JPH07118511A - 難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物

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JPH07118511A
JPH07118511A JP28390893A JP28390893A JPH07118511A JP H07118511 A JPH07118511 A JP H07118511A JP 28390893 A JP28390893 A JP 28390893A JP 28390893 A JP28390893 A JP 28390893A JP H07118511 A JPH07118511 A JP H07118511A
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JP
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flame
resin composition
polybutylene terephthalate
brominated
resin
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JP28390893A
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Minoru Omoto
実 大本
Shinji Ohara
真二 大原
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Kuraray Co Ltd
Ube Corp
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Kuraray Co Ltd
Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹
脂、臭素化フェノキシ樹脂、アンチモン化合物、カオリ
ン及び必要に応じてガラス繊維を含有する難燃性PBT
系樹脂組成物、並びに該樹脂組成物から得られた成形
品。 【効果】 本発明の難燃性PBT系樹脂組成物を用いた
場合には、PBT系樹脂本来の優れた特性を備え、難燃
性及び耐アーク性や耐高電圧トラッキング性等の電気的
発火に対する抵抗性が高く、しかも引張強さや引張伸び
に代表される機械的性質にも優れた靭性に富んだ耐久性
のある成形品を得ることができ、本発明のPBT系樹脂
組成物は電気部品や電子部品の製造に特に適している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、難燃性ポリブチレンテ
レフタレート系樹脂組成物および該組成物からなる成形
品に関する。詳細には、耐アーク性、耐高電圧トラッキ
ング性などの電気的特性(電気的発火に対する抵抗性)
に優れ、しかも引張強さや引張伸びなどで代表される機
械的性質に優れた成形品を得ることのできる難燃性ポリ
ブチレンテレフタレート系樹脂組成物、および該樹脂組
成物からなる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリブチレンテレフタレート系樹脂は耐
熱性、耐溶剤性、電気的性質、成形性などに優れてお
り、しかも難燃剤の添加によって容易に難燃化ができる
ことから、それらの特性を活かして電気/電子部品、自
動車部品、機械部品等の種々の用途に広く用いられてい
る。しかしながら、ポリブチレンテレフタレート系樹脂
およびその組成物から得られた成形品を電気/電子部品
として使用した場合には、アーク放電により炭化路を形
成し易く、連続したアーク放電に対する耐性(耐アーク
性)および高電圧下での耐トラッキング性が充分でな
い。
【0003】そのため、ポリブチレンテレフタレート系
樹脂やその組成物にそのような電気的発火に対する抵抗
性を付与することを目的として、難燃剤(防炎剤)と共
にカオリンを配合することが従来試みられており(特開
昭51−127149号公報および特開昭52−587
52号公報)、こられの従来技術では難燃剤としてアン
チモン化合物と共にデカブロモビフェニルエーテル、オ
クタブロモビフェニルエーテル、デカブロモジフェニ
ル、テトラブロモフタル酸無水物、ヘキサブロモベンゼ
ンなどの低分子有機ハロゲン化物または臭素化ポリカー
ボネートなどを用いることが提案されている。
【0004】しかし、それらの従来技術による場合は、
カオリンの配合によってPBT系樹脂成形品の耐アーク
性や耐高電圧トラッキング性は改良されるものの、引張
強さや引張伸びで代表される機械的性質の低下が著し
く、靭性に富む耐久性のある成形品が得られないという
欠点があり、難燃性、耐アーク性や耐トラッキング性等
の電気的発火に対する抵抗性および機械的性質のすべて
に優れたポリブチレンテレフタレート系樹脂成形品およ
