脂肪族ジオール、好ましくはC2-10程度の脂肪族ジオールのうち、主成分として使用するもの以外の脂肪族アルカンジオール)、ポリオキシアルキレングリコール(C2-4程度のオキシアルキレン単位を複数有するグリコール、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジテトラメチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなど)、脂環族ジオール(例えば、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールAなど)などが挙げられる。また、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)プロパン、キシリレングリコールなどの芳香族ジオールを併用してもよい。ただし、共重合性モノマーとしてのジオール成分全体の好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上がアルキレングリコールであるとよい。さらに必要に応じて、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどのポリオール又はそのエステル形成性誘導体を併用してもよい。このような多官能性化合物を併用すると、分岐状の熱可塑性ポリエステル樹脂を得ることもできる。
オキシカルボン酸(又はオキシカルボン酸成分又はオキシカルボン酸類)には、例えば、オキシ安息香酸、オキシナフトエ酸、ヒドロキシフェニル酢酸、グリコール酸、オキシカプロン酸等のオキシカルボン酸又はこれらの誘導体等が含まれる。ラクトンには、プロピオラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン(例えば、ε-カプロラクトン等)等のC3-12ラクトン等が含まれる。
なお、コポリエステルにおいて、共重合性モノマーの割合は、例えば、0.01モル%以上30モル%以下程度の範囲から選択でき、通常、1モル%以上25モル%以下程度、好ましくは3モル%以上20モル%以下程度、更に好ましくは5モル%以上15モル%以下程度である。また、ホモポリエステルとコポリエステルとを組み合わせて使用する場合、ホモポリエステルとコポリエステルとの割合は、共重合性モノマーの割合が、全単量体に対して0.01モル%以上30モル%以下(好ましくは1モル%以上25モル%以下程度、更に好ましくは3モル%以上20モル%以下程度、特に好ましくは5モル%以上15モル%以下程度)となる範囲であり、通常、前者/後者=99/1~1/99(質量比)、好ましくは95/5~5/95(質量比)、更に好ましくは90/10~10/90(質量比)程度の範囲から選択できる。
好ましいポリアルキレンテレフタレート樹脂には、アルキレンテレフタレート単位を主成分(例えば、50~100モル%、好ましくは75~100モル%程度)とするホモポリエステル又はコポリエステルが挙げられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリC2-4アルキレンテレフタレートなどのホモポリエステル;アルキレンテレフタレート単位を主成分として共重合成分にアルキレンイソフタレート単位を含有するコポリエステル;アルキレンテレフタレート単位を主成分として共重合成分にアルキレンナフタレート単位を含有するコポリエステル;等が含まれ、これらを1種単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
特に好ましいポリアルキレンテレフタレート樹脂は、エチレンテレフタレート、トリメチレンテレフタレート、テトラメチレンテレフタレートなどのC2-4アルキレンテレフタレート単位を80モル%以上(特に90モル%以上)含むホモポリエステル樹脂又はコポリエステル樹脂が挙げられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート樹脂、イソフタル酸変性ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、イソフタル酸変性ポリブチレンテレフタレート樹脂、ナフタレンジカルボン酸変性ポリエチレンテレフタレート樹脂、ナフタレンジカルボン酸変性ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ナフタレンジカルボン酸変性ポリブチレンテレフタレート樹脂などが挙げられる。
これらの内、ポリエチレンテレフタレート樹脂及びポリブチレンテレフタレート樹脂から選択される1以上を含むことが好ましく、特にポリブチレンテレフタレート樹脂を含むことが好ましい。一実施形態において、ポリアルキレンテレフタレート樹脂はポリブチレンテレフタレート樹脂である。
ポリアルキレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は、本発明の効果を阻害しない限り特に限定されない。ポリアルキレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は、30meq/kg以下が好ましく、25meq/kg以下がより好ましい。ポリアルキレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量が多過ぎると、耐加水分解性を損なう可能性がある。
ポリアルキレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV)は本発明の効果を阻害しない範囲で特に制限されない。ポリアルキレンテレフタレート樹脂の固有粘度は、成形性の観点から0.6~1.3dL/gであるのが好ましく、0.7~1.2dL/gであるのがより好ましい。ポリアルキレンテレフタレート樹脂の固有粘度が0.7~1.0dL/gである場合には、得られるポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物が特に成形性に優れたものとなる。また、異なる固有粘度を有するポリアルキレンテレフタレート樹脂をブレンドして、固有粘度を調整することもできる。例えば、固有粘度0.69dL/gのポリアルキレンテレフタレート樹脂と固有粘度0.88dL/gのポリアルキレンテレフタレート樹脂とをブレンドすることにより、固有粘度0.78dL/gのポリアルキレンテレフタレート樹脂を調製することができる。ポリアルキレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV)は、o-クロロフェノール中で温度35℃の条件で測定した値とする。
なお、ポリアルキレンテレフタレート樹脂は、市販品を使用してもよく、ジカルボン酸成分又はその反応性誘導体と、ジオール成分又はその反応性誘導体と、必要により共重合可能なモノマーとを、慣用の方法、例えばエステル交換、直接エステル化法等により共重合(重縮合)することにより製造したものを使用してもよい。
ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)の含有量は、樹脂組成物中に20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、35質量%以上であることが特に好ましい。
(B:臭素系難燃剤)
臭素系難燃剤(B)は、臭素原子を含有する有機化合物であり、臭素系芳香族難燃剤であることが好ましい。臭素系芳香族難燃剤としては、ベンゼン環の水素原子の1つ以上、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上、さらに好ましくは4つ以上が、臭素で置換された構造を含む臭素系芳香族化合物であり、具体的には臭素化エポキシ化合物、臭素化アクリレート系重合体、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリスチレン、臭素化フタルイミド、臭素化ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。臭素系難燃剤(B)は、臭素化エポキシ化合物及び/又は臭素化アクリレート系重合体を含むことが好ましく、熱安定性と耐加水分解性の観点から、臭素化エポキシ化合物を含むことがより好ましい。
臭素化エポキシ化合物としては、エポキシ化合物として1分子中にエポキシ基を1つ以上含有する臭素化芳香族エポキシ化合物が挙げられ、例えば、臭素化フェニル型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、臭素化フェノールノボラック型エポキシ化合物、臭素化クレゾールノボラック型エポキシ化合物等が挙げられる。中でも、ベンゼン環の水素原子の1つ以上、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上、さらに好ましくは4つ以上が臭素で置換された構造を含む臭素化エポキシ化合物が好ましい。剛性、耐衝撃性、流動性、耐熱性、耐候性をバランスよく向上させられるという理由から、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ化合物を含むことがより好ましい。
臭素化エポキシ化合物の重量平均分子量は、1000以上20000以下であることが好ましい。難燃性ポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物の成形性の観点からは、重量平均分子量は2000以上15000以下であることがより好ましく、3000以上10000以下であることがさらに好ましい。重量平均分子量は、GPC法(ゲル浸透浸透クロマトグラフィ)により測定した値(ポリスチレン換算値)とする。
上記のエポキシ化合物のエポキシ当量は3,000g/当量(g/eq)以上であることが好ましく、10,000g/eq以上であることがより好ましく、20,000g/eq以上であることがさらに好ましく、30,000g/eq以上であることが特に好ましい。エポキシ当量をこの範囲にすることにより、樹脂組成物の成形時に、当該組成物が押出機や成形機のスクリューに付着することを抑制できる。これによりスクリュー付着物の成形品への混入を低減できるため、得られる成形品の外観を良好なものとすることができる。エポキシ当量は、JIS K7236(2001年)に準じ過塩素酸による滴定により測定した値とする。