びそのための組成物が実用面から求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
したポリブチレンテレフタレート系樹脂本来の優れた特
性を備え、しかも難燃性、耐アーク性や耐高電圧トラッ
キング性等の電気的発火に対する抵抗性に優れ、しかも
機械的性質にも優れたポリブチレンテレフタレート系樹
脂成形品、特に電気/電子部品として有効に用いること
のできるポリブチレンテレフタレート系樹脂成形品、並
びにそのためのポリブチレンテレフタレート系樹脂組成
物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らが前記の課題
を解決するため鋭意検討を行った結果、多数ある難燃剤
のうちから特に臭素化フェノキシ樹脂難燃剤を選択し、
この難燃剤にアンチモン化合物難燃助剤を組合わせて使
用し、更にこれらの難燃剤系と共にカオリンをポリブチ
レンテレフタレート系樹脂に配合すると、難燃性、電気
的発火に対する抵抗性および機械的性質のすべてに優れ
たポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物および成形
品が得られることを見出して本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、ポリブチレンテレフ
タレート系樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、アンチモン化
合物およびカオリンを含有することを特徴とする難燃性
ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物である。更
に、本発明が上記難燃性ポリブチレンテレフタレート系
樹脂組成物から得られた成形品を包含する。
【0008】本発明で用いるポリブチレンテレフタレー
ト系樹脂(以下「PBT系樹脂」という)は、ポリエス
テル樹脂を構成する酸成分の少なくとも70モル%がテ
レフタル酸またはそのエステル形成性誘導体からなり、
かつジオール成分の少なくとも70モル%が1,4−ブ
タンジオールからなるポリエステル樹脂であり、30モ
ル%以下の範囲であれば他の共重合酸成分および/また
は他の共重合ジオール成分を用いたものであってもよ
い。その際に、酸成分としてテレフタル酸のエステル形
成性誘導体を使用する場合は、テレフタル酸のジアルキ
ルエステル、ジアリールエステル等を用いることができ
る。
【0009】30モル%以下の範囲で用いることのでき
る他の共重合酸成分の例としては、イソフタル酸、ジフ
ェニルジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン
酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、セバシン酸、
マゼライン酸、コハク酸、シュウ酸等の脂肪族ジカルボ
ン酸;β−オキシエトキシ安息香酸、p−オキシ安息香
酸等のオキシカルボン酸;またはそれらのエステル形成
性誘導体などを挙げることができ、それらの共重合酸成
分は1種のみを用いてもまたは2種以上を用いてもよ
い。
【0010】また、30モル%以下の範囲で用いること
のできる共重合ジオール成分の例としては、エチレング
リコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコ
ール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5
−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,
9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジ
オール、デカメチレンジオールなどの炭素数2〜10の
脂肪族ジオール;シクロヘキサンジオールなどの脂環式
ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳
香族ジオール;ポリエチレングリコール、ポリトリメチ
レングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポ
リアルキレングリコールなどを挙げることができ、これ
らの共重合ジオール成分は1種のみを用いてもまたは2
種以上を用いてもよい。
【0011】PBT系樹脂の製法は特に制限されず、上
記したテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体か
ら主としてなる酸成分と、上記した1,4−ブタンジオ
ールから主としてなるジオール成分とを用いて、従来公
知の芳香族ポリエステルの製造法であるエステル交換反
応によって製造されたもの、または直接エステル化反応
によって製造されたもののいずれもが使用できる。
【0012】本発明では、PBT系樹脂として、フェノ
ール/テトラクロロエタン(1:1重量比)混合溶媒を
用いて30℃で測定したときの固有粘度が0.7〜1.