また、上記の臭素化エポキシ化合物として、末端をブロモフェノール(トリブロモフェノール等)などで封止したものを使用すれば、難燃性ポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物の流動性の低下を抑制できるため好ましい。
臭素系難燃剤(B)の含有量は、樹脂組成物中の臭素原子の含有量が以下の範囲内となる量とする。
樹脂組成物中の臭素原子の含有量は、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100gに対して0.13mol以上である。臭素原子の含有量をポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100gに対して0.13mol以上にすることで、燃焼時間を低下させ、ドリッピング(樹脂の溶融物の滴下)による延焼を防ぐことができ、難燃性を高めることができる。樹脂組成物中の臭素原子の含有量は、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100gに対して、好ましくは0.14mol以上であり、より好ましくは0.15mol以上であり、さらに好ましくは0.16mol以上であり、特に好ましくは0.17mol以上である。
樹脂組成物中の臭素原子の含有量の上限値は、成形時の耐腐蝕性の観点から、好ましくは0.30mol以下であり、より好ましくは0.28mol以下であり、さらに好ましくは0.25mol以下である。
一実施形態において、樹脂組成物中の臭素原子の含有量は、0.13~0.30molとすることができ、0.14~0.28molとすることができ、0.15~0.25molとすることもできる。
樹脂組成物中の臭素原子の含有量の測定は、蛍光X線分析により行うことができる。
(C:アンチモン化合物)
アンチモン化合物(C)は、アンチモン原子を含む化合物であり、難燃助剤として作用する。難燃助剤としての(C)アンチモン化合物の代表的なものとしては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸ナトリウム等が挙げられ、これらから選択される1以上を用いることができる。アルキレンテレフタレート樹脂への熱安定性の観点から、五酸化アンチモン及びアンチモン酸ナトリウムから選択される1以上を含むことが好ましい。
アンチモン化合物(C)中のアンチモン原子の含有量(質量%)は、樹脂組成物が後述する式1を容易に満たすことができる観点から、好ましくは50~90質量%であり、より好ましくは60~80質量%であり、さらに好ましくは60~70質量%である。アンチモン化合物(C)中のアンチモン原子の含有量(質量%)は、過マンガン酸カリウムの滴定から算出する。樹脂組成物の状態からアンチモン化合物(C)中のアンチモン原子の含有量を測定するには、蛍光X線分析により行う。
アンチモン化合物(C)の含有量は、樹脂組成物中のアンチモン原子の含有量が以下の範囲内となる量とする。
樹脂組成物中のアンチモン原子の含有量は、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100gに対して0.05mol以上である。樹脂組成物中のアンチモン原子の含有量をポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100gに対して0.05mol以上にすることで、燃焼時間を低下させ、ドリッピング(樹脂の溶融物の滴下)による延焼を防ぐことができ、難燃性を高めることができる。樹脂組成物中のアンチモン原子の含有量は、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100gに対して、好ましくは0.06mol以上であり、より好ましくは0.07mol以上であり、0.08mol以上とすることもでき、0.1mol以上とすることもできる。
樹脂組成物中のアンチモン原子の含有量を測定するには、蛍光X線分析により行う。
樹脂組成物中のアンチモン原子の含有量の上限値は、グローイング時間をより短くする観点から、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100gに対して、0.3mol以下であることが好ましく、0.2mol以下であることがより好ましく、0.1mol以下であることがさらに好ましい。
(D:フッ素樹脂)
本実施形態に係る樹脂組成物は、フッ素樹脂(D)を含有していてもよい。フッ素樹脂(D)は、フッ素原子を含む樹脂であり、樹脂組成物のドリッピング(樹脂の溶融物の滴下)による延焼を抑制する作用を有する。本発明者の研究により、フッ素樹脂を含む樹脂組成物は、ドリッピングによる延焼を抑制することができるものの、グローイング時間(樹脂が赤熱している状態が続く時間)が長くなる傾向にあることが分かった。本実施形態に係る樹脂組成物によれば、フッ素樹脂(D)を含有する場合であっても、グローイング時間を短くすることができる。その結果、ドリッピングによる延焼の抑制とグローイング時間の短縮とを両立して、より難燃性に優れた樹脂組成物にすることができる。
フッ素樹脂(D)としては、フッ素含有単量体の単独重合体又は共重合体、例えば、フッ素含有単量体(テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルなど)の単独重合体又は共重合体;前記フッ素含有単量体と他の共重合性単量体(エチレン、プロピレンなどのオレフィン系単量体、(メタ)アクリレートなどのアクリル系単量体など)との共重合体などが含まれる。
フッ素樹脂(D)としては、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライドなどの単独重合体;テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体などの共重合体が例示される。フッ素樹脂(D)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましいフッ素樹脂(D)としては、テトラフルオロエチレンの単独重合体又は共重合体、テトラフルオロエチレンと(メタ)アクリレートとの共重合体などが挙げられる。
フッ素樹脂(D)の含有量は、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して0~2.7質量部である。すなわち、樹脂組成物は、フッ素樹脂(D)を含有しない、又はフッ素樹脂(D)を含有する場合はその含有量がポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して2.7質量部以下である。樹脂組成物がフッ素樹脂(D)を含有しない場合、グローイング時間が長くなることを抑制することができる。樹脂組成物がフッ素樹脂(D)を含有する場合、ドリッピングによる延焼を抑制することができる。
フッ素樹脂(D)の含有量は、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.05~2.7質量部であり、より好ましくは0.1~2.0質量部であり、さらに好ましくは0.3~1.5質量部であり、特に好ましくは0.3~1.0質量部である。フッ素樹脂(D)の具体的な含有量は、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して0~2.7質量部の範囲内で、かつ樹脂組成物が後述する式1を満たすように選択する。一実施形態において、フッ素樹脂(D)の含有量は、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、0.2~2.4質量部である。
フッ素樹脂(D)は、滴下防止性能を有することが好ましい。滴下防止性能とは、燃焼時に樹脂の溶融物が滴下することを防ぐことができる性能のことである。フッ素樹脂(D)は、通常、乳化重合又は懸濁重合により製造される。いずれの重合方法により重合されたフッ素樹脂も、フィブリル化のしやすさの観点から、標準比重(以下、「SSG」と呼ぶ。ASTM D-1457 83a参照)が2.13~2.23の範囲にあるものが好ましく、2.13~2.20にあるものが好ましい。通常、SSGは無変性テトラフルオロエチレン重合体の数平均分子量の間接的な表現手段であり、一般的にSSGが低いほど分子量が大きく、滴下防止性能を有する成分として好ましい。
(E:カーボンブラック)
本実施形態に係る樹脂組成物は、意匠性や成形品の帯電防止性を高めるため、カーボンブラック(E)を含有していてもよい。カーボンブラック(E)としては、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等が挙げられる。
カーボンブラック(E)の含有量は、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して0~2.7質量部である。すなわち、樹脂組成物は、カーボンブラック(E)を含有しない、又はカーボンブラック(E)を含有する場合はその含有量がポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して2.7質量部以下である。樹脂組成物は、カーボンブラック(E)を含有しない場合(又は含有量が少ない場合)でも、グローイング時間を短くすることができる。
カーボンブラック(E)の含有量は、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは、0~2.6質量部であり、より好ましくは0~2.0質量部であり、さらに好ましくは0~1.5質量部である。一実施形態において、カーボンブラック(E)の含有量は、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して0.3~2.7質量、0.3~2.6質量部、0.5~2.4質量部、1.0~2.4質量部、又は1.3~2.4質量部である。カーボンブラック(E)の具体的な含有量は、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して0~2.7質量部の範囲内で、かつ樹脂組成物が後述する式1を満たすように選択する。
樹脂組成物中のカーボンブラックの含有量を測定するには、熱重量・示差熱分析装置(TG/DTA)を用い、まず窒素雰囲気下で、600℃に昇温させPBTや難燃剤等の有機物を完全に分解した後、300℃まで冷却する。次に空気雰囲気下で600℃まで昇温しカーボンブラックを完全に分解してカーボンブラックの含有量を算出することができる。