3dl/gの範囲にあるものを用いるのが好ましく、
0.7〜1dl/gの範囲のPBT系樹脂がより好まし
い。固有粘度が0.7dl/g未満のPBT系樹脂を用
いると、PBT系樹脂組成物から得られる成形品の靭性
が不足し易く、一方固有粘度が1.3dl/gを超える
PBT系樹脂を用いると、成形時の溶融粘度が高くなり
過ぎて成形加工性が低下し、特に射出成形による場合は
成形が困難になる傾向がある。
【0013】そして、本発明のPBT系樹脂組成物で
は、上記したPBT系樹脂に対して難燃剤として臭素化
フェノキシ樹脂を配合する。本発明で用いる臭素化フェ
ノキシ樹脂の好ましい例としては、臭素化ビスフェノー
ル型フェノキシ樹脂を挙げることができ、その際の臭素
化ビスフェノール型フェノキシ樹脂としては臭素化され
たビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノー
ルSなどの種々の臭素化ビスフェノール類に基づく臭素
化ビスフェノール型フェノキシ樹脂を用いることがで
き、それらのうちでも臭素化ビスフェノールA型フェノ
キシ樹脂が特に好ましく用いられる。
【0014】その場合に、臭素化ビスフェノールA型フ
ェノキシ樹脂の製法は特に制限されないが、例えば臭素
化ビスフェノールAと臭素化ビスフェノ−ルAジグリシ
ジルエーテルとの反応、または臭素化ビスフェノ−ルA
とプロピレンオキシドまたはエピクロルヒドリン等のプ
ロピレンオキシド誘導体との反応等により得ることがで
きる。その際の臭素化ビスフェノールAとしては、テト
ラブロモビスフェノールA、ジブロモビスフェノール
A、ヘキサブロモビスフェノールA等の1種または2種
以上を用いることができ、必要に応じてこれらの臭素化
ビスフェノールAと共に臭素化されていないビスフェノ
ールAを併用してもよい。
【0015】また本発明では、臭素化フェノキシ樹脂と
して、テトラヒドロフランを溶媒として用いてGPCに
よって測定した時の重量平均分子量が30,000以上
のものを使用するのが難燃性、成形性などの点から好ま
しく、55,000〜100,000のものがより好ま
しい。
【0016】臭素化フェノキシ樹脂の配合量は、PBT
系樹脂100重量部に対して、15〜30重量部が好ま
しく、15〜25重量部が特に好ましい。臭素化フェノ
キシ樹脂の配合量が15重量部未満であると十分な難燃
化効果が得られにくくなり、一方30重量部を超えると
得られる成形品の力学的性能の低下、有害な揮発性成分
量の増加などを生じ易くなる。
【0017】本発明のPBT系樹脂組成物では、難燃剤
として臭素化フェノキシ樹脂を使用することが重要であ
り、臭素化重合体ではあっても例えば臭素化ポリカーボ
ネート樹脂、臭素化アクリル樹脂、臭素化ポリスチレン
等を使用した場合には、PBT系樹脂組成物から得られ
る成形品の引張強さ、引張伸びなどの機械的性質が低下
し、靭性に欠けたものとなる。
【0018】また本発明では、臭素化フェノキシ樹脂難
燃剤と共に、難燃助剤としてアンチモン化合物を使用す
る。本発明で使用するアンチモン化合物の好ましい例と
しては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化
アンチモン、アンチモン酸ナトリウム等のアンチモン酸
塩を挙げることができる。アンチモン化合物は1種のみ
を用いても2種以上を併用してもよい。アンチモン化合
物の配合量は、PBT系樹脂100重量部に対して、5
〜15重量部が好ましく、7〜10重量部がより好まし
い。アンチモン化合物の配合量が5重量部未満であると
十分な難燃化効果が得られにくくなり、一方15重量部
を超えると得られる成形品の力学的性能が低下し易い。
また、必要に応じて他の難燃助剤、例えば酸化ホウ素、
酸化ジルコニウム、酸化鉄などをアンチモン化合物と併
用してもよい。
【0019】そして、本発明のPBT系樹脂組成物で
は、PBT系樹脂100重量部に対する臭素化フェノキ
シ樹脂とアンチモン化合物との合計配合量が10〜50
重量部であるのが好ましい。臭素化フェノキシ樹脂とア
ンチモン化合物との合計配合量が10重量部未満である
と難燃性が充分でなくなり、一方50重量部を超えると
成形品の機械的強度の低下、加熱着色の増大などを生じ
易くなる。
【0020】更に、本発明のPBT系樹脂組成物はカオ
リンを含有する。カオリンはカオリンクレーとも呼ば
れ、硅酸アルミニウムを主成分とする硅酸塩鉱物であ
る。本発明では未焼成カオリンおよび焼成カオリンのい
ずれも使用でき、そのうちでも未焼成カオリンが好まし