カーボンブラック(E)のフタル酸ジブチル吸油量(DBP吸油量)は、樹脂組成物の流動性の観点から、350cm/100g以下であることが好ましく、250cm/100g以下であることがより好ましく、150cm/100g以下であることがさらに好ましい。カーボンブラックのDBP吸油量の下限値は、分散性の観点から、40cm/100g以上であることが好ましく、50cm/100g以上であることがより好ましく、60cm/100g以上であることがさらに好ましい。カーボンブラック(E)のDBP吸油量の値は、JIS K6217-4:2017に従う値とする。
カーボンブラックの平均一次粒子径は、特に限定されないが、機械的特性を損なわないためには10~100nmであることが好ましく、15~50nmであることがより好ましく、20~40nmであることがさらに好ましい。平均一次粒子径は、樹脂組成物中に配合される前のカーボンブラックについて、粒子1000個の電子顕微鏡観察により求めた算術平均粒子径である。
(F:エラストマー)
本実施形態に係る樹脂組成物は、耐衝撃性を向上させるためにエラストマー(F)を含有していてもよい。エラストマー(F)は、熱可塑性エラストマーやコアシェルエラストマーが望ましい。熱可塑性エラストマーとしては、グラフト化されたオレフィン系、スチレン系、ポリエステル系のエラストマーが挙げられる。エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体などのオレフィン系エラストマーを添加することで燃焼時間が延びることがあるため、その添加量はポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して0~65質量部が好ましく、0~40質量部が更に好ましく、0~30質量物が特に好ましい。
(G:充填剤)
本実施形態に係る樹脂組成物は、機械的特性を向上させるため、充填剤(G)を添加することができる。充填剤(G)としては、無機充填剤[例えば、繊維状充填剤(ガラス繊維、ミルドガラスファイバー、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維等の無機質繊維)、板状又は粉粒状充填剤(ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスバルーン、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー等の珪酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等の金属酸化物、カルシウム、マグネシウム、亜鉛等の金属の炭酸塩や硫酸塩、更には炭化珪素、窒化珪素、窒化硼素等)等]、有機充填剤(例えば、高融点の芳香族ポリエステル繊維、液晶性ポリエステル繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリイミド繊維等)等が例示される。特にガラス繊維は簡便に使用することが出来る。充填材の添加量が多い場合、グローイングを悪化させるため、充填材(G)の含有量はポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して0~125質量部が好ましく、0~100質量部が更に好ましく、0~90質量部が特に好ましい。
(その他の添加剤)
本実施形態に係る樹脂組成物には、慣用の添加剤、例えば、公知の安定剤(紫外線吸収剤、光安定剤など)、滑剤(ペンタエリスリトールテトラステアレートなど)、離型剤、上記以外の難燃剤や難燃助剤、結晶化核剤、カーボンブラックを除く着色剤(染料や顔料など)、潤滑、可塑剤、フッ素樹脂以外のドリッピング防止剤等を添加してもよい。耐熱性向上を目的として、ヒンダードフェノール化合物、芳香族アミン化合物、有機リン化合物、硫黄化合物等の酸化防止剤あるいは熱安定剤を添加することもできる。
さらに、他の樹脂成分、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、スチレン系樹脂(ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂など)などの熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂(不飽和ポリエステルなど)、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などを添加してもよい。これらの他の樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。他の樹脂成分を添加する場合、その含有量は、樹脂組成物中に20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
(配合方法)
上記した各成分を含む樹脂組成物は、従来の樹脂組成物調製方法や成形方法として一般に用いられる設備と方法を用いて容易に調製できる。例えば、1)樹脂成分及び他の各成分を混合した後、1軸又は2軸の押出機により練り混み押出してペレットを調製した後、成形する方法、2)一旦組成の異なるペレットを調製し、そのペレットを所定量混合して成形に供し成形後に目的組成の成形品を得る方法、3)成形機に各成分の1又は2以上を直接仕込む方法等、いずれも使用できる。また、樹脂成分の一部を細かい粉体として、これ以外の成分と混合して添加する方法は、これらの成分の均一配合を図る上で好ましい方法である。
(樹脂組成物)
本実施形態に係る樹脂組成物は、以下の式1を満たす。
5.6≧2d+2e+2c/(c’/100) (式1)
d:ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対するフッ素樹脂(D)の含有量(質量部)
e:ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対するカーボンブラック(E)の含有量(質量部)
c:ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100gに対するアンチモン原子の含有量(mol)
c’:アンチモン化合物(C)中のアンチモン原子の含有量(質量%)
樹脂組成物が上記式1を満たすことで、グローイング時間が短い樹脂組成物にすることができる。
一実施形態において、樹脂組成物は、以下の式1-1を満たす。
5.5≧2d+2e+2c/(c’/100) (式1-1)
一実施形態において、樹脂組成物は、以下の式1-2を満たす。
5.4≧2d+2e+2c/(c’/100) (式1-2)
一実施形態において、樹脂組成物は、以下の式1-3を満たす。
5.0≧2d+2e+2c/(c’/100) (式1-3)
一実施形態において、樹脂組成物は、以下の式1-4を満たす。
4.8≧2d+2e+2c/(c’/100) (式1-4)
なお、式1-1~式1-4において、d,e,c,c’は上記式1と同じである。
(用途)
本実施形態に係る樹脂組成物は、グローイング時間が短く難燃性に優れているので、自動車部品用途、電気・電子部品用途において難燃性が必要とされる部品の製造に好ましく用いることができる。例えば、リレー、スイッチ、コネクタ、アクチュエータ、センサー、トランスボビン、端子台、カバー、スイッチ、ソケット、コイル、プラグ等の電気・電子部品、特に電源周り部品の製造用途に好ましく使用できる。さらに、ECUボックス、コネクターボックス等の車載部品ケース・車載電装部品等の自動車部品の成形材料としても、好適に使用される。
[成形品]
本実施形態に係る成形品は、上記した樹脂組成物を含む。上記した樹脂組成物を含むので、グローイング時間が短く難燃性に優れている。
成形品の製造方法は、特に限定されず、樹脂組成物を溶融混練し、押出成形、射出成形、圧縮成形等の慣用の方法で成形することにより、成形体を得ることができる。特に射出成形で成形する場合、燃焼時の滴下を抑えるため、ゲート部のせん断速度は、2,000sec-1以上が好ましく、20,000sec-1以上がより好ましく、50,000sec-1以上が特に好ましい。
本実施形態に係る成形品は、自動車部品用途、電気・電子部品用途において難燃性が必要とされる用途に有用である。例えば、リレー、スイッチ、コネクタ、アクチュエータ、センサー、トランスボビン、端子台、カバー、スイッチ、ソケット、コイル、プラグ等の電気・電子部品、特に電源周り部品として好ましく使用できる。さらに、ECUボックス、コネクターボックス等の車載部品ケース・車載電装部品等の自動車部品としても、好適に使用される。
以下に実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の解釈が限定されるものではない。
[材料]
実施例及び比較例で用いた材料は、以下のとおりである。
A-1:ポリブチレンテレフタレート(ポリプラスチックス株式会社製、IV=0.69)
A-2:ポリブチレンテレフタレート(ポリプラスチックス株式会社製、IV=0.88)
A-3:ポリエチレンテレフタレート(帝人株式会社製 TRF、IV=0.71)
B-1:臭素系難燃剤(テトラブロモビスフェノールA型エポキシ化合物、宇進高分子社製、CXB-1500C、重量平均分子量:10500、エポキシ当量:34kg/eq)
C-1:五酸化アンチモン(山中産業株式会社製、HY1030)
C-2:三酸化アンチモン(日本精鉱株式会社製、PATOX-M)
C-3:アンチモン酸ナトリウム(和益実業有限公司、HY-1070)
D-1:フッ素樹脂(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製、PTFE 850A、SSG:2.18)
E-1:カーボンブラック(三菱ケミカル株式会社製、♯750B、平均一次粒子径:22μm、DBP吸油量:116cm/100g)
F-1:エチレンエチルアクリレート共重合体(株式会社NUC製、NUC-6570)
G-1:ガラス繊維(日東紡績株式会社製、CS 3J-947)
H-1:酸化防止剤(BASFジャパン株式会社製、イルガノックス 1010)
I-1:ペンタエリスリトールテトラステアレート(日油株式会社製、ユニスターH476)
[実施例1~7、比較例1~6]