く用いられる。焼成カオリンは一般に600℃以上の温
度でカオリンを数時間焼成することにより得られるが、
本発明において焼成カオリンを使用する場合には、65
0〜800℃の温度で焼成したものを使用するのが成形
品の機械的性質の低下を招かないことからも望ましい。
また、カオリンの粒径は特に制限されない。更に、表面
処理されていないカオリン、またはアミノシラン系化合
物、エポキシシラン系化合物、チタネート系化合物など
で表面処理されたカオリンのいずれを使用してもよい。
【0021】カオリンの配合量は、PBT系樹脂組成物
の全重量に基づいて5〜20重量%であるのが好まし
く、10〜15重量%がより好ましい。カオリンの配合
量が5重量%未満であると電気的発火に対する抵抗性が
充分でなく、耐アーク性や耐高電圧トラッキング性が劣
ったものになり、一方20重量%を超えると成形品の機
械的性質の低下が大きくなる。
【0022】更に、本発明のPBT系樹脂組成物は必要
に応じてガラス繊維を含有することができ、ガラス繊維
を配合した場合には機械的性質の一層優れた成形品を得
ることができる。ガラス繊維を配合する場合は、PBT
系樹脂組成物の全重量に基づいて40重量%以下にする
のがよく、40重量%を超えると樹脂組成物の成形性が
低下し易い。特に、本発明のPBT系樹脂組成物は、上
記した臭素化フェノキシ樹脂、アンチモン化合物および
カオリンと共に、PBT系樹脂組成物の全重量に基づい
て10〜30重量%のガラス繊維を含有するのが好まし
い。
【0023】本発明のPBT系樹脂組成物は、上記した
成分の他に、必要に応じて従来公知の各種の添加物、例
えば離型剤、酸化防止剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、帯
電防止剤、着色剤、可塑剤、熱可塑性エラストマー類な
どを含有していてもよい。特に、離型剤および/または
酸化防止剤を使用すると、成形品の機械的性質や化学的
性質が一層向上するので好ましい。
【0024】その場合の離型剤としては、公知の化合
物、例えばワックス類、ポリエチレン誘導体、シリコー
ン油、高級脂肪酸およびその塩やエステル類、フッ化ア
ルキル化合物などを適宜使用することができる。また酸
化防止剤としては、限定されるものではないが、例えば
ヒンダートフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸
化防止剤などを適宜使用することができる。
【0025】本発明の難燃性PBT系樹脂組成物の調製
法は特に制限されず、樹脂組成物を調製するのに用いら
れる既知の方法のいずれもが採用でき、例えば、充分に
乾燥したチップ状のPBT系樹脂に、臭素化フェノキシ
樹脂、アンチモン化合物、カオリンおよび必要に応じて
ガラス繊維、その他の添加剤を添加して予めタンブラー
やヘンシェルミキサーのような混合機で均一に混合した
後、単軸または2軸押出機に供給して溶融混練してから
押出し、切断して、ペレットやその他の形状の樹脂組成
物を調製することができる。
【0026】本発明の難燃性PBT系樹脂組成物は、ポ
リエステル系樹脂に対して一般に用いられている成形方
法や成形装置を用いて成形することができる。例えば、
射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレン
ダー成形などの任意の成形法によって成形することがで
き、それによって電気部品、電子部品、機械部品、自動
車部品、パイプ、シート、フイルム、日用品などの任意
の形状および用途の成形品を製造することができ、特に
射出成形などによって電気部品や電子部品等を製造する
のに適している。
【0027】
【実施例】以下に本発明を実施例および比較例により具
体的に説明するが、本発明はそれにより限定されない。
以下の実施例および比較例において、試験片の作製、引
張強さおよび引張伸びの測定、耐アーク性、耐高電圧ト
ラッキング性および難燃性の評価は次のようにして行っ
た。
【0028】試験片の作製:各実施例または比較例のP
BT系樹脂組成物のペレットを成形材料として用いて、
日精樹脂工業製の80トン射出成形機を使用して、シリ
ンダー温度260℃および金型温度70℃の条件下に、
JIS 1号試験片、耐アーク性評価用円板(直径10
0mm、厚さ3.2mm)、耐高電圧トラッキング評価
用試験片(縦127mm×横12.7mm×厚さ3.2
mm)および難燃性評価用試験片(縦127mm×横1
2.7mm×厚さ0.8mm)をそれぞれ作製した。