表1,2に示す材料を、表1,2に示す割合で、株式会社日本製鋼所製2軸押出機TEX-30により260℃で溶融混練し、ペレット状の難燃性ポリアルキレンテレフタレート樹脂組成物を作製した。
[評価]
(試験片の作製)
実施例及び比較例で得られた各樹脂組成物のペレットについて、シリンダー温度260℃、金型温度80℃で、株式会社日本製鋼所製射出成型機J55ADにて射出成形を行い、125mm×13mm×厚さ0.8mmの短冊状試験片をそれぞれ作製した。
(難燃性の評価)
UL-94 Vertical Flame testにて燃焼性を評価した。試験片をクランプに垂直に取付け、20mmに調整した炎を10秒間接炎した(1回目)。試験片の炎が消えた後に再度接炎した(2回目)。各接炎時において、燃焼時間及びグローイング時間を測定するとともに、溶融物が試験片下に置かれた綿にドリッピング(滴下)した場合の着火の有無を目視で確認し、V-0の合否判定を行った。結果を表1,2に示した。
V-0の合否判定:
5つの試験片を一組とし、以下の基準:
- 各接炎時の燃焼時間が10秒以下である;
- 合計10回接炎後の燃焼時間の合計が50秒以下である;
- ドリッピングした場合の綿の着火がない;及び
- 2回目の接炎後の燃焼時間とグローイング時間の合計が各試験片で30秒以下である;
のそれぞれについて、満たす場合を「合格」、満たさない場合を「不合格」と判定し、すべて「合格」である場合を燃焼性(V-0)が合格と判断した。
Figure 0006993545000001

Figure 0006993545000002
表1に示すように、実施例1~14の樹脂組成物は、燃焼時間及びグローイング時間が短いとともにドリッピングによる綿の着火がなく、燃焼性に優れている。
表2に示すように、比較例1,2の樹脂組成物は、ドリッピングによる綿の着火が発生し燃焼性が劣っている。比較例3~8の樹脂組成物は、2回目の接炎後の燃焼時間とグローイング時間の合計が長く、燃焼性が劣っている。このような樹脂組成物を用いた成形品は、難燃性が低く、グローイングなどにより延焼してしまう場合がある。

Claims (7)

  1. ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)、臭素系難燃剤(B)、アンチモン化合物(C)を含み、
    臭素原子の含有量が、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100gに対して0.13mol以上であり、
    アンチモン原子の含有量が、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100gに対して0.05mol以上であり、
    フッ素樹脂(D)の含有量が、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して0~2.7質量部であり、
    カーボンブラック(E)の含有量が、ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して0.3~2.7質量部であり、かつ、
    以下の式1:
    5.6≧2d+2e+2c/(c’/100) (式1)
    (但し、
    d:ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対するフッ素樹脂(D)の含有量(質量部)
    e:ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対するカーボンブラック(E)の含有量(質量部)
    c:ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)100gに対するアンチモン原子の含有量(mol)
    c’:アンチモン化合物(C)中のアンチモン原子の含有量(質量%)
    である)
    を満たす、難燃性樹脂組成物。
  2. 臭素系難燃剤(B)が、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ化合物を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. アンチモン化合物(C)が、五酸化アンチモン及びアンチモン酸ナトリウムから選択される1以上を含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. フッ素樹脂(D)が滴下防止性能を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. カーボンブラック(E)のフタル酸ジブチル吸油量が350cm/100g以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. ポリアルキレンテレフタレート樹脂(A)が、ポリブチレンテレフタレート樹脂である、請求項1から5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、成形品。
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