【0029】試験片の引張強さおよび引張伸びの測定
上記で作製したJIS 1号試験片を用いてJIS K
7113の方法に準じてその引張強さおよび引張伸びを
測定した。
【0030】耐アーク性の評価:上記で作製した耐アー
ク性評価用円板を用いて、ASTM D495の方法に
準じてその耐アーク性の評価を行った。
【0031】耐高電圧トラッキング性の評価:上記で作
製した耐高電圧トラッキング性評価用試験片を用いて、
UL746Aの方法に準じてその耐高電圧トラッキング
性を評価した。
【0032】難燃性の評価:上記で作製した難燃性評価
用の試験片を用いて、UL−94の方法(垂直燃焼試
験)に準じて難燃性の評価を行った。
【0033】《実施例 1》極限粘度が0.85dl/
gのPBT樹脂[(株)クラレ製「KL263F」)1
00重量部(以下「部」と略す)、臭素化フェノキシ樹
脂難燃剤(東都化成製「YPB−43C」)25部、三
酸化アンチモン(日本精鉱製「パトックスL」)9部、
カオリン(ECCインターナショナル製「エカライト#
1」;未焼成品)20部、ガラス繊維(日本電気硝子製
「ECS−03T−187」)30部、ヒンダードフェ
ノール系酸化防止剤(チバガイギィ製「イルガノックス
1010」)0.1部、リン系酸化防止剤(チバガイギ
ィ製「イルガフォス168」)0.1部およびモンタン
酸エステル部分ケン化ワックス(ヘキストジャパン製
「ヘキストワックスOP」)0.3部を、二軸押出機
(日本製綱所製,φ44mm)に供給して、250℃で
溶融混練した後口金から押出し、冷却後切断して直径2
mm、長さ3mmのペレットを製造した。このペレット
を使用して、試験片を上記のようにして作製し、上記の
方法でその引張強さ、引張伸び、耐アーク性、耐高電圧
トラッキング性および難燃性の測定または評価を行っ
た。その結果を下記の表1に示す。
【0034】《比較例 1〜3》実施例1において、臭
素化フェノキシ樹脂難燃剤の代わりに、臭素化ポリカー
ボネート(グレートレークス製「BC−58」)、臭素
化ポリスチレン難燃剤(日産フェロ製「パイロチェック
68PB」)および臭素化アクリル樹脂難燃剤(デッド
シーブロミン製「PBB−PA」)をそれぞれ使用した
外は実施例1と同様にしてPBT樹脂組成物のペレット
を製造し、そのペレットを用いて試験片を作製して、そ
の引張強さ、引張伸び、耐アーク性、耐高電圧トラッキ
ング性および難燃性の測定または評価を行った。その結
果を下記の表1に示す。
【0035】《比較例 4》三酸化アンチモンを配合し
なかった以外は実施例1と同様にしてPBT樹脂組成物
のペレットを製造し、そのペレットを用いて試験片を作
製して、その引張強さ、引張伸び、耐アーク性、耐高電
圧トラッキング性および難燃性の測定または評価を行っ
た。その結果を下記の表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】上記表1の結果から、PBT樹脂に対して
臭素化フェノキシ樹脂難燃剤、アンチモン化合物、カオ
リンおよびガラス繊維を配合した実施例1の難燃性PB
T系樹脂組成物から得られる成形品は、引張強さおよび
引張伸びが大きく機械的性質が良好であり、しかも耐ア
ーク性および耐高電圧トラッキング性などの電気的特性
並びに難燃性にも優れていることがわかる。それに対し
て難燃剤として臭素化フェノキシ樹脂の代わりに臭素化
ポリカーボネート、臭素化ポリスチレン難燃剤または臭
素化アクリル樹脂難燃剤を用いた比較例1〜3のPBT
系樹脂組成物から得られる成形品は、いずれも引張強さ
および引張伸びが実施例1の成形品に比べて低く機械的
性質が劣っていること、また比較例1および比較例2で
得られる成形品は耐高電圧トラッキング性も実施例1で
得られる成形品に比べて劣っていることがわかる。更
に、三酸化アンチモンを含有しない比較例4のPBT系
樹脂組成物から得られた成形品は、機械的性質には優れ
るものの、耐アーク性および耐高電圧トラッキング性が
極めて不良であり、しかも難燃性も劣っていることがわ
かる。
【0038】《実施例 2》実施例1において、カオリ
ンの配合量を下記の表2に示すように0部、30部およ
び70部にそれぞれ変えた以外は実施例1と同様にして
PBT樹脂組成物のペレットを製造し、そのペレットを
用いて試験片を作製して、その引張強さ、引張伸び、耐
アーク性、耐高電圧トラッキング性および難燃性の測定
または評価を行った。その結果を下記の表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】《実施例 3》実施例1において、ガラス
繊維を配合しなかった以外は実施例1と同様にしてPB
T樹脂組成物のペレットを製造し、そのペレットを用い
て試験片を作製して、その引張強さ、引張伸び、耐アー
ク性、耐高電圧トラッキング性および難燃性の測定また
は評価を行った。その結果を下記の表3に示す。
【0041】《比較例 5〜7》実施例3において、臭
素化フェノキシ樹脂難燃剤の代わりに、比較例1で用い
たのと同じ臭素化ポリカーボネート、比較例2で用いた
のと同じ臭素化ポリスチレン系難燃剤および比較例3で
用いたのと同じ臭素化アクリル樹脂難燃剤をそれぞれ使
用した外は実施例3と同様にしてPBT樹脂組成物のペ
レットを製造し、そのペレットを用いて試験片を作製し
て、その引張強さ、引張伸び、耐アーク性、耐高電圧ト
ラッキング性および難燃性の測定または評価を行った。
その結果を下記の表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】上記表3の結果から、ガラス繊維を含有し
ない場合にも、上記した実施例1および比較例1〜3の
場合と同様の結果が奏され、PBT樹脂、臭素化フェノ
キシ樹脂難燃剤、アンチモン化合物およびカオリンを含
有する実施例3の難燃性PBT系樹脂組成物からは、他
の難燃剤を用いた場合に比べて、引張強さおよび引張伸
びがより良好で、しかも耐アーク性および耐高電圧トラ
ッキング性などの電気的特性並びに難燃性に優れる成形
品が得られることがわかる。
【0044】
【発明の効果】本発明の難燃性PBT系樹脂組成物を用
いた場合には、PBT系樹脂本来の優れた特性を備え、
難燃性および耐アーク性や耐高電圧トラッキング性等の
電気的発火に対する抵抗性が高く、しかも引張強さや引
張伸びに代表される機械的性質にも優れた靭性に富んだ
耐久性のある成形品を得ることができる。そのため、本
発明の難燃性PBT系樹脂組成物は、電気部品、電子部
品、機械部品、自動車部品、パイプ、日用品などの極め
て広範な用途に有効に使用することができ、特に耐アー
ク性や耐高電圧トラッキング性などの電気的発火に対す
る高い抵抗性が要求される電気部品や電子部品に好適に
用いることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリブチレンテレフタレート系樹脂、臭
    素化フェノキシ樹脂、アンチモン化合物およびカオリン
    を含有することを特徴とする難燃性ポリブチレンテレフ
    タレート系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリブチレンテレフタレート系樹脂10
    0重量部に対して臭素化フェノキシ樹脂を15〜30重
    量部およびアンチモン化合物を5〜15重量部、並びに
    ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物の全重量に基
    づいてカオリンを5〜20重量%の割合で含有する請求
    項1の難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成
    物の全重量に基づいて更にガラス繊維を40重量%以下
    の割合で含有する請求項1または2の難燃性ポリブチレ
    ンテレフタレート系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項の難燃性ポ
    リブチレンテレフタレート系樹脂組成物から得られた成
    形品。
JP28390893A 1993-10-19 1993-10-19 難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物 Pending JPH07118511A (ja)

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JP28390893A JPH07118511A (ja) 1993-10-19 1993-10-19 難燃性ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021200793A1 (ja) * 2020-03-30 2021-10-07 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 繊維強化プラスチック成形材料

